説明

コンテンツ配信システム

ネットワークを通じて接続されたコンテンツ・クライアント112,114及びコンテンツ・サーバ150を備えたコンテンツ配信システム100を提供する。このコンテンツ・サーバは、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信し、当該コンテンツ・クライアントがネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。このシステムは、ネットワークを介して進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタ、及び当該ネットワーク・モニタに従って1又はそれ以上のセッション記述内のメディア記述をマーキングしてマーキング済みセッション記述を取得するための推奨器を備える。当該マーキング済みメディア記述は、現在のネットワーク状態から見て他のものを上回る特定のコンテンツを選ぶことをコンテンツ・クライアントに推奨する。例えば、使用可能な帯域幅が低い場合、低帯域幅を必要とするコンテンツが推奨される。これによって、ネットワーク輻輳がシステム全体のユーザに対して回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバを備えるコンテンツ配信システムに関するものであり、コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバがネットワークを介して接続されており、コンテンツ・サーバが、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成され、当該少なくとも1つのメディア記述の各々1つが接続情報を含み、コンテンツ・クライアントがネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。
【0002】
本発明は、更に、コンテンツ配信システムにおいて用いられるゲートウェイに関するものである。
【0003】
本発明は、更に、コンテンツ配信方法、及び、対応するコンピュータ・プログラムに関するものである。
【従来技術】
【0004】
コンテンツの配信は、最新のネットワークにおける重要な機能である。コンテンツ・クライアントとして、例えば、セット・トップ・ボックスを考慮する。このコンテンツ・クライアントは、ネットワーク、例えば、インターネットを通じて1又はそれ以上のコンテンツ・サーバと接続されている。通例、コンテンツ・クライアントは、場合によっては、他のコンテンツ・クライアントと共に、ゲートウェイを通じてネットワークと接続する。このゲートウェイにより、第1のネットワークにおけるネットワーク・デバイスが、第2のネットワークにおける1又はそれ以上のネットワーク・デバイスへのアクセスを可能にする。
【0005】
コンテンツ・サーバは、ネットワークを介してコンテンツを送信することによって、コンテンツ・クライアントにそのコンテンツを提供することができる。コンテンツは、例えば、オーディオ、ビデオ及び/又はテキストなどを含む。例えば、ユーザは、場合によっては、オン・デマンドで、彼のセット・トップ・ボックス上の動画を含むコンテンツ・ストリームを受信し、また、その動画をテレビのスクリーンに表示することによって、新しい動画を見ることができる。ネットワークを通じてコンテンツを送信するために、異なるプロトコル、例えばファイル転送プロトコル、ストリーミング・プロトコルが用いられる。
【0006】
特定のコンテンツ・アイテムが複数フォーマットにおいて使用利能となることもあり得る。例えば、新しい動画を見ることを望むユーザは、コンテンツ・サーバからその動画を要求するかもしれない。コンテンツ・サーバは、次いで、同一の動画について多数オプションをリストするセッション記述で応答することができるだろう。このコンテンツ・サーバは多数バージョンで動画を供給(offer)することができる。例えば、解説トラックといった代替の音声トラックを有するような付加的な特徴や追加のサブタイトル等を有する。コンテンツは、そのいずれのバージョンにおいても、異なる周波数帯の要件を有する複数フォーマットにおいて使用可能とすることができる。例えば、異なる帯域幅要件は、高解像度(definition)のテレビスクリーンに適した高解像度フォーマット、高解像度ではないテレビスクリーンに適した中解像度フォーマット、又は携帯電話スクリーンのような低解像度のデバイスに適した低解像度フォーマットのような多数の解像度の動画において供給することによって、取得することができる。通例、より高解像度のデバイスは、より低解像度のバージョンのコンテンツを表示することが可能である。一般的に、帯域幅は、例えばキロビット/秒といった数値として表すことができる。
【0007】
セッション記述は、メディア記述のリストを含む。メディア記述は、コンテンツ・アイテムの受信を開始するために、コンテンツ・クライアントによって必要とされる情報を含む。
【0008】
インターネット技術タスクフォース(IETF)は、「リクエスト・フォー・コメント」(RFC)、即ち、「SDP:セッション記述プロトコル(Session Description Protocol)」と題されるRFC 2327(後に4566に更新)を公表してきた。RFC 4566は、セッション記述及びメディア記述を実装することができる1つの方法を開示する。RFC 4566は、セッション記述セロトコル(SDP:Session description protocol)について説明する。このプロトコルは、メディア記述を含むセッション記述についての標準的な表現を含む。
【0009】
RFC 4566のSDPは、広範囲に及ぶネットワーク環境及びアプリケーションに使用することができるために、全般的な目的になることを企図するものである。しかしながら、RFC 4566は、セッション・コンテンツの交渉(negotiation)又はメディア・エンコーディングについてはサポートしない。SDPセッションは、クライアントが選択できるサーバによって提供される複数選択肢を収容することができる。例えば、サービスは、オーディオを複数オーディオ・フォーマットで提供する。クライアントは、次いで、それがサポートするフォーマットを選択する。この選択は、例えば、RTSPセットアップ・メッセージによって提供することができる。RFC 4566のセッション記述は、ネットワークを介して伝達することができ、又は、電子メール及びワールド・ワイド・ウェブを含むセッション記述を伝達する代替手段を使用することができる。SDPは、マルチメディア・セッションにおいてメディア・ストリームについての情報を伝達し、セッション記述の受信者がそのセッションに参加するのを可能にする。
【0010】
このために、RFC 4566セッション記述は、ビデオやオーディオ等のメディア種別、RTP/UDP/IPやH.320等の転送プロトコル、H.261ビデオやMPEGビデオ等のメディア・フォーマット等のような情報を含むことができる。特に、メディア記述は、帯域幅情報及び接続情報を含むことができる。
【0011】
このセッション記述がコンテンツ・クライアント上で受信されるときに、いずれのメディア記述をも選択することができ、そして、対応するコンテンツ・アイテムをコンテンツ・クライアント上で受信することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、コンテンツ・クライアントのユーザにとっては、彼がどれを選ぶべきかについては、必ずしも明らかでない。異なるメディア記述は、異なる帯域要件を有することができる異なるメディアと関連付けられてもよい。適切な帯域幅要件を有するコンテンツを選択するのは、重要なことである。コンテンツがあまりに低すぎる帯域幅の要件によって選択された場合、恐らく品質もより低下し、これに対応して、その結果として生じるユーザ体験は悪化することになるだろう。その一方で、あまりに高すぎる帯域幅要件は、ネットワークの輻輳、及びフレームの欠落を招くことになるだろう。換言すれば、低い帯域幅の選択及び高い帯域幅の選択の両方を行うことは、低い解像度若しくは低い圧縮物のどちらかにより、又は、ネットワーク輻輳及びフレーム欠落により、低い知覚品質に導くことになるだろう。
【0013】
正しい帯域幅を得るために、トライアル・アンド・エラーによるアプローチがそばしば用いられる。このトライアル・アンド・エラーよるアプローチは、最大帯域幅を有するセッションをセットアップすることを伴い、一旦輻輳が発生したら、受け入れられる品質を取得するまでそのセッションの帯域幅を減らす。
【0014】
帯域要件に基づいて複数コンテンツ・バージョンのリストから選択することが困難であるということが、従来技術の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この懸念により良く対処するために、改良したコンテンツ配信システムを提供する。このコンテンツ配信システムは、コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバを備える。コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバは、ネットワークを通じて接続される。このコンテンツ・サーバは、場合によっては、コンテンツ・クライアントの要求に対し、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成される。この少なくとも1つのメディア記述のそれぞれは、接続情報を含み、コンテンツ・クライアントがネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。システムは、このネットワークを進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタを備える。システムは、このネットワーク・モニタに従って、セッション記述内の1又はそれ以上の複数メディア記述をマーキングし、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器(recommender)を備える。この推奨器は、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成される。
【0016】
特定の接続情報のそれぞれは、コンテンツ・クライアントがネットワークを通じて特定のコンテンツ・アイテムを受信することを可能にすることができる。場合によっては、セッション記述内のメディア記述によって参照されるすべての特定コンテンツ・アイテムは、別々のものとすることができる。場合によっては、参照されるコンテンツ・アイテムのいくつか又は全ては、等しいものとすることはでき、また、例えば異なる転送プロトコルにおいて提供されることができる。
【0017】
コンテンツ・クライアントがメディア記述を含むセッション記述を受信するとき、彼は、そのメディア記述を用いて、ネットワークを通じて例えばコンテンツ・サーバへ又はある他のコンテンツ・サーバへの接続を行い、そして、当該メディア記述において参照されるコンテンツ・アイテムを受信するという見解を有する。この接続を行うことに価値があるかどうかについて事前に着想を有することは、ユーザにとって有利である。しかしながら、ユーザは、必ずしもこの判断をするのに最善のポジションにいる訳ではない。特に、ネットワーク・トラフィックに基づく情報がユーザを不利にする役割を担う場合には、彼は不利な立場でいる。何故ならば、彼にはせいぜい自分自身のネットワーク・トラフィックについての漠然とした着想だけがあるに過ぎず、その他の、例えばネットワーク上の他のコンテンツ・クライアントによって生じるネットワーク・トラフィックについてのナレッジを有さないからである。
【0018】
システムがネットワーク・モニタを有するので、このような情報は、適切なマーキングを付加することによって、セッション記述に追加することができる。例えば、メディア記述の一部を推奨することによる。ここで推奨(Recommending)とは、支持しているものを推奨すること、又はその反対を推奨することであり得る。複数マーキングを使用することができる。マーキングは、明示的なものでも暗示的なものでもよい。
【0019】
使用することができる情報について、及び過去のネットワーク・トラフィックから導出することができる情報についての種別の例には、帯域幅の可用性(availability)、即ち今までに消費した帯域幅のみならず過去のネットワーク・トラフィックにも基づくことができる帯域幅要件の推定も含まれる。
【0020】
セッション記述がたとえ1つのみのメディア記述だけを収容する場合であっても、レコメンデーションは役に立つものとなる。何故ならば、ユーザは、与えられた不適切なネットワーク・トラフィックであるコンテンツに耐えなければならないことよりも、むしろコンテンツを受信することを全く好まないかもしれないからである。セッション記述は、また、複数メディア記述を含むこともできる。
【0021】
一実施形態において、このセッション記述は、複数メディア記述を含むことができる。複数メディア記述が使用可能であるセッション記述において、推奨器は、他のものを上回るディア記述の1つを推奨することができる。
【0022】
一実施形態において、コンテンツ配信システムは、ゲートウェイを備える。ネットワークは、第1のネットワーク及び第2のネットワークを含む。コンテンツ・クライアント及びゲートウェイは、この第1ネットワークを通じて接続される。ゲートウェイ及びコンテンツ・サーバは、この第2ネットワークを通じて接続される。接続情報の各々1つは、コンテンツ・クライアントが第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じて、コンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。ゲートウェイは、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタを含む。
【0023】
ゲートウェイは、ネットワーク情報を収集するために便利な場所に位置している。何故ならば、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のネットワーク・トラフィックの全てがゲートウェイを通過するからである。
【0024】
推奨器は、ゲートウェイにレコメンデーションを送信することによって、ゲートウェイを用いてマーキングすることができる。ゲートウェイは、このレコメンデーションを受信するとマーキングを実行することができる。
【0025】
コンテンツ・クライアントについての複数メディア記述からの選択を複雑化する1つの要因として、ネットワークについての、即ち第1ネットワーク及び第2ネットワークについての彼の制約されたビュー(restricted view)がある。コンテンツ・クライアントは、第1のネットワーク、即ち、コンテンツ・クライアントをゲートウェイに接続するためのローカル・ネットワークを通じて接続される。この第1ネットワークは、通例、むしろ豊富な(liberal)帯域幅の制約を有する。この第1ネットワークは、通例、第2ネットワークより非常に多量のネットワーク・トラフィックを扱うことができる。例えば、第2ネットワークは、通例、第1のネットワークより広範であり、それ故、より多くの帯域幅のボトルネックを含みことになり得る。第2ネットワークのコンテンツのクライアント・ビューは、第1ネットワークの大きい帯域幅によってマスクされる。更には、コンテンツ・クライアントとは異なるネットワーク・デバイスは、ゲートウェイに接続し、第2ネットワークの帯域幅の一部を消費することができる。コンテンツ・クライアントは、他のネットワーク・デバイスから生じる、第1ネットワークのネットワーク・トラフィックを見ることができなくてもよい。ゲートウェイは、コンテンツ・クライアントとコンテンツ・サーバの間におけるネットワーク内に位置し、そして、このために、ゲートウェイは広くゆき渡っているネットワーク状態についての非常により良好なイメージ(picture)を有する。ネットワーク・モニタは、通例、コンテンツ・クライアントの外部にある。ネットワーク・クライアントは、他のネットワーク・デバイス、例えば、ゲートウェイ、ルータ、ファイアウォールなどと結合することができる。
【0026】
ネットワーク・モニタから取得した情報に基づいて特定のコンテンツ・バージョン、即ち、メディア記述についてのレコメンデーションを与えることによって、当該レコメンデーションがコンテンツ・クライアント又はコンテンツ・サーバにおいて使用可能なネットワーク情報に従って行われるのであれば、より多くの通知される選択を行うことができる。
【0027】
更に、このシステムにより、サービスを消費してホーム・ネットワーク内の他のユーザを考慮に入れる一方で、ユーザが自発的にそれらの帯域幅を調整することを可能にする。別のユーザもIPTVチャネルを閲覧できることを意味するのであれば、これらユーザは、帯域幅の使用、例えばビデオ・サービスについて進んで承認することができる。このような状況の一例は、複数IPTVセット・トップ・ボックスを有する家庭であろう。
【0028】
帯域幅は、ネットワーク・モニタによって取得することができる情報種別の一例であり、その情報はレコメンデーションを与えることに関係する。例えば、ネットワーク・モニタは、また、所与の時間枠においてゲートウェイを通じて流れたネットワーク・トラフィックの総量の経過を追うこともできる。例えば、コンテンツ・クライアント及び同一のゲートウェイに接続する他のコンテンツ・クライアントによって生じたネットワーク・トラフィック対して、通例、料金を支払う必要がある。例えば、ゲートウェイ及び/又はコンテンツ・クライアントの操作者は、時間枠当たり一定量のネットワーク・トラフィック、例えば1ヵ月につき5ギガバイト、の許容について申し込みを行うことになる。ネットワーク・モニタは、今までに現在の時間枠内で消費されたネットワーク・トラフィック量の経過を追うことができる。申し込みにより許容されたネットワーク・トラフィック量に近づいている場合、推奨器は多くのネットワーク・トラフィックを要求する大きなコンテンツ・アイテムに対してレコメンデーションをすることができる。このようにして、ある所定量のネットワーク・トラフィックより多いトラフィックに超過することを回避することができる。
【0029】
このシステムの別の利点は、メディア記述のリストがコンテンツ・サーバ自体を修正することを必要とせずに修正又は拡張することができるということである。
従って、このシステムは、ネットワーク内においてクライアントとは異なる位置で取得されたネットワーク情報に基づいて、クライアントにおける複数コンテンツ・バージョンのリストから、1つのコンテンツ・バージョンを選択することを改良する。
【0030】
コンテンツ配信システムは、ビデオ、音声並びにテキストのコンテンツ及びこれらのいかなる組み合わせも含む様々なコンテンツ種別を配布するために用いることができる。コンテンツは、また、例えばメニュー情報といったナビゲーション情報、及び/又は他のコンテンツ、タグ、著者情報等のようなメタ情報を含むことができ、このような情報は、データ構造の形態で構成することができる。コンテンツは、様々なフォーマット、例えば、MPEG4、MP3、HTML等とすることができる。このコンテンツは、おそらくは若干のバッファリングの後に、コンテンツ・クライアントに到達するように見えることを意図した、コンテンツ・ストリームとすることができる。
【0031】
コンテンツ・クライアントは、例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ、ネットブック等や、セット・トップ・ボックス、携帯電話、PDA等といったコンピュータを含むことができる。
【0032】
ゲートウェイは、他のネットワーク関連デバイス、例えば、ファイアウォール、ルータ等を含むことができる。一実施形態において、ゲートウェイは第1のネットワークを第2のネットワークと接続する。この第1ネットワーク及び第2ネットワークは、ゲートウェイ以外のデバイス又はネットワーク接続を共有することはない。その一方で、第1ネットワーク内のデバイスが、ゲートウェイを使用することなく第2ネットワーク内のデバイスと通信することがあり得る。例えば、複数ゲートウェイが、第1ネットワーク及び第2ネットワークの間にあるとすることができる。例えば、帯域外通信を用いることができる。
【0033】
コンテンツ・サーバについて、異なる目的のために異なるコンピュータを用いたコンテンツ・システムとすることができる。このコンテンツ・サーバは、コンテンツ・ファイルを配給するためのファイル・サーバを含むことができる。このコンテンツ・サーバは、セッション記述を要求するためのウェブサーバを含むことができる。このコンテンツ・サーバは、セッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するための管理サーバを含むことができる。
【0034】
第1ネットワークは、ホーム・ネットワークとすることができる。この第1ネットワークは、コンテンツ・クライアントからゲートウェイへの単一のネットワーク接続と同程度単純なものでもよい。その一方で、より大きいネットワーク内の複数コンテンツ・クライアントは、また、ゲートウェイ、例えば、複数ネットワーク・デバイスを備えるホーム・ネットワークと接続することも可能である。
【0035】
コンテンツ・クライアント及びゲートウェイは、第1のネットワークを通じて接続される。この第1ネットワークは、イーサネット・ネットワークとすることができる。この第1ネットワークは、無線ネットワーク、例えば、WiFiネットワークを含むことができる。ゲートウェイ及びコンテンツ・サーバは第2のネットワーク、例えば、企業イントラネット等を通じて接続される。
【0036】
第2ネットワークはインターネットを含むことができる。この第2ネットワークは、コア・ネットワーク、並びに複数ゲートウェイ及び複数の第1ネットワークをこのコア・ネットワークに接続するための私有アクセス・ネットワークを含むことができる。このコア・ネットワークは、インターネットを含むことができる。
【0037】
セッション記述及び/又はメディア記述は、RFC 4566に準拠することができる。例えば、セッション記述は、RFC 4566の第5節に準拠することができる。しかしながら、本発明のために、セッション記述及び/又はメディア記述という用語がRFC 4566において規定されているものに必ずしも限定されるわけではないことに留意されたい。例えば、メディア記述はURLとして実装することができ、セッション記述はそれらURLの複数をリストするHTMLページとして実装することができる。その場合、推奨器はマーキングされたHTMLページを生成する。セッション記述は、コンピュータ可読エンコーディング内に複数メディア記述を含んだデジタル・ファイルとすることができる。このコーディングには、例えばアスキー文字といった文字を用いることができる。これら文字は、また、人間による解釈にも適するものである。セッション記述は、Abstract Syntax NotationOne(ASN.1)又はExternal Data Representation(XDR)のようなバイナリ・エンコーディングを用いることもできる。バイナリ・エンコーディングは、人間が読み取りできる形態でレンダリングされる前に、解析ステップ及び/又は解釈ステップを必要とする。バイナリ・エンコーディングは、符号化がより短くなるという利点を有する。
【0038】
配信ネットワークは、コンテンツ・サーバからコンテンツ・クライアントまで送信されるセッション記述がまた、推奨器においても取得するように構成される。例えば、セッション記述をコンテンツ・サーバからコンテンツ・クライアントまで送信することは、セッション記述をコンテンツ・サーバからゲートウェイまで送信することを含むことができる。このことは、セッション記述を第2ネットワーク及び第1ネットワークを通じて送信することによって実施をすることができる。そのゲートウェイは、セッション記述がコンテンツ・クライアントに到達する前にそのセッション記述を遮断し、そのセッション記述を修正し、次いで、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信することができる。その結果、コンテンツ・サーバからコンテンツ・クライアントへのセッション記述の送信を完了する。
【0039】
一実施形態において、セッション記述は、第1ネットワーク及び第2ネットワークを通じて送信されるものの、他の何らかの方法でゲートウェイに到達する。例えば、コンテンツ・クライアントは、セッション記述をゲートウェイに明示的に転送することができる。次いで、コンテンツ・クライアントは、セッション記述を推奨器に転送することができる。
【0040】
コンテンツ・サーバは、要求に応答して、例えば、コンテンツ・クライアントからセッション記述を送信することができる。このコンテンツ・サーバは、また、このセッション記述を要求することなく、例えばコンテンツが使用可能であるアナウンスとして送信することができる。
【0041】
このネットワーク・モニタは、他のネットワーク・モニタリング・デバイス、特にファイアウォールと統合することができる。推奨器は、ゲートウェイ内に備えることができる。
【0042】
セッション記述をマーキングすることは、多数の方法で行うことができる。例えば、追加情報を、そこに収容されたどのメディア記述がマーキングするかについて示すセッション記述に、追加することができる。この追加情報は、セッション記述に連結し、又はセッション記述に挿入することができる。セッション記述及び追加情報は2つの異なるファイルに収容することができる。この2つの異なるファイルは、共にコンテンツ・クライアントへゲートウェイから送信される。このマーキングは、他の方法でセッション記述を修正することによって行うこともできる。例えば、セッション記述内のメディア記述の順序を修正することができ、特に、マーキング済みメディア記述をその順序で第1の位置に、例えばそのセッション記述のトップに、移すことができる。マーキング済みメディア記述の数は予め決められた数とすることができ、特に、1でも可変数としてもよい。一実施形態において、セッション記述内に2以上のメディア記述がある場合には、複数メディア記述の全てをマーキングすることは回避される。
【0043】
例えば、セッション記述は、使用すべき帯域幅の量を追加することによってマーキングすることができる。このことから、コンテンツ・クライアントは、追加した量を下回る必要とされる帯域幅を有するこれらのメディア記述がマーキングされることを推測することができる。
【0044】
この推奨器は、ネットワーク・モニタに接続して情報を受信することができる。例えば、この推奨器は、ネットワーク・モニタリングについてのデジタル・サマリを受信することができる。例えば、この推奨器は、現在使用可能な帯域幅の量のような数値を受信して、追加のコンテンツ・アイテムを第2ネットワークから第1ネットワークへ受信することができる。例えば、この推奨器は、例えば毎秒当たりのキロバイトといった現在使用可能なデータ量のような数値を受信して、追加のコンテンツ・アイテムを第2ネットワークから第1ネットワークへ受信することができる。リンクにおける使用可能な帯域幅とは、使用していないネットワーク容量のことである。
【0045】
その推奨器は、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに、例えば、ゲートウェイを介して送信するように構成される。このゲートウェイは、通例、マーキング済みセッション記述を送るために第1ネットワークを使用する。
【0046】
また、第1ネットワーク及び第2ネットワークを、コンテンツ・アイテムを送信及び受信するためだけに使用することもあり得る。セッション記述、セッション記述、マーキング済みセッション記述等についての要求といった制御データは、別個のネットワーク、直接通信、SMS使用、移動体電話のトラフィック、httpのwebトラフィック等といった別のチャネルを介して送信することができる。例えば、第1ネットワーク及び第2ネットワークは、コンテンツを受信するのに適したケーブル・ネットワークとすることができ、その一方で、この制御データの全部又は一部が通信のためにインターネットを用いる。
【0047】
コンテンツ・クライアントは、複数の方法によりマーキング済みセッション記述に対して反応することができる。レコメンデーション、例えば、マーキング済のメディア記述に従うことは、ユーザにとって、このコンテンツが所与の現在のネットワーク状況に適しているといったいくつかの保証を与える。
【0048】
1つの可能性として、コンテンツ・クライアントがマーキング済みメディア記述をレコメンデーションとして受け入れるが、さもなければ、そのレコメンデーションを無視し、マーキングされていないセッション記述内のメディア記述を選択することが自由であるということがある。例えば、コンテンツ・クライアントは、どの1つ又は複数のものがマーキングされるかの指標を含むメディア記述をユーザに表示することができる。ユーザは、リスクをとってマーキングされていないメディア記述を選択することができる。他の可能性としては、コンテンツ・クライアントが、例えば、選択メニューを通じて、常にマーキング済み記述(例えば、単一のマーキング済み記述)を使用するように構成されたということがある。このコンテンツ・クライアントは、マーキング済みメディア記述だけから、ユーザに選択を求めるように構成することもできる。
【0049】
一実施形態において、ネットワーク・モニタは、コンテンツ・アイテムを受信するためにネットワークにおいて使用可能な帯域幅の量を推定するための帯域幅推定器を備える。一実施形態において、ネットワーク・モニタは、コンテンツ・アイテムを受信するために第1ネットワーク及び第2ネットワークにおいて使用可能な帯域幅の量を推定するための帯域幅推定器を備える。
【0050】
第1ネットワーク内のコンテンツ・クライアントは、帯域幅の要求(demand)について第1ネットワークが第2ネットワークに対して行なったものであることを直接理解できない、ということが課題である。第1ネットワーク内に複数コンテンツ・クライアントがあるときに、この課題は特に深刻である。コンテンツ・クライアントは、同一の第1ネットワーク上で他のコンテンツ・クライアントから独立して帯域幅を消費することができるだけでなく、その帯域幅の消費が他のコンテンツ・クライアントに可視化されない方法で帯域幅を消費することができる。例えば、ホーム・ネットワークにおいては、複数ユーザが、それぞれから独立して動画を見ており、おそらく、これらユーザは、お互いの活動を分かってさえいない。ゲートウェイにおいては、コンテンツは第2ネットワークから第1ネットワーク内で受信され、第1ネットワークが第2ネットワークから求めている帯域幅の量に関する情報を取得することが可能である。何故ならば、この地点においては、複数コンテンツ・クライアントについてのセッションを受信している複数コンテンツが通過するからである。このゲートウェイは、ネットワーク・トラフィックが第2ネットワークから第1ネットワークに入るネットワーク内の唯一の地点となる場合には、このゲートウェイは、第1ネットワークが第2ネットワークに対して行われる要求についてより正確な評価(assessment)を行うことができる。
【0051】
この推定された使用可能帯域幅は、帯域幅に基づいて複数メディア記述からコンテンツについてレコメンデーションを行うために使用することができる。一実施形態において、複数メディア記述はそれぞれ複数要件を有しており、推奨器は、推定された使用可能帯を下回る帯域幅要件を有するメディア記述をマーキングするように構成される。このようにして、コンテンツ・クライアントは、どのコンテンツが、現在与えられたネットワーク状況に適しているかとみなされるかについて通知される。
【0052】
コンテンツ・クライアントがマーキング済みメディア記述を使用するように構成される場合、そのユーザは、コンテンツを見ることがネットワークの輻輳を引き起こさないという合理的な保証を有する。ネットワークの輻輳を引き起こすことは、望ましいことではない。第一に、ネットワークの輻輳は不快な視聴体験をさせることになる。何故ならば、パケットが欠落することがありえるからである。ネットワーク接続のレイテンシが高すぎる場合には、動画は、コンテンツをバッファリングするために、頻繁に遅延することになるかもしれない。ネットワークの輻輳を回避すべき他の理由もある。例えば他のコンテンツ・クライアントといったゲートウェイの他のユーザは、コンテンツを既に見ることができており、また、その輻輳により影響を受けるからである。公知のシステムにおいては、コンテンツ・クライアントのユーザは、彼の家庭の他のメンバを考慮にすることはできない。何故ならば、彼は彼らの帯域幅の消費に関する情報を有さないからである。他の人が見ているものを知ることがなく、彼は高い解像度のコンテンツのダウンロードを無関係に開始するかもしれない。これにより、第1ネットワーク内の他人の視聴体験を損ねる。尚、この公知のシステムにおいては、ユーザが他のユーザを考慮に入れたいと望む場合であっても、彼はそうすることができない。しかしながら、本発明による配信システムを用いることで、彼が推薦器のレコメンデーションとは相違しているときに、彼は、彼自身についてだけでなく、同一のネットワーク上の他人自身についても悪い視聴体験を敢行するということを、彼は少なくとも分かっている。
【0053】
上述したとおり、コンテンツ・クライアントは、マーキングされていないメディア記述を使用するように構成することができる。そのコンテンツ・クライアントは、マーキング済みメディア記述をデフォルトで使用するように構成することもできる。
【0054】
推奨器は、他のユーザが特定の帯域幅量より多く使用しているとネットワーク・モニタから情報を受信するときに、より保守的にマーキングするように構成することができる。この情報は、他のユーザがコンテンツを見ていることを示すことができる。この場合、ネットワークの輻輳は、2以上のコンテンツ・クライアントに影響を及ぼす。より保守的にマーキングすることは、マーキング用のメディア記述を選択するために、あるパーセンテージ、例えば10%、の使用可能帯域幅の量を減らすことによって、行うことができる。
【0055】
この使用可能な帯域幅は、異なる方法で取得することができる。例えば、一実施形態においては、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックは、最大帯域幅、例えばその容量に限られる。帯域幅の推定器は、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックの現在の帯域幅を決定するためのネットワーク帯域幅決定器を備える。この帯域推定器は、現在の帯域幅を最大帯域幅から減算することによって、使用可能帯域幅の量を推定するように構成される。
【0056】
例えばエッジルータのようなルータは、また、トラフィック・シェーピングを用いた特定のゲートウェイのために使うことができる帯域幅の量を制限することもできる。第2のネットワークについての実際の容量がより大きくすることができるが、実際上、最大帯域幅は制限される。
【0057】
この帯域幅推定器は、最大帯域幅と共に構成することができる。その数値は、ネットワーク運用業者、例えば第2ネットワークの運用業者から取得することができる。最大帯域幅は、ネットワーク・トラフィックの最大量に関係し、その最大量であれば、例えば、最適な状況、又は、平均的な状況といった特定の状況においてゲートウェイを通過することができる。その最大帯域幅は、想定される現在のネットワーク・トラフィックから独立した数である。最大帯域幅は、現在使用される帯域幅をモニタリングして、また、特定の期間に生じた最大の現在使用される帯域幅についての経過を追うことによって、取得することができる。この期間は、例えば経過した月とすることができる。また、この期間は無制限のものとすることもできる。
【0058】
一実施形態において、ネットワーク・モニタは、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて通過する累算されたネットワーク・トラフィックを測定するように構成される。
【0059】
特定の時間枠、即ち、月ごとにゲートウェイを通じて通過するネットワーク・トラフィックの総量につて経過を追うことによって、推奨器はこの総量に基づきレコメンデーションを行うことができる。累算されたネットワーク・トラフィックは第2ネットワークから第1ネットワークに進行する、若しくはその逆の、又はその両方とものネットワーク・トラフィックのみを含むことができる。このようにして、申し込みにおいて同意した量を超えることを回避することができる。いくつかのプロバイダは、フェアユース・ポリシを有しており、ネットワーク・トラフィックの量をいくらか超えるユーザに対してペナルティを課す。推奨器は、コンテンツを推奨することができ、累算ネットワーク・トラフィックの総量を予め規定された量以下にとどめることができる。
【0060】
例えば、累算ネットワーク・トラフィック、例えば、第2ネットワークから第1ネットワークによって要求されるバイト数量がある所定の数以下である場合、推奨器は高解像度ビデオを推奨することができる。しかしながら、累算ネットワーク・トラフィックが所定の数と等しいか、又は、それを以上の場合、その推奨器は標準的な解像度のビデオを推奨することができる。このようにして、推奨器は、ビデオの品質を総バイト数から残っているバイト数に適合するのを助ける。総バイト数は、いくらかのコストを発生させることなく要求される。予め定められた数は、総バイト数についてのパーセンテージ、例えば75%、として選択することができる。
【0061】
一実施形態において、推奨器は、ネットワーク・モニタに従って、1又はそれ以上の複数メディア記述をセッション記述から削除し、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される。
【0062】
メディア記述を削除することによって、ゲートウェイは、コンテンツ・クライアントがその選択肢を選択できないことを強制することができる。例えば、そのゲートウェイが現在使用可能な帯域幅がメディア記述の必要とされる帯域幅に対して不十分であると判定することができるとき、ゲートウェイはそのメディア記述を削除することができる。例えば、そのゲートウェイは、使用可能帯域幅と定数の積が特定のメディア記述の必要とされる帯域幅より小さいとき、その特定のメディア記述を削除することができる。例えば、ユーザが若干のネットワークの輻輳に耐える準備がされている場合には、その定数は1を超え、例えば1.1としてもよい。その定数が1を超える場合、削除されたそれらのメディア記述だけがネットワークの輻輳を引き起こすことを保証する。例えば、その定数は、1より小さく、例えば0.9でもよく、コンテンツ・クライアントがネットワークの輻輳を生じさせるかもしれないコンテンツ・アイテムを選択することを回避する。彼がマーキング済のセッション記述に収容されるレコメンデーションにならいたいかどうかは、ユーザに委ねることもできる。
【0063】
メディア記述を削除することは、また、コンテンツ・フィルタリングのために使用することができる。例えば、メディア記述は、不法なデータ(material)を配信したかを知る、又は権利保有者から適切に認可されていないデータを配信するコンテンツ・サーバを参照して、フィルタリング、即ち推奨器による削除をすることができる。
【0064】
一実施形態において、コンテンツ配信システムは、第2ネットワーク内にルータ、特にエッジルータを備える。ゲートウェイは、エッジルータを通じてコンテンツ・サーバに接続している。ゲートウェイとエッジルータとの間のネットワーク接続は、コンテンツ・クライアントとゲートウェイとの間にネットワーク接続のネットワーク容量よりも低いネットワーク容量を有する。
【0065】
第2のネットワークが、1又はそれ以上のボトルネック、即ち、第1ネットワークより低い容量を有するネットワーク接続を含むことは、珍しいことではない。そのようなボトルネックが、ゲートウェイの直後の接続となることがしばしばある。そのゲートウェイがこの接続に接続しているので、そのゲートウェイはこの接続に対し到達可能な帯域幅について良いビューを有している。このボトルネックは、第1のネットワークにおいて異なる位置にある、例えば、ゲートウェイの直前にあるとすることもできる。
【0066】
一実施形態において、少なくとも一つの更なるコンテンツ・クライアントは、第1ネットワークを通じてゲートウェイに接続される。
ネットワークをモニタリングするデバイス及びこのモニタリングに基づいてレコメンデーションを行う推奨器を有することは、第1ネットワーク上のコンテンツ・クライアント数から独立するという点で有利である。しかしながら、ネットワーク上に複数コンテンツ・クライアントがある場合、第1ネットワークによる第2ネットワーク内で生じるネットワーク・トラフィックの総量の概算又は消費された現在の帯域幅を有するのはゲートウェイだけである。よって、ゲートウェイから取得される情報は、ネットワーク状況を正確に反映したものになり得る。この情報を使用することで、より正確なレコメンデーションを行うことができる。
【0067】
一実施形態において、帯域幅推定器は、使用可能な帯域幅について推定される量の変更を決定するために構成される。そして、推奨器は、推定された使用可能帯域幅についての変更された量に基づいて、更新されたマーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成される更新器を備える。
【0068】
コンテンツを見始める第1のユーザは、第2のユーザの前に、推奨器から豊富な(liberal)レコメンデーションを受信することができる。何故ならば、使用可能な帯域幅の量が大きいからである。この第2ユーザはずっと保守的なレコメンデーションを得ることができる。何故ならば、第1ユーザが既に重大な量の帯域幅を消費しているからである。この状態では、更新器は、アップデートを第1ユーザに送信して、彼がより少ない帯域幅を用いて異なるメディア記述へ切り替えるよう推奨する。更新されたマーキング済みセッション記述を使用することにより、既に動画を見ているユーザに新しいユーザについて考慮させ、より公正に帯域幅を共有させることを可能にする。
【0069】
本発明の更なる態様は、コンテンツ配信システムにおいて使用されるゲートウェイに関するものであり、当該システムは、コンテンツ・クライアント、ゲートウェイ及びコンテンツ・サーバを備えており、当該ゲートウェイが、第1のネットワークを通じてコンテンツ・クライアントに接続可能であり、また第2のネットワークを通じてコンテンツ・サーバに接続可能であり、当該ゲートウェイが、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするネットワーク・モニタを備えており、当該ゲートウェイが、複数メディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・サーバから受信するための受信器を備えており、複数メディア記述のそれぞれが接続情報を含み、コンテンツ・クライアントがコンテンツ・アイテムを第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じて受信することを可能にし、本システムが、ネットワーク・モニタに従って、セッション記述内の1又はそれ以上の複数のメディア記述をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器を備え、この推奨器が、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成される。
【0070】
本発明の更なる態様は、コンテンツ・アイテムを受信するためにネットワークで使用可能な帯域幅の量を推定するための帯域幅推定器に関するものである。
本発明の更なる態様は、コンテンツを配信する方法に関するものであり、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするステップ、1又はそれ以上のメディア記述を含むセッション記述を受信するステップであって、当該1またはそれ以上のメディア記述の各々が、接続情報を含み、コンテンツ・クライアントが第1ネットワーク及び第2を介して、並びにゲートウェイを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にするステップ、モニタリングされたネットワーク・トラフィックに従って、セッション記述内の複数のメディア記述のうちの1又はそれ以上をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するステップ、及びマーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するステップを含む。
【0071】
本方法は、ゲートウェイにおいて使用することができる。
本発明による方法は、コンピュータで実装する方法としてコンピュータ上で、若しくは専用ハードウェア内で、又はこれらの組み合わせにおいて実施することができる。本発明による方法のための実行可能コードは、コンピュータ・プログラム製品に格納することができる。コンピュータ・プログラム製品の例示としては、メモリデバイス、光記憶デバイス、集積回路、サーバ、オンライン・ソフトウェア等を含む。
【0072】
好ましい実施形態において、コンピュータ・プログラムはコンピュータ・プログラム・コード手段を含み、コンピュータ・プログラムがコンピュータ上でランするときに、本発明による方法のすべてのステップを実行するように適合される。好ましくは、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ可読媒体に組み込まれる。
【0073】
コンテンツ配信システムは、ネットワークを通じて接続されるコンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバを備える。そのコンテンツ・サーバは、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信して、ネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にするように構成される。このシステムは、このネットワークを進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタを備え、また、このネットワーク・モニタに従って、セッション記述内の1又はそれ以上のメディア記述をマーキングし、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器を備える。このマーキング済みメディア記述は、現在のネットワーク状態からみて他を上回る特定のコンテンツを選ぶことをコンテンツ・クライアントに推奨する。例えば、使用可能帯域幅が低い場合、低い帯域幅を必要とするコンテンツが推奨される。これにより、ネットワークの輻輳は、本システムのすべてのユーザに対して回避される。
【0074】
完全を期すために、「無線ハンドセット・アクセス技術に対してメディア・コンテンツをストリーミングするための伝送モードを選択する方法及びシステム」(Method and system for selecting transmission modes for streaming media content to a wireless handset access technology)と称される米国特許第7593686号について、これが無線ハンドセット及びメディア・サーバを備えた公知のシステムを開示していることに言及する。このハンドセットは、メディア・サーバに接続してストリーミング・メディアコンテンツを受信することができる。この無線ハンドセットは、メディア・サーバに無線ハンドセットの呈示(presentation)能力についての1又はそれ以上の指標を送信することができる。これに応答して、メディア・サーバは、メディア・コンテンツ及び伝送モードのリストを無線ハンドセットに送信することができる。そして、このメディア・コンテンツ及び伝送モードのリストは、少なくとも部分的に、無線ハンドセットの呈示能力に基づいて調整する(tailor)ことができる。リアルタイム・メディア・コンテンツは異なる伝送モードで無線ハンドセットにストリーミングされることができる。異なる伝送モードのそれぞれは帯域幅の異なるレベルを消費することができる。
【0075】
無線ハンドセットのユーザは、次いで、メディア・コンテンツのリストから選択することができ、そして、メディア・サーバは、選択された伝送モードを用いて無線ハンドセットにメディア・コンテンツをストリーミングすることができる。提案する本発明は、ユーザにリストから選択させるだけではなく、彼に推奨した選択肢を与える。この選択肢は、ハンドセットによってハイライトした形態で表示することができ、これによりユーザ体験を改善する。ハイライトすることについて、例えば、対照的な色、異なるフォント、アンダーライン等で表示するといった数多くのやり方で行うことができる。
【0076】
公知のシステムは、無線ハンドセットとメディア・サーバとの間にあるゲートウェイを含むものではない。ネットワークを通じて接続される2つの地点の間の中間ポイントは、エンド・ポイントのいずれか1つ、例えば、無線ハンドセット及びメディア・サーバに比べて、より良いネットワーク・ビューを提供する。メディア・サーバがモバイル・ハンドセットへの提供を調整する(tailor)にもかかわらず、これを行うのは、ネットワーク内の異なる場所に位置する異なるエンティティからの情報に基づくのではなく、無線ハンドセットから受信する情報に基づく。尚、調整(tailoring)は、ネットワーク内の他のいかなる位置でもなく、メディア・サーバにおいて行われることに留意されたい。
【0077】
公知のシステムは、動的に変化することができる現在使用可能な帯域幅を考慮するのではなく、静的な最大帯域幅だけを考慮する。
SDPは、セッション記述フォーマットのみ以外の交渉をサポートしない。SDPセッションは、クライアントが選択できるサーバによって提供される複数選択肢を収容することができる。例えば、そのサーバは、複数の異なるオーディオ・フォーマット及び/又は異なる圧縮率でオーディオを提供する。セッション記述を受信したクライアントは、次いで、彼がサポートするフォーマットを選択することができる。この選択は、例えば、RTSPセットアップ・メッセージによって提供することができる。
【0078】
完全を期すために、RFC 3264「セッション記述プロトコルを有する申し出/回答のモデル」(An Offer/Answer Model with the Session Description Protocol)がセッション記述プロトコル(SDP: Session Description Protocol)を用いることに言及する。そのモデルでは、1の参加者が相手(the other)に対して、所望のセッションの記述をそのビューから供給すると、相手の参加者は、そのビューから所望のセッションと共に回答して、両者間の複数セッションについての共通ビューが到達する。このモデルは、クライアント及びサーバが必要とされる情報の全てを有する場合に機能して、現在の最良の選択肢であるメディア記述に関して通知された決定を行う。特に、RFC 3264では、コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバとは異なるネットワーク内の第3のエンティティを使用せずに、ネットワーク・モニタ又は推奨器といったクライアント及びサーバには知られていない追加情報にアクセスして、メディア記述の1つを推奨する。
【0079】
本発明について、例示により、及び添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明によるコンテンツ配信システムの第1の実施形態について説明するブロック図である、
【図2】図2は、本発明により可能となるメッセージの交換について説明するシーケンス図である。
【図3a】図3aは、セッション記述の一例を示す。
【図3b】図3bは、マーキング済みセッション記述の一例を示す。
【図4】図4は、本発明による方法を説明しているフローチャートである。
【0081】
これら図の全体にわたり、類似又は対応する特徴は、同一参照番号によって示している。
参照番号のリスト
100 コンテンツ配信システム
112 第1のコンテンツ・クライアント
114 第2のコンテンツ・クライアント
116 第1のネットワーク接続
120 ゲートウェイ
130 ネットワーク・モニタ
135 更新器
140 推薦器
145 推薦器の接続
152 第2のネットワーク接続
154 エッジルータ
155 サーバ接続
150 コンテンツ・サーバ
210 第1要求の送信
220 第1のセッション記述の送信
230 第1のマーキング済みセッション記述の送信
240 第2の要求の送信
250 第2のセッション記述の送信
260 更新されたセッション記述の送信
270 第2のマーキング済みセッション記述の送信
300 セッション記述
310 第1のメディア記述
320 第2のメディア記述
325 帯域幅のレコメンデーション
350 マーキング済みセッション記述
400 コンテンツ配信の方法
410 第1のネットワークと第2のネットワークの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックのモニタリング
420 複数メディア記述を含むセッション記述の受信。複数メディア記述のそれぞれ1つは、コンテンツ・クライアントがコンテンツ・アイテムを第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じて受信することを可能にするための接続情報を備える。
430 モニタリングされるネットワーク・トラフィックに従って、セッション記述内の複数のメディア記述のうちの1又はそれ以上をマーキングしてマーキング済みセッション記述を取得
440 マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信
450 マーキング済みメディア記述に対応するコンテンツ・アイテムを第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じて受信
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明は、多くの異なった形態における実施形態の影響を受けやすい一方で、本開示は、本発明の原理原則を例示するに過ぎない。本発明が図面に示され、及び明細書に記載された特定の実施形態に限定することを意図していないとみなされるべきであり、その理解と共に、図面に示され、また、明細書に詳細に説明される1又はそれ以上の特定の実施形態が存在するものである。
【0083】
図1は、本発明のコンテンツ配信システム100をブロック図と共に説明するものである。コンテンツ配信システム100は、複数コンテンツ・クライアントを備え、第1のコンテンツ・クライアント112及び第2のコンテンツ・クライアント114を示している。本システムは、また、単一のコンテンツ・クライアントのみで使用することもできる。コンテンツ配信システム100は、ゲートウェイ120及びコンテンツ・サーバ150を備える。コンテンツ・クライアントは、ゲートウェイ120を有する第1のデジタル・ネットワークを通じて接続される。この第1ネットワークにおけるネットワーク接続のうち1つが示されている。即ち、第1のコンテンツ・クライアント112をゲートウェイ120と接続する第1のネットワーク接続116である。ネットワークは、多数のネットワーク・アーキテクチャで、複数接続を含むことができる。コンテンツ・サーバ150は、第2のネットワークを通じてゲートウェイ120と接続される。この第2ネットワークは、通例、第1ネットワークより大規模なものである。
【0084】
第1ネットワーク及び/又は第2ネットワークは、通例、ベスト・エフォートのネットワークであり、例えば特定のサービス品質(QoS)のレベルといったデータ・パケットのデリバリに関する保証は如何なるものも提供しない。通例は、すべてのコンテンツ・クライアントは同一のベスト・エフォートのサービスを取得し、そして、スループット、パケット・ロス及び高レイテンシといったネットワークの課題は主にネットワーク負荷によって判断される。第1ネットワーク及び/又は第2ネットワークは、インターネット・プロトコル(IP)に基づくものとすることができる。
【0085】
オプションとして、第2ネットワークは、エッジルータ154を含む。エッジルータは、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)が運用することができる。図1は、ゲートウェイ120からエッジルータ154までの第2のネットワーク接続152、及びエッジルータ154からコンテンツ・サーバ150までのサーバ接続155を示している。ここに示される接続には、複数接続、ルータ等が含まれる。第2ネットワークには、複数のサーバ、ルータ、クライアント等が含まれる。エッジルータ154とコンテンツ・サーバ150との間のネットワークは、エッジ・ネットワーク又はコア・ネットワークと称することもある。
【0086】
ゲートウェイ120とエッジルータ154との間のネットワークは、アクセス・ネットワークとすることができ、第1ネットワーク、即ちホーム・ネットワークをエッジ・ネットワークを接続するネットワークとすることができる。このアクセス・ネットワークは、しばしば制限された容量を有しており、例えば、最大帯域幅に制限される。典型的な例は、12Mbit/sの容量を有するDSL接続である。この容量は、エッジ・ネットワークのビデオ・サーバからホーム・ネットワークのビデオ・クライアントまでの例えば8Mbit/sの1つのIPTVストリームについて配布を可能にする。
【0087】
第2のネットワーク接続152は、通例、第1ネットワーク接続116及び/又はサーバ接続155よりも低い帯域幅を有する。通例、コンテンツ・クライアントがコンテンツ・サーバ150からコンテンツを受信すると、次いで、最大スループットや最大帯域幅は、第2ネットワーク接続152の最大帯域幅によって制限される。ネットワーク、即ち、第1ネットワーク及び/又は第2ネットワークは、更なる又は他のボトルネックを備えるかもしれない。第2ネットワーク接続152は、アクセス・リンクとも称される。
【0088】
同一の第1ネットワーク内に位置する複数ユーザは、同時に異なるIPTVストリームを見たくなることもある。アクセス・リンクの容量は、複数の同時並列のビデオ・サービスをサポートするには、あまりに小さいかもしれない。例えば、2つのコンテンツ・クライアントに対する12メガビットのアクセス・リンクの介した2つの8Mbit/sのビデオ・ストリームの配信は、これらのストリームの再生における課題へと繋がることになろう。この場合、コンテンツ・クライアントは共に、劣悪なビデオ・ストリームを受信することになる。
【0089】
エッジルータ154における第2ネットワークからのネットワーク負荷が第2ネットワーク接続152の容量を超過して増加する場合、エッジルータ154は、通例ネットワーク・パケットを欠落する。このことは、第2ネットワーク接続152を介して進行するいかなるビデオ・ストリームの劣悪化にもつながる。そして、双方のユーザにとって品質が劣化するという結果になる。
【0090】
ゲートウェイ120は、第1ネットワークと第2ネットワークとの間に進行しているネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタ130を備える。ネットワーク・モニタ130は、第1ネットワーク内に、例えば第2のネットワークから進行するネットワーク・トラフィックのモニタリングに制限することができる。大概の状況では、このことが良好な結果をもたらす。何故ならば、通例、帯域幅の課題があるときには、第2ネットワークは、第1ネットワークに向けてあまりに多くのトラフィックを生成していることにより、その課題が生じているからである。モニタ130は、代替的には、第1ネットワークから出ていくネットワーク・トラフィックをモニタリングすることができる。モニタ130は、ゲートウェイを通じて進行するすべてのトラフィックをモニタリングすることができる。
【0091】
コンテンツ配信システム100は、更に、推奨器140を備える。この推奨器は、推奨器の接続145を介してネットワーク・モニタ130から情報を受信するように構成される。推奨器140は、ネットワーク内の様々な場所、例えば、ゲートウェイ120、コンテンツ・サーバ150、又はコンテンツ・クライアント内に位置することができる。
【0092】
コンテンツ配信システム100の使用について、図2に示されるシーケンス図を用いて説明する。図2では、図の一番上から一番下へ進むように示される。第2コンテンツ・クライアント114が、最初に、コンテンツ・サーバ150からコンテンツを要求して、第2ネットワーク接続152を使用すると想定する。第2コンテンツ・クライアント114は、第1の要求210をコンテンツ・サーバ150に送信する。コンテンツ・サーバ150は、第1のセッション記述220を送ることによって応答する。この第1セッション記述がネットワークを通過するにつれ、この第1セッション記述は最終的にはゲートウェイに到達する。ネットワークは、この地点において大部分がアイドル状態であるため、推奨器140は第1のセッション記述に収容される最高品質のメディア記述を推奨することができる。ゲートウェイ120は、第1のマーキング済みセッション記述230を第2のコンテンツ・クライアント114に送信する。第2のコンテンツ・クライアント114は、おそらく、第1のネットワーク内の1又はそれ以上の他のコンテンツ・クライアンに続いて、コンテンツ・サーバ150のようなコンテンツ・サーバ(図2には示されておらず)からコンテンツの受信を開始する。これらのコンテンツを受信しているセッションは、第2のネットワーク接続152の帯域幅容量の一部を消費する。例えば、第2のコンテンツ・クライアント114のユーザは、第2のコンテンツ・クライアント114、例えば、PC上で高解像度(HD;High Definition)のIPTVのストリームを見ていることができる。そのコンテンツは、ゲートウェイ120を通じて第1ネットワーク内で受信される。受信したコンテンツによって生じるネットワーク・トラフィックは、ネットワーク・モニタ130によってモニタリングされる。例えば、ネットワーク・モニタ130は、1秒当たりに第1ネットワーク内に流入するビット数、即ち、現在の使用された帯域幅を計数する。ネットワーク・モニタ130は、また、最も高い最大使用された帯域幅の経過を追うことができ、その帯域幅は、前月に生じたもの、又は、例えば、移動平均計算や、ある他の計算に用いたこれまでのものとすることができる。この最も高い最大使用される帯域幅を、最大帯域幅、即ち、特に接続152についてのネットワーク容量の推定として使用することができる。次いで、第1ネットワークと第2ネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行することができるネットワーク・トラフィックが最大帯域幅に制限されると想定することができる。
【0093】
ネットワーク・モニタ130は、現在使用された帯域幅を最大帯域幅から減算することで現在の使用可能な帯域幅を決定することができる。推奨器140は、現在の使用可能な帯域幅を、推奨器の接続145を介してネットワーク・モニタ130から受信する。あるいは、推奨器140は、また、現在使用された帯域幅及び最大帯域幅を受信し、この情報から現在の使用可能な帯域幅を算出することもできる。
【0094】
ある地点において、コンテンツ・サーバ150は、第1のコンテンツ・クライアント112に第2のセッション記述250を送信する。この第2セッション記述は、ゲートウェイ120において遮断される。コンテンツ・サーバ150は、要求によってトリガされて、第2のセッション記述を送信する。当該要求は、第1のコンテンツ・クライアント112から、例えばネットワークを介してすでに受信されたものである。例えば、第1のコンテンツ・クライアント112は、すでに2回目の要求240をコンテンツ・サーバ150に送信済みである。例えば、第1コンテンツ・クライアント112のユーザが、例えばEPGを通じて、第1コンテンツ・クライアント112、例えばセット・トップ・ボックス(STB)用の動画を選択する。第1のコンテンツ・クライアント112は、そのコンテンツの記述についてコンテンツ・サーバ150に問い合わせる。そのコンテンツ・サーバは、少なくともセッション記述メッセージ、例えばRFC 4566のセッション記述プロトコル(SDP;Session Description Protocol)メッセージを用いて返答する。
【0095】
SDPメッセージは、そのセッションについてのメタ・データ、例えば、著者、題名、連絡先情報等を提供することができる。このSDPメッセージは、異なるメディア・フォーマットを提供することができ、選択されたコンテンツ・アイテムが、例えば、転送プロトコル、ビデオ・フォーマット、オーディオ・フォーマット等でデリバすることができる。例えば、SDPメッセージは、マルチ・レイヤのSVCストリーム、即ち5レイヤのSVCストリームを示す記述を収容することができる(下記参照)。
【0096】
セッション記述メッセージは、さまざまなフォーマット、例えばプレーンテキスト、xml、又はSDPフィーマットで供給することができ、また、コンテンツ・サーバ150から第1のコンテンツ・クライアント112にいくつかの方法、例えば、RTSPプロトコル、SIP、HTTP、SAPアナウンスメント等を用いて送信することができる。
【0097】
コンテンツ・サーバ150は、また、例えば、新しい又は更新されたコンテンツの可用性についてアナウンスするコンテンツ・クライアントからの要求がなくても、それ自身の合意によるセッション記述を第1のコンテンツ・クライアント112に送信することができる。この場合、第2の要求240を送信することはできない。セッション記述は、コンテンツ・サーバ150によって、複数コンテンツ・クライアント、例えばゲートウェイ120に接続されたコンテンツ・クライアントにブロードキャストすることができる。
【0098】
コンテンツ・サーバ150から送信されるセッション記述は、サーバ接続155を介してエッジルータ154に、そして、そこから第2のネットワーク接続152を介してゲートウェイ120に送信される。ゲートウェイ120は、例えば、ディープ・パケット検査(deep packet inspection)を用いて、セッション記述を遮断する。ゲートウェイ120は、遮断したセッション記述を、推奨器の接続145を介して推奨器140に送信する。
【0099】
推奨器140は、コンテンツ・サーバ150から受信したセッション記述を検査する。推奨器140は、セッション記述に埋め込まれるメディア記述を決定する。推奨器140は、また、メディア記述ごとにどの帯域幅が必要とされるか決定することを試みる。必要とされる帯域幅は、セッション記述に含むことができる。必要となる帯域幅は、また、意図されたコンテンツの使用に基づいて決定することもできる。例えば、解像度、毎秒当たりのフレーム、カラー階調等といったコンテンツの属性から、帯域幅要件を、決定し、又は推定することもできる。推奨器140がメディア記述についての必要とされる帯域幅を確立することに失敗する場合、推奨器140はそれを無視することができ、それをマーキングしないとすることができ、又はセッション記述からメディア記述を削除することができる。
【0100】
帯域幅の要件は、また、受信したコンテンツの履歴に基づいて決定されることもできる。例えば、その推奨器は、コンテンツ・クライアントが使用した受信したメディア記述の履歴を格納することができる。その推奨器は、更に、メディア記述が必要とした帯域幅の量を格納する。必要となる帯域幅が、受信したメディア記述のために必要とされるとき、格納されたメディア記述に等しいかを推奨器によって決定することができる。そして、その場合には、格納された使用した帯域幅の量が、現在受信したメディア記述の要件についての推定として使用することができる。
【0101】
メディア記述ごとに、ネットワーク・モニタ130は、ネットワークが、ネットワークの輻輳を生じさせることなく、コンテンツをコンテンツ・サーバ150から第1コンテンツ・クライアント112に第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して送信できる場合には、現在必要となる帯域幅及び使用可能な帯域幅から決定することができる。即ち、ネットワーク・モニタ130は必要とされる帯域幅が使用可能な帯域幅より少ないかどうかを検証する。ネットワーク・モニタ130は、また、安全性のマージンを考慮することもできる。例えば、必要となる帯域幅が、使用可能帯域幅と、ある数、例えば0.9との積より小さいと検証することによる。
【0102】
推奨器140は、マーキング・スキームに従ってセッション記述内のメディア記述をマーキングする。例えば、推奨器140は、必要となる帯域幅が現在の使用可能な帯域幅を下回るいかなるメディア記述もマーキングすることができる。例えば、推奨器140は、1つのメディア記述のみを、即ち、最も高い帯域幅要件を有するが、その帯域幅の要件が現在使用可能な帯域幅を下回るメディア記述をマーキングすることができる。メディア記述のいずれもが現在の使用可能な帯域幅を下回る帯域幅要件を有さない場合、推奨器140は、メディア記述、又はその代わりの最も低い帯域幅要件を有するメディア記述のいずれをもマーキングすることができない。多くの代替のマーキング・スキームが考えられる。
【0103】
ゲートウェイ120は、セッション記述内の推奨されたメディア記述を推奨器140から受信することができる。従って、その推奨されたセッション記述をマーキングすることができる。更に、第1ネットワークを通じてそれを第1コンテンツ・クライアント112に送信することができる。
【0104】
ゲートウェイ120は、推奨器140からマーキング済みセッション記述を受信することができる。ゲートウェイ120は、第1ネットワークを通じて第1コンテンツ・クライアント112にそれを送信する。あるいは、マーキング済みセッション記述は、ゲートウェイを使用することなく、推奨器によってクライアントに送信される。
【0105】
推奨器140は、例えばアクセス・ネットワーク・トラフィック及びアクセス・リンク容量をモニタリングして、どのようなビデオ・サービスをサポートすることができるかについて決定するために、ネットワーク・モニタ130を使用する。ネットワーク・モニタ130は、暗示的(implicitly)に動作することができ、例えば強制的であるかトランスペアレントなネットワーク・モニタ130として動作し、すべてのセッション確立に関係する情報をネットワーク・モニタ130は通過させる。ネットワーク・モニタ130は、明示的に動作することができ、例えばコンテンツ・クライアントがネットワーク・モニタ130を介してコンテンツ・サーバ150に接続する。セッション情報がネットワーク・モニタ130を通過するので、そのネットワーク・モニタ130はすべての現在のセッションを維持することができ、これにより異なるセッションの帯域幅使用について経過を追うことができる。
【0106】
そのネットワーク・モニタは、必ずしもそうであるというわけではないが、ゲートウェイ内に備えることができる。そのネットワーク・モニタは、ゲートウェイからネットワーク情報を受信することができる。
【0107】
推奨器140は、セッション記述を分析して、セッション及びセッション構造、例えば各々のレイヤをどのようにデリバするかについて、帯域幅要件を決定する。推奨器140は、使用すべきである帯域幅の量に関して、レコメンデーションをセッション記述に追加することができる。
【0108】
使用すべきである帯域幅の量に関するレコメンデーション、即ちセッション記述のマーキングは、いくつかの形態とすることができる。例えば、1又はそれ以上のメディア記述は、参照をマーキング済みメディア記述に追加することによって、直接マーキングすることができる。セッション記述のマーキングは、また、推奨される帯域幅の量、例えば使用可能な帯域幅の量をセッション記述に追加し、推奨されるSVCビデオ・レイヤのサブセットを追加することを含む。セッション記述が複数のオーディオ・コーデック及び/又はビデオ・コーデックのコンテンツを提供するときは、次いで、メディア記述は、推奨されたビデオ・コーデック及び/又はオーディオ・コーデックを参照することによってマーキングすることができる。ビデオが低い/中程度/高い設定で供給されるときは、次いで、メディア記述は、予め設定された推奨されたビデオを参照することによって、マーキングすることができる。
【0109】
ゲートウェイ120は、第2のマーキング済みセッション記述270を第1のコンテンツ・クライアント112に送信する。第1のコンテンツ・クライアント112がマーキング済みセッション記述を受信した後には、彼は推奨器140からレコメンデーションに従う選択肢を有する。第1のコンテンツ・クライアント112が推奨器140からのレコメンデーションに従う場合には、マーキング済みメディア記述を見ることにより、追加的なネットワーク・トラフィックがネットワークの輻輳、例えば、第2のネットワーク接続152上のネットワークの輻輳を引き起こすことはないということが合理的に予期される。
【0110】
推奨器140は、第1ネットワーク上の別個のコンテンツ・クライアントが多くの帯域幅を使用していると判断した場合、即ち第1コンテンツ・クライアント112が合理的な品質のコンテンツをネットワークの輻輳を生じさせることなく取得することを第2クライアント114が妨げている場合には、推奨器140は、第2コンテンツ・クライアントに更新されたマーキング済みセッション記述260を送信することができる。例えば、推奨器140は、オプションとして、更新器135を備えることができ、例えば増加といった第1ネットワークからの要求により、又は第2ネットワークからの供給の変更により、変更される帯域幅状況が、アップデートを送信する価値があるかを決定する。更新されたマーキング済みセッション記述は、異なる使用可能な帯域幅に適合した新規なレコメンデーションを与える。第2コンテンツ・クライアント114がレコメンデーションに従う場合、第1コンテンツ・クライアント112及び第2コンテンツ・クライアント114は共に合理的な品質のコンテンツを見ることが可能になる。
【0111】
同様に、例えば、いくつかのコンテンツ・クライアントがコンテンツを見るのを止めるために、使用可能な帯域幅が増加するときには、次いで、推奨器140は、更新されたマーキング済みセッション記述を送信することができ、クライアントがネットワークの輻輳を引き起こす追加リスクのない要求されたより高い帯域幅を有するコンテンツに切り替えることができることを示す。第1のコンテンツ・クライアント112及び/又は第2のコンテンツ・クライアント114は、更新されたマーキング済みセッション記述に自動的に従うように構成することができる。
【0112】
更新されたマーキング済みセッション記述は、スケーラブル・ビデオ・コーディング(更に後述するSVC)と結合されるときに有利である。SVCは、再生上の問題なく、ビデオ・サービスの上品な格下げ、又はビデオ・サービスの改良を許容して、強化レイヤの動的なデリバリを可能する。SVCでエンコードされたコンテンツを見るクライアントは、再生上の不具合を体験することなく、異なる多くのレイヤを用いたメディア記述に切り替えることができる。
【0113】
メディア記述を削除する可能性を有する更新されたマーキング済みセッション記述を、帯域幅要件と結合することは有利である。コンテンツ・クライアントは、削除されたメディア記述に関連付けられたコンテンツの受信を止めるように構成することができる。したがって、推奨器は、第1ネットワーク全てにおける帯域幅の消費についてより効率的な方法で構成することができる。
【0114】
コンテンツ・クライアントは、更新について確認するために、ポーリング又はコールバック技法を用いて定期的に推奨器140に問い合わせることができる。推奨器140は、例えば、RTSPアナウンス・メッセージ又はUPnPイベントを介して、更新されるレコメンデーションをアナウンスすることができる。
【0115】
セッション記述のマーキングにより帯域幅レコメンデーションを追加することによって、新しいセッションは、ネットワークの輻輳を引き起こすことなくセットアップすることができる。ネットワークの輻輳は、セッションを開始するユーザ及びすでにセッション内にある他のユーザの双方に影響する。ユーザは、トライアル・アンド・エラーによるアプローチによることなく管理していないネットワーク内のネットワーク・リソースを取得することができる。複数ユーザがコンテンツ・ストリームを見ている場合、このトライアル・アンド・エラーによる手法はすべてのユーザにネガティブな影響を与えることになる。
【0116】
ゲートウェイ120、特にネットワーク・モニタ130は、また、第1のネットワークから入来し、第2のネットワークに進行するセッション記述についての要求、例えば要求210又は240モニタリングすることもできる。セッション記述要求は、コンテンツ・クライアントの能力に関する情報を含むことができる。この情報は、他の情報、例えば使用可能な帯域幅の情報に追加して使用することができる。例えば、この要求から、コンテンツ・クライアントがクライアントの最大帯域幅、即ちコンテンツ・クライアントにより使用することができる最大の帯域幅の量を有すると決定することができる場合には、推奨器は、より高い帯域幅要件を有するコンテンツの推奨を回避することができる。例えば、SDビデオを表示することができるデバイスは、対応するクライアントの最大帯域幅を有するものであった。推奨器は、クライアントの最大帯域幅を上回る帯域幅要件を有するHDコンテンツに対して推奨することができる。ゲートウェイ120、特にネットワーク・モニタ130は、将来の使用のために、クライアントの能力を記憶媒体に保存することができる。
【0117】
メッセージ260は、全体的に省略することができる。その場合、クライアント112は、メッセージ270においてレコメンデーションを受信して、低い帯域幅のバージョンのコンテンツを使用する。
【0118】
一実施形態において、メッセージ260及び270は、以下のとおりとすることができる。メッセージ260は、クライアント114は、当該クライアント114が現在消費している帯域幅より少ない帯域幅を必要とするコンテンツに自発的に切り替えることを要求する。クライアント114は、このレコメンデーションを受け入れることができ、又は受け入れることができない。クライアント114が切り替えないと想定すると、メッセージ270は現在の使用可能な帯域幅の量に基づいてレコメンデーションを含む。ゲートウェイ120がメッセージ270を送信する前にメッセージ260に返答を待つ必要がないことに留意されたい。メッセージ270は、更新されたマーキング済みセッション記述が帯域幅を解放するために異なるコンテンツ・クライアントに送信されたという、クライアント112についての明示的な指標を含むことができる。メッセージ270は、クライアント112によって暗示的に解釈することができる。クライアント112は、次いで、使用可能な帯域幅が増加した場合には、より低い帯域幅要件を有するコンテンツに対して接続する選択肢を有し、10秒後といったある所定の時間期間の後に、ゲートウェイ120、特に推薦器140にポーリングする。その場合には、コンテンツ・クライアント112は、更新されたマーキング済みセッション記述を受信することができる(図2には示しておらず)。クライアント112の更新されたマーキング済みセッション記述はまた、ゲートウェイ120等のイニシアティブに基づき送信することができる。この解決策は、管理していないネットワークによく適している。これは、例えばネットワーク・ソフトウェアと互換性を有する。ネットワーク・ソフトウェアは、保証されたサービス品質を獲得するために、帯域幅を調整するようには適合されない。その替わりとして、任意のユーザは、使用可能な帯域幅を自主的ベースで自分たち自身の間で分配することができる。第1ネットワークにおける低レベル・ネットワーク・インフラストラクチャには、変更は必要ではない。
【0119】
メッセージ260及び270の順序は相互交換、即ち、270を最初に送信することができ、そして、低い帯域幅のコンテンツ・バージョンをクライアント112に推奨する。その後に、更新されたマーキング済みたセッション記述はクライアント114に送信される。ネットワーク・モニタがより多くの帯域幅が使用可能であることを示す場合、クライアント114が更新されたレコメンデーションに従ったためか、又はある他の理由により、更新されたマーキング済みセッション記述をセクライアント112に送信することができ、そして、より高い帯域幅のレコメンデーションを推奨する。
【0120】
コンテンツ・クライアント上でランしているサービスは、マーキング済みセッション記述のレコメンデーションに従うことはないであろう。その結果、ネットワークの輻輳が発生し、サービス体験の減少につながる。このことは、また、例えばピア・ツー・ピア・ベースのデータ転送(例えばBittorrent)のような帯域幅ホッピングbandwidth-hopping)のアプリケーションといった、トラフィックについての競合アプリケーションの他のタイプについても当てはまるだろう。この課題に対処するために、本発明は、他の手法と組み合わせることができ、あまりに多くのリソース、特に使用可能な帯域幅といったネットワーク・リソースを使用いくつかのアプリケーションの使用を防止する。例えば、リソース配分及びスケジューリングの技術は本発明と組み合わせることができ、この技術は次のような公知技術を含む。即ち、公正なキューイング、重み付けしたキューイング、優先順位付けしたキューイング、及びクラス・ベースのキューイングである。
【0121】
帯域幅のレコメンデーションを支持するサービスは、他のトラフィックがより低い優先順位のクラスに自動的に割り当てられる一方で、より高い優先順位のトラフィックのクラスに割り当てることができる。例えば、コンテンツ・クライアント上でランしているサービスは、レコメンデーション、例えばマーキングを認識又は無視することはせず、セッション記述においてより低い優先順位クラスに配置することができる。
【0122】
例えば、ビデオ・サービスのために、15Mbit/sの保証帯域幅を割り当てることができる。その一方で、他のトラフィックのためには、3Mbit/sの保証帯域幅のみが割り当てられる。組み合わされるすべてのビデオ・サービスは15Mbit/sを使用することができ、例えばプロキシ又はゲートウェイ内の推薦器はそれを分割するのを助けることになる。他の全てのサービスは、少なくとも3Mbit/sを使用することができ、及びオプションとして、更に多く(即ち、現在使用されていない、又は必要とされていないビデオ・サービスについて、ビデオ・サービスによって割り当てられる帯域幅の部分)を使用することができる。
【0123】
このようにして、「準拠サービス」即ち、帯域幅レコメンデーションを認識して従うサービスは、他の準拠サービスを有する帯域幅について競合するだけである。これに関し、以下に更なる詳細、並びに/又は実施形態及び/若しくは部分について説明する。
【0124】
異なる帯域幅要件を有する複数メディア記述は、スケーラブル・ビデオ・コーディング(SVC; Scalable Video Coding)を使用して取得することができる。スケーラブル・ビデオ・コーディングでエンコードされたビデオは、複数の異なるレイヤを含む。これらのレイヤは、進歩的な強化を提供するために逐次組み合わせることができる。スケーラブル・ビデオはベース・レイヤを有することができ、ビデオ信号の基本的な表現を含み、オプションとして、1又はそれ以上の強化レイヤを含むことができる。強化レイヤは、ベース・レイヤを強化して、より高いビデオ解像度、フレーム・レート及び/又はビデオ品質を提供する。SVCビデオは、異なる種類のエンド・デバイスにビデオを配給することを可能にする。エンド・デバイスは、それぞれの制約を有する。即ち、スクリーン・サイズ、処理電力等である。SVCビデオ・レイヤは、独立して送信することができ、ビデオ・ストリームの柔軟なデリバリを可能にする。
【0125】
1つの可能性としては、メディア記述において同一のSVCエンコード・ビデオを照会することである。そこでは、異なるメディア記述は異なる数の強化レイヤを必要とする。各メディア記述が同一のビデオを参照するにもかかわらず、異なる帯域幅要件を有する。何故ならば、異なる数のレイヤを参照するからである。SVCは、より完全には、ITU―T勧告h.264:オーディオビジュアル・サービスについてのアドバンス・ビデオ・コーディング (Advanced video coding for generic audiovisual services) (2009年3月)に記載されている。
【0126】
更なる可能性としては、コンテンツ・サーバ150について、異なるビット・レート内において複数バージョンの同一のビデオ・ストリームを供給することである。異なるビデオ・ストリームについての接続情報は、異なるメディア記述に記録することができる。より低いビット・レート・バージョンのビデオ・ストリームは、イメージを描くためのより少ないバイトを用いることによって、例えば、異なる圧縮率を用いることで、若しくはより低い解像度にそれを変換することによって、又はある他の好適な方法によって、取得することができる。
【0127】
(現在の)使用可能な帯域幅の推定は、さまざまな方法で行うことができる。例えば、ゲートウェイ120は、アクセス・リンクについての最大容量を決定するアクセス・リンク決定器、そのアクセル・リンクについての現在のスループットを決定する使用ネットワーク帯域幅決定器、並びに、そのアクセス・リンクの容量及びその現在のスループットのレベルに基づいて使用可能な帯域幅の量を推定する使用可能帯域幅推定器を備えることができる。
【0128】
効率的なアクセス・リンク容量(使用可能な帯域幅)を決定するために、いくつかの機構が考えられる。
− ゲートウェイ120は管理情報にアクセスすることができる。管理情報は、例えばTR―69のSNMPを通じて抽出することができる。
− ネットワーク・モニタ130は、現在のトラフィック・レートを周期的にポーリングすることができる。例えば、SNMPを使用してエッジルータ154をポーリングし、現在のトラフィック・レート及び最大レポート値を抽出する。重み付けされた平均化関数を用いて、ネットワーク・モニタ130は、使用可能なアクセス・リンク容量の中間値を確立することができる。
− ネットワーク・モニタ130は、サーバ、例えばウェブサーバ、コンテンツ・サーバを用いてテスト・ファイルの転送を開始し、最大帯域幅を決定する。
【0129】
帯域幅推定ツールは、StraussJ.らによる、「使用可能な帯域幅推定ツールについての評価研究」(A Measurement Study of Available Bandwidth Estimation Tools)において与えられる。
【0130】
ネットワーク・モニタ130は、接続のスループットについてのピーク・レベルをモニタリングすることができる。例えば、スループットが20Mbit/sを決して超えない場合、この値は、アクセス・リンク容量に対する上限として取り入れることができる。
【0131】
現在使用されている帯域幅のモニタリング、特に、第2ネットワーク接続152の帯域幅のどれくらいが現在使われているかのモニタリングは、数多くの方法で行うことができる。第1ネットワークからアクセス・ネットワークまで、及びその逆のネットワーク・データ・トラフィックはゲートウェイ120を通過する。ゲートウェイ120は、通例、第1ネットワークからアクセス・リンクに通過する、トラフィックの量を決定する能力がある。そのトラフィック量はしばしば低い帯域幅接続となり、その逆もまた成立する。あるいは、この情報は、ソフトウェア・ファンクション・コールを通じて、又は、SNMP(RFC1157、RFC2578及びRFC2571)といったネットワーク管理プロトコルによって、エッジルータ154といった別個のルータから取得することができる。
【0132】
その替わりとして、ネットワーク・モニタ130は、現在進行しているすべてのセッション及びこれらの帯域幅両県の経過を追うことができる。使用する帯域幅の量は、次いで、進行しているすべてのセッションについての帯域幅要件を追加することで測定することができる。
【0133】
使用可能な帯域幅の量は、また、第2ネットワーク接続152の容量及び現在のスループット・レベルに基づいて推定することもできる。使用可能な帯域幅の量は、総アクセス・リンク容量及び現在の帯域幅使用レベルに基づいて推定することができ、例えば、使用される帯域幅を総帯域幅から減算して使用可能な帯域幅を取得する。
【0134】
この可用性に基づいて、新しいセッションについてのレコメンデーションを与えることができ、推奨された帯域幅は最も高い使用可能な帯域幅となる。通例、10〜20%のマージンが、ネットワーク・トラフィックの変動を考慮するために用いられる。
【0135】
ゲートウェイ120は、サーバ及びコンテンツ・クライアントの両方として振る舞う仲介者となることができ、他のコンテンツ・クライアントを代表して、リソース又はリソース表明(resource manifestation)を抽出することを目的とする。ゲートウェイ120は、プロキシとなることもでき、又はプロキシを備えることができる。一実施形態においては、ユーザとコンテンツ・サーバとの間のすべての通信では、ゲートウェイ120が介在し、推奨器140が、レコメンデーションをユーザとコンテンツ・サーバとの間に送信されるセッション記述メッセージに追加することを可能とする。
【0136】
ネットワーク・モニタ130は、暗示的に、又は明示的に、新しいセッションを検出することができる。
セッションについての暗示的な検出を用いて、ネットワーク・モニタ130は、コンテンツ・クライアントからコンテンツ・サーバまで、及びその逆で、セッション確立メッセージを遮断することによって、新しいセッションを検出する。この遮断は、ゲートウェイ120で生じることができる。ゲートウェイ120は、その中をフローしているパケットを分析することによって、セッション確立メッセージを遮断することができる。セッション確立パケットは、次の基準による手段で検出し、選択することができるが、これに制限されるものではない。
− プロトコル・ポート番号:RTSP、SIP、HTTP及びRTMPのようなセッション確立プロトコルは、通例、固定の宛先又は供給源のポートを使用する。例えば、通例、RTSPメッセージは、ポート554又は8554を介して送信し、SIPメッセージは、ポート5060及び5061を介して送信する。HTTPメッセージ及びRTMPメッセージは、通例、ポート80を用いる。
− ネットワーク・アドレス:ネットワーク・モニタ130は、公知のコンテンツ・サーバのアドレスのリストへのアクセスを行うことができる。このリストは、ユーザによって構成することができ、ウェブ・サービスから受信し、又はネットワーク・モニタ130を用いて使用した以前のセッションから構成される。ビデオ・サービスは、これらのアドレスから、又はこれらのアドレスに、すべてのトラフィックを遮断することができる。
− ディープ・パケット・インスペクション、例えば、所定のセッション確立識別子に対応する情報に対するすべてのパケット(ヘッダ+コンテンツ)を走査する。
【0137】
ネットワーク・モニタ130は、また、明示的なセッション検出を使用して新しいセッションを検出することもできる。このモードでは、コンテンツ・クライアント、例えば第1のコンテンツ・クライアント112は、ゲートウェイ120を介して新規なセッション・セットアップ要求を送信する。例えば、コンテンツ・クライアントは、新しい要求をゲートウェイ120に明示的に送信する。ゲートウェイは、次いで、そのクライアントに代わってメッセージを転送することができる。コンテンツ・サーバ150からのメッセージは、ゲートウェイ120に送信され、そしてコンテンツ・クライアントにそのメッセージを転送する。
【0138】
帯域幅要求の決定は、数多くの方法で行うことができる。例えば、ネットワーク・モニタ130が新規なセッション要求を検出するとき、そのネットワーク・モニタ130又は推奨器140はセッション要求(又は応答)内のセッション記述を解析する。このセッション記述は、メッセージ・フォーマット、例えばセッション記述フォーマット(RFC 4566; Session Description Protocol )で格納される。SDPメッセージは、セッション、例えばマルチメディア・セッションに関するメタ情報を収容し、セットアップされる。即ち、セッションの記述・RTPデータを転送する転送プロトコル、ネットワーク・アドレス指定、使用可能なオーディオ・フォーマット及びビデオ・フォーマット、帯域幅要件等である。ネットワーク・モニタ130又は推奨器140は、セッションに対する帯域幅要件を示しているパラメータを検出するために、セッション記述メッセージを解析(parse)する。セッション記述メッセージは、例えば、次のものを収容することができる。即ち、
− セッションについての帯域幅要件
− 代替の帯域幅要件を含む、セッションについての様々な代替物(例えば、ビデオは2つのビデオ・フォーマットで供給される)
− レイヤ毎に帯域幅要件を有する、レイヤ情報。一例としては、ベース・レイヤ及び1又はそれ以上のレイヤを有するスケーラブル・ビデオ・コーディング(SVC)セッション
【0139】
以下に、レコメンデーションについて一例を示す。決定した帯域幅要件に基づいて、推奨器140は、どのセッション代替物がありえるかについて決定する。以下の第1の例について検討する。
アクセス・リンク容量(総帯域幅)=6Mbit/s
現在の帯域幅の使用(使用済み帯域幅)=3Mbit/s
使用可能な帯域幅は、6と3の差分=3Mbit/sとして決定される。
【0140】
コンテンツ・サーバ150からのセッションの供給は、2つの代替物、例えば、2つのメディア記述をする。即ち、
− 4Mbit/sを必要とする高解像度のビデオ・ストリーム
− 2Mbit/sを必要とする標準的な解像度のビデオ・ストリーム
Mbit/sは、1秒当たりのメガビットを表す。
【0141】
推奨器140は、この高解像度セッションがネットワークの問題(issue)を招くことになると決定する。何故ならば、必要とされる帯域幅(4Mbit/s)は、使用可能な帯域幅(2Mbit/s)より高い。ネットワーク・モニタ130は、標準的な解像度のセッションについての帯域幅のレコメンデーションをコンテンツ・クライアントに送信されたセッション記述に追加する。この帯域幅レコメンデーションは、情報を、推奨帯域幅が3Mbit/sであることを表すセッション記述に追加することによって表すことができる。この帯域幅レコメンデーションは、情報を、標準的な解像度のビデオ・ストリームの指標を表すセッション記述に追加することによって表すことができる。
【0142】
0の帯域幅レコメンデーションは、ネットワークが、いかなる意義も有するコンテンツ送信について、あまりに信頼できないものか、又はあまりに低い使用可能な帯域幅を有するものかというレコメンデーションの信号を送ることができる。
【0143】
以下の、第2の例を検討する。即ち、
アクセス・リンク容量=6Mbit/s
現在の帯域幅の使用=3Mbit/s
使用可能な帯域幅は、6と3の差分=3Mbit/sとして決定される。
【0144】
コンテンツ・サーバからのセッションの供給は、次のパラメータを有するスケーラブル・ビデオ・コーディング・セッションを収容する。即ち、
− ベース・レイヤは、1Mbit/sを必要とする。
− 第1の強化レイヤは、2Mbit/sを必要とする。
− 第2の強化レイヤは、更なる2Mbit/sを必要とする。
【0145】
推奨器140は、現在のネットワーク状況がベース・レイヤ及び第1の強化レイヤについて帯域幅レコメンデーションを追加することを想定すると、そのベース・レイヤ及び第1の強化レイヤを送信することができることを決定する。例えば、推奨器140は、「全体で2つのレイヤ、即ち、1つのベース・レイヤ及び1つの強化レイヤ」を表す情報を追加する。例えば、推奨器140は、第1の強化レイヤを示す情報を追加し、コンテンツ・クライアントは、ベース・レイヤもまた必要とされるということを推測する。
【0146】
以下は、帯域幅レコメンデーションの一例であり、セッション記述プロトコル(Session Description Protocol)を用いている。
サーバが2つの異型のオーディオを提供するストリーミング・オーディオ・セッションについて検討する。即ち、32kbit/sのビット・レートを有するオーディオ・ストリーム、及び64kbit/sのビット・レートを有するオーディオ・ストリームである。現在の使用可能なアクセス・リンクの帯域幅は40kbit/sである。コンテンツ・サーバ150は第1のコンテンツ・クライアント112に図3aに示されるSDPセッション記述を送信する。第1コンテンツ・クライアント112へ行く途中において、セッション記述はゲートウェイ120に到達して、そこで遮断される。
【0147】
セッション記述用いられるフィールドについてはRFC 4566に記載されている。特に、「=」で示されるフィールドは、その第5節において説明されている。接続情報は、「c=」で始まる行で提供される。
【0148】
「m=」で始まる行は、新しいメディア記述を開始する。図3aに示されるセッション記述は、2つのメディア記述を有しており、310及び320によって示されている。「b=」で始まる行は、帯域幅情報についての行である。示されたメディア記述は、それぞれ帯域幅情報についての行を有する。推奨器140は、メディア記述について必要とされる帯域幅を帯域幅情報のラインから決定することができる。
【0149】
このメッセージは、推奨器140によって解析され、当該推奨器140は、b=AS:32及びb=AS:64の属性で与えられる、2つのオーディオ・ストリーム及び帯域幅についての要件を識別する。
【0150】
一例として、アクセス・リンク内の使用可能な帯域幅が40kbit/sに制限されていると想定すると、推奨器140は、第1オーディオ・ストリームを推奨することになる。このレコメンデーションは、次のようなセッション属性によって与えることができる。即ち、
a=recomsessionbw:32
【0151】
この属性は、SDP記述に追加されて、マーキング済みセッション記述を取得し、次いで、コンテンツ・クライアントに転送される。このマーキング済みセッション記述を図3bに示す。追加した行は別として、マーキング済みセッション記述は、コンテンツ・サーバ150からゲートウェイ120で受信するセッション記述と同一である。追加した行は、参照番号325で示している。
【0152】
第1のコンテンツ・クライアント112は、マーキングされたSDPファイルを解析して、提供された帯域幅レコメンデーション(32kbit/s)を検出する。この情報に基づいて、第1のコンテンツ・クライアント112は、メディア記述310を使用することを決定することができる。第1コンテンツ・クライアント112は、また、示されたメディア記述310をデフォルトで使用するように構成することもできる。上記の帯域幅レコメンデーション番号でメディア記述を示すことは、特に効率的であり、複数メディア記述は使用可能な帯域幅を下回る帯域幅要件を有する。
【0153】
推奨された帯域幅番号を提供する代わりに、推奨器140は、また、RTPペイロード・タイプ番号によって、帯域幅の制約を満たすメディア・ストリームを識別することもできる。図3bの行325は、以下のものと置き換えることができる。即ち、
a=recomsessionid:96
【0154】
第1のコンテンツ・クライアント112は、このマーキング済みSDP記述を解析し、推奨されたメディア・ストリーム用の識別子を参照する(第1のオーディオ・ストリーム)。特定のメディア記述を、例えばメディア記述の参照番号を参照することにより識別することは、特に、1又はそれ以上のメディア記述が選び出されるべきである場合に有効である。例えば、複数メディア記述が使用可能な帯域幅を下回る帯域幅要件を有するとき、たった1つだけが他方より高い品質を有しており、そして、参照によって識別することができる。
【0155】
その推奨器は、また、セッション記述からマーキングされていないメディア記述を削除することもできる。例えば、メディア記述320は、セッション記述から削除することができることになる。
【0156】
アクセス・リンク内の使用可能な帯域幅が80kbit/sに制限されているとき、推奨器140は、例えば、a=recomsessionbw:64の行を用いて、第2のオーディオ・ストリームを推奨することができる。この第2オーディオストリーム(320)をマーキングすることは、また、マーキングされたストリームをメディア記述の一番上から移動させることによって、この場合には、セッション記述における310と320の順序を逆にすることによって、行うことができる。
【0157】
これらは、如何にレコメンデーションがSDP記述において信号を送ることができるかについての単なる例示に過ぎず、SDP記述内の帯域幅レコメンデーションの信号を送る唯一の方法として理解されるべきではない。
【0158】
更なる実施形態において、エッジルータ154は、本発明の目的のためにゲートウェイの役割を引き受けることができる。エッジルータ154は2つのネットワークを相互に接続し、1つのネットワークと他方との間にトラフィックをルーティングする。エッジルータ154は、ネットワーク・モニタ130及び/又は推奨器140を備えることができる。
【0159】
尚、本発明はまた、ゲートウェイなしで使用することもできることに留意されたい。例えば、コンテンツ・クライアント及びコンテンツ・サーバから成るコンテンツ配信システムにおいて、そのコンテンツ・クライアント及びそのコンテンツ・サーバがネットワークを介して接続されており、そのコンテンツ・サーバが、1又は複数のメディア記述を含むセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成され、このメディア記述の各々1つが接続情報を含み、コンテンツ・クライアントがネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。本システムは、更なるコンテンツ・アイテムを受信するために使用可能な、第1のネットワーク及び第2のネットワークにおいて使用可能な帯域幅の量を推定する帯域幅推定器を備える。本システムは、利用可能な帯域幅の量に従って、セッション記述内の1又はそれ以上の複数メディア記述をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器(140)を備えており、この推奨器は、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信するように構成される。このシステムは、ゲートウェイを備えるコンテンツ配信システムにふさわしい特徴と組み合わせることができる。
【0160】
図4は、本発明による方法400についてフローチャートを用いて説明する。参照番号445によって示されるフローチャート400の一部は、ゲートウェイ及び/又は推奨器、例えばゲートウェイ120及び推奨器140において実行されることができる。フローチャートの要素410は、第1のネットワークと第2のネットワークとの間のゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックのモニタリングを示している。フローチャートの要素420は、複数メディア記述を含むセッション記述を受信することを示しており、この複数メディア記述のそれぞれ1つは、接続情報を含み、コンテンツ・クライアントが第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする。フローチャートの要素430は、モニタリングされたネットワーク・トラフィックに従って、セッション記述内の複数メディア記述の1又はそれ以上をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得することを示している。フローチャートの要素440は、マーキング済みセッション記述をコンテンツ・クライアントに送信することを示している。フローチャートの要素450は、第1ネットワーク及び第2ネットワークを介して、並びにゲートウェイを通じてマーキング済みメディア記述に対応したコンテンツ・アイテムを受信することを示している。マーキング済みメディア記述に対応するコンテンツ・アイテムを受信することは、コンテンツ・クライアント、例えば第1コンテンツ・クライアント112で行うことができ、マーキング済みメディア記述の情報によって許可される。
【0161】
フローチャートの要素420において受信したセッション記述は、また、単一のメディア記述を含むこともできる。その場合、推奨器は、単一のメディア記述を用いて、支持又は反対の推奨をすることができる。
【0162】
当業者にとって明らかなように、本方法を実行する多くの異なる方法が考えられる。例えば、ステップの順序は変更することができる、又は、いくらかのステップを並行して実行されることができる。更に、ステップの間に、他の方法のステップを挿入することもできる。この挿入されたステップは、本明細書において行ったような方法についての改良を表し、又は、本方法とは無関係なものとすることができる。例えば、ネットワーク・トラフィックのモニタリングは、他の方法のステップのいずれか1つと並行して行うことができる。更には、次のステップを開始する前に、所与のステップを完全には終えることができなかったものとすることができる。
【0163】
本発明による方法は、ソフトウェアを使用して実行することができる。当該ソフトウェアは、プロセッサ・システムに本方法400を実行させるための指示を含む。ソフトウェアは、ゲートウェイ・デバイスによって実施されるステップのみ、又はコンテンツ・クライアントによって実施されるステップのみを含むことができる。このソフトウェアは、適切な記憶媒体、例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)、メモリ等格納することができる。このソフトウェアは、インターネットといったデータネットワークを用いて有線又は無線に沿った信号として送信することができる。このソフトウェアは、ダウンロードをするために、及び/又はサーバ上の遠隔利用のために、利用可能とすることができる。
【0164】
本発明はまた、本発明を実行するために適合されたコンピュータ・プログラム、特に担持媒体上の又は担持媒体内のコンピュータ・プログラムに拡張することも認められよう。このプログラムは、部分的にコンパイルされた形態、又は、本発明による方法の実施形態で使用されるのに適した他のいかなる形態といった、ソースコード、オブジェクト・コード、中間ソースコード及びオブジェクト・コードの形態とすることができる。このようなプログラムが多くの異なるアーキテクチャ・デザインを有することができることも認められよう。例えば、本発明による方法又はシステムが有する機能を実装するプログラム・コードは、1又はそれ以上のサブルーチンに再分割することができる。この機能をこれらサブルーチンに分配するための多くの別のやり方は、通常の知識を有する当業者にとって明らかであろう。このサブルーチンは、内蔵型のプログラムを形成するために、1つの実行可能ファイルに共に格納することができる。このような実行可能ファイルは、コンピュータ実行可能命令、例えば、プロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えばJavaインタプリタ命令)を含むことができる。その代替としては、例えばランタイムにおいて、1若しくはそれ以上又は全てのサブルーチンは、少なくとも1つの外部ライブラリ・ファイルに保存することができ、そして静的又は動的のどちらかによりメイン・プログラムにリンクすることができる。このメイン・プログラムは、サブルーチンの少なくとも1つへの少なくとも1つのコールを収容する。また、サブルーチンは、各々に対する機能コールを収容することができる。コンピュータ・プログラム製品に関する実施形態は、記載した少なくとも1つの方法についての各処理ステップに対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの指示は、サブルーチンに再分割することができ、及び/又は静的又は動的のいずれかによりリンクすることができる1又はそれ以上ファイルに格納することができる。コンピュータ・プログラム製品に関する他の実施形態では、記載したシステム及び/又は製品のうち少なくとも1つの手段の各々に対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの指示は、サブルーチンに再分割することができ、及び/又は静的又は動的のいずれかによりリンクすることができる1又はそれ以上のファイルに格納することができる。
【0165】
コンピュータ・プログラムの担持媒体(carrier)は、プログラムを担持することができるいかなるエンティティ又はデバイスとすることができる。例えば、担持媒体は、ROM、例えばCD―ROM又は半導体ROMといった記憶媒体、又は例えばフロッピーディスク又はハードディスクといった磁気記録媒体を含むことができる。更には、この担持媒体は、電気信号又は光信号のような送信可能な担持媒体でもよく、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線手段若しくは他の手段によって伝達されることができる。このプログラムがこのような信号において実施されるとき、この担持媒体はこのようなケーブル又はその他のデバイス若しくは手段によって構成することができる。その代替としては、担持媒体は、プログラムが組み込まれた集積回路とすることができ、当該集積回路は、関係する方法を実行するために、又はその実行において用いるために適合することができる。
【0166】
尚、上述した実施形態は、本発明を限定するものではなく、当業者が多くの代替の実施形態を添付した特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で設計することが可能である点に留意されたい。請求項において、括弧の間に配置されるいかなる参照符号も、特許請求の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。動詞「備える(含む)」及びその活用形の使用は、特許請求の範囲において言及したもの以外のエレメント又はステップの存在を除外するものではない。エレメントの前にくる物(article)である「a」又は「an」は、複数のこのようなエレメントの存在を除外するものではない。本発明は、いくつかの異なったエレメントを備えるハードウェア手段によって、また、最適にプログラムされたコンピュータによって実施することができる。いくつかの手段を列挙しているにデバイスについての請求項において、これら手段のいくつかは、ハードウェアについての1及び同一のアイテムによって組み込むことができる。特定の手段が異なる従属請求項において相互に記載されるという単なる事実は、これら手段の組合せが有効に使用することができないということを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ・クライアント(112,114)及びコンテンツ・サーバ(150)を備えたコンテンツ配信システム(100)であって、
‐前記コンテンツ・クライアント及び前記コンテンツ・サーバがネットワークを介して接続されており、
‐前記コンテンツ・サーバが、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述を前記コンテンツ・クライアントに送信するように構成され、前記少なくとも1つのメディア記述の各々1つが接続情報を含み、前記コンテンツ・クライアントが前記ネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にし、
‐前記システムが、前記ネットワークを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタ(130)を備え、
‐前記システムが、前記ネットワーク・モニタに従って、前記セッション記述内の1又はそれ以上の前記メディア記述をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器(140)であって、前記マーキング済みセッション記述をレコメンデーションとして前記コンテンツ・クライアントに送信するように構成される推奨器を備える、コンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記ネットワーク・モニタが、コンテンツ・アイテムを受信するために前記ネットワークにおいて使用可能な帯域幅の量を推定する帯域幅推定器を備える、コンテンツ配信システム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ配信システムにおいて、
‐前記帯域幅推定器が、前記推定された使用可能な帯域幅の量を変更することを決定するように構成され、
‐前記推奨器が、前記変更された推定使用可能帯域幅量に基づいて、更新されたマーキング済みセッション記述を前記コンテンツ・クライアントに送信するように構成される更新器を備える、コンテンツ配信システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム(100)であって、ゲートウェイを備えており、
‐前記ネットワークが第1のネットワーク及び第2のネットワークを備え、
‐前記コンテンツ・クライアントと前記ゲートウェイ(120)とが、前記第1ネットワークを通じて接続され、前記ゲートウェイと前記コンテンツ・サーバとが前記第2ネットワークを通じて接続され、
‐前記接続情報の各々1つは、前記コンテンツ・クライアントが、前記コンテンツ・アイテムを、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークを介して、並びに前記ゲートウェイを通じて受信することを可能にし、
‐前記ゲートウェイが、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間の前記ゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするための前記ネットワーク・モニタ(130)を備える、コンテンツ配信システム。
【請求項5】
請求項2又は4に記載のコンテンツ配信システムにおいて、
‐前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間の前記ゲートを通じて進行するネットワーク・トラフィックが最大帯域幅に制限され、
‐前記帯域幅推定器が、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間の前記ゲートを通じて進行するネットワーク・トラフィックの現在の帯域幅を決定するためのネットワーク帯域幅決定器を備え、
‐前記帯域幅推定器が、前記最大帯域幅から前記現在の帯域幅を減算することによって、使用可能な帯域幅の量を推定するように構成される、コンテンツ配信システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のコンテンツ配信システムであって、前記第2ネットワーク内にルータ(154)を備え、前記ゲートウェイが、前記ルータを通じて前記コンテンツ・サーバに接続され、前記ゲートウェイと前記ルータとの間のネットワーク接続は、前記コンテンツ・クライアントと前記ゲートウェイとの間のネットワーク接続のネットワーク容量よりも少ないネットワーク容量を有する、コンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記ゲートウェイが前記推奨器を備える、請求項4、5及び6のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
少なくとも1つの更なるコンテンツ・クライアントが前記第1ネットワークを通じて前記ゲートウェイに接続される、請求項4、5、6及び7のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
前記ネットワーク・モニタが前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間の前記ゲートウェイを通じて進行した累積のネットワーク・トラフィックを測定するように構成される、請求項4、5、6、7及び8のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項10】
前記セッション記述が複数メディア記述を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム(100)。
【請求項11】
請求項10に記載のコンテンツ配信システムにおいて、
‐前記複数メディア記述がそれぞれの複数帯域幅要件を有しており、
‐前記推奨器が、前記推定使用可能帯域幅を下回る帯域幅要件を有するメディア記述をマーキングするように構成される、コンテンツ配信システム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツ・クライアントが、ディスプレイ上に前記複数メディア記述を表示し、前記マーキング済み記述をハイライトするためのユーザ・インターフェイスを有する、コンテンツ配信システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記推奨器が、前記ネットワーク・モニタに従って、1又はそれ以上の前記複数メディア記述を前記セッション記述から削除して、前記マーキング済みセッション記述を取得するように構成される、コンテンツ配信システム。
【請求項14】
前記コンテンツ・クライアントがセット・トップ・ボックスを備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項15】
コンテンツ配信システムにおいて用いられるゲートウェイであって、前記コンテンツ配信システムがコンテンツ・クライアント、当該ゲートウェイ、及びコンテンツ・サーバを備えており、
‐前記ゲートウェイが、第1のネットワークを通じて前記コンテンツ・クライアントに接続可能であり、前記ゲートウェイが、第2のネットワークを通じて前記コンテンツ・サーバに接続可能であり、
‐前記ゲートウェイが、前記第1ネットワークと前記第2ネットワークとの間の当該ゲートウェイを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするためのネットワーク・モニタを備えており、
‐前記ゲートウェイが、少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述を前記コンテンツ・サーバから受信するための受信器を備えており、前記少なくとも1つのメディア記述のそれぞれが接続情報を含み、前記コンテンツ・クライアントがコンテンツ・アイテムを、前記第1ネットワーク及び前記第2ネットワークを介して、並びに前記ゲートウェイを通じて受信することを可能にし、
‐前記システムが、前記ネットワーク・モニタに従って、前記セッション記述内の前記少なくとも1つのメディア記述の1又はそれ以上をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するように構成される推奨器を備えており、該推奨器が、前記マーキング済みセッション記述をレコメンデーションとして前記コンテンツ・クライアントに送信するように構成される、ゲートウェイ。
【請求項16】
コンテンツを配信する方法であって、
‐ネットワークを通じて進行するネットワーク・トラフィックをモニタリングするステップと、
‐少なくとも1つのメディア記述を含むセッション記述を受信するステップであって、前記少なくとも1つのメディア記述の各々1つが接続情報を含み、コンテンツ・クライアントが前記ネットワークを通じてコンテンツ・アイテムを受信することを可能にする、ステップと、
‐前記モニタリングされたネットワーク・トラフィックに従って、前記セッション記述内の前記少なくとも1つのメディア記述の1又はそれ以上をマーキングして、マーキング済みセッション記述を取得するステップと、
‐前記マーキング済みセッション記述をレコメンデーションとして前記コンテンツ・クライアントに送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
コンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータ・プログラムであって、当該コンピュータ・プログラムがコンピュータ上でランするときに、請求項16に記載の全てのステップイを実行するように適合されたコンピュータ・プログラム・コード手段を含む、コンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515417(P2013−515417A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545272(P2012−545272)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070242
【国際公開番号】WO2011/076737
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.JAVA
【出願人】(504292093)コニンクリーケ・ケイピーエヌ・ナムローゼ・フェンノートシャップ (53)
【出願人】(508351406)
【Fターム(参考)】