コンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システム
【課題】 受信装置からの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、受信装置からの配信要求の時点から、配信開始までにかかる時間を、低コストで短縮する。
【解決手段】 本発明は、複数の受信装置と、受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置とを有するコンテンツ配信システムに関する。そして、コンテンツ配信装置は、コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信するストリームについて、配信位置を同期させる手段と、コンテンツ本編の配信位置が同期されたストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する手段とを有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、複数の受信装置と、受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置とを有するコンテンツ配信システムに関する。そして、コンテンツ配信装置は、コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信するストリームについて、配信位置を同期させる手段と、コンテンツ本編の配信位置が同期されたストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する手段とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムに関し、例えば、ビデオ・オン・デマンドにより動画像データを受信装置に配信するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
ビデオ・オン・デマンドによる動画像コンテンツの配信システムにおいて、サーバの性能限界やネットワークの帯域限界があるため、ユーザに視聴したい動画像コンテンツを視聴させるのではなく、放送のように、あらかじめ番組スケジュールを決めて動画像コンテンツをマルチキャストで配信するニア・オン・デマンドというサービスがある。ニア・オン・デマンドを採用した動画像配信システムでは、通常、間隔(シフト期間)を置いて複数配信を行う。
【0003】
そのため、従来のニア・オン・デマンドを採用した動画像配信システムでは、ユーザが所望の動画像コンテンツの次の開始時間になるまで待ったり、ユーザが番組スケジュールを確認のうえマルチキャストアドレス(チャンネル)を合わせるなど行う必要があった。
【0004】
しかしながら、ユーザ側では視聴したい動画像コンテンツを選択後即座に視聴したいという要望がある一方、動画像配信サーバやネットワーク帯域には、性能上限があり同一コンテンツの視聴は極力少ない本数のストリームにより配信する方が望ましい。
【0005】
そのような課題に対して、特許文献1では、動画像を配信する装置において、動画像分配要求の数が予め定められた基準値を上回った場合にはニア・オン・デマンド型での動画像分配を指示しそれ以外の場合にはオンデマンド型での動画像分配を指示する動画像分配方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2の記載技術では、受信装置において、ニア・オン・デマンドのシフト期間分記憶できるバッファを備えることにより、ユーザはいつでも視聴したいコンテンツについて最初から視聴できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−193805号公報
【特許文献2】特開平10−150654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の記載技術では、受信装置へのニア・オン・デマンドになる場合、放送開始まで、最大シフト期間分ユーザを待たせることになる。
【0009】
また、特許文献2の記載技術では、動画像配信サーバが複数コンテンツを配信する場合、受信装置側のバッファで、で全てのコンテンツについてシフト期間分記憶する容量を確保する必要があり、大きなコストがかかる。
【0010】
そのため、受信装置からの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、受信装置からの配信要求の時点から、配信開始までにかかる時間を、低コストで短縮することができるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置において、(1)コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、(2)上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段とを有することを特徴とする。
【0012】
第2の本発明のコンテンツ配信プログラムは、複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置に搭載されたコンピュータを、(1)コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、(2)上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
第3の本発明は、複数の受信装置と、上記受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置を備えたコンテンツ配信システムにおいて、上記コンテンツ配信装置として第1の本発明のコンテンツ配信装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受信装置からの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、受信装置からの配信要求の時点から、配信開始までにかかる時間を、低コストで短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る動画像配信システムの全体構成について示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る配信管理表の内容例について示した説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る動画像配信サーバの全体の動作について示したフローチャートである。
【図4】第1の実施形態に係る動画像配信サーバの配信管理部の動作について示したフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る配信管理部において、新規ストリームと既存ストリームで配信場所が一致する場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも先の場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図7】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも先の場合の動作について示したタイミングチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも後の場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図9】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも後の場合の動作について示したタイミングチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る動画像配信サーバの動作について示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第1の実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置及びコンテンツ配信システムを、動画像配信サーバ及び動画像配信システムに適用した例について説明している。
【0017】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の動画像配信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
動画像配信システム1は、動画像配信サーバ10と、少なくとも4つの受信端末20(20−1〜20−4)が配置されているものとする。なお、動画像配信サーバ10及び受信端末20を配置する台数は限定されないものである。
【0019】
動画像配信サーバ10は、受信端末20の要求に応じた動画像コンテンツを、受信端末20にマルチキャスト又はユニキャストで配信するものである。
【0020】
また、動画像配信サーバ10は、要求のあった動画像コンテンツの本編の前後や途中など所定位置に、CM(コマーシャル)や広告等の本編以外の動画像コンテンツ(以下、「挿入用コンテンツ」ともいう)を挿入して配信する。挿入用コンテンツの種類は限定されないものであるが、ここでは、挿入用コンテンツとしてCM動画像を適用するものとする。
【0021】
受信端末20は、ユーザの操作に応じた動画像コンテンツの配信を、動画像配信サーバ10に要求し、動画像配信サーバ10から配信される動画像のストリームデータ(動画像コンテンツ及びCM動画像を含む)を受信する受信装置である。また、受信端末20は、受信したストリームデータを出力する際には、例えば、ディスプレイ・スピーカ等の出力装置により出力するようにしても良いし、ハードディスク等の記憶媒体に記憶させるようにしても良く、その出力方法は限定されないものである。なお、受信端末20は、パソコンやセット・トップボックス、ビデオ・オン・デマンドに対応したテレビ等、既存の動画像コンテンツ受信に対応した受信装置を適用することができる。
【0022】
次に、動画像配信サーバ10の内部構成について説明する。
【0023】
動画像配信サーバ10は、要求受信部11、配信管理部12、配信部13、動画像データ蓄積部14を有している。なお、図1では、動画像配信サーバ10は、一つの装置として構成するように図示しているが、複数の装置に分けて構築するようにしても良いことは当然である。
【0024】
動画像配信サーバ10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、他の通信装置と通信をするためのインターフェースを有する装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、実施形態のコンテンツ配信プログラム等をインストールすることにより構築しても良く、その場合でも、機能的には上述の図1のように示すことができる。
【0025】
要求受信部11は、受信端末20からの動画像コンテンツの配信要求を受付けて、その配信要求を、配信管理部12に通知するものである。要求受信部11は、要求の正常性等を確認後に、配信管理部12に配信要求を通知するようにしても良い。
【0026】
動画像データ蓄積部14は、受信端末20に配信する動画像コンテンツのデータ及びCM動画像(挿入用コンテンツ)のデータが蓄積されている。
【0027】
配信管理部12は、要求受信部11から通知された配信要求に応じて、要求元の受信端末20へ行う動画像コンテンツやCM動画像の配信のタイミングや配信範囲、配信方法(ユニキャスト又はマルチキャスト)を、配信部13へ指示する。なお、配信管理部12の処理の詳細については、後述する。
【0028】
配信部13は、配信管理部12からの指示に従って、動画像データ蓄積部14から、動画像コンテンツ又はCM動画像のデータを取り出して、そのデータをユニキャスト又はマルチキャストで配信する。また、配信部13は、配信状況、配信位置などを配信管理部12へ配信終了時等に通知する。なお、配信部13がデータ配信する方式としては、例えば、MPEG形式のデータをRTP(Real−time Transport Protocol)等のプロトコルを用いて配信するなど、既存の動画像配信方式を適用するようにしても良い。
【0029】
次に、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0030】
配信管理部12は、現在動画像データの配信を行っている受信端末20ごとの状況を管理するための配信管理表を記憶している。そして、配信管理部12は、配信管理表の内容を用いて、各受信端末20へ配信する動画像の内容やタイミング、配信方法(ユニキャスト又はマルチキャスト)を決定している。
【0031】
図2は、配信管理部12が記憶している配信管理表の内容例について示した説明図である。
【0032】
図2に示すように配信管理表は、「管理番号」、「受信端末アドレス」、「動画像コンテンツ名」、「コンテンツ配信場所」、「配信アドレス」、「配信ポート」、「マルチキャストチャンネル」の項目の情報を有している。また、図2に示すように、配信管理表では、受信端末20ごとに上述の項目の情報を記憶している。
【0033】
「管理番号」は、配信管理表において、各行の情報を識別するものである。なお、以下では、受信端末20−1〜20−4のそれぞれに割り当てられる管理番号は、1〜4であるものとして説明する。
【0034】
「受信端末アドレス」の項目は、該当する受信端末20のIPアドレスを示している。
【0035】
「動画像コンテンツ名」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している動画像コンテンツの名称を示している。なお、ここでは、説明を簡易にするため、動画像コンテンツ名は、A1、A2等の符号により示すものとする。また、図2では、動画像コンテンツを識別する項目として「動画像コンテンツ名」を用いているが、その他の情報(例えば、コード番号等)を用いて、動画像コンテンツを識別するようにしても良い。
【0036】
「コンテンツ配信場所」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している動画像コンテンツの配信場所(位置)を示している。図2では、当該動画像コンテンツの開始時からの時間で配信場所を示している。例えば、コンテンツ配信場所の内容が「1:23」であれば現在最初から1分23秒の場所を配信していることを示している。なお、「コンテンツ配信場所」の表記形式については、その場所を特定することができればその表現方法は限定されないものであり、例えば、時間でなくフレーム数により表示するようにしても良い。
【0037】
「配信アドレス」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している配信先のIPアドレスを示している。現在該当する受信端末20へ、ユニキャストでデータ配信している場合には、配信アドレスの内容は、受信端末アドレスと同じとなる。一方、現在該当する受信端末20へ、マルチキャストでデータ配信している場合には、配信アドレスの内容は、そのマルチキャスト配信に用いるIPアドレスが入力されることになる。
【0038】
「配信ポート」の項目は、該当する受信端末へのデータ配信に用いているポート番号を示している。
【0039】
「マルチキャストチャンネル」の項目は、現在該当する受信端末20へ、マルチキャストでデータ配信している場合に、そのマルチキャストチャンネルの識別子が入力される。マルチキャストチャンネルが同一の受信端末20へは、同一のマルチキャストのチャンネル(ストリーム)を用いて配信していることを示している。なお、ここでは、マルチキャストチャンネルは、「B1」、「B2」等の符号により表すものとする。また、該当する受信端末20へ、ユニキャストでデータ配信している場合には、マルチキャストチャンネルの項目には何も入力されないものとする。
【0040】
配信管理部12は、新たに受信端末20から配信要求があった場合には、配信管理表の内容を参照し、新たに配信要求のあった動画像コンテンツと同一のものを配信中のストリーム(以下、「既存ストリーム」という)の有無を確認する。そして、検出した既存ストリームの現在の配信場所と、配信要求に係る配信場所とを比較する。
【0041】
そして、配信管理部12は、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合には、既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信する。ただし、既存ストリームが、既にマルチキャストで配信している場合には、配信要求に係る受信端末も、そのマルチキャストのグループに参加させる。
【0042】
一方、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が異なる場合には、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始する。そして、仮に配信中のユニキャストのストリームにおいて、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を調整して、既存ストリームの配信場所と一致させる同期処理を行う。そして、配信場所の同期処理の完了後に、既存ストリームと、仮に配信中のユニキャストのストリームとを、まとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信する。
【0043】
なお、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が、所定以上の長さ離れている場合には、一つのマルチキャストのストリームにまとめることを行わず、配信要求に係るストリームを、仮ではなく継続的にユニキャストで配信するようにしても良い。上述の所定以上の長さについては限定されないものであるが、以下では、例として「10分」であるものとして説明する。
【0044】
動画像配信システム1では、動画像コンテンツにおいて一定間隔ごとにCM動画像を挿入するものとする。なお、動画像コンテンツにおいてCM動画像を挿入する場所は、一定間隔ではなく、動画像コンテンツの所定の場所(例えば、チャプターの区切り)を予めマークする等管理しておいて、マークした場所にCM動画像を挿入するようにしても良い。
【0045】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の動画像配信システム1の動作を説明する。
【0046】
まず、動画像配信サーバ10の全体の動作について説明した後に、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0047】
(A−2−1)動画像配信サーバ全体の動作
図3は、動画像配信サーバ10の全体の動作について示したフローチャートである。
【0048】
まず、受信端末20から、動画像配信サーバ10の要求受信部11に対し、配信要求がおこなわれたものとする(S101)。
【0049】
そして、要求受信部11は、要求の正常性を確認した後、配信管理部12に配信指示を通知する(S102)。
【0050】
そして、配信管理部12は、配信管理表の内容を参照し、実際のデータの配信のため配信コンテンツと配信範囲を配信部13へ指示するとともに、配信管理表の内容を更新する(S103)。
【0051】
そして、配信部13は、配信管理部12の指示に応じたデータ配信を行い(S104)、配信状況、配信位置などを配信管理部12へ配信終了時等に通知する(S105)。
【0052】
そして、配信部13からの通知を受けると、配信管理部12は、同じストリームについて次のデータ配信の有無を確認し(S106)、次に配信するデータがある場合には、上述のステップS103から動作し、無い場合にはそのストリームについての配信を終了すると共に、配信管理表の内容を更新(該当するストリームに関する情報を削除等)する。
【0053】
(A−2−2)配信管理部の処理
次に、受信端末20から動画像配信サーバ10へ動画像コンテンツの配信要求があった場合の、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0054】
図4は、配信管理部12の処理について示したフローチャートである。
【0055】
要求受信部11から、配信管理部12へ配信要求の通知があると(S201)、配信管理部12は、その配信要求に係る情報を、配信管理表に追加する(S202)。
【0056】
そして、配信管理部12は、配信管理表を参照し、配信要求のあった動画像コンテンツと同じものを配信中で、配信場所の差異が所定範囲内の既存ストリームを検索する(S203)。なお、ステップS203において、配信場所の差異が所定範囲内の既存ストリームが複数存在する場合には、より配信場所が近い既存ストリームを検出するようにしても良い。
【0057】
上述のステップS203で該当する既存ストリームが無い場合には、配信管理部12は、配信要求に係る動画像コンテンツを、定期間隔でCM動画像を挟みながら、ユニキャストで配信する(S204)。
【0058】
一方、上述のステップS203において、該当する既存ストリームが検出できた場合には、配信管理部12は、配信要求に係る配信場所と、検出した既存ストリームの配信場所とを比較する(S205)。
【0059】
そして、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合には、配信管理部12は、既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S206)。
【0060】
また、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が先の場合(例えば、既存ストリームの配信場所が1:00で、配信要求に係るストリーム配信場所が0:00の場合)には、配信管理部12は、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始するように配信部13に指示する。そして、配信要求に係るストリームについて、検出した既存ストリームよりも、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を短くし、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームの配信場所を同期させるように配信部13に指示する。そして、配信場所の同期処理の完了後に、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S207)。
【0061】
さらに、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が後の時間を示している場合(例えば、既存ストリームの配信場所が1:00で、配信要求に係るストリーム配信場所が2:00の場合)には、配信管理部12は、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始するように配信部13に指示する。そして、配信要求に係るストリームについて、検出した既存ストリームよりも、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を長くし、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームの配信場所を同期させるように配信部13に指示する。そして、配信場所の同期処理の完了後に、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S208)。
【0062】
次に、上述のステップS206〜S208の処理のさらに詳細について説明する。
【0063】
[ステップS206(配信場所が一致する場合)]
まず、上述のステップS206における、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0064】
図5は、上述のステップS206の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0065】
図5(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0066】
図5(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0067】
そして、ここでは、図5(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について「1:00」の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0068】
図5(a)において、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信しているのは、受信端末20−1(管理番号:1)と受信端末20−2(管理番号:2)であるが、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)の既存ストリームは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS206では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0069】
そして、配信管理部12は、既存ストリーム(管理番号:1)と、受信端末20−4からの配信要求に係るストリームとを、まとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図5(b)に示す。
【0070】
図5(b)に示すように、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームと、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについて、「配信アドレス」の項目が共通したマルチキャスト配信用のアドレスとなり、「マルチキャストチャンネル」の項目が共通したチャンネル(B1)となっている。
【0071】
[ステップS207(既存ストリームの配信場所の方が先の場合)]
次に、上述のステップS207における、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が先の場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0072】
図6は、上述のステップS207の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0073】
図6(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0074】
図6(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0075】
そして、ここでは、図6(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について最初(0:00)の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0076】
そして、図6(a)では、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信中で、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)のものは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS207では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0077】
そして、配信管理部12は、仮に受信端末20−4からの配信要求に係るストリームについてユニキャストで配信を開始するように、配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図6(b)に示す。
【0078】
ここでは、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、仮にユニキャストで配信するため、図6(b)に示すように、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、「配信アドレス」が「受信端末アドレス」と同じとなっており、「マルチキャストチャンネル」の項目は空欄となっている。また、図6(b)では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについて、配信場所が1分(1:00)となっているので、受信端末20−1(管理番号:1)の配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)の配信場所の相異は1分となる。
【0079】
そして、この後、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させるように、配信管理部12は配信部13へ指示する。
【0080】
図7は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させる例について示したタイミングチャートである。
【0081】
図7に示すように、配信管理部12では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについては、タイミングT11の時点から動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1.5分CM動画像のデータ配信するように制御することを繰り返す。一方、配信管理部12は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、タイミングT11の1分後のタイミングT12の時点から、動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1分CM動画像のデータ配信を行うように制御することを繰り返す。
【0082】
この場合、図7に示すように、タイミングT12の6分後のタイミングT13の時点で、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームの配信場所が一致(5分の位置)することになる。
【0083】
この後、配信管理部12は、タイミングT13から、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームでCM動画像のデータ配信が終了し、動画像コンテンツA1のデータ配信に戻るタイミングT14の間のいずれかのタイミングで、2つのストリームを一つのマルチキャストのストリームとしてまとめて配信するように制御する。
【0084】
この場合、配信管理部12が、マルチキャストに切り替える際には、配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避ける方が望ましい。
【0085】
例えば、配信部13が、タイミングT13の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えるようにしても良いが、その場合、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームのCM動画像が途中で途切れてしまったり、受信端末20−4(管理番号:4)側のストリームのCM動画像が途中から始まってしまうおそれがある。
【0086】
そのため、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えるタイミングは、受信端末20−1(管理番号:1)側で動画像コンテンツA1のデータ配信が再開するタイミングT14とすることが望ましい。
【0087】
図7の例では、説明を簡易にするために、タイミングT14の時点で、両ストリームのCM動画像のデータ配信が終了するように記載しているが、受信端末20−4(管理番号:4)側でCM動画像のデータ配信が途切れたりしないように、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームで動画像コンテンツA1のデータ配信が再開するタイミングにあわせて、受信端末20−4(管理番号:4)側のCM動画像データの配信が終了するように、CM動画像データの選定を行うことが望ましい。
【0088】
例えば、図7の例では、1つ30秒のCM動画像を挿入する数で、CM動画像のデータ配信の時間を調節しているが、長さの異なるCM動画像のデータを複数用意しておいて、タイミングの合う動画像データを、タイミングT14の直前に挿入するようにしても良いし、途中で途切れても支障の無い動画像データ(例えば、静止画を表示し続けるもの)をタイミングT14の直前に挿入するようにしても良い。
【0089】
図7では、タイミングT14の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えると共に、配信管理表の内容を更新している。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図6(c)に示している。
【0090】
[ステップS208(既存ストリームの配信場所の方が後の場合)]
次に、上述のステップS208における、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が後の場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0091】
図8は、上述のステップS208の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0092】
図8(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0093】
図8(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0094】
そして、ここでは、図8(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について最初から2分後(2:00)の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0095】
そして、図8(a)では、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信中で、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)のものは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS208では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0096】
そして、配信管理部12は、仮に受信端末20−4からの配信要求に係るストリームについてユニキャストで配信を開始するように、配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図8(b)に示す。
【0097】
図8(b)では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについて、配信場所が1分(1:00)となっているので、受信端末20−1(管理番号:1)の配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)の配信場所の相異は1分となる。
【0098】
そして、この後、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させるように、配信管理部12は配信部13を制御する。
【0099】
図9は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させる例について示したタイミングチャートである。
【0100】
図9に示すように、配信管理部12では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについては、タイミングT21の時点から動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1.5分CM動画像のデータ配信を行うことを繰り返すように制御する。
【0101】
一方、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、配信管理部12は、タイミングT21の1分後のタイミングT22の時点から、動画像コンテンツA1の配信を開始するように制御する。受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、動画像コンテンツA1の最初から2分後(2:00)の配信場所から配信を開始するため、配信場所が2.5分(2:30)になった時点(タイミングT22から0.5分経過した時点)で、CM動画像が挿入される場所となり、2分間のCM動画像データの配信を行う。そして、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、その後、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームと同期がとれるまで、2.5分の動画像コンテンツのデータ配信と、2分のCM動画像のデータ配信を繰り返す。
【0102】
この場合、図9に示すように、タイミングT21の6.5分後のタイミングT23の時点で、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームの配信場所が一致(5分の位置)することになる。
【0103】
この後、配信管理部12は、タイミングT23から、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームでCM動画像のデータ配信が終了し、動画像コンテンツA1のデータ配信に戻るタイミングT24の間のいずれかのタイミングで、2つのストリームを一つのマルチキャストのストリームとしてまとめて配信するように、配信部13に指示する。
【0104】
この場合、上述のステップS207と同様に、配信管理部12が、マルチキャストに切り替える際には、配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避けるように制御することが望ましい。
【0105】
図9では、タイミングT24の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えると共に、配信管理表の内容を更新している。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図8(c)に示している。
【0106】
以上のように、配信管理部12が動画像コンテンツの間の挿入するCM動画像の時間を調整する処理を行うことにより、初期には、配信場所のタイミングが異なる複数のストリームの配信場所を同期させることができる。
【0107】
上述の図7、図9では、一つの既存ストリームに、配信要求のあった一つストリームを同期させる動作について説明したが、一つの既存ストリームに、複数のストリームを同時に同期させる場合でも、基準となる一つの既存ストリームに対して、それぞれのストリームの配信場所を同期させていく処理でよく、個々のストリームに対する処理は、上述の図7及び図9と同様の処理により行うことができる。
【0108】
また、上述の図7、図9では、ユニキャストにより配信している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームの配信場所を同期させる処理について説明したが、既存ストリームがマルチキャストであった場合でも、両ストリームの配信場所を同期させる処理内容は変わらないので、上述の図7及び図9と同様の処理により行うことができる。
【0109】
さらに、上記の実施形態では、ユニキャストにより配信している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームの配信場所を同期させる際に、新たに配信要求のあったストリームに挿入するCM動画像の時間を調節していたが、既存ストリームの側を調節するようにしても良いし、両ストリームについて調節するようにしても良い。
【0110】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0111】
動画像配信サーバでは、同一の動画像コンテンツを配信するストリームについては、配信場所が異なる場合には、CM動画像を挿入する長さを調整することにより配信場所を同期させた上で、まとめて一つのマルチキャストのストリームで配信している。これにより、従来技術のように受信端末側で特にバッファを持たせることなく、受信端末に対して即時に動画像コンテンツの配信を開始しつつ、動画像配信サーバが配信するストリームの本数を低減させ、動画像配信サーバやネットワークにかかる負荷やコストを低減させることができる。
【0112】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第2の実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置及びコンテンツ配信システムを、動画像配信サーバ及び動画像配信システムに適用した例について説明している。
【0113】
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第1の実施形態では、既に配信を開始している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームとの間で配信場所が異なる場合に、配信場所を同期させるものであった。これに対して、第2の実施形態では、配信要求のあったストリームの配信要求タイミングが異なる場合でも、動画像コンテンツの配信開始時を同期させる点で異なっている。
【0114】
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異について説明する。
【0115】
第2の実施形態の動画像配信システムについても、上述の図1と同様の図面により示すことができる。
【0116】
第2の実施形態では、同一の動画コンテンツについて配信要求する受信端末20が、異なるタイミングで動画像配信サーバ10に配信要求をしてきた場合、早く配信要求をした受信端末20については、動画像コンテンツのデータ配信を行う前に長めにCM動画像のデータ配信を行い、遅く配信要求をしてきた受信端末20については、動画像コンテンツのデータ配信を行う前に短めにCM動画像のデータ配信を行う。これにより、受信端末20が、異なるタイミングで配信要求をしてきた場合でも、動画像コンテンツのデータ配信を開始するタイミングを同期させることができる。
【0117】
動画像配信サーバ10は、動画コンテンツのデータ配信前のCM動画像のデータ配信についてはユニキャストで行い、動画像コンテンツのデータ配信を一斉に開始する際には、一つのマルチキャストのストリームで配信するようにしても良い。
【0118】
動画像配信サーバ10において、CM動画像のデータ配信から、動画像コンテンツのデータ配信に切り替えるタイミングについては、例えば、同一の配信要求を行った受信端末20の数が所定の数に達した場合等のタイミングを基準としても良い。また、動画像コンテンツを配信する前に挿入するCM動画像の長さには、最大値を設けて、その最大値に達する受信端末20があった場合には、その後の受信端末20の配信要求を待たずに、既に配信要求のあった受信端末20に対して一つのマルチキャストのストリームで配信を開始してしまうようにしても良い。
【0119】
図10は、第2の実施形態の動画像配信サーバ10の動作の例について示したタイミングチャートである。
【0120】
図10では、受信端末20−1〜20−4から、同一の動画像コンテンツの配信要求が、異なるタイミングであった場合に、動画像配信サーバ10がデータ配信する動作について示している。
【0121】
図10では、同一の動画像コンテンツについて、少なくとも4つ受信端末20から配信要求があったタイミングを基準として、それらの受信端末20に対して、一つのマルチキャストのストリームで動画像コンテンツのデータ配信を行う例について示している。
【0122】
図10では、まず、受信端末20−1からタイミング31の時点で動画像コンテンツの配信要求があり、その後、タイミング32の時点で受信端末20−2、タイミングT33の時点で受信端末20−3、タイミングT34の時点で受信端末20−4から、それぞれ動画像コンテンツの配信要求があった場合について示している。
【0123】
そして、タイミングT34の時点で、同一の動画像コンテンツに対する配信要求の数が4つに達するため、動画像配信サーバ10は、タイミングT34以降のいずれかのタイミングで、CM動画像のデータ配信から、マルチキャストによる動画像コンテンツのデータ配信を開始する。
【0124】
ただし、上述の図7及び図9の場合と同様に、動画像配信サーバ10が、マルチキャストに切り替える際には、既に配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避ける方が望ましい。
【0125】
そのため、受信端末20へのストリームを動画像コンテンツのデータ配信に切り替えるタイミングは、同一の動画像コンテンツに対する配信要求の数が4つに達したタイミングT34の時点ですぐに行うのではなく、タイミングT34以降で、全ての受信端末20においてCM動画像データが途切れない(若しくは、途切れても支障のない場所)となるように調節することが望ましい。
【0126】
例えば、動画像配信サーバ10において、タイミングT34の時点を基準として所定の時間後のタイミング(図10では、タイミングT35)を決定し、上述の図7及び図9の場合と同様に、そのタイミング(タイミングT35の時点)で、CM動画像データの配信が終了する(若しくは、途切れても支障のない)ように、CM動画像データの選定を行うことが望ましい。
【0127】
(B−2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0128】
第1の実施形態では、新規に配信要求のあったストリームについて、既存ストリームと同期させた上でマルチキャスト配信に切り替えるのみであったが、第2の実施形態では、動画像コンテンツの配信を開始する時点でも同期させることができるので、第1の実施形態よりも、マルチキャストに集約できる可能性が高くなり、動画像配信サーバやネットワークにかかる負荷やコストを、より低減させることができる。
【0129】
第2の実施形態における、動画像コンテンツを開始する時点でも同期させる処理については、例えば、受信端末が、映画館で映画を上映するための装置である場合に好適なものである。例えば、動画像コンテンツの本編の上映を開始する時間を複数の映画館で同期させ、一つのマルチキャストのストリームにより配信することにより、各映画館で必ず決まった時間に上映を開始するのではなく、映画館に一定人数がそろった段階で動画像コンテンツの配信を開始する等調整することができる。
【0130】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0131】
(C−1)上記の各実施形態において、一旦複数の受信端末に対して一つのマルチキャストのストリームでデータ配信を開始した後に、一部の受信端末において、早送りや牧戻し等配信場所がずれる操作(例えば、VCR操作等)を行った場合には、配信場所がずれた受信端末だけをマルチキャストのグループからはずして、ユニキャストでデータ配信するようにしても良い。
【0132】
(C−2)上記の各実施形態では、各受信端末へのデータ配信は、ユニキャスト又はマルチキャストで配信する例について説明したが、ユニキャストを用いずに全てマルチキャストで行うようにしても良い。例えば、上記の各実施形態において、ある受信端末にユニキャストでデータ配信するものについて、その受信端末だけが参加するマルチキャストのグループを作って配信するようにしても良い。その場合、2つのマルチキャストのストリームをまとめて一つのマルチキャストで配信する際には、いずれか一方の受信端末が、他方のマルチキャストのグループに参加するようにすれば良いことになる。
【0133】
(C−3)上記の各実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置を、動画像コンテンツを配信する動画像配信サーバに適用する例について説明したが、音声データを配信するコンテンツとして適用するようにしても良い。すなわち本発明のコンテンツ配信装置が配信するコンテンツは、少なくとも動画像データ又は音声データのいずれかが含まれていれば良い。
【0134】
(C−4)第2の実施形態では、第1の実施形態の処理に加えて、動画像コンテンツの配信を開始させるタイミングについても複数のストリームを同期させる処理について説明したが、第1の実施形態における挿入するCM動画像の長さを調節して複数のストリームの配信場所を同期させる処理を省略した構成としても良い。
【0135】
(C−5)上記の各実施形態では、動画像配信サーバにおいて、動画像コンテンツ本編に挿入するCM動画像の長さを調整して、複数のストリームの配信場所の同期を行っているが、逆に動画像コンテンツの本編の長さを調節して配信場所を同期させるようにしても良い。例えば、動画像コンテンツにおいて、配信を省略しても良い範囲を予め管理しておくことにより、動画像コンテンツ自体の長さを調節するようにしても良い。
【符号の説明】
【0136】
1…動画像配信システム(コンテンツ配信システム)、10…動画像配信サーバ(コンテンツ配信装置)、11…要求受信部、12…配信管理部、13…配信部、14…動画像データ蓄積部、20、20−1〜20−4…受信端末(受信装置)。
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムに関し、例えば、ビデオ・オン・デマンドにより動画像データを受信装置に配信するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
ビデオ・オン・デマンドによる動画像コンテンツの配信システムにおいて、サーバの性能限界やネットワークの帯域限界があるため、ユーザに視聴したい動画像コンテンツを視聴させるのではなく、放送のように、あらかじめ番組スケジュールを決めて動画像コンテンツをマルチキャストで配信するニア・オン・デマンドというサービスがある。ニア・オン・デマンドを採用した動画像配信システムでは、通常、間隔(シフト期間)を置いて複数配信を行う。
【0003】
そのため、従来のニア・オン・デマンドを採用した動画像配信システムでは、ユーザが所望の動画像コンテンツの次の開始時間になるまで待ったり、ユーザが番組スケジュールを確認のうえマルチキャストアドレス(チャンネル)を合わせるなど行う必要があった。
【0004】
しかしながら、ユーザ側では視聴したい動画像コンテンツを選択後即座に視聴したいという要望がある一方、動画像配信サーバやネットワーク帯域には、性能上限があり同一コンテンツの視聴は極力少ない本数のストリームにより配信する方が望ましい。
【0005】
そのような課題に対して、特許文献1では、動画像を配信する装置において、動画像分配要求の数が予め定められた基準値を上回った場合にはニア・オン・デマンド型での動画像分配を指示しそれ以外の場合にはオンデマンド型での動画像分配を指示する動画像分配方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2の記載技術では、受信装置において、ニア・オン・デマンドのシフト期間分記憶できるバッファを備えることにより、ユーザはいつでも視聴したいコンテンツについて最初から視聴できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−193805号公報
【特許文献2】特開平10−150654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の記載技術では、受信装置へのニア・オン・デマンドになる場合、放送開始まで、最大シフト期間分ユーザを待たせることになる。
【0009】
また、特許文献2の記載技術では、動画像配信サーバが複数コンテンツを配信する場合、受信装置側のバッファで、で全てのコンテンツについてシフト期間分記憶する容量を確保する必要があり、大きなコストがかかる。
【0010】
そのため、受信装置からの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、受信装置からの配信要求の時点から、配信開始までにかかる時間を、低コストで短縮することができるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置において、(1)コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、(2)上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段とを有することを特徴とする。
【0012】
第2の本発明のコンテンツ配信プログラムは、複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置に搭載されたコンピュータを、(1)コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、(2)上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
第3の本発明は、複数の受信装置と、上記受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置を備えたコンテンツ配信システムにおいて、上記コンテンツ配信装置として第1の本発明のコンテンツ配信装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受信装置からの要求に応じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、受信装置からの配信要求の時点から、配信開始までにかかる時間を、低コストで短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る動画像配信システムの全体構成について示したブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る配信管理表の内容例について示した説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る動画像配信サーバの全体の動作について示したフローチャートである。
【図4】第1の実施形態に係る動画像配信サーバの配信管理部の動作について示したフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る配信管理部において、新規ストリームと既存ストリームで配信場所が一致する場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも先の場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図7】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも先の場合の動作について示したタイミングチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも後の場合の配信管理表の遷移について示した説明図である。
【図9】第1の実施形態に係る動画像配信サーバにおいて、既存ストリームの配信場所が配信要求のあったストリームよりも後の場合の動作について示したタイミングチャートである。
【図10】第2の実施形態に係る動画像配信サーバの動作について示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第1の実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置及びコンテンツ配信システムを、動画像配信サーバ及び動画像配信システムに適用した例について説明している。
【0017】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の動画像配信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
動画像配信システム1は、動画像配信サーバ10と、少なくとも4つの受信端末20(20−1〜20−4)が配置されているものとする。なお、動画像配信サーバ10及び受信端末20を配置する台数は限定されないものである。
【0019】
動画像配信サーバ10は、受信端末20の要求に応じた動画像コンテンツを、受信端末20にマルチキャスト又はユニキャストで配信するものである。
【0020】
また、動画像配信サーバ10は、要求のあった動画像コンテンツの本編の前後や途中など所定位置に、CM(コマーシャル)や広告等の本編以外の動画像コンテンツ(以下、「挿入用コンテンツ」ともいう)を挿入して配信する。挿入用コンテンツの種類は限定されないものであるが、ここでは、挿入用コンテンツとしてCM動画像を適用するものとする。
【0021】
受信端末20は、ユーザの操作に応じた動画像コンテンツの配信を、動画像配信サーバ10に要求し、動画像配信サーバ10から配信される動画像のストリームデータ(動画像コンテンツ及びCM動画像を含む)を受信する受信装置である。また、受信端末20は、受信したストリームデータを出力する際には、例えば、ディスプレイ・スピーカ等の出力装置により出力するようにしても良いし、ハードディスク等の記憶媒体に記憶させるようにしても良く、その出力方法は限定されないものである。なお、受信端末20は、パソコンやセット・トップボックス、ビデオ・オン・デマンドに対応したテレビ等、既存の動画像コンテンツ受信に対応した受信装置を適用することができる。
【0022】
次に、動画像配信サーバ10の内部構成について説明する。
【0023】
動画像配信サーバ10は、要求受信部11、配信管理部12、配信部13、動画像データ蓄積部14を有している。なお、図1では、動画像配信サーバ10は、一つの装置として構成するように図示しているが、複数の装置に分けて構築するようにしても良いことは当然である。
【0024】
動画像配信サーバ10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成、及び、他の通信装置と通信をするためのインターフェースを有する装置(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、実施形態のコンテンツ配信プログラム等をインストールすることにより構築しても良く、その場合でも、機能的には上述の図1のように示すことができる。
【0025】
要求受信部11は、受信端末20からの動画像コンテンツの配信要求を受付けて、その配信要求を、配信管理部12に通知するものである。要求受信部11は、要求の正常性等を確認後に、配信管理部12に配信要求を通知するようにしても良い。
【0026】
動画像データ蓄積部14は、受信端末20に配信する動画像コンテンツのデータ及びCM動画像(挿入用コンテンツ)のデータが蓄積されている。
【0027】
配信管理部12は、要求受信部11から通知された配信要求に応じて、要求元の受信端末20へ行う動画像コンテンツやCM動画像の配信のタイミングや配信範囲、配信方法(ユニキャスト又はマルチキャスト)を、配信部13へ指示する。なお、配信管理部12の処理の詳細については、後述する。
【0028】
配信部13は、配信管理部12からの指示に従って、動画像データ蓄積部14から、動画像コンテンツ又はCM動画像のデータを取り出して、そのデータをユニキャスト又はマルチキャストで配信する。また、配信部13は、配信状況、配信位置などを配信管理部12へ配信終了時等に通知する。なお、配信部13がデータ配信する方式としては、例えば、MPEG形式のデータをRTP(Real−time Transport Protocol)等のプロトコルを用いて配信するなど、既存の動画像配信方式を適用するようにしても良い。
【0029】
次に、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0030】
配信管理部12は、現在動画像データの配信を行っている受信端末20ごとの状況を管理するための配信管理表を記憶している。そして、配信管理部12は、配信管理表の内容を用いて、各受信端末20へ配信する動画像の内容やタイミング、配信方法(ユニキャスト又はマルチキャスト)を決定している。
【0031】
図2は、配信管理部12が記憶している配信管理表の内容例について示した説明図である。
【0032】
図2に示すように配信管理表は、「管理番号」、「受信端末アドレス」、「動画像コンテンツ名」、「コンテンツ配信場所」、「配信アドレス」、「配信ポート」、「マルチキャストチャンネル」の項目の情報を有している。また、図2に示すように、配信管理表では、受信端末20ごとに上述の項目の情報を記憶している。
【0033】
「管理番号」は、配信管理表において、各行の情報を識別するものである。なお、以下では、受信端末20−1〜20−4のそれぞれに割り当てられる管理番号は、1〜4であるものとして説明する。
【0034】
「受信端末アドレス」の項目は、該当する受信端末20のIPアドレスを示している。
【0035】
「動画像コンテンツ名」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している動画像コンテンツの名称を示している。なお、ここでは、説明を簡易にするため、動画像コンテンツ名は、A1、A2等の符号により示すものとする。また、図2では、動画像コンテンツを識別する項目として「動画像コンテンツ名」を用いているが、その他の情報(例えば、コード番号等)を用いて、動画像コンテンツを識別するようにしても良い。
【0036】
「コンテンツ配信場所」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している動画像コンテンツの配信場所(位置)を示している。図2では、当該動画像コンテンツの開始時からの時間で配信場所を示している。例えば、コンテンツ配信場所の内容が「1:23」であれば現在最初から1分23秒の場所を配信していることを示している。なお、「コンテンツ配信場所」の表記形式については、その場所を特定することができればその表現方法は限定されないものであり、例えば、時間でなくフレーム数により表示するようにしても良い。
【0037】
「配信アドレス」の項目は、現在該当する受信端末20に配信している配信先のIPアドレスを示している。現在該当する受信端末20へ、ユニキャストでデータ配信している場合には、配信アドレスの内容は、受信端末アドレスと同じとなる。一方、現在該当する受信端末20へ、マルチキャストでデータ配信している場合には、配信アドレスの内容は、そのマルチキャスト配信に用いるIPアドレスが入力されることになる。
【0038】
「配信ポート」の項目は、該当する受信端末へのデータ配信に用いているポート番号を示している。
【0039】
「マルチキャストチャンネル」の項目は、現在該当する受信端末20へ、マルチキャストでデータ配信している場合に、そのマルチキャストチャンネルの識別子が入力される。マルチキャストチャンネルが同一の受信端末20へは、同一のマルチキャストのチャンネル(ストリーム)を用いて配信していることを示している。なお、ここでは、マルチキャストチャンネルは、「B1」、「B2」等の符号により表すものとする。また、該当する受信端末20へ、ユニキャストでデータ配信している場合には、マルチキャストチャンネルの項目には何も入力されないものとする。
【0040】
配信管理部12は、新たに受信端末20から配信要求があった場合には、配信管理表の内容を参照し、新たに配信要求のあった動画像コンテンツと同一のものを配信中のストリーム(以下、「既存ストリーム」という)の有無を確認する。そして、検出した既存ストリームの現在の配信場所と、配信要求に係る配信場所とを比較する。
【0041】
そして、配信管理部12は、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合には、既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信する。ただし、既存ストリームが、既にマルチキャストで配信している場合には、配信要求に係る受信端末も、そのマルチキャストのグループに参加させる。
【0042】
一方、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が異なる場合には、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始する。そして、仮に配信中のユニキャストのストリームにおいて、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を調整して、既存ストリームの配信場所と一致させる同期処理を行う。そして、配信場所の同期処理の完了後に、既存ストリームと、仮に配信中のユニキャストのストリームとを、まとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信する。
【0043】
なお、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が、所定以上の長さ離れている場合には、一つのマルチキャストのストリームにまとめることを行わず、配信要求に係るストリームを、仮ではなく継続的にユニキャストで配信するようにしても良い。上述の所定以上の長さについては限定されないものであるが、以下では、例として「10分」であるものとして説明する。
【0044】
動画像配信システム1では、動画像コンテンツにおいて一定間隔ごとにCM動画像を挿入するものとする。なお、動画像コンテンツにおいてCM動画像を挿入する場所は、一定間隔ではなく、動画像コンテンツの所定の場所(例えば、チャプターの区切り)を予めマークする等管理しておいて、マークした場所にCM動画像を挿入するようにしても良い。
【0045】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の動画像配信システム1の動作を説明する。
【0046】
まず、動画像配信サーバ10の全体の動作について説明した後に、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0047】
(A−2−1)動画像配信サーバ全体の動作
図3は、動画像配信サーバ10の全体の動作について示したフローチャートである。
【0048】
まず、受信端末20から、動画像配信サーバ10の要求受信部11に対し、配信要求がおこなわれたものとする(S101)。
【0049】
そして、要求受信部11は、要求の正常性を確認した後、配信管理部12に配信指示を通知する(S102)。
【0050】
そして、配信管理部12は、配信管理表の内容を参照し、実際のデータの配信のため配信コンテンツと配信範囲を配信部13へ指示するとともに、配信管理表の内容を更新する(S103)。
【0051】
そして、配信部13は、配信管理部12の指示に応じたデータ配信を行い(S104)、配信状況、配信位置などを配信管理部12へ配信終了時等に通知する(S105)。
【0052】
そして、配信部13からの通知を受けると、配信管理部12は、同じストリームについて次のデータ配信の有無を確認し(S106)、次に配信するデータがある場合には、上述のステップS103から動作し、無い場合にはそのストリームについての配信を終了すると共に、配信管理表の内容を更新(該当するストリームに関する情報を削除等)する。
【0053】
(A−2−2)配信管理部の処理
次に、受信端末20から動画像配信サーバ10へ動画像コンテンツの配信要求があった場合の、配信管理部12の処理の詳細について説明する。
【0054】
図4は、配信管理部12の処理について示したフローチャートである。
【0055】
要求受信部11から、配信管理部12へ配信要求の通知があると(S201)、配信管理部12は、その配信要求に係る情報を、配信管理表に追加する(S202)。
【0056】
そして、配信管理部12は、配信管理表を参照し、配信要求のあった動画像コンテンツと同じものを配信中で、配信場所の差異が所定範囲内の既存ストリームを検索する(S203)。なお、ステップS203において、配信場所の差異が所定範囲内の既存ストリームが複数存在する場合には、より配信場所が近い既存ストリームを検出するようにしても良い。
【0057】
上述のステップS203で該当する既存ストリームが無い場合には、配信管理部12は、配信要求に係る動画像コンテンツを、定期間隔でCM動画像を挟みながら、ユニキャストで配信する(S204)。
【0058】
一方、上述のステップS203において、該当する既存ストリームが検出できた場合には、配信管理部12は、配信要求に係る配信場所と、検出した既存ストリームの配信場所とを比較する(S205)。
【0059】
そして、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合には、配信管理部12は、既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S206)。
【0060】
また、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が先の場合(例えば、既存ストリームの配信場所が1:00で、配信要求に係るストリーム配信場所が0:00の場合)には、配信管理部12は、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始するように配信部13に指示する。そして、配信要求に係るストリームについて、検出した既存ストリームよりも、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を短くし、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームの配信場所を同期させるように配信部13に指示する。そして、配信場所の同期処理の完了後に、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S207)。
【0061】
さらに、上述のステップS205において、配信場所の比較の結果、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が後の時間を示している場合(例えば、既存ストリームの配信場所が1:00で、配信要求に係るストリーム配信場所が2:00の場合)には、配信管理部12は、仮に配信要求に係るストリームをユニキャストで配信を開始するように配信部13に指示する。そして、配信要求に係るストリームについて、検出した既存ストリームよりも、動画像コンテンツの間に挿入するCM動画像の時間を長くし、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームの配信場所を同期させるように配信部13に指示する。そして、配信場所の同期処理の完了後に、検出した既存ストリームと、配信要求に係るストリームとをまとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13に指示する(S208)。
【0062】
次に、上述のステップS206〜S208の処理のさらに詳細について説明する。
【0063】
[ステップS206(配信場所が一致する場合)]
まず、上述のステップS206における、配信要求に係る配信場所と、既存ストリームの配信場所が一致する場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0064】
図5は、上述のステップS206の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0065】
図5(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0066】
図5(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0067】
そして、ここでは、図5(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について「1:00」の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0068】
図5(a)において、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信しているのは、受信端末20−1(管理番号:1)と受信端末20−2(管理番号:2)であるが、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)の既存ストリームは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS206では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0069】
そして、配信管理部12は、既存ストリーム(管理番号:1)と、受信端末20−4からの配信要求に係るストリームとを、まとめて一つのマルチキャストのストリームとして配信するように配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図5(b)に示す。
【0070】
図5(b)に示すように、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームと、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについて、「配信アドレス」の項目が共通したマルチキャスト配信用のアドレスとなり、「マルチキャストチャンネル」の項目が共通したチャンネル(B1)となっている。
【0071】
[ステップS207(既存ストリームの配信場所の方が先の場合)]
次に、上述のステップS207における、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が先の場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0072】
図6は、上述のステップS207の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0073】
図6(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0074】
図6(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0075】
そして、ここでは、図6(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について最初(0:00)の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0076】
そして、図6(a)では、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信中で、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)のものは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS207では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0077】
そして、配信管理部12は、仮に受信端末20−4からの配信要求に係るストリームについてユニキャストで配信を開始するように、配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図6(b)に示す。
【0078】
ここでは、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、仮にユニキャストで配信するため、図6(b)に示すように、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、「配信アドレス」が「受信端末アドレス」と同じとなっており、「マルチキャストチャンネル」の項目は空欄となっている。また、図6(b)では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについて、配信場所が1分(1:00)となっているので、受信端末20−1(管理番号:1)の配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)の配信場所の相異は1分となる。
【0079】
そして、この後、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させるように、配信管理部12は配信部13へ指示する。
【0080】
図7は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させる例について示したタイミングチャートである。
【0081】
図7に示すように、配信管理部12では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについては、タイミングT11の時点から動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1.5分CM動画像のデータ配信するように制御することを繰り返す。一方、配信管理部12は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、タイミングT11の1分後のタイミングT12の時点から、動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1分CM動画像のデータ配信を行うように制御することを繰り返す。
【0082】
この場合、図7に示すように、タイミングT12の6分後のタイミングT13の時点で、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームの配信場所が一致(5分の位置)することになる。
【0083】
この後、配信管理部12は、タイミングT13から、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームでCM動画像のデータ配信が終了し、動画像コンテンツA1のデータ配信に戻るタイミングT14の間のいずれかのタイミングで、2つのストリームを一つのマルチキャストのストリームとしてまとめて配信するように制御する。
【0084】
この場合、配信管理部12が、マルチキャストに切り替える際には、配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避ける方が望ましい。
【0085】
例えば、配信部13が、タイミングT13の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えるようにしても良いが、その場合、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームのCM動画像が途中で途切れてしまったり、受信端末20−4(管理番号:4)側のストリームのCM動画像が途中から始まってしまうおそれがある。
【0086】
そのため、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えるタイミングは、受信端末20−1(管理番号:1)側で動画像コンテンツA1のデータ配信が再開するタイミングT14とすることが望ましい。
【0087】
図7の例では、説明を簡易にするために、タイミングT14の時点で、両ストリームのCM動画像のデータ配信が終了するように記載しているが、受信端末20−4(管理番号:4)側でCM動画像のデータ配信が途切れたりしないように、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームで動画像コンテンツA1のデータ配信が再開するタイミングにあわせて、受信端末20−4(管理番号:4)側のCM動画像データの配信が終了するように、CM動画像データの選定を行うことが望ましい。
【0088】
例えば、図7の例では、1つ30秒のCM動画像を挿入する数で、CM動画像のデータ配信の時間を調節しているが、長さの異なるCM動画像のデータを複数用意しておいて、タイミングの合う動画像データを、タイミングT14の直前に挿入するようにしても良いし、途中で途切れても支障の無い動画像データ(例えば、静止画を表示し続けるもの)をタイミングT14の直前に挿入するようにしても良い。
【0089】
図7では、タイミングT14の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えると共に、配信管理表の内容を更新している。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図6(c)に示している。
【0090】
[ステップS208(既存ストリームの配信場所の方が後の場合)]
次に、上述のステップS208における、配信要求に係る配信場所よりも、既存ストリームの配信場所の方が後の場合の配信管理部12の処理について説明する。
【0091】
図8は、上述のステップS208の処理を行った場合における、配信管理表の遷移の例について示した説明図である。
【0092】
図8(a)は、配信要求が行われる前の配信管理表の内容について示した説明図である。
【0093】
図8(a)に示すように、動画像配信システム1は、受信端末20−1〜20−3へ、それぞれユニキャストで、動画像コンテンツA1又はA2の配信を行っているものとする。
【0094】
そして、ここでは、図8(a)の状態で、新たに、受信端末20−4から動画像コンテンツA1について最初から2分後(2:00)の配信場所からの配信要求があったものとする。
【0095】
そして、図8(a)では、既存ストリームで、動画像コンテンツA1を配信中で、配信場所の差異が所定範囲内(10分以内)のものは、受信端末20−1(管理番号:1)へのストリームだけであるため、上述のステップS208では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームが検出される。
【0096】
そして、配信管理部12は、仮に受信端末20−4からの配信要求に係るストリームについてユニキャストで配信を開始するように、配信部13へ指示すると共に、配信管理表の内容を更新する。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図8(b)に示す。
【0097】
図8(b)では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについて、配信場所が1分(1:00)となっているので、受信端末20−1(管理番号:1)の配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)の配信場所の相異は1分となる。
【0098】
そして、この後、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させるように、配信管理部12は配信部13を制御する。
【0099】
図9は、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームと、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所を同期させる例について示したタイミングチャートである。
【0100】
図9に示すように、配信管理部12では、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームについては、タイミングT21の時点から動画像コンテンツA1の配信を開始し、2.5分動画像コンテンツA1についてデータ配信した後、1.5分CM動画像のデータ配信を行うことを繰り返すように制御する。
【0101】
一方、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、配信管理部12は、タイミングT21の1分後のタイミングT22の時点から、動画像コンテンツA1の配信を開始するように制御する。受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、動画像コンテンツA1の最初から2分後(2:00)の配信場所から配信を開始するため、配信場所が2.5分(2:30)になった時点(タイミングT22から0.5分経過した時点)で、CM動画像が挿入される場所となり、2分間のCM動画像データの配信を行う。そして、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームについては、その後、受信端末20−1(管理番号:1)側のストリームと同期がとれるまで、2.5分の動画像コンテンツのデータ配信と、2分のCM動画像のデータ配信を繰り返す。
【0102】
この場合、図9に示すように、タイミングT21の6.5分後のタイミングT23の時点で、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームの配信場所と、受信端末20−4(管理番号:4)のストリームの配信場所が一致(5分の位置)することになる。
【0103】
この後、配信管理部12は、タイミングT23から、受信端末20−1(管理番号:1)のストリームでCM動画像のデータ配信が終了し、動画像コンテンツA1のデータ配信に戻るタイミングT24の間のいずれかのタイミングで、2つのストリームを一つのマルチキャストのストリームとしてまとめて配信するように、配信部13に指示する。
【0104】
この場合、上述のステップS207と同様に、配信管理部12が、マルチキャストに切り替える際には、配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避けるように制御することが望ましい。
【0105】
図9では、タイミングT24の時点で、両ストリームを一つのマルチキャストに切り替えると共に、配信管理表の内容を更新している。このとき更新された後の配信管理表の内容を、図8(c)に示している。
【0106】
以上のように、配信管理部12が動画像コンテンツの間の挿入するCM動画像の時間を調整する処理を行うことにより、初期には、配信場所のタイミングが異なる複数のストリームの配信場所を同期させることができる。
【0107】
上述の図7、図9では、一つの既存ストリームに、配信要求のあった一つストリームを同期させる動作について説明したが、一つの既存ストリームに、複数のストリームを同時に同期させる場合でも、基準となる一つの既存ストリームに対して、それぞれのストリームの配信場所を同期させていく処理でよく、個々のストリームに対する処理は、上述の図7及び図9と同様の処理により行うことができる。
【0108】
また、上述の図7、図9では、ユニキャストにより配信している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームの配信場所を同期させる処理について説明したが、既存ストリームがマルチキャストであった場合でも、両ストリームの配信場所を同期させる処理内容は変わらないので、上述の図7及び図9と同様の処理により行うことができる。
【0109】
さらに、上記の実施形態では、ユニキャストにより配信している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームの配信場所を同期させる際に、新たに配信要求のあったストリームに挿入するCM動画像の時間を調節していたが、既存ストリームの側を調節するようにしても良いし、両ストリームについて調節するようにしても良い。
【0110】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0111】
動画像配信サーバでは、同一の動画像コンテンツを配信するストリームについては、配信場所が異なる場合には、CM動画像を挿入する長さを調整することにより配信場所を同期させた上で、まとめて一つのマルチキャストのストリームで配信している。これにより、従来技術のように受信端末側で特にバッファを持たせることなく、受信端末に対して即時に動画像コンテンツの配信を開始しつつ、動画像配信サーバが配信するストリームの本数を低減させ、動画像配信サーバやネットワークにかかる負荷やコストを低減させることができる。
【0112】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるコンテンツ配信装置及びプログラム、並びに、コンテンツ配信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第2の実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置及びコンテンツ配信システムを、動画像配信サーバ及び動画像配信システムに適用した例について説明している。
【0113】
(B−1)第2の実施形態の構成及び動作
第1の実施形態では、既に配信を開始している既存ストリームと、新たに配信要求のあったストリームとの間で配信場所が異なる場合に、配信場所を同期させるものであった。これに対して、第2の実施形態では、配信要求のあったストリームの配信要求タイミングが異なる場合でも、動画像コンテンツの配信開始時を同期させる点で異なっている。
【0114】
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異について説明する。
【0115】
第2の実施形態の動画像配信システムについても、上述の図1と同様の図面により示すことができる。
【0116】
第2の実施形態では、同一の動画コンテンツについて配信要求する受信端末20が、異なるタイミングで動画像配信サーバ10に配信要求をしてきた場合、早く配信要求をした受信端末20については、動画像コンテンツのデータ配信を行う前に長めにCM動画像のデータ配信を行い、遅く配信要求をしてきた受信端末20については、動画像コンテンツのデータ配信を行う前に短めにCM動画像のデータ配信を行う。これにより、受信端末20が、異なるタイミングで配信要求をしてきた場合でも、動画像コンテンツのデータ配信を開始するタイミングを同期させることができる。
【0117】
動画像配信サーバ10は、動画コンテンツのデータ配信前のCM動画像のデータ配信についてはユニキャストで行い、動画像コンテンツのデータ配信を一斉に開始する際には、一つのマルチキャストのストリームで配信するようにしても良い。
【0118】
動画像配信サーバ10において、CM動画像のデータ配信から、動画像コンテンツのデータ配信に切り替えるタイミングについては、例えば、同一の配信要求を行った受信端末20の数が所定の数に達した場合等のタイミングを基準としても良い。また、動画像コンテンツを配信する前に挿入するCM動画像の長さには、最大値を設けて、その最大値に達する受信端末20があった場合には、その後の受信端末20の配信要求を待たずに、既に配信要求のあった受信端末20に対して一つのマルチキャストのストリームで配信を開始してしまうようにしても良い。
【0119】
図10は、第2の実施形態の動画像配信サーバ10の動作の例について示したタイミングチャートである。
【0120】
図10では、受信端末20−1〜20−4から、同一の動画像コンテンツの配信要求が、異なるタイミングであった場合に、動画像配信サーバ10がデータ配信する動作について示している。
【0121】
図10では、同一の動画像コンテンツについて、少なくとも4つ受信端末20から配信要求があったタイミングを基準として、それらの受信端末20に対して、一つのマルチキャストのストリームで動画像コンテンツのデータ配信を行う例について示している。
【0122】
図10では、まず、受信端末20−1からタイミング31の時点で動画像コンテンツの配信要求があり、その後、タイミング32の時点で受信端末20−2、タイミングT33の時点で受信端末20−3、タイミングT34の時点で受信端末20−4から、それぞれ動画像コンテンツの配信要求があった場合について示している。
【0123】
そして、タイミングT34の時点で、同一の動画像コンテンツに対する配信要求の数が4つに達するため、動画像配信サーバ10は、タイミングT34以降のいずれかのタイミングで、CM動画像のデータ配信から、マルチキャストによる動画像コンテンツのデータ配信を開始する。
【0124】
ただし、上述の図7及び図9の場合と同様に、動画像配信サーバ10が、マルチキャストに切り替える際には、既に配信しているCM動画像データが途中で途切れてしまうこと等はできるだけ避ける方が望ましい。
【0125】
そのため、受信端末20へのストリームを動画像コンテンツのデータ配信に切り替えるタイミングは、同一の動画像コンテンツに対する配信要求の数が4つに達したタイミングT34の時点ですぐに行うのではなく、タイミングT34以降で、全ての受信端末20においてCM動画像データが途切れない(若しくは、途切れても支障のない場所)となるように調節することが望ましい。
【0126】
例えば、動画像配信サーバ10において、タイミングT34の時点を基準として所定の時間後のタイミング(図10では、タイミングT35)を決定し、上述の図7及び図9の場合と同様に、そのタイミング(タイミングT35の時点)で、CM動画像データの配信が終了する(若しくは、途切れても支障のない)ように、CM動画像データの選定を行うことが望ましい。
【0127】
(B−2)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0128】
第1の実施形態では、新規に配信要求のあったストリームについて、既存ストリームと同期させた上でマルチキャスト配信に切り替えるのみであったが、第2の実施形態では、動画像コンテンツの配信を開始する時点でも同期させることができるので、第1の実施形態よりも、マルチキャストに集約できる可能性が高くなり、動画像配信サーバやネットワークにかかる負荷やコストを、より低減させることができる。
【0129】
第2の実施形態における、動画像コンテンツを開始する時点でも同期させる処理については、例えば、受信端末が、映画館で映画を上映するための装置である場合に好適なものである。例えば、動画像コンテンツの本編の上映を開始する時間を複数の映画館で同期させ、一つのマルチキャストのストリームにより配信することにより、各映画館で必ず決まった時間に上映を開始するのではなく、映画館に一定人数がそろった段階で動画像コンテンツの配信を開始する等調整することができる。
【0130】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0131】
(C−1)上記の各実施形態において、一旦複数の受信端末に対して一つのマルチキャストのストリームでデータ配信を開始した後に、一部の受信端末において、早送りや牧戻し等配信場所がずれる操作(例えば、VCR操作等)を行った場合には、配信場所がずれた受信端末だけをマルチキャストのグループからはずして、ユニキャストでデータ配信するようにしても良い。
【0132】
(C−2)上記の各実施形態では、各受信端末へのデータ配信は、ユニキャスト又はマルチキャストで配信する例について説明したが、ユニキャストを用いずに全てマルチキャストで行うようにしても良い。例えば、上記の各実施形態において、ある受信端末にユニキャストでデータ配信するものについて、その受信端末だけが参加するマルチキャストのグループを作って配信するようにしても良い。その場合、2つのマルチキャストのストリームをまとめて一つのマルチキャストで配信する際には、いずれか一方の受信端末が、他方のマルチキャストのグループに参加するようにすれば良いことになる。
【0133】
(C−3)上記の各実施形態では、本発明のコンテンツ配信装置を、動画像コンテンツを配信する動画像配信サーバに適用する例について説明したが、音声データを配信するコンテンツとして適用するようにしても良い。すなわち本発明のコンテンツ配信装置が配信するコンテンツは、少なくとも動画像データ又は音声データのいずれかが含まれていれば良い。
【0134】
(C−4)第2の実施形態では、第1の実施形態の処理に加えて、動画像コンテンツの配信を開始させるタイミングについても複数のストリームを同期させる処理について説明したが、第1の実施形態における挿入するCM動画像の長さを調節して複数のストリームの配信場所を同期させる処理を省略した構成としても良い。
【0135】
(C−5)上記の各実施形態では、動画像配信サーバにおいて、動画像コンテンツ本編に挿入するCM動画像の長さを調整して、複数のストリームの配信場所の同期を行っているが、逆に動画像コンテンツの本編の長さを調節して配信場所を同期させるようにしても良い。例えば、動画像コンテンツにおいて、配信を省略しても良い範囲を予め管理しておくことにより、動画像コンテンツ自体の長さを調節するようにしても良い。
【符号の説明】
【0136】
1…動画像配信システム(コンテンツ配信システム)、10…動画像配信サーバ(コンテンツ配信装置)、11…要求受信部、12…配信管理部、13…配信部、14…動画像データ蓄積部、20、20−1〜20−4…受信端末(受信装置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置において、
コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、
上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段と
を有することを特徴とするコンテンツ配信装置。
【請求項2】
当該コンテンツ配信装置が、受信装置から新規にコンテンツ本編の配信要求を受付けると、配信要求を受付けた新規要求ストリームと同一のコンテンツ本編を配信中のストリームを検索するストリーム検索手段をさらに有し、
上記配信位置同期手段は、挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、上記新規要求ストリームの配信位置と、上記検出ストリームの配信位置とを同期させ、
上記配信手段は、上記新規要求ストリームの配信位置と上記検出ストリームの配信位置とが同期している場合に、上記新規要求ストリームと上記検出ストリームとを、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項3】
上記配信位置同期手段は、上記検出ストリームの配信位置が、上記新規要求ストリームの配信開始位置よりも先である場合には、上記新規要求ストリームに挿入する挿入用コンテンツの長さを、上記検出ストリームよりも短くすることにより、配信位置を同期させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項4】
上記配信位置同期手段は、上記検出ストリームの配信位置が、上記新規要求ストリームの配信開始位置よりも後である場合には、上記新規要求ストリームに挿入する挿入用コンテンツの長さを、上記検出ストリームよりも長くすることにより、配信位置を同期させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンテンツ配信装置。
【請求項5】
上記配信位置同期手段は、同一のコンテンツ本編の配信を要求した複数のストリームのそれぞれについて、配信要求を受付けたタイミングが早いほど、コンテンツ本編のデータ配信を行う前に挿入する挿入用コンテンツを長くし、上記複数のストリームについてコンテンツ本編の配信を開始させるタイミングを同期させ、
上記配信手段は、上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信を開始させるタイミングが同期された上記複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめてコンテンツ本編の配信を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項6】
複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置に搭載されたコンピュータを、
コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、
上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段と
して機能させることを特徴とするコンテンツ配信プログラム。
【請求項7】
複数の受信装置と、上記受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置を備えたコンテンツ配信システムにおいて、
上記コンテンツ配信装置として請求項1〜5のいずれかに記載されたコンテンツ配信装置を適用したこと
を特徴とするコンテンツ配信システム
【請求項1】
複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置において、
コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、
上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段と
を有することを特徴とするコンテンツ配信装置。
【請求項2】
当該コンテンツ配信装置が、受信装置から新規にコンテンツ本編の配信要求を受付けると、配信要求を受付けた新規要求ストリームと同一のコンテンツ本編を配信中のストリームを検索するストリーム検索手段をさらに有し、
上記配信位置同期手段は、挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、上記新規要求ストリームの配信位置と、上記検出ストリームの配信位置とを同期させ、
上記配信手段は、上記新規要求ストリームの配信位置と上記検出ストリームの配信位置とが同期している場合に、上記新規要求ストリームと上記検出ストリームとを、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項3】
上記配信位置同期手段は、上記検出ストリームの配信位置が、上記新規要求ストリームの配信開始位置よりも先である場合には、上記新規要求ストリームに挿入する挿入用コンテンツの長さを、上記検出ストリームよりも短くすることにより、配信位置を同期させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項4】
上記配信位置同期手段は、上記検出ストリームの配信位置が、上記新規要求ストリームの配信開始位置よりも後である場合には、上記新規要求ストリームに挿入する挿入用コンテンツの長さを、上記検出ストリームよりも長くすることにより、配信位置を同期させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンテンツ配信装置。
【請求項5】
上記配信位置同期手段は、同一のコンテンツ本編の配信を要求した複数のストリームのそれぞれについて、配信要求を受付けたタイミングが早いほど、コンテンツ本編のデータ配信を行う前に挿入する挿入用コンテンツを長くし、上記複数のストリームについてコンテンツ本編の配信を開始させるタイミングを同期させ、
上記配信手段は、上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信を開始させるタイミングが同期された上記複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめてコンテンツ本編の配信を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信装置。
【請求項6】
複数の受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置に搭載されたコンピュータを、
コンテンツ本編の前、及び又は、コンテンツ本編の途中に挿入する挿入用コンテンツの長さを調節することにより、同一のコンテンツ本編を配信する複数のストリームについて、配信位置を同期させる配信位置同期手段と、
上記配信位置同期手段により、コンテンツ本編の配信位置が同期された複数のストリームについて、一つのマルチキャストのストリームにまとめて配信する配信手段と
して機能させることを特徴とするコンテンツ配信プログラム。
【請求項7】
複数の受信装置と、上記受信装置から要求されたコンテンツ本編をストリーム配信するコンテンツ配信装置を備えたコンテンツ配信システムにおいて、
上記コンテンツ配信装置として請求項1〜5のいずれかに記載されたコンテンツ配信装置を適用したこと
を特徴とするコンテンツ配信システム
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−176730(P2011−176730A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40512(P2010−40512)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】
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