説明

コントローラおよびコントローラプログラム

【課題】 AVRCPの制御コマンドに対応しておらず、HFP/HSPに対応している再生装置に対して、ヘッドセットがユーザによる音声入力を要することなく再生装置を制御する。
【解決手段】 ヘッドセットは、ユーザ操作に基づく指示に対応した制御用音声ファイルをROM3に記憶している。再生装置がAVRCPに対応している場合には、ヘッドセットは、第1モードに設定し、入力された指示に対応するAVRCPの制御コマンドを再生装置に送信する。一方、再生装置がAVRCPに対応していない場合には、ヘッドセットは、第2モードに設定し、AVRCPの制御コマンドの代わりに、入力された指示に対応する制御用音声ファイルを読み出して再生し、その音声データをHFP/HSPを用いて再生装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置を制御するコントローラおよびコントローラプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
音楽ファイルを記録可能なフラッシュメモリ等の記憶媒体を備えるコンテンツ再生装置と、ヘッドセットとを備えるコンテンツ再生システムが利用されている。コンテンツ再生装置は、音楽ファイルを再生し、音楽データをBluetooth等の無線伝送を使用してヘッドセットに送信する。ヘッドセットは、音楽データを受信して、ヘッドフォンから音声を出力する。Bluetoothには、A2DP、AVRCP、および、HFP/HSP等の多数のプロファイルが規定されている。
【0003】
A2DP(Advanced Audio
Distribution Profile)は、高音質のステレオ音声を無線伝送するプロファイルである。AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)は、オーディオ機器等を制御する制御コマンドを無線伝送するプロファイルである。AVRCPにはバージョンが存在し、バージョンによって処理を実行できる制御コマンドの種類が異なる。HFP(Hands-Free Profile)およびHSP(Headset Profile)は、ヘッドセットとの間でモノラル音声の通話を行うプロファイルである。
【0004】
ヘッドセットは、コンテンツ再生装置を制御するコントローラとして機能し、AVRCPや、HFP/HSPといったプロファイルを用いて、コンテンツ再生装置を制御する。コンテンツ再生装置には、HFP/HSPには対応しているが、AVRCPには対応していないものが存在する。このようなコンテンツ再生装置には、AVRCPの代わりに、HFP/HSPを用いてヘッドセットからコンテンツ再生装置に制御用の音声データを送信し、コンテンツ再生装置を制御する必要がある。つまり、ユーザがヘッドセットのマイクに向かってコンテンツ再生装置を制御するための音声を発声し(例えば、コンテンツ再生装置に音楽ファイルを再生させる場合、ユーザがマイクに向かってサイセイやプレイといった音声を発声し)、マイクに入力された音声がHFP/HSPを用いて、コンテンツ再生装置に送信される。
【0005】
同様に、コンテンツ再生装置には、HFP/HSPに加えAVRCPにも対応しているものの、AVRCPの一部の制御コマンドに対応して処理を実行することができないものが存在する。従って、コンテンツ再生装置が対応していないAVRCPの制御コマンドでコンテンツ再生装置を制御する場合には、AVRCPの代わりに、HFP/HSPを用いてユーザのマイクへの音声入力によってヘッドセットからコンテンツ再生装置に制御用の音声データを送信し、コンテンツ再生装置を制御する必要がある。
【0006】
ここで、AVRCPの制御コマンドの代わりに、HFP/HSPを用いてユーザのマイクへの音声入力によってヘッドセットからコンテンツ再生装置に制御用の音声データを送信する場合には、雑音の多い環境下ではマイクが雑音を集音してしまうので、コンテンツ再生装置を正常に制御することが困難になる。また、公共の場において、ユーザがAVRCPの制御コマンドの代わりに、マイクに向かってコンテンツ再生装置を制御するための音声を発声することは、ユーザにとって非常に恥ずかしく、抵抗があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−235935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、制御コマンドに対応して処理を実行することができないが、制御用音声データに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置に対して、ユーザによる音声入力を要することなくコンテンツ再生装置を制御することができるコントローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によるコントローラは、少なくとも制御用音声データに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置を制御するコントローラであって、前記コンテンツ再生装置と接続する接続手段と、ユーザ操作に基づく指示に対応した制御用音声ファイルを記憶する音声ファイル記憶部と、前記コンテンツ再生装置を制御するユーザ操作に応じて、ユーザ操作に基づく指示に対応した前記制御用音声ファイルを前記音声ファイル記憶部から読み出して再生する再生手段と、再生した制御用音声データを前記コンテンツ再生装置に送信する制御手段とを備える。
【0010】
コントローラは、ユーザ操作に基づく指示に対応した制御用音声ファイルを記憶しており、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合、入力された指示に対応する制御用音声ファイルを再生し、再生した音声データをコンテンツ再生装置に送信する。従って、制御コマンドに対応して処理を実行することができないが、制御用音声データに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置に対して、ユーザによる音声入力を要することなくコンテンツ再生装置を制御することができる。
【0011】
好ましい実施形態においては、前記制御手段が、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、前記指示に対応する制御コマンドを前記コンテンツ再生装置に送信し、前記コンテンツ再生装置を制御する第1モードと、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、前記制御コマンドの代わりに、前記指示に対応する前記制御用音声ファイルを用いて前記コンテンツ再生装置を制御する第2モードとを有する。
【0012】
この場合、制御コマンドに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置に対しては制御コマンドを送信してコンテンツ再生装置を制御することができ、制御コマンドに対応して処理を実行することができないコンテンツ再生装置に対しては制御コマンドの代わりに制御用音声ファイル使用してコンテンツ再生装置を制御することができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、前記コンテンツ再生装置から、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かの情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した情報に基づいて、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができると判断された場合、前記制御手段が、前記第1モードで前記コンテンツ再生装置を制御し、前記受信手段が受信した情報に基づいて、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができないと判断された場合、前記制御手段が、前記第2モードで前記コンテンツ再生装置を制御する。
【0014】
この場合、コンテンツ再生装置から受信した情報に基づいて、コンテンツ再生装置が制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かを判断することができるので、ユーザ操作によって第1モードおよび第2モードのいずれかのモードに設定する指示を入力する必要がなく、操作を簡易化することができる。
【0015】
好ましい実施形態においては、ユーザ操作に応じて、前記第1モードおよび前記第2モードのいずれか一方に設定するモード設定手段をさらに備え、前記制御手段が、前記モード設定手段によって設定された方のモードで前記コンテンツ再生装置を制御する。
【0016】
この場合、コンテンツ再生装置が制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かの情報をコンテンツ再生装置から取得できない場合であっても、制御コマンドに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置に対しては制御コマンドを送信してコンテンツ再生装置を制御することができ、制御コマンドに対応して処理を実行することができないコンテンツ再生装置に対しては制御コマンドの代わりに制御用音声ファイルを使用してコンテンツ再生装置を制御することができる。
【0017】
好ましい実施形態においては、前記コンテンツ再生装置から、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができる指示に関する情報を受信する受信手段と、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができるか否かを、前記受信手段が受信した情報に基づいて判断する判断手段と、入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができると判断された場合、前記制御手段が前記第1モードで前記コンテンツ再生装置を制御し、入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができないと判断された場合、前記制御手段が前記第2モードで前記コンテンツ再生装置を制御する。
【0018】
この場合、コンテンツ再生装置が制御コマンドに対応して処理を実行することができる指示がユーザ操作によって入力された場合には、制御コマンドをコンテンツ再生装置に送信し、コンテンツ再生装置が制御コマンドに対応して処理を実行することができない指示がユーザ操作によって入力された場合には、制御コマンドの代わり制御用音声ファイルを再生し、再生した音声データをコンテンツ再生装置に送信することができる。
【0019】
好ましい実施形態においては、前記第1モードがBluetoohのAVRCPの制御コマンドを使用したモードであり、前記第2モードがBluetoohのHSPまたはHFPの制御用の音声データを使用したモードである。
【発明の効果】
【0020】
上記構成を有することによって、制御コマンドに対応して処理を実行することができないが、制御用音声データに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置に対して、ユーザによる音声入力を要することなくコンテンツ再生装置を制御することができるコントローラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるヘッドセット100と再生装置200を示すブロック図である。
【図2】ヘッドセット100が対応している制御コマンドを示す図である。
【図3】ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【図4】再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートである。
【図5】ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【図6】再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートである。
【図7】ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートである。
【図8】再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートである。
【図9】再生装置200が対応している制御コマンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0023】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるコンテンツ再生システムを示す概略ブロック図である。コンテンツ再生システムは、ヘッドセット100と、コンテンツ再生装置(以下、単に再生装置という。)200とを備える。ヘッドセット100と再生装置200とは、例えば、Bluetooth等の任意の通信規格によって相互に接続可能である。再生装置200は、自身が記録している音楽フィルを再生し、再生した音楽データをBluetooth経由でヘッドセット100に送信する。ヘッドセット100は、再生装置200から送信された音楽データを受信し、ヘッドフォンから音声を出力する。ヘッドセット100は、再生装置200を制御するコントローラとして機能する。
【0024】
上記の通り、Bluetoothには、A2DP、AVRCP、HFP/HSP等のプロファイルが規定されている。再生装置200には、AVRCPに対応しておらず、A2DPとHFP/HSPとに対応しているものや、A2DPとAVRCPとHFP/HSPとに対応しているが、AVRCPの一部の制御コマンドに対応して処理を実行することができないものが存在する。
【0025】
ヘッドセット100は、AVRCPの制御コマンドに対応した制御用音声ファイルをROM内に予め記憶している。ヘッドセット100は、ユーザ操作によって再生装置100を制御する指示が入力された場合、入力された指示に対応するAVRCPの制御コマンドを再生装置200に送信する代わりに、入力された指示に対応する制御用音声ファイルをROMから読み出して再生し、再生した音声データをHFP/HSPを用いて、再生装置200に送信し、再生装置200を制御する。従って、ユーザがマイクに向かって再生装置200を制御するための音声を発声する必要なく、HFP/HSPを用いて再生装置200を制御することができる。
【0026】
図1に示すように、ヘッドセット100は、CPU1と、RAM2と、ROM3と、通信部4と、再生部5と、ヘッドフォン6と、マイク7と、操作部8とを概略備える。CPU1は、ROM3に格納されているヘッドセット(コントローラ)の動作プログラムに基づいてヘッドセット100の各部を制御する。
【0027】
ROM3には、制御用音声ファイルが予め格納されている。制御用音声ファイルは、ユーザ操作に応じて入力される再生装置200を制御する指示に対応する音声を、所定の圧縮フォーマット及び所定のビットレートで、エンコードしたファイルである。ユーザ操作によって再生装置200を制御する指示が入力されたとき、入力された指示に対応する制御用音声ファイルが、ROM3から読み出されて再生され、HFP/HSPを使用して再生装置200に送信される。
【0028】
通信部4は、再生装置200の通信部18と接続して通信し、各種の制御コマンドや、制御用の音声データ、音楽データ等を再生装置200との間で送受信する。通信部4は、本例においては、Bluetoothの無線送受信機である。再生部5は、通信部4が再生装置200から受信した音楽データを再生(例えば、デコード、D/A変換、音量調整、増幅等)し、ヘッドフォン6から音声を出力する。マイク7は、ユーザの発声する音声を集音し、CPU1に供給する。
【0029】
操作部8は、再生装置200を制御するためのユーザ操作に基づく指示が入力されるものであり、ヘッドセット100の筐体に設けられた操作ボタン等である。ユーザ操作に基づく指示として、例えば、図2に示すように、「再生」、「停止」、「再生状態取得」、「トラックアップ/ダウン」、「早送り/早戻し」、「リピート設定」、「ランダム再生設定」等が存在する。
【0030】
CPU1は、再生装置200を制御するユーザ操作に応じて、ユーザ操作に基づく指示に対応した制御用音声ファイルを読み出して再生部5に再生させ、再生した制御用音声データを、通信部4を介して再生装置200に送信する。CPU1は、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、指示に対応するAVRCPの制御コマンドを再生装置200に送信し、再生装置200を制御する第1モードと、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、AVRCPの制御コマンドの代わりに、指示に対応する制御用音声ファイルを再生し、HFP/HSPを用いて、再生装置200を制御する第2モードとを有する。
【0031】
CPU1は、再生装置200から、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かの情報を受信する。CPU1は、再生装置200から受信した情報に基づいて、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができると判断すると、第1モードで再生装置200を制御する。一方、CPU1は、再生装置200から受信した情報に基づいて、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができないと判断すると、第2モードでHFP/HSPを用いて再生装置200を制御する。
【0032】
再生装置200は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、フラッシュメモリ等のコンテンツ記憶部14と、再生部15と、表示部16と、操作部17と、通信部18とを概略備える。CPU11は、ROM13に格納されている再生装置の動作プログラムに基づいて再生装置200の各部を制御する。
【0033】
フラッシュメモリ14には複数の音楽ファイルが記録されている。再生部15は、フラッシュメモリ14に記録されている音楽ファイルを再生し、通信部18を介してヘッドセット100に音楽データを送信する。表示部16は、再生中の音楽ファイルのコンテンツ情報(曲名、アーティスト名等)を表示する。操作部17は、ユーザ操作に基づく指示が入力されるものであり、再生装置200の筐体に設けられた操作ボタン等である。通信部18は、ヘッドセット100の通信部4と通信し、各種の制御コマンドや、制御用の音声データ、音楽データ等をヘッドセット100との間で送受信する。通信部18は、本例においては、Bluetoothの無線送受信機である。
【0034】
以下、本実施形態の動作を説明する。図3は、ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートである。図4は、再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートである。ヘッドセット100と再生装置200とがBluetoothによって接続すると、再生装置200のCPU11は、再生装置200が対応しているプロファイルの情報を例えばSPP(Serial Port Profile)を用いてヘッドセット100に送信する(S101)。ヘッドセット100のCPU1は、再生装置200から、再生装置200が対応しているプロファイルの情報を受信し、RAM2に保存する(S1)。例えば、ヘッドセット200が、A2DPと、AVRCPと、HFP/HSPとに対応している場合には、A2DPと、AVRCPと、HFP/HSPとの情報が送信される。ヘッドセット200が、A2DPと、HFP/HSPとに対応している場合には、A2DPと、HFP/HSPとの情報が送信される。
【0035】
ヘッドセット100のCPU1は、再生装置200がAVRCPに対応して処理を実行することができるか否かを、S1で受信した情報に基づいて判断する(S2)。再生装置200がAVRCPに対応して処理を実行できると判断された場合(S2でYES)、CPU1は、制御モードを第1モードに設定する。第1モードは、上記の通り、AVRCPの制御コマンドを用いて再生装置200を制御するモードである。
【0036】
一方、再生装置200がAVRCPに対応して処理を実行することができないと判断された場合(S2でNO)、CPU1は、制御モードを第2モードに設定する(S3)。第2モードは、上記の通り、AVRCPの制御コマンドの代わりに、ROM3に格納されている制御用音声ファイルを再生し、再生した音声データをHFP/HSPを用いて再生装置200に送信し、再生装置200を制御するモードである。CU1は、HFP/HSPで通信する旨の情報(例えばoutcalling setup)を再生装置200に送信する(S4)。
【0037】
再生装置200のCPU11は、HFP/HSPで通信する旨の情報を受信したか否かを判断している(S102)。受信した場合(S102でYES)、CPU11は、ヘッドセット100とHFP/HSPを用いて通信するための準備や設定を実行する(S103)。なお、このような準備や設定が不要である場合には、S4やS102、S103の処理は省略されるとよい。
【0038】
ヘッドセット100のCPU1は、ユーザ操作によって再生装置200を制御する指示が入力されたか否かを判断している(S6)。つまり、ユーザによって操作部8が操作されたか(操作ボタンが押されたか)否かが判断される。入力された場合(S6でYES)、CPU1は、制御モードが第2モードに設定されているか否かを判断する(S7)。
【0039】
制御モードが第1モードに設定されている場合(S7でNO)、CPU1は、入力された指示に対応するAVRCPの制御コマンドを、AVRCPを用いて再生装置200に送信する(S10)。例えば、「再生」指示が入力された場合、「再生」に対応するAVRCPの制御コマンドを再生装置200に送信する。再生装置200は、AVRCPの制御コマンドを受信すると、受信した制御コマンドに応じた処理を実行する(図示せず)。例えば、「再生」の制御コマンドを受信すると、再生装置200は、音楽ファイルの再生を開始する。
【0040】
一方、第2モードに設定されている場合(S7でYES)、CPU1は、入力された指示に対応する制御用音声ファイルをROM3から読み出し(S8)、読み出された音声ファイルを再生部5に再生させ、再生した音声データをHFP/HSPを用いて、再生装置200に送信する(S9)。例えば、「再生」指示が入力された場合、「再生」に対応する制御用音声ファイル(例えば、サイセイ又はプレイといった音声)が再生され、HFP/HSPを用いて再生装置200に送信される。
【0041】
再生装置200のCPU11は、HFP/HSPの制御用の音声データを受信したか否かを判断している(S104)。受信した場合(S104でYES)、CPU11は、受信した制御用の音声データに応じた処理を実行する(S105)。例えば、「サイセイ又はプレイ」といった音声データを受信すると、CPU11は音楽ファイルの再生を開始する。
【0042】
以上の処理によって、再生装置200がAVRCPに対応して処理を実行することができない場合には、ヘッドセット100はAVRCPの代わりにROM3に格納されている音声ファイルを再生して、HFP/HSPを用いて再生装置200に送信する。従って、ユーザがマイクに向かって発声する必要がなく、マイクで雑音を拾ってしまい正常に再生装置200を制御できないという問題を解決できる。
【0043】
次に、本発明の別の好ましい実施形態による処理を説明する。本例では、ヘッドセット100のCPU1は、ユーザ操作に応じて第1モードおよび第2モードのいずれか一方に設定し、設定された方のモードで再生装置200を制御する。
【0044】
図5は、ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートであり、図3と同一の処理には同一の符号を付し説明を省略する。図6は、再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートであり、図4と同一の処理には同一の符号を付し説明を省略する。ヘッドセット100のCPU1は、ユーザ操作によって第2モードに移行する指示が入力されたか否かを判断している(S11)。入力されなければ(S11でNO)、処理はS12に進む。
【0045】
一方、入力された場合(S11でYES)、CPU1は、制御モードを第2モードに設定する(S3)。CU1は、HFP/HSPで通信する旨の情報を再生装置200に送信する(S4)。再生装置200のCPU11は、HFP/HSPで通信する旨の情報を受信したか否かを判断している(S102)。受信した場合(S102でYES)、CPU11は、ヘッドセット100とHFP/HSPを用いて通信するための準備や設定を実行する(S103)。
【0046】
ヘッドセット100のCPU1は、ユーザ操作によって第1モードに移行する指示が入力されたか否かを判断している(S12)。入力されない場合(S12でNO)、処理はS6に進む。一方、入力された場合(S12でYES)、CPU1は、制御モードを第1モードに設定する。その他の処理は、図3、図4の処理と同じであるので、説明を省略する。なお、本例において、デフォルトの制御モードとして第1モードに設定されていてもよく、第2モードに設定されていてもよい。
【0047】
以上のように、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かの情報を再生装置200から取得できない場合であっても、ユーザ操作によって制御モードを設定することができる。
【0048】
次に、本発明のさらに別の好ましい実施形態による処理を説明する。本例では、ヘッドセット100のCPU1は、再生装置200から、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができる指示に関する情報を受信する。CPU1は、ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、入力された指示のAVRCPの制御コマンドに再生装置200が対応して処理を実行することができるか否かを、再生装置200から受信した情報に基づいて判断する。入力された指示のAVPCPの制御コマンドに再生装置200が対応して処理を実行することができると判断された場合、CPU1は第1モードでAVRCPを用いて再生装置200を制御する。一方、入力された指示のAVPCPの制御コマンドに再生装置200が対応して処理を実行することができないと判断された場合、CPU1は第2モードでHFP/HSPを用いて再生装置200を制御する。
【0049】
図7は、ヘッドセット100のCPU1の処理を示すフローチャートであり、図8は、再生装置200のCPU11の処理を示すフローチャートである。ヘッドセット100と再生装置200とが接続すると、再生装置200の制御部11は、再生装置200が対応しているAVRCPの制御コマンドの情報をヘッドセット200に、例えばSPP(Serial Port Profile)を用いて送信する(S111)。例えば、ヘッドセット100および再生装置200は、Player Feature Bitmaskで自身が対応しているAVRCPの制御コマンドの情報を管理している。例えば、図9に示すように、再生装置200がAVRCPの「再生」および「停止」のコマンドのみに対応している場合、AVRCPの「再生」および「停止」に対応している旨の情報が再生装置200からヘッドセット100に送信される。
【0050】
ヘッドセット100のCPU1は、再生装置200が対応しているAVRCPの制御コマンドの情報を再生装置200から受信し、RAM2に保存する(S21)。CPU1は、ユーザ操作によって再生装置200を制御する指示が入力されたか否かを判断している(S22)。入力された場合(S22でYES)、CPU1は、入力された指示に対するAVRCPの制御コマンドに再生装置200が対応しているか否かを、S21でRAM2に記憶した情報に基づいて判断する(S23)。
【0051】
入力された指示に対するAVRCPの制御コマンドに再生装置200が対応していると判断された場合(S23でYES)、CPU1は、制御モードを第1モードに設定し、入力された指示に対するAVRCPの制御コマンドを、AVRCPを用いて再生装置200に送信する(S26)。例えば、「再生」の指示が入力された場合、図9に示すように、「再生」のAVRCPの制御コマンドに再生装置200は対応している。従って、「再生」のAVRCPの制御コマンドが再生装置200に送信される。
【0052】
再生装置200のCPU11は、AVRCPの制御コマンドを受信したか否かを判断している(S112)。受信した場合(S112でYES)、CPU11は、受信したAVRCPの制御コマンドに応じて処理を実行する(S113)。例えば、「再生」のAVRCPの制御コマンドを受信した場合、CPU11は音楽ファイルの再生を実行する。
【0053】
一方、S23において、入力された指示に対するAVRCPの制御コマンドに再生装置200が対応していないと判断された場合(S23でNO)、CPU1は、制御モードを第2モードに設定し、入力された指示に対応する制御用音声ファイルをROM3から読み出し(S24)、読み出された音声ファイルを再生部5に再生させ、再生した音声データをHFP/HSPを用いて、再生装置200に送信する(S25)。例えば、「早送り」指示が入力された場合、図9に示すように、「早送り」のAVRCPの制御コマンドに再生装置200が対応していない。従って、「早送り」指示に対応する制御用音声ファイル(例えば、ハヤオクリといった音声)が再生され、HFP/HSPを用いて再生装置200に送信される。
【0054】
再生装置200のCPU11は、HFP/HSPの音声データを受信したか否かを判断している(S114)。受信した場合(S114でYES)、CPU11は、受信した音声データに応じた処理を実行する(S115)。例えば、「ハヤオクリ」といった音声データを受信すると、CPU11は、音楽ファイルの早送り処理を実行する。
【0055】
以上のように、本例では、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができる指示がユーザ操作によって入力された場合には、AVRCPの制御コマンドを再生装置200に送信し、再生装置200がAVRCPの制御コマンドに対応して処理を実行することができない指示がユーザ操作によって入力された場合には、AVRCPの制御コマンドの代わり音声ファイルを再生し、再生した音声データをHFP/HSPを用いて再生装置200に送信することができる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。コンテンツ再生装置は、音楽ファイル以外のコンテンツ(例えば、映像ファイルや静止画ファイル)を再生するものであってもよい。通信規格は、Bluetoothに限定されるものではなく、LAN、HDMI、IEEE1394、USBやその他の任意の通信規格を適宜選択して採用することができる。本発明のヘッドセット100(コントローラ)を動作させるためのコンピュータプログラムまたはそのコンピュータプログラムを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明はコンテンツ再生装置を制御するコントローラ(例えばヘッドセット)に好適に適用され得る。
【符号の説明】
【0058】
100 ヘッドセット
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 通信部
5 再生部
6 ヘッドフォン
7 マイク
8 操作部
200 再生装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 フラッシュメモリ
15 再生部
16 表示部
17 操作部
18 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも制御用音声データに対応して処理を実行することができるコンテンツ再生装置を制御するコントローラであって、
前記コンテンツ再生装置と接続する接続手段と、
ユーザ操作に基づく指示に対応した制御用音声ファイルを記憶する音声ファイル記憶部と、
前記コンテンツ再生装置を制御するユーザ操作に応じて、ユーザ操作に基づく指示に対応した前記制御用音声ファイルを前記音声ファイル記憶部から読み出して再生する再生手段と、
再生した制御用音声データを前記コンテンツ再生装置に送信する制御手段とを備える、コントローラ。
【請求項2】
前記制御手段が、
ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、前記指示に対応する制御コマンドを前記コンテンツ再生装置に送信し、前記コンテンツ再生装置を制御する第1モードと、
ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、前記制御コマンドの代わりに、前記指示に対応する前記制御用音声ファイルを用いて前記コンテンツ再生装置を制御する第2モードとを有する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記コンテンツ再生装置から、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができるか否かの情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した情報に基づいて、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができると判断された場合、前記制御手段が、前記第1モードで前記コンテンツ再生装置を制御し、
前記受信手段が受信した情報に基づいて、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができないと判断された場合、前記制御手段が、前記第2モードで前記コンテンツ再生装置を制御する、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項4】
ユーザ操作に応じて、前記第1モードおよび前記第2モードのいずれか一方に設定するモード設定手段をさらに備え、前記制御手段が、前記モード設定手段によって設定された方のモードで前記コンテンツ再生装置を制御する、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記コンテンツ再生装置から、前記コンテンツ再生装置が前記制御コマンドに対応して処理を実行することができる指示に関する情報を受信する受信手段と、
ユーザ操作に基づく指示が入力された場合に、入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができるか否かを、前記受信手段が受信した情報に基づいて判断する判断手段と、
入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができると判断された場合、前記制御手段が前記第1モードで前記コンテンツ再生装置を制御し、
入力された指示の制御コマンドに前記コンテンツ再生装置が対応して処理を実行することができないと判断された場合、前記制御手段が前記第2モードで前記コンテンツ再生装置を制御する、請求項2に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記第1モードがBluetoohのAVRCPの制御コマンドを使用したモードであり、前記第2モードがBluetoohのHSPまたはHFPの制御用の音声データを使用したモードである、請求項2〜5のいずれかに記載のコントローラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のコントローラの各手段をコントローラに実行させる、コントローラプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−231336(P2012−231336A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98702(P2011−98702)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】