説明

コントロールバルブ

【課題】優先弁と切替弁とを有するコントロールバルブにおいて、余剰流側への液圧供給の停止直後に優先流側に導かれる作動液が急激に減少する不具合を解消する。
【解決手段】作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁11と、優先弁11の余剰流を吐出する余剰流出力口1aの下流に設けられる第1〜第3の流体制御弁4〜6と、中立状態にある第1〜第3の流体制御弁4〜6を貫通し液圧供給源からの作動液をタンクTに導く高圧流路21と、高圧流路21中の第1の流体制御弁4より上流側に設けてなる絞り8と、絞り8と第1の流体制御弁4との間の部位及び優先弁11の優先流側のうち圧力が高い側を下流側に連通させる高圧探し弁9と、高圧探し弁9の下流側とポンプ圧との差圧により開閉するとともに優先弁11よりも上流側に設けられタンクTに連通するシーケンス弁12と、シーケンス弁12の開放速度を抑制するダンパ10とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧供給源から供給された作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁と、この優先弁の余剰流を吐出する余剰流出力口の下流に設けられる切替弁とを有するコントロールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液圧供給源から供給された作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁と、この優先弁の余剰流を吐出する余剰流出力口の下流に設けられる切替弁を有するコントロールバルブが種々知られている。具体的には、このようなコントロールバルブは、前記優先弁により一定量の作動液が優先流側に接続したステアリング等に導かれ、余剰流側の作動液が切替弁を介してアクチュエータ等に導かれるようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2001−99108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなコントロールバルブに用いられる優先弁の反応速度は高くなく、特許文献1記載のもののようなコントロールバルブの構成では、荷役操作等、余剰流側へ作動液圧を供給して行う作業の停止直後は液圧供給源がタンクに連通する状態となる。そのため、液圧供給源から供給される液圧が急激に低下し、この優先弁の優先流側に導かれる作動液の量が急激に減少する不具合が発生する。
【0005】
本発明はこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコントロールバルブの構造は、以上に述べた課題を解決すべく、液圧供給源から供給された作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁と、この優先弁の余剰流を吐出する余剰流出力口の下流に設けられる切替弁と、中立状態にある前記切替弁を貫通し液圧供給源からの作動液をタンクに導く高圧流路と、前記高圧流路中の前記切替弁より上流側に設けてなる絞りと、前記絞りと切替弁との間の部位及び前記優先弁の優先流側のうち圧力が高い側を下流側に連通させる高圧探し弁と、この高圧探し弁の下流側の液圧と液圧供給源からの液圧との差圧により開閉するとともに前記優先弁よりも上流側に設けられタンクに連通するシーケンス弁と、このシーケンス弁の開放速度を抑制するダンパとを具備することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、荷役操作等、余剰流側へ作動液圧を供給して行う作業の停止後、前記高圧流路の絞りより上流側の液圧は急激にタンク圧に向け低下するのでなく、漸次タンク圧に向け低下するので、この絞りと優先弁との間の液圧も前記作業の停止直後は高圧に保たれる。また、前記シーケンス弁は、高圧探し弁の下流側の液圧と液圧供給源からの液圧との差圧により開閉する、すなわちこの差圧をパイロット圧として作動するので、前記作業の停止後は優先流側の液圧と液圧供給源からの液圧との差圧をパイロット圧として作動する。しかし、前記ダンパの作用により前記シーケンス弁の開放速度が抑制されるので、荷役操作の停止後に優先弁に供給する作動液量の減少を緩やかにでき、優先弁が反応し終わる前に供給流量が減少する不具合の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコントロールバルブの構造によれば、荷役操作等、余剰流側へ作動液圧を供給して行う作業の停止直後における液圧供給源から優先弁に向かう液圧の落ち込みを防止ないし抑制できる。従って、前記作業の停止による供給圧力変化の影響が優先弁に及ぶ不具合の発生を防止ないし抑制できる。さらに、このような構造によれば、余剰流側へ作動液圧を供給して行う作業の停止直後に、ステアリング操作等、優先流側への作動液圧を上昇させて行う作業を開始できるので、結果として、液圧供給源の能力は、余剰流側に供給する最大液圧を供給できればよくなる。従って、液圧供給源に小型のものを採用して省エネ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る液圧ユニットを含む液圧回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について述べる。
【0011】
本実施形態に係るコントロールバルブCは、図1に示すように、液圧供給源たる図示しない液圧ポンプから供給された作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁11と、この優先弁11の余剰流を吐出する余剰流出力口1aの下流に設けられる切替弁たる第1、第2、及び第3の流体制御弁4、5、6と、中立状態にある前記第1〜第3の流体制御弁4〜6を貫通し前記ポンプからの作動液をタンクに導く高圧流路21と、前記高圧流路21中の前記第1の流体制御弁4より上流側に設けてなる絞り8と、前記絞り8と第1の流体制御弁4との間の部位及び前記優先弁11の優先流側のうち圧力が高い側を下流側に連通させる高圧探し弁9と、この高圧探し弁9の下流側とポンプ圧との差圧により開閉するとともに前記優先弁11よりも上流側に設けられ作動液を溜めておくためのタンクに連通するシーケンス弁12と、このシーケンス弁12の開放速度を抑制するダンパ10とを具備する。ここで、前記優先弁11及び前記シーケンス弁12は、前記液圧ポンプから作動液の供給を受ける優先弁機構1を形成している。一方、前記第1〜第3の流体制御弁4〜6は、この優先弁機構1にスタックしてなるとともに、この優先弁機構1の余剰流出力口1aから作動液の供給を受けるポンプ側ポート2a、及び作動液を吐出するタンク側ポートTを有する液圧ユニット2を形成している。
【0012】
前記優先弁機構1は、フォークリフト等に用いられ、ステアリング機構と、複数の切替弁をスタックして形成した液圧ユニットとに作動液を供給するこの種の優先弁機構として周知のものと同様の構成を有する。すなわち、前記優先弁11と、前記シーケンス弁12と、前記優先弁の優先側に接続されるロードセンシングポート用リリーフ弁13とを内部に一体的に組み込んでなるもので、供給された作動液を優先流と余剰流とに分流するという優先分流機能を有する。そして、この優先弁機構1は、前記液圧ポンプから吐出された高圧作動液の導入口たる入力ポートPと、図示しないステアリング操作補助回路に連通し、ステアリング操作された際に必要な作動液を優先して吐出する優先流出力口PFと、ロードセンシングポートLSと、余剰の作動液を吐出する前記余剰流出力口1aと、前記タンクポートTに連通する排出口1bとをさらに具備する。前記優先流出力口PF及び前記ロードセンシングポートLSは、本実施形態ではステアリング機構に接続している。そして、前記シーケンス弁12は、前記差圧を受けて開閉することにより、このシーケンス弁12の上流側の液圧が、前記高圧探し弁9の下流側の液圧すなわちステアリング機構又は液圧ユニット2の作動に必要な液圧よりも優先弁11の作動に必要な液圧分だけ高くなるように機能している。なお、前記優先弁11と前記優先流出力口PFとの間には、前記優先流出力口PFから優先弁11への逆流を防ぐための逆止弁14を設けている。また、前記優先弁11と前記ロードセンシングポートLSとの間には、前記ロードセンシングポートLSから優先弁11への逆流を防ぐための逆止弁15を設けているとともに、この逆止弁と優先弁11との間に、ロードセンシングポートLSからの出力圧と優先流出力口PFからの出力圧との間に差を設けるべく優先弁機構内絞り16を設けている。そして、前記逆止弁15とロードセンシングポートLSとの間から前記ロードセンシングポート用リリーフ弁13に向かう流路17を設けているとともに、この流路17の中間部から、作動液を前記高圧探し弁9に導くための優先側圧パイロット流路18を分岐させて設けている。そして、この余剰流出力口1aから吐出された作動液が、前記液圧ユニット2に導かれる。
【0013】
前記液圧ユニット2は、前記余剰流出力口1aに接続したポンプ側ポート2aと、前記ポンプ側ポート2aから供給される作動液を受ける高圧流路21と、この高圧流路21から分岐してなり第1〜第3の流体制御弁4〜6に作動液を供給するパラレル流路22と、これら高圧流路21及びパラレル流路22に接続してなる前記第1〜第3の流体制御弁4〜6と、前記高圧流路21を経て第3の流体制御弁6を通過した作動液、第1〜第3の流体制御弁4〜6から吐出された作動液、及び前記パラレル流路22を通過した作動液を受ける戻り流路23と、前記第1の流体制御弁4より上流側に設けられ前記パラレル流路22と前記戻り流路23との間に設けてなるリリーフ弁31と、前記第3の流体制御弁6の下流に設けたアンロードカバー7と、前記優先弁機構1の排出口1bに連通するタンク側ポートTとを有する。ここで、前記高圧流路21と前記パラレル流路22とは、パラレル流路分岐部2xにおいて分岐させてなる。また、前記高圧流路21は前記ポンプ側ポート2aから第3の流体制御弁6を通過し終わるまでの部位に設けている。そして、前記高圧流路21が第3の流体制御弁6を通過し終わるまでの部位において、この高圧流路21を前記戻り流路23に断面形状を保ちつつ連通させている。
【0014】
前記第1の流体制御弁4は、前記パラレル流路22に接続される流入ポート4a、前記戻り流路23に接続される吐出ポート4b、及びリフトシリンダLCに接続される第1及び第2の出力ポート4c、4dを有する。また、この第1の流体制御弁4は、前記高圧流路21を連通させる中立位置と、前記流入ポート4aと前記第1の出力ポート4aとを連通させる上昇位置と、前記吐出ポート4bと前記第2の出力ポート4dとを連通させるとともに前記高圧流路21を連通させる下降位置との3つの位置を選択的にとることができる。この第1の流体制御弁4は、第1の操作レバー41に接続していて、この第1の操作レバー41に対する操作を受けて前記3つの位置の間の切替を行うようにしている。また、第1の出力ポート4cとリフトシリンダLCとの間には、ロジック弁42を設けている。このロジック弁42の背圧室には、外部信号により制御される弁43を設けていて、前記リフトシリンダLCが誤操作などによりが下降することを抑止している。そして、リフトシリンダLCと第2の出力ポート4dとの間には、リフトシリンダLCから作動液が急激に戻り流路23に向けて流れてリフトシリンダLCが急下降することを防ぐべく、流量制御弁44を設けている。この流量制御弁44は、該流量制御弁44の前後の差圧が所定以上となった際により抵抗を増す機能を有する。前記リフトシリンダLCは、上述したように前記第1及び第2の出力ポート4c、4dを介して前記第1の流体制御弁4に接続していて、作動液の供給を受けてこのリフトシリンダLCに接続したフォーク(図示略)を上昇させるとともに、作動液を吐出してこのリフトシリンダLCに接続したフォーク(図示略)を下降させる。この第1の流体制御弁4の下流側に前記第2の流体制御弁5を設けている。
【0015】
前記第2の流体制御弁5は、前記パラレル流路22に接続される流入ポート5a、前記戻り流路23に接続される吐出ポート5b、チルトシリンダTCのシリンダ室TC1側に接続される第1の出力ポート5c、及びチルトシリンダTCのピストンTC2側に接続される第2の出力ポート5dを有する。また、この第2の流体制御弁5は、前記高圧流路21を連通させる中立位置と、前記流入ポート5aと第1の出力ポート5cとを、また、前記吐出ポート5bと第2の出力ポート5dとを連通させる傾斜位置と、前記流入ポート5aと第2の出力ポート5dとを、また、前記吐出ポート5bと第1の出力ポート5cとを連通させる起立位置との3つの位置を選択的にとることができる。この第2の流体制御弁5は、第2の操作レバー51に接続していて、この第2の操作レバー51に対する操作を受けて前記3つの位置の間の切替を行うようにしている。そして、この第2の流体制御弁5には、前記フォークを支持するマスト(図示略)を前傾させた姿勢で停止させた際に作動液の逆流によりこマストが前傾することを防ぐべく、チルトロックバルブ5Zが設けられている。前記チルトシリンダTCは、シリンダ室TC1及びピストンTC2を備えていて、上述したように、前記シリンダ室TC1は前記第2の流体制御弁の第1の出力ポート5c、前記ピストンTC2側は前記第2の流体制御弁の第2の出力ポート5dに連通している。そして、前記シリンダ室TC1側に作動液の供給を受け、このチルトシリンダTCに接続しているとともに前記フォーク(図示略)を支持するマスト(図示略)を前傾させる。一方、前記ピストンTC2側に作動液の供給を受けた際には、前記マスト(図示略)を前傾させた状態から起立状態に戻す。この第2の流体制御弁5の下流側に前記第3の流体制御弁6を設けている。
【0016】
前記第3の流体制御弁6は、前記パラレル流路22に接続される流入ポート6a、前記戻り流路23に接続される吐出ポート6b、回転機構Rの第1の流体導入口R1aに接続される第1の出力ポート6c、及び回転機構Rの第2の流体導入口R1bに接続される第2の出力ポート6dを有する。また、この第3の流体制御弁6は、前記高圧流路21を連通させる中立位置と、前記流入ポート6aと第1の出力ポート6cとを、また、前記吐出ポート6bと第2の出力ポート6dとを連通させる正回転位置と、前記流入ポート6aと第2の出力ポート6dとを、また、前記吐出ポート6bと第1の出力ポート6cとを連通させる逆回転位置との3つの位置を選択的にとることができる。また、この第3の流体制御弁6は、第3の操作レバー61に接続していて、この第3の操作レバー61に対する操作を受けて前記3つの位置の間の切替を行うようにしている。前記回転機構Rは、第1及び第2の流体導入口R1a、R1bを有する回転ポンプR1を利用して構成していて、この回転ポンプR1に出力軸を介して接続した回転フォーク等の回転アタッチメント(図示略)を駆動する。具体的には、第1の流体導入口R1aから作動液の供給を受けて回転アタッチメントを正方向に回転させ第2の流体導入口のR1bから作動液を吐出するとともに、第2の流体導入口R1bから作動液の供給を受けて回転アタッチメントを正方向に回転させ第1の流体導入口のR1aから作動液を吐出する構成を有する。すなわち、この回転機構Rにより駆動される回転フォーク等の回転アタッチメントは、正逆両方向に回転可能である。上述したように、本実施形態では、この第3の流体制御弁6の下流側に前記アンロードカバー7を設けている。
【0017】
前記アンロードカバー7は、バイパス流路22と戻り流路23との間に設けられるオンロード弁機構を内部に有する。このオンロード弁機構は、図示しないオンロードスイッチに接続してなり、通常は開成位置をとるとともに前記オンロードスイッチからの信号を受けて閉止位置に切りかわる電磁弁72と、電磁弁72により制御される背圧の状態によって開成位置側に移動可能な弁体を有し弁体が開成位置側に移動した際に前記バイパス流路22からの作動液を戻り流路に導くことが可能なロジック弁71とを利用して形成している。前記ロジック弁71の背圧室は、前記電磁弁72の上流側に接続している。また、前記ロジック弁71の弁体内には、バイパス通路側22側から前記電磁弁72側への作動液の流れを許可すべく流路を設けている。前記電磁弁72が閉止位置をとる際には、バイパス通路22側からの作動液の流れはロジック弁71の背圧室を通過して電磁弁72の手前で止められるので、ロジック弁71の弁体はその面積比の関係でバイパス通路22を閉止することになり、バイパス通路22に導かれた作動液は前記リフトシリンダLC、チルトシリンダTC、及び回転機構Rのいずれかに導かれる。一方、前記電磁弁72が開成位置をとる際には、ロジック弁71の背圧室はタンクポートTに連通するので、バイパス通路22の液圧によりロジック弁71が受ける作用が付勢手段からの付勢力よりも大きい場合、前記液圧を受けて弁体が開成位置に移動し、バイパス通路22からの作動液がタンクポートに導かれる構成を有する。一方、前記高圧流路21中の前記第1の流体制御弁4より上流側には、上述したように、絞り8を設けている。
【0018】
前記絞り8は、本実施形態では前記リリーフ弁31と同一の筐体内に設けられていて、前記高圧流路21がこの筐体を通過する際にこの絞り8の上流側と下流側とに差圧を発生させる。荷役作業中には、前記高圧流路21は閉じられるので、この絞り8の上流側の圧力と下流側の圧力とは等しくなる。前記高圧流路21のこの絞り8と前記第1の流体制御弁4との間の部位からは、高圧流路21から分岐させて作動液の一部を前記高圧探し弁9に導くための余剰側圧パイロット流路24を設けている。
【0019】
前記高圧探し弁9は、前記余剰側圧パイロット流路24を介して前記絞り8と前記第1の流体制御弁4との間の部位に連通する第1の入力ポート9aと、前記優先流側パイロット流路18を介して前記優先弁11の優先流側に連通する第2の入力ポート9bと、これら第1及び第2の入力ポート9a、9bからの作動液の流れのうち液圧が高い側を前記シーケンス弁12に導く出力ポート9cとを具備する。この高圧探し弁9の出力ポート9cと前記シーケンス弁12との間にはパイロット流路12aを設けている。そして、このパイロット流路12a中に前記ダンパ10を設けている。
【0020】
前記ダンパ10は、本実施形態では、前記高圧探し弁9の出力ポート9cと前記シーケンス弁12との間の前記パイロット流路12a中に設けられる絞りである。
【0021】
ここで、荷役操作を終了した直後における本実施形態に係るコントロールバルブの各部分の作動を、以下に述べる。
【0022】
荷役操作を終了すると、前記第1〜第3の流体制御弁4〜6は、いずれも中立位置となる。その際、前記高圧流路21のうち、前記絞り8よりも下流側はタンクに連通するので、前記余剰側圧パイロット流路24から高圧探し弁9の第1の入力ポート9aに導かれる液圧はタンク圧と等しくなる。しかし、前記絞り8よりも上流側の液圧は、荷役操作を終了した瞬間では荷役操作を終了する直前の液圧と略等しい状態を保つ。そして、この部位の液圧は漸次タンク圧に向けて低下する。
【0023】
一方、前記高圧探し弁9の第1の入力ポート9aには上述したようにタンク圧が入力され、第2の入力ポート9bには前記高圧側パイロット流路18を介してロードセンシングポートLSから出力される液圧と等しい圧力が引き続き入力されるので、この高圧探し弁9の出力ポート9cからはロードセンシングポートLSから出力される液圧と等しい圧力がパイロット流路12aに出力されることになる。しかし、荷役操作を終了した瞬間ではこのダンパ10の上流側の液圧はこの荷役操作を終了する直前の液圧、すなわち荷役操作に用いられる液圧であり、従ってこのダンパ10の上流側と下流側との間に差圧が発生する。従って、高圧探し弁9の出力ポート9c側からパイロット流路12aを経てシーケンス弁12に導かれる液圧は漸次低下することとなる。そして、前記パイロット流路12aを経てシーケンス弁12に導かれる液圧とポンプ圧との差圧が所定の閾値を越えた時点で初めてこのシーケンス弁12が開放され、タンク圧とステアリング機構の作動に必要な液圧との差圧を優先弁11の作動圧に保つように機能する。
【0024】
以上に述べたように、本実施形態に係るコントロールバルブCの構成によれば、荷役操作の停止直後においては、高圧流路21の前記絞り8より上流側は高圧に保たれる。従って、優先弁11の反応速度が高くなくとも、優先弁機構の入力ポートPとタンクとが優先弁11を介して連通することによる入力ポートPからの作動液の液圧の急激な低下を防止ないし抑制できる。また、前記シーケンス弁12は、ポンプ圧と、前記圧力探し弁9の出力ポート9cから導かれる作動液圧との差圧をパイロット圧として作動するが、前記ダンパ10の作用により、前記パイロット圧が急激に低下することによりこのシーケンス弁12が開放されて入力ポートPから優先弁11に供給される液圧が急激に低下することを防ぐことができる。すなわち、この点からも優先弁11が反応し終わる前に優先流側への供給流量が減少する不具合の発生を防止ないし抑制できる。さらに、このようなロードセンシング制御を受ける優先弁構造によれば無用なステアリング流量を必要とせず、このコントロールバルブCの液圧供給源たるポンプは、液圧ユニット2が必要とする最大液圧を供給できるものであればよい。従って、ポンプに前記最大液圧を供給できる最小限のものを採用し、省エネ化を図ることができる。
【0025】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0026】
例えば、切替弁の個数は3個に限らず、2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。また、上述した実施形態において、第3の流体制御弁7には、回転機構Rでなく、他の機構、例えばマストを左右に傾斜させるためのシリンダ等を接続してもよい。
【0027】
また、シーケンス弁の開放速度を抑制するダンパは、摩擦ダンパなど、機械的構成のダンパを用いるようにしてもよい。
【0028】
さらに、フォークリフトのステアリング機構及び液圧ユニットに作動液を供給するものに限らず、各種のコントロールバルブに本発明を適用してもよい。
【0029】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0030】
11…優先弁
12…シーケンス弁
21…高圧流路
4〜6…第1〜第3の流体制御弁(切替弁)
8…絞り
9…高圧探し弁
10…ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧供給源から供給された作動液を優先流と余剰流とに分流して吐出し得る優先弁と、この優先弁の余剰流を吐出する余剰流出力口の下流に設けられる切替弁と、中立状態にある前記切替弁を貫通し液圧供給源からの作動液をタンクに導く高圧流路と、前記高圧流路中の前記切替弁より上流側に設けてなる絞りと、前記絞りと切替弁との間の部位及び前記優先弁の優先流側のうち圧力が高い側を下流側に連通させる高圧探し弁と、この高圧探し弁の下流側の液圧と液圧供給源からの液圧との差圧により開閉するとともに前記優先弁よりも上流側に設けられタンクに連通するシーケンス弁と、このシーケンス弁の開放速度を抑制するダンパとを具備することを特徴とするコントロールバルブ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−265942(P2010−265942A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116134(P2009−116134)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】