説明

コンドロイチン硫酸リアーゼIIに対するモノクローナル抗体

【課題】超高純度コンドロイチナーゼABC画分の製造に用いうるコンドロイチン硫酸リアーゼIIに対するモノクローナル抗体等を提供すること。
【解決手段】コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合するモノクローナル抗体、当該抗体を産生するハイブリドーマ株、当該抗体を用いることを特徴とするコンドロイチン硫酸リアーゼIIの測定方法、当該測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIを検出する工程を含む、以下の性質(1)及び(2)を有するコンドロイチナーゼABC画分の製造方法;(1)コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を用いた免疫測定法で測定することによりコンドロイチン硫酸リアーゼIIが検出されない、(2)高速液体クロマトグラフィーによりコンドロイチン硫酸リアーゼIIのピークが検出されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンドロイチン硫酸リアーゼIIに対するモノクローナル抗体、当該抗体を産生するハイブリドーマ株、当該抗体を用いるコンドロイチン硫酸リアーゼIIの測定方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチナーゼABC(以下、C-ABCという)は椎間板ヘルニア治療剤として利用できる可能性がある(特許文献1)。C-ABC はプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)の菌体等の培養物から抽出・精製することができ、これにより得られた精製コンドロイチナーゼは安全性も高く十分医薬品として利用できるものである。
【0003】
しかし近年、プロテウス・ブルガリスにはC-ABC に物理化学的性質が類似した、いわゆる「コンドロイチン硫酸リアーゼII」(特許文献2;以下、リアーゼIIという)が存在することが明らかとなった。この酵素はC-ABC の精製画分にも極々微量に含まれおり、安全性には問題ないものの、分析・品質管理上、極力排除することが好ましい。一般に、精製ステップを繰り返せば不純物の含量を減少させることができるが、その反面、精製物質の回収率減少は免れない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4696816号明細書
【特許文献2】特開平10−262660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、医薬品等に用いられるC-ABCと物理化学的に類似しているコンドロイチナーゼ(リアーゼII)を、分析的に検出できない程度にまで排除した超高純度C-ABC画分を簡便、迅速、かつ高収率で製造するために用いうるコンドロイチン硫酸リアーゼIIに対するモノクローナル抗体等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、C-ABCの超高純度精製用の抗体を調製し、これを用いたユニークな方法によって類似の酵素を全く検出できない程度にまで超高純度に精製されたC-ABC画分を提供するに至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、リアーゼII に対するモノクローナル抗体(以下、本発明抗体1ともいう)、C-ABC に対するモノクローナル抗体(以下、本発明抗体2ともいう)、本発明抗体1を産生するハイブリドーマ株(以下、本発明細胞株1ともいう)および本発明抗体2を産生するハイブリドーマ株(以下、本発明細胞株2ともいう)を提供する。なお、本発明抗体1および2をまとめて「本発明抗体」ともいう。同様に、本発明細胞株1および2をまとめて「本発明細胞株」ともいう。
【0008】
また本発明は、本発明抗体1を用いることを特徴とする、リアーゼIIの測定方法(以下、本発明測定方法1ともいう)、および本発明抗体2を用いることを特徴とする、C-ABCの測定方法(以下、本発明測定方法2ともいう)を提供する。なお、本発明測定方法1および2をまとめて「本発明測定方法」ともいう。
さらに本発明は、本発明測定方法1によってリアーゼIIを検出する工程を含む本発明画分の製造方法、および本発明測定方法2によってC-ABCを検出する工程を含む本発明画分の製造方法(以下、これらをまとめて本発明製造方法2ともいう)を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明抗体は、医薬品等に用いられるC-ABCと物理化学的に類似するリアーゼIIを、分析的に検出できない程度にまで排除した超高純度コンドロイチナーゼ画分の製造方法、本発明測定方法に用いることができる。従って、当該画分の製造・工程管理や、製造された当該画分の分析・品質管理等に用いることができ、極めて有用である。本発明細胞株は、このような本発明抗体の製造に用いることができ、極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<1>本発明画分
本発明画分は、以下の性質を有する高純度C-ABC画分である。
(1)リアーゼII に対する抗体を用いた免疫測定法で測定することにより、リアーゼIIが検出されない。
(2)HPLCにより、リアーゼIIのピークが検出されない。
【0011】
上記(1)で用いる免疫測定法は、後述する「本発明測定方法1」であることが好ましい。好ましい具体例等を含めて、後述の「<5>本発明測定方法」で説明する。
【0012】
本発明画分は、このような免疫測定法で測定してもリアーゼIIが検出されない点に特徴がある。ここで「検出されない」とは、上記測定において検出限界以下であることを意味する。
【0013】
また、ここで用いるHPLC法の条件等は以下の通りである。
・カラム担体:カルボキシメチル(CM)基を有する担体
・カラムサイズ:7.5mmx7.5cm
・溶出液:(A溶液) 20 mM リン酸緩衝液(pH7.0)
(B溶液) 0.5 M NaClを含有するA溶液
直線濃度勾配(100% A溶液→50% B溶液)/15分
流速:1.0 mL/分
・カラム温度:35 ℃
・サンプルの注入量:100 μL
本発明画分は、このようなHPLCで分析することによっても、リアーゼIIのピークが検出されない点に特徴がある。また本発明画分は、医薬として混入が許されない物質を実質的に含まないものが好ましく、また300ユニット/mg蛋白以上の酵素活性を有する画分であることが好ましい。より具体的には、300ユニット/mg蛋白以上の比活性を有し、エンドトキシンを実質的に含まず、核酸、プロテアーゼ含量が検出限界以下である画分が特に好ましい。なお、本明細書においてC-ABCの「1ユニット(1U)」とは、pH8.0、37℃で、1分間にコンドロイチン硫酸Cから1マイクロモルの不飽和二糖を遊離させる酵素量を意味する。
【0014】
本発明画分は、上記の特徴を有している限りにおいて如何なる製造方法で製造されるものであってもよいが、後述する本発明製造方法1によって製造されるものが好ましい。
【0015】
また本発明画分は如何なる生物資源に由来するものであってもよいが、本発明製造方法1ではプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)に由来する液相を用いることが好ましいことから、本発明画分もプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)に由来するものが好ましい。
<2>本発明医薬
本発明医薬は、本発明画分からなる医薬である。本発明医薬の用途は特に限定されないが、C-ABCの椎間板ヘルニア治療剤としての利用可能性が強く示唆されてきていることから(米国特許4,696,816号)、椎間板ヘルニア処置剤としての用途が好ましい。
【0016】
椎間板ヘルニア処置剤は、椎間板ヘルニアの処置に用いられる限りにおいてその具体的用途は限定されないが、例えば椎間板ヘルニアの治療目的に使用することができ、注射剤としてヘルニア症の哺乳動物、好ましくはヒトの椎間板に注入し、髄核を溶解して治療する椎間板溶解療法に用いることができる。
【0017】
本発明医薬の投与量は、投与対象動物の種類、性別、年齢、週齢、病態の種類、病態進行程度等によって個別的に設定されるべきものであり、特に限定されないが、C-ABC量として1回0.1〜100ユニット程度を注入することができる。
【0018】
本発明医薬の形態も用途等によって適宜設定されるものであるが、例えば椎間板ヘルニア処置剤として用いる場合には、溶液状、凍結状、または凍結乾燥状のいずれであっても良い。これをアンプル、バイアル、注射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、注射剤とすることができる。
【0019】
本発明医薬の製剤化は、公知の方法を用いることができる。また製剤化にあたり、C-ABC自体の活性等に悪影響を与えず、かつC-ABCの作用に悪影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の賦形剤、安定化剤、結合剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤等、通常医薬に用いられる成分を使用できる。
【0020】
なお、公知のC-ABC画分の安全性・有用性等については既に知られており、本発明ではさらにリアーゼIIをも実質的に含有しないものであるから、極めて安全性が高いと推定される。
<3>本発明製造方法1
本発明製造方法1は、以下の工程を少なくとも含む、本発明画分の製造方法である。
工程1:本発明抗体1(後述)を結合させた固相と、C-ABCとリアーゼIIとを含有する液相とを接触させ、リアーゼIIを本発明抗体1に結合させる工程。
工程2:固相と液相とを分離し、液相を回収する工程。
【0021】
本発明抗体1の固相への結合は公知の方法により行うことができる。例えば、本発明抗体1を直接固相に共有結合させてもよく、生物学的アフィニティーを利用して結合させてもよく、生物学的アフィニティーを利用して結合した本発明抗体と固相とをさらに架橋剤等により共有結合させてもよい。
固相としてはゲル、ビーズ、メンブレン等が例示される。
【0022】
固相への共有結合は、例えば市販のカップリングゲル(例えば、CNBr-活性化ゲル、N-ヒドロキシスクシイミド活性化ゲル、エポキシ活性化ゲル、マレイミド活性化ゲル等)等を用いて行うことができる。また生物学的アフィニティーを利用した結合は、抗体のFc部分を特異的に認識するリガンドが結合した固相、例えばプロテインAやプロテインG等のリガンドが結合した固相を用いて行うことができる。このような固相に本発明抗体1をアフィニティー結合させ、さらにジメチルピメリミデート(DMP)、ジイソチオシアノスチルベンジスルホン酸ナトリウム(DIDS)、マレイミドブチリルオキシスクシンイミド(GMBS)、マレイミドカプロイルオキシスクシンイミド(EMCS)、グルタルアルデヒド等の二価架橋剤を作用させ、本発明抗体1とリガンドとを共有結合させてもよい。また、抗体のFc部分に存在する糖鎖を酸化しアルデヒド化した後、ヒドラジンのリガンドを有するゲルと共有結合させることによって固相化することもできる。
【0023】
このように調製された固相(本発明抗体1が結合した固相)に、C-ABCとリアーゼIIとを含有する液相を接触させることにより、当該液相中に存在するリアーゼIIが固相の本発明抗体1に結合し、固相と液相を分離することにより液相中のリアーゼIIを除去することができる。固相に接触させる液相(C-ABCとリアーゼIIを含有する)の由来等は特に限定されないが、例えばプロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)の菌体等の培養物等に由来する液相であることが好ましい。プロテウス・ブルガリスは、C-ABCの大量製造に極めて有用であるが、同時にリアーゼIIも産生する。よってプロテウス・ブルガリスからリアーゼIIを実質的に含まないC-ABC画分を大量に製造する際には、本発明製造方法が極めて有用である。なお本発明において「プロテウス・ブルガリス由来」とは、必ずしもプロテウス・ブルガリスの培養物等のみを意味するものではなく、プロテウス・ブルガリスのC-ABC遺伝子を用いて創製した同菌以外の組換え生物体由来のものであっても、リアーゼIIが混在する限り包含される。
【0024】
前記固相に接触させる液相としてプロテウス・ブルガリス由来の液相を用いる場合には、極力高純度に精製されたものであることが好ましい。具体的には、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により単一のバンドを示し、HPLC(ゲル濾過およびカチオン交換)においても単一のピークを示し、エンドトキシンを実質的に含まず、核酸およびプロテアーゼ含量が検出限界以下であり、結晶化しうるものであり、比活性が300U/mg以上に精製されたC-ABCを含有する液相が好ましい。このような液相は、例えば特開平6―153947号公報に記載されている方法で製造することができる。この液相自体も安全性が高く、十分医薬品として利用できるものであるが、さらに本発明製造方法に付すことによりリアーゼIIを実質的に完全に除去することができ、医薬品の分析や品質管理をより容易かつ完全なものとすることができる。
【0025】
固相と液相との接触方法は、固相に結合した本発明抗体1の分子と、液相中のリアーゼII分子とが接触して、該分子が固相に捕捉される限りにおいて特に限定されず、バッチ法、カラム法のいずれをも用いることができる。このような方法で固相と液相とを接触させると、液相中のリアーゼIIのみが固相に結合した本発明抗体1に結合する。その後、固相と液相とを分離して液相を回収することにより、本発明画分を得ることができる。
【0026】
固相と液相との分離は通常の固液分離手段により行うことができる。例えば、固相と液相との接触をバッチ法により行った場合には、固相を沈殿、遠心、濾過等することにより分離、除去することができる。固相と液相の接触をカラム法により行った場合には、カラムから溶出してくる液相を回収するだけでよいことから、簡便・迅速に操作することができる。この点で、固相と液相との接触は、カラム法により行うことが好ましい。
【0027】
このようにして得られた液相をさらに本発明製造方法に付してもよく、これによって、リアーゼII除去の確実性・完全性を期することができる。
<4>本発明細胞株、本発明抗体
本発明抗体は、リアーゼIIに対するモノクローナル抗体(本発明抗体1)およびC-ABCに対するモノクローナル抗体(本発明抗体2)である。
また本発明細胞株は、本発明抗体1を産生するハイブリドーマ株(本発明細胞株1)、および本発明抗体2を産生するハイブリドーマ株(本発明細胞株2)である。
【0028】
本発明抗体は、モノクローナル抗体の公知の調製方法(Kohler and Milstein,
Nature 256, p495-497(1975))により調製することができる。具体的には以下の方法で行うことができる。
抗原を、マウス、ラット、モルモット、ハムスター等の被免疫動物の腹腔内、皮下あるいは足蹠(footpad)に投与する。ここで、本発明細胞株1を取得するためには「抗原」としてリアーゼIIを用い、本発明細胞株2を取得するためには「抗原」としてC-ABCを用いる。
【0029】
その後、脾臓又は膝窩リンパ節を摘出し、これらから採取した抗体産生細胞と腫瘍細胞株であるミエローマ細胞とを細胞融合させてハイブリドーマを樹立する。
【0030】
細胞融合に用いる細胞としては、脾細胞以外にリンパ節細胞および末梢血中のリンパ細胞等を用いることもできる。ミエローマ細胞株は、抗体産生細胞と異種のものに比べ、同種のものが望ましく、安定な抗体産生ハイブリドーマを得ることができる。
【0031】
得られたハイブリドーマを連続増殖させ、このハイブリドーマの中から、リアーゼIIに特異的に反応しC-ABCには反応しない抗体を継続的に産生する細胞株、あるいはC-ABCに特異的に反応しリアーゼIIには反応しない抗体を継続的に産生する細胞株を選別する。前者の選別を繰り返すことによって本発明細胞株1が、後者の選別を繰り返すことによって本発明細胞株2がそれぞれ得られる。
【0032】
本発明細胞株1としてはK15G11(G2)が好ましい。また本発明細胞株2としては7B11Aが好ましい。これらの細胞株は、本発明抗体1および本発明抗体2を産生するハイブリドーマ株として本発明者により確立されたものであり、平成12年9月26日に、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、それぞれFERM P−18054およびFERM P−18055の受託番号で寄託されている。
【0033】
本発明抗体1は、本発明細胞株1を適当な培地中で培養し、その培養上清から採取することによって製造することができる。また同様に、本発明抗体2は本発明細胞株2の培養上清から採取することによって製造することができる。またマウスの腹腔などの生体内にて本発明細胞株を培養し、腹水などを採取することによっても本発明抗体を製造することもできる。
【0034】
本発明抗体は、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等による塩析、低温アルコール沈殿およびポリエチレングリコールまたは等電点による選択的沈殿分別法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、プロテインAやプロテインG等を用いたアフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、抗原を固相化した免疫吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過法、超遠心法等によって精製することもできる。
【0035】
本発明抗体1は、リアーゼIIに対するモノクローナル抗体であり、本発明抗体2はC-ABCに対するモノクローナル抗体である。本発明抗体1はリアーゼIIに特異的に反応し、C-ABCには反応しないものであることが好ましく、本発明抗体2は、C-ABCに特異的に反応し、リアーゼIIには反応しないものであることが好ましい。
【0036】
本発明抗体はそのまま使用することもできるが、抗原との特異的結合能を有する限りにおいてフラグメント化したものを使用することもできる。例えば、本発明抗体の抗原結合部位(Fab)分解しないプロテアーゼ(例えばプラスミン、ペプシン、パパイン等)で処理して得られるFabを含むフラグメントとしてもよい。また本発明抗体をコードする遺伝子の塩基配列もしくは抗体のアミノ酸配列が決定されれば、遺伝子工学的に本発明抗体のFabを含むフラグメントやキメラ抗体(例えば本発明抗体のFab部分を含むキメラ抗体等)を作製することができ、このようなフラグメントやキメラ抗体も、本発明抗体に包含される。
【0037】
本発明抗体のクラスは特に限定されないが、IgGであるものが好ましく、IgG1であるものがより好ましい。またL鎖のタイプも限定されないが、κ型であるものが好ましい。
【0038】
本発明抗体1としては結合定数(Kd)が 7.4 x 10−8 M 以下であるものが好ましく、本発明抗体2としては結合定数(Kd)が 1.6 x 10−7 M 以下であるものが好ましい。結合定数(Kd)は、L. Djavadi-Ohaniance et al. (1996) In Antibody Engineering B.D. Hames (Ed) pp.77-96 Oxford University Press, New Yorkに記載された方法で測定することができる。
【0039】
このような本発明抗体1としては、前記K15G11(G2)から選ばれるハイブリドーマ株が産生するものが好ましい。また本発明抗体2としては、前記7B11Aのハイブリドーマ株が産生するものが好ましい。
<5>本発明測定方法
本発明測定方法は、本発明抗体1を用いることを特徴とするリアーゼIIの測定方法(本発明測定方法1)、および本発明抗体2を用いることを特徴とする、C-ABCの測定方法(本発明測定方法2)である。ここでいう「測定」という概念には、単に目的物質の量を測定することのみならず、目的物質の存否(有無)を判定ないし検定することも包含される。
【0040】
本発明抗体1はリアーゼIIに反応するモノクローナル抗体であり、本発明抗体2はC-ABCに反応するモノクローナル抗体である。本発明測定方法は、このような本発明抗体の性質を、リアーゼIIの測定およびC-ABCの測定に応用したものである。
【0041】
本発明測定方法は、本発明抗体を用いた免疫測定法により行うことができ、酵素やビオチン等で標識した抗体を用いる酵素免疫測定法、ラジオアイソトープで標識した抗体を用いる放射線免疫測定法、蛍光標識した抗体を用いる蛍光抗体法等、通常の免疫測定の手法を用いることができる。これらの物質による本発明抗体の標識は、直接的であっても間接的であってもよい。
【0042】
ここで用いる免疫測定法は、直接抗体法、間接抗体法、競合法、二抗体サンドイッチ法等が利用できるが、目的物質の検出特異性を高めるためには二抗体サンドイッチ法を用いることが好ましい。
【0043】
また、免疫測定法に用いる固相としては、マイクロタイターウェル、アガロース粒子、ラテックス粒子、ビーズ、チューブ、メンブレンなどを用いることができる。目的等に応じて適宜選択できるが、多くのサンプルを同時に検定する場合には、マイクロタイターウェルを用いることが好ましい。
【0044】
以下に、本発明測定方法の具体例を「本発明測定方法1」を例に挙げて説明する。以下に示す方法は、本発明測定方法1の特に好ましい具体例であるとともに、前記した「本発明画分」の性質を調べるための好ましい免疫測定法の具体例でもある。
(1)抗リアーゼIIポリクローナル抗体を、マイクロタイターウェルに固相化する。なお抗リアーゼIIポリクローナル抗体の製造方法は、後述の実施例で説明する。
(2)このマイクロタイターウェルに検定する画分を入れてインキュベートする(リアーゼIIを、固相化した抗リアーゼIIポリクローナル抗体に結合させる)。
(3)洗浄後、ビオチン標識した本発明抗体1を入れてインキュベートする(固相化した抗リアーゼIIポリクローナル抗体に結合したリアーゼIIに、ビオチン標識した本発明抗体1を結合させる)。
(4)洗浄後、アビジン標識されたペルオキシダーゼを入れてインキュベートする(本発明抗体1が結合したビオチンとアビジンが結合する)。
(5)洗浄後、酵素基質を入れてインキュベートして発色させ、発色の程度を測定する。
【0045】
本発明画分は、このような免疫測定法で測定してもリアーゼIIが検出されない点に特徴がある。ここで「検出されない」とは、上記測定において検出限界以下であることを意味する。
【0046】
このように本発明測定方法1は、本発明画分中のリアーゼIIの存否や含量をアッセイする際にも使用することができる。また同様に、本発明測定方法2も、本発明画分中のC-ABCの存否や含量をアッセイする際に使用することができる。
<6>本発明製造方法2
本発明製造方法2は、本発明測定方法1によってリアーゼIIを検出する工程を含む本発明画分の製造方法、および本発明測定方法2によってC-ABCを検出する工程を含む本発明画分の製造方法の両方を包含する。
【0047】
本発明製造方法2は、「本発明測定方法」を本発明画分の製造工程に取り入れたものである。本発明製造方法2は、本発明製造方法1に「本発明測定方法」を取り入れた態様であることが好ましく、より具体的には、本発明製造方法1中の「工程2」の後に、本発明測定方法を組み入れた態様であることが好ましい。特に、本発明製造方法1中の「工程2」の後に、本発明測定方法1を組み入れた態様であることが好ましい。
【0048】
このように、「本発明測定方法」を本発明画分の製造工程に取り入れ、「本発明測定方法によってリアーゼIIおよび/またはC-ABCを検出する工程」を設けることによって、万一所定の品質を満たさない画分が製造された場合にはこれを発見でき、その画分を排除することができる。従って、本発明製造方法2によって、所定の品質を満たす本発明画分が安定的に製造できることとなる。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲は限定されない。
<1>本発明細胞株および本発明抗体の製造
(1)本発明細胞株1の作製
公知のリアーゼII画分(特開平10-262660号公報に記載の方法で製造したもの) 1mg/mlを、同量のフロイント完全アジュバント(Freund's Complete Adjuvant;Sigma社)と混合し、エマルジョン化した。この溶液約400μlを、Balb/cマウスに2〜3回に分けて皮下注射した。1週間後、同様に製造した公知のリアーゼII画分 1mg/mlを、同量のフロイント不完全アジュバント(Freund's Incomplete Adjuvant;Sigma社)と混合してエマルジョン化した溶液約400μlを皮下注射した。さらに1週間後、同様に、公知のリアーゼII画分とフロイント不完全アジュバントとのエマルジョン化溶液を皮下注射した。
【0050】
免疫後、マウスの脾臓細胞を採取し、この細胞を KohlerとMilsteinの方法(Nature 256, p495-497(1975))によってマウスミエローマ細胞株(P3X63Ag8.635)と融合させてハイブリドーマを得た。ハイブリドーマの培養上清を、リアーゼIIおよびC-ABCを抗原とした免疫測定法により検定して、リアーゼIIに特異的に結合しC-ABCには結合しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株を得た(K15G11(G2)株)。このハイブリドーマ株により産生されるモノクローナル抗体のクラスはIgG1であり、L鎖はκ型であった。K15G11(G2)株により産生されるモノクローナル抗体をK15G11(G2)と命名した。
(2)本発明細胞株2の作製
リアーゼIIに代えて公知のC-ABC画分(特開平6-153947号公報に記載の方法で製造したもの)を用い、上記(1)と同様の方法でハイブリドーマ株を得た。ハイブリドーマの培養上清を、上記(1)と同様に検定して、C-ABCに特異的に結合しリアーゼIIには結合しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株得た(7B11A株)。このハイブリドーマ株により産生されるモノクローナル抗体のタイプはIgG1であり、L鎖はκ型であった。7B11A株により産生されるモノクローナル抗体を7B11Aと命名した。
【0051】
モノクローナル抗体 K15G11(G2)および7B11Aの結合定数(Kd)を L. Djavadi-Ohaniance et al. (1996) In Antibody Engineering B.D. Hames (Ed) pp.77-96 Oxford University Press, New York に記載された方法で測定した結果、以下の通りであった。
【0052】
K15G11(G2) Kd=7.4 x 10−8 M
7B11A Kd=1.6 x 10−7 M
(3)ポリクローナル抗体の製造
公知のリアーゼII画分 1mg/mlを、同量のフロイント完全アジュバント(Sigma社)と混合し、エマルジョン化した。この溶液約2mlを、JWウサギに5〜6回に分けて皮下注射した。1週間後、同様に公知のリアーゼII画分をフロイント不完全アジュバント(Sigma社)と混合してエマルジョン化した溶液約2mlを皮下注射した。さらに1週間後、同様に、公知のリアーゼII画分とフロイント不完全アジュバントとのエマルジョン化溶液を皮下注射した。
【0053】
免疫したウサギから血清を採取し、抗体価をオクタロニーにより検定し、十分に抗体価が上昇したウサギについて頸動脈と心臓から全採血し、遠心操作により抗血清を得た。抗体価の低いウサギについてはさらに免疫を繰り返し、同様に抗血清を得た。
【0054】
このようにして得られた抗リアーゼII抗血清から、以下の通りリアーゼIIに特異的な抗リアーゼIIポリクローナル抗体を精製した。
【0055】
Protein G Sepharose 4FF(Amersham Pharmacia Biotech社製) を結合緩衝液(20 mMリン酸緩衝液, pH 7.8)に懸濁し、10mlのスラリーをカラムに充填した。さらにカラムに5倍量の結合緩衝液を流して平衡化した。平衡化したカラムに結合緩衝液で5倍希釈した抗リアーゼII抗血清を添加した。さらに5倍量の結合緩衝液を流してProtein Gに結合しない血清タンパク質を除去した。次に溶出緩衝液(0.1M Glycine-HCl, pH2.8)をカラムに流して、溶出液を10mlのフラクションとして回収した。溶出液は直ちに適当量の中和緩衝液(1M Tris-HCl, pH 9.0)と混合し、溶出されたIgGの変性を防いだ。各フラクションの吸光度(A280nm)を測定し、0.1以上のフラクションをプールした。このプールに最終飽和濃度が50%となるように硫酸アンモニウムを添加した。氷上で30分放置した後、遠心操作で沈殿を回収し、IgGを濃縮・精製した。得られた沈殿を0.1M 重炭酸緩衝液(pH 8.3)に溶解し、0.1M 重炭酸緩衝液(pH 8.3)に対して3日間透析した。透析して得られたIgG溶液を、あらかじめC-ABCを固相化したAffigel-10(Bio-Rad)ゲルと混合してインキュベートすることにより、溶液中に微量に含まれる可能性がある抗C-ABCポリクローナル抗体を吸着除去した。
【0056】
精製された抗リアーゼII IgGポリクローナル抗体を還元し、あるいはそのままSDS-14% ポリアクリルアミドゲル(旭テクノグラス)を用いた電気泳動に付した結果、H鎖およびL鎖で構成される単一バンドの抗体蛋白質であることが確認された。
【0057】
なお抗C-ABC抗血清からのC-ABCに特異的な抗C-ABCポリクローナル抗体の製造、精製およびその確認も、上記と同様に行った。
(4)抗体固相化カラムの作製
抗体を固相化したアフィニティーカラム担体は、Protein G 結合ゲル(Pierce Chemical社)を用いて作製した。50mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.2)(以下、B/W 緩衝液という) 5mlをカラムに2回添加して平衡化した。精製した抗リアーゼII抗体 1ml(12mg蛋白/ml)を、1mlのB/W 緩衝液で希釈してカラムに添加した。カラムを室温で30分間、穏やかに転倒攪拌して、カラム担体のProtein Gと抗体のFc部分を結合させた。B/W 緩衝液 5mlでカラムを2回洗浄し、次に6.6mg/mlのジメチルピメリミデート(Dimethylpimelimidiate)溶液を加えて、カラムを室温にて60分間穏やかに転倒攪拌し、カラム担体と抗体とを共有結合により架橋させた。カラム洗浄後、アミノ基のブロッキング緩衝液(0.1M エタノールアミン, pH 8.2) 5mlを添加して、室温で10分間穏やかに転倒攪拌した。その後、架橋していない抗体を、5mlの0.1M Glycine-HCl, pH2.8により溶出させた。カラムはB/W 緩衝液 5mlで2回洗浄し、この状態で次回の使用まで4℃で保存した。
【0058】
試薬等は ImmunoPure Protein G Orientation Kit(Pierce Chemical社)を使用した。
【0059】
抗C-ABC抗体の固相化カラムの作製も、これと同様に行った。
<2>本発明画分の製造
本発明画分の製造は、全てエンドトキシンフリーの条件下で実施した。
【0060】
公知のC-ABC画分(特開平6―153947号公報に記載の方法で製造したもの;エンドトキシンフリー) 約20mlを0.22μmのフィルターで濾過した後、上記で作製した抗リアーゼII抗体固相化カラム(カラムの5倍量の1%POELE溶液で洗浄した後、エンドトキシンフリーの蒸留水で平衡化したもの)に添加した。カラムから滴下してきた液(フロースルー)を、3mlずつのフラクションとして回収して吸光度(A280nm)を測定した。吸光度0.1以上のフラクションをプールして、同じ操作をもう一度繰り返し、フロースルーを回収して、C-ABC画分を得た。
【0061】
また、公知のリアーゼII画分(特開平10-262660号公報に記載の方法で製造したもの)を、同様に上記で作製した抗C-ABC抗体を固相化したカラムに通し、同様にリアーゼII画分を得た。
<3>本発明画分の性質
上記で得られた各画分中に含まれるC-ABC およびリアーゼIIの含量を、免疫測定法およびHPLC法により測定した。測定方法は以下の通りである。
(1)免疫測定法
(1-1)ビオチン標識抗体の作製
前記で得られた抗C-ABCモノクローナル抗体および抗リアーゼIIモノクローナル抗体を、それぞれ50 mM 重炭酸緩衝液 (pH 8.3)で2 mg/mlに調製した。これらの溶液とSulfo-NHS-LC-LC-Biotin (Pierce Chemical社製)と混合し、室温で1時間、ゆるやかに攪拌した。得られたラベル化抗体から未反応のビオチンを除去するために、50 mM 重炭酸緩衝液に対して2日間透析した。
(1-2)サンドイッチ-免疫測定法による、C-ABCおよびリアーゼIIの測定
抗C-ABCポリクローナル抗体または抗リアーゼIIポリクローナル抗体を、炭酸-重炭酸緩衝液(pH 9.4)で20μg/mlに調製し、96ウエルのマイクロタイタープレート(Nunc immunoplate)に100μl/wellで添加して、37℃で1.5時間インキュベートした。次いでイムノスタビライザー(ABI社)をプレートに200μl/ウエル添加して、37℃で1.0時間インキュベートして抗体結合プレートを作製した。
【0062】
別途、測定用サンプル(<2>で得られたC-ABCまたはリアーゼII)をリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で適当な濃度に希釈して、C-ABCおよびリアーゼIIのスタンダードを作製した。測定用サンプルとスタンダードを、上記で作製した抗体結合プレートに100μl/ウエルで添加して、37℃で1.5時間インキュベートした。インキュベート後、プレートをPBS-0.05% Tween20で4回洗浄した。
【0063】
上記(1-1)で作製したビオチン標識抗C-ABC抗体またはビオチン標識抗リアーゼII抗体をPBSで2500倍希釈して、プレートに100μl/ウエルで添加し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、プレートをPBS-0.05% Tween20で4回洗浄した。
【0064】
アビジン-ペルオキシダーゼ(Sigma社)をPBSで10000倍希釈して、プレートに100μl/ウエルで添加し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後、プレートをPBS-0.05% Tween20で4回洗浄した。
【0065】
基質である3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(Moss,INC)をプレートに100μl/wellで添加し、室温で10分間反応させた。1M HClをプレートに100μl/wellで添加して反応を停止させた後、ウェルリーダー SK601(生化学工業株式会社販売)により、450〜630nmの吸光度を測定した。
(2)HPLC法
HPLCカラム、溶出溶媒、流速等の条件は以下の通りで行った。
【0066】
・カラム:TSKgel CM-5PW(7.5 mmx7.5 cm;東ソー製)
・溶出液:(A溶液) 20 mM リン酸緩衝液( pH7.0 )
(B溶液) 0.5 M NaClを含有するA溶液
・直線濃度勾配( 100% A溶液→50% B溶液 )/15分
・流速:1.0 mL/分
・カラム温度:35 ℃
・サンプルの注入量:100 μL
(3)上記<2>で得られたC-ABC画分(本発明画分)の分析結果を以下に示す。なお「N.D.」は検出されなかったこと(検出限界以下)を示す。
(3-1)免疫測定法
【0067】
【表1】

【0068】
(3-2)HPLC法(A280nmの検出チャートのピーク面積の相対値)
【0069】
【表2】

【0070】
(リアーゼIIのピークは、溶出時間15.73分付近に検出された)
この結果から、本発明方法は、精製目的物の収量をほとんど減ずることなく、リアーゼIIを効率よく検出限界以下まで除去できることが明らかとなった。
上記<2>で得られたリアーゼII画分の分析結果を以下に示す。
【0071】
なお、リアーゼII含量はHPLC法で、C-ABC含量は免疫測定法で測定した。またカッコ内の数値は、リアーゼII含量に対するC-ABC含量の重量比を示す。
【0072】
【表3】

【0073】
この結果から、本発明方法をリアーゼII画分の精製に応用しても、精製目的物の収量をほとんど減ずることなく、C-ABC含量を効率よく検出限界近くまで除去できることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株。
【請求項3】
FERM P−18054で示される、請求項2に記載のハイブリドーマ株。
【請求項4】
請求項1に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、コンドロイチン硫酸リアーゼIIの測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIを検出する工程を含む、以下の性質(1)及び(2)を有するコンドロイチナーゼABC画分の製造方法。
(1)コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を用いた免疫測定法で測定することにより、コンドロイチン硫酸リアーゼIIが検出されない。
(2)高速液体クロマトグラフィーにより、コンドロイチン硫酸リアーゼIIのピークが検出されない。
【請求項6】
以下の工程を少なくとも含む、請求項5に記載の製造方法。
工程1:コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を結合させた固相と、コンドロイチナーゼABCとコンドロイチン硫酸リアーゼIIとを含有する液相とを接触させ、コンドロイチン硫酸リアーゼIIをコンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を結合させた固相に結合させる工程。
工程2:固相と液相とを分離し、液相を回収する工程。
工程3:回収した液相について、請求項4に記載の測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIの検出を行う工程。
【請求項7】
前記工程3において、請求項4に記載の測定方法によるコンドロイチン硫酸リアーゼIIの検出と、コンドロイチナーゼABCに特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたコンドロイチナーゼABCの検出とを行うことを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−31442(P2007−31442A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242387(P2006−242387)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【分割の表示】特願2001−311626(P2001−311626)の分割
【原出願日】平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願人】(000195524)生化学工業株式会社 (143)
【Fターム(参考)】