説明

コンバインの穀粒搬出装置

【課題】吐出筒からの穀粒のこぼれ落ちをシャッタによって精度よく防止できるコンバインの穀粒搬出装置を提供する。
【解決手段】横スクリューコンベヤ12の搬送経路17の吐出筒16に開口する出口18を開閉するシャッタ20を設けてある。シャッタ20は、出口18に対して横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bの下方から横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸芯Yに対して交差する方向に上昇して出口18を閉じる上昇閉じ位置と、出口18に対して搬送筒12bの下方に横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸芯Yに対して交差する方向に下降して出口18を開く下降開き位置とに摺動昇降するように上下摺動自在に支持させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクに貯留された穀粒を、走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤとこの縦スクリューコンベヤの搬送終端部から上下揺動自在に延出する横スクリューコンベヤとによって前記穀粒タンクから搬出し、前記横スクリューコンベヤの延出端部に設けた下向き開口の吐出筒から吐出するように構成したコンバインの穀粒搬出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの穀粒搬出装置において、横スクリューコンベヤに残留した穀粒の吐出筒からのこぼれ落ちを防止するよう構成されたものとして、従来、例えば特許文献1,2,3に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものでは、穀粒排出オーガのオーガ筒出口部を閉じる揺動開閉自在なシャッタを備えられている。特許文献2に示されるものでは、横オーガからの穀粒を排出する排出筒を閉じる揺動開閉自在な蓋体を備えられている。特許文献3に示されるものでは、オーガの先端側に形成された穀粒排出口を閉じるスライド式のシャッタを備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−111511号公報
【特許文献2】特開2010−130972号公報
【特許文献3】実開平2−23429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載されたシャッタを採用した場合、シャッタが揺動式になり、シャッタに走行振動や駆動振動による揺れ動きが発生すると、シャッタが閉じ位置から大きくずれ動きやすくなっていた。これにより、特許文献1に記載されたシャッタにあっては、シャッタと横スクリューコンベヤの搬送筒との間に、穀粒のこぼれ落ちの原因となる隙間が発生しやすくなっていた。特許文献2に記載されたシャッタにあっては、シャッタと吐出筒との間に、穀粒のこぼれ落ちの原因となる隙間が発生しやすくなっていた。
また、特許文献2及び3に記載されたシャッタの場合、吐出筒をシャッタによって閉じてあっても、横スクリューコンベヤの搬送経路の吐出筒に開口する出口が開いたままになり、横スクリューコンベヤの残留穀粒が振動によって閉じ姿勢のシャッタの上に落下しやすく、シャッタの上に穀粒が落下すると、穀粒の全重量がシャッタに掛かって穀粒の重量が振動に加わり、シャッタの閉じ位置からのずれ動きが発生しやすくなっていた。また、シャッタの歪みも発生しやすくなり、この面からもシャッタと吐出筒との隙間が発生しやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、シャッタを採用するものでありながら、吐出筒からの穀粒のこぼれ落ちをより精度よく防止できるコンバインの穀粒搬出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、穀粒タンクに貯留された穀粒を、走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤとこの縦スクリューコンベヤの搬送終端部から上下揺動自在に延出する横スクリューコンベヤとによって前記穀粒タンクから搬出し、前記横スクリューコンベヤの延出端部に設けた下向き開口の吐出筒から吐出するように構成したコンバインの穀粒搬出装置において、
前記横スクリューコンベヤの搬送経路の前記吐出筒に開口する出口を開閉するシャッタを、前記出口に対して前記横スクリューコンベヤの搬送筒の下方から前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸芯に対して交差する方向に上昇して前記出口を閉じる上昇閉じ位置と、前記出口に対して前記搬送筒の下方に前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸芯に対して交差する方向に下降して前記出口を開く下降開き位置とに摺動昇降するように上下摺動自在に支持させてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、シャッタを上昇閉じ位置に切り換えることにより、横スクリューコンベヤの搬送経路の出口をシャッタによって閉じ、横スクリューコンベヤの搬送経路に残留穀粒があっても残留穀粒が吐出筒にこぼれ出ることを防止できる。
シャッタを出口に対して搬送筒の下方から横スクリューコンベヤのスクリュー軸芯に対して交差する方向に上昇して出口を閉じるように上下摺動自在に支持させてあるから、上昇閉じ位置でのシャッタが振動や残留穀粒の荷重を受けても、シャッタに横スクリューコンベヤの搬送経路に沿う方向でのガタ付きやずれ動きが生じにくいようにシャッタをガイドレールなどによって支持させやすい。また、上昇閉じ位置でのシャッタは、横スクリューコンベヤの搬送経路の出口を閉じるから、搬送経路の残留穀粒が振動などによってシャッタに寄り集まることがあっても、残留穀粒は横スクリューコンベヤの搬送筒に支持されていてシャッタには穀粒の全重量が掛からず、シャッタに歪みが発生しにくい。
【0008】
従って、シャッタを採用するものでありながら、横スクリューコンベヤに残留穀粒があっても、残留穀粒が吐出筒に漏れ出ることを精度よく防止して、残留穀粒が吐出筒からこぼれ落ちることをより精度よく防止できる。
【0009】
本第2発明は、前記上昇閉じ位置での前記シャッタの上端が前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸の下端より上方に位置するように、前記スクリュー軸が入り込む切り欠き部を前記シャッタの上端部に形成してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、シャッタはこれの上端がスクリュー軸の下端より上方に位置する状態で搬送経路の出口を閉じるから、横スクリューコンベヤの搬送経路における残留穀粒が振動などによって搬送経路の底部から跳ね上がっても、シャッタを乗り越えて吐出筒に出にくくなる。
【0011】
従って、穀粒がシャッタを乗り越えることによる穀粒の漏れ出しも発生しにくく、穀粒のこぼれ落ちをより精度よく防止できる。
【0012】
本第3発明は、前記シャッタの操作機構を、上下複数段の上昇閉じ位置に前記シャッタを選択して摺動操作可能に構成してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、横スクリューコンベヤの残留穀粒や振動の量や大きさに対応させてシャッタを上段側や下段側の上昇閉じ位置に選択して操作することができる。
【0014】
従って、例えば横スクリューコンベヤからの穀粒を籾袋に直接詰める場合、満杯袋を空袋と交換する際、搬出量が多い状態で吐出を停止させても、シャッタを上段側の上昇閉じ位置にすることにより、穀粒のこぼれ落ちを防止しやすい。作業走行や移動走行の場合、穀粒タンクに穀粒が残りにくいように穀粒搬出を十分に行なった後に走行するから、シャッタを下段側の上昇閉じ位置にしても、穀粒のこぼれ落ちを防止しやすいのであり、シャッタを下段側の上昇閉じ位置にしておくことにより、穀粒タンクが満杯になった際、穀粒の取り出しを迅速に開始できるように、シャッタを下降開き位置に極力迅速に切換えることができる。
【0015】
本第4発明は、前記シャッタを、前記出口を開閉する開閉部とこの開閉部から下向きに延出する操作部とを備えて構成し、
前記操作部の両横端部を各別に摺動自在に支持する一対のガイドレールを設け、
前記操作部の前記一対のガイドレールの間に位置する部位に操作用開口及びこの操作用開口に臨むラックギヤを設け、前記ラックギヤに噛合う状態で前記操作用開口に入り込んだピニオンギヤ及びこのピニオンギヤを正逆回転操作して前記シャッタを昇降操作するモータを前記横スクリューコンベヤの搬送筒又は前記吐出筒に支持させてある。
【0016】
本第4発明の構成によると、シャッタが振動などを受けても搬送経路に沿う方向に大きくずれ動きにくいように、操作部の両横端部を支持するガイドレールによってシャッタを強固に支持させることができる。モータがピニオンギヤを駆動し、駆動されるピニオンギヤが操作部の一対のガイドレールの間に位置する部位においてラックギヤに作用してシャッタを昇降操作するから、操作部の両横端部をガイドレールによって支持させても、ピニオンギヤが操作部の操作用開口に入り込んだコンパクトな状態でモータとシャッタを連動させてモータの駆動力によってシャッタを昇降操作できる。
【0017】
従って、シャッタを上昇閉じ位置から大きくずれ動きにくいように強固に支持させることができ、かつモータの駆動操作を行なうだけで操作簡単にシャッタを昇降操作できるものをコンパクトに得ることができる。
【0018】
本第5発明は、前記シャッタ及び前記モータを前記吐出筒の内部に設置してある。
【0019】
本第5発明の構成によると、シャッタとモータをコンパクトに連動させた状態で吐出筒の内部に設置するものだから、モータの駆動操作を行なうだけで操作簡単にシャッタを昇降操作できるものを、モータ及びシャッタが比較的細い吐出筒の内部に位置した簡素な状態で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】搬送経路の出口が第1閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断側面図である。
【図4】搬送経路の出口が第1閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断正面図である。
【図5】搬送経路の出口が第2閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断側面図である。
【図6】搬送経路の出口が第2閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断正面図である。
【図7】搬送経路の出口が開かれた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断側面図である。
【図8】搬送経路の出口が開かれた状態での横スクリューコンベヤの出口付近を示す縦断正面図である。
【図9】図4のIX−IX断面矢視図である。
【図10】制御系を示すブロック図である。
【図11】刈取り部を示す概略平面図である。
【図12】(a)は、別の実施構造を備えた穀粒搬出装置の先端部を示す縦断側面図、(b)は、別の実施構造を備えた穀粒搬出装置の先端部を示す底面図である。
【図13】穀粒搬出装置によって搬出される穀粒を運搬車の荷台に積み込む状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、コンバインは、クローラ式の走行装置1によって自走するように構成され、かつ運転キャビン2、運転座席3の下方に位置するエンジン4が設けられた走行機体と、走行機体の機体フレーム5の前部に連結された刈取り部6と、機体フレーム5の後部に機体横方向に並べて設けられた脱穀装置7と穀粒タンク8とを備えて構成されている。
【0022】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、刈取り部6は、前端部に設けられた分草具6aが地面近くに下降した下降作業状態と、分草具6aが地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作自在に連結されている。刈取り部6を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部6は、刈取対象の植立穀稈を分草具6aによって引起し装置6bに導入して引起し装置6bによって引起し処理し、引起し処理される植立穀稈をバリカン形の刈取装置6cによって刈取り処理し、刈取り穀稈を脱穀装置7に供給する。脱穀装置7は、刈取り穀稈を脱穀処理し、脱穀粒を塵埃と選別してから脱穀装置7と穀粒タンク8の間に設けてある揚穀装置9に搬送する。穀粒タンク8は、揚穀装置9によって送り込まれた脱穀粒を貯留していく。
【0023】
図1,2に示すように、穀粒タンク8の後側に設置された縦スクリューコンベヤ11を備えた穀粒搬出装置10が装備され、穀粒タンク8の貯留された脱穀粒を穀粒搬出装置10によって穀粒タンク8から取り出すようになっている。
【0024】
穀粒搬出装置10について説明する。
図1,2に示すように、穀粒搬出装置10は、穀粒タンク8の後側に位置する走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤ11と、縦スクリューコンベヤ11の搬送終端部から上下揺動自在に延出された横スクリューコンベヤ12とを備えて構成してある。横スクリューコンベヤ12は、昇降シリンダCによって揺動操作される。
【0025】
縦スクリューコンベヤ11の搬送始端部と穀粒タンク8の後壁下部に設けられた排出口とが伝動ケース13によって連通状態に接続されている。縦スクリューコンベヤ11を構成するスクリュー11aと穀粒タンク8の底部に内装されている排出スクリュー14とが、伝動ケース13に収容されたギヤ連動機構(図示せず)によって連動状態に連結され、縦スクリューコンベヤ11のスクリュー11aと横スクリューコンベヤ12を構成するスクリュー12aとが、縦スクリューコンベヤ11の搬送筒11bと横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bとが連結している部位に内装されたギヤ連動機構(図示せず)によって連動状態に連結されている。したがって、穀粒タンク8の底部の前側に設けられている排出クラッチ15が入り状態に操作されると、エンジン4の出力が排出クラッチ15を介して排出スクリュー14の前端側に伝達されて排出スクリュー14が駆動され、排出スクリュー14の駆動力が縦スクリューコンベヤ11のスクリュー11aの搬送始端側に伝達されてこのスクリュー12aが駆動され、縦スクリューコンベヤ11のスクリュー11aの駆動力が横スクリューコンベヤ12のスクリュー12aの搬送始端側に伝達されてこのスクリュー12aが駆動される。
【0026】
図1,3に示すように、横スクリューコンベヤ12の延出端部に吐出筒16を設け、横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bによって形成される搬送経路17の出口18が吐出筒16の上端部に開口されている。吐出筒16と横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bとは、搬送筒12bの端部12cが吐出筒16の内部に入り込む状態で連結されており、搬送経路17の出口18は、吐出筒16の周壁よりも吐出筒16の内側に入り込んだ箇所で吐出筒16に開口している。吐出筒16は、横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bに上端側が連結され、搬送経路17の出口18が開口している板金製の上部筒16aと、上部筒16aの下端部から下向きに延出するゴム製の下部筒16bとを備えて構成してある。吐出筒16の下端側に、吐出用の下向き開口16cが下部筒16bによって形成されている。
【0027】
したがって、穀粒搬出装置10は、排出クラッチ15が入り状態に切換え操作されることにより、排出スクリュー14が駆動され、縦スクリューコンベヤ11及び横スクリューコンベヤ12が排出スクリュー14から動力伝達されて駆動されることにより、排出スクリュー14によって穀粒タンク8から排出された脱穀粒を、伝動ケース13を介して縦スクリューコンベヤ11の搬送始端部に受け入れて縦スクリューコンベヤ11と横スクリューコンベヤ12とによって吐出筒16に搬出し、吐出筒16の下向き開口16cから吐出する。
【0028】
穀粒搬出装置10は、排出クラッチ15が切り状態に切換え操作されることにより、排出スクリュー14が停止されて縦スクリューコンベヤ11及び横スクリューコンベヤ12が停止することにより、穀粒タンク8からの脱穀粒の搬出を停止する。
【0029】
図3,4,5,6に示すように、横スクリューコンベヤ12の搬送経路17の出口18をシャッタ20によって閉じ、横スクリューコンベヤ12に残留穀粒があっても、残留穀粒が走行や駆動振動などに起因して吐出筒16からこぼれ落ちることを防止するようにしてある。
【0030】
すなわち、図3,4に示すように、シャッタ20は、シャッタ20の上部に位置する開閉部20aと、この開閉部20aから下向きに延出する操作部20bとを備えて構成してある。開閉部20aと操作部20bとは、一枚の平板状に一体形成されている。開閉部20aの上端部の横方向での中央部に上方向きに開口する切り欠き部20cを形成してある。シャッタ20は、操作部20bの両横端部に各別に作用するように配置して吐出筒16における上部筒16aの内部に固定された一対のガイドレール21,21に上下摺動自在に支持されている。図9に示すように、各ガイドレール21は、一対のレール板部21a,21aを備えるよう横断面形状がコ字形に形成されたガイドレール部21bを備え、シャッタ20が振動や穀粒圧を受けても横スクリューコンベヤ12の搬送経路17に沿う方向でのガタ付きや位置ずれがシャッタ20に発生しにくいように、シャッタ20の操作部20bでの両横端部を一対のレール板部21a,21aによって強固に支持する。各ガイドレール部21bは、操作部20bが摺動自在に入り込むガイド溝21cを下向きに開口させるようガイドレール部21bの下端部に設けた排出口21dを備え、ガイド溝21cに塵埃や穀粒が入り込んでも、その塵埃や穀粒を排出口21dから落下し易くする。
【0031】
図3,4に示すように、吐出筒16の内部に設けた電動式のモータ22を備えさせ、このモータ22によってシャッタ20を開閉操作するようにシャッタ駆動機構23を構成してある。
【0032】
すなわち、シャッタ駆動機構23は、モータ22を備える他、モータ22の駆動力を減速して出力する減速部24と、減速部24の出力軸25に一体回転自在に設けたピニオンギヤ26とを備えて構成してある。
【0033】
モータ20は、減速部24、及び吐出筒16の内部に設けたモータ支持体27を介して吐出筒16に支持されている。モータ20は、モータ支持体27と吐出筒16の壁部分とによって吐出筒16の内部に横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bの端部12cの下方に形成された収容スペース28に収容してある。モータ支持体27は、両横側が吐出筒16に連結された板体によって構成してあり、収容スペース28は、モータ支持体27の区画壁機能によって吐出筒16の穀粒落下通路16dと区画された状態になっており、吐出筒16の内部に穀粒から発生した塵埃が収容スペース28に入り込みにくくて、モータ22や減速部24の塵埃によるトラブルが発生しにくくなっている。
【0034】
シャッタ20の操作部20bの一対のガイドレール21,21の間に位置する部位に、上下方向に長い操作用開口30、及び操作用開口30に歯部が臨む状態で形成したラックギヤ31を設け、ピニオンギヤ26をラックギヤ31に噛合う状態で操作用開口30に入り込ませて、シャッタ駆動機構23を操作部20bに連動させてある。
【0035】
図3は、搬送経路17の出口18が第1閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断側面図である。図4は、搬送経路17の出口18が第1閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、シャッタ駆動機構23は、モータ22が正回転方向に駆動操作されることにより、ピニオンギヤ26をモータ22によって上昇側に回転駆動してラックギヤ31に作用させることにより、シャッタ20を一対のガイドレール21,21に沿わせて上昇摺動操作する。シャッタ20の開閉部20aが横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bの下方から横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸芯Yに対して交差する方向に上昇して搬送経路17の出口18に入り、シャッタ20の開閉部20aでの上端20tが横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸12dの下端12eと同じ又はほぼ同じ上下方向での箇所に位置すると、シャッタ20が下段側の上昇閉じ位置になる。下段側の上昇閉じ位置になったシャッタ20は、搬送経路17の底からスクリュー軸12dの下端12eが位置する箇所又はその箇所とほぼ同じ箇所に至る範囲で出口18を閉じる。
【0036】
図5は、搬送経路17の出口18が第2閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断側面図である。図6は、搬送経路17の出口18が第2閉じ形態で閉じられた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、シャッタ駆動機構23は、シャッタ20が下段側の上昇閉じ位置に位置する状態からモータ22がさらに正回転方向に駆動操作されることにより、ピニオンギヤ26をモータ22によって上昇側に回転駆動してラックギヤ31に作用させることにより、シャッタ20を一対のガイドレール21,21に沿わせて上昇摺動操作する。シャッタ20の開閉部20aが横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸芯Yに対して交差する方向に上昇して搬送経路17の出口18に入り、シャッタ20の開閉部20aの切り欠き部20cにスクリュー軸12dが入り込んでシャッタ20の開閉部20aでの上端20tがスクリュー軸12dの下端12eより上方の箇所に位置すると、シャッタ20が上段側の上昇閉じ位置になる。上段側の上昇閉じ位置になったシャッタ20は、搬送経路17の底からスクリュー軸12dの下端12eより上方に位置する箇所に至る範囲であって、下段側の上昇閉じ位置になった場合よりも広い範囲で出口18を閉じる。
【0037】
図7は、搬送経路17の出口18が開かれた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断側面図である。図8は、搬送経路17の出口18が開かれた状態での横スクリューコンベヤ12の出口付近を示す縦断正面図である。これらの図に示すように、シャッタ駆動機構23は、シャッタ20が下段側や上段側の上昇閉じ位置にある状態からモータ22が逆回転方向に駆動操作されることにより、ピニオンギヤ26をモータ22によって下降側に回転駆動してラックギヤ31に作用させることにより、シャッタ20を一対のガイドレール21,21に沿わせて下降摺動操作する。シャッタ20の開閉部20aが搬送筒12bの下方に横スクリューコンベヤ12のスクリュー軸芯Yに対して交差する方向に下降してシャッタ20の開閉部20aでの上端20tが搬送経路17の底と同じ上下方向での箇所又は搬送経路17の底よりも低い箇所に位置すると、シャッタ20が下降開き位置になって出口18を開く。
【0038】
図4,6に示すように、シャッタ20の前後方向での形状を、シャッタ上端部の両横側に切り欠き部20dが形成されるように、かつそのシャッタ上端部よりも下方に位置するシャッタ下端側部の横幅がシャッタ上端部の横幅よりも小になるように形状にしてある。つまり、図6に示す如くシャッタ20が上段側の上昇閉じ位置に上昇した状態において、切り欠き部20dに横スクリュー20の搬送筒12bが入り込んで、シャッタ20の開閉部20aが出口18を精度よく閉じるように、図8に示す如くシャッタ20が下降開き位置に下降した状態において、シャッタ20が上下方向での広い範囲にわたってガイドレール21に入り込むように構成してある。
【0039】
図10に示すように、シャッタ駆動機構23のモータ22を制御装置40に連係させて、シャッタ用の操作機構41を構成してある。
【0040】
シャッタ用の操作機構41は、制御装置40を備える他、排出クラッチレバー42に検出作用するクラッチ検出手段43、及び制御装置40に連係させた閉じ形態選択手段44を備えて構成してある。制御装置40にはシャッタ検出センサ45が連係されている。
【0041】
排出クラッチレバー42は、人為操作によってクラッチ入り位置ONとクラッチ切り位置OFFとに切換え操作され、揺動リンクや操作ケーブルを利用した連係機構(図示せず)を介して排出クラッチ15を入り状態と切り状態に切換え操作する。クラッチ検出手段43は、検出スイッチで成り、排出クラッチレバー42のクラッチ切り位置OFFへの切り換わりを排出クラッチ15の切り状態への切り換わりとして検出し、この検出結果に制御装置40に出力する。
【0042】
閉じ形態選択手段44は、操作具44aの人為操作によって下段選択状態と上段選択状態とに切換え操作され、下段選択状態に切換え操作されることにより、シャッタ20の下段側の上昇閉じ位置を設定制御目標位置として設定し、この設定制御目標位置を制御装置40に出力する。閉じ形態選択手段44は、上段選択状態に切換え操作されることにより、シャッタ20の上段側の上昇閉じ位置を設定制御目標位置として設定し、この設定制御目標位置を制御装置40に出力する。
【0043】
図3,4に示すように、シャッタ検出センサ45は、吐出筒16の内部にモータ支持体27の下方に配置して固定されたセンサ支持体46に支持されている。シャッタ検出センサ45は、センサ支持体46の穀粒落下経路16dが位置する側とは反対側に位置する部位に支持されており、センタ支持体46は、吐出筒16の内部で穀粒から発生した塵埃をシャッタ検出センサ45に届きにくくするガード機構を発揮する。シャッタ検出センサ45は、回転式のポテンショメータによって構成され、ポテンショメータの回転操作軸から一体回転自在に延出された検出アーム45aを備えている。検出アーム45aは、これの先端部に設けられたピン形の接触体45bを備え、ポテンショメータの本体に内装されたスプリング(図示せず)による揺動付勢により、接触体45bがシャッタ20の昇降にかかわらずシャッタ20の操作部20bにおける下端に当接する状態に維持される。
【0044】
制御装置40は、マイクロコンピュータを利用して構成してあり、シャッタ制御手段47を備えている。シャッタ制御手段47は、クラッチ検出手段43及びシャッタ検出センサ45による検出情報と、閉じ形態選択手段44による設定制御目標位置とを基に、シャッタ20を昇降操作させるべくシャッタ駆動機構23のモータ22を制御する。
【0045】
従って、シャッタ用の操作機構41は、排出クラッチレバー42によって排出クラッチ15が切換え操作されると、この切換え操作に連係させて、排出クラッチ15の操作状態に対応した上昇閉じ位置や下降開き位置に、かつ閉じ形態選択手段44によって選択された下段側や上段側の上昇閉じ位置に選択して自動的に操作する。
【0046】
すなわち、排出クラッチレバー42をクラッチ入り位置ONに切換え操作すると、シャッタ制御手段47は、クラッチ検出手段43及びシャッタ検出センサ45による検出情報を基にモータ22を逆回転方向に駆動制御してシャッタ20を下降開き位置に摺動操作する。
【0047】
排出クラッチレバー42をクラッチ切り位置OFFに切換え操作すると、シャッタ制御手段47は、クラッチ検出手段43及びシャッタ検出センサ45による検出情報と閉じ形態選択手段44による設定制御目標位置とを基にモータ22を正回転方向に駆動制御してシャッタ20を上昇側に摺動操作する。この場合、閉じ形態選択手段44を下段選択状態に切換えてあると、シャッタ制御手段47は、下段側の上昇閉じ位置を選択して、シャッタ20を下段側の上昇閉じ位置に操作する。閉じ形態選択手段44を上段選択状態に切換えてあると、シャッタ制御手段47は、上段側の上昇閉じ位置を選択し、シャッタ20を上段側の上昇閉じ位置に操作する。
【0048】
図3,4に示すように、吐出筒16の下端側の内部に、穀粒圧センサ50がモータ支持体27から下向きに延出したステー51に支持させて設けられている。穀粒圧センサ50は、たとえば横スクリューコンベヤ12から籾袋に脱穀粒が直接吐出される場合、籾袋が満杯になった際の脱穀粒に接触して加圧されることにより、籾袋の満杯状態を検出して満杯表示装置52を作動させる。
【0049】
刈取り部6は、図11に示す如く構成してある。
機体横方向に並ぶ6つの引起し装置6bによって引起し処理される植立穀稈の株元側を、係止爪付きの無端回動ベルト53及び掻き込み突起付きの回転輪体54によって刈取装置6cに掻き込み供給する。機体右側の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54の搬送終端部の上方から脱穀フィードチェーン7aの始端部の付近に亘り、刈取り穀稈搬送用の搬送始端側の主搬送装置55と搬送中間部の扱深さ調節搬送装置56と搬送終端側の主搬送装置57とを設けてある。機体中央部の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54からの刈取り穀稈を、機体中央部の前搬送装置58によって搬送始端側の主搬送装置55の搬送中間部に供給して機体右側の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54からの刈取り穀稈に合流させる。機体左側の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54からの刈取り穀稈を、機体左側の前搬送装置59により、搬送始端側の主搬送装置55と扱深さ調節搬送装置56との穀稈受け渡し箇所に供給して機体左側の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54からの刈取り穀稈と、機体中央部の2つの無端回動ベルト53及び回転輪体54からの刈取り穀稈とに合流させる。
【0050】
扱深さ調節搬送装置56は、刈取り対象の植立穀稈の稈身長さが変化しても、脱穀フィードチェーン7aによって扱室に挿入される刈取穀稈の穂先側長さを設定長さ又はほぼ設定長さにするように揺動調節される。すなわち、扱深さ調節搬送装置56は、搬送始端側の主搬送装置55から受け継いだ刈取り穀稈の株元側を搬送終端側の主搬送装置57に受け渡して挟持させる。そして、扱深さ調節搬送装置56は、刈取り対象の植立穀稈の稈身長さが設定長さより長い場合、搬送終端側の主搬送装置57が扱深さ調節搬送装置56から受継ぐ刈取り穀稈を挟持する際の挟持箇所を穂先側に移動調節するように揺動調節され、刈取り対象の植立穀稈の稈身長さが設定長さより短い場合、搬送終端側の主搬送装置57が扱深さ調節搬送装置56から受継ぐ刈取り穀稈を挟持する際の挟持箇所を株元側に移動調節するように揺動調節される。
【0051】
6つの回転輪体54のうち、隣り合う一対の回転輪体54,54は、一方の駆動側の回転輪体54の掻き込み突起と他方の従動側の回転輪体54の掻き込み突起との噛合いによって連動している。隣り合う一対の回転輪体54,54の一方に、駆動トルクの変化を基に穀稈詰まりの発生を検出するように輪体詰まりセンサ60を作用させてある。搬送始端側の主搬送装置55、機体中央部の前搬送装置58及び機体左側の前搬送装置59に、挟持ガイドレールの位置変化を基に穀稈詰まりの発生を検出するように前詰まりセンサ61を作用させてある。扱深さ調節搬送装置56に、挟持ガイドレールの位置変化を基に穀稈詰まりの発生を検出するように扱深さ詰まりセンサ62を作用させてある。搬送終端側の主搬送装置57に、挟持ガイドレールの位置変化を基に穀稈詰まりの発生を検出するように供給詰まりセンサ63を作用させてある。
【0052】
図10に示すように、各輪体詰まりセンサ60、各前詰まりセンサ61、扱深さ詰まりセンサ62及び供給詰まりセンサ63を制御装置40に連係させてある。制御装置40に詰まり報知手段64を備えさせるとともに詰まり表示装置65を連係させてある。各輪体詰まりセンサ60、各前詰まりセンサ62、扱深さ詰まりセンサ62及び供給詰まりセンサ63は、検出作動すると、検出結果を制御装置40に出力して詰まり報知手段64を作動させる。作動した詰まり報知手段64は、詰まり表示装置65を作動させ、穀稈詰まりの発生及び穀稈詰まりの発生箇所を詰まり表示装置65に表示させる。制御装置40にエンジン停止装置66を連係させてある。詰まり報知手段64は、各輪体詰まりセンサ60、各前詰まりセンサ61、扱深さ詰まりセンサ62及び供給詰まりセンサ63による検出情報を基に作動すると、エンジン停止装置66を作動させてエンジンン停止装置66によってエンジン4を停止させる。
【0053】
図10に示すように、脱穀クラッチレバー67のクラッチ入り位置ONへの切り換わりを検出スイッチ68によって検出するように構成し、検出スイッチ68を制御装置40に連係させてある。制御装置40に警報手段69を備えさせるとともにホーン70を連係させてある。脱穀クラッチレバー67は、人為操作によってクラッチ入り位置ONとクラッチ切り位置OFFとに切換え操作され、揺動リンクや操作ケーブルを利用した連係機構(図示せず)を介して脱穀クラッチ(図示せず)を入り状態と切り状態に切換え操作して扱胴7b及び脱穀フィードチェーン7aを駆動及び停止操作する。検出スイッチ68は、脱穀クラッチレバー67によって脱穀クラッチが入り状態に切換え操作されると、検出結果を制御装置40に出力して警報手段69を作動させる。作動した警報手段69は、ホーン70を脱穀クラッチが入りに切り換わった瞬間に作動させ、脱穀フィードチェーン7aが駆動されることを脱穀フィードチェーン7aの起動の前にホーン70によって警報させる。
【0054】
図10に示すように、エンジン4の振動を加速度センサ71によって検出するように構成し、この加速度センサ71、及びアクセル操作装置72の操作位置を検出するアクセルセンサ73を制御装置40に連係させるとともに制御装置40に共振防止手段74を備えさせて、エンジン4に支持された排気マフラ75がエンジン振動に共振して破損することを防止するようにしてある。
【0055】
すなわち、共振防止手段74は、アクセルセンサ73による検出結果を基に、アクセル装置76のアクセル操作装置72による操作が減速側に行なわれていると判断し、かつ加速度センサ71による検出結果を基に排気マフラ75の共振が発生するエンジン振動の発生状態にあると判断した場合、排気マフラ75の共振を発生させるエンジン振動が生じるエンジン回転数に近くてこのエンジン回転数より低速側のエンジン回転数であって、排気マフラ75の共振を発生させないエンジン振動が生じるエンジン回転数でエンジン4が回転するように、アクセルセンサ73による検出結果に優先してアクセル装置76を減速側に操作する。
【0056】
共振防止手段74は、アクセルセンサ73による検出結果を基に、アクセル装置76のアクセル操作装置72による操作が増速側に行なわれていると判断し、かつ加速度センサ71による検出結果を基に排気マフラ75の共振が発生するエンジン振動の発生状態にあると判断した場合、排気マフラ75の共振を発生させるエンジン振動が生じるエンジン回転数に近くてこのエンジン回転数より高速側のエンジン回転数であって、排気マフラ75の共振を発生させないエンジン振動が生じるエンジン回転数でエンジン4が回転するように、アクセルセンサ73による検出結果に優先してアクセル装置76を増速側に操作する。
【0057】
図10に示すように、エンジン4の回転数をエンジン回転数センサ77によって検出するように構成し、このエンジン回転数センサ77を制御装置40に連係させるとともに制御装置40にオーディオ調音手段78を備えさせて、運転キャビン2に装備されたオーディオ装置79がエンジン4の回転数変化によるエンジン音の増減にかかわらず聞き取りに適切な音量で作動するようにしてある。
【0058】
すなわち、オーディオ調音手段78は、エンジン回転数センサ77による検出情報を基にエンジン4の回転数の増減変化を判断し、エンジン4の回転数が高速側に変化したと判断した場合、この判断結果を基に、エンジン回転数が高速になるほどオーディオ装置79の音量が上がるようにオーディオ装置79の音量を自動的に上げ調節する。オーディオ調音手段78は、エンジン4の回転数が低速側に変化したと判断した場合、この判断結果を基に、エンジン回転数が低速になるほどオーディオ装置79の音量が下がるようにオーディオ装置79の音量を自動的に下げ調節する。従って、刈取り作業中にオーディオ装置79の音量を変更調節する手間を省くことができ、刈取り作業に集中できる。
【0059】
図1,2,10に示すように、運転キャビン2、脱穀装置7の脱穀機体及び穀粒タンク8の上部に太陽光発電パネル80を設け、走行装置1のクローラベルト1aの回転方向での複数箇所に発電床81を埋設し、エンジン4を支持する複数のクッションゴム82に圧電素子(チタン酸ジルコル酸鉛)83を貼り付け、各太陽光発電パネル80、各発電床81及び各圧電素子83を、分電器などを備えた電力供給装置84を介して詰まり表示装置65、ホーン70、前照灯85、及び運転キャビン2の空調装置86の電源回路、かつバッテリー87の充電回路に接続してある。
【0060】
つまり、太陽光発電パネル80が太陽光を受けることで太陽光発電パネル80に発生する電力、クローラベルト1aに埋設の発電床81が走行振動を受けることで発電床81に発生する電力、クッションゴム82によるエンジン振動の吸収に伴って圧電素子83に発生する電力を、詰まり表示装置65、ホーン70、空調装置86及び前照灯85を作動あるいは点灯させる電力に利用するようにしてある。
【0061】
図12(a)は、別の実施構造を備えた穀粒搬出装置10の先端部を示す縦断側面図である。図12(b)は、別の実施構造を備えた穀粒搬出装置10の先端部を示す底面図である。これらの図に示すように、別の実施構造を備えた穀粒搬出装置10では、吐出筒16の下向き開口16cの下側近くに拡散羽根88を配置してある。拡散羽根88は、吐出筒16の内部に上下2段に設けた支持アーム89に回転支軸88aを介して回転自在に支持されている。
【0062】
図13は、穀粒搬出装置10によって穀粒を運搬車の荷台90に積み込む状態を示す説明図である。この図に示すように、拡散羽根88は、吐出筒16から吐出される穀粒の荷重を受けて回転し、当った穀粒を跳ね飛ばして荷台90の広い範囲に分散して落下するように拡散させる。これにより、拡散羽根88が無い場合のように、荷台90に落下した穀粒が山形に堆積し、穀粒を荷台90に均平に均して積み込むように穀粒の山形の堆積を崩す作業を省略できる。
【0063】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、シャッタ20として、上段側の上昇閉じ位置において、出口18を上下方向での全範囲にわたって閉じず、下端側の範囲のみで閉じるものを採用した例を示したが、スクリュー軸12dが入り込む切り欠き部20cの深さが深く、出口18を上下方向での全範囲にわたって閉じるものを採用して実施してもよい。
【0064】
(2)上記した実施例では、スクリュー軸12dが入り込む切り欠き部20cとして、スクリュー軸12dに沿った方向での底部形状がスクリュー軸12dの周面に沿う円弧形状となるように形成した切り欠き部を採用した例を示したが、スクリュー軸12dに沿った方向での底部形状が直線形状あるいは上向き広がりのV字形状となるように形成した切り欠き部を採用して実施してもよい。
【0065】
(3)上記した実施例では、上端部にスクリュー軸12dが入り込む切り欠き部20cを形成したシャッタ20を採用した例を示したが、切り欠き部を備えず、上端がシャッタ20の全幅に亘って一直線状となるように形成したシャッタを採用して実施してもよい。
【0066】
(4)上記した実施例では、シャッタ20を上下2段の上昇閉じ位置に操作自在に構成した例を示したが、1段のみの上昇閉じ位置、あるいは上下3段以上の上昇閉じ位置に操作自在に構成して実施してもよい。シャッタ20を1段のみの上昇閉じ位置に操作自在に構成する場合、シャッタ20の上端20tがスクリュー軸12dの下端12eより下方にする上昇閉じ位置と、シャッタ20の上端20tがスクリュー軸12dの下端12eと同じ又はほぼ同じ高さ位置に位置する上昇閉じ位置と、シャッタ20の上端20tがスクリュー軸12dの下端12eより上方に位置する上昇閉じ位置とのいずれかを上昇閉じ位置として設定して実施してもよい。シャッタ20を上下複数段の上昇閉じ位置に操作自在に構成する場合、シャッタ20を上下複数段のいずれの段階の上昇閉じ位置に操作しても、シャッタ20の上端20tがスクリュー軸12dの下端12eと同じ又はほぼ同じ高さ以下の範囲に位置するように構成するか、あるいは切り欠き部20cの深さが深く、シャッタ20を上下複数段のいずれの段階の上昇閉じ位置に操作しても、シャッタ20の上端20tがスクリュー軸12dの下端12eより上方の範囲に位置するように構成して実施してもよい。
【0067】
(5)上記した実施例では、シャッタ20をガイドレール21によって摺動自在に支持する例を示したが、ガイド孔とガイド孔に係入する連結ピンとの相対摺動によってシャッタ20を摺動自在に支持する構成を採用してもよい。
【0068】
(6)上記した実施例では、シャッタ20及びモータ22を吐出筒16の内部に設けた例を示したが、シャッタ20及びモータ22を吐出筒16の外部に設けて、あるいはシャッタ20を吐出筒16の内部に設け、モータ22を吐出筒16の外部に設けて実施してもよい。
【0069】
(7)上記した実施例では、操作用開口30として全周囲にわたって閉じられた孔形の開口を採用した例を示したが、下端側が操作部20bの下方に向いて開口する切り欠き形に形成した開口を採用して実施してもよい。
【0070】
(8)上記した実施例では、シャッタ20に操作用開口30を形成してこの操作用開口30にラックギヤ31を設けた例を示したが、操作用開口30を形成せず、シャッタ20に設けたシャッタ20とは別部材によって構成したラックギヤをピニオンギヤ26に噛合うよう構成してもよい。
【0071】
(9)上記した実施例では、モータ22及びピニオンギヤ26が吐出筒16に支持された例を示したが、横スクリューコンベヤ12の搬送筒12bに支持される構成を採用して実施してもよい。
【0072】
(10)上記した実施例では、ピニオンギヤ26及びラックギヤ31を備えてシャッタ操作構造を構成した例を示したが、ゴムローラ、ゴムローラとの摩擦によってゴムローラによって昇降操作される摩擦レールを備えることにより、あるいは、上下に揺動駆動される駆動揺動アーム、この駆動揺動アームとシャッタとを連動させる連動リンクを備えることにより、あるいは回転力を上下向きのスライド力に変換するカム機構を備えることによりシャッタ操作構造を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、自脱型の脱穀装置7の他、刈取り穀稈が株元から穂先までの全体にわたって扱室に投入される全稈投入型の脱穀装置が装備されたコンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0074】
8 穀粒タンク
11 縦スクリューコンベヤ
12 横スクリューコンベヤ
12b 搬送筒
12d スクリュー軸
12e スクリュー軸の下端
16 吐出筒
17 搬送経路
18 出口
20 シャッタ
20a 開閉部
20b 操作部
20c 切り欠き部
20t シャッタの上端
21 ガイドレール
22 モータ
26 ピニオンギヤ
30 操作用開口
31 ラックギヤ
41 操作機構
Y スクリュー軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクに貯留された穀粒を、走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤとこの縦スクリューコンベヤの搬送終端部から上下揺動自在に延出する横スクリューコンベヤとによって前記穀粒タンクから搬出し、前記横スクリューコンベヤの延出端部に設けた下向き開口の吐出筒から吐出するように構成したコンバインの穀粒搬出装置であって、
前記横スクリューコンベヤの搬送経路の前記吐出筒に開口する出口を開閉するシャッタを、前記出口に対して前記横スクリューコンベヤの搬送筒の下方から前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸芯に対して交差する方向に上昇して前記出口を閉じる上昇閉じ位置と、前記出口に対して前記搬送筒の下方に前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸芯に対して交差する方向に下降して前記出口を開く下降開き位置とに摺動昇降するように上下摺動自在に支持させてあるコンバインの穀粒搬出装置。
【請求項2】
前記上昇閉じ位置での前記シャッタの上端が前記横スクリューコンベヤのスクリュー軸の下端より上方に位置するように、前記スクリュー軸が入り込む切り欠き部を前記シャッタの上端部に形成してある請求項1記載のコンバインの穀粒搬出装置。
【請求項3】
前記シャッタの操作機構を、上下複数段の上昇閉じ位置に前記シャッタを選択して摺動操作可能に構成してある請求項1又は2記載のコンバインの穀粒搬出装置。
【請求項4】
前記シャッタを、前記出口を開閉する開閉部とこの開閉部から下向きに延出する操作部とを備えて構成し、
前記操作部の両横端部を各別に摺動自在に支持する一対のガイドレールを設け、
前記操作部の前記一対のガイドレールの間に位置する部位に操作用開口及びこの操作用開口に臨むラックギヤを設け、前記ラックギヤに噛合う状態で前記操作用開口に入り込んだピニオンギヤ及びこのピニオンギヤを正逆回転操作して前記シャッタを昇降操作するモータを前記横スクリューコンベヤの搬送筒又は前記吐出筒に支持させてある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの穀粒搬出装置。
【請求項5】
前記シャッタ及び前記モータを前記吐出筒の内部に設置してある請求項4記載のコンバインの穀粒搬出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−170333(P2012−170333A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32101(P2011−32101)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】