説明

コンバインドサイクル発電プラント

【課題】コンバインドサイクル発電プラントにおいて、補助蒸気を生成する補助蒸気設備の小型化、及び起動時における補助蒸気の低減を実現する。
【解決手段】ガスタービン2と、蒸気タービン3と、排熱回収ボイラ4と、補助蒸気設備7と、補助蒸気の一部又は主蒸気の一部によりガスタービンの高温部を冷却するGT高温部冷却用蒸気路55と、補助蒸気の一部又は主蒸気の一部によりガスタービンの高温部冷却以外の所定作用に供する補助蒸気路65,66とを備えたコンバインドサイクル発電プラント1において、ガスタービンの高温部56の出口から分岐し、補助蒸気路に接続された分岐管48と、分岐管を通る蒸気が目的に応じた温度となるように分岐管内の蒸気を冷却する減温器49と、をさらに備え、高温部を通過した蒸気が補助蒸気路に導入されて再利用される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンと、このガスタービンから排出される排気ガスの排熱を利用して主蒸気を生成する排熱回収ボイラと、蒸気タービンとからなるコンバインドサイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービン、排熱回収ボイラ、蒸気タービン、発電機などから構成されており、ガスタービンで発電機を回転させると共に、ガスタービンから排出される排気を利用して排熱回収ボイラで主蒸気を生成し、蒸気タービンにおいても発電のための動力を得る発電プラントである。
コンバインドサイクル発電プラントの中でも、ガスタービンと蒸気タービンとが同一軸上に構成されるものは一軸型コンバインドサイクル発電プラントと呼ばれている。一軸型コンバインドサイクル発電プラントは、全軸長の短縮、ロータ数減による軸系の信頼性向上、運用性・保守性の向上に大きな効果がある。
【0003】
図2に、従来のコンバインドサイクル発電プラント(以下、コンバインドプラントと呼ぶ)101の概略系統図を示す。
図2に示すように、従来のコンバインドプラント101は、ガスタービン2と、蒸気タービン3と、排熱回収ボイラ4と、補助蒸気設備7とを有している。コンバインドプラント101の起動時においては、排熱回収ボイラ4で発生する蒸気が少なく充分な蒸気量が得られないため、補助蒸気設備7からの補助蒸気によって、ガスタービン2の高温部(GT高温部56)、及び低圧蒸気タービン13を冷却している。また、補助蒸気は、グランド蒸気としても利用されており、グランド蒸気によって蒸気タービン3の軸封部をシールしている。このような補助蒸気設備としては、例えば特許文献1、2にその記載がある。
【0004】
具体的には、補助蒸気は、GT高温部補助配管64及びGT高温部冷却配管55Aを介してGT高温部56に供給され、GT高温部56の冷却に利用される。同様に補助蒸気は、ST補助蒸気配管65を介してグランド蒸気として利用されるとともに、低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66及び低圧主蒸気供給配管23Bを介して低圧蒸気タービン13に供給される。
【0005】
コンバインドプラント101は、定常状態に至ると補助蒸気設備7の作動が停止され、ガスタービン2のGT高温部56は、中圧過熱器15からGT高温部冷却配管55Aを介して供給される蒸気によって冷却される。同様に低圧蒸気タービン13は、低圧過熱器16から低圧主蒸気供給配管23Aを介して供給される主蒸気によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4598943号公報
【特許文献2】特許第4052405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ガスタービンの高効率化及び蒸気タービンの長翼化に伴い、起動に必要な補助蒸気量が多量となっている。多量の補助蒸気を生成するためには、補助蒸気を供給するための大規模な設備が必要となる。また、起動の際に大量の蒸気を使用するため、経済性が悪化するという問題がある。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、補助蒸気を生成する補助蒸気設備の小型化、及び起動時における補助蒸気の低減を実現するコンバインドサイクル発電プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンと、該ガスタービンに接続された蒸気タービンと、前記ガスタービンの排気により主蒸気を発生する排熱回収ボイラと、補助蒸気を発生する補助蒸気設備と、前記補助蒸気の一部又は前記主蒸気の一部により前記ガスタービンの高温部を冷却するGT高温部冷却用蒸気路と、前記補助蒸気の一部又は前記主蒸気の一部により前記ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用に供する補助蒸気路を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記ガスタービンの高温部の出口から分岐し、前記補助蒸気路に接続された分岐管と、前記分岐管を通る蒸気が目的に応じた温度となるように前記分岐管内の蒸気を冷却する減温器と、をさらに備え、前記高温部を通過した蒸気が前記補助蒸気路に導入されて再利用されることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ガスタービンの高温部を通過した蒸気が、分岐管をバイパス通過して、補助蒸気路に導入される。ここで、ガスタービンの高温部を通過した蒸気というのは、高温部を出た後においても圧力・温度が高く維持されている。本発明では、この高温且つ高圧の蒸気を、ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用に再利用する。これによって補助蒸気設備が生成する補助蒸気が低減されるため、補助蒸気設備の容量を低減することができる。さらに、補助蒸気が有効利用されるため、コンバインドサイクル発電プラント起動時の経済性を向上させることができる。
【0011】
また、前記蒸気タービンは前記ガスタービンと同軸状に接続されていてもよい。
【0012】
また、前記減温器は、前記分岐管を通る蒸気に対して水を散水するスプレー部と、該スプレー部に供給する水量を制御する制御弁とを備えることが好ましい。
上記構成によれば、分岐管を通る蒸気の温度をより早く下げることができる。
【0013】
また、前記制御弁の開度は、前記減温器の下流側に設けられた温度計の信号に基づいて調整されることが好ましい。
上記構成によれば、分岐管を通る蒸気の温度をより確実に調整することができる。
【0014】
また、前記ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用が、グランド蒸気によるシール、及び蒸気タービンの冷却の少なくとも一つであることが好ましい。
上記構成によれば、ガスタービンの高温部を通過した蒸気が、グランド蒸気によるシール、又は蒸気タービンの冷却に再利用されることによって、補助蒸気設備及び起動時に必要な補助蒸気を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスタービンの高温部を通過した蒸気が、分岐管をバイパス通過して、補助蒸気路に導入される。ここで、ガスタービンの高温部を通過した蒸気というのは、高温部を出た後においても圧力・温度が高く維持されている。本発明では、この高温且つ高圧の蒸気を、ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用に再利用する。これによって補助蒸気設備が生成する補助蒸気が低減されるため、補助蒸気設備の容量を低減することができる。さらに、補助蒸気が有効利用されるため、コンバインドサイクル発電プラント起動時の経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態のコンバインドサイクル発電プラントの概略系統図である。
【図2】従来のコンバインドサイクル発電プラントの概略系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の一軸型コンバインドプラント1は、ガスタービン2(以下、GTと略すこともある)に蒸気タービン3(以下、STと略すこともある)を1軸により、同軸状に接続したものであり、ガスタービン2と蒸気タービン3の回転駆動力により発電機5を駆動して発電させるように構成されている。ガスタービン2の排出ガス出口は、排熱回収ボイラ4(HRSG)に接続されている。また、蒸気タービン3には、復水器6及び復水ポンプ18が設けられており、蒸気タービン3で膨張仕事をして駆動した後の蒸気を復水器6に排出させて復水に凝縮するようになっている。また、コンバインドプラント1は、補助蒸気を生成する補助蒸気設備7を備えている。補助蒸気は、STグランド蒸気、ST冷却蒸気、及びGT冷却蒸気として利用される。
【0018】
ガスタービン2には、燃焼用空気を圧縮する圧縮機8(C)と、圧縮された高圧空気と燃料との混合気を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを供給する燃焼器9と、タービン10(T)とが設けられている。
蒸気タービン3は、高圧蒸気タービン11(HP)、中圧蒸気タービン12(IP)、低圧蒸気タービン13(LP)の3つのタービンを具備している。
排熱回収ボイラ4には、高圧蒸気タービン11に供給される高圧蒸気を過熱する高圧過熱器14(HPSH)、中圧蒸気タービン12に中圧蒸気を供給する中圧過熱器15(IPSH)、低圧蒸気タービン13に低圧蒸気を供給する低圧過熱器16(LPSH)が設けられている。さらに、排熱回収ボイラ4には、高圧蒸気タービン11に対して仕事をした蒸気を再加熱する、再熱器17(RH)が設けられている。
なお、図1においては、排熱回収ボイラ4を構成する高圧過熱器14、中圧過熱器15、低圧過熱器16、及び再熱器17は、系統図の簡略化のため、排熱回収ボイラ4から独立して図示してある。同様に、GT高温部56はガスタービン2から独立して図示してある。
【0019】
高圧過熱器14と高圧蒸気タービン11とを接続する高圧主蒸気供給配管21、再熱器17を介して高圧蒸気タービン11と中圧蒸気タービン12とを接続する再熱蒸気配管24B、及び低圧過熱器16と低圧蒸気タービン13とを接続する低圧主蒸気供給配管23Aには、それぞれタービンバイパス配管25,26,27が設けられている。低圧主蒸気供給配管23Aの下流側には、主蒸気の供給を遮断するための低圧主蒸気供給弁36が設けられている。
【0020】
このうち、中圧タービンバイパス配管26、及び低圧タービンバイパス配管27は、それぞれ復水器6にバイパス接続されている。高圧蒸気タービンバイパス配管25は、減温器51を介して再熱蒸気配管24Aに接続されている。
また、タービンバイパス配管25,26,27には、それぞれタービンバイパス弁28が設けられている。タービンバイパス弁28は、各主蒸気供給配管21,22,23の圧力を監視する圧力計52によって制御されており、排熱回収ボイラ4の主蒸気圧力が上昇するに伴い徐々に閉じられるように構成されている。
【0021】
高圧主蒸気供給配管21の下流には、主蒸気止め弁31と主蒸気調整弁32が設けられており、高圧蒸気タービン11への主蒸気の供給を主蒸気止め弁31の全閉により阻止、又は主蒸気の供給流量を主蒸気調整弁32によって調整するようになっている。同様の主蒸気止め弁31と主蒸気調整弁32が、低圧主蒸気供給配管23Bにも設けられている。
【0022】
また、再熱蒸気配管24Bの途中であって、タービンバイパス配管26との接続部の下流、かつ、中圧蒸気タービン12入口側には、再熱蒸気止め弁46(RSV)、及びインターセプト弁47(ICV)が設けられており、主蒸気止め弁31と主蒸気調整弁32とそれぞれ同様の作動をする。
【0023】
また、中圧過熱器15は、中圧主蒸気供給配管22を介して、再熱蒸気配管24Aの途中であって再熱器17の入口に接続されている。中圧主蒸気供給配管22には、中圧主蒸気供給弁53及び中圧主蒸気圧力調整弁54が設けられている。
【0024】
また、中圧主蒸気供給配管22の途中からは、GT高温部冷却配管55Aが分岐している。GT高温部冷却配管55Aは、ガスタービン2の高温部56を冷却するために中圧主蒸気を供給するための配管である。GT高温部冷却配管55AはGT高温部56及びGT高温部冷却配管55Bを介して、再熱蒸気配管24Bに接続されている。またGT高温部冷却配管55Aの途中であって、GT高温部56入口には、GT冷却蒸気供給弁57が設けられている。同様に、再熱蒸気配管24BとGT高温部冷却配管55Bとの接続部入口には、GT冷却蒸気回収弁58が設けられている。
【0025】
また、GT高温部冷却配管55Bの途中であって、GT高温部56とGT冷却蒸気回収弁58との間からは、ダンプ配管59が分岐しており、ダンプ弁60を介して復水器6と接続されている。ダンプ弁60は、ダンプ配管59分岐部の上流側に設けられた圧力計61の計測値に対応して、圧力が所定圧力よりも高くなった場合に開状態とされ、GT冷却蒸気を逃がすように構成されている。
【0026】
次に、補助蒸気設備7と、この補助蒸気設備7で生成された補助蒸気が供給される部位との接続構成について説明する。
補助蒸気設備7は、GT高温部56に冷却蒸気を供給するための系統、STグランド蒸気を供給するための系統、及び低圧蒸気タービン13に冷却蒸気を供給するための系統の3つの系統を有している。GT高温部56に冷却蒸気を供給するための系統は、補助蒸気配管30から分岐されるGT高温部補助配管64によって構成される。同様に、STグランド蒸気を供給するための系統、及び低圧蒸気タービン13に冷却蒸気を供給するための系統は、ST補助蒸気配管65を介して構成される。
【0027】
GT高温部補助配管64は、GT高温部冷却配管55Aの途中であって、GT冷却蒸気供給弁57とGT高温部56との間に接続されている。また、GT高温部補助配管64には、GT高温部補助調整弁67が設けられている。
【0028】
補助蒸気配管30から分岐するST補助蒸気配管65は、STグランド蒸気を供給するための系統と、低圧蒸気タービン13に冷却蒸気を供給する系統とに分岐し、STグランド蒸気を供給する系統については、蒸気タービン3の軸封部に供給され、蒸気タービンの蒸気が軸の隙間から漏れ出るのを防止している。STグランド蒸気を供給する系統には、グランド蒸気圧力調整弁68が設けられている。グランド蒸気圧力調整弁68は、グランド蒸気供給口入口に設けられている圧力計69によって制御されている。本実施形態においては、グランド蒸気は0.03MPaとなるように調整される。
【0029】
低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66はST補助蒸気配管65よりさらに分岐された蒸気配管であり、低圧主蒸気供給配管23A,23Bの途中であって低圧主蒸気供給弁36の下流側に接続されている。低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66の最も上流側(補助蒸気設備7側)には、ST冷却蒸気圧力調整弁45が設けられている。ST冷却蒸気圧力調整弁45の更に下流側には、減温器37が設けられており、この減温器37には減温水供給配管38が接続されている。減温器37と低圧主蒸気供給配管23Bの間には温度計39が設置され、温度計39の更に下流側にはST冷却蒸気供給弁40が設けられている。
【0030】
減温器37は、補助蒸気設備7により供給される補助蒸気をスプレー水により減温する装置である。スプレー水は、減温水供給配管38を介して復水配管20よりバイパス供給されている。減温水供給配管38には、冷却蒸気温度調整弁43が設けられている。補助蒸気設備7によって供給される補助蒸気は、温度計39によって計測された蒸気温度に基づいて調節される。具体的には、温度計39が計測した補助蒸気温度に基づいて、図示しない制御器が冷却蒸気温度調整弁43を制御することにより調整される。
【0031】
また、低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66において、減温器37の下流側には圧力計44が設けられている。圧力計44は、減温後の補助蒸気の圧力を計測しており、圧力に応じてST冷却蒸気圧力調整弁45を制御している。
【0032】
次に、本実施形態の特徴部である分岐管48及びその周辺部位について説明する。
分岐管48は、GT高温部冷却配管55Bの途中であって、GT高温部56とGT冷却蒸気回収弁58の間から分岐する配管である。GT高温部冷却配管55Bから分岐された分岐管48は、ST補助蒸気配管65の途中であって、ST補助蒸気圧力調整弁77(後述する)の下流、かつ、グランド蒸気圧力調整弁68の上流に接続されている。
分岐管48の上流には、分岐蒸気調整弁70が設けられている。分岐蒸気調整弁70は、GT高温部冷却配管55Bの途中であって、分岐管48の分岐部の上流に設けられている圧力計61によって制御される。
【0033】
分岐管48には、分岐管48を通る蒸気を冷却する減温器49が設けられている。減温器49は、分岐管48を通る蒸気に水を散水するスプレー部50を備えている。スプレー部50は、分岐管冷却配管71を介して中圧給水ポンプ72と接続されており、中圧給水ポンプ72により水が供給されている。また、分岐管冷却配管71には、分岐管冷却水調整弁73が設けられている。
また、減温器49の下流には、減温器49によって冷却された蒸気の温度を測定する温度計74が設けられている。この温度計74によって計測された蒸気の温度に基づいて、分岐管冷却水調整弁73が図示しない制御器によって制御され、減温器49のスプレー部50に供給される水量が制御される。
【0034】
また、この分岐管48の設置に伴い、分岐管48が接続されるST補助蒸気配管65にはバイパス配管75が設けられている。バイパス配管75は、復水器6にバイパス接続されており、その途中にはバイパス調整弁76が設けられている。
さらに、本実施形態の補助蒸気配管30には、GT高温部補助配管64の分岐部と低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66の分岐部との間にST補助蒸気圧力調整弁77が設けられているとともに、ST補助蒸気配管65には、圧力計78が設けられている。
ST補助蒸気配管65の蒸気の圧力は、圧力計78において検出された圧力に基づいて図示しない制御器がST補助蒸気圧力調整弁77、及びバイパス調整弁76の制御を行うことにより、例えば0.8MPa程度に調整される。
【0035】
次に、本実施形態のコンバインドプラント1の作用について説明する。
ガスタービン2が起動すると、ガスタービン2から排出される排気ガスが排熱回収ボイラ4に送られる。次いで、排熱回収ボイラ4の過熱器14,15,16において、主蒸気が生成され、各主蒸気供給配管21,22,23に送られる。
この段階においては、排熱回収ボイラ4において蒸気が十分に沸いていないため、主蒸気止め弁31、主蒸気調整弁32、及び低圧主蒸気供給弁36は閉状態とされていると共に、タービンバイパス弁28は開状態とされており、主蒸気は蒸気タービン3には供給されず、タービンバイパス配管25,26,27を介して再熱蒸気配管24A、又は復水器6にバイパスされる。また、GT高温部冷却配管55AのGT冷却蒸気供給弁57も閉状態とされており、中圧過熱器15で生成された蒸気は、再熱蒸気配管24Aの途中に送られる。
【0036】
一方、ガスタービン2の起動にあたって事前に補助蒸気設備7が起動され、補助蒸気が生成される。補助蒸気は、GT高温部補助配管64、ST補助蒸気配管65、及び低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管66を介してGT高温部56の冷却、STグランド蒸気、及び低圧蒸気タービン13の冷却に利用される。
この補助蒸気において、GT高温部56を冷却するために利用されたGT冷却蒸気は、GT高温部56を通過した出口においても圧力及び温度が高く維持されている。一方、ガスタービン2の起動時においては、GT冷却蒸気回収弁58及びダンプ弁60は閉状態とされているため、GT冷却蒸気は、分岐管48に導入される。
【0037】
次いで、GT冷却蒸気は、分岐管48を介してST補助蒸気配管65に導入され、一部はグランド蒸気圧力調整弁68を介してSTグランド蒸気として、また、一部はST冷却蒸気圧力調整弁45を介して低圧蒸気タービン13の冷却用蒸気として再利用される。この際、分岐管48を通る蒸気は、減温器49によって冷却される。減温器49のスプレー部50に供給される水の水量は、温度計74によって計測された分岐管48内の冷却用蒸気温度に基づいて制御される。
つまり、GT冷却蒸気は、再熱蒸気配管24や復水器6に戻されることなく、再利用される。
【0038】
そして、排熱回収ボイラ4で生成される主蒸気が十分発生した段階で、タービンバイパス弁28が閉状態とされるとともに、主蒸気止め弁31及び主蒸気調整弁32が開状態とされ、主蒸気が蒸気タービン3に供給され、コンバインドプラント1は定常状態となる。
【0039】
上記実施形態によれば、GT高温部56を冷却した冷却蒸気が、分岐管48をバイパス通過して、ST補助蒸気配管65に導入される。ここで、GT高温部56を通過した蒸気というのは、GT高温部56を出た後においても圧力・温度が高く維持されている。上記実施形態においては、この高温且つ高圧の蒸気がグランド蒸気、もしくは低圧蒸気タービン13の冷却蒸気として再利用されるため、補助蒸気設備が生成する補助蒸気が低減される。これにより、補助蒸気設備7の容量を低減することができる。さらに、補助蒸気が有効利用されるため、コンバインドプラント1起動時の経済性を向上させることができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…コンバインドサイクル発電プラント、2…ガスタービン、3…蒸気タービン、4…排熱回収ボイラ、7…補助蒸気設備、48…分岐管、49…減温器、50…スプレー部、55…GT高温部冷却配管(GT高温部冷却用蒸気路)、56…GT高温部(高温部)、65…ST補助蒸気配管(補助蒸気路)、66…低圧蒸気タービン冷却補助蒸気配管(補助蒸気路)、73…分岐管冷却弁(制御弁)、74…温度計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、
該ガスタービンに接続された蒸気タービンと、
前記ガスタービンの排気により主蒸気を発生する排熱回収ボイラと、
補助蒸気を発生する補助蒸気設備と、
前記補助蒸気の一部又は前記主蒸気の一部により前記ガスタービンの高温部を冷却するGT高温部冷却用蒸気路と、
前記補助蒸気の一部又は前記主蒸気の一部により前記ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用に供する補助蒸気路と、を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記ガスタービンの高温部の出口から分岐し、前記補助蒸気路に接続された分岐管と、
前記分岐管を通る蒸気が目的に応じた温度となるように前記分岐管内の蒸気を冷却する減温器と、をさらに備え、
前記高温部を通過した蒸気が前記補助蒸気路に導入されて再利用されることを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項2】
前記蒸気タービンは前記ガスタービンと同軸状に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項3】
前記減温器は、前記分岐管を通る蒸気に対して水を散水するスプレー部と、該スプレー部に供給する水量を制御する制御弁とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項4】
前記制御弁の開度は、前記減温器の下流側に設けられた温度計の信号に基づいて調整されることを特徴とする請求項3に記載のコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項5】
前記ガスタービンの高温部冷却以外の所定作用が、グランド蒸気によるシール、及び蒸気タービンの冷却の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンバインドサイクル発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−15044(P2013−15044A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147202(P2011−147202)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】