説明

コンバイン

【課題】 選別体による選別効率を向上させること。
【解決手段】 水平制御可能とした刈取部と、同刈取部により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀した穀粒等の選別物を選別する選別部とを具備し、選別部に設けた選別体上に前後方向に伸延する可動式選別物案内体を設けると共に、同可動式選別物案内体は、選別体に前端部を枢支して、後端部側を選別体の左右幅方向に回動させることにより、選別物案内角を調節自在となしたコンバインにおいて、可動式選別物案内体は、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角を調節するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、穀稈を刈り取る刈取部と、同刈取部により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀した穀粒等の選別物を選別する選別部とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、かかるコンバインでは、選別部に選別体を設けると共に、同選別体の前部にフィードパンを設ける一方、後部にチャフシーブを設けて、フィードパン上に漏下した穀粒等の選別物をチャフシーブ側に移送し、同チャフシーブを通して穀粒を漏下させると共に、藁屑や排藁等を後方へ移送させて排藁処理するようにしている。
【0004】
また、フィードパン上には前後方向に伸延する左右一対の可動式選別物案内体を配置すると共に、各可動式選別物案内体の前端部を上下方向に軸線を向けた枢軸により枢支して、両可動式選別物案内体の後端部側を調節手段により選別体の左右幅方向に回動させることにより、両可動式選別物案内体の選別物案内角を調節自在となしている。
【0005】
しかも、チャフシーブの後端部上方位置には、藁屑や排藁等の量を検出する左右一対のセンサを配設して、各センサを制御手段の入力側に接続する一方、同制御手段の出力側に前記調節手段の駆動部を接続している。
【0006】
このようにして、いずれかのセンサが藁屑や排藁等の過大量を検出した場合には、検出したセンサとは反対側に可動式選別物案内体が指向するように、制御手段により調節手段を制御して選別物案内角を調節するようにしている。
【特許文献1】特開昭59−63110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記したコンバインでは、藁屑や排藁等の過大量を検出して可動式選別物案内体の選別物案内角を調節するようにしているものであるが、選別物の偏り量と、同選別物から選別された藁屑や排藁等の偏り量とが必ずしも比例していないために、可動式選別物案内体により選別物がフィードパン上にて適度に分散されておらず、効率良く選別されているとは言えないという不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明では、水平制御可能とした刈取部と、同刈取部により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀した穀粒等の選別物を選別する選別部とを具備し、選別部に設けた選別体上に前後方向に伸延する可動式選別物案内体を設けると共に、同可動式選別物案内体は、選別体に前端部を枢支して、後端部側を選別体の左右幅方向に回動させることにより、選別物案内角を調節自在となしたコンバインにおいて、可動式選別物案内体は、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角を調節するようにしたことを特徴とするコンバイン。を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0010】
(1)可動式選別物案内体の選別物案内角を調節する案内体用アクチュエータと、前記刈取部を水平制御する水平制御用アクチュエータとを、制御手段の出力側に接続する一方、同制御手段の入力側に、刈取部の左右傾斜角を検出する傾斜角センサを設けて、上記制御手段により、傾斜角センサの検出結果に基づいて機体の左右傾斜角を判断すると共に、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用アクチュエータを作動させるようにしたこと。
【0011】
(2)選別体のフィードパンの上面側に可動式選別物案内体を配設する一方、同フィードパンの下面側に前記案内体用アクチュエータと、同案内体用アクチュエータと可動式選別物案内体との間に介設した伝動機構とを配設したこと。
【0012】
(3)選別体の右側部に複数の可動式選別物案内体を左右方向に間隔を開けて配置すると共に、同選別体に上下方向に軸線を向けた枢支ピンにより各可動式選別物案内体の前端部を枢支し、いずれか一つの枢支ピンに前記伝動機構を介して案内体用アクチュエータを連動連結する一方、各可動式選別物案内体の中途部に前後方向に伸延する長孔を形成し、各長孔中に上下方向に軸線を向けた摺動ピンを挿通し、各摺動ピンの上端部にピン受体を連設して、同ピン受体により上記長孔を被覆すると共に、選別体の下面側に左右方向に伸延させて配置した左右摺動ガイド溝部に、各摺動ピンの下端部を左右摺動自在に係合させたこと。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の本発明では、水平制御可能とした刈取部と、同刈取部により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀した穀粒等の選別物を選別する選別部とを具備し、選別部に設けた選別体上に前後方向に伸延する可動式選別物案内体を設けると共に、同可動式選別物案内体は、選別体に前端部を枢支して、後端部側を選別体の左右幅方向に回動させることにより、選別物案内角を調節自在となしたコンバインにおいて、可動式選別物案内体は、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角を調節するようにしている。
【0014】
このようにして、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角を調節するようにしているため、機体と一体的に傾斜する選別体の左右傾斜角に適応させて選別物案内角を調節することができて、同選別体上にて可動式選別物案内体により選別物を適度に分散させることができる。その結果、選別体による選別効率を向上させることができる。
【0015】
(2)請求項2記載の本発明では、可動式選別物案内体の選別物案内角を調節する案内体用アクチュエータと、前記刈取部を水平制御する水平制御用アクチュエータとを、制御手段の出力側に接続する一方、同制御手段の入力側に、刈取部の左右傾斜角を検出する傾斜角センサを設けて、上記制御手段により、傾斜角センサの検出結果に基づいて機体の左右傾斜角を判断すると共に、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用アクチュエータを作動させるようにしている。
【0016】
このようにして、刈取部に設けた傾斜角センサにより刈取部の左右傾斜角を検出し、同左右傾斜角の検出結果に基づいて機体の左右傾斜角を判断して、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用アクチュエータを作動させることにより、可動式選別物案内体の選別物案内角を調節して、同可動式選別物案内体により選別物を選別体上にて適度に分散させることができる。
【0017】
(3)請求項3記載の本発明では、選別体のフィードパンの上面側に可動式選別物案内体を配設する一方、同フィードパンの下面側に前記案内体用アクチュエータと、同案内体用アクチュエータと可動式選別物案内体との間に介設した伝動機構とを配設している。
【0018】
このようにして、フィードパンの下面側に案内体用アクチュエータと、同案内体用アクチュエータと可動式選別物案内体との間に介設した伝動機構とを配設しているため、選別体による選別作業に案内体用アクチュエータや伝動機構が支障とならず、しかも、選別体の周囲をコンパクトに構成することができる。
【0019】
(4)請求項4記載の本発明では、選別体の右側部に複数の可動式選別物案内体を左右方向に間隔を開けて配置すると共に、同選別体に上下方向に軸線を向けた枢支ピンにより各可動式選別物案内体の前端部を枢支し、いずれか一つの枢支ピンに前記伝動機構を介して案内体用アクチュエータを連動連結する一方、各可動式選別物案内体の中途部に前後方向に伸延する長孔を形成し、各長孔中に上下方向に軸線を向けた摺動ピンを挿通し、各摺動ピンの上端部にピン受体を連設して、同ピン受体により上記長孔を被覆すると共に、選別体の下面側に左右方向に伸延させて配置した左右摺動ガイド溝部に、各摺動ピンの下端部を左右摺動自在に係合させている。
【0020】
このようにして、各可動式選別物案内体を枢支ピンを中心に回動させる際に、各可動式選別物案内体の先端部は摺動ピンを介して左右摺動ガイド溝部に左右摺動自在に係合されているため、各可動式選別物案内体を円滑かつ確実に左右方向に回動させることができて、各可動式選別物案内体による選別物の分散案内機能を良好に確保することができる。
【0021】
この際、摺動ピンを挿通している長孔は、同摺動ピンの上端部に連設しているピン受体により被覆しているため、同長孔中に穀粒等が詰まるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図2に示すAは、本発明に係るコンバインであり、図1及び図2中、1は、走行クローラ2を走行フレーム3に装備する機体フレーム、4は、刈り取られた穀桿を脱穀する軸流式のスクリュ形の扱胴5などを備えていて前記機体フレーム1に搭載する脱穀部、6は、上記脱穀部4にて脱穀された穀粒を選別する選別部、7は、揚穀筒8を介して取出す脱穀部4の穀粒を溜める穀粒タンク、9は、前記脱穀部4の下部前方に油圧シリンダ10を介して昇降可能に装設する刈取部、11は、運転席12及び運転操作部13を備えて前記穀粒タンク7の前方に配設させる運転キャビン、14は、前記穀粒タンク7の後方に備えていてエンジン15を内設する原動機部、16は、前記穀粒タンク7内の穀粒を取出す上部穀粒搬出オーガである。
【0023】
そして、前記刈取部9は、未刈り穀稈を取入れる刈取ヘッダー17と、同刈取ヘッダー17の後部略中央に連結させて刈取穀稈を脱穀部4に送給するフィーダハウス18によって構成すると共に、未刈り穀稈掻込み用リール19と、往復駆動型刈刃20と、穀稈掻込オーガ21とを前記刈取ヘッダー17に設け、同刈取ヘッダー17に取込まれる刈取穀稈を、フィーダハウス18に内設する供給チェンコンベア22(図3参照)を介して脱穀部4に送り込んで、脱穀処理するように構成している。
【0024】
ここで、刈取ヘッダー17は、フィーダハウス18の前端部に前後方向に軸線を向けた回動支軸(図示せず)を介して取り付けて、同回動支軸の軸線廻りに回動自在となすと共に、図1に示すように、フィーダハウス18の左側前部と刈取ヘッダー17の左側後部との間に、水平制御用アクチュエータとしての電動シリンダである水平制御用シリンダ46を介設して、同水平制御用シリンダ46を上下方向に適宜伸縮作動させることにより、上記回動支軸を中心に刈取ヘッダー17を水平制御することができるようにしている。
【0025】
しかも、刈取ヘッダー17の右側後上部には、図2に示すように、傾斜角センサ47を設けて、同傾斜角センサ47により刈取ヘッダー17の左右傾斜角、すなわち、刈取ヘッダー17が前後方向に軸線を向けた回動支軸を中心として左側方ないしは右側方へ回動して傾斜した姿勢の傾斜角を検出するようにしている。
【0026】
さらには、運転キャビン11内には、図2に示すように、コントローラ等の制御手段48を配設しており、同制御手段48は、図6に示すように、入力側に傾斜角センサ47を接続する一方、出力側に水平制御用シリンダ46を接続している。
【0027】
このようにして、機体の傾斜に伴う刈取ヘッダー17の左右傾斜角を傾斜角センサ47により検出して、同傾斜角センサ47による検出結果の信号を制御手段48に入力し、同制御手段48より水平制御用シリンダ46に適宜信号を出力して、同水平制御用シリンダ46を伸縮作動させることにより、刈取ヘッダー17を水平に保持する水平制御を行うようにしている。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、前記脱穀部4の右外側には二番還元体23を配備させていて、二番処理物を選別部6に戻して再選別するように設けている。
【0029】
さらに、図3に示すように、前記扱胴5は、脱穀部4の前後長と略等しい長さの円筒形の胴部24と、この胴部24外周に巻装して放射状に立設させる螺旋形スクリュウ羽根25と、前記胴部24の後端外周に設ける排塵突起26とを備えるもので、前記扱胴5を機体前後方向に軸支し、前記フィーダハウス18に連通する扱室27の前側の穀桿供給口28に扱胴5前端部を臨ませて設けると共に、扱室27の後側の排塵口29に扱胴5の後端部を臨ませるもので、前記排塵口29を除く前記扱胴5の下側に受網30を張設し、フィーダハウス18から刈取り穀稈を全量投入して脱穀するように構成している。なお、螺旋形スクリュウ羽根25には扱歯(図示せず)を突設している。
【0030】
選別部6は、図3に示すように、上記脱穀部4に設けた扱胴5の下方位置に選別体50を前後揺動自在に配置して、上記扱胴5により脱穀されて供給される選別物を選別体50により受けて、回収用の一番物(一番穀粒)と再選別用の二番物(二番穀粒)とに選別するようにしている。
【0031】
そして、選別体50は、図4(a)の一部切欠平面説明図と図4(b)の断面側面説明図とに示すように、選別枠体51の前部に前側フィードパン52と後側フィードパン53とを段差をもたせて配設し、同後側フィードパン53の後方位置にチャフシーブ54を配設し、同チャフシーブ54の後方位置にストローラック55を配設する一方、下方位置にグレンシーブ56を配設している。
【0032】
また、前側フィードパン52の下方位置にプレファンとしての第2唐箕57を配設して、同第2唐箕57により前・後側フィードパン52,53の段差間に選別風を作用させると共に、後側フィードパン53の下方位置にメインファンとしての第1唐箕58を配設して、後側フィードパン53よりも後方に位置する選別体50の後部に選別風を作用させるようにしている。
【0033】
しかも、前記チャフシーブ54の下方位置には、左右方向に伸延して一番物を受ける一番物受け樋59を配設しており、同一番物受け樋59内の一番物は、一番物回収体31により回収して穀粒タンク7に搬送するようにしている。
【0034】
さらには、前記ストローラック55の下方位置には、左右方向に伸延して二番物を受ける二番物受け樋60を配設しており、同二番物受け樋60内の二番物は、二番物回収体32により回収すると共に、二番物還元体23により前側フィードパン52上に放出・落下させて還元し、選別体50により再選別するようにしている。
【0035】
このようにして、二番物を前側フィードパン52の上に還元させて再選別するようにしているため、同前側フィードパン52上にて二番物である穀粒と藁屑や排藁等とを分散化し、さらに、これらを後側フィードパン53上に落下させる際に、第2唐箕57からの選別風を前・後側フィードパン52,53の段差間に作用させることにより、穀粒と藁屑や排藁等とを確実に選別することができて、選別性能を向上させることができる。その結果、一番物の回収率を向上させることができる。
【0036】
また、前記したチャフシーブ54は、図4(a)の一部切欠平面説明図と図4(b)の断面側面説明図に示すように、選別枠体51の左右側壁51a,51a間において、前後方向に間隔を開けて多数個横架すると共に前後方向に揺動自在となして、前後方向に隣接するチャフシーブ54,54の間隔を調節可能となしている。
【0037】
上記のような構成において、選別部6に設けた選別体50の前側フィードパン52上には、図4(a)(b)に示すように、複数(本実施の形態では二枚)の固定式選別物案内体65,65を配置する一方、後側フィードパン53上には、複数(本実施の形態では二枚)の可動式選別物案内体66,66を配置している。
【0038】
二枚の固定式選別物案内体65,65は、前後方向に伸延する細幅板状に形成して、各下端面を前側フィードパン52上に当接させた状態にて左右方向に一定の間隔を開けて配置し、前端部65a,65aを前側フィードパン52の右側前部に配置すると共に、後端部65b,65bを前側フィードパン52の中央部寄りに配置して、前側フィードパン52上の右側部に漏下された選別物(穀粒や藁屑や排藁等)を、選別体50の揺動動作により、各固定式選別物案内体65,65の側面に沿わせて、中央部側へ移送・案内するようにしている。
【0039】
また、二枚の可動式選別物案内体66,66は、本発明の要旨をなすものであり、図5(a)の一部切欠平面説明図と図5(b)の断面側面説明図に示すように、前後方向に伸延する細幅板状の底部形成片67,67と、各底部形成片67,67の右側端縁部より立ち上げて形成した立ち上がり壁形成片68,68とから断面L字状に形成して、各底部形成片67,67を後側フィードパン53上に当接させた状態にて左右方向に一定の間隔を開けて配置すると共に、前記固定式選別物案内体65,65の仮想延長線上にて、後側フィードパン53に前端部67a,67aを枢支して、後端部67b,67b側を後側フィードパン53の左右幅方向aに回動させることにより、選別物案内角θ(図7参照)を調節自在となし、しかも、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角θを調節するようにしている。
【0040】
すなわち、各可動式選別物案内体66,66は、図5(a)(b)に示すように、後側フィードパン53に底部形成片67,67の前端部67a,67aを上下方向に軸線を向けた枢支ピン69,69により枢支して、各枢支ピン69,69を中心に後端部67b,67b側を左右方向に回動自在となしており、右側の枢支ピン69の下端部には、後側フィードパン53の下面側(下方)において、伝動機構79を介して案内体用アクチュエータとしての電動モータである案内体用モータ71を連動連結している。
【0041】
そして、伝動機構79は、右側の枢支ピン69の下部に扇形のセクタギヤ70の基部70aを取り付ける一方、後側フィードパン53の下面に設けた案内体用モータ71の駆動軸72にピニオンギヤ73を取り付けて、同ピニオンギヤ73を上記セクタギヤ70に噛合させて構成している。
【0042】
このようにして、案内体用モータ71の駆動軸72を駆動させることにより、ピニオンギヤ73→セクタギヤ70→枢支ピン69→右側の可動式選別物案内体66に回動力を伝達して、同回動式選別物案内体66を枢支ピン69を中心に後端部67b側を左右方向に回動させることができるようにしている。
【0043】
ここで、案内体用モータ71は、前記した制御手段48の出力側に接続しており、同制御手段48により、傾斜角センサ47の検出結果に基づいて機体の左右傾斜角を判断すると共に、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用モータ71を作動させるようにしている。
【0044】
そして、各可動式選別物案内体66,66の底部形成片67,67の中途部には、前後方向に伸延する長孔74,74を形成し、各長孔74,74中に上下方向に軸線を向けた摺動ピン75,75を挿通し、各摺動ピン75,75の上端部に前後方向に伸延するピン受体76,76を連設して、同ピン受体76,76により上記長孔74,74を上方から被覆すると共に、後側フィードパン53の下面側(下方)に、左右方向に伸延させて配置した左右摺動ガイド溝部77,77に、各摺動ピン75,75の下端部を転動ローラ78,78を介して左右摺動自在に係合させている。
【0045】
ここで、ピン受体76は、前後方向に伸延する細幅板状の底部長孔覆片76aと、同底部長孔覆片76aの右側端縁部より立ち上げて、可動式選別物案内体66の立ち上がり壁形成片68の側面に重合状態に面接触させた立ち上がり当接片76bとから断面L字状に形成しており、同ピン受体76は、可動式選別物案内体66上を摺動自在となしている。
【0046】
このようにして、本実施の形態では、機体の左右傾斜角に基づいて可動式選別物案内体66,66の選別物案内角θを調節するようにしているため、機体と一体的に傾斜する選別体50の左右傾斜角に適応させて選別物案内角θを調節することができて、同選別体50上にて可動式選別物案内体66,66により選別物を適度に分散させることができる。その結果、選別体による選別効率を向上させることができる。
【0047】
すなわち、刈取ヘッダー17に設けた傾斜角センサ47により刈取ヘッダー17の左右傾斜角を検出し、同左右傾斜角の検出結果に基づいて制御手段48が機体の左右傾斜角を判断して、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用モータ71を作動させることにより、可動式選別物案内体66,66の選別物案内角θを調節して、同可動式選別物案内体66,66により選別物を後側フィードパン53上にて適度に分散させることができる。
【0048】
具体的に説明すると、例えば、図7(b)に示すように、機体が鉛直線Vに対して右側に傾斜角αだけ傾斜したと制御手段48が判断した場合には、図7(a)に示すように、選別物案内角θが所定の角度θ1となるように可動式選別物案内体66,66を回動調節する。Gは圃場面である。
【0049】
また、図7(d)に示すように、機体が鉛直線Vに対して左側に傾斜角βだけ傾斜したと制御手段48が判断した場合には、図7(c)に示すように、選別物案内角θが所定の角度θ2となるように可動式選別物案内体66,66を回動調節する。
【0050】
この際、後側フィードパン53の下面側に案内体用モータ71と、同案内体用モータ71と可動式選別物案内体66,66との間に介設した伝動機構79とを配設しているため、選別体50による揺動選別作業に案内体用モータ71や伝動機構79が支障とならず、しかも、選別体50の周囲をコンパクトに構成することができる。
【0051】
しかも、各可動式選別物案内体66,66を枢支ピン69,69を中心に回動させる際に、各可動式選別物案内体66,66の先端部は摺動ピン75,75を介して左右摺動ガイド溝部77,77に左右摺動自在に係合されているため、各可動式選別物案内体66,66を円滑かつ確実に左右方向に回動させることができて、各可動式選別物案内体66,66による選別物の分散案内機能を良好に確保することができる。
【0052】
この際、摺動ピン75,75を挿通している長孔74,74は、同摺動ピン75,75の上端部に連設しているピン受体76,76により被覆しているため、同長孔74,74中に穀粒等が詰まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るコンバインの側面図。
【図2】同コンバインの平面図。
【図3】脱穀部と選別部の側面図。
【図4】選別体の平面図(a)と側面説明図(b)。
【図5】可動式選別物案内体の平面説明図(a)と側面説明図(b)。
【図6】制御ブロック図。
【図7】可動式選別物案内体の制御説明図。
【符号の説明】
【0054】
46 水平制御用シリンダ
47 傾斜角センサ
48 制御手段
66 可動式選別物案内体
71 案内体用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平制御可能とした刈取部と、同刈取部により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀した穀粒等の選別物を選別する選別部とを具備し、
選別部に設けた選別体上に前後方向に伸延する可動式選別物案内体を設けると共に、同可動式選別物案内体は、選別体に前端部を枢支して、後端部側を選別体の左右幅方向に回動させることにより、選別物案内角を調節自在となしたコンバインにおいて、
可動式選別物案内体は、機体の左右傾斜角に基づいて選別物案内角を調節するようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
可動式選別物案内体の選別物案内角を調節する案内体用アクチュエータと、前記刈取部を水平制御する水平制御用アクチュエータとを、制御手段の出力側に接続する一方、同制御手段の入力側に、刈取部の左右傾斜角を検出する傾斜角センサを設けて、
上記制御手段により、傾斜角センサの検出結果に基づいて機体の左右傾斜角を判断すると共に、同機体の左右傾斜角に基づいて案内体用アクチュエータを作動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
選別体のフィードパンの上面側に可動式選別物案内体を配設する一方、同フィードパンの下面側に前記案内体用アクチュエータと、同案内体用アクチュエータと可動式選別物案内体との間に介設した伝動機構とを配設したことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
選別体の右側部に複数の可動式選別物案内体を左右方向に間隔を開けて配置すると共に、同選別体に上下方向に軸線を向けた枢支ピンにより各可動式選別物案内体の前端部を枢支し、いずれか一つの枢支ピンに前記伝動機構を介して案内体用アクチュエータを連動連結する一方、
各可動式選別物案内体の中途部に前後方向に伸延する長孔を形成し、各長孔中に上下方向に軸線を向けた摺動ピンを挿通し、各摺動ピンの上端部にピン受体を連設して、同ピン受体により上記長孔を被覆すると共に、選別体の下面側に左右方向に伸延させて配置した左右摺動ガイド溝部に、各摺動ピンの下端部を左右摺動自在に係合させたことを特徴とする請求項3記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−75069(P2006−75069A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262084(P2004−262084)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】