説明

コンバイン

【課題】機体旋回に伴う不規則な揺れを伴う狭くて不安定な運転台においてオペレータの手や衣服が触れてもウィンカ装置による方向表示動作を正確に維持することができるコンバインを提供する。
【解決手段】コンバインは、左右のウィンカスイッチ23R,23Lと、方向表示器7,8と、モニター11とを備えて構成され、上記モニター11は左右の方向表示が可能なモニター用液晶表示部21によって構成し、かつ、上記ウィンカスイッチ23R,23Lは同モニター用液晶表示部21と近接して左右対称に配置した左右の押しボタン式スイッチにより構成し、これら左右のウィンカスイッチの操作により対応する側の方向表示器7,8とモニター11をウィンカ表示をさせるとともに上記操作に続くスイッチ操作によってウィンカ停止をさせる制御部27を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場内の植立穀稈を脱穀して選別する農業機械であるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、左右の走行部(2)で走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差で旋回走行を可能とする旋回手段および機体の旋回方向表示のための方向表示器を備えたコンバインが知られている。
【0003】
上記旋回手段は、同文献の図3に示される運転台の操作パネルに配置した操向操作具を左右に傾倒操作すると対応する側に機体を旋回走行させる。また、上記方向表示器は、同文献の図4に示すように、同じく操作パネルに配置した回動可能なレバー状に構成された方向表示操作具であるコンビネーションスイッチを左右いずれかの側に回動操作すると対応する側の方向表示器および運転席のモニター近傍に配置した左右のランプにより旋回方向表示をする。この方向表示器により、圃場作業時における周囲への警告、および、移動走行における円滑な路上交通のための旋回方向表示を可能とする。
【特許文献1】特開2004−33098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記運転台の操作パネルには、上記図3に示すように、機体走行および各種の作業機を操作するためのレバーやスイッチによる操作具が集中して配置されており、また、機体旋回の際は、機体や作業機を旋回対応させるために多くのレバーやスイッチを集中的に操作する必要から、機体旋回に伴う不規則な揺れを伴う狭くて不安定な運転台において、オペレータの手や衣服が方向表示操作具に触れて方向表示動作が不正確となる場合があった。このような場合は、安全を確保するために方向表示操作具を再度操作しなおして正確な旋回方向表示を行う必要があり、オペレータに大きな負担となっていた。
【0005】
解決しようとする問題点は、機体旋回に伴う不規則な揺れを伴う狭くて不安定な運転台においてオペレータの手や衣服が触れてもウィンカ装置の方向表示動作を正確に維持することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、ウィンカによる方向表示操作のためにコンバインの運転台に配置された左右のウィンカスイッチと、このウィンカスイッチと対応してコンバインの機体両側部でウィンカ表示をする方向表示器と、機器情報表示のために運転台に配置されたモニターとを備えるコンバインにおいて、上記モニターは左右の方向表示が可能なモニター用液晶表示部によって構成し、かつ、上記ウィンカスイッチは同モニター用液晶表示部と近接して左右対称に配置した左右の押しボタン式スイッチにより構成し、これら左右のウィンカスイッチの操作により対応する側の方向表示器とモニターをウィンカ表示をさせるとともに上記操作に続くスイッチ操作によってウィンカ停止をさせる制御部を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記コンバインは、押しボタン式スイッチによる左右のウィンカスイッチを操作することにより方向表示器とモニターのウィンカ表示がなされ、続くスイッチ操作により対応する側のウィンカ停止がなされる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記制御部は、コンバインの機体を旋回調節する操向操作具の信号を受け、同操向操作具が所定時間以上に直進状態に維持されたことを条件に方向表示器とモニターのウィンカ停止をさせることを特徴とする。上記コンバインは、機体の旋回操作の後の直進状態が判定されてウィンカ停止がなされる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2の構成において、前記制御部は、前記左右のウィンカスイッチの長押し操作により、続くスイッチ操作までの間、対応する側の方向表示器とモニターを強制的に継続してウィンカ表示させることを特徴とする。上記コンバインは、ウィンカスイッチの長押し操作により、操向操作具の信号判定によることなく、ウィンカ表示が継続される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成により、上記ウィンカ装置は、押しボタン式スイッチによる左右のウィンカスイッチを操作することにより方向表示器とモニターのウィンカ表示がなされ、続くスイッチ操作により対応する側のウィンカ停止がなされる。したがって、左右のウィンカスイッチは、オペレータによる機体旋回操作の下で手や衣服による接触が最小限度に抑えられ、オペレータの操作と対応して安定したウィンカ動作を確保することができる。
【0011】
請求項2の構成により、上記ウィンカ装置は、機体の旋回操作の後の直進状態が判定されてオペレータの操作負担を要することなく確実にウィンカ停止がなされる。
【0012】
請求項3の構成により、上記ウィンカ装置は、ウィンカスイッチの長押し操作により、操向操作具の信号判定を排してウィンカ表示が継続されるので、操向操作対応によるウィンカ停止または路上走行中の連続表示をウィンカスイッチの操作態様により簡易に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
コンバインは、その左側面図(a)および右側面図(b)を図1に示すように、左右のクローラによる走行部1,1によって機体を走行可能に支持し、この機体の前部で穀稈を分草する分草杆2aおよび同分草杆2aにより分草された穀稈を刈取る刈刃2b等を備えた昇降調節可能な刈取部2、この刈取部2から搬送装置を介して受けた穀稈を脱穀する脱穀部3、この脱穀部3により脱穀分離された籾を一時貯留するグレンタンク4、貯留された籾を機外に排出する縦オーガ5a、横オーガ5b等からなる搬出部5等の作業機器を備え、これら作業機および機体の走行を運転操作するために機体前部の操縦席に運転操作部6等を備える。6aは運転操作部6を覆うキャビンである。
【0014】
また、変速伝動部(不図示)を左右のクローラ1,1の間に搭載し、左右のクローラ1,1の回動速度を無段階に調節する変速機構と左右のクローラ1,1の回動速度を左右個別に調節してその速度差によって旋回走行するための旋回手段を内設するほか、旋回方向等を表示する方向表示器としてのフラッシャランプ等によるウィンカ7,8を機体の前端と後端の四隅に備える。
【0015】
前端のウィンカ7,7は、コンバインの正面図を図2(a)に示すように、刈取部2の上段外側位置7,7に、また、後端のウィンカ8,8は、コンバインの背面図を図2(b)に示すように、機体後端の上段外側位置に配置する。これらウィンカ7,8は、図3の平面図に示すように、機体の最外側となる四隅の高位配置とすることにより、前端のウィンカ7,7は、機体の前方および側方から視認可能に、また、後端のウィンカ8,8は、機体の後方および側方から視認可能となることから、全方向からの視認性を確保することができる。
【0016】
運転操作部6には、キャビン内の機器配置図およびその側面図を図4、図5にそれぞれ示すように、オペレータの前方から側方に及ぶ低位構成の操作デスクに各機器の操作のための操作具を配置して構成される。詳細には、作業視野内の中央位置に配置したモニター11を中心に、右側には機体の操向操作用に左右の傾倒動作が可能な操向操作具および刈取昇降操作用に前後の傾倒動作が可能な昇降操作具を一体化してワンレバーで操作できるいわゆるパワステレバー12、左側にはスイッチパネル13、その後部のオペレータの左脇に、機体走行、作業機動作を操作するための各種のレバーを設けたレバー操作部14等を配置することにより、制御装置を介して機体走行と作業機操作が一人のオペレータによって操作可能に構成される。
【0017】
具体的には、運転台の機器配置例の斜視図を図16に示すように、座席71の正面にメータパネルに組込のモニタ11が配置され、その右側に左右旋回と刈取昇降の操作用のパワーステアリングレバー12を配置し、乗降用把持部73bを運転台の右側前端に形成してその上部からパワステレバー12の近傍に手置台73aを片持ち支持し、運転台の左側前部にはスイッチパネル13を前上がりに傾斜して起立形成し、このスイッチパネル13からメータパネル11を運転台の正面中段位置に片持ち支持して同メータパネル11の下方空間から機体直前部を視認可能に構成する。
【0018】
運転台側方位置には、右側にスタータキースイッチ71s、オーガ操作リモコン71rを配置し、左側に副変速機構の速度帯域選択用の副変速レバー75a、エンジン回転数を変更して保持するアクセルレバー75b、正逆転を含む無段変速操作用の主変速機構の走行変速レバー75c、刈取りと脱穀とによる収穫機器操作用の刈脱モノレバー75d等のレバー類とともに飲み物置き台75eを形成する。床面には、畦際等で機体を停止させて刈取脱穀に使用する掻込ペダル76a、機体を停止させてブレーキを掛ける駐車ペダル76b、足置台76c等が配置される。
【0019】
上記スイッチパネル13には、例えば、図17のスイッチ配置図に示すように、上下に4段のブロック別に各種設定スイッチ類を配置する。
【0020】
第1段目には、こぎ深さスイッチ81a、方向スイッチ81b、注油スイッチ81cを配置する。こぎ深さスイッチ81aは自動扱深さ制御をする。方向スイッチ81bは分草杆のセンサによる自動方向制御をする。注油スイッチ81cは刈取部、フィードチェーン、排出クラッチチェーン等への注油を行う。
【0021】
第2段目には、モード切換の標準スイッチ82a、マイルドスイッチ82b、および、IQスイッチ82c、IQ調整ダイヤル82dを配置する。モード切換は、標準スイッチ82aにより標準旋回、マイルドスイッチ82bにより緩旋回の旋回パターンを選択する。IQスイッチ82cは自動アクセル「入」としてエンジンを自動制御し、すなわち、走行変速レバー75cが中立の時にエンジンをアイドリングとし、同走行変速レバー75cを前後進操作または籾排出レバーを「入」にするとエンジンを定格回転に自動制御する。IQ調整ダイヤル82dはエンジン回転の設定を「標」〜「低」の範囲で調節する。
【0022】
第3段目には、畦際スイッチ83a、オートリフトスイッチ83b、刈高スイッチ83cを配置する。畦際スイッチ83aは刈取部上昇時に停車した状態で刈取部と脱穀部を駆動する。オートリフトスイッチ83bは自動上昇「入」として穀稈センサオフのまま所定距離走行時に刈取部を自動上昇する。刈高スイッチ83cは刈高さを自動制御する。刈高調節ダイヤル83dは刈高さ設定を「高」〜「低」の範囲で調節する。
【0023】
第4段目には、湿田スイッチ84a、前後スイッチ84b、左右スイッチ84c、傾き調整ダイヤル84dを配置する。湿田スイッチ84aは自動湿田「入」として後進時にピッチング前上げと刈取部上昇を自動制御する。前後スイッチ84bは機体を前後に自動水平制御する。左右スイッチ84cは機体を左右に自動水平制御する。傾き調整ダイヤル84dは機体の傾斜設定を「左」〜「右」の範囲で調節する。
【0024】
(モニター)
上記モニター11には、図6(a)に示すように、上下配置の液晶表示部21とエンジン回転計22を中央に挟んでその両側部に押しボタン型の左右のウィンカスイッチ23R,23Lを左右対称配置に設け、そのほかに、前照灯下向きスイッチ24U、前照灯前向きスイッチ24F、画面切替スイッチ25、ホーンスイッチ26等のスイッチを配置し、後述のモニター制御部27を内設して一体に構成する。
【0025】
液晶表示部21は、通常は、燃料残量、エンジン出力、グレンタンク貯留量等の刈取作業に必要な情報を作業画面として表示し、一方、ウィンカ動作時は、同図(b)のように、矢印A等によるウィンカ方向を表示する。このウィンカ表示は、白色等の明視色のバックライトによる液晶表示素子に発光ダイオードによる緑色バックライトを部分的に配置し、その点滅制御を含め、モニター制御部27により表示制御する。
【0026】
上記構成のモニター11は、中央配置の液晶表示部21に近接して左右対称配置の押しボタン型の左右のウィンカスイッチ23R,23Lによるウィンカ操作により、コンビネーションスイッチの操作性を確保しつつ、誤操作を抑えて確実なウィンカ表示を可能とする。したがって、左右のウィンカスイッチ23R,23Lは、オペレータによる機体旋回操作の下で手や衣服による接触が最小限度に抑えられ、オペレータの操作と対応して安定したウィンカ動作を確保することができる。また、液晶表示部21のバックライトを切替えてウィンカ表示をすることにより、モニター11においてシンプルで視認性の良いウィンカモニターを実現することができる。
【0027】
(ウィンカ装置)
ウィンカ装置は、図7のシステム構成図に示すように、機体に取付けたウィンカ7,8と、その表示制御をする本体側の制御部34,34aと、ウィンカ操作およびモニタ表示用のモニター11とを連携することによって構成する。モニター11の制御部27は、液晶表示部21のバックライト制御を含む画面処理のほか、コンバインの本体機器を動作制御する本体側の制御部34,34aとの間のデータ通信処理等を行う。
【0028】
ウィンカ制御については、左右のウィンカスイッチ23R,23Lによるスイッチの操作信号がモニター11の制御部27を経由して本体側の制御部34,34aに送信され、表示条件判定に応じてウィンカ7,8の表示動作および表示停止を行うとともに、モニター11の制御部27に送信されたウィンカ制御情報により左右のウィンカ7,8の表示動作と対応して液晶表示部21のウィンカ表示を制御する。
【0029】
例えば、左右のウィンカスイッチ23R,23Lの操作により対応する側の方向表示器7,8とモニター11をウィンカ表示をさせ、そのスイッチ操作に続くスイッチ操作によってウィンカ停止をさせる。このように、上記モニター11によって構成されるウィンカ装置は、押しボタン式スイッチによる左右のウィンカスイッチ23R,23Lを操作することにより方向表示器7,8とモニター11のウィンカ表示がなされ、続くスイッチ操作により対応する側のウィンカ停止がなされる。
【0030】
この場合において、コンバインの機体を旋回操作するための操向操作具12の信号を制御部34に受け、同操向操作具12が所定時間以上に直進状態に維持されたことを条件に方向表示器7,8とモニター11のウィンカ停止をさせる制御処理を組込むことにより、上記ウィンカ装置は、機体の旋回操作の後の直進状態が判定されることにより、オペレータの操作負担を要することなく確実にウィンカ停止を行うことができる。なお、コンバインを機能停止するためのキーオフ操作によってもウィンカ停止がなされる。
【0031】
さらに、前記制御部34は、前記左右のウィンカスイッチ23R,23Lの長押し操作により、続くスイッチ操作またはキーオフ操作までの間について、対応する側の方向表示器7,8とモニター11を強制的に継続してウィンカ表示させる制御処理を組込むことにより、上記ウィンカ装置は、ウィンカスイッチ23R,23Lを長押し操作した際は、操向操作具12の信号判定を排してウィンカ表示が継続されるので、機体の操向操作対応によるウィンカ停止または低速路上走行のための連続ウィンカ表示のいずれかをウィンカスイッチ23R,23Lの操作態様により簡易に選択することができる。
【0032】
(画面切替)
モニター11のその他の表示内容については、液晶表示部21と近接配置の画面切替スイッチ25によって複数画面を切替え可能に構成する。例えば、モニター11の制御部27は、本体側の制御部34から燃料計、水温計、エンジン回転計、車体センサ等の情報を受けて液晶表示部21に合わせて構成した画面を切替え制御する。
【0033】
画面の種類は、前述の作業画面のほか、図8の切替え画面構成例に示すように、サブ情報画面(a)、機体情報画面(b)があり、画面切替スイッチ25の操作に応じてその順に画面を切替える。作業画面は、前述のように、燃料情報、エンジン負荷情報、グレンタンク容量情報の画面であり、また、籾排出や燃料給油等を促すための注意喚起メッセージ画面(c)が含まれる。サブ情報画面は、図例の「トリップ123.4h」「1.05m/s」の如く、アワーメータ情報、車速情報の画面であり、機体情報画面は、図例の「傾斜右」、「車高」の如く、車体傾斜情報、脱穀制御情報の画面である。
【0034】
上記モニター11は、液晶表示部21と近接して画面切替スイッチ25を配置して一連の画面切替えが可能に構成し、これらを必要に応じて画面切替えすることによって作業支援を行うことができる。上記構成においては、モニター11の画面と画面切替スイッチ25による操作部が共に視野に入ることから、誤操作なしに、容易に必要な情報を得ることができる。
【0035】
(灯火警告表示)
次に、モニター11による灯火の警告表示システムについて説明すると、圃場作業用に使用が限定されている灯火が路上走行中に点灯している場合、すなわち、図9の刈取部の斜視図に示す刈取部31の両側部の前照灯32と上部の作業灯33が非作業走行時に点灯している場合に、その消灯を促すために、図10(a)の「消灯」を促す警告メッセージをモニター11に表示する。
【0036】
詳細な構成は、図10(b)の制御系統図に示すように、灯火の操作スイッチ32r、33rを入力として制御部34により灯火駆動用リレー32r、33rを制御するとともに、前照灯32、作業灯33の点灯下において、脱穀クラッチ36、副変速高速スイッチ37の情報に基づいて非作業走行状態が判別された場合に、判別結果をモニター11に通信インターフェース21cから送信し、上記のメッセージを液晶表示部21によって表示するように構成する。このように、モニター11に表示されたメッセージによりオペレータに注意を促して不注意による点灯を防止することができる。
【0037】
(操舵モード表示)
操舵状態の切替えをモニター11に表示するシステムについては、図11(a)の液晶表示部21の画面例のように、表示枠21wを割り当てて「マイルド」「スピン」「ブレーキ」の中から選択状態を表示する。「マイルド」は緩旋回、「スピン」は急旋回、「ブレーキ」はブレーキ旋回である。その具体的な構成は、図11(b)の制御系統図に示すように、湿田スイッチ13aと旋回力アップスイッチ13bの組み合わせによって制御部34により決定され、いずれかの操舵状態をモニター11に送信する。「マイルド」「スピン」はその状態と対応して表示し、「ブレーキ」は切り替ってから一定時間を継続して表示する。
【0038】
上記構成の表示システムは、パワステポジションセンサ12pにより入力された旋回操作に応じてサイドクラッチ35a,35bおよび比例減圧弁35cが操舵状態に沿って制御され、左右のクローラ回転センサ1s、1tのフィードバックを得て操作と対応した機体旋回が可能となる。このように、操舵状態が明確になることにより、旋回するべき路面状況に適した操舵が可能となる。
【0039】
(刈取走行可能距離表示)
刈取走行可能距離をモニター11に表示するシステムについては、図12(a)の画面例のように、液晶表示部21の一部領域21xに「残走行:173m」の如く刈取走行可能距離を表示する。そのシステム構成は、図12(b)の制御系統図に示すように、刈取作業中にクローラ回転センサ1s、1tによって得られた走行距離に応じてグレンタンク4の籾の貯まり量を籾センサ4pによって検出し、走行距離当たりの貯まり量を算出するとともに、グレンタンク4が満杯になるまでの刈取走行可能距離を算出してモニター11に表示する
【0040】
上記構成の表示システムは、刈取走行可能距離がモニター11に表示されることにより、オペレータはコンバインがもみ運搬車に近づいた時に籾を排出するかどうかを容易に判断できるので作業能率を向上することができる。
【0041】
(刈取幅対応)
コンバインの刈取幅をモニター11に表示するシステムについては、図13の分草杆の配置図に示すように、分草杆2aに条数判定センサ2wを設け、図14(a)の画面例のように、その刈取幅21pを表示する。そのシステム構成は、図14(b)の制御系統図に示すように、条数判定センサ2wの検出結果により、通常の条数(図例では3条刈)か、周り刈りに適用される+1条の幅広の条数(図例では4条刈)かを判定し、該当する条数を液晶表示部21によりモニター11に表示する。このような構成の表示システムにより、刈取状態が明確になることにより、不用意に条がずれる事態を防止することができる。
【0042】
また、上記構成において、周り刈りから通常の刈取りに移行した場合は、それに応じて刈取走行可能距離を算出し直して液晶表示部21によりモニター11に表示することにより、オペレータが正確な残走行距離を認識することができる。
【0043】
(機器牽制対応)
機器動作牽制を表示するシステムについては、図15(a)の画面例の「タンクとの接触防止」のように、オーガの動作牽制についてモニター11にその理由を表示する。この場合は、図15(b)の制御系統図に示すように、オーガポジションセンサ5p、オーガ左右旋回スイッチ5h、オーガ上下操作スイッチ5vによる信号に基づいて、オーガ左右旋回リレー5r、5s、オーガ上昇下降ソレノイド5u,5dを介してオーガを駆動制御し、牽制条件に該当する場合、例えば、オーガを下げて後方から収納位置方向へ手動で旋回させた時にタンクの手前でオーガ動作を牽制するとともに、その牽制理由をモニター11に表示する。
【0044】
このように、安全の確保、機械の破損防止、油圧回路の構成その他の理由によって機械が牽制状態にある場合に、牽制の理由をモニター11に表示することにより、オペレータがレバーやスイッチ等の操作具を操作したにもかかわらず、オペレータの操作の通りに機械が動作しないことの理由を知ることができるので、オペレータが戸惑ったり、故障として不適切な対応をする事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】コンバインの左側面図(a)および右側面図(b)である。
【図2】コンバインの正面図(a)および背面図(b)である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】キャビン内の機器配置図である。
【図5】キャビン内の運転操作部の側面図である。
【図6】モニターの表示構成図(a)およびウィンカ操作時のモニター表示例(b)である。
【図7】ウィンカ装置のシステム構成図である。
【図8】サブ情報画面(a)、機体情報画面(b)、作業情報画面(c)の構成例である。
【図9】刈取部の斜視図である。
【図10】灯火メッセージの画面例(a)および制御システム構成図(b)である。
【図11】操舵状態を表示する画面例(a)および制御システム構成図(b)である。
【図12】刈取走行可能距離を表示する画面例(a)および制御システム構成図(b)である。
【図13】刈取条センサの構成例を示す分草杆配置図である。
【図14】刈取条を表示する画面例(a)および制御システム構成図(b)である。
【図15】牽制表示の画面例(a)および制御システム構成図(b)である。
【図16】運転台の機器配置例の斜視図である。
【図17】スイッチパネルのスイッチ配置図である。
【符号の説明】
【0046】
1 クローラ(走行部)
3 脱穀部
4 グレンタンク
5 搬出部
6 運転操作部
7,8 ウィンカ(方向表示器)
11 モニター
12 パワステレバー(操向操作具)
13 スイッチパネル
14 レバー操作部
21 液晶表示部
21c 通信インターフェース
23R,23L ウィンカスイッチ
25 画面切替スイッチ
27 モニター制御部
34 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンカによる方向表示操作のためにコンバインの運転台に配置された左右のウィンカスイッチと、このウィンカスイッチと対応してコンバインの機体両側部でウィンカ表示をする方向表示器と、機器情報表示のために運転台に配置されたモニターとを備えるコンバインにおいて、
上記モニターは左右の方向表示が可能なモニター用表示部によって構成し、かつ、上記ウィンカスイッチは同モニター用表示部と近接して左右対称に配置した左右の押しボタン式スイッチにより構成し、これら左右のウィンカスイッチの操作により対応する側の方向表示器とモニターをウィンカ表示をさせるとともに上記操作に続くスイッチ操作によってウィンカ停止をさせる制御部を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記制御部は、コンバインの機体を旋回調節する操向操作具の信号を受け、同操向操作具が所定時間以上に直進状態に維持されたことを条件に方向表示器とモニターのウィンカ停止をさせることを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記制御部は、前記左右のウィンカスイッチの長押し操作により、続くスイッチ操作までの間、対応する側の方向表示器とモニターを強制的に継続してウィンカ表示させることを特徴とする請求項2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−111008(P2007−111008A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308138(P2005−308138)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】