説明

コンバイン

【課題】排出オーガの排出口近傍に排出オーガに負荷が掛からないような構造のフレコンバック吊り下げ用フックを設けて、フレコンバックをフックから外れにくくし、継続して穀物の排出を可能とするコンバインを提供する。
【解決手段】グレンタンク17内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ21を有するコンバイン11において、前記排出オーガ21先端部の排出口24の両側にフック80を設け、該フック80によりフレコンバック90を吊り下げ支持するように構成するとともに、前記フック80は上下にスライド可能に構成され、かつ、保持手段85により設定荷重で保持されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクから穀粒を取出す排出オーガを備えるコンバインに関し、特に、排出オーガ先端にフレコンバッグ等の収納部材を吊り下げる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の如く排出オーガにおける横送りスクリューコンベアの筒ケース(排出オーガ)の穀粒吐出口の近くに穀粒回収袋(フレコンバック)を吊り下げ支持する袋支持部を設けて、穀粒回収袋を吊り上げぎみに支持(弾性支持)しながら穀粒を収納していく技術は公知となっている。
【特許文献1】特開平11−155356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、穀粒回収袋上部を吊り上げ気味にして排出する場合、穀粒が穀粒回収袋内に収納されていき、穀粒回収袋の重量が増えるにつれて穀粒排出口の近くの袋支持部に過大な力がかかり、排出オーガの変形の原因となり、変形したまま排出作業を続けると筒ケースが破損するおそれがあった。
そこで本発明においては、上記課題を鑑みてなされたものであり、排出オーガの排出口近傍に排出オーガに負荷が掛からないような構造のフレコンバック吊り下げ用フックを設けて、フレコンバックをフックから外れにくくし、継続して穀物の排出を可能とするコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、グレンタンク内の穀粒を機外に排出するための排出オーガを有するコンバインにおいて、前記排出オーガ先端部の排出口の両側にフックを設け、該フックによりフレコンバックを吊り下げ支持するように構成するとともに、前記フックは上下にスライド可能に構成され、かつ、保持手段により設定荷重で保持されるものである。
【0006】
請求項2においては、前記フックに下方への抜けを防止するストッパを設けたものである。
【0007】
請求項3においては、前記フックの最下降位置を検知する手段を、前記排出口の側部に設け、該最下降位置検知手段をオーガクラッチと接続し、最下降位置を検知するとオーガクラッチを切るようにしたものである。
【0008】
請求項4においては、前記フックの最下降位置を検知する手段を、前記排出口の側部に設け、該最下降位置検知手段をオーガ昇降駆動手段と接続し、最下降位置を検知すると排出オーガを所定高さ下降するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、吊り上げ過重を超えた場合、フックが下にスライドし排出オーガが変形することを防止する。また、一定の力で引っ張り上げているのでフレコンバックからフックが外れることがなく、継続して穀粒の排出が可能である。
【0011】
請求項2においては、フレコンバックの重みで下方へ摺動した時に、ストッパによりフックが抜けることがなく、外れた場合に再度取り付ける作業をなくすことができる。
【0012】
請求項3においては、フックのストロークエンドで最下降位置検知手段が作動し、オーガクラッチを非常停止して排出オーガに過大な力が加わることを防ぎ、満杯時に収納部材から穀粒があふれ出ることも防止できる。
【0013】
請求項4においては、フックのストロークエンドで最下降位置検知手段が作動し、排出オーガが下降回動されて、排出オーガに過大な力が加わることを防ぐ。また、排出オーガは長いので手動で少し下降回動操作することは難しいが、自動で所定高さに容易に下降回動でき、無駄な動きを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
【0015】
本発明に係るコンバイン11について、図を用いて説明する。図1はコンバイン11の全体側面図、図2はコンバイン11の正面図、図3はコンバイン11の平面図、図4は縦送りオーガ22と横送りオーガ23の接続部の側面簡略図、図5はエンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図、図6は排出オーガの先端部を示す斜視図、図7はフック80を示す正面図、図8はフック80にフレコンバック90を吊り下げた状態を示す正面図、図9はフック80の一部の形状が異なった別実施例を示す図、図10は制御手段を示すブロック図である。
【0016】
まずコンバイン11の全体構成について説明する。図1から図3に示すように、コンバイン11は、左右のクローラを支承してなるクローラ式走行装置12上に機体(シャーシ)13が配設されており、この機体13の前部右側にエンジン34が搭載されている。機体13の前方にはエンジン34の駆動力を変速してクローラ式走行装置12に伝達するミッションケース(図示せず)が配設されており、ミッションケースにはクローラ式走行装置12の駆動輪の車軸が設けられている。また、機体13の前部には刈取部14、機体13の上部において走行方向の左側には選別部16が設けられ、選別部16の上部には扱胴及びフィードチェーン15a等を具備する脱穀部15が設けられている。機体13の上部の右側前部には運転操作部である座席19やステアリングハンドルやキャビン18等が設けられており、機体13の右側後部にはグレンタンク17が設けられている。グレンタンク17の底部には排出コンベア26が前後方向に配設され、グレンタンク17の後部には排出オーガ21が立設されている。グレンタンク17に貯溜された穀粒は排出コンベア26により後方に搬送され、排出オーガ21の縦送りオーガ22、横送りオーガ23を経て、横送りオーガ23先端部の排出口24からフレコンバック90やトラック等へ排出される。また、機体13の上方には、テールパイプ61と排出オーガ21との干渉を防止するガード部材81が設けられている。
【0017】
次に、排出オーガ21について説明する。図1に示すように、排出オーガ21は縦送りオーガ22と横送りオーガ23とを有している。図4に示すように、横送りオーガ23の根元側は縦送りオーガ22の上部に上下方向に回動自在に接続される。縦送りオーガ22の側部にはブラケット55が突設され、横送りオーガ23の側部にはブラケット56が突設される。前記ブラケット55には横送りオーガ23の昇降駆動手段であり、昇降用アクチュエータの一例であるオーガ昇降シリンダ51が油圧制御バルブの切換により伸縮されるように構成されており、前記ブラケット55に該オーガ昇降シリンダ51の一端が回転自在に取り付けられ、前記ブラケット56にはオーガ昇降シリンダ51の他端が回転自在に取り付けられる。こうして、オーガ昇降シリンダ51の伸縮により、横送りオーガ23は上下方向に回動されるようになっている。また、横送りオーガ23には上下角度検出手段としての回転式ポテンショメータ53が設けられており、回転式ポテンショメータ53により、横送りオーガ23の上下角度が検出される。
また、図10に示すように前記オーガ昇降シリンダ51と横送りオーガ23の上下角度検出手段である回転式ポテンショメータ53は制御手段95と接続されている。
尚、コンバイン11における昇降用アクチュエータである前記オーガ昇降シリンダ51は油圧式のシリンダであるが、その他の電気式または油圧式のモータでも良く、特に限定するものではない。
【0018】
前記縦送りオーガ22の中途部には、図4に示すように、平歯車57が外嵌固定されている。機体13側には水平方向駆動手段としてのモーター等のアクチュエータ52が設けられており、アクチュエータ52の回転軸には平歯車58が設けられている。平歯車57と平歯車58は歯合しており、アクチュエータ52を作動させることにより、縦送りオーガ22及び横送りオーガ23は一体的に水平方向に旋回する。平歯車58と同軸に水平角度検出手段としての回転式ポテンショメータ54が設けられる。回転式ポテンショメータ54により、排出オーガ21の水平角度が検出される。尚、前記上下角度検出手段及び前記水平角度検出手段は、回転式ポテンショメータの他、レゾルバ、ロータリーエンコーダ等の回転角度検出手段を用いることができる。
【0019】
次に、図5を用いてエンジン34からグレンタンク17及び排出オーガ21への駆動力伝達経路について説明する。
エンジン34の前方出力軸34bには、クローラ式走行装置12を駆動するための走行用ミッションケース(図示せず)の入力軸が連結され、クローラ式走行装置12に駆動力が伝達されるようになっている。一方、後方出力軸34aには、脱穀部15や選別部16へ駆動力を伝達するためのプーリ102・102・102と、グレンタンク17および排出オーガ21へ駆動力を伝達するためのプーリ63とが嵌設されている。
【0020】
また、前記エンジン34の略後方で、グレンタンク17の下部前面に駆動ケース64が配設され、該駆動ケース64から駆動ケース入力軸65が機体前方へ突出されている。そして、駆動ケース入力軸65の前端にプーリ66が嵌設され、該プーリ66と前記後方出力軸34a後端に嵌設されたプーリ63とにVベルト67が巻回されて、エンジン34の駆動力の一部が駆動ケース64の入力軸65に伝達されるように構成されている。Vベルト67には、該Vベルト67のテンションプーリを兼ねるオーガクラッチ68が設けられ、該オーガクラッチ68により駆動力を駆動ケース64より下流側へ伝達又は遮断できるようになっている。但し、後方出力軸34aとプーリ63の間に減速機構が設けられることもある。
また、前記オーガクラッチ68は、制御手段95を介して後述する最下降位置検知手段であるリミットスイッチ86と接続されており、また、キャビン18の座席19近傍に設けられているオーガ操作手段であるオーガクラッチスイッチ46にも接続されている。
【0021】
前記駆動ケース64内には互いに噛合するギア69a・69bが収納されており、二つのギア69a・69bのうち、一方のギア69aは駆動ケース64に軸支された前記入力軸65の後端に外嵌固定され、他方のギア69bは排出コンベア26の前端に嵌設された回転軸であるコンベア駆動軸70に外嵌固定されている。
【0022】
排出コンベア26の後端にはベベルギア71が嵌設され、該ベベルギア71に縦送りオーガ22内のスクリュー式の縦送りコンベア72下端に嵌設されたベベルギア73が噛合されている。一方、縦送りコンベア72上端にはベベルギア74が嵌設され、該ベベルギア74にベベルギア75が噛合されている。そして、該ベベルギア75とベベルギア77とがチェーンやスプロケットを内設する中間ケース76に連動連結され、該ベベルギア77に横送りオーガ23内のスクリュー式の横送りコンベア79の一端に嵌設されたベベルギア78が噛合されている。
【0023】
このように構成することにより、排出コンベア26から排出オーガ21の縦送りコンベア72と横送りコンベア79に駆動力が伝達される。つまり、グレンタンク17内の穀物は排出コンベア26により後方に搬送され、グレンタンク17後方に位置する縦送りオーガ22を経て、横送りオーガ23先端から強制的に排出されることになる。
【0024】
また、図6に示すように、横送りオーガ23の先端に排出ケース36が設けられている。該排出ケース36内には、横送りオーガ23内に設けられたスクリュー式の横送りコンベア79を軸支するためにボールベアリングなどからなる軸受け部が形成されている。排出ケース36の下面は開口されており、該開口部の縁に沿って筒形状のスリーブ37が取り付けられている。スリーブ37は可撓性の合成樹脂などで構成され、スリーブ37の下端が穀物排出口24となっている。これにより、排出ケース36の下面から落下した穀物を周囲に飛散させず、穀物排出口24の直下近傍に集中して排出することができるようになっている。また、後述するが、フック80の最下降位置においてもスリーブ37とフレコンバック(収納部材)90の上端部が重なるようにラップ代Bを設けている。
なお、排出ケース36側面や正面などにオーガ手動操作レバー、オーガクラッチスイッチ等を備えたオーガ操作ボックスを配設させる構成としてもかまわない。
【0025】
次に、本発明に係る横送りオーガ23先端部に設けたフック80について図6から図8を用いて説明する。
前記フック80は、前記横送りオーガ23の先端に配設される排出ケース36の左右側面部に上下スライド可能に取り付けられており、該フック80は平面視コ状に折曲形成されて排出ケース36の左右側面に固定された取付金具87に上下スライド可能に挿入されている。該取付金具87内にはフック80の保持手段である板バネ85と、前記フック80が最下降位置であることを検出するための最下降位置検知手段であるリミットスイッチ86とが収納されて構成されている。
前記フック80は帯板材または棒材が正面視略J字状に構成され、該フック80上端部は左右外側方向に折り曲げて所定幅取付金具87よりも突出しており、取付金具87から下方への抜け落ちを防止するストッパ80aを形成している。なお、該ストッパ80aはこのように折曲形成するだけで簡単に構成することができるが、ストッパはこの構成に限定するものではなく、上端に突起またはピンを突設したり、上端を前後方向に延設したり、ストッパ側面に上下方向に長孔を構成して、該長孔にボルトを挿入したりすることができる。また、フック80の下端部80bはフレコンバック90の上端部に形成した係止部90aを引っ掛けて吊り下げ支持できるように「レ」または「J」状に曲げられてフック形状となっている。一方、前記係止部90aは紐状材または帯状材を逆U字状にフレコンバック90の上端部に取り付けたり、または、フレコンバック90の上端部に係止用孔を開口して形成している。また、フック80の中途部の外側の面は、正面視鋸歯状にラック80dが形成されている。該ラック80dが板バネ85に係合して、上下摺動可能に配置される。なお、前記鋸歯形状は山形の頂点が下方に偏心させて構成し、谷部に板バネ85の屈曲部85aを嵌合させた状態で、フック80は下方よりも上方へ摺動し易い構成としている。
該板バネ85は正面視略へ字状に折曲構成され、一端(本実施例では下端)が取付金具87内の下方角部80eに固定され、他端は自由端として取付金具87に開口した孔より外側に突出させている。
そして、図7に示すように、板バネ85の屈曲部85aがラック80dの凹部に当接するように配置し、フック80を係止して下方へかかる力に対して一定荷重まで保持できるように構成されている。こうして、フック80において下方に一定荷重以上がかかり、板バネ85の屈曲部85aがラック80dの凹部に押し付けて引っかかる力よりも大きくなった場合に、板バネ85の屈曲部85aがラック80dの凹部から外れて外側に回動し、フック80が下方にスライドし、荷重と釣り合った位置でラック80dの上段側の凹部に嵌って保持するように構成されている。
また、前記リミットスイッチ86が前記板バネ85の上方、取付金具87内の上方角部近傍に配置されて、リミットスイッチ86の検出部が前記ストッパ80aを検知するようにしている。前記リミットスイッチ86は、制御手段95と接続されており、前記ストッパ80aがリミットスイッチ86の上端部にある検出部に接触した場合に、ストッパ80aが最下降位置にまで達したという信号がリミットスイッチ86から制御手段95へと伝達される。また、リミットスイッチ86は制御手段95を介してオーガクラッチ68及びオーガ昇降シリンダ51と接続されている。但し、リミットスイッチ86及びその配置位置は限定するものではなく、フック80の最下降位置を検知できればよく、リミットスイッチ86の代わりに光センサや近接センサを用いてもよく、排出ケース36の側面に配置してもよい。
なお、フックの別の実施例として、図9(a)はフック82の一部側面図、図9(b)はフック82の一部正面図に示す。該フック82は前記同様に板状部材で形成されており、フック82の上端部を折り曲げて一方に突出させてストッパ82aを形成している。本実施例では鋸歯状ラック82dが板状部材の一側面部の中途部に形成されて、該ラック82dの凹部にその側方に配置した板バネ85の屈曲部85aが嵌合して、フック82を保持する構造としている。このように、板材の側部にラック82dを形成することにより切削またはプレス加工等で容易に鋸歯状に形成でき、フック82を容易に形成することが可能となり、安価に製造できる。
【0026】
このような構成において、図8に示すようにフック80の下端部80bにフレコンバック90の係止部90aを吊り下げておき、フレコンバック90の底部が地面に触れる程度に、横送りオーガ23を運転操作部(運転席側部付近)に設けられたオーガ昇降スイッチ等を操作してオーガ昇降シリンダ51を伸長させることにより、横送りオーガ23を上昇させてフレコンバック90を若干吊り上げておく。そうして横送りオーガ23の先端部から穀物が排出されてフレコンバック90内に所定量の穀物が収納されていくと、その重みによりフレコンバック90の吊り下げ部分であるフック80の下端部80bに荷重がかかり、一定以上の荷重がかかった場合に、ラック80dの凹部に係合している板バネ85の屈曲部85aが外れてフック80が下方にスライドする。所定量下方にスライドした場合、フレコンバック90下部の地面等への接触面積が確保されるようになり、フック80にかかっていた過大な荷重が軽減されるのである。このようにして、前記横送りオーガ23が過大な荷重により変形することを未然に防ぐのである。
そして、フック80がストロークエンドとなるストッパ80a部分まで下方に至ると、該ストッパ80aが上述したリミットスイッチ86上端の検出部に接触し、リミットスイッチ86が作動して、ストッパ80が最下降位置まで至ったという信号が制御手段95へと伝達され、該制御手段95によりオーガクラッチ68が自動的にOFFとなり穀物の排出が非常停止するように設定されている。
つまり、ある一定の吊り上げ荷重を超えると、フック80が下方へスライドし横送りオーガ23の変形を防止するのである、また、フレコンバック90の上部を一定の力で上方に吊り上げた状態を維持できるためフレコンバック90の係止部90aからフック80が外れることがなく、継続して穀物の排出が可能である。
【0027】
また、上述したようにフック80がストロークエンドとなるストッパ80aが検出部に接触し、リミットスイッチ86が作動して、信号が制御手段95へと伝達された場合、別の制御方法として制御手段95によりオーガ昇降駆動手段であるオーガ昇降シリンダ51を駆動させて、横送りオーガ23を所定高さ下降回動するように設定して、フック80を介して横送りオーガ23にかかる荷重を軽減するように構成してもかまわない。この下降させる所定高さはフック80が係止部90aから外れない程度の長さである。こうして、前記横送りオーガ23が過大な荷重により変形することを未然に防ぐことも可能である。
【0028】
以上のように、グレンタンク17内の穀粒を機外に排出するための排出オーガ21を有するコンバイン11において、前記排出オーガ21先端部の排出口24の両側にフック80を設け、該フック80によりフレコンバック90を吊り下げ支持するように構成するとともに、前記フック80は上下にスライド可能に構成され、かつ、保持手段である板バネ85により設定荷重で保持されるものである。このように構成することにより、吊り上げ過重を超えた場合、フック80が下にスライドし排出オーガ21が変形することを防止する。また、一定の力で引っ張り上げているのでフレコンバック90からフック80が外れることがなく、継続して穀粒の排出が可能である。
【0029】
また、前記フック80に下方への抜けを防止するストッパ80aを設けたことにより、フレコンバックの重みで下方へ摺動した時に、ストッパ80aによりフック80が抜けることがなく、外れた場合に再度取り付ける作業をなくすことができる。
【0030】
また、前記フック80の最下降位置を検知する手段であるリミットスイッチ86を、前記排出口24の側部に設け、該リミットスイッチ86をオーガクラッチ68と接続し、最下降位置を検知するとオーガクラッチ68を切るようにしたものである。このように構成することにより、フック80のストロークエンドで最下降位置検知手段が作動し、オーガクラッチ68を非常停止して排出オーガ21に過大な力が加わることを防ぎ、満杯時に収納部材から穀粒があふれ出ることも防止できる。
【0031】
また、前記フック80の最下降位置を検知する手段であるリミットスイッチ86を、前記排出口24の側部に設け、該リミットスイッチ86をオーガ昇降駆動手段であるオーガ昇降シリンダ51と接続し、最下降位置を検知すると排出オーガ21を所定高さ下降するようにしたものである。このように構成することにより、フック80のストロークエンドで最下降位置検知手段が作動し、排出オーガ21が下降回動されて、排出オーガ21に過大な力が加わることを防ぐ。また、排出オーガ21は長いので手動で少し下降回動操作することは難しいが、自動で所定高さに容易に下降回動でき、無駄な動きを低減できる。
【0032】
また、本実施例では図8に示すように前記フック80がフック上下ストローク長Aの最小時となる最下降位置(図8の二点鎖線部)にきた場合に、前記スリーブ37の下端部とフレコンバック90の上端部との間で、所定長のラップ代Bを設けるようにしている。つまり、フック上下ストローク長Aより上下方向に長い筒状のスリーブ37を設けている。このように構成することにより、フック上下ストローク長Aが最小時であるストロークエンドにおいてもフレコンバック90とスリーブ37のラップ代Bにより、不意にストロークエンドまでフック80が下がった場合においても、スリーブ37とフレコンバック90との間に隙間が生じることがなく穀物がこぼれ落ちることがなくなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバイン11の全体側面図。
【図2】コンバイン11の正面図。
【図3】コンバイン11の平面図。
【図4】縦送りオーガ22と横送りオーガ23の接続部の側面簡略図。
【図5】エンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図。
【図6】排出オーガの先端部を示す斜視図。
【図7】フック80を示す正面図。
【図8】フック80にフレコンバック90を吊り下げた状態を示す正面図。
【図9】フック80の一部の形状が異なった別実施例を示す図。
【図10】制御手段を示すブロック図。
【符号の説明】
【0034】
11 コンバイン
17 グレンタンク
21 排出オーガ
24 排出口
51 オーガ昇降シリンダ
68 オーガクラッチ
80 フック
80a ストッパ
85 板バネ
86 リミットスイッチ
90 フレコンバック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンク内の穀粒を機外に排出するための排出オーガを有するコンバインにおいて、前記排出オーガ先端部の排出口の両側にフックを設け、該フックによりフレコンバックを吊り下げ支持するように構成するとともに、前記フックは上下にスライド可能に構成され、かつ、保持手段により設定荷重で保持されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記フックに下方への抜けを防止するストッパを設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記フックの最下降位置を検知する手段を、前記排出口の側部に設け、該最下降位置検知手段をオーガクラッチと接続し、最下降位置を検知するとオーガクラッチを切るようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記フックの最下降位置を検知する手段を、前記排出口の側部に設け、該最下降位置検知手段をオーガ昇降駆動手段と接続し、最下降位置を検知すると排出オーガを所定高さ下降するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−154478(P2008−154478A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344559(P2006−344559)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】