説明

コンバイン

【課題】機体を転倒しにくくして安全性を向上させると共に、コンバインの倉庫への格納や保護シートを被せる作業を容易に行なえるものとして作業能率を向上させる。
【解決手段】第1に、穀粒貯留装置(4)に旋回自在な穀粒排出装置(31)を設け、該穀粒排出装置(31)に、作用姿勢と非作用姿勢とに切換自在な機体転倒防止用の支持部材(40)を設ける。第2に、支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して起伏回動自在に取り付ける。第3に、支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して横方向回動自在に取り付ける。第4に、機体の傾斜角度が設定角度を越えた場合に、前記支持部材(40)を自動的に作用姿勢に切り換える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインは、道路で待機している運搬車へ穀粒を排出する場合や、作業を終了して圃場から道路へ移動する場合などにおいて、傾斜地を走行することとなるため、機体が転倒するおそれがある。
【0003】
このため、例えば特許文献1に示すように、機体の後部に転倒防止用のガード部材を設ける技術が知られている。
【特許文献1】特開平9−322634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたようなガード部材では、機体が急激に前上がり傾斜した場合に、この機体の後方への転倒を防止することができない。ましてや、機体が左右方向に傾斜して転倒しそうになった場合には、このガード部材は転倒防止部材として機能せず、この転倒を阻止することができない。
【0005】
また、上記特許文献1に開示されたガード部材のように、機体フレームに転倒防止部材を取り付けた場合には、この転倒防止部材の設置位置が低くなり、この転倒防止部材の先端部を接地させても、機体の転倒を防ぐモーメントは小さくなってしまう。従って、この機体の転倒を確実に阻止することができない欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、走行装置(2)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(4)とを左右に並べて設け、脱穀装置(3)の前側に昇降自在な刈取装置(6)を設け、前記穀粒貯留装置(4)に旋回自在な穀粒排出装置(31)を設け、該穀粒排出装置(31)に、作用姿勢と非作用姿勢とに切換自在な機体転倒防止用の支持部材(40)を設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0007】
これにより、機体転倒防止用の支持部材40を非作用姿勢から作用姿勢に切り換えて例えば登坂する際に、機体が傾動して転倒しそうになると、この支持部材40が接地して機体が傾動しにくくなる。また、圃場での作業終了後に機体に保護シートを被せたり、コンバインを倉庫に格納するような場合には、支持部材40を非作用姿勢に切り換えておく。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して起伏回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0009】
これにより、支持部材40を穀粒排出装置31の上部に対して回動させて起立状態にしておけば、コンバインが転倒しそうになった場合にこの支持部材40が接地して、機体がこれ以上傾動しにくくなる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して横方向回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0011】
これにより、支持部材40を穀粒排出装置31の上部に対して外側方へ回動させて作用姿勢とすると、機体が左右方向に傾動した場合に、この支持部材40が接地して機体が支えられる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、機体の傾斜角度が設定角度を越えた場合に、前記支持部材(40)を自動的に作用姿勢に切り換える構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0013】
これにより、機体が傾動してこの機体の傾斜角度が設定角度を越えると、支持部材40が自動的に作用姿勢に切り換えられ、この支持部材40が接地して機体が支えられる。また、機体が傾斜していない状態では、支持部材40は非作用姿勢にあり、圃場での作業が終了して機体に保護シートを被せる場合や、コンバインを倉庫に格納する場合等に、この支持部材40が邪魔になりにくくなる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、転倒防止用の支持部材40を作用姿勢に切り換えることによって、機体を転倒しにくくすることができ、安全性を向上させることができる。また、圃場での作業終了後に機体に保護シートを被せたり、コンバインを倉庫に格納したりする場合に、支持部材40を非作用姿勢に切り換えることによって、この倉庫への格納や保護シートを被せる作業を容易に行なえ、作業能率を向上させることができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、支持部材40を穀粒排出装置31の上部に対して回動させて起立状態にしておけば、コンバインが転倒しそうになった場合にこの支持部材40が接地して、機体をこれ以上傾動しにくくすることができ、安全性を向上させることができる。また、この支持部材40は、穀粒排出装置31の上部に取り付けられるために、モーメント的に有利に機体を支えて転倒しにくくすることができ、より安全性が高まる。
【0016】
また、請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、支持部材40を穀粒排出装置31の上部に対して外側方へ回動させて作用姿勢とすると、機体が左右方向に傾動した場合に、この支持部材40が接地して機体を支えることができ、安全性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項4記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、機体が傾斜した場合に、支持部材40が自動的に作用姿勢に切り換えられるために、機体の転倒を未然に防ぐことができる。また、機体が傾斜していない状態では、支持部材40は非作用姿勢にあるため、圃場での作業が終了して機体に保護シートを被せる作業や、コンバインを倉庫に格納する作業を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明におけるコンバインの実施の形態を、自脱型のコンバインを例示して説明する。
図1〜図3に第1実施例を示す。コンバインの機体は、機台フレーム1の下側に走行装置2を設け、機台フレーム1の上部一側に脱穀装置3を搭載し、機台フレーム1の上部における脱穀装置3の横側に穀粒貯留装置4を搭載し、該穀粒貯留装置4の前側に操縦部5を設け、前記脱穀装置3の前側に刈取装置6を昇降自在に設けて構成する。
【0019】
前記走行装置2は、機台フレーム1に連結した左右の転輪フレーム7に多数の転輪8を軸支し、該転輪8と、ミッションケース9から駆動される駆動スプロケット10にクローラ11を巻き掛けて構成する。
【0020】
前記脱穀装置3は、扱胴および処理胴を軸架した上側の扱室と、揺動選別棚や唐箕、一番螺旋、二番螺旋等を備えた下側の選別室(いずれも図示省略)とから構成する。
前記穀粒貯留装置4は、前記脱穀装置3の一番螺旋によって移送される脱穀処理後の穀粒を投入して一時貯留するもので、合成樹脂製の上部タンク12と、鉄板製の下部樋体13とから構成する。また、前記上部タンク12の上部前側の部分は、前方へ膨出した形状とする。そして、前記下部樋体13の底部には、移送螺旋(図示省略)を内装する。
【0021】
前記操縦部5には、エンジン14を内装するエンジンカバー15の上側に操縦席16を取り付け、該操縦席16の後側であって前記上部タンク12の膨出部の下側に臨む位置に、エアクリーナ17を取り付ける。また、前記操縦席16の前方には、操向レバー18、ハンドル19、ウインカ20等を備えたフロント操作ポスト21を立設し、操縦席16の側方には、主変速レバー22、副変速レバー23、スロットルレバー24、刈取・脱穀クラッチレバー25等を備えたサイド操作パネル26を設ける。
【0022】
前記刈取装置6は、最前部の分草杆27と、該分草杆27の後側の引起装置28と、刈刃29と、穂先・株元搬送装置(図示省略)と、供給搬送装置30とから構成し、油圧シリンダ(図示省略)によって機台フレーム1に対して昇降回動する構成とする。前記分草杆27は、刈取装置6のメインのフレームに対して左右回動自在に縦軸で軸着し、レバー6aの遠隔操作によってワイヤ6bを介して左右回動調節できる構成とする。これにより、分草幅を変更して、3条の分草幅から4条の分草幅に拡大することができ、畦際の穀稈の刈り取りや、中割り刈りを容易に行なうことができる。
【0023】
尚、hは、前記脱穀装置3から排出される脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッターである。
しかして、前記穀粒貯留装置4における上部タンク12及び下部樋体13の後側には、穀粒排出装置31を設ける。該穀粒排出装置31は、前記下部樋体13の後部外側に連結した引継メタル32と、該引継メタル32の上部に旋回自在に嵌合した揚穀筒32と、該揚穀筒32の上端部に、揚穀筒側引継メタル37および排出筒側引継メタル38を介して上下回動自在に軸着した排出筒33と、これら引継メタル32内、揚穀筒32内、排出筒33内に設けた螺旋体とから構成する。また、前記揚穀筒32の下端部における引継メタル32との嵌合部の上側部位にギヤ34を固定し、該ギヤ34に、機台フレーム1側に固定した電動モータ35の出力ギヤ36を噛み合わせる。この電動モータ35を操縦部5のレバー操作によって駆動させることにより、揚穀筒32と該揚穀筒32の上端部に軸着された排出筒33とが一体で旋回する構成である。また、前記揚穀筒32の上部と排出筒33の基部付近との間に、油圧シリンダ(図示省略)を接続し、該油圧シリンダの伸縮によって、揚穀筒32に対して排出筒33が上下に起伏回動する構成とする。この油圧シリンダの伸縮作動は、操縦部5のレバーの他方向への操作によって行なわれる。尚、Zは、排出筒33を二重筒として伸縮させるために設ける螺子式の電動伸縮機構である。
【0024】
そして、前記揚穀筒側引継メタル37の上側面に、左右二股状に分岐した軸支部39を一体形成し、該軸支部39における左右二股の間に棒状の支持部材40の基部を配置し、軸41によって上下に起伏回動自在に枢着する。該軸41は、支持部材40と一体で回動するように、支持部材40に穿った穴に挿通してキーによって相対回転不能に係合する。前記支持部材40は丸パイプ状の鋼材を用いるとよい。
【0025】
更に、前記軸41の端部に大径の従動ギヤ42を固定する一方、前記揚穀筒側引継メタル37の外側面に固定した切換用電動モータ43の出力軸に小径の駆動ギヤ44を固定し、前記従動ギヤ42と駆動ギヤ44とを噛み合わせる。これにより、切換用電動モータ43が回転すると、駆動ギヤ44から従動ギヤ42が回転駆動されて、該従動ギヤ42と一体の軸41が回転し、該軸41と一体の支持部材40が上下方向に起伏回動する。排出筒33を排出筒受け部材45に支持させて格納した状態において、支持部材40を下方へ倒伏回動させて上部タンク12の上面に沿わせた姿勢が、該支持部材40の非作用姿勢である。また、支持部材40を起立状態まで上方へ回動させた姿勢が、該支持部材40の作用姿勢である。
【0026】
そして、前記切換用電動モータ43を正逆転操作する転倒防止スイッチ46を、前記操縦部5のサイド操作パネル26上に設置し、操縦席16に着座した操縦者の手動操作によって該転倒防止スイッチ46がワンタッチ操作されると、前記切換用電動モータ43が正転して支持部材40を起立姿勢になるまで上方回動させた後にこの正転を停止する。また、前記転倒防止スイッチ46を再度ワンタッチ操作すると、切換用電動モータ43が逆転して支持部材40を上部タンク12の上面に沿う倒伏姿勢になるまで下方回動させた後にこの逆転を停止する。尚、前記転倒防止スイッチ46は、主変速レバー22の把持部、副変速レバー23の把持部、操向レバー18の把持部などに設けてもよい。
【0027】
また、図4〜図6に第2実施例を示す。前記二股状の軸止部39を設けずに、揚穀筒側引継メタル37内に軸架される引継螺旋軸47を、該揚穀筒側引継メタル37を貫通させて外側方へ延出させ、該引継螺旋軸47の延出端部に、前記支持部材40の基部と従動ギヤ42を一体化した筒軸48を遊嵌させて設けてもよい。これにより、揚穀筒側引継メタル37の上面に二股状の軸止部39を形成する必要がないために、このアルミダイキャストで成形される揚穀筒側引継メタル37の鋳型を簡素化でき、製造コストを低減して安価に提供することができる。
【0028】
しかして、図7に示すように、例えば標高の低い圃場から道路へ上がるために、傾斜地Sを登坂走行する場合、事前に転倒防止スイッチ46を操作して支持部材40を起立姿勢にしておき、(イ)に示すように登坂走行を開始する。このような登坂走行中において、例えば誤操作によって走行速度を急増速操作してしまった場合には、クローラ11の駆動半力によって機体が後向きに反転するような力が作用し、(ロ)に示すように機体が後向きにひっくりかえるように回転する。この際、前記支持部材40の先端部が機体各部よりも先に接地して機体を支持し、機体がこれ以上後向きに回転することを阻止する。これによって、操縦者の安全を確保すると共に、機体の破損を防ぐことができる。また、道路に上がった後には、転倒防止スイッチ46を再度操作して支持部材40を倒伏姿勢とし、道路交通法に適合した車高を維持することができる。また、支持部材40は、作用姿勢にした場合に、機体の上方へ突出するため、この支持部材40を非作用姿勢に倒伏させておけば、機体に保護シートを被せたり、狭い倉庫に格納する作業を容易に行なうことができる。
【0029】
また、図8に示すように、例えば傾斜地の法面に沿って機体が左右傾斜したままの状態で走行する場合には、排出筒33を排出筒受け部材45に支持させて格納した状態において、支持部材40の上下回動支点となる軸41が機体の左右方向を向くために、機体が(ハ)の状態から(ニ)の状態に左右方向に転倒しても、これ以上に機体が回転することを阻止でき、このコンバインに搭乗する操縦者が下敷きになるような危険を少なくすることができる。即ち、支持部材40が安全フレームの役割を果たすものである。また、上記第2実施例の構成においても、引継螺旋軸47を支持部材40の回動支点としているために、排出筒33を排出筒受け部材45に支持させて格納した状態において、引継螺旋軸47の軸芯が機体の左右方向を向く。これによって、機体が(ハ)の状態から(ニ)の状態に左右方向に転倒しても、これ以上に機体が回転することを阻止でき、このコンバインに搭乗する操縦者が下敷きになるような危険を少なくすることができる。即ち、支持部材40が安全フレームの役割を果たすものである。
【0030】
以上、第1、第2実施例の構成では、支持部材40が、揚穀筒32側に取り付けられ、起立姿勢とすることによって転倒防止機能を奏するものであるために、揚穀筒32および排出筒33をどの位置に旋回させていても、支持部材40の転倒防止機能が損なわれることがなく、安全性を高めることができる。また、排出筒33を排出筒受け部材45に支持した状態において、非作用姿勢の支持部材40が、排出筒33と平行姿勢となる。
【0031】
また、図9、図10に第3実施例を示す。前記支持部材40を上下方向に起伏回動する構成に代えて、該支持部材40を左右方向に回動させる構成とするものである。即ち、揚穀筒側引継メタル37の上面から大径の縦軸49を一体成形して立ち上げ、該縦軸49の外周に、支持部材40の基部に一体形成したボス部50を遊嵌させて取り付ける。また、上記と同様に、ボス部50の上端部に大径の従動ギヤ42を固定する一方、揚穀筒側引継メタル37の上部に、ステーを介して切換用電動モータ43を縦向き姿勢に取り付け、該切換用電動モータ43の出力軸に取り付けた小径の駆動ギヤ44を、前記従動ギヤ42に噛み合わせる。この構成により、路上走行時等には、支持部材40を機体内側へ旋回させて上部タンク12の上側へ格納して非作用姿勢とし、作業走行中や登坂走行時や法面走行時等には、支持部材40を機体外側へ旋回させて張り出させた作用姿勢とする。この非作用姿勢と作用姿勢との切り換え構成は、上記第1、第2実施例と同様の構成である。
【0032】
これにより、図11に示すように、例えば傾斜地の法面を走行するような場合に、機体が傾斜下がり側へ転倒しても、支持部材40の先端部が先に接地して機体を支持する。即ち、支持部材40が安全フレームとして機能する。このため、機体がこれ以上転動するようなことがなく、操縦者の安全を確保でき、機体の損傷も少なくすることができる。また、支持部材40の回転中心となる軸が、揚穀筒側引継メタル37と一体の縦軸49であるために、支持部材40自体の支持剛性が高く、機体の転倒防止機能の信頼性を高めることができる。
【0033】
また、図12に示すように、コントローラ51に対して、その入力側に、機体の前後および左右の傾斜角度を検出する傾斜センサ52と、刈取・脱穀クラッチレバー25の入り状態を検出する作業クラッチセンサ53と、走行速度検出センサ54とを接続する。また、コントローラの出力側には、前記切換用電動モータ43を接続する。
【0034】
この構成により、刈取・脱穀クラッチレバー25を入り操作すると、コントローラ51から切換用電動モータ43へ正転出力がなされ、該切換用電動モータ43の正転によって支持部材40が作用姿勢にまで回動して停止する。また、刈取・脱穀クラッチレバー25を切り操作すると、コントローラ51から切換用電動モータ43へ逆転出力がなされ、該切換用電動モータ43の逆転によって支持部材40が非作用姿勢にまで回動して停止する。これにより、作業開始および作業終了時に、支持部材40の姿勢を自動的に切り換えることができ、転倒防止スイッチ46の手動操作を省いて、コンバインによる作業能率を向上させることができる。
【0035】
更に、走行速度検出センサ54によって機体の高速走行状態が検出された場合に、コントローラ51から切換用電動モータ43へ逆転出力がなされて支持部材40が自動的に非作用姿勢に切り換わるように構成してもよい。即ち、上記転倒防止スイッチ46の操作や、刈取・脱穀クラッチレバー25の入り状態検出によって支持部材40が作用姿勢に切り換わっている状態において、走行速度が路上走行時のような高速になると、支持部材40が自動的に非作用姿勢にまで格納される。これによって、路上走行時に、機体から上方または側方へ張り出した支持部材40が、障害物に衝突することを防止でき、路上走行の安全性を向上させることができる。
【0036】
また、傾斜センサ52によって、機体の前後方向または左右方向の傾斜姿勢が設定傾斜角度(例えば左右方向においては約30度)を越えたことが検出されると、コントローラ51から切換用電動モータ43へ正転出力がなされ、該切換用電動モータ43の正転によって支持部材40が作用姿勢になるまで回動して停止する。また、傾斜センサ52によって、機体の前後方向または左右方向の傾斜姿勢が設定傾斜角度を下回ったことが検出されると、コントローラ51から切換用電動モータ43へ逆転出力がなされ、該切換用電動モータ43の逆転によって支持部材40が非作用姿勢になるまで回動して停止する。これによって、機体が転倒する危険のある角度まで傾斜した場合に支持部材40が自動的に作用姿勢になるため、操縦者の操作を簡略化しながら安全性を向上させることができる。また、作業中において、機体が大きく傾斜していない状態では、支持部材40が刈取作業や保護シートの被覆作業の邪魔にならず、作業能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施例におけるコンバインの側面図である。
【図2】第1実施例におけるコンバインの背面図である。
【図3】第1実施例におけるコンバインの平面図である。
【図4】第2実施例におけるコンバインの側面図である。
【図5】第2実施例におけるコンバインの背面図である。
【図6】図5における要部を一部破断して示す拡大図である。
【図7】第1実施例および第2実施例の作用状態を示す説明図である。
【図8】第1実施例および第2実施例の作用状態を示す説明図である。
【図9】第3実施例におけるコンバインの背面図である。
【図10】第3実施例におけるコンバインの平面図である。
【図11】第3実施例の作用状態を示す説明図である。
【図12】第1実施例から第3実施例までに適用されるブロック回路図である。
【符号の説明】
【0038】
2 走行装置
3 脱穀装置
4 穀粒貯留装置
6 刈取装置
31 穀粒排出装置
40 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上側に脱穀装置(3)と穀粒貯留装置(4)とを左右に並べて設け、脱穀装置(3)の前側に昇降自在な刈取装置(6)を設け、前記穀粒貯留装置(4)に旋回自在な穀粒排出装置(31)を設け、該穀粒排出装置(31)に、作用姿勢と非作用姿勢とに切換自在な機体転倒防止用の支持部材(40)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して起伏回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記支持部材(40)を穀粒排出装置(31)の上部に対して横方向回動自在に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
機体の傾斜角度が設定角度を越えた場合に、前記支持部材(40)を自動的に作用姿勢に切り換える構成としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−5660(P2009−5660A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172366(P2007−172366)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】