説明

コンバイン

【課題】穀粒貯溜装置の穀粒をブロワによりエンジンの燃料消費量を節減しながら円滑に排出する。
【解決手段】エンジン駆動力によって第1、第2発電機で発電された電力を蓄電する第1、第2蓄電池を設け、第2蓄電池に蓄電された電力をブロワ駆動用の電動モータ及び穀粒繰出手段駆動用の繰出用電動モータに供電する。エンジンと電動モータとのうち、他方よりも高速回転となった側の駆動力をブロワ側へ出力する伝動切換装置を設け、設定電圧よりも低い第2蓄電池の電圧が検出された場合に、排出クラッチを自動的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンバインは、走行装置を備えた車体上に脱穀装置と穀粒排出装置を備えた穀粒貯留装置を左右に並べて設け、該脱穀装置の前方に刈取装置を昇降自在に設け、穀粒貯留装置の前側又は後側に、これら各装置を駆動するエンジンを搭載して構成している。
【0003】
一方、自動車や建設機械の分野では、環境保全のために、エンジンから排出されるガス(二酸化炭素等)量を低減することを目的として、走行部および作業部の電動化が進められている。
【0004】
また、自動車分野では、高速走行中の減速操作時に、この走行エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄電しておき、発進時および低速走行時には、エンジンを停止させたまま、この電力で電動モータを駆動して走行し、高速走行時にエンジンを始動する構成が主流である。
【0005】
建設機械分野では、走行速度が農業機械同様に低速であるため、走行エネルギーを電気エネルギーに変換するには適さない。従って、例えばバックホーにおいては、エンジン駆動力で発電した電力をバッテリーに蓄電しておき、この電力によって電動モータを駆動して機台を旋回させるような構成を採っている。
【0006】
そして、農業機械分野でも、このようなハイブリッド化が考えられており、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンによって発電機を駆動し、発電された電力をバッテリーに蓄電し、この電力で電動モータを駆動して耕うんロータリー等の作業装置を駆動する技術が試みられている。
【0007】
また、特許文献2に例示するように、穀粒貯留装置に備える穀粒排出装置の排出螺旋軸をモータで駆動する技術が知られている。
また、特許文献3に示すように、車両用電気機器に電力を供給し、車両発電機によって充電される2つの並列に接続されたバッテリに対する充放電を制御する装置において、各バッテリから車両用電気機器への供電を切り替える供電切替手段と、車両用発電機から各バッテリへの充放電を切り替える充電切替手段を設けたものは公知である。
【0008】
また、特許文献4に例示すように、ハイブリッド車両のエンジン再始動装置において、モータジェネレータのバッテリ充電容量の低下に伴うエンジン始動要求に基づいて、エンジンを再始動するものは公知である。
【0009】
また、特許文献5に示すように、エンジンによって作業走行するコンバインにおいて、収穫籾の排出をする排出オーガを電動モータにより駆動するものは公知である。
【特許文献1】特開2001−161104号公報
【特許文献2】実開昭63−53230号公報
【特許文献3】特開2007−259645号公報
【特許文献4】特開2007−131070号公報
【特許文献5】特開2008−206467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に開示された技術では、主な作業装置である耕うんロータリーを電動モータで駆動する構成であるために、作業中に電動モータを常時駆動せねばならず、多大な電力を必要としてバッテリーの蓄電力が早期に消耗し、作業継続可能時間が短くなる欠点がある。
【0011】
そして、このような技術を特許文献2に開示された技術に採用し、穀粒排出装置を電動モータで駆動する構成とすることができるが、このように構成しただけでは、バッテリーの蓄電力が消耗した場合に、穀粒の排出が行えなくなる。特に、コンバイン作業において、穀粒貯留装置に貯留された穀粒が排出できなくなると、それ以後の刈取脱穀作業が続行できなくなり、作業不能の状態に陥ってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の課題を解決すると共に、穀粒貯溜装置の穀粒をブロワにより機外に排出できるようにするために、次の技術的手段を講じる。
即ち、走行装置(2)の上側の機台(3)に、脱穀装置(4)と、穀粒貯留装置(5)と、エンジン(68)を備えた原動部(6)と、操縦部(7)と、刈取装置(8)を設けたコンバインにおいて、穀粒貯溜装置(5)の穀粒繰出手段(136)により繰り出された穀粒を穀粒排出筒体(5b,5c,5d)を経由して機外へ排出するブロワ(135)を設け、前記エンジン(68)の駆動力によって発電する第1発電機(101a)及び第2発電機(101b)を設け、該第1発電機(101a)及び第2発電機(101b)によって発電された電力を蓄電する第1蓄電池(109a)及び第2蓄電池(109b)を設け、該第2蓄電池(109b)に蓄電された電力を供給する前記ブロワ(135)駆動用の電動モータ(83)と前記穀粒繰出手段(136)駆動用の繰出用電動モータ(83d)を設け、排出クラッチ(95)を介して入力されるエンジン(68)の駆動力と排出クラッチ(95)を介することなく入力される電動モータ(83)の駆動力とのうち、他方よりも高速回転となった側の駆動力をブロワ(135)側へ出力する伝動切換装置(69)を設け、前記第2蓄電池(109b)に蓄電されている電圧を検出する電圧検出手段を設け、電動モータ(83)の駆動力によってブロワ(135)を駆動している状態で、前記電圧検出手段によって設定電圧よりも低い電圧が検出された場合に、排出クラッチ(95)を自動的に接続してエンジン(68)の駆動力でブロワ(135)を駆動する制御装置(111)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、例えば住宅地の狭間の圃場での収穫作業において、エンジン(68)を停止させた状態で、第2蓄電池(109b)の電力によってブロワ(135)及び穀粒繰出手段(136)を駆動し穀粒を機外へ排出することができる。また、エンジン(68)の燃料消費量を節減できるうえに、エンジン停止による騒音の低減及び排気ガスの減少による雰囲気の清浄化によって、住環境の保全に寄与することができる。そして、穀粒排出作業中に第2蓄電池(109b)の電圧が設定電圧よりも低くなった場合には、エンジン(68)の駆動力でブロワ(135)を駆動する状態に自動的に切り換わるので、穀粒排出作業を中断する必要がなく、収穫作業全体の能率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、コンバインの機体構成について説明する。
図1、図2に示すように、コンバインの機体1は、左右のクローラ式の走行装置2の上側に枠組みされた機台3を設け、該機台3の左側部に脱穀装置4を搭載し、該脱穀装置4の右側に穀粒貯留装置5を搭載し、該穀粒貯留装置5の前側に原動部6を搭載し、該原動部6の上部から前方に亘って操縦部7を設け、該操縦部7と前記脱穀装置4との前側に刈取装置8を設けて構成する。
【0015】
前記走行装置2の構成について説明する。
機台3の前後左右の4箇所から下側へ支持脚(図示省略)を延出して設け、この支持脚の下端部に左右の転輪フレーム9,9を取り付ける。該転輪フレーム9,9には、多数の転輪10,10と後端部の緊張輪11,11とを軸支する。そして、機台3の前部に取り付けたミッションケース12によって駆動される左右の駆動スプロケット13,13と、前記転輪10,10と、緊張輪11,11とに亘ってクローラ14,14を巻き掛けて、走行装置2を構成する。尚、前記ミッションケース12には、後述するエンジンの駆動力が、静油圧式無段変速装置を介して入力される構成である。
【0016】
前記脱穀装置4の構成について説明する。
脱穀装置4は、側部にフィードチェン15を備え、内部に扱胴(図示省略)を回転自在に備えた上側の扱室と、揺動選別棚、唐箕、一番移送螺旋、二番移送螺旋等を備えた下側の選別室とから構成する。該脱穀装置4は、後述するエンジンの駆動力によって駆動する構成である。
【0017】
尚、該脱穀装置4の後側には、脱穀後の排藁を切断して圃場に排出する排藁カッター16を搭載する。
前記刈取装置8の構成について説明する。
【0018】
刈取装置8は、機台3の前部に取り付けた懸架台(図示省略)の上部に縦支持フレーム17の上端部を上下回動自在に軸支し、該縦支持フレーム17の下端部に左右方向の刈取ギヤケース18の中間部を取り付ける。該刈取ギヤケース18の前部から前方に向けて分草パイプ19を延出させ、この分草パイプ19の前端部に植立穀稈を分草する分草板20を取り付ける。該分草板20の後側から後上がり傾斜姿勢に引起装置21を設け、該引起装置21の後側下部から後方に向けて、植立穀稈を掻き込む掻込装置と、刈取穀稈の株元側を挟持して後方へ搬送する株元搬送装置と、刈取穀稈の穂先側を係止して後方へ搬送する穂先搬送装置(いずれも図示省略)とを設ける。前記株元搬送装置の始端部下方には、刈刃装置22を分草パイプ19に支持させて設ける。該刈取装置8は、後述するエンジンの駆動力によって駆動する構成である。
【0019】
前記操縦部7の構成について説明する。
操縦部7は、機台3の前端部右側に搭載したステップフレーム23の前部から、フロント操作ポスト24を立上げ、該フロント操作ポスト24の機体中央寄りの側の端部から後方へ向けてサイド操作パネル25を設けて構成する。前記フロント操作ポスト24の上部には、中央部にモニターパネル26を備え、該モニターパネル26の右側にハンドレスト27を備え、モニターパネル26の左側にスイッチパネル28を設けて門形に形成した操作装置29を取り付ける。前記ハンドレスト27の前側に、前後方向への傾倒操作によって刈取装置8を昇降させ、左右方向への傾倒操作によってミッションケース12内の左右のサイドクラッチを遮断する操向レバー30を立設する。また、前記サイド操作パネル25には、ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置を変速操作する主変速レバー31と、ミッションケース12内の副変速装置を変速操作する副変速レバー32と、刈取装置8の駆動を入り切り操作する刈取クラッチレバー33と、脱穀装置4の駆動を入り切り操作する脱穀クラッチレバー34と、上述するエンジンのスロットルを開閉操作するスロットルレバー35を設ける。36は、エンジンを覆うエンジンカバー37の上部に取り付けた座席である。
【0020】
次に、前記穀粒貯留装置5部の構成について説明する。
図3、図4、図7に示すように、穀粒貯留装置5は筐体に形成し、左右の底壁38,39を傾斜させ、該傾斜の谷部に機体前後方向の軸芯回りに回転する底部移送螺旋40を配置する。該底部移送螺旋40の軸の前端部は、穀粒貯留装置5の前壁41に取り付けたベアリング42で回転自在に軸受けし、更に前壁41から前方へ突出させ、該突出端部に従動側係合爪43を備えた従動側回転体43aを固定する。また、該底部移送螺旋40の軸の後端部は、穀粒貯留装置5の後壁44に形成した孔を通して後方へ延出させ、後壁44の後側面に取り付けた前側筒体45の内部に配置する。尚、前記底部移送螺旋40の上側には、貯留された穀粒による圧力を受ける断面へ字状に形成した屋根板(図示省略)を配置する。この屋根板の左右両端部と左右の底壁38,39との隙間から、穀粒が底部移送螺旋40側に流れ込んで搬送される構成である。
【0021】
そして、機台3の右側後端部上に、下部引継筒体46を固定する。該下部引継筒体46は、L字形状に屈折した搬送通路を内部に備え、前記底部移送螺旋40と連結・分離自在な機体前後方向の軸芯を有する引継螺旋48を、ベベルギヤケースで回転自在に軸受けする。該下部引継筒体46の前端部と前記穀粒貯留装置5側の前側筒体45の後端部とを、下部縦軸47で機体外側方へ回動自在に軸支する。これによって、穀粒貯留装置5の下側の回動支点が形成される。
【0022】
また、前記下部引継筒体46の上部には、揚穀螺旋49を回転自在に内装した揚穀筒50を、該揚穀螺旋49の軸芯回りに縦軸回動自在に嵌合して設ける。前記揚穀螺旋49の下端部は、下部引継筒体46内のベベルギヤケースで軸受けし、該ベベルギヤケースを介して引継螺旋48及び底部移送螺旋40に連動させる。
【0023】
そして、機台3の後端から作業機支持フレーム51を立上げ、この作業機支持フレーム51の上端部に円筒状の内面を有する支持部52を設け、該支持部52によって揚穀筒50の上部を縦軸回転自在に姿勢保持する。前記作業機支持フレーム51には、排藁カッター16を機体外方へ回動自在に支持する縦軸53を設ける。該作業機支持フレーム51の下部には前記揚穀筒50の下端部外周に設けた従動ギヤ54と噛み合う出力ギヤ55を備えた旋回用電動モータ56を取り付ける。
【0024】
前記支持部52には、回動支持ステー57を一体的に設け、穀粒貯留装置5の後壁44の上部に固定した上部縦軸58を、該回動支持ステー57の孔に上側から挿し込む。これによって、前記下部縦軸47と上部縦軸58とが同一軸芯上に配置され、穀粒貯留装置5の上下の回動支点が形成される。
【0025】
更に、前記支持部52には、平面視L字形状に形成した補強フレーム59の後端部を連結し、該補強フレーム59を前方へ延設して脱穀装置4の機体奥側の側面に沿わせて配置する。該補強フレーム59の前部は脱穀装置4側に固定し、前記作業機支持フレーム51と共に揚穀筒50および穀粒貯留装置5の支持剛性を高める。更に、該補強フレーム59の前端部には、穀粒貯留装置5を機体側へ位置固定するロック装置のフック60が係合する被係合部61を一体で設ける。該フック60を被係合部61から離脱させることによって、穀粒貯留装置5を機体外側方へ引き出せる状態となる。
【0026】
そして、前記揚穀筒50の上端部には、排出螺旋62を回転自在に内装した排出筒63を上部引継筒体64を介して上下回動自在に連通して設ける。該排出筒63の自由端部には、穀粒排出口65を形成する。また、前記揚穀筒50の上部と排出筒63の基部との間に、電動シリンダ66を設け、該電動シリンダ66の伸縮作動によって排出筒63が昇降回動する構成とする。67は、該電動シリンダ66の作動用の昇降用電動モータである。
【0027】
上記底部移送螺旋40と揚穀螺旋49と排出螺旋62とから穀粒排出装置5aが構成される。
次に、原動部6の構成について説明する。
【0028】
機台3の前部右側にエンジン68を搭載する。該エンジン68は、開閉自在のエンジンカバー37によって覆われる。
図3、図4に示すように、該エンジンカバー37の内部における前記エンジン68と穀粒貯留装置5との間の空間部に、伝動ギヤケース(伝動切換装置)69を配置する。
【0029】
図5に示すように、該伝動ギヤケース69の外側面部には、入力プーリ70が固定された機体左右方向姿勢の第1入力軸(入力軸)71をベアリング72で回転自在に軸受けする。そして、該第1入力軸71と同一軸芯上に、該第1入力軸71から第1ワンウェイクラッチ73を介して駆動される第1出力軸75を設け、該第1出力軸75の端部に傘歯車状の第1出力ギヤ74を固定する。
【0030】
また、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側面部には、機体左右方向姿勢の第2入力軸77をベアリング78で回転自在に軸受けする。そして、該第2入力軸77と同一軸芯上に、該第2入力軸77から第2ワンウェイクラッチ79を介して駆動される第2出力軸81を設け、該第2出力軸81の端部に傘歯車状の第2出力ギヤ80を固定する。そして、伝動ギヤケース69の機体奥側の内側面部に変速装置(増速伝動装置または減速伝動装置)82を備えた駆動用電動モータ(電動モータ)83を横向き姿勢にして取り付け、該駆動用電動モータ83によって駆動される変速装置82の出力軸を前記第2入力軸77にスプライン嵌合させて取り付ける。尚、底部搬送移送螺旋40の駆動に要する馬力は、一般的に10馬力程度であり、前記駆動用電動モータ83の出力も10馬力程度あるいはそれ以上のものを用いる。
【0031】
そして、前記伝動ギヤケース69の後側面部には、機体前後方向姿勢の出力軸84の後部をベアリング85で回転自在に軸受けし、該出力軸84の前端部を伝動ギヤケース69の前側面部にベアリング86で回転自在に軸受けする。該出力軸84の中間部には傘歯車状の入力ギヤ87を固定し、該出力軸84の伝動ギヤケース69から後方に突出する後端部には、放射方向の2箇所に駆動側係合爪88を備えた駆動側回転体89を固定する。これにより、上記出力軸84に設けた入力ギヤ87に対して、第1出力軸75に固定した第1出力ギヤ74と第2出力軸81に固定した第2出力ギヤ80との両方が噛み合う。以上の構成により、第1ワンウェイクラッチ73および第2ワンウェイクラッチ79の作動により、エンジン68からの駆動回転速度と駆動用電動モータ83からの駆動回転速度とのうちの、他側よりも高速回転となった側の回転によって、駆動側回転体89が駆動される。
【0032】
また、図3、図4に示すように、前記第1入力軸71に固定した入力プーリ70と、エンジン68の機体外側向きの出力軸90に固定した出力プーリ91とに亘って伝動ベルト92を巻き掛け、該伝動ベルト92に張力を付与するテンションプーリ93を設けて、テンション式の排出クラッチ95を構成する。該排出クラッチ95は、排出クラッチ作動用の電動モータ96(実体図省略)により入り切りするよう連繋する。
【0033】
また、図4に示すように、エンジン68の機体内側向きの出力軸97に第1出力プーリ98と第2出力プーリ99と第3出力プーリ100を固定する。そして、前記第1出力プーリ98とエンジン68の機体奥側の後部に取り付けた発電機101の入力プーリ102とに亘って伝動ベルト103を巻き掛ける。また、前記第2出力プーリ99と脱穀装置4側の入力プーリとに亘ってテンション式の脱穀クラッチを備えた伝動ベルト(図示省略)を巻き掛け、前記第3出力プーリ100と前記ミッションケース12に駆動入力する静油圧式無段変速装置104の入力軸に設けた入力プーリ105とに亘って常時張りの伝動ベルト106を巻き掛ける。
【0034】
尚、前記伝動ギヤケース69と発電機101は、エンジンカバー37の内部、即ちエンジンルーム内において、エンジン68の冷却風通路内に配置される。また、図6に示すように、前記伝動ギヤケース69に取り付けた駆動用電動モータ83の熱を放熱するために、該駆動用電動モータ83の外周部に多数のフィン83aを設けるとよい。エンジン68には、外側の防塵網120の内側に配置したラジエータ119と、エンジン68によって駆動される冷却ファン118が備えられている。この冷却ファン118の直径はエンジン68本体よりも小さいが、この冷却ファン118によってエンジンカバー37内に吸い込まれた風が、エンジンカバー37の内部において、エンジン68と伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83の周囲を吹き抜ける際に、これら伝動ギヤケース69および駆動用電動モータ83を冷却することとなる。
【0035】
上記の構成により、図3、図4に示すように、前記穀粒貯留装置5を機台3上の収穫作業位置に配置し、穀粒貯留装置5側のフック60を脱穀装置4側の被係合部61に係合させた状態で、前記底部移送螺旋40の軸芯と伝動ギヤケー69の出力軸84の軸芯とが一致し、前記従動側回転体43aの従動側係合爪43が駆動側回転体89の駆動側係合爪88に噛み合う。
【0036】
また、図4、図7に示すように、前記機台3上における穀粒貯留装置5の右側の底壁39の下側の空間部107に受け台108を設け、該受け台108に、前記発電機101によって発電された電力を蓄電すると共に前記駆動用電動モータ83へ駆動用の電力を供給する蓄電池109を搭載する。該蓄電池109は3個搭載し、後部の1個を燃料タンク110の後側に搭載し、中間部および前部の2個を燃料タンク110の前側に搭載する。図示省略するが、前記発電機101と蓄電池109の間、および蓄電池109と駆動用電動モータ83の間は、耐久性を備えた電力供給ケーブルで夫々結線する。
【0037】
しかして、図8に示すブロック回路について説明する。
コントローラ(制御装置)111に対して、その入力側に、エンジン駆動式排出スイッチ112と、モータ駆動式排出スイッチ113と、駆動源自動切換式排出スイッチ114と、蓄電池109とを接続する。該蓄電池109には、充電器115と発電調整機116とを介して発電機101を接続する。また、コントローラ111に対して、その出力側には、前記排出クラッチ95の作動用の電動モータ96と、モータ駆動回路117と、モニター121を接続する。該モータ駆動回路117に駆動用電動モータ83を接続し、モータ駆動回路117を介して駆動用電動モータ83を駆動する構成とする。この構成により、エンジン68によって発電機101を駆動すると、発電機101によって発電される発電電力の電圧と電流量と周波数とがエンジン回転数の変動によって変化するが、これらを発電調整機116によって適正範囲に調整してから、充電器115によって蓄電池109に充電することができる。また、コントローラ111には、その入力側に接続された蓄電池109の電圧を検出する電圧検出手段を備えている。
【0038】
以上の構成により、エンジン68を始動すると、該エンジン68の駆動力によって発電機101が駆動され、該発電機101によって発電された電力が発電調整機116によって調整された後、充電器115から蓄電池109へ充電される。
【0039】
そして、エンジン68の駆動力によって走行装置2と刈取装置8と脱穀装置4と排藁カッター16を駆動しながら圃場での刈取脱穀作業を行うと、収穫された穀粒が穀粒貯留装置5に貯留される。これによって穀粒貯留装置5が満杯になると、機体1を圃場脇に待機中の運搬車に近付けて停車させ、この運搬車の荷台上への穀粒排出作業を行う。
【0040】
この穀粒排出作業は、蓄電池109の充電量が不十分な場合や、駆動用電動モータ83の駆動回路が故障した場合等には、操縦者の判断によってエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作し、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95を入り作動させて行う。即ち、この場合には、排出クラッチ95の入り作動によって入力プーリ70が回転し、第1入力軸71から第1ワンウェイクラッチ73を介して第1出力ギヤ74が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。駆動用電動モータ83は停止したままである。この際、入力ギヤ87を介して第2出力ギヤ80が駆動されてしまうが、第2ワンウェイクラッチ79が空転するため、駆動用電動モータ83側の第2入力軸77が強制的に回転させられることはない。これによって、駆動用電動モータ83および変速装置82の破損や故障の防止、および耐久性の向上を図ることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。
【0041】
また、蓄電池109の充電量が十分な場合には、操縦者の判断によってモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作し、駆動用電動モータ83を駆動して行う。即ち、この場合には、駆動用電動モータ83の回転によって変速装置82から第2入力軸77が駆動され、該第2入力軸77から第2ワンウェイクラッチ79を介して第2出力軸81及び第2出力ギヤ80が駆動され、これに噛み合う入力ギヤ87が駆動される。排出クラッチ95は切り操作されたままであり、エンジン駆動力は入力されない。この際、入力ギヤ87を介して第1出力ギヤ74が駆動されてしまうが、第1ワンウェイクラッチ73が空転するため、入力プーリ70側の第1入力軸71が強制的に回転させられることはない。これによって、入力プーリ70に巻き掛けた伝動ベルト92の摩耗を防止して耐久性を向上させることができる。そして、上記入力ギヤ87の駆動によって出力軸84が回転し、駆動側回転体89の駆動側係合爪88からこれに係合する従動側係合爪43を介して従動側回転体43aが駆動され、底部移送螺旋40が駆動されて、穀粒貯留装置5内の貯留穀粒が排出される。これによって、収穫作業を行う圃場が住宅地の近くにあっても、少なくとも穀粒排出作業時には、エンジン68を停止させた状態で排出作業を行うことができ、排気ガス量の低減およびエンジン騒音の低減によって、作業環境および周辺の住環境を保全することができる。
【0042】
また、駆動源自動切換式排出スイッチ114を入り操作すると、コントローラ111による蓄電池109の電圧チェックにより、蓄電池109の電圧が設定電圧よりも高いと判定された場合には、上述のモータ駆動式排出スイッチ113を入り操作した場合と同様に、電動モータ96は作動せず、排出クラッチ95が遮断状態に維持されたまま、駆動用電動モータ83が駆動されて穀粒排出作業が行われる。
【0043】
一方、蓄電池109の電圧が設定電圧よりも低いと判定された場合には、上述のエンジン駆動式排出スイッチ112を入り操作した場合と同様に、駆動用電動モータ83が停止したまま、電動モータ96の作動によって排出クラッチ95が接続作動して穀粒排出作業が行われる。これによって、操縦者が蓄電池109の充電状態を気にすることなく排出作業を行うことができ、作業能率が高まる。
【0044】
そして、駆動用電動モータ83の駆動力によって排出作業が行われている際に、蓄電池109の電圧が設定電圧よりも低下したことが電圧検出手段によって検出されると、この駆動用電動モータ83の駆動状態を維持したまま、又はこの駆動用電動モータ83を停止させてから、電動モータ96が作動して排出クラッチ95を接続し、エンジン68の駆動力によって穀粒排出装置5aが駆動される。これによって、穀粒排出作業中に蓄電池109の電圧が低下した場合でも、この穀粒排出作業を中断することなく継続でき、作業能率を向上させることができる。また、穀粒排出装置5aが、駆動用モータ83とエンジン68とのいずれの駆動力によって駆動されているかが、モニター121に、バーグラフ又は円グラフ等によってグラフィック表示される。
【0045】
次に、図9及び図10に基づき他の実施例について説明する。
走行装置2、脱穀装置4、刈取装置8をエンジン68により駆動し、穀粒貯溜装置5の穀粒排出装置5aをエンジン68と蓄電池により駆動される電動モータとを併用して駆動するコンバインに関するものである。
【0046】
図9に示すように、エンジン68により本機用の第1発電機101aを駆動し、発生した電力を本機用の第1蓄電池109aに蓄電し、第1蓄電池109aから本機コントローラ111や照明装置等に供電している。また、エンジン68から第2発電機101bにベルト伝動装置92aを介して動力を伝達し、第2発電機101bで発生した電力を第2蓄電池109bに蓄電するように構成している。また、第1発電機101aで発電した電力を第2蓄電池109bにも蓄電するようにしている。
【0047】
また、本機用コントローラ111と電動モータ用コントローラ111bとを通信回線により接続し、第2蓄電池109bの電力を電動モータ用コントローラ111bに内蔵している昇圧コンバータ141を通して高電圧化し、電動モータ用コントローラ111bにより電動モータ83の回転数を制御し、穀粒貯溜装置5の底部に設けた穀粒排出装置5aを駆動する電動モータ83に供電している。また、第2蓄電池109bから同様にして供電する穀粒排出装置5aの縦搬送部を駆動する縦搬送用電動モータ83b、穀粒排出装置5aの横搬送部を駆動する横搬送用電動モータ83cを設け、スイッチ操作により供電するようにしている。
【0048】
また、本機用コントローラ111の出力側には、前記ベルト伝動装置92aのテンションクラッチを作動する排出クラッチスイッチ(図示省略)、モニタ(図示省略)を接続している。
【0049】
前記構成によると、エンジン68を停止あるいはアイドリングの状態で、第2蓄電池109bから電動モータ83、縦搬送用電動モータ83b、搬送用電動モータ83cに供電し、穀粒排出装置5aの底部搬送部、縦搬送部及び横搬送部を別個に駆動するので、底部搬送部を駆動する電動モータ83の負荷を軽減し、エンジンの燃費の改善、環境保全及びエンジン騒音を低減することができる。
【0050】
次に、図11について説明する。
穀粒貯溜装置5下部の傾斜流下底板5bに加振用モータ132を配設し、前記第2蓄電池109から加振用モータ132に供電するようにしている。傾斜流下底板5bには振動板131を取り付け、加振用モータ132には楕円形状のカム板132aをモータ軸に取り付けている。しかして、カム板132aが回転すると、その長径部が振動板131に接触し、短径部が離脱しながら回転し、傾斜流下底板5bに振動を与え、穀粒の流下を促進するようにしている。
【0051】
前記構成によると、エンジン68を停止あるいはアイドリングの状態で、第2蓄電池109bの電力により加振用モータ132を駆動し、本機側の第1蓄電池109aに負荷を掛けずに、穀粒貯溜装置5の穀粒を円滑に排出し、エンジンの燃費の改善、環境保全及びエンジン騒音の低減を図ることができる。
【0052】
次に、図12及び図13について説明する。
刈取装置8と脱穀装置4との間の空間部に、前記第1蓄電池109a、第2蓄電池109bを配置し、脱穀装置4のフィードチエン5aの後側部を上下方向の軸により支持し、その前側部を左側方に開放回動できるように構成している。従って、フィードチエン5aを開放回動することにより、第1蓄電池109a及び第2蓄電池109bの点検を容易にすることができる。
【0053】
また、図14及び図15に示すように構成してもよい。第1蓄電池109a及び第2蓄電池109bを脱穀装置4の下部後方に配置する。脱穀装置4の下部には選別部4bを配置し、選別部4bの後側部に設けられている二番受樋4cの後側選別板4dを、後上り傾斜とそれに続く後下がり傾斜に構成して下方に空間部を形成し、この空間部に第1蓄電池109a及び第2蓄電池109bを配置する。そして、脱穀装置4の後方に排稾処カッター16を配置し、この排稾カッター16の右側端部を上下方向の軸で回動自在に支持し、その右側部を後方へ開放回動することにより、第1蓄電池109a及び第2蓄電池109bの点検作業を容易に行なうことができ、機体の前後方向のバランスを改善できる。
【0054】
次に、図22について説明する。
穀粒貯溜装置5の傾斜流下底板5bの下側面にブラケットを介して電動モータ83を取り付け、穀粒排出装置5aの排出プーリ155と電磁クラッチ付きの電動モータ83の駆動プーリ156とに伝動ベルト157を巻き掛け、テンションプーリ157aを電動ベルト157に圧接した常時張り状態とし動力を伝達している。
【0055】
また、図23に示すように、電動モータ83を穀粒貯溜装置5の下方の機台3上に取り付け、同様にして、穀粒排出装置5aの排出プーリ155に動力を伝達するようにしてもよい。
【0056】
前記構成によると、穀粒排出装置5a駆動用の電動モータ83を穀粒貯溜装置5側に配設しているので、伝動ベルト157を取り外ことなく、穀粒貯溜装置5を簡単に開放回動することができる。
【0057】
また、図24に示すように、穀粒排出装置5aの排出プーリ155と電動モータ83の駆動プーリ156とに伝動ベルト157を巻き掛け、穀粒貯溜装置5の前側面にクラッチ入切モータ158及びテンションプーリ157aを取り付け、クラッチ入切モータ158によりテンションプーリ157aを入切し、動力を伝達するようにしている。前記構成によると、前記実施例と同様に、伝動ベルト157を取り外すことなく、穀粒貯溜装置5を簡単に開放回動することができる。
【0058】
次に、図16及び図17に基づき他の実施例について説明する。
エンジン68の後方に伝動ギヤケース69を設け、伝動ギヤケース69の第1入力軸71には、図4に示すように、入力プーリ70を介してエンジン68から動力を伝達している。そして、第1入力軸71の動力を、第1ワンウェイクラッチ73、第1出力軸75、傘歯車状の第1出力ギヤ74、傘歯車状の入力ギヤ87、出力軸84、放射方向2箇所に駆動側係合爪88を備えた駆動側回転体88を経由して、エンジン68からの動力を取り出し、駆動側回転体88から従動側回転体135aに動力を伝達し、穀粒搬送用のブロワ135を駆動している。
【0059】
また、伝動ギヤケース69の内側部には電動モータ83を取り付け、図4に示すように、電動モータ83の動力を変速装置82、第2入力軸77、第2ワンウ6エークラッチ79、第2出力軸81、第2出力ギヤ80、傘歯車状の入力ギヤ87、出力軸84、放射方向2箇所に駆動側係合爪88を備えた駆動側回転体88を経由して取り出し、穀粒搬送用のブロワ135を駆動するように構成している。
【0060】
そして、第1ワンウェイクラッチ73及び第2ワンウェイクラッチ79の作動により、エンジン68からの駆動回転速度と電動モータ83からの駆動回転速度とのうちの、他側よりも高速回転となっている側の回転によって、駆動側回転体89が駆動される。
【0061】
また、穀粒搬送用のブロワ135の従動側入力部135aに前記駆動側回転体89から動力を伝達し、ブロワ135を駆動している。また、第2蓄電池109bから繰出モータ83dに供電して穀粒貯溜装置5の繰出バルブ136を駆動して穀粒を繰り出し、穀粒排出装置5aの底部横搬送筒5b、縦搬送筒5c、上部横搬送筒5dを経由して穀粒を排出するようにしている。
【0062】
また、穀粒貯溜装置5を、後側部右側端部の穀粒排出装置5aの縦搬送筒5cの軸心線回りに回動自在に支持し、その前側部を右側に開放回動するように構成しているので、ブロワ135の点検作業を容易に行なうことができる。
【0063】
前記構成によると、エンジン68の停止時あるいは低速回転時にも、電動モータ83、繰出モータ83dによりブロワ135、繰出バルブ136を駆動し、穀粒貯溜装置5の穀粒を穀粒排出装置5aの底部横搬送筒5b、縦搬送筒5c、上部横搬送筒5dを経て排出することができ、燃料を節約した省エネ運転により穀粒を排出することができる。また、エンジン68と電動モータ83のいずれかの高速回転側から動力を取り入れてブロワ135を駆動するため、ブロワ135の回転が安定し、穀粒の詰まりを防止しながら穀粒を円滑に排出することができる。
【0064】
次に、図18について説明する。
エンジン68の内側向きの出力軸力97に取り付けている出力プーリ98bと、第2発電機101bの入力プーリ102bとの間に、伝動ベルト103を巻き掛けている。そして、例えば、入力プーリ102bを伝動径が拡縮調節できる割プーリに構成すると共に、テンションプーリで伝動ベルト103を緊張させる変速式のベルト伝動装置に構成し、エンジン68のアイドリング回転時に、伝動ベルト103で増速しながら第2発電機101に動力を伝達するように構成している。
【0065】
前記構成によると、第2発電機101bの発電力を高め、第2蓄電池109bの蓄電量を確保でき、また、エンジン68をアイドリング回転で燃料消費を節減し排ガス量を減少しながら穀粒貯溜装置5の穀粒を排出することができる。
【0066】
また、図26に示すように、エンジン68が回転しているときに常時回転しているプーリ161から第2発電機101bに動力を伝達するように構成してもよい。即ち、エンジン68の内側向きの出力軸97に取り付けている出力プーリ161からベルト伝動装置162を介して第2発電機101bの入力プーリ163に動力を伝達する。
【0067】
また、エンジン68の出力軸力97の先端に取り付けている出力プーリ164から第3ベルト伝動装置162bを介して第2発電機101bの入力プーリ163に動力を伝達する。
【0068】
前記構成によると、エンジン68の駆動中には第2発電機101bを駆動して発電し、第2蓄電池109に蓄電することができる。
また、電動モータ83の回転数を回転数センサで検出し、回転数が所定回転数以下になると、本機側コントローラ111のアクセル制御指令により、エンジン68の回転数を所定回転数に上げ調節すると共に、前記伝動ベルト92のクラッチを入りにし、エンジン68の動力によりブロワ135を駆動するように構成してもよい。
【0069】
前記構成によると、電動モータ83の駆動によるブロワ135の駆動からエンジン68の駆動に円滑に変更でき、穀粒の排出作業を円滑に行なうことができる。
次に、図19について説明する。
【0070】
電動モータ83を、例えば、機台3の後側部右側で、且つ、穀粒貯溜装置5の右側後部に配置し、穀粒貯溜装置5の下部右側方を開閉自在の右下カバー138で覆い、電動モータ83でブロワ135を駆動するように構成している。そして、ブロワ135の吸気ホース137の先端を電動モータ83の近傍に臨ませている。
【0071】
前記構成によると、ブロワ135の吸気により、電動モータ83を清掃することができる。また、穀粒貯溜装置5を右側に開放回動しなくても、右下カバー138を開けるだけで、電動モータ83の清掃及びメンテナンス作業を楽にすることができる。
【0072】
次に、図20について説明する。
ブロワ135の吹き出しホース135bから清掃ホース139を分岐し、吹き出しホース135bには切換弁(図示省略)を設け、清掃ホース139への送風と吹き出しホース139の送風に切換可能に構成し、清掃ホース139により機体を清掃できるようにしている。また、前記切換弁(図示省略)の清掃ホース139側への送風切換に関連して、前記モータ駆動式排出スイッチ113がONし、電動モータ83によりブロワ135を駆動し、清掃作業ができるようにしている。
【0073】
前記構成によると、清掃時にはエンジン68を始動しないため省エネを図りながら清掃作業をすることができ、また、清掃作業中にはエンジン68を駆動しないので、オペレータの回転部への巻き込まれをなく安全である。
【0074】
また、清掃ホース139の先端部にブロワ入切スイッチ140を設け、ブロワ入切スイッチ140を入りにすると、本機側コントローラ111の指令により、前記電動モータ83の回転数を低速に変速するようにしている。従って、清掃ホース139での清掃作業時には、操作を簡単にしながら、省エネ運転をすることができる。
【0075】
次に、図21について説明する。
エンジン68により本機用の第1発電機101aを駆動し、発生した電力を本機用の第1蓄電池109aに蓄電し、第1蓄電池109aから本機コントローラ111や照明装置等に供電している。また、エンジン68から第2発電機101bにベルト伝動装置92aにより動力を伝達し、第2発電機101bで発生した電力を第2蓄電池109bに蓄電するように構成し、また、第1発電機101aで発電した電力を第2蓄電池109bにも蓄電するようにしている。
【0076】
また、本機用コントローラ111と電動モータ用コントローラ111bとを通信回線により接続し、第2蓄電池109bの電力を電動モータ用コントローラ111bに内蔵している昇圧コンバータ141を通して高電圧化し、電動モータ用コントローラ111bにより電動モータ83の回転数を制御し、ブロワ135駆動用の電動モータ83、繰出バルブ136駆動用の繰出モータ83d、穀粒排出装置5aの排出筒63を旋回する旋回用電動モータ56、排出筒63を上下回動する昇降用電動モータ67、排出筒63を伸縮駆動する伸縮駆動電動モータ67a、排出筒63の先端に取り付けた穀粒排出口65を左右に回動する左右回動用電動モータ67bに、スイッチ操作により供電するようにしている。
【0077】
また、本機用コントローラ111の出力側には、モニタ143前記ベルト伝動装置92aのテンションクラッチを作動する排出クラッチスイッチ142、アクセル制御自動スイッチ151、スロットルモータ152、スロットルセンサ153を接続している。
【0078】
また、第2蓄電池109bには蓄電量を検出するセンサを設け、基準値以上の十分な電力が蓄電されているときには、本機用コントローラ111の制御指令により、エンジン68を停止し、穀粒排出装置5aを第2蓄電池109bの電力で作動させるようにしている。
【0079】
前記構成によると、アクセル制御自動スイッチ151を入りにし、排出クラッチスイッチ142を入りにすると、コントローラ111は自動アクセル制御運転を開始する。まず、エンジン68を基準排出回転数に調節し、同時に電動モータ83を駆動し、エンジン68駆動による穀粒の排出作業を開始する。次いで、穀粒の排出トルクが安定すると、自動アクセル制御によりエンジン回転数を徐々に下げてアイドリング回転とし、第2蓄電池109bから供電してブロワ135電動モータ83を駆動しブロワ135による穀粒の排出作業をする。穀粒の排出作業中には、オペレータのスイッチ操作により、旋回用電動モータ56を作動して排出筒63を旋回し、昇降用電動モータ67を作動して排出筒63を上下回動し、伸縮駆動電動モータ67aを作動して排出筒63を伸縮し、左右回動用電動モータ67bにより排出筒63先端の穀粒排出口65を左右に回動し、穀粒を好みの場所に排出する。そして、穀粒の排出作業が終了し、前記排出クラッチスイッチ142を切ると、エンジン68が再始動される。
【0080】
前記構成によると、エンジン68の省エネ運転により燃費の改善を図り、低い騒音で穀粒の排出作業をすることができる。
次に、図25について説明する。
【0081】
穀粒貯溜装置5の後方の機台3上に第2蓄電池109bを配設し、脱穀装置4の後方で且つ排藁カッター16の下方部位に第1蓄電池109aを配設し、第1蓄電池109aと第2蓄電池109bを互いに近くに配置し、後方カバー159により第1蓄電池109a及び第2蓄電池109bを被覆している。
【0082】
従って後方カバー159を開けることにより、第1、第2蓄電池109a,109bのメンテナンスや清掃を楽に行なうことができる。また、仮に穀粒排出作業中に第2蓄電池109bの蓄電量が不足しても、第1蓄電池109aにケーブルを付け換えることにより、穀粒排出作業を容易に継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】コンバインの要部説明用の側面図である。
【図4】コンバインの要部説明用の平面図である。
【図5】伝動ギヤケースを断面して示す平面図である。
【図6】図5の電動モータの変形例である。
【図7】穀粒貯留装置付近の説明用正面図である。
【図8】ブロック回路図である。
【図9】コンバインのブロック図である。
【図10】コンバインの側面図である。
【図11】穀粒貯溜装置の正面図、モータの斜視図である。
【図12】コンバインの側面図、平面図である。
【図13】コンバインの側面図、平面図である。
【図14】エンジン部の側面図、平面図である。
【図15】脱穀装置の側面図、背面図である。
【図16】コンバイン後部の平面図である。
【図17】コンバイン後部の平面図である。
【図18】コンバイン後部の平面図である。
【図19】穀粒貯溜装置の側面図、平面図、正面図である。
【図20】穀粒貯溜装置の側面図、平面図、正面図である。
【図21】コンバインのブロック図である。
【図22】穀粒貯溜装置の正面図である。
【図23】穀粒貯溜装置の正面図である。
【図24】穀粒貯溜装置の正面図である。
【図25】穀粒貯溜装置の側面図、平面図、正面図である。
【図26】エンジン部の一部省略した平面図である。
【符号の説明】
【0084】
2 走行装置
3 機台
4 脱穀装置
5 穀粒貯留装置
5a 穀粒排出装置
5b 穀粒排出筒体
5c 穀粒排出筒体
5d 穀粒排出筒体
6 原動部
7 操縦部
8 刈取装置
56 旋回用電動モータ
63 排出筒
65 穀粒排出口
67 昇降用電動モータ
67a 伸縮駆動電動モータ
67b 左右回動用電動モータ
68 エンジン
69 伝動ギヤケース(伝動切換装置)
83 駆動用電動モータ(電動モータ)
83d 繰出用電動モータ
95 排出クラッチ
101a 第1発電機
101b 第2発電機
109a 第1発電機
109b 第2発電機
111 コントローラ(制御装置)
135 ブロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上側の機台(3)に、脱穀装置(4)と、穀粒貯留装置(5)と、エンジン(68)を備えた原動部(6)と、操縦部(7)と、刈取装置(8)を設けたコンバインにおいて、穀粒貯溜装置(5)の穀粒繰出手段(136)により繰り出された穀粒を穀粒排出筒体(5b,5c,5d)を経由して機外へ排出するブロワ(135)を設け、前記エンジン(68)の駆動力によって発電する第1発電機(101a)及び第2発電機(101b)を設け、該第1発電機(101a)及び第2発電機(101b)によって発電された電力を蓄電する第1蓄電池(109a)及び第2蓄電池(109b)を設け、該第2蓄電池(109b)に蓄電された電力を供給する前記ブロワ(135)駆動用の電動モータ(83)と前記穀粒繰出手段(136)駆動用の繰出用電動モータ(83d)を設け、排出クラッチ(95)を介して入力されるエンジン(68)の駆動力と排出クラッチ(95)を介することなく入力される電動モータ(83)の駆動力とのうち、他方よりも高速回転となった側の駆動力をブロワ(135)側へ出力する伝動切換装置(69)を設け、前記第2蓄電池(109b)に蓄電されている電圧を検出する電圧検出手段を設け、電動モータ(83)の駆動力によってブロワ(135)を駆動している状態で、前記電圧検出手段によって設定電圧よりも低い電圧が検出された場合に、排出クラッチ(95)を自動的に接続してエンジン(68)の駆動力でブロワ(135)を駆動する制御装置(111)を設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2010−154812(P2010−154812A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335452(P2008−335452)
【出願日】平成20年12月27日(2008.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】