説明

コンバイン

【課題】 原動部に設けるオイルクーラーおよび防塵ネットのメンテナンスを容易に行えるものとして、コンバインの作業能率を高める。
【解決手段】 ラジエーター(16)の右外側方に枠体(20)を設け、取付部材(25)の下部を右外側方へ回動自在に取り付け、取付部材(25)の上部に形成した凹部(33)内に固定の回動規制ストッパ(32)を配置し、取付部材(25)の上部に横軸(24)の端部を固定し、横軸(24)に支持部材(23)の下部を固定し、支持部材(23)の上部にオイルクーラー(21)を固定し、オイルクーラー(21)を枠体(20)の内部に配置する。防塵ネット(45)の上部に設けた第2係合部(48)を枠体(20)上部の固定側係合部(49)に係合させ、エンジンカバー(55)で防塵ネット(45)を枠体(20)に押し付けて固定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの外側にラジエーターを設け、ラジエーターの外側にオイルクーラーを設け、オイルクーラーをラジエーターに着脱自在に取付けた構成は、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】実開昭62−114825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例のオイルクーラーはラジエーターに着脱自在に取付けているので、オイルクーラーを外してラジエーターのメンテナンスが行える。しかし、単にオイルクーラーを外せるだけであり、外したオイルクーラーに送水用のパイプをぶら下げたままで支持することになる。
【0004】
したがって、作業中にオイルクーラーの破損や送水用のパイプの損傷あるいは耐久性が低下するという課題がある。
本発明は、オイルクーラーの移動を容易にして、ラジエーターとオイルクーラーのメンテナンス作業全体を容易にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、走行装置(2)の前側に刈取装置(4)を設け、刈取装置(4)後側の機体フレーム(1)上に脱穀装置(3)と穀粒袋詰め用のホッパー(5)を左右に並べて設け、ホッパー(5)の前側に操縦部(7)を設け、操縦部(7)の座席(10)の下方にエンジン(15)を設け、エンジン(15)の冷却ファン(68)の右外側方にラジエーター(16)を設け、ラジエーター(16)の右外側方に機体側面視で四角形状に形成した枠体(20)を設け、オイルクーラー(21)取付用に配置した前後の取付部材(25)の下部を枠体(20)に右外側方へ回動自在に機体前後方向の取付軸(26)で取り付け、取付部材(25)の上部に凹部(33)を形成し、凹部(33)の左右両側端部に第1係合部(34,34)を設け、枠体(20)側に固定した回動規制ストッパ(32)を凹部(33)内に配置し、取付部材(25)の上部に機体前後方向の横軸(24)の前後両端部を固定し、横軸(24)にオイルクーラー(21)支持用の支持部材(23)の下部を固定し、支持部材(23)の上部にオイルクーラー(21)を固定し、オイルクーラー(21)を枠体(20)の内部に配置し、藁屑の侵入を防止する防塵ネット(45)の上部に第2係合部(48)を設け、エンジン(15)を覆うエンジンカバー(55)を、機体フレーム(1)に固定した縦フレーム(17)に外側へ回動自在に取付軸(60)で取り付け、第2係合部(48)を枠体(20)上部の固定側係合部(49)に係合させて防塵ネット(45)を枠体(20)の外面側に取り付け、エンジンカバー(55)で防塵ネット(45)を枠体(20)に押し付けて固定する構成としたことを特徴とするコンバインである。
【0006】
エンジン15を始動すると、冷却ファン68が回転し、外気を吸引し、吸引した外気はオイルクーラー21およびラジエーター16を通過して油圧機器作動用のオイルおよびエンジン15の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン15の外周を冷却しながら吹き抜ける。
【0007】
このオイルクーラー21は取付軸26中心に右外側方へ回動させることができ、オイルクーラー21の内面と外面およびラジエーター16の外面周辺を開放し、メンテナンス作業を行える。
【0008】
オイルクーラー21を右外側方へ回動させると、支持部材23および取付部材25は一体的に取付軸26中心に右外側方へ回動し、取付部材25の凹部33内の回動規制ストッパ32に凹部33の左右方向の端部の第1係合部34が当接し、オイルクーラー21の右外側方への回動が規制される。
【0009】
エンジンカバー55を閉じると、このエンジンカバー55で防塵ネット45が枠体20に押し付けられて枠体20に密着し、オイルクーラー21およびラジエーター16側へのごみや藁屑の侵入が防止される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、オイルクーラー21およびラジエーター16のメンテナンスを容易に行うことができる。また、オイルクーラー21を右外側方へ回動させた際に、この回動が規制されてオイルクーラー21の回動位置が保持されるので、オイルクーラー21を手で支持しながらメンテナンス作業を行う必要がなく、このメンテナンス作業を容易に行なうことができる。
【0011】
また、オイルクーラー21の回動を規制する機構がこのオイルクーラ21の下方に配置されるためにメンテナンス作業の邪魔にならず、合理的な構成にできる。
また、防塵ネット45に塵埃が詰まっても、エンジンカバー55を開いて、この防塵ネット45を容易に取り外して掃除することができ、コンバインの作業能率を向上させることができる。また、エンジンカバー55を閉じることによって防塵ネット45を枠体20に押し付け、オイルクーラー21およびラジエーター16側へのごみや藁屑の侵入を防止して防塵効果を一層高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を図により説明すると、図1のように、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取装置、5は脱穀装置3の右側に設けた穀粒袋詰め用のホッパー、7は操縦部である。
【0013】
しかして、操縦部7の運転座席10の下方には、エンジン15を設ける。図2のように、エンジン15の右外側方にはラジエーター16を設ける。ラジエーター16は前記機体フレーム1に固定した縦フレーム17に固定状態に取付ける。ラジエーター16の右外側方には枠体20を設ける。枠体20は、機体側面視でラジエーター16と略同じ大きさの四角形状の鉄板製の枠体に形成する。枠体20は左右方向に所定幅を有して形成する。
【0014】
枠体20内にはオイルクーラー21を設ける。図6から図10のように、オイルクーラー21の下部には下側取付枠22を設ける。下側取付枠22は、鉄板を断面L字形状に折り曲げ、一方の板部100a,101aとこれに直交する他方の板部100b,101bを形成した二つの支持板100,101から構成する。即ち、上側の支持板100の一方の板部100aをオイルクーラー21の底面に当てて溶接して固定し、この支持板100の他方の板部100bにボルト102を通す穴を設ける。また、下側の支持板101の一方の板部101aに支持部材23を通す穴を形成し、この穴に、棒状に形成した支持部材23の上端部を差し込んで溶接して固定する。また、下側の支持板101の他方の板部101bにボルト102を通す穴を形成し、この穴の位置に合わせてナット103を溶接して固定する。そして、上側の支持板100の他方の板部100bを下側の支持板101の他方の板部101bに重ね合わせ、ボルト102を上側の支持板100の側から下側の支持板101を貫通させてナット103にねじ込み、上側の支持板100と下側の支持板101とを締め付けて連結して固定する。これによって、オイルクーラー21は支持部材23と一体となる。
【0015】
支持部材23の下部を機体背面視で「く」の字形状に屈折させ、その下端部を外側方へ寄せて前後方向の横軸24に固定する。横軸24の前後両側には取付部材25の上部を固定する。取付部材25の下部は、枠体20に、外側へ回動自在に取付軸26で取付ける。この取付軸26は、取付部材25と枠体20を貫通させて取り付けたボルト104であり、このボルト104の貫通した端部には、抜け止めのロックナット105をねじ込む。
【0016】
即ち、オイルクーラー21は剛性を有する支持体27によって、枠体20に回動自在に取付け、支持体27は、一例を示すと、前記下側取付枠22と支持部材23と横軸24と取付部材25により構成している。
【0017】
オイルクーラー21の上側取付枠30は、上側の支持板106と下側の支持板108で構成し、前記枠体20の上部に蝶ナットや蝶ボルトなどの固定用部材31により固定する。即ち、鉄板を断面L字形状に折り曲げ、一方の板部106aとこれに直交する他方の板部106bを形成した支持板106を設け、この支持板106の一方の板部106aをオイルクーラー21の上面に当てて溶接して固定する。この支持板106の他方の板部106bには、ボルト107を通す穴を設ける。また、この支持板106と同様に形成した支持板108を設け、この支持板108の一方の板部108aに固定用部材31を通す穴を形成し、この穴の位置に合わせてナット110を溶接して固定する。この支持板108の他方の板部108bにボルト107を通す穴を形成し、この穴の位置に合わせてナット109を溶接して固定する。そして、支持板106の他方の板部106bと支持板108の他方の板部108bとを重ね合わせ、支持板106の側からボルト107をねじ込んで、支持板106と支持板108とを締め付けて連結する。そして、支持部材23と一体でオイルクーラー21を起立側に回動させた状態で、支持板108の一方の板部を枠体20の上辺部の下面に当て、この枠体20に形成した穴に上側から固定用部材31を通し、この固定用部材31を支持板108側のナット110にねじ込んで締め付けて固定する。これによって、オイルクーラー21が枠体20内に配置される。
【0018】
そして、固定用部材31を外すと、オイルクーラー21と支持部材23と横軸24と取付部材25は取付軸26中心に外側へ回動し、オイルクーラー21とラジエーター16の間に広い空間ができるので、オイルクーラー21のみならず、ラジエーター16のメンテナンスが容易にできる。上述のように、支持部材23の下部を屈折させ、その下端部を外側方へ寄せて横軸24に固定しているので、オイルクーラー21を外側へ回動させた際に、ラジエーター16の外側面とオイルクーラー21の内側面との間隔は、より大きくなる。
【0019】
図7から図10のように、32は、オイルクーラー21の回動を規制する回動規制機構Kの回動規制ストッパであり、ピン形状に形成して枠体20側に固定し、前記取付部材25の上側外周に設けた凹部33内に位置させ、取付部材25の第1係合部34に係合させて回動を規制する。
【0020】
即ち、凹部33の両側端部に第1係合部34を設け、オイルクーラー21を外側へ回動させると、内側の第1係合部34が回動規制ストッパ32当接し、オイルクーラー21の外側への回動が規制される。
【0021】
また、オイルクーラー21を内側へ回動させると、外側の第1係合部34が回動規制ストッパ32に当接し、オイルクーラー21の内側への回動が規制され、オイルクーラー21がラジエーター16に当たることが防止される。
【0022】
35は接続ホースであり、オイルクーラー21との接続部をクランパー111で締め付けて取り付け、機体背面視で前後の取付軸26,26の間を通過するように配置する。
しかして、図2のように、枠体20の外面側には、防塵ネット45を設ける。防塵ネット45は、ネット枠体46に網体47を張って構成する。ネット枠体46の上部には、第2係合部48を設け、第2係合部48を前記枠体20の固定側係合部49に着脱自在に係合させて取付ける。
【0023】
実施例では、第2係合部48は下向きに開口した鈎型形状に形成し、固定側係合部49に上方から係合させて着脱自在に取付けている。
したがって、特別な工具を用いることなく、簡単に防塵ネット45を着脱でき、メンテナンスを容易にすることができる。
【0024】
この場合、内側枠体20とネット枠体46とは、第2係合部48および固定側係合部49とにより係合させるように構成し、所謂嵌合溝とレールといった嵌め合いの取付構成を廃止する。
【0025】
そのため、防塵ネット45は、第2係合部48を固定側係合部49から外せれば、枠体20から外すことができる。また、後述するエンジンカバー55を完全に開かなくても、防塵ネット45の着脱は可能になる。
【0026】
また、内側の枠体20とネット枠体46とは、面で接触するように構成する。例えば、図11のように、枠体20とネット枠体46とは夫々板状の平面部57を形成し、それぞれの平面部57が隙間なく当接するように構成する。
【0027】
そのため、エンジンカバー55を閉じると、防塵ネット45はネット枠体46が枠体20に密着し、ゴミや藁屑の進入を防止する。
また、図12のように、枠体20とネット枠体46の夫々の平面部57の何れか一方に弾性部材により形成した当接部材58を設け、枠体20とネット枠体46とを当接部材58を介し隙間なく密着するように構成しても良い。
【0028】
しかして、防塵ネット45の外側には、前記エンジンカバー55を設け、エンジンカバー55の構成は任意であるが、実施例のエンジンカバー55は、前記縦フレーム17に、縦軸の取付軸60で外側へ回動するように取付ける。
【0029】
この場合、図3のように、エンジンカバー55を閉じたとき、このエンジンカバー55で防塵ネット45のネット枠体46を枠体20に押し付けるように構成すると、防塵ネット45と枠体20との間の隙間を無くして、防塵効果を向上させる。
【0030】
また、エンジンカバー55には防塵スクリーン65を設けている。そのため、藁屑等は防塵スクリーン65により除去され、防塵ネット45による防塵効果が高くしつつ目詰まりを抑制し、簡単に防塵ネット45をメンテナンスすることにより、エンジン15への風の通りを良好にする。
【0031】
しかして、図3のように、エンジン15のファン68の上方を包囲するシュラウド70の一部または全部は、エンジン15の上方に位置するように機体内側となる左側に延長する。
【0032】
そのため、ファン68による風の流れを乱流から層流に整えて、エンジンカバー55から操縦部7への熱気の吹き出しを防ぎ、操縦部7が熱くならないようにして、作業環境を良好にする。
【0033】
また、シュラウド70によりエンジン15への冷却風が安定して流れ、エンジン15のオーバーヒートを防止する。
シュラウド70は、その一端は自由端とし、その他端をラジエーター16を取付けるラジエーターフレーム71に着脱自在に片持ち状態に取付ける。
【0034】
図5の前記シュラウド70は、前側部72をゴム板等の弾性部材により形成する。前側部72はエンジン15の前側の上下中間より下方まで包囲する。そのため、操縦部7への熱気の吹き出しを防ぐことができる。また、前側部72は弾性を有するので、外さなくても、エンジン15のオイル等の点検・補充、発電機74の点検等のメンテナンスの障害になるのを回避できる。
【0035】
しかして、図14、図15のように、エンジン15の上方にはエンジン15が吸気する空気を清浄にするメインエアクリーナー80を設ける。81は接続ホースである。
メインエアクリーナー80の上手側には、プレエアクリーナ82を設ける。プレエアクリーナ82は支持筒83の上部に固定状態に取付ける。支持筒83は穀粒袋詰め用のホッパー5に脱穀装置3で脱穀した穀粒を揚穀する一番揚穀装置84にステー85を介して固定する。
【0036】
一番揚穀装置84は、それ自体に高い剛性が持たせてあるので、プレエアクリーナ82は強固に支持される。
また、プレエアクリーナ82は穀粒袋詰め用のホッパー5の上面より上方に突出させて設け、清浄な空気を吸入するようにしている。
【0037】
しかして、図16から図18のように、前記機体フレーム1は、左右方向の横枠86と前後方向の縦枠87を有し、縦枠87の下方にメインビーム88を設けて構成する。メインビーム88には前後にフレームフット89を設け、フレームフット89には走行装置2の転輪フレーム90を取付ける。91は転輪フレーム90の前側に設けたホイルパイプ支持ステーである。
【0038】
前記左右のメインビーム88のうち左側のメインビーム88の前側部分には刈取上下シリンダ取付用のステー92を設ける。ステー92には刈取部4を上下させる刈取上下シリンダ93の基部を取付ける。
【0039】
この場合、刈取上下シリンダ取付用のステー92はホイルパイプ支持ステー91の上方内側に配置しているので、ステー92の下方は開放された空間に形成でき、ステー92による泥だまりや藁だまりの発生を防止することができる。
【0040】
しかして、図19から図21のように、機体フレーム1には、作業者が搭乗して袋詰め作業等を行うキャリア94を設ける。キャリア94は、その前後面の内側部分を機体フレーム1に設けたキャリア支点部95に取付回動軸96により回動自在に取付ける。キャリア94の取付回動軸96の近傍にはキャリア張り出し部97を設ける。
【0041】
キャリア張り出し部97は、機体前後方向においてキャリア支点部95と略同じ前後位置に位置させるように配置する。
即ち、キャリア張り出し部97は、キャリア94を略水平の作業位置から起立させた格納位置に回動させたとき、キャリア支点部95と平面視重なるように設け、キャリア94が作業位置と格納位置の夫々に位置するとき、キャリア張り出し部97がキャリア支点部95に当接して、キャリア94の回動を停止させるように構成する。
【0042】
したがって、キャリア張り出し部97により作業位置と格納位置の両方のストッパ機構を兼用でき、安価にできる。
この場合、キャリア張り出し部97は、キャリア94に位置調節自在に取付け、キャリア張り出し部97のキャリア支点部95に対する位置を変更調節可能に構成する。
【0043】
即ち、キャリア張り出し部97は、例えば、ボルト等の取付具98により左右上下に取付位置を変更可能にして、キャリア支点部95との当たる位置を変更し、作業位置の傾斜状態や格納位置の起立状態の角度を変更調節する。
【0044】
したがって、キャリア94の製造精度や組付状態のバラツキに対して、調整により対応が可能となる。また、キャリア94が格納位置で倒れたきた場合の再調整が可能となる。また、キャリア94の開閉角度の調節も可能となって、作業性を向上させる。
【0045】
また、前記キャリア支点部95は機体フレーム1の横枠86の側面および下面に当接して取付ける。したがって、キャリア支点部95は強固にキャリア94を支持する。
この場合、キャリア支点部95の上縁は、横枠86の上面より上方に突出しないように構成する。
【0046】
したがって、袋詰めした穀粒袋がキャリア支点部95に引っ掛かるのを防止して、穀粒袋の損傷を防止する。
同様に、キャリア張り出し部97の上縁は、キャリア94の上面より上方に突出しないように構成する。
【0047】
したがって、袋詰めした穀粒袋がキャリア支点部95に引っ掛かるのを防止して、穀粒袋の損傷を防止する。
次に、上記実施例の作用について説明する。
【0048】
エンジン15を始動して、走行装置2により走行し、走行中に刈取部4で刈取った穀稈を脱穀装置3で脱穀する。
エンジン15を始動すると、ファン68が回転し、エンジンカバー55および防塵ネット45から外気を吸引し、吸引した外気はラジエーター16を通過してエンジン15の冷却用の冷却水を冷却すると共に、エンジン15の外周を冷却しながら吹き抜ける。
【0049】
この場合、防塵ネット45は、ネット枠体46の上部の第2係合部48を設け、第2係合部48を枠体20の固定側係合部49に係合させているだけであるから、エンジンカバー55を完全に開かなくても、作業者の手が入る分だけ、開ければ手を差し入れて、次に、防塵ネット45を第2係合部48が固定側係合部49から外れるだけわずかに上動させると、防塵ネット45は枠体20から外れ、取り出して、防塵ネット45のメンテナンスを行うことができる。
【0050】
即ち、第2係合部48は下向きに開口した鈎型形状に形成しているから、横方向の動きについては係合保持するが、上方移動させると係合が外れる。
したがって、特別な工具を用いることなく、簡単に防塵ネット45を着脱でき、メンテナンスを容易にすることができる。
【0051】
また、枠体20とネット枠体46とは、第2係合部48および固定側係合部49とにより係合係止させるように構成し、所謂嵌合溝とレールといった嵌め合いの取付構成を廃止しているから、取付構成を安価にできる。
【0052】
しかして、防塵ネット45のネット枠体46と枠体20とは、夫々板状の平面部57を形成し、それぞれの平面部57が隙間なく当接するように構成しているから、エンジンカバー55を閉じると、防塵ネット45のネット枠体46が枠体20に密着し、ゴミや藁屑の侵入を防止して、防塵効果を向上させる。
【0053】
また、図12のように、枠体20とネット枠体46の夫々の平面部57の何れか一方に弾性部材により形成した当接部材58を設けると、一層、枠体20とネット枠体46との隙間が少なくなって密着し、防塵効果を向上させる。
【0054】
しかして、防塵ネット45の外側にエンジンカバー55を設け、エンジンカバー55は回動自在に取付け、閉じたとき、防塵ネット45のネット枠体46を枠体20に押し付けるように構成すると、防塵ネット45と枠体20との間の隙間を無くして、一層、防塵効果を向上させる。
【0055】
しかして、オイルクーラー21は、ラジエーター15に支持体27により回動自在に取付けているから、固定用部材31を外すと、オイルクーラー21は支持体27と一体に取付軸26中心に外側回動し、オイルクーラー21とラジエーター16の両者の周囲の広い空間を形成でき、オイルクーラー21のみならず、ラジエーター16のメンテナンスが容易にできる。
【0056】
この場合、支持体27はオイルクーラー21を支持しうる剛性を有して構成しているから、外側回動したオイルクーラー21をそのまま支持する。
したがって、メンテナンス作業中にオイルクーラー21を所定位置に位置させることができ、不用意な破損を防止でき、また、オイルクーラー21に接続した接続ホース35の変形も最小限ですみ、耐久性を低下させない。
【0057】
しかして、オイルクーラー21の下部には下側取付枠22を取付け、下側取付枠22には支持部材23の上部を固定状態に取付け、支持部材23の下部は前後方向の横軸24に固定し、横軸24の前後両側には取付部材25の上部を固定し、取付部材25の下部は枠体20に取付軸26により外側へ回動自在に取付け、支持体27は下側取付枠22と支持部材23と横軸24と取付部材25により構成しているから、簡素に構成でき、ラジエーター15への通風の抵抗とならない。
【0058】
また、オイルクーラー21の上側取付枠30は枠体20の上部に蝶ナットやノブボルトと言った一つの固定用部材31により固定しているから、一つの固定用部材31を外すと、オイルクーラー21を外側回動させることができる。
【0059】
しかして、前記支持体27には回動規制機構Kを設けているから、外側回動したオイルクーラー21は回動規制機構Kによりそのままの傾倒角度で保持される。
そのため、オイルクーラー21を保持するのが不要になって、オイルクーラー21とラジエーター16のメンテナンス作業を容易にする。
【0060】
回動規制機構Kは、枠体20側にオイルクーラー21の回動を規制する回動規制ストッパ32を設け、オイルクーラー21側の取付部材25に回動規制ストッパ32が係合する第1係合部34を設けて構成している。これによって、オイルクーラー21を回動させると、第1係合部34と回動規制ストッパ32とが当接し、オイルクーラー21の回動が規制される。
【0061】
実施例では、取付部材25に凹部33を形成し、凹部33の両側に第1係合部34を設け、前記凹部33内に回動規制ストッパ32を位置させ、回動規制ストッパ32は枠体20に固定しているから、簡素に構成できる。
【0062】
そして、オイルクーラー21を外側回動させると、内側の第1係合部34が回動規制ストッパ32に当接し、オイルクーラー21の外側回動が規制される。
また、オイルクーラー21を内側回動させると、外側の第1係合部34が回動規制ストッパ32に当接し、オイルクーラー21の内側回動が規制され、オイルクーラー21がラジエーター16に衝突することが防止される。
【0063】
尚、固定用部材31が緩められなくなった場合には、ボルト107を外して支持部材108と支持部材106の連結を解き、オイルクーラー21を外側へ回動させることができる。また、ボルト107とボルト102を外し、支持部材23を起立状態としたまま、オイルクーラー21を取り外すこともできる。
【0064】
また、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】オイルクーラー付近の斜視図。
【図3】エンジン付近の背面図。
【図4】エンジン付近の背面視の一部拡大図。
【図5】エンジン付近の側面図。
【図6】オイルクーラー付近の側面図。
【図7】オイルクーラー付近の背面図。
【図8】オイルクーラー付近の背面図。
【図9】回動規制ストッパの正面図。
【図10】回動規制ストッパの作動状態図。
【図11】防塵ネットの他の実施例の断面図。
【図12】防塵ネットの他の実施例の断面図。
【図13】エンジン付近の平面図。
【図14】エアクリーナー付近の側面図。
【図15】エアクリーナ付近の正面図。
【図16】機体フレームの側面図。
【図17】機体フレームの正面図。
【図18】機体フレームの平面図。
【図19】機体フレームの背面図。
【図20】機体フレームの平面図。
【図21】キャリア付近の拡大背面図。
【符号の説明】
【0066】
1 機体フレーム
2 走行装置
3 脱穀装置
4 刈取装置
5 ホッパー
7 操縦部
10 座席
15 エンジン
16 ラジエーター
20 枠体
21 オイルクーラー
23 支持部材
24 横軸
25 取付部材
26 取付軸
32 回動規制ストッパ
33 凹部
34 第1係合部
45 防塵ネット
48 第2係合部
49 固定側係合部
55 エンジンカバー
68 冷却ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下側に走行装置(2)を設け、
走行装置(2)の前側に刈取装置(4)を設け、
刈取装置(4)後側の機体フレーム(1)上に脱穀装置(3)と穀粒袋詰め用のホッパー(5)を左右に並べて設け、
ホッパー(5)の前側に操縦部(7)を設け、
操縦部(7)の座席(10)の下方にエンジン(15)を設け、
エンジン(15)の冷却ファン(68)の右外側方にラジエーター(16)を設け、
ラジエーター(16)の右外側方に機体側面視で四角形状に形成した枠体(20)を設け、
オイルクーラー(21)取付用に配置した前後の取付部材(25)の下部を枠体(20)に右外側方へ回動自在に機体前後方向の取付軸(26)で取り付け、
取付部材(25)の上部に凹部(33)を形成し、
凹部(33)の左右両側端部に第1係合部(34,34)を設け、
枠体(20)側に固定した回動規制ストッパ(32)を凹部(33)内に配置し、
取付部材(25)の上部に機体前後方向の横軸(24)の前後両端部を固定し、
横軸(24)にオイルクーラー(21)支持用の支持部材(23)の下部を固定し、
支持部材(23)の上部にオイルクーラー(21)を固定し、
オイルクーラー(21)を枠体(20)の内部に配置し、
藁屑の侵入を防止する防塵ネット(45)の上部に第2係合部(48)を設け、
エンジン(15)を覆うエンジンカバー(55)を、機体フレーム(1)に固定した縦フレーム(17)に外側へ回動自在に取付軸(60)で取り付け、
第2係合部(48)を枠体(20)上部の固定側係合部(49)に係合させて防塵ネット(45)を枠体(20)の外面側に取り付け、エンジンカバー(55)で防塵ネット(45)を枠体(20)に押し付けて固定する構成としたことを特徴とする
コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−51(P2010−51A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162753(P2008−162753)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】