説明

コンバイン

【課題】既存の部材を有効利用して穀粒の排出箇所の状況を撮像する撮像手段を取り付けるための取り付け構造を簡素化する。
【解決手段】穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦送りコンベアの上端部に先端部に設けられた穀粒吐出口19から穀粒を機外に排出する横送りコンベア20が連結され、横送りコンベア20が起伏揺動可能に且つ縦向き軸芯を中心にして旋回可能に構成され、横送りコンベア20における円筒状の外筒部31の外周面下側箇所に外筒部31の軸芯方向に沿って延びる状態で設けられた補強部材32に、穀粒吐出口19の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で作業用カメラ28が取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦送りコンベアの上端部に穀粒を横送りして先端部に設けられた穀粒吐出口から穀粒を機外に排出する横送りコンベアが連結され、前記横送りコンベアが起伏揺動可能に且つ前記縦送りコンベアの縦向き軸芯を中心にして旋回可能に構成され、且つ、前記穀粒吐出口の下方側箇所を撮像する撮像手段を備えて構成されているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成のコンバインは、横送りコンベアの穀粒の排出箇所の状況を機体操縦部に位置する運転者が目視し難いような場合に、その状況を撮像手段にて撮像して表示手段にて表示することで運転者が容易に確認することができるようにしたものであるが、このようなコンバインにおいて、従来では、前記横送りコンベアにおける前記穀粒吐出口を形成する筒状部材の横側箇所の外周面にブラケットを介して前記撮像手段が取り付けられる構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。前記ブラケットは撮像手段を取り付けるための専用のものであり、特許文献1では詳述していないが、穀粒吐出口を形成する筒状部材の横側箇所の外周面に溶接により固定されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−5712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、穀粒吐出口を形成する筒状部材の横側箇所に撮像手段を支持するための専用のブラケットを取り付ける必要があり、それだけ部品点数が多くなり、撮像手段を支持するための専用のブラケットを取り付けるという煩わしい手間がかかり、撮像手段を取り付けるための取り付け構造が複雑でコスト高を招く不利があった。
【0005】
本発明の目的は、穀粒の排出箇所の状況を撮像する撮像手段を取り付けるための取り付け構造を簡素化して低コスト化を図ることが可能なコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインは、穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦送りコンベアの上端部に穀粒を横送りして先端部に設けられた穀粒吐出口から穀粒を機外に排出する横送りコンベアが連結され、前記横送りコンベアが起伏揺動可能に且つ前記縦送りコンベアの縦向き軸芯を中心にして旋回可能に構成され、且つ、前記穀粒吐出口の下方側箇所を撮像する撮像手段を備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、前記横送りコンベアにおける円筒状の外筒部の外周面下側箇所に前記外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で設けられた補強部材に、前記穀粒吐出口の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で前記撮像手段が取り付けられている点にある。
【0007】
穀粒タンクに貯留されている穀粒を機外に排出する穀粒排出作業を行う場合に、トラックの荷台の上方に位置する横送りコンベアを下降させた際、横送りコンベアにおける円筒状の外筒部の外周面が例えばトラックの荷台の縦壁の上縁に衝突しても横送りコンベアが損傷することを回避できるように、横送りコンベアにおける円筒状の外筒部の外周面下側箇所に外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で補強部材が設けられ、この補強部材に穀粒吐出口の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で撮像手段が取り付けられることになる。
【0008】
又、撮像手段が穀粒吐出口の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で取り付けられることから、穀粒吐出口からトラックの荷台に穀粒が排出されて積載される場合、例えば、穀粒吐出口の下方側箇所の真上から下方に向けて平面的な画像を撮像する場合に比べて、運転者が、撮像手段にて撮像される画像により穀粒と荷台の縦壁との位置関係等を確認し易いものとなる。
【0009】
ところで、例えば、圃場の内部に位置しているコンバインから圃場の外に位置するトラックの荷台に穀粒を排出させる場合、上記横送りコンベアの昇降操作並びに旋回操作を行いながら穀粒排出口をトラックの荷台上に位置させて穀粒を排出させる必要があるが、このような穀粒排出作業を行う場合に、横送りコンベアの穀粒排出口よりも少し基端側に寄った箇所がトラックの荷台の縦壁の上縁に衝突して損傷するおそれがある。
そこで、コンバインでは、従来より、このようなトラックの荷台の縦壁との衝突により横送りコンベアが損傷して穀粒排出作業が不能になることを回避すべく、横送りコンベアの外周部における衝突のおそれがある箇所に補強部材を設けるようになっている。
そして、このように横送りコンベアの損傷を防止するために従来より既存の補強部材に撮像手段を取り付けるようにした。
【0010】
従って、横送りコンベアの損傷を防止するために従来より既存の補強部材を有効利用して、撮像手段を取り付けるようにしたから、撮像手段により横送りコンベアの穀粒の排出箇所の状況を撮像することが可能でありながら、撮像手段を支持するための専用のブラケットを横送りコンベアに溶接にて取り付ける等の煩わしい手間を掛けることなく、撮像手段を取り外けるための構成を簡素なものにでき、低コスト化を図ることが可能となった。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記撮像手段が、前記外筒部の軸芯方向に沿って位置変更調節可能に前記補強部材に取り付けられている点にある。
【0012】
横送りコンベアにおける外筒部の外周面のうち、上記したようなトラックの荷台の縦壁の上縁に衝突するおそれがある箇所は、作業状況により外筒部の軸芯方向に沿って位置が変化するので、損傷を防止するために補強部材は外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で設けられることになる。その結果、撮像手段を外筒部の軸芯方向に位置を異ならせた状態で取り付けることが可能となるのであり、そのことを利用して、構造の複雑化を招くことなく、撮像手段を外筒部の軸芯方向に沿って位置変更調節が可能となる。
【0013】
そして、撮像手段の取り付け位置を変更することにより、撮像手段の撮像状態を穀粒の排出状況を確認し易い適切な箇所に設定することができ、使い勝手のよいものとなる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記補強部材が、帯状の板材を断面形状が略L字形になるように折り曲げ形成した部材にて構成され、且つ、その長手方向が前記外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で横幅方向両側の端縁部が前記外筒部の外周下側箇所に固定されている点にある。
【0015】
帯状の板材を断面形状が略L字形になるように折り曲げ形成した部材にて構成される補強部材が、その長手方向が外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で横幅方向両側の端縁部を固定することにより、補強部材の左右両側に外筒部の軸芯方向に沿って長い帯状の平面が形成されるので、この平面を利用して、例えば、撮像手段の取り付け用ステーをボルト・ナットにより締め付けるだけで固定することができる等、簡単な連結構造により容易に撮像手段を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】横送りコンベアの先端部付近の側面図である。
【図4】横送りコンベアの先端部付近の縦断正面図である。
【図5】制御ブロック図である。
【図6】穀粒排出状態を示す横送りコンベアの先端部付近の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、クローラ走行装置1の上部に設けた走行機体2の前部に刈取部5が設けられ、走行機体2には、キャビン3にて覆われた機体操縦部4、刈取部5から搬送された穀稈の脱穀及び選別を行う脱穀部7、脱穀部7から供給される穀粒を貯留する穀粒タンク8、この穀粒タンク8から機外に穀粒を排出する穀粒排出用アンローダ9等を備えてコンバインが構成されている。
【0018】
刈取部5は、植立穀稈に対して分草作用して刈取対象穀稈と未刈穀稈とを分草する複数の分草具10、分草された刈取対象穀稈を引起す引起し装置11、刈取対象穀稈の株元を切断するバリカン型刈取装置12、刈取った縦姿勢の穀稈を徐々に横倒れ姿勢に変更しながら後方の脱穀部7に向けて搬送する縦搬送装置13等を備えて構成されている。又、この刈取部5は図示しない油圧シリンダにより横軸芯周りで揺動昇降操作可能に構成されている。
【0019】
脱穀部7は、図示はしないが、刈取穀稈を搬送しながら扱室内で穂先側を扱胴によって脱穀処理して、その脱穀処理で得られた処理物を受網から漏下させ、漏下した処理物に、揺動選別機構による篩い選別や唐箕からの選別風による風力選別などを施して、処理物を、単粒化穀粒、枝梗付き穀粒やワラ屑などの混在物、及び、切れワラやワラ屑などに選別し、単粒化穀粒を回収して穀粒タンク8に供給するように構成されている。又、脱穀処理されたあとの排ワラは排ワラ処理装置14にて細断処理されるように構成されている。
【0020】
機体操縦部4の運転座席4Aの前方に位置するフロントパネル4Bには、左右方向の操作で走行機体2の旋回操作を行い且つ前後方向の操作で刈取部5を昇降させる十字揺動操作自在な刈取操向レバー15が備えられ、機体操縦部4の運転座席4Aの左側に位置するサイドパネル4Cには、走行駆動用の静油圧式の無段変速装置16(図5参照)の変速操作を行う変速レバー17とが備えられ、操縦者は、刈取操向レバー15と変速レバー17を操作しながら車体を走行させながら刈取作業を行うことができるように構成されている。
【0021】
穀粒排出用アンローダ9は、穀粒タンク8の底部に設けられたスクリューコンベア(図示せず)により搬出される穀粒を揚送する縦送りコンベア18と、この縦送りコンベア18の上端部に連結され、穀粒を横送りして先端部に設けられた穀粒吐出口19から穀粒を機外のトラックT(図6参照)の荷台N等に排出する横送りコンベア20とを備えて構成されており、横送りコンベア20が起伏揺動可能に且つ縦送りコンベア18の縦向き軸芯Pを中心にして旋回可能に構成されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、横送りコンベア20は、円筒状の外筒部31の内部に駆動回転される搬送用スクリュー44が備えられており、図示はしないが縦送りコンベア18も横送りコンベア20と同様に、円筒状の外筒部の内部に駆動回転される搬送用スクリューを備えて構成されている。
【0023】
すなわち、縦送りコンベア18と横送りコンベア20に亘って設けられた油圧シリンダ21を操作することにより、水平軸芯X1周りで横送りコンベア20が起伏揺動操作可能に構成され、縦送りコンベア18の下部に設けた旋回モータ22を回転させることで、縦送りコンベア18及び横送りコンベア20を一体的に縦送りコンベア18の縦向き軸芯Pを中心にして回動させて横送りコンベア20を旋回することができるように構成されている。また、ポテンショメータ式の旋回位置センサ23を備え、旋回する横送りコンベア20の旋回位置を検出できるようになっている。
【0024】
図2に示すように、機体操縦部4のサイドパネル4Cには、横送りコンベア20の起伏揺動、旋回操作、及び、搬送用スクリュー44の駆動の入切を指令するレバー操作式のオーガ操作用指令部25が備えられ、図5に示すように、オーガ操作用指令部25の指令に基づいて油圧シリンダ21、旋回モータ22及び図示しない動力断続用クラッチの作動を制御する制御装置26が備えられている。つまり、オーガ操作用指令部25により横送りコンベア20の上昇揺動が指令されると、制御装置26が油圧シリンダ21を作動させ、オーガ操作用指令部25により横送りコンベア20の旋回が指令されると、制御装置26が旋回モータ22を作動させるように構成されている。
尚、横送りコンベア20の旋回操作を行う場合、キャビン3に干渉することがないように、旋回可能な範囲を予め設定できるようになっており、制御装置26は、旋回位置センサ23の検出情報に基づいて、横送りコンベア20が旋回可能な範囲を越えると、それ以上の作動を禁止するように構成されている。
【0025】
横送りコンベア20は、穀粒排出作業を行わない非作業状態では、図2の実線にて示すように、横送りコンベア20が機体上部に引退して受け具27に収納支持されるホーム位置Aに保持され、トラックTの荷台Nに穀粒を排出するときには、横送りコンベア20をホーム位置Aから旋回用上昇位置まで上昇させたのち、図2の仮想線にて示すように、穀粒吐出口19がトラックTの荷台N上に位置する張り出し位置Bまで縦向き軸芯P周りで旋回操作される。
尚、横送りコンベア20は、先端側部分20aを縦軸芯Q周りで基端側部分20bに対して折り畳み格納可能な構造となっている。
【0026】
そして、横送りコンベア20における穀粒吐出口19側の箇所に、例えばCCDカメラ等からなる撮像手段の一例である作業用カメラ28が備えられ、機体操縦部4に作業用カメラ28により撮像された画像を表示する表示手段としてのモニタ29が備えられている。このモニタ29の作動を制御装置26により制御するように構成されている。
【0027】
また、走行機体2の後部の左右中央には、走行機体2の後方の圃場の状況を撮影することができる位置に、例えばCCDカメラ等からなる後方カメラ30が取り付けられ、この後方カメラ30により撮像された画像もモニタ29に表示することができるように構成されている。
【0028】
このように、作業用カメラ28を取り付けることによって、横送りコンベア20がホーム位置A以外にある場合、例えば、穀粒を排出する場合には、横送りコンベア20の先端の穀粒吐出口19から排出される穀粒の排出先(トラックTの荷台N等)の映像を撮影することができ、横送りコンベア20を旋回する場合には、旋回させる移動先の映像(移動先に存在する障害物等)を撮影することができる。又、横送りコンベア20がホーム位置Aにある場合には、刈取部5の最未刈り側に位置する分草具10と茎稈列との相対位置状況を撮影することができる。
【0029】
このコンバインでは、図1、図3及び図4に示すように、横送りコンベア20における円筒状の外筒部31の外周面下側箇所に外筒部31の軸芯方向(図1の図面左右方向)に沿って延びる状態で補強部材32が設けられている。
図4に示すように、この補強部材32は、帯状の板材を断面形状が略L字形になるように折り曲げ形成した部材にて構成され、且つ、その長手方向が外筒部31の軸芯方向に沿って延びる状態で横幅方向両側の端縁部33が外筒部31の外周下側箇所に溶接にて固定されている。
【0030】
補強部材32は、横送りコンベア20の先端側部分20aにおける長手方向中央部から先端部に亘って設けられており、横送りコンベア20の先端側部分20aの先端側を効果的に補強できるように構成されている。
【0031】
つまり、図6に示すように、トラックTの荷台Nに穀粒を排出させる場合、横送りコンベア20の穀粒吐出口19よりも少し基端側に寄った箇所がトラックTの荷台Nの縦壁tの上縁に衝突して損傷するおそれがあることから、このようにトラックTの荷台Nの縦壁tの上縁に衝突するおそれがある箇所、すなわち、横送りコンベア20の先端側部分20aにおける長手方向中央部から先端部に亘る箇所に補強部材32が設けられている。
【0032】
そして、この補強部材32に、穀粒吐出口19の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で、且つ、外筒部31の軸芯方向に沿って位置変更調節可能に、作業用カメラ28が取り付けられている。
【0033】
以下、補強部材32に対する作業用カメラ28の取り付け構造について説明する。
図3及び図4に示すように、補強部材32には、左右両側に外筒部31の軸芯方向に沿って長い帯状の平面が形成されるので、この平面を取り付け用の平面34として利用するように構成されている。つまり、取り付け用の平面34にカメラ取り付け用のステー35が取り付け用ボルト36によって締結固定され、このステー35に、穀粒吐出口19の下方側箇所を撮像すべく作業用カメラ28の撮像方向が斜め前方下方側に向く状態で作業用カメラ28が取り付けられている。
尚、補強部材32の一対の平面のうち、横送りコンベア20のホーム位置Aで機体操縦部4とは反対側の平面が取り付け用の平面34として利用されるように構成されている。
【0034】
補強部材32における取り付け用の平面34には、取り付け用ボルト36が挿通するためのボルト挿通孔37が形成されており、この取り付け用の平面34の内面側には、取り付け用ボルト36が螺合するナット38が予め溶接する状態で備えられている。又、ボルト挿通孔37が外筒部31の軸芯方向に沿って適宜間隔をあけて並ぶ状態で複数箇所(この例では4箇所)に夫々形成されており、各ボルト挿通孔37には上述したような溶接ナット38が夫々備えられている。
【0035】
作業用カメラ28を上記複数箇所のボルト挿通孔37のうちのいずれかを選択して取り付けることができ、取り付け対象となるボルト挿通孔37を変更することにより、作業用カメラ28を外筒部31の軸芯方向に沿って位置変更調節することができる。この場合、補強部材32を略L字形に構成することで作業用カメラ28を補強部材32に近づけて取り付けた場合であっても、作業用カメラ28と補強部材32との間の空間Sを広く確保することができ、取り付け用ボルト36の着脱が行い易くなる。
【0036】
又、作業用カメラ28は、補強部材32に固定されるステー35に対して、外筒部31の軸芯方向と直交する水平軸芯X2周りで姿勢を変更調節することができるように取り付けられている。
つまり、図3及び図4に示すように、板状を略コの字形に折り曲げた支持部材40の中間支持部40aをボルト41によりステー35に固定してあり、支持部材40の中間支持部40aの左右両側に位置する一対の縦面部40b夫々に、水平軸芯X2と同一軸芯方向に沿って装着されるボルト42により作業用カメラ28を締結固定するようになっている。そして、このボルト42を緩めた状態で作業用カメラ28の向きを変更したのち、ボルト42を再度締め付けることにより、作業用カメラ28の姿勢を水平軸芯X2周りで変更調節することが可能であり、このことにより作業用カメラ28の撮像方向が作業状況の確認に適した向きになるように変更することが可能となる。
【0037】
前記後方カメラ30の取り付け構造については説明は省略するが、後進走行するときに、機体後方側に障害物が存在しているか否かが判断できるように、機体後方側箇所を撮像することが可能なように取り付けられることになる。
【0038】
そして、横送りコンベア20がホーム位置Aにあり、しかも、走行機体2が後進走行状態であるという条件が成立していると、後方カメラ30が撮像した画像情報をモニタ29に表示し、上記した条件が成立していない時には、作業用カメラ28が撮像した画像情報をモニタ29に表示するように構成されている。
【0039】
すなわち、変速レバー17の変速位置(前進・中立・後進)を検出するポテンショメータ式のレバーセンサ39が備えられ、制御装置26が、このレバーセンサ39の検出情報に基づいて変速レバー17の変速位置が後進状態になっていることが判別され、しかも、旋回位置センサ23にて横送りコンベア20がホーム位置Aにあることが検出されると、穀粒排出用アンローダ9が非作動状態であり且つ走行機体2が後進している非作動後進状態であると判別するように構成されている。又、制御装置26は、非作動後進状態であると判別すると後方カメラ30が撮像した画像情報をモニタ29に表示し、非作動後進状態でないと判別すると作業用カメラ28が撮像した画像情報をモニタ29に表示するように構成されている。
【0040】
このように、このコンバインでは、横送りコンベア20の操作位置と変速レバー17の操作位置とによってモニタ29の表示内容が自動的に切り替わるように構成されている。
説明を加えると、横送りコンベア20がホーム位置Aにある場合には、穀粒の排出作業は行っておらず、後進走行時には、運転者は機体操縦部4のモニタ29で走行機体2の後方を確認する必要性が高い。又、横送りコンベア20がホーム位置Aになければ、横送りコンベア20の旋回作業や穀粒の排出作業を行っている状況であるため、運転者は横送りコンベア20を旋回させる移動先の状況や穀粒の排出先の状況を確認する必要性が高い。そのため、このような作業状況に合わせて、自動的にモニタ29の表示内容が切り替わるようにしている。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、補強部材32が、帯状の板材を断面形状が略L字形になるように折り曲げ形成した部材にて構成されるものを示したが、補強部材32としては、帯板を上向きに開口したコの字形に折り曲げた部材等、種々の形状のものを利用することができる。
【0042】
(2)上記実施形態では、補強部材32に適宜間隔をあけて4個のボルト挿通孔37をあけて作業用カメラ28を外筒部31の軸芯方向に沿って位置変更調節可能に取り付ける構成としたが、このような構成に代えて、ボルト挿通孔37の個数は4個に限らず、2個、3個、5個以上のいずれの個数でもよく、又、このように複数のボルト挿通孔37を形成するものに代えて、補強部材32に外筒部31の軸芯方向に沿って長孔(図示せず)を形成してその長孔に沿ってスライド移動させてネジ等で締め付け固定することにより、作業用カメラ28を外筒部31の軸芯方向に沿って位置変更調節可能に取り付ける構成としてもよい。
さらに、作業用カメラ28を位置変更調節可能に取り付ける構成に代えて、作業用カメラ28を位置固定状態で補強部材32に取り付ける構成としてもよい。
【0043】
(3)上記実施形態では、横送りコンベア20の先端側部分20aにおける長手方向中央部から先端部に亘って補強部材32を設けた構成を示したが、補強部材32の長さは適宜設定可能であり、例えば、横送りコンベア20の先端側部分20aの先端部のみに設けてもよく、横送りコンベア20の先端側部分20aの全長に亘って設けるものでもよい。
【0044】
(4)上記実施形態では、作業用カメラ28をCCDカメラで構成したが、MOS型カメラであってもよく、他の撮像素子を備えるものでもよい。
【0045】
(5)上記実施形態では、補強部材32の一対の平面のうち、横送りコンベア20のホーム位置Aで機体操縦部4とは反対側の平面を作業用カメラ28の取り付け用の平面34として利用する構成としたが、横送りコンベア20のホーム位置Aで機体操縦部4側の平面を作業用カメラ28の取り付け用の平面34として利用してもよく、補強部材32の一対の平面の両方を作業用カメラ28の取り付け用の平面34として利用してもよい。
【0046】
(6)上記実施形態では、先端側部分20aを基端側部分20bに対して折り畳み格納可能な構造に横送りコンベア20を構成したが、先端側部分20aを基端側部分20bに対して穀粒搬送方向に伸縮自在な構造の横送りコンベア20や、先端側部分20aと基端側部分20bとを一体化した構造の横送りコンベア20等でもよい。
【0047】
(7)上記実施形態では、縦送りコンベア18及び横送りコンベア20を一体的に縦向き軸芯Pを中心にして回動させる構成としたが、縦送りコンベア18を固定状態とし、横送りコンベア20を縦向き軸芯Pを中心にして回動させる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、起伏揺動並びに旋回自在な穀粒排出用の横送りコンベアを備えるコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0049】
4 機体操縦部
8 穀粒タンク
18 縦送りコンベア
19 穀粒吐出口
20 横送りコンベア
28 撮像手段
31 外筒部
32 補強部材
33 端縁部
P 縦向き軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクの底部から搬出される穀粒を揚送する縦送りコンベアの上端部に穀粒を横送りして先端部に設けられた穀粒吐出口から穀粒を機外に排出する横送りコンベアが連結され、前記横送りコンベアが起伏揺動可能に且つ前記縦送りコンベアの縦向き軸芯を中心にして旋回可能に構成され、且つ、前記穀粒吐出口の下方側箇所を撮像する撮像手段を備えて構成されているコンバインであって、
前記横送りコンベアにおける円筒状の外筒部の外周面下側箇所に前記外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で設けられた補強部材に、前記穀粒吐出口の下方側箇所を撮像すべく斜め前方下方側を撮像する形態で前記撮像手段が取り付けられているコンバイン。
【請求項2】
前記撮像手段が、前記外筒部の軸芯方向に沿って位置変更調節可能に前記補強部材に取り付けられている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記補強部材が、帯状の板材を断面形状が略L字形になるように折り曲げ形成した部材にて構成され、且つ、その長手方向が前記外筒部の軸芯方向に沿って延びる状態で横幅方向両側の端縁部が前記外筒部の外周下側箇所に固定されている請求項1又は2記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−14(P2012−14A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135294(P2010−135294)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】