コンピュータプログラム製品
【課題】X線撮影造影液の様な医療用流体を注入するための改良された電動流体注入システムにおいて或る方法を実行する指示を保有している、コンピータープログラム製品を提供する。
【解決手段】グラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に、それぞれが患者に対して実行される医療処置についての情報と関係付けられている図形シンボルを含んでいる、複数の選択可能なオプションの表示を提供する段階と、前記オプションの1つをユーザーが選択すると、前記選択されたオプションの前記図形シンボルに関係付けられている前記医療処置の1つ又はそれ以上の注入パラメータを検索して取り出す段階と、前記GUI内に、前記1つ又はそれ以上の注入パラメータを表示する段階と、から成る。
【解決手段】グラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に、それぞれが患者に対して実行される医療処置についての情報と関係付けられている図形シンボルを含んでいる、複数の選択可能なオプションの表示を提供する段階と、前記オプションの1つをユーザーが選択すると、前記選択されたオプションの前記図形シンボルに関係付けられている前記医療処置の1つ又はそれ以上の注入パラメータを検索して取り出す段階と、前記GUI内に、前記1つ又はそれ以上の注入パラメータを表示する段階と、から成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概括的には、X線撮影造影液の様な医療用流体を注入するための改良された電動流体注入システムにおいて或る方法を実行する指示を保有している、コンピータープログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影は、血管、即ち、ヒト又は動物の体内において血液が移動する通路のネットワーク、の異常又は制限を含め、心臓血管状態の診断と治療に使用される処置である。血管造影中は、X線撮影造影剤がカテーテルを通して静脈又は動脈に注入され、その後、造影剤は静脈又は動脈と流体連通している脈管構造に移動する。造影剤が注入された体内領域をX線が通り抜けるとき、X線は造影剤によって吸収されるので、目標の脈管構造(群)のX線画像が得られる。画像は、フィルム又はビデオテープに記録され、及び/又は蛍光透視モニタに映し出される。画像は、多くの目的に使用され、例えば、診断のため、及びバルーンを脈管系に挿入して膨らませ狭窄を開通させるという血管形成術の様な治療処置のために使用される。
【0003】
造影剤は、手動又は自動、何れかの方式の注入システムにより、カテーテルの中に注入される。造影剤を注入するための装置は様々であるが、殆どの現行システムは、カテーテルと作動的に接続されているシリンジを含んでいる。シリンジは、造影剤を入れておく室と、その室内を往復移動することができるプランジャを有している。造影剤は、プランジャを動かしてカテーテル内に部分真空状態を作り出すと、室の中に吸い込まれる。プランジャの方向を逆にすると、最初に、空気が室から追い出され、次いで、プランジャの移動速度により決まる速度と量で造影剤がカテーテルに送り込まれる。
【0004】
手動システムでは、ユーザー又はオペレータは、シリンジを装填し、シリンジをカテーテルに接続する前に室から空気を追い出す。手動システムのユーザーは、プランジャに加える手動力を変えることにより注入の速度と量を調整する。手動システムの最大注入圧は、通常、150p.s.i.(人の手によって加えられる最大圧力)に制限されており、流体の最大量は約12ccである。その様な手動システムは、通常、事前に決められている注入パラメータ(速度又は圧力など)の範囲から外れた注入を制限又は防止するという様な安全特性に何ら対応しておらず、一般的には、気泡や他の危険を検知するアクティブなセンサ又はアラームを含んでいない。
【0005】
血管造影は、造影剤以外の流体の注入を含むこともある。例えば、生理食塩水による洗浄及び/又は液薬の注入が求められる場合もある。最も普及している手動注入システムの1つは、オペレータが選択的に開閉して所望の流体をシリンジ又はカテーテルに接続されている流体チャネルに送り込んだり抜き出したりする、手動で作動させる複数の弁を有している弁機構を含んでいる。オペレータが、造影液をシリンジの室へ吸入し又はそこから外へと注入するとき、流体は、弁の相対位置により向きが決まる最も抵抗の少ない経路を通って流れる。弁の配置を変えると、1つ又は複数の流体が選択的に注入される。
【0006】
或る種の自動化された流体送達システムは、医師の様な訓練を受けた専門家により使用され又は操作される制御パネル又はユーザーインターフェースを提供している。専門家は、制御パネルを使用して、1つ又は複数の注入パラメータを入力する。ユーザーインターフェースは、タッチパネルスクリーンを備えている。それらパラメータは、その後、患者への注入処置時に使用される。或る種の自動化された注入システムは、以下の注入パラメータ、即ち、注入される造影剤の量、注入の流量、最大許容注入圧、及び注入流量の変化の速度(即ち、立ち上がり時間)、の入力を要求する。制御パネルは、注入器ヘッド又は
患者のベッドテーブルに直に接続される。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,099,502号
【特許文献2】米国特許第6,221,045号
【特許文献3】米国特許第5,916,165号
【特許文献4】米国特許第D404,717号、
【特許文献5】米国特許第5,800,397号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
或る特定の実施形態によれば、デュアルシリンジアッセンブリを有する注入システムが提供されている。一方のシリンジは、第1流体媒体(例えば、造影剤など)を保持することができ、第2のシリンジは第2流体媒体(例えば、生理食塩水など)を保持することができる。各シリンジは、独立した吸込ポートと排出ポートを備えている。吸込ポートは、シリンジに流体を充填するのに使用され、排出ポートは、シリンジから流体を放出するのに使用される。
【0009】
或る特定の実施形態によれば、使い捨てカセットを使用して注入システムへの流体接続を提供している注入システムが提供されている。この注入システムにより分注される流体は、使い捨てカセットを経由して患者に提供される。1つ又は複数の管構成要素が、注入システムと使い捨てカセットの間に連結されている。或る特定のシナリオでは、使い捨てカセットへの流体の流入を防止するため、及び、流体の逆流を防止するためにも、弁、特にピンチ弁が使用されている。この使い捨てカセットは、カセットと注入システムの間の流体接続部を提供すると共に、患者に接続されることになる管の接続部も提供している。使い捨てカセットは、各患者に使用された後は廃棄される一回使用構成要素である。
【0010】
或る特定の実施形態によれば、複数の表示装置を設けた注入システムが提供されている。この態様では、小型の表示装置が注入器上に直に設けられており、一方、大型の表示装置(主制御パネル)が小型表示装置から遠隔的に設置されている。小型表示装置は、設定情報、エラー及びトラブルシューティング情報、及び他のシステム情報を提供するのに使用されると共に、ボトル又は袋寸法の様な或る特定の入力をユーザーから入手するのにも使用される。1つの態様では、携帯情報端末(PDA)の寸法をした追加的な遠隔表示器が更に提供されている。この追加的な遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネルと通信している。この追加的な遠隔表示器は可動式であるため、医師は、より柔軟にこの表示器を使用することができる。この寸法のおかげで、追加的表示器は非常に持ち運びし易く、使用に便利である。1つの実施例では、追加的表示器は、ユーザー入力性能と表示出力性能を共に提供している。
【0011】
或る特定の実施形態によれば、流体注入システムのユーザーを支援するために状況連動型点灯方式を使用する方法を実施している注入システムが提供されている。それら実施形態では、この方法は、流体注入システム上に、システムに対する設定機能を行うようにユーザーに指示する第1視覚表示を提供する段階と、ユーザーが設定機能を不適切に行った場合、システム上に第2視覚表示を提供する段階と、ユーザーが設定機能を適切に行った場合、システム上に第3視覚表示を提供する段階を含んでいる。
【0012】
或る特定の実施形態によれば、システムの表示装置内に表示するための改良されたグラフィックユーザーインターフェース(GUI)を有する注入システムが提供されている。1つの態様では、カスタマイズ可能領域注入ボタン、高速操作案内のためのアイコン、及び一連の事前に定義されているアイコンも提供されている。幾つかの実施形態では、GUIは、システムのガイド付き設定モード又は高速設定モード、何れかのモード中に、ユー
ザーにインターフェースを提供している。これらの実施形態では、GUIの機能性は、状況連動型点灯方式の1つ又はそれ以上の態様と同期化されている。GUIのその他様々な項目が、ユーザーに改良されたインターフェースを提供している。
【0013】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の説明に述べる。本発明のこの他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここで更に詳しく説明していくにつれ明らかになるはずであるが、本発明の様々な実施形態の原理は、自動化された注入器システムの多種多様な物理的構成に適用することができる。1つのその様なシステムの例を下に概括的に説明する。これより図面を参照してゆくが、図1は、対話式医師制御の下でX線撮影造影剤を血管に注入するための注入器システム10を示している。システム10は、主コンソール12、手持ち式遠隔制御器14、シリンジホルダ16、シリンジ本体18、シリンジプランジャ20、X線撮影剤用リザーバー(ボトル)22、一方向弁24、マニホルド26、高圧管28、カテーテル30、患者投薬ポート32、三方向止水栓34、Tコネクタ36、圧力変換器38、止水栓40、配管42、蠕動ポンプ44、生理食塩水逆止弁46、廃棄物逆止弁48、生理食塩水袋50、廃棄物袋52、袋支持ラック54を含んでいる。
【0015】
コンソール12は、システム10の電気制御部を、ピストン20及び蠕動ポンプ44を駆動するモーターと共に収納している。コンソール12の前面上では、ユーザーインターフェース55が、制御スイッチ56と表示装置58を提供しており、これを介してユーザーは制御設定を入力し、システム10の動作状態を監視する。コンソールは独立しており、輸送カートアッセンブリ上に搭載することができるように構成されているのが望ましい。
【0016】
電力は、適切な電源装置によりシステムの全ての電気的構成要素に提供され、電源装置は、主電力源からの電気的に安全な絶縁も提供している。電源装置は、コンソール12内に配置してもよいが、それとは切り離して壁か搭載用カートの何れかに取り付けるのが望ましい。
【0017】
遠隔制御器14は、ケーブル60によってコンソール12に接続されている(が、他の実施形態では、遠隔制御器14は、RF、赤外線光学的、又は超音波リンクの様な無線接続により接続されている)。遠隔制御器14は、図1に示す実施形態では、リセット用と生理食塩水押し出し用ボタンスイッチ62及び64それぞれ、並びに流量制御レバー又はトリガ66、を含んでいる手持ち式制御器である。トリガ66を強く握ることによって、ユーザーは、コマンド信号をコンソール12に供給し、継続的な可変注入速度が提供されるようにする。
【0018】
シリンジホルダ16は、コンソール12の左手側から突き出ている。シリンジホルダ16は、透明材料であるのが望ましく、半円筒形状の背面殻68と、半円筒形状の前方ドア70(図1には開放状態を図示)と、リザーバーホルダ72を含んでいる。
【0019】
シリンジ18は、開放端74がコンソール12に接続されている、透明又は半透明のプラスチックシリンダである。シリンジ18の閉鎖端76は、上側ポート78と下側ポート80の2つのポートを含んでいる。
【0020】
プランジャ20は、シリンジ本体18内を移動可能である。プランジャ20は、コンソール12内に配置されているモーターに接続されており、このモーターによって駆動され
る。
【0021】
X線撮影造影剤リザーバー22は、一方向逆止弁24を介して上側ポート78に接続されている。X線撮影造影剤は、リザーバー22から逆止弁24と上側ポート78を通り、シリンジ本体18とプランジャ20とによって画定されているポンプ室の中に引き込まれる。逆止弁24は、シリンジ本体18からリザーバー22の中に空気が流れて戻ることは許容するが、X線撮影造影剤がシリンジ本体18からリザーバー22に流れることは許容しない、重り付一方向弁であるのが望ましい。これは、後で更に詳しく説明するが、システムからの自動的な空気抜きを可能にしている。
【0022】
シリンジ本体18の下側ポート80は、マニホルド26に接続されている。マニホルド26は、普通は変換器/生理食塩水ポート82と患者ポート84を接続するばね付勢式スプール弁を含んでいる。X線撮影造影剤が注入されるとき、X線撮影造影剤の圧力によりスプール弁の状態が変えられ下側ポート80が患者ポート84に接続される。
【0023】
高圧管28は、患者ポート84をカテーテル30に接続する可撓性を有する管である。三方向止水栓34は、管28の遠位端に配置されている。回転可能なルアーロックコネクタ86は、止水栓34に接続されており、カテーテル30の近位端のルアーコネクタ88と嵌り合う。留め栓34は、管28とカテーテル30の間の流れを遮断するか、流れを許容するか、投薬ポート32をコネクタ30に接続するかの何れである。
【0024】
X線撮影造影剤を、カテーテル30を介して患者の中に注入することの他に、システム10は、他の関係する機能も行なえるようにしている。患者への薬物(図1には示さず)を送り込むための装置は、薬物がカテーテル30を介して患者に送り込まれるときに、投薬ポート32に接続される。
【0025】
カテーテル30が患者に挿入されており、X線撮影造影剤の注入がまだ行われていない段階で、圧力変換器38は、カテーテル30、管28、患者ポート84、マニホルド26、変換器/生理食塩水ポート82、配管90、Tコネクタ36、及び配管92から伸長している液柱を通して血圧を監視する。変換器38は、変換器38が較正時に雰囲気圧に曝されるようにすると共に、閉じ込められた空気を除去/排除して変換器38のドーム形の室を生理食塩水で洗浄することができるようにする、付帯する止水栓40を有している。
【0026】
蠕動ポンプ44は、袋50からの生理食塩水を、生理食塩水逆止弁46、配管42、Tコネクタ36、及び配管90を通して、ポート82に供給する。蠕動ポンプ44が食塩水を供給するために作動しているとき、食塩水はマニホルド26を介して患者ポート84に供給され、次いで、管28を通ってカテーテル30に供給される。
【0027】
蠕動ポンプ44は、反対方向に作動して、カテーテル30から、管28、マニホルド26、配管90、Tコネクタ36、及び配管42を通り、廃棄物逆止弁48に至り、そして廃棄物収集袋52に入るように、流体を吸引することもできる。
【0028】
本発明の或る好適な実施形態では、シリンジ本体18、マニホルド26、管28、カテーテル30、Tコネクタ36、配管42、逆止弁46と48、袋50と52、及び配管90と92は全て使い捨て品目である。それらは、血管造影処置が新しい患者で行われる都度、システム10に設置されねばならない。システム10に全ての使い捨て品目を設置して設定を行い、ドア70を閉め、シリンジ本体18を造影剤で満たして空気を抜いたら、ユーザー(通常は医師)は、システム10に、X線撮影造影剤の注入に適用される安全パラメータを入力する。それら安全パラメータには、通常、一回の注入中に注入されるX線撮影造影剤の最大量、最大注入流量、シリンジ本体18内に発生する最大圧力、及び最大
注入立ち上がり時間又は加速度が含まれる。造影剤の注入を起動させるため、ユーザーは、トリガ66を強く握ることにより遠隔制御器14を操作する。事前に設定された安全パラメータ内で、システム10は、トリガ66の力又は移動量が増すにつれて、注入流量を増大させる。
【0029】
通常、ユーザーは、造影剤が流れ出て注入先の構造へ流入するのを蛍光投透視法又は他の画像化方法を使用して継続的に観察することに基づいて、注入された造影剤の量と流量を測る。システム10は、ユーザーが、患者の必要性に照らして造影剤注入を調整できるようにしており、これにより、処置の品質を最大化し、安全性を高め、及び蛍光透視試験を実行するのに必要な造影剤の量を減らすことができる。
【0030】
図2Aから図2Gは、システム10の7つの異なる動作中の流体流路を示す図である。対象動作は、造影剤充填(図2A)、空気抜き(図2B)、患者注入(図2C)患者圧力(図2D)、生理食塩水洗浄(図2E)、廃棄物吸引(図2F)、及び患者投薬(図2G)である。
【0031】
図2Aに示す造影剤充填動作には、シリンジ18をリザーバー(造影媒体供給部)22からのX線撮影造影剤で満たすことが関与する。造影剤充填動作は、システム10の初期設定時に行うが、システム10の作動中、シリンジ本体18がX線撮影造影剤の低下した状態で運転されることがあれば何時でも繰り返し行われる。
【0032】
システム10の初期設定時、プランジャ20は、最初、シリンジ本体18の閉鎖端76に隣接する最前方位置まで駆動される。これにより、シリンジ本体18内に在る空気の大部分が雰囲気中に追い出される。
【0033】
次いで、プランジャ20を後退させ、シリンジ本体18内に真空を作り出し、これにより造影剤をリザーバー22から、逆止弁24を通り、上側ポート78を介してシリンジ本体18内に吸い込む。
【0034】
造影剤充填動作の結果として、通常は、或る程度の空気がシリンジ本体18内に引き込まれ、或いはその中に残ることになる。無論、カテーテル30を通して空気が患者の中に注入されるのを防止することが重要である。これが、図2Bに示す空気抜き動作の目的である。更に、2つのポートが異なる高さにあることで、注入時の気泡防止における安全を更に高めることができる。
【0035】
空気抜き動作中、シリンジ本体18内に閉じ込められている空気を追い出すために、プランジャ20は前方に動かされる。空気は、造影剤よりも軽いので、シリンジ本体18の頂部付近に集まる。プランジャ20が前方に動くと、空気はシリンジ本体18から上側ポート78と一方向弁24を通して追い出される。図2Bに示す実施形態では、一方向弁24は、リザーバー22から上側ポート78にX線撮影造影剤が流れることは許容するが、X線撮影造影剤が反対方向に上側ポート78からリザーバー22に流れることは許容しない、重り付一方向弁である。但し、弁24は、空気がポート78からリザーバー22に流れることを許容する。X線撮影造影剤が、シリンジ本体18から上側ポート78を通って弁24に流れ出始めるやいなや、弁24は閉じて、リザーバー22に向けてそれ以上流れないようにする。
【0036】
弁24は、代わりの実施形態では、コンソール12内の電気回路の制御下で作動するソレノイド作動式又はモーター駆動式の弁である。何れの場合も、弁24は、注入動作中に受ける比較的高い圧力に耐えることができる。弁24は、約1200p.s.i.までの静止流体圧に耐えられるのが望ましい。
【0037】
図2Cは、患者注入動作を示している。プランジャ20は、遠隔制御器14のトリガ66を制御しているユーザーの対話式制御下で前方に動かされる。プランジャ20の移動により、流体圧が発生して、造影剤はシリンジ本体18から押し出され、下側ポート80を通り、マニホルド26と高圧管28を通り、カテーテル30に入る。図2Cに示すように、シリンジの下側ポート80と患者ポート84は、患者注入動作時は流体を流すために接続されている。
【0038】
マニホルド26は、患者ポート84と、シリンジ底部ポート80又は変換器/生理食塩水ポート82の何れかとの間の流体接続の経路指定を制御する弁を含んでいる。本発明の1つの実施形態では、マニホルド26は、患者ポート84が普通は(図2A及び図2Bに示すように)変換器/生理食塩水ポート82に接続されるようにばね付勢されているスプール弁を含んでいる。プランジャ20が前方に移動するに伴って、シリンジ底部ポート80に圧力が生じると、スプール弁に加えられる付勢力に打ち勝って、シリンジ底部ポート80が患者ポート84に接続され、変換器/生理食塩水ポート82は切り離され、マニホルド26内の弁は、変換器38を、患者注入動作により発生する高圧に曝されないように護る。
【0039】
スプール弁は、患者注入動作時はシリンジ下側ポート80から当該弁に加えられる圧力の増大に応じて自動的に開く。スプール弁は、毎回の患者注入動作終了時にプランジャ20が引き込まれることによって僅かな真空が掛けられると、閉じて元の位置に戻り、患者ポート84が変換器38に接続されるようにする。
【0040】
代わりの実施形態では、マニホルド26内の弁は、適切な時に作動して、シリンジの下側ポート80又は変換器/生理食塩水ポート82の何れかを患者ポート84に接続する、電気機械式又はモーター駆動式の弁である。アクチュエータ機構はコンソール12により制御される。同様に、この代わりの実施形態でも、弁は圧力変換器38が高圧に曝されないように護る。
【0041】
図2Dは、患者圧力動作を示している。システム10は、患者の血圧を読み取れるようになっており、血圧はカテーテル30を介して監視される。患者の血圧は、患者注入、生理食塩水洗浄、及び廃棄物吸引動作時以外は、何時でも圧力変換器38を使用して監視することができる。圧力変換器38によって生成される圧力示度は、手動で止水栓40を開き、止水栓34を閉じて、圧力変換器38を雰囲気圧に曝すことにより正規化される。
【0042】
図2Eに示す生理食塩水洗浄動作時には、食塩水を使用し、各内部配管、圧力変換器の室38、管28、及びカテーテル30の全てを洗浄する。図2Eに示すように、蠕動ポンプ44は、食塩水を袋50から汲み出し、逆止弁46を通し、配管42を通し、生理食塩水ポート82に送る方向に運転されている。マニホルド26は、食塩水が患者ポート84から汲み出され、管28とカテーテル30に向かうように、生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続している。
【0043】
廃棄物吸引動作時、患者ポート84は、ここでも生理食塩水ポート82に接続される。この動作時、蠕動ポンプ44は、生理食塩水洗浄動作時の回転方向とは逆の方向に運転される。その結果、患者の体液が、患者ポート84から生理食塩水ポート82に、そして更に配管42と逆止弁48を通り廃棄物収集袋52へと吸い出される。蠕動ポンプ44は、配管42を摘み/塞ぎ、逆止弁46及び48と共働して生理食塩水及び廃棄物が容器50及び52に/から逆流するのを防ぐ弁の役目を果たす。
【0044】
患者の体内にカテーテル30が配置された状態で、患者薬物を供給するのが望ましい。
システム10は、患者投薬ポート32を設けることによりこの選択肢を可能にしている。図2Gに示すように、止水栓34が開くと、ポート32に接続されている薬物源が患者ポート84に接続され、従ってカテーテル30に接続される。患者投薬動作時、蠕動ポンプ44とプランジャ20は動いていない。
【0045】
図3は、上に述べた血管造影注入器システムと共に使用されている制御システムの電気的ブロック図である。図3の電気制御システムは、単一のデジタルコンピュータ100を含んでおり、コンピュータは、遠隔制御器14と前面パネル制御部56からインターフェース102を介して入力信号を受け取り、動作データ、警報、状態情報、及びオペレータプロンプトを表示する信号を表示装置58に提供する。次の好適な実施形態では、改良された電気制御システムについて説明するが、ここでは、上記血管造影注入器システム10の構成要素を組み込んでいる血管造影注入器システムの機能説明を完遂するために、単一のコンピュータシステムを説明している。
【0046】
コンピュータ100は、モーター104、モーター増幅器106、タコメータ108、ポテンショメータ110、整流器112、圧力感知ロードセル114、及びA/D変換器116を含んでいるモーター駆動回路を介して、プランジャ20の動きを制御する。
【0047】
モーター増幅器106は、コンピュータ100からの制御電圧、前進/逆行、及び制動の各信号、及びタコメータ108から整流器112を介して入ってくる速度フィードバック信号に応えて、駆動1信号をモーター104に供給する。タコメータ108及びポテンショメータ110の出力は、速度モニタ及び位置モニタ信号として、A/D変換器116を通してコンピュータ100に供給される。それらは、コンピュータ100が、モーター速度、モーター方向、及び位置を調べることができるようにしている(量は計算値である)。
【0048】
圧力センサ114は、シリンジ本体18内のX線撮影造影剤に加えられている圧力を測定するために、モーター電流又はプランジャ力を感知する。この圧力モニタ信号は、A/D変換器116及びインターフェース102を通してコンピュータ100に供給される。
【0049】
蠕動ポンプ44は、コンピュータ100の制御下で、ポンプモーター120、モータードライバ122、及び光学エンコーダ124を通して駆動される。コンピュータ100は、生理食塩水洗浄の場合には前進方向に、廃棄物吸引の場合には逆行方向に、ポンプモーター120を運転するために、生理食塩水(前進)及び廃棄物(逆行)駆動信号をモータードライバ122に供給する。光学エンコーダ124は、ポンプモーター120の回転速度と回転方向の両方を示している速度方向モニタ信号をインターフェース102に供給する。
【0050】
図3は、一方向弁24及びマニホルド26内の弁の様な弁類を作動させるのに弁モーター130が使用されている制御システムの実施形態を示している。この実施形態では、コンピュータ100は、モータードライバ132を介して弁モーター130を制御し、ポテンショメータ134からの位置モニタフィードバック信号を通して位置を監視する。この特定の実施形態では、弁モーター130はステッパモーターである。
【0051】
コンピュータ100は、温度センサ140からの温度監視信号に基づき造影剤の温度を監視する。温度センサ140は、シリンジ本体18付近に配置されるのが好ましい。温度センサ140の感知した温度が高すぎる場合、コンピュータ100は運転モーター104を使用禁止にして患者注入を停止させる。温度が低すぎる場合、コンピュータ100は、a/温度使用可能駆動信号をヒータドライブ150に供給し、ヒータ152にエネルギーが供給される。1つの好適な実施形態では、ヒータ152は、シリンジ本体18に隣接す
るシリンジホルダ116内に配置されている抵抗膜ヒータである。
【0052】
コンピュータ100は、造影剤ボトルセンサ160、前進限界センサ162、逆行限界センサ164、シリンジ欠落センサ166、室開放センサ168、造影剤気泡検出器170、及び配管内空気気泡検出器172からのフィードバック信号を受信する。
【0053】
造影剤ボトルセンサ160は、リザーバーホルダ72内に配置されている小型スイッチである。センサ160からの造影剤ボトル存在信号の状態は、リザーバー22がホルダ72内に配置されているか否かを示す。リザーバー22が存在していなければ、コンピュータ100は充填動作を使用禁止にする。
【0054】
前進限界及び逆行限界センサ162と164は、プランジャ20の端限界位置を感知する。プランジャ20がその前進限界位置に達すると、プランジャ20のそれ以上の前方移動は許されない。同様に、逆行限界センサ164が、プランジャ20がその逆行限界位置に達したことを示すと、それ以上の逆行移動は許されない。
【0055】
シリンジ欠落センサ166は、シリンジ本体18がシリンジホルダ16内に配置されていない場合を示す小型スイッチ又は赤外線放出器/検出器である。シリンジ本体18が定位置にない場合には、プランジャ20をその逆行限界位置まで移動させる(即ち、ゼロに戻す)こと以外の全移動機能は使用禁止にされる。
【0056】
室開放センサ168は、シリンジホルダ16のドア70が開いている場合を感知する小型スイッチ又は赤外線放出器/検出器である。センサ168からの信号が、ドア70が開いていることを示した場合、全移動機能は使用禁止にされる。ドア70が閉じられ係止されている場合にのみ、移動は許される。ドア70が閉じられていることが示され且つセンサ166がシリンジ本体18が定位置にあることを示すと、システム10の他の正常機能が進められる。
【0057】
気泡検出器170は、リザーバー22と上側ポート78の間に配置されており、気泡を感知する赤外線放出器/検出器であるのが望ましい。充填動作中にリザーバー22と上側ポート78の間の流路中に気泡が感知されると、充填動作は新しいリザーバーが接続されるまで使用禁止にされる。
【0058】
気泡検出器172は、高圧配管28内の気泡を感知するために配置されている。この検出器は、赤外線放出器/検出器型の気泡検出器であるのが望ましい。高圧配管28内に気泡が検出されると、その結果、流体が蠕動ポンプ44からの生理食塩水であろうと、シリンジ本体18からの造影剤であろうと、全流体押し出し機能は使用禁止にされる。
【0059】
図3の制御システムには、コンピュータ100によって制御されているリレー180を介してX線機器へ信号を供給する能力も含まれている。また、コンピュータ100は、血圧変換器38、及び注入器システム10とは切り離されている心電図(ECG)システムからデータを受け取る。圧力及びECG信号は、信号調整器及びA/D変換器190を介して受け取られ、コンピュータ100に送られる。ECG信号は、1つの好適な実施形態ではコンピュータ100により使用され、モーター104の動作(及び、従って患者注入動作)を心拍と同期化させる。
【0060】
心臓への血流は、大部分は心臓拡張期(心臓が収縮と収縮の間にある時)に起こる。造影剤を連続して注入すると、心臓収縮期中に造影剤が溢れて大動脈内に流入する結果になる。主に心臓拡張期中に注入することにより、造影剤が冠状動脈内へ注入される完全性を損なうこと無く、注入造影剤投与量を減らすことができる。
【0061】
或る好適な実施形態では、X線撮影造影剤の注入は、冠状動脈血流と同期化される。心臓収縮期と心臓拡張期の持続時間は、心電図(ECG)電気信号、動脈血圧波形分析、又は心拍数に基づく他のタイミングを使用して求められる。モーター104の速度、プランジャ20の速度、従って運動を制御することにより、造影剤の注入は、心臓収縮期の間は中断され、これによりその期間中の造影剤注入は低減又は停止される。遠隔制御器14と組み合わせれば、ユーザーは、コンピュータ100が造影剤注入を心臓周期に対して自動的に脈動させている状態で、冠状動脈内への造影剤注入の速度を変えることができる。
【0062】
移動中の造影剤の慣性力と、造影剤を保持している容器及び造影剤を患者に送っている配管の拡張は、シリンジ本体18内のプランジャ20の動きと、カテーテル30を出て患者へ入る造影剤の動きとの間で位相遅れを発生させる恐れがある。プランジャ20の動きと患者への造影剤放出との間の位相遅れを調整するために、心臓周期が選択された時間だけオフセットされるように、可変時間オフセットが制御パネル54を通して入力される。位相遅れの大きさは心拍周期によって決まるため、コンピュータ100内のアルゴリズムは、時間オフセットの大きさを、造影剤注入時の瞬間心拍数に基づいて継続的且つ自動的に調整する。
【0063】
図4は、本発明の1つの実施形態の前面パネル制御スイッチ56と表示装置58を説明している、制御パネル54の1つの実施形態を示している。前面パネル制御スイッチ56は、設定/充填/終了スイッチ200、空気抜きスイッチ202、吸引スイッチ204、生理食塩水スイッチ206、使用可能OKスイッチ208、注入量限界スイッチ210a及び210b、注入流量限界スイッチ212a及び212b、注入圧力限界スイッチ214a及び214b、立ち上がり時間スイッチ216a及び216b、OKスイッチ218、注入範囲トグルスイッチ220、大注入OKスイッチ222、及び停止スイッチ224を含んでいる。
【0064】
設定/充填/終了スイッチ200は、瞬間押しボタンスイッチである。最初に作動させるとき、ユーザーは、シリンジ18をシリンジホルダ16に入れるように通知される。シリンジ18がシリンジホルダ16に入れられると(これは、センサ166によってコンピュータ100に表示される)、ユーザーは、室を閉じて係止するように(即ち、ドア70を閉じるように)指示される。プランジャ20は、その前方一杯の位置まで動かされ、シリンジ内の全空気を追い出す。そこで、表示装置58は、オペレータに造影剤リザーバー22を接続するよう表示する。造影剤リザーバー22が定位置に設置されると、オペレータは、OKスイッチ218を押すように要請され、その時、プランジャ20は、設定された速度(毎秒10mlの流量に対応しているのが望ましい)で最大シリンジ量まで後退する。実速度(A/D変換器116からコンピュータ100へのフィードバックにより表示される)が設定速度より高い場合、システム10は停止する。
【0065】
プランジャ20がその最後方位置に来ると、モーター104が作動して、プランジャ20を前方に動かし、全気泡を押し出す。圧力センサ114は、何時、一方向弁24が閉じられ、シリンジ本体18内に圧力が発生し始めたかを表示する。空気抜きが完了すると、全注入量と注入回数カウンタがリセットされる。
【0066】
スイッチ200を作動させると、更に、Ml後退とプランジャ20のシリンジ本体18からの切り離しが可能になる。
空気抜きスイッチ202は、防護付き瞬間押しボタンスイッチである。空気抜きスイッチ202を作動させると、プランジャ20は前方に動き、上側ポート78を通して空気を押し出す。プランジャ20の前方移動は制限されており、シリンジ18内の圧力が事前に決められている圧力に達すると停止される。これは、圧力センサ114によって感知され
る。空気抜きスイッチ202により開始された空気抜き動作は、シリンジ20内の空気を追い出す。ユーザーは、空気抜きスイッチ202を使って、空気抜きスイッチ202を押して連続してオンに保つことにより、患者ポート84を通して流体を押し出すこともできる。
【0067】
吸引スイッチ204は、コンピュータ100に蠕動ポンプ44のポンプモーター120を起動させるための瞬間押しボタンスイッチである。ポンプモーター120は、設定速度でカテーテル30を吸引するように運転され、吸引された流体は廃棄物袋52に収集される。吸引中、他の全ての動作機能は切り離されている。モーター120の実速度が設定速度よりも高いと、コンピュータ100はモーター120を停止させる。
【0068】
生理食塩水スイッチ206は、交互作用スイッチである。ポンプモーター120は、生理食塩水スイッチ206が押されると、これに応答して作動し、生理食塩水が、袋50からマニホルド26そしてカテーテル30の中に設定速度で導入される。生理食塩水スイッチ206が、食塩水の流れを止めるために10秒内にもう一度押されなかったときは、コンピュータ100が、自動的にポンプモーター120を停止させる。時間切れになってしまうと、以降の行為を開始する前に、生理食塩水スイッチ206を元の状態にリセットせねばならない。
【0069】
使用可能OKスイッチ208は、瞬間押しボタンスイッチである。システムが、注入終了時に限界以外の使用禁止機能を検知した後は、OKスイッチ218を作動させて以降の機能を開始する前に、使用可能OKスイッチ208を作動させねばならない。
【0070】
注入量限界キー210a及び210bは、一回の注入中にシステムが注入する最大注入量の増量又は減量の何れかを行う場合に押される。キー210aは、最大体積値を上げ、キー210bは下げる。一旦、最大注入量限界が設定されると、測定量が設定値に達すれば、コンピュータ100はモーター104を停止させ、OKスイッチ218が押されるまで再始動しない。大注入(即ち、10ml超)が選択された場合、OKスイッチ218と大注入OKスイッチ220が、両方共、大注入開始前にリセットされねばならない。
【0071】
注入流量限界キー212a及び212bは、医師が、一回の注入中にシステムが到達し得る最大流量を選択できるようにしている。測定流量(タコメータ108及びポテンショメータ110からのフィードバック信号により求められる)が設定値に達した場合、コンピュータ100は、モーター104を制御して流量を設定値に制限する。
【0072】
注入圧力限界キー214a及び214bは、医師が、一回の注入中にシステムが到達し得る最大圧力を選択できるようにしている。圧力センサ114により判定された測定圧力が設定値に達した場合、コンピュータ100は、モーター104を制御して圧力を注入圧力限界に制限する。結果的に、注入速度も制限される。
【0073】
立ち上がり時間キー216a及び216bは、医師が、一回の注入中に流量を変化させながらシステムが許容する立ち上がり時間を選択できるようにしている。コンピュータ100は、モーター104を制御して、立ち上がり時間を設定値に制限する。
【0074】
代わりの実施形態では、キー210a−210b、212a−212b、214a−214b、216a−216bは、数値を選択するための他の装置に置き換えることができる。それらには、選択ダイアル、数字キーパッド、及びタッチスクリーンが含まれる。
【0075】
OKスイッチ218は、機能とハードウェアセンサをリセットする瞬間押しボタンである。OKスイッチ218が作動したことに応答して、コンピュータ100は、表示装置5
8を制御し、オペレータに正しい機能が選択されていることを認知するよう求める。OKスイッチ218の作動により、状態は、用意が整いました、に設定される。
【0076】
注入範囲スイッチ220は、トグルスイッチである。スイッチ220が「小」の位置にあるか「大」の位置にあるかによって、次の注入の注入量範囲が、多量又は少量の何れかに選択される。
【0077】
大注入OKスイッチ222は、瞬間押しボタンスイッチである。大注入範囲が注入範囲スイッチ220によって選択されると、大注入OKボタン222を起動させて、OKスイッチ218を使用可能にせねばならない。OKスイッチ218は、各注入前に作動させねばならない。大注入に際し、ユーザーには、最初に大注入OKスイッチ222を、次にOKスイッチ218を作動させることによって、選択された量を確認するよう要求される。
【0078】
停止スイッチ224は、瞬間押しボタンスイッチである。停止スイッチ224が押されると、全ての機能は使用禁止になる。表示装置58はアクティブのままである。
表示パネル58は、設定表示250、状態表示252、警報表示254、限界表示256、総注入回数表示260、総注入量表示262、流量表示264、注入量表示266、注入量限界表示268、注入速度限界表示270、圧力限界表示272、立ち上がり時間最小値表示274、大注入表示276、及びリアルタイム時計表示278を含んでいる。
【0079】
設定表示250は、オペレータが設定手続きを行っているときに表示される一連のメッセージを含んでいる。設定表示250のメッセージの表示は、先に説明したように、設定スイッチ200を作動させることによって開始される。
【0080】
状態表示252は、幾つかの異なる動作状態の1つを点滅表示する。図4の実施形態では、表示されるそれら状態状況は、「用意が整いました」、「設定」、「注入中」、「充填中」、「洗浄中」、及び「吸引中」を含んでいる。
【0081】
警報表示254及び限界表示256は、オペレータに、システム10は、臨界制御パラメータに遭遇し、動作を使用禁止にする、又は、システム10は、上限又は下限に達し、制限された様式で機能し続ける、又は、システム10は、上限又は下限に達し、動作を続行する、という状況を通知する。
【0082】
総注入回数表示260は、現在の患者の場合に施された(累積)総注入回数を表示する。現在の患者の場合の間に注入された累積総量は、総量表示262によって表示される。
【0083】
表示264と266は、現在又は前回の注入に関する情報を提供する。表示264は、注入中に患者へのリアルタイム流量のデジタル値を示す。注入が完了すると、表示264に表示される値は、当該注入中に到達したピーク流量を表す。表示266は、最も最近の注入時の注入量のデジタル値を示す。
【0084】
表示268は、スイッチ210a及び210bの操作により選択された最大注入量のデジタル値を表示する。同様に、表示270は、スイッチ212a及び212bで選択された、システムが許容する最大流量のデジタル値を示す。
【0085】
表示272は、システム10がシリンジ18内に発生するのを許容する最大圧力のデジタル値を示す。圧力限界は、スイッチ214a及び214bによって選択される。
表示274は、流量変化中にシステムが許容する最小立ち上がり時間を示している。最小立ち上がり時間は、スイッチ216a及び216bを通して選択される。
【0086】
大注入表示276は、オペレータによって大注入が選択されたときに明白な表示を提供する。
リアルタイム時計表示278は、現在の時刻を、時、分、秒で示す。
【0087】
図5A及び5Bは、ユーザーの手に沿うように設計されている主ハウジング300を含んでいる遠隔制御器14の1つの実施形態を示している。トリガ66は、ハウジング300に対して動かすことができ、トリガ66の位置によって、トリガ位置の関数であるコマンド信号が生成される。1つの実施形態では、トリガ66は、ハウジング300内のポテンショメータにリンクされている。コマンド信号は、注入流量又は速度を制御する。流量は、トリガ位置に正比例する。
【0088】
リセットスイッチ62は、瞬間押しボタンスイッチであり、その機能はOKスイッチ218と同じである。代わりに、リセットスイッチ62に「OK」の標示を付けてもよい。
遠隔制御器14の生理食塩水スイッチ64は、押すとオンになり、もう一度押すとオフになる、交互作用押しボタンスイッチである。生理食塩水スイッチ62の機能は、前面パネル54の生理食塩水スイッチ206と同じである。
【0089】
本発明の別の実施形態に示すように、図1及び図5Aと図5Bに示している手持ち式遠隔制御器14に代えて、足ペダルの形態の代わりの遠隔制御器14’が使用されている。足ペダル遠隔制御器14’は、コマンド信号並びにリセット又はOKスイッチ62’及び生理食塩水スイッチ64’を提供するために、足で操作する速度ペダル又はトリガ66’を含んでいる。カバー310及び312は、スイッチ62’及び64’を、手でしか作動させることができず、誤って足で作動させることの無いように、それらスイッチを保護している。足ペダル遠隔制御器14’は、ケーブル60’でコンソール12に接続されているが、代わりに無線リンクによって接続してもよい。
【0090】
図7A−図7D及び図8A−図8Cは、一方向弁24及びマニホルド26の構造、及び造影剤充填、空気抜き、及び患者注入動作中のそれらの動作を示している。
図7Aと図8Aは、造影剤充填動作中の、一方向弁24、マニホルド26、シリンジ本体18、及びプランジャ20を示している。一方向弁24の吸込逆止弁は、図7A及び図7Bでは弁室352内の下方着座位置にある重りボール350を含んでいる。造影剤は、プランジャ20の後方移動によりシリンジ本体18の中に引き込まれて行く。造影剤は、ボール350の周囲の通路354を通り上側ポート78に流れ込む。
【0091】
マニホルド26は、スプール本体362、シャフト364、Oリング366、368、及び370、付勢ばね372、及びリテイナ374を含むばね負荷スプール弁360を保有している。図7Aに示すように、造影剤充填動作中、付勢ばね372は、スプール本体362を、シリンジ本体18に向けてその最右位置に押し付ける。この位置では、スプール本体362は、斜め通路376を通して変換器生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続しながら同時にシリンジ本体18の下側ポート80を遮断している。一方のOリング366と368、及び他方のOリング370は、斜め通路376の両側に配置されて、流体シールを形成している。
【0092】
図7Bと図8Bは、空気抜き動作を示している。シリンジ本体18は、造影液で満たされているが、中には空気も閉じ込められている。プランジャ20は、前方に駆動されて、シリンジ本体18から上側ポート78を通し、そして逆止弁24を通して、空気を追い出す。空気の力は、逆止弁24のボール350を僅かに持ち上げる。しかしながら、ボール350は十分に重いため、シリンジ本体18から追い出されリザーバー22に戻っていく空気は、ボール350を、シリンジ本体18からの空気の流出を遮断するその最も上側の着座位置まで持ち上げることはできない。
【0093】
空気抜き動作中、スプール弁360は、図7Aと同じ位置にある。斜め通路376は、変換器の生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続している。その結果、圧力変換器38による圧力監視は、空気抜き(並びに造影剤充填)動作の間に行われる。
【0094】
図7Cと図8Cは、空気抜き動作終了時及び患者注入動作開始時のマニホルド26と逆止弁24の状態を示している。
図7Cでは、全ての空気はシリンジ本体18から追い出されている。ボール350は、X線撮影造影剤上に浮かんでいるので、全ての空気が除去され、X線撮影造影剤がシリンジ本体18から上側ポート78を通って弁室352に流れ始めると、ボール350はその上側着座位置まで上向きに動かされる。ボール350は、図7Cと図8Cに示すように、X線撮影造影剤が継続して上向きに流れるのを遮断する。
【0095】
図7Cに示す状態では、シリンジ本体18内の圧力、具体的には下側ポート80の圧力は、まだ、ばね372の付勢力に打ち勝つレベルには至っていない。その結果、スプール本体362は、まだ左に動いておらず、斜め通路376は、引き続き変換器生理食塩水ポート82と患者ポート84を接続している。
【0096】
図7Dは、患者注入動作を示している。プランジャ20は、前方に移動中であり、吸込逆止弁24は閉じられている。下側ポート80の圧力は、ばね372の付勢力に打ち勝てるだけの高さになっている。スプール本体362は左に駆動されているため、下側ポート80は患者ポート84に接続されている。同時に、スプール本体362は、変換器/生理食塩水ポート82を遮断している。
【0097】
スプール弁360の動作によって、プランジャ20とシリンジ本体18の動きにより生成された高い圧力は、患者ポート84に直接接続され、一方、生理食塩水ポート82と圧力変換器38は高圧から保護されている。作動させる圧力は可変であり、製造後にシリンジ予加重を増減することにより決められる。
【0098】
当業者には理解頂けるように、一般的な血管造影注入器システム10は、この他の構成に作ることもできる。例えば、米国特許第6,099,502号「デュアルポートシリンジ」(参照文献として援用)に記載の参照されている血管造影注入器システムの代わりのシリンジ及び取り付け用システム部分を、これまで説明してきたものに置き換え及び/又は修正するために採用してもよい。また、当業者には理解頂けるように、例えば、米国特許第6,221,045号「自動高/低圧力切換式血管造影注入器システム」(参考文献として援用)に記載されている、アッセンブリのマニホルド部分などに対する改良、並びに遠隔制御器14の他の構成を採用してもよい。遠隔制御アッセンブリの幾つかの代わりの構成は、前記参照出願、及び米国特許第5,916,165号「空圧制御装置及び方法」、及び米国特許第D404,717号「手持ち式空圧制御装置」に記載されており、上記全特許を参考文献としてここに援用する。
【0099】
前出図面の血管造影注入器システムの代わりの実施形態の構成を、図9aと図9bに符号10’で示している。図9に示す実施形態では、血管造影注入器システム10の構成要素の幾つかの物理的位置は、システムを使い易くするために配列し直されている。例えば、最初に説明した実施形態のユーザーインターフェース54、制御スイッチ56、及び表示装置58は、単一の制御パネル400に統合されている。図示の第2の実施形態では、制御パネル400は、スイベル基部上のコンソール又は注入器ヘッド12’に取り付けられており、最適配置にするため、ユーザーが外して再接続できるようになっている。図9の構成の機械的略図を図10に示している。図9と図10に示すように、電源装置59’回路は、コンソール12とは切り離して機械的に搭載されている。コンソールと電源装置
は、全体を符号402で示しているカートに取り付けられており、このカートは、容易に動かすための車輪を含んでおり、意図される方法で使用されるときに安定性を提供し転倒し難いように設計されているのが望ましい。カートは、コンソール及び電源装置アッセンブリを迅速に着脱できるようにして、コンソールと電源装置を、ベッド又は嵌合接続装置を具備している他の静止装置にドッキングさせることができるようにしている。図10に示すように、手持ち式制御器14’は、制御パネル400に作動的に接続されており、蠕動ポンプアッセンブリ44’は、コンソール12’に機械的に取り付けられている。本発明の第1の実施形態に関連して先に説明したシリンジと関連構成要素を保持するためのアッセンブリは、「取り付け室」404という名称の機能ブロックで全体を表している。先に「使い捨て」品目(即ち、シリンジ、シリンジ本体内のピストン、造影剤弁、患者マニホルド、造影剤注射針、及び患者血圧ポート)として説明及び参照したこれらの構成要素は、全体的に機能ブロック406で標示されている。
【0100】
血管造影注入器システム10’の第2の好適な制御構成の電気的機能ブロック図を図11に示している。複数の図面(図11a及び図11b)が、共同で血管造影注入器システム10’の電気制御ネットワークを構成している。図11のネットワークの説明を容易にするために、先に第1の実施形態の匹敵する電気的構成要素に使用した符号は、図11の同様に機能する電気的構成要素の説明では、必ずしも重複して使用していない。図11に示すように、制御システムは2つの別々のコンピュータシステムを含んでおり、それぞれが注入器システムの機能を監視及び制御するための知能を有している。先の実施形態と同じく、コンピュータシステムは、一般に、制御パネル400から入力信号を受け取り、表示装置のデータ、警報、状態情報、及びオペレータプロンプトに信号を供給する。好適な実施形態では、コンピュータシステムは、2つのマイクロコンピュータを備えている。全体を符号410で示しているPCプロセッサは、制御システムのマスタプロセッサの役目を果たし、全体を符号412で示している内蔵プロセッサは、スレーブプロセッサの役目を果たす。一般に、マスタプロセッサが、内蔵プロセッサにコマンドを実行するように命令するが、両プロセッサは共に、実行された行為を監視する。両プロセッサは共に、安全のために、独立した行為モニタとして機能する。注入器モーター運動及び蠕動モーター運動の様なキー的な機能は、両マイクロコンピュータによって監視される。好適な実施形態では、PCプロセッサ410は、386DOS中央演算処理ユニットを有しており、内蔵コアプロセッサ412は、HC16ビット中央演算処理ユニットを有している。本発明の精神及び意図の範囲内で、他の型式のマイクロプロセッサを使用できるものと理解頂きたい。
【0101】
図11を参照すると、PCプロセッサ410は、第1通信バス414によって、システム全体の電気的構成要素と通信しており、内蔵コアプロセッサ412は、第2通信バス416によって、システム全体の電気回路と通信していることが分かる。2つのプロセッサは、各自のバス及び符号417及び418で全体的に示している一対の通信レジスタによって、互いに通信している。一般的な「番犬/電源異常/リセット」機能は、機能ブロック419で示しており、ECG捕捉情報は、先入れ先出し方式に基づき、機能ブロック420により収集され、両プロセッサにより処理される。一般に、システムの各種電気的機能ブロックと2つのバス414及び416の間の通信の形式は、各電気的機能ブロックに関係付られている図11の個々の信号の流れの経路により、及びそれら信号の流れの経路内の信号流表記により、示されている通りである。
【0102】
図11に示すように、取り付け室404に付帯している各種電気的及び感知機能は、使い捨てシリンジを取り付け室の中に装填するのに使用される前方装填室ドアが閉じているときを示す「室閉鎖中」(422)という名称が付けられているセンサ;ボトルホルダ内に配置されており、ボトルの中に流体が存在するか否かを示す「造影剤空」(423)と表示されている造影剤ボトルセンサ;コンピュータが患者マニホルド弁及び造影剤弁の状
態を判定するために使用する「上側及び下側弁センサ」と表示されている2つの弁センサ(424);シリンジ及び使い捨て品目内の手動気泡検出をやり易くする「ELバックライト」と表示されている電場発光バックライト(425);シリンジ本体に隣接してシリンジホルダ内部に配置されている「造影剤ヒータ」(426)と表示されている加熱要素;造影剤を比較的一定した温度に維持するために造影剤ヒータを制御するための信号を提供するため、シリンジ本体付近に配置されており、「RTD温度センサ」(427)と表示されている一対の温度センサ;高圧配管内の空気を感知するために配置され、患者に対して汲み出される流体の気泡又は気柱の有無を監視する「気泡検出」(428)と表示されている気柱検出センサを含んでいる。図11に示すように、ELバックライト425を除き、取り付け室内のセンサのそれぞれは、両プロセッサと通信している。
【0103】
一般に、制御パネル400は、アームライト430、スピーカー431、タッチスクリーン432、表示装置433、及び非常スイッチ434を含んでいる。アームライト430は、注入器が注入を行う準備が整ったら点灯する。スピーカー431は、ユーザーとの可聴インターフェース通信を提供する随意的な特性である。表示装置33は、好適な実施形態では、システムの作動状態を表示するのに使用される液晶(LCD)パネルである。タッチスクリーン432は、LCDパネル上にオーバーレイされ、後で更に詳しく説明するが、ユーザーがシステムを制御するのに使用される。制御パネルの機能の全ては、PCプロセッサ410と直接通信している。非常スイッチ434は、通信バス414及び416の両方、並びに後で説明する遮断リレー及び注入器モーター半導体リレーと直接通信している。
【0104】
手動制御機能ブロック14’は、遠隔手動制御ユニットの回路機能を含んでいる。先に説明したように、手持ち式制御器は、ユーザーが作動させた時に、手動制御装置の変位に比例する電気信号を出力する様なやり方で、血管造影注入器ポンプを制御するために使用される装置である。制御器は、図11に示すように両マイクロプロセッサと通信するパッシブな電気機械装置である。手持ち式制御器には、物体の位置を遠隔的に確定し、制御器の手動可動部分のアクティブな移動距離と変位を求めるのに使用される、一対のシールされたオンコンタクトセンサが入っている。センサは、「アナログホール効果」(440)と「デジタルホール効果スクウィズ」(441)と表示されている2つの機能ブロックで示されている。生理食塩水リセット機能は、「生理食塩水リセットボタン」(442)と表示されており、「制御型及び接続状態」(443)と表示されている機能ブロックは、システムが「固定速度」又は「可変速度」注入の何れを行うのに使用されるかについて、手持ち式制御器を介してマイクロプロセッサに設定表示を提供する。可変速度モードの動作の下では、オペレータは、手持ち式制御器によって瞬間注入速度を事前に決められている最大流量まで変えることが許される。固定速度モードの動作では、オペレータが手持ち式制御器アクチュエータを強く握ると、制御システムは、単に、造影剤を、注入処理に先立って制御システムに入力された事前に決められた固定速度で注入することによって応答する。
【0105】
蠕動ポンプ44’は、マイクロプロセッサの制御下で、ポンプモーター及びモータードライバを介して駆動される。全体的に「PWM制御回路」(450)と表示されているモータードライバは、蠕動ポンプモーターにパルス幅変調制御信号を供給する。コンピュータは、モータードライバに前進(生理食塩水)及び逆行(廃棄物)両方の駆動信号を供給して、ポンプモーターを、生理食塩水洗浄の場合は前進方向に、廃棄物吸引の場合は逆行方向に作動させる。好適な実施形態の蠕動ポンプは、「速度超過トルク超過」センサ451と「遮断リレー」452を含んでいる。速度超過/トルク超過センサ451は、マイクロプロセッサに、ポンプ駆動回路450により蠕動ポンプの速度を正確に制御するためのフィードバック信号を供給する。遮断リレー452は、マイクロプロセッサ又は非常停止スイッチ434の何れかにより起動される。
【0106】
注入器モーター460は、シリンジ内のピストン又はワイパを動かすために作動的に接続されており、「モーター制御器」増幅器(461)によって制御される。好適な実施形態では、モータードライバ461は、後で説明する、入れ子式ループ制御構成により正確に制御される市販のサーボ増幅器である。一般に、モーター増幅器は、制御電圧に応じて駆動信号をモーターに供給する。前進、逆行、及び休止信号は、コンピュータから入り、光学エンコーダからの速度フィードバック信号は、速度を制御するのに使用される。モーター状態の監視動作は、「モーター状態速度超過/トルク超過」(462)という名称を付けられている機能ブロックで表示されており、モーターの速度と位置を感知するための独立した光学エンコーダセンサは、「エンコーダ」機能ブロック(463)と表示されている。内蔵マイクロプロセッサにバックアップ信号を供給するのに、ポテンショメータが使用されており、モーターの絶対「位置」が表示される。ポテンショメータは、ブロック図では、「絶対位置ポット」機能ブロック(464)と表示されている。光学エンコーダ及びポテンショメータの出力は、速度モニタ及び位置モニタ信号としてプロセッサに供給され、コンピュータがモーター速度、モーター方向及び位置を調べることができるようにしている。一対の前進及び逆行限界センサは、シリンジピストンの端限界位置を感知し、「F/R限界スイッチ」(465)という名称が付けられた機能ブロックで表示されている。ピストンがその前進限界位置に達すると、それ以上の前進運動は許されない。同様に、ピストンがその逆行限界位置に達したことを逆行限界センサが表示すると、それ以上の逆行運動は許されない。注入器モーター制御は、プロセッサ又は非常スイッチ434の何れかからのコマンドの下で注入器モーターを使用禁止にするための半導体リレー(470)も含んでいる。
【0107】
電源装置59’は、システムに全電力を供給しており、電源装置を110−120ボルトAC又は220−240ボルトACの何れに接続するかの選択を可能にしている外部選択可能電圧範囲スイッチ59a’を含んでいる。好適な実施形態では、ライン電圧動作周波数は、47Hzから63Hzの間になければならず、ライン電圧は、10アンペアの電流を通電させることができねばならない。電源装置は、更に、パワーインジケータ灯59b’、オン/オフスイッチ59c’、及びケーブルをシャーシ12’内の回路に繋ぐためのコネクタを提供するケーブルコネクタ59d’を含んでいる。
【0108】
注入器モーター460を制御するのに好適な入れ子式制御ループ構成のより詳細な電気的機能ブロック回路ネットワークを、図12に示している。この図に示すように、注入器モーター460は、この好適な実施形態では、サーボ増幅器ネットワーク回路461によって制御されているブラシレスDCモーターである。好適な実施形態では、サーボ増幅器ネットワーク461は、ブラシレスDCモーターを高い切替周波数で駆動するよう規定されているBE30AシリーズPWMブラシレスサーボ増幅器型番BE25A20である。好適な実施形態では、サーボ増幅器は、速度制御のための直交エンコーダフィードバック入力信号を使用している。サーボ増幅器は、全体を符号461aで示している出力駆動ポートと、フィードバック信号入力ポート461bと、速度制御信号入力ポート461cと、一対のアナログ出力信号ポート461d及び461e、それぞれを有している。出力ポート461dは、サーボ増幅器内で発生した、モーター460の圧力又はトルクに比例する電圧信号を搬送すると共に、「アナログ電流ライン」と称する出力フィードバックラインに信号を供給する。出力ポート461eは、サーバ増幅器内で発生した、モーター460の速度に比例する電圧信号を搬送すると共に、「アナログ速度」と称するラインに信号を供給する。光学直交エンコーダ(図12には図示せず)は、注入器モーター460(及び図11に符号463で表示)の出力ドライブに作動的に接続されており、サーボ増幅器461のフィードバック入力ポート461bにパルス列フィードバック信号を返し、サーボ増幅器461を通してモーター460の正確な速度制御を提供している。このループは、図中、第1ループ又は「サーボループ」と呼ばれている。この好適な実施形態では、サ
ーボ増幅器461は、この標準的なサーボループ構成を通して注入器モーター460の速度の非常に正確な制御を提供し、且つそれ以上の制御は殆ど必要としない、市販の増幅器である。直交エンコーダ信号は、更に、符号472で示す信号調整用デコーダ回路を通して一対のカウンタ473と474にフィードバックされ、それらカウンタは、それぞれ累積カウント信号を、内蔵プロセッサ412とPCプロセッサ410それぞれに供給する。サーボ増幅器461の出力ポート461dと461eそれぞれからのアナログ電流及びアナログ速度信号は、内蔵プロセッサ412に入力信号として直接送られ、「モーター状態速度超過トルク超過」機能ブロック462のコンパレータ462aと462bの第1信号入力にそれぞれ適用される。コンパレータ462aと462bの基準信号入力は、PCプロセッサ410から、「トルク基準」及び「速度基準」入力信号に対応している入力信号を受け取るために接続されている。
【0109】
コンパレータ462aと462bは、それぞれ、サーボ増幅器461から受け取ったフィードバック信号を、PCプロセッサ410から受け取った基準電圧信号と比較して、図12に表示しているように、内蔵プロセッサ412とPCプロセッサ410の両方にそれぞれ「トルク超過」と「速度超過」を表す信号出力を供給する。
【0110】
注入処置時、マスターPCプロセッサ410は、内蔵プロセッサ412に注入を行うよう指示する。このコマンドの一環として、内蔵プロセッサは、PCプロセッサに、望ましい流量と最大圧力許容条件が何かを教えられる。PCプロセッサは、注入コマンドを発行する直前に、2つのコンパレータ462aと462bに基準電圧値を設定するが、一方の値は、内蔵プロセッサが実施を許される最大流量を表しており、他方の値は、最大許容圧力を表している。注入中、サーボ増幅器461からの「アナログ電流」と「アナログ速度」フィードバック信号は、コンパレータ462aと462bにフィードバックされる。それらフィードバック信号電圧の何れかがコンパレータの各基準電圧を超過した場合、トリガされたコンパレータによって適切な出力信号が両プロセッサに返される。何れかのプロセッサがコンパレータから一方又は両方の信号を受け取った場合、プロセッサは注入器モーター460への電力を切り、直ちに注入を停止する。
【0111】
注入中、内蔵プロセッサ412は、ラム又はシリンジピストンの現在位置を求めるためにデジタルエンコーダ463を使用する。好適な実施形態では、注入された造影剤1ミリメートル毎に、エンコーダ463から1,317カウントを受け取る。注入中にピストンが動くと、内蔵プロセッサは、10ミリ秒毎に、ラム又はピストンの現在位置を見る。次いで、内蔵プロセッサは、単純な台形型運動に基づいてラムの理論的な位置を計算する。現在位置が、実際の位置から事前に決められているミリメートル数よりも大きくずれている場合には、注入は停止されエラーが報告される。
【0112】
「アナログ位置」信号を提供するポテンショメータ464は、同様の様式で使用されるが、その許容誤差はより大きい。ラム又はピストン運動の較正中、システムは運動距離ミリメートル当たりのオーム数を表す定数を計算する。注入中、内蔵プロセッサは、ピストンの理論的な位置を求めるために、同じ理論的台形運動を使用する。デジタルエンコーダ処理の場合と同様に、ラムの現在位置が、実際のアナログ位置示度から事前に決められたオーム数よりも大きくずれている場合には、注入は停止されエラーが報告される。
【0113】
従って、モーター460の一次直接サーボフィードバックループ制御が、デコーダ回路472とカウンタ473と内蔵プロセッサ412を通してサーボ増幅器461の信号入力端末461cにフィードバックされるエンコーダ信号を通して提供される「エラーループ」制御により補完される、入れ子式ループ制御ネットワークが確立されている。第1又は「サーボループ」は、比例積分を使用する標準的な速度制御ループであり、一方、外側の「エラーループ」は、確実に、サーボループが正確にモーター速度を制御しているように
するために、サーボループ制御を周期的に調べるだけの位置制御ループである。モーター460のギヤ列出力に作動的に接続されているポテンショメータは、単にエンコーダループに対するバックアップの役目を果たすだけの絶対位置センサである。同様に、カウンタ474を介してのPCプロセッサ410に対するエンコーダフィードバックは、内蔵プロセッサ412が、二次「エラーループ」を介して速度補正信号を提供する際に、万一、その意図されたやり方で動作するのに失敗した場合に、内蔵プロセッサ412を介する一次エラーループ制御に対する冗長的バックアップの役目を果たす。
【0114】
上で簡単に説明したように、複数のプロセッサを利用できることによって、両方の感知回路の知性を使用した真の多重冗長感知能力が提供されている。また、二重又は複数プロセッサの特性は、注入モーター運動及び蠕動モーター運動の様な、システムのキー的機能の冗長制御及び安全特性監視の能力を提供している。これらの状態は共に、上で説明し、図11と図12に示すように、両マイクロプロセッサによってアクティブに監視される。例えば、注入モーターの「速度超過安全回路」は、直交エンコーダ463がデコーダ回路472と一対のカウンタ473及び474を通して2つのプロセッサに信号を送ることによって提供される。エンコーダ情報を受け取るために2つの独立したプロセッサを使用するのは、内蔵プロセッサとPCプロセッサが共にパルスを計数して注入流量が求められることから、流量を感知する安全回路の役目を果たす。上で述べたように、個々のカウントは指定された時間間隔に亘って累積され、平均速度が算出される。安全特性は、速度超過状態が起きたときは、何れのプロセッサも自身の決定能力に基づいて注入器モーターを独立してシャットダウンすることができるという事実によって提供される。この様な冗長的感知経路二重プロセッサ制御によって、1つの構成要素が故障したときでも安全監視ができるようになる。
【0115】
同様に、「量超過安全回路」が、速度超過安全回路を提供するのに使用されているのと同じハードウェアによって提供されている。カウンタ473及び474を介して、エンコーダから内蔵プロセッサとPCプロセッサに供給されるパルスは、両プロセッサが独立してパルスを数え、注入量を判定することができるようにしている。量超過状態が起きたときは、何れのプロセッサも独立して注入器モーターをシャットダウンすることができる。
【0116】
複数のプロセッサを必要としない更なる二元安全特性が、ポテンショメータ464から受け取る「アナログ位置」信号によって提供されており、これは、内蔵プロセッサが、ポテンショメータからのアナログ電圧出力の変化を読み取ることによって量を調べることができるようにしている。ポテンショメータを直交エンコーダのバックアップとして提供することによって、注入量を感知するための更なる二重冗長安全性が提供されている。
【0117】
二重冗長モーター安全回路は、注入器モーター「電流超過」及び「速度超過」状態について先に説明した様に設けられている。それらの回路は、コンパレータ462a及び462bに関して先に説明した。コンパレータ462aは、サーボ増幅器461からの「アナログ電流」フィードバック信号を使用して、内蔵プロセッサとPCプロセッサの両方に二重入力信号を供給し、二重プロセッサ電流測定安全回路感知を提供する。同様に、コンパレータ462bは、サーボ増幅器461からの「アナログ速度」信号の結果として、両方のプロセッサに二重入力信号を適用し、注入器モーター速度の二重冗長感知を提供する。
【0118】
同様の安全回路が、蠕動ポンプ44’の制御のために提供されている。図11に示すように、蠕動ポンプも、速度超過/トルク超過ネットワーク451を含んでいる。この好適な実施形態では、蠕動ポンプ44’は、注入器モーターの様なブラシレスモーターではなく、PWM制御回路450からパルス幅変調入力信号を受け取る。ポンプモーター44’は、バックEMFを発生させ、これは、感知され、モータードライバ回路450からの出力電流と共にフィードバック信号として使用される。蠕動ポンプ安全回路の電気ブロック
図表示を図13に更に詳しく示している。本図では、PCプロセッサ及び内蔵プロセッサは、それぞれ符号410及び412で表示されている。図13に示す安全回路は、注入器モーターの速度と電流の感知に使用されているものと実質的に同じである。速度超過/トルク超過ネットワーク451の一対のコンパレータ451a及び451bは、注入器モーターの安全回路に関して先に説明したコンパレータ462a及び462bと同様のやり方で使用されている。コンパレータ451aは、両方のプロセッサにトルク超過出力信号を供給し、コンパレータ451bは、両方のプロセッサに速度超過入力信号を供給する。コンパレータ451は、PCプロセッサ410からトルク基準電圧信号を受け取り、コンパレータ451bは、プロセッサ410から速度基準電圧信号を受け取る。コンパレータ451aは、モータードライバネットワーク450からの電流出力信号を監視し、監視している電流出力信号がプロセセッサ410から供給されたトルク基準信号を超えた場合は何時でも出力信号を供給する。コンパレータ451bは、モーター44’からのバックEMF信号を監視し、バックEMF信号がプロセッサ410により適用されている速度基準電圧信号を超えた場合は何時でも出力信号を供給する。内蔵プロセッサ412は、一次駆動制御信号をモータードライバ450に供給する。
【0119】
図9に示す発明の実施形態では、システムとの全オペレータ/ユーザーのインターフェースは、電源装置をオンにすることと非常停止スイッチの起動以外は、制御パネルを通して行われる。システムの一方又は両方のプロセッサとの通信は、表示装置433にオーバーレイされているタッチスクリーン432上のスイッチを通して行われる。コンピュータは、表示装置上に、スイッチ表示をタッチスクリーン上のタッチパッドと整列させて適切にシミュレートした様々な画面を生成し、オペレータがタッチスクリーンを通してマイクロプロセッサと通信できるようにしている。パワーがシステムに対して初期化されると、制御パネル表示装置は、ユーザーに、システムが自己診断テストを行っていることを連絡する。診断及び較正テストに続き、表示装置は様々な設定ウインドウを表示し、オペレータに一連の指示を与えて、段階的な設定手続きを通してオペレータを案内してゆくが、これには、一般的に、シリンジ装填、係止及び充填、使い捨て接続、部及び洗浄が含まれている。
【0120】
PCプロセッサにより生成され、パワーアップ、較正、及び自己診断機能をユーザーに表示するサンプル画面を図14から図17に示している。各図を参照すると、初期パワーアップ画面が図14に示されている。この画面は、システムが全ての機能が正常に作動することを確かめるために初期診断チェックを実行している間、見えている。システムは、次いで、自動的に、設定及び較正を開始する。図15の画面は、シリンジラムが後方位置に動くと現れ、その後、図16の画面が表示されて、オペレータにどのようにシリンジアッセンブリを装填するかを指示する。シリンジ装填手順が完了すると、オペレータは図16のタッチスクリーン上の「完了」パッドを押す。システムは、これで、「設定」手続きを開始する準備が整っており、シリンジラムが前方位置に動いている間、図17の画面を表示する。
【0121】
図18の画面で「設定」指示が開始される。本図に示すように、オペレータは、システムの配管アッセンブリ部分をどのように装填するかについて、段階的なやり方で指示を受ける。オペレータは、図18で特定されたステップを完了すると、「完了」スイッチを押すことによってタッチスクリーンを作動させ、図19の画面に表示されているステップに進む。図19の画面は、圧力ドーム、マニホルド、及び流体配管の洗浄動作を含んでいる。それらのステップが完了し、「完了」スイッチを作動させると、図20の設定指示画面が表示される。画像20は、システムの圧力変換器及びポンプアッセンブリを取り付けるための指示を提供する。図20の画面品目を完了し「完了」スイッチを作動させると、図21の画面の設定指示が表示される。図21のステップが設定指示を完了し、オペレータが図21の画面の「完了」スイッチを作動させると、システムはシリンジを充填する準備
が整う。なお、図18から図21までの画面上に含まれている設定ステップの全ての段階の間、オペレータには、画面上の「Back」スイッチを押すことによって前の画面に戻るというオプションがあることを指摘しておく。
【0122】
設定指示が完了すると、システムがシリンジの充填を進める前に、オペレータは図22の画面の「OK」スイッチを作動させねばならない。「OK」スイッチが作動すると、システムは、自動充填及び空気抜き動作に進む。シリンジピストンがシリンジの後方に引かれ、造影剤がシリンジの中に引き入れられると、図23の画面が表示される。次いで、ピストンが方向を変え前方に動き始めると、空気がシリンジの上側ポートから追い出され、その間、図24の画面が表示される。シリンジピストンは、患者マニホルド内の下側弁が動く前に自動的に停止する。シリンジの空気抜き動作に続き、図25の画面が表示され、オペレータに、シリンジの下側ポートからシステムの高圧配管までの配管の空気抜きをどのように進めるかについて指示を供給する。配管の空気抜きをするために、オペレータは、図25の画面の「空気抜き」スイッチを押して保持し、空気及び気泡がシリンジと患者マニホルドの間の配管から押し出されて、患者マニホルドの前方/先端部から出て高圧配管に入っていく空気抜き過程を目視観察せねばならない。この手続きが完了すると、オペレータは図25の画面の「空気抜き」スイッチを放して「完了」スイッチを作動させる。オペレータが「空気抜き」スイッチを押すと、図26の画面が表示される。オペレータが「空気抜き」スイッチとの接触を解くと、図25の画面が再び現れる。図25の「完了」スイッチを作動させると、図27の表示画面が表示されることになる。
【0123】
図27の処理ステップは、最終的な生理食塩水洗浄手続きに関係する。オペレータが図27の画面の「洗浄」スイッチを押すと、システムは生理食塩水袋から止水栓までの配管を洗浄して、確実に配管内に気泡が存在しないようにする。オペレータが図27の画面の「洗浄」スイッチを押し続ける限り、図28の画面が表示されることになる。最終的な生理食塩水洗浄手続きが完了すると、オペレータは図27の画面の「洗浄」スイッチを放して「完了」スイッチを押し、図29の表示画面を表示させる。図29の画面は最終的な起動画面である。図29の画面の指示の完了に続き、オペレータが表示装置の「完了」スイッチを作動させ起動手続きを完了すると、システムはここでカテーテルへ接続される準備が整ったことになる。
【0124】
上で説明した起動手続きが首尾よく完了すると、システムは、全体を図30に示す主画面を表示する。その或る好適な構成の制御パネルの主表示画面は、図30に示すように各区画に分割されている。表示画面のフォーマット動作の全ては、PCマイクロプロセッサ410によりその制御下で提供されると理解頂きたい。図30を参照すると、画面の右側に沿って縦方向に4つの「機能キー」が並んでおり、それぞれ「注入」(500)、「生理食塩水」(510)、「吸引」(502)、及び「空気抜き」(503)と規定されている。上記4つの機能ソフトキーのアイコンは、オペレータが、機能キーの中の選択したキーを押して、選定した機能の状態ウインドウを立ち上げることができるように、タッチスクリーン432の適切なスイッチパッドと整列している。状態ウインドウは符号505で示されており、インジケータウインドウは符号506に配置されている。状態ウインドウは、システムメッセージを表示するため、及びシステムの動作の状態に関してユーザーにフィードバックを提供するために使用される。状態インジケータウインドウ506は、キーシステムセンサがアクティブ状態のときにそれらを表示する。
【0125】
LCA(左冠状動脈)508、RCA(右冠状動脈)509、及びLV/Ao(左心室/大動脈)510と表示されている「注入型式」又は「注入選択」キーは、機能キーの上方に配置されており、行われる注入処置の型式に関するオペレータ入力を提供する。注入型式は、上記3つの型式ボタンの内の1つを押すだけで変更することができる。新しい型式が選択されると、選択された型式に対するデフォルトパラメータ値が計算され、パラメ
ータキーに表示される。好適な実施形態(以下に詳細を記載)では、注入パラメータは、治療される患者の体重の様な実際の値に基づいて計算される。選択された注入キーの言葉表示が表示画面の一番上に表示される。図30に示すサンプル画面では、LCAキーが選択されており、それに関わる表示「左冠状動脈」が画面の一番上に表示されている。
【0126】
以下のアイコン表示、即ち、「流量」「注入量」「注入圧力」及び「立ち上がり時間」のパラメータは、注入状態ウインドウが開いている間、又は設定手続き中に、所望のパラメータのアイコンを押すことにより変えることができる。注入パラメータ/限界キーは、表示画面の一番上に沿って配置されている。
【0127】
「流量」ウインドウ512は、手持ち式遠隔制御器が一杯に押された場合に得ることができる最大流量を表示する。流量の単位はml/秒である。「注入量」パネル513は、一回の注入の間に注入できる総量限界を表示する。このパラメータの単位はmlである。「注入圧力」ウインドウ512は、注入の間に許容されるシリンジ内の最大圧力を表示する。この圧力に達すると、警告灯が点き、注入流量は表示圧力に制限される。圧力の単位はpsiである。「立ち上がり時間」ウインドウ515は、注入の間に許容される最大立ち上がり時間を表示する。立ち上がり時間の単位は秒である。
【0128】
システムは、米国特許第5,800,397号「自動高/低圧力切替を備えた血管造影注入器システム」に記載されているように、シリンジを自動的に或いは手動で補充する独自の能力を有しており、同特許を参考文献としてここに援用する。「補充」キーは、表示画面の「オプション」部分を構成している表示画面の最下部分に配置されている。全体を符号517で示している補充キーは、取扱症例中又は処置中、何時でも、所望のアイコンを押すだけでリセットされる。
【0129】
全体的に「速度形式」キーと表示されている第2のオプションキーは、符号518に配置されており、注入処置を、「固定」速度、又は遠隔手持ち式制御器14’でリアルタイムで制御できる「可変」速度の何れかに選択できるようにしている。
【0130】
プロセッサは、注入処置の間に存在する瞬間的な状態に関するリアルタイムの情報をユーザーに提供する。それら状態は、図31のサンプル画面に示している状態ウインドウ505内に表示される。表示パネルは、更に、「前回注入」ウインドウ520内に前回の注入の結果を表示する。前回の注入結果には、実施された前回の注入の「総量」と「最大流量」が含まれている。表示パネルは、更に、現在の取扱症例で患者に注入された造影剤の累積合計量を、「総造影剤量」表示ウインドウ522に表示している。前回注入及び総造影剤量表示ウインドウは、表示画面の左下部分付近に配置されている。総造影剤量表示は、或る取扱症例の処置には数多くのシリンジ充填処置が関与することから、注入処置中に瞬間的に入手可能となる重要な情報を提供する。更に、そのような充填処置は、シリンジの総充填又は単に部分的な充填の何れを表してもよい。先行技術の技法は、連続した注入過程に亘って患者に投与された造影剤の総量の記録を維持することについては、オペレータ/ユーザーに依存している。注入された造影剤の量の正確な累積合計が維持できていないと、結果的に、患者に注入物質が過剰投与される恐れがある。
【0131】
この好適な実施形態では、「患者体重」と表示されている表示ウインドウ/キーが符号524に示されている。この好適な実施形態では、この表示ウインドウは、現在の患者の体重を表示する。このキーを選択すると、ユーザーは患者の体重をキログラムでシステムに入力することができる。患者の体重は、注入値と限界を計算するのに使用される(以下に詳細を記載)。
【0132】
表示パネルの最後のキーは、表示パネルの左下部分付近に配置されている「取扱症例終
了」キー526である。このキーを作動させると、ユーザーは、システムのシャットダウン前、又は新しい取扱症例の開始前に、正しいステップを踏むよう促される。
【0133】
非常ボタン又はスイッチ434(図11)は、制御パネルの右上部分に物理的に配置されている。これは、(電源スイッチを除けば)表示画面上に配置されていない唯一の機能スイッチである。非常スイッチは、進行中の全機能を使用禁止にし、状態ウインドウ内に非常ボタンが押されたというメッセージを表示する。非常ボタン又はスイッチは、交互作用型式のスイッチである。押されるとボタンが点灯する。スイッチを切るには、ユーザーはボタンを再度押さねばならない。
【0134】
注入限界は、所望のパラメータのキー(512〜515)を押すことによって変えることができる。注入(キー518)が「固定」モードに設定された場合、ユーザーに対して状態ウインドウ内にキーパッドが提示される。この状態を図32に示している。ここで、新しい値を入力することができる。この新しい値は、プロセッサによって、選択された注入の型式にとって許容可能な範囲内であるか否か調べられる。入力値が許容可能範囲外である場合、この事実を示すメッセージがユーザーに表示される。「キャンセル」キーが押されると、前に設定された値がそのまま残る。注入オプション(キー518)が「可変」モードに設定されると、ユーザーの選択に備えて6つの異なる値の選択肢が状態ウインドウ内に表示される。この状況に対応するサンプル表示ウインドウを図33に示している。「キャンセル」キーが押されると、前に設定された値がそのまま残る。
【0135】
注入は、「注入」ボタン又はキー500を押すことによって開始される。LV/Ao(大注入ボタン)が選択されると、ユーザーはこれを確認するように求められる。このLa/Ao注入処置は、多量の造影剤の使用を表し、一方、RCA注入処置は、最少量の造影剤を使用する。次いで、ユーザーは、表示装置上のプロンプトによって、注入の「引き金を引く」のがOKであるか否かを尋ねられる。ユーザーは状態ウインドウの「OK」キーを押さねばならない。この時点で、要求された注入を行うのに十分な造影剤がシリンジ内に無い場合には、システムは補充を促す指示を出す。補充は、「補充」オプションキー517の状態次第で自動又は手動になる。量レベルが正しい時には、ユーザーは、手持ち式制御器14’を作動させて、注入処置を開始するよう促される。
【0136】
注入量が限界量の10%未満である場合は、注入回数は増加せず、手持ち式制御器は注入の引き金を引いた状態を保ったままである。「大」注入の場合、ユーザーは、別の注入が許可される前に「大OK」を再度押すように求められる。ユーザーは、画面上の何れかのキーを押して注入機能から出る。
【0137】
「生理食塩水」キー501を作動させると開始される生理食塩水洗浄機能は、生理食塩水袋から生理食塩水を引き出し、使い捨て接続部及び配管接続部を洗浄する。この機能が開始されると、「生理食塩水洗浄」状態ウインドウが、「洗浄」キー及び「完了」キーと共に表示されることになる。「洗浄」キーを押すと、使い捨て部分が生理食塩水で、長くて10秒間又はユーザーがキーを押すのを止めるまで、洗浄される。ウインドウ内の「完了」ボタンを押すと、洗浄処理が終了し、ユーザーは「主」画面に戻ることになる。
【0138】
吸引機能は、配管の流体をカテーテルから使い捨て部を介して廃棄物袋の中へと引き込む。これは、配管内に気泡が検出されると、それら気泡を除去するために使用される。吸引機能は、「吸引」ボタン又は表示パネル上のキー502を選択することによって開始される。「吸引」状態ウインドウが画面上に表示される。「吸引」キーを押すと、「吸引」キーが押されている間、長くて10秒間、配管の流体は使い捨て部を通り廃棄物袋の中に引き込まれる。「完了」ボタンを押すと、ユーザーは「主」画面に戻ることができる。
【0139】
使い捨て部から空気を流し出すには手動空気抜き機能が使用される。空気抜きを行う際には、シリンジ空気抜きと配管空気抜きの2つの選択肢がある。シリンジ空気抜きは、シリンジから空気を抜くことが関わっており、シリンジから空気が抜かれ、流体がシリンジ逆止弁を押して閉じると停止される。配管空気抜きは、シリンジから患者マニホルドを通して止水栓まで空気を抜く。この方法は、使い捨て部を通して造影剤を送り、気泡検出装置を切り離す。この空気抜きは、シリンジの患者マニホルド及び患者マニホルド弁の前部に対する相互接続部から空気を追い出すため、システム始動時に行われる。処置中、吸引洗浄処置を試行した後、使い捨て部内に気泡が残っている場合にも、配管空気抜きが使用される。「空気抜き」機能にアクセスするには、「主」画面から「空気抜き」キー503を選択する。「空気抜き」状態ウインドウが表示される。画面上には、「シリンジ」「キャンセル」「配管」の3つのオプションが提示される。「キャンセル」を選択すると、「主」画面に戻る。「配管」を選択すると、ユーザーは患者を切り離すよう警告される。ユーザーは、このことを「オーケー」キーを押すことによって認知せねばならない。この時、又は「シリンジ」を選択した場合、「空気抜き」キー及び「完了」キーがウインドウ内に表示される。「空気抜き」キーは、押して保持する型式のキーであり、押すと空気抜きを開始し、ユーザーがキーを放すまで、長くて10秒間、配管又はシリンジを通して空気抜きを続ける。空気が完全に抜かれて造影剤弁が首尾よく閉じられると、空気抜きは自動的に停止する。弁が閉じる前にユーザーが空気抜きを停止すると、空気抜きが完全でない旨のメッセージが表示される。画面上の「完了」キー又は何れか他のキーを押すと、空気抜き機能から外に出る。手動空気抜き機能のサンプル画面を図34に示している。
【0140】
キー517によって自動補充オプションが選定されると、所望の注入量限界に対してシリンジ内に十分な造影剤が無い場合は、シリンジは110mlまで自動的に補充される。これは、注入時に自動的に起こる。手動補充が選定されると、「補充」状態ウインドウが表示される。このウインドウでは「空気抜き」キー、「完了」キー、及び「補充」キーがアクティブである。「補充」キーを押し、そのまま押し続けると、プランジャが引き戻され、シリンジが充填される。充填されるとシリンジ内の現在の造影剤量が表示される。「補充」ボタンを放すと、補充動作は中断する。「空気抜き」キーを押すと、「空気抜き」キーが押されている間だけ、空気と流体がシリンジから追い出される。「完了」ボタンを押すと、ユーザーは「主」画面に戻される。それでも限界の注入値を満たすだけの造影剤がシリンジに無い場合には、「補充」状態ウインドウが注入時に再び開く。手動補充動作のサンプル画面を図35に示している。
【0141】
取扱症例を終了する場合は、「取扱症例終了」ボタン526をアクティブにする。状態ボックス内には「キャンセル」キーと「終了」キーが表示される。「キャンセル」キーを選択すると、ユーザーは「主」画面に戻る。「終了」キーを選択すると、取扱症例終了手続きが開始される。高圧配管が切り離され、造影剤容器がレセプタクルから取り外されると、「造影剤無し」インジケータが現れる。次に、「完了」ボタンを押すか又は選択すると、プランジャはシリンジ本体から自動的に引き出され、室の係止を解いて開放することにより、シリンジをシステムから取り外すことができるようになる。
【0142】
先行技術のシステムでは、治療を受ける患者の値又は特性に直接関係しているデフォルト注入パラメータの自動化された判定は提供されていない。その様な特性としては、その人の体重、年齢、健康、脈管の頑強性、カテーテル寸法などが挙げられる。例えば、先行技術のシステムは、特定の患者又は特定の処置について医師が記憶させた、その医師の選定した代表的な注入パラメータを表す記憶されている注入パラメータ値についてのメモリ呼び出し機能を含んでいる。本発明の各種実施形態は、注入処置の直前に提案されるデフォルト注入パラメータ値を求めるための自動化された方法を提供しており、それら注入パラメータ値は、治療を受ける患者の値又は状態に直接関係している。この方法の或る好適な実施形態の実例では、注入パラメータデフォルト値は、患者の「体重」を使用して計算
される。しかしながら、上で述べたように、デフォルト値計算の作成には、他の固有の患者係数を使用してもよい。患者の体重に基づくデフォルト注入パラメータの好適な実施形態による判定では、システムが実行することのできる3つの異なる型式の注入(即ち、LCA、RCA、又はLV/Ao)に対応して、3つの異なる組の式又はアルゴリズムが使用されている。LCA(左冠状動脈処置)では、4つの注入パラメータデフォルト値を求めるために使用された数式は、
LCA流量限界=3.5Ln(体重)−7.6 式1
LCA量限界=5.17Ln(体重)−11 式2
LCA立ち上がり時間=(流量+10)/100 式3
LCA圧力限界=(流量+20)25 式4
である。
【0143】
表1は、選択された患者体重に対して式1から4により求めた計算されたデフォルト注入パラメータ値の一覧を提示している。
【0144】
【表1】
【0145】
RCA(右冠状動脈処置)の好適な実施形態のデフォルト注入パラメータを、式5から8:
RCA流量限界=2.1Ln(体重)−4.8 式5
RCA量限界=2.7Ln(体重)−6 式6
RCA立ち上がり時間=(流量+10)/100 式7
RCA圧力限界=(流量+15)25 式8
により求めた。
【0146】
表2は、選択された患者体重に対して式5から8により求めた4つの注入パラメータの値の一覧を提示している。
【0147】
【表2】
【0148】
好適な実施形態では、LV/Ao注入選択(左心室/大動脈処置)のデフォルト注入パラメータ値を、式9から12により計算した。
LV/Ao流量限界=7Ln(体重)−16 式9
LV/Ao量限界=22Ln(体重)−46 式10
LV/Ao立ち上がり時間=(流量+10)/100 式11
LV/Ao圧力限界=60(流量)+200 式12
【0149】
表3は、選択された患者体重に対して式9から12により求めたデフォルト注入パラメータ値を示している。
【0150】
【表3】
【0151】
図36は、体重10〜130kgの患者に関し、左冠状動脈、右冠状動脈、及び左心室/大動脈機能について、それぞれ式1、5、及び9に基づいて求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフである。
【0152】
図37は、体重が10〜130kgの範囲にある患者に関し、それぞれ左冠状動脈、右冠状動脈、及び左心室/大動脈選択について、式2、6、及び10に基づいて計算された量限界デフォルト注入パラメータ値の対比グラフである。
【0153】
患者の(体重の様な)固有の特性に基づいてデフォルト注入パラメータ値を自動的に求めることにより、特定の患者に対する正しいデフォルトパラメータの選択に関係する推量因子を最小化することができ、注入処置の間の患者の状態の変化に対応したデフォルトパラメータを求める方法が提供され、そうでなければ、正しい注入パラメータデフォルト値を選択し又は求めるために、注入処置を統括している医師又はオペレータが頼らねばならない補助チャート及びグラフの必要性が無くなることが理解頂けよう。
【0154】
従って、特定の注入処置に関する一組のデフォルト注入パラメータ値を求めるために、ユーザーは、選択ボタン508〜510で提供される3つの注入選択肢の内の1つを選択して、患者体重ウインドウ524に患者の体重をキログラムで入力するだけでよい。このプロセスのフローチャートを図38に示している。本図を参照すると、行われる注入の型式の初期選択を含む初期設定プロセス(ブロック530)の後、オペレータは、患者の体重を入力する(ブロック531)。マイクロプロセッサは、選択された注入処置(即ち、LCA、RCA、又はLV/Ao)に基づき、且つ表示パネルを通してシステムに入力された患者の体重に基づき、そのための適切なアルゴリズムを使用することによってデフォルト注入パラメータを自動的に求める(ブロック532)。次に、計算されたデフォルト注入パラメータ値が、主画面上に表示され(ブロック533)このプロセスが完了する。オペレータには、求められた値を変更するオプションがあるが、殆どの用途では、デフォルト値に対する変更は一切要らないであろう。
【0155】
図39Aから図39Cは、1つの実施形態によるデュアルシリンジ造影剤注入システム
の図である。図39Aは、システム600の斜視図である。図39Bは、システム600の、各種内部構成要素を示している図である。図39Cは、システム600の一部の上面図である。これらの図に示しているシステム600は、制御パネル602と注入ヘッド604と電源装置(図示せず)を含んでいるデュアルシリンジシステムである。第1薬液リザーバー610は注入ヘッド604に取り付けられており、第2薬液リザーバー606も注入ヘッド604に取り付けられている。1つの実施形態では、リザーバー610は、滅菌造影剤のボトルを備えており、リザーバー606は、生理食塩水の様な滅菌希釈剤の袋を備えている。
【0156】
注入ヘッド604は、各種の副構成要素を備えている。例えば、注入ヘッド604は、小型表示器608、第1及び第2シリンジ/プランジャアッセンブリ614aと614b、第1及び第2弁/空気検出アッセンブリ612aと612b、及びアッセンブリ620を含んでいる。アッセンブリ620は、第3及び第4弁/空気検出アッセンブリを含んでいる。1つの実施形態では、それらアッセンブリに使用されている弁はピンチ弁を備えている。それらピンチ弁は、ソレノイド、空圧式、及び/又は他の形態の駆動機構により作動する。注入システム600は、流体を、リザーバー610から管616aを介して第1シリンジ/プランジャアッセンブリ614aの中に引き込むことができ、更に、流体を、リザーバー606から管616bを介して第2シリンジ/プランジャアッセンブリ614bの中に引き込むことができる。管616aは、第1弁/空気検出アッセンブリ612aを通って走っており、管616bは、第2弁/空気検出アッセンブリ612bを通って走っている。管616aの、アッセンブリ612aを通って走っている部分を覆うのにドア613aが使用されており、管616bの、アッセンブリ612bを通って走っている部分を覆うのにドア613bが使用されている。1つの実施形態では、ドア613aと613bは、透明又は半透明であり、それぞれ、各ピンチ弁/空気検出アッセンブリの外側縁に(開閉のために)ヒンジ付けされている。1つの実施形態では、ドア613aとドア613bは、それぞれ、各弁/空気検出アッセンブリの内側縁にヒンジ付けされている。
【0157】
アッセンブリ614aは、薬液を出力管618aの中に押し出すことができ、アッセンブリ614bは薬液を出力管618bの中に押し出すことができる。出力管618aは、第3弁/空気検出アッセンブリを通って走っており、出力管618bは第4弁/空気検出アッセンブリを通って走っている。出力管618aの、第3アッセンブリを通って走っている部分を覆うのにドア622aが使用されており、出力管618bの、第4アッセンブリを通って走っている部分を覆うのにドア622bが使用されている。1つの実施形態では、ドア622aと622bは、透明又は半透明であり、それぞれ、開閉のためにアッセンブリ620の外側縁にヒンジ付けされている。1つの実施形態では、ドア622aと622bは、それぞれ、開閉のためにアッセンブリ620の上面部分の共通のヒンジアッセンブリに連結されている。
【0158】
1つの実施形態では、空気検出器は、気柱検出器を備えている。空気検出器は、1つの実施形態によれば、気泡を検出することもできる。
システム600は、更に、主制御パネル602に加え小型制御パネル608も含んでいる。システム600のオペレータは、注入処置開始に先立ち、注入処置の1つ又はそれ以上のパラメータを設定するのに主制御パネル602を使用する。オペレータは、注入処置中に、処置の1つ又はそれ以上の態様、パラメータなどを変更するのにも主制御パネル602を使用し、又は注入処置を一時停止し、再開し、又は終了し、新たな処置を開始するのにもパネル602を使用する。制御パネル602は、流量、量、圧力、立ち上がり時間、処置型式、流体情報、及び患者情報の様な、様々な注入関連情報もオペレータに表示する。1つの実施形態では、主制御パネル602は、注入ヘッド604に電気的に連結された状態で、患者テーブルに接続されている。この実施形態では、オペレータは、パネル602により提供されている全ての機能性へのアクセスを確保しながら、主パネル602を
所望の場所に手で動かすことができる。
【0159】
1つの実施形態では、小型パネル608は、主パネル602により提供されている機能のサブセットを提供している。例えば、オペレータは、注入器設定を管理するのに小型パネル608を使用する。オペレータは、注入器の設定を管理するのに小型パネル608と対話する。小型パネル608は、この処理を支援するガイド付き設定指示を表示する。小型パネル608は、オペレータを支援するために或る特定のエラー及びトラブルシューティング情報も表示する。例えば、小型パネルは、オペレータに流体リザーバー及び/又はシリンジ内の造影剤又は生理食塩水の液面レベルが低くなっていることを警告する。1つの実施形態では、小型パネル608は、独自の表示機能性及び/又は主パネル602に関する追加的な機能を提供しており、これについては下で詳しく説明する。
【0160】
1つの実施形態では、更に、携帯情報端末(PDA)の大きさをした追加的な遠隔表示器(図示せず)が提供されている。この追加的遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネル602と通信している。この遠隔表示器は可動性であるため、医師は、この追加的遠隔表示器を柔軟に活用することができる。その寸法のおかげで、追加的表示器は、非常に持ち運びし易く、使用に便利である。遠隔表示器は、ユーザー入力を受け取って、表示情報を出力として提供することができ、1つの実施形態によれば、主パネル602により提供されている機能性のサブセットを提供している。1つの実施形態では、追加的遠隔表示器は、独自の表示機能性及び/又は主パネル602に関する追加的な機能を提供している。
【0161】
1つの実施形態では、出力管618aと618bは、再使用可能な部分と一回使用部分を含んでいる。この実施形態では、出力管618aと618bの一回使用部分は、患者カテーテルに連結されており、患者処置後に廃棄される。再使用可能部分とは、シリンジアッセンブリ614aと614bの出力に直接連結されている管部分である。1つの実施形態によれば、それら再使用可能部分と一回使用部分は、流体コネクタによって連結されている。アッセンブリ620の(ピンチ弁の様な)弁は、相互汚染を防止するのに役立つ。
【0162】
1つの実施形態では、管616aは、シリンジアッセンブリ614aの流体入力ポートに連結されており、管616bは、シリンジアッセンブリ614bの流体入力ポートに連結されている。出力管618a(又は、1つの実施形態では、少なくともその再使用可能部分)は、シリンジアッセンブリ614aの流体出力ポートに連結されており、出力管618b(又は、1つの実施形態では、少なくともその再使用可能部分)は、シリンジアッセンブリ614bの流体出力ポートに連結されている。
【0163】
1つの実施形態では、リザーバー606、リザーバー610、管616aと616b、シリンジアッセンブリ614aと614b、並びに管618aと618bの再使用可能部分は、複数の患者処置に亘って再使用される使い捨て構成要素である。管618と618bの一回使用部分は、一回の患者処置にしか使用されず、前記使用後は廃棄される、使い捨て構成要素である。
【0164】
図39Bは、システム600の或る特定の構成要素の内視図を示している。図39Bは、2つのモーター/アクチュエータアッセンブリ630aと630bを示している。アッセンブリの各モーターは、それぞれのリニアアクチュエータを駆動する。各リニアアクチュエータは、各シリンジのプランジャを駆動する。例えば、モーター/アクチュエータアッセンブリ630aのリニアアクチュエータは、シリンジアッセンブリ614a内のプランジャを駆動し、モーター/アクチュエータアッセンブリ630bのリニアアクチュエータは、シリンジアッセンブリ614b内のプランジャを駆動する。個々のプランジャは、シリンジ筒内で、前進方向又は後退方向の何れにも動くことができる。前進方向に動いて
いるとき、プランジャは流体を患者配管内に注入する。例えば、シリンジアッセンブリ614a内のプランジャが前進方向(図39Bでは左)に進むとき、プランジャは液体を出力管618aの中に注入することができる。後退方向(図39Bでは右)に動いているとき、プランジャは、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aの中に流体を充填することができる。
【0165】
図39Bに示すように、アッセンブリ612aは、弁632aと空気検出器634aを備えている。同様に、アッセンブリ612bは、弁632bと空気検出器634bを備えている。1つの実施形態では、弁632aと632bは、ピンチ弁を備えている。各弁632aと632bは、シリンジアッセンブリ614aと614bそれぞれにつながる流体接続を制御するために、システム600により開閉される。例えば、システム600は、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aに流体を充填するには、弁632aを開く。また、システム600は、リザーバー606からシリンジアッセンブリ614bに流体を充填するには、弁632bを開く。システム600は、1つの実施形態では、シリンジアッセンブリ614aと614bを同時に又は実質的に同時に充填することができる。システム600は、流体注入時には弁632a及び/又は632bを閉じる。例えば、システム600は、シリンジアッセンブリ614aが、アッセンブリ614aから出力管618aに流体を注入するのに使用されているときは、弁632bを閉じる。
【0166】
空気検出器634aと634bは、関係付けられている管616aと616b内の気柱又は気泡の存在を検出する。それら検出器には、光学、音響、又は他の形態のセンサが含まれる。1つの実施形態によれば、これらセンサの内の1つ又はそれ以上が、シリンジ614a及び/又は614bにつながっている流体配管内に空気が存在することを示す信号を生成すると、システム600は、ユーザーに警告するか又は注入処置を停止する。
【0167】
図39Bの実施形態では、アッセンブリ620は、出力弁636aと636b、並びに出力空気検出器638aと638bを含んでいる。1つの実施形態では、弁636aと636bはピンチ弁を備えている。システム600は、出力弁636aと636bを制御して、出力管618a及び/又は618bを介して、何時、流体を患者に注入するかを制御する。例えば、システム600は、弁636aを開いて、アッセンブリ614aが流体を出力管618aに注入できるようにする。また、システムは、弁636bを開いて、アッセンブリ614bが流体を出力管618bに注入できるようにする。1つの実施形態では、システム600は、流体を、シリンジアッセンブリ614aと614bから出力管618aと618bに同時に又は実質的に同時に注入する。この実施形態では、弁636aと636bは共に開かれる。システム600は、リザーバー610及び/又は606から対応するシリンジアッセンブリに流体を充填しているときには、弁636aと636bを閉じる。例えば、システム600は、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aに流体を充填するときは、弁636aを閉じる。この場合、弁632aは開いた状態となる。
【0168】
空気検出器638aと638bは、検出器634a及び634bと同様に機能するが、前者は、それぞれ関係付けられている出力管618aと618bの下流側に配置されている。それら検出器638aと638bは、関係付けられている管内に気泡又は気柱を検出すると、システム600に信号を送る。システム600は、検出器638a又は638bからその様な信号を受け取って処理すると、ユーザーに警告するか、注入処置を自動的に中断又は停止して、空気が患者に送り込まれないようにする。
【0169】
1つの実施形態では、システム600は、ユーザーが或る特定の構成要素をシステム600に手作業で装填するときには、弁632a、632b、636a、又は636bの内の1つ又はそれ以上を開く。例えば、システム600は、ユーザーが、アッセンブリ61
4aと管616aの様なシリンジアッセンブリと管を手作業で装填するときには、弁632aの様な入力弁を開く。別の例では、システム600は、ユーザーが、管618bの様な出力管を手作業で装填するときには、弁636bの様な出力弁を開く。
【0170】
図39Cは、システム600の一部の上面図を示している。図39Cは、1つの実施形態による、使用される状況連動型点灯器の一例を示している。この実施形態では、状況連動型点灯器は、各弁及び空気検出器に関係付けられている。点灯表示器650aと650bは、弁632aと632bにそれぞれ関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。1つの実施形態では、点灯表示器は、関係付けられた構成要素に隣接している。点灯表示652aと652bは、空気検出器634aと634bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。点灯表示器654aと654bは、弁636aと636bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。点灯表示器656aと656bは、空気検出器638aと638bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。個々の点灯表示器は、(弁及び空気検出器の様な)特定の構成要素がシステム600内のどこに設置されているかをオペレータに示すのに役立つ。1つの実施形態では、点灯表示器650a、650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bは、点灯型図形の様な点灯パターンを備えている。
【0171】
1つの実施形態では、システム600は、システム600に馴染みの薄い又は不慣れなユーザー向けのガイド付き設定モードを提供している。この実施形態では、状況連動型点灯器が、システム600を使用するためにどの様に設定するかをユーザーに案内する助けになる。例えば、システム600は、1つ又はそれ以上の点灯表示器を、点滅させ、色を変えさせ、又は、点灯表示器に、設定が或る特定の様式で進んでいること、又は或る特定の条件が存在することを示す別の視覚表示を提供させる。1つのシナリオでは、システム600は、表示650を点滅させて、ユーザーが弁632aを通して管616aを装填しようとしていることを示す。ユーザーが管を首尾よく装填してしまうか、別のやり方で設定機能を適切に実行すると、システム600は、点灯表示器650に常時(点滅していない)灯を表示させ、装填が完了又は成功したことを示す。同様に、表示の色の変化(例えば、赤から緑)によって、作業段階が首尾よく完了したことを示すようにしてもよい。残りの表示器650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bは、ガイド付き設定中は同様の様式で制御される。1つの実施形態では、システム600は、ユーザーが適切な装填用ドア613a、613b、622a、及び/又は622bを閉じるまで、又はユーザーが別のやり方で設定を正しく実行するまで、点灯表示器を常時点灯(装填成功表示)させない。
【0172】
1つの実施形態では、システム600は、更に、システム600をかなり使い慣れたユーザー向けの高速設定モードを提供する。この実施形態では、ユーザーは、ユーザーの裁量でシステム構成要素を装填することができ、システム600は、ユーザーが個々の構成要素の装填を首尾よく完了するか、又は別のやり方で1つ又はそれ以上の設定機能を正しく実行した後、表示を点灯することになる。例えば、ユーザーが弁636b及び空気検出器638bを通して出力管618bを装填した後、システム600は、点灯表示654b及び656bを視覚的に常時点灯表示させ、ユーザーが上記構成要素を通して出力管618を首尾よく装填し終えたことを示す。システム600は、装填成功を示すために、1つ又はそれ以上の点灯パターンに緑の様な特定の色の灯を表示させるようにしてもよい。
【0173】
1つの実施形態では、更に、システム600は、潜在的又は実際のエラー状態を表示するか、ユーザーが設定機能を正しく実行しなかったことを表示するために、点灯表示器に識別された色を表示させる。例えば、システム600は、表示器650bを常時赤色に点灯して、ユーザーに、弁632bが誤作動したことを示す。或いは、システム600は、
表示器656aを常時赤色に点灯して、ユーザーに、空気検出器638aが空気の存在を検出したことを示す。その他様々な視覚的又は図形的なパターン、表示などを、システム600の点灯表示器650a、650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bで行ってもよい。
【0174】
図40Aと図40B及び図41Aと図41Bは、システム600の様な電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。上記各図に示している例は、デュアルシリンジ注入システムに使用される使い捨て接続部に焦点を当てているが、他の実施形態は、他の構成を有する注入システム、例えば、図42に示すシステムなどでの様なシリンジと蠕動ポンプとして、それら接続部を使用する方法を提供している。様々な実施形態では、使い捨て流体接続部は、シリンジ、蠕動ポンプ、又は他の形態のポンプの様な、1つ又はそれ以上の加圧ユニットに連結されている。使い捨て流体コネクタの様々な実施形態は、電動注入システム及び/又は患者配管に必要な接続部の数をできる限り少なくするのに役立つ。
【0175】
図40Aは、使い捨て流体コネクタ682が注入システム600と共に使用されている1つの例を示している。この実施形態では、使い捨て流体コネクタ682は、注入ヘッド604のアッセンブリ部分680に装填される。この状態で、コネクタ682は、1つの単一のアッセンブリとして注入器に連結される。図40Bは、コネクタ682が部分680に装填された後の例を示している。コネクタ682は、1つの実施形態によれば、単一の患者処置だけに使用される(一回使用)。この実施形態では、コネクタ682は、特定の患者に対する注入処置に使用された後、廃棄される。1つの実施形態では、コネクタ682は、1つのアッセンブリとして注入ヘッド604の部分680に装填され、取り外される「使い捨てカセット」と呼ばれている。1つの実施形態によれば、コネクタ682の、部分680の上部に装着する部分又は部材は、プラスチックの様な弾性材料で作られている。この部材は、1つの実施形態によれば、管686aと686bの両方に取り外し不能に取り付けられている。コネクタ682を操作する際、又はコネクタ682を部分680に装填/取り外しする際、ユーザーは、管686aと686bの両方に取り外し不能に取り付けられている部材を把持及び/又は操作する。これにより、1つの実施形態によれば、ユーザーがコネクタ682を更に容易且つ便利に取り扱えるようになる。1つの実施形態では、この部材は、管686aと686bの両方に取り外し可能に接続されている。
【0176】
図40Aと図40Bに示すコネクタ682は、出力管686aと686bを含んでいる。コネクタ682は、更に接続部684を含んでいる。接続部684は、コネクタ682を外部医療装置又は外部信号に接続するのに用いられる。この接続部684は、注入器ヘッド604に連結される。例えば、1つの実施形態では、接続部684は、圧力変換器に接続されており、システム600が血流力学信号を監視できるようになっている。この実施形態では、圧力変換器を接続部684に接続するのにケーブルが使用されている。接続部684は、RJ−11コネクタを含んでおり、圧力変換器からの信号は、処理のため接続部684を経由してシステム600に送られる。1つの実施形態では、ケーブルは、血流力学的監視装置又はバルーン膨張装置の様な外部医療装置を、コネクタ684を介してシステム600に直接接続するのに使用されている。1つの実施形態では、システム600は、ヘッド604に対する接続部684の存在を接続部684によって検出することができる。この実施形態では、システム600は、ヘッド604の、部分680に対する電気的接続により、接続部684の存在を検出する。
【0177】
図40Aと図40Bに示すように、コネクタ682が装填されるとき、出力管686aと686bは、部分680の別々の溝又はチャネルに置かれる。出力管686aと686bは、出力管681aと681bそれぞれの一回使用部分を構成している。管686aと686bは、1つの実施形態によれば、単一使用(患者)にしか利用されず、個々の患者
処置の後、廃棄される。管686aと686bは、出力管618aと618bの、複数の患者処置に亘って再使用可能な部分に連結され、或いはシリンジアッセンブリ641aと641bそれぞれの出力部分に直接連結される、近位端部分を有している。管686aと686bは、それぞれ、患者に接続されている患者配管に連結することのできる遠位端を有している。(ピンチ弁の様な)弁636aと636bの使用は、出力管681aと681bの再使用可能部分の相互汚染を防止するのに役立つ。1つの実施形態では、管686aと686bは、(下の)図55Aと図55Bに図示しそれらに関連付けて説明するエラストマー系の弁の様な流体弁に連結されている。この実施形態では、管686aは、弁の第1入力ポートに連結され、管686bは弁の第2入力ポートに連結される。そこで、弁の出力ポートは、患者配管に連結される。弁は、管686aと686bを通って患者配管に流れる流体の流れを制御する。
【0178】
図41Aと図41Bは、別の実施形態による、システム600の様な電動注入システムに使用される、使い捨て流体接続部の斜視図である。図41Aは、システム600に使用される使い捨てコネクタの一例690を示しており、図41Bは、コネクタの一例690が注入器ヘッド604のアッセンブリ部分696に装填された後の状態を示している。コネクタ690は、先に図示し説明した接続部684に類似する接続部692を含んでいる。コネクタ690は、先の図に示しているコネクタ682より大きな寸法を有する部分696に装入するための構成要素を備えている。1つの実施形態では、この大きな寸法の構成要素は、部分696の受け入れ部分に被さるように滑り込ませ、出力管686aと686bは、部分686の狭い溝又はチャネルを通る際に密に近接する位置に設置される。
【0179】
図42は、1つの実施形態による、シリンジ714と、蠕動ポンプ724の様なポンプを含んでいる、電動注入システム700の斜視図である。この実施形態では、シリンジ714は、造影剤の様な第1薬液を患者に送達するのに使用され、ポンプ724は、生理食塩水希釈剤の様な第2流体を患者に送達するのに使用されている。システム700は、更に、主制御パネル702、小型制御パネル708、第1流体リザーバー710、第2流体リザーバー706、入力管716、出力管718aと718b、アッセンブリ720、及びドア722aと722bを含んでいる。
【0180】
1つの実施形態では、制御パネル702は、形状と機能が、図39Aに示すパネル602と同様であり、小型パネル708は、形状と機能が、パネル608と同様である。リザーバー710には、造影剤の様な第1の薬液が入っており、リザーバー706には、生理食塩水の様な第2の流体が入っている。図42の例に示すように、リザーバー710は、ガラスのボトルであり、リザーバー706はプラスチックの袋である。他の実施形態では、他のリザーバー型式が使用されている。リザーバー710内の流体は、シリンジ714内でプランジャが後退すると、管716を通りシリンジ714に充填される。システム700は、このプランジャの動きを制御することができる。1つの実施形態では、システム700は、手持ち式制御器からのユーザー入力又はパネル702及び/又は708上に提供されるユーザー入力の様なユーザー入力を受け取ると、プランジャの動きを制御する。リザーバー706内の流体は、蠕動ポンプ724の作動により、管718を通って移動する。ポンプ724も、システム700によって制御されている。
【0181】
シリンジ714内に入っている薬液は、出力管718aを介して患者に注入され、リザーバー706からの薬液は、ポンプ724の作動により出力管718bを介して患者に注入される。出力管718aと718bは、1つの実施形態では、患者カテーテルに作動的に接続されている。
【0182】
1つの実施形態では、管18aは、一回使用部分と複数回使用部分を備えている。一回使用部分は、患者配管(カテーテル)に作動的に連結されており、複数回使用部分は、シ
リンジ714の出力に連結されている。一回使用部分及び複数回使用部分は、コネクタを介して連結されている。
【0183】
1つの実施形態では、リザーバー706、リザーバー710、管716、シリンジ714、及び管718aの再使用可能部分は、複数の患者処置に亘って再使用される使い捨て構成要素であり、一方、管718aと管718bの一回使用部分は、単一の患者処置にしか使用されない使い捨て構成要素である。アッセンブリ720は、弁と空気検出器のアッセンブリを2個(それぞれシリンジ714とポンプ724に関係付けられている)を含んでいる。ドア722aと722bは、アッセンブリ720にヒンジ付けされており、ドア622a及び622bと同様に機能する。1つの実施形態では、システム700は、リザーバー710とシリンジアッセンブリ714の間に、図39Bに示す弁632a及び空気検出器634aと同様の弁と空気検出器(図示せず)を更に含んでいる。管716は、この弁を通り、この空気検出器を通って走っている。1つの実施形態では、弁は、ピンチ弁を備えている。
【0184】
1つの実施形態では、更に、携帯情報端末(PDA)の大きさをした追加的な遠隔表示器(図示せず)が提供されている。この追加的な遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネル702と通信している。この追加的な遠隔表示器は可動式であるため、医師は、より柔軟にこの表示器を使用することができる。この寸法のおかげで、追加的表示器は非常に持ち運びし易く、使用に便利である。遠隔表示器は、ユーザー入力を受け取り、情報を出力として提示することができ、1つの実施形態によれば、主パネル702により提供される機能のセブセットを提供している。1つの実施形態では、追加的な遠隔表示器は、独自の表示機能性及び/又は主パネル702に関する追加的な機能を提供している。
【0185】
図43から図54は、例えば、図39Aに示すシステム600又は図43に示すシステム700の様な電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施例を示している。それら画面表示は、先に図示し説明した制御パネル602、608、702及び/又は708の様な、システムの制御パネル上に提供される。1つの実施形態では、これらの画面表示は、主パネルに連結されている追加的な小型遠隔可搬表示器にも提供されている。その様な、小型遠隔表示器の例は、これまでに説明している。
【0186】
1つの実施形態では、図43に示す画面表示は、制御パネル602又は702の様な、システムの主コンソール又は制御パネル上に提供される。図43に示すように、制御パネルはタッチスクリーンインターフェースを含んでいるので、システムのユーザーは、提示されている画面表示と対話することができる。1つの実施形態では、制御パネルは、システムへ入力するためにユーザーが押すことになるハードボタンも含んでいる。他の実施形態では、他の形態の(音声起動式、手制御式、足制御式の様な)ユーザーインターフェースが使用されている。
【0187】
ユーザーは、表示されているオプションの内の1つを選択することにより、行われる処置の型式を選択する。図43では、表示されているオプションは、「LCA」(左冠状動脈)、「RCA」(右冠状動脈)、及び「LV/Ao」(左心室/大動脈)である。各オプションは、アイコンの様な対応する図形シンボルと関係付けられている。各シンボルは、患者に対して行われる医療処置についての情報と関係付けられている。1つの実施形態では、各シンボルは、図43の例に示すように、行われる医療処置と関係付けられている患者の解剖学的位置(例えば、LCA、RCA、LV/Ao)を表している。本例では、ユーザーは「LCA」を選択している。1つの実施形態では、シンボルは、それぞれ、医療処置を行う際に使用される医療装置又は機材の型式を表している。
【0188】
一旦、ユーザーが選択を行うと、その選択の、対応する医療処置と関係付けられているデフォルト注入パラメータが取り出され、ユーザーに表示される。図43の例では、「LCA」を選択した場合のデフォルトパラメータ、即ち左冠状動脈への注入処置と関係付けられているパラメータが表示される。それらデフォルトパラメータは、1つの実施形態では、システム内に記憶されており、製造者によって構成されている。1つの実施形態では、ユーザーは、記憶されるデフォルトパラメータをカスタマイズすることができる。それらパラメータは、個々の患者注入処置に適用される。1つの実施形態によれば、パラメータがユーザーに表示された後、ユーザーは、次に、GUIを使用してパラメータの内の1つ又はそれ以上を変更することもできる。
【0189】
グラフィカルシンボル又はアイコンの使用は、実行される適切な処置と関係付けられている素早く認識できる図形表現をユーザーに提供するのに役立つ。これは、設定の作業の流れと速度の改善に役立つのみならず、恐らくミスを防止することにも役立つ。1つの実施形態では、図形アイコンは、更に、状況、状態、又は装置を示す様々な色で表示される。1つの実施形態では、様々な色は、以下の状態、即ち、未選択、選択済み、引き金が引かれた(注入器)、及び触れられた(ユーザーに)、に使用される。例えば、ユーザーがオプションの内の1つを選択した後、システムは、多くの場合、選択されたオプション(及び対応する図形シンボル)の色を変化させることによって、選択されたオプションをGUI内に表示する。
【0190】
図43では、ユーザーは、最大注入量、最大流量、立ち上がり時間、及び最大注入圧を変更することができる。画面表示は、更に、関係付けられている(リザーバー706又は710の様な)造影剤リザーバー内に残留している造影剤又は生理食塩水の量を示すためのバー表示を、対応する数値と併せて含んでいる。ユーザーは、「注入」ボタンを押して流体の注入を開始させるか、「補充」ボタンを押して補充動作を開始させる。ユーザーは、(1つの実施形態によれば)、一方の(造影剤の様な)液状媒体については「注入」を押し、同時又は実質的に同時に第2の(生理食塩水の様な)液状媒体については「補充」を押すこともできる。1つの実施形態では、システムは、先にシステムに入力された入力に基づくリザーバーの寸法/容積を知っている。
【0191】
図44は、1つの実施形態による、表示上のアクティブ及び非アクティブ画面部分の一例を示している。この実施形態では、「設定値調整」と呼ばれる画面ウインドウがアクティブウインドウであり、他の全ての背景メニューは又はウインドウは非アクティブになっている(灰色にぼやけている)。この様式では、ユーザーの注目は、表示のアクティブ部分にしか向かず、残りの表示部分は全面的に使用不能になっている。本例では、ユーザーの注意は、ユーザーが以前に変更で選択したものに基づく設定値の調整にしか向かない。アクティブウインドウは、ユーザーが、最大圧力、立ち上がり時間、及びKVO(静脈開通維持)流(KVO特性がオンになっている場合)を調整するのに使用される。
【0192】
図45は、図43に示したのと同様の画面表示を示している。但し、図45の表示は、幾つか追加の特性を含んでいる。図示のように、画面表示は、以前の注入の流量、以前の注入の注入量、所与の取扱症例の合計流体注入量の様な、追加の詳細を提供している。この画面表示は、使用中のカテーテルの現在寸法、計算された注入圧力、立ち上がり時間、及びKVO流量についての詳細も提供している。また、画面表示は、バルーン膨張装置(膨張/収縮では「膨張収縮装置」)の様な外部医療装置を制御し管理するため、画面のボタンで制御及び設定できるようにしている。1つの実施形態では、バルーン膨張装置は、自動膨張装置である。画面表示のGUIを使用して、ユーザーは、膨張装置の引き金を引く/引き金を外すこと、処置に使用されるバルーン/ステント/他の型式を選択すること、膨張/縮小に関する圧力と時間の様な各種膨張/収縮パラメータを調整することができ
る。図45に示す画面表示は、制御パネルに表示されている単一のGUIから、複数の医療装置を制御するための無数のオプションを、ユーザーに提供している。
【0193】
図46Aと図46Bは、医師の様な特定の個人に対し、各種注入設定又はパラメータをカスタマイズするためにユーザーに提供される画面表示の一例を示している。個々の注入システムが長い間に複数の異なる医師又はオペレータによって使用されるので、これは、医師らが、所与の処置型式又はシナリオについて自らが選択した又は好みの設定に関して、1つ又は複数のプロファイルを作成するのに、しばしば有用である。個々のユーザーは、システムを使用したいと思えば、ユーザーはシステムに保存されている自分達の好みのプロファイルを素早く且つ便利に呼び出すことができる。
【0194】
図46Aに示すように、ユーザーは模範的な医師の処置を選択している。「小児末梢」、「小児冠状動脈」、及び「小児頸動脈」の様な各種処置が表示されている。各処置のデフォルトセットは、製造者によりシステムにローディングされるが、ユーザーが更にカスタマイズすることもできる。個々の処置型式内で、システムは、患者の年齢又は年齢層の様な患者の付加的な部類を表示する。
【0195】
図46Bの例では、ユーザーは、表示されている医師の「小児末梢」の一般的処置型式の場合の「年齢5−7」を選択している。この医師の場合、表示されているパラメータは、特定の処置型式に関する、そして指定の年齢範囲内に入る患者のデフォルトパラメータとして記憶されることになる。図46Bに示すように、画面は、選択された型式での特定の処置に関するパラメータを表示している。それら処置の例には、「左冠状動脈」、「右冠状動脈」、及び「左心室」がある。関係付けられている図形表示又はアイコンが、処置の文字説明の横に表示されている。最大注入量及び最大流量の様な、処置毎に指定されているパラメータも示されている。ユーザーは、表示されている医師で使用される処置パラメータの何れを選択又は変更してもよく、その場合、それらは後で使用できるようにシステムに記憶される。
【0196】
図47は、エラーインジケータの画面表示の一例を示している。図示のように、この特的のエラーインジケータは、ユーザーに特定の警告を図形的に示している。このシナリオでは、警告は、造影剤ボトルが空であることを示している。この実施形態では、ユーザーは、それまで表示されていた画面に戻る前に、「OK」ボタンをクリックせねばならない。警告ウインドウは、ユーザーに表示される注目の強調表示されたウインドウの別の例を提示しており、一方、他の全てのウインドウ及び/又はGUIの部分は淡色表示/灰色にされ、ぼやかされている。1つの実施形態では、図47に示す警告ウインドウは、黄色の様な特定の色で表示される。この実施形態では、特定の型式の警告に1つの色が使用され、他の型式の警告又はエラーには他の色が使用されている。各色の使用は、システムに起こるであろう又は起こった問題を素早く且つ正確に識別し解消するのを支援する。
【0197】
図48から図50は、(システム600又は700の様な)注入システムの設定に際し、システムにより提供される画面表示の各例を示している。1つの実施形態では、設定画面は、(パネル602の様な)主制御画面と注入ヘッド側の(パネル608の様な)小型パネルの両方に提示させることができる。この実施形態では、主制御パネルは、或る特定の設定情報(又は設定画面)を提供することができ、一方、小型パネルは、設定情報の型式又は順番に基づき他の設定情報(又は画面)を提供することができる。1つの実施形態では、設定画面は、主制御パネル又は小型制御パネルの何れかにしか提供されない。1つの実施形態では、設定画面は、(PDAの大きさをした)小型遠隔可搬パネル上にも提供される。
【0198】
1つの実施形態では、注入システムは、ガイド付き設定と高速又は熟練者設定モードの
両方を提供している。ガイド付き設定モードは、システムに馴染みの薄い又は不慣れなユーザーに、又はシステムの使用方法について更に具体的な指示を求めているユーザーに使用される。ガイド付き設定モードでは、注入ヘッドの状況連動型点灯方式が、システムを使用するのにどの様に設定するかに関してユーザーを案内するのに更に役立っている。例えば、ガイド付き設定モードでGUI(コンソールのグラフィックユーザーインターフェース)の指示を通して進めてゆく間、システムは、注入ヘッド上の、パターンの様な、1つ又はそれ以上点灯表示器を、点滅させ、色を変えさせ、又は点灯表示器に、設定が或る特定の様式で進んでいること又は(エラー状況の様な)或る特定の状態が存在することを示す何か他の形態の視覚表示を提供させる。例えば、1つのシナリオでは、GUIは、ユーザーが造影剤シリンジを装填するように指定する。注入ヘッドでは、造影剤シリンジに関係付けられている状況連動型点灯表示器が、黄色の様な特定の色で点滅して、ユーザーに行動を起こすよう指示する。次に、GUIは、造影剤シリンジの装填に関して、ユーザーに図形及び文字による指示を与える。この様式では、ユーザーは、GUIからガイド付き設定指示を受け取り、注入器ヘッド上で設定の支援となる対応するインジケータ(状況連動型点灯方式を介して)を受け取る。リザーバーの装填、管の装填、カートリッジの装填、手持ち式制御器のシステムへの設置、その他の様な他の設定タスクでは、追加の指示が提供される。様々な色及び色パターンも使用される。例えば、システムは、或る特定の設定ステップを行うべきであることを示すのに黄色灯/点灯パターンを、或る特定の設定ステップが首尾よく実行されたことを示すのに白色灯/パターンを、或いは1つ又はそれ以上のエラーが起こったことを示すのに赤色灯/パターンを提供する。また、システムは、様々な状況状態に対し点滅又は常時点灯パターンを提供する。例えば、システムは、或る特定の設定ステップを実行すべきことを示すのに点滅ライトを提供し、又は或る特定の設定ステップが完了したことを示すのに常時点灯ライトを提供する。
【0199】
1つの実施形態では、システムは、更に、システムの使用にもっと慣れているか、対話的な設定手続きを経由するのを望まないユーザー向けの、高速又は熟達設定モードを提供している。この実施形態では、ユーザーは、ユーザーの裁量でシステム構成要素を装填することになり、システムは、ユーザーが或る特定の設定段階を首尾よく完了したことを示す或る特定の点灯パターンを実施することになる。例えば、ユーザーが、管を弁と空気検出器の両方に通して装填した後、システムは、注入ヘッドの点灯表示に、常時点灯ライトを視覚的に表示させ、ユーザーが管の装填を首尾よく完了したことを示す。更に、システムは、1つ又はそれ以上の点灯パターンに、緑の様な特定の色のライトを表示させ、装填の成功を示す。図49は、ユーザーがガイド付き設定モード又は熟達設定モードの何れかを選択するのに使用するGUIの一例を示している。注入器ヘッド並びにその手持ち式制御器への連結部の図形表現が表示されている。一旦、設定が開始されたら、様々なライト及び点灯パターンが使用される。
【0200】
図48は、ガイド付き及び/又は高速モードでの、注入器の初期設定の際にコンソールに提示されるGUIの1つの例を示している。流体リザーバー、シリンジ、及び多種多様な弁/空気検出器アッセンブリの様な、注入器ヘッドの各種構成要素の図形表現が、GUI内に示されている。アイコンと明色コーディングを図形表現と併せて使用することで、生理食塩水が生理食塩水リザーバーからシリンジの中に装填されたことが示される。この初期設定時には、GUIの指示と共に、注入ヘッドの状況連動型点灯方式パターンも使用されている。ユーザーがガイド付き設定モードを選択すると、システムは、生理食塩水が首尾よく装填された後、次の設定ステップをGUIに表示する。GUI内に様々な形態の視覚表示(例えば、図形シンボル又は文字による指示など)を使用することにより、システムは、どの特定の単数又は複数の設定機能を、システムの対応する構成要素で実行すべきかを示すことができる。1つの実施形態では、矢印の様な図形シンボル、又更には色付き強調表示が、GUI内で使用されている。図形シンボルは、様々に異なる色で表示される。ガイド付き設定モードでは、GUIは、一連の視覚表示又は指示を提示し、ユーザー
にシステムの詳しい設定指示を与える。
【0201】
図50は、1つの実施形態による、ガイド付き設定手続き時に提供されるGUIの一例を示している。この例では、GUIは、造影剤シリンジを設定するための指示をユーザーに与えている。GUIは、注入器ヘッドに装填された造影剤シリンジの図形表現、並びに入力及び出力管の表現を提供している。図示の入力管は、弁と空気検出器を通って走っている。GUI内の文字による指示は、ユーザーが造影剤シリンジ室を開き、シリンジを室内に置き、そして室を閉じるように指示している。GUI内の図形及び文字情報の組み合わせは、設定処理時にユーザーに多様な形態の有用な情報を提供する。
【0202】
図51から図54は、パネル608及び708の様な小型制御パネル内に表示される図形情報の例である。図51は、左冠状動脈注入処置の詳細及びパラメータを表示するためにGUI内に提供される画面の一例を示している。ユーザーは、処置中に送達される薬液の最大量並びに最大流量を、「+」及び「−」ボタンを使用して変更することができる。1つの実施形態では、それらボタンは、制御パネルのハウジング上に設けられているハードボタンである。1つの実施形態では、それらボタンは、タッチスクリーンパネル内に提供されている。図51は、更に、立ち上がり時間、及び計算又は測定された流体圧を、造影剤及び生理食塩水流体リザーバーに残留している流体の量のバー表示と併せて表示している。ユーザーが主制御パネルの近くに居ないとき、ユーザーは、(注入器ヘッドに設置されている)小型制御パネルに表示されている情報が特に有用且つ便利であることがわかる。
【0203】
図52は、GUI内に提供される設定情報の別の例を提示している。図示のように、この特定の例は、ガイド付き設定処理に関する情報を提供する。文字情報は、ユーザーに、管を弁に通して設置し、ドアを閉じるように指示している。図形情報は、弁を通して設置された管を表現したものを示しており、ユーザーが識別できるように矢印で弁を指している。
【0204】
図53は、ボトル選択画面の一例を提示している。1つの実施形態によれば、GUIとの対話を通して、ユーザーは、使用する造影剤ボトルの容積又は大きさを選択する。図53に示すように、ユーザーは、表示されているオプションから、ボタン800、802、804、又は806にタッチすることによって選択する。以前に使用された造影剤リザーバーの容積又は大きさもGUI内に表示される。1つの実施形態では、ボタン800、802、804、806は、ハードボタンである。1つの実施形態では、ボタン800、802、804、806は、タッチスクリーン上で選択可能なボタンである。
【0205】
図54は、ユーザーに提示される警告の一例である。例えば、この警告は、小型制御パネルの、図51に示す画面表示に提示される。この特定の警告は、流体リザーバーの流体量が少なくなってきていることを示している。アイコン又は図形表現が、対応するバー表示の横に表示されている。図54では、警告は、造影剤リザーバーが少ないことを示している。ユーザーは、この警告を見ると、すぐに交換が必要であることに気づく。造影剤リザーバーが実際に空になると、別の警告又はエラー表示が表示される。
【0206】
様々な画面が、遠隔小型表示器又は制御パネルに表示される。この遠隔パネルは、1つの実施形態によれば、無線接続を使用して、主パネルと通信する。1つの実施形態では、遠隔パネルは可搬式であり、PDA(携帯情報端末)の大きさの様に小さい。遠隔パネルの画面サイズは、1つの実施形態によれば、主パネルよりも小さいが、それでも、複数の異なる色による情報を含め、膨大な量の表示情報をユーザーに提供することができる。ユーザーは、1つの実施形態によれば、遠隔パネルを使用して、情報を入力することもでき、その情報は次いで主パネルに送信して戻される。
【0207】
図55Aは、電動注入システムと共に使用される弁の1つの実施形態の斜視図である。例えば、弁は、1つの実施形態によれば、図39Aに示すシステム600と共に、又は図42に示すシステム700内で使用される。1つの実施形態では、弁は、患者配管の一部、即ち一回使用キットであるエラストマー系の弁アッセンブリを備えている。図55Aに示す弁は、第1入力ポート900、第2入力ポート904、トランスデューサ接続部902、出力ポート906を含んでいる。トランスデューサ接続部902は、血流力学の監視に使用される圧力トランスデューサに連結される。次いで、圧力トランスデューサが、血流力学監視システムに連結される。入力ポート900は、図39Aに示す出力管618bの様な第1流体出力配管に接続される。1つの実施形態では、入力ポート900は、低圧配管に連結されている。入力ポート904は、出力管618aの様な第2流体出力配管に接続される。1つの実施形態では、入力ポート904は、高圧配管に連結されている。出力ポート906は、カテーテルに繋がっている患者配管に連結される。この実施形態では、流体は、ポート906から押し出され患者に注入される。1つの実施形態では、弁は、流体がポート900又は904の何れかからポート906に流れるのは許容するが、反対方向に流れるのは許容しない一方向弁として機能している。1つの実施形態では、弁は、二方向の流体の流れを提供することができる。
【0208】
図55Bは、システム600又はシステム700の様な電動注入システムと共に使用される弁の別の実施形態の斜視図である。この実施形態では、弁は、第1入力ポート910、第2入力ポート914、出力ポート916、及び通気口912を備えている。図55Bに示す弁は、トランスデューサ接続部を含んでいていないが、代わりに、通気口912を含んでいる。
【0209】
図56は、システム600又はシステム700の様な電動注入システムと共に使用される手持ち式制御器の1つの実施形態の斜視図である。この手持ち式制御器は、システムに連結されており、ユーザーが患者への流体の注入を制御するのに使用される。1つの実施形態では、手持ち式制御器は、各患者処置後に廃棄される使い捨て構成要素である。1つの実施形態では、手持ち式制御器は、複数の処置に亘って再使用可能である。
【0210】
手持ち式制御器は、ハウジング1000、第1ボタン1002、及び第2ボタン1004を備えている。図示のように、ハウジング1000は、人間工学的に肉薄であり、ユーザーの掌にぴったりと沿う。1つの実施形態では、ハウジング1000は、プラスチック材料で作られており、ボタン1002及び1004は、シリコン又はゴムの様な可撓性材料で作られている。ユーザーは、生理食塩水の様な第1流体を患者に注入する場合にはボタン1002を押す。ユーザーは、造影剤の様な第2流体を患者に注入する場合にはボタン1004を押す。或るモードでは、ユーザーは、所定量の流体を注入する場合にはボタン1002を押す。或るモードでは、ユーザーは、可変量の流体を可変流量で注入する場合にはボタン1004を押して、ユーザーがボタン1004をどれだけ長く、どれだけ強く押すかによって加減する。1つの実施形態では、ユーザーは、ボタン1002又はボタン1004の何れかを押すのに、親指の様な同じ指を使う。1つの実施形態では、ユーザーは、別々の指を使って、ボタン1002と1004を同時に又は実質的に同時に押す。1つの実施形態では、手持ち式制御器及び対応するボタンは、空圧式インターフェース又は電子式インターフェースを使用して、注入システムに連結されている。他の実施形態では、他のインターフェースが使用されている。1つの実施形態では、図56に示す手持ち式制御器は、図1に示す手持ち式制御器14に置き換えられている。
【0211】
以上、好適な実施形態の説明及び本発明の使用法を開示してきたが、上記の記述に照らし、当業者には、ここで具体的に開示又は言及していない他の変更例が自明であろうと考えられる。上記説明は、好適な実施形態、構造、方法、アルゴリズム、及び用途の特定の
実施例を提供することを意図している。従って、本発明は、何れの特定の実施形態又はその構成又は構成要素部分に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】血管造影注入器システムの好適な実施形態を示している斜視図である。
【図2A】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2B】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2C】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2D】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2E】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2F】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2G】図1のシステムの作動を示している図である。
【図3A】図1の注入器システムの制御システムの電気ブロック図である。
【図3B】図1の注入器システムの制御システムの電気ブロック図である。
【図4】注入器システムの好適な実施形態の前面パネルの制御及び表示部を示している。
【図5A】図1のシステムの遠隔制御器の側面図部である。
【図5B】図1のシステムの遠隔制御器の部分上面図である。
【図6】足操作式遠隔制御器の斜視図である。
【図7A】図7Aは、造影剤充填時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7B】図7Bは、空気抜き時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7C】図7Cは、空気抜き、及び患者注入動作時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7D】図7Dは、患者注入動作時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図8A】図8Aは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図8B】図8Bは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図8C】図8Cは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図9A】図9Aは、血管造影注入器システムの第2の実施形態の構成を示している斜視図である。
【図9B】図9Bは、血管造影注入器システムの第2の実施形態の構成を示している斜視図である。
【図10】図9に開示されているシステムの各部の取り付け構成を示している機械ブロック図である。
【図11A】図11Aは、図9及び図10のシステムの制御システムと電気的機能の電気ブロック図である。
【図11B】図11Bは、図9及び図10のシステムの制御システムと電気的機能の電気ブロック図である。
【図12】図11の制御システムの注入器モーター制御部分の電気ブロック図である。
【図13】図11の制御システムの蠕動ポンプモーター制御部分と関係付けられている安全回路の電気ブロック図である。
【図14】図11のシステムの表示装置のパワーアップ画面の図である。
【図15】図11のシステムの表示装置の逆行較正画面の図である。
【図16】図11のシステムの表示装置のチェック画面の図である。
【図17】図11のシステムの表示装置の前進較正画面の図である。
【図18】図11のシステムの表示装置の第1起動指示画面の図である。
【図19】図11のシステムの表示装置の第2起動指示画面の図である。
【図20】図11のシステムの表示装置の第3起動指示画面の図である。
【図21】図11のシステムの表示装置の第4起動指示画面の図である。
【図22】図11のシステムの表示装置のシリンジ充填準備完了画面の図である。
【図23】図11のシステムの表示装置のシリンジ充填中通知画面の図である。
【図24】図11のシステムの表示装置の空気抜き中通知画面の図である。
【図25】図11のシステムの表示装置の配管空気抜き指示画面の図である。
【図26】図11のシステムの表示装置の配管空気抜き中通知画面の図である。
【図27】図11のシステムの表示装置の最終生理食塩水洗浄指示画面の図である。
【図28】図11のシステムの表示装置の生理食塩水洗浄中通知画面の図である。
【図29】図11のシステムの表示装置の最終起動画面の図である。
【図30】図11のシステムの主表示画面の図である。
【図31】注入モードの動作を示している図30の主表示画面の図である。
【図32】固定速度動作モードが選択されたときに表示されるキーパッドを示している、図30の主表示装置の図である。
【図33】可変速度動作モードが選択されたときに表示されるキーパッドを示している、図30の主表示装置の図である。
【図34】手動空気抜きモードの動作を示している、図30の主表示画面の図である。
【図35】手動補充モードの動作を示している、図30の主表示画面の図である。
【図36A】図36Aは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図36B】図36Bは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図36C】図36Cは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図37A】図37Aは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図37B】図37Bは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図37C】図37Cは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図38】図36及び図37の患者関係デフォルト注入パラメータを求めるために使用されるプロセスを示す概略フローチャートである。
【図39A】図39Aは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図39B】図39Bは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図39C】図39Cは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図40A】図40Aは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図40B】図40Bは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図41A】図41Aは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図41B】図41Bは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図42】1つの実施形態による、シリンジ及び蠕動ポンプを含んでいる電動注入システムの斜視図である。
【図43】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の一画面表示を示している。
【図44】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図45】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図46a】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図46b】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図47】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図48】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図49】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図50】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図51】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図52】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図53】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図54】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図55A】図55Aは、電動注入システムと共に使用される弁の1つの実施形態の斜視図である。
【図55B】図55Bは、電動注入システムと共に使用される弁の別の実施形態の斜視図である。
【図56】電動注入システムと共に使用される手持ち式制御器の1つの実施形態の斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、概括的には、X線撮影造影液の様な医療用流体を注入するための改良された電動流体注入システムにおいて或る方法を実行する指示を保有している、コンピータープログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
血管造影は、血管、即ち、ヒト又は動物の体内において血液が移動する通路のネットワーク、の異常又は制限を含め、心臓血管状態の診断と治療に使用される処置である。血管造影中は、X線撮影造影剤がカテーテルを通して静脈又は動脈に注入され、その後、造影剤は静脈又は動脈と流体連通している脈管構造に移動する。造影剤が注入された体内領域をX線が通り抜けるとき、X線は造影剤によって吸収されるので、目標の脈管構造(群)のX線画像が得られる。画像は、フィルム又はビデオテープに記録され、及び/又は蛍光透視モニタに映し出される。画像は、多くの目的に使用され、例えば、診断のため、及びバルーンを脈管系に挿入して膨らませ狭窄を開通させるという血管形成術の様な治療処置のために使用される。
【0003】
造影剤は、手動又は自動、何れかの方式の注入システムにより、カテーテルの中に注入される。造影剤を注入するための装置は様々であるが、殆どの現行システムは、カテーテルと作動的に接続されているシリンジを含んでいる。シリンジは、造影剤を入れておく室と、その室内を往復移動することができるプランジャを有している。造影剤は、プランジャを動かしてカテーテル内に部分真空状態を作り出すと、室の中に吸い込まれる。プランジャの方向を逆にすると、最初に、空気が室から追い出され、次いで、プランジャの移動速度により決まる速度と量で造影剤がカテーテルに送り込まれる。
【0004】
手動システムでは、ユーザー又はオペレータは、シリンジを装填し、シリンジをカテーテルに接続する前に室から空気を追い出す。手動システムのユーザーは、プランジャに加える手動力を変えることにより注入の速度と量を調整する。手動システムの最大注入圧は、通常、150p.s.i.(人の手によって加えられる最大圧力)に制限されており、流体の最大量は約12ccである。その様な手動システムは、通常、事前に決められている注入パラメータ(速度又は圧力など)の範囲から外れた注入を制限又は防止するという様な安全特性に何ら対応しておらず、一般的には、気泡や他の危険を検知するアクティブなセンサ又はアラームを含んでいない。
【0005】
血管造影は、造影剤以外の流体の注入を含むこともある。例えば、生理食塩水による洗浄及び/又は液薬の注入が求められる場合もある。最も普及している手動注入システムの1つは、オペレータが選択的に開閉して所望の流体をシリンジ又はカテーテルに接続されている流体チャネルに送り込んだり抜き出したりする、手動で作動させる複数の弁を有している弁機構を含んでいる。オペレータが、造影液をシリンジの室へ吸入し又はそこから外へと注入するとき、流体は、弁の相対位置により向きが決まる最も抵抗の少ない経路を通って流れる。弁の配置を変えると、1つ又は複数の流体が選択的に注入される。
【0006】
或る種の自動化された流体送達システムは、医師の様な訓練を受けた専門家により使用され又は操作される制御パネル又はユーザーインターフェースを提供している。専門家は、制御パネルを使用して、1つ又は複数の注入パラメータを入力する。ユーザーインターフェースは、タッチパネルスクリーンを備えている。それらパラメータは、その後、患者への注入処置時に使用される。或る種の自動化された注入システムは、以下の注入パラメータ、即ち、注入される造影剤の量、注入の流量、最大許容注入圧、及び注入流量の変化の速度(即ち、立ち上がり時間)、の入力を要求する。制御パネルは、注入器ヘッド又は
患者のベッドテーブルに直に接続される。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,099,502号
【特許文献2】米国特許第6,221,045号
【特許文献3】米国特許第5,916,165号
【特許文献4】米国特許第D404,717号、
【特許文献5】米国特許第5,800,397号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
或る特定の実施形態によれば、デュアルシリンジアッセンブリを有する注入システムが提供されている。一方のシリンジは、第1流体媒体(例えば、造影剤など)を保持することができ、第2のシリンジは第2流体媒体(例えば、生理食塩水など)を保持することができる。各シリンジは、独立した吸込ポートと排出ポートを備えている。吸込ポートは、シリンジに流体を充填するのに使用され、排出ポートは、シリンジから流体を放出するのに使用される。
【0009】
或る特定の実施形態によれば、使い捨てカセットを使用して注入システムへの流体接続を提供している注入システムが提供されている。この注入システムにより分注される流体は、使い捨てカセットを経由して患者に提供される。1つ又は複数の管構成要素が、注入システムと使い捨てカセットの間に連結されている。或る特定のシナリオでは、使い捨てカセットへの流体の流入を防止するため、及び、流体の逆流を防止するためにも、弁、特にピンチ弁が使用されている。この使い捨てカセットは、カセットと注入システムの間の流体接続部を提供すると共に、患者に接続されることになる管の接続部も提供している。使い捨てカセットは、各患者に使用された後は廃棄される一回使用構成要素である。
【0010】
或る特定の実施形態によれば、複数の表示装置を設けた注入システムが提供されている。この態様では、小型の表示装置が注入器上に直に設けられており、一方、大型の表示装置(主制御パネル)が小型表示装置から遠隔的に設置されている。小型表示装置は、設定情報、エラー及びトラブルシューティング情報、及び他のシステム情報を提供するのに使用されると共に、ボトル又は袋寸法の様な或る特定の入力をユーザーから入手するのにも使用される。1つの態様では、携帯情報端末(PDA)の寸法をした追加的な遠隔表示器が更に提供されている。この追加的な遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネルと通信している。この追加的な遠隔表示器は可動式であるため、医師は、より柔軟にこの表示器を使用することができる。この寸法のおかげで、追加的表示器は非常に持ち運びし易く、使用に便利である。1つの実施例では、追加的表示器は、ユーザー入力性能と表示出力性能を共に提供している。
【0011】
或る特定の実施形態によれば、流体注入システムのユーザーを支援するために状況連動型点灯方式を使用する方法を実施している注入システムが提供されている。それら実施形態では、この方法は、流体注入システム上に、システムに対する設定機能を行うようにユーザーに指示する第1視覚表示を提供する段階と、ユーザーが設定機能を不適切に行った場合、システム上に第2視覚表示を提供する段階と、ユーザーが設定機能を適切に行った場合、システム上に第3視覚表示を提供する段階を含んでいる。
【0012】
或る特定の実施形態によれば、システムの表示装置内に表示するための改良されたグラフィックユーザーインターフェース(GUI)を有する注入システムが提供されている。1つの態様では、カスタマイズ可能領域注入ボタン、高速操作案内のためのアイコン、及び一連の事前に定義されているアイコンも提供されている。幾つかの実施形態では、GUIは、システムのガイド付き設定モード又は高速設定モード、何れかのモード中に、ユー
ザーにインターフェースを提供している。これらの実施形態では、GUIの機能性は、状況連動型点灯方式の1つ又はそれ以上の態様と同期化されている。GUIのその他様々な項目が、ユーザーに改良されたインターフェースを提供している。
【0013】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態の詳細を、添付図面及び以下の説明に述べる。本発明のこの他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ここで更に詳しく説明していくにつれ明らかになるはずであるが、本発明の様々な実施形態の原理は、自動化された注入器システムの多種多様な物理的構成に適用することができる。1つのその様なシステムの例を下に概括的に説明する。これより図面を参照してゆくが、図1は、対話式医師制御の下でX線撮影造影剤を血管に注入するための注入器システム10を示している。システム10は、主コンソール12、手持ち式遠隔制御器14、シリンジホルダ16、シリンジ本体18、シリンジプランジャ20、X線撮影剤用リザーバー(ボトル)22、一方向弁24、マニホルド26、高圧管28、カテーテル30、患者投薬ポート32、三方向止水栓34、Tコネクタ36、圧力変換器38、止水栓40、配管42、蠕動ポンプ44、生理食塩水逆止弁46、廃棄物逆止弁48、生理食塩水袋50、廃棄物袋52、袋支持ラック54を含んでいる。
【0015】
コンソール12は、システム10の電気制御部を、ピストン20及び蠕動ポンプ44を駆動するモーターと共に収納している。コンソール12の前面上では、ユーザーインターフェース55が、制御スイッチ56と表示装置58を提供しており、これを介してユーザーは制御設定を入力し、システム10の動作状態を監視する。コンソールは独立しており、輸送カートアッセンブリ上に搭載することができるように構成されているのが望ましい。
【0016】
電力は、適切な電源装置によりシステムの全ての電気的構成要素に提供され、電源装置は、主電力源からの電気的に安全な絶縁も提供している。電源装置は、コンソール12内に配置してもよいが、それとは切り離して壁か搭載用カートの何れかに取り付けるのが望ましい。
【0017】
遠隔制御器14は、ケーブル60によってコンソール12に接続されている(が、他の実施形態では、遠隔制御器14は、RF、赤外線光学的、又は超音波リンクの様な無線接続により接続されている)。遠隔制御器14は、図1に示す実施形態では、リセット用と生理食塩水押し出し用ボタンスイッチ62及び64それぞれ、並びに流量制御レバー又はトリガ66、を含んでいる手持ち式制御器である。トリガ66を強く握ることによって、ユーザーは、コマンド信号をコンソール12に供給し、継続的な可変注入速度が提供されるようにする。
【0018】
シリンジホルダ16は、コンソール12の左手側から突き出ている。シリンジホルダ16は、透明材料であるのが望ましく、半円筒形状の背面殻68と、半円筒形状の前方ドア70(図1には開放状態を図示)と、リザーバーホルダ72を含んでいる。
【0019】
シリンジ18は、開放端74がコンソール12に接続されている、透明又は半透明のプラスチックシリンダである。シリンジ18の閉鎖端76は、上側ポート78と下側ポート80の2つのポートを含んでいる。
【0020】
プランジャ20は、シリンジ本体18内を移動可能である。プランジャ20は、コンソール12内に配置されているモーターに接続されており、このモーターによって駆動され
る。
【0021】
X線撮影造影剤リザーバー22は、一方向逆止弁24を介して上側ポート78に接続されている。X線撮影造影剤は、リザーバー22から逆止弁24と上側ポート78を通り、シリンジ本体18とプランジャ20とによって画定されているポンプ室の中に引き込まれる。逆止弁24は、シリンジ本体18からリザーバー22の中に空気が流れて戻ることは許容するが、X線撮影造影剤がシリンジ本体18からリザーバー22に流れることは許容しない、重り付一方向弁であるのが望ましい。これは、後で更に詳しく説明するが、システムからの自動的な空気抜きを可能にしている。
【0022】
シリンジ本体18の下側ポート80は、マニホルド26に接続されている。マニホルド26は、普通は変換器/生理食塩水ポート82と患者ポート84を接続するばね付勢式スプール弁を含んでいる。X線撮影造影剤が注入されるとき、X線撮影造影剤の圧力によりスプール弁の状態が変えられ下側ポート80が患者ポート84に接続される。
【0023】
高圧管28は、患者ポート84をカテーテル30に接続する可撓性を有する管である。三方向止水栓34は、管28の遠位端に配置されている。回転可能なルアーロックコネクタ86は、止水栓34に接続されており、カテーテル30の近位端のルアーコネクタ88と嵌り合う。留め栓34は、管28とカテーテル30の間の流れを遮断するか、流れを許容するか、投薬ポート32をコネクタ30に接続するかの何れである。
【0024】
X線撮影造影剤を、カテーテル30を介して患者の中に注入することの他に、システム10は、他の関係する機能も行なえるようにしている。患者への薬物(図1には示さず)を送り込むための装置は、薬物がカテーテル30を介して患者に送り込まれるときに、投薬ポート32に接続される。
【0025】
カテーテル30が患者に挿入されており、X線撮影造影剤の注入がまだ行われていない段階で、圧力変換器38は、カテーテル30、管28、患者ポート84、マニホルド26、変換器/生理食塩水ポート82、配管90、Tコネクタ36、及び配管92から伸長している液柱を通して血圧を監視する。変換器38は、変換器38が較正時に雰囲気圧に曝されるようにすると共に、閉じ込められた空気を除去/排除して変換器38のドーム形の室を生理食塩水で洗浄することができるようにする、付帯する止水栓40を有している。
【0026】
蠕動ポンプ44は、袋50からの生理食塩水を、生理食塩水逆止弁46、配管42、Tコネクタ36、及び配管90を通して、ポート82に供給する。蠕動ポンプ44が食塩水を供給するために作動しているとき、食塩水はマニホルド26を介して患者ポート84に供給され、次いで、管28を通ってカテーテル30に供給される。
【0027】
蠕動ポンプ44は、反対方向に作動して、カテーテル30から、管28、マニホルド26、配管90、Tコネクタ36、及び配管42を通り、廃棄物逆止弁48に至り、そして廃棄物収集袋52に入るように、流体を吸引することもできる。
【0028】
本発明の或る好適な実施形態では、シリンジ本体18、マニホルド26、管28、カテーテル30、Tコネクタ36、配管42、逆止弁46と48、袋50と52、及び配管90と92は全て使い捨て品目である。それらは、血管造影処置が新しい患者で行われる都度、システム10に設置されねばならない。システム10に全ての使い捨て品目を設置して設定を行い、ドア70を閉め、シリンジ本体18を造影剤で満たして空気を抜いたら、ユーザー(通常は医師)は、システム10に、X線撮影造影剤の注入に適用される安全パラメータを入力する。それら安全パラメータには、通常、一回の注入中に注入されるX線撮影造影剤の最大量、最大注入流量、シリンジ本体18内に発生する最大圧力、及び最大
注入立ち上がり時間又は加速度が含まれる。造影剤の注入を起動させるため、ユーザーは、トリガ66を強く握ることにより遠隔制御器14を操作する。事前に設定された安全パラメータ内で、システム10は、トリガ66の力又は移動量が増すにつれて、注入流量を増大させる。
【0029】
通常、ユーザーは、造影剤が流れ出て注入先の構造へ流入するのを蛍光投透視法又は他の画像化方法を使用して継続的に観察することに基づいて、注入された造影剤の量と流量を測る。システム10は、ユーザーが、患者の必要性に照らして造影剤注入を調整できるようにしており、これにより、処置の品質を最大化し、安全性を高め、及び蛍光透視試験を実行するのに必要な造影剤の量を減らすことができる。
【0030】
図2Aから図2Gは、システム10の7つの異なる動作中の流体流路を示す図である。対象動作は、造影剤充填(図2A)、空気抜き(図2B)、患者注入(図2C)患者圧力(図2D)、生理食塩水洗浄(図2E)、廃棄物吸引(図2F)、及び患者投薬(図2G)である。
【0031】
図2Aに示す造影剤充填動作には、シリンジ18をリザーバー(造影媒体供給部)22からのX線撮影造影剤で満たすことが関与する。造影剤充填動作は、システム10の初期設定時に行うが、システム10の作動中、シリンジ本体18がX線撮影造影剤の低下した状態で運転されることがあれば何時でも繰り返し行われる。
【0032】
システム10の初期設定時、プランジャ20は、最初、シリンジ本体18の閉鎖端76に隣接する最前方位置まで駆動される。これにより、シリンジ本体18内に在る空気の大部分が雰囲気中に追い出される。
【0033】
次いで、プランジャ20を後退させ、シリンジ本体18内に真空を作り出し、これにより造影剤をリザーバー22から、逆止弁24を通り、上側ポート78を介してシリンジ本体18内に吸い込む。
【0034】
造影剤充填動作の結果として、通常は、或る程度の空気がシリンジ本体18内に引き込まれ、或いはその中に残ることになる。無論、カテーテル30を通して空気が患者の中に注入されるのを防止することが重要である。これが、図2Bに示す空気抜き動作の目的である。更に、2つのポートが異なる高さにあることで、注入時の気泡防止における安全を更に高めることができる。
【0035】
空気抜き動作中、シリンジ本体18内に閉じ込められている空気を追い出すために、プランジャ20は前方に動かされる。空気は、造影剤よりも軽いので、シリンジ本体18の頂部付近に集まる。プランジャ20が前方に動くと、空気はシリンジ本体18から上側ポート78と一方向弁24を通して追い出される。図2Bに示す実施形態では、一方向弁24は、リザーバー22から上側ポート78にX線撮影造影剤が流れることは許容するが、X線撮影造影剤が反対方向に上側ポート78からリザーバー22に流れることは許容しない、重り付一方向弁である。但し、弁24は、空気がポート78からリザーバー22に流れることを許容する。X線撮影造影剤が、シリンジ本体18から上側ポート78を通って弁24に流れ出始めるやいなや、弁24は閉じて、リザーバー22に向けてそれ以上流れないようにする。
【0036】
弁24は、代わりの実施形態では、コンソール12内の電気回路の制御下で作動するソレノイド作動式又はモーター駆動式の弁である。何れの場合も、弁24は、注入動作中に受ける比較的高い圧力に耐えることができる。弁24は、約1200p.s.i.までの静止流体圧に耐えられるのが望ましい。
【0037】
図2Cは、患者注入動作を示している。プランジャ20は、遠隔制御器14のトリガ66を制御しているユーザーの対話式制御下で前方に動かされる。プランジャ20の移動により、流体圧が発生して、造影剤はシリンジ本体18から押し出され、下側ポート80を通り、マニホルド26と高圧管28を通り、カテーテル30に入る。図2Cに示すように、シリンジの下側ポート80と患者ポート84は、患者注入動作時は流体を流すために接続されている。
【0038】
マニホルド26は、患者ポート84と、シリンジ底部ポート80又は変換器/生理食塩水ポート82の何れかとの間の流体接続の経路指定を制御する弁を含んでいる。本発明の1つの実施形態では、マニホルド26は、患者ポート84が普通は(図2A及び図2Bに示すように)変換器/生理食塩水ポート82に接続されるようにばね付勢されているスプール弁を含んでいる。プランジャ20が前方に移動するに伴って、シリンジ底部ポート80に圧力が生じると、スプール弁に加えられる付勢力に打ち勝って、シリンジ底部ポート80が患者ポート84に接続され、変換器/生理食塩水ポート82は切り離され、マニホルド26内の弁は、変換器38を、患者注入動作により発生する高圧に曝されないように護る。
【0039】
スプール弁は、患者注入動作時はシリンジ下側ポート80から当該弁に加えられる圧力の増大に応じて自動的に開く。スプール弁は、毎回の患者注入動作終了時にプランジャ20が引き込まれることによって僅かな真空が掛けられると、閉じて元の位置に戻り、患者ポート84が変換器38に接続されるようにする。
【0040】
代わりの実施形態では、マニホルド26内の弁は、適切な時に作動して、シリンジの下側ポート80又は変換器/生理食塩水ポート82の何れかを患者ポート84に接続する、電気機械式又はモーター駆動式の弁である。アクチュエータ機構はコンソール12により制御される。同様に、この代わりの実施形態でも、弁は圧力変換器38が高圧に曝されないように護る。
【0041】
図2Dは、患者圧力動作を示している。システム10は、患者の血圧を読み取れるようになっており、血圧はカテーテル30を介して監視される。患者の血圧は、患者注入、生理食塩水洗浄、及び廃棄物吸引動作時以外は、何時でも圧力変換器38を使用して監視することができる。圧力変換器38によって生成される圧力示度は、手動で止水栓40を開き、止水栓34を閉じて、圧力変換器38を雰囲気圧に曝すことにより正規化される。
【0042】
図2Eに示す生理食塩水洗浄動作時には、食塩水を使用し、各内部配管、圧力変換器の室38、管28、及びカテーテル30の全てを洗浄する。図2Eに示すように、蠕動ポンプ44は、食塩水を袋50から汲み出し、逆止弁46を通し、配管42を通し、生理食塩水ポート82に送る方向に運転されている。マニホルド26は、食塩水が患者ポート84から汲み出され、管28とカテーテル30に向かうように、生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続している。
【0043】
廃棄物吸引動作時、患者ポート84は、ここでも生理食塩水ポート82に接続される。この動作時、蠕動ポンプ44は、生理食塩水洗浄動作時の回転方向とは逆の方向に運転される。その結果、患者の体液が、患者ポート84から生理食塩水ポート82に、そして更に配管42と逆止弁48を通り廃棄物収集袋52へと吸い出される。蠕動ポンプ44は、配管42を摘み/塞ぎ、逆止弁46及び48と共働して生理食塩水及び廃棄物が容器50及び52に/から逆流するのを防ぐ弁の役目を果たす。
【0044】
患者の体内にカテーテル30が配置された状態で、患者薬物を供給するのが望ましい。
システム10は、患者投薬ポート32を設けることによりこの選択肢を可能にしている。図2Gに示すように、止水栓34が開くと、ポート32に接続されている薬物源が患者ポート84に接続され、従ってカテーテル30に接続される。患者投薬動作時、蠕動ポンプ44とプランジャ20は動いていない。
【0045】
図3は、上に述べた血管造影注入器システムと共に使用されている制御システムの電気的ブロック図である。図3の電気制御システムは、単一のデジタルコンピュータ100を含んでおり、コンピュータは、遠隔制御器14と前面パネル制御部56からインターフェース102を介して入力信号を受け取り、動作データ、警報、状態情報、及びオペレータプロンプトを表示する信号を表示装置58に提供する。次の好適な実施形態では、改良された電気制御システムについて説明するが、ここでは、上記血管造影注入器システム10の構成要素を組み込んでいる血管造影注入器システムの機能説明を完遂するために、単一のコンピュータシステムを説明している。
【0046】
コンピュータ100は、モーター104、モーター増幅器106、タコメータ108、ポテンショメータ110、整流器112、圧力感知ロードセル114、及びA/D変換器116を含んでいるモーター駆動回路を介して、プランジャ20の動きを制御する。
【0047】
モーター増幅器106は、コンピュータ100からの制御電圧、前進/逆行、及び制動の各信号、及びタコメータ108から整流器112を介して入ってくる速度フィードバック信号に応えて、駆動1信号をモーター104に供給する。タコメータ108及びポテンショメータ110の出力は、速度モニタ及び位置モニタ信号として、A/D変換器116を通してコンピュータ100に供給される。それらは、コンピュータ100が、モーター速度、モーター方向、及び位置を調べることができるようにしている(量は計算値である)。
【0048】
圧力センサ114は、シリンジ本体18内のX線撮影造影剤に加えられている圧力を測定するために、モーター電流又はプランジャ力を感知する。この圧力モニタ信号は、A/D変換器116及びインターフェース102を通してコンピュータ100に供給される。
【0049】
蠕動ポンプ44は、コンピュータ100の制御下で、ポンプモーター120、モータードライバ122、及び光学エンコーダ124を通して駆動される。コンピュータ100は、生理食塩水洗浄の場合には前進方向に、廃棄物吸引の場合には逆行方向に、ポンプモーター120を運転するために、生理食塩水(前進)及び廃棄物(逆行)駆動信号をモータードライバ122に供給する。光学エンコーダ124は、ポンプモーター120の回転速度と回転方向の両方を示している速度方向モニタ信号をインターフェース102に供給する。
【0050】
図3は、一方向弁24及びマニホルド26内の弁の様な弁類を作動させるのに弁モーター130が使用されている制御システムの実施形態を示している。この実施形態では、コンピュータ100は、モータードライバ132を介して弁モーター130を制御し、ポテンショメータ134からの位置モニタフィードバック信号を通して位置を監視する。この特定の実施形態では、弁モーター130はステッパモーターである。
【0051】
コンピュータ100は、温度センサ140からの温度監視信号に基づき造影剤の温度を監視する。温度センサ140は、シリンジ本体18付近に配置されるのが好ましい。温度センサ140の感知した温度が高すぎる場合、コンピュータ100は運転モーター104を使用禁止にして患者注入を停止させる。温度が低すぎる場合、コンピュータ100は、a/温度使用可能駆動信号をヒータドライブ150に供給し、ヒータ152にエネルギーが供給される。1つの好適な実施形態では、ヒータ152は、シリンジ本体18に隣接す
るシリンジホルダ116内に配置されている抵抗膜ヒータである。
【0052】
コンピュータ100は、造影剤ボトルセンサ160、前進限界センサ162、逆行限界センサ164、シリンジ欠落センサ166、室開放センサ168、造影剤気泡検出器170、及び配管内空気気泡検出器172からのフィードバック信号を受信する。
【0053】
造影剤ボトルセンサ160は、リザーバーホルダ72内に配置されている小型スイッチである。センサ160からの造影剤ボトル存在信号の状態は、リザーバー22がホルダ72内に配置されているか否かを示す。リザーバー22が存在していなければ、コンピュータ100は充填動作を使用禁止にする。
【0054】
前進限界及び逆行限界センサ162と164は、プランジャ20の端限界位置を感知する。プランジャ20がその前進限界位置に達すると、プランジャ20のそれ以上の前方移動は許されない。同様に、逆行限界センサ164が、プランジャ20がその逆行限界位置に達したことを示すと、それ以上の逆行移動は許されない。
【0055】
シリンジ欠落センサ166は、シリンジ本体18がシリンジホルダ16内に配置されていない場合を示す小型スイッチ又は赤外線放出器/検出器である。シリンジ本体18が定位置にない場合には、プランジャ20をその逆行限界位置まで移動させる(即ち、ゼロに戻す)こと以外の全移動機能は使用禁止にされる。
【0056】
室開放センサ168は、シリンジホルダ16のドア70が開いている場合を感知する小型スイッチ又は赤外線放出器/検出器である。センサ168からの信号が、ドア70が開いていることを示した場合、全移動機能は使用禁止にされる。ドア70が閉じられ係止されている場合にのみ、移動は許される。ドア70が閉じられていることが示され且つセンサ166がシリンジ本体18が定位置にあることを示すと、システム10の他の正常機能が進められる。
【0057】
気泡検出器170は、リザーバー22と上側ポート78の間に配置されており、気泡を感知する赤外線放出器/検出器であるのが望ましい。充填動作中にリザーバー22と上側ポート78の間の流路中に気泡が感知されると、充填動作は新しいリザーバーが接続されるまで使用禁止にされる。
【0058】
気泡検出器172は、高圧配管28内の気泡を感知するために配置されている。この検出器は、赤外線放出器/検出器型の気泡検出器であるのが望ましい。高圧配管28内に気泡が検出されると、その結果、流体が蠕動ポンプ44からの生理食塩水であろうと、シリンジ本体18からの造影剤であろうと、全流体押し出し機能は使用禁止にされる。
【0059】
図3の制御システムには、コンピュータ100によって制御されているリレー180を介してX線機器へ信号を供給する能力も含まれている。また、コンピュータ100は、血圧変換器38、及び注入器システム10とは切り離されている心電図(ECG)システムからデータを受け取る。圧力及びECG信号は、信号調整器及びA/D変換器190を介して受け取られ、コンピュータ100に送られる。ECG信号は、1つの好適な実施形態ではコンピュータ100により使用され、モーター104の動作(及び、従って患者注入動作)を心拍と同期化させる。
【0060】
心臓への血流は、大部分は心臓拡張期(心臓が収縮と収縮の間にある時)に起こる。造影剤を連続して注入すると、心臓収縮期中に造影剤が溢れて大動脈内に流入する結果になる。主に心臓拡張期中に注入することにより、造影剤が冠状動脈内へ注入される完全性を損なうこと無く、注入造影剤投与量を減らすことができる。
【0061】
或る好適な実施形態では、X線撮影造影剤の注入は、冠状動脈血流と同期化される。心臓収縮期と心臓拡張期の持続時間は、心電図(ECG)電気信号、動脈血圧波形分析、又は心拍数に基づく他のタイミングを使用して求められる。モーター104の速度、プランジャ20の速度、従って運動を制御することにより、造影剤の注入は、心臓収縮期の間は中断され、これによりその期間中の造影剤注入は低減又は停止される。遠隔制御器14と組み合わせれば、ユーザーは、コンピュータ100が造影剤注入を心臓周期に対して自動的に脈動させている状態で、冠状動脈内への造影剤注入の速度を変えることができる。
【0062】
移動中の造影剤の慣性力と、造影剤を保持している容器及び造影剤を患者に送っている配管の拡張は、シリンジ本体18内のプランジャ20の動きと、カテーテル30を出て患者へ入る造影剤の動きとの間で位相遅れを発生させる恐れがある。プランジャ20の動きと患者への造影剤放出との間の位相遅れを調整するために、心臓周期が選択された時間だけオフセットされるように、可変時間オフセットが制御パネル54を通して入力される。位相遅れの大きさは心拍周期によって決まるため、コンピュータ100内のアルゴリズムは、時間オフセットの大きさを、造影剤注入時の瞬間心拍数に基づいて継続的且つ自動的に調整する。
【0063】
図4は、本発明の1つの実施形態の前面パネル制御スイッチ56と表示装置58を説明している、制御パネル54の1つの実施形態を示している。前面パネル制御スイッチ56は、設定/充填/終了スイッチ200、空気抜きスイッチ202、吸引スイッチ204、生理食塩水スイッチ206、使用可能OKスイッチ208、注入量限界スイッチ210a及び210b、注入流量限界スイッチ212a及び212b、注入圧力限界スイッチ214a及び214b、立ち上がり時間スイッチ216a及び216b、OKスイッチ218、注入範囲トグルスイッチ220、大注入OKスイッチ222、及び停止スイッチ224を含んでいる。
【0064】
設定/充填/終了スイッチ200は、瞬間押しボタンスイッチである。最初に作動させるとき、ユーザーは、シリンジ18をシリンジホルダ16に入れるように通知される。シリンジ18がシリンジホルダ16に入れられると(これは、センサ166によってコンピュータ100に表示される)、ユーザーは、室を閉じて係止するように(即ち、ドア70を閉じるように)指示される。プランジャ20は、その前方一杯の位置まで動かされ、シリンジ内の全空気を追い出す。そこで、表示装置58は、オペレータに造影剤リザーバー22を接続するよう表示する。造影剤リザーバー22が定位置に設置されると、オペレータは、OKスイッチ218を押すように要請され、その時、プランジャ20は、設定された速度(毎秒10mlの流量に対応しているのが望ましい)で最大シリンジ量まで後退する。実速度(A/D変換器116からコンピュータ100へのフィードバックにより表示される)が設定速度より高い場合、システム10は停止する。
【0065】
プランジャ20がその最後方位置に来ると、モーター104が作動して、プランジャ20を前方に動かし、全気泡を押し出す。圧力センサ114は、何時、一方向弁24が閉じられ、シリンジ本体18内に圧力が発生し始めたかを表示する。空気抜きが完了すると、全注入量と注入回数カウンタがリセットされる。
【0066】
スイッチ200を作動させると、更に、Ml後退とプランジャ20のシリンジ本体18からの切り離しが可能になる。
空気抜きスイッチ202は、防護付き瞬間押しボタンスイッチである。空気抜きスイッチ202を作動させると、プランジャ20は前方に動き、上側ポート78を通して空気を押し出す。プランジャ20の前方移動は制限されており、シリンジ18内の圧力が事前に決められている圧力に達すると停止される。これは、圧力センサ114によって感知され
る。空気抜きスイッチ202により開始された空気抜き動作は、シリンジ20内の空気を追い出す。ユーザーは、空気抜きスイッチ202を使って、空気抜きスイッチ202を押して連続してオンに保つことにより、患者ポート84を通して流体を押し出すこともできる。
【0067】
吸引スイッチ204は、コンピュータ100に蠕動ポンプ44のポンプモーター120を起動させるための瞬間押しボタンスイッチである。ポンプモーター120は、設定速度でカテーテル30を吸引するように運転され、吸引された流体は廃棄物袋52に収集される。吸引中、他の全ての動作機能は切り離されている。モーター120の実速度が設定速度よりも高いと、コンピュータ100はモーター120を停止させる。
【0068】
生理食塩水スイッチ206は、交互作用スイッチである。ポンプモーター120は、生理食塩水スイッチ206が押されると、これに応答して作動し、生理食塩水が、袋50からマニホルド26そしてカテーテル30の中に設定速度で導入される。生理食塩水スイッチ206が、食塩水の流れを止めるために10秒内にもう一度押されなかったときは、コンピュータ100が、自動的にポンプモーター120を停止させる。時間切れになってしまうと、以降の行為を開始する前に、生理食塩水スイッチ206を元の状態にリセットせねばならない。
【0069】
使用可能OKスイッチ208は、瞬間押しボタンスイッチである。システムが、注入終了時に限界以外の使用禁止機能を検知した後は、OKスイッチ218を作動させて以降の機能を開始する前に、使用可能OKスイッチ208を作動させねばならない。
【0070】
注入量限界キー210a及び210bは、一回の注入中にシステムが注入する最大注入量の増量又は減量の何れかを行う場合に押される。キー210aは、最大体積値を上げ、キー210bは下げる。一旦、最大注入量限界が設定されると、測定量が設定値に達すれば、コンピュータ100はモーター104を停止させ、OKスイッチ218が押されるまで再始動しない。大注入(即ち、10ml超)が選択された場合、OKスイッチ218と大注入OKスイッチ220が、両方共、大注入開始前にリセットされねばならない。
【0071】
注入流量限界キー212a及び212bは、医師が、一回の注入中にシステムが到達し得る最大流量を選択できるようにしている。測定流量(タコメータ108及びポテンショメータ110からのフィードバック信号により求められる)が設定値に達した場合、コンピュータ100は、モーター104を制御して流量を設定値に制限する。
【0072】
注入圧力限界キー214a及び214bは、医師が、一回の注入中にシステムが到達し得る最大圧力を選択できるようにしている。圧力センサ114により判定された測定圧力が設定値に達した場合、コンピュータ100は、モーター104を制御して圧力を注入圧力限界に制限する。結果的に、注入速度も制限される。
【0073】
立ち上がり時間キー216a及び216bは、医師が、一回の注入中に流量を変化させながらシステムが許容する立ち上がり時間を選択できるようにしている。コンピュータ100は、モーター104を制御して、立ち上がり時間を設定値に制限する。
【0074】
代わりの実施形態では、キー210a−210b、212a−212b、214a−214b、216a−216bは、数値を選択するための他の装置に置き換えることができる。それらには、選択ダイアル、数字キーパッド、及びタッチスクリーンが含まれる。
【0075】
OKスイッチ218は、機能とハードウェアセンサをリセットする瞬間押しボタンである。OKスイッチ218が作動したことに応答して、コンピュータ100は、表示装置5
8を制御し、オペレータに正しい機能が選択されていることを認知するよう求める。OKスイッチ218の作動により、状態は、用意が整いました、に設定される。
【0076】
注入範囲スイッチ220は、トグルスイッチである。スイッチ220が「小」の位置にあるか「大」の位置にあるかによって、次の注入の注入量範囲が、多量又は少量の何れかに選択される。
【0077】
大注入OKスイッチ222は、瞬間押しボタンスイッチである。大注入範囲が注入範囲スイッチ220によって選択されると、大注入OKボタン222を起動させて、OKスイッチ218を使用可能にせねばならない。OKスイッチ218は、各注入前に作動させねばならない。大注入に際し、ユーザーには、最初に大注入OKスイッチ222を、次にOKスイッチ218を作動させることによって、選択された量を確認するよう要求される。
【0078】
停止スイッチ224は、瞬間押しボタンスイッチである。停止スイッチ224が押されると、全ての機能は使用禁止になる。表示装置58はアクティブのままである。
表示パネル58は、設定表示250、状態表示252、警報表示254、限界表示256、総注入回数表示260、総注入量表示262、流量表示264、注入量表示266、注入量限界表示268、注入速度限界表示270、圧力限界表示272、立ち上がり時間最小値表示274、大注入表示276、及びリアルタイム時計表示278を含んでいる。
【0079】
設定表示250は、オペレータが設定手続きを行っているときに表示される一連のメッセージを含んでいる。設定表示250のメッセージの表示は、先に説明したように、設定スイッチ200を作動させることによって開始される。
【0080】
状態表示252は、幾つかの異なる動作状態の1つを点滅表示する。図4の実施形態では、表示されるそれら状態状況は、「用意が整いました」、「設定」、「注入中」、「充填中」、「洗浄中」、及び「吸引中」を含んでいる。
【0081】
警報表示254及び限界表示256は、オペレータに、システム10は、臨界制御パラメータに遭遇し、動作を使用禁止にする、又は、システム10は、上限又は下限に達し、制限された様式で機能し続ける、又は、システム10は、上限又は下限に達し、動作を続行する、という状況を通知する。
【0082】
総注入回数表示260は、現在の患者の場合に施された(累積)総注入回数を表示する。現在の患者の場合の間に注入された累積総量は、総量表示262によって表示される。
【0083】
表示264と266は、現在又は前回の注入に関する情報を提供する。表示264は、注入中に患者へのリアルタイム流量のデジタル値を示す。注入が完了すると、表示264に表示される値は、当該注入中に到達したピーク流量を表す。表示266は、最も最近の注入時の注入量のデジタル値を示す。
【0084】
表示268は、スイッチ210a及び210bの操作により選択された最大注入量のデジタル値を表示する。同様に、表示270は、スイッチ212a及び212bで選択された、システムが許容する最大流量のデジタル値を示す。
【0085】
表示272は、システム10がシリンジ18内に発生するのを許容する最大圧力のデジタル値を示す。圧力限界は、スイッチ214a及び214bによって選択される。
表示274は、流量変化中にシステムが許容する最小立ち上がり時間を示している。最小立ち上がり時間は、スイッチ216a及び216bを通して選択される。
【0086】
大注入表示276は、オペレータによって大注入が選択されたときに明白な表示を提供する。
リアルタイム時計表示278は、現在の時刻を、時、分、秒で示す。
【0087】
図5A及び5Bは、ユーザーの手に沿うように設計されている主ハウジング300を含んでいる遠隔制御器14の1つの実施形態を示している。トリガ66は、ハウジング300に対して動かすことができ、トリガ66の位置によって、トリガ位置の関数であるコマンド信号が生成される。1つの実施形態では、トリガ66は、ハウジング300内のポテンショメータにリンクされている。コマンド信号は、注入流量又は速度を制御する。流量は、トリガ位置に正比例する。
【0088】
リセットスイッチ62は、瞬間押しボタンスイッチであり、その機能はOKスイッチ218と同じである。代わりに、リセットスイッチ62に「OK」の標示を付けてもよい。
遠隔制御器14の生理食塩水スイッチ64は、押すとオンになり、もう一度押すとオフになる、交互作用押しボタンスイッチである。生理食塩水スイッチ62の機能は、前面パネル54の生理食塩水スイッチ206と同じである。
【0089】
本発明の別の実施形態に示すように、図1及び図5Aと図5Bに示している手持ち式遠隔制御器14に代えて、足ペダルの形態の代わりの遠隔制御器14’が使用されている。足ペダル遠隔制御器14’は、コマンド信号並びにリセット又はOKスイッチ62’及び生理食塩水スイッチ64’を提供するために、足で操作する速度ペダル又はトリガ66’を含んでいる。カバー310及び312は、スイッチ62’及び64’を、手でしか作動させることができず、誤って足で作動させることの無いように、それらスイッチを保護している。足ペダル遠隔制御器14’は、ケーブル60’でコンソール12に接続されているが、代わりに無線リンクによって接続してもよい。
【0090】
図7A−図7D及び図8A−図8Cは、一方向弁24及びマニホルド26の構造、及び造影剤充填、空気抜き、及び患者注入動作中のそれらの動作を示している。
図7Aと図8Aは、造影剤充填動作中の、一方向弁24、マニホルド26、シリンジ本体18、及びプランジャ20を示している。一方向弁24の吸込逆止弁は、図7A及び図7Bでは弁室352内の下方着座位置にある重りボール350を含んでいる。造影剤は、プランジャ20の後方移動によりシリンジ本体18の中に引き込まれて行く。造影剤は、ボール350の周囲の通路354を通り上側ポート78に流れ込む。
【0091】
マニホルド26は、スプール本体362、シャフト364、Oリング366、368、及び370、付勢ばね372、及びリテイナ374を含むばね負荷スプール弁360を保有している。図7Aに示すように、造影剤充填動作中、付勢ばね372は、スプール本体362を、シリンジ本体18に向けてその最右位置に押し付ける。この位置では、スプール本体362は、斜め通路376を通して変換器生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続しながら同時にシリンジ本体18の下側ポート80を遮断している。一方のOリング366と368、及び他方のOリング370は、斜め通路376の両側に配置されて、流体シールを形成している。
【0092】
図7Bと図8Bは、空気抜き動作を示している。シリンジ本体18は、造影液で満たされているが、中には空気も閉じ込められている。プランジャ20は、前方に駆動されて、シリンジ本体18から上側ポート78を通し、そして逆止弁24を通して、空気を追い出す。空気の力は、逆止弁24のボール350を僅かに持ち上げる。しかしながら、ボール350は十分に重いため、シリンジ本体18から追い出されリザーバー22に戻っていく空気は、ボール350を、シリンジ本体18からの空気の流出を遮断するその最も上側の着座位置まで持ち上げることはできない。
【0093】
空気抜き動作中、スプール弁360は、図7Aと同じ位置にある。斜め通路376は、変換器の生理食塩水ポート82を患者ポート84に接続している。その結果、圧力変換器38による圧力監視は、空気抜き(並びに造影剤充填)動作の間に行われる。
【0094】
図7Cと図8Cは、空気抜き動作終了時及び患者注入動作開始時のマニホルド26と逆止弁24の状態を示している。
図7Cでは、全ての空気はシリンジ本体18から追い出されている。ボール350は、X線撮影造影剤上に浮かんでいるので、全ての空気が除去され、X線撮影造影剤がシリンジ本体18から上側ポート78を通って弁室352に流れ始めると、ボール350はその上側着座位置まで上向きに動かされる。ボール350は、図7Cと図8Cに示すように、X線撮影造影剤が継続して上向きに流れるのを遮断する。
【0095】
図7Cに示す状態では、シリンジ本体18内の圧力、具体的には下側ポート80の圧力は、まだ、ばね372の付勢力に打ち勝つレベルには至っていない。その結果、スプール本体362は、まだ左に動いておらず、斜め通路376は、引き続き変換器生理食塩水ポート82と患者ポート84を接続している。
【0096】
図7Dは、患者注入動作を示している。プランジャ20は、前方に移動中であり、吸込逆止弁24は閉じられている。下側ポート80の圧力は、ばね372の付勢力に打ち勝てるだけの高さになっている。スプール本体362は左に駆動されているため、下側ポート80は患者ポート84に接続されている。同時に、スプール本体362は、変換器/生理食塩水ポート82を遮断している。
【0097】
スプール弁360の動作によって、プランジャ20とシリンジ本体18の動きにより生成された高い圧力は、患者ポート84に直接接続され、一方、生理食塩水ポート82と圧力変換器38は高圧から保護されている。作動させる圧力は可変であり、製造後にシリンジ予加重を増減することにより決められる。
【0098】
当業者には理解頂けるように、一般的な血管造影注入器システム10は、この他の構成に作ることもできる。例えば、米国特許第6,099,502号「デュアルポートシリンジ」(参照文献として援用)に記載の参照されている血管造影注入器システムの代わりのシリンジ及び取り付け用システム部分を、これまで説明してきたものに置き換え及び/又は修正するために採用してもよい。また、当業者には理解頂けるように、例えば、米国特許第6,221,045号「自動高/低圧力切換式血管造影注入器システム」(参考文献として援用)に記載されている、アッセンブリのマニホルド部分などに対する改良、並びに遠隔制御器14の他の構成を採用してもよい。遠隔制御アッセンブリの幾つかの代わりの構成は、前記参照出願、及び米国特許第5,916,165号「空圧制御装置及び方法」、及び米国特許第D404,717号「手持ち式空圧制御装置」に記載されており、上記全特許を参考文献としてここに援用する。
【0099】
前出図面の血管造影注入器システムの代わりの実施形態の構成を、図9aと図9bに符号10’で示している。図9に示す実施形態では、血管造影注入器システム10の構成要素の幾つかの物理的位置は、システムを使い易くするために配列し直されている。例えば、最初に説明した実施形態のユーザーインターフェース54、制御スイッチ56、及び表示装置58は、単一の制御パネル400に統合されている。図示の第2の実施形態では、制御パネル400は、スイベル基部上のコンソール又は注入器ヘッド12’に取り付けられており、最適配置にするため、ユーザーが外して再接続できるようになっている。図9の構成の機械的略図を図10に示している。図9と図10に示すように、電源装置59’回路は、コンソール12とは切り離して機械的に搭載されている。コンソールと電源装置
は、全体を符号402で示しているカートに取り付けられており、このカートは、容易に動かすための車輪を含んでおり、意図される方法で使用されるときに安定性を提供し転倒し難いように設計されているのが望ましい。カートは、コンソール及び電源装置アッセンブリを迅速に着脱できるようにして、コンソールと電源装置を、ベッド又は嵌合接続装置を具備している他の静止装置にドッキングさせることができるようにしている。図10に示すように、手持ち式制御器14’は、制御パネル400に作動的に接続されており、蠕動ポンプアッセンブリ44’は、コンソール12’に機械的に取り付けられている。本発明の第1の実施形態に関連して先に説明したシリンジと関連構成要素を保持するためのアッセンブリは、「取り付け室」404という名称の機能ブロックで全体を表している。先に「使い捨て」品目(即ち、シリンジ、シリンジ本体内のピストン、造影剤弁、患者マニホルド、造影剤注射針、及び患者血圧ポート)として説明及び参照したこれらの構成要素は、全体的に機能ブロック406で標示されている。
【0100】
血管造影注入器システム10’の第2の好適な制御構成の電気的機能ブロック図を図11に示している。複数の図面(図11a及び図11b)が、共同で血管造影注入器システム10’の電気制御ネットワークを構成している。図11のネットワークの説明を容易にするために、先に第1の実施形態の匹敵する電気的構成要素に使用した符号は、図11の同様に機能する電気的構成要素の説明では、必ずしも重複して使用していない。図11に示すように、制御システムは2つの別々のコンピュータシステムを含んでおり、それぞれが注入器システムの機能を監視及び制御するための知能を有している。先の実施形態と同じく、コンピュータシステムは、一般に、制御パネル400から入力信号を受け取り、表示装置のデータ、警報、状態情報、及びオペレータプロンプトに信号を供給する。好適な実施形態では、コンピュータシステムは、2つのマイクロコンピュータを備えている。全体を符号410で示しているPCプロセッサは、制御システムのマスタプロセッサの役目を果たし、全体を符号412で示している内蔵プロセッサは、スレーブプロセッサの役目を果たす。一般に、マスタプロセッサが、内蔵プロセッサにコマンドを実行するように命令するが、両プロセッサは共に、実行された行為を監視する。両プロセッサは共に、安全のために、独立した行為モニタとして機能する。注入器モーター運動及び蠕動モーター運動の様なキー的な機能は、両マイクロコンピュータによって監視される。好適な実施形態では、PCプロセッサ410は、386DOS中央演算処理ユニットを有しており、内蔵コアプロセッサ412は、HC16ビット中央演算処理ユニットを有している。本発明の精神及び意図の範囲内で、他の型式のマイクロプロセッサを使用できるものと理解頂きたい。
【0101】
図11を参照すると、PCプロセッサ410は、第1通信バス414によって、システム全体の電気的構成要素と通信しており、内蔵コアプロセッサ412は、第2通信バス416によって、システム全体の電気回路と通信していることが分かる。2つのプロセッサは、各自のバス及び符号417及び418で全体的に示している一対の通信レジスタによって、互いに通信している。一般的な「番犬/電源異常/リセット」機能は、機能ブロック419で示しており、ECG捕捉情報は、先入れ先出し方式に基づき、機能ブロック420により収集され、両プロセッサにより処理される。一般に、システムの各種電気的機能ブロックと2つのバス414及び416の間の通信の形式は、各電気的機能ブロックに関係付られている図11の個々の信号の流れの経路により、及びそれら信号の流れの経路内の信号流表記により、示されている通りである。
【0102】
図11に示すように、取り付け室404に付帯している各種電気的及び感知機能は、使い捨てシリンジを取り付け室の中に装填するのに使用される前方装填室ドアが閉じているときを示す「室閉鎖中」(422)という名称が付けられているセンサ;ボトルホルダ内に配置されており、ボトルの中に流体が存在するか否かを示す「造影剤空」(423)と表示されている造影剤ボトルセンサ;コンピュータが患者マニホルド弁及び造影剤弁の状
態を判定するために使用する「上側及び下側弁センサ」と表示されている2つの弁センサ(424);シリンジ及び使い捨て品目内の手動気泡検出をやり易くする「ELバックライト」と表示されている電場発光バックライト(425);シリンジ本体に隣接してシリンジホルダ内部に配置されている「造影剤ヒータ」(426)と表示されている加熱要素;造影剤を比較的一定した温度に維持するために造影剤ヒータを制御するための信号を提供するため、シリンジ本体付近に配置されており、「RTD温度センサ」(427)と表示されている一対の温度センサ;高圧配管内の空気を感知するために配置され、患者に対して汲み出される流体の気泡又は気柱の有無を監視する「気泡検出」(428)と表示されている気柱検出センサを含んでいる。図11に示すように、ELバックライト425を除き、取り付け室内のセンサのそれぞれは、両プロセッサと通信している。
【0103】
一般に、制御パネル400は、アームライト430、スピーカー431、タッチスクリーン432、表示装置433、及び非常スイッチ434を含んでいる。アームライト430は、注入器が注入を行う準備が整ったら点灯する。スピーカー431は、ユーザーとの可聴インターフェース通信を提供する随意的な特性である。表示装置33は、好適な実施形態では、システムの作動状態を表示するのに使用される液晶(LCD)パネルである。タッチスクリーン432は、LCDパネル上にオーバーレイされ、後で更に詳しく説明するが、ユーザーがシステムを制御するのに使用される。制御パネルの機能の全ては、PCプロセッサ410と直接通信している。非常スイッチ434は、通信バス414及び416の両方、並びに後で説明する遮断リレー及び注入器モーター半導体リレーと直接通信している。
【0104】
手動制御機能ブロック14’は、遠隔手動制御ユニットの回路機能を含んでいる。先に説明したように、手持ち式制御器は、ユーザーが作動させた時に、手動制御装置の変位に比例する電気信号を出力する様なやり方で、血管造影注入器ポンプを制御するために使用される装置である。制御器は、図11に示すように両マイクロプロセッサと通信するパッシブな電気機械装置である。手持ち式制御器には、物体の位置を遠隔的に確定し、制御器の手動可動部分のアクティブな移動距離と変位を求めるのに使用される、一対のシールされたオンコンタクトセンサが入っている。センサは、「アナログホール効果」(440)と「デジタルホール効果スクウィズ」(441)と表示されている2つの機能ブロックで示されている。生理食塩水リセット機能は、「生理食塩水リセットボタン」(442)と表示されており、「制御型及び接続状態」(443)と表示されている機能ブロックは、システムが「固定速度」又は「可変速度」注入の何れを行うのに使用されるかについて、手持ち式制御器を介してマイクロプロセッサに設定表示を提供する。可変速度モードの動作の下では、オペレータは、手持ち式制御器によって瞬間注入速度を事前に決められている最大流量まで変えることが許される。固定速度モードの動作では、オペレータが手持ち式制御器アクチュエータを強く握ると、制御システムは、単に、造影剤を、注入処理に先立って制御システムに入力された事前に決められた固定速度で注入することによって応答する。
【0105】
蠕動ポンプ44’は、マイクロプロセッサの制御下で、ポンプモーター及びモータードライバを介して駆動される。全体的に「PWM制御回路」(450)と表示されているモータードライバは、蠕動ポンプモーターにパルス幅変調制御信号を供給する。コンピュータは、モータードライバに前進(生理食塩水)及び逆行(廃棄物)両方の駆動信号を供給して、ポンプモーターを、生理食塩水洗浄の場合は前進方向に、廃棄物吸引の場合は逆行方向に作動させる。好適な実施形態の蠕動ポンプは、「速度超過トルク超過」センサ451と「遮断リレー」452を含んでいる。速度超過/トルク超過センサ451は、マイクロプロセッサに、ポンプ駆動回路450により蠕動ポンプの速度を正確に制御するためのフィードバック信号を供給する。遮断リレー452は、マイクロプロセッサ又は非常停止スイッチ434の何れかにより起動される。
【0106】
注入器モーター460は、シリンジ内のピストン又はワイパを動かすために作動的に接続されており、「モーター制御器」増幅器(461)によって制御される。好適な実施形態では、モータードライバ461は、後で説明する、入れ子式ループ制御構成により正確に制御される市販のサーボ増幅器である。一般に、モーター増幅器は、制御電圧に応じて駆動信号をモーターに供給する。前進、逆行、及び休止信号は、コンピュータから入り、光学エンコーダからの速度フィードバック信号は、速度を制御するのに使用される。モーター状態の監視動作は、「モーター状態速度超過/トルク超過」(462)という名称を付けられている機能ブロックで表示されており、モーターの速度と位置を感知するための独立した光学エンコーダセンサは、「エンコーダ」機能ブロック(463)と表示されている。内蔵マイクロプロセッサにバックアップ信号を供給するのに、ポテンショメータが使用されており、モーターの絶対「位置」が表示される。ポテンショメータは、ブロック図では、「絶対位置ポット」機能ブロック(464)と表示されている。光学エンコーダ及びポテンショメータの出力は、速度モニタ及び位置モニタ信号としてプロセッサに供給され、コンピュータがモーター速度、モーター方向及び位置を調べることができるようにしている。一対の前進及び逆行限界センサは、シリンジピストンの端限界位置を感知し、「F/R限界スイッチ」(465)という名称が付けられた機能ブロックで表示されている。ピストンがその前進限界位置に達すると、それ以上の前進運動は許されない。同様に、ピストンがその逆行限界位置に達したことを逆行限界センサが表示すると、それ以上の逆行運動は許されない。注入器モーター制御は、プロセッサ又は非常スイッチ434の何れかからのコマンドの下で注入器モーターを使用禁止にするための半導体リレー(470)も含んでいる。
【0107】
電源装置59’は、システムに全電力を供給しており、電源装置を110−120ボルトAC又は220−240ボルトACの何れに接続するかの選択を可能にしている外部選択可能電圧範囲スイッチ59a’を含んでいる。好適な実施形態では、ライン電圧動作周波数は、47Hzから63Hzの間になければならず、ライン電圧は、10アンペアの電流を通電させることができねばならない。電源装置は、更に、パワーインジケータ灯59b’、オン/オフスイッチ59c’、及びケーブルをシャーシ12’内の回路に繋ぐためのコネクタを提供するケーブルコネクタ59d’を含んでいる。
【0108】
注入器モーター460を制御するのに好適な入れ子式制御ループ構成のより詳細な電気的機能ブロック回路ネットワークを、図12に示している。この図に示すように、注入器モーター460は、この好適な実施形態では、サーボ増幅器ネットワーク回路461によって制御されているブラシレスDCモーターである。好適な実施形態では、サーボ増幅器ネットワーク461は、ブラシレスDCモーターを高い切替周波数で駆動するよう規定されているBE30AシリーズPWMブラシレスサーボ増幅器型番BE25A20である。好適な実施形態では、サーボ増幅器は、速度制御のための直交エンコーダフィードバック入力信号を使用している。サーボ増幅器は、全体を符号461aで示している出力駆動ポートと、フィードバック信号入力ポート461bと、速度制御信号入力ポート461cと、一対のアナログ出力信号ポート461d及び461e、それぞれを有している。出力ポート461dは、サーボ増幅器内で発生した、モーター460の圧力又はトルクに比例する電圧信号を搬送すると共に、「アナログ電流ライン」と称する出力フィードバックラインに信号を供給する。出力ポート461eは、サーバ増幅器内で発生した、モーター460の速度に比例する電圧信号を搬送すると共に、「アナログ速度」と称するラインに信号を供給する。光学直交エンコーダ(図12には図示せず)は、注入器モーター460(及び図11に符号463で表示)の出力ドライブに作動的に接続されており、サーボ増幅器461のフィードバック入力ポート461bにパルス列フィードバック信号を返し、サーボ増幅器461を通してモーター460の正確な速度制御を提供している。このループは、図中、第1ループ又は「サーボループ」と呼ばれている。この好適な実施形態では、サ
ーボ増幅器461は、この標準的なサーボループ構成を通して注入器モーター460の速度の非常に正確な制御を提供し、且つそれ以上の制御は殆ど必要としない、市販の増幅器である。直交エンコーダ信号は、更に、符号472で示す信号調整用デコーダ回路を通して一対のカウンタ473と474にフィードバックされ、それらカウンタは、それぞれ累積カウント信号を、内蔵プロセッサ412とPCプロセッサ410それぞれに供給する。サーボ増幅器461の出力ポート461dと461eそれぞれからのアナログ電流及びアナログ速度信号は、内蔵プロセッサ412に入力信号として直接送られ、「モーター状態速度超過トルク超過」機能ブロック462のコンパレータ462aと462bの第1信号入力にそれぞれ適用される。コンパレータ462aと462bの基準信号入力は、PCプロセッサ410から、「トルク基準」及び「速度基準」入力信号に対応している入力信号を受け取るために接続されている。
【0109】
コンパレータ462aと462bは、それぞれ、サーボ増幅器461から受け取ったフィードバック信号を、PCプロセッサ410から受け取った基準電圧信号と比較して、図12に表示しているように、内蔵プロセッサ412とPCプロセッサ410の両方にそれぞれ「トルク超過」と「速度超過」を表す信号出力を供給する。
【0110】
注入処置時、マスターPCプロセッサ410は、内蔵プロセッサ412に注入を行うよう指示する。このコマンドの一環として、内蔵プロセッサは、PCプロセッサに、望ましい流量と最大圧力許容条件が何かを教えられる。PCプロセッサは、注入コマンドを発行する直前に、2つのコンパレータ462aと462bに基準電圧値を設定するが、一方の値は、内蔵プロセッサが実施を許される最大流量を表しており、他方の値は、最大許容圧力を表している。注入中、サーボ増幅器461からの「アナログ電流」と「アナログ速度」フィードバック信号は、コンパレータ462aと462bにフィードバックされる。それらフィードバック信号電圧の何れかがコンパレータの各基準電圧を超過した場合、トリガされたコンパレータによって適切な出力信号が両プロセッサに返される。何れかのプロセッサがコンパレータから一方又は両方の信号を受け取った場合、プロセッサは注入器モーター460への電力を切り、直ちに注入を停止する。
【0111】
注入中、内蔵プロセッサ412は、ラム又はシリンジピストンの現在位置を求めるためにデジタルエンコーダ463を使用する。好適な実施形態では、注入された造影剤1ミリメートル毎に、エンコーダ463から1,317カウントを受け取る。注入中にピストンが動くと、内蔵プロセッサは、10ミリ秒毎に、ラム又はピストンの現在位置を見る。次いで、内蔵プロセッサは、単純な台形型運動に基づいてラムの理論的な位置を計算する。現在位置が、実際の位置から事前に決められているミリメートル数よりも大きくずれている場合には、注入は停止されエラーが報告される。
【0112】
「アナログ位置」信号を提供するポテンショメータ464は、同様の様式で使用されるが、その許容誤差はより大きい。ラム又はピストン運動の較正中、システムは運動距離ミリメートル当たりのオーム数を表す定数を計算する。注入中、内蔵プロセッサは、ピストンの理論的な位置を求めるために、同じ理論的台形運動を使用する。デジタルエンコーダ処理の場合と同様に、ラムの現在位置が、実際のアナログ位置示度から事前に決められたオーム数よりも大きくずれている場合には、注入は停止されエラーが報告される。
【0113】
従って、モーター460の一次直接サーボフィードバックループ制御が、デコーダ回路472とカウンタ473と内蔵プロセッサ412を通してサーボ増幅器461の信号入力端末461cにフィードバックされるエンコーダ信号を通して提供される「エラーループ」制御により補完される、入れ子式ループ制御ネットワークが確立されている。第1又は「サーボループ」は、比例積分を使用する標準的な速度制御ループであり、一方、外側の「エラーループ」は、確実に、サーボループが正確にモーター速度を制御しているように
するために、サーボループ制御を周期的に調べるだけの位置制御ループである。モーター460のギヤ列出力に作動的に接続されているポテンショメータは、単にエンコーダループに対するバックアップの役目を果たすだけの絶対位置センサである。同様に、カウンタ474を介してのPCプロセッサ410に対するエンコーダフィードバックは、内蔵プロセッサ412が、二次「エラーループ」を介して速度補正信号を提供する際に、万一、その意図されたやり方で動作するのに失敗した場合に、内蔵プロセッサ412を介する一次エラーループ制御に対する冗長的バックアップの役目を果たす。
【0114】
上で簡単に説明したように、複数のプロセッサを利用できることによって、両方の感知回路の知性を使用した真の多重冗長感知能力が提供されている。また、二重又は複数プロセッサの特性は、注入モーター運動及び蠕動モーター運動の様な、システムのキー的機能の冗長制御及び安全特性監視の能力を提供している。これらの状態は共に、上で説明し、図11と図12に示すように、両マイクロプロセッサによってアクティブに監視される。例えば、注入モーターの「速度超過安全回路」は、直交エンコーダ463がデコーダ回路472と一対のカウンタ473及び474を通して2つのプロセッサに信号を送ることによって提供される。エンコーダ情報を受け取るために2つの独立したプロセッサを使用するのは、内蔵プロセッサとPCプロセッサが共にパルスを計数して注入流量が求められることから、流量を感知する安全回路の役目を果たす。上で述べたように、個々のカウントは指定された時間間隔に亘って累積され、平均速度が算出される。安全特性は、速度超過状態が起きたときは、何れのプロセッサも自身の決定能力に基づいて注入器モーターを独立してシャットダウンすることができるという事実によって提供される。この様な冗長的感知経路二重プロセッサ制御によって、1つの構成要素が故障したときでも安全監視ができるようになる。
【0115】
同様に、「量超過安全回路」が、速度超過安全回路を提供するのに使用されているのと同じハードウェアによって提供されている。カウンタ473及び474を介して、エンコーダから内蔵プロセッサとPCプロセッサに供給されるパルスは、両プロセッサが独立してパルスを数え、注入量を判定することができるようにしている。量超過状態が起きたときは、何れのプロセッサも独立して注入器モーターをシャットダウンすることができる。
【0116】
複数のプロセッサを必要としない更なる二元安全特性が、ポテンショメータ464から受け取る「アナログ位置」信号によって提供されており、これは、内蔵プロセッサが、ポテンショメータからのアナログ電圧出力の変化を読み取ることによって量を調べることができるようにしている。ポテンショメータを直交エンコーダのバックアップとして提供することによって、注入量を感知するための更なる二重冗長安全性が提供されている。
【0117】
二重冗長モーター安全回路は、注入器モーター「電流超過」及び「速度超過」状態について先に説明した様に設けられている。それらの回路は、コンパレータ462a及び462bに関して先に説明した。コンパレータ462aは、サーボ増幅器461からの「アナログ電流」フィードバック信号を使用して、内蔵プロセッサとPCプロセッサの両方に二重入力信号を供給し、二重プロセッサ電流測定安全回路感知を提供する。同様に、コンパレータ462bは、サーボ増幅器461からの「アナログ速度」信号の結果として、両方のプロセッサに二重入力信号を適用し、注入器モーター速度の二重冗長感知を提供する。
【0118】
同様の安全回路が、蠕動ポンプ44’の制御のために提供されている。図11に示すように、蠕動ポンプも、速度超過/トルク超過ネットワーク451を含んでいる。この好適な実施形態では、蠕動ポンプ44’は、注入器モーターの様なブラシレスモーターではなく、PWM制御回路450からパルス幅変調入力信号を受け取る。ポンプモーター44’は、バックEMFを発生させ、これは、感知され、モータードライバ回路450からの出力電流と共にフィードバック信号として使用される。蠕動ポンプ安全回路の電気ブロック
図表示を図13に更に詳しく示している。本図では、PCプロセッサ及び内蔵プロセッサは、それぞれ符号410及び412で表示されている。図13に示す安全回路は、注入器モーターの速度と電流の感知に使用されているものと実質的に同じである。速度超過/トルク超過ネットワーク451の一対のコンパレータ451a及び451bは、注入器モーターの安全回路に関して先に説明したコンパレータ462a及び462bと同様のやり方で使用されている。コンパレータ451aは、両方のプロセッサにトルク超過出力信号を供給し、コンパレータ451bは、両方のプロセッサに速度超過入力信号を供給する。コンパレータ451は、PCプロセッサ410からトルク基準電圧信号を受け取り、コンパレータ451bは、プロセッサ410から速度基準電圧信号を受け取る。コンパレータ451aは、モータードライバネットワーク450からの電流出力信号を監視し、監視している電流出力信号がプロセセッサ410から供給されたトルク基準信号を超えた場合は何時でも出力信号を供給する。コンパレータ451bは、モーター44’からのバックEMF信号を監視し、バックEMF信号がプロセッサ410により適用されている速度基準電圧信号を超えた場合は何時でも出力信号を供給する。内蔵プロセッサ412は、一次駆動制御信号をモータードライバ450に供給する。
【0119】
図9に示す発明の実施形態では、システムとの全オペレータ/ユーザーのインターフェースは、電源装置をオンにすることと非常停止スイッチの起動以外は、制御パネルを通して行われる。システムの一方又は両方のプロセッサとの通信は、表示装置433にオーバーレイされているタッチスクリーン432上のスイッチを通して行われる。コンピュータは、表示装置上に、スイッチ表示をタッチスクリーン上のタッチパッドと整列させて適切にシミュレートした様々な画面を生成し、オペレータがタッチスクリーンを通してマイクロプロセッサと通信できるようにしている。パワーがシステムに対して初期化されると、制御パネル表示装置は、ユーザーに、システムが自己診断テストを行っていることを連絡する。診断及び較正テストに続き、表示装置は様々な設定ウインドウを表示し、オペレータに一連の指示を与えて、段階的な設定手続きを通してオペレータを案内してゆくが、これには、一般的に、シリンジ装填、係止及び充填、使い捨て接続、部及び洗浄が含まれている。
【0120】
PCプロセッサにより生成され、パワーアップ、較正、及び自己診断機能をユーザーに表示するサンプル画面を図14から図17に示している。各図を参照すると、初期パワーアップ画面が図14に示されている。この画面は、システムが全ての機能が正常に作動することを確かめるために初期診断チェックを実行している間、見えている。システムは、次いで、自動的に、設定及び較正を開始する。図15の画面は、シリンジラムが後方位置に動くと現れ、その後、図16の画面が表示されて、オペレータにどのようにシリンジアッセンブリを装填するかを指示する。シリンジ装填手順が完了すると、オペレータは図16のタッチスクリーン上の「完了」パッドを押す。システムは、これで、「設定」手続きを開始する準備が整っており、シリンジラムが前方位置に動いている間、図17の画面を表示する。
【0121】
図18の画面で「設定」指示が開始される。本図に示すように、オペレータは、システムの配管アッセンブリ部分をどのように装填するかについて、段階的なやり方で指示を受ける。オペレータは、図18で特定されたステップを完了すると、「完了」スイッチを押すことによってタッチスクリーンを作動させ、図19の画面に表示されているステップに進む。図19の画面は、圧力ドーム、マニホルド、及び流体配管の洗浄動作を含んでいる。それらのステップが完了し、「完了」スイッチを作動させると、図20の設定指示画面が表示される。画像20は、システムの圧力変換器及びポンプアッセンブリを取り付けるための指示を提供する。図20の画面品目を完了し「完了」スイッチを作動させると、図21の画面の設定指示が表示される。図21のステップが設定指示を完了し、オペレータが図21の画面の「完了」スイッチを作動させると、システムはシリンジを充填する準備
が整う。なお、図18から図21までの画面上に含まれている設定ステップの全ての段階の間、オペレータには、画面上の「Back」スイッチを押すことによって前の画面に戻るというオプションがあることを指摘しておく。
【0122】
設定指示が完了すると、システムがシリンジの充填を進める前に、オペレータは図22の画面の「OK」スイッチを作動させねばならない。「OK」スイッチが作動すると、システムは、自動充填及び空気抜き動作に進む。シリンジピストンがシリンジの後方に引かれ、造影剤がシリンジの中に引き入れられると、図23の画面が表示される。次いで、ピストンが方向を変え前方に動き始めると、空気がシリンジの上側ポートから追い出され、その間、図24の画面が表示される。シリンジピストンは、患者マニホルド内の下側弁が動く前に自動的に停止する。シリンジの空気抜き動作に続き、図25の画面が表示され、オペレータに、シリンジの下側ポートからシステムの高圧配管までの配管の空気抜きをどのように進めるかについて指示を供給する。配管の空気抜きをするために、オペレータは、図25の画面の「空気抜き」スイッチを押して保持し、空気及び気泡がシリンジと患者マニホルドの間の配管から押し出されて、患者マニホルドの前方/先端部から出て高圧配管に入っていく空気抜き過程を目視観察せねばならない。この手続きが完了すると、オペレータは図25の画面の「空気抜き」スイッチを放して「完了」スイッチを作動させる。オペレータが「空気抜き」スイッチを押すと、図26の画面が表示される。オペレータが「空気抜き」スイッチとの接触を解くと、図25の画面が再び現れる。図25の「完了」スイッチを作動させると、図27の表示画面が表示されることになる。
【0123】
図27の処理ステップは、最終的な生理食塩水洗浄手続きに関係する。オペレータが図27の画面の「洗浄」スイッチを押すと、システムは生理食塩水袋から止水栓までの配管を洗浄して、確実に配管内に気泡が存在しないようにする。オペレータが図27の画面の「洗浄」スイッチを押し続ける限り、図28の画面が表示されることになる。最終的な生理食塩水洗浄手続きが完了すると、オペレータは図27の画面の「洗浄」スイッチを放して「完了」スイッチを押し、図29の表示画面を表示させる。図29の画面は最終的な起動画面である。図29の画面の指示の完了に続き、オペレータが表示装置の「完了」スイッチを作動させ起動手続きを完了すると、システムはここでカテーテルへ接続される準備が整ったことになる。
【0124】
上で説明した起動手続きが首尾よく完了すると、システムは、全体を図30に示す主画面を表示する。その或る好適な構成の制御パネルの主表示画面は、図30に示すように各区画に分割されている。表示画面のフォーマット動作の全ては、PCマイクロプロセッサ410によりその制御下で提供されると理解頂きたい。図30を参照すると、画面の右側に沿って縦方向に4つの「機能キー」が並んでおり、それぞれ「注入」(500)、「生理食塩水」(510)、「吸引」(502)、及び「空気抜き」(503)と規定されている。上記4つの機能ソフトキーのアイコンは、オペレータが、機能キーの中の選択したキーを押して、選定した機能の状態ウインドウを立ち上げることができるように、タッチスクリーン432の適切なスイッチパッドと整列している。状態ウインドウは符号505で示されており、インジケータウインドウは符号506に配置されている。状態ウインドウは、システムメッセージを表示するため、及びシステムの動作の状態に関してユーザーにフィードバックを提供するために使用される。状態インジケータウインドウ506は、キーシステムセンサがアクティブ状態のときにそれらを表示する。
【0125】
LCA(左冠状動脈)508、RCA(右冠状動脈)509、及びLV/Ao(左心室/大動脈)510と表示されている「注入型式」又は「注入選択」キーは、機能キーの上方に配置されており、行われる注入処置の型式に関するオペレータ入力を提供する。注入型式は、上記3つの型式ボタンの内の1つを押すだけで変更することができる。新しい型式が選択されると、選択された型式に対するデフォルトパラメータ値が計算され、パラメ
ータキーに表示される。好適な実施形態(以下に詳細を記載)では、注入パラメータは、治療される患者の体重の様な実際の値に基づいて計算される。選択された注入キーの言葉表示が表示画面の一番上に表示される。図30に示すサンプル画面では、LCAキーが選択されており、それに関わる表示「左冠状動脈」が画面の一番上に表示されている。
【0126】
以下のアイコン表示、即ち、「流量」「注入量」「注入圧力」及び「立ち上がり時間」のパラメータは、注入状態ウインドウが開いている間、又は設定手続き中に、所望のパラメータのアイコンを押すことにより変えることができる。注入パラメータ/限界キーは、表示画面の一番上に沿って配置されている。
【0127】
「流量」ウインドウ512は、手持ち式遠隔制御器が一杯に押された場合に得ることができる最大流量を表示する。流量の単位はml/秒である。「注入量」パネル513は、一回の注入の間に注入できる総量限界を表示する。このパラメータの単位はmlである。「注入圧力」ウインドウ512は、注入の間に許容されるシリンジ内の最大圧力を表示する。この圧力に達すると、警告灯が点き、注入流量は表示圧力に制限される。圧力の単位はpsiである。「立ち上がり時間」ウインドウ515は、注入の間に許容される最大立ち上がり時間を表示する。立ち上がり時間の単位は秒である。
【0128】
システムは、米国特許第5,800,397号「自動高/低圧力切替を備えた血管造影注入器システム」に記載されているように、シリンジを自動的に或いは手動で補充する独自の能力を有しており、同特許を参考文献としてここに援用する。「補充」キーは、表示画面の「オプション」部分を構成している表示画面の最下部分に配置されている。全体を符号517で示している補充キーは、取扱症例中又は処置中、何時でも、所望のアイコンを押すだけでリセットされる。
【0129】
全体的に「速度形式」キーと表示されている第2のオプションキーは、符号518に配置されており、注入処置を、「固定」速度、又は遠隔手持ち式制御器14’でリアルタイムで制御できる「可変」速度の何れかに選択できるようにしている。
【0130】
プロセッサは、注入処置の間に存在する瞬間的な状態に関するリアルタイムの情報をユーザーに提供する。それら状態は、図31のサンプル画面に示している状態ウインドウ505内に表示される。表示パネルは、更に、「前回注入」ウインドウ520内に前回の注入の結果を表示する。前回の注入結果には、実施された前回の注入の「総量」と「最大流量」が含まれている。表示パネルは、更に、現在の取扱症例で患者に注入された造影剤の累積合計量を、「総造影剤量」表示ウインドウ522に表示している。前回注入及び総造影剤量表示ウインドウは、表示画面の左下部分付近に配置されている。総造影剤量表示は、或る取扱症例の処置には数多くのシリンジ充填処置が関与することから、注入処置中に瞬間的に入手可能となる重要な情報を提供する。更に、そのような充填処置は、シリンジの総充填又は単に部分的な充填の何れを表してもよい。先行技術の技法は、連続した注入過程に亘って患者に投与された造影剤の総量の記録を維持することについては、オペレータ/ユーザーに依存している。注入された造影剤の量の正確な累積合計が維持できていないと、結果的に、患者に注入物質が過剰投与される恐れがある。
【0131】
この好適な実施形態では、「患者体重」と表示されている表示ウインドウ/キーが符号524に示されている。この好適な実施形態では、この表示ウインドウは、現在の患者の体重を表示する。このキーを選択すると、ユーザーは患者の体重をキログラムでシステムに入力することができる。患者の体重は、注入値と限界を計算するのに使用される(以下に詳細を記載)。
【0132】
表示パネルの最後のキーは、表示パネルの左下部分付近に配置されている「取扱症例終
了」キー526である。このキーを作動させると、ユーザーは、システムのシャットダウン前、又は新しい取扱症例の開始前に、正しいステップを踏むよう促される。
【0133】
非常ボタン又はスイッチ434(図11)は、制御パネルの右上部分に物理的に配置されている。これは、(電源スイッチを除けば)表示画面上に配置されていない唯一の機能スイッチである。非常スイッチは、進行中の全機能を使用禁止にし、状態ウインドウ内に非常ボタンが押されたというメッセージを表示する。非常ボタン又はスイッチは、交互作用型式のスイッチである。押されるとボタンが点灯する。スイッチを切るには、ユーザーはボタンを再度押さねばならない。
【0134】
注入限界は、所望のパラメータのキー(512〜515)を押すことによって変えることができる。注入(キー518)が「固定」モードに設定された場合、ユーザーに対して状態ウインドウ内にキーパッドが提示される。この状態を図32に示している。ここで、新しい値を入力することができる。この新しい値は、プロセッサによって、選択された注入の型式にとって許容可能な範囲内であるか否か調べられる。入力値が許容可能範囲外である場合、この事実を示すメッセージがユーザーに表示される。「キャンセル」キーが押されると、前に設定された値がそのまま残る。注入オプション(キー518)が「可変」モードに設定されると、ユーザーの選択に備えて6つの異なる値の選択肢が状態ウインドウ内に表示される。この状況に対応するサンプル表示ウインドウを図33に示している。「キャンセル」キーが押されると、前に設定された値がそのまま残る。
【0135】
注入は、「注入」ボタン又はキー500を押すことによって開始される。LV/Ao(大注入ボタン)が選択されると、ユーザーはこれを確認するように求められる。このLa/Ao注入処置は、多量の造影剤の使用を表し、一方、RCA注入処置は、最少量の造影剤を使用する。次いで、ユーザーは、表示装置上のプロンプトによって、注入の「引き金を引く」のがOKであるか否かを尋ねられる。ユーザーは状態ウインドウの「OK」キーを押さねばならない。この時点で、要求された注入を行うのに十分な造影剤がシリンジ内に無い場合には、システムは補充を促す指示を出す。補充は、「補充」オプションキー517の状態次第で自動又は手動になる。量レベルが正しい時には、ユーザーは、手持ち式制御器14’を作動させて、注入処置を開始するよう促される。
【0136】
注入量が限界量の10%未満である場合は、注入回数は増加せず、手持ち式制御器は注入の引き金を引いた状態を保ったままである。「大」注入の場合、ユーザーは、別の注入が許可される前に「大OK」を再度押すように求められる。ユーザーは、画面上の何れかのキーを押して注入機能から出る。
【0137】
「生理食塩水」キー501を作動させると開始される生理食塩水洗浄機能は、生理食塩水袋から生理食塩水を引き出し、使い捨て接続部及び配管接続部を洗浄する。この機能が開始されると、「生理食塩水洗浄」状態ウインドウが、「洗浄」キー及び「完了」キーと共に表示されることになる。「洗浄」キーを押すと、使い捨て部分が生理食塩水で、長くて10秒間又はユーザーがキーを押すのを止めるまで、洗浄される。ウインドウ内の「完了」ボタンを押すと、洗浄処理が終了し、ユーザーは「主」画面に戻ることになる。
【0138】
吸引機能は、配管の流体をカテーテルから使い捨て部を介して廃棄物袋の中へと引き込む。これは、配管内に気泡が検出されると、それら気泡を除去するために使用される。吸引機能は、「吸引」ボタン又は表示パネル上のキー502を選択することによって開始される。「吸引」状態ウインドウが画面上に表示される。「吸引」キーを押すと、「吸引」キーが押されている間、長くて10秒間、配管の流体は使い捨て部を通り廃棄物袋の中に引き込まれる。「完了」ボタンを押すと、ユーザーは「主」画面に戻ることができる。
【0139】
使い捨て部から空気を流し出すには手動空気抜き機能が使用される。空気抜きを行う際には、シリンジ空気抜きと配管空気抜きの2つの選択肢がある。シリンジ空気抜きは、シリンジから空気を抜くことが関わっており、シリンジから空気が抜かれ、流体がシリンジ逆止弁を押して閉じると停止される。配管空気抜きは、シリンジから患者マニホルドを通して止水栓まで空気を抜く。この方法は、使い捨て部を通して造影剤を送り、気泡検出装置を切り離す。この空気抜きは、シリンジの患者マニホルド及び患者マニホルド弁の前部に対する相互接続部から空気を追い出すため、システム始動時に行われる。処置中、吸引洗浄処置を試行した後、使い捨て部内に気泡が残っている場合にも、配管空気抜きが使用される。「空気抜き」機能にアクセスするには、「主」画面から「空気抜き」キー503を選択する。「空気抜き」状態ウインドウが表示される。画面上には、「シリンジ」「キャンセル」「配管」の3つのオプションが提示される。「キャンセル」を選択すると、「主」画面に戻る。「配管」を選択すると、ユーザーは患者を切り離すよう警告される。ユーザーは、このことを「オーケー」キーを押すことによって認知せねばならない。この時、又は「シリンジ」を選択した場合、「空気抜き」キー及び「完了」キーがウインドウ内に表示される。「空気抜き」キーは、押して保持する型式のキーであり、押すと空気抜きを開始し、ユーザーがキーを放すまで、長くて10秒間、配管又はシリンジを通して空気抜きを続ける。空気が完全に抜かれて造影剤弁が首尾よく閉じられると、空気抜きは自動的に停止する。弁が閉じる前にユーザーが空気抜きを停止すると、空気抜きが完全でない旨のメッセージが表示される。画面上の「完了」キー又は何れか他のキーを押すと、空気抜き機能から外に出る。手動空気抜き機能のサンプル画面を図34に示している。
【0140】
キー517によって自動補充オプションが選定されると、所望の注入量限界に対してシリンジ内に十分な造影剤が無い場合は、シリンジは110mlまで自動的に補充される。これは、注入時に自動的に起こる。手動補充が選定されると、「補充」状態ウインドウが表示される。このウインドウでは「空気抜き」キー、「完了」キー、及び「補充」キーがアクティブである。「補充」キーを押し、そのまま押し続けると、プランジャが引き戻され、シリンジが充填される。充填されるとシリンジ内の現在の造影剤量が表示される。「補充」ボタンを放すと、補充動作は中断する。「空気抜き」キーを押すと、「空気抜き」キーが押されている間だけ、空気と流体がシリンジから追い出される。「完了」ボタンを押すと、ユーザーは「主」画面に戻される。それでも限界の注入値を満たすだけの造影剤がシリンジに無い場合には、「補充」状態ウインドウが注入時に再び開く。手動補充動作のサンプル画面を図35に示している。
【0141】
取扱症例を終了する場合は、「取扱症例終了」ボタン526をアクティブにする。状態ボックス内には「キャンセル」キーと「終了」キーが表示される。「キャンセル」キーを選択すると、ユーザーは「主」画面に戻る。「終了」キーを選択すると、取扱症例終了手続きが開始される。高圧配管が切り離され、造影剤容器がレセプタクルから取り外されると、「造影剤無し」インジケータが現れる。次に、「完了」ボタンを押すか又は選択すると、プランジャはシリンジ本体から自動的に引き出され、室の係止を解いて開放することにより、シリンジをシステムから取り外すことができるようになる。
【0142】
先行技術のシステムでは、治療を受ける患者の値又は特性に直接関係しているデフォルト注入パラメータの自動化された判定は提供されていない。その様な特性としては、その人の体重、年齢、健康、脈管の頑強性、カテーテル寸法などが挙げられる。例えば、先行技術のシステムは、特定の患者又は特定の処置について医師が記憶させた、その医師の選定した代表的な注入パラメータを表す記憶されている注入パラメータ値についてのメモリ呼び出し機能を含んでいる。本発明の各種実施形態は、注入処置の直前に提案されるデフォルト注入パラメータ値を求めるための自動化された方法を提供しており、それら注入パラメータ値は、治療を受ける患者の値又は状態に直接関係している。この方法の或る好適な実施形態の実例では、注入パラメータデフォルト値は、患者の「体重」を使用して計算
される。しかしながら、上で述べたように、デフォルト値計算の作成には、他の固有の患者係数を使用してもよい。患者の体重に基づくデフォルト注入パラメータの好適な実施形態による判定では、システムが実行することのできる3つの異なる型式の注入(即ち、LCA、RCA、又はLV/Ao)に対応して、3つの異なる組の式又はアルゴリズムが使用されている。LCA(左冠状動脈処置)では、4つの注入パラメータデフォルト値を求めるために使用された数式は、
LCA流量限界=3.5Ln(体重)−7.6 式1
LCA量限界=5.17Ln(体重)−11 式2
LCA立ち上がり時間=(流量+10)/100 式3
LCA圧力限界=(流量+20)25 式4
である。
【0143】
表1は、選択された患者体重に対して式1から4により求めた計算されたデフォルト注入パラメータ値の一覧を提示している。
【0144】
【表1】
【0145】
RCA(右冠状動脈処置)の好適な実施形態のデフォルト注入パラメータを、式5から8:
RCA流量限界=2.1Ln(体重)−4.8 式5
RCA量限界=2.7Ln(体重)−6 式6
RCA立ち上がり時間=(流量+10)/100 式7
RCA圧力限界=(流量+15)25 式8
により求めた。
【0146】
表2は、選択された患者体重に対して式5から8により求めた4つの注入パラメータの値の一覧を提示している。
【0147】
【表2】
【0148】
好適な実施形態では、LV/Ao注入選択(左心室/大動脈処置)のデフォルト注入パラメータ値を、式9から12により計算した。
LV/Ao流量限界=7Ln(体重)−16 式9
LV/Ao量限界=22Ln(体重)−46 式10
LV/Ao立ち上がり時間=(流量+10)/100 式11
LV/Ao圧力限界=60(流量)+200 式12
【0149】
表3は、選択された患者体重に対して式9から12により求めたデフォルト注入パラメータ値を示している。
【0150】
【表3】
【0151】
図36は、体重10〜130kgの患者に関し、左冠状動脈、右冠状動脈、及び左心室/大動脈機能について、それぞれ式1、5、及び9に基づいて求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフである。
【0152】
図37は、体重が10〜130kgの範囲にある患者に関し、それぞれ左冠状動脈、右冠状動脈、及び左心室/大動脈選択について、式2、6、及び10に基づいて計算された量限界デフォルト注入パラメータ値の対比グラフである。
【0153】
患者の(体重の様な)固有の特性に基づいてデフォルト注入パラメータ値を自動的に求めることにより、特定の患者に対する正しいデフォルトパラメータの選択に関係する推量因子を最小化することができ、注入処置の間の患者の状態の変化に対応したデフォルトパラメータを求める方法が提供され、そうでなければ、正しい注入パラメータデフォルト値を選択し又は求めるために、注入処置を統括している医師又はオペレータが頼らねばならない補助チャート及びグラフの必要性が無くなることが理解頂けよう。
【0154】
従って、特定の注入処置に関する一組のデフォルト注入パラメータ値を求めるために、ユーザーは、選択ボタン508〜510で提供される3つの注入選択肢の内の1つを選択して、患者体重ウインドウ524に患者の体重をキログラムで入力するだけでよい。このプロセスのフローチャートを図38に示している。本図を参照すると、行われる注入の型式の初期選択を含む初期設定プロセス(ブロック530)の後、オペレータは、患者の体重を入力する(ブロック531)。マイクロプロセッサは、選択された注入処置(即ち、LCA、RCA、又はLV/Ao)に基づき、且つ表示パネルを通してシステムに入力された患者の体重に基づき、そのための適切なアルゴリズムを使用することによってデフォルト注入パラメータを自動的に求める(ブロック532)。次に、計算されたデフォルト注入パラメータ値が、主画面上に表示され(ブロック533)このプロセスが完了する。オペレータには、求められた値を変更するオプションがあるが、殆どの用途では、デフォルト値に対する変更は一切要らないであろう。
【0155】
図39Aから図39Cは、1つの実施形態によるデュアルシリンジ造影剤注入システム
の図である。図39Aは、システム600の斜視図である。図39Bは、システム600の、各種内部構成要素を示している図である。図39Cは、システム600の一部の上面図である。これらの図に示しているシステム600は、制御パネル602と注入ヘッド604と電源装置(図示せず)を含んでいるデュアルシリンジシステムである。第1薬液リザーバー610は注入ヘッド604に取り付けられており、第2薬液リザーバー606も注入ヘッド604に取り付けられている。1つの実施形態では、リザーバー610は、滅菌造影剤のボトルを備えており、リザーバー606は、生理食塩水の様な滅菌希釈剤の袋を備えている。
【0156】
注入ヘッド604は、各種の副構成要素を備えている。例えば、注入ヘッド604は、小型表示器608、第1及び第2シリンジ/プランジャアッセンブリ614aと614b、第1及び第2弁/空気検出アッセンブリ612aと612b、及びアッセンブリ620を含んでいる。アッセンブリ620は、第3及び第4弁/空気検出アッセンブリを含んでいる。1つの実施形態では、それらアッセンブリに使用されている弁はピンチ弁を備えている。それらピンチ弁は、ソレノイド、空圧式、及び/又は他の形態の駆動機構により作動する。注入システム600は、流体を、リザーバー610から管616aを介して第1シリンジ/プランジャアッセンブリ614aの中に引き込むことができ、更に、流体を、リザーバー606から管616bを介して第2シリンジ/プランジャアッセンブリ614bの中に引き込むことができる。管616aは、第1弁/空気検出アッセンブリ612aを通って走っており、管616bは、第2弁/空気検出アッセンブリ612bを通って走っている。管616aの、アッセンブリ612aを通って走っている部分を覆うのにドア613aが使用されており、管616bの、アッセンブリ612bを通って走っている部分を覆うのにドア613bが使用されている。1つの実施形態では、ドア613aと613bは、透明又は半透明であり、それぞれ、各ピンチ弁/空気検出アッセンブリの外側縁に(開閉のために)ヒンジ付けされている。1つの実施形態では、ドア613aとドア613bは、それぞれ、各弁/空気検出アッセンブリの内側縁にヒンジ付けされている。
【0157】
アッセンブリ614aは、薬液を出力管618aの中に押し出すことができ、アッセンブリ614bは薬液を出力管618bの中に押し出すことができる。出力管618aは、第3弁/空気検出アッセンブリを通って走っており、出力管618bは第4弁/空気検出アッセンブリを通って走っている。出力管618aの、第3アッセンブリを通って走っている部分を覆うのにドア622aが使用されており、出力管618bの、第4アッセンブリを通って走っている部分を覆うのにドア622bが使用されている。1つの実施形態では、ドア622aと622bは、透明又は半透明であり、それぞれ、開閉のためにアッセンブリ620の外側縁にヒンジ付けされている。1つの実施形態では、ドア622aと622bは、それぞれ、開閉のためにアッセンブリ620の上面部分の共通のヒンジアッセンブリに連結されている。
【0158】
1つの実施形態では、空気検出器は、気柱検出器を備えている。空気検出器は、1つの実施形態によれば、気泡を検出することもできる。
システム600は、更に、主制御パネル602に加え小型制御パネル608も含んでいる。システム600のオペレータは、注入処置開始に先立ち、注入処置の1つ又はそれ以上のパラメータを設定するのに主制御パネル602を使用する。オペレータは、注入処置中に、処置の1つ又はそれ以上の態様、パラメータなどを変更するのにも主制御パネル602を使用し、又は注入処置を一時停止し、再開し、又は終了し、新たな処置を開始するのにもパネル602を使用する。制御パネル602は、流量、量、圧力、立ち上がり時間、処置型式、流体情報、及び患者情報の様な、様々な注入関連情報もオペレータに表示する。1つの実施形態では、主制御パネル602は、注入ヘッド604に電気的に連結された状態で、患者テーブルに接続されている。この実施形態では、オペレータは、パネル602により提供されている全ての機能性へのアクセスを確保しながら、主パネル602を
所望の場所に手で動かすことができる。
【0159】
1つの実施形態では、小型パネル608は、主パネル602により提供されている機能のサブセットを提供している。例えば、オペレータは、注入器設定を管理するのに小型パネル608を使用する。オペレータは、注入器の設定を管理するのに小型パネル608と対話する。小型パネル608は、この処理を支援するガイド付き設定指示を表示する。小型パネル608は、オペレータを支援するために或る特定のエラー及びトラブルシューティング情報も表示する。例えば、小型パネルは、オペレータに流体リザーバー及び/又はシリンジ内の造影剤又は生理食塩水の液面レベルが低くなっていることを警告する。1つの実施形態では、小型パネル608は、独自の表示機能性及び/又は主パネル602に関する追加的な機能を提供しており、これについては下で詳しく説明する。
【0160】
1つの実施形態では、更に、携帯情報端末(PDA)の大きさをした追加的な遠隔表示器(図示せず)が提供されている。この追加的遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネル602と通信している。この遠隔表示器は可動性であるため、医師は、この追加的遠隔表示器を柔軟に活用することができる。その寸法のおかげで、追加的表示器は、非常に持ち運びし易く、使用に便利である。遠隔表示器は、ユーザー入力を受け取って、表示情報を出力として提供することができ、1つの実施形態によれば、主パネル602により提供されている機能性のサブセットを提供している。1つの実施形態では、追加的遠隔表示器は、独自の表示機能性及び/又は主パネル602に関する追加的な機能を提供している。
【0161】
1つの実施形態では、出力管618aと618bは、再使用可能な部分と一回使用部分を含んでいる。この実施形態では、出力管618aと618bの一回使用部分は、患者カテーテルに連結されており、患者処置後に廃棄される。再使用可能部分とは、シリンジアッセンブリ614aと614bの出力に直接連結されている管部分である。1つの実施形態によれば、それら再使用可能部分と一回使用部分は、流体コネクタによって連結されている。アッセンブリ620の(ピンチ弁の様な)弁は、相互汚染を防止するのに役立つ。
【0162】
1つの実施形態では、管616aは、シリンジアッセンブリ614aの流体入力ポートに連結されており、管616bは、シリンジアッセンブリ614bの流体入力ポートに連結されている。出力管618a(又は、1つの実施形態では、少なくともその再使用可能部分)は、シリンジアッセンブリ614aの流体出力ポートに連結されており、出力管618b(又は、1つの実施形態では、少なくともその再使用可能部分)は、シリンジアッセンブリ614bの流体出力ポートに連結されている。
【0163】
1つの実施形態では、リザーバー606、リザーバー610、管616aと616b、シリンジアッセンブリ614aと614b、並びに管618aと618bの再使用可能部分は、複数の患者処置に亘って再使用される使い捨て構成要素である。管618と618bの一回使用部分は、一回の患者処置にしか使用されず、前記使用後は廃棄される、使い捨て構成要素である。
【0164】
図39Bは、システム600の或る特定の構成要素の内視図を示している。図39Bは、2つのモーター/アクチュエータアッセンブリ630aと630bを示している。アッセンブリの各モーターは、それぞれのリニアアクチュエータを駆動する。各リニアアクチュエータは、各シリンジのプランジャを駆動する。例えば、モーター/アクチュエータアッセンブリ630aのリニアアクチュエータは、シリンジアッセンブリ614a内のプランジャを駆動し、モーター/アクチュエータアッセンブリ630bのリニアアクチュエータは、シリンジアッセンブリ614b内のプランジャを駆動する。個々のプランジャは、シリンジ筒内で、前進方向又は後退方向の何れにも動くことができる。前進方向に動いて
いるとき、プランジャは流体を患者配管内に注入する。例えば、シリンジアッセンブリ614a内のプランジャが前進方向(図39Bでは左)に進むとき、プランジャは液体を出力管618aの中に注入することができる。後退方向(図39Bでは右)に動いているとき、プランジャは、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aの中に流体を充填することができる。
【0165】
図39Bに示すように、アッセンブリ612aは、弁632aと空気検出器634aを備えている。同様に、アッセンブリ612bは、弁632bと空気検出器634bを備えている。1つの実施形態では、弁632aと632bは、ピンチ弁を備えている。各弁632aと632bは、シリンジアッセンブリ614aと614bそれぞれにつながる流体接続を制御するために、システム600により開閉される。例えば、システム600は、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aに流体を充填するには、弁632aを開く。また、システム600は、リザーバー606からシリンジアッセンブリ614bに流体を充填するには、弁632bを開く。システム600は、1つの実施形態では、シリンジアッセンブリ614aと614bを同時に又は実質的に同時に充填することができる。システム600は、流体注入時には弁632a及び/又は632bを閉じる。例えば、システム600は、シリンジアッセンブリ614aが、アッセンブリ614aから出力管618aに流体を注入するのに使用されているときは、弁632bを閉じる。
【0166】
空気検出器634aと634bは、関係付けられている管616aと616b内の気柱又は気泡の存在を検出する。それら検出器には、光学、音響、又は他の形態のセンサが含まれる。1つの実施形態によれば、これらセンサの内の1つ又はそれ以上が、シリンジ614a及び/又は614bにつながっている流体配管内に空気が存在することを示す信号を生成すると、システム600は、ユーザーに警告するか又は注入処置を停止する。
【0167】
図39Bの実施形態では、アッセンブリ620は、出力弁636aと636b、並びに出力空気検出器638aと638bを含んでいる。1つの実施形態では、弁636aと636bはピンチ弁を備えている。システム600は、出力弁636aと636bを制御して、出力管618a及び/又は618bを介して、何時、流体を患者に注入するかを制御する。例えば、システム600は、弁636aを開いて、アッセンブリ614aが流体を出力管618aに注入できるようにする。また、システムは、弁636bを開いて、アッセンブリ614bが流体を出力管618bに注入できるようにする。1つの実施形態では、システム600は、流体を、シリンジアッセンブリ614aと614bから出力管618aと618bに同時に又は実質的に同時に注入する。この実施形態では、弁636aと636bは共に開かれる。システム600は、リザーバー610及び/又は606から対応するシリンジアッセンブリに流体を充填しているときには、弁636aと636bを閉じる。例えば、システム600は、リザーバー610からシリンジアッセンブリ614aに流体を充填するときは、弁636aを閉じる。この場合、弁632aは開いた状態となる。
【0168】
空気検出器638aと638bは、検出器634a及び634bと同様に機能するが、前者は、それぞれ関係付けられている出力管618aと618bの下流側に配置されている。それら検出器638aと638bは、関係付けられている管内に気泡又は気柱を検出すると、システム600に信号を送る。システム600は、検出器638a又は638bからその様な信号を受け取って処理すると、ユーザーに警告するか、注入処置を自動的に中断又は停止して、空気が患者に送り込まれないようにする。
【0169】
1つの実施形態では、システム600は、ユーザーが或る特定の構成要素をシステム600に手作業で装填するときには、弁632a、632b、636a、又は636bの内の1つ又はそれ以上を開く。例えば、システム600は、ユーザーが、アッセンブリ61
4aと管616aの様なシリンジアッセンブリと管を手作業で装填するときには、弁632aの様な入力弁を開く。別の例では、システム600は、ユーザーが、管618bの様な出力管を手作業で装填するときには、弁636bの様な出力弁を開く。
【0170】
図39Cは、システム600の一部の上面図を示している。図39Cは、1つの実施形態による、使用される状況連動型点灯器の一例を示している。この実施形態では、状況連動型点灯器は、各弁及び空気検出器に関係付けられている。点灯表示器650aと650bは、弁632aと632bにそれぞれ関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。1つの実施形態では、点灯表示器は、関係付けられた構成要素に隣接している。点灯表示652aと652bは、空気検出器634aと634bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。点灯表示器654aと654bは、弁636aと636bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。点灯表示器656aと656bは、空気検出器638aと638bに関係付けられており、それら構成要素に近接して設置されている。個々の点灯表示器は、(弁及び空気検出器の様な)特定の構成要素がシステム600内のどこに設置されているかをオペレータに示すのに役立つ。1つの実施形態では、点灯表示器650a、650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bは、点灯型図形の様な点灯パターンを備えている。
【0171】
1つの実施形態では、システム600は、システム600に馴染みの薄い又は不慣れなユーザー向けのガイド付き設定モードを提供している。この実施形態では、状況連動型点灯器が、システム600を使用するためにどの様に設定するかをユーザーに案内する助けになる。例えば、システム600は、1つ又はそれ以上の点灯表示器を、点滅させ、色を変えさせ、又は、点灯表示器に、設定が或る特定の様式で進んでいること、又は或る特定の条件が存在することを示す別の視覚表示を提供させる。1つのシナリオでは、システム600は、表示650を点滅させて、ユーザーが弁632aを通して管616aを装填しようとしていることを示す。ユーザーが管を首尾よく装填してしまうか、別のやり方で設定機能を適切に実行すると、システム600は、点灯表示器650に常時(点滅していない)灯を表示させ、装填が完了又は成功したことを示す。同様に、表示の色の変化(例えば、赤から緑)によって、作業段階が首尾よく完了したことを示すようにしてもよい。残りの表示器650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bは、ガイド付き設定中は同様の様式で制御される。1つの実施形態では、システム600は、ユーザーが適切な装填用ドア613a、613b、622a、及び/又は622bを閉じるまで、又はユーザーが別のやり方で設定を正しく実行するまで、点灯表示器を常時点灯(装填成功表示)させない。
【0172】
1つの実施形態では、システム600は、更に、システム600をかなり使い慣れたユーザー向けの高速設定モードを提供する。この実施形態では、ユーザーは、ユーザーの裁量でシステム構成要素を装填することができ、システム600は、ユーザーが個々の構成要素の装填を首尾よく完了するか、又は別のやり方で1つ又はそれ以上の設定機能を正しく実行した後、表示を点灯することになる。例えば、ユーザーが弁636b及び空気検出器638bを通して出力管618bを装填した後、システム600は、点灯表示654b及び656bを視覚的に常時点灯表示させ、ユーザーが上記構成要素を通して出力管618を首尾よく装填し終えたことを示す。システム600は、装填成功を示すために、1つ又はそれ以上の点灯パターンに緑の様な特定の色の灯を表示させるようにしてもよい。
【0173】
1つの実施形態では、更に、システム600は、潜在的又は実際のエラー状態を表示するか、ユーザーが設定機能を正しく実行しなかったことを表示するために、点灯表示器に識別された色を表示させる。例えば、システム600は、表示器650bを常時赤色に点灯して、ユーザーに、弁632bが誤作動したことを示す。或いは、システム600は、
表示器656aを常時赤色に点灯して、ユーザーに、空気検出器638aが空気の存在を検出したことを示す。その他様々な視覚的又は図形的なパターン、表示などを、システム600の点灯表示器650a、650b、652a、652b、654a、654b、656a、656bで行ってもよい。
【0174】
図40Aと図40B及び図41Aと図41Bは、システム600の様な電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。上記各図に示している例は、デュアルシリンジ注入システムに使用される使い捨て接続部に焦点を当てているが、他の実施形態は、他の構成を有する注入システム、例えば、図42に示すシステムなどでの様なシリンジと蠕動ポンプとして、それら接続部を使用する方法を提供している。様々な実施形態では、使い捨て流体接続部は、シリンジ、蠕動ポンプ、又は他の形態のポンプの様な、1つ又はそれ以上の加圧ユニットに連結されている。使い捨て流体コネクタの様々な実施形態は、電動注入システム及び/又は患者配管に必要な接続部の数をできる限り少なくするのに役立つ。
【0175】
図40Aは、使い捨て流体コネクタ682が注入システム600と共に使用されている1つの例を示している。この実施形態では、使い捨て流体コネクタ682は、注入ヘッド604のアッセンブリ部分680に装填される。この状態で、コネクタ682は、1つの単一のアッセンブリとして注入器に連結される。図40Bは、コネクタ682が部分680に装填された後の例を示している。コネクタ682は、1つの実施形態によれば、単一の患者処置だけに使用される(一回使用)。この実施形態では、コネクタ682は、特定の患者に対する注入処置に使用された後、廃棄される。1つの実施形態では、コネクタ682は、1つのアッセンブリとして注入ヘッド604の部分680に装填され、取り外される「使い捨てカセット」と呼ばれている。1つの実施形態によれば、コネクタ682の、部分680の上部に装着する部分又は部材は、プラスチックの様な弾性材料で作られている。この部材は、1つの実施形態によれば、管686aと686bの両方に取り外し不能に取り付けられている。コネクタ682を操作する際、又はコネクタ682を部分680に装填/取り外しする際、ユーザーは、管686aと686bの両方に取り外し不能に取り付けられている部材を把持及び/又は操作する。これにより、1つの実施形態によれば、ユーザーがコネクタ682を更に容易且つ便利に取り扱えるようになる。1つの実施形態では、この部材は、管686aと686bの両方に取り外し可能に接続されている。
【0176】
図40Aと図40Bに示すコネクタ682は、出力管686aと686bを含んでいる。コネクタ682は、更に接続部684を含んでいる。接続部684は、コネクタ682を外部医療装置又は外部信号に接続するのに用いられる。この接続部684は、注入器ヘッド604に連結される。例えば、1つの実施形態では、接続部684は、圧力変換器に接続されており、システム600が血流力学信号を監視できるようになっている。この実施形態では、圧力変換器を接続部684に接続するのにケーブルが使用されている。接続部684は、RJ−11コネクタを含んでおり、圧力変換器からの信号は、処理のため接続部684を経由してシステム600に送られる。1つの実施形態では、ケーブルは、血流力学的監視装置又はバルーン膨張装置の様な外部医療装置を、コネクタ684を介してシステム600に直接接続するのに使用されている。1つの実施形態では、システム600は、ヘッド604に対する接続部684の存在を接続部684によって検出することができる。この実施形態では、システム600は、ヘッド604の、部分680に対する電気的接続により、接続部684の存在を検出する。
【0177】
図40Aと図40Bに示すように、コネクタ682が装填されるとき、出力管686aと686bは、部分680の別々の溝又はチャネルに置かれる。出力管686aと686bは、出力管681aと681bそれぞれの一回使用部分を構成している。管686aと686bは、1つの実施形態によれば、単一使用(患者)にしか利用されず、個々の患者
処置の後、廃棄される。管686aと686bは、出力管618aと618bの、複数の患者処置に亘って再使用可能な部分に連結され、或いはシリンジアッセンブリ641aと641bそれぞれの出力部分に直接連結される、近位端部分を有している。管686aと686bは、それぞれ、患者に接続されている患者配管に連結することのできる遠位端を有している。(ピンチ弁の様な)弁636aと636bの使用は、出力管681aと681bの再使用可能部分の相互汚染を防止するのに役立つ。1つの実施形態では、管686aと686bは、(下の)図55Aと図55Bに図示しそれらに関連付けて説明するエラストマー系の弁の様な流体弁に連結されている。この実施形態では、管686aは、弁の第1入力ポートに連結され、管686bは弁の第2入力ポートに連結される。そこで、弁の出力ポートは、患者配管に連結される。弁は、管686aと686bを通って患者配管に流れる流体の流れを制御する。
【0178】
図41Aと図41Bは、別の実施形態による、システム600の様な電動注入システムに使用される、使い捨て流体接続部の斜視図である。図41Aは、システム600に使用される使い捨てコネクタの一例690を示しており、図41Bは、コネクタの一例690が注入器ヘッド604のアッセンブリ部分696に装填された後の状態を示している。コネクタ690は、先に図示し説明した接続部684に類似する接続部692を含んでいる。コネクタ690は、先の図に示しているコネクタ682より大きな寸法を有する部分696に装入するための構成要素を備えている。1つの実施形態では、この大きな寸法の構成要素は、部分696の受け入れ部分に被さるように滑り込ませ、出力管686aと686bは、部分686の狭い溝又はチャネルを通る際に密に近接する位置に設置される。
【0179】
図42は、1つの実施形態による、シリンジ714と、蠕動ポンプ724の様なポンプを含んでいる、電動注入システム700の斜視図である。この実施形態では、シリンジ714は、造影剤の様な第1薬液を患者に送達するのに使用され、ポンプ724は、生理食塩水希釈剤の様な第2流体を患者に送達するのに使用されている。システム700は、更に、主制御パネル702、小型制御パネル708、第1流体リザーバー710、第2流体リザーバー706、入力管716、出力管718aと718b、アッセンブリ720、及びドア722aと722bを含んでいる。
【0180】
1つの実施形態では、制御パネル702は、形状と機能が、図39Aに示すパネル602と同様であり、小型パネル708は、形状と機能が、パネル608と同様である。リザーバー710には、造影剤の様な第1の薬液が入っており、リザーバー706には、生理食塩水の様な第2の流体が入っている。図42の例に示すように、リザーバー710は、ガラスのボトルであり、リザーバー706はプラスチックの袋である。他の実施形態では、他のリザーバー型式が使用されている。リザーバー710内の流体は、シリンジ714内でプランジャが後退すると、管716を通りシリンジ714に充填される。システム700は、このプランジャの動きを制御することができる。1つの実施形態では、システム700は、手持ち式制御器からのユーザー入力又はパネル702及び/又は708上に提供されるユーザー入力の様なユーザー入力を受け取ると、プランジャの動きを制御する。リザーバー706内の流体は、蠕動ポンプ724の作動により、管718を通って移動する。ポンプ724も、システム700によって制御されている。
【0181】
シリンジ714内に入っている薬液は、出力管718aを介して患者に注入され、リザーバー706からの薬液は、ポンプ724の作動により出力管718bを介して患者に注入される。出力管718aと718bは、1つの実施形態では、患者カテーテルに作動的に接続されている。
【0182】
1つの実施形態では、管18aは、一回使用部分と複数回使用部分を備えている。一回使用部分は、患者配管(カテーテル)に作動的に連結されており、複数回使用部分は、シ
リンジ714の出力に連結されている。一回使用部分及び複数回使用部分は、コネクタを介して連結されている。
【0183】
1つの実施形態では、リザーバー706、リザーバー710、管716、シリンジ714、及び管718aの再使用可能部分は、複数の患者処置に亘って再使用される使い捨て構成要素であり、一方、管718aと管718bの一回使用部分は、単一の患者処置にしか使用されない使い捨て構成要素である。アッセンブリ720は、弁と空気検出器のアッセンブリを2個(それぞれシリンジ714とポンプ724に関係付けられている)を含んでいる。ドア722aと722bは、アッセンブリ720にヒンジ付けされており、ドア622a及び622bと同様に機能する。1つの実施形態では、システム700は、リザーバー710とシリンジアッセンブリ714の間に、図39Bに示す弁632a及び空気検出器634aと同様の弁と空気検出器(図示せず)を更に含んでいる。管716は、この弁を通り、この空気検出器を通って走っている。1つの実施形態では、弁は、ピンチ弁を備えている。
【0184】
1つの実施形態では、更に、携帯情報端末(PDA)の大きさをした追加的な遠隔表示器(図示せず)が提供されている。この追加的な遠隔表示器は、1つの実施形態によれば、無線接続を介して主制御パネル702と通信している。この追加的な遠隔表示器は可動式であるため、医師は、より柔軟にこの表示器を使用することができる。この寸法のおかげで、追加的表示器は非常に持ち運びし易く、使用に便利である。遠隔表示器は、ユーザー入力を受け取り、情報を出力として提示することができ、1つの実施形態によれば、主パネル702により提供される機能のセブセットを提供している。1つの実施形態では、追加的な遠隔表示器は、独自の表示機能性及び/又は主パネル702に関する追加的な機能を提供している。
【0185】
図43から図54は、例えば、図39Aに示すシステム600又は図43に示すシステム700の様な電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施例を示している。それら画面表示は、先に図示し説明した制御パネル602、608、702及び/又は708の様な、システムの制御パネル上に提供される。1つの実施形態では、これらの画面表示は、主パネルに連結されている追加的な小型遠隔可搬表示器にも提供されている。その様な、小型遠隔表示器の例は、これまでに説明している。
【0186】
1つの実施形態では、図43に示す画面表示は、制御パネル602又は702の様な、システムの主コンソール又は制御パネル上に提供される。図43に示すように、制御パネルはタッチスクリーンインターフェースを含んでいるので、システムのユーザーは、提示されている画面表示と対話することができる。1つの実施形態では、制御パネルは、システムへ入力するためにユーザーが押すことになるハードボタンも含んでいる。他の実施形態では、他の形態の(音声起動式、手制御式、足制御式の様な)ユーザーインターフェースが使用されている。
【0187】
ユーザーは、表示されているオプションの内の1つを選択することにより、行われる処置の型式を選択する。図43では、表示されているオプションは、「LCA」(左冠状動脈)、「RCA」(右冠状動脈)、及び「LV/Ao」(左心室/大動脈)である。各オプションは、アイコンの様な対応する図形シンボルと関係付けられている。各シンボルは、患者に対して行われる医療処置についての情報と関係付けられている。1つの実施形態では、各シンボルは、図43の例に示すように、行われる医療処置と関係付けられている患者の解剖学的位置(例えば、LCA、RCA、LV/Ao)を表している。本例では、ユーザーは「LCA」を選択している。1つの実施形態では、シンボルは、それぞれ、医療処置を行う際に使用される医療装置又は機材の型式を表している。
【0188】
一旦、ユーザーが選択を行うと、その選択の、対応する医療処置と関係付けられているデフォルト注入パラメータが取り出され、ユーザーに表示される。図43の例では、「LCA」を選択した場合のデフォルトパラメータ、即ち左冠状動脈への注入処置と関係付けられているパラメータが表示される。それらデフォルトパラメータは、1つの実施形態では、システム内に記憶されており、製造者によって構成されている。1つの実施形態では、ユーザーは、記憶されるデフォルトパラメータをカスタマイズすることができる。それらパラメータは、個々の患者注入処置に適用される。1つの実施形態によれば、パラメータがユーザーに表示された後、ユーザーは、次に、GUIを使用してパラメータの内の1つ又はそれ以上を変更することもできる。
【0189】
グラフィカルシンボル又はアイコンの使用は、実行される適切な処置と関係付けられている素早く認識できる図形表現をユーザーに提供するのに役立つ。これは、設定の作業の流れと速度の改善に役立つのみならず、恐らくミスを防止することにも役立つ。1つの実施形態では、図形アイコンは、更に、状況、状態、又は装置を示す様々な色で表示される。1つの実施形態では、様々な色は、以下の状態、即ち、未選択、選択済み、引き金が引かれた(注入器)、及び触れられた(ユーザーに)、に使用される。例えば、ユーザーがオプションの内の1つを選択した後、システムは、多くの場合、選択されたオプション(及び対応する図形シンボル)の色を変化させることによって、選択されたオプションをGUI内に表示する。
【0190】
図43では、ユーザーは、最大注入量、最大流量、立ち上がり時間、及び最大注入圧を変更することができる。画面表示は、更に、関係付けられている(リザーバー706又は710の様な)造影剤リザーバー内に残留している造影剤又は生理食塩水の量を示すためのバー表示を、対応する数値と併せて含んでいる。ユーザーは、「注入」ボタンを押して流体の注入を開始させるか、「補充」ボタンを押して補充動作を開始させる。ユーザーは、(1つの実施形態によれば)、一方の(造影剤の様な)液状媒体については「注入」を押し、同時又は実質的に同時に第2の(生理食塩水の様な)液状媒体については「補充」を押すこともできる。1つの実施形態では、システムは、先にシステムに入力された入力に基づくリザーバーの寸法/容積を知っている。
【0191】
図44は、1つの実施形態による、表示上のアクティブ及び非アクティブ画面部分の一例を示している。この実施形態では、「設定値調整」と呼ばれる画面ウインドウがアクティブウインドウであり、他の全ての背景メニューは又はウインドウは非アクティブになっている(灰色にぼやけている)。この様式では、ユーザーの注目は、表示のアクティブ部分にしか向かず、残りの表示部分は全面的に使用不能になっている。本例では、ユーザーの注意は、ユーザーが以前に変更で選択したものに基づく設定値の調整にしか向かない。アクティブウインドウは、ユーザーが、最大圧力、立ち上がり時間、及びKVO(静脈開通維持)流(KVO特性がオンになっている場合)を調整するのに使用される。
【0192】
図45は、図43に示したのと同様の画面表示を示している。但し、図45の表示は、幾つか追加の特性を含んでいる。図示のように、画面表示は、以前の注入の流量、以前の注入の注入量、所与の取扱症例の合計流体注入量の様な、追加の詳細を提供している。この画面表示は、使用中のカテーテルの現在寸法、計算された注入圧力、立ち上がり時間、及びKVO流量についての詳細も提供している。また、画面表示は、バルーン膨張装置(膨張/収縮では「膨張収縮装置」)の様な外部医療装置を制御し管理するため、画面のボタンで制御及び設定できるようにしている。1つの実施形態では、バルーン膨張装置は、自動膨張装置である。画面表示のGUIを使用して、ユーザーは、膨張装置の引き金を引く/引き金を外すこと、処置に使用されるバルーン/ステント/他の型式を選択すること、膨張/縮小に関する圧力と時間の様な各種膨張/収縮パラメータを調整することができ
る。図45に示す画面表示は、制御パネルに表示されている単一のGUIから、複数の医療装置を制御するための無数のオプションを、ユーザーに提供している。
【0193】
図46Aと図46Bは、医師の様な特定の個人に対し、各種注入設定又はパラメータをカスタマイズするためにユーザーに提供される画面表示の一例を示している。個々の注入システムが長い間に複数の異なる医師又はオペレータによって使用されるので、これは、医師らが、所与の処置型式又はシナリオについて自らが選択した又は好みの設定に関して、1つ又は複数のプロファイルを作成するのに、しばしば有用である。個々のユーザーは、システムを使用したいと思えば、ユーザーはシステムに保存されている自分達の好みのプロファイルを素早く且つ便利に呼び出すことができる。
【0194】
図46Aに示すように、ユーザーは模範的な医師の処置を選択している。「小児末梢」、「小児冠状動脈」、及び「小児頸動脈」の様な各種処置が表示されている。各処置のデフォルトセットは、製造者によりシステムにローディングされるが、ユーザーが更にカスタマイズすることもできる。個々の処置型式内で、システムは、患者の年齢又は年齢層の様な患者の付加的な部類を表示する。
【0195】
図46Bの例では、ユーザーは、表示されている医師の「小児末梢」の一般的処置型式の場合の「年齢5−7」を選択している。この医師の場合、表示されているパラメータは、特定の処置型式に関する、そして指定の年齢範囲内に入る患者のデフォルトパラメータとして記憶されることになる。図46Bに示すように、画面は、選択された型式での特定の処置に関するパラメータを表示している。それら処置の例には、「左冠状動脈」、「右冠状動脈」、及び「左心室」がある。関係付けられている図形表示又はアイコンが、処置の文字説明の横に表示されている。最大注入量及び最大流量の様な、処置毎に指定されているパラメータも示されている。ユーザーは、表示されている医師で使用される処置パラメータの何れを選択又は変更してもよく、その場合、それらは後で使用できるようにシステムに記憶される。
【0196】
図47は、エラーインジケータの画面表示の一例を示している。図示のように、この特的のエラーインジケータは、ユーザーに特定の警告を図形的に示している。このシナリオでは、警告は、造影剤ボトルが空であることを示している。この実施形態では、ユーザーは、それまで表示されていた画面に戻る前に、「OK」ボタンをクリックせねばならない。警告ウインドウは、ユーザーに表示される注目の強調表示されたウインドウの別の例を提示しており、一方、他の全てのウインドウ及び/又はGUIの部分は淡色表示/灰色にされ、ぼやかされている。1つの実施形態では、図47に示す警告ウインドウは、黄色の様な特定の色で表示される。この実施形態では、特定の型式の警告に1つの色が使用され、他の型式の警告又はエラーには他の色が使用されている。各色の使用は、システムに起こるであろう又は起こった問題を素早く且つ正確に識別し解消するのを支援する。
【0197】
図48から図50は、(システム600又は700の様な)注入システムの設定に際し、システムにより提供される画面表示の各例を示している。1つの実施形態では、設定画面は、(パネル602の様な)主制御画面と注入ヘッド側の(パネル608の様な)小型パネルの両方に提示させることができる。この実施形態では、主制御パネルは、或る特定の設定情報(又は設定画面)を提供することができ、一方、小型パネルは、設定情報の型式又は順番に基づき他の設定情報(又は画面)を提供することができる。1つの実施形態では、設定画面は、主制御パネル又は小型制御パネルの何れかにしか提供されない。1つの実施形態では、設定画面は、(PDAの大きさをした)小型遠隔可搬パネル上にも提供される。
【0198】
1つの実施形態では、注入システムは、ガイド付き設定と高速又は熟練者設定モードの
両方を提供している。ガイド付き設定モードは、システムに馴染みの薄い又は不慣れなユーザーに、又はシステムの使用方法について更に具体的な指示を求めているユーザーに使用される。ガイド付き設定モードでは、注入ヘッドの状況連動型点灯方式が、システムを使用するのにどの様に設定するかに関してユーザーを案内するのに更に役立っている。例えば、ガイド付き設定モードでGUI(コンソールのグラフィックユーザーインターフェース)の指示を通して進めてゆく間、システムは、注入ヘッド上の、パターンの様な、1つ又はそれ以上点灯表示器を、点滅させ、色を変えさせ、又は点灯表示器に、設定が或る特定の様式で進んでいること又は(エラー状況の様な)或る特定の状態が存在することを示す何か他の形態の視覚表示を提供させる。例えば、1つのシナリオでは、GUIは、ユーザーが造影剤シリンジを装填するように指定する。注入ヘッドでは、造影剤シリンジに関係付けられている状況連動型点灯表示器が、黄色の様な特定の色で点滅して、ユーザーに行動を起こすよう指示する。次に、GUIは、造影剤シリンジの装填に関して、ユーザーに図形及び文字による指示を与える。この様式では、ユーザーは、GUIからガイド付き設定指示を受け取り、注入器ヘッド上で設定の支援となる対応するインジケータ(状況連動型点灯方式を介して)を受け取る。リザーバーの装填、管の装填、カートリッジの装填、手持ち式制御器のシステムへの設置、その他の様な他の設定タスクでは、追加の指示が提供される。様々な色及び色パターンも使用される。例えば、システムは、或る特定の設定ステップを行うべきであることを示すのに黄色灯/点灯パターンを、或る特定の設定ステップが首尾よく実行されたことを示すのに白色灯/パターンを、或いは1つ又はそれ以上のエラーが起こったことを示すのに赤色灯/パターンを提供する。また、システムは、様々な状況状態に対し点滅又は常時点灯パターンを提供する。例えば、システムは、或る特定の設定ステップを実行すべきことを示すのに点滅ライトを提供し、又は或る特定の設定ステップが完了したことを示すのに常時点灯ライトを提供する。
【0199】
1つの実施形態では、システムは、更に、システムの使用にもっと慣れているか、対話的な設定手続きを経由するのを望まないユーザー向けの、高速又は熟達設定モードを提供している。この実施形態では、ユーザーは、ユーザーの裁量でシステム構成要素を装填することになり、システムは、ユーザーが或る特定の設定段階を首尾よく完了したことを示す或る特定の点灯パターンを実施することになる。例えば、ユーザーが、管を弁と空気検出器の両方に通して装填した後、システムは、注入ヘッドの点灯表示に、常時点灯ライトを視覚的に表示させ、ユーザーが管の装填を首尾よく完了したことを示す。更に、システムは、1つ又はそれ以上の点灯パターンに、緑の様な特定の色のライトを表示させ、装填の成功を示す。図49は、ユーザーがガイド付き設定モード又は熟達設定モードの何れかを選択するのに使用するGUIの一例を示している。注入器ヘッド並びにその手持ち式制御器への連結部の図形表現が表示されている。一旦、設定が開始されたら、様々なライト及び点灯パターンが使用される。
【0200】
図48は、ガイド付き及び/又は高速モードでの、注入器の初期設定の際にコンソールに提示されるGUIの1つの例を示している。流体リザーバー、シリンジ、及び多種多様な弁/空気検出器アッセンブリの様な、注入器ヘッドの各種構成要素の図形表現が、GUI内に示されている。アイコンと明色コーディングを図形表現と併せて使用することで、生理食塩水が生理食塩水リザーバーからシリンジの中に装填されたことが示される。この初期設定時には、GUIの指示と共に、注入ヘッドの状況連動型点灯方式パターンも使用されている。ユーザーがガイド付き設定モードを選択すると、システムは、生理食塩水が首尾よく装填された後、次の設定ステップをGUIに表示する。GUI内に様々な形態の視覚表示(例えば、図形シンボル又は文字による指示など)を使用することにより、システムは、どの特定の単数又は複数の設定機能を、システムの対応する構成要素で実行すべきかを示すことができる。1つの実施形態では、矢印の様な図形シンボル、又更には色付き強調表示が、GUI内で使用されている。図形シンボルは、様々に異なる色で表示される。ガイド付き設定モードでは、GUIは、一連の視覚表示又は指示を提示し、ユーザー
にシステムの詳しい設定指示を与える。
【0201】
図50は、1つの実施形態による、ガイド付き設定手続き時に提供されるGUIの一例を示している。この例では、GUIは、造影剤シリンジを設定するための指示をユーザーに与えている。GUIは、注入器ヘッドに装填された造影剤シリンジの図形表現、並びに入力及び出力管の表現を提供している。図示の入力管は、弁と空気検出器を通って走っている。GUI内の文字による指示は、ユーザーが造影剤シリンジ室を開き、シリンジを室内に置き、そして室を閉じるように指示している。GUI内の図形及び文字情報の組み合わせは、設定処理時にユーザーに多様な形態の有用な情報を提供する。
【0202】
図51から図54は、パネル608及び708の様な小型制御パネル内に表示される図形情報の例である。図51は、左冠状動脈注入処置の詳細及びパラメータを表示するためにGUI内に提供される画面の一例を示している。ユーザーは、処置中に送達される薬液の最大量並びに最大流量を、「+」及び「−」ボタンを使用して変更することができる。1つの実施形態では、それらボタンは、制御パネルのハウジング上に設けられているハードボタンである。1つの実施形態では、それらボタンは、タッチスクリーンパネル内に提供されている。図51は、更に、立ち上がり時間、及び計算又は測定された流体圧を、造影剤及び生理食塩水流体リザーバーに残留している流体の量のバー表示と併せて表示している。ユーザーが主制御パネルの近くに居ないとき、ユーザーは、(注入器ヘッドに設置されている)小型制御パネルに表示されている情報が特に有用且つ便利であることがわかる。
【0203】
図52は、GUI内に提供される設定情報の別の例を提示している。図示のように、この特定の例は、ガイド付き設定処理に関する情報を提供する。文字情報は、ユーザーに、管を弁に通して設置し、ドアを閉じるように指示している。図形情報は、弁を通して設置された管を表現したものを示しており、ユーザーが識別できるように矢印で弁を指している。
【0204】
図53は、ボトル選択画面の一例を提示している。1つの実施形態によれば、GUIとの対話を通して、ユーザーは、使用する造影剤ボトルの容積又は大きさを選択する。図53に示すように、ユーザーは、表示されているオプションから、ボタン800、802、804、又は806にタッチすることによって選択する。以前に使用された造影剤リザーバーの容積又は大きさもGUI内に表示される。1つの実施形態では、ボタン800、802、804、806は、ハードボタンである。1つの実施形態では、ボタン800、802、804、806は、タッチスクリーン上で選択可能なボタンである。
【0205】
図54は、ユーザーに提示される警告の一例である。例えば、この警告は、小型制御パネルの、図51に示す画面表示に提示される。この特定の警告は、流体リザーバーの流体量が少なくなってきていることを示している。アイコン又は図形表現が、対応するバー表示の横に表示されている。図54では、警告は、造影剤リザーバーが少ないことを示している。ユーザーは、この警告を見ると、すぐに交換が必要であることに気づく。造影剤リザーバーが実際に空になると、別の警告又はエラー表示が表示される。
【0206】
様々な画面が、遠隔小型表示器又は制御パネルに表示される。この遠隔パネルは、1つの実施形態によれば、無線接続を使用して、主パネルと通信する。1つの実施形態では、遠隔パネルは可搬式であり、PDA(携帯情報端末)の大きさの様に小さい。遠隔パネルの画面サイズは、1つの実施形態によれば、主パネルよりも小さいが、それでも、複数の異なる色による情報を含め、膨大な量の表示情報をユーザーに提供することができる。ユーザーは、1つの実施形態によれば、遠隔パネルを使用して、情報を入力することもでき、その情報は次いで主パネルに送信して戻される。
【0207】
図55Aは、電動注入システムと共に使用される弁の1つの実施形態の斜視図である。例えば、弁は、1つの実施形態によれば、図39Aに示すシステム600と共に、又は図42に示すシステム700内で使用される。1つの実施形態では、弁は、患者配管の一部、即ち一回使用キットであるエラストマー系の弁アッセンブリを備えている。図55Aに示す弁は、第1入力ポート900、第2入力ポート904、トランスデューサ接続部902、出力ポート906を含んでいる。トランスデューサ接続部902は、血流力学の監視に使用される圧力トランスデューサに連結される。次いで、圧力トランスデューサが、血流力学監視システムに連結される。入力ポート900は、図39Aに示す出力管618bの様な第1流体出力配管に接続される。1つの実施形態では、入力ポート900は、低圧配管に連結されている。入力ポート904は、出力管618aの様な第2流体出力配管に接続される。1つの実施形態では、入力ポート904は、高圧配管に連結されている。出力ポート906は、カテーテルに繋がっている患者配管に連結される。この実施形態では、流体は、ポート906から押し出され患者に注入される。1つの実施形態では、弁は、流体がポート900又は904の何れかからポート906に流れるのは許容するが、反対方向に流れるのは許容しない一方向弁として機能している。1つの実施形態では、弁は、二方向の流体の流れを提供することができる。
【0208】
図55Bは、システム600又はシステム700の様な電動注入システムと共に使用される弁の別の実施形態の斜視図である。この実施形態では、弁は、第1入力ポート910、第2入力ポート914、出力ポート916、及び通気口912を備えている。図55Bに示す弁は、トランスデューサ接続部を含んでいていないが、代わりに、通気口912を含んでいる。
【0209】
図56は、システム600又はシステム700の様な電動注入システムと共に使用される手持ち式制御器の1つの実施形態の斜視図である。この手持ち式制御器は、システムに連結されており、ユーザーが患者への流体の注入を制御するのに使用される。1つの実施形態では、手持ち式制御器は、各患者処置後に廃棄される使い捨て構成要素である。1つの実施形態では、手持ち式制御器は、複数の処置に亘って再使用可能である。
【0210】
手持ち式制御器は、ハウジング1000、第1ボタン1002、及び第2ボタン1004を備えている。図示のように、ハウジング1000は、人間工学的に肉薄であり、ユーザーの掌にぴったりと沿う。1つの実施形態では、ハウジング1000は、プラスチック材料で作られており、ボタン1002及び1004は、シリコン又はゴムの様な可撓性材料で作られている。ユーザーは、生理食塩水の様な第1流体を患者に注入する場合にはボタン1002を押す。ユーザーは、造影剤の様な第2流体を患者に注入する場合にはボタン1004を押す。或るモードでは、ユーザーは、所定量の流体を注入する場合にはボタン1002を押す。或るモードでは、ユーザーは、可変量の流体を可変流量で注入する場合にはボタン1004を押して、ユーザーがボタン1004をどれだけ長く、どれだけ強く押すかによって加減する。1つの実施形態では、ユーザーは、ボタン1002又はボタン1004の何れかを押すのに、親指の様な同じ指を使う。1つの実施形態では、ユーザーは、別々の指を使って、ボタン1002と1004を同時に又は実質的に同時に押す。1つの実施形態では、手持ち式制御器及び対応するボタンは、空圧式インターフェース又は電子式インターフェースを使用して、注入システムに連結されている。他の実施形態では、他のインターフェースが使用されている。1つの実施形態では、図56に示す手持ち式制御器は、図1に示す手持ち式制御器14に置き換えられている。
【0211】
以上、好適な実施形態の説明及び本発明の使用法を開示してきたが、上記の記述に照らし、当業者には、ここで具体的に開示又は言及していない他の変更例が自明であろうと考えられる。上記説明は、好適な実施形態、構造、方法、アルゴリズム、及び用途の特定の
実施例を提供することを意図している。従って、本発明は、何れの特定の実施形態又はその構成又は構成要素部分に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】血管造影注入器システムの好適な実施形態を示している斜視図である。
【図2A】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2B】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2C】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2D】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2E】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2F】図1のシステムの作動を示している図である。
【図2G】図1のシステムの作動を示している図である。
【図3A】図1の注入器システムの制御システムの電気ブロック図である。
【図3B】図1の注入器システムの制御システムの電気ブロック図である。
【図4】注入器システムの好適な実施形態の前面パネルの制御及び表示部を示している。
【図5A】図1のシステムの遠隔制御器の側面図部である。
【図5B】図1のシステムの遠隔制御器の部分上面図である。
【図6】足操作式遠隔制御器の斜視図である。
【図7A】図7Aは、造影剤充填時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7B】図7Bは、空気抜き時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7C】図7Cは、空気抜き、及び患者注入動作時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図7D】図7Dは、患者注入動作時の、吸込逆止弁とマニホルドの動作を示している。
【図8A】図8Aは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図8B】図8Bは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図8C】図8Cは、吸込逆止弁の動作を更に詳しく示している。
【図9A】図9Aは、血管造影注入器システムの第2の実施形態の構成を示している斜視図である。
【図9B】図9Bは、血管造影注入器システムの第2の実施形態の構成を示している斜視図である。
【図10】図9に開示されているシステムの各部の取り付け構成を示している機械ブロック図である。
【図11A】図11Aは、図9及び図10のシステムの制御システムと電気的機能の電気ブロック図である。
【図11B】図11Bは、図9及び図10のシステムの制御システムと電気的機能の電気ブロック図である。
【図12】図11の制御システムの注入器モーター制御部分の電気ブロック図である。
【図13】図11の制御システムの蠕動ポンプモーター制御部分と関係付けられている安全回路の電気ブロック図である。
【図14】図11のシステムの表示装置のパワーアップ画面の図である。
【図15】図11のシステムの表示装置の逆行較正画面の図である。
【図16】図11のシステムの表示装置のチェック画面の図である。
【図17】図11のシステムの表示装置の前進較正画面の図である。
【図18】図11のシステムの表示装置の第1起動指示画面の図である。
【図19】図11のシステムの表示装置の第2起動指示画面の図である。
【図20】図11のシステムの表示装置の第3起動指示画面の図である。
【図21】図11のシステムの表示装置の第4起動指示画面の図である。
【図22】図11のシステムの表示装置のシリンジ充填準備完了画面の図である。
【図23】図11のシステムの表示装置のシリンジ充填中通知画面の図である。
【図24】図11のシステムの表示装置の空気抜き中通知画面の図である。
【図25】図11のシステムの表示装置の配管空気抜き指示画面の図である。
【図26】図11のシステムの表示装置の配管空気抜き中通知画面の図である。
【図27】図11のシステムの表示装置の最終生理食塩水洗浄指示画面の図である。
【図28】図11のシステムの表示装置の生理食塩水洗浄中通知画面の図である。
【図29】図11のシステムの表示装置の最終起動画面の図である。
【図30】図11のシステムの主表示画面の図である。
【図31】注入モードの動作を示している図30の主表示画面の図である。
【図32】固定速度動作モードが選択されたときに表示されるキーパッドを示している、図30の主表示装置の図である。
【図33】可変速度動作モードが選択されたときに表示されるキーパッドを示している、図30の主表示装置の図である。
【図34】手動空気抜きモードの動作を示している、図30の主表示画面の図である。
【図35】手動補充モードの動作を示している、図30の主表示画面の図である。
【図36A】図36Aは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図36B】図36Bは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図36C】図36Cは、患者の体重に関係するアルゴリズムにより求められた流量限界のデフォルト注入パラメータ値の対比グラフを示している。
【図37A】図37Aは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図37B】図37Bは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図37C】図37Cは、患者の体重に関係する本発明のアルゴリズムにより求められた量限界のデフォルト注入パラメータ値のグラフ比較を示している。
【図38】図36及び図37の患者関係デフォルト注入パラメータを求めるために使用されるプロセスを示す概略フローチャートである。
【図39A】図39Aは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図39B】図39Bは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図39C】図39Cは、1つの実施形態による、電動デュアルシリンジ造影剤注入システムの図である。
【図40A】図40Aは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図40B】図40Bは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図41A】図41Aは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図41B】図41Bは、電動注入システムに使用される使い捨て流体接続部の或る特定の実施形態の斜視図である。
【図42】1つの実施形態による、シリンジ及び蠕動ポンプを含んでいる電動注入システムの斜視図である。
【図43】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の一画面表示を示している。
【図44】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図45】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図46a】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図46b】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図47】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図48】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図49】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図50】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図51】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図52】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図53】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図54】電動注入システムのグラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に提供される画面表示の様々な実施形態の別の画面表示を示している。
【図55A】図55Aは、電動注入システムと共に使用される弁の1つの実施形態の斜視図である。
【図55B】図55Bは、電動注入システムと共に使用される弁の別の実施形態の斜視図である。
【図56】電動注入システムと共に使用される手持ち式制御器の1つの実施形態の斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報搬送体に具現化されているコンピュータプログラム製品であって、実行されると、電動流体注入システムにおいて或る方法を実行する指示を保有している、コンピュータプログラム製品において、前記方法は、
グラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に、それぞれが患者に対して実行される医療処置についての情報と関係付けられている図形シンボルを含んでいる、複数の選択可能なオプションの表示を提供する段階と、
前記オプションの1つをユーザーが選択すると、前記選択されたオプションの前記図形シンボルに関係付けられている前記医療処置の1つ又はそれ以上の注入パラメータを検索して取り出す段階と、
前記GUI内に、前記1つ又はそれ以上の注入パラメータを表示する段階と、から成る、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
前記各選択可能なオプションは、前記医療処置と関係付けられている患者の解剖学的位置を表している図形シンボルを含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
各図形シンボルはアイコンを備えている、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記方法は、
前記表示された注入パラメータの1つを変更するユーザー入力を入手する段階を、更に含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記方法は、前記GUI内に、前記選択されたオプションを目立つように表示する段階を更に含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
前記選択されたオプションを目立つように表示する前記段階は、前記GUI内の前記選択されたオプションの色を変化させる段階を含んでいる、請求項5に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項1】
情報搬送体に具現化されているコンピュータプログラム製品であって、実行されると、電動流体注入システムにおいて或る方法を実行する指示を保有している、コンピュータプログラム製品において、前記方法は、
グラフィックユーザーインターフェース(GUI)内に、それぞれが患者に対して実行される医療処置についての情報と関係付けられている図形シンボルを含んでいる、複数の選択可能なオプションの表示を提供する段階と、
前記オプションの1つをユーザーが選択すると、前記選択されたオプションの前記図形シンボルに関係付けられている前記医療処置の1つ又はそれ以上の注入パラメータを検索して取り出す段階と、
前記GUI内に、前記1つ又はそれ以上の注入パラメータを表示する段階と、から成る、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
前記各選択可能なオプションは、前記医療処置と関係付けられている患者の解剖学的位置を表している図形シンボルを含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
各図形シンボルはアイコンを備えている、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記方法は、
前記表示された注入パラメータの1つを変更するユーザー入力を入手する段階を、更に含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記方法は、前記GUI内に、前記選択されたオプションを目立つように表示する段階を更に含んでいる、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
前記選択されたオプションを目立つように表示する前記段階は、前記GUI内の前記選択されたオプションの色を変化させる段階を含んでいる、請求項5に記載のコンピュータプログラム製品。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46a】
【図46b】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55A】
【図55B】
【図56】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図36C】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図38】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46a】
【図46b】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55A】
【図55B】
【図56】
【公開番号】特開2012−91013(P2012−91013A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288267(P2011−288267)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2008−542502(P2008−542502)の分割
【原出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(500165186)アシスト・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2008−542502(P2008−542502)の分割
【原出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(500165186)アシスト・メディカル・システムズ・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】
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