コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法およびシステム
【課題】コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法。
【解決手段】織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、織編物品を製作するための加工糸であり、パターンを確定するためにテクスチャーを変更可能な加工糸を選択するステップと、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データを読み出し、織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、二次元画像データから一次元線データのセットを生成するステップと、糸製造装置(25)において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、糸製造装置(25)を制御することにより糸を製造するステップと、製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作するステップとを含む。
【解決手段】織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、織編物品を製作するための加工糸であり、パターンを確定するためにテクスチャーを変更可能な加工糸を選択するステップと、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データを読み出し、織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、二次元画像データから一次元線データのセットを生成するステップと、糸製造装置(25)において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、糸製造装置(25)を制御することにより糸を製造するステップと、製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作するステップとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援による、パターン付きの織編物品を製作する方法に関し、さらに詳細には、コンピュータ支援による、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法に関する。本発明はまた、コンピュータ支援による、パターン付きの織編物品を製作するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
刺繍、転写印刷、接着および同様のものは、衣服、ハンドバッグ、帽子および他のものを製作するのに有用な所定のパターンを織編物に形成して、織編物から製作された製品に魅力的な外観を与えるために用いられる通常の方法である。織編物にパターンを形成するために使用される別の通常の方法が、ジャカード織りまたは編み方法である。刺繍方法は、本来、まず平織り、次いで所定のパターンを上に形成するために刺繍を行うという2段階の方法である。転写印刷および接着方法は、同様に2段階の方法である。ジャカード織りまたは編み方法は、異なる色を有する糸を同時に2層に織るかまたは編む方法である。その結果、それにより製作された織編物は、比較的厚くなる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明の目的は、コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法を提供することであって、当該方法によって、単一の加工糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作可能である。
【0004】
本発明の一態様によれば、コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法は、以下のステップを含む。
【0005】
織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、織編物品を製作するための加工糸であり、パターンを確定するためにあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な加工糸を選択するステップと、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データを読み出し、織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、糸における距離および長さを表わし、糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データのセットを、二次元画像データから生成するステップと、糸製造装置において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、糸製造装置を制御して、位置データおよび糸加工制御データに従って糸のテクスチャーを変更することによって、糸を製造するステップと、製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作するステップと、を含む。
【0006】
本発明の別の態様によれば、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートし、加工糸から製作されるパターン付きの織編物品を製作するコンピュータ支援システムが、画像データ格納手段と、スキャン手段と、線データ生成手段と、糸加工制御データ格納手段と、糸製造装置と、織編物製作装置とを含む。加工糸は、パターンを確定するために長さに沿ってあるテクスチャーから別のテクスチャーに変化可能である。画像データ格納手段は、織編物サンプルの画像データを格納する。スキャン手段は、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データをスキャンし、織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定する。線データ生成手段は、二次元画像データから一次元線データの1セットを生成する。線データは、糸における距離および長さを表し、糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む。糸加工制御データ格納手段は、糸製造装置内の糸を加工するパラメータの異なるセットを代表する糸加工制御データを格納する。糸製造装置は、糸を製造し、位置データおよび糸加工制御データに従って、糸のテクスチャーを変更するために使用される。織編物製作装置は、糸製造装置により製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る他の特徴および本発明の利点は、添付の図面に関連した、好ましい実施形態の以下の詳細な説明において明らかになるだろう。
【0008】
本発明は、パターン、特に立体パターンを有する織編物品の提供を目的とし、そのパターンは、刺繍プロセスを追加する必要なしに、突起またはループを有するファンシーヤーンなどの加工糸から製作される。ユーザーのデザインに対応するパターン付き織編物品を製作するために、突起またはループなどのテクスチャーが、糸の適切な位置に行われることが保証されるべきであって、その結果、そのテクスチャーによって、ユーザーのデザインパターンをシミュレートしたパターンを得られる。一般には、糸を加工することは、糸製作または加工装置および/またはプロセスのパラメータにより制御される。以下に一例として、糸の加工を制御するパラメータを説明する。
【0009】
ファンシーヤーン1の一例を図1に示すが、この糸は、ループ10およびループのない部分11を含んでいる。ループ10およびループのない部分11は、糸の長さに沿って互い違いになっている。図2に、ファンシーヤーン1を加工するための通常の糸製造装置4の概略を示す。図2に示すように、装置4は、糸40の前方向に沿って順番に、給送ローラー機構41、撚糸機構42、送り出しローラー機構43および制御機構44を含んでいる。
【0010】
給送ローラー機構41は、順番に、後方ローラー411、中央ローラー412、および前方ローラー413を含んでいる。糸40の第1の部分401は、形態が粗く、後方ローラー411と中央ローラー412との間において延伸され、次いで、後方ローラー411および中央ローラー412の間の回転速度と、中央ローラー412および前方ローラー413の間の回転速度とを相違させて、中央ローラー412と前方ローラー413との間において延伸されて、その結果、第1の部分401が、延伸されて、必要な繊度を有するエフェクトヤーン402を形成する。芯糸403が給送され、それと同時に糸40がエフェクトヤーン402の段階に達して、芯糸403とエフェクトヤーン402とからなる複合糸404が形成される。
【0011】
撚糸機構42は、軸線に沿って回転する中空スピンドル421、および中空スピンドル421の周りを回転する結束コーン422を含んでいる。複合糸404は、結束コーン422の周りに巻き付いた結束糸420とともに中空スピンドル421へ給送されて、結束糸420を複合糸404に巻き付けることにより撚糸作用が生じて、ファンシーヤーン405が製造される。
【0012】
送り出しローラー機構43は、中空スピンドル421からファンシーヤーン405を送り出す撚糸機構42の下に装着された加圧ローラー431を含んでいる。ファンシーヤーン405の撚糸の程度は、加圧ローラー431の回転速度に対する中空スピンドル421の回転速度の比率を変更することにより、調節可能である。糸の給送比率は、加圧ローラー431の回転速度に対する前方ローラー413の回転速度の比率により確定され、所望のループまたは突起構造体を有するファンシーヤーン405を形成するために、前方ローラー413と加圧ローラー431との間の回転速度を相違させることによって調節可能である。
【0013】
制御機構44は、制御装置441、制御装置441に電気的に接続されたメインモータ442、制御装置441により別々に制御される第1のサーボモータ443、第2のサーボモータ444、および第3のサーボモータ445を含んでいる。制御装置441は、コンピュータが制御するタイプのもので、このコンピュータは、メインモータ442の出力を制御および調節し、第1のサーボモータ443、第2のサーボモータ444および第3のサーボモータ445の出力を別々に制御および調節し、次いで、中空スピンドル421、後方ローラー411、中央ローラー412および前方ローラー413、および加圧ローラー431の回転速度を制御するようにプログラムされている。延伸比率、糸給送比率および撚糸程度などのパラメータを調節して、そのように製造されるファンシーヤーンの繊度、嵩高度およびループサイズを変更可能である。
【0014】
図3を参照すると、コンピュータ支援による、本発明に係るパターン付きの織編物品を製作する方法の好ましい実施形態が、以下のものを含むように示されている。織編物サンプルを選択するステップ(11)と、織編物サンプルの二次元画像データを格納するステップ(12)と、所望の特性を有する糸を選択するステップ(13)と、糸加工制御データを格納するステップ(14)と、画像データを読み出し織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定するステップ(15)と、線データを生成するステップ(16)と、糸を製造するステップ(17)と、パターン付きの織編物品を製作するステップ(18)とを含む。好ましい実施形態の方法は、図4に示したコンピュータ支援システムを用いることにより実行可能である。
【0015】
図4に示すように、コンピュータ支援システムは、コンピュータ表示装置20と、画像データ格納手段21と、スキャン手段22と、線データ生成手段24と、糸加工制御データ格納手段23と、糸製造装置25と、織編物製作装置26とを含んでいる。
【0016】
コンピュータ支援による方法のステップ(11)において、二次元形状および所望のパターンを有する織編物サンプルが、パターン付きの織編物品をデザインし製作する参照用に選択される。織編物サンプルは、既存の織編物または新たにデザインされた織編物であってよい。選択された織編物サンプルは、図5に(A)で示され、長方形の基本的な加工領域(X)と、基本的な加工領域(X)内に形成されたパターン(Y)とを含み得る。
【0017】
ステップ(12)では、1セットの二次元画像データが、織編物サンプル(A)から製作され、画像データ格納手段21内に格納される。図6に示すように、画像データは、コンピュータ表示装置20に表示される画像に変換される。
【0018】
ステップ(13)では、パターン付きの織編物品を製作するための糸が、選択され、織編物サンプル(A)のシミュレートが行われる。選択された糸は、被加工糸であって、この被加工糸は、ヤーン製造プロセスにおいて糸を加工するパラメータを変更することにより、あるテクスチャーから別のテクスチャーへ変更することができる。異なる加工が糸に沿って行われ、糸から作り出される織編物にパターンを形成可能である。この実施形態では、織編物サンプル(A)のパターン(Y)は、糸の適切な位置に異なる糸テクスチャーを配置することにより形成される。例えば、選択された糸が、図1に示すようなループ10およびループのない部分11を有するファンシーヤーン1であるとき、ファンシーヤーンのループのない部分11は、基本的な加工領域(X)を画定し、ループ10は、パターン(Y)を画定する。前述のように、ループ10およびループのない部分11の形成は、延伸比率、糸給送比率、撚り度、加速または減速期間、および引き取り比率などのパラメータによって制御される。
【0019】
ステップ(14)では、糸が選択された後、糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データが、生成され、糸加工制御データ格納手段23内に格納される。例えば、図6に示す織編物サンプル(A)の全体画像は、縦横両方向に画定される単位のマトリックスを含んでいる。各単位は、長方形を表わす。基本的な加工領域(X)およびパターン(Y)は、領域(X)には黒色でパターン(Y)には赤色など、異なる二色で色分けされる。したがって、基本的な加工領域(X)内の単位は、黒色であり、パターン(Y)内の単位は、赤色である。
【0020】
図7および図8を参照すると、糸加工制御データ格納手段23内に格納された赤色および黒色単位用の糸加工制御データまたはパラメータが、コンピュータ表示装置20に表示される。赤色単位用の糸加工制御データまたはパラメータは、以下のようにセットされる。延伸比率を20に、糸給送比率を2.2に、撚りを350に、加速時間を0に、引き取り比率を3.12に、ならびに回転方向を正の向きにする。図7に示した糸加工制御データによれば、ループ10が、ファンシーヤーン1に形成され得る。
【0021】
黒色単位の糸加工制御データまたはパラメータは、以下のようにセットされる。延伸比率を20に、糸給送比率を1に、撚りを350に、加速時間を0に、引き取り比率を3に、ならびに回転方向を正の方向にセットする。図8に示した糸加工制御データによれば、ループのない部分11が、ファンシーヤーン1に形成され得る。
【0022】
当然ながら、選択されたファンシーヤーンは、2つを超えるテクスチャー、例えば、3つの異なるテクスチャーを有する場合がある。この場合、コンピュータ表示装置20に示された画像は、3つの異なる色を有することになり、画像のマトリックスは、3つの色で特定された単位を有することになる。3つの色は、糸加工制御データの3つの異なるセットを表わす。同じ色を有する単位は、同じ糸加工制御データを有する。
【0023】
ステップ(15)では、画像データは、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って読み出され、画像におけるパターン(Y)の位置は、スキャン手段22(図4を参照)によって測定される。ステップ(16)では、1セットの一次元線データが、織編物サンプル(A)の二次元画像データから生成される。図6を再度参照すると、画像データのマトリックスにおいては、ポイントP1からポイントP2までで画定されるマトリックス単位は、1つのコースを表わす。スキャン手段22は、左から右に第1のコースの単位を、次に、右から左に第2のコースの単位を、続けて100番目のコースが終了するまでスキャンする。換言すれば、スキャン手段22は、連続して順次マトリックス単位をスキャンする。スキャン手段22のスキャニングラインの方向は、その糸の長さ方向を表わし、その結果、各コースの長さ、およびマトリックスに含まれるコースの全長が、測定され得る。線データは、これによって生成することができる。
【0024】
例えば、マトリックスは、100×20単位を含んでいる。100の単位は、長手方向(縦列方向)に、20の単位は、幅方向(横列方向)に形成される。幅方向における各単位が2cmの長さを有するとすれば、織編物サンプル(A)の幅は、40cm(20×2)である。各コースにおいて必要とされる糸の長さは、40cm×3(引き取り比率)=120cmになるように計算される。パターン(Y)の存在によって、20番目のコースから80番目のコースまで、各コースにおいて必要とされる糸の長さは、8(単位)×2(単位幅)×3(引き取り比率)+12(単位)×2(単位幅)×3.12(引き取り比率)=122.88cmである。コース全体を通して必要とされる糸の長さの合計は、織編物サンプル(A)をシミュレートする織編物品を製作するのに必要な糸の全長である。
【0025】
複数の織編物品を製作する場合、前述の糸の全長は、その糸が複数の加工糸部分を有するように長くして、各糸が前述の全長を有するようにしなければならない。これらの加工糸部分は、間隔を置いて配置し、識別表示のためにそれらの間に余分の糸部分を配置する必要がある。
【0026】
前述のように、織編物サンプル(A)の画像において基本的な加工領域(X)の色とパターン(Y)の色とは、相違させる。色を相違させることによって、スキャン手段22により画像をスキャンすると、パターン領域(Y)、および基本的な加工領域(X)のマトリックス単位の位置が、検出され決定される。マトリックス単位が、糸の長さ方向を表わすマトリックスのコース方向に沿って、スキャン手段22によりスキャンされるので、スキャン手段22により検出された情報は、糸の間隔および長さを示す線データからなる。パターン(Y)を形成するために、糸には、パターン(Y)の領域内のマトリックス単位により表わされる位置に1つのテクスチャーを、かつ基本的な加工領域(X)内のマトリックス単位により表わされる他の位置に別の異なるテクスチャーを具える必要がある。異なるテクスチャーの位置は、基準ポイント、例えば糸の出発ポイントからの、糸の距離を示す位置データによって表わされる。
【0027】
ステップ(17)では、前述のように選択された糸は、前述の線データおよび糸加工制御データを用いて、制御プログラムによって、糸製造装置25(図4を参照)により製作される。生成された線データおよび糸加工制御データに基づいて、糸製造装置25は、所定の位置において糸1のテクスチャーを変更し、所定の長さの範囲内において各加工を行うように制御可能である。
【0028】
図2を再度参照すると、糸は、位置データを含む前述の糸加工制御データおよび線データからプログラムされた制御装置441の助けによって、糸製造装置4により製作される。図7および図8に示すように、パラメータの2つのセットは、糸給送比率が異なる。詳細には、糸給送比率は、図7では2.2であり、図8では1である。糸の製造中に、これらのパラメータに従って、制御装置441は、糸製造装置4に給送された糸40が、画像データから生成された位置データによって示された距離に達すると、糸給送比率を変更するように、糸製造装置4に命令する。
【0029】
図2と組み合わせて図6を再度参照すると、ファンシーヤーン1の製造中に、織編物品の製作に必要な糸の全長が、第1のコースから第100のコースまでマトリックス単位をスキャンすることにより決定されるので、この全長を有する糸部分40が、給送され糸製造装置4により加工された後に、この全長と等しい、糸40の追加部分が、糸製造装置4内に連続して給送されて、織編物品の追加部分が製作され得る。糸の先行部分と後続部分とを識別するために、それらの2つの部分の間に余分な糸部分を配置可能である。この余分な糸部分は、織編物品の製造後に廃棄されることになる。
【0030】
ステップ(18)では、織編物製造装置26(図4を参照)によって、ステップ(17)において製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品が製作される。前述のように、糸の加工が制御されることによって、出来上がった織編物品は、織編物サンプル(A)のパターンをシミュレートしたパターンを有する。織編物製造装置26は、既知の織り機または編み機にすることができる。
【0031】
図9を参照すると、一例として、糸製造装置4内における糸の加工を制御するための複数の糸加工制御データセットおよび位置データが、提供される。これらのデータは、別のパターン付き織編物品を製作するように糸製造装置4を制御するようにプログラムされている。
【0032】
図10を参照すると、別の織編物サンプルが、ストライプパターン(Y’)、ストライプのない部分(X’)および境界縁(Z’)を有するジプシースタイルとして示されている。この織編物サンプルをシミュレートしたパターン付き織編物品もまた、本発明のコンピュータ支援による方法およびシステムにより製造可能である。
【0033】
本発明を、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に制限されず、最も広い解釈に係る精神および範囲内に含まれる様々な構成をカバーして、このようなあらゆる変更および均等な構成を含むものであると、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る、コンピュータ支援により、パターン付きの織編物品を製作する方法の好ましい実施形態において使用される加工糸の断片の概略図である。
【図2】好ましい実施形態において使用される糸製造装置の概略図である。
【図3】本発明に係る方法の好ましい実施形態の流れ図である。
【図4】本発明に係る、パターン付きの織編物品を製作するためのコンピュータ支援システムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図5】本発明に係る方法の好ましい実施形態によって、製作されるパターン付きの織編物品によって、シミュレートされる織編物サンプルの概要図である。
【図6】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図7】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図8】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図9A】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図9B】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図10】本発明に係る方法の好ましい実施形態により製作された、別のパターンが形成された織編物品の断片の概要図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ支援による、パターン付きの織編物品を製作する方法に関し、さらに詳細には、コンピュータ支援による、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法に関する。本発明はまた、コンピュータ支援による、パターン付きの織編物品を製作するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
刺繍、転写印刷、接着および同様のものは、衣服、ハンドバッグ、帽子および他のものを製作するのに有用な所定のパターンを織編物に形成して、織編物から製作された製品に魅力的な外観を与えるために用いられる通常の方法である。織編物にパターンを形成するために使用される別の通常の方法が、ジャカード織りまたは編み方法である。刺繍方法は、本来、まず平織り、次いで所定のパターンを上に形成するために刺繍を行うという2段階の方法である。転写印刷および接着方法は、同様に2段階の方法である。ジャカード織りまたは編み方法は、異なる色を有する糸を同時に2層に織るかまたは編む方法である。その結果、それにより製作された織編物は、比較的厚くなる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明の目的は、コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法を提供することであって、当該方法によって、単一の加工糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作可能である。
【0004】
本発明の一態様によれば、コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法は、以下のステップを含む。
【0005】
織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、織編物品を製作するための加工糸であり、パターンを確定するためにあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な加工糸を選択するステップと、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データを読み出し、織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、糸における距離および長さを表わし、糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データのセットを、二次元画像データから生成するステップと、糸製造装置において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、糸製造装置を制御して、位置データおよび糸加工制御データに従って糸のテクスチャーを変更することによって、糸を製造するステップと、製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作するステップと、を含む。
【0006】
本発明の別の態様によれば、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートし、加工糸から製作されるパターン付きの織編物品を製作するコンピュータ支援システムが、画像データ格納手段と、スキャン手段と、線データ生成手段と、糸加工制御データ格納手段と、糸製造装置と、織編物製作装置とを含む。加工糸は、パターンを確定するために長さに沿ってあるテクスチャーから別のテクスチャーに変化可能である。画像データ格納手段は、織編物サンプルの画像データを格納する。スキャン手段は、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って画像データをスキャンし、織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定する。線データ生成手段は、二次元画像データから一次元線データの1セットを生成する。線データは、糸における距離および長さを表し、糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む。糸加工制御データ格納手段は、糸製造装置内の糸を加工するパラメータの異なるセットを代表する糸加工制御データを格納する。糸製造装置は、糸を製造し、位置データおよび糸加工制御データに従って、糸のテクスチャーを変更するために使用される。織編物製作装置は、糸製造装置により製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に係る他の特徴および本発明の利点は、添付の図面に関連した、好ましい実施形態の以下の詳細な説明において明らかになるだろう。
【0008】
本発明は、パターン、特に立体パターンを有する織編物品の提供を目的とし、そのパターンは、刺繍プロセスを追加する必要なしに、突起またはループを有するファンシーヤーンなどの加工糸から製作される。ユーザーのデザインに対応するパターン付き織編物品を製作するために、突起またはループなどのテクスチャーが、糸の適切な位置に行われることが保証されるべきであって、その結果、そのテクスチャーによって、ユーザーのデザインパターンをシミュレートしたパターンを得られる。一般には、糸を加工することは、糸製作または加工装置および/またはプロセスのパラメータにより制御される。以下に一例として、糸の加工を制御するパラメータを説明する。
【0009】
ファンシーヤーン1の一例を図1に示すが、この糸は、ループ10およびループのない部分11を含んでいる。ループ10およびループのない部分11は、糸の長さに沿って互い違いになっている。図2に、ファンシーヤーン1を加工するための通常の糸製造装置4の概略を示す。図2に示すように、装置4は、糸40の前方向に沿って順番に、給送ローラー機構41、撚糸機構42、送り出しローラー機構43および制御機構44を含んでいる。
【0010】
給送ローラー機構41は、順番に、後方ローラー411、中央ローラー412、および前方ローラー413を含んでいる。糸40の第1の部分401は、形態が粗く、後方ローラー411と中央ローラー412との間において延伸され、次いで、後方ローラー411および中央ローラー412の間の回転速度と、中央ローラー412および前方ローラー413の間の回転速度とを相違させて、中央ローラー412と前方ローラー413との間において延伸されて、その結果、第1の部分401が、延伸されて、必要な繊度を有するエフェクトヤーン402を形成する。芯糸403が給送され、それと同時に糸40がエフェクトヤーン402の段階に達して、芯糸403とエフェクトヤーン402とからなる複合糸404が形成される。
【0011】
撚糸機構42は、軸線に沿って回転する中空スピンドル421、および中空スピンドル421の周りを回転する結束コーン422を含んでいる。複合糸404は、結束コーン422の周りに巻き付いた結束糸420とともに中空スピンドル421へ給送されて、結束糸420を複合糸404に巻き付けることにより撚糸作用が生じて、ファンシーヤーン405が製造される。
【0012】
送り出しローラー機構43は、中空スピンドル421からファンシーヤーン405を送り出す撚糸機構42の下に装着された加圧ローラー431を含んでいる。ファンシーヤーン405の撚糸の程度は、加圧ローラー431の回転速度に対する中空スピンドル421の回転速度の比率を変更することにより、調節可能である。糸の給送比率は、加圧ローラー431の回転速度に対する前方ローラー413の回転速度の比率により確定され、所望のループまたは突起構造体を有するファンシーヤーン405を形成するために、前方ローラー413と加圧ローラー431との間の回転速度を相違させることによって調節可能である。
【0013】
制御機構44は、制御装置441、制御装置441に電気的に接続されたメインモータ442、制御装置441により別々に制御される第1のサーボモータ443、第2のサーボモータ444、および第3のサーボモータ445を含んでいる。制御装置441は、コンピュータが制御するタイプのもので、このコンピュータは、メインモータ442の出力を制御および調節し、第1のサーボモータ443、第2のサーボモータ444および第3のサーボモータ445の出力を別々に制御および調節し、次いで、中空スピンドル421、後方ローラー411、中央ローラー412および前方ローラー413、および加圧ローラー431の回転速度を制御するようにプログラムされている。延伸比率、糸給送比率および撚糸程度などのパラメータを調節して、そのように製造されるファンシーヤーンの繊度、嵩高度およびループサイズを変更可能である。
【0014】
図3を参照すると、コンピュータ支援による、本発明に係るパターン付きの織編物品を製作する方法の好ましい実施形態が、以下のものを含むように示されている。織編物サンプルを選択するステップ(11)と、織編物サンプルの二次元画像データを格納するステップ(12)と、所望の特性を有する糸を選択するステップ(13)と、糸加工制御データを格納するステップ(14)と、画像データを読み出し織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定するステップ(15)と、線データを生成するステップ(16)と、糸を製造するステップ(17)と、パターン付きの織編物品を製作するステップ(18)とを含む。好ましい実施形態の方法は、図4に示したコンピュータ支援システムを用いることにより実行可能である。
【0015】
図4に示すように、コンピュータ支援システムは、コンピュータ表示装置20と、画像データ格納手段21と、スキャン手段22と、線データ生成手段24と、糸加工制御データ格納手段23と、糸製造装置25と、織編物製作装置26とを含んでいる。
【0016】
コンピュータ支援による方法のステップ(11)において、二次元形状および所望のパターンを有する織編物サンプルが、パターン付きの織編物品をデザインし製作する参照用に選択される。織編物サンプルは、既存の織編物または新たにデザインされた織編物であってよい。選択された織編物サンプルは、図5に(A)で示され、長方形の基本的な加工領域(X)と、基本的な加工領域(X)内に形成されたパターン(Y)とを含み得る。
【0017】
ステップ(12)では、1セットの二次元画像データが、織編物サンプル(A)から製作され、画像データ格納手段21内に格納される。図6に示すように、画像データは、コンピュータ表示装置20に表示される画像に変換される。
【0018】
ステップ(13)では、パターン付きの織編物品を製作するための糸が、選択され、織編物サンプル(A)のシミュレートが行われる。選択された糸は、被加工糸であって、この被加工糸は、ヤーン製造プロセスにおいて糸を加工するパラメータを変更することにより、あるテクスチャーから別のテクスチャーへ変更することができる。異なる加工が糸に沿って行われ、糸から作り出される織編物にパターンを形成可能である。この実施形態では、織編物サンプル(A)のパターン(Y)は、糸の適切な位置に異なる糸テクスチャーを配置することにより形成される。例えば、選択された糸が、図1に示すようなループ10およびループのない部分11を有するファンシーヤーン1であるとき、ファンシーヤーンのループのない部分11は、基本的な加工領域(X)を画定し、ループ10は、パターン(Y)を画定する。前述のように、ループ10およびループのない部分11の形成は、延伸比率、糸給送比率、撚り度、加速または減速期間、および引き取り比率などのパラメータによって制御される。
【0019】
ステップ(14)では、糸が選択された後、糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データが、生成され、糸加工制御データ格納手段23内に格納される。例えば、図6に示す織編物サンプル(A)の全体画像は、縦横両方向に画定される単位のマトリックスを含んでいる。各単位は、長方形を表わす。基本的な加工領域(X)およびパターン(Y)は、領域(X)には黒色でパターン(Y)には赤色など、異なる二色で色分けされる。したがって、基本的な加工領域(X)内の単位は、黒色であり、パターン(Y)内の単位は、赤色である。
【0020】
図7および図8を参照すると、糸加工制御データ格納手段23内に格納された赤色および黒色単位用の糸加工制御データまたはパラメータが、コンピュータ表示装置20に表示される。赤色単位用の糸加工制御データまたはパラメータは、以下のようにセットされる。延伸比率を20に、糸給送比率を2.2に、撚りを350に、加速時間を0に、引き取り比率を3.12に、ならびに回転方向を正の向きにする。図7に示した糸加工制御データによれば、ループ10が、ファンシーヤーン1に形成され得る。
【0021】
黒色単位の糸加工制御データまたはパラメータは、以下のようにセットされる。延伸比率を20に、糸給送比率を1に、撚りを350に、加速時間を0に、引き取り比率を3に、ならびに回転方向を正の方向にセットする。図8に示した糸加工制御データによれば、ループのない部分11が、ファンシーヤーン1に形成され得る。
【0022】
当然ながら、選択されたファンシーヤーンは、2つを超えるテクスチャー、例えば、3つの異なるテクスチャーを有する場合がある。この場合、コンピュータ表示装置20に示された画像は、3つの異なる色を有することになり、画像のマトリックスは、3つの色で特定された単位を有することになる。3つの色は、糸加工制御データの3つの異なるセットを表わす。同じ色を有する単位は、同じ糸加工制御データを有する。
【0023】
ステップ(15)では、画像データは、織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って読み出され、画像におけるパターン(Y)の位置は、スキャン手段22(図4を参照)によって測定される。ステップ(16)では、1セットの一次元線データが、織編物サンプル(A)の二次元画像データから生成される。図6を再度参照すると、画像データのマトリックスにおいては、ポイントP1からポイントP2までで画定されるマトリックス単位は、1つのコースを表わす。スキャン手段22は、左から右に第1のコースの単位を、次に、右から左に第2のコースの単位を、続けて100番目のコースが終了するまでスキャンする。換言すれば、スキャン手段22は、連続して順次マトリックス単位をスキャンする。スキャン手段22のスキャニングラインの方向は、その糸の長さ方向を表わし、その結果、各コースの長さ、およびマトリックスに含まれるコースの全長が、測定され得る。線データは、これによって生成することができる。
【0024】
例えば、マトリックスは、100×20単位を含んでいる。100の単位は、長手方向(縦列方向)に、20の単位は、幅方向(横列方向)に形成される。幅方向における各単位が2cmの長さを有するとすれば、織編物サンプル(A)の幅は、40cm(20×2)である。各コースにおいて必要とされる糸の長さは、40cm×3(引き取り比率)=120cmになるように計算される。パターン(Y)の存在によって、20番目のコースから80番目のコースまで、各コースにおいて必要とされる糸の長さは、8(単位)×2(単位幅)×3(引き取り比率)+12(単位)×2(単位幅)×3.12(引き取り比率)=122.88cmである。コース全体を通して必要とされる糸の長さの合計は、織編物サンプル(A)をシミュレートする織編物品を製作するのに必要な糸の全長である。
【0025】
複数の織編物品を製作する場合、前述の糸の全長は、その糸が複数の加工糸部分を有するように長くして、各糸が前述の全長を有するようにしなければならない。これらの加工糸部分は、間隔を置いて配置し、識別表示のためにそれらの間に余分の糸部分を配置する必要がある。
【0026】
前述のように、織編物サンプル(A)の画像において基本的な加工領域(X)の色とパターン(Y)の色とは、相違させる。色を相違させることによって、スキャン手段22により画像をスキャンすると、パターン領域(Y)、および基本的な加工領域(X)のマトリックス単位の位置が、検出され決定される。マトリックス単位が、糸の長さ方向を表わすマトリックスのコース方向に沿って、スキャン手段22によりスキャンされるので、スキャン手段22により検出された情報は、糸の間隔および長さを示す線データからなる。パターン(Y)を形成するために、糸には、パターン(Y)の領域内のマトリックス単位により表わされる位置に1つのテクスチャーを、かつ基本的な加工領域(X)内のマトリックス単位により表わされる他の位置に別の異なるテクスチャーを具える必要がある。異なるテクスチャーの位置は、基準ポイント、例えば糸の出発ポイントからの、糸の距離を示す位置データによって表わされる。
【0027】
ステップ(17)では、前述のように選択された糸は、前述の線データおよび糸加工制御データを用いて、制御プログラムによって、糸製造装置25(図4を参照)により製作される。生成された線データおよび糸加工制御データに基づいて、糸製造装置25は、所定の位置において糸1のテクスチャーを変更し、所定の長さの範囲内において各加工を行うように制御可能である。
【0028】
図2を再度参照すると、糸は、位置データを含む前述の糸加工制御データおよび線データからプログラムされた制御装置441の助けによって、糸製造装置4により製作される。図7および図8に示すように、パラメータの2つのセットは、糸給送比率が異なる。詳細には、糸給送比率は、図7では2.2であり、図8では1である。糸の製造中に、これらのパラメータに従って、制御装置441は、糸製造装置4に給送された糸40が、画像データから生成された位置データによって示された距離に達すると、糸給送比率を変更するように、糸製造装置4に命令する。
【0029】
図2と組み合わせて図6を再度参照すると、ファンシーヤーン1の製造中に、織編物品の製作に必要な糸の全長が、第1のコースから第100のコースまでマトリックス単位をスキャンすることにより決定されるので、この全長を有する糸部分40が、給送され糸製造装置4により加工された後に、この全長と等しい、糸40の追加部分が、糸製造装置4内に連続して給送されて、織編物品の追加部分が製作され得る。糸の先行部分と後続部分とを識別するために、それらの2つの部分の間に余分な糸部分を配置可能である。この余分な糸部分は、織編物品の製造後に廃棄されることになる。
【0030】
ステップ(18)では、織編物製造装置26(図4を参照)によって、ステップ(17)において製造された糸を使用して、パターン付きの織編物品が製作される。前述のように、糸の加工が制御されることによって、出来上がった織編物品は、織編物サンプル(A)のパターンをシミュレートしたパターンを有する。織編物製造装置26は、既知の織り機または編み機にすることができる。
【0031】
図9を参照すると、一例として、糸製造装置4内における糸の加工を制御するための複数の糸加工制御データセットおよび位置データが、提供される。これらのデータは、別のパターン付き織編物品を製作するように糸製造装置4を制御するようにプログラムされている。
【0032】
図10を参照すると、別の織編物サンプルが、ストライプパターン(Y’)、ストライプのない部分(X’)および境界縁(Z’)を有するジプシースタイルとして示されている。この織編物サンプルをシミュレートしたパターン付き織編物品もまた、本発明のコンピュータ支援による方法およびシステムにより製造可能である。
【0033】
本発明を、最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に制限されず、最も広い解釈に係る精神および範囲内に含まれる様々な構成をカバーして、このようなあらゆる変更および均等な構成を含むものであると、理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る、コンピュータ支援により、パターン付きの織編物品を製作する方法の好ましい実施形態において使用される加工糸の断片の概略図である。
【図2】好ましい実施形態において使用される糸製造装置の概略図である。
【図3】本発明に係る方法の好ましい実施形態の流れ図である。
【図4】本発明に係る、パターン付きの織編物品を製作するためのコンピュータ支援システムの好ましい実施形態のブロック図である。
【図5】本発明に係る方法の好ましい実施形態によって、製作されるパターン付きの織編物品によって、シミュレートされる織編物サンプルの概要図である。
【図6】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図7】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図8】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図9A】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図9B】好ましい実施形態において有用なデータを示すユーザーインターフェースを図式的に示す図である。
【図10】本発明に係る方法の好ましい実施形態により製作された、別のパターンが形成された織編物品の断片の概要図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法であって、
前記織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、
前記織編物品を製作するための加工糸であり、前記パターンを確定するためにあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な前記加工糸を選択するステップと、
前記織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って前記画像データを読み出し、前記織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、
糸における距離および長さを表わし、糸における前記テクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データのセットを、前記二次元画像データから生成するステップと、
糸製造装置(25)において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、
前記糸製造装置(25)を制御して、前記位置データおよび前記糸加工制御データに従って糸のテクスチャーを変更することによって、糸を製造するステップと、
製造された前記糸を使用して、パターン付きの前記織編物品を製作するステップと、
を含むことを特徴とする、コンピュータ支援による方法。
【請求項2】
コンピュータ表示装置(20)に前記織編物サンプルの画像データを表示するステップをさらに特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項3】
前記画像データが、単位のマトリックスを含み、当該単位は、横列に沿って連続して順次スキャンされて、前記線データを生成することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項4】
製造された前記糸は、各々が前記パターン付きの織編物品を製作するのに十分な長さを有する複数の加工糸部分と、前記加工糸部分の間に配置される余分な糸部分とで製作されることを特徴する、請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項5】
前記糸が、ファンシーヤーンであることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項6】
特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートし、前記パターンを確定するために長さに沿ってあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な加工糸から製作されるパターン付きの織編物品を製作するコンピュータ支援システムであって、
前記織編物サンプルの画像データを格納する画像データ格納手段(21)と、
前記織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って前記画像データをスキャンし、前記織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定するスキャン手段(22)と、
前記糸における距離および長さを表し、前記糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データの1セットを、前記二次元画像データから生成する線データ生成手段(24)と、
糸製造装置内の糸を加工するパラメータの異なるセットを代表する糸加工制御データを格納する糸加工制御データ格納手段(23)と、
前記糸を製造し、前記位置データおよび糸加工制御データに従って、前記糸のテクスチャーを変更する糸製造装置(25)と、
前記糸製造装置(25)により製造された前記糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作する織編物製作装置(26)と、
を特徴とするコンピュータ支援システム。
【請求項7】
前記糸がファンシーヤーンであることを特徴とする請求項6に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項8】
前記糸製造装置(25)が、撚糸機構(42)と、前記撚糸機構(42)内へ糸を給送する給送ローラー機構(41)と、前記撚糸機構(42)から糸を送り出す送出ローラー機構(43)とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項9】
前記給送ローラー機構(41)および送出ローラー機構(43)は、糸のテクスチャーを変更するために速度を変更可能であることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項10】
糸の加工パラメータは、前記給送ローラー機構(41)および送出ローラー機構(43)の速度に関連していることを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項1】
コンピュータ支援によって、特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートするパターン付きの織編物品を製作する方法であって、
前記織編物サンプルの1セットの二次元画像データを格納するステップと、
前記織編物品を製作するための加工糸であり、前記パターンを確定するためにあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な前記加工糸を選択するステップと、
前記織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って前記画像データを読み出し、前記織編物サンプルのパターンの位置を決定するステップと、
糸における距離および長さを表わし、糸における前記テクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データのセットを、前記二次元画像データから生成するステップと、
糸製造装置(25)において糸を加工するパラメータを代表する糸加工制御データを格納するステップと、
前記糸製造装置(25)を制御して、前記位置データおよび前記糸加工制御データに従って糸のテクスチャーを変更することによって、糸を製造するステップと、
製造された前記糸を使用して、パターン付きの前記織編物品を製作するステップと、
を含むことを特徴とする、コンピュータ支援による方法。
【請求項2】
コンピュータ表示装置(20)に前記織編物サンプルの画像データを表示するステップをさらに特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項3】
前記画像データが、単位のマトリックスを含み、当該単位は、横列に沿って連続して順次スキャンされて、前記線データを生成することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項4】
製造された前記糸は、各々が前記パターン付きの織編物品を製作するのに十分な長さを有する複数の加工糸部分と、前記加工糸部分の間に配置される余分な糸部分とで製作されることを特徴する、請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項5】
前記糸が、ファンシーヤーンであることを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ支援による方法。
【請求項6】
特定のパターンを有する織編物サンプルをシミュレートし、前記パターンを確定するために長さに沿ってあるテクスチャーから別のテクスチャーに変更可能な加工糸から製作されるパターン付きの織編物品を製作するコンピュータ支援システムであって、
前記織編物サンプルの画像データを格納する画像データ格納手段(21)と、
前記織編物品のためにデザインされた糸の向きに対応する方向に沿って前記画像データをスキャンし、前記織編物サンプルにおけるパターンの位置を決定するスキャン手段(22)と、
前記糸における距離および長さを表し、前記糸におけるテクスチャーの位置を確定する位置データを含む一次元線データの1セットを、前記二次元画像データから生成する線データ生成手段(24)と、
糸製造装置内の糸を加工するパラメータの異なるセットを代表する糸加工制御データを格納する糸加工制御データ格納手段(23)と、
前記糸を製造し、前記位置データおよび糸加工制御データに従って、前記糸のテクスチャーを変更する糸製造装置(25)と、
前記糸製造装置(25)により製造された前記糸を使用して、パターン付きの織編物品を製作する織編物製作装置(26)と、
を特徴とするコンピュータ支援システム。
【請求項7】
前記糸がファンシーヤーンであることを特徴とする請求項6に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項8】
前記糸製造装置(25)が、撚糸機構(42)と、前記撚糸機構(42)内へ糸を給送する給送ローラー機構(41)と、前記撚糸機構(42)から糸を送り出す送出ローラー機構(43)とを含むことを特徴とする請求項7に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項9】
前記給送ローラー機構(41)および送出ローラー機構(43)は、糸のテクスチャーを変更するために速度を変更可能であることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ支援システム。
【請求項10】
糸の加工パラメータは、前記給送ローラー機構(41)および送出ローラー機構(43)の速度に関連していることを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2006−2276(P2006−2276A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2004−178730(P2004−178730)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504232893)明大企業股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178730(P2004−178730)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504232893)明大企業股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】
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