コンピュータ装置、入力システム、及びプログラム
【課題】電子ペンによる入力と、タッチパネルによる入力との両方を適切に検出可能なコンピュータ装置、入力システム及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】コンピュータ装置は、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する処理手段とを備える。
【解決手段】コンピュータ装置は、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する処理手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンで読み取り可能なコード化パターンを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2及び特許文献3には、光学式タッチパネルに、ドットパターンを積層し、電子ペンによる入力と、指によるタッチパネル入力が可能なシステムが開示されている。また、非特許文献1には、液晶を挿んで電磁誘導方式のタブレットを下部に、抵抗膜方式のタッチパネルを上部に配置された構成を有し、電子ペンによる入力と指による入力の両方が可能なタッチパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/1962号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/1963号明細書
【非特許文献1】越石健司他著、「要点解説 タッチパネル」、初版、株式会社工業調査会、2010年3月15日、P36〜37、50〜63、78〜80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルを積層し、電子ペンによる入力と、指によるタッチパネル入力とが可能なディスプレイ装置において、電子ペンによる入力中に、電子ペンのペン先がディスプレイに当接すること等に起因して、タッチパネルの検出原理によっては、タッチパネルが誤って入力を検知してしまう可能性がある。そこで、本発明は、電子ペンによる入力と、タッチパネルによる入力との両方を適切に検出可能なコンピュータ装置、入力システム及びそのプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンピュータ装置は、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、コンピュータ装置は、タッチパネルとコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を有し、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。従って、コンピュータ装置は、ユーザの指による入力を接触領域の面積に基づき特定することが可能となり、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知や、電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知などによるタッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【0008】
上記コンピュータ装置の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識する。ここで、「所定閾値」は、例えば、電子ペンがディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より大きく、指がディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より小さい値に、実験等に基づき予め設定される。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンのペン先の接触に起因したタッチパネル検知を除外して指によるタッチパネル検知のみをタッチパネルへの入力として有効に処理することができる。
【0009】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする。ここで、「所定閾値」は、例えば、指がディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より小さい値に、実験等に基づき予め設定される。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンによる入力があったことを的確に特定することができる。
【0010】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンによる入力中に電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知による誤入力等を防ぐと共に、タッチパネルへの誤入力のおそれがない範囲については有効にタッチパネルへの入力を処理することができる。
【0011】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わない。これにより、コンピュータ装置は、タッチパネルの誤入力をさらに抑制することができる。
【0012】
本発明に係る入力システムは、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムであって、前記コンピュータ装置は、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、入力システムは、コード化パターン層が積層されたタッチパネルに、表示画面を投影させるため、プロジェクタへ画像信号を送信するコンピュータ装置を有する。そして、コンピュータ装置は、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。これにより、入力システムは、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知及び電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知と、ユーザの指による接触に起因したタッチパネル検知とを的確に判別することが可能となり、タッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を備えるコンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とする。
【0015】
上記プログラムの一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする。
【0016】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする。
【0017】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする。
【0018】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わない。
【0019】
本発明に係るプログラムの他の一態様では、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とする。
【0020】
これらのプログラムをコンピュータ装置にインストールして機能させることで、本発明に係るコンピュータ装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンピュータ装置は、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。従って、コンピュータ装置は、ユーザの指による入力を接触領域の面積に基づき特定することが可能となり、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因した入力や、電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因した入力などのタッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における入力システムのシステム構成図である。
【図2】ディスプレイ装置の構造を示す概略図である。
【図3】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図4】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図5】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図6】(a)は、ペンダウン中での電子ペン及び電子ペンを把持する手を示す。(b)は、(a)に対応するペン先接触領域及び手側部接触領域を示す。(c)は、指先接触領域を示す。
【図7】第1実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の変形例1における入力システムのシステム構成図である。
【図9】第2実施形態における入力システムのシステム構成図である。
【図10】第2実施形態において設定される制限範囲について示した図である。
【図11】第2実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートの処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態である第1実施形態及び第2実施形態について順に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る第1実施形態について説明する。
【0025】
[入力システムの構成]
図1は、第1実施形態に係る入力システムの構成を示す。図1に示すように、入力システムは、ユーザが使用する電子ペン1と、電子ペン1及びディスプレイ装置3から情報を受信して処理するコンピュータ装置2と、コンピュータ装置2に接続されたディスプレイ装置3とを備える。入力システムは、後述するように、電子ペン1に基づく入力(「電子ペン入力」とも呼ぶ。)と、タッチパネル34に基づく入力(「タッチパネル入力」とも呼ぶ。)とに応じて所定の処理を行う。
【0026】
(ディスプレイ装置)
図2は、第1実施形態に係るディスプレイ装置3の構成を示す。図2に示すように、ディスプレイ装置3は、多層構造を有し、上層から順に、ドットパターンオーバーレイヤ(ドットパターン形成層)(単に「DOL」とも呼ぶ。)30と、タッチパネル34と、ディスプレイパネル35と、を備える。
【0027】
DOL30は、ディスプレイ装置3の最上層に配置される。DOL30は、ポリエチレンテレフタラートなどの透明樹脂基板である基材フィルム33に、電子ペン1により読み取ることができるよう赤外線を反射する素材(酸化チタン、コレステリック液晶、赤外線反射性顔料など)を含んだインクによりドットパターン(コード化パターン)のドット32が印刷され、さらに透明なEB硬化樹脂などの保護層31で保護された層構成を有している。ここで、ドットパターンを、赤外線を反射する素材で印刷しているのは、DOL30の下層にあるディスプレイパネル35から様々な色の可視光が放射されても、電子ペン1によってコントラストよくドットパターンを認識させるのに、望ましいからである。DOL30は、本発明における「コード化パターン層」の一例である。
【0028】
DOL30の裏面には、タッチパネル34が接着されている。タッチパネル34は、例えば、抵抗膜方式タッチパネル、超音波方式タッチパネル、光学方式タッチパネル、静電容量方式タッチパネルなどであり、DOL30上での接触位置を検出する。以後では、タッチパネル34が接触を検知したDOL30上の領域のうち、ひとまとまりの連結領域を「接触領域」と呼び、各接触領域の面積を「接触面積q」とも呼ぶ。図2に示すように、電子ペン1がDOL30上に接触した場合の接触面積qは、ユーザの指がDOL30上に接触した場合の接触面積qよりも小さい。
【0029】
なお、本発明が適用可能なディスプレイ装置3の構成は、図2の構成に限定されない。これに代えて、ディスプレイ装置3は、ドットパターンと基材フィルム33との間、あるいは基材フィルム33とタッチパネル34との間に赤外線反射層が設けられ、さらにドットパターンが赤外線を吸収するカーボンを含んだインクにより印刷される構成であってもよい。
【0030】
(ドットパターン)
続いて、ドット32により構成されるドットパターン(コード化パターン)について図3及び図4を用いて説明する。ドットパターンは、アノト社の方式によるものである。図3は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、DOL30上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0031】
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、DOL30上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがDOL30上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0032】
(電子ペン)
次に、電子ペン1について図5を用いて説明する。図5は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、ペン部104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。ペン部104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103をDOL30上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、電子ペン1のペン先部103がDOL30に最初に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
【0033】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりDOL30上に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からペン部104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0034】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1でDOL30上に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1をDOL30から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。
【0035】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、DOL30上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103がDOL30に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、ドットのインク素材は、赤外線を反射するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって反射される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的多く、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的少ない。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0036】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)のDOL30におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上における配列を補正する回転補正処理機能を備えている。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、DOL30における6×6のドットパターンは、DOL30内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がDOL30内のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0037】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置2に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置2によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置2は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザの一つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、プラスチックやステンレスなどの素材により形成される。ペン先部103は、インクを有さず、筆圧をペン部104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0038】
なお、電子ペン1は、ペン部104にインクカートリッジを装填し、ボールペンとして使用できるようにしてもよい。また、電子ペン1は、無線送信によってコンピュータ装置2へ記入情報を送信したが、これに限らず、コンピュータ装置2と有線により接続し、有線送信によってコンピュータ装置2へ記入情報を送信してもよい。
【0039】
また、好適には、電子ペン1は、CMOSカメラ106がドットパターンを認識した際、ドットパターンが赤外線反射材で構成されているか、又は赤外線吸収材で構成されているか判断し、当該判断に基づきドットパターンの読み取りプログラムを切り替えてもよい。具体的には、電子ペン1は、まず、CMOSカメラ106が撮影した画像に対して所定の閾値を用いて2値化処理を行い、当該2値化処理された画像より赤外線反射領域及び赤外線吸収領域を判別し、赤外線反射領域の面積と赤外線吸収領域の面積との大小関係を比較する。そして、電子ペン1は、赤外線反射領域よりも赤外線吸収領域が大きい場合には、2値化処理された画像に対してネガポジ反転処理を行い、ネガポジ反転処理を行った場合にはネガポジ反転処理された画像に基づいてドットパターンを認識し、ネガポジ反転処理を行わなかった場合には2値化処理された画像に基づいてドットパターンを認識する。これにより、赤外線吸収性のインクにより印刷されたドットパターン及び赤外線反射性のインキにより印刷されたドットパターンの両方を適切に認識することが可能となる。
【0040】
(コンピュータ装置)
次に、コンピュータ装置2について再び図1を参照して説明する。コンピュータ装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、マウスやキーボード等で構成される。なお、コンピュータ装置2は、ディスプレイ装置3を表示部として備えるPC(パーソナルコンピュータ)、iPad(登録商標)などのタブレットPCやPDA(Personal Data Assistance)等で構成されてもよい。コンピュータ装置2は、図1に示すように、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段21、受信手段22、処理手段24、記憶手段25を備える。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1から受信した記入情報、及びタッチパネル34から受信した入力情報(「タッチパネル入力情報」とも呼ぶ。)に基づいて所定の処理を行うものである。
【0041】
受信手段22は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、処理手段24に伝送する。また、コンピュータ装置2は、DOL30に形成されたドットパターンにかかる座標系(「DOL座標系」とも呼ぶ。)をディスプレイパネル35にかかる座標系(「ディスプレイ座標系」とも呼ぶ。)に変換するための第1座標変換関数、及び、タッチパネル34にかかる座標系(「タッチパネル座標系」とも呼ぶ。)をディスプレイ座標系に変換するための第2座標変換関数、をそれぞれ求めるキャリブレーション処理機能を有している。さらに、コンピュータ装置2は、そのキャリブレーション処理により求められた第1座標変換関数を用いて、DOL座標系のデータを受信したときに、ディスプレイ座標系のデータに変換し、ストロークを描画したり、所定の処理を行ったりする機能、及び、第2座標変換関数を用いて、タッチパネル座標系のデータを受信したときに、ディスプレイ座標系のデータに変換し、アイコンの選択等の所定の処理を行う機能を有している。
【0042】
処理手段24は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置2の全体の制御を行う。具体的には、処理手段24は、ディスプレイパネル35へコンピュータ装置2により生成された画像信号を送信して当該画像信号に相当する画像を表示させる。また、処理手段24は、上記キャリブレーション処理機能により求めた第1座標変換関数及び第2座標変換関数を記憶手段25に記憶する。
【0043】
コンピュータ装置2が電子ペン1から記入情報を受信すると、処理手段24の第1座標変換手段241は、DOL座標系のデータである、当該記入情報に含まれる座標データを、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換する。そして、処理手段24は、変換後の座標データに基づいて、電子ペン1によって記入された位置が、DOL30のドットパターンであることを認識する。そして、処理手段24は、変換後の座標データを記憶手段25に記憶するとともに、当該変換後の座標データ等に基づくストロークをディスプレイパネル35に表示させたり、ストロークの該当する位置にフォルダやアプリケーション等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行ったりする。
【0044】
また、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信すると、処理手段24の第2座標変換手段242は、タッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換する。そして、処理手段24は、ディスプレイパネル35が表示中の画像において、変換後の座標データ上にフォルダやアプリケーション等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行う。
【0045】
処理手段24のタッチパネル機能切替手段243は、タッチパネル34が検知した接触面積qと電子ペン1からの記入情報の受信の有無とに基づき、電子ペン入力が行われていると判断した場合には、タッチパネル34の入力機能をオフにする。具体的には、タッチパネル機能切替手段243は、タッチパネル入力情報が示す座標情報に基づき、接触領域を特定してその接触面積qを求め、接触面積qが閾値「Q1」より大きく、かつ閾値「Q2」より小さい場合であって、電子ペン1から記入情報を受信した場合、電子ペン1による入力であると判定して、タッチパネル34の入力機能をオフにする。言い換えると、タッチパネル機能切替手段243は、以下の条件Aが満たされ、かつ、電子ペン1から記入情報を受信した場合、電子ペン入力であると判定して、タッチパネル34の入力機能をオフにする。
Q1<q<Q2 条件(A)
【0046】
ここで、閾値Q1は、電子ペン1の接触面積qが取り得る値の下限値より小さい値、閾値Q2は、電子ペン1の接触面積qが取り得る値の上限値より大きい値に設定される。
【0047】
接触面積qと閾値Q1、Q2との関係について図6を参照してさらに詳しく説明する。図6(a)は、ペンダウン中での電子ペン1及び電子ペン1を把持する手を示し、図6(b)は、図6(a)に対応する電子ペン1のペン先部103のDOL30上の接触領域(「ペン先接触領域」とも呼ぶ。)及び手の側部のDOL30上の接触領域(「手側部接触領域」とも呼ぶ。)の一例を示し、図6(c)は、指先をDOL30上に接触させてタッチパネル入力を行う場合の指先のDOL30上の接触領域(「指先接触領域」とも呼ぶ。)の一例を示す。
【0048】
図6(b)、(c)に示すように、ペン先接触領域、指先接触領域、及び手側部接触領域のうち、ペン先接触領域が最も小さい領域となり、手側部接触領域が最も大きい領域となる。従って、閾値Q2は、電子ペン1の接触面積qより大きく、指の接触面積qより小さい値に設定される。これにより、タッチパネル機能切替手段243は、接触面積qに基づき検出した接触領域がペン先接触領域か否かを特定し、これに基づき電子ペン入力か否かを判定することができる。なお、指先接触領域、手側部接触領域は、平均的な大きさのものを考慮するとよい。
【0049】
また、処理手段24は、接触面積qが閾値Q2以上である場合、接触面積q等に基づき、接触領域が指先接触領域であるか否かを判定して指先接触領域であると判断した場合に、タッチパネル入力として処理する。具体的には、処理手段24は、接触面積qが閾値「Q3」より大きく、かつ、閾値「Q4」より小さい場合であって、接触領域に基づいて指示位置を特定できる場合に、接触領域が指先接触領域であると判断する。即ち、処理手段24は、以下に示す条件Bが満たされ、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できた場合、接触領域が指先接触領域であると判断する。
Q3<q<Q4 条件(B)
【0050】
ここで、閾値Q3は、閾値Q2より大きく、かつ、ユーザの指先の接触面積qが取り得る値の下限値より小さい値に設定され、閾値Q4は、ユーザの指先の接触面積qが取り得る値の上限値より大きく、かつ、手側部接触領域の接触面積qが取り得る値よりも小さい値に設定される。また、指示位置は、処理手段24が、検出した接触領域の中心位置又は重心位置を求め、当該中心位置又は重心位置を中心とする所定半径の円領域内に当該接触領域が収まるか否か判定して特定する。処理手段24は、当該円領域内に接触領域が収まる場合には、当該接触領域が略円形の指先接触領域であり、指示位置であると判断し、当該円領域内に接触領域が収まらない場合には、当該接触領域が棒状に細い形状、その他いびつな形状であり、指示位置を特定不可能であると判断する。
【0051】
記憶手段25は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段25は、第1座標変換関数及び第2座標変換関数を記憶する。また、記憶手段25は、処理手段24の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶したり、プログラムの実行により生成される所定のデータを記憶したりする。
【0052】
[処理フロー]
次に、第1実施形態の入力システムにおいて、タッチパネル入力検知に基づく処理フローについて説明する。図7に示す処理フローは、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信する都度、繰り返し実行され、タッチパネル入力により発生した接触領域ごとに実行される。したがって、複数のタッチパネル入力が検知された場合、図7に示す処理が、各タッチパネル入力ごとに行われる。
【0053】
タッチパネル34は、DOL30上での接触を検知した場合、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。これにより、コンピュータ装置2の処理手段24は、タッチパネル入力があったことを検知する(ステップS101)。次に、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データに基づき、検出した1又は複数の接触領域ごとに、その接触面積qを算出し、各接触面積qが条件A(Q1<q<Q2)を満たすか、又は条件B(Q3<q<Q4)を満たすか、又は条件A、Bのいずれも満たさないか判定する(ステップS102)。
【0054】
そして、条件Aが満たされると判定した場合(ステップS102:条件A)、処理手段24は、電子ペン1から記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS103)。これにより、処理手段24は、ステップS201でのタッチパネル入力の検知が電子ペン入力中での電子ペン1のDOL30上での接触に基づくものか否か判定する。なお、電子ペン1のペンダウン時では、電子ペン1が記入情報を生成する時間等に起因して、コンピュータ装置2が記入情報を受信するタイミングよりも、タッチパネル入力の検出を行うタイミングの方が早い。従って、処理手段24は、ステップS101の実行後、上述のタイミングの差(タイムラグ)に相当する所定時間幅の間、記入情報を電子ペン1から受信しているか判定を行う。
【0055】
そして、記入情報を受信していると判定した場合(ステップS103;Yes)、処理手段24は、記憶手段25に、その記入情報をペンID毎に記憶させる(ステップS104)。次に、処理手段24は、タッチパネル34の入力機能が既にオフであるか否か判定する(ステップS105)。そして、タッチパネル34の入力機能がオンであると判定した場合(ステップS105;No)、タッチパネル34の入力機能をオフにする(ステップS106)。一方、タッチパネル34の入力機能が既にオフであると判定した場合(ステップS105;Yes)、処理手段24は、オフの状態を維持したまま、ステップS107へ処理を進める。
【0056】
次に、処理手段24は、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS107)。そして、処理手段24は、電子ペン入力処理を行う(ステップS108)。例えば、処理手段24は、変換後の座標情報に基づいて、ディスプレイパネル35により現在表示中の画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、ディスプレイパネル35による表示を更新させると共に、描画後の画像を記憶手段25に更新して記憶させる等の処理を行う。
【0057】
次に、処理手段24は、電子ペン1から引き続き記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS109)。そして、記入情報を受信していると判定した場合(ステップS109;Yes)、処理手段24は、引き続きステップS104の処理へ移行し、記入情報に基づき処理を行う。一方、記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS109;No)、処理手段24は、タッチパネル34の入力機能をオンに戻す(ステップS110)。そして、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS103で記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS103;No)、処理手段24は、検出したタッチパネル入力が指によるタッチパネル入力ではなく、かつ、電子ペン入力を伴うものでもないことから、入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0059】
ステップS102で接触面積qが条件Bを満たすと判定した場合(ステップS102;条件B)、処理手段24は、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できるか否か判定する(ステップS121)。例えば、処理手段24は、検出した接触領域の中心位置を求め、当該中心位置を中心とする所定半径の円領域内に当該接触領域が収まるか否か判定し、当該円領域内に接触領域が収まる場合には、当該接触領域を指示位置として特定し、当該円領域内に接触領域が収まらない場合には、指示位置を特定不可能であると判断する。そして、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できないと判定した場合(ステップS121;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。一方、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できた場合(ステップS121;Yes)、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換し(ステップS122)、タッチパネル入力処理を行う(ステップS123)。具体的には、処理手段24は、ディスプレイパネル35が現在表示中の画像において、変換後の座標データ上にフォルダ等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行う。
【0060】
一方、ステップS102において、接触面積qが条件A及び条件Bのいずれも満たさないと判定した場合(ステップS102;条件A、B以外)、処理手段24は、当該接触領域が手側部接触領域等であると判断し、タッチパネル34の誤入力を防ぐため、タッチパネル入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0061】
[第1実施形態の入力システムによる作用効果]
第1実施形態の入力システムによれば、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Aを満たし、かつ、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の入力機能をオフにする。これにより、コンピュータ装置2は、ユーザの指によるタッチパネル入力に伴うタッチパネル検知を、電子ペン入力に伴うペン先部103によるタッチパネル検知及び電子ペン1を把持する手の側部等がDOL30に接触することに起因したタッチパネル検知と的確に判別し、ユーザの指によるタッチパネル入力のみを受け付け、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。
【0062】
また、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たし、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できる場合に、タッチパネル入力処理を行うことで、検出した接触領域が指先接触領域と判別できる場合のみタッチパネル入力として有効に処理するため、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。さらに、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たす場合であっても、指示位置を特定できない場合には、タッチパネル入力処理を実行しないことで、タッチパネル34への誤入力をより確実に防ぐことができる。
【0063】
なお、図7に示す処理は、タッチパネル入力により発生した接触領域ごとに実行されるため、複数の指でタッチパネル入力している状態では、いずれの入力もタッチパネル入力処理(ステップS123)が行われることになる。また、指でタッチパネル入力して、タッチパネル入力処理されている間に、電子ペン入力が行われると、その時点でステップS106においてタッチパネル機能がOFFされ、電子ペン入力処理が優位に行われることになる。また、電子ペン入力処理されている間は、タッチパネル機能がOFFされているため、途中で、指によるタッチパネル入力をしようとしても、タッチパネル入力処理は行われない。また、複数の電子ペンでストロークを描いている間は、いずれの入力についても、電子ペンIDにより記入情報を識別しつつ、電子ペン入力処理(ステップS108)が行われる。
【0064】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の第1実施形態に適用してもよい。
【0065】
(変形例1)
図1及び図2では、DOL30及びタッチパネル34は、ディスプレイパネル35に積層されていた。しかし、本発明が適用可能な入力システムの構成は、これに限定されない。
【0066】
図8は、第1実施形態の変形例1に係る入力システムのシステム構成図である。図8に示すように、第1実施形態の変形例1に係る入力システムは、コンピュータ装置2のディスプレイの表示画面と同じ画像をDOL30上に投影するプロジェクタ4を備える。また、DOL30及びタッチパネル34は、コンピュータ装置2のディスプレイと離れた位置に積層されて配置されている。また、タッチパネル34は、コンピュータ装置2と接続し、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。なお、図8に示すプロジェクタ4は、フロントプロジェクタであるが、リアプロジェクタであってもよい。また、DOL30またはタッチパネル34を構成する層に、投影された光を結像拡散する結像拡散層を採用するか、DOL30やタッチパネル34とは別に、結像拡散層を積層させるとよい。
【0067】
このように、DOL30及びタッチパネル34がディスプレイに積層されていない構成であっても、コンピュータ装置2の処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し、電子ペン入力処理を行う。また、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、記入手段25により記憶された第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し、タッチパネル入力処理を行う。また、処理手段24は、図7に示すフローチャートに基づき、接触面積qが条件Aを満たす場合であって、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の入力機能を制限すると共に、接触面積qが条件Bを満たし、かつ指示位置を特定可能な場合に限り、タッチパネル入力処理を行う。
【0068】
この構成によっても、入力システムは、好適に、電子ペン入力と、ユーザの指によるタッチパネル入力とを受け付け、かつ、電子ペン1による入力中に、電子ペン1がDOL30に接触することに起因したタッチパネル入力の誤検出等を防ぐことができる。
【0069】
(変形例2)
タッチパネル機能切替手段243は、接触面積q及び閾値Q1、Q2を用いる条件A及び記入情報の受信有無に基づき、検出した接触領域がペン先接触領域か否か判断した。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。条件Aに代えて、タッチパネル機能切替手段243は、閾値Q1を設けず、接触面積qが閾値Q2より小さい場合に記入情報を受信した場合、接触領域がペン先接触領域であると判断してもよい。このようにしても、ステップS103において、記入情報の受信の有無が判断されるため、記入情報を受信していない接触を、電子ペン入力としては扱わないようにすることができる。
【0070】
(変形例3)
上記第1実施形態において、アノト方式のコード化パターン(ドットパターン)を用いたが、位置座標を示すコード化パターンであればよく、アノト方式に限られない。
【0071】
上述のように、上記第1実施形態では、指でタッチパネル入力して、タッチパネル入力処理されている間に、電子ペン入力が行われると、その時点でステップS106においてタッチパネル機能がOFFされ、電子ペン入力処理が優位に行われることになるため、注意のために、その旨をディスプレイパネル35に表示させるようにするとよい。
【0072】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態における入力システムのシステム構成図を示す。第2実施形態では、処理手段24は、タッチパネル機能切替手段243に代えて、タッチパネル入力を無効にする期間及び範囲を制限するタッチパネル機能制限手段244を備える点で、第1実施形態と異なる。その他、第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0073】
処理手段24のタッチパネル機能制限手段244は、コンピュータ装置2が電子ペン1から記入情報を受信している間、電子ペン1のペン先位置(「電子ペン入力位置」とも呼ぶ。)から所定範囲内でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。そして、処理手段24は、電子ペン入力位置が変化した場合には、変化後の電子ペン入力位置に基づき、タッチパネル34の入力機能をオフにする範囲を定める。以後では、電子ペン入力位置に基づき、タッチパネル34の入力機能をオフにする範囲を「制限範囲Wr」とも呼ぶ。
【0074】
タッチパネル機能制限手段244の具体的な処理についてさらに図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態におけるディスプレイ装置3の表示画面の一例である。
【0075】
図10では、ユーザがDOL30上に電子ペン1のペン先部103を当接させている。この場合、処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報に含まれる座標データを、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標データに変換し、当該座標データの位置を電子ペン入力位置に定める。そして、処理手段24は、当該電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域を制限範囲Wrに定め、制限範囲Wrでのタッチパネル34の入力機能をオフにし、制限範囲Wr以外の領域でのタッチパネル34の入力機能をオンにする。上述の半径Rは、例えば10cm〜15cmに定められ、具体的には、DOL30上で電子ペン1による入力を行う場合に、電子ペン入力位置から、当該電子ペン1を把持する手の側部がDOL30上で接触する可能性がある位置までの最大距離を予め実験等に基づき予め定められる。
【0076】
また、処理手段24は、電子ペン入力位置が変化した場合には、変化後の電子ペン入力位置に基づき新たに制限範囲Wrを定め、その範囲でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。したがって、電子ペン1によってストロークが描かれている間は、電子ペン入力位置の移動に伴って制限範囲Wrも移動する。さらに、処理手段24は、複数の電子ペン1から記入情報を受信している場合には、それぞれの電子ペン1に対応した制限範囲Wrを設ける。具体的には、処理手段24は、この場合、各電子ペン1の記入情報に基づき、それぞれの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrを定める。この場合、制限範囲Wrは、各電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域をあわせたDOL30上の領域となる。
【0077】
[処理フロー]
次に、第2実施形態の入力システムにおいて、タッチパネル入力検知に基づく処理フローについて説明する。図11に示す処理フローは、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信するごとに繰り返し実行される。なお、図11に示す処理フローは、同時に複数箇所の接触領域に対応するタッチパネル入力情報を受信した場合には、ステップS202以降の処理は、接触領域ごとに並行して実行される。
【0078】
タッチパネル34がDOL30上での接触を検知した場合、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。これにより、コンピュータ装置2の処理手段24は、タッチパネル入力があったことを検知する(ステップS201)。次に、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データに基づき、各接触領域の接触面積qをそれぞれ算出し、各接触面積qがそれぞれ条件A(Q1<q<Q2)を満たすか、又は条件B(Q3<q<Q4)を満たすか、又は条件A、Bのいずれも満たさないか判定する(ステップS202)。
【0079】
そして、条件Aが満たされると判定した場合(ステップS202:条件A)、処理手段24は、電子ペン1から新たな記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS203)。これにより、処理手段24は、ステップS101でのタッチパネル入力の検知が電子ペン入力中での新たな電子ペン1のDOL30上での接触に基づくものか否か判定する。なお、電子ペン1のペンダウン時では、電子ペン1が記入情報を生成する時間等に起因して、コンピュータ装置2が記入情報を受信するタイミングよりも、タッチパネル入力の検出を行うタイミングの方が早い。従って、処理手段24は、ステップS201の実行後、上述のタイミングの差(タイムラグ)に相当する所定時間幅の間、記入情報を新たな電子ペン1から受信しているか判定を行う。
【0080】
そして、新たな記入情報を受信していると判定した場合(ステップS203;Yes)、処理手段24は、記憶手段25に、その記入情報をペンID毎に記憶させる(ステップS204)。次に、処理手段24は、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS205)。そして、処理手段24は、変換後の座標情報に基づき電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から所定範囲におけるタッチパネル34の入力機能をオフにする(ステップS206)。具体的には、処理手段24は、電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。そして、処理手段24は、電子ペン入力処理を行う(ステップS207)。
【0081】
次に、処理手段24は、ステップS207の電子ペン入力処理の対象となった電子ペン1と同一の電子ペン1から引き続き記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS208)。そして、同一の電子ペン1から記入情報を受信していると判定した場合(ステップS208;Yes)、処理手段24は、引き続きステップS204の処理へ移行し、記入情報に基づき処理を行う。
【0082】
一方、同一の電子ペン1から記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS208;No)、処理手段24は、一連の電子ペン入力処理の対象となっていた当該電子ペン1の電子ペン入力位置に基づくタッチパネル34の入力機能の制限を解除する(ステップS209)。そして、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。なお、処理手段24は、記入情報を受信している他の電子ペン1が存在する場合には、引き続き、当該他の電子ペン1の電子ペン入力位置から半径Rの円領域でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。
【0083】
一方、ステップS203で新たな電子ペン1から記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS203;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。なお、当該処理以前のタッチパネル入力検知から引き続き同一の電子ペン1から受信している記入情報は、当該処理以前のステップS204〜S208ループ処理によりそれぞれ電子ペン入力処理が行われているため、当該処理では電子ペン入力処理を行わない。
【0084】
ステップS202で接触面積qが条件Bを満たすと判定した場合(ステップS202;条件B)、処理手段24は、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できるか否か判定する(ステップS221)。そして、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できないと判定した場合(ステップS221;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。一方、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できた場合(ステップS221;Yes)、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換し(ステップS222)、変換後の座標情報が制限範囲Wr内であるか否か判定する(ステップS223)。そして、変換後の座標情報が制限範囲Wr外であると判定した場合(ステップS223;No)、処理手段24は、タッチパネル入力処理を行う(ステップS224)。一方、変換後の座標情報が制限範囲Wr内であると判定した場合(ステップS223;Yes)、処理手段24は、タッチパネル入力処理は行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS202において、接触面積qが条件A及び条件Bのいずれも満たさないと判定した場合(ステップS202;条件A、B以外)、処理手段24は、当該接触領域が手側部接触領域等であると判断し、タッチパネル34の誤入力を防ぐため、タッチパネル入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0086】
[具体例]
次に、図11のフローチャートに示す処理の具体例について、図12を参照してさらに詳しく説明する。図12は、第2実施形態において、複数のユーザ(Aさん、Bさん、Cさん、Dさん)がディスプレイ装置3上で入力を行う場合の概要図である。以下では、AさんはペンID「pen01」の電子ペン1Aを用い、BさんはペンID「pen02」の電子ペン1Bを用いることとし、Aさんから順に入力を行うものとし、Aさんの入力時には制限範囲Wrは設けられていないものとする。
【0087】
まず、Aさんが電子ペン1Aを把持し、DOL30上にペンダウンをして書き込みを行う。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、かつ、検出した接触領域に対応する接触面積qが条件Aを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、電子ペン1Aからコンピュータ装置2へ記入情報が送信されることから、コンピュータ装置2は、新たな電子ペン1から記入情報を受信したと判断し(ステップS203参照)、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し(ステップS205参照)、変換後の座標情報に基づき電子ペン1Aの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から半径Rの範囲を制限範囲Wraとして制限範囲Wrに定める(ステップS206参照)。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1Aの電子ペン入力処理を行う(ステップS207参照)。また、電子ペン入力位置が変化した場合には、コンピュータ装置2は、変化後の電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrを更新する。
【0088】
なお、Aさんが電子ペン1AをDOL30上にペンダウンしたことにより、ペン先接触領域と共に手側部接触領域が検出された場合であっても、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件A及び条件Bを満たさないことから(ステップS202参照)、当該手側部接触領域に対応する入力処理を行わない。
【0089】
次に、Bさんが電子ペン1Bを把持し、DOL30上に電子ペン1Aの電子ペン入力位置と距離R以上離れた位置でペンダウンをして書き込みを行う。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、かつ、ペン先接触領域に対応する接触面積qが条件Aを満たすと判定する(ステップS202参照)。このとき、電子ペン1Bからコンピュータ装置2へ記入情報が送信されることから、コンピュータ装置2は、新たな電子ペン1から記入情報を受信したと判断し(ステップS203参照)、受信した記入情報に基づき電子ペン1Bの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から半径Rの範囲を制限範囲Wrbとして制限範囲Wrに加える(ステップS206参照)。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1Bの電子ペン入力処理を行う(ステップS207参照)。
【0090】
次に、CさんがDOL30上であって制限範囲Wr以外の位置に指を接触させる。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、指先接触領域に対応する接触面積qが条件Bを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、コンピュータ装置2は、検出した接触領域から指示位置を特定できると判断し(ステップS221参照)、受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS222参照)。さらに、コンピュータ装置2は、当該座標情報が制限範囲Wr外にあることから(ステップS223参照)、当該座標情報に基づきタッチパネル入力処理を行う(ステップS224参照)。
【0091】
さらに、DさんがDOL30上であって制限範囲Wra(Wr)内の位置に指を接触させる。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、指先接触領域に対応する接触面積qが条件Bを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、接触領域が略円形となっており、指示位置を特定できることから、コンピュータ装置2は、受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS222参照)。しかし、この場合、変換後の座標情報が制限範囲Wra(Wr)内にあることから(ステップS223参照)、コンピュータ装置2は、タッチパネル入力処理を行わない。
【0092】
[第2実施形態の入力システムによる作用効果]
第1実施形態の入力システムによれば、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Aを満たし、かつ、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の所定範囲における入力機能をオフにする。これにより、コンピュータ装置2は、ユーザの指によるタッチパネル入力に伴うタッチパネル検知を、電子ペン入力に伴うペン先部103によるタッチパネル検知及び電子ペン1を把持する手の側部等がDOL30に接触することに起因したタッチパネル検知と的確に判別し、ユーザの指によるタッチパネル入力のみを受け付け、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。
【0093】
また、コンピュータ装置2は、電子ペン入力位置に基づく所定範囲に限ってタッチパネル34の入力機能をオフにすることで、電子ペン入力中に電子ペン1がDOL30上に当接すること等に起因した誤入力を防ぎつつ、一方の手の指又は他のユーザの手の指による意図したタッチパネル入力を有効に処理することができる。従って、第2実施形態は、ディスプレイ装置3が大型の画面を有し、複数人によりタッチパネル入力を行う場合にも好適に適用される。
【0094】
また、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たし、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できる場合に、タッチパネル入力処理を行うことで、検出した接触領域が指先接触領域と判別できる場合のみタッチパネル入力として有効に処理するため、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。さらに、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たす場合であっても、指示位置を特定できない場合には、タッチパネル入力処理を実行しないことで、タッチパネル34への誤入力をより確実に防ぐことができる。
【0095】
[第2実施形態の変形例]
次に、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の変形例及び以下に述べる変形例を任意に組み合わせて適用可能である。
【0096】
(変形例4)
図10の説明では、処理手段24は、電子ペン入力位置から半径Rの円領域を制限範囲Wrに定めたが、制限範囲Wrの設定方法は、これに限定されない。これに代えて、例えば、処理手段24は、楕円、その他円以外の予め定めた形状の領域を、電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrに定めてもよい。この際、電子ペン1を使用するユーザの利き手とは反対側の領域が制限されないような形状とすると好適である。ユーザの利き手は、予め使用する電子ペン1のペンIDに関連付けて記憶手段25に記憶するようにしてもよいし、電子ペン1に角度センサーを設ける又は電子ペン1が撮影したドットパターンの歪み形状から電子ペン1の傾きを求めて記入情報に傾き情報を含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…電子ペン
2…コンピュータ装置
3…ディスプレイ装置
4…プロジェクタ
21…入力手段
22…受信手段
24…処理手段
25…記憶手段
30…DOL
34…タッチパネル
35…ディスプレイパネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンで読み取り可能なコード化パターンを利用した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2及び特許文献3には、光学式タッチパネルに、ドットパターンを積層し、電子ペンによる入力と、指によるタッチパネル入力が可能なシステムが開示されている。また、非特許文献1には、液晶を挿んで電磁誘導方式のタブレットを下部に、抵抗膜方式のタッチパネルを上部に配置された構成を有し、電子ペンによる入力と指による入力の両方が可能なタッチパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/1962号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/1963号明細書
【非特許文献1】越石健司他著、「要点解説 タッチパネル」、初版、株式会社工業調査会、2010年3月15日、P36〜37、50〜63、78〜80
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タッチパネルを積層し、電子ペンによる入力と、指によるタッチパネル入力とが可能なディスプレイ装置において、電子ペンによる入力中に、電子ペンのペン先がディスプレイに当接すること等に起因して、タッチパネルの検出原理によっては、タッチパネルが誤って入力を検知してしまう可能性がある。そこで、本発明は、電子ペンによる入力と、タッチパネルによる入力との両方を適切に検出可能なコンピュータ装置、入力システム及びそのプログラムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンピュータ装置は、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この構成により、コンピュータ装置は、タッチパネルとコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を有し、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。従って、コンピュータ装置は、ユーザの指による入力を接触領域の面積に基づき特定することが可能となり、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知や、電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知などによるタッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【0008】
上記コンピュータ装置の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識する。ここで、「所定閾値」は、例えば、電子ペンがディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より大きく、指がディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より小さい値に、実験等に基づき予め設定される。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンのペン先の接触に起因したタッチパネル検知を除外して指によるタッチパネル検知のみをタッチパネルへの入力として有効に処理することができる。
【0009】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする。ここで、「所定閾値」は、例えば、指がディスプレイ装置に接触した場合の接触面積より小さい値に、実験等に基づき予め設定される。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンによる入力があったことを的確に特定することができる。
【0010】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする。この態様により、コンピュータ装置は、電子ペンによる入力中に電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知による誤入力等を防ぐと共に、タッチパネルへの誤入力のおそれがない範囲については有効にタッチパネルへの入力を処理することができる。
【0011】
上記コンピュータ装置の他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わない。これにより、コンピュータ装置は、タッチパネルの誤入力をさらに抑制することができる。
【0012】
本発明に係る入力システムは、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムであって、前記コンピュータ装置は、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、入力システムは、コード化パターン層が積層されたタッチパネルに、表示画面を投影させるため、プロジェクタへ画像信号を送信するコンピュータ装置を有する。そして、コンピュータ装置は、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。これにより、入力システムは、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知及び電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因したタッチパネル検知と、ユーザの指による接触に起因したタッチパネル検知とを的確に判別することが可能となり、タッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【0014】
本発明に係るプログラムは、タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を備えるコンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とする。
【0015】
上記プログラムの一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする。
【0016】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする。
【0017】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする。
【0018】
上記プログラムの他の一態様では、前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わない。
【0019】
本発明に係るプログラムの他の一態様では、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とする。
【0020】
これらのプログラムをコンピュータ装置にインストールして機能させることで、本発明に係るコンピュータ装置を構成させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンピュータ装置は、タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、タッチパネルへの入力を制限する。従って、コンピュータ装置は、ユーザの指による入力を接触領域の面積に基づき特定することが可能となり、電子ペンによる入力に伴いペン先がディスプレイ装置に接触することに起因した入力や、電子ペンを把持する手の側部等がディスプレイ装置に接触することに起因した入力などのタッチパネルの誤入力を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における入力システムのシステム構成図である。
【図2】ディスプレイ装置の構造を示す概略図である。
【図3】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図4】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図5】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図6】(a)は、ペンダウン中での電子ペン及び電子ペンを把持する手を示す。(b)は、(a)に対応するペン先接触領域及び手側部接触領域を示す。(c)は、指先接触領域を示す。
【図7】第1実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態の変形例1における入力システムのシステム構成図である。
【図9】第2実施形態における入力システムのシステム構成図である。
【図10】第2実施形態において設定される制限範囲について示した図である。
【図11】第2実施形態における処理フローを示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートの処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態である第1実施形態及び第2実施形態について順に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、本発明に係る第1実施形態について説明する。
【0025】
[入力システムの構成]
図1は、第1実施形態に係る入力システムの構成を示す。図1に示すように、入力システムは、ユーザが使用する電子ペン1と、電子ペン1及びディスプレイ装置3から情報を受信して処理するコンピュータ装置2と、コンピュータ装置2に接続されたディスプレイ装置3とを備える。入力システムは、後述するように、電子ペン1に基づく入力(「電子ペン入力」とも呼ぶ。)と、タッチパネル34に基づく入力(「タッチパネル入力」とも呼ぶ。)とに応じて所定の処理を行う。
【0026】
(ディスプレイ装置)
図2は、第1実施形態に係るディスプレイ装置3の構成を示す。図2に示すように、ディスプレイ装置3は、多層構造を有し、上層から順に、ドットパターンオーバーレイヤ(ドットパターン形成層)(単に「DOL」とも呼ぶ。)30と、タッチパネル34と、ディスプレイパネル35と、を備える。
【0027】
DOL30は、ディスプレイ装置3の最上層に配置される。DOL30は、ポリエチレンテレフタラートなどの透明樹脂基板である基材フィルム33に、電子ペン1により読み取ることができるよう赤外線を反射する素材(酸化チタン、コレステリック液晶、赤外線反射性顔料など)を含んだインクによりドットパターン(コード化パターン)のドット32が印刷され、さらに透明なEB硬化樹脂などの保護層31で保護された層構成を有している。ここで、ドットパターンを、赤外線を反射する素材で印刷しているのは、DOL30の下層にあるディスプレイパネル35から様々な色の可視光が放射されても、電子ペン1によってコントラストよくドットパターンを認識させるのに、望ましいからである。DOL30は、本発明における「コード化パターン層」の一例である。
【0028】
DOL30の裏面には、タッチパネル34が接着されている。タッチパネル34は、例えば、抵抗膜方式タッチパネル、超音波方式タッチパネル、光学方式タッチパネル、静電容量方式タッチパネルなどであり、DOL30上での接触位置を検出する。以後では、タッチパネル34が接触を検知したDOL30上の領域のうち、ひとまとまりの連結領域を「接触領域」と呼び、各接触領域の面積を「接触面積q」とも呼ぶ。図2に示すように、電子ペン1がDOL30上に接触した場合の接触面積qは、ユーザの指がDOL30上に接触した場合の接触面積qよりも小さい。
【0029】
なお、本発明が適用可能なディスプレイ装置3の構成は、図2の構成に限定されない。これに代えて、ディスプレイ装置3は、ドットパターンと基材フィルム33との間、あるいは基材フィルム33とタッチパネル34との間に赤外線反射層が設けられ、さらにドットパターンが赤外線を吸収するカーボンを含んだインクにより印刷される構成であってもよい。
【0030】
(ドットパターン)
続いて、ドット32により構成されるドットパターン(コード化パターン)について図3及び図4を用いて説明する。ドットパターンは、アノト社の方式によるものである。図3は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を仮想格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、DOL30上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0031】
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、DOL30上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがDOL30上のどの位置にあるのか)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0032】
(電子ペン)
次に、電子ペン1について図5を用いて説明する。図5は、電子ペン1の構造を示す概略図である。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、ペン部104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。ペン部104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103をDOL30上に当接させて、ストローク(手書きストローク)を記入する。ここで、電子ペン1のペン先部103がDOL30に最初に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
【0033】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりDOL30上に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からペン部104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0034】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1でDOL30上に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述する電子ペン1の識別情報(以後、「ペンID」と呼ぶ。)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1をDOL30から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。
【0035】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、DOL30上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103がDOL30に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、ドットのインク素材は、赤外線を反射するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって反射される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的多く、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的少ない。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0036】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)のDOL30におけるX、Y座標(以後、単に「座標データ」または「座標情報」とも呼ぶ。)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX、Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上における配列を補正する回転補正処理機能を備えている。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX、Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、DOL30における6×6のドットパターンは、DOL30内で重複することはないため、ユーザが電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置がDOL30内のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0037】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、X、Y座標データとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置2へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置2への送信は、Bluetooth(登録商標)などの無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置2に送信された1個又は複数個の座標属性情報は、コンピュータ装置2によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX、Y座標(座標点)からなり、コンピュータ装置2は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを構成する1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザの一つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、プラスチックやステンレスなどの素材により形成される。ペン先部103は、インクを有さず、筆圧をペン部104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0038】
なお、電子ペン1は、ペン部104にインクカートリッジを装填し、ボールペンとして使用できるようにしてもよい。また、電子ペン1は、無線送信によってコンピュータ装置2へ記入情報を送信したが、これに限らず、コンピュータ装置2と有線により接続し、有線送信によってコンピュータ装置2へ記入情報を送信してもよい。
【0039】
また、好適には、電子ペン1は、CMOSカメラ106がドットパターンを認識した際、ドットパターンが赤外線反射材で構成されているか、又は赤外線吸収材で構成されているか判断し、当該判断に基づきドットパターンの読み取りプログラムを切り替えてもよい。具体的には、電子ペン1は、まず、CMOSカメラ106が撮影した画像に対して所定の閾値を用いて2値化処理を行い、当該2値化処理された画像より赤外線反射領域及び赤外線吸収領域を判別し、赤外線反射領域の面積と赤外線吸収領域の面積との大小関係を比較する。そして、電子ペン1は、赤外線反射領域よりも赤外線吸収領域が大きい場合には、2値化処理された画像に対してネガポジ反転処理を行い、ネガポジ反転処理を行った場合にはネガポジ反転処理された画像に基づいてドットパターンを認識し、ネガポジ反転処理を行わなかった場合には2値化処理された画像に基づいてドットパターンを認識する。これにより、赤外線吸収性のインクにより印刷されたドットパターン及び赤外線反射性のインキにより印刷されたドットパターンの両方を適切に認識することが可能となる。
【0040】
(コンピュータ装置)
次に、コンピュータ装置2について再び図1を参照して説明する。コンピュータ装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、マウスやキーボード等で構成される。なお、コンピュータ装置2は、ディスプレイ装置3を表示部として備えるPC(パーソナルコンピュータ)、iPad(登録商標)などのタブレットPCやPDA(Personal Data Assistance)等で構成されてもよい。コンピュータ装置2は、図1に示すように、機能的には、マウスやキーボードといった入力手段21、受信手段22、処理手段24、記憶手段25を備える。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1から受信した記入情報、及びタッチパネル34から受信した入力情報(「タッチパネル入力情報」とも呼ぶ。)に基づいて所定の処理を行うものである。
【0041】
受信手段22は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報を受信し、処理手段24に伝送する。また、コンピュータ装置2は、DOL30に形成されたドットパターンにかかる座標系(「DOL座標系」とも呼ぶ。)をディスプレイパネル35にかかる座標系(「ディスプレイ座標系」とも呼ぶ。)に変換するための第1座標変換関数、及び、タッチパネル34にかかる座標系(「タッチパネル座標系」とも呼ぶ。)をディスプレイ座標系に変換するための第2座標変換関数、をそれぞれ求めるキャリブレーション処理機能を有している。さらに、コンピュータ装置2は、そのキャリブレーション処理により求められた第1座標変換関数を用いて、DOL座標系のデータを受信したときに、ディスプレイ座標系のデータに変換し、ストロークを描画したり、所定の処理を行ったりする機能、及び、第2座標変換関数を用いて、タッチパネル座標系のデータを受信したときに、ディスプレイ座標系のデータに変換し、アイコンの選択等の所定の処理を行う機能を有している。
【0042】
処理手段24は、CPU等のプロセッサによって構成され、コンピュータ装置2の全体の制御を行う。具体的には、処理手段24は、ディスプレイパネル35へコンピュータ装置2により生成された画像信号を送信して当該画像信号に相当する画像を表示させる。また、処理手段24は、上記キャリブレーション処理機能により求めた第1座標変換関数及び第2座標変換関数を記憶手段25に記憶する。
【0043】
コンピュータ装置2が電子ペン1から記入情報を受信すると、処理手段24の第1座標変換手段241は、DOL座標系のデータである、当該記入情報に含まれる座標データを、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換する。そして、処理手段24は、変換後の座標データに基づいて、電子ペン1によって記入された位置が、DOL30のドットパターンであることを認識する。そして、処理手段24は、変換後の座標データを記憶手段25に記憶するとともに、当該変換後の座標データ等に基づくストロークをディスプレイパネル35に表示させたり、ストロークの該当する位置にフォルダやアプリケーション等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行ったりする。
【0044】
また、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信すると、処理手段24の第2座標変換手段242は、タッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換する。そして、処理手段24は、ディスプレイパネル35が表示中の画像において、変換後の座標データ上にフォルダやアプリケーション等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行う。
【0045】
処理手段24のタッチパネル機能切替手段243は、タッチパネル34が検知した接触面積qと電子ペン1からの記入情報の受信の有無とに基づき、電子ペン入力が行われていると判断した場合には、タッチパネル34の入力機能をオフにする。具体的には、タッチパネル機能切替手段243は、タッチパネル入力情報が示す座標情報に基づき、接触領域を特定してその接触面積qを求め、接触面積qが閾値「Q1」より大きく、かつ閾値「Q2」より小さい場合であって、電子ペン1から記入情報を受信した場合、電子ペン1による入力であると判定して、タッチパネル34の入力機能をオフにする。言い換えると、タッチパネル機能切替手段243は、以下の条件Aが満たされ、かつ、電子ペン1から記入情報を受信した場合、電子ペン入力であると判定して、タッチパネル34の入力機能をオフにする。
Q1<q<Q2 条件(A)
【0046】
ここで、閾値Q1は、電子ペン1の接触面積qが取り得る値の下限値より小さい値、閾値Q2は、電子ペン1の接触面積qが取り得る値の上限値より大きい値に設定される。
【0047】
接触面積qと閾値Q1、Q2との関係について図6を参照してさらに詳しく説明する。図6(a)は、ペンダウン中での電子ペン1及び電子ペン1を把持する手を示し、図6(b)は、図6(a)に対応する電子ペン1のペン先部103のDOL30上の接触領域(「ペン先接触領域」とも呼ぶ。)及び手の側部のDOL30上の接触領域(「手側部接触領域」とも呼ぶ。)の一例を示し、図6(c)は、指先をDOL30上に接触させてタッチパネル入力を行う場合の指先のDOL30上の接触領域(「指先接触領域」とも呼ぶ。)の一例を示す。
【0048】
図6(b)、(c)に示すように、ペン先接触領域、指先接触領域、及び手側部接触領域のうち、ペン先接触領域が最も小さい領域となり、手側部接触領域が最も大きい領域となる。従って、閾値Q2は、電子ペン1の接触面積qより大きく、指の接触面積qより小さい値に設定される。これにより、タッチパネル機能切替手段243は、接触面積qに基づき検出した接触領域がペン先接触領域か否かを特定し、これに基づき電子ペン入力か否かを判定することができる。なお、指先接触領域、手側部接触領域は、平均的な大きさのものを考慮するとよい。
【0049】
また、処理手段24は、接触面積qが閾値Q2以上である場合、接触面積q等に基づき、接触領域が指先接触領域であるか否かを判定して指先接触領域であると判断した場合に、タッチパネル入力として処理する。具体的には、処理手段24は、接触面積qが閾値「Q3」より大きく、かつ、閾値「Q4」より小さい場合であって、接触領域に基づいて指示位置を特定できる場合に、接触領域が指先接触領域であると判断する。即ち、処理手段24は、以下に示す条件Bが満たされ、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できた場合、接触領域が指先接触領域であると判断する。
Q3<q<Q4 条件(B)
【0050】
ここで、閾値Q3は、閾値Q2より大きく、かつ、ユーザの指先の接触面積qが取り得る値の下限値より小さい値に設定され、閾値Q4は、ユーザの指先の接触面積qが取り得る値の上限値より大きく、かつ、手側部接触領域の接触面積qが取り得る値よりも小さい値に設定される。また、指示位置は、処理手段24が、検出した接触領域の中心位置又は重心位置を求め、当該中心位置又は重心位置を中心とする所定半径の円領域内に当該接触領域が収まるか否か判定して特定する。処理手段24は、当該円領域内に接触領域が収まる場合には、当該接触領域が略円形の指先接触領域であり、指示位置であると判断し、当該円領域内に接触領域が収まらない場合には、当該接触領域が棒状に細い形状、その他いびつな形状であり、指示位置を特定不可能であると判断する。
【0051】
記憶手段25は、ROMやRAMといったメモリによって構成される。記憶手段25は、第1座標変換関数及び第2座標変換関数を記憶する。また、記憶手段25は、処理手段24の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンID毎に記憶したり、プログラムの実行により生成される所定のデータを記憶したりする。
【0052】
[処理フロー]
次に、第1実施形態の入力システムにおいて、タッチパネル入力検知に基づく処理フローについて説明する。図7に示す処理フローは、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信する都度、繰り返し実行され、タッチパネル入力により発生した接触領域ごとに実行される。したがって、複数のタッチパネル入力が検知された場合、図7に示す処理が、各タッチパネル入力ごとに行われる。
【0053】
タッチパネル34は、DOL30上での接触を検知した場合、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。これにより、コンピュータ装置2の処理手段24は、タッチパネル入力があったことを検知する(ステップS101)。次に、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データに基づき、検出した1又は複数の接触領域ごとに、その接触面積qを算出し、各接触面積qが条件A(Q1<q<Q2)を満たすか、又は条件B(Q3<q<Q4)を満たすか、又は条件A、Bのいずれも満たさないか判定する(ステップS102)。
【0054】
そして、条件Aが満たされると判定した場合(ステップS102:条件A)、処理手段24は、電子ペン1から記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS103)。これにより、処理手段24は、ステップS201でのタッチパネル入力の検知が電子ペン入力中での電子ペン1のDOL30上での接触に基づくものか否か判定する。なお、電子ペン1のペンダウン時では、電子ペン1が記入情報を生成する時間等に起因して、コンピュータ装置2が記入情報を受信するタイミングよりも、タッチパネル入力の検出を行うタイミングの方が早い。従って、処理手段24は、ステップS101の実行後、上述のタイミングの差(タイムラグ)に相当する所定時間幅の間、記入情報を電子ペン1から受信しているか判定を行う。
【0055】
そして、記入情報を受信していると判定した場合(ステップS103;Yes)、処理手段24は、記憶手段25に、その記入情報をペンID毎に記憶させる(ステップS104)。次に、処理手段24は、タッチパネル34の入力機能が既にオフであるか否か判定する(ステップS105)。そして、タッチパネル34の入力機能がオンであると判定した場合(ステップS105;No)、タッチパネル34の入力機能をオフにする(ステップS106)。一方、タッチパネル34の入力機能が既にオフであると判定した場合(ステップS105;Yes)、処理手段24は、オフの状態を維持したまま、ステップS107へ処理を進める。
【0056】
次に、処理手段24は、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS107)。そして、処理手段24は、電子ペン入力処理を行う(ステップS108)。例えば、処理手段24は、変換後の座標情報に基づいて、ディスプレイパネル35により現在表示中の画像に、記入されたストロークを重畳して描画し、ディスプレイパネル35による表示を更新させると共に、描画後の画像を記憶手段25に更新して記憶させる等の処理を行う。
【0057】
次に、処理手段24は、電子ペン1から引き続き記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS109)。そして、記入情報を受信していると判定した場合(ステップS109;Yes)、処理手段24は、引き続きステップS104の処理へ移行し、記入情報に基づき処理を行う。一方、記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS109;No)、処理手段24は、タッチパネル34の入力機能をオンに戻す(ステップS110)。そして、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS103で記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS103;No)、処理手段24は、検出したタッチパネル入力が指によるタッチパネル入力ではなく、かつ、電子ペン入力を伴うものでもないことから、入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0059】
ステップS102で接触面積qが条件Bを満たすと判定した場合(ステップS102;条件B)、処理手段24は、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できるか否か判定する(ステップS121)。例えば、処理手段24は、検出した接触領域の中心位置を求め、当該中心位置を中心とする所定半径の円領域内に当該接触領域が収まるか否か判定し、当該円領域内に接触領域が収まる場合には、当該接触領域を指示位置として特定し、当該円領域内に接触領域が収まらない場合には、指示位置を特定不可能であると判断する。そして、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できないと判定した場合(ステップS121;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。一方、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できた場合(ステップS121;Yes)、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換し(ステップS122)、タッチパネル入力処理を行う(ステップS123)。具体的には、処理手段24は、ディスプレイパネル35が現在表示中の画像において、変換後の座標データ上にフォルダ等のアイコンが表示されていた場合には、当該アイコンの選択等の処理を行う。
【0060】
一方、ステップS102において、接触面積qが条件A及び条件Bのいずれも満たさないと判定した場合(ステップS102;条件A、B以外)、処理手段24は、当該接触領域が手側部接触領域等であると判断し、タッチパネル34の誤入力を防ぐため、タッチパネル入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0061】
[第1実施形態の入力システムによる作用効果]
第1実施形態の入力システムによれば、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Aを満たし、かつ、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の入力機能をオフにする。これにより、コンピュータ装置2は、ユーザの指によるタッチパネル入力に伴うタッチパネル検知を、電子ペン入力に伴うペン先部103によるタッチパネル検知及び電子ペン1を把持する手の側部等がDOL30に接触することに起因したタッチパネル検知と的確に判別し、ユーザの指によるタッチパネル入力のみを受け付け、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。
【0062】
また、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たし、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できる場合に、タッチパネル入力処理を行うことで、検出した接触領域が指先接触領域と判別できる場合のみタッチパネル入力として有効に処理するため、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。さらに、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たす場合であっても、指示位置を特定できない場合には、タッチパネル入力処理を実行しないことで、タッチパネル34への誤入力をより確実に防ぐことができる。
【0063】
なお、図7に示す処理は、タッチパネル入力により発生した接触領域ごとに実行されるため、複数の指でタッチパネル入力している状態では、いずれの入力もタッチパネル入力処理(ステップS123)が行われることになる。また、指でタッチパネル入力して、タッチパネル入力処理されている間に、電子ペン入力が行われると、その時点でステップS106においてタッチパネル機能がOFFされ、電子ペン入力処理が優位に行われることになる。また、電子ペン入力処理されている間は、タッチパネル機能がOFFされているため、途中で、指によるタッチパネル入力をしようとしても、タッチパネル入力処理は行われない。また、複数の電子ペンでストロークを描いている間は、いずれの入力についても、電子ペンIDにより記入情報を識別しつつ、電子ペン入力処理(ステップS108)が行われる。
【0064】
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の第1実施形態に適用してもよい。
【0065】
(変形例1)
図1及び図2では、DOL30及びタッチパネル34は、ディスプレイパネル35に積層されていた。しかし、本発明が適用可能な入力システムの構成は、これに限定されない。
【0066】
図8は、第1実施形態の変形例1に係る入力システムのシステム構成図である。図8に示すように、第1実施形態の変形例1に係る入力システムは、コンピュータ装置2のディスプレイの表示画面と同じ画像をDOL30上に投影するプロジェクタ4を備える。また、DOL30及びタッチパネル34は、コンピュータ装置2のディスプレイと離れた位置に積層されて配置されている。また、タッチパネル34は、コンピュータ装置2と接続し、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。なお、図8に示すプロジェクタ4は、フロントプロジェクタであるが、リアプロジェクタであってもよい。また、DOL30またはタッチパネル34を構成する層に、投影された光を結像拡散する結像拡散層を採用するか、DOL30やタッチパネル34とは別に、結像拡散層を積層させるとよい。
【0067】
このように、DOL30及びタッチパネル34がディスプレイに積層されていない構成であっても、コンピュータ装置2の処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し、電子ペン入力処理を行う。また、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、記入手段25により記憶された第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し、タッチパネル入力処理を行う。また、処理手段24は、図7に示すフローチャートに基づき、接触面積qが条件Aを満たす場合であって、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の入力機能を制限すると共に、接触面積qが条件Bを満たし、かつ指示位置を特定可能な場合に限り、タッチパネル入力処理を行う。
【0068】
この構成によっても、入力システムは、好適に、電子ペン入力と、ユーザの指によるタッチパネル入力とを受け付け、かつ、電子ペン1による入力中に、電子ペン1がDOL30に接触することに起因したタッチパネル入力の誤検出等を防ぐことができる。
【0069】
(変形例2)
タッチパネル機能切替手段243は、接触面積q及び閾値Q1、Q2を用いる条件A及び記入情報の受信有無に基づき、検出した接触領域がペン先接触領域か否か判断した。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。条件Aに代えて、タッチパネル機能切替手段243は、閾値Q1を設けず、接触面積qが閾値Q2より小さい場合に記入情報を受信した場合、接触領域がペン先接触領域であると判断してもよい。このようにしても、ステップS103において、記入情報の受信の有無が判断されるため、記入情報を受信していない接触を、電子ペン入力としては扱わないようにすることができる。
【0070】
(変形例3)
上記第1実施形態において、アノト方式のコード化パターン(ドットパターン)を用いたが、位置座標を示すコード化パターンであればよく、アノト方式に限られない。
【0071】
上述のように、上記第1実施形態では、指でタッチパネル入力して、タッチパネル入力処理されている間に、電子ペン入力が行われると、その時点でステップS106においてタッチパネル機能がOFFされ、電子ペン入力処理が優位に行われることになるため、注意のために、その旨をディスプレイパネル35に表示させるようにするとよい。
【0072】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態における入力システムのシステム構成図を示す。第2実施形態では、処理手段24は、タッチパネル機能切替手段243に代えて、タッチパネル入力を無効にする期間及び範囲を制限するタッチパネル機能制限手段244を備える点で、第1実施形態と異なる。その他、第1実施形態と同様の部分については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0073】
処理手段24のタッチパネル機能制限手段244は、コンピュータ装置2が電子ペン1から記入情報を受信している間、電子ペン1のペン先位置(「電子ペン入力位置」とも呼ぶ。)から所定範囲内でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。そして、処理手段24は、電子ペン入力位置が変化した場合には、変化後の電子ペン入力位置に基づき、タッチパネル34の入力機能をオフにする範囲を定める。以後では、電子ペン入力位置に基づき、タッチパネル34の入力機能をオフにする範囲を「制限範囲Wr」とも呼ぶ。
【0074】
タッチパネル機能制限手段244の具体的な処理についてさらに図10を参照して説明する。図10は、第2実施形態におけるディスプレイ装置3の表示画面の一例である。
【0075】
図10では、ユーザがDOL30上に電子ペン1のペン先部103を当接させている。この場合、処理手段24は、電子ペン1から受信した記入情報に含まれる座標データを、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標データに変換し、当該座標データの位置を電子ペン入力位置に定める。そして、処理手段24は、当該電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域を制限範囲Wrに定め、制限範囲Wrでのタッチパネル34の入力機能をオフにし、制限範囲Wr以外の領域でのタッチパネル34の入力機能をオンにする。上述の半径Rは、例えば10cm〜15cmに定められ、具体的には、DOL30上で電子ペン1による入力を行う場合に、電子ペン入力位置から、当該電子ペン1を把持する手の側部がDOL30上で接触する可能性がある位置までの最大距離を予め実験等に基づき予め定められる。
【0076】
また、処理手段24は、電子ペン入力位置が変化した場合には、変化後の電子ペン入力位置に基づき新たに制限範囲Wrを定め、その範囲でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。したがって、電子ペン1によってストロークが描かれている間は、電子ペン入力位置の移動に伴って制限範囲Wrも移動する。さらに、処理手段24は、複数の電子ペン1から記入情報を受信している場合には、それぞれの電子ペン1に対応した制限範囲Wrを設ける。具体的には、処理手段24は、この場合、各電子ペン1の記入情報に基づき、それぞれの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrを定める。この場合、制限範囲Wrは、各電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域をあわせたDOL30上の領域となる。
【0077】
[処理フロー]
次に、第2実施形態の入力システムにおいて、タッチパネル入力検知に基づく処理フローについて説明する。図11に示す処理フローは、コンピュータ装置2がタッチパネル34からタッチパネル入力情報を受信するごとに繰り返し実行される。なお、図11に示す処理フローは、同時に複数箇所の接触領域に対応するタッチパネル入力情報を受信した場合には、ステップS202以降の処理は、接触領域ごとに並行して実行される。
【0078】
タッチパネル34がDOL30上での接触を検知した場合、タッチパネル入力情報をコンピュータ装置2へ送信する。これにより、コンピュータ装置2の処理手段24は、タッチパネル入力があったことを検知する(ステップS201)。次に、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データに基づき、各接触領域の接触面積qをそれぞれ算出し、各接触面積qがそれぞれ条件A(Q1<q<Q2)を満たすか、又は条件B(Q3<q<Q4)を満たすか、又は条件A、Bのいずれも満たさないか判定する(ステップS202)。
【0079】
そして、条件Aが満たされると判定した場合(ステップS202:条件A)、処理手段24は、電子ペン1から新たな記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS203)。これにより、処理手段24は、ステップS101でのタッチパネル入力の検知が電子ペン入力中での新たな電子ペン1のDOL30上での接触に基づくものか否か判定する。なお、電子ペン1のペンダウン時では、電子ペン1が記入情報を生成する時間等に起因して、コンピュータ装置2が記入情報を受信するタイミングよりも、タッチパネル入力の検出を行うタイミングの方が早い。従って、処理手段24は、ステップS201の実行後、上述のタイミングの差(タイムラグ)に相当する所定時間幅の間、記入情報を新たな電子ペン1から受信しているか判定を行う。
【0080】
そして、新たな記入情報を受信していると判定した場合(ステップS203;Yes)、処理手段24は、記憶手段25に、その記入情報をペンID毎に記憶させる(ステップS204)。次に、処理手段24は、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、記憶手段25により記憶された第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS205)。そして、処理手段24は、変換後の座標情報に基づき電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から所定範囲におけるタッチパネル34の入力機能をオフにする(ステップS206)。具体的には、処理手段24は、電子ペン入力位置を中心とした半径Rの円領域でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。そして、処理手段24は、電子ペン入力処理を行う(ステップS207)。
【0081】
次に、処理手段24は、ステップS207の電子ペン入力処理の対象となった電子ペン1と同一の電子ペン1から引き続き記入情報を受信しているか否か判定する(ステップS208)。そして、同一の電子ペン1から記入情報を受信していると判定した場合(ステップS208;Yes)、処理手段24は、引き続きステップS204の処理へ移行し、記入情報に基づき処理を行う。
【0082】
一方、同一の電子ペン1から記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS208;No)、処理手段24は、一連の電子ペン入力処理の対象となっていた当該電子ペン1の電子ペン入力位置に基づくタッチパネル34の入力機能の制限を解除する(ステップS209)。そして、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。なお、処理手段24は、記入情報を受信している他の電子ペン1が存在する場合には、引き続き、当該他の電子ペン1の電子ペン入力位置から半径Rの円領域でのタッチパネル34の入力機能をオフにする。
【0083】
一方、ステップS203で新たな電子ペン1から記入情報を受信していないと判定した場合(ステップS203;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。なお、当該処理以前のタッチパネル入力検知から引き続き同一の電子ペン1から受信している記入情報は、当該処理以前のステップS204〜S208ループ処理によりそれぞれ電子ペン入力処理が行われているため、当該処理では電子ペン入力処理を行わない。
【0084】
ステップS202で接触面積qが条件Bを満たすと判定した場合(ステップS202;条件B)、処理手段24は、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できるか否か判定する(ステップS221)。そして、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できないと判定した場合(ステップS221;No)、処理手段24は、フローチャートの処理を終了する。一方、検出した接触領域に基づき指示位置を特定できた場合(ステップS221;Yes)、処理手段24は、タッチパネル34から受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標データを、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系のデータに変換し(ステップS222)、変換後の座標情報が制限範囲Wr内であるか否か判定する(ステップS223)。そして、変換後の座標情報が制限範囲Wr外であると判定した場合(ステップS223;No)、処理手段24は、タッチパネル入力処理を行う(ステップS224)。一方、変換後の座標情報が制限範囲Wr内であると判定した場合(ステップS223;Yes)、処理手段24は、タッチパネル入力処理は行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS202において、接触面積qが条件A及び条件Bのいずれも満たさないと判定した場合(ステップS202;条件A、B以外)、処理手段24は、当該接触領域が手側部接触領域等であると判断し、タッチパネル34の誤入力を防ぐため、タッチパネル入力処理を行わず、フローチャートの処理を終了する。
【0086】
[具体例]
次に、図11のフローチャートに示す処理の具体例について、図12を参照してさらに詳しく説明する。図12は、第2実施形態において、複数のユーザ(Aさん、Bさん、Cさん、Dさん)がディスプレイ装置3上で入力を行う場合の概要図である。以下では、AさんはペンID「pen01」の電子ペン1Aを用い、BさんはペンID「pen02」の電子ペン1Bを用いることとし、Aさんから順に入力を行うものとし、Aさんの入力時には制限範囲Wrは設けられていないものとする。
【0087】
まず、Aさんが電子ペン1Aを把持し、DOL30上にペンダウンをして書き込みを行う。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、かつ、検出した接触領域に対応する接触面積qが条件Aを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、電子ペン1Aからコンピュータ装置2へ記入情報が送信されることから、コンピュータ装置2は、新たな電子ペン1から記入情報を受信したと判断し(ステップS203参照)、受信した記入情報に含まれるDOL座標系の座標情報を、第1座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換し(ステップS205参照)、変換後の座標情報に基づき電子ペン1Aの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から半径Rの範囲を制限範囲Wraとして制限範囲Wrに定める(ステップS206参照)。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1Aの電子ペン入力処理を行う(ステップS207参照)。また、電子ペン入力位置が変化した場合には、コンピュータ装置2は、変化後の電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrを更新する。
【0088】
なお、Aさんが電子ペン1AをDOL30上にペンダウンしたことにより、ペン先接触領域と共に手側部接触領域が検出された場合であっても、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件A及び条件Bを満たさないことから(ステップS202参照)、当該手側部接触領域に対応する入力処理を行わない。
【0089】
次に、Bさんが電子ペン1Bを把持し、DOL30上に電子ペン1Aの電子ペン入力位置と距離R以上離れた位置でペンダウンをして書き込みを行う。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、かつ、ペン先接触領域に対応する接触面積qが条件Aを満たすと判定する(ステップS202参照)。このとき、電子ペン1Bからコンピュータ装置2へ記入情報が送信されることから、コンピュータ装置2は、新たな電子ペン1から記入情報を受信したと判断し(ステップS203参照)、受信した記入情報に基づき電子ペン1Bの電子ペン入力位置を特定し、当該電子ペン入力位置から半径Rの範囲を制限範囲Wrbとして制限範囲Wrに加える(ステップS206参照)。そして、コンピュータ装置2は、電子ペン1Bの電子ペン入力処理を行う(ステップS207参照)。
【0090】
次に、CさんがDOL30上であって制限範囲Wr以外の位置に指を接触させる。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、指先接触領域に対応する接触面積qが条件Bを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、コンピュータ装置2は、検出した接触領域から指示位置を特定できると判断し(ステップS221参照)、受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS222参照)。さらに、コンピュータ装置2は、当該座標情報が制限範囲Wr外にあることから(ステップS223参照)、当該座標情報に基づきタッチパネル入力処理を行う(ステップS224参照)。
【0091】
さらに、DさんがDOL30上であって制限範囲Wra(Wr)内の位置に指を接触させる。これにより、コンピュータ装置2は、タッチパネル34によりタッチパネル入力を検知し(ステップS201参照)、指先接触領域に対応する接触面積qが条件Bを満たすと判定する(ステップS202参照)。さらに、接触領域が略円形となっており、指示位置を特定できることから、コンピュータ装置2は、受信したタッチパネル入力情報が示すタッチパネル座標系の座標情報を、第2座標変換関数を用いて、ディスプレイ座標系の座標情報に変換する(ステップS222参照)。しかし、この場合、変換後の座標情報が制限範囲Wra(Wr)内にあることから(ステップS223参照)、コンピュータ装置2は、タッチパネル入力処理を行わない。
【0092】
[第2実施形態の入力システムによる作用効果]
第1実施形態の入力システムによれば、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Aを満たし、かつ、電子ペン1から記入情報を受信している間、タッチパネル34の所定範囲における入力機能をオフにする。これにより、コンピュータ装置2は、ユーザの指によるタッチパネル入力に伴うタッチパネル検知を、電子ペン入力に伴うペン先部103によるタッチパネル検知及び電子ペン1を把持する手の側部等がDOL30に接触することに起因したタッチパネル検知と的確に判別し、ユーザの指によるタッチパネル入力のみを受け付け、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。
【0093】
また、コンピュータ装置2は、電子ペン入力位置に基づく所定範囲に限ってタッチパネル34の入力機能をオフにすることで、電子ペン入力中に電子ペン1がDOL30上に当接すること等に起因した誤入力を防ぎつつ、一方の手の指又は他のユーザの手の指による意図したタッチパネル入力を有効に処理することができる。従って、第2実施形態は、ディスプレイ装置3が大型の画面を有し、複数人によりタッチパネル入力を行う場合にも好適に適用される。
【0094】
また、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たし、かつ、タッチパネル入力の指示位置を特定できる場合に、タッチパネル入力処理を行うことで、検出した接触領域が指先接触領域と判別できる場合のみタッチパネル入力として有効に処理するため、タッチパネル34への誤入力を防ぐことができる。さらに、コンピュータ装置2は、接触面積qが条件Bを満たす場合であっても、指示位置を特定できない場合には、タッチパネル入力処理を実行しないことで、タッチパネル34への誤入力をより確実に防ぐことができる。
【0095】
[第2実施形態の変形例]
次に、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の変形例及び以下に述べる変形例を任意に組み合わせて適用可能である。
【0096】
(変形例4)
図10の説明では、処理手段24は、電子ペン入力位置から半径Rの円領域を制限範囲Wrに定めたが、制限範囲Wrの設定方法は、これに限定されない。これに代えて、例えば、処理手段24は、楕円、その他円以外の予め定めた形状の領域を、電子ペン入力位置に基づき制限範囲Wrに定めてもよい。この際、電子ペン1を使用するユーザの利き手とは反対側の領域が制限されないような形状とすると好適である。ユーザの利き手は、予め使用する電子ペン1のペンIDに関連付けて記憶手段25に記憶するようにしてもよいし、電子ペン1に角度センサーを設ける又は電子ペン1が撮影したドットパターンの歪み形状から電子ペン1の傾きを求めて記入情報に傾き情報を含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…電子ペン
2…コンピュータ装置
3…ディスプレイ装置
4…プロジェクタ
21…入力手段
22…受信手段
24…処理手段
25…記憶手段
30…DOL
34…タッチパネル
35…ディスプレイパネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、
前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムであって、
前記コンピュータ装置は、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段を備えることを特徴とする入力システム。
【請求項7】
タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を備えるコンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段
として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わないことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、
前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置と、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段と
を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする請求項1または2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする請求項3に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項6】
電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、
前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムであって、
前記コンピュータ装置は、前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段を備えることを特徴とする入力システム。
【請求項7】
タッチパネルと、電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層とが積層されたディスプレイ装置を備えるコンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段
として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より大きい場合に、前記タッチパネルへの入力と認識することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記処理手段は、前記接触領域の面積が所定閾値より小さく、かつ、前記電子ペンからの信号を受信した場合は、前記電子ペンによる入力と認識することを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記処理手段は、前記電子ペンによる記入位置から所定範囲内における前記タッチパネルへの入力の処理を制限することを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記処理手段は、前記接触領域による指示位置が特定できない場合、前記タッチパネルによる入力処理を行わないことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
電子ペンで読取り可能なコード化パターンが形成されたコード化パターン層が積層されたタッチパネルと、
前記タッチパネルと通信可能であり、当該タッチパネルによる入力と、前記電子ペンによる入力とが可能なコンピュータ装置と、
前記コンピュータ装置から送信された画像信号に基づく表示画面を前記タッチパネルに投影するプロジェクタと、を備える入力システムの前記コンピュータ装置に搭載され実行されるプログラムであって、
前記タッチパネルが検知している接触領域の面積に基づいて、前記タッチパネルへの入力を制限する処理手段として前記コンピュータ装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【公開番号】特開2012−146012(P2012−146012A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1995(P2011−1995)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]