説明

コンプライアントエネルギー貯蔵構造シート

本明細書では、10mWh/ftよりも大きなエネルギー貯蔵密度を備え、少なくとも5%の歪みの下で5KPaよりも大きな応力に耐えることができる構造シートが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、包括的にはコンプライアントエネルギー(compliant energy)貯蔵構造シートに関する。より詳細には、本発明は、高エネルギー密度を示し、機械的可撓性、耐穿孔性及び/又は物理的靱性等の構造的機能を提供する、構造シートを提供する。
【0002】
[関連出願]
本発明は、以下の3つの本願と同一の譲受人が所有する米国仮特許出願に対する優先権を主張する非仮出願である。
【0003】
開示内容が、本開示に矛盾しない範囲で参照により本明細書に援用される、「Compliant sheet Capacitor」と題する、Miller他の2009年7月27日に出願された米国仮特許出願第61/228831号、
開示内容が、本開示に矛盾しない範囲で参照により本明細書に援用される、「Compliant sheet Capacitor」と題する、Miller他の2010年7月9日に出願された米国仮特許出願第61/363104号、
開示内容が、本開示に矛盾しない範囲で参照により本明細書に援用される、「Compliant sheet Capacitor」と題する、Miller他の2010年7月15日に出願された米国仮特許出願第61/364667号。
【背景技術】
【0004】
構造シート技術は数多くありかつ多様である。さまざまな材料特性及び/又は特有の構造的特徴を有する構造シートを設計するとき、多くの場合、構造シートの耐久性の考慮事項、強度要件及び意図された用途(複数の場合もあり)が検討されることは一般に理解されている。しかしながら、今日まで、日用品、電子機器、輸送車両及び建物に共通の構造要素に組み込まれた構造シート内にエネルギー貯蔵機構を組み込むことに重点を置く努力はなされてこなかった。構造シートを組み込むすべてのタイプの構造体内にエネルギーを貯蔵することが可能であれば、それは、幅広い産業において多数の用途がある可能性がある。
【0005】
エネルギー貯蔵技術もまた数多くありかつ多様である。大部分の技術が分類される2つの要素は、エネルギー密度及び出力密度である。エネルギー貯蔵デバイスは、かなりの量のエネルギーを保持し、長期間にわたってそのエネルギーを放出することができ、これはエネルギー密度として知られている。逆に、エネルギー貯蔵デバイスは、より少ない量のエネルギーを保持し、そのエネルギーを非常に高速に充填しかつ放出することもでき、それは出力密度として知られている。これらの属性はともに、用途に応じて有益である。エネルギー密度スケールの最上位にあるのは、圧縮空気、揚水及び燃料電池のような技術である。僅かに低いのは、アルカリ性の化学的特性を有する一次電池から二次(充電式)電池までのバッテリーである。出力密度連続体の最上位にあるのはコンデンサーであり、それは、数分の1秒のスケールで充電し放電する。しかしながら、既存のすべてのエネルギー貯蔵デバイスにおいて、それらの機械的な強度及び靱性、可撓性、並びに関連する厚さについてはほとんど考えられてこなかった。これらの特性を有するエネルギー貯蔵デバイスには、多種多様な産業において多数の有用な用途がある可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、機械的可撓性、耐穿孔性及び/又は物理的靱性等の構造的機能を提供する一方で、エネルギー貯蔵デバイスとして機能するとともに高エネルギー密度を示す構造シートは、本技術分野において歓迎されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、構造シートが、10mWh/ftよりも大きなエネルギー貯蔵密度を備え、少なくとも5%の歪みの下で5KPaよりも大きな応力に耐えることができる。
【0008】
別の態様によれば、構造シートは、印刷形成されたセパレーターと、印刷形成された電極と、印刷形成された構造導体とを具備する。
【0009】
別の態様によれば、エネルギー貯蔵デバイス用のセパレーターが、電気的絶縁性多孔性セルと、非多孔性の電気的絶縁性基礎グリットとを具備し、前記電気的絶縁性多孔性セル及び前記非多孔性基礎グリッドは印刷形成される。
【0010】
更に別の態様によれば、エネルギー貯蔵構造シートが、隣接する粒子間で連結し、エネルギー貯蔵電極の上方及び下方の層に適切なナノスケールのテザリングを提供する、該エネルギー貯蔵電極を具備する。
【0011】
更に別の態様によれば、電極粒子が、高多孔性電極コアと、該高多孔性電極コアから突出する導電性ナノ材料のマトリックスとを具備し、高エネルギー密度と、複数の該電極粒子を含む電極層の厚さが増大しても一定の出力とを可能にするように、任意の方向で別の層と連結するように構成される。
【0012】
更に別の態様によれば、エネルギー貯蔵構造シートが、多孔性セパレーターセルを電気的かつ機械的に分離し、電解質の移送を防止する、非多孔性基礎層上に印刷形成されるパターン化された電流バスを具備する。
【0013】
更に別の態様によれば、エネルギー貯蔵構造シートが、セパレーター、基礎、電極及び電流バスを備えたサブアセンブリの上に印刷形成される、導電性電流輸送層を具備する。
【0014】
別の態様によれば、エネルギー貯蔵構造シートが、基板の上に印刷形成された第1のサブアセンブリを具備し、該第1の基板は、プロセスラインの最後において容易に取り外されるために前記第1のサブアセンブリと熱特性が一致しない。
【0015】
本発明としてみなされる主題を、明細書の終りにある特許請求の範囲において特に指摘しかつ明瞭に請求する。本発明の上述した特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付図面を考慮して以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態によるエネルギーを貯蔵しフォールトトレランスを提供する構造シートの切取斜視図である。
【図2】一実施形態による、図1のシートを形成する前の2つのサブアセンブリの斜視図である。
【図3】一実施形態による、図1及び図2のシートを作製するためにセパレーター層を付着するステップを示す図である。
【図4】一実施形態による電極を作成する2つの段階の図である。
【図5】図3のセパレーター層と図4の電極層との連結(interlock)のナノスケールの図である。
【図6】一実施形態による構造シートのリングシールの図である。
【図7】合わせて積層された図1に示す複数のエネルギー貯蔵ユニットを備えたエネルギー貯蔵機構を有する多層構造シートデバイスを示す図である。
【図8】一実施形態による構造シートを作成するプロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、開示する装置及び方法の以下に説明する実施形態の詳細な説明を、図面を参照して限定としてではなく例示として提示する。図面の説明に入る前に、本明細書で用いるいくつかの語句を定義する。
【0018】
「印刷形成」を、印刷及び電子印刷の分野における当業者には認識可能であるあらゆる直接接触マーキング技術又は非接触マーキング技術として定義する。
【0019】
「間接印刷」を、マーキング材料(インク)の個々の液滴が、基板若しくは材料の上の又は飛翔中のマーカーとして用いられる、あらゆる非接触印刷形成技術として定義する。スプレー(超音波又はエアロゾル)、インクジェット、エアブラシとして知られる技術のうちの少なくとも1つが、通常、単独で又は他の印刷形成技術と組み合わせて使用される。
【0020】
「直接印刷」を、基板(受入面)の物理化学的性質とドラム、ロール、バー、スライド(転写面)等のマーキング装置とが、転写されるマーキング材料(インク)の量と最終的な印刷された膜の結果としての特性とを確立するのにともに関与する、あらゆる直接接触印刷形成技術として定義する。スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷又は引張棒(draw bar)として一般に知られるマーキング技術のうちの少なくとも1つが、通常、単独で又は他の印刷形成技術と組み合わせて使用される。
【0021】
「ナノスケール連結(nanoscale interlock)」を、ナノスケールでの高アスペクト比粒子、又はポリマー材料の間の物理的絡み合い(interlacing)、及び続く相互作用を介しての表面近くの印刷形成された厚膜材料のピン止め(pinning)として定義する。該ピン止めは、化学結合形成に共通する電子移動を含む場合も、含まない場合もある。ピン止めされた連結材料の通常の膜ベースの幾何学的アスペクト比(膜のz対x−y平面)は、より高いアスペクト比が望まれる場合、少なくとも1:1であり、少なくとも3:1が好ましい可能性がある。その意図は、高アスペクト比である物理的な脚(leg)を構築し、続いて受入面、若しくは転写面、又は両方内に高表面積を構築することである。間隔長とも呼ばれる、膜のx−y平面内の絡み合い頻度の通常の長さスケールは、通常10nmから300nmであるが、1ミクロン(マイクロメートル)程度である場合もある。本発明のデバイスに求められる場合もあれば求められない場合もある化学結合には、より小さいスケールが一般的である。本発明による毛髪状(hairy)粒子の上に重なった青色100nmビーズを用いるナノスケール連結の概略表現。
【0022】
「ラージスケール連結」を、1μmを超える間隔長で印刷形成された厚膜材料の表面近くのピン止めとして定義する。こうしたラージスケール連結が高アスペクト比の脚を含む場合、総表面積利得が適切であれば、所望の連結を依然として形成することができる。デバイスは、高アスペクト比の絡み合いなしに層状構造体として構築される場合、接着剤があってもなくても、一般に積層構造体と呼ばれる。適切に高い表面積を有する高アスペクト比の寸法の大きい脚は、実現可能であり、本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
「リングシール」を、ナノスケール若しくはラージスケール又は両方の連結機構を利用する少なくとも2つの材料の間の連結の特別な場合として定義する。その意図は、印刷形成製造技術を用いて2つの材料間に濃度勾配を形成するということである。その結果は、それぞれの出発物質の既知の濃度からなる体積要素が形成される。x−y濃度分布を制御することに加えて、印刷形成によりz軸分布も制御することができる。リングシールの図を図7に示し、後述する。
【0024】
「ナノコンポジット」を、通常サブミクロンの寸法のナノスケールでの異種材料間の物理的絡み合いとして定義する。印刷された膜の場合、高アスペクト比の脚とともに有効接触面積を増大させることにより、かつx−y平面の連結頻度の長さスケールをナノスケールまで低減することにより、多層印刷形成材料内の弱い物理的相互作用を最大限にすることは、本明細書に記載する実施形態の望ましい態様である。そうすることにより、非常に異種の印刷形成された厚膜材料の膜の間で、同種コンポジットのような特性が可能である。
【0025】
ここで図1を参照すると、エネルギーを貯蔵するとともにフォールトトレランスを提供する構造シート10の一実施形態が示されている。シート10を、印刷形成プロセスを用いて作製又は製造することができる。シート10の構成要素の各々を、印刷形成プロセスで製造することができる。直接印刷プロセス及び間接印刷プロセスの両方が考えられる。シート10は、10mWh/ftよりも大きなエネルギー貯蔵密度を有することができ、少なくとも5%の歪みの下で5KPaよりも大きな応力に耐えることができる。シート10を、基板すなわち図2に示す基板22の上に印刷形成される1つ又は複数のサブアセンブリ18、20から作製することができる。プロセスラインの最後にサブアセンブリ18、20を基板から容易に取り外すために、基板22の熱特性をサブアセンブリ18、20の熱特性と一致させないことが可能である。基板22は、例えば強化ガラス又はSSウェブ又は消耗型の炭素ベースのベールとすることができる。
【0026】
概して、図1に示すバッチ処理されたシート10は、まず2つのサブアセンブリ18、20(図2にはそのうちの一方を示す)を印刷形成し、その後、基板22又は複数の基板から2つのサブアセンブリ18、20を取り外し、その後、基礎(foundation)側から適合性のある電解質を加え、その後、基礎側に継合せ可塑剤を添加し、その後、2つのサブアセンブリをそれらの基礎が互いに向かい合わせて位置合せし、2つのサブアセンブリ18、20にカレンダー加工を施して封止して単一のシートデバイス10にすることによって製作される。サブアセンブリ18、20は同一のサブアセンブリとすることができることが理解されるべきである。サブアセンブリ18、20を、基板22から取り外して基礎と基礎とを位置合せし、継ぎ合わせてエネルギー貯蔵構造シート10にすることができる。
【0027】
シート10は、2つの印刷形成された電極14の間に位置する印刷形成されたセパレーター層12と、電流バス44と、2つの印刷形成された集電板16とを有することができる。シート10に貯蔵されているエネルギーを外部に分配するために出力するか又はシート10を充電するようにエネルギーを入力するために、集電板16上に電気ピン配列17又は接続面を印刷形成することができる。平面相互接続により、サーマルヒートシンク(図示せず)に接続された場合に、より高い繰返し周波数が可能となる。セパレーター層12は、シート10の中間層として示されている。対称的な構造の場合、セパレーター層12の上方及び下方の印刷形成された集電板16、電極14及び電流バス44のアンサンブル(ensemble)は同じである。ハイブリッド技術又はバッテリー技術をシートに組み込むために、対称的な構造に対する変形態様が実現可能である。上方及び下方の層化が同じである場合、シート10は、図2の切取斜視図に示すように基板22上に上方サブアセンブリ18及び下方サブアセンブリ20を印刷することにより作成することができる。一実施形態では、2つのサブアセンブリ18、20を作成するステップの各々が適用されると、その後、上方サブアセンブリ18及び下方サブアセンブリ20は、完成したシート10を形成するようにともに位置合せ機構(feature)としての役割を果たす印刷形成された穿孔折り目56に沿って折り曲げることができる。
【0028】
ここで図3を参照すると、シート10を作製する、可能な第1のステップが示されている。このステップは、まず、基板22の上に多孔性セパレーター膜12を間接印刷することができる。セパレーター膜12は、三酢酸セルロース(CTA)溶液から作製される電気的絶縁材料とすることができる。溶液は、例えば1.67wt%CTA溶液とすることができる。しかしながら、他のCTA濃度が考えられることが理解されるべきである。CTAに加えて、溶液は、クロロホルム、アセトン及びメタノール等の他の化合物を含むことができる。セパレーター膜12化合物は、基板22上に間接印刷することによって印刷可能なインク溶液から導出することができる。さらに、基板22は、ガラス又は当業者には明らかである他の任意の適切な平坦面とすることができる。
【0029】
セパレーター膜12は、間接印刷を用いて、既知の手段により平坦基板22上に一様に噴霧することにより形成することができる。1つ又は複数のスプレー層を、セパレーター膜12が一様に形成されるように表面に沿って付着させ絡み合わせることができる。噴霧された溶液がノズル24と基板20との間を転送されているときにこの溶液を硬化させるために、ガラスとノズル24との間でヒートランプ26を利用することができる。この硬化は、最終的なセパレーター膜12の有孔率及び弾性を規定するのに役立つことができる。
【0030】
さらに、セパレーター膜12を付着させる方法を実行するために多くの実施形態が考えられる。間接印刷形成処理の当業者は、さまざまな材料の印刷された厚膜特性を制御するこれらの方法に熟知している。したがって、セパレーター12の孔及び弾性は、セパレーター12の印刷形成によって調整可能である。
【0031】
これらのパラメーターのすべては、厚さが5ミクロン〜40ミクロンであり、多孔性であって、対象とする厚さで電圧範囲に対して適切な誘電特性を示す明確に規定された孔構造を有する、セパレーター膜12を作成するという目的によって変更することができる。孔は、ひどく苦しい(torturous)ものとすることができ、セパレーター12の真の厚さの2倍〜10倍の有効長さを有することができる。孔は、後述する電極層14との適切な噛合いを可能にするように更に利用することができる。セパレーター膜12は、絶縁破壊の傾向を低減するようにセラミック又は導電性材料等の密封粒子を組み込むことができる。多孔性セパレーター12は、2つの材料の間の機械的強度が大幅に向上するように、セパレーター膜12のいずれかの側の電極層14に絡まることも可能なカーボンナノチューブ又はナノファイバー材料を、パーコレーション閾値を下回る濃度で更に組み込むことができる。異種のナノ粒子を用いてひどく苦しい孔を構築することができる。さらに、図3にはノズル24を用いる噴霧を示すが、基板14上に一様のセパレーター膜12を印刷するために他の実施形態も考えられる。考えられる実施形態のうちの1つは、シート10とともに用いられているセパレーター膜12を含むが、セパレーター膜12は、他のシート(図示せず)又は目的のためのサブアセンブリユニットとして製造し販売することも可能である。したがって、電気二重層キャパシターの場合、セパレーター膜12にエネルギーを貯蔵可能とすることができる。
【0032】
シート10は、基板14上のセパレーター層12の上に、真下にある多孔性セパレーター膜の閉鎖又は閉塞を可能にするように印刷される、パターン化された非多孔性基礎28を更に含むことができる。基礎28は、パターン化された非多孔性基礎28グリッドへの多孔性膜の転化を可能にするような方法で、セパレーター膜12の多孔性膜上に直接印刷することができる。基礎28グリッドは、非多孔性基礎28によって分離される大規模並列(massively parallel)多孔性セパレーターセル32が形成されるように作製することができる。基礎28は、セパレーター膜12とともに、シート10内の応力管理を容易にすることができ、シートが機械的に可撓性であるのを可能にするに役立つとともに、デバイスの電気特性を損なうことなく取り扱い又は取り付けるのを補助するのに役立つ。さらに、セルは、シート10に対して耐穿孔性を提供することができる。
【0033】
基礎28は、別のCTA溶液とすることができる。しかしながら、基礎28用の溶液は、直接印刷法によって付着されるためはるかに大きいCTA wt%を有することができる。例えば、溶液は9%CTAとすることができる。基礎28は、基板22上に間接印刷可能なインク溶液とすることができる。インク組成は、セパレーター膜に対して上述したような希釈CTA溶液を含むことができる。この精密な間接印刷は、所望のパターン化を達成するためにノズル又は基板を移動させることによって達成される。基礎28が付着されるパターンは、複数のボックスとそれを通るXとであり、それによりボックス毎に4つの三角形セル32が形成される。したがって、図4の三角形セル32は、実際には、基礎28が付着されなかったセパレーター膜12の部分である。したがって、三角形セル32は、基礎28が付着された後に依然としてセパレーター膜12の多孔性表面を有し、一方で、セル32の輪郭及びサブアセンブリ18、20の両方の輪郭は、非多孔性基礎28を含むことができる。セル32は、1つのセルの穿孔がシート10のセル32の残りに影響を与える可能性がないという点で、フォールトトレラントな自己回復型構造セル32であり得る。セル32、基礎28及び電流バス44によって形成されるグリッドにより、複数のセル32に対して耐穿孔性及び機械的靱性を可能にすることができる。
【0034】
図面には三角形セル32が示されているが、他の形状のセルも考えられることが理解されるべきである。例えば、円形セル、菱形セル、矩形セル、正方形セル又は他の任意の適切な形状のセルを利用することができる。セル32の目的は、処理中、取扱い中又は他の間に破損したセルを分離し、シート10に追加の強度を提供することである。したがって、セル32のうちの1つが穿孔された場合、シート10の未損傷部分は正常に機能することができる。シート10及びセル32のサイズは、特定の用途の要件に従って変化する可能性があることが更に理解されるべきである。図面に示す実施形態では、各セルの2次元面積は約31mmとすることができる。したがって、4つの三角形セル32の各「ボックス」の長さは、一実施形態では約12.5mmとすることができる。最後に、シート10の繰返し単位は、単一のセル32の寸法である。したがって、製作プロセス中に、用途若しくは衣類等のパターンの裁断に一致するようにセル32の存在及び不在、又はレールガン若しくはコイルガンの用途についてはおそらくドーナツ形状等、シート10内の一意の設計を考慮することができる。
【0035】
基礎28が付着されると、基板22は、電極層14の付着の用意ができている。電極層14は、図4に部分的に示す別個の電極調製プロセスによって作製することができる。電極溶液を調製するために、まず、ゾル−ゲルになるゲル化可能溶液にナノ混合物(nano mix)を添加することができる。ナノ混合物は、任意のナノスケール材料又は混合物からなることができる。例えば、ナノ混合物とともに、ポリマー、金属、金属の酸化物、セラミック又は他のタイプの材料を用いることができる。ナノ混合物は、カーボンナノチューブ(CNT)及びSEM顕微鏡で見た場合に撚糸に似ている太く長い整列したCNT束等のナノ材料の混合物とすることができる。ナノ材料として炭素が用いられる場合、炭素濃度は0.5g/ccよりも大きくすることができる。例えば、炭素濃度は、0.75g/ccと2g/ccとの間とすることができる。ナノ材料は、好ましくは、高強度、低濃度、高アスペクト比(長さ対直径)を有するべきであり、パルス放射又は他の手段を用いて電気的に可溶性とすることができる。そして、純粋なゾル−ゲルが液体溶液からエアロゲルになるのと同様の方法で、ナノ混合物と合わせてエアロゲル形成のための前駆材料から構成することができるゲル化可能液体をゲル化し、その後、乾燥させてエアロゲルにすることができる。ゾル−ゲル形態になると、ゾル−ゲルが乾燥してエアロゲルになるのと同様の方法で、ゲル化系を更に乾燥させることができる。乾燥は、当業者に既知である空気乾燥プロセス又は超臨界流体COプロセスとすることができる。
【0036】
乾燥が完了すると、エアロゲル及びナノ混合物の混合の結果、硬化物を得ることができる。硬化物は、この段階では、炭化されていない場合もあれば、完全に導電性がない場合もある。ナノ材料は導電性である可能性があるが、硬化され収縮した材料は、依然として炭素以外の粒子、最も顕著にはエアロゾル成分を含んでいる可能性がある。そして、例えば、硬化物を熱分解するか又はそれにパルス放射を与えることができ、それにより、エアロゲルの結果としての揮発性部分が熱分解プロセス中に酸化した後に炭素がより豊富である物質が生成される。熱分解により、材料がその元のサイズから収縮する結果となる可能性があり、熱分解は、ナノ混合物又はエアロゲルの成分に一意の特性をもたらすように、熱分解中又は熱分解後に調整環境を含むことができる。
【0037】
図4を更に参照すると、熱分解材料34を表すものが示されている。熱分解材料34は、ナノ混合物36が全体にわたって散在しているように示されている。熱分解材料34は、更に、高い多孔性の材料とすることができる。その場合、多孔性材料34は、粉砕して、電極粒子38によって示す粉末にすることができる。粉砕プロセスは、極低温ボールミリングプロセスを含むことができる。しかしながら、室温ミリング等の他のプロセスも考えられる。
【0038】
図4に示すように、粉末化した電極粒子38が生成されると、電極粒子38は、高多孔性電極コアと、高多孔性電極コアから突出する導電性ナノ材料のマトリックスとを有することができる。電極粒子38は「毛髪状粒子」とすることができ、この粒子では、長いナノ混合物成分のこのマトリックスは、粒子を主に構成する材料の炭素混合物の周囲に毛髪状に付き出している。「毛髪状」電極粒子38は、隣接する粒子と連結することができ、かつシート10に付着されると電極38の上方及び下方の層に対し適切なナノスケールのテザリング(tethering)を提供する、エネルギー貯蔵電極とすることができる。したがって、電極粒子38は、複数の電極粒子38を含む電極層の厚さを増大させて高密度及び一定の出力を可能にするように、別の層と任意の方向で連結することができる可能性がある。電極粒子38は、粒子間での電解質の最適な物質移行を有することができるとともに、内部に例えばエアロゲルの高表面積微細構造を含むことができる。
【0039】
電極粒子38が粉末化形状で生成されると、この粉末を、ヘキサン等の適切なレオロジー(rhological)改質剤又はアルコール等の別の液体有機材料と混合することによって、インクにすることができる。粉末は、超音波分散により結合剤、レオロジー剤と結合することができる。インクは、界面活性剤等の分散剤を含んで又は含まずに結合することができる。結果の電極インクは、印刷された電極14の厚さとエネルギー及び出力密度との間に線形関係を提供することができ、また、電極の多孔性セパレーターへの接合及び係留(anchoring)において促進するナノ混合物「毛髪」を含むことができる。さらに、エネルギー貯蔵電極に、印刷の前にかつインクになる前か又は後のいずれかに、電解質を事前に加えることができる。
【0040】
電極インクは、電極層14を生成するように付着することができる。電極層14は、基板22の多孔性セパレーター膜セル32の上のみに付着することができる。したがって、間接印刷を用いてインクを噴霧することができる。電極層14は、2つ以上の層でセパレーター膜12の上に付着することができる。電極層14の毛髪状ナノ材料は、前のセパレーター膜12の孔内に挿入されている突出するナノ材料の割合が高いことを確実にするように、隣接する粒子の間でかつセパレーター膜12の粒子とナノスケール連結するように構成される。セパレーター膜12と電極層14との間に非常に絡み合った界面領域を形成するために、温度及び圧力処理を利用することができる。例えば、電極の各層が付着された後、パルス状放射光源により電極層14をフラッシュ硬化(flash cure)させることができる。電極層14を付着させるプロセスは、上述したように湿式プロセスとすることができるが、乾式プロセスも考えられる。例えば、電極層14は、転写ドラムの上に静電堆積させた後、セパレーター膜12に直接印刷することができる。
【0041】
ここで図5を参照すると、電極層14がセパレーター膜12及び集電板16(後述)といかに連結するかの分子図が示されている。より詳細には、電極粒子38は、印刷された膜内で混合された後、集電板粒子及びセパレーター42粒子と融合されるように示されている。一実施形態では、可塑化されたセパレーター粒子(ゲル状表面)が電極粒子のナノ混合物毛髪を閉じ込めるものと仮定する。しかしながら、ナノスケール及びラージスケールの連結を形成する他の実施形態もあり得る。
【0042】
そして、電極14が付着されると、電流バス44は、個々の電極14の間の基板22に、かつ前に付着された基礎28の上に直接、付着することができる。電流バス44は、非多孔性基礎層28等、非多孔性セパレーターセル32を電気的にかつ機械的に分離するとともに、電解質輸送を防止する、多孔性基礎層の上に印刷形成することができる。電流バス44は、用途の最適な熱的必要性、機械的必要性及び電流輸送上の必要性に対して寸法を決めることができる。電流バスの多孔性セパレーターセル32のセルサイズに対する比を、最適な機械特性、熱特性及び電気特性に対して構成することができる。電流バス44は、該電流バス44、集電板16を含む集電アンサンブル50の一部とすることができる。したがって、電流バス44は、パターン化領域において基礎28の上に付着することができる。電流バス44は、電極粒子のナノ混合物材料を電流バス44とともに挿入することができるように堆積させることができる。応用プロセスの温度要件及び圧力要件に応じて、電流バス44を焼結し硬化させることができる。電流バス44の高密度化の程度を、注意深く制御されるプロセスパラメーターとすることができる。最終的な高密度化の際、電流バス44は、集電アンサンブル50によって提供される圧密シールの一部としての役割を果たすことができる。このシールは、隣接するセル間の相互汚染を防止する役割を果たすことができる。電流バス44は、Dupont銀、銅、ニッケル、アルミニウム又はカーボンインク等のインクで作製することができる。電流バス層44は、導電性であって、入出力ピン18にかつ入出力ピン18から電流を輸送する役割を果たすことができる。電流バス44に取って代わる非導電性リブ又は導電性材料がドープされたポリマー材料等の代替物もあり得る。
【0043】
図6を参照すると、パターン化された電流バス44は、リングシールにより非多孔性基礎28と連結することができる。印刷形成により連結を達成するために、2つの手法について説明する。オプション1では、それぞれ「M」及び「P」のラベルが付された2つの異種のインク内で勾配が動的に構築される。印刷された勾配はまず切り離された容器内で形成され、それは連続流湿式処理に熟知している当業者には既知である。要約すると、割合の高い「P」を収容する容器に「M」が添加される一方で、容器が収容している「P」が抽出されて、印刷装置によりデバイスの上に印刷される。そうする際、「M」が濃厚になり、一方で「P」が印刷期間にわたって希釈される。構造のz軸内に形成された勾配の深さは、「M」成分及び「P」成分の相対的な流量によって決まる。浅い薄膜構造の場合、図6において「体積要素」として示す混合膜の終端部において融合を完了することができる。より詳細には、これは、インクが主にナノ材料及びポリマー分散液から構成される場合、パルス放射によって達成することができる。勾配を構築するさらに別の手段(オプション2)は、導電性ナノ材料Mを、基礎28の材料と適合性のあるポリマー材料Pで密封するというものである。この場合、勾配は、依然として、密封されたM及びPの分散液によって形成される。さらに別のオプションは、スプレー付着による等、間接印刷技術の堆積特性を利用するというものである。スプレー付着器は、ノズルの堆積コーン内に広範囲の濃度勾配を有するように設計することができる。溶液M及びPそれぞれに対して2つの別個のノズル24の重なり特性及び堆積特性を調整することにより、堆積の厚さ及び時間に応じてM及びPの勾配を達成することができる。前に述べた勾配と同様に、硬化頻度は、厚さの関数としての複素透過率関数に起因して形成される膜の完全な硬化を確実にするように調整される。アスペクト比、それにより生成される脚45の特性は、コーンの幾何学的形状、M及びPの相対濃度、M及びPの膜形成特性並びに2つのノズルの堆積速度に相関する。
【0044】
集電アンサンブル50は、キャップ層46を更に有することができる。キャップ層46は、湿式プロセス又は乾式プロセスにより基板14の全体の上に印刷することができる。図5に、電極層14の上に付着されているキャップ層46が示されている。キャップ層46は、パルス放射又は他の適切な手段によって溶解すると、電極材料の外側0.3ミクロン〜3ミクロンの機械特性が、電極の導電性ナノ混合物が注入されているキャップとなるように、電極の上にナノ材料を配置することによって形成することができる。キャップ層46は、電流バス44及び集電板16とともに機能して、隣接するセル間の相互汚染を防止する圧密シールを形成することができる。キャップ層46は、特にキャップ層46が接触する可能性がある前の電流バス層44及び電極層14との優れた挿入を確実にする方法で上に重ねることができる。キャップ層46は、ミクロンサイズの純金属粒子又は銅、金、炭素若しくは銀等のナノ材料を含む合金からなる分散固体から構成することができる。キャップの目的は、低い処理温度を提供しながら厚膜積層を可能にし、高密度化の後に所望の電気的仕様及び機械的仕様を満足させることとすることができる。電極粒子38は、該電極粒子38及びキャップ層46の付着の後に未焼結状態の構造を更に形成することができ、それは、電極粒子38用の閉じ込めチャンバーの焼結及び収縮時に、チャンバーの開放多孔性構造を通して閉じ込められたガスの解放を可能にする。
【0045】
集電板アンサンブル50の第3の部分は、複数の集電板層16とすることができる。キャップ層46と導電性連続集電板層との組合せは、集電し、隣接するセル間で電流を平衡にし、その電流を隣接するデバイスにz軸において移送するように構成することができる。図5は、一実施形態による集電板及びキャップの電極への連結の断面図を示す。集電板層50の目的は、金属集電能力を向上させ、かつアレイ状で封止された容量性セルを真下で機械的に支持することとすることができる。集電板層50は、シートが、破壊することもなくエネルギー貯蔵能力に悪影響を与えることもなく、内圧の0.5psiを超えて、好ましくは4psiと10psiとの間で耐えることができることを可能にすることができる。集電板アンサンブル50は、まとまって、電解質が活性化中にシート10から脱するのを防止することができる。集電板アンサンブル50はまた、湿気及び環境のバリアとすることもできる。したがって、集電板アンサンブル50を、完全に印刷されたデバイスを組み立てる前にシート10に付着される最終的な層とすることができる。
【0046】
集電板モジュール16の第3の部分は、1つ又は複数の集電板層50とすることができる。集電板モジュール16は、セパレーター12、基礎28、電極14及びバス44を含むサブアセンブリの上に印刷形成される導電性電流輸送層とすることができる。導電性集電板の材料は、導電性集電板50と電極14との間の連結を確実にすることができる。キャップ層46及び導電性連続集電板層の組合せは、集電しその電流を隣接するデバイスにz軸において移送するように構成することができる。集電板層50の目的は、金属集電能力を向上させ、かつアレイ状で封止された容量性セルを真下で機械的に支持することとすることができる。集電板層50は、シートが、破壊することもなくエネルギー貯蔵能力に悪影響を与えることもなく、内圧の3psiを超えて、好ましくは4psiと10psiとの間で耐えることができることを可能にすることができる。集電板層50は、キャップ46の上のパルス放射によって溶解させることができる。集電板層50は、まとまって、電解質が活性化中にシート10から吹き出すのを防止することができる。集電板層50はまた、湿気及び環境のバリアとすることもできる。集電板層50は、完全に印刷されたデバイスを組み立てる前にシート10に付着された最終層とすることができる。集電板層50及びキャップ46は、主にz軸導体とすることができる。このz軸導電は、機械特性を向上させかつ強度を増大させるように構成された高強度導電性カーボンベールによって更に提供することができる。
【0047】
2つの同一のサブアセンブリ18、20の外側に結合されている外部電流バス(図示せず)が更に考えられる。外部電流バスは、内部電流バス44及び基礎層28に対応した幾何学的形状を有することができる。外部電流バスは、更に、ピン配列17と動作的に連通することができる。
【0048】
印刷された基板22からバッチ処理されたシート10を組み立てることはいくつかのステップを含むことができる。まず、図2に示す印刷されたサブアセンブリ18を基板22から取り外すことができる。この取外しは、冷却フィンガー(cold finger)、ローラー又は冷蔵によって達成することができる。例えば、冷却は、セパレーター膜12及び基礎膜28と基板22との間の物理的接合をせん断することができ、それにより、基板22から予備組立されたシート10を注意深く取り除くことができる。第2のサブアセンブリ20は、同じ基板22又は異なる基板(図示せず)から同様に取り外すことができる。サブアセンブリ18、20は、取り外して、更なる処理のために適切な包装材料に保管することができる。
【0049】
バッチ処理されたプリアセンブリシート10が基板22から分離されると、シート10を180度裏返して、セパレーター層12が上方を向いている間に集電板層50が基板22に面しているようにすることができる。そして、シート10用の反転されたプリアセンブリを、真空炉又は他の環境的に制御されるチャンバー内に所定時間挿入することができる。この温度及び時間は、炭素電極材料から残留溶剤を飛ばし、シート10内の電極を活性化させるのに役立つことができる。炉又は環境的に制御されるチャンバーから取り出され室温まで冷却されると、シート10に室温イオン液体(RTIL)電解液を付着させることができる。RTILは、三角形セル領域32に直接付着することができる。RTILは、所定時間、例えば30分間浸漬して、セパレーター膜12及び電極層14の未充填孔のいずれかを充填することができる。浸漬又は湿潤が完了すると、過剰なRTILを、例えば吸収ローラーによって除去することができる。シート10内で用いられるさまざまな材料と適合性を呈する共通のRTIL電解液を利用することができる。したがって、CTAベースのデバイスの場合、四フッ化(terafluoride)ホウ素BFアニオンよりもヘキサフルオロリン酸PFアニオンが好ましい。さらに、カチオンの選択は、同様の理由で重要である。CTAの場合、PFアニオンと組み合わせて固有のカチオンが好ましい。CTAの場合、水性系は適合性がない。さらに、電解質は、当業者には既知であり得る種々の応用プロセスを伴う固体電解質とすることができる。
【0050】
予備組立てされたシート10に対し基板22上で電解質が加えられると、シート10を、印刷形成によってシーム剤により処理し、その後穿孔又は折り目56の線に沿って折り曲げて、2つのサブアセンブリ18、20の間の位置合せを可能にすることができる。2つのサブアセンブリ18、20間に継目58を、その継目に沿って可塑剤を付着し、上述した180度回転によって露出されたセパレーター層12のCTAを侵食することにより、形成することができる。シート10を適切に折り曲げるために、セル32及び電流バスグリッドを適切に位置合せするか又は一致させる(match up)ことができる。本明細書に記載する実施形態は折曲げステップを必要とするが、他の実施形態が考えられることが理解されるべきである。例えば、折曲げステップを必要とせずに、セパレーター膜12の両側にシート10を印刷することができる。さらに、上述したシート10を作製するステップの各々を、さまざまな長さ(lengths)のシート10を作製することができるコンピューター化された印刷プロセスで行うことができることが考えられる。正確なロールツーロール(roll-to-roll)(R2R)印刷プロセスを利用して1m/秒以上でさまざまな長さのデバイスを印刷することができることが考えられる。
【0051】
折曲げステップの後、封止装置(図示せず)を用いて、シート10のグリッド部及び周囲部を封止することができる。封止装置は、電流バスグリッド及び電流バスグリッドの周りの周囲部の形状で突起を含むことができる。これは、シートの三角形セル32が折り曲げる前に電流バスグリッド状溝から実際に突出することができるためである。したがって、上方部18及び下方部20をともに折り曲げることにより、上方部18の電流バスグリッドと下方部20の電流バスグリッドとの間に望ましくない空間ができる可能性がある。封止装置を用いて、シート10のグリッドの外側の周囲の領域を封止するとともに、上方部18の電流バスグリッドを下方部20の電流バスグリッドとともに封止することができる。上記封止装置は、同様に加熱することができるR2Rラインのエンボス加工されたロールとすることができる。
【0052】
上述したように、シート10は、図8に示すようにいくつかの層で積層可能とすることができる。単一のシート10のデバイスは極めて薄くすることができ、したがって、デバイスのいくつかをともに積層し、直列又は並列のいずれかで接続することができ、したがってシート10の単位長あたりより多くのエネルギー貯蔵が提供される。例えば、奇数番の複数のシート10を、シーム剤によりともに直列に統合することができる。代替的に、偶数番の複数のシート10を、シーム剤によりともに並列に統合することができる。パターン化された電流バス内に充填ビアを印刷形成することにより、複数の高強度の高エネルギー密度構造シートを統合し、デバイス間の並列配置を可能にすることができる。
【0053】
さらに、シート10は、任意の形状又はサイズに適応するようにすることができる。図面に示す実施形態は、形状がおよそ正方形又は矩形であるが、円形形状、矩形、三角形、卵形又はシート10の用途に有用な他の任意の形状等、他の実施形態も考えられる。
【0054】
ここで図9を参照すると、シート10等の構造シートを作成する方法100が示されている。方法100は、セパレーター層12及び基礎28等のセパレーターモジュールを基板22等の基板に付着させるステップ110を含むことができる。方法100は、電極14等の電極を付着させるステップ112を含むことができる。方法100は、電流バス44等の電流バスを付着させるステップ114を更に含むことができる。方法100は、キャップ46等のキャップ層を付着させるステップ116を更に含むことができる。さらに、方法100は、セパレーターモジュールの後方の反対側の面に電解質を加えるステップ118を含むことができる。さらに、方法100は、シート10等のシートを組み立てるステップ120を含むことができる。最後に、方法100は、いくつかのシートを合わせて層状にするステップ122を含むことができる。方法100について上記で概説したステップを、他の順序で、又は当業者には明らかとなり本明細書で更に説明する他のステップを間に含めて行うことができることが理解されるべきである。方法100は、例示としてこの順序で提示されていることが理解されるべきである。
【0055】
シート10は、種々の異なる応用において有用であり得る。シート10が多くのシナリオでエネルギーを提供するのを可能にすることができる、デバイスの薄い特質は、その柔軟性及び可撓性とともに有用である。例えば、シート10は、エネルギー貯蔵の細長い「テープ」として用いることができ、このテープは、使用者の選択に基づいて直列構成又は並列構成で容易に分解し又は組み立てるために区分化される。シート10を使用して、グリッドが組み込まれた応用及びグリッドなし応用の両方において、太陽光発電デバイスに対してエネルギーの貯蔵することができる。シート10を、自動車のフレームに又は高性能な軍服内に埋め込み可能であることも更に考えられる。さらに、シート10を、デジタルカメラのフラッシュに、又はコードレスの手術用器具若しくは歯科用器具に使用することができる。シート10について、誘導ミサイル等の兵器、無人航空機(UAV)等の飛行機又は水中車両の構造体、印刷回路基板の下に置かれたデカップリングコンデンサーとして、産業用又は製造用電動工具、模型飛行機、車又はヘリコプター、高額(high stakes)包装、軍用電池パック及び発電機、ハイビジョンゴーグル、携帯型除細動器、道路、コンクリート壁床、絶縁物、バリアシート材料等の建材に埋め込まれ、手持ち式電動工具、貯蔵機構をグリッド内に直接組み込むようにデバイスに包まれた伝送ライン、布地組込み(fabric integrated)バッテリー、電気フェンスにおける組込バッテリー、フレキシブルディスプレイ(新聞等)、患者が装着する医療診断時計又はモニター、エコセンサー、ハイブリッド車両用の回生制動、エレベーター、フォークリフト、他の装置のモーターにおける回生エネルギー捕捉、ラップトップ内、医療機器と共に皮下に埋め込まれるバッテリーとして、コードレス電話、玩具、薄膜バッテリーハイブリッド形成(RFIDタグ)、ブルートゥースヘッドセット、携帯電話、船舶用シールドバッテリー、ハンドヘルドビデオゲーム用コンソール、テイザー、ハイエンドフラッシュライト、コードレス芝刈り機又は刈払機、電動歯ブラシ、靴、マイクロフォン等の無線デバイス、掃除機、リモートセンサー、エレベーター及びドック等に構造的に適合するか又は組み込まれものとしての応用も考えられる。いくつかのデバイスには、エネルギー消費のピーク(spike)中に(例えば、フラッシュ、又は常に高エネルギーが必要であるとは限らないデバイスにおける高エネルギー作用による)、デバイスの出力密度要件により、望ましい大きさを超えるバッテリーが必要であることが理解されるべきである。この場合、シート10は、例えばケーシング内に高出力密度補助として実装することにより、これらの高出力密度の用途に対して標準バッテリーを補助することができる。これにより、デバイスの標準バッテリーのサイズを大幅に低減することができる。
【0056】
実施形態の要素を、数量を特定せずに(the articles “a” or “an”)紹介した。数量を特定しないものは、要素が1つ又は複数あることを意味するように意図されている。用語「含む/備える(including)」及び「有する(having)」並びにそれらの派生語は、列挙した要素以外の追加の要素があり得るように含まれるように意図されている。少なくとも2つの用語のリストで使用される場合の接続詞「又は(or)」は、いかなる用語又は用語の組合せをも意味するように意図されている。用語「第1の」及び「第2の」は、要素を識別するために用いられ、特定の順序を示すために用いられるものではない。
【0057】
本発明を、僅かな限られた数の実施形態に関連して詳細に説明したが、本発明はこうした開示した実施形態に限定されないことが容易に理解されるべきである。むしろ、本発明を、今まで述べられていないが、本発明の趣旨及び範囲に対応するいかなる数の変形、改変、置換又は等価な構成をも組み込むように変更することができる。さらに、本発明のさまざまな実施形態について説明したが、本発明の態様は、説明した実施形態の一部のみを含むことができることが理解されるべきである。したがって、本発明は、上述した説明によって限定されるものとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10mWh/ftよりも大きなエネルギー貯蔵密度を備え、少なくとも5%の歪みの下で5KPaよりも大きな応力に耐えることができる構造シート。
【請求項2】
シーム剤によってともに直列に統合される、奇数番の複数の高強度の高エネルギー密度構造シートを更に具備する、請求項1に記載の構造シート。
【請求項3】
シーム剤によってともに並列に統合される、偶数番の複数の高強度の高エネルギー密度構造シートを更に具備する、請求項1に記載の構造シート。
【請求項4】
充填ビアがパターン化された電流バス内に印刷形成され、前記複数の高強度の高エネルギー密度構造シートをともに統合する、請求項2に記載の構造シート。
【請求項5】
充填ビアがパターン化された電流バス内に印刷形成され、前記複数の高強度の高エネルギー密度構造シートをともに統合する、請求項3に記載の構造シート。
【請求項6】
前記構造シートのすべての構成要素が印刷形成される、請求項1に記載の構造シート。
【請求項7】
印刷形成される2つの同一のサブアセンブリを更に具備し、該第1のサブアセンブリ及び該同一の第2のサブアセンブリは、取り外され基礎同士が位置合せされ、継ぎ合わされて前記エネルギー貯蔵構造シートになる、請求項1に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項8】
前記2つの同一のサブアセンブリの外側に結合された外部電流バスを更に具備する、請求項6に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項9】
前記外部電流バスは、内部基礎層の幾何学的形状に対応する幾何学的形状を有し、ピン配列に動作可能に連通している、請求項8に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項10】
電気ピン配列を更に具備する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項11】
複数のフォールトトレラントな自己回復型構造セルを更に具備する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項12】
構造シートであって、
印刷形成されたセパレーターと、
印刷形成された電極と、
印刷形成された構造導体と、
を具備する構造シート。
【請求項13】
シーム剤によってともに直列に統合される、奇数番の複数の高強度の高エネルギー密度構造シートを更に具備する、請求項12に記載の構造シート。
【請求項14】
シーム剤によってともに並列に統合される、偶数番の複数の高強度の高エネルギー密度構造シートを更に具備する、請求項12に記載の構造シート。
【請求項15】
充填ビアがパターン化された電流バス内に印刷形成され、前記複数の高強度の高エネルギー密度構造シートをともに統合する、請求項13に記載の構造シート。
【請求項16】
充填ビアがパターン化された電流バス内に印刷形成され、前記複数の高強度の高エネルギー密度構造シートをともに統合する、請求項14に記載の構造シート。
【請求項17】
電気ピン配列を更に具備する、請求項12に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項18】
2つの同一のサブアセンブリの外側に結合された外部電流バスをさらに具備する、請求項17に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項19】
前記外部電流バスは、内部基礎層の幾何学的形状に対応する幾何学的形状を有し、ピン配列に動作可能に連通している、請求項18に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項20】
複数のフォールトトレラントな自己回復型構造セルを更に具備する、請求項12に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項21】
エネルギー貯蔵デバイス用のセパレーターであって、
電気的絶縁性多孔性セルと、
非多孔性電気的絶縁性基礎グリットと、
を具備し、
前記電気的絶縁性多孔性セル及び前記非多孔性基礎グリッドは印刷形成される、セパレーター。
【請求項22】
前記セル及び前記グリッドは、前記非多孔性電気的絶縁性基礎グリッド構造体によって分離される、複数の分離された大規模並列多孔性セルが形成されるように、基板の上に印刷形成される、請求項21に記載のセパレーター。
【請求項23】
前記電気的に絶縁された多孔性セルは、5μm〜40μmの厚さである、請求項22に記載のセパレーター。
【請求項24】
前記基礎グリッド及び前記分離された大規模並列多孔性セルは、前記エネルギー貯蔵デバイスの前記複数の分離された大規模並列多孔性セルに対して耐穿孔性及び機械的靱性を可能にする、請求項22に記載のセパレーター。
【請求項25】
前記非多孔性基礎は、連続多孔性膜下地の上に、該連続多孔性膜下地の前記非多孔性基礎グリッドへの転化を可能にするように直接印刷される、請求項21に記載のセパレーター。
【請求項26】
電気二重層キャパシターに対して、エネルギーが前記セパレーターに貯蔵可能である、請求項21に記載のセパレーター。
【請求項27】
セラミック粒子及び導電性粒子のうちの少なくとも一方が、前記セパレーターのマトリックス内に封入される、請求項21に記載のセパレーター。
【請求項28】
前記孔及び弾性は、前記印刷形成によって調整可能である、請求項21に記載のセパレーター。
【請求項29】
隣接する粒子間で連結し、エネルギー貯蔵電極の上方及び下方の層に適切なナノスケールのテザリングを提供する、該エネルギー貯蔵電極を具備するエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項30】
前記エネルギー貯蔵電極は、乾式印刷処理及び湿式印刷処理のうちの少なくとも一方によって多孔性セパレーターの上に堆積する、請求項29に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項31】
前記エネルギー貯蔵電極は複数の毛髪状粒子を含み、該複数の毛髪状粒子は該粒子間での電解質の最適な物質移行を有するとともに、内部に高表面積微細構造を含む、請求項29に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項32】
前記高表面積微細構造はエアロゲルを含む、請求項31に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項33】
前記毛髪状粒子は、最初に、カーボンナノチューブ及び太く長い撚糸状CNT束の混合物を含むナノ混合物を添加することにより、適切な孔構造のエアロゲルを与えるように設計されたゾル−ゲルで形成される、請求項32に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項34】
前記ナノ混合物は、前記ゾル−ゲル形成の前にゲル形成液体溶液に添加される、請求項33に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項35】
前記毛髪状粒子は、カーボンナノチューブ毛髪のパルス放射によって引き起こされる粒子間融合を可能にする、請求項34に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項36】
前記エネルギー貯蔵電極は、印刷する前に電解質が事前に加えられる、請求項35に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項37】
電極粒子であって、
高多孔性電極コアと、
前記高多孔性電極コアから突出する導電性ナノ材料のマトリックスと、
を具備し、
高エネルギー密度と、
複数の該電極粒子を含む電極層の厚さが増大しても一定の出力と、
を可能にするように、任意の方向で別の層と連結するように構成される、電極粒子。
【請求項38】
前記電極粒子の印刷の前に事前に加えられる電解質を更に具備する、請求項37に記載の電極粒子。
【請求項39】
前記電極粒子のための閉じ込めチャンバーの焼結及び収縮時に、前記チャンバーの開放した多孔性構造を通じて閉じ込められたガスの解放を可能にする、未焼結状態構造を形成する、請求項37に記載の電極粒子。
【請求項40】
多孔性セパレーターセルを電気的かつ機械的に分離し、電解質の移送を防止する、非多孔性基礎層上に印刷形成されるパターン化された電流バスを具備する、エネルギー貯蔵構造シート。
【請求項41】
前記パターン化された電流バスは、用途の最適な熱的必要性、機械的必要性及び電流輸送上の必要性に対して寸法が決められている、請求項40に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項42】
前記電流バスのサイズの前記多孔性セパレーターセルのセルサイズに対する比は、機械特性、熱特性及び電気特性に対して構成される、請求項40に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項43】
前記パターン化された電流バスは、リングシールにより前記非多孔性基礎層と連結される、請求項40に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項44】
セパレーター、基礎、電極及び電流バスを備えたサブアセンブリの上に印刷形成される、導電性電流輸送層を具備するエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項45】
前記導電性電流輸送層の材料は、該導電性電流輸送層と前記電極との連結を確実にする、請求項44に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項46】
前記導電性電流輸送層は、まず前記電極の上に導電性ナノ材料を配置して、パルス放射によって溶解すると、電極材料の外側0.3ミクロン〜3ミクロンの機械特性が、前記導電性ナノ材料が注入されるキャップとなるようにすることによって形成される、請求項45に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項47】
前記導電性電流輸送層は、前記キャップの上方でパルス放射によって溶解される、請求項46に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項48】
前記キャップ及び前記導電性電流輸送層は、主にz軸導体である、請求項47に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項49】
前記z軸導電は、機械特性を向上させ強度を増大させるように構成される高強度導電性カーボンベールによって提供される、請求項48に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項50】
前記導電性電流輸送層は、主にz軸で導通する、請求項44に記載のエネルギー貯蔵構造シート。
【請求項51】
基板上に印刷形成されるエネルギー貯蔵構造シートに対する第1のサブアセンブリを具備する装置であって、前記基板は、容易に取り外されるように前記第1のサブアセンブリの熱特性と一致しない、装置。
【請求項52】
印刷形成されかつ前記第1のサブアセンブリと同一である第2のサブアセンブリを更に具備し、前記第1のサブアセンブリ及び同一の前記第2のサブアセンブリは、取り外され、基礎同士が位置合せされ、継ぎ合わされて前記エネルギー貯蔵構造シートになる、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記第1のサブアセンブリ及び前記第2のサブアセンブリは、前記2つの位置合せされた基板を互いに継ぎ合わせる前に電解質が加えられる、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記継合せは、材料を付着させることによって形成され、該材料は可塑剤である、請求項53に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−500609(P2013−500609A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522984(P2012−522984)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043445
【国際公開番号】WO2011/017130
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512021232)ザ ペーパー バッテリー カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】THE PAPER BATTERY CO.
【住所又は居所原語表記】45 Ferry St.,Troy, NY 12180 U.S.A.
【Fターム(参考)】