説明

コージェネレーションシステム

【課題】本発明は、給湯需要がない場合においても、エンジンの連続運転が可能なコージェネレーションシステムを提供することを課題とする
【解決手段】コージェネレーションシステム10には、第1の冷却手段71と第2の冷却手段72とが介在され、第1の冷却手段71は、エンジン11と排熱熱交換器17との間に設けられている冷却水循環経路21に介在されている。貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段71を起動する第1の制御部73が設けられている。第2の冷却手段72は、貯湯タンク23と温風暖房機33の間に設けられている温水が循環する温水循環パイプ32に介在されている。温風暖房機33の温風温度が第2の所定値を超えたときに、第2の冷却手段72を起動する第2の制御部74が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンで駆動した発電機で電気エネルギを発生するとともにこのエンジンの排熱を利用して冷水を温水にするコージェネレーションシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンで駆動した発電機で電気エネルギを発生するとともに、排熱熱交換器でエンジンの排熱を利用して冷水を温水にするコージェネレーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−4586号公報(図1)
【0003】
特許文献1の図1において、コージェネレーションシステムには、ガスエンジン1(符号は、同公報のものを流用する。以下、同じ。)とこのガスエンジン1により駆動され電気エネルギを発生する発電機3と、ガスエンジン1の排熱を冷水に伝達して温水にする温水熱交換器5(以下、「排熱熱交換器」と云う。)とが備えられている。
【0004】
ところで、コージェネレーションシステムの運転制御における基本的な方式として、出力側で必要とする給湯量に応じて、コージェネレーションシステムの運転パターンを設定する方式がある。
【0005】
この方式では、給湯需要がないか少ないときには、ガスエンジン1の温度が所定値以上に上昇しないように、ガスエンジン1を停止する。つまり、この方式は、給湯を電気の供給よりも優先させて行うという方式である。
ガスエンジンが停止するので、例えば、停電時などで電気エネルギが必要になったときなどにおいて電気エネルギを供給することができないという課題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、給湯需要がない場合においても、エンジンの連続運転が可能なコージェネレーションシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、エンジンと、このエンジンで駆動され電気エネルギを発生する発電機と、前記エンジンから排出される排熱を熱源にして冷水を温水にする排熱熱交換器とが備えられているコージェネレーションシステムにおいて、このコージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、第1の冷却手段には、エンジンと排熱熱交換器との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環経路に介在され、エンジンの排熱にて昇温する貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段を起動する第1の制御部が備えられ、第2の冷却手段には、貯湯タンクと温風暖房機の間に設けられ温水が循環する温水循環パイプに介在され、温風暖房機の温風温度が第2の所定値を超えたときに、第2の冷却手段を起動する第2の制御部が備えられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、エンジンと、このエンジンで駆動され電気エネルギを発生する発電機と、エンジンから排出される排熱を熱源にして冷水を温水にする排熱熱交換器と、この排熱熱交換器から出力された温水を熱源として外気を暖める温風暖房機とが備えられているコージェネレーションシステムにおいて、このコージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、第1の冷却手段には、排熱熱交換器と温風暖房機との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環パイプに介在され、排熱熱交換器と温風暖房機の間を結ぶ温水循環パイプ内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段を起動する第1の制御部が備えられ、第2の冷却手段には、排熱熱交換器との間に設けられ温水が循環する温水循環パイプに介在され、温風暖房機の温風温度が第2の所定値を超えたときに、第2の冷却手段を起動する第2の制御部が備えられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、第1の冷却手段は、冷却水循環経路から水の一部を分岐し、後に戻す第1のバイパス管と、この第1のバイパス管に介在され水の熱を外部に放出する第1のラジエータと、この第1のラジエータに冷却水循環経路内の水を送水する第1のポンプと、冷却水循環経路と第1のラジエータの間に設け開弁して第1のラジエータに水を取り入れる第1の給水バルブとから構成され、第2の冷却手段は、温水循環経路又は温水循環パイプから水の一部を分岐し、後に戻す第2のバイパス管と、この第2のバイパス管に介在され水の熱を外部に放出する第2のラジエータと、この第2のラジエータに冷却水循環経路内又は温水循環パイプ内の水を送水する第2のポンプと、温水循環経路又は温水循環パイプと第2のラジエータの間に設け開弁して第2のラジエータに水を取り入れる第2の給水バルブとから構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、温水循環経路と前記温風暖房機に設けた温風経路のうちの少なくとも一方には、補助加熱手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、コージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、第1の冷却手段は、冷却水循環経路に介在され、第2の冷却手段は、温水循環パイプに介在されている。
【0012】
従来、給湯を電気の供給よりも優先させて行う方式をとっているコージェネレーションシステムでは、貯湯タンクの温度が上昇し、エンジンの冷却が十分に行えなくなった場合には、エンジンを停止させる必要があった。
【0013】
この点、本発明では、貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段を起動する制御部が設けられているので、排熱熱交換器の温度が所定以上の温度に達することはない。排熱交換器の温度が所定値以上に昇温しなくなれば、エンジンの連続運転が可能になる。エンジンの連続運転が可能になれば、連続した発電が可能になり、電気エネルギの安定した供給が可能になる。
【0014】
請求項2に係る発明では、コージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、第1の冷却手段は、冷却水が循環する冷却水循環パイプに介在され、第2の冷却手段は、温水循環パイプに介在されている。
【0015】
従来、給湯を電気の供給よりも優先させて行う方式をとっているコージェネレーションシステムでは、温水循環パイプの温度が上昇し、エンジンの冷却が十分に行えなくなった場合には、エンジンを停止させる必要があった。
【0016】
この点、本発明では、温水循環パイプ内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段を起動する制御部が設けられているので、排熱熱交換器の温度が所定以上の温度に達することを回避できる。排熱熱交換器の温度が所定以上の温度に昇温しなくなれば、エンジンの連続運転が可能になる。エンジンの連続運転が可能になれば、連続した発電が可能になり、電気エネルギの安定した供給が可能になる。
【0017】
請求項3に係る発明では、第1の冷却手段は、第1のバイパス管と、この第1のバイパス管に介在される第1のラジエータと、この第1のラジエータに水を送水する第1のポンプと、第1のラジエータに水を取り入れる第1の給水バルブとから構成されている。また、第2の冷却手段は、第2のバイパス管と、この第2のバイパス管に介在される第2のラジエータと、この第2のラジエータに水を送水する第2のポンプと、第2のラジエータに水を取り入れる第2の給水バルブとから構成されている。このような構成をもつ冷却手段であれば、設備費用を抑制することができる。加えて、ランニング費用を低く抑えることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、温水循環経路には、温水循環経路内の温水を加熱する補助加熱手段が設けられている場合には、エンジンの冷却水の温度が低いときでも、温水の温度を適温に上げることができる。
また、温風経路には、第2の補助加熱手段が設けられている場合には、温水の温度が低いときでも、所定の暖房性能が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るコージェネレーションシステムの構成図であり、コージェネレーションシステム10は、原動機としてのエンジン11と、エンジン11を制御するECU12と、エンジン11の出力軸に連結されるとともにこの出力軸で駆動され電気エネルギを発生する発電機13と、この発電機13の出力端子に接続されているインバータユニット14と、このインバータユニット14と外部商用電源部15との間に設けられ所定時以外は発電した電気エネルギの供給を遮断する切替スイッチ16と、エンジン11から排出される排熱を利用して温水をつくりこの温水を出力する排熱熱交換器17と、エンジン11と排熱熱交換器17との間に連結され冷却水を循環させる冷却水循環経路21と、この冷却水循環経路21に介在されエンジン11に排熱熱交換器17で排熱された冷却水を送水する冷却水循環ポンプ22と、排熱熱交換器17で熱交換され加熱された温水を貯湯する貯湯タンク23と、この貯湯タンク23と排熱熱交換器17との間に連結され温水を循環させる温水循環経路24と、この温水循環経路24に介在される温水ポンプ25、温度センサ26及び温度調節バルブ27と、貯湯タンク23に設けた給湯出口28に取り付けられ外部へ温水を出力する温水出力パイプ31と、この貯湯タンク23の一方23aである給湯出口28から引き出し、貯湯タンク23の他方23bに戻す温水循環パイプ32と、この温水循環パイプ32に介在させる温風暖房機33と、この温風暖房機33の上流側に介在され所定時に温水を加熱する第1の補助加熱手段34、出力温水ポンプ35及び温度センサ36と、給湯出口28に温水出力パイプ31を介して連結され開弁して温水を外部に排出する排水弁37と、貯湯タンク23に給水する給水経路41と、この給水経路41に介在され所定時に開弁する給水バルブ42と、排水弁37の開閉をはじめコージェネレーションシステム10における各種制御を統括する制御部43とを備えたものである。
温度調節バルブ27には、貯湯タンク23の手前で引き出して貯湯タンク23から排熱熱交換器17への温水循環経路24の戻り配管24bに戻すバイパス経路44が連結されている。温度調節バルブ27は、温水循環経路24内の温水が温度センサ26により所定値である70℃に達すると、徐々に開き貯湯タンク23の上部に温水を供給し始める。温度調節バルブ27は、湯温が高くなるほどバルブの開度が大きくなるようにした。
【0020】
温水循環経路24には、温水循環経路内の温水を加熱する補助加熱手段34Nが設けられているのでエンジン11の冷却水の温度が低いときでも、温水の温度を適温に上げることができる。
この他、コージェネレーションシステム10には、第1の冷却手段71(図中点線にて示されている。)と第2の冷却手段72との少なくとも一方が介在されている。
【0021】
第1の冷却手段71は、エンジン11と排熱熱交換器17との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環経路21に介在されている。そして、貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段71を起動する第1の制御部73が設けられている。
第2の冷却手段72は、貯湯タンク23と温風暖房機33の間に設けられ温水が循環する温水循環パイプ32に介在され、温風暖房機33の温風温度が第2の所定値を超えたときに、第2の冷却手段72を起動する第2の制御部74が設けられている。
【0022】
なお、本実施例において、第1の制御部73と第2の制御部74とは、制御部43に統合され配置されている。図中、制御部43と各機器間は、図に示す※印にて接続されている。
【0023】
以下、第1の冷却手段71と第2の冷却手段72の詳細について説明する。
第1の冷却手段71は、冷却水循環経路21から水の一部を分岐し、後に戻す第1のバイパス管75と、この第1のバイパス管75に介在され水の熱を外部に放出する第1のラジエータ76と、この第1のラジエータ76に冷却水循環経路内の水を送水する第1のポンプ77と、冷却水循環経路21と第1のラジエータ76の間に設け開弁して第1のラジエータ76に水を取り入れる第1の給水バルブ78、78とから構成されている。
【0024】
第2の冷却手段72は、温水循環パイプ32から水の一部を分岐し、後に戻す第2のバイパス管81と、この第2のバイパス管81に介在され水の熱を外部に放出する第2のラジエータ82と、この第2のラジエータ82に温水循環経路内の水を送水する第2のポンプ83と、温水循環パイプ32と第2のラジエータ82の間に設け開弁して第2のラジエータ82に水を取り入れる第2の給水バルブ84、84とから構成されている。
【0025】
このような構成をもつ冷却手段であれば、比較的に構成することができ、設備費用を抑制することができる。加えて、ランニング費用を低く抑えることができる。
【0026】
温風暖房機33には、空気の入力口45及び出力口46を有するケース体47と、このケース体47の内側にこの順に設けられ空気を送風するブロワ48と、このブロワ48の下流側に設けられるとともに出力温水循環経路24に介在させる熱交換器部49と、この熱交換器部49の下流にこの順で配置される潜熱熱交換器51及び顕熱熱交換器52と、この顕熱熱交換器52に加熱空気を送るバーナー53とが備えられている。54は温度センサである。つまり、温風経路60には、補助加熱手段59が設けられている。
【0027】
バーナー53により発生させた燃料ガスは、顕熱熱交換器52と潜熱熱交換器51を通過して屋外へ放出される。このときケース体47に配置したブロワ48によって、顕熱熱交換器52と潜熱熱交換器51を通過する空気に熱を伝える。
バーナー53は、室温が設定値に対して大きく下回っているときや所定時間を経過しても室温が上昇しないときに作動するものである。
【0028】
このように、温風経路60には、補助加熱手段59が設けられているので、温水の温度が低いときでも、所定の暖房性能が得られる。
なお、温水循環経路24に介在させた補助加熱手段34N又は温風経路60に介在させた補助加熱手段59のどちらか一方を省略することは差し支えない。
【0029】
なお、空気の入力口45には、各部屋から冷風が戻る戻り配管が連結され、空気の出力口46には、各部屋へ温風を送る送り配管が連結されている。図中、55は貯湯タンク内に配置されている温度センサ、56はエンジン11にガスを供給するガス菅、57は排気ガスを排出する排気管、58a、58bは建物の壁部である。これらの壁部58a、58bの内側を屋内、壁部58a、58bの外側を屋外とするとき、61は屋外に配置される温度センサ、62は室内温度を設定するリモコン操作部である。
【0030】
図2は本発明に係るコージェネレーションシステムの制御ブロック図であり、コージェネレーションシステム10は、発電ユニット64と給湯ユニット65とからなる。
発電ユニット64は、エンジン11と、このエンジン11に駆動される発電機13と、この発電機13の出力端子に接続され発電機13の周波数や電圧を変換して出力するとともに、発電機13をスタータの機能に切り替えるスタータドライバ機能を有するインバータユニット14とを備えており、このインバータユニット14の出力は、外部商用電源部15に接続されて発電エネルギが所定値に達したときに切替スイッチ(図1の符号16)に接続され外部商用電源部15に電気エネルギが供給される。
【0031】
給湯ユニット65は、制御部43を備え、この制御部43には、冷却水循環ポンプ22と、出力温水ポンプ35と、各種の温度センサ26、36、55と、温度調節バルブ27と、出力温水ポンプ35と、排水弁37と、給水バルブ42と、ブロワ48と、補助加熱手段34とが接続されている。制御部43は、ECU12に接続されるとともに、システム内に配置した上述した各ポンプ、各バルブ及び各温度センサに接続され、上述した各ポンプ及び各バルブについての各種制御を統括するものである。
【0032】
以上に述べたコージェネレーションシステムの作用を次に述べる。
図3は本発明に係る冷却手段の制御フロー図であり、ステップ番号(以下、STと記す。)01でエンジンを起動(ON)させ、貯湯タンク23内の温水の温度(t)を温度センサ55により測定して所定値(t11)を超えるまで待つ(ST02)。
ST03で温水の温度(t)がt11を超えたと判断されたときには、第1の冷却手段71をONにする。
【0033】
ST04で貯湯タンク23内の温水の温度(t)を温度センサ55により測定し、温水の温度がt12未満になるまで待つ。
ST05で温水の温度(t)がt12未満と判断されたときには、第1の冷却手段71を停止(OFF)させる。
以上で、第1の冷却手段71をON−OFF制御する一連の流れが終了する。
【0034】
ST06で温風暖房機33内に設けた温度センサ54で温風暖房機の温風の温度(t)を温度センサ54により測定し、測定し温風の温度が所定値(t21)を超えるまで待つ。
ST07で温風の温度(t)がt21を超えたと判断されたときには、第2の冷却手段72をONにする。
【0035】
ST08で温風暖房機33内の温風の温度(t)を温度センサ54により測定し、温水の温度がt22未満になるまで待つ。
ST09で温水の温度(t)がt22未満と判断されたときには、第2の冷却手段72を停止(OFF)させる。
以上で、第2の冷却手段72をON−OFF制御する一連の流れが終了する。
【0036】
コージェネレーションシステム10には、第1の冷却手段71(図中、点線にて示す。)と第2の冷却手段72とが介在され、第1の冷却手段71は、冷却水循環経路21に介在され、第2の冷却手段72は、温水循環パイプ32に介在されている。
【0037】
従来、貯湯タンク23の温度が上昇し、エンジン11の冷却が十分に行えなくなった場合には、エンジン11を停止させる必要があった。
この点、本発明では、貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段71を起動する制御部43が設けられているので、排熱熱交換器17の温度が所定以上の温度に達することはない。このため、エンジン11の連続運転が可能になる。エンジン11の連続運転が可能になれば、連続した発電が可能になり、電気エネルギの安定した供給が可能になる。
【0038】
なお、第1の冷却手段71又は第2の冷却手段72のうちのどちらか一方の冷却手段を省くことは差し支えない。
【0039】
図4は図1の別実施例であり、コージェネレーションシステム10には、第1の冷却手段71(図中、点線にて示されている。)と第2の冷却手段72とが介在され、第1の冷却手段71は、エンジン11と排熱熱交換器17との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環経路21に介在され、排熱熱交換器17から出力された温水を熱源として外気を暖める温風暖房機33が設けられ、排熱熱交換器17と温風暖房機33とは温水循環パイプ32Bによって連結され、この温水循環パイプ32Bには、温度センサ85が介在され、この温度センサ85で測定した湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段71を起動する第1の制御部73が設けられ、第2の冷却手段72は、排熱熱交換器17との間に設けられ温水が循環する温水循環パイプ32Bに介在され、排熱熱交換器17から出力された温水を熱源として外気を暖める温風暖房機33が設けられ、この温風暖房機33の温風温度が第2の所定値を超えたときに、第2の冷却手段72を起動する第2の制御部74が設けられている。本実施例において、第1の制御部73と第2の制御部74は、制御部43に統合されている。
【0040】
本発明では、温水循環パイプ内の湯温が第1の所定値を超えたときに、第1の冷却手段71を起動する制御部43が設けられているので、排熱熱交換器17の温度が所定以上の温度に達することを回避できる。排熱熱交換器17の温度が所定以上の温度に上昇しなくなれば、エンジン11の連続運転が可能になる。エンジン11の連続運転が可能になれば、連続した発電が可能になり、外部商用電源部15に電気エネルギの安定した供給が可能になる。
【0041】
尚、本発明は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、発電と給湯を同時に行うコージェネレーションシステムのうち、電気の供給よりも給湯を優先させるタイプのコージェネレーションシステムに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るコージェネレーションシステムの構成図である。
【図2】本発明に係るコージェネレーションシステムの制御ブロック図である。
【図3】本発明に係る冷却手段の制御フロー図である。
【図4】図1の別実施例である。
【符号の説明】
【0044】
10…コージェネレーションシステム、11…エンジン、13…発電機、17…排熱熱交換器、21…冷却水循環経路、23…貯湯タンク、32、32B…温水循環パイプ、33、33B…温風暖房機、71…第1の冷却手段、72…第2の冷却手段、73、73B…第1の制御部、74、74B…第2の制御部、75…第1のバイパス管、76…第1のラジエータ、77…第1のポンプ、78…第1の給水バルブ、81…第2のバイパス管、82…第2のラジエータ、83…第2のポンプ、84…第2の給水バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、このエンジンで駆動され電気エネルギを発生する発電機と、前記エンジンから排出される排熱を熱源にして冷水を温水にする排熱熱交換器とが備えられているコージェネレーションシステムにおいて、
このコージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、
前記第1の冷却手段には、前記エンジンと前記排熱熱交換器との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環経路に介在され、前記エンジンの排熱にて昇温する貯湯タンク内の湯温が第1の所定値を超えたときに、前記第1の冷却手段を起動する第1の制御部が備えられ、
前記第2の冷却手段には、前記貯湯タンクと前記温風暖房機の間に設けられ温水が循環する温水循環パイプに介在され、前記温風暖房機の温風温度が第2の所定値を超えたときに、前記第2の冷却手段を起動する第2の制御部が備えられていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項2】
エンジンと、このエンジンで駆動され電気エネルギを発生する発電機と、前記エンジンから排出される排熱を熱源にして冷水を温水にする排熱熱交換器と、この排熱熱交換器から出力された温水を熱源として外気を暖める温風暖房機とが備えられているコージェネレーションシステムにおいて、
このコージェネレーションシステムには、第1の冷却手段と第2の冷却手段との少なくとも一方が介在され、
前記第1の冷却手段には、前記排熱熱交換器と前記温風暖房機との間に設けられ冷却水が循環する冷却水循環パイプに介在され、前記排熱熱交換器と前記温風暖房機の間を結ぶ温水循環パイプ内の湯温が第1の所定値を超えたときに、前記第1の冷却手段を起動する第1の制御部が備えられ、
前記第2の冷却手段には、前記排熱熱交換器との間に設けられ温水が循環する温水循環パイプに介在され、前記温風暖房機の温風温度が第2の所定値を超えたときに、前記第2の冷却手段を起動する第2の制御部が備えられていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記第1の冷却手段は、前記冷却水循環経路から水の一部を分岐し、後に戻す第1のバイパス管と、この第1のバイパス管に介在され水の熱を外部に放出する第1のラジエータと、この第1のラジエータに前記冷却水循環経路内の水を送水する第1のポンプと、前記冷却水循環経路と前記第1のラジエータの間に設け開弁して前記第1のラジエータに水を取り入れる第1の給水バルブとから構成され、
前記第2の冷却手段は、前記温水循環経路又は前記温水循環パイプから水の一部を分岐し、後に戻す第2のバイパス管と、この第2のバイパス管に介在され水の熱を外部に放出する第2のラジエータと、この第2のラジエータに前記冷却水循環経路内又は前記温水循環パイプ内の水を送水する第2のポンプと、前記温水循環経路又は前記温水循環パイプと前記第2のラジエータの間に設け開弁して前記第2のラジエータに水を取り入れる第2の給水バルブとから構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記温水循環経路と前記温風暖房機に設けた温風経路のうちの少なくとも一方には、補助加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−103419(P2009−103419A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278195(P2007−278195)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】