説明

コーティングされたナノファイバーのウェブ

本発明は、コーティングされた繊維を含む不織布ウェブを形成する方法を対象とする。不織布ウェブを形成する方法は、一般に、溶融フィブリル化プロセスで繊維を形成する工程と、コーティング物質を含む少なくとも1つの流体流を形成する工程と、繊維の表面上にコーティング物質を適用させる工程と、コーティングされた繊維を表面上に堆積させてウェブを形成する工程とを含む。繊維は通常、躍動中にコーティングされる。繊維を形成する溶融フィブリル化プロセスは、好ましくは、溶融フィルムフィブリル化プロセスである。溶融フィルムフィブリル化プロセスは、一般に、ポリマー溶融物を提供する工程と、中央流体流を利用して細長い中空のポリマーフィルムチューブを形成する工程と、空気を用いてその中空チューブから多数のナノファイバーを形成する工程とを含む。
不織布ウェブは、1ミクロン未満の直径の相当数のナノファイバーを有する層を含むことができる。層は、2つ以上の多数の繊維直径分布を含んでもよく、この場合少なくとも1つの多数は、約1ミクロン未満の平均繊維直径を有する。
コーティング物質は、ローション、パウダー、界面活性剤、柔軟化剤、ナノ粒子、クリーム、ジェル、導電性流体、親水化剤、疎水化剤、吸湿剤、皮膚軟化剤、可塑剤、吸収性ゲル材料、抗菌剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましいコーティング物質は、界面活性剤である。他の好ましいコーティング物質は、親水性又は疎水性物質である。
本発明は又、1ミクロン未満の直径の相当数のナノファイバーを有する層を含む不織布ウェブを対象とし、前記ナノファイバーの表面にはコーティング物質が適用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布ウェブを含む物品に関するものである。特に、本発明は、コーティングされたナノファイバーを含むナノファイバーウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファイバーを含有する不織布から製造される物品の必要性が増し続けている。ナノファイバーウェブは、その大きな表面積、小さな孔径、及び他の特性のために所望される。ナノファイバーは、典型的には1000ナノメートルすなわち1ミクロン未満の直径を有して、一般にマイクロファイバー又は極微細繊維とも呼ばれる。ナノファイバーは、様々な方法により、及び様々な材料から製造可能である。ナノファイバー不織布ウェブを作成するために幾つかの方法が使用されてきているが、その方法のそれぞれに欠点があって、費用効果的なナノファイバーの生産は困難であった。
【0003】
ナノファイバーを製造する方法としては、溶融フィブリル化で記述される部類の方法が挙げられる。溶融フィブリル化は、1つ以上のポリマーを溶融して、多数の可能な形状に、例えば共押出し、均質若しくは2構成成分のフィルム又はフィラメントなどに押し出し、次いで繊維にフィブリル化又は繊維化すると定義される、一般的な部類の繊維製造法である。溶融フィブリル化法の非限定例として、メルトブロー、溶融フィルムフィブリル化、及び溶融繊維バースト(melt fiber bursting)が挙げられる。ナノファイバーを溶融物を用いずに製造する方法として、フィルムフィブリル化、電界紡糸、及び溶液紡糸がある。ナノファイバーの他の製造方法として、より大径の2構成成分繊維を海島型、セグメント化パイ、又は他の形状に紡糸し、繊維が固化した後で更に繊維を処理して、その結果ナノファイバーになるというものが含まれる。
【0004】
メルトブローは、微細繊維の生産、並びにそのような繊維及び追加微粒子を含有するウェブの生産に、一般に使用される方法である。後者は、一般的に「コフォーム」と呼ばれる。微細繊維と共に微粒子をコフォームする例は、米国特許第4,100,324号、第4,784,892号、及び第4,818,464号(キンバリークラーク社(Kimberly-Clark Corp)に譲渡)により提示された。典型的なメルトブロー繊維の直径は、上記方法で使用されたように、例えば1.5〜10ミクロンの範囲である。微粒子はマイクロファイバーにより機械的に捕捉されて保持されるが、微粒子が微細繊維ウェブ中で提供可能な機能に限界がある。したがって、微細繊維ウェブ中で所望の機能を達成するためには、繊維が流体又は極微細粒子でコーティングされることが望ましい。
【0005】
メルトブロー法を使用して、より小さい直径の繊維を製造することもできるが、そのプロセスに多大な変更が必要とされる。一般に、ノズル及びダイの再設計が必要である。これらの例には、米国特許第5,679,379号及び第6,114,017号(ファブリカンテ(Fabbricante)ら)と、米国特許第5,260,003号及び第5,114,631号(ナイセン(Nyssen)ら)と、米国特許出願番号2002/0117782(ハイネス(Haynes)ら)が含まれる。これらの方法は、比較的高い圧力、温度、及び速度を利用して、小さい繊維直径を達成する。上述の方法は、コーティングされたナノファイバーでウェブを作成することには使用されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーティングされたナノファイバーを含むウェブを提供することが、本発明の一目的である。溶融フィルムフィブリル化により、コーティングされた繊維を含むウェブを形成する方法を提供することも、本発明の一目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コーティングされた繊維を含む不織布ウェブを形成する方法を対象とする。不織布ウェブを形成する方法は、一般に、溶融フィブリル化プロセスで繊維を形成する工程と、コーティング物質を含む少なくとも1つの流体流を形成する工程と、コーティング物質を繊維の表面上に適用させる工程と、コーティングされた繊維を表面上に堆積させてウェブを形成する工程とを含む。繊維は通常、躍動中にコーティングされる。同一流体流が、繊維を形成することとコーティング物質を含むことに使用されてもよく、又は繊維形成することとコーティング物質を含むことに、別個の流体流があってもよい。繊維を形成するための溶融フィブリル化プロセスは、好ましくは、溶融フィルムフィブリル化プロセスである。溶融フィルムフィブリル化プロセスは、一般に、ポリマー溶融物を提供する工程と、中央の流体流を利用して細長い中空のポリマーフィルムチューブを形成する工程と、空気を用いてその中空チューブから多数のナノファイバーを形成する工程とを含む。
【0008】
不織布ウェブは、1ミクロン未満の直径の相当数のナノファイバーを有する層を含んでいてもよい。その層は、2つ以上の多数の繊維直径分布を含んでもよく、この場合少なくとも1つの多数は、約1ミクロン未満の平均繊維直径を有する。
【0009】
コーティング物質は、ローション、パウダー、界面活性剤、柔軟化剤、ナノ粒子、クリーム、ジェル、導電性流体、親水化剤、疎水化剤、吸湿剤、皮膚軟化剤、可塑剤、吸収性ゲル材料、抗菌剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましいコーティング物質は、界面活性剤である。他の好ましいコーティング物質は、親水性又は疎水性物質である。
【0010】
本発明は又、1ミクロン未満の直径の相当数のナノファイバーを有する層を含む不織布ウェブを対象とし、前記ナノファイバーの表面にはコーティング物質が適用されている。その層は、好ましくは、1ミクロン未満の直径を有する繊維を少なくとも約35%含む。不織布ウェブは、コーティング物質を制御して放出するための、又は他の用途のための、吸収材料として使用することができる。コーティング物質は、触媒、反応物質、又はこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。物品は、染料除去衣服、臭い除去ウェブ、臭い除去シート、臭い除去拭き取り用品、薬品投与ウェブ、創傷治癒包帯、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、繊維、特にコーティングされた繊維で作成された物品に関する。繊維は、1つ以上の熱可塑性ポリマーから製造される。本発明のために好適な熱可塑性ポリマーの非限定的な例として、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリスチレン類、ポリウレタン類、デンプン組成物やPHAやPLAを含む生分解性ポリマー類、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。ホモポリマー、コポリマー、及びそれらのブレンドは、本明細書の範囲内に含まれる。最も好ましいポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレンのようなポリオレフィン、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレートである。
【0012】
好適な熱可塑性ポリマーには、溶融紡糸に好適ないかなるポリマーも含まれる。ポリマーのレオロジー特性は、ポリマーが溶融押出し可能、及びフィルムに形成可能であるようなものでなければならない。ポリマーの融解温度は、一般に約25℃〜400℃である。本発明のポリマーは、ダイの中に存在する時に、毎分約400デシグラム未満のメルトフローレートを有することができる。メルトフローレートは、ASTM法D−1238を用いて測定される。メルトフローレートは、好ましくは毎分約300デシグラム未満、より好ましくは毎分約200デシグラム未満、最も好ましくは毎分約100デシグラム未満であってもよい。メルトフローレートに関して最も好ましい範囲は、毎分約1デシグラム〜毎分約100デシグラムである。一般に、メルトフローレートが低くければ低いほど、より好ましい。したがって、毎分約50デシグラム及び毎分30デシグラム未満のメルトフローレートを有するポリマーも、使用可能である。
【0013】
繊維は、単一構成成分繊維でも、又は2構成成分繊維などの複数構成成分繊維でもよい。繊維は、鞘/芯もしくは並列配置、又はその他の好適な幾何学的配置を有してもよい。繊維は、作成された後、ウェブに形成される前に、処理又はコーティングされてもよい。その上、ウェブが作成された後で、処理されてもよい。所望により、添加剤をポリマー樹脂に混合してもよく、これらの添加剤を繊維が形成された後に繊維表面に移動させてもよい。表面に移動した添加剤は、熱のような外部エネルギーを利用して硬化されることが必要な場合があり、又は表面上の添加剤は、別の構成成分と化学的に反応することが必要な場合があり、又は繊維が作成される間もしくは添加剤と共に樹脂を使用して繊維を作成した後に追加の構成成分がプロセスに添加され得るように、硬化は、別の構成成分の存在下で触媒作用を及ぼされることが必要な場合がある。好適な処理は、親水化又は疎水化処理を含む。疎水化処理の例として、ポリジメチルシロキサンがある。特定の処理は、ウェブの用途、ポリマーの種類、及びその他の要因によって決まる。
【0014】
任意に、ポリマーは、繊維に他の特性をもたらすために、追加物質を含有してもよい。これらの任意物質は、ポリマー溶融物に添加されるのが通常であって、溶融フィブリル化で形成された繊維に適用されるコーティング物質ではない。任意物質は、他にもある中で、弾性、強度、熱的及び/又は化学的安定性、外観、吸収性、臭い吸収性、表面特性、及び印刷性などの、結果として得られる繊維の物理特性を変化させてもよい。好適な親水性溶融添加剤が、添加されてもよい。任意物質は、ポリマー組成物全体の50%まで存在してもよい。
【0015】
コーティング物質が、繊維、好ましくは溶融フィブリル化プロセスにより形成された繊維に適用される。コーティング物質は、繊維上にコーティング可能ないかなる物質にもすることができる。コーティング物質は、固体でも、流体でもよい。コーティングが困難な固体は、液体に混合されて、次に繊維の表面上にコーティングが可能である。コーティング物質は、ローション、クリーム、ジェル、皮膚軟化剤、流体、パウダー、ナノ粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。その他の好適なコーティング物質として、界面活性剤、柔軟化剤、導電性流体、ハイフィリック剤(hyphilic agents)、疎水化剤、吸湿剤、可塑剤、吸収性ゲル材料、抗菌剤、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。その他の好適なコーティング物質には、重炭酸ナトリウム、活性炭素、炭酸カルシウム、シクロデキストリン、二酸化チタン、鉱物、顔料、粉体洗剤、ワックス、超吸収性ポリマー、又はこれらの組み合わせがある。超吸収性ポリマーの非限定的な例には、架橋されて加水分解されたポリアクリルアミド類、ポリアクリレート類、アクリルポリマー類のポリマー、又はこれらのコポリマー類から形成されたものが含まれる。コーティングに適する好適な臭い制御物質として、活性炭素又は活性炭素、重曹、キチン、粘土のような脱臭物質、珪藻土、ゼオライト、及び過マンガン酸カリウムの活性アルミナとの錯体、並びにこれらの組み合わせがなど挙げられる。
【0016】
本発明のナノファイバーを作成する方法は、コーティング物質を繊維上に適用させるのに好適な、いずれかの溶融フィブリル化プロセスである。溶融フィブリル化プロセスは、単一相ポリマー溶融物を利用して繊維を形成するプロセスとして定義される。単一相は、分散液を含んでもよいが、溶液又は電界紡糸に使用されるもののような溶媒ベースの溶融物を含まない。典型的な単一工程の溶融フィブリル化プロセスには、メルトブロー、溶融フィルムフィブリル化、スパンボンディング、典型的な紡糸/延伸プロセス中の溶融紡糸、及びこれらの組み合わせが含まれる。プロセスには、二工程プロセスが含まれてもよく、その場合、まず繊維が作成され、次に繊維が固化した後で、分割又は一部が溶解されて、より小径の繊維が作成される(例えば、セグメント化パイ又は海島型)。
【0017】
好ましくは、溶融フィルムフィブリル化プロセスが使用される。このプロセスは、一般に、ポリマー溶融物を提供すること、中央流体流を利用して細長い中空のポリマーフィルムチューブを形成すること、及び次に空気を用いて中空チューブから多数のナノファイバーを形成することを含む。好適な方法が、例えば、米国特許第4,536,361号(トロビン(Torobin))と、米国特許第6,382,526号及び第5,520,425号(レネカー(Reneker))に記載されている。溶融フィルムフィブリル化方法は、種々の加工条件を使用可能である。より詳細には、レネカー(Reneker)の方法は、ポリマーを環状カラムの中に供給する工程と、ガスジェット空間が形成される環状カラムの出口にてフィルム又はチューブを形成する工程とを含む。ガスカラムは、次に、ポリマーチューブの内部周囲に圧力をかける。ポリマーチューブは、ガスジェット空間を出る時に、中央のガスの膨張のために、ナノファイバーを含む多数の小さな繊維に吹き分けられる。
【0018】
溶融フィルムフィブリル化方法の例が、図1で更に例示される。この好ましい実施形態では、ナノファイバー17を形成するオリフィス7aを有するノズル7が示される。そのプロセスは、より具体的には、ポリマー組成物2を溶融する工程と、オリフィス7aの直径で液体フィルム9を形成する工程とを含む。ポリマー組成物は、ポリマーといずれか他の所望の成分とを含有する。ポリマー組成物2は、オリフィス7aを通って押し出され、それが今度は中央流体流10を含み、ポリマー2が細長い中空チューブ12として押し出されるようになっている。オリフィス7aは、ノズル7の一部であってもよく、及びノズル7は、プロセス安定化のために最適化可能である。中央流体流などの繊維化流体10が吹き出されて、細長い中空チューブ12を形成する。繊維化流体10は、次に、細長い中空チューブ12の内面に圧力をかける。薄化された壁又は脆弱化部分が中空チューブ12に形成されて、ナノファイバー17を含む繊維をより容易に及び制御可能に形成することが可能になる。脆弱化部分は、中央流体ジェット10の外面上又はポリマー押出オリフィス7aの内面上に配置されたノッチ又は突出部に起因してもよい。細長い中空ポリマーフィルムチューブ12は、次に、流体に曝されて、繊維17が形成される。この流体は、中央流体流10、又は随伴流体14、又はいずれかの流体流とすることができる。この流体流は、パルス状又は変動する圧力場を誘起することができ、これが、ナノファイバー17を含む多数の繊維を形成する。随伴流体14は、横方向ジェット13から来る。好都合な場合、形成されたナノファイバー17に対して冷却又は加熱流体19を提供するノズル18が使用されてもよい。
【0019】
ポリマー2は、通常は、液体になって流動が容易になるまで加熱される。溶融されたポリマー2は、約0℃〜約400℃、好ましくは約10℃〜約300℃、より好ましくは約20℃〜約220℃の温度であり得る。ポリマー2の温度は、ポリマー又はポリマー組成物の融点に左右される。ポリマー2の温度は、その融点より高くても約50℃、好ましくはその融点より高くても25℃、より好ましくはその融点より高くても15℃であり、及びその融点又は融解範囲ちょうどであるか、又はそれを超える。融点又は融解範囲は、ISO3146法により測定される。溶融ポリマー2は、典型的には約1Pa・s〜約1000Pa・s、通常は約2Pa・s〜約200Pa・s、より普通には約4Pa・s〜約100Pa・sの粘度を有する。これらの粘度は、毎秒約100〜約100,000の範囲の剪断速度にわたって与えられる。溶融ポリマー2は、ほぼ雰囲気圧又はわずかに高い圧力である。
【0020】
細長い中空ポリマーチューブは、中空領域を有する、円形、楕円形、不規則な形状、又は他のいずれかの形状とすることができる。場合によっては、細長い中空ポリマーチューブは、形成直後に潰れることがある。潰れたチューブの場合、フィブリル化を助けるために、チューブに薄化壁又は脆弱化部分を有することが好ましい場合がある。繊維化流体の非限定的な例は、窒素のような気体か、又はより好ましくは空気である。繊維化流体10は、溶融ポリマー2の温度に近い温度とすることができる。繊維化流体10の温度は、ポリマー2の流動及び中空チューブ9の形成を助けるために、溶融ポリマー2より高い温度であってもよい。別の方法としては、繊維化流体10の温度は、ナノファイバー17の形成及び固化を助けるために、溶融ポリマー2の温度より下にすることができる。繊維化流体温度は、好ましくはポリマーの融点未満、より好ましくはポリマーの融点より低くても50℃、より好ましくはポリマー融点より低くても100℃、又は室温ちょうどである。繊維化流体10の圧力は、ナノファイバー17のフィブリル化に十分なものとされ、オリフィス7aから押し出される時の溶融ポリマーの圧力より僅かに上とすることができる。
【0021】
繊維化流体10は、毎秒約500m未満の速度を有してもよい。繊維化流体の速度は、好ましくは毎秒約100m未満、より好ましくは毎秒約60m未満、最も好ましくは毎秒約10〜約50mである。繊維化流体は、パルス状でも、又は安定した流れでもよい。この繊維化流体は、存在して細長い中空ポリマーフィルムチューブの形成を助けることが重要であるが、この流れの流体量は非常に小さくてもよい。
【0022】
ポリマー2の処理量は、主として、使用される特定のポリマー、ノズル設計、並びにポリマーの温度及び圧力によって決まる。ポリマー2の処理量は、オリフィス当たり毎分約1グラム超過である。ポリマーの処理量は、好ましくはオリフィス当たり毎分約10グラム超過、より好ましくはオリフィス当たり毎分約20グラム超過、最も好ましくはオリフィス当たり毎分約30グラム超過である。同時に作動する幾つかのオリフィス7aが有ることが多く、これにより、全生産量が更に増大する。処理量は、圧力や温度及び速度と共に、ダイオリフィス出口7aにて測定される。
【0023】
繊維のフィブリル化及び固化は、繊維及び流体がオリフィスを出る前に生じてもよい。細長い中空チューブがオリフィスを出ると、ナノファイバーが形成される。ナノファイバーの形成は、一般に、オリフィスを出た直後に生じる。多数のナノファイバーを形成するために、1つ以上の流体流が使用される。流体流は、中央流体流、随伴流体、又は他のいずれかの流体流とすることができる。随伴流体14を使用して、パルス状又は変動する圧力場を誘起し、多数のナノファイバー17の形成を助けることができる。図1に示すように、随伴流体14は、横方向ジェット13により供給されてもよく、これは、随伴流体14の流れが中空細長チューブ12及びナノファイバー17の形成領域の上及び周りに向くように配置される。随伴流体14は、低速にも、あるいは音速に近い又は超音速などの高速にもすることができる。低速随伴流体は、典型的には毎秒約1〜約100m、好ましくは毎秒約3〜約50mの速度を有する。随伴流体14の温度は、上記繊維化流体10と同一にも、周囲温度にも、又は周囲より高い若しくは低い温度にもすることができる。
【0024】
追加の流体流、クエンチ又は加熱流19も、使用可能である。この追加流体流19は、流体がナノファイバー群17の中へ向くように配置されて、繊維を冷却又は加熱する。追加流体がクエンチ流体として使用される場合、約−20℃〜約100℃、好ましくは約10℃〜40℃の温度である。追加流体が加熱流体として使用される場合、約40℃〜400℃、通常は約100℃〜約250℃の温度である。いずれの流体流がポリマー溶融物の繊維化に寄与してもよく、そのため一般的に繊維化流体と呼ばれることがある。
【0025】
中央流体流、随伴流体、又は追加流体流を含むいずれかの流体流は、製造される繊維の表面特性、化学的特性、物理的特性、又は機械的特性を変化させるために、処理物質若しくは粒子、添加剤物質若しくは粒子、コーティング物質若しくは粒子、又はその他の物質若しくは粒子を含有していてもよい。
【0026】
コーティング物質が、上記流体流の1つ以上の中に存在してもよい。流体流とは、中空チューブを形成する繊維化流体10、随伴流体14、及び/又は冷却又は加熱流体19として記述される。これらの流体流のそれぞれは、全てが繊維の形成に寄与し得るので、繊維化流体流と考えることができるが、それらの流れは、明瞭化のために、繊維化流体流10、随伴流体流14、及び加熱/冷却流体流19と呼ばれる。コーティング物質は、流体流のいずれか、又は流れのいずれかの組み合わせに含まれてもよい。コーティング物質は、通常は、繊維化流体流10に含まれる。コーティング物質がどの流体流に添加されるかの決定は:その物質が熱に安定かどうか及び物質の粘性又は形態(例えば、ゲル、液体、粉体など);コーティング物質がどのように繊維と組み合わされるべきか(繊維の全てにコーティングか又は繊維の幾つかだけか、どのくらい厚くコーティングすべきか);どのくらい多くのコーティング物質が添加されるか;並びにコーティングされた繊維を含むウェブの生産に関連する他の要因のような、コーティング物質に依存する。加熱/冷却流体流19は、クエンチ流として使用される時、コーティング物質からの液体を蒸発させて繊維の表面上に固体を残すことができる。コーティング物質は、繊維の全てを覆っても、繊維の一部だけを覆ってもよい。その物質は、繊維の片側だけを覆っても、繊維表面全体を覆ってもよい。このことは、他のものがある中でも、使用される流体流、温度、繊維の組成及びサイズ、使用される特定のコーティング物質の選択により制御可能である。
【0027】
コーティング物質を含有する流体流が一旦繊維表面に接触すると、コーティングされた繊維が形成される。コーティングされた繊維は、好ましくは、表面上に堆積されてウェブが形成されるまで、躍動を続ける。
【0028】
繊維は、コレクターに敷き詰められてウェブを形成する。コレクターは、典型的にはコンベヤーベルト又はドラムである。コレクターは、好ましくは多孔質であり、吸引を提供して繊維がコレクター上に敷き詰められるのを助けるために、真空が適用されてもよい。オリフィスからコレクターまでの距離は、一般にダイ・ツー・コレクター・ディスタンス(DCD)と呼ばれ、所望のウェブ特性のために最適化が可能である。ウェブに使用されるDCDを2つ以上利用するか、製造中にDCDを変化させるか、又は異なるDCDをもつ異なるビームを有することが望ましい場合もある。DCDを変化させることにより種々の均一性を有するウェブを形成することが、望ましい場合もある。
【0029】
細長い中空フィルムチューブが形成された後、チューブ又は繊維は、別の方法として、ナノファイバーの形成を更に促進する追加のプロセスに供されてもよい。その更なる加工は、細長い中空ポリマーフィルムチューブの形成直後及び繊維が固化される前に行われるものであり、依然単一工程の加工と考えられる。追加の処理は、ガス速度を音波及び/又は超音波域に上昇させる、1つ以上のラバル管を使用することができる。ポリマー溶融物は、そのような高速ガスに曝されると、多数の微細繊維にバーストする。ラバル管の例が、米国特許第5,075,161号(ナイセン(Nyssen)ら)に記載されており、そこには、ポリフェニレンスルフィド溶融物を微細なフィラメントにバーストさせる方法が開示されている。ラバル管は、細長い中空ポリマーフィルムチューブが製造される時に、紡糸ノズルの直後に配置されてもよい。あるいは、ラバル管は、繊維が形成された直後に配置されて、繊維径をさらに縮小することもできる。ポリマー繊維は、ポリマー溶融物流に本質的に平行に流れて音速又は超音速に到達するガス状媒体中にポリマー溶融物流を押し出し、ポリマー溶融物流を延伸して融解温度未満に冷却することにより、製造することができる。この同時変形及び冷却によって、有限長さの無定形微細繊維又は超極細繊維が生じる。高速繊維バーストにより、繊維の表面酸化が最小限になる。紡糸速度、融解温度、及びラバル管の位置は、微細フィラメントの表面における熱酸化が部分的にのみ生じるように適切に設定される。
【0030】
様々なプロセス及びプロセスの組み合わせを使用して、本発明のウェブを製造することができる。PCT国際公開特許WO04/020722(ソデマン(Sodemann)ら)に開示されるような溶融繊維バーストが、単一ライン上の2つの別個のビーム上で、本発明の溶融フィルムフィブリル化と組合わせ可能である。様々な態様の溶融繊維バーストが、溶融フィルムフィブリル化に組み込まれて、種々の強度及び直径の繊維を製造するなどで、所望の特性の組み合わせを提供することができる。あるいは、溶融フィルムフィブリル化の態様が、他の溶融フィブリル化プロセスに含まれて、中空細長チューブを使用して繊維を形成することにより、処理量を増加させることができる。例えば、本発明の溶融フィルムフィブリル化プロセスは、ラバル管を含むように変更されて、繊維の延伸を助けることができる。延伸は、更なる細化を助け、及び繊維の強度を増大することができる。これは、応力に誘発される結晶化が4000m/分を越える速度で生じるポリエステルのような高Tgポリマーの場合に、特に好ましいことがある。
【0031】
本発明のコーティングされた繊維を使用して、不織布ウェブが製造される。ウェブは、不織布複合体の全体として定義される。ウェブは、1つ又は幾つかの層を有してもよい。層は、別個の繊維敷き詰め又は形成工程で製造される、ウェブ又はウェブの一部である。
【0032】
本発明のウェブは、1ミクロン未満の直径を有する相当数のナノファイバーを有する1つ以上の層を含んでもよい。相当数とは、少なくとも約25%として定義される。相当数の繊維は、層中の繊維の総数の少なくとも約35%、少なくとも約50%、又は75%を超えることができる。ウェブは、約1ミクロン未満の直径を有する繊維が100%とすることができる。ウェブの繊維直径は、視覚分析のための必要に応じて約500倍を超えて約10,000倍までの倍率にて、走査型電子顕微鏡を使用して測定可能である。相当数の繊維が1ミクロン未満の直径を有するかどうか決定するためには、少なくとも約100本の繊維、好ましくはより多くの繊維を測定すべきである。測定は、層全体の様々な領域で行うべきであり、及び統計的に有意である十分なサンプリングが好ましい。
【0033】
相当数の繊維が約1ミクロン未満の直径を有する場合、残りのより大きい繊維の繊維直径は、いかなる範囲の繊維直径を有してもよい。より大きい繊維の直径は、通常は、1ミクロンをちょうど超え、約10ミクロンまでである。
【0034】
層中の相当数の繊維は、好ましくは約900ナノメートル未満、より好ましくは約100ナノメートル〜約900ナノメートル(nanofiber)の繊維直径を有する。繊維は、700ナノメートル未満の直径、及び約300〜約900ナノメートルの直径を有していてもよい。好ましい直径は、ウェブの所望の用途によって決まる。プロセス及び製品の利益のために、相当数の繊維が約1ミクロン未満の直径を有し、相当数の繊維が約1ミクロンを超える直径を有することが、一部用途では望ましい場合もある。より大きい繊維が、ナノファイバーを捕捉して、不動化してもよい。これによって、ナノファイバーの凝集又はロープ化の量の減少が助けられ、及び迷走空気流によりナノファイバーが運び去られるのを防ぐことができる。
【0035】
本発明のウェブ中の繊維の層は、2つ以上のポリマーを含んでもよい。異なるポリマー又はポリマーのブレンドを異なるオリフィスに使用して、異なる繊維直径及び異なるポリマー組成を有する層(複数)をウェブ中に作り出してもよい。ウェブの1つ以上の層は、コーティングされた繊維を含んでもよい。
【0036】
変化する繊維直径を有する単一層の不織布を製造するのが望ましい場合がある。あるいは、各層が異なる繊維直径を有する多層の不織布ウェブを製造するのが望ましい場合もある。溶融フィルムフィブリル化プロセスは、小さい及び大きい直径の繊維の両方を生産して様々なウェブを製造するように変更可能である。より小さい繊維直径は、1ミクロン未満の直径を有する相当数の繊維を有するものとして言及される。より大きい直径の繊維は、メルトブロー範囲(通常は3〜5ミクロン)からスパンボンド(通常は約15ミクロン)までの繊維、又は1ミクロンを超えるいずれかの範囲の繊維直径の繊維を含む。例えば、1つの層が1ミクロン未満の平均繊維直径を有し、及び別の層が約5ミクロンの平均繊維直径を有して、製造が可能である。この型の構造は、伝統的にSMSウェブが使用されるところに使用可能である。別の例には、複数層のナノファイバーウェブを、1つの層が0.4ミクロンの平均繊維直径であり、第二の層が0.8ミクロンの平均繊維直径であるというように、各層が明確に異なる平均繊維直径を有して製造することがある。様々な繊維直径を有するウェブが、同一ライン上で同一設備で製造可能である。これは、同一の設備及び構成要素を使用できるので安価な方法である。運転コスト及び設備コストが両方とも抑えられる。また所望により、同一ポリマーを使用して異なる繊維直径を製造することもできる。
【0037】
いくつかの層のウェブを形成するのが望ましい場合もある。ナノファイバーの層は、1つ、2つ、又はそれ以上の層と組み合わされてもよい。スパンボンド/ナノファイバー/スパンボンドウェブは、1つの例である。複合ウェブ全体の坪量は、約5gsm〜約100、好ましくは約10〜約100gsm、より好ましくは約10gsm〜約50gsmの範囲である。バリア層として使用の場合、複合ウェブ全体の坪量は、約10gsm〜約30gsmであってもよい。ナノファイバー層のみの坪量は、約0.5gsm〜約30gsm、好ましくは約1gsm〜約15gsmである。
【0038】
不織布を製造した後、それを後処理に供してもよい。後処理の非限定的な例として、固体状態形成、圧密、積層、表面コーティング、コロナ及びプラズマ処理、染色、並びに印刷が挙げられる。固体状態形成の非限定的な例として、噛み合うロールを用いるプロセス、例えば米国特許第5,518,801号にあって後続の特許文献中では「構造的弾性様フィルム(Structural Elastic-like Film)」の略語である「SELF」ウェブと呼ばれるようなもの、テクスチャー加工(texturing)、延伸、穿孔、積層、局所変形(local straining)、微小クレープ加工、ハイドロフォーミング、及び真空形成が挙げられる。圧密の非限定的な例として、熱接着、空気通過接着、接着剤接着、及び水流交絡が挙げられる。
【0039】
本発明の物品は、上記不織布ウェブを含む。ウェブは、拭き取り布のように物品全体を構成してもよく、又はおむつのように物品の1つの構成要素を構成してもよい。好ましい物品として、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁パッドなどの衛生物品、婦人用ケアパッド及びパンティライナー、タンポンなどの月経用製品、パーソナルクレンジング物品、パーソナルケア物品、並びに赤ちゃん用拭き取り用品、顔用拭き取り用品、身体用拭き取り用品、及び女性用拭き取り用品などを含むパーソナルケア拭き取り用品などが挙げられる。パーソナルケア物品には、創傷包帯、活性物質放出ラップ又は貼付剤、及び身体特に皮膚に当てられる他の基材が含まれる。その他の物品として、空気及び水などの流体用のフィルター、自動車、クリーンルーム、表面洗浄、食品、及び他の用途のための産業用拭き取り用品、油、水、アルコール、有機及び無機液体などの流体用の吸収性材料が挙げられる。
【0040】
おむつにおいては、ウェブは、臭い又は液体吸収性のコーティング物質を有するバリア層又は外側カバーとして使用可能である。ウェブは、心地良さとフィットのために望ましい薄くて狭い股部おむつの低い漏れ事故率を可能にする、高バリア性のカフとしても使用してもよい。吸収性コーティング物質を含むウェブは、拭き取り布に使用されて、ローションの取り扱い改善及び液体の勾配低減を可能にしてもよい。ウェブは又、制御された放出をもたらしてもよい。この放出は、液体、ローション、活性物質、芳香剤、又はその他の物質について可能である。別の方法としては、ウェブの繊維が、ローション、液体、活性物質、芳香剤、又は他の好適なコーティング物質をコーティングされていてもよい。ウェブは、ナノファイバーの大表面積と好ましくは液体吸収性のコーティング物質があるので、拭き取り用品若しくは女性ケア製品パッドコア、おむつ、トレーニングパンツ、又は大人用失禁具の吸収性材料として使用してもよい。ウェブは、流体の分配及び保持の更なる向上をもたらしてもよく、及びウェブのある層が異なる特性を有してもよい。不織布ウェブは、物品内で所望のようにウェブの不透明度又は色を変化させることができる物質をコーティングも可能である。所望の不透明度又は色のために好ましいコーティング物質として、顔料、二酸化チタン、無機又は有機結晶物が含まれてもよい。
【0041】
ナノファイバーからの大きな表面積がある場合、ナノファイバーウェブは、その場の化学反応又は反応物質の吸着が必要とされる場合に適用するための、反応物質又は触媒を担持する基質として作用することができる。触媒又は反応物質は、コーティング物質の一部とすることができる。本発明のナノファイバーウェブ上に反応物質又は触媒がコーティングされた製品の非限定的な例として、染料中和反応物質がナノファイバー上にコーティングされた、洗濯の洗いサイクル中に染料を除去する布地;臭い中和反応物質が繊維上にコーティングされて、熱の存在中に臭いと反応して臭いを中和するような、(ドライヤーへ入れることができる)衣服用の臭い除去拭き取り用品;おむつ、月経用製品、女性用衛生パッド、成人用失禁製品のコアの中に含まれて、反応物質の1つがバイオ流体であり他の反応物質がナノファイバー上にコーティングされて臭いを中和する臭い除去ウェブ;冷蔵庫、自動車、又はそのような製品を必要とすることがある場所用の臭い除去シート;投与すべき薬品がナノファイバー上にコーティングされた薬品投与バイオポリマーウェブ;抗菌剤反応物質がナノファイバー上にコーティングされた創傷治癒包帯などが挙げられる。本発明のウェブから利益を受ける他の製品には、医療用マスクなどの個人用フィルター又はマスクが含まれる。ウェブの他の医療用途として、手術ガウン、創傷包帯、及び医療バリアなどが挙げられる。
【0042】
本発明の不織布ウェブは、おむつ又はその他の使い捨て吸収性製品中のバリア層として使用されてもよい。バリア層は、使い捨て吸収性製品の吸収性コアと外側層との間に配置されてもよい。吸収性コアは、体液の獲得、移送、分配、及び貯蔵のような流体取扱い特性に主として関与する物品の構成要素である。吸収性コアは、通常は、液体透過性の身体側内側層と、蒸気透過性で液体不透過性の外側カバーとの間に配置される。バックシート又は外側カバーとしても知られる外側層は、使い捨て製品の外側に配置される。おむつの場合、外側層はユーザーの衣類又は衣服と接触する。バリア層は、別の方法として、又は同様に、吸収性コアと内側層の間に配置されてもよい。トップシートとしても知られる内側層は、ユーザーの皮膚に最も近い側に配置される。内側層はユーザーの皮膚に接触してもよく、又はユーザーの皮膚と接触する別個のトップシートと接触してもよい。バリア層は吸収性であってもよい。不織布ウェブは、吸収性コアのまわりの層を構成してもよく、流体の分配又は取扱いを助けてもよい。不織布ウェブは、コアに隣接して配置されてもよい、流体分配層であってもよい。バリア層は、最も好ましくは対流空気流れと吸収性バリア特性とのバランスをとる。対流空気流れ特性は、吸収性物品と着用者の皮膚の間の空間内相対湿度を低下させるのに有効である。液体吸収性と液体バリア特性の組み合わせが、濡れ突き通し問題に対する防御をもたらし、吸収性物品が衝撃及び/又は持続圧力下にある時に特に有益である。バリア層の更なる説明及び効果は、PCT国際公開特許WO01/97731に見出すことができる。
【0043】
ウェブは、ドライ又はウェットタイプの衛生拭き取り用品を製造するために使用されてもよい。ウェブは、拭き取り用品に使用されて、ローションの取扱いを改善し、液体の勾配を低減することができる。本発明のウェブは、部分的なバリアを提供してもよく、及び部分的又は完全に液体不透過性であってもよい。ウェブは、物質又は薬品のような活性物質の放出も制御することができる。放出される物質は、液体、ローション、酵素、触媒、活性物質、又は他の物質、例えば皮膚軟化剤、界面活性剤、湿潤剤、研磨剤、オイル、有機及び無機溶媒、ペースト、ジェル、顔料、又は染料とすることができる。ウェブは、流体の分配及び/又は保持の向上をもたらしてもよい。さらに、吸収性用途のウェブは、吸収性を向上させるための粒子又は吸収性すなわち天然の繊維を添加して製造されてもよく、あるいはウェブのある層が異なる特性を有してもよい。繊維は、低密度又は多孔質の繊維となるように製造されてもよい。繊維は、膨張剤又は発泡剤を用いて製造されてもよい。
【0044】
ナノファイバーの表面積が大きいので、コーティングされたナノファイバーを含むウェブは、拭き取り用品もしくは女性ケア製品パッドコア、おむつ、トレーニングパンツ、又は成人用失禁具の吸収性材料として使用してもよい。大きな表面積は、洗浄性も向上させて、衛生洗浄拭き取り用品に使用してもよい。ウェブは、流体の分配及び/又は保持の向上をもたらしてもよい。さらに、吸収性用途のウェブは、吸収性を向上させるための粒子又は吸収性すなわち天然の繊維を添加して製造されてもよく、あるいはウェブのある層が異なる特性を有していてもよい。
【0045】
コーティングされた繊維のウェブは又、不透明さが所望される物品中で使用されてもよい。小さい繊維直径及び均一性のために、不透明さが増すという結果になる場合があり、又は顔料をポリマー溶融物もしくはウェブに添加してもよい。ウェブは又、より長い繊維又はウェブ中の繊維の交絡に起因して、リンティングが少ない場合がある。本発明のナノファイバーウェブの引張り強度は、他のプロセスから作成された同様の繊維直径及び同様の坪量を有するウェブの引張り強度よりも大きくできる。本発明のウェブは柔軟であり、同一性能を有する他のウェブより柔軟とすることができる。
【0046】
繊維直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び画像分析ソフトウェアを用いて測定可能である。測定のために好適に繊維を拡大するために、500〜10,000の倍率が選定される。SEM画像における繊維直径を自動サンプリングする画像解析ソフトウェアが可能であるが、より手動の手順も用いることができる。一般に、無作為に選定された繊維の末端を探し、次いで繊維の反対の末端まで、幅を横切って(その個所の繊維方向に対して垂直に)測定する。目盛り付きの較正された画像分析ツールは、実際の読み値をmm又はマイクロメートル(μm)で得るための比例率を提供する。幾つかの繊維が、SEM中のウェブサンプル全体にわたって無作為に選定される。通常は、ウェブから幾つかのサンプルを切断してこの方法で試験し、少なくとも約100回の測定を実施して、全てのデータを統計的分析のために記録する。結果をデニール単位で記録すべき場合には、次の計算を行う必要がある。デニール単位の直径=断面積×密度×9000m×1000g/kg。断面積は、π×直径2/4である。PPの密度は、例えば910kg/m3として入手できる。デシテックス(dtex)を得るためには、9000mを10,000mに置き換える。
【0047】
坪量は、ASTM D 756、ISO536、及びEDANA ERT−40.3−90の概論的な方法と一致して測定可能である。坪量は、単位面積あたりの質量として定義され、好ましい単位は1平方メートルあたりのグラム(gsm)である。必要な機器は、サンプルを切断するためのはさみ又はダイカッター、及びはかりのような正確な計量装置である。サンプルを、±0.5%の正確さと精度で、層あたり100cm2の総面積に切断する。はかり又はてんびんは、0.001gの感度で計測可能となるように較正され、付加された荷重の0.25%の範囲内の正確さを有する必要がある。サンプルは、23℃(±2℃)及び相対湿度約50%で2時間、平衡に達するように調整される。全体で1000cm2=0.1m2のサンプル区域から切断された10プライのサンプルを化学てんびんで0.001g単位に計量し、重さを記録する。(1mmより厚いサンプルの場合、1プライだけを計量するのが好ましいが、留意すべきである。)重さをサンプル面積(試験された全ての層)で割り算することによって坪量を計算し、gsm単位で坪量を得る。全てのデータを統計的分析のために記録する。
【0048】
ウェブの均一性は、幾つかの方法により測定可能である。均一性の測定基準の例には、細孔直径、坪量、空気透過率、及び/又は不透明度の変動係数の低さが含まれる。均一性は又、繊維束もしくはロープ化、又は目に見えるホール、又はその他のそのような欠陥が無いことも必要とする。均一性は、ノズル・ツー・コレクター・ディスタンスを縮めるなどのプロセスの変更によって制御可能である。この距離を縮めると、繊維束化又はロープ化が低減し、より均一なウェブを提供することができる。
【0049】
細孔直径は、当業者が既知の方法によって測定可能である。平均細孔直径は、好ましくは約15ミクロン未満、より好ましくは約10ミクロン未満、最も好ましくは約5ミクロン未満である。均一ウェブに対して望ましい変動係数は、20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%以下である。ロープ化が無いことは、ウェブの測定領域における繊維ロープ又は繊維束の数を数えることによって測定できる。ホールが無いことも、ウェブの測定領域における特定の閾値を超える直径を有するホールの数によって測定される。ホールは、それらが裸眼で目に見える、又は直径が100ミクロンを超える場合に、数えられてもよい。
【0050】
引用されたすべての文献は、その関連部分において参考として本明細書に組み込まれるものとするが、いずれの文献の引用もそれが本発明に関連する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。
【0051】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】溶融フィルムフィブリル化プロセスで使用されるノズルと空気流の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布ウェブを形成する方法であって、
a.繊維を溶融フィルムフィブリル化プロセスで形成する工程と、
b.コーティング物質を含む少なくとも1つの流体流を形成する工程と、
c.前記コーティング物質を前記繊維の表面上に適用させる工程と、
d.前記コーティングされた繊維を表面上に堆積させてウェブを形成する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記繊維が1ミクロン未満の直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維が、第一の流体流の中において溶融フィルムフィブリル化プロセスで形成され、及び前記コーティング物質が、第二の流体流の中に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維が、第一の流体流の中において溶融フィルムフィブリル化プロセスで形成され、及び前記コーティング物質が、同じ第一の流体流から適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に従って製造された不織布ウェブを含む物品。
【請求項6】
前記物品が、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁パッド、女性ケアパッド及びパンティライナー、タンポンなどの月経用製品、パーソナルクレンジング物品、パーソナルケア物品、並びに乳幼児拭き取り布、顔用拭き取り布、女性用拭き取り布、表面洗浄拭き取り布、自動車、クリーンルーム、表面洗浄、食品、及びその他の用途などの拭き取り用品、空気及び水などの流体用のフィルター、油、水、アルコール、有機及び無機液体などの流体用の吸収性材料、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
1ミクロン未満の直径の相当数のナノファイバーを有する層を含む不織布ウェブであって、前記ナノファイバーの表面にコーティング物質が適用されている、不織布ウェブ。
【請求項8】
前記層が、2つ以上の多数の繊維直径分布を含み、少なくとも1つの多数が、約1ミクロン未満の繊維直径を有する、請求項7に記載の不織布ウェブ。
【請求項9】
請求項7に記載の不織布ウェブを含む物品。
【請求項10】
前記層が、1ミクロン未満の直径を有するナノファイバーを少なくとも35%含む、請求項7に記載の不織布ウェブ。


【図1】
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【公表番号】特表2007−528943(P2007−528943A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518751(P2006−518751)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/021126
【国際公開番号】WO2005/005696
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】