説明

コーティング組成物、コーティングされた物品およびそのような物品の製造方法

本発明は、コーティング組成物、コーティングされた物品およびそのようなコーティングされた物品の製造方法である。コーティング組成物は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含む。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。コーティングされた物品は、セルロース系材料を含む基材および該基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在する少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む。1つまたは複数のコーティング層は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物から得ることができる。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。コーティングされた物品を形成する方法は、(1)セルロース系材料を含む基材を選択するステップ、(2)(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を選択するステップ、(3)前記コーティング組成物を、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面に塗布するステップ、(4)少なくとも一部の水を除去するステップ、ならびに(5)それによって前記コーティングされた物品を形成するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その教示が以下に完全に再現されるように参照によって本明細書に組み込まれる、「コーティング組成物、コーティングされた物品およびそのような物品の製造方法(COATING COMPOSITION,A COATED ARTICLE,AND METHOD OF FORMING SUCH ARTICLES)」という名称の、2007年11月15日出願の米国仮特許出願第60/988,216号の優先権を主張する、非仮出願(non-provisional application)である。
【0002】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた物品およびそのようなコーティングされた物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
湿潤強化剤などのポリマー材料は、紙製品(paper products)にその製造時に添加されることが多い。湿潤強化剤などのポリマー材料がない場合、紙製品は、水で湿潤した後、その強度を通常3〜5パーセントしか保持できない。しかし、湿潤強化剤を含む紙製品は、一般に、湿潤した場合にその強度を少なくとも10〜50パーセント保持する。そのようなポリマー材料は、それに限定されるものではないが、紙タオル、牛乳およびジュースのパック、紙バッグおよび段ボール箱用のライナーボードを含む多種多様な紙製品適用に有用である。
【0004】
紙は従来、繊維の水懸濁液から微細スクリーン上に形成されるフェルト状のシートと定義されてきた。現在の紙製品は、殆どの製品が非繊維質添加剤も含有していることを除き、一般にこの定義に従う。乾燥形成法は、幾つかの特殊紙製品の製造にも利用される。パルプは製紙用の繊維質原材料であり、一般にセルロース系材料である。紙(paper)と板紙(paper board)の区別は、製品の厚さに基づき、例えば厚さ0.3mmを超えるあらゆるシートは、板紙と分類され得る。
【0005】
回収セルロースを基にした紙製品の開発に対して商業的な注目が高まっていることから、容易に再パルプ化可能な紙の開発への興味が高まっている。紙および板紙の廃材は、それらが湿潤強化剤などのポリマー材料を含有している場合、水性系における再パルプ化は特殊な化学的処理なしでは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
湿潤強化剤などのポリマー材料を含有する紙製品の再パルプ化能の改善は、一般に、再パルプ化条件を改変することによって達成されてきた。一般にこれらの改善された再パルプ化法は、環境上望ましくない塩素を含有する分解産物を形成し、強力な酸化剤を使用し、または進行が非常に遅い。したがって、改善された再パルプ化特性を有するコーティングされた紙製品を提供するコーティング組成物が求められている。さらに、再パルプ化法の条件を著しく改変する必要なしに容易に再パルプ化可能な、コーティングされた紙物品(paper article)およびそのようなコーティングされた紙物品の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた物品(article)およびそのようなコーティングされた物品の製造方法(method of forming such coated articles)である。コーティング組成物は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含む。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体(fluid medium)を含む。コーティングされた物品は、セルロース系材料を含む基材および該基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在する少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む。1つまたは複数のコーティング層は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物から得ることができる。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。コーティングされた物品を形成する方法は、(1)セルロース系材料を含む基材を選択するステップ、(2)(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を選択するステップ、(3)前記コーティング組成物を、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面に塗布するステップ、(4)少なくとも一部の水を除去するステップ、ならびに(5)それによって前記コーティングされた物品を形成するステップを含む。
【0008】
一実施形態では、本発明は、(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を提供する。
【0009】
一代替実施形態では、本発明はさらに、(1)セルロース系材料を含む基材および(2)前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在する少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含むコーティングされた物品を提供し、前記コーティングは、(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物から得られる。
【0010】
一代替実施形態では、本発明はさらに、(1)セルロース系材料を含む基材および(2)前記セルロース系基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在するコーティング組成物のコーティング塗布製品を含むコーティングされた物品を提供し、前記コーティング組成物は、(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含む。
【0011】
一代替実施形態では、本発明はさらに、(1)セルロース系材料を含む基材を選択するステップ、(2)(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を選択するステップ、(3)前記コーティング組成物を、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面に塗布するステップ、(4)少なくとも一部の水を除去するステップ、ならびに(5)それによって前記コーティングされた物品を形成するステップを含む、コーティングされた物品を形成する方法を提供する。
【0012】
一代替実施形態では、本発明はさらに、(1)1つまたは複数のセルロース繊維を選択するステップ、(2)(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を選択するステップ、(3)前記コーティング組成物を、前記1つまたは複数のセルロース繊維上に組み込むステップ、(4)前記1つまたは複数のセルロース繊維を組み込む前記コーティング組成物を、ウェブに形成するステップ、(5)少なくとも一部の水を除去するステップ、ならびに(6)それによって前記コーティングされたセルロース物品を形成するステップを含む、コーティングされた物品の製造方法を提供する。
【0013】
一代替実施形態では、本発明は、エチレン系熱可塑性ポリマーが、エチレンならびにプロピレン、C〜C20直鎖、分岐または環式ジエン、酢酸ビニルおよび式HC=CHR(式中、Rは、C〜C20直鎖、分岐または環式アルキル基あるいはC〜C20アリール基である)によって表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のコモノマーのαオレフィンインターポリマーであることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0014】
一代替実施形態では、本発明は、プロピレン系熱可塑性ポリマーが、プロピレンならびにエチレン、C〜C20直鎖、分岐または環式ジエンおよび式HC=CHR(式中、Rは、C〜C20直鎖、分岐または環式アルキル基あるいはC〜C20アリール基である)によって表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のコモノマーのαオレフィンインターポリマーであることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた製品およびその製造方法を提供する。
【0015】
一代替実施形態では、本発明は、分散液が、少なくとも1つまたは複数のベースポリマーおよび少なくとも1つまたは複数の安定剤の組合せを、分散液の総体積に対して25〜74体積パーセント含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた製品およびその製造方法を提供する。
【0016】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記アクリルポリマー溶液を、前記コーティング組成物の重量に対して10重量パーセント未満含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0017】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記エマルジョンポリマーラテックスを、前記コーティング組成物の重量に対して50重量パーセント未満含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0018】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が架橋剤をさらに含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0019】
一代替実施形態では、本発明は、架橋剤が炭酸亜鉛アンモニウムであることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0020】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記炭酸亜鉛アンモニウムを2〜7重量パーセント含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0021】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記分散液を、前記コーティング組成物の総重量に対して少なくとも50重量パーセント含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0022】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記アクリルポリマー溶液を、前記コーティング組成物の重量に対して2〜10重量パーセント含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0023】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、前記エマルジョンポリマーラテックスを、前記コーティング組成物の重量に対して10〜50重量パーセント含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0024】
一代替実施形態では、本発明は、安定剤が、部分的または完全に中和されたエチレン−酸コポリマー(ethylene-acid copolymer)を含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0025】
一代替実施形態では、本発明は、液体媒体の少なくとも一部が、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択されるベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度で除去されることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0026】
一代替実施形態では、本発明は、液体媒体の少なくとも一部が、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択されるベースポリマーの融点温度を超える又は融点温度と等しい(融点温度以上の)範囲の温度で除去されることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0027】
一代替実施形態では、本発明は、コーティング組成物が、基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に、コーティング、噴霧、押出、含浸またはパッド(padding)によって局所的に(topically)塗布されることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0028】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜50重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0029】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜40重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0030】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜30重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0031】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜10重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0032】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜20重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0033】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜15重量g含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0034】
一代替実施形態では、本発明は、基材が、天然セルロース繊維、合成セルロース繊維およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数の繊維を含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0035】
一代替実施形態では、本発明は、セルロース系基材が、天然セルロース繊維、合成セルロース繊維およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0036】
一代替実施形態では、本発明は、コーティングされた物品が、紙シート、板紙、段ボール箱(corrugated box)、壁紙または写真用紙であることを除き、前述の実施形態のいずれかによるコーティング組成物、コーティングされた物品およびその製造方法を提供する。
【0037】
本発明を例示する目的で、例示的な形態を図示する。しかし本発明は、示されている正確な配置(arrangement)および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた比較例1の写真である。
【図2】図2は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた比較例2の写真である。
【図3】図3は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例1の写真である。
【図4】図4は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例2の写真である。
【図5】図5は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例3の写真である。
【図6】図6は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例4の写真である。
【図7】図7は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例5の写真である。
【図8】図8は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例6の写真である。
【図9】
【図10】図10は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例8の写真である。
【図11】図11は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例9の写真である。
【図12】図12は、サンプルから12インチの位置で、Powershot Canon Digital Camera、6メガピクセル、オートフォーカスによるポイントアンドクリックによって得られた実施例10の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、コーティング組成物、コーティングされた物品およびそのようなコーティングされた物品の製造方法である。コーティング組成物は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含む。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。コーティングされた製品は、セルロース系材料を含む基材および該基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在する少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含む。1つまたは複数のコーティング層は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物から得られる。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。コーティングされた物品を形成する方法は、(1)セルロース系材料を含む基材を選択するステップ、(2)(a)エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む分散液;ならびに(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含むコーティング組成物を選択するステップ、(3)前記コーティング組成物を、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面に塗布するステップ、(4)少なくとも一部の水を除去するステップ、ならびに(5)それによってコーティングされた物品を形成するステップを含む。
【0040】
コーティング組成物
コーティング組成物は、(a)分散液および(b)アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せを含む。コーティング組成物は架橋剤をさらに含むことができる。コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも20重量パーセント含むことができる。本明細書では、少なくとも20重量パーセントからのあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えばコーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも30重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも40重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも50重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも55重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも65重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、分散液を、コーティング組成物の重量に対して少なくとも75重量パーセント含むことができる。コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して約80重量パーセント未満含むことができる。本明細書では、約80重量パーセント未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えばコーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して2〜50重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して2〜30重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して2〜20重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して10重量パーセント未満含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して2〜10重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、アクリルポリマー溶液を、コーティング組成物の重量に対して2〜7重量パーセント含むことができる。コーティング組成物は、エマルジョンポリマーラテックスを、コーティング組成物の重量に対して約50重量パーセント未満含むことができる。本明細書では、約50重量パーセント未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えばコーティング組成物は、エマルジョンポリマーラテックスを、コーティング組成物の重量に対して10〜50重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、エマルジョンポリマーラテックスを、コーティング組成物の重量に対して20〜40重量パーセント含むことができる。コーティング組成物は架橋剤をコーティング組成物の重量に対して約10重量パーセント未満さらに含むことができる。本明細書では、約10重量パーセント未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えばコーティング組成物は、架橋剤を、コーティング組成物の重量に対して2〜10重量パーセント含むことができ、または代替として、コーティング組成物は、架橋剤を、コーティング組成物の重量に対して2〜7重量パーセント含むことができる。
【0041】
分散液
コーティング組成物は、分散液を含む。分散液は、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに液体媒体を含む。分散液は、1つまたは複数のフィラー(fillers)および/または1つもしくは複数の添加剤をさらに含むことができる。分散液は、好ましくは水性分散液であり得る。
【0042】
ベースポリマー
分散液は、少なくとも1つまたは複数のベースポリマーを含む。ベースポリマーは、例えば、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーからなる群から選択されるポリマーであってよい。
【0043】
選択された実施形態では、ベースポリマーは、エチレン−αオレフィンコポリマーまたはプロピレン−αオレフィンコポリマーから形成される。特に好ましい実施形態では、ベースポリマーは、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンを含む。
【0044】
他の選択された実施形態では、オレフィンブロックコポリマー、例えば国際特許WO2005/090427および米国特許出願第11/376,835号に記載のものなどのエチレンマルチブロックコポリマーを、ベースポリマーとして使用することができる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、

(a)1.7〜3.5のM/M、少なくとも1つの融点T(摂氏)および密度d(グラム/立方センチメートル)(但し、Tおよびdの数値は、関係式

>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)

に対応する)を有し、または

(b)1.7〜3.5のM/Mを有し、融解熱ΔH(J/g)および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークの温度差として定義されるデルタ量(delta quantity)ΔT(摂氏)によって特徴付けられ(但し、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係式

ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(0を超え最大130J/gのΔHに対する)、

ΔT≧48℃(130J/gを超えるΔHに対する)

を有し、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、ポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である)、または

(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300パーセントの歪みおよび1サイクルにおける弾性回復Re(パーセント)を特徴とし、密度d(グラム/立方センチメートル)を有し(但し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、実質的に架橋相を含まない場合、Reおよびdの数値は、以下の関係式

Re>1481−1629(d)

を満たす)、または

(d)TREFを使用して分画される場合、40℃および130℃の間で溶出する分子画分を有し(該画分は、同じ温度間で溶出する相溶性のあるランダムエチレンインターポリマー画分のコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント多いコモノマーモル含量を有することを特徴とし、前記相溶性のあるランダムエチレンインターポリマーは同じコモノマー(複数)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度およびコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する)、または

(e)25℃における貯蔵係数G’(25℃)および100℃における貯蔵係数(storage modulus)G’(100℃)を有する(但し、G’(25℃)とG’(100℃)の比は、1:1〜9:1の範囲である)
エチレン/αオレフィンインターポリマーであってよい。
【0045】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーはまた、
(a)TREFを使用して分画される場合、40℃および130℃の間で溶出する分子画分を有し(該画分は、少なくとも0.5および最大約1のブロックインデックスならびに約1.3を超える分子量分布M/Mを有することを特徴とする)、または

(b)0を超え最大約1.0の平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mを有することができる。
【0046】
代替実施形態では、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびそれらのコポリマーならびにそれらのブレンドなどのポリオレフィン、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーを、ベースポリマーとして使用することができる。幾つかの実施形態では、例示的なオレフィンポリマーには、それに限定されるものではないが、Elstonによる発行済みの米国特許第3,645,992号に記載の均一なポリマー、Andersonによる発行済みの米国特許第4,076,698号に記載の高密度ポリエチレン(HDPE)、分岐直鎖低密度の不均一ポリエチレン(LLDPE)、分岐直鎖超低密度の不均一ポリエチレン(ULDPE)、分岐、直鎖の均一エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えばその開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,272,236号および第5,278,272号に開示の方法によって調製することができる、分岐、実質的に直鎖の均一エチレン/α−オレフィンコポリマー、ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)などの、高圧フリーラジカル重合化エチレンポリマーおよびコポリマーが含まれる。
【0047】
その全体がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,566,446号、第6,538,070号、第6,448,341号、第6,316,549号、第6,111,023号、第5,869,575号、第5,844,045号または第5,677,383号に記載のポリマー組成物も、ベースポリマーとして使用することができる。当然のことながら、ポリマーブレンドも同様に使用することができる。幾つかの実施形態では、ブレンドは、2つの異なるチーグラー−ナッタポリマーを含む。他の実施形態では、ブレンドは、チーグラー−ナッタおよびメタロセンポリマーのブレンドを含むことができる。さらに他の実施形態では、本明細書で使用されるポリマーは、2つの異なるメタロセンポリマーのブレンドである。他の実施形態では、シングルサイト触媒から生成されるポリマーを使用することができる。さらに別の実施形態では、本発明の実施形態においてブロックまたはマルチブロックコポリマーを使用することができる。そのようなポリマーには、WO2005/090427(2004年3月7日出願の米国特許出願第60/553,906号の優先権を有する)に記載され、特許請求されているものが含まれる。
【0048】
幾つかの特定の実施形態では、ベースポリマーは、プロピレン系コポリマーまたはインターポリマーである。幾つかの実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有すると特徴付けられている。「実質的にアイソタクチックなプロピレン配列」という用語および類似の用語は、配列が、約0.85超、好ましくは約0.90超、より好ましくは約0.92超、最も好ましくは約0.93超の13C NMRによって測定されるアイソタクチックトライアッド(triad)(mm)を有することを意味する。アイソタクチックトライアッドは、当技術分野で周知であり、例えば米国特許第5,504,172号およびWO00/01745に記載されており、これらは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖におけるトライアッド単位(triad unit)に関するアイソタクチック配列に言及している。
【0049】
他の特定の実施形態では、ベースポリマーは、エチレン酢酸ビニル(EVA)系ポリマーであってよい。他の実施形態では、ベースポリマーは、エチレン−メチルアクリレート(EMA)系ポリマーであってよい。他の特定の実施形態では、エチレン−αオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセンまたはエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の特定の実施形態では、プロピレン−αオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。
【0050】
特定の実施形態では、ベースポリマーは、0.863g/ccおよび0.911g/ccの間の密度ならびに0.1〜100g/10分のメルトインデックス(重量2.16kgの下、190℃で測定)を有するエチレン−オクテンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態では、エチレン−オクテンコポリマーは、0.863g/cmおよび0.902g/cmの間の密度ならびに0.8〜35g/10分のメルトインデックス(負荷2.16kgの下、190℃で測定)を有することができる。
【0051】
特定の実施形態では、ベースポリマーは、5重量パーセントおよび20重量パーセントの間のエチレン含量ならびに0.5〜300g/10分の溶融流量(負荷2.16kgの下、230℃において測定)を有するプロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーであってよい。他の実施形態では、プロピレン−エチレンコポリマーまたはインターポリマーは、9重量パーセントおよび12重量パーセントの間のエチレン含量ならびに1〜100g/10分の溶融流量(負荷2.16kgの下、230℃で測定)を有することができる。
【0052】
特定の他の実施形態では、ベースポリマーは、0.911g/cmおよび0.925g/cmの間の密度ならびに0.1〜100g/10分のメルトインデックス(負荷2.16kgの下、190℃で測定)を有する低密度ポリエチレンであってよい。
【0053】
他の実施形態では、ベースポリマーは、50パーセント未満の結晶化度を有することができる。例えば、ベースポリマーの結晶化度は、5〜35パーセントであってよく、または代替として結晶化度は、7〜20パーセントの範囲を取り得る。
【0054】
特定の他の実施形態では、ベースポリマーは、110℃未満の溶融点を有することができる。例えば、溶融点は25〜100℃であってよく、または代替として溶融点は、40℃および85℃の間であってよい。
【0055】
特定の実施形態では、ベースポリマーは、20,000g/モルを超える重量平均分子量を有することができる。例えば、重量平均分子量は、20,000〜150,000g/モルであってよく、または代替として50,000〜100,000g/モルであってよい。
【0056】
1つまたは複数のベースポリマー、例えば熱可塑性樹脂は、水性分散液中に1重量パーセント〜96重量パーセントの量で含まれ得る。例えば、1つまたは複数のベースポリマー、例えば熱可塑性樹脂は、水性分散液中に20重量パーセント〜50重量パーセントなど、10重量パーセント〜70重量パーセントの量で存在し得る。
【0057】
当業者は、先の一覧が例示的なベースポリマーの非包括的一覧であることを認識されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって制限されることを理解されたい。
【0058】
安定剤
分散液は、安定な分散液またはエマルジョンの形成を促進するために、本明細書では分散剤とも呼ばれる少なくとも1つまたは複数の安定剤をさらに含むことができる。選択された実施形態では、安定剤は、界面活性剤、ポリマー(先に詳説したベースポリマーとは異なる)またはそれらの混合物であってよい。特定の実施形態では、安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーのいずれかとしての極性基を有する極性ポリマーであってよい。例示的な実施形態では、安定剤は、コモノマーまたはグラフトモノマーのいずれかとしての極性基を有する、1つまたは複数の極性ポリオレフィンを含む。例示的なポリマー安定剤には、それに限定されるものではないが、Dow Chemical Companyから市販の商標PRIMACOR(商標)、E.I. DuPont de Nemoursから市販のNUCREL(商標)およびExxonMobil Chemical Companyから市販のESCOR(商標)で利用できるもの、ならびにその全体がそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号、第4,988,781号および第5,938,437号に記載のものなどのエチレン−アクリル酸(EAA)およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが含まれる。他の例示的なポリマー安定剤には、それに限定されるものではないが、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、エチレンメチルメタクリレート(EMMA)およびエチレンブチルアクリレート(EBA)が含まれる。他のエチレン−カルボン酸コポリマーも使用することができる。当業者は、幾つかの他の有用なポリマーも使用できることを認識されよう。
【0059】
使用できる他の安定剤には、それに限定されるものではないが、12〜60個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸または脂肪酸塩が含まれる。他の実施形態では、長鎖脂肪酸または脂肪酸塩は、12〜40個の炭素原子を有することができる。
【0060】
ポリマーの極性基が、酸性または塩基性の性質である場合、ポリマー安定剤を中和剤で部分的または完全に中和して、対応する塩を形成することができる。特定の実施形態では、長鎖脂肪酸またはEAAなどの安定剤の中和は、モルベースで25〜200パーセントであってよく、または代替としてモルベースで50〜110パーセントであってよい。例えばEAAについて、中和剤は、例えば水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基であってよい。他の中和剤には、例えば水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムが含まれ得る。別の代替では、中和剤は、例えばモノエタノールアミンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)などの任意のアミンであってよい。当業者は、適切な中和剤の選択は、配合される特性の組成物によって決まること、およびそのような選択は当業者の知識の範囲内であることを理解されよう。
【0061】
本発明の実施に有用となり得るさらなる安定剤には、それに限定されるものではないが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤が含まれる。アニオン性界面活性剤の例には、それに限定されるものではないが、スルホン酸塩、カルボン酸塩およびリン酸塩が含まれる。カチオン性界面活性剤の例には、それに限定されるものではないが、第四級アミンが含まれる。非イオン性界面活性剤の例には、それに限定されるものではないが、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマーおよびシリコーン界面活性剤が含まれる。本発明の実施に有用な安定剤は、外部界面活性剤または内部界面活性剤のいずれかであってよい。外部界面活性剤は、分散液の調製中、ベースポリマー内では化学的に反応しない界面活性剤である。本明細書で有用な外部界面活性剤の例には、それに限定されるものではないが、ドデシルベンゼンスルホン酸塩およびラウリルスルホン酸塩が含まれる。内部界面活性剤は、分散液の調製中、ベースポリマー内で化学的に実際に反応する界面活性剤である。本明細書で有用な内部界面活性剤の例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸およびその塩が含まれる。
【0062】
特定の実施形態では、分散剤または安定剤を、使用されるベースポリマー(またはベースポリマー混合物)の量に対して0を超え60重量パーセントまでの範囲の量で使用することができる。例えば、長鎖脂肪酸またはその塩を、ベースポリマーの量に対して0.5〜10重量パーセント使用することができる。他の実施形態では、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーを、ベースポリマーの重量に対して0.01〜60重量パーセントの量で使用することができ、または代替として、エチレン−アクリル酸またはエチレン−メタクリル酸コポリマーを、ベースポリマーの重量に対して0.5〜60重量パーセントの量で使用することができる。さらに他の実施形態では、スルホン酸塩を、ベースポリマーの重量に対して0.01〜60重量パーセントの量で使用することができ、または代替として、スルホン酸塩を、ベースポリマーの重量に対して0.5〜10重量パーセントの量で使用することができる。
【0063】
使用される安定剤の種類および量は、分散液を組み込む、形成されるセルロース系物品の最終特性にも影響を及ぼす。例えば、改善された油および油脂耐性を有する物品は、ベースポリマーの総量に対して10〜50重量パーセントの量のエチレン−アクリル酸コポリマーまたはエチレン−メタクリル酸コポリマーを有する界面活性剤パッケージを組み込み得る。改善された強度または柔軟性が所望の最終特性である場合、類似の界面活性剤パッケージを使用することができる。別の例として、改善された水または湿気耐性を有する物品は、共にベースポリマーの総量に対して0.5〜5重量パーセントの量の長鎖脂肪酸または10〜50パーセントの量のエチレン−アクリル酸コポリマーを利用する界面活性剤パッケージを組み込み得る。他の実施形態では、界面活性剤または安定剤の最少量は、ベースポリマーの総量に対して少なくとも1重量パーセントでなければならない。
【0064】
液体媒体
分散液は液体媒体をさらに含む。液体媒体は任意の媒体であってよく、例えば、液体媒体は水であってよい。分散液の含水量は、好ましくは固体含量(ベースポリマーと安定剤)が1体積パーセント〜74体積パーセントになるように制御され得る。特定の実施形態では、固体範囲は、10体積パーセント〜70体積パーセントの間であってよい。他の特定の実施形態では、固体範囲は、20体積パーセント〜60体積パーセントの間である。特定の他の実施形態では、固体範囲は、30体積パーセント〜55体積パーセントである。
【0065】
分散液のフィラー(filler)
分散液は1つまたは複数のフィラーをさらに含むことができる。分散液は、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり、1つまたは複数のフィラーを0.01〜600重量部含む。特定の実施形態では、分散液中のフィラーの使用量は、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり、1つまたは複数のフィラー0.01〜200重量部であってよい。充填材料には、粉砕ガラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、粘土(例えばベントナイトまたはカオリン粘土など)または他の公知のフィラーなどの従来のフィラーが含まれ得る。
【0066】
分散液の添加剤
分散液は添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤は、本発明の範囲から逸脱せずに、分散液中に使用されるベースポリマー、安定剤またはフィラーと併用することができる。例えば添加剤には、それに限定されるものではないが、湿潤剤、界面活性剤、静電気防止剤、消泡剤、抗ブロック剤、ワックス−分散液顔料、中和剤、増粘剤、相溶化剤、光沢剤、レオロジー調節剤、殺生物剤、殺菌剤および当業者に公知の他の添加剤が含まれ得る。
【0067】
分散液配合物(Dispersion Formulations)
例示的な分散液配合物は、少なくとも1つの非極性ポリオレフィンを含むことができるベースポリマー、少なくとも1つの極性ポリオレフィンを含むことができる安定剤、水ならびに任意選択で1つまたは複数のフィラーおよびまたは添加剤を含むことができる。ベースポリマーおよび安定剤に関して、特定の実施形態では、少なくとも1つの非極性ポリオレフィンは、分散液中のベースポリマーおよび安定剤の総量に対して30パーセント〜99重量パーセントを構成し、または代替として、少なくとも1つの非極性ポリオレフィンは、分散液中のベースポリマーおよび安定剤の総量に対して50重量パーセントおよび80重量パーセントで含まれ、または代替において、1つまたは複数の非極性ポリオレフィンは、分散液中のベースポリマーおよび安定剤の総量に対して約70重量パーセントで含まれる。
【0068】
フィラーに関しては、一般に、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり0を超え600部までの量。選択された実施形態では、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり50〜250部の間。選択された実施形態では、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり10〜500部の間。さらに他の実施形態では、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり20〜400部の間。他の実施形態では、ベースポリマー、例えばポリオレフィンと安定剤の組合せ100重量部当たり0〜200部の間。
【0069】
これらの固体材料、即ちベースポリマーおよび安定剤は、好ましくは、特定の実施形態においては水である液体媒体に分散している。特定の実施形態では、4〜14の範囲のpHを維持するために十分な中和剤が添加される。特定の他の実施形態では、6〜11の範囲のpHを維持するために十分な塩基が添加され、特定の他の実施形態では、pHは、8〜10.5の範囲であってよい。分散液の含水量は、好ましくは、固体含量(ベースポリマーと安定剤)が1体積パーセント〜74体積パーセントになるように制御される。別の実施形態では、固体含量は、25体積パーセント〜74体積パーセントの間である。特定の実施形態では、固体範囲は、10重量パーセント〜70重量パーセントの間であってよい。他の特定の実施形態では、固体範囲は、20重量パーセント〜60重量パーセントの間である。特定の他の実施形態では、固体範囲は、30重量パーセント〜55重量パーセントの間である。
【0070】
特定の実施形態では、セルロース系基材および該セルロース系基材の少なくとも1つの表面上のコーティング組成物は、セルロース系基材100重量部当たり10〜150部の範囲の少なくとも1つまたは複数のベースポリマーおよび少なくとも1つまたは複数の安定剤の組合せの量を有することができる。他の実施形態では、セルロース系基材および該セルロース構造の少なくとも1つの表面上のコーティング組成物は、セルロース系基材100重量部当たり10〜600部、または代替として、他の実施形態では10〜300部の範囲のフィラーの組合せの量を有することができる。
【0071】
水性分散液は、0.01〜5.0ミクロン、または代替として0.1〜5.0ミクロンの間の平均粒径を有することを特徴とし得る。他の実施形態では、水性分散液は、0.5μm〜2.7μmの平均粒径を有することができる。他の実施形態では、0.8μm〜1.2μmである。「平均粒径(average particle size)」というフレーズは、本明細書で使用される場合、体積−平均粒径を指す。粒径を測定するために、例えばレーザー回折技術を使用することができる。この説明における粒径は、分散液におけるポリマーの直径を指す。球形でないポリマー粒子については、粒子の直径は、粒子の長軸および短軸の平均とする。粒径は、Beckman−Coulter LS230レーザー回折粒径分析器または他の適切な装置で測定することができる。
【0072】
水性分散液は、界面活性剤、発泡剤、分散剤、増粘剤、難燃剤、顔料、静電気防止剤、強化繊維、消砲剤、抗ブロック剤、ワックス−分散液抗酸化剤、中和剤、レオロジー調節剤、保存剤、殺生物剤、酸捕捉剤、湿潤剤等をさらに含むことができる。本発明の目的のために、任意選択ではあるが他の成分も製造過程の最中およびその後の物品の安定性にかなり有利となり得る。
【0073】
また、水性分散液は、任意選択で充填湿潤剤をさらに含むことができる。充填湿潤剤は一般に、フィラーとポリオレフィン分散液をより相溶性のあるものにする一助となり得る。有用な湿潤剤には、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸塩が含まれる。充填湿潤剤は、フィラー100重量部当たり少なくとも約0.5部の濃度で水性分散液に含まれ得る。
【0074】
また、水性分散液は増粘剤をさらに任意選択で含むことができる。増粘剤は、低粘度の分散液の粘度を増大するために、本発明において有用となり得る。本発明の実施における使用に適した増粘剤は、例えばポリアクリレートタイプまたはそれに付随する修飾セルロースエーテルなどの非イオン性増粘剤などの当技術分野で公知の任意のものであってよい。例えば、適切な増粘剤には、ALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporationの商標)、RHEOVIS(商標)およびVISCALEX(商標)(Ciba Ceigyの商標)、UCAR(登録商標)Thickener 146、またはETHOCEL(商標)もしくはMETHOCEL(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)およびPARAGUM(商標)241(Para−Chem Southern,Inc.の商標)、またはBERMACOL(商標)(Akzo Nobelの商標)またはAQUALON(商標)(Herculesの商標)またはACUSOL(登録商標)(Rohm and Haasの商標)が含まれる。増粘剤は、所望の粘度の分散液を調製するのに必要な任意の量で使用することができる。
【0075】
したがって、分散液の最終的な粘度は制御可能である。フィラーの量を含む分散液への増粘剤の添加は、従来の手段を用いて行って、必要に応じた粘性をもたらすことができる。したがって分散液の粘度は、中程度の増粘剤の量で(水性ポリマー分散液100phrに対して最大4パーセント、好ましくは3パーセント未満)、+3000cP(Brookfieldスピンドル4、20rpmで)に達することができる。記載の出発ポリマー分散液は、フィラーおよび添加剤を配合する前に、20cPおよび1000cPの間の最初の粘度を有する(室温でスピンドルRV3により50rpmにおいて測定したBrookfield粘度)。さらにより好ましくは、分散液の出発粘度は、100〜600cPの間であり得る。
【0076】
また、本明細書で使用される水性分散液は、フィラーがベースポリマー/安定剤に添加される場合、該水性分散液の安定性によって特徴付けられる。この文脈では、安定性は、得られる水性ポリオレフィン分散液の粘度の安定性を指す。安定性を試験するために、粘度を一定期間にわたって測定する。好ましくは、20℃で測定される粘度は、周囲温度で保存される場合、24時間にわたって元の粘度の+/−10パーセントを維持すべきである。
【0077】
本発明の水性分散液は、0.01〜5ミクロン、例えば0.1〜5ミクロンの平均粒径を有する粒子を含有することができる。
【0078】
例示的な水性分散液は、例えば全て参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2005/0100754号、米国特許出願第2005/0192365号、PCT出願公開WO2005/021638およびPCT出願公開WO2005/021622に開示されている。
【0079】
分散液の形成
水性分散液は、当業者によって認識されるあらゆる方法によって形成され得る。特定の実施形態では、水性分散液は、例えば分散液中で、その全体が参照によって組み込まれるWO2005021638に記載の手順に従って形成した分散液中で、開示の技術を使用することによって形成することができる。
【0080】
特定の一実施形態では、分散液化合物を形成するために、ベースポリマー、安定剤および任意選択でフィラーを、水およびアンモニア、水酸化カリウムまたはその2つの組合せなどの中和剤と一緒に押出機中で溶融混練する。当業者は、幾つかの他の中和剤を使用できることを認識されよう。幾つかの実施形態では、フィラーは、ベースポリマーおよび安定剤をブレンドした後に添加することができる。幾つかの実施形態では、分散剤は、まず1〜3重量パーセントの水を含有するように希釈され、その後約25重量パーセントを超える水を含むように、さらに希釈される。
【0081】
当技術分野で公知の任意の溶融混練手段を使用することができる。幾つかの実施形態では、混練機、BANBURY(登録商標)ミキサー、単軸押出機または多軸押出機が使用される。本発明による分散液の生成方法は、特に限定されない。ある例示的な方法は、米国特許第5,756,659号および米国特許第6,455,636号による前述の成分の溶融混練を含む方法である。
【0082】
例えば押出機、特定の実施形態における二軸押出機は、バックプレッシャーレギュレーター、溶融ポンプまたはギアポンプと連結されている。例示的な実施形態はまた、それぞれポンプを含むベースリザーバーおよび最初の水のリザーバーを提供する。ベースおよび最初の水の所望の量が、ベースリザーバーおよび最初の水のリザーバーからそれぞれ提供される。任意の適切なポンプを使用することができるが、幾つかの実施形態では240バールの圧力で約150cc/分の流れを提供するポンプを使用して、ベースおよび最初の水を押出機に提供する。他の実施形態では、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流れを提供する。幾つかの実施形態では、ベースおよび最初の水は、予熱器内で予熱される。
【0083】
ペレット、粉末またはフレークの形態の樹脂が、供給装置から押出機の入口に供給され、そこでその樹脂は溶融し混合される。幾つかの実施形態では、分散剤を樹脂中に添加して樹脂と一緒にし、他の実施形態では、分散剤は二軸押出機に個別に提供される。次いで溶融樹脂は、その混合および運搬領域から、押出機の乳化領域に移され、そこで水およびベースリザーバーから、最初の量の水およびベースが入口を介して添加される。幾つかの実施形態では、分散剤は、付加的または排他的に水流に添加され得る。幾つかの実施形態では、乳化した混合物は、押出機の希釈および冷却領域において水リザーバーからの追加の水の入口でさらに希釈される。一般に分散液は、冷却領域において少なくとも30重量パーセントの水に希釈される。さらに、希釈した混合物は、所望の希釈レベルが得られるまで何回も希釈することができる。幾つかの実施形態では、水は二軸押出機内には添加されないが、溶融物が押出機から出された後に、溶融樹脂を含有する流れに添加される。このようにして、押出機で生成された流れの圧力が排除される。
【0084】
特定の実施形態では、発泡形態の水性分散液を利用することが望ましい。泡を調製する場合、しばしば水性分散液を発泡させることが好ましい。本発明の実施において好ましいのは、ガスを発泡剤として使用することである。適切な発泡剤の例には、それに限定されるものではないが、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどのガスおよび/またはガス混合物が含まれる。特に好ましいのは、発泡剤として空気を使用することである。発泡剤は一般に、泡を形成するためのガスを、液体に機械的に導入することによって導入される。この技術は、機械的発泡として公知である。発泡水性分散液の調製においては、全ての成分を混合し、次いでOAKES、MONDOまたはFIRESTONE発泡器などの装置を使用して、混合物に空気またはガスをブレンドすることが好ましい。
【0085】
安定な泡を調製するのに有用な界面活性剤は、本明細書では発泡安定剤と呼ばれる。発泡安定剤は、本発明の実施において有用である。当業者は、幾つかの発泡安定剤を使用できることを認識されよう。発泡安定剤は、例えば硫酸塩、コハク酸塩およびスルホスクシンアミド酸塩(sulfosuccinamate)を含むことができる。
【0086】
アクリルポリマー溶液
コーティング組成物はアクリルポリマー溶液をさらに含むことができる。そのようなアクリルポリマー溶液は一般に、樹脂水溶液である。アクリルポリマー溶液を、例えば、アクリル系樹脂を配合物の総重量に対して2〜15重量パーセント含むことができる。特に好ましいアクリル樹脂は、S.C Johnson&Son,Inc.製のJoncryl(登録商標)60、Morton International,Inc.製のMorcryl(登録商標)132および150などのアクリル樹脂溶液;S.C Johnson&Son,Inc.製のJoncryl(登録商標)89および130、Morton International,Inc.製のLucidene(登録商標)602、ならびにB.F.Goodrich製のZinpol(登録商標)460などのスチレン化アクリル樹脂溶液である。これらの樹脂は一般に、それらの水溶性を増大するためにアンモニアで中和される。好ましいアクリル樹脂溶液は、Morton International、Inc.製のMorcryl(登録商標)132である。
【0087】
エマルジョンポリマーラテックス
コーティング組成物はエマルジョンポリマーラテックスをさらに含むことができる。そのようなエマルジョンポリマーラテックスは、少なくとも1つの合成ラテックスを含むことができる。合成ラテックスは一般に、1つまたは複数のモノマーのエマルジョン重合によって調製されたポリマー粒子の水性分散液として公知である。ラテックスは、単峰性または多峰性、例えば二峰性の粒径分布を有することができる。ラテックスの混合物またはブレンドを使用することができる。
【0088】
本発明の一実施形態では、ラテックスのポリマーは、コポリマー、即ち少なくとも2個のモノマーから形成されるポリマーである。ラテックスは、単一のコポリマーまたは2個以上のコポリマーを含有することができる。有利には、ラテックスのポリマーは、−50℃〜100℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0089】
ブレンド中でのみ有用なコポリマーとは対照的に、本発明の実施において単独で有用なコポリマーは、望ましくは約−10℃以上、好ましくは少なくとも約0℃のTgを有する。望ましくは、コポリマーのTgは、約50℃以下、好ましくは最大約40℃である。一般に好ましい範囲は0℃〜40℃である。本発明の組成物のコポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0090】
広範なモノマー組成物が、本発明の水性コーティング組成物のラテックス成分に有用であるが、特定の一実施形態では、コポリマーは、それが調製される重合化混合物中に存在するエチレン性不飽和モノマーの基に架橋モノマーが存在しないことが理由に、架橋されていないことが好ましい。即ち、この実施形態では、コポリマーは、架橋モノマーなしに、または幾つかの他の架橋剤なしに重合化によって生成されることが望ましい。
【0091】
一代替実施形態では、コポリマーは、わずかに架橋されていることが望ましい。これは、多官能性であるモノマーおよび例えばジビニルベンゼンまたはアリル(メタ)アクリレートなどの架橋剤として利用できることが公知のものを、コポリマーが調製される重合化混合物中に入れることによって達成され得る。この特定の実施形態では、コポリマー中の架橋モノマーの含量は、約2重量パーセント以下、好ましくは0.001〜2重量パーセント、より好ましくは0.01〜1.5重量パーセント、さらにより好ましくは0.1〜1重量パーセントであることが好ましく、ここで重量パーセントは、重合化混合物中のモノマーの総重量に対するものである。
【0092】
多種多様なモノマーを使用して、本発明の組成物における使用に適したコポリマーを調製することができる。主に(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートコポリマーは、望ましい一種のコポリマーである。
【0093】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスの目的では、「(メタ)((meth))」という用語は、その用語によって修飾された種類の化合物に、メチル置換化合物が含まれていることを指す。例えば、(メタ)アクリル酸という用語は、アクリル酸およびメタクリル酸を表す。
【0094】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスに関して、「(メタ)アクリレートコポリマー」という用語は、本明細書で使用される場合、(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーを、重合化形態に少なくとも80重量パーセント含有するコポリマーを意味する。好ましい一実施形態では、コポリマーは、(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーを、重合化形態に少なくとも90重量パーセント含有し、さらにより好ましいのは、コポリマーが、(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーを、重合化形態に少なくとも95重量パーセント含有する実施形態である。
【0095】
非常に好ましい一実施形態では、コポリマーは、純粋な(メタ)アクリレート、または本明細書に見られる非(メタ)アクリレートを含むことを除いて純粋な(メタ)アクリレートである。これらのコポリマーは、望ましくは本質的に(メタ)アクリレートモノマーから、または(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリル酸モノマーからなる。
【0096】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスに関して、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の組成物における使用に適した(メタ)アクリレートコポリマーを調製するために使用されるモノマーを含むことを意味する。その中には、例えば、式CH=CHCOORによって表されるアクリル酸のアルキルエステルおよび式CH=CCHCOORによって表されるメタクリル酸のアルキルエステル(式中、Rは、ヒドロカルビルまたは1〜16個の炭素原子を含有する置換ヒドロカルビル基である)などの従来公知のアクリレートが含まれる。「(メタ)アクリル酸モノマー」という用語は、アクリル酸、メタクリル酸およびその置換誘導体を含むことを意味する。
【0097】
本発明のエマルジョンポリマーラテックスに関して、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、本明細書で使用される場合、モノビニルアクリレートおよびメタクリレートモノマーを含むことも意味する。(メタ)アクリレートには、そのエステル、アミドおよび置換誘導体が含まれ得る。一般に、好ましい(メタ)アクリレートは、C〜Cアルキルアクリレートおよびメタクリレートである。
【0098】
適切な(メタ)アクリレートの例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよびイソオクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレートならびに2−ヒドロキシエチルアクリレートおよびアクリルアミドが含まれる。好ましい(メタ)アクリレートは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートである。他の適切なモノマーには、アクリル酸およびメタクリル酸エステルモノマーであるメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェニルメタクリレートを含む低級アルキルアクリレートおよびメタクリレートが含まれる。
【0099】
ポリマー中の成分としての使用に適したモノマーは、モノマーから調製されるホモポリマーのガラス転移温度(Tg)に応じて、しばしば「硬質(hard)」または「軟質(soft)」モノマーと分類される。本明細書で使用される場合、硬質モノマーは、そのホモポリマーについて40℃を超えるTgを有すると特徴付けられ、軟質モノマーは、そのホモポリマーについて40℃以下のTgを有すると特徴付けられる。好ましい硬質(メタ)アクリレートモノマーは、メチルメタクリレートである。
【0100】
軟質非官能性(メタ)アクリレートモノマーは、式
【0101】
【化1】


を有する(式中、Rは、水素およびメチルからなる群から選択され、Rは、アルキル基、好ましくは最大約15個の炭素原子を有するアルキル基である)。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「アルキル」という用語は、分岐であっても非分岐であってもよい環式および非環式飽和炭化水素基を意味する。例示的な軟質非官能性アクリルモノマーには、それに限定されるものではないが、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレートが含まれる。ブチルアクリレートは、好ましい軟質非官能性モノマーである。
【0102】
時に(メタ)アクリレートに分類される適切な非エステルモノマーは、ニトリルである。好ましいニトリルモノマーは、アクリロニトリルである。
【0103】
本発明の(メタ)アクリレートコポリマーのかなり好ましい実施形態は、(メタ)アクリレートモノマーではない他のコモノマーを最大約5重量パーセント含有することができ、他の実施形態は、他のコモノマーとして、(メタ)アクリレートモノマーではないモノマーを10重量パーセント、またはさらには20重量パーセントも含有することができる。本発明のこれらのコポリマーに有用な他のモノマーには、ビニル芳香族モノマー、脂肪族共役ジエンモノマー、モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー、酢酸ビニルモノマー、ビニリデンハロゲン化物モノマーおよびビニルハロゲン化モノマーが含まれる。本発明における使用に適した幾つかの他の望ましいコポリマーでは、重合化混合物のモノマーは、1つまたは複数の(メタ)アクリレートモノマーを1〜40重量パーセント含む。
【0104】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「ビニル芳香族モノマー」は、提供された少なくとも1つの芳香環およびビニル不飽和を有する少なくとも1つの脂肪族含有部分を含有する任意の有機化合物と定義される。例示的なビニル芳香族モノマーには、スチレン、p−メチルスチレン、メチルスチレン、o,p−ジエチルスチレン、o,p−ジエチルスチレン、p−クロロスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン、o−メチル−p−イソプロピルスチレン、o,p−ジクロロスチレンおよびその混合物が含まれる。好ましいビニル芳香族モノマーは、スチレンおよびビニルトルエンであり、その市販利用性および低費用により、スチレンがより好ましいビニル芳香族モノマーである。
【0105】
「共役ジエンモノマー」という用語は、本明細書で使用される場合、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエンおよび4−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)ならびに1,3−ブタジエンの他の炭化水素類似体などの化合物を含むことを意味する。好ましいアルカジエンモノマーは、1,3−ブタジエンである。脂肪族共役ジエンとして含まれる他のモノマーは、例えば2−クロロ−1,3−ブタジエンなどのハロゲン化化合物である。
【0106】
例えば「ビニリデンハロゲン化物」および「ビニルハロゲン化物」などのビニル基のモノマーは、本発明のコポリマー含まれるのに適しており、それには、例えば塩化ビニリデンおよび塩化ビニルが含まれ、これらは非常に好ましい。臭化ビニリデンおよび臭化ビニルを使用することもできる。ビニル基の別のビニルモノマーは、酢酸ビニルである。
【0107】
適切なα,β−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸モノマーは、カルボキシル基の少なくとも1つに対してエチレン性不飽和α−βを有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸、ジカルボン酸およびトリカルボン酸、ならびにさらに多数のカルボキシル基を有する類似のモノマーである。カルボキシル基は、酸または塩の形態(Mが、例えばナトリウムまたはカリウムなどのアンモニウム、水素または金属などのカチオンを表す−COOM)で存在することができ、周知の簡単な手順によって容易に相互交換可能であると理解される。
【0108】
α,β−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸の具体的な例は、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、α−エタクリル酸(ethacrylic acid)、α−プロピルアクリル酸およびα−ブチルアクリル酸などの様々なα−置換アクリル酸である。非常に好ましい酸モノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0109】
前述の通りのコポリマーにおいて望ましいまたは好ましい酸モノマーの量について、水溶液中、pKaによって示されるモノマーの酸強度と、コポリマーに望ましく含まれる酸モノマーの量に関して二律背反が存在すると思われる。より多量の酸含量を許容することができ、これは比較的弱い酸のモノマーに対しては望ましいが、比較的強い酸のモノマーである酸モノマーについては、コポリマーの酸含量は少ないことが望ましい。
【0110】
好ましい実施形態では、コポリマー中のα,β−エチレン性不飽和脂肪族カルボン酸モノマーの量は、0〜4重量パーセント、より好ましくは0.2〜3重量パーセント、さらにより好ましくは0.3〜2重量パーセントの範囲が望ましい。
【0111】
本発明の範囲には、使用されるコポリマーが(メタ)アクリレートコポリマーとして分類されない他の実施形態が含まれる。使用できる他のコポリマーの種類には、例えば、例えばスチレンアクリレートなどのビニル芳香族モノマーと(メタ)アクリレートモノマーの組合せ、および例えばスチレンブタジエンコポリマーなどのビニル芳香族モノマーと共役ジエンモノマーの組合せが含まれる。これらのコポリマーは、カルボキシル化されていなくても、カルボキシル化されていてもよい。
【0112】
コポリマーは、望ましくはモノマー成分、水および界面活性剤(使用される場合)を反応容器に充填し、その反応容器に、例えば窒素などの不活性ガスをパージして、実質的に全ての酸素を反応容器から除去し、反応容器を、通常は80℃〜100℃の反応温度に加熱することによって生成される。反応容器が所望の反応温度に達したら、次いで開始剤を反応容器に添加して、反応を2〜4時間継続させる。反応が完了した後、反応容器を冷却する。この合成によって、水にコポリマーを含む水性コポリマー組成物が得られる。幾つかの場合、組成物は乳状液体の外観を有し、他の場合には、透明溶液のように見える。
【0113】
コポリマーの生成方法は、(メタ)アクリレートであってよい種、ポリスチレンまたは生成するコポリマーの最終的な粒径を制御するのに有用な任意の他の種、あるいはその生成に有用な他のものの使用を含むことができる。当技術分野で周知の通り、最初の種の調節は、生成されるコポリマーの最終的な粒径範囲を制御するために使用できる。有用なコポリマーの粒径は、700〜10,000オングストロームの範囲である。
【0114】
アニオン性、非イオン性および両性界面活性化合物、即ち界面活性剤を、コポリマーの合成方法に使用することができる。しかし幾つかの場合、界面活性剤は不要である。例示的なアニオン性、非イオン性および両性界面活性剤は、それぞれ、Rhone−Poulencから利用可能なSIPONATE A246Lブランドの界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノール界面活性剤およびN,N−ビス−カルボキシエチルラウラミン(lauramine)である。別の有用な界面活性剤は、米国ミシガン州ミッドランド48640、The Dow Chemical Companyから利用可能なDOWFAX 2EP、ドデシル化スルホン化フェニルエーテルのナトリウム塩である。
【0115】
架橋剤
コーティング組成物は架橋剤をさらに含むことができる。そのような架橋剤には、それに限定されるものではないが金属塩が含まれる。架橋は、本発明のコーティング組成物の乾燥中に、単に水を除去することによって生じる。適切な架橋剤は、例えば硝酸クロム、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛などの多価金属化合物である。カルボキシル化ラテックスに最も好ましい金属塩不溶化剤(insolublizer)の1つは、炭酸アンモニウムジルコニウムである。当技術分野で公知の一代替手法は、キレートとしてのアンモニウムジルコニウムを、乳酸もしくはクエン酸または酸のブレンドと共に添加することである。この適用における例に関して、ZAC(炭酸亜鉛アンモニウム)が好ましい選択肢であった。他の架橋剤には、KZC(炭酸カリウムジルコニウム)およびAZC(炭酸アンモニウムジルコニウム)が含まれる。金属架橋剤を使用することもできる。例示的な多価金属には、それに限定されるものではないが、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、クロム、亜鉛、アルミニウムまたはそれらの任意の2つ以上の混合物が含まれる。ジルコニウムは、金属架橋剤として特に適している。金属架橋剤は一般に、アンモニア、酢酸塩、プロピオン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、アセチルアセトナート、酸化物またはそれらの任意の2つ以上の混合物の塩または錯体である。したがって、例示的な金属架橋剤には、炭酸アンモニウムジルコニウム、アセチルアセトナートジルコニウム、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、炭酸カリウムジルコニウム、リン酸ジルコニウムナトリウム、酒石酸ジルコニウム、酸化亜鉛、ならびに前述の多価金属および対イオンの他の組合せが含まれる。同様に、アセチルアセトナートチタンおよび乳酸チタンキレートなどの有機チタン酸塩を使用することができる。
【0116】
コーティング組成物用のフィラー(filler)
コーティング組成物は1つまたは複数のフィラーをさらに含むことができる。そのようなフィラーには、それに限定されるものではないが、顔料が含まれる。紙のコーティングに使用されるそのような顔料は周知であり、広く市販されている。例示的な顔料には、それに限定されるものではないが、粘土、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カルシウムアルミニウム顔料、サテンホワイト、合成ポリマー顔料、酸化亜鉛、硫酸バリウム、石こう、シリカ、アルミナ三水和物、雲母および珪藻土が含まれる。さらなる例示的な顔料には、それに限定されるものではないが、他のセメチック(semetic)粘土およびナノ炭酸カルシウム、ナノ雲母、ナノ酸化亜鉛または他の酸化金属などの他種の無機ナノフィラーが含まれる。例示的な好ましい顔料には、それに限定されるものではないが、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、サテンホワイトおよび中空ポリマー顔料を含む合成ポリマー顔料が含まれる。コーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して75重量パーセント未満含むことができる。例えば、75重量パーセント未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えばコーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して65重量パーセント未満含むことができ、または代替としてコーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して55重量パーセント未満含むことができ、または代替としてコーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して45重量パーセント未満含むことができ、または代替としてコーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して35重量パーセント未満含むことができ、または代替としてコーティング組成物は、1つまたは複数のフィラーを、コーティング組成物の総重量に対して25重量パーセント未満含むことができる。
【0117】
基材
基材は一般に、セルロース系材料を含む。そのようなセルロース系基材は一般に、新聞印刷用紙、非コーティング砕木、コーティング砕木、コーティングフリーシート、非コーティングフリーシート、包装および工業紙、ライナーボード、中芯紙、再利用板紙、漂白板紙、便箋、タイピング用紙、写真用紙、壁紙、紙タオル、トイレットペーパー、ティッシュなどの紙および/または板紙物品と呼ばれる。そのようなセルロース系基材は一般に、少なくとも1つまたは複数の紙ウェブから形成することができる。例えば一実施形態では、セルロース系基材は、繊維のブレンドから形成される単層紙ウェブを含有することができる。別の実施形態では、セルロース系基材は、多層紙(即ち層状)ウェブを含有することができる。さらにセルロース系基材はまた、単層または多層物品(例えば2つ以上の紙ウェブ)であってもよく、層の1つまたは複数は、本発明に従って形成された紙ウェブを含有することができる。通常、本発明のセルロース系基材のベース重量は、1平方メートル当たり10〜525グラム(gsm)の間である。通常、本発明の実施形態によるセルロース系基材の特定の体積は、1立方センチメートル当たり0.3〜15グラム(g/cc)の間である。
【0118】
様々な材料のいずれかを使用して、本発明のセルロース系基材を形成することができる。例えば、セルロース系基材を製造するために使用される材料は、クラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、サーモメカニカルパルプ化などの様々なパルプ化法によって形成される繊維を含むことができる。
【0119】
本発明の方法において有用な製紙用繊維には、それに限定されるものではないが、セルロース系ベースシートを製造するのに有用であることが知られている任意のセルロース繊維が含まれる。例示的な繊維には、それに限定されるものではないが、非木製繊維に加えて未使用の針葉樹(softwood)および広葉樹繊維(hardwood fibers)、ならびに第二の(即ち再利用)製紙用繊維およびあらゆる割合のその混合物が含まれる。非セルロース系合成繊維を使用することもできる。製紙用繊維は、それに限定されるものではないが、クラフトおよびサルファイトケミカルパルプ化を含む任意の公知のパルプ化法を使用して、木から得ることができる。
【0120】
紙ウェブを製造するための例示的な繊維は、それに限定されるものではないが、綿、アバカ、ケナフ、サバイ(sabai)草、亜麻、アフリカハネガヤ、藁、ジュート麻、バガス、トウワタの綿毛の繊維およびパイナップルの葉の繊維などの非木製繊維;ならびに北部および南部針葉樹クラフト繊維などの針葉樹繊維を含む、落葉樹および針葉樹から得られるものなどの木製繊維;ユーカリ、カエデ、カバノキおよびアスペンなどの広葉樹繊維を含む任意の天然または合成セルロース繊維を含む。木製繊維は、高収率または低収率の形態で調製することができ、それに限定されるものではないが、クラフト、サルファイト、高収率パルプ化法および他の公知のパルプ化法を含む任意の公知の方法でパルプ化することができる。それに限定されるものではないが、1988年12月27日発行のLaamanenらの米国特許第4,793,898号、1986年6月10日発行のChangらの米国特許第4,594,130号、および1971年6月15日発行のKleinertの米国特許第3,585,104号に開示の繊維および方法を含むオルガノソルブパルプ化法から調製された繊維を使用することもできる。有用な繊維は、1997年1月21日発行のGordonらの米国特許第5,595,628号によって例示のアントラキノンパルプ化によって生成することもできる。
【0121】
一実施形態では、乾燥重量で最大50パーセント以下または乾燥重量で5パーセント〜30パーセントなどの繊維の一部は、レーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、複合芯鞘構造繊維、多成分結合繊維などの合成繊維であってよい。例示的なポリエチレン繊維は、Hercules,Inc.(デラウェア州ウィルミントン)から利用可能なPULPEX(登録商標)である。任意の公知の漂白法を使用することができる。合成セルロース繊維の種類には、あらゆる種類のレーヨンおよびビスコースまたは化学修飾セルロースから得られる他の繊維が含まれる。マーセル法で処理したパルプ、化学的に補強もしくは架橋した繊維、またはスルホン化繊維などの化学的に処理した天然セルロース繊維を使用することができる。製紙用繊維の使用における良好な機械的特性について、繊維は、比較的損傷を受けず、殆ど精製されず、またはごくわずかに精製されることが望ましい。再利用繊維を使用することができるが、未使用の繊維は一般に、それらの機械的特性に関して有用であり、汚染物質が含まれていない。マーセル法で処理した繊維、再生セルロース繊維、微生物によって生成されたセルロース、レーヨンおよび他のセルロース系材料またはセルロース誘導体を使用することができる。適切な製紙用繊維は、再利用繊維、未使用繊維またはそれらの混合物を含むこともできる。高いバルク特性および良好な圧縮特性を可能にする特定の実施形態では、繊維は、少なくとも200、より具体的には少なくとも300、さらにより具体的には少なくとも400、最も具体的には少なくとも500のカナダ標準ろ水度(Canadian Standard Freeness)を有することができる。幾つかの他の実施形態では、乾燥重量で最大約90パーセントの繊維部分が合成繊維であってよい。
【0122】
本開示において使用できる他の製紙用繊維には、それに限定されるものではないが、損紙(paper broke)または再利用繊維および高収率繊維が含まれる。高収率パルプ繊維は、約65パーセント以上、より具体的には約75パーセント以上、さらにより具体的には75パーセント〜95パーセントの収率をもたらすパルプ化法によって生成された製紙用繊維である。収率は、最初の木材質量のパーセンテージとして表される、処理済み繊維の生成量である。そのようなパルプ化法には、漂白ケミサーモメカニカルパルプ化(BCTMP)、ケミサーモメカニカルパルプ化(CTMP)、圧力/圧力サーモメカニカルパルプ化(PTMP)、サーモメカニカルパルプ化(TMP)、サーモメカニカルケミカルパルプ化(TMCP)、高収率サルファイトパルプ化および高収率クラフトパルプ化が含まれ、これらの全てが、得られた繊維に高レベルのリグニンを残す。高収率繊維は、一般的な化学的パルプ化繊維と比較して、乾燥および湿潤状態でのそれらの剛性が周知である。
【0123】
幾つかの実施形態では、パルプ繊維は、1mmを超える平均繊維長、例えば長さ−重量平均に対して2〜5mmの長さの繊維長を有する針葉樹繊維を含むことができる。そのような針葉樹繊維には、それに限定されるものではないが、北部針葉樹、南部針葉樹、アメリカスギ、エンピツビャクシン、アメリカツガ、マツ(例えばサザンパイン)、トウヒ(例えばクロトウヒ)、それらの組合せ等が含まれ得る。本発明に適した市販の例示的なパルプ繊維には、それに限定されるものではないが、Neenah Paper Inc.製の商標LONGLAC−19で利用可能なものが含まれる。
【0124】
幾つかの実施形態では、ユーカリ、カエデ、カバノキ、アスペンなどの広葉樹繊維を使用することもできる。幾つかの場合、ユーカリ繊維は、特にウェブの柔軟性を増大することが望まれ得る。ユーカリ繊維は、紙の輝度を増大し、不透明性を増大し、細孔構造を変化させて、紙ウェブのウィッキング能を高めることもできる。さらに所望に応じて、例えば、新聞印刷用紙、再生板紙および廃紙(office waste)などの供給源からの繊維パルプなどの、再利用材料から得られた第2の繊維を使用することができる。さらに本発明では、アバカ、サバイ草、トウワタの綿毛、パイナップルの葉などの他の天然繊維を使用することもできる。さらに幾つかの場合、合成繊維を使用することもできる。幾つかの適切な合成繊維には、それに限定されるものではないが、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコールコポリマー繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル等が含まれ得る。
【0125】
セルロース系基材は、1つまたは複数の紙ウェブから形成することができる。紙ウェブは、単層または多層であってよい。例えば一実施形態では、セルロース系基材は、繊維ブレンドから形成される単層紙ウェブ層を含有する。例えば幾つかの場合、ユーカリおよび針葉樹繊維を均質にブレンドして、単層紙ウェブを形成することができる。
【0126】
別の実施形態では、セルロース系基材は、様々な主な層を有する層状パルプ供給物(stratified pulp furnish)から形成される多層紙ウェブを含有することができる。例えば一実施形態では、セルロース系基材は、外層の1つがユーカリ繊維を含み、他の2つの層が北部針葉樹クラフト繊維を含む3層を含有する。別の実施形態では、1つの外層およびその内層は、ユーカリ繊維を含有することができると同時に、残りの外層は、北部針葉樹クラフト繊維を含有することができる。所望に応じて、3つの主な層は、様々な種類の繊維のブレンドを含むこともできる。例えば一実施形態では、外層の一方は、ユーカリ繊維および北部針葉樹クラフト繊維のブレンドを含有することができる。しかし、多層紙ウェブは、任意の数の層を含むことができ、様々な種類の繊維から製造され得ることを理解されたい。例えば一実施形態では、多層紙ウェブは、2つの主な層のみを有する層状パルプ供給物から形成することができる。
【0127】
これに関して本発明の一実施形態では、セルロース系基材の繊維の少なくとも一部を加水分解酵素で処理して強度を増し、糸くずを低減することができる。特に加水分解酵素は、製紙用繊維の表面において、またはその周辺でセルロース鎖と無作為に反応して、繊維の一部である繊維表面上に、単アルデヒド基(single aldehyde groups)を作り出すことができる。これらのアルデヒド基は、他の繊維がシートに形成され、乾燥する場合に、それらの繊維の曝露したヒドロキシル基と架橋するための部位になり、したがってシートの強度を強化する。さらに、繊維の主に表面において、またはその周辺で繊維セルロースを無作為に切断または加水分解することによって、繊維細胞壁の内部の分解が回避され、または最小限に抑えられる。結果として、これらの繊維のみから製造された、またはこれらの繊維と未処理パルプ繊維のブレンドから製造されたセルロース系基材は、乾燥張力、湿潤張力、引裂きなどの強度特性の増大を示す。
【0128】
セルロース系基材は、天然および合成両方の様々な繊維を含有することができる。一実施形態では、セルロース系基材は、広葉樹および針葉樹繊維を含む。物品を作り上げる個々のシートを含む、セルロース系基材内の広葉樹パルプ繊維と針葉樹パルプ繊維の全体的な比は、広範に変わり得る。広葉樹パルプ繊維と針葉樹パルプ繊維の比は、9:1〜1:9、より具体的には9:1〜1:4、最も具体的には9:1〜1:1の範囲を取り得る。本発明の一実施形態では、広葉樹パルプ繊維および針葉樹パルプ繊維を、セルロース系基材を形成する前にブレンドし、それによって、シートのz方向における広葉樹パルプ繊維および針葉樹パルプ繊維の均質な分布をもたらすことができる。本発明の別の実施形態では、広葉樹パルプ繊維および針葉樹パルプ繊維は、シートのz方向における広葉樹パルプ繊維および針葉樹パルプ繊維の均質な分布をもたらすような層状にすることができる。別の実施形態では、広葉樹パルプ繊維は、セルロース系基材および/またはシートの外層の少なくとも一方に位置することができ、内層の少なくとも1つは針葉樹パルプ繊維を含むことができる。さらに別の実施形態では、セルロース系基材は、任意選択で未使用のまたは合成繊維を含有する第2のまたは再利用繊維を含有する。
【0129】
さらに、本発明では合成繊維を利用することもできる。パルプ繊維に関する本明細書における議論は、合成繊維を含むと理解される。合成繊維を形成するために使用できる例示的なポリマーには、それに限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタラート、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(β−リンゴ酸)(PMLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(3−ヒドロキシブチラート)(PHB)などのポリエステル;およびナイロンなどのポリアミドが含まれる。それに限定されるものではないが、セルロースエステル;セルロースエーテル;硝酸セルロース;酢酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;エチルセルロース;ビスコース、レーヨンなどの再生セルロース;綿;亜麻;麻;およびその混合物を含む合成または天然セルロースポリマーを使用することもできる。合成繊維は、セルロース系基材を含む層およびシートの1つまたは全てに位置することができる。
【0130】
セルロース系基材は、当業者に公知の様々な方法によって形成することができる。機械は、形成部分、プレス部分、乾燥部分および形成される物品に応じて任意選択でリールを有するように構成することができる。方法ステップおよび略図の詳細の例は、「Properties of Paper:An Introduction」、第2版、W.ScottおよびJ.Abbott、TAPPI Press 1995年に見ることができる。その方法の簡単な説明では、一般に、パルプ繊維の希釈懸濁液を加熱ボックスによって供給し、均一な分散液中、水路(sluice)を介して従来の製紙用機械の形成構造上に堆積させる。パルプ繊維の懸濁液は、従来の製紙法で一般に使用される任意の粘稠度に希釈することができる。例えば懸濁液は、水に懸濁させたパルプ繊維を0.01〜1.5重量パーセント含有することができる。水をパルプ繊維の懸濁液から除去することによって、均一な層のパルプ繊維が形成される。他の製紙法、板紙製造法等を、本発明で利用することもできる。例えば米国特許第6,423,183号に開示の方法を使用することができる。
【0131】
パルプ繊維は、平均繊維長が長い任意のパルプ、平均繊維長が短い任意のパルプまたはその混合物であってよい。平均繊維長が長いパルプは、一般に1.5mm〜6mmの平均繊維長を有する。例示的な長い平均繊維長の木パルプには、Neenah Paper Inc.から商標LONGLAC 19で利用可能なものが含まれる。
【0132】
平均繊維長が短いパルプは、例えば新聞印刷用紙、再生板紙および廃紙などの供給源からの、例えば特定の未使用広葉樹パルプおよび第2の(即ち再利用)繊維パルプであってよい。短い平均繊維長のパルプは、一般に約1.2mm未満、例えば0.7mm〜1.2mmの平均繊維長を有する。
【0133】
平均繊維長が長いパルプおよび平均繊維長が短いパルプの混合物は、著しい割合の平均繊維長が短いパルプを含有することができる。例えば混合物は、平均繊維長が短いパルプを約50重量パーセント超、および平均繊維長が長いパルプを約50重量パーセント未満含有することができる。ある例示的な混合物は、平均繊維長が短いパルプを75重量パーセント、および平均繊維長が長いパルプを約25重量パーセント含有する。
【0134】
本発明で使用されるパルプ繊維は、未精製(unrefined)であってよく、または様々な精製度合いに精製され(beaten)得る。強度および耐摩耗性を改善するために、少量の湿潤増強樹脂および/または樹脂結合剤を添加することができる。有用な結合剤および湿潤増強樹脂には、例えばHercules Chemical Companyから利用可能なKYMENE 557HおよびAmerican Cyanamid.Inc.から利用可能なPAREZ 631が含まれる。架橋剤および/または水和剤を、パルプ混合物に添加することもできる。かなり開いたまたは緩い不織パルプ繊維ウェブが望ましい場合、水素結合の度合いを低減するための剥離剤をパルプ混合物に添加することができる。ある例示的な剥離剤は、Quaker Chemical Company,Conshohocken,Pa.から商標QUAKER 2008で利用可能である。特定の剥離剤の添加はまた、測定される静止摩擦係数および動摩擦係数を低減し、耐摩耗性を改善すると思われる。剥離剤は、潤滑剤または摩擦低減剤として作用すると思われている。
【0135】
コーティング塗布
コーティング組成物は、前述の通り、セルロース系材料を含む基材上またはその中に塗布することができる。本発明のコーティング組成物は、様々な技術によって、例えばスプレーコーティング、カーテンコーティング、ブレードコーティング、ロール塗布機またはグラビア塗布機を用いたコーティング、はけ塗り、浸漬、押出コーティング、フレキソコーティングおよびフィルムコーティングによって、セルロース系材料を含む基材上またはその中にコーティングすることができる。コーティングは、好ましくは、後にさらに詳説される通り、コーティングされた基材を加熱することによって乾燥することができる。
【0136】
本開示に従って紙ウェブを処理する場合、コーティング組成物をウェブに、例えばセルロース系基材に局所的に塗布することができ、またはウェブを形成するために使用される繊維と事前に混合することによって、ウェブに組み込むことができる。局所的に塗布する場合、コーティング組成物は、ウェブが湿潤または乾燥されるときにウェブに塗布することができる。一実施形態では、コーティング組成物は一般に、縮緬仕上げ(creping)過程中にウェブに塗布することができる。例えば一実施形態では、コーティング組成物を、ウェブ上または加熱乾燥ドラム上に噴霧して、ウェブを乾燥ドラムに接着させることができる。次いでウェブを、乾燥ドラムから縮面仕上げすることができる。コーティング組成物をウェブに塗布し、次いで乾燥ドラムに接着させる場合、コーティング組成物は、ウェブの表面領域にわたって均一に塗布することができ、または特定のパターンに従って塗布することができる。
【0137】
紙ウェブに局所的に塗布する場合、コーティング組成物をウェブ上に噴霧し、ウェブ上に押出し、またはウェブ上に印刷することができる。ウェブ上に押出する場合、スロット−コーティング押出機またはメルトブローン染料押出機などの任意の適切な押出装置を使用することができる。ウェブ上に印刷する場合、任意の適切な印刷装置を使用することができる。例えば、フレスコ印刷機、インクジェットプリンターまたは輪転グラビア印刷装置を使用することができる。
【0138】
コーティング組成物は、製紙過程の任意の地点で塗布し、または組み込むことができる。該過程中の、コーティング組成物がセルロース系基材に組み込まれる地点は、セルロース系物品の所望の最終特性に応じて決まり得る。各地点の組込みには、パルプの前処理、該過程のウェットエンドにおける同時適用、乾燥後の製紙機械上での後処理および局所的後処理が含まれ得る。本発明のコーティング組成物の、セルロース系構造上またはその中への組込みは、以下の非限定的な説明によって例示される通り、幾つかの方法のいずれかによって達成することができる。
【0139】
例えば幾つかの実施形態では、ドラム乾燥添加剤の形態のコーティング組成物の、紙ウェブへの接着性は、紙ウェブと乾燥ドラム表面の間に存在し、ここで化合物の一部は、紙ウェブが乾燥ドラムから、剥離、けん引、エアナイフの作用または当技術分野で公知の任意の他の手段によって分離されるときに紙ウェブに留まる。
【0140】
他の実施形態では、加熱ボックスに入れる前に化合物をスラリーに注入するなどの、繊維スラリーへのコーティング組成物の直接添加である。スラリーの粘稠度は、0.2パーセント〜50パーセント、具体的には0.2パーセント〜10パーセント、より具体的には0.3パーセント〜5パーセント、最も具体的には1パーセント〜4パーセントであってよい。ウェットエンドにおいて繊維の水性懸濁液と混合する場合、保持助剤(retention aid)がコーティング組成物内に存在することもできる。例えば特定の一実施形態では、保持助剤は、塩化ポリジアリルジメチルアンモニウムを含むことができる。コーティング組成物は、0.5パーセント〜20重量パーセントなどの0.01パーセント〜30重量パーセントの量で紙ウェブに組み込むことができる。例えば一実施形態では、コーティング組成物は、最大約10重量パーセントの量で存在することができる。先のパーセンテージは、紙ウェブに添加される固体に応じて決まる。
【0141】
他の実施形態では、コーティング組成物スプレーを紙ウェブに塗布することができる。例えば所望の量の溶液を、湿潤していてもよく、または実質的に乾燥していてもよいウェブに塗布するために、移動ウェブの上にスプレーノズルを搭載することができる。噴霧器を使用して、ウェブの表面に細かい霧を塗布することもできる。
【0142】
他の実施形態では、コーティング組成物は、任意の種類のオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、デジタル印刷などによって、紙ウェブ上に印刷することができる。
【0143】
他の実施形態では、コーティング組成物は、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ショートドウェルコーティング、キャストコーティングなど、紙ウェブの一面または両面上にコーティングすることができる。
【0144】
他の実施形態では、コーティング組成物は、紙ウェブの表面上に押出することができる。例えば押出法は、本発明と矛盾しない程度に参照によって本明細書に組み込まれる、2001年2月22日公開のPCT出願WO2001/12414に開示されている。
【0145】
他の実施形態では、コーティング組成物は、個々の繊維に塗布することができる。例えば粉砕されたまたはフラッシュ乾燥した繊維を、化合物のエアロゾルまたはスプレーと組み合わせた気流に取り込んで、紙ウェブまたは他の繊維物品に組み込む前に個々の繊維を処理することができる。
【0146】
他の実施形態では、分散液は、紙ウェブへの塗布前またはその最中に加熱することができる。塗布を容易にするために、組成物の加熱によって粘度を低減することができる。例えば、添加組成物は50℃〜150℃の温度に加熱することができる。
【0147】
他の実施形態では、湿潤または乾燥紙ウェブに、溶液またはスラリーとしてのコーティング組成物を含浸させることができ、ここでコーティング組成物は、ウェブの全ての厚さにわたって完全に浸透することを含み、ウェブの厚さの少なくとも約20パーセント、より具体的にはウェブの厚さの少なくとも約30パーセント、最も具体的にはウェブの厚さの少なくとも約70パーセントなどのウェブの厚さに、かなりの深さで浸透する。湿潤紙ウェブのある有用な含浸方法は、「New Technology to Apply Starch and Other Additives」、Pulp and Paper Canada、100(2):T42−T44(1999年2月)に記載のような、ニューヨーク州ウォータータウンBlack Clawson Corp.製のHYDRA−SIZER(登録商標)系である。この系は、ダイ、調節可能な支持構造、キャッチパンおよび追加の供給系からなる。下向きの液体またはスラリーの薄いカーテンが作り出され、それがその下の移動ウェブと接触する。コーティング材料の広範な塗布量が、良好な実施能により実現可能であると言われている。この系は、比較的乾燥したウェブをカーテンコーティングするために適用することもできる。
【0148】
他の実施形態では、コーティング組成物は、コーティング組成物の局所塗布または含浸のために、圧力差の影響下(例えば真空補助による気泡の含浸)で発泡適用(例えば発泡仕上げ)を使用して、繊維ウェブに塗布することができる。結合剤などの添加剤の発泡適用の原理は、共に本発明と矛盾しない程度に参照によって本明細書に組み込まれる、1981年11月3日発行のPacificiらの米国特許第4,297,860号、「Device for Applying Foam to Textiles」および1988年9月27日発行のG.J.Hopkinsの米国特許第4,773,110号、「Foam Finishing Apparatus and Method」に記載されている。
【0149】
さらに他の実施形態では、コーティング組成物は、コーティング組成物溶液を、既存の繊維ウェブにパッドによって塗布することができる。紙ウェブに塗布するために、コーティング組成物のローラー液体供給を使用することもできる。
【0150】
他の実施形態では、噴霧または他の手段によってコーティング組成物を移動ベルトまたは構造に塗布し、紙ウェブに接触させて化学物質をウェブに塗布することは、2001年6月12日公開のS.EichhornによるPCT公開WO01/49937、「A Method of Applying Treatment Chemicals to a Fiber−Based Planar Product Via a Revolving Belt and Planar Products Made Using Said Method」などに開示されている。
【0151】
紙ウェブへのコーティング組成物の局所塗布は、前述の過程においてドラム乾燥する前に行うことができる。紙ウェブの形成中のコーティング組成物の塗布に加えて、コーティング組成物は、形成後の過程で使用することもできる。例えば一実施形態では、コーティング組成物は、印刷過程中に使用することができる。具体的には、コーティング組成物が紙ウェブのいずれかの面に局所塗布されると、コーティング組成物は紙ウェブに接着することができる。例えば一実施形態では、紙ウェブが形成され乾燥すると、コーティング組成物をそのウェブの少なくとも一面に塗布することができる。一般にコーティング組成物は、ウェブの一面のみに塗布することができ、またはコーティング組成物は、ウェブの各面に塗布することができる。
【0152】
コーティング組成物が既存の紙ウェブに塗布される前に、ウェブの固体レベルは、約10パーセント以上であってよい(即ちウェブは、およそ以下の固体レベル12パーセント、15パーセント、18パーセント、20パーセント、25パーセント、30パーセント、35パーセント、40パーセント、45パーセント、50パーセント、60パーセント、75パーセント、80パーセント、90パーセント、95パーセント、98パーセントおよび99パーセントまたはそれらを超えるいずれかなどの、乾燥固体約10グラムおよび水90グラムを含み、例示的な範囲は、30パーセント〜100パーセント、より具体的には65パーセント〜90パーセントである)。コーティング組成物のいずれかの塗布直後のウェブの固体レベルも、前述の固体レベルのいずれかであってよい。
【0153】
ポリオレフィンの例示的なコーティング重量は、セルロース物品1メートルトン当たりポリオレフィン2.5〜300kgの範囲である(1トン当たりポリマー5〜600lb)。ポリオレフィンの一代替の例示的なコーティング重量は、セルロース物品1メートルトン当たり5〜150kgの範囲である(1トン当たりポリマー10〜300lb)。乾燥コーティングの別の代替の例示的な厚さは、1メートルトン当たりポリオレフィン10〜100kgの範囲である(1トン当たり20〜200lb)。
【0154】
特定の実施形態では、コーティングされた物品は、50g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、40g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、30g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、40g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、20g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、10g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、10g/m未満のコーティング重量を有することができる。一代替実施形態では、コーティングされた物品は、1〜10g/mの範囲のコーティング重量を有することができ、または別の実施形態では、コーティングされた物品は、1.0g/mおよび5.0g/mの範囲のコーティング重量を有することができる。
【0155】
特定の実施形態では、コーティングされた物品は、0.1〜100ミクロンの範囲のコーティングの厚さを有することができる。0.1〜100ミクロンのあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、コーティングされた物品は、下限1、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80または90ミクロンから、上限5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95ミクロンのコーティングの厚さを有することができる。例えば、コーティングされた物品は、0.1〜15、0.1〜10ミクロンまたは0.1〜5ミクロンの範囲のコーティングの厚さを有することができる。
【0156】
本開示によるコーティング組成物を組み込む前述の過程の1つに従って紙ウェブが生成されると、コーティング組成物を含有するウェブに圧力および/または熱を適用することによって、ウェブを、他のウェブを用いてエンボス加工し、縮れ加工し、および/またはラミネート加工することができる。その過程の最中に、コーティング組成物は、物品にエンボスを形成することができ、および/または紙ウェブと他の隣接ウェブとの結合のための結合領域を形成することができる。コーティング組成物の使用は、エンボス加工、縮れ加工、またはラミネート加工過程を幾つかの方法で包含する。例えば、エンボス加工されたパターンは、コーティング組成物の存在により、かなり明確に画定することができる。さらに、エンボス加工は耐水性があるだけでなく、予想外に、コーティング組成物を含有する紙ウェブは、そのウェブを著しく弱めることなくエンボス加工できることが発見されている。特に、コーティング組成物を含有する紙ウェブは、機械方向または機械の横方向のいずれも約5パーセント以上ウェブの引張り強度を低減することなく、エンボス加工できることが発見されている。実に、幾つかの実施形態では、ウェブの引張り強度は実際、エンボス加工過程後に増大することができる。
【0157】
多層物品を形成する場合、得られる紙物品は、2層、3層またはそれ以上を含むことができる。隣接する各層はコーティング組成物を含有することができ、またはある別の層に隣接している各層の少なくとも1つの層が、コーティング組成物を含有することができる。個々の層は一般に、同じまたは異なる繊維供給物から製造することができ、同じまたは異なる方法によって製造することができる。
【0158】
他の実施形態では、コーティング組成物は、紙物品が製造された後に塗布することができる。即ち本発明の実施形態に従って形成されたコーティング組成物は、例えば紙変換器(paper converter)などによって、予め形成された副産物に添加することができる。本発明の実施形態は、紙の製造中またはオフライン適用における「インライン過程(in-line process)」で使用することができる。一例は、紙が機械上で予め粘土コーティングされる場合である。次いでその生成物は、一代替として、押出コーティング構造に塗布されたコーティング組成物を有することができる。
【0159】
組込まれたコーティング組成物の乾燥
前述の通り、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物は、任意の従来の乾燥法によって乾燥することができる。そのような従来の乾燥法には、それに限定されるものではないが、空気乾燥、対流式オーブン乾燥、熱風乾燥、電子レンジ乾燥および/または赤外線オーブン乾燥が含まれる。例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物は、任意の温度で乾燥することができ、例えば該組成物は、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度で乾燥することができ、または代替として、該組成物は、ベースポリマーの融点未満の範囲の温度で乾燥することができる。例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物は、60°F(15.5℃)〜700°F(371℃)の範囲の温度で乾燥することができる。60°F(15.5℃)〜700°F(371℃)のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物は、60°F(15.5℃)〜500°F(260℃)の範囲の温度で乾燥することができ、または代替として、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物は、60°F(15.5℃)〜450°F(232.2℃)の範囲の温度で乾燥することができる。例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度に、約40分未満上昇させることができる。約40分未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度に、約20分未満上昇させることができ、または代替として、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度に、約5分未満上昇させることができ、または別の代替として、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度に、0.5〜300秒の範囲の間上昇させることができる。別の代替として、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度に、約40分未満上昇させることができる。約40分未満のあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度に、約20分未満上昇させることができ、または代替として、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度に、約5分未満上昇させることができ、または別の代替として、例えばセルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物の温度は、ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度に、0.5〜300秒の範囲の間上昇させることができる。
【0160】
例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物を、ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度で乾燥させることは、それによって、その中に分散した個々のベースポリマー相を伴う連続的な安定剤相を有するフィルムの形成が容易になり、したがってコーティング組成物を組み込むセルロース系組成物の再崩壊性(rebrokeability)が改善されることから、重要である。
【0161】
例えば、セルロース系材料を含む基材の上またはその中に組み込まれたコーティング組成物を、ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度で乾燥させることは、それによって、その中に分散した個々の安定剤相を伴う連続的なベースポリマー相を有するフィルムの形成が容易になり、したがって耐油脂性が改善されると同時に水蒸気透過のための障壁が提供されることから、重要である。
【0162】
コーティング組成物への任意選択の化学物質添加剤
任意選択の化学物質添加剤を、コーティング組成物または紙に添加して、本物品および/または本方法に追加の利益を付与することもできるが、これらは本発明の所期の利益に相反(antagonistic)しないものである。以下の材料は、本発明のコーティング組成物と共に、またはそれに加えて紙シートに塗布することができる追加の化学物質の例として含まれる。そのような添加剤は、コーティング組成物の添加前または添加後などの製紙過程の任意の地点で添加することができる。それらは、コーティング組成物と同時に添加することもできる。それらは、コーティング組成物とブレンドすることができる。
【0163】
本発明において使用できる任意選択の化学物質添加剤には、それぞれが参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,949,167号および米国特許第6,897,168号に開示のものが含まれる。例えば、任意選択の化学物質添加剤には、中でも疎水性添加剤、湿潤剤、結合剤、荷電促進剤または荷電抑制剤、湿潤強化剤、一時的湿潤強化剤および乾燥強化剤を含む強化剤、剥離剤、軟化剤、合成繊維、臭気抑制剤、芳香剤、超吸収粒子などの吸収助剤、染料、光沢剤、ローションまたは他のスキンケア添加剤、抗粘着剤(detackifying agent)、微粒子、マイクロカプセルおよび他の送達ビヒクル、保存剤および抗菌剤、洗浄剤、シリコーン、軟化剤、表面滑沢調節剤(surface feel modifier)、乳白剤、pH調節剤、ならびに乾燥助剤が含まれ得る。
【0164】
そのような材料および化学物質の適用点(application point)は、本発明には特に関係なく、そのような材料および化学物質は、製紙過程の任意の点で適用することができる。これには、パルプの前処理、該過程のウェットエンドにおける同時適用、乾燥後の製紙機械上での後処理および局所的後処理が含まれる。化学物質添加剤は、前述のコーティング組成物と共に、紙ウェブと組み合わせることができ、紙ウェブに組み込むこともできる。
【0165】
最終用途適用
本発明に従って調製されたコーティングされた物品は、紙および板紙物品、新聞印刷用紙、非コーティング砕木、コーティング砕木、コーティングフリーシート、非コーティングフリーシート、包装および工業紙、ラベル紙、セキュリティー用紙、写真用紙、インクジェット紙等の特殊紙、ライナーボード、中芯紙、再利用板紙、紙タオル、ティッシュおよび漂白板紙などの広範な適用に合わせて使用することができる。本発明に従って製造したウェブは、おむつ、生理用ナプキン、複合材料、成形紙物品、紙コップ、紙皿等に使用することができる。
【0166】
本発明の利点には、改善された再パルプ化能が含まれる。再パルプ化能は、紙組成物の再利用される能力を指す。運転開始/運転停止中に製造されるエッジトリムおよび紙は、一般に再破壊され(パルプのスラリーに再変換され)、未使用の紙を製造するために再度使用される。多くの従来のポリオレフィン組成物は、再破壊できない。しかし本発明のコーティングされた紙物品は、再破壊できる。コーティングされた物品は、任意の再パルプ化特性を有することができ、例えばコーティングされた物品は、改善された再パルプ化特性を有し、即ちコーティングされた物品は、比較となるコーティングされた物品、即ち本発明のコーティング組成物以外のポリマーコーティング組成物を含むコーティングされた物品よりも、およそ少なくとも30パーセント小さい大きさの小片に破壊することができる。およそ少なくとも30パーセント小さい大きさを超えるあらゆる個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、コーティングされた物品は、比較となるコーティングされた物品、即ち本発明のコーティング組成物以外のポリマーコーティング組成物を含むコーティングされた物品よりも、およそ少なくとも35パーセント小さい大きさの小片に破壊することができ、または代替として、コーティングされた物品は、比較となるコーティングされた物品、即ち本発明のコーティング組成物以外のポリマーコーティング組成物を含むコーティングされた物品よりも、およそ少なくとも40パーセント小さい大きさの小片に破壊することができ、または代替として、コーティングされた物品は、比較となるコーティングされた物品、即ち本発明のコーティング組成物以外のポリマーコーティング組成物を含むコーティングされた物品よりも、およそ少なくとも45パーセント小さい大きさの小片に破壊することができ、または代替として、コーティングされた物品は、比較となるコーティングされた物品、即ち本発明のコーティング組成物以外のポリマーコーティング組成物を含むコーティングされた物品よりも、およそ少なくとも50パーセント小さい大きさの小片に破壊することができる。
【実施例】
【0167】
以下の実施例は本発明を例示しているが、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の以下の実施例は、本発明のコーティングされた紙物品の改善された再パルプ化特性を示している。
【0168】
実施例1〜10および比較例1〜2を、以下の手順に従って調製した。表IおよびIIに示される通り、実施例1〜10および比較例1〜2の配合成分を、空気ミキサーを用いて穏やかな低せん断で混合し、それによって実施例のコーティング組成物1〜10および比較例のコーティング組成物1〜2を生成した。続いて、実施例のコーティング組成物1〜10および比較例のコーティング組成物1〜2を、制御圧力下でワイヤーコーティング装置を用いて紙基材に塗布し、それによって制御されたコーティング重量(紙基材1平方メートル当たりコーティング組成物8g)を有する実施例のコンポジット(composites)1〜10および比較例のコンポジット1〜2を生成した。次いで、実施例のコンポジット1〜10および比較例のコンポジット1〜2を350°Fで約3分間乾燥させ、それによって実施例のコーティングされた紙物品1〜10および比較例の紙物品1〜2を生成した。その後、これらのコーティングされた紙物品を、以下に記載の再パルプ化試験法に従って、それらの再パルプ化能について試験した。結果を図1〜10および表IIIに示す。
【0169】
配合成分(Formulation Components)
DPOD 8501は、The Dow Chemical Companyによって提供されている水性分散液であり、これは、ベースポリマーとして、ASTM D1238により約5g/10分のメルトインデックスおよびASTM 792により0.870g/ccの範囲の密度を有するエチレン/1−オクテンコポリマーである、The Dow Chemical Companyから市販のAffinity(商標)EG8200、安定剤として、約13.8g/10分の溶融流量(生成時に測定)および約0.958g/ccの密度を有するエチレンアクリル酸コポリマーである、The Dow Chemical Companyから市販のPrimocore(商標)5980i、ならびに媒体として水を含む。
【0170】
Mocryl(商標)132は、7.9〜9.0の範囲のpH、25℃で450〜1500CPSの粘度および約1.06の比重(水は比重1を有する)を有する溶液中の樹脂であり、これは、アクリルポリマー(約31〜33重量パーセント)、水(約65〜67重量パーセント)、水性アンモニア(0.2重量パーセント以下)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(約1〜2重量パーセント)、個々の残りのモノマー(任意選択、0.1重量パーセント未満)を含み、Rohn and Haas Companyから市販されている。
【0171】
CP 615NAは、固体約50重量パーセント、pH約6.5、粒径約1200オングストロームを有し、高レベルのカルボキシル化を伴う、The Dow Chemical Companyによって提供されている改変(modified)スチレン−ブタジエンラテックスである。
【0172】
XU 30903.50は、固体約50重量パーセント、pH約7.5、粒径約1850オングストロームを有し、中程度のレベルのカルボキシル化およびTg=40Cを伴う、The Dow Chemical Companyによって提供されている改変スチレン−ブタジエンラテックスである。
【0173】
XU 31322は、固体約50重量パーセント、pH約7.5、粒径約1250オングストロームを有し、中程度のレベルのカルボキシル化を伴う、The Dow Chemical Companyによって提供されている改変スチレン−ブタジエンラテックスである。
【0174】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0175】
再パルプ化能は、以下の方法に従って測定した。コーティングされた紙物品12グラムを、平方インチの約半分の小片にカットする。カットした小片および水1000mlを、TAPPI粉砕機に添加する。粉砕機を作動して、回転数を750にする。十分に混合したパルプ/水溶液の一部を、黒色磨耗チャート(black scrub chart)上に置く。繊維および残りのコーティング塊を観測し、それらの大きさを記録した。良好な再パルプ化コーティング試験は、主に繊維を有し、可視のコーティング塊が殆どないはずである。
【0176】
密度を、ASTM D792−03、方法Bに従って、イソプロパノール中で測定した。
【0177】
メルトインデックス(I)を、ASTM D−1238−03に従って、2.16kgの負荷の下、190℃で測定した。
【0178】
標準のCRYSTAF法
分岐分布を、スペインバレンシアPolymerCharから市販のCRYSTAF 200装置を使用して、結晶化分析分別法(CRYSTAF)によって決定する。サンプルを、1,2,4トリクロロベンゼンに160℃(0.66mg/mL)で1時間溶解し、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、冷却速度0.2℃/分で95〜30℃の範囲である。赤外線検出機を使用して、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積溶解濃度を、温度を下げると同時にポリマーが結晶化する際に測定する。累積プロファイルの分析的導関数は、ポリマーの単鎖分岐分布を反映している。
【0179】
CRYSTAFピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b、スペインバレンシアPolymerChar)に含まれているピーク分析モジュールによって同定する。CRYSTAFピークの発見ルーティンによって、dW/dT曲線における最大値としてのピーク温度、および導関数曲線において同定されたピークのいずれかの側の正の最大変曲間の面積が同定される。CRYSTAF曲線を算出するために、好ましい処理パラメータは、70℃の温度制限、および0.1の温度制限を超え0.3の温度制限未満の平滑パラメータを含む。
【0180】
曲げ(Flexural)/割線係数(Secant Modulus)/貯蔵係数(Storage Modulus)
サンプルを、ASTM D1928を使用して圧縮成形する。曲げおよび2パーセントの割線係数を、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵係数を、ASTM D5026−01またはそれに相当する技術に従って測定する。
【0181】
DSC標準方法
示差走査熱量測定の結果を、RCS冷却用付属品およびオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000DSCを使用して決定する。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。サンプルを薄いフィルムに圧縮し、約175℃のプレス内で溶融させ、次いで室温(25℃)に空気冷却する。次いで、材料3〜10mgを、直径6mmのディスクにカットし、正確に秤量し、軽量アルミニウムパン(pan)(約50mg)に入れ、次いで封止して縮れさせる。サンプルの熱挙動を、以下の温度プロファイルで調査する。サンプルを180℃に急速に加熱し、等温で3分間維持して、それ以前の任意の熱履歴を除去する。次いでサンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃に冷却し、−40℃で3分間維持する。次いでサンプルを10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する。冷却および第2の加熱曲線を記録する。
【0182】
DSC溶融ピークを、−30℃と溶融終了の間に引かれた線形ベースラインに対して、熱流量(heat flow rate)(W/g)の最大値として測定する。融解熱を、線形ベースラインを使用して−30℃と溶融終了の間の溶融曲線の下の面積として測定する。
【0183】
DSCの較正を以下の通り実施する。第1に、いかなるサンプルもなしにアルミニウムDSCパンで−90℃からDSCを実施することによって、ベースラインを得る。次いで新しい(fresh)インジウムサンプル7ミリグラムを、そのサンプルを180℃に加熱し、10℃/分の冷却速度でサンプルを140℃に冷却し、その後サンプルを140℃で1分間、等温に維持し、その後サンプルを1分当たり10℃の加熱速度で140℃から180℃に加熱することによって分析する。インジウムサンプルの融解熱および溶融の開始を決定し、溶融の開始については156.6℃から0.5℃以内にあること、および融解については28.71J/gから0.5J/g以内にあることをチェックする。脱イオン水を、DSCパン中、1分当たり10℃の冷却速度で25℃から−30℃に新しい少滴の(small drop)サンプルを冷却することによって分析する。サンプルを、−30℃で2分間、等温で維持し、1分当たり10℃の加熱速度で30℃に加熱する。溶融の開始を決定し、0℃から0.5℃以内にあることをチェックする。
【0184】
GPC法
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220装置のいずれかからなる。カラムおよび回転体(carousel)区画は、140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories10−ミクロンのMixed−Bカラムを使用する。溶媒は1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルを、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)200ppmを含有する溶媒50ミリリットル中、ポリマー0.1グラムの濃度で調製する。サンプルを、160℃で2時間、軽く撹拌することによって調製する。使用する注入体積は100マイクロリットルであり、流速(flow rate)は1.0ml/分である。
【0185】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間が少なくとも10離れている6種の「カクテル」混合物として準備した580〜8,400,000の範囲の分子量を有する21の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて実施する。標準は、Polymer Laboratories(英国シュロップシャー)から購入する。ポリスチレン標準は、1,000,000以上の分子量については溶媒50ミリリットル中0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については溶媒50ミリリットル中0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準を、30分間穏やかに撹拌しながら80℃で溶解する。狭い標準の混合物を最初に実施し、最大分子量成分が減少する順に実施して、分解を最小限に抑える。ポリスチレン標準のピーク分子量を、以下の等式を使用してポリエチレン分子量に変換する(WilliamsおよびWard、J.Polym.Sci,Polym.Let.、6、621頁(1968年)に記載の通り):Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0186】
ポリエチレン当量の分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェアVersion 3.0を使用して実施する。
【0187】
ATREF
分析的昇温溶出分別(analytical temperature rising elution fractionation)(ATREF)分析を、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,798,081号およびWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat、I.R.;Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers、J.Polym.Sci、20、441〜455頁(1982年)に記載の方法に従って実施する。分析する組成物を、トリクロロベンゼンに溶解し、0.1℃/分の冷却速度で温度を20℃にゆっくり低減することによって、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)に入れたカラム内で結晶化させる。カラムは、赤外線検出器を備えている。次いで、溶出溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の測度で20℃から120℃にゆっくり増大することにより結晶化ポリマーサンプルをカラムから溶出することによって、ATREFクロマトグラム曲線を作成する。
【0188】
13C NMR分析
サンプルを、テトラクロロエタン−d/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約3gを、10mmNMR管内のサンプル0.4gに添加することによって調製する。管およびその内容物を150℃に加熱することによってサンプルを溶解し、均質化する。JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計またはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を使用して、100.5MHzの13C共振周波数に相当するデータを収集する。6秒のパルス繰返し遅延でデータファイル1個当たり4000のトランジェントを使用して、データを得る。量的分析のための信号対ノイズ(signal-to-noise)の最小値を得るために、多数のデータファイルを積算する。分光幅は、32Kデータポイントの最小ファイルサイズで25,000Hzである。サンプルを、10mmの広帯域プローブにおいて130℃で分析する。コモノマーの組込みは、Randallのトライアッド法(triad method)(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Randall,J.C.;JMS−Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29、201〜317頁(1989年))を使用して決定する。
【0189】
機械的特性−引張り、ヒステリシスおよび引裂き
単軸引張りにおける応力歪み挙動を、ASTM D1708マイクロ引張り(microtensile)用の標本を使用して測定する。サンプルを、Instronを使用して、21℃において1分当たり500パーセントで引き伸ばす。引張り強度および破断点伸びを、5つの標本の平均から報告する。
【0190】
100パーセントおよび300パーセントのヒステリシスを、Instron(商標)装置を用いてASTM D1708マイクロ引張り用の標本を使用して、100パーセントおよび300パーセントまでの繰返し荷重から決定する。サンプルを、21℃において3回のサイクルにつき1分当たり267パーセントの負荷をかけ、除荷する。300パーセントおよび80℃における繰返し実験を、環境室を使用して実施する。80℃における実験では、サンプルを、試験の前に試験温度で45分間平衡化させる。21℃の300パーセントの歪み繰返し実験では、第1の除荷サイクルからの150パーセントの歪みにおける収縮応力を記録する。全ての実験について、負荷がベースラインに戻る歪みを使用して、第1の除荷サイクルから回復パーセントを算出する。回復パーセントは以下のように定義される。
【0191】
【数1】


式中、εは、繰返し負荷について得た歪み(strain)であり、εは、負荷が第1の除荷サイクル中にベースラインに戻る歪みである。
【0192】
ブロックインデックス
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0を超え最大約1.0である平均ブロックインデックスABIおよび約1.3を超える分子量分布M/Mによって特徴付けられる。平均ブロックインデックスABIは、20℃および110℃から、増分5℃(1℃、2℃、10℃などの他の温度増分を使用することもできる)で、事前TREF(即ち昇温溶出分別によるポリマーの分画)において得られたポリマー画分のそれぞれに関するブロックインデックス(「BI」)の重量平均である。
【0193】
【数2】


式中、BIは、分取TREF(preparative TREF)で得られた本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の(ith)画分のブロックインデックスであり、wは、i番目の画分の重量パーセンテージである。同様に、以下二次モーメント重量平均ブロックインデックスと呼ばれる平均についての二次モーメントの平方根は、以下のように定義することができる。
【0194】
【数3】


式中、Nは0を超えるBIを有する画分の数と定義される。BIは、以下の2つの等式の一方によって定義される(両方、同じBI値をもたらす)。
【0195】
【数4】


式中、Tは、i番目の画分のATREF(即ち分析的TREF)溶出温度であり(好ましくはKelvinで表される)、Pは、以下に記載の通りNMRまたはIRによって測定することができるi番目の画分のエチレンモル分率である。PABは、やはりNMRまたはIRによって測定することができる全てのエチレン/α−オレフィンインターポリマー(分画前)のエチレンモル分率である。TおよびPは、純粋な「硬質セグメント」(インターポリマーの結晶セグメントと呼ばれる)のATREF溶出温度およびエチレンモル分率である。近似として、または「硬質セグメント」組成物が知られていないポリマーについては、TおよびP値は、高密度ポリエチレンホモポリマーの値に設定される。
【0196】
ABは、オレフィンブロックコポリマーと同じ組成(PABのエチレンモル分率を有する)および分子量のランダムコポリマーのATREF溶出温度である。TABは、以下の等式を使用して、エチレンのモル分率(NMRによって測定)から算出することができる。
Ln PAB=α/TAB+β
式中、αおよびβは、幅広い組成のランダムコポリマーおよび/または狭い組成の十分に特徴付けられたランダムエチレンコポリマーの、幾つかの十分に特徴付けられた分取TREF画分を使用する較正によって決定することができる2つの定数である。αおよびβは、装置により変わり得ることに留意されたい。さらに、較正を作成するために使用される分取TREF画分および/またはランダムコポリマーの適切な分子量範囲およびコモノマーの種類を使用して、対象のポリマー組成物で適切な較正曲線を作成する必要がある。分子量の作用は僅かである。類似の分子量範囲から較正曲線が得られる場合、そのような作用は本質的に無視できる。幾つかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマーおよび/またはランダムコポリマーの分取TREF画分は、以下の関係式を満たす。
Ln P=−237.83/TATREF+0.639
上記の較正方程式は、狭い組成のランダムコポリマーについての分析的TREF溶出温度TATREFおよび/または幅広い組成のランダムコポリマーの分取TREF画分に対するエチレンのモル分率Pに関する。TXOは、同じ組成(即ち同じコモノマーの種類および内容)および同じ分子量の、エチレンモル分率Pを有するランダムコポリマーのATREF温度である。TXOは、測定したPモル分率から、LnPX=α/TXO+βにより算出することができる。逆にPXOは、同じ組成(即ち同じコモノマーの種類および内容)および同じ分子量の、ATREF温度Tを有するランダムコポリマーのエチレンモル分率であり、これは、Tの測定値を使用して、LnPXO=α/T+βにより算出することができる。各分取TREF画分のブロックインデックス(BI)が得られると、全ポリマーについて重量平均ブロックインデックスABIを算出することができる。
【0197】
本発明は、その精神および本質的な特質から逸脱せずに他の形態として具体化することができ、したがって本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【0198】
【表1】

【0199】
【表2】

【0200】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびに
アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング組成物。
【請求項2】
前記エチレン系熱可塑性ポリマーが、エチレンならびにプロピレン、C〜C20直鎖、分岐または環式ジエン、酢酸ビニルおよび式HC=CHR(式中、Rは、C〜C20直鎖、分岐または環式アルキル基あるいはC〜C20アリール基である)によって表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のコモノマーのαオレフィンインターポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記プロピレン系熱可塑性ポリマーが、プロピレンならびにエチレン、C〜C20直鎖、分岐または環式ジエンおよび式HC=CHR(式中、Rは、C〜C20直鎖、分岐または環式アルキル基あるいはC〜C20アリール基である)によって表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のコモノマーのαオレフィンインターポリマーである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記分散液が、少なくとも1つまたは複数のベースポリマーおよび少なくとも1つまたは複数の安定剤の組合せを、前記分散液の総体積に対して25〜74体積パーセント含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリマー溶液を、前記コーティング組成物の重量に対して10重量パーセント未満含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記エマルジョンポリマーラテックスを、前記コーティング組成物の重量に対して50重量パーセント未満含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
架橋剤をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記架橋剤が炭酸亜鉛アンモニウムである、請求項8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記炭酸亜鉛アンモニウムを2〜7重量パーセント含む、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記分散液を、前記コーティング組成物の総重量に対して少なくとも50重量パーセント含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記安定剤が、部分的または完全に中和されたエチレン−酸コポリマーを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
少なくとも一部の水が、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される前記ベースポリマーの融点温度未満の範囲の温度で除去される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
少なくとも一部の水が、エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される前記ベースポリマーの融点温度以上の範囲の温度で除去される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
セルロース系材料を含む基材および
前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在する少なくとも1つまたは複数のコーティング層を含み、前記コーティング層が、
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング組成物から得られる、コーティングされた製品。
【請求項16】
セルロース系材料を含む基材および
前記セルロース系基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に存在するコーティング組成物を含み、前記コーティング組成物が、
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびに
アクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング塗布製品を含む、コーティングされた製品。
【請求項17】
前記コーティング組成物が、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面上に、コーティング、噴霧、押出、含浸またはパッドによって塗布される、請求項16に記載のコーティングされた製品。
【請求項18】
前記基材1平方メートル当たりコーティング組成物を1重量g〜10重量g含む、請求項15または16に記載のコーティングされた製品。
【請求項19】
前記基材が、天然セルロース繊維、合成セルロース繊維およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数の繊維を含む、請求項15または16に記載のコーティングされた製品。
【請求項20】
セルロース系材料を含む基材を選択するステップ、
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング組成物を選択するステップ、
前記コーティング組成物を、前記基材の少なくとも1つまたは複数の表面に塗布するステップ、
少なくとも一部の水を除去するステップ、
それによって前記コーティングされた製品を形成するステップ
を含む、コーティングされた製品の製造方法。
【請求項21】
1つまたは複数のセルロース繊維を選択するステップ、
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング組成物を選択するステップ、
前記コーティング組成物を、前記1つまたは複数のセルロース繊維上に組み込むステップ、
前記コーティング組成物を組み込む前記1つまたは複数のセルロース繊維を、ウェブに形成するステップ、
少なくとも一部の水を除去するステップ、
それによって前記コーティングされたセルロース製品を形成するステップ
を含む、コーティングされた製品の製造方法。
【請求項22】
1つまたは複数のセルロース繊維を選択するステップ、
エチレン系熱可塑性ポリマー、プロピレン系熱可塑性ポリマーおよびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数のベースポリマー、
少なくとも1つまたは複数の安定剤、ならびに
液体媒体
を含む分散液;ならびにアクリルポリマー溶液、エマルジョンポリマーラテックスまたはその組合せ
を含むコーティング組成物を選択するステップ、
前記コーティング組成物を、前記1つまたは複数のセルロース繊維上に組み込むステップ、
少なくとも一部の水を除去するステップ、
前記コーティング組成物を組み込む前記1つまたは複数のセルロース繊維を、ウェブに形成するステップ、
それによって前記コーティングされたセルロース製品を形成するステップ
を含む、コーティングされた製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−503386(P2011−503386A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534197(P2010−534197)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083482
【国際公開番号】WO2009/064942
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】