説明

コードシンボル読取装置及びその制御プログラム

【課題】操作に不慣れなオペレータであってもコードシンボルが確実に走査領域に入るようにコードシンボルの向きや位置を調整できるようにする。
【解決手段】コードシンボルの読取位置を走査する光ビームの走査領域全域を含む当該走査領域より広い撮像領域を撮像装置12で撮像する。撮像装置12により撮像された撮像領域の画像から、候補領域検出手段32は、コードシンボルの候補となる画像領域を検出する。コードシンボルの候補となる画像領域が検出されたにも拘らずコードシンボルを読み取れないとき、方向判定手段34は、コードシンボルの候補となる画像領域が走査領域に重なる方向を判定する。方向報知手段35は、判定された方向を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームを走査してバーコード等のコードシンボルを読み取るコードシンボル読取装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ビームを走査してバーコードを読み取るバーコード読取装置がある。この種のバーコード読取装置において、光ビームの走査領域に焦点位置が設定された撮像装置と、この撮像装置用のモニタ装置とを設け、さらに、モニタ装置の表示面上に走査領域の位置を示す指標を設けたものは既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなバーコード読取装置であれば、オペレータは、モニタ装置に表示される画像から、光ビームの走査領域にバーコードを簡易に位置させることができる、という効果を奏する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、操作に慣れたオペレータの場合は、モニタ装置に表示される画像から、バーコードの向きや位置を調整して、バーコードを走査領域に確実に入れることができるものの、操作に不慣れなオペレータの場合は、画像を見てもバーコードをどちらの方向に動かせばよいのか判断できず、調整に手間取ることが多々ある。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、操作に不慣れなオペレータであってもコードシンボルが確実に走査領域に入るようにコードシンボルの向きや位置を調整することができ、コードシンボルの読み取りに要する時間の短縮を図り得るコードシンボル読取装置及びその制御プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコードシンボル読取装置は、光ビームを走査してコードシンボルを読み取るものであって、コードシンボルの読取位置を走査する光ビームの走査領域全域を含む当該走査領域より広い撮像領域を撮像する撮像手段と、この撮像手段により撮像された撮像領域の画像からコードシンボルの候補となる画像領域を検出する候補領域検出手段と、この候補領域検出手段によりコードシンボルの候補となる画像領域が検出されたにも拘らずコードシンボルを読み取れないとき、コードシンボルの候補となる画像領域が走査領域に重なる方向を判定する方向判定手段と、この方向判定手段により判定された方向を報知する方向報知手段と、を備えたものである。
【0007】
本発明の制御プログラムは、光ビームを走査してコードシンボルを読み取るコードシンボル読取装置を、前記候補領域検出手段、方向判定手段、及び、方向報知手段として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0008】
かかる手段を講じた本発明によれば、操作に不慣れなオペレータであってもコードシンボルが確実に走査領域に入るようにコードシンボルの向きや位置を調整することができ、コードシンボルの読み取りに要する時間の短縮を図ることができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態であるチェックアウト端末の外観斜視図。
【図2】同チェックアウト端末に設けられるバーコード読取装置のブロック構成図。
【図3】同バーコード読取装置の制御部が制御プログラムに基づいて実行する処理手順の流れ図。
【図4】図3におけるガイドメッセージ選択処理の手順を具体的に示す流れ図。
【図5】スキャナによる走査領域と撮像装置による撮像領域との対応関係を模式的に示す図。
【図6】本実施形態のバーコード読取装置が有するメッセージテーブルのデータ構成図。
【図7】本実施形態において、チェックアウト端末の表示器に表示される商品登録待ち画面の一例を示す平面図。
【図8】本実施形態において、バーコードが走査領域の下に位置しているときの撮像画像表示部の一表示例を示す平面図。
【図9】本実施形態において、バーコードが走査領域内に位置しているもののバーコードデータが読み取られていないときの撮像画像表示部の一表示例を示す平面図。
【図10】本実施形態において、バーコードが走査領域内に位置しておりバーコードデータが読み取られたときの撮像画像表示部の一表示例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のコードシンボル読取装置を、セルフスキャニング方式のチェックアウト端末1に組み込まれるバーコード読取装置8として適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態におけるチェックアウト端末1の外観斜視図である。当該チェックアウト端末1は、商品情報を登録していない商品を載置するための荷受面2aが設けられた未登録商品載置台2と、商品情報の登録を終えた商品を載置するための荷受面3aが設けられた登録済商品載置台3と、登録済商品載置台3の上に設置された端末本体4とを備えている。また、登録済商品載置台3の荷受面3a上に、レジ袋の持ち手部分を掛止めするための一対の掛止め部5を設けている。
【0012】
未登録商品載置台2と登録済商品載置台3は、それぞれ荷受面2a,3aに載置された商品の重量を計測するための重量計測ユニットを備えている。これらの重量計測ユニットによって計測された重量は、商品の登録漏れや不正を防止するための重量チェックに用いられる。
【0013】
端末本体4は、その上部に表示器6を取り付け、一側部に電子決済端末7を取り付けている。表示器6は、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、OEL(Organic Electro-Luminescence)等のディスプレイ6aの画面上にタッチパネル6bを配置する。電子決済端末7は、電子マネー媒体と無線通信を行い、商取引代金の電子決済を処理する。
【0014】
端末本体4は、その内部にバーコード読取装置8とレシートプリンタ9とを搭載しており、正面にバーコード読取窓10とレシート発行口11とを形成している。さらに、バーコード読取窓10の上部に、CCDカメラからなる撮像装置12を取り付けている。
【0015】
バーコード読取装置8は、バーコード読取窓10のガラス面にかざされた商品に付されているバーコードを読み取る。レシートプリンタ9は、商取引内容を記録したレシートを印字し、レシート発行口11から発行する。撮像装置12は、バーコード読取窓10のガラス面にかざされた商品を撮像できるように焦点位置が調整されている。
【0016】
図2は、バーコード読取装置8の構成を機能的に示すブロック図である。バーコード読取装置8は、CPU(Central Processing Unit)等で構成される制御部21を主体に、プログラム記憶部22、前記撮像装置12、画像メモリ23、スキャナ24、インターフェース25、ブザー26、メッセージテーブル27及び撮像画像表示部28を備えている。
【0017】
プログラム記憶部22は、後述する制御プログラムを記憶する。撮像装置12は、エリアイメージセンサであるCCD撮像素子及びその駆動回路と、撮像領域の画像をCCD撮像素子に結像させるための撮像レンズとを備える。撮像装置12は、撮像レンズを通ってCCD撮像素子に結像した撮像領域の画像をフレーム単位に制御部21へ出力する。画像メモリ23は、撮像装置12から出力されるフレーム画像を順次展開して記憶する。
【0018】
スキャナ24は、光ビームを出射する光源と、光源から出射された光ビームを反射させる回転ミラーと、回転ミラーに反射した光ビームを反射させる複数枚の固定ミラーと、光強度を検出する受光素子と、受光素子から出力される電気信号を処理する信号処理部とを備える。スキャナ24は、固定ミラーに反射した複数の光ビームをバーコード読取窓10から出射させて、バーコード読取窓10の手前側にて光ビームを二次元的に走査させる。そして、バーコード読取窓10にかざされた商品からの反射光を受光素子で受光し、受光素子から出力される電気信号を信号処理部で処理することによって、商品に設けられたバーコードを読み取る。
【0019】
ここで、スキャナ24による光ビームの走査領域と、撮像装置12による撮像領域との対応関係について、図5の模式図を用いて説明する。図5において、二点鎖線の領域40は、光ビーム41の走査領域を示しており、実線の領域50は、撮像装置12の撮像領域を示している。図5に示すように、撮像領域50は、走査領域40より広く、かつ走査領域40の全てを含んでいる。ここに、撮像装置12は、バーコードの読取位置を走査する光ビーム41の走査領域40全域を含む当該走査領域40より広い撮像領域50を撮像する撮像手段を構成する。
【0020】
インターフェース25は、スキャナ24で読み取られたバーコードのデータをチェックアウト端末1のメインCPUに出力する。ブザー26は、インターフェース25を介してバーコードデータが出力されたことに応じて所定の読取完了音を鳴動する。メッセージテーブル27は、オペレータに対するガイドメッセージのデータを記憶する。撮像画像表示部28は、撮像装置12によって撮像された撮像領域の画像をリアルタイムに表示する。
【0021】
制御部21は、プログラム記憶部22に記憶された制御プログラムに従い、撮像画像表示手段31、候補領域検出手段32、スキャナ駆動手段33、方向判定手段34及び方向報知手段35としての機能を実現する。以下、各手段について、図3及び図4の流れ図を用いて説明する。
【0022】
制御プログラムが起動すると、制御部21は、図3の流れ図に示す処理を開始する。先ず、制御部21は、ST(ステップ)1として撮像装置12にて撮像されたフレーム画像を取り込み、画像メモリ23に展開する。次に、制御部21は、ST2として画像メモリ23に展開された画像データから、撮像画像の左右を反転させた鏡像画像のデータを作成する。撮像画像の鏡像を作成したならば、制御部21は、ST3としてこの鏡像を、撮像画像表示部28に表示させる。
【0023】
撮像画像表示部28は、チェックアウト端末1のディスプレイ6aに表示される商品登録待ち画面60の一部に形成される。商品登録待ち画面60の一例を図7に示す。図7の例では、登録済商品の明細表示欄61と、登録済商品の合計表示欄62と、バーコードのない商品の分類を示すタッチボタン領域63とが商品登録待ち画面60に配置されている。バーコード読取装置8は、商品登録待ち画面60の中央下側に、矩形の撮像画像表示部28を形成する。すなわち、端末本体4の正面に形成されたバーコード読取窓10の略真上に撮像画像表示部28を形成する。
【0024】
ここに、撮像装置12にて撮像された画像を表示器6に表示させる撮像画像表示手段31は、ST1〜ST3の各処理によって実現される。撮像画像表示手段31により表示される画像は、撮像装置12にて撮像された画像を左右反転させた鏡像である。
【0025】
次に、制御部21は、ST4として画像メモリ23に格納されたフレーム画像を解析して、バーコードの候補となる画像領域、いわゆるバーコード候補画像領域を検出する。この処理は、例えば、特許文献2に開示された技術、すなわち文字や模様などを含む画像データの中からバーコードを検出して切り出す技術を利用する。
【0026】
制御部21は、ST5としてバーコード候補画像領域を検出できたか否かを判断する。検出できない場合(ST5のNO)、ST1の処理に戻る。そして、撮像装置12から次フレームの撮像画像データを取り込んで、前記ST2,3,4の各処理を再度実行する。
【0027】
バーコード候補画像領域を検出できた場合(ST5のYES)、制御部21は、ST6として撮像画像表示部28に表示されている撮像画像上において、バーコード候補画像領域を枠で囲う。このとき、同時に複数の領域がバーコード候補画像領域として検出された場合には、バーコード候補としての優先度を決定する。優先度は、商品の平面積に対するバーコード候補画像領域の大きさの比率や、商品の外殻形状に対するバーコード候補画像領域の長手方向の向き等の判定条件を基に決定される。制御部21は、最も優先度が高いバーコード候補画像領域を選択して枠で囲う。ここに、撮像装置12にて撮像された画像からバーコードの候補となる画像領域を検出する候補領域検出手段32は、ST4〜ST6の各処理によって実現される。なお、ST6の処理は、候補領域検出手段32から省略することが可能である。
【0028】
バーコード候補画像領域を枠で囲った後、制御部21は、ST7としてスキャナ24を起動させる。スキャナ24が起動すると、光源から出射された光ビームが回転ミラー及び固定ミラーに反射してバーコード読取窓10から走査光として出射される。走査光は物体に反射し、その反射光は受光素子で受光される。このとき、バーコード全体からの反射光が受光されたならば、スキャナ24は、受光信号の処理によってそのバーコードデータを読み取ることができる。しかしながら、バーコードの一部からの反射光しか受光できなかったり、バーコードからの反射光を全く受光できなかったりした場合には、バーコードデータを読み取ることができない。ここに、バーコード候補画像領域が検出されたことを条件に、光ビームを走査させてバーコードを読み取らせるスキャナ駆動手段は、ST7の処理によって実現される。
【0029】
制御部21は、ST8としてスキャナ24によりバーコードデータを読み取ることができたか否かを判定する。バーコードデータを読み取ることができた場合(ST8のYES)、制御部21は、ST9として撮像画像表示部28に表示されている撮像画像の中のバーコード候補画像領域を囲う枠内を所定の色で塗りつぶす。また、ST10としてスキャナ24で読み取られたバーコードデータを、インターフェース25を介してメインCPUに出力する。メインCPUは、バーコード読取装置8から入力されたバーコードデータに基づいて商品情報を登録処理する。
【0030】
これに対し、バーコードデータを読み取ることができなかった場合には(ST8のNO)、制御部21は、ST11としてガイドメッセージの選択処理を実行する。すなわち制御部21は、バーコード候補画像領域が走査領域40に重なる方向を判定し、判定された方向へバーコード候補画像領域を案内するためのガイドメッセージをメッセージテーブル27から選択する。制御部21は、ST12として選択したガイドメッセージを撮像画像表示部28に表示させる。
【0031】
ここに、バーコード候補画像領域が検出されたにも拘らずバーコードを読み取れないとき、バーコード候補画像領域が走査領域40に重なる方向を判定する方向判定手段34は、ST11の処理によって実現される。方向判定手段34により判定された方向を報知する方向報知手段35は、ST12の処理によって実現される。
【0032】
ST10にてメインCPUにバーコードデータを出力するか、ST12にてガイドメッセージを撮像画像表示部28に表示させたならば、制御部21は、ST1に戻る。そして、撮像装置12から次フレームの撮像画像データを取り込んで、ST2以降の各処理を再度実行する。
【0033】
図4は、ガイドメッセージ選択処理(ST11)の具体的な手順を示す流れ図である。ガイドメッセージ選択処理に入ると、制御部21は、ST21としてバーコード候補画像領域が、撮像装置12による撮像画像の中のどの位置に存在しているのかを検出する。この場合において、バーコード候補画像領域が複数ある場合には、最も優先度の高いバーコード候補画像領域の位置を検出する。
【0034】
図5に示すように、本実施形態では、撮像領域50のうち、走査領域40の外側の領域をA〜Fの6区画に区分する。そして、図6に示すデータ内容のメッセージテーブル27を備える。
【0035】
すなわち、メッセージ番号“1”のデータとして、バーコード読取窓10のガラス面にバーコードを近づけることを案内するガイドメッセージ「商品をガラス面に近づけてください」を記憶する。また、メッセージ番号“2”〜“9”のデータとして、撮像領域50の各区画A〜Fに位置するバーコード候補画像領域がそれぞれ走査領域40に重なる方向を案内するガイドメッセージ「商品をXX(方向)に動かしてください」を、区画A〜Fの情報とともに記憶している。
【0036】
ST21の処理では、制御部21は、バーコード候補画像領域の全域が、走査領域40内に存在するか否かを判定する。そして、バーコード候補画像領域の少なくとも一部が走査領域40から外れている場合には、その一部が掛かっている区画A〜Fを検出する。このとき、複数の区画に掛かっている場合には、面積が最も大きい区画を検出する。
【0037】
バーコード候補画像領域が走査領域40内に存在する場合(ST22のYES)、制御部21は、メッセージテーブル27からメッセージ番号“1”のガイドメッセージデータを選択する(ST23)。
【0038】
これに対し、バーコード候補画像領域の少なくとも一部が区画A〜Fに掛かっている場合には(ST22のNO)、制御部21は、メッセージテーブル27からバーコード候補画像領域が存在する区画A〜Fに対応したメッセージ番号“2”〜“7”のガイドメッセージデータを選択する。すなわち、バーコード候補画像領域が区画Aにかかっている場合には(ST24のYES)、メッセージ番号“2”のガイドメッセージデータを選択し(ST25)、区画Bにかかっている場合には(ST26のYES)、メッセージ番号“3”のガイドメッセージデータを選択し(ST27)、区画Cにかかっている場合には(ST28のYES)、メッセージ番号“4”のガイドメッセージデータを選択し(ST29)、区画Dにかかっている場合には(ST30のYES)、メッセージ番号“5”のガイドメッセージデータを選択し(ST31)、区画Eにかかっている場合には(ST32のYES)、メッセージ番号“6”のガイドメッセージデータを選択し(ST33)、区画Fにかかっている場合には(ST22〜ST32のNO)、メッセージ番号“7”のガイドメッセージデータを選択する(ST34)。こうして選択されたいずれかのガイドメッセージは、ST12の処理により撮像画像表示部28に表示される。以上で、ガイドメッセージ選択処理は終了する。
【0039】
かかる構成のバーコード読取装置8を備えたセルフスキャニング方式のチェックアウト端末1は、例えばスーパーマーケットのレジ近傍に設置されている。チェックアウト端末1を利用して買上商品の会計を行う客は、先ず、商品情報を登録していない商品を未登録商品載置台2の荷受面2aに載せる。次に、荷受面2aから商品を1点ずつ取り上げ、その商品に付されているバーコードをバーコード読取窓10にかざす。
【0040】
その結果、バーコード読取装置8によりバーコードデータが読み取られた場合には、ブザー26から読取完了音が発せられる。また、表示器6に表示されている商品登録待ち画面60の明細表示欄61に、当該商品の登録情報が表示される。そこで客は、手に持っていた商品を登録済商品載置台3の荷受面3aに広げられたレジ袋に詰める。
【0041】
これに対し、商品のバーコードをバーコード読取窓10にかざしてもバーコードデータが読み取られなかった場合には、商品登録待ち画面60の撮像画像表示部28に、撮像画像の鏡像とともに所定のガイドメッセージが表示される。
【0042】
図8は、ガイドメッセージが表示された撮像画像表示部28の一表示例である。なお、説明の便宜上、商品以外の画像を省略している。後述する図9及び図10の同様である。商品70に付されたバーコード71の少なくとも一部が、スキャナ24による光ビームの走査領域40から外れ、撮像領域50の区画Eに掛かっている。この場合、メッセージテーブル27からはメッセージ番号“6”のガイドメッセージ「商品を上に動かしてください」が表示される。そこで客は、このメッセージに従い、バーコード読取窓10にかざしている商品70を上に移動させる。
【0043】
図9は、商品70を上に移動させてバーコード51を走査領域40内に位置させたときの撮像画像表示部28の一表示例である。バーコード51が走査領域40内に位置しているものの、バーコードが小さい。このため、スキャナ24は、バーコードを読み取ることができない。この場合、メッセージテーブル27からはメッセージ番号“1”のガイドメッセージ「商品をガラス面に近づけて下さい」が表示される。そこで客は、このメッセージに従い、バーコード読取窓10にかざしている商品70をガラス面に近づける。
【0044】
図10は、商品70をガラス面に近づけたときの撮像画像表示部28の一表示例である。商品70をガラス面に近づけたためにバーコード71が大きくなり、スキャナ24がバーコードデータを読み取ることができる。この場合、バーコード候補画像領域72が、所定の色で塗り潰される。また、ガイドメッセージの表示欄には、固定のメッセージ「バーコードが読み取られました」が表示される。
【0045】
したがって、ガイドメッセージに従って商品を動かしていたオペレータは、バーコード候補画像領域72が所定の色で塗り潰されことによって、バーコードが読み取られことを認識できる。
【0046】
このように、オペレータは、バーコード読取窓10にかざした商品をガイドメッセージに従い移動させるだけで、その商品に付されたバーコードを確実に読み取らせることができる。したがって、セルフスキャニング方式のチェックアウト端末1のように操作に不慣れな客がオペレータであっても、バーコードを確実に読取可能となるようにバーコードの向きや位置を短時間で調整できる。
【0047】
しかも、ガイドメッセージは、表示器6の画面上で、バーコード読取窓10の略真上に設けられた撮像画像表示部28に、鏡像の撮像画像とともに表示される。したがって、オペレータは、撮像画像表示部28に表示される撮像画像を見ながら、商品を当該表示部28の中心方向に移動させればよいので、作業が容易である。よって、バーコードの読取処理に要する時間を短縮でき、処理効率の向上を図ることができる。また、オペレータのストレスも軽減できる。
【0048】
また、バーコード候補画像領域が検出されたことを条件に、スキャナ24を起動してバーコードを読み取らせるようにしている。したがって、スキャナ24が動作するのはバーコード読取窓10にバーコードがかざされたときだけであり、光ビームの無駄な出射を防止できる効果も奏する。
【0049】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0050】
例えば前記実施形態では、方向報知手段35をガイドメッセージの表示手段として説明したが、方向報知手段35はこれに限定されるものではない。例えば、音声合成装置を利用して、ガイドメッセージを音声案内により報知してもよい。この場合、撮像装置12にて撮像された画像を表示器6に表示させる撮像画像表示手段31は、必ずしも必要とはしない。
【0051】
また、前記実施形態は、セルフスキャニング方式のチェックアウト端末1におけるバーコード読取装置8に本発明を適用したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。また、バーコード以外のコードシンボル、たとえば二次元データコードの読取装置にも本発明は適用できるものである。
【0052】
また、前記実施形態では、バーコード候補画像領域が検出されたことを条件にスキャナ24を起動させたが、バーコード候補画像領域が検出されたか否かに係らず、スキャナを予め起動させておいてもよい。その場合でも、バーコードが確実に走査領域に入るようにバーコードの向きや位置を調整することができ、バーコードの読み取りに要する時間の短縮を図ることができるという効果は奏し得る。
【0053】
さらに、前記実施形態では、装置内部のプログラム記憶部22に発明の機能を実現させる制御プログラムが予め記録されているものとしたが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等プログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0054】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…チェックアウト端末、6…表示器、8…バーコード読取装置、10…バーコード読取窓、12…撮像装置、21…制御部、22…プログラム記憶部、23…画像メモリ、24…スキャナ、25…インターフェース、26…ブザー、27…メッセージテーブル、28…撮像画像表示部、31…撮像画像表示手段、32…候補領域検出手段、33…スキャナ駆動手段、34…方向判定手段、35…方向報知手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平05−006484号公報
【特許文献2】特開2005−266907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを走査してコードシンボルを読み取るコードシンボル読取装置において、
前記コードシンボルの読取位置を走査する光ビームの走査領域全域を含む当該走査領域より広い撮像領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記撮像領域の画像から前記コードシンボルの候補となる画像領域を検出する候補領域検出手段と、
この候補領域検出手段により前記コードシンボルの候補となる画像領域が検出されたにも拘らず前記コードシンボルを読み取れないとき、前記コードシンボルの候補となる画像領域が前記走査領域に重なる方向を判定する方向判定手段と、
この方向判定手段により判定された方向を報知する方向報知手段と、
を具備したことを特徴とするコードシンボル読取装置。
【請求項2】
前記方向判定手段により判定される方向は、前記候補領域検出手段により検出された画像領域の大きさが所定の大きさ以上で前記走査領域に重なる方向であることを特徴とする請求項1記載のコードシンボル読取装置。
【請求項3】
前記撮像装置にて撮像された画像を表示器に表示させる撮像画像表示手段、をさらに具備し、
前記方向報知手段は、前記方向判定手段により判定された方向を知らせるガイドメッセージを前記表示器に表示させる手段であることを特徴とする請求項1または2記載のコードシンボル読取装置。
【請求項4】
前記撮像画像表示手段は、前記撮像装置にて撮像された画像を左右反転させた鏡像を表示させることを特徴とする請求項3記載のコードシンボル読取装置。
【請求項5】
前記候補領域検出手段により前記コードシンボルの候補となる画像領域が検出されたことを条件に、前記光ビームを走査させて前記コードシンボルを読み取らせるスキャナ駆動手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1記載のコードシンボル読取装置。
【請求項6】
光ビームを走査してコードシンボルを読み取るコードシンボル読取装置の制御プログラムであって、
前記コードシンボル読取装置を、
前記コードシンボルの読取位置を走査する光ビームの走査領域全域を含む当該走査領域より広い撮像領域を撮像する撮像手段により撮像された前記撮像領域の画像から前記コードシンボルの候補となる画像領域を検出する候補領域検出手段、
この候補領域検出手段により前記コードシンボルの候補となる画像領域が検出されたにも拘らず前記コードシンボルを読み取れないとき、前記コードシンボルの候補となる画像領域が前記走査領域に重なる方向を判定する方向判定手段、及び、
この方向判定手段により判定された方向を報知する方向報知手段、
として、機能させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−165140(P2011−165140A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30542(P2010−30542)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】