説明

コード情報読取装置

【課題】 消費電力の低減が可能で、煩雑な操作が必要ないコード情報読取装置を提供する。
【解決手段】 使用者によるコード情報読取装置100の振る操作に基づく加速度が検出部59の加速度センサにより検出される。加速度センサにより検出された加速度が所定値よりも大きければ、CPU58はレーザダイオード50がレーザ光の枠であるエーミングをコードC上に照射するよう制御する。その後、使用者は撮像のためのトリガーキーを押下する。この場合、CPU58は、レーザダイオード50がエーミング照射を終了するよう制御し、光源51がコードC上にストロボ照明のための光を照射するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード情報を読み取るコード情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バーコードからバーコード情報を読み取るためにバーコード読取装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記バーコード読取装置では、バーコードに光を照射し、その反射光を受光することにより、バーコードの幅情報を時間情報に変換した後、この時間情報を数値化し、2値化データとしてメモリに格納し、メモリに格納された2値化データを復号(デコード)してバーコード情報を読み取る。なお、通常、使用者がバーコードの位置を認識し易くするために、撮像範囲を示すエーミング(レーザの枠)が照射される。エーミングは、例えばレーザダイオードによりバーコード上に照射される。
【0004】
近年、コードに付与される情報量を増加させるために、情報密度がバーコードよりも高い2次元コードが使用されるようになっている。
【0005】
上記の2次元コードでは、情報密度を高くすることができるので、小さな領域に多量の情報を印字することや、数千バイトもの大きな情報量を扱うことも可能となる。
【0006】
図9は、マトリックス2次元コードの一例を示す図である。図9に示す2次元コードは、3つの切り出しシンボルSYおよびデータ領域DRにより構成される。切り出しシンボルSYは、データ領域DRの位置および方向を判別するために用いられる。データ領域DRには複数のキャラクタCHが含まれ、各キャラクタCHは例えば8個のセルSLからなる。各キャラクタCHは、例えば数字、英文字、記号等を表わしている。
【0007】
図10は、スタック型2次元コードの一例を示す図である。図10に示すように、2次元バーコードは、通常のバーコードのトランケーション(高さ)を小さくして多段に構成したものである。
【0008】
このような2次元コードまたは2次元バーコードからコード情報を読み取るための光学情報読取装置では、2次元コードまたは2次元バーコードに光を照射し、その反射光を受光して2値化データに変換した後、2値化データにおいて一定の2値化データ数からなるセルごとに白黒("0"または"1")を判定する。
【0009】
具体的には、図11に示すように、2値化データにおけるセルSLは複数の2値化データからなる。図11の例では、1つのセルSLが8×8の2値化データからなる。セルの白黒を判定する方法としては、通常、そのセル内の白データの数と黒データの数の多数決を採る方法が用いられている。セル内の白データの数が黒データの数よりも多い場合に、そのセルは白であると判定し、セル内の黒データの数が白データの数よりも多い場合に、そのセルは黒であると判定する。すなわち、セル内の白データおよび黒データの面積を比較することによりそのセルの白黒を判定している。
【0010】
このように、一定の2値化データ数からなるセルごとに白黒が判定され、この判定結果に基づいてコードデータが生成される。そして、生成されたコードデータが復号されコード情報が読み取られる。
【特許文献1】特開2002−366883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、第1の課題として、上記従来のバーコード読取装置においては、コードの撮像よりも前から、エーミング照射用のレーザダイオードが点灯されているため、これによる消費電力が大変高い。その結果、バーコード読取装置に備えられている電池の寿命が短くなる。
【0012】
また、撮像のトリガーキー(撮像トリガーキー)が使用者により押下される前に、エーミング照射のトリガーキー(エーミングトリガーキー)が押下される方法を採用しても、使用者は2つのトリガーキーを続けて押下しなければならず、操作が煩雑となる。
【0013】
さらに、上記エーミングトリガーキーと撮像トリガーキーとを一体的に構成したトリガーキーを設け、このトリガーキーを長く押下した場合と短く押下した場合とで、撮像処理とエーミング照射処理とを機能分けしても、慣れが必要となり、操作が容易とはいえない。
【0014】
第2の課題として、従来のバーコード読取装置においては、例えば多段に積み上げられたダンボール箱にそれぞれ貼り付けられたコードを読み取る作業の場合、使用者が読み飛ばしをする場合がある。その結果、計測在庫数と管理在庫数との間に差異が生じ、再度作業を行わなければならない。
【0015】
第3の課題として、使用者がバーコード読取装置により同じコードを二度読み取ることがある。この場合、従前は、過去に読み取ったコードは再度読み取らない機能、または直前に読み取ったコードと同じコードは読み取らない機能を、予めバーコード読取装置にプログラムしておくことにより対処していた。しかし、例えば同一コードを有する複数のダンボール箱の在庫管理を行う場合には、同一コードの2個のダンボール箱を正確に読み取ったのか、誤って1個のダンボール箱のコードを2回読み取ったのか区別することができなかった。
【0016】
第4の課題として、従来のバーコード読取装置においては、コードの読取処理以外の処理である在庫数カウント処理を行う場合に、例えば同一コードのダンボール箱が3個あれば、「3」のキーと「確定」のキーとを押下することにより在庫数をカウントしていた。このように、使用者はバーコード読取装置の各種キーを操作することにより在庫数をカウントすることしかできず、作業時間の短縮を図ることはできなかった。
【0017】
本発明の目的は、消費電力の低減が可能で、煩雑な操作が必要ないコード情報読取装置を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、コードの読み飛ばしおよび二度読み等の誤操作を防止でき、作業時間を短縮することが可能なコード情報読取装置を提供することである。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、物の計数を容易に行うことができ、作業時間を短縮することが可能なコード情報読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の発明に係るコード情報読取装置は、読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、検出手段により検出された加速度に基づいてコードの読取領域を示す光を照射する光照射手段と、コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段とを備えたものである。
【0021】
本発明に係るコード情報読取装置においては、当該コード情報読取装置の加速度が検出手段により検出される。検出手段により検出された加速度に基づいてコードの読取領域を示す光が光照射手段により照射される。
【0022】
また、上記コードからの反射光は変換手段により受光され、当該変換手段により反射光はデータに変換される。変換手段により得られたデータは復号手段により復号され、コード情報が読み取られる。
【0023】
このように、使用者がコード情報読取装置を振ることによって生じる加速度に基づいてコードの読取領域を示す光が光照射手段により自動的に照射される。それにより、上記光が常時照射されることが回避され、消費電力を低減することができる。
【0024】
また、使用者がコード情報読取装置を振ることによって生じる加速度に基づいてコードの読取領域を示す光が光照射手段により自動的に照射されることにより、使用者はコードの位置を認識し易くなる。それにより、読み取り位置の目標を容易に定めることができ、使用者は撮像の操作を行い易くなる。これにより、使用者の操作慣れが必要なく、煩雑な操作も必要がないコード情報読取装置を提供することができる。
【0025】
第2の発明に係るコード情報読取装置は、読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、検出手段により検出された加速度に基づいて当該コード情報読取装置の変位を算出する算出手段と、算出手段により算出された変位に基づいて所定の情報通知を行う通知手段とを備えたものである。
【0026】
本発明に係るコード情報読取装置においては、当該コード情報読取装置の加速度が検出手段により検出される。また、コードからの反射光は変換手段に受光され、当該変換手段により反射光はデータに変換される。変換手段により得られたデータは復号手段により復号され、コード情報が読み取られる。さらに、検出手段により検出された加速度に基づいてコード情報読取装置の変位が算出手段により算出される。そして、算出手段により算出された変位に基づいて情報通知手段により所定の通知が行われる。
【0027】
このように、検出手段により検出されたコード情報読取装置の加速度に基づいてコード情報読取装置の変位が算出され、算出された変位に基づいて、コードの読み飛ばしまたは同一コードの二度読み等の誤操作が発生していることが情報通知手段により通知される。それにより、読み取ったコードの数と管理数との間に差異が生じることが確実に防止され、使用者が再度作業を行う必要がなくなる。これにより、使用者の作業時間が短縮される。
【0028】
第3の発明に係るコード情報読取装置は、読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、検出手段により検出された加速度に基づいて計数を行う計数手段とを備えたものである。
【0029】
本発明に係るコード情報読取装置においては、当該コード情報読取装置の加速度が検出手段により検出される。また、コードからの反射光は変換手段に受光され、当該変換手段により反射光はデータに変換される。変換手段により得られたデータは復号手段により復号され、コード情報が読み取られる。さらに、検出手段により検出された加速度に基づいて計数手段により計数が行われる。
【0030】
このように、使用者がコード情報読取装置を振ることにより生じる加速度に基づいて計数が行われることによって、物の計数を容易に行うことができる。それにより、作業時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0031】
コード情報読取装置は、検出手段により検出された加速度に基づいて待機状態から動作状態に移行し、変換手段および復号手段を制御する制御手段をさらに備えてもよい。
【0032】
この場合、制御手段は、検出手段により検出された加速度に基づいて待機状態から動作状態に移行し、変換手段および復号手段を制御する。それにより、消費電力の大きい制御手段が常に動作状態となることを回避することができる。これにより、消費電力を大幅に低減することができる。
【0033】
検出手段は、当該コード情報読取装置の3軸成分の加速度を検出してもよい。この場合、コード情報読取装置の3軸成分の加速度を検出することにより、コード情報読取装置の動き方向を得ることができる。この動き方向に基づいて、上述のように、光照射手段による光の照射、通知手段による所定の情報通知または計数手段による計数を行うことができる。
【0034】
コード情報読取装置は、復号手段により読み取られたコード情報を外部機器に対して無線により送信する通信手段をさらに備えてもよい。
【0035】
この場合、コード情報が無線で外部機器に対して送信されることにより、コード情報読取装置と外部機器との間の配線が不要となる。
【0036】
コード情報読取装置は、復号手段から出力されるコード情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたコード情報を表示する表示手段とをさらに備えてもよい。
【0037】
この場合、復号手段から出力されるコード情報が記憶手段により記憶され、記憶手段により記憶されたコード情報が表示手段により表示されることによって、使用者はコード情報を容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0038】
第1の発明に係るコード情報読取装置によれば、消費電力の低減が可能となり、煩雑な操作も必要なくなる。
【0039】
また、第2の発明に係るコード情報読取装置によれば、コードの読み飛ばしおよび二度読み等の誤操作を防止でき、作業時間を短縮することが可能となる。
【0040】
さらに、第3の発明に係るコード情報読取装置によれば、物の計数を容易に行うことができ、作業時間を短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本実施の形態に係るコード情報読取装置について図面を参照しながら説明する。
【0042】
(コード情報読取装置を用いた無線システム)
図1は、本実施の形態に係るコード情報読取装置を用いた無線システムを示す説明図である。以下の説明では、上記無線システムが工場内に構築されている場合を一例として述べる。
【0043】
本実施の形態に係るコード情報読取装置は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)の規格である例えばIEEE802.11bに準拠した無線機器である。なお、コード情報読取装置は、IEEE802.11aまたはIEEE802.11g等に準拠した無線機器であってもよいし、独自の無線方式を有する無線機器であってもよい。
【0044】
図1に示すように、例えば工場内で複数のコード情報読取装置100が用いられる。このコード情報読取装置は、1次元のバーコードまたは2次元コードからコード情報を読み取るために用いられる。以下、1次元のバーコードおよび2次元コードを総称してコードと呼ぶ。
【0045】
各コード情報読取装置100は、通常時は置き台100a上に置かれている。それにより、各コード情報読取装置100の充電池(図示せず)が充電される。このように、各置き台100aは、充電機能および後述する電力供給機能を有するとともに、後述のホストコンピュータとの間で通信を行う赤外線通信機能も有している。詳細については後述する。
【0046】
工場内には、各コード情報読取装置100および各コード情報読取装置100から送信される情報等を統括的に管理するホストコンピュータ300が設けられている。なお、ホストコンピュータ300はインターネットINTに接続されている。
【0047】
各コード情報読取装置100は、無線通信により上記ホストコンピュータ300との間でデータの送受信を行うことができる。
【0048】
ここで、上記無線システムが構築される工場内の敷地は広範囲であることが通常である。そのため、コード情報読取装置100は、ホストコンピュータ300と大きく離れた場所ではホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことが困難である。
【0049】
そこで、ホストコンピュータ300と大きく離れた場所でも、コード情報読取装置100が無線通信を行うことができるように、1または複数のアクセスポイント200を設ける。良好な無線通信を行う上で、アクセスポイント200とコード情報読取装置100との距離は約100m以下であることが好ましい。
【0050】
1または複数のアクセスポイント200は、ホストコンピュータ300に有線LANによりそれぞれ接続されている。なお、有線LANを構築する場合には、LANケーブル400およびハブ(図示せず)を用いる。
【0051】
このような構成により、各コード情報読取装置100は、アクセスポイント200を介して、すなわち、アクセスポイント200との間で無線通信を行うことによりホストコンピュータ300との間で間接的な通信を行うことが可能となる。
【0052】
上記のようなコード情報読取装置100を用いた無線システムにおいて、コード情報読取装置100によるコードの読み取り結果は、アクセスポイント200を介してホストコンピュータ300に転送される。
【0053】
そして、ホストコンピュータ300は、当該ホストコンピュータ300が有するマスターファイルと上記読み取り結果とを比較し、当該比較結果に基づいた所定のコマンドをアクセスポイント200を介してコード情報読取装置100に与える。
【0054】
ここで、規格がIEEE802.11bである場合の無線LANのチャネル数は14チャネルである。すなわち、利用周波数帯である2.400GHz〜2.497GHzの周波数帯において5MHz間隔に14チャネルが割り当てられている。
【0055】
これらのチャネルをアクセスポイント200に設定する。各コード情報読取装置100は、良好に無線通信を行うことができるアクセスポイント200を自動で選択し、当該アクセスポイント200に接続する。なお、隣接する複数のアクセスポイント200を用いた場合、電波干渉が生じるため、隣接するアクセスポイント200のチャネルは、可能な限り周波数を離して設定することが好ましい。
【0056】
無線システムにおいて、コード情報読取装置100とアクセスポイント200とホストコンピュータ300との間における無線および有線による通信は、いずれもTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルによって行われる。また、コード情報読取装置100、アクセスポイント200およびホストコンピュータ300にはそれぞれIPアドレスが設定される。
【0057】
なお、無線LANでは、電波の届く範囲内であればどこからでもアクセスすることができる。そのため、部外者からアクセスポイント200およびホストコンピュータ300にアクセスされるおそれがある。これを防止するために、本実施の形態では、ESSID(Extended Service Set Identify)と呼ばれるID番号を、全てのアクセスポイント200およびコード情報読取装置100に登録する。このように、通信することが可能な機器を制限することにより、部外者からの不法なアクセスを確実に防止することができる。
【0058】
(コード情報読取装置の外観)
図2は、本実施の形態に係るコード情報読取装置100および置き台100aを示す斜視図である。
【0059】
図2(a)に示すように、コード情報読取装置100は本体部1を有する。この本体部1は、前面に設けられた情報表示部2、表示灯3および入力部4を備える。情報表示部2は例えばLCD(液晶表示ディスプレイ)からなり、表示灯3は例えばLED(発光ダイオード)からなる。
【0060】
上記入力部4は、メニューキー5、コードの撮像を開始するためのトリガーキー6、十字キー7、キャンセルキー8、エンターキー9、テンキー10、複数のファンクションキー11、電源キー12、および本体部1の側面に設けられたサイドトリガーキー13を含む。なお、上記テンキー10は、「0」〜「9」の番号等を示す複数のキーを含む。また、トリガーキー6の機能およびサイドトリガーキー13の機能は同じであり、使用者の便宜によりこれらのキーを使い分けることができる。
【0061】
図2(b)は、コード情報読取装置100を背面側から見た斜視図である。
【0062】
図2(b)に示すように、コード情報読取装置100の背面の上方には、コード読取窓14が設けられている。本体部1の内部には後述する光源およびレーザダイオードが設けられている。この光源から発せられる光およびレーザダイオードから発せられるレーザ光は、上記コード読取窓14を通じてコードに照射される。
【0063】
また、コード情報読取装置100の背面の下方には、一対の充電用端子15が設けられており、コード情報読取装置100の下端面の中央部には光通信窓(赤外線透過フィルタ)16が設けられている。
【0064】
図2(c)は置き台100aの斜視図である。図2(c)に示すように、置き台100aは一対の充電用端子102を有する。
【0065】
置き台100aにコード情報読取装置100が載置された場合に、コード情報読取装置100の一対の充電用端子15が置き台100aの一対の充電用端子102に電気的に接触することにより、コード情報読取装置100の充電池(図示せず)を充電することができる。なお、置き台100aには、図示しないACアダプタが接続されている。
【0066】
また、置き台100aには、当該置き台100aにコード情報読取装置100が載置されたときに、コード情報読取装置100の光通信窓16が対向する位置に置き台光通信窓101が設けられている。
【0067】
このような構成により、コード情報読取装置100を置き台100a上に載置することで、コード情報読取装置100はホストコンピュータ300と赤外線通信(IrDA通信)を行うことができる。それにより、コード情報読取装置100は、データをホストコンピュータ300に送信することができ、また、ホストコンピュータ300からの作業指示および品名リスト等の情報を受信することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、上記のように、コード情報読取装置100は当該コード情報読取装置100を置き台100aに載置することで、ホストコンピュータ300と赤外線通信を行うことができるが、ホストコンピュータ300との通信方法はこれに限定されるものではない。
【0069】
例えば、置き台100が通信機能を備えず充電機能および電力供給機能のみを備えている場合には、後述するように、コード情報読取装置100はRF通信部60(後の図3に記載)によりホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことができる。
【0070】
(コード情報読取装置の内部構成)
図3は、本実施の形態に係るコード情報読取装置100および置き台100aの構成を示すブロック図である。
【0071】
図3に示すように、コード情報読取装置100は、入力部4、一対の充電用端子15、レーザダイオード50、光源51、光学系52、2次元撮像部53、記憶部54、2次元データデコーダ55、表示部56、出力部57、CPU(中央演算処理装置)58、検出部59、RF通信部60、IrDA部61、受発光素子62および電源回路63を含む。
【0072】
また、置き台100aは、一対の充電用端子102、受発光素子103、インターフェース部104、コネクタ105、電源回路106および電源ポート107を含む。
【0073】
以下、コード情報読取装置100内に設けられた上記各構成部について説明する。
【0074】
光源51、光学系52および2次元撮像部53は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラ、CMOS(相補型金属酸化物半導体)センサまたはイメージスキャナにより構成される。CMOSセンサを用いた場合、消費電力を低減することができる。
【0075】
また、記憶部54はメモリからなり、出力部57はブザーおよびバイブレータ等の通信インターフェースからなる。なお、表示部56は上述した情報表示部2および表示灯3を含む。
【0076】
レーザダイオード50は、撮像対象となるコードCを撮像する前に、複数のレーザ光から構成される枠(エーミング)をコードC上に照射する。このエーミング照射により、使用者はコードCの撮像位置を容易に認識することができる。
【0077】
光源51はコードCに光を照射する。光学系52はコードCからの反射光を受光し、2次元撮像部53に与える。なお、光源51を用いて撮像するときは、レーザダイオード50によるエーミング照射を中止する。これは、エーミングが光源51による照射光のムラとなって、撮像の画像品質の低下を発生させることを防止するためである。
【0078】
2次元撮像部53は、光学系52から与えられた光を電気信号に変換し、2次元2値化データとして記憶部54に与える。記憶部54は、2次元撮像部53から与えられた2次元2値化データを記憶する。なお、本実施の形態では、光学系52から与えられた光を2値化しているが、これに限定されず、多値化してもよい。
【0079】
2次元データデコーダ55は、記憶部54に記憶された2次元2値化データをデコードしてコード情報を読み取り、その読み取り結果をCPU58に与える。CPU58は、与えられた上記読み取り結果を表示部56および出力部57に出力する。
【0080】
表示部56は、CPU58から与えられたコード情報を表示する。出力部57は、CPU58から与えられたコード情報をプログラマブルコントローラ等の外部機器に出力することができる。CPU58は、ホストコンピュータ300からRF通信部60を介して与えられるコマンドに基づいてコード情報読取装置100内の各部を制御する。
【0081】
検出部59は、後述する加速度センサを含み、CPU58は、この加速度センサから得られた使用者の動作によるコード情報読取装置100の加速度に基づいて、後述の複数のフローチャートに示す各種処理を実施することができる。なお、検出部59の構成および上記各種処理の詳細については後述する。
【0082】
RF通信部60は、ホストコンピュータ300から与えられる種々のコマンドを受信してCPU58に与えるとともに、2次元データデコーダ55によるコード情報の読み取り結果をホストコンピュータ300に送信する。
【0083】
コード情報読取装置100では、上述のように、RF通信部60を用いることによりホストコンピュータ300との間で無線通信を行うことができるが、IrDA部61により赤外線通信を行うこともできる。IrDA部61はCPU58に制御される。
【0084】
赤外線通信が行われる場合には、コード情報読取装置100は置き台100a上に載置される。この場合、受発光素子62はIrDA部61に接続され、コード情報読取装置100の光通信窓16に対向し、受発光素子103は置き台100aの置き台光通信窓101に対向する。
【0085】
コード情報読取装置100内の電源回路63は、一対の充電用端子15に接続され、コード情報読取装置100内の各構成部に電力を供給する。
【0086】
以下、置き台100a内に設けられた上記各構成部について説明する。一対の充電用端子102は、置き台100a内の電源回路106に接続されている。電源回路106は、商用電源に接続されたACアダプタのジャック(図示せず)を受け入れる電源ポート107に接続されている。
【0087】
置き台100a内の受発光素子103は、インターフェース部104に接続されている。インターフェース部104はコネクタ105に接続されている。このコネクタ105は、通信ケーブル(通信規格は、例えばRS232C)を介してホストコンピュータ300に接続される。
【0088】
(検出部の内部構成)
次に、コード情報読取装置100の検出部59の構成について図面を参照しながら説明する。
【0089】
図4は、コード情報読取装置100内に設けられた検出部59の構成を示すブロック図である。
【0090】
図4に示すように、検出部59は、加速度センサ91、増幅器92a,92b,92c、演算器93、コンパレータ94、基準電圧端子95およびA/D(アナログ/デジタル)コンバータ96を含む。
【0091】
ここで、後で詳述するが、上記加速度センサ91の機能(役割)について概略的に説明する。
【0092】
本実施の形態では、使用者によるコード情報読取装置100の操作に基づく加速度が、上記加速度センサ91により検出される。検出された加速度が所定値よりも大きければ、自動的にエーミング照射が開始される。
【0093】
具体的な例を挙げて説明すると、使用者によるコード情報読取装置100の上記操作とは、例えば多段に積み上げられたダンボール箱に貼り付けられたコードCをコード情報読取装置100により読み取る際に、使用者はコード情報読取装置100を握り、ダンボール箱のコードC付近に当該コード情報読取装置100を移動させる動作のことである。
【0094】
また、使用者によりコード情報読取装置100がダンボール箱のコードC付近に移動させられ、動きが停止されると、コード情報読取装置100の加速度は0になる。
【0095】
このように、本実施の形態では、コード情報読取装置100の動きによる生じる加速度に基づいて、エーミング照射が自動的に開始される。
【0096】
加速度センサ91は、使用者のコード情報読取装置100の操作により生じる加速度を検出する。なお、加速度センサ91は3軸加速度センサであり、加速度の三軸成分(X,Y,Z:X,YおよびZは互いに直交する軸)を検出することが可能である。
【0097】
以下、加速度センサ91により検出されたコード情報読取装置100のX軸成分の加速度を単にX加速度と呼び、加速度センサ91により検出されたコード情報読取装置100のY軸成分の加速度を単にY加速度と呼び、加速度センサ91により検出されたコード情報読取装置100のZ軸成分の加速度を単にZ加速度と呼ぶ。なお、X加速度、Y加速度およびZ加速度は電圧値で表される。
【0098】
加速度センサ91により検出されたX加速度は、増幅器92aにより増幅され、A/Dコンバータ96に与えられる。加速度センサ91により検出されたY加速度は、増幅器92bにより増幅され、A/Dコンバータ96に与えられる。加速度センサ91により検出されたZ加速度は、増幅器92cにより増幅され、A/Dコンバータ96に与えられる。
【0099】
A/Dコンバータ96は、与えられたX加速度、Y加速度およびZ加速度をそれぞれデジタル値に変換し、変換されたX加速度、Y加速度およびZ加速度をそれぞれCPU58に与える。
【0100】
ここで、本実施の形態では、消費電力を低減するために、使用者によりコード情報読取装置100が操作されないとき(机上等に放置されているとき)には、CPU58およびA/Dコンバータ96は待機状態となっている。
【0101】
そして、使用者が操作することによって、コード情報読取装置100に一定の動きが生じた場合、すなわち、一定の加速度が生じた場合に、CPU58およびA/Dコンバータ96は共に動作状態となる。以下、このことについて説明する。
【0102】
増幅器92aにより増幅されたX加速度は、A/Dコンバータ96に与えられるとともに演算器93にも与えられ、増幅器92bにより増幅されたY加速度は、A/Dコンバータ96に与えられるとともに演算器93にも与えられ、増幅器92cにより増幅されたZ加速度は、A/Dコンバータ96に与えられるとともに演算器93にも与えられる。
【0103】
演算器93は、増幅器92a,92b,92cによりそれぞれ増幅されたX加速度、Y加速度およびZ加速度を用いて、以下の算出式に基づいて合成された加速度Aを算出する。なお、加速度Aは電圧値で表される。
【0104】
【数1】

【0105】
式(1)の代わりに、下記式に基づいて加速度Aを算出してもよい。
【0106】
【数2】

【0107】
なお、式(1)および式(2)において、XはX加速度を示し、YはY加速度を示し、ZはZ加速度を示す。
【0108】
演算器93により算出された加速度Aはコンパレータ94に与えられる。コンパレータ94は基準電圧端子95に接続される。この基準電圧端子95には、図示しない基準電圧回路により基準電圧が印加されている。
【0109】
コンパレータ94は、演算器93から与えられた加速度Aが、基準電圧端子95に印加されている基準電圧よりも大きいか否かを判別する。加速度Aが基準電圧よりも大きい場合、コンパレータ94は、アクティブ状態(例えば、ハイレベル)の割り込み信号INTERをCPU58に与える。
【0110】
上記割り込み信号INTERを与えられたCPU58は動作状態となるとともに、A/Dコンバータ96を制御する。
【0111】
このように、演算器93、コンパレータ94および基準電圧端子95を設け、コード情報読取装置100に一定の加速度が生じた場合にのみ、CPU58およびA/Dコンバータ96を動作状態とすることによって、消費電力の大きいCPU58およびA/Dコンバータ96が常に動作状態となることを回避することができる。それにより、消費電力を大幅に低減することができる。
【0112】
なお、消費電力に特に問題がなければ、演算器93、コンパレータ94および基準電圧端子95を設けずに、CPU58およびA/Dコンバータ96を常に動作状態としてもよい。
【0113】
また、使用者がコードCの読み取りを行わないときには、使用者はコード情報読取装置100を作業着のポケットに入れたり、ストラップを用いてコード情報読取装置100を首にぶら下げる場合がある。このような場合、加速度センサ91または他のセンサによりコード情報読取装置100の重力方向を得ることによって、CPU58を待機状態にすべきか動作状態にすべきかについての判定を行うことも可能である。
【0114】
(コード読取処理)
続いて、上記検出部59の加速度センサ91を用いたコード情報読取装置100によるコードCを読み取るためのコード読取処理についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0115】
図5は、コード情報読取装置100のCPU58によるコード読取処理を示すフローチャートである。
【0116】
図5に示すように、コード情報読取装置100のCPU58は、使用者によるコード情報読取装置100の操作により生じるX加速度、Y加速度およびZ加速度を取得する(ステップS1)。CPU58は、取得したX加速度、Y加速度およびZ加速度に所定の演算を行うことにより合成された加速度を算出する。以下、合成された加速度を単に加速度と呼ぶ。
【0117】
次に、CPU58は、取得した加速度が所定値よりも大きいか否かを判別する(ステップS2)。取得した加速度が所定値以下の場合、CPU58はステップS1の処理に戻る。
【0118】
取得した加速度が所定値よりも大きい場合、CPU58はエーミング照射処理を開始する(ステップS3)。この場合、CPU58は、レーザダイオード50がコード読取窓14を通じてレーザ光をコードC上に照射するよう制御する。
【0119】
次に、CPU58は、使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されたか否かを判別する(ステップS4)。使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されていない場合、CPU58は、使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されるまで待機する。
【0120】
使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下された場合、CPU58は上記エーミング照射処理を終了する(ステップS5)。
【0121】
次に、CPU58は照明および撮像処理を行う(ステップS6)。この場合、CPU58は、光源51がコードC上にストロボ照明のための光を照射するよう制御する。
【0122】
そして、CPU58は、2次元撮像部53が光学系52から与えられたコードCからの反射光を電気信号に変換するとともに、これを2値化するよう制御する。
【0123】
次いで、CPU58は第1の記憶処理を行う(ステップS7)。この場合、CPU58は、記憶部54が2次元撮像部53から与えられた2次元2値化データを記憶するよう制御する。
【0124】
次に、CPU58はデコード処理を行う(ステップS8)。この場合、CPU58は、2次元データデコーダ55が、記憶部54に記憶された2次元2値化データをデコードしてコード情報を読み取り、当該読み取り結果をCPU58に与えるよう制御する。
【0125】
続いて、CPU58は第2の記憶処理を行う(ステップS9)。この場合、CPU58は、上記コード情報の読み取り結果を記憶部54に記憶させる。
【0126】
次に、CPU58は表示処理を行う(ステップS10)。この場合、CPU58は、上記コード情報の読み取り結果を情報表示部2および出力部57に出力する。その後、ステップS1に戻り、ステップS1〜S10の処理を繰り返す。
【0127】
なお、上記のコード読取処理においては、ステップS2の処理で、取得した加速度が所定値よりも大きいか否かを判別することとしたが、これに限定されるものではなく、取得した加速度が所定のパターン(マップ)と一致するか否かを判別してもよい。上記パターンとは、使用者の操作によりコード情報読取装置100が例えば急に移動したあと急に止まるという特有の動きにより生じる加速度の変化パターンを示す。
【0128】
(コード読取処理の効果)
本処理においては、使用者のコード情報読取装置100の操作による生じる加速度に基づいて、エーミング照射が自動的に開始される。それにより、エーミングが常時照射されることが回避され、消費電力を低減することができる。これにより、コード情報読取装置100の充電池の長寿命化を図ることが可能となる。
【0129】
また、使用者のコード情報読取装置100の操作による加速度に基づいてエーミング照射が自動的に開始されることにより、使用者はコードCの正確な撮像位置を認識し易くなる。そして、読み取り位置の目標を定めた後は、使用者は撮像のトリガーキー6またはサイドトリガーキー13を押下するだけなので、使用者の操作慣れは必要なく、煩雑な操作も必要ない。
【0130】
(読み飛ばしおよび二度読み防止処理)
続いて、上記検出部59の加速度センサ91を用いたコード情報読取装置100によるコードCの読み飛ばしおよび二度読み防止処理についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0131】
図6および図7は、コード情報読取装置100のCPU58による読み飛ばしおよび二度読み防止処理を示すフローチャートである。
【0132】
図6に示すように、コード情報読取装置100のCPU58は、使用者によるコード情報読取装置100の操作により生じる加速度を取得する(ステップS21)。
【0133】
次に、CPU58は、取得した加速度が所定値よりも大きいか否かを判別する(ステップS22)。取得した加速度が所定値以下の場合、CPU58はステップS21の処理に戻る。
【0134】
取得した加速度が所定値よりも大きい場合、CPU58はエーミング照射処理を開始する(ステップS23)。この場合、CPU58は、レーザダイオード50がコード読取窓14を通じてレーザ光をコードC上に照射するよう制御する。
【0135】
次に、CPU58は、使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されたか否かを判別する(ステップS24)。使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されていない場合、CPU58は、使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下されるまで待機する。
【0136】
使用者によりトリガーキー6またはサイドトリガーキー13が押下された場合、CPU58は上記エーミング照射処理を終了する(ステップS25)。
【0137】
次に、CPU58は照明および撮像処理を行う(ステップS26)。この場合、CPU58は、光源51がコードC上にストロボ照明のための光を照射するよう制御する。
【0138】
そして、CPU58は、2次元撮像部53が光学系52から与えられたコードCからの反射光を電気信号に変換するとともに、これを2値化するよう制御する。
【0139】
次いで、CPU58は第1の記憶処理を行う(ステップS27)。この場合、CPU58は、記憶部54が2次元撮像部53から与えられた2次元2値化データを記憶するよう制御する。
【0140】
次に、CPU58はデコード処理を行う(ステップS28)。この場合、CPU58は、2次元データデコーダ55が、記憶部54に記憶された2次元2値化データをデコードしてコード情報を読み取り、当該読み取り結果をCPU58に与えるよう制御する。
【0141】
続いて、CPU58は第2の記憶処理を行う(ステップS29)。この場合、CPU58は、上記コード情報の読み取り結果を記憶部54に記憶させる。
【0142】
次に、CPU58は表示処理を行う(ステップS30)。この場合、CPU58は、上記コード情報の読み取り結果を情報表示部2および出力部57に出力する。
【0143】
次に、CPU58はコード情報読取装置100の変位(位置)を算出する(ステップS31)。この場合、CPU58は、ステップS21の処理で取得したコード情報読取装置100の加速度を時間で2回積分することにより、コード情報読取装置100の変位を算出する。なお、上記変位はコード情報読取装置100の前の位置から今回のコードCの撮像位置までの変化量を示す。
【0144】
次いで、CPU58は、算出された変位が第1の値よりも大きいか否かを判別する(ステップS32)。算出された変位が第1の値以下である場合、CPU58は、算出された変位が第2の値以下であるか否かを判別する(ステップS33)。算出された変位が第2の値よりも大きい場合、CPU58はステップS21の処理に戻る。
【0145】
ここで、第1の値は例えば多段に積み上げられたダンボール箱の高さの1.5倍の値に設定され、第2の値は当該ダンボール箱の高さの1/2の値に設定される。
【0146】
上記ステップS32の処理の判別結果において、変位が第1の値以下であるとは、多段に積み上げられたダンボール箱に貼り付けられたコードCを読み取る際において、使用者の操作によるコード情報読取装置100の移動量(変位)が、ダンボール箱の高さと同じ程度であることを示す。すなわち、変位が第1の値以下であれば、使用者はダンボール箱のコードCを読み飛ばしていない。
【0147】
また、上記ステップS33の処理の判別結果において、変位が第2の値よりも大きいとは、多段に積み上げられたダンボール箱に貼り付けられたコードCを読み取る際において、使用者の操作によるコード情報読取装置100の移動量(変位)が、ダンボール箱の高さの1/2の値よりも大きいことを示す。すなわち、変位が第2の値よりも大きければ、使用者は同一のダンボール箱のコードCを二度読みしていない。
【0148】
一方、ステップS32の処理において、算出された変位が第1の値よりも大きい場合、またはステップS33の処理において、算出された変位が第2の値以下である場合には、CPU58は通知処理を行う(ステップS34)。
【0149】
上記説明と同様に、変位が第1の値よりも大きいとは、多段に積み上げられたダンボール箱に貼り付けられたコードCを読み取る際において、使用者の操作によるコード情報読取装置100の移動量(変位)が、ダンボール箱の高さと同じ程度の高さよりも大きいことを示す。すなわち、変位が第1の値よりも大きい場合には、使用者はダンボール箱のコードCを読み飛ばしていることとなる。
【0150】
また、変位が第2の値以下であるとは、多段に積み上げられたダンボール箱に貼り付けられたコードCを読み取る際において、使用者の操作によるコード情報読取装置100の移動量(変位)が、ダンボール箱の高さの1/2以下であることを示す。すなわち、変位が第2の値以下である場合には、使用者は同一のダンボール箱のコードCを二度読みしていることとなる。
【0151】
このように、変位が第1の値よりも大きい場合、または変位が第2の値以下である場合には、CPU58は、ステップS34の通知処理において、コード情報読取装置100の表示灯3を点灯させる。それにより、使用者はコードCの読み飛ばしまたは同一コードの二度読みに気付くことができる。
【0152】
なお、上記通知処理は、表示灯3の点灯に限らず、音または振動を用いることにより行ってもよい。また、上記読み飛ばしおよび二度読み防止処理においては、ダンボール箱の高さまたはコードCの貼り付け位置(高さ)に一定の規則性があることが好ましい。
【0153】
(読み飛ばしおよび二度読み防止処理の効果)
本処理においては、加速度センサ91により検出されたコード情報読取装置100の加速度に基づいて、CPU58によりコード情報読取装置100の変位が算出される。
【0154】
そして、算出された変位が第1の値よりも大きい場合、または変位が第2の値以下である場合には、コードCの読み飛ばしまたは同一コードの二度読みが発生していることが通知される。それにより、読み取ったダンボール箱の在庫数と管理在庫数との間に差異が生じることが確実に防止され、使用者が再度作業を行う必要がなくなる。
【0155】
また、同一コードを有する複数のダンボール箱の在庫管理を行う場合においても、同一コードの2個のダンボール箱を正確に読み取ったのか、誤って1個のダンボール箱のコードCを2回読み取ったのか確実に区別することが可能となる。
【0156】
(カウント処理)
次に、上記検出部59の加速度センサ91を用いたコード情報読取装置100によるカウント処理についてフローチャートを参照しながら説明する。
【0157】
本処理により、使用者は例えばダンボール箱の在庫数についてコード情報読取装置100を用いて容易にカウントすることができる。すなわち、使用者がコード情報読取装置100を操作(例えば、1カウントするときに1回コード情報読取装置100を上下に振る操作)することにより、ダンボール箱の数を容易にカウントすることができる。なお、コード情報読取装置100を上下に振る操作により、ある物の数をカウントすることをジェスチャー入力という。
【0158】
本処理では、使用者の上記操作により生じるコード情報読取装置100の加速度を検出する。以下、フローチャートを参照しながら具体的に説明する。
【0159】
図8は、コード情報読取装置100のCPU58によるカウント処理を示すフローチャートである。なお、本処理では、使用者がダンボール箱の在庫数をカウントする場合を一例として説明する。
【0160】
図8に示すように、コード情報読取装置100のCPU58はカウント値の初期化を行う(ステップS41)。この場合、ダンボールの在庫数のカウント値が0となる。
【0161】
次に、CPU58はコード情報読取装置100の加速度を取得する(ステップS42)。
【0162】
続いて、CPU58は、取得された加速度が第3の値よりも大きいか否かを判別する(ステップS43)。取得された加速度が第3の値よりも大きい場合、CPU58は、ダンボール箱のカウント値に1を加算する(ステップS44)。その後、CPU58は、ステップS42の処理に戻る。なお、上記第3の値は設定値である。
【0163】
一方、ステップS43の処理において、取得された加速度が第3の値以下である場合、CPU58は、取得された加速度が第4の値よりも小さいか否かを判別する(ステップS45)。取得された加速度が第4の値以上である場合、CPU58は、ステップS42の処理に戻る。なお、上記第4の値は設定値である。
【0164】
取得された加速度が第4の値よりも小さい場合、CPU58は、ダンボール箱のカウント値から1を減算する(ステップS46)。
【0165】
このように、使用者がコード情報読取装置100を速く振ることによりカウント値を1増加させることができ、遅く振ることによりカウント値を1減少させることができる。なお、使用者が誤ってコード情報読取装置100を振り過ぎた場合に、上記のように、カウント値を減算することができる。
【0166】
なお、上記カウント処理においては、取得された加速度と第3または第4の値との大小比較により判別を行うこととしているが、これに限定されるものではなく、上述したような所定のパターンにより判別を行うことがより好ましい。
【0167】
(カウント処理の効果)
本処理においては、使用者がコード情報読取装置100を振る操作により、ダンボール箱の在庫数を容易にカウントすることができる。それにより、例えば同一コードのダンボール箱が3個あれば、「3」のキーと「確定」のキーとを押下するという各種キー操作により在庫数をカウントしていた従来の方法に比べ、作業時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0168】
(その他の実施形態)
光源51、光学系52および2次元撮像部53は、2次元コードを読み取るCCDカメラ、CMOSセンサまたはイメージスキャナにより構成されることとしたが、1次元コードを読み取るCCDカメラ等により構成してもよい。
【0169】
また、カウント処理において、例えばコード情報読取装置100を大きく振る操作を行うことにより、コードCの読み取り結果の消去を行えるなど、適宜設定可能である。この場合、CPU58は加速度の2回積分により得られる変位に基づいてコード情報読取装置100の振り幅を判別する。
【0170】
また、CPU58は、X加速度、Y加速度およびZ加速度によりコード情報読取装置100の動き方向を判別してもよい。この動き方向に基づいて、上記コード読取処理、読み飛ばしおよび二度読み防止処理、ならびにカウント処理を行ってもよい。
【0171】
さらに、本発明に係るコード情報読取装置100は、誘導電磁界または電波によって、非接触で半導体メモリのデータを読み出し、書き込みのために近距離通信を行うRFID(Radio Frequency IDentification)(日本工業規格(JIS)による定義)によるシステムにおいても、適用することができる。
【0172】
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係)
本実施の形態においては、加速度センサ91が検出手段に相当し、レーザダイオード50が光照射手段に相当し、2次元撮像部53が変換手段に相当し、2次元データデコーダ55が復号手段に相当し、CPU58が算出手段、計数手段および制御手段に相当し、表示灯3および情報表示部2が通知手段に相当し、X加速度、Y加速度およびZ加速度が3軸成分の加速度に相当し、RF通信部60が通信手段に相当し、記憶部54が記憶手段に相当し、情報表示部2が表示手段に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明に係るコード情報読取装置は、各種コード情報の読み取りおよび数を数えるためのカウンタ等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本実施の形態に係るコード情報読取装置を用いた無線システムを示す説明図である。
【図2】本実施の形態に係るコード情報読取装置および置き台を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るコード情報読取装置および置き台の構成を示すブロック図である。
【図4】コード情報読取装置内に設けられた検出部の構成を示すブロック図である。
【図5】コード情報読取装置のCPUによるコード読取処理を示すフローチャートである。
【図6】コード情報読取装置のCPUによる読み飛ばしおよび二度読み防止処理を示すフローチャートである。
【図7】コード情報読取装置のCPUによる読み飛ばしおよび二度読み防止処理を示すフローチャートである。
【図8】コード情報読取装置のCPUによるカウント処理を示すフローチャートである。
【図9】マトリックス2次元コードの一例を示す図である。
【図10】スタック型2次元コードの一例を示す図である。
【図11】セルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0175】
1 本体部
2 情報表示部
3 表示灯
4 入力部
5 メニューキー
6 トリガーキー
10 テンキー
13 サイドトリガーキー
14 コード読取窓
50 レーザダイオード
51 光源
52 光学系
53 2次元撮像部
54 記憶部
55 2次元データデコーダ
56 表示部
57 出力部
58 CPU
59 検出部
60 RF通信部
91 加速度センサ
93 演算器
94 コンパレータ
95 基準電圧端子
96 A/Dコンバータ
100 コード情報読取装置
100a 置き台
200 アクセスポイント
300 ホストコンピュータ
400 LANケーブル
C コード
INT インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、
当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された加速度に基づいてコードの読取領域を示す光を照射する光照射手段と、
コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段とを備えたことを特徴とするコード情報読取装置。
【請求項2】
読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、
当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、
コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、
前記検出手段により検出された加速度に基づいて当該コード情報読取装置の変位を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された変位に基づいて所定の情報通知を行う通知手段とを備えたことを特徴とするコード情報読取装置。
【請求項3】
読取対象となるコードからコード情報を読み取るコード情報読取装置であって、
当該コード情報読取装置の加速度を検出する検出手段と、
コードからの反射光を受光してデータに変換する変換手段と、
前記変換手段により得られたデータを復号し、コード情報を読み取る復号手段と、
前記検出手段により検出された加速度に基づいて計数を行う計数手段とを備えたことを特徴とするコード情報読取装置。
【請求項4】
前記検出手段により検出された加速度に基づいて待機状態から動作状態に移行し、前記変換手段および前記復号手段を制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコード情報読取装置。
【請求項5】
前記検出手段は、当該コード情報読取装置の3軸成分の加速度を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコード情報読取装置。
【請求項6】
前記復号手段により読み取られたコード情報を外部機器に対して無線により送信する通信手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコード情報読取装置。
【請求項7】
前記復号手段から出力されるコード情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたコード情報を表示する表示手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコード情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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