説明

コード核酸担体

本発明は広くは、固相の核酸に基づく反応の多重化に用いる固体または半固体のコード核酸担体に関する。コード担体を使用することで、複数の核酸に基づく現象をデコンボリュートし且つこれらを特定の実験と関連付ける能力により、多重化が促進される。本発明により、コード核酸担体を用いて、二つまたはそれ以上の異なる核酸分子の集団内で、定義済みの特性を有する核酸分子を識別するための方法がさらに提供される。反対に、特定のオリゴヌクレオチド配列を有するミクロスフィアに特異的に結合された、特定のペプチド、または他の化学物質に対するコードとして、核酸を使用することができる。または、本発明の方法により、標的核酸分子、または他の分子と相互作用する分子のスクリーニングが可能となる。本発明の方法およびコード担体により、核酸分子、または他の分子のハイスループットスクリーニングが可能となる。本方法は同様に、コンピュータソフトウェアにより自動化するおよび/または制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、広くは、固相の核酸に基づく反応の多重化に用いる固体または半固体のコード核酸担体に関する。コード担体を使用することで、複数の核酸に基づく現象をデコンボリュートし且つこれらを特定の実験と関連付ける能力により、多重化が促進される。本発明により、コード核酸担体を用いて、二つまたはそれ以上の異なる核酸分子の集団内で、定義済みの特性を有する核酸分子を識別するための方法がさらに提供される。反対に、特定のオリゴヌクレオチド配列を有するミクロスフィアに特異的に結合された、特定のペプチド、または他の化学物質に対するコードとして、核酸を使用することができる。または、本発明の方法により、標的核酸分子、または他の分子と相互作用する分子のスクリーニングが可能となる。本発明の方法およびコード担体により、核酸分子、または他の分子のハイスループットスクリーニングが可能となる。本方法は同様に、コンピュータソフトウェアにより自動化するおよび/または制御することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
主題の明細書に示される参考文献の書誌の詳細は、本明細書の末尾に掲載されている。
【0003】
本明細書中のいずれの先行技術に対する言及も、これらの先行技術がどの国でも共通の一般知識の一部を形成するという認識またはあらゆる形態の提案ではなく、そう受け止められるべきではない。
【0004】
組換えDNA技術のさらなる高度化により、バイオテクノロジー関連産業の分野において研究開発が大いに促進されている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション相互作用および核酸分子と化学物質または生物物質との間の相互作用のような、核酸に基づく一連の操作のための固相手順の開発がとりわけ重要である。そのような技術は、一塩基多型(SNP)のような多型性を含む、特定のヌクレオチド配列の同定にとりわけ有用である。
【0005】
固相の核酸操作には、マクロタイターウェルのほかにミクロ粒子のような固体支持体が必要とされている。ミクロ粒子の例には、ミクロスフィアが含まれる。ミクロスフィア上での、DNAおよび他の化学物質の操作、例えば、化学物質ライブラリーには、多くの利点がある。しかしながら、単一の反応槽で多数の実験を多重化する信頼できる正確な方法がないことが、ミクロスフィア技術に基づいたハイスループットシステムの開発における律速段階になっている。光または放射線検知システムと一体化されたミクロスフィア技術の潜在的威力は、核酸分子に対するハイスループットスクリーニング手順の開発の点からすると非常に大きい。例えば、フローサイトメーターのなかには、蛍光シグナルを有するミクロスフィアを最高でミクロスフィア100,00個/秒の速度で読み取って、選別することができるものもある。
【0006】
現在の蛍光シグナルは、ミクロスフィアに固定化された蛍光標識核酸分子のスクリーニングには有用であるが、これらは、ハイスループットスクリーニングに必要な多重化の難解さを可能とするほど信頼性がない。
【0007】
従って、核酸担体および核酸に基づく反応の産物の多次元解析を含む方法論を開発する必要がある。
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
本明細書の全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」という変化形は、記述された要素もしくはそのもの、または要素もしくはそのものの群を含むが、他の如何なる要素もしくはそのもの、または要素もしくはそのものの群を排除することを意味してはいない。
【0009】
本発明は、部分的に、二つまたはそれ以上の担体の集団で起こる多重化反応をデコンボリュートするため、核酸または他の分子のための固相または半固相担体に特有のコードを利用することに基づく。これに関連して担体は、核酸分子に対する任意の固体または半固体基材とすることができる。本明細書で意図する担体には、とりわけ、ミクロスフィア、ビーズ、立方体または卵形体が含まれる。担体は、ミクロスフィアまたは他のミクロ粒子もしくはナノ粒子であることが好ましい。
【0010】
本発明の担体および方法により、多くの試料の同時試験と選別が可能とされ、そのなかで、蛍光測定による試験を「通過する」事象は、各ミクロスフィアに共に結合された第二コードの解析により判定される。逆に、本方法により、DNAコードビーズに結合した小化学物質のスクリーニングが、DNAコードビーズを蛍光基質と反応させる段階、蛍光によって当たりを選別する段階、次いでDNAコードの決定により化学試料を決定する段階により可能とされる。単一ミクロスフィア由来のDNA部分は、DNAまたはRNA重合技術により増幅可能なため、本方法により、試験の感度が増すはずである。
【0011】
従って、本発明により、担体であって、その上で核酸に基づく反応を起こすことができ、その際に担体に特有のコードを示す担体が提供される。コードは、担体と連携したまたは関連した属性であることが好ましい。コードの例には、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質または他の高分子化合物、つまり糖質、リン脂質、核酸、抗体もしくはある担体を別のものと識別する際に補助となる他の特徴が含まれる。好ましい態様として、コードは、質量に基づいて区別可能である。この場合には、質量分析法が、好都合な担体の選別手段である。コード分子が核酸である場合、核酸コード分子のヌクレオチド配列を直接的または間接的に決定するための方法が特に有用である。
【0012】
核酸に基づく反応には一般に、蛍光マーカー、例えば、フルオロフォアのようなレポーター分子を組み込むための増幅もしくは重合反応および/またはハイブリダイゼーション相互作用が含まれる。さらに、核酸に基づく相互作用には、核酸分子との化学物質または生物物質の結合または会合が含まれる。
【0013】
対象分子が核酸ではない場合、対象分子との標識リガンドの結合は、標識を組み込むための機構と考えられる。
【0014】
一般に、担体上に固定化された核酸分子へのフルオロフォア標識核酸の取り込み、または非核酸分子との標識リガンドの結合の後、蛍光マーカーに基づく、例えば、フローサイトメトリーによる最初の選別が行われる。この後に、担体に特有のコードに基づいたデコンボルーションが行われる。前述のとおり、コードは、特有の質量、またはヌクレオチド配列を有する分子であることが好ましい。対象分子が核酸である場合、ペプチドコードが特に好ましいが、対象分子が核酸ではない場合、核酸コード分子が好ましい。別の態様として、標識された、例えば、化学ライブラリーまたは生物ライブラリーの化学物質を、特定の物質または細胞型にさらす。物質または細胞型を結合するもしくは会合するまたはそれにより変化するビーズを、ビーズに固定された化学物質の認識可能な蛍光変化により選別する。次に、共結合させた核酸部分の決定により、化学物質を推測する。
【0015】
さらに別の態様として、核酸プライマー上のまたは推定される核酸結合リガンド上の標識、およびコードは、全く同じ分子である。
【0016】
核酸分子は、いずれかの手段により担体に好都合に固定化されるが、汎用固定システムを介するものが特に好ましい。
【0017】
使用に当たって、本発明の方法のある局面には一般に、以下の段階が含まれる:
(i) 担体の集団に核酸分子およびコード(例えば、ペプチド)を、特定の核酸分子が、特有のコードを有する担体に固定化されるよう共結合させる段階;
(ii) 固定化された分子中へ蛍光標識または他の標識を、増幅、重合および/もしくはハイブリダイゼーション反応または結合剤により組み込む段階;
(iii) 蛍光または他の標識の発現に基づいて、担体の一次元選別を行う段階;および
(iv) 担体コードに基づいて、一次元的に選別された担体の二次元選別を行う段階。
【0018】
このような方法で、多重実験をより大規模で行うことができる。
【0019】
別の局面として、本発明は、以下の段階を含む、検出可能に異なる担体を有する集団を含む複数の担体の作製方法にある:
(a) 各コードがそれぞれの担体と関連する、異なるコードを有する複数の担体を調製する段階;
(b) 固定化された分子への検出可能な標識の組み込みを可能とするように、固定化された分子を核酸に基づく反応またはリガンド結合反応にかける段階;
(c) 特有のコードを有する担体を識別する段階;
(d) 類似のコードを有する担体を識別する段階; および
(e) 特有でないコードを有する担体から特有のコードを有する担体を選別することにより、検出可能に異なるコードを有する集団を含む複数の担体を提供する段階。
【0020】
好ましい態様の詳細な説明
本発明により、核酸または他の分子のための担体であって、識別する目的でコード化またはタグ付けされる担体が提供される。従って、 担体の集団内の多数の担体それぞれが区別可能なコードまたは担体を持つことが意図される。いずれか一つの担体または担体群に関連する核酸の反応もしくは現象またはリガンド結合現象を次いで、その特定の担体または担体群に関連するコードに基づいて、類別またはプールすることができる。
【0021】
「担体」という用語は、核酸分子およびコードを固定化するのに適当な表面または表面下の化学的性質を有する特定の固体支持体または半固体支持体を含むように、その最も広い意味で使用される。担体は、いずれかの適当なサイズまたは形状とすることができるが、粒子、特に、ミクロ粒子もしくはナノ粒子またはその他のビーズ様粒子が好ましい。粒子の形状は、球体、立方体、直角プリズム、錐体、円錐体、卵形、シート状または柱体とすることができる。ミクロ粒子が特に好ましい。一般に、粒子表面の化学的性質は、表面と核酸または化学基との間の共有結合の形成にふさわしくなければならない。
【0022】
本発明の担体は、以下の二つの重要な性質を有する:
(i) それらは、ある特定の担体を別の担体と区別できる分子でコード化されている; および
(ii) それらは、核酸分子もしくは他の分子、または核酸分子との化学結合の形成に関与できる化学結合基を持つ。
【0023】
コードまたはタグは、サイズ、組成、質量、免疫学的特異性、ヌクレオチド配列またはスペクトル特性に基づいて区別可能であるような特定のタイプのものとすることができる。本発明によれば、質量に基づいて区別可能なコードまたはタグが特に好ましい。好ましいコードは、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質であるが、しかし任意の高分子化合物または化学物質を使用することができる。さらに、コードは、固定化された核酸物質に組み込まれる標識もしくはプライマーとすることができるし、または標的の固定化された核酸分子に結合する化学物質もしくは生物物質上の標識とすることができる。
【0024】
別の態様として、関心のある分子(本明細書では相互作用性分子または固定化分子とも呼ばれる)が非核酸分子である場合、コード分子は核酸とすることができる。この態様によれば、コード分子のヌクレオチド配列に基づき、コード分子を識別することができる。
【0025】
従って、本発明により、担体であって、それに固定化された核酸分子もしくは他の分子、または核酸分子との化学結合の形成に関与できる化学基を含み、どの担体もその特定の担体を別の担体と区別するまたは識別するための手段を持つ担体が提供される。
【0026】
より具体的には、本発明により、担体の集団であって、それぞれが、それに固定化された、核酸もしくは他の分子、または核酸分子と化学結合を形成できる化学基を含み、その際に、その集団内の各担体または担体群が、個々の担体または担体群をお互いから区別するための手段を持つ担体の集団が意図される。
【0027】
担体は、ミクロ粒子またはナノ粒子、例えば、ミクロスフィアであることが好ましい。
【0028】
担体を識別するまたは区別するための手段は、特徴的な質量またはヌクレオチド配列を有する高分子化合物または化学物質の組み込みまたは固定化によることが好ましい。化学基には、核酸分子であって、それに第二の核酸分子がハイブリダイズするかまたは結合する核酸分子が含まれる。
【0029】
高分子化合物への言及には、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質が含まれる。ペプチドコードは、それぞれが、質量分析法により識別可能とされる特徴的な質量を有するペプチドの集団を作製できるので、特に好ましい。しかしながら、本発明は、サイズ、質量、スペクトル特性、リガンド特異性または免疫学的特徴のような特有の化学的性質を有するあらゆる形態のコードにまで及ぶ。
【0030】
担体は、核酸に基づくまたはリガンド結合に基づく反応のための土台を供与できる任意の固形物を含むことができる。例えば、担体は、高分子ビーズのような高分子支持体とすることができ、これは、1〜5%ジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンから形成されることが好ましい。高分子ビーズは同様に、ヘキサメチレンジアミン-ポリアクリル樹脂および関連する重合体、ポリ[N-{2-(4-ヒドロキシルフェニル)エチル}]アクリルアミド(すなわち、one Q)、シリカ、セルロース・ビーズ、ポリスチレン・ビーズ、ポリ(ハロメチルスチレン)ビーズ、ポリ(ハロスチレン)ビーズ、ポリ(アセトキシスチレン)ビーズ、ラテックス・ビーズ、ポリエチレングリコール/ポリスチレンのようなグラフト共重合体ビーズ、多孔質ケイ酸塩、例えば、細孔性ガラス(controlled pore-glass)ビーズ、ポリアクリルアミド・ビーズ、例えば、ポリ(アクリロイルサルコシンメチルエステル)ビーズ、N,N'-ビス-アクリロリルエチレンジアミンで任意で架橋されたジメチルアクリルアミド・ビーズ、架橋ポリスチレンを含む疎水性重合体または硬質もしくは半硬質表面を有する素材を与えるフッ素化エチレン重合体で被覆されたガラス粒子、ポリ(N-アクリロイルピロリジン)樹脂、Wang(商標)樹脂、Pam樹脂、Merrified(商標)樹脂、PAPおよびSPAREポリアミド樹脂、アクリル酸で官能化されたポリエチレン、珪藻土(kieselguhr)/ポリアミド(Pepsyn K)、PolyHipe(商標)、PS/ポリジメチルアクリルアミド共重合体、CPG、PSマクロビーズおよびTentagel(商標)、PEG-PS/DVB共重合体から形成させることができる。
【0031】
当然のことながら、高分子ビーズは、当技術分野において知られている、例えば、Gordonら、J. Med. Chem. 37(10): 1385〜1401, 1994に論じられているピンまたはチップのような他の適当な支持体により置換されてもよい。ビーズには、当技術分野において知られているペレット、ディスク、キャピラリー、中空ファイバーまたは針が含まれてもよい。本発明で用いる担体を構成できる広範な支持体が記述されている、国際特許出願である国際公開公報第93/06121号も参照されたい。一例として、これらの担体は、ラテックス、ガラス、金または他のコロイド状金属粒子および同様のものを含む適当な素材から形成させることができる。適当な担体の例が開示されている、国際公開公報第95/25737号または国際公開公報第97/15390号も参照されたい。
【0032】
本発明による複数の担体は、いずれかの適当な方法により調製することができる。高分子およびセラミック粒子を含有するコロイド状粒子を担体として使用する場合、そのような粒子のコロイド分散を安定化させることが好ましい。コロイドの安定化を与える典型的な方法が、例えば、Hunter(「Foundation of Colloid Science」、Oxford University Press, Melbourne)およびNapper(「Polymeric stabilization of Colloidal Dispersions」、Academic Press, London)に記述されている。この件について、コロイド安定化に対する非イオン性重合体の最も広く活用されている効果は、立体安定化であり、この場合、安定性は、コロイド粒子の表面上に吸収される、またはその表面に付着される高分子により与えられる。当業者であれば、異なる安定化の機構を組み合わせることで安定性を与えることが可能である、例えば、粒子上の表面電荷により、静電気的安定化を介したコロイド安定性を与えることが可能であり、および付着した高分子電解質により、静電気的および立体的機構(静電気的安定化)の組み合わせによる安定性を与えることが可能であることを認識するものと思われる。重合体が遊離している溶液は同様に、コロイド安定性に影響を及ぼし得る。遊離重合体による安定化は、十分に立証されており(Napper、1983、前掲)、「枯渇安定化」と呼ばれる。
【0033】
コロイド分散の立体安定化を利用することができる。この点で、立体安定化により、静電気的安定化と比べていくつかの異なる利点が得られるので、これが広く利用されている。例えば、一つの利点は、水で立体的に安定化される分散は、非イオン鎖のかさが電解質濃度とともにあまり変化しないので、電解質の存在の影響を比較的受けにくいことである。これは、イオン強度に強く依存する電気的二重層の空間的拡張と、全く対照的である。約10-2 mol dm-3よりも大きなイオン強度で、電気的二重層の厚さは、静電反発力がもはやファンデルワールス引力を超えないような程度にまで縮小してしまうことは明らかである。このことから、電気的に安定化された分散が、電解質の添加によって凝集することが説明される。別の利点は、立体安定化は、水性および非水性分散媒体の双方で同様に効果的なことである。これは、非極性分散媒体ではあまり効果がない電気的安定化と、対照的である。さらに、立体安定化は、大量および少量画分双方の分散相で同様に有効である; 大量画分の分散は比較的低い粘性を示す。立体的に安定化される分散の他の利点には、使用目的によっては所望の性質とできる、良好な凍結融解安定性、および電気的に安定化される分散ではあまり見られない可逆的な凝集能が含まれる。
【0034】
高分子ミクロ粒子は、スチレン、アクリレートおよび不飽和クロライド、エステル、アセテート、アミドならびにアルコールを含む種々の重合可能な単量体から調製することができ、以下に限定されることはないが、ポリスチレン(臭素化ポリスチレンのような高密度ポリスチレンラテックスを含む)、ポリメチルメタクリレートおよび他のポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクロレイン、ポリジメチルシロキサン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド(polyvinylcyhloride)、ポリビニルピリジン、ポリビニルベンジルクロライド(polyvinylbenzylchoride)、ポリビニルトルエン、ポリビニリデンクロライドおよびポリジビニルベンゼンが含まれる。ミクロ粒子は、スチレン単量体から調製することができる。セラミックミクロ粒子は、シリカ、アルミナ、チタニアまたは他の適当な透明素材で構成することができる。シリカ粒子を使用することが好ましい。シリカミクロ粒子の適当な作製方法が、例えば、Ralph K. Iler, 1955による「The Colloid Chemistry of Silica and Silicates」(Cornell University Press)および米国特許第5,439,624号に記述されており、これらの開示は参照として本明細書に組み入れられる。
【0035】
異なる高分子素材および/または異なるセラミック素材を含むミクロ粒子を調製することもできる。例えば、そのようなミクロ粒子は、例えば、Carusoら、J. Am. Chem. Soc. 120: 8523〜8524, 1998に記述されているような、一つまたは複数の異なる高分子からなる複数の層を含むことができる。このタイプの高分子粒子は、異なる屈折率または不透明性を有するように調製することができ、これを、本発明により検出可能な性質として利用することができる。または、ミクロ粒子は、例えば、van Blaadernら、Langmuir 8: 2921〜2931, 1992(これは参照として本明細書に組み入れられる)に記述されているようなセラミック素材の、複数の層、好ましくは、複合多層を含むことができる。異なるセラミック素材の原子比率は、本発明の検出可能なおよび/または定量可能な性質として利用することができる。この点で、波長分散分光法による、粒子のSi/Al比率の測定が開示されている、米国特許第5,439,624号を参照することができる。
【0036】
特に好ましい態様として、担体はミクロスフィアであり且つコードはペプチドである。
【0037】
別の好ましい態様として、固定化分子は非核酸分子であり、担体はミクロスフィアであり且つコードは核酸分子である。
【0038】
従って、本発明の別の局面により、ミクロスフィアの集団であって、その各々または群が、特徴的な質量を有するペプチド、および核酸分子ならびに/または核酸分子との化学結合の形成に関与できる化学基を含む、ミクロスフィアの集団が提供される。
【0039】
コード担体または標識担体は、多くの技術で利用することができる。PCRを介した標識プライマーの組み込みに基づく、特定のヌクレオチド配列の識別と結び付けた用途に関する以下の記述は、コード担体集団が有用となる多くの技術のうちの一つである。しかしながら、この記述は、本発明を、記述される特定の方法に決して限定するものではない。
【0040】
核酸分子の集団は担体に、直接的にまたはオリゴヌクレオチドもしくは核酸分子との化学結合の形成に関与できる他の化学基を介して、固定化される。一般に、ミクロスフィアのような担体の集団であって、その各々または群が、評価される核酸分子を含んだ、担体の集団が存在する。担体の各々または群は、別の担体または担体群に対し、その特定のペプチドに特有の定義済みの質量を有するペプチドでコード化される。
【0041】
本発明をいずれか一つのコード識別方法に限定することを望むわけではないが、ペプチドを識別するおよび/または区別するための質量分析法の利用が、特に好ましい。
【0042】
PCRは、区別可能なシグナルを発生できる、異なるレポーター分子が通常付けられたプライマーの対を用いて行われる。フルオロフォアの使用は、本発明を実践するうえで特に有用である。適当なフルオロフォアの例は、表1に示される一覧表から選択することができる。その他の標識には、発光およびリン光のほかに赤外色素が含まれる。
【0043】
(表1)



1 Ex: ピーク励起波長 (nm)
2 Em: ピーク発光波長 (nm)
【0044】
蛍光発光の適当な分析方法は、本発明に包含される。この関連で、本発明により、例えば、Lakowiczら、(Biophys. J. 72: 567, 1997、参照として本明細書に組み入れられる)に開示されるような2-光子および3-光子時間分解蛍光分光法、例えば、Erikssonら、(Biophys. J. 2: 64, 1993、参照として本明細書に組み入れられる)に開示されるような蛍光寿命イメージングおよび、例えば、Youvanら、(Biotechnology et elia 3: 1〜18, 1997)に開示されるような蛍光共鳴エネルギー移動を含むがこれらに限定されることはない技術が意図される。
【0045】
発光およびリン光は、当技術分野において知られる適当な発光標識またはリン光標識からそれぞれ生じ得る。この点で、そのような標識を識別するいずれかの光学的方法を利用することができる。
【0046】
赤外線は、適当な赤外色素から生じ得る。本発明で使用できる典型的な赤外色素には、以下に限定されることはないが、Lewisら、(Dyes Pigm. 42(2): 197, 1999)、Tawaら、(Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 488 [Electrical, Optical and Magnetic Properties of Organic Solid-State Materials IV], 885〜890)、Daneshvarら、(J. Immunol. Methods 226(1-2): 119〜128, 1999)、Rapaportら、(Appl. Phys. Lett. 74(3): 329〜331, 1999)およびDurigら、(J. Raman Spectrosc. 24(5): 281〜285, 1993) (これらは参照として本明細書に組み入れられる)に開示されるものが含まれる。いずれかの適用な赤外分光法を利用して、赤外色素を調べることができる。例えば、この点で、例えば、Rahmanら、(J. Org. Chem. 63: 6196, 1998)に記述されるようなフーリエ変換赤外分光法を利用することができる。
【0047】
適当には、電磁散乱は、光線およびX線を含む入射電磁放射線の回折、反射、偏光または屈折から生じ得る。この点で、担体を異なる素材で形成させて、例えば、上述の異なる屈折率のようなさまざまな散乱特性を有する一連の担体を供与することができる。当技術分野において認識されるいずれかの適用な、電磁散乱の検出法および/または定量化法を利用することができる。この点で、本発明により同様に、例えば、van HeldenおよびVrij (Journal of Colloidal and Interface Science 76: 419〜433, 1980)に記述されるような光散乱のコントラスト変調を利用した方法も意図される。
【0048】
蛍光発光は、担体に結合した、またはその内部に含まれる一つまたは複数の蛍光マーカーの励起から生じ得る。二つまたはそれ以上の蛍光マーカーが利用されている場合、そのマーカーを同一とすることができる。その場合、マーカーは、さまざまな量のフルオロフォアを含み、従って、強度により識別される。または、マーカーを別とすることができる。その場合、それらは、比率1:1でまたはさまざまな比率で存在する。この関連で、Yamashitaら、(国際公開公報第95/32425号)を参照することができる。
【0049】
本発明により利用できる典型的なフルオロフォアには、Dowerら、(国際公開公報第93/06121号)に論じられるものが含まれる。蛍光色素を利用することが好ましい。いずれかの適当な蛍光色素を本発明の担体に組み込むのに利用することができる。例えば、多くの蛍光色素が記述されている米国特許第5,573,909号(Singerら)および米国特許第5,326,692号(Brinkleyら)を参照することができる。米国特許第5,227,487号、米国特許第5,274,113号、米国特許第5,405,975号、米国特許第5,433,986号、米国特許第5,442,045号、米国特許第5,451,663号、米国特許第5,453,517号、米国特許第5,459,276号、米国特許第5,515,864号、米国特許第5,648,270号および米国特許第5,723,218号に記述の蛍光色素を参照することもできる。
【0050】
多重アッセイを本発明により行うことができる。各実験には、特定のコード担体が含まれる。
【0051】
次に、PCRを行うことで、結果的にレポーター分子を組み込ませる。フルオロフォア・レポーター分子の場合、これらは、フローサイトメーターによるFACSソーティングを利用して容易に識別することができる。この点で、核酸反応の産物は、レポーター分子に基づいて分類され、特定のファミリーの担体に基づいて分類されることはない。これは、例えば、質量分析法により達成される。次に、個々の実験を担体に基づいて識別する。
【0052】
従って、本発明により、担体に固定化され且つ定義済みの特性を有する核酸分子を、核酸分子が固定化された担体の二つまたはそれ以上の集団から識別するための方法であって、その際に各担体は、担体を識別する識別可能なコードを含み、以下の段階を含む方法が提供される:
各担体を識別コードでコード化する段階および核酸に基づく反応により標識される核酸分子を固定化する段階;
コード担体を核酸に基づく反応にかけて、PCRプライマーの対による異なる標識を組み込む段階;
核酸に基づく反応後に組み込まれた標識に基づいて、コード担体を選別する段階; ならびに
コードに基づいて担体を識別する段階。
【0053】
従って、本発明により、検出可能に特有の担体を有する担体の集団を含む複数の担体の作製方法が提供される。この方法は、以下の段階を含む:
a) 各コードがそれぞれの担体と関連する、異なるコードを有する複数の担体を調製する段階;
b) 固定化された核酸分子への検出可能な標識の組み込みを可能とするように、核酸分子を核酸に基づく反応にかける段階;
c) 検出可能におよび/もしくは定量化可能に解読でき、または検出/定量化手段により解明できる、特有のコードを有する担体を識別する段階;
d) 特有でないコードに類似の担体を識別する段階; ならびに
e) 特有でないコードを有する担体から特有のコードを有する担体を選別し、それにより、検出可能に異なるコードを有する集団を含む複数の担体を提供する段階。
【0054】
前述のとおり、識別段階は、検出可能な/定量化可能な担体の性質を分析するためのいずれかの適当な方法または装置の利用により達成することができる。これらの段階は、光学パラメータを通常検出する、フローサイトメトリーにより達成されることが好ましい。例えば、フローサイトメーターを使用して、前方散乱(これは担体のサイズの測定である)、側方散乱(これは粒子の屈折率およびサイズに反応しやすい[Shapiro、「Practical flow cytometry」、第三版、Brisbane, Wiley-Liss, 1995を参照されたい])および蛍光発光を測定することができる。
【0055】
当技術分野において知られているように、フローサイトメトリーはハイスループット技術であって、この技術は、細胞または他の粒子が液体流に懸濁された状態で、一つまたは複数のレーザー光線の進路を通過するときに、それらの物理的および化学的特性を迅速に分析することを伴う。各細胞または粒子がレーザー光線を遮断するときに、各細胞または粒子から放出された散乱光および蛍光が、例えば、後述のいずれかの適当なトラッキングアルゴリズムにより検出および記録される。
【0056】
最新のフローサイトメーターは、これらのタスクを最高で細胞/粒子100,000個/秒まで行うことができる。フィルターおよび二色性ミラーの光学アレイを利用することで、異なる波長の蛍光を同時に分離して、検出することができる。さらに、異なる励起波長を有する多数のレーザーを使用することができる。故に、種々のフルオロフォアを使用して、例えば、個々の細胞の細胞内および細胞外特性を標的とし且つ調べることができる。散乱光の測定は同様に、個々の担体のサイズ、形状、粒度および/または複雑性ならびに、従って、関心のある特定の集団への帰属を類別することができる(Shapiro、1995、前掲)。
【0057】
本発明の方法で利用できる適当なフローサイトメーターには、単一励起型レーザー、一般に空冷アルゴンイオンレーザーを用い、そのスペクトル線488 nmにおいて15 mWで操作して、5〜9つの光学パラメータ(表2を参照されたい)を測定するものが含まれる。さらに進歩したフローサイトメーターは、アルゴンイオンレーザー(488または514 nm)に加えてHeNeレーザー(633 nm)またはHeCdレーザー(325 nm)のような多重励起型レーザーを用いることができる。担体に対し、光学的に検出可能な/定量化可能な異なる性質に対応する光学パラメータをフローサイトメーターにより測定して、定性的および/または定量的情報の行列を得ることができ、その結果、担体にコード(または多次元空間中のアドレス指定能力)を与えることができる。
【0058】
(表2)フローサイトメーターにより測定でき且つ本研究で使用した典型的な光学パラメータ

488 nmの励起レーザーを使用
バンドパス(帯域通過)フィルターの幅
ロングパスフィルター
【0059】
例えば、Biggsら(Cytometry 36: 36〜45, 1999)は、3つの励起レーザーを利用した11パラメータのフローサイトメーターを構築し、そして細胞の免疫表現型を識別する(すなわち、分類する)ために、前方および側方散乱測定に加えて9つの区別可能なフルオロフォアの使用を実証した。現在、商業ベースで利用可能なパラメータの最大数は17である: 前方散乱、側方散乱および各5つの蛍光検出器を備えた3つの励起レーザー。全てのパラメータを適切に使用できるかどうかは、減衰係数、量子収量および全てのフルオロフォアの間のスペクトルの重複量に大きく依存する(Malemedら、「Flow cytometry and sorting」、第二版、New York, Wiley-Liss, 1990)。しかし、当然のことながら、本発明は特定のフローサイトメーターまたは特定のパラメータセットに限定されることはない。この関連で、本発明により同様に、従来式のフローサイトメーターや、例えば、Fuら(Nature Biotechnology 17: 1109〜1111, 1999)により開示されるような微細加工されたフローサイトメーターに代わる用途が意図される。
【0060】
フローサイトメトリーのさらなる利点は、関心のある細胞または粒子を細胞/粒子の不均質な集団から物理的に分離する能力である。これは、電気的または機械的手段を介して、レーザービームの下流の地点で所望の細胞/粒子を回収することにより行われ、その一方で、不要な細胞/粒子は廃棄容器に流れ込み続ける。この選別能力を備えたフローサイトメーターは、「蛍光活性化細胞選別装置」(fluorescence activated cell sorter:FACS)として知られている。従って、本発明に関して、FACSは、より正確には「蛍光活性化担体または固体支持体選別」であるが、検出可能に特有の担体の集団を得る本方法で選別する段階は、蛍光活性化細胞選別(FACS)法によるようなフローサイトメトリー法により達成することができる(例えば、「Methods in Cell Biology」第33巻、Darzynkiewica, Z.およびCrissman, H. A(編)、Academic PressならびにDanglおよびHerzenberg, J. Immunol. Methods 52: 1〜14, 1982を参照されたい、いずれも参照として本明細書に組み入れられる)。
【0061】
いずれかの適当なアルゴリズムを使用して、個々の検出可能に特有の担体を追跡するおよび/または選別することができる。実時間アルゴリズムを使用することが好ましい。例えば、実時間アルゴリズムは、「パラメータ空間」をより小さな所定のグリッド空間に分類することができ、その際にグリッド空間の全てが空に登録される。試料集団由来の担体がフローサイトメーターを一列縦隊で通過するときに、各担体に属するコードが特定のグリッド空間に対応するものと思われる。その結果、考え得る二つの結果が起こる:
(i) グリッド空間が空と登録されている場合、担体はフローサイトメーターにより選別かつ回収されて、グリッド空間が満杯と登録される; または
(ii) グリッド空間が既に満杯と登録されている場合、担体は拒絶される。
【0062】
適当には、選別する段階は、検出可能に異なる担体の集団が、複数の担体の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%およびより好ましくは少なくとも約95%を構成することを特徴とする。
【0063】
本発明は、核酸結合性の化学物質または生物物質を検出するためのコード担体の使用にまで及ぶ。一つの態様として、本発明により、以下の段階を含む、核酸結合物質を検出するための方法が提供される:
担体に固定化された核酸分子を調製する段階であって、その際に各担体または担体群は識別コードでコード化される;
それぞれがレポーター分子で標識された、予想される核酸結合物質と担体を接触させる段階;
核酸分子に結合する場合、物質のレポーター分子に基づいて、一次元選別を行う段階;および
その後、コードに基づいて、担体を識別する段階。
【0064】
核酸プライマーまたは核酸結合物質上のレポーター分子を担体コードとして使用する段階を含む主題の方法には、多くの異なる変形がある。さらに、主題の方法を特定の段階に分割することは、段階の順序または二つもしくは複数の段階を単一の段階に一体化する可能性に関して、いかなる制限を課すものでもない。例えば、コードを同様に、粒子上の遊離型の核酸結合部位を遮断するのに使用することもできる。
【0065】
さらに、別の態様として、主題の方法により同様に、上記の方法の改変による非核酸分子の結合パートナーの同定が意図され、そのために、一つまたは複数の非核酸分子を含むライブラリーを核酸コード化担体に固定化し、それぞれがレポーター分子で標識された、予想される結合パートナーを、固定化された分子と接触させる。
【0066】
好ましい別の態様として、コード担体に固定化された分子には、以下に限定されることはないが、予想される酵素阻害剤を含めた、予想されるタンパク質結合分子のライブラリーが含まれ、そして結合パートナーはタンパク質または酵素である。
【0067】
本発明により同定される核酸結合物質に関して、これらは、抑制因子、活性化因子、発現調節因子および、例えば、核酸標識試薬として使用するための核酸結合物質にまで及ぶ。遺伝子発現を活性化するまたは遺伝子発現を抑制する物質が特に好ましい。一般的な核酸結合物質は同様に、アフィニティークロマトグラフィーにおよび核酸精製に有用である。
【0068】
本発明によりさらに、担体上に常在する化学基とタグ核酸分子上の化学基との間の共有結合により、担体に結合されるタグオリゴヌクレオチドを介した、担体への標的核酸分子のリガーゼを介した結合を促進する核酸固着システムと、コード担体を組み合わせることが可能とされる。
【0069】
従って、本発明の別の局面は、担体に特有のコードを持つ担体に固着される、タグオリゴヌクレオチドである。
【0070】
従って、本発明により、標的核酸分子とのリガーゼを介した共有結合のための基質となるタグオリゴヌクレオチドに結合した第二化学基との、共有結合の形成に関与できる表面の第一化学基を含む担体であって、前記の担体に特有のコードをさらに含む担体が提供される。
【0071】
担体表面の化学基は、アミン基、チオール基またはアクリル基と共有結合を形成でき得る。
【0072】
または、担体表面の化学基は、タグオリゴヌクレオチドのカルボキシル基のような化学基と共有結合を形成できる、アミン基、チオール基またはアクリル基から選択される。
【0073】
従って、本発明の別の局面は、カルボキシル基、アミン基、チオール基およびアクリル基から選択される第一化学基であって、担体表面の化学基がカルボキシル基であるならば、共有結合はアミン基、チオール基またはアクリル基で生じるという条件で、オリゴヌクレオチドに結合されたカルボキシル基、アミン基、チオール基およびアクリル基から選択される第二化学基との共有結合の形成に関与できる表面の第一化学基を含む担体であって、担体に特有のコードをさらに含む担体に向けられる。しかしながら、本発明は、他の化学物質といずれかの形態の共有結合を形成できる化学基にまで及ぶ。
【0074】
ある好ましい態様として、担体表面の化学基はチオール基であり、そのような基は、多くの化学基、例えば、アミン基、チオール基またはアクリル基のうちの一つと共有結合を形成することができ、担体の化学基がアミン基、チオール基またはアクリル基のうちの一つであるならば、共有結合は、タグオリゴヌクレオチドのカルボキシル基で形成される。
【0075】
最も好ましい態様として、担体表面の化学基はチオール基である。
【0076】
前述のとおり、担体は、固体支持体、例えば、ミクロスフィア、ビーズ、ガラス、セラミックもしくはプラスチックスライド、計量棒またはマイクロタイターウェルのような容器の壁の形状であることが好ましい。固体支持体の形状は、決定的に重要というわけではなく、意図する用途に応じて変化させてもよい。しかしながら、ミクロスフィア、例えば、シリカまたはメタクリル樹脂ミクロスフィアは、本発明を実践するうえで、とりわけ懸濁アッセイまたは光ファイバーアッセイで用いるのに特に有用である。
【0077】
固体支持体の選択は、操作の簡便性、費用水準、熱安定性ならびに/または水性溶媒および/もしくは有機溶媒中の安定性に基づくのが好都合である。
【0078】
従って、特に好ましい態様として、本発明は、タグオリゴヌクレオチドに結合されたアミン基、チオール基およびアクリル基から選択される化学基との共有結合の形成に関与できるカルボキシル化またはチオール化表面を有するミクロスフィアに向けられる。
【0079】
一般に、かなり多くの化学基が固体支持体の表面に存在しているまたは露出している可能性があり、これらは数百から数百万に及ぶ可能性がある。
【0080】
特に好ましい態様として、1担体につき、共有結合に潜在的に関与する表面化学基は、約3,000〜約100,000個存在する。これは特に、固体支持体がミクロスフィアの場合である。好都合には、ミクロスフィアは、1ビーズにつき、化学基を約4,000〜約80,000個、より好都合には、約5,000〜約70,000個含む。
【0081】
従って、ある好ましい態様に関して、本発明により、ミクロスフィアであって、それぞれが1ミクロスフィアにつき、表面カルボキシル、またはチオール基もしくはアミン基を約3,000〜約100,000個、例えば、約4,000〜約80,000個、またはより具体的には、約3,000〜約5,000個含むミクロスフィアが提供される。
【0082】
担体表面の化学基と共有結合を形成できる化学基を有するタグオリゴヌクレオチドは、そのヌクレオチド配列は一般に周知であると思われるが、任意のヌクレオチド配列を含むことができる。ある特に有用な配列は、SP6 RNAポリメラーゼプロモーターのヌクレオチド配列のようなRNAポリメラーゼプロモーターのヌクレオチド配列である。DNAを連結する点で後者の利点は、RNA転写産物の産生能である。しかしながら、周知の配列の任意のオリゴヌクレオチドを使用することができる。「オリゴヌクレオチド」という用語は、いずれかの限定範囲に見なされるべきではなく、約10塩基対(bp)〜数百bpを含むことができる。
【0083】
担体とのタグオリゴヌクレオチドの結合の後、タグオリゴヌクレオチドが担体表面の妨害を示さないことを確実にすることが好都合である。このため、スペーサー分子が一般に、化学基とタグオリゴヌクレオチドの5'末端との間に含まれる。約C1〜約C100、より好ましくは約C10〜約C50、およびさらにより好ましくは約C18〜約C36の炭素原子を有するような炭素に基づく分子を含むスペーサーが、特に有用である。
【0084】
スペーサーは同様に、2×C18スペーサーまたは3×C6スペーサーのような多重の繰り返しとしてもよい。スペーサーの長さは、決定的に重要というわけではなく、意図する用途に応じて変化させてもよい。
【0085】
従って、本発明の別の局面により、担体表面の化学基と共有結合を形成できる化学基であって、mCn(式中、Cは炭素原子であり、nは炭素原子数であり、mはCn分子の繰り返し数であって、1であるかまたは1よりも大きい)の炭素原子を有する炭素分子を介してタグオリゴヌクレオチドに結合された後者の化学基を含む、単離されたタグオリゴヌクレオチドが意図される。
【0086】
一般に、nは約1〜約100であり、mは1であるかまたは約2〜約10であることが好ましい。
【0087】
従って、炭素原子の総数は、約20〜約50である。
【0088】
スペーサー分子は、アルキル、アルケニルまたはアルキニル分子が好都合である。DNAを含んだ固体支持体の表面からオリゴヌクレオチドを分離するには、スペーサーは、直鎖状非分枝の炭化水素であることが好ましいが、その他の分子を使用することもできる。
【0089】
担体表面の化学基がカルボキシル基である場合、タグオリゴヌクレオチドの5'化学基はアミン基、チオール基またはアクリル基が好都合である。または、5'化学基がカルボキシル基であり、担体表面の化学基がアミン基、チオール基および/またはアクリル基のうちの一つまたは複数である。アクリル・チオール基が特に有用である。
【0090】
最も好ましい態様として、タグオリゴヌクレオチドの5'化学基は、アクリル基である。
【0091】
本発明の上記の局面によれば、固体支持体はミクロスフィアであることが好ましいが、任意の固体支持体を使用することができる。
【0092】
従って、本発明の別の局面により、担体表面の化学基と、構造mCn(式中、nは約1〜約100の炭素原子数であり、mはCn分子の繰り返し数であって、約1〜約10である)を有する炭素原子(C)スペーサーを介してタグオリゴヌクレオチドに結合した化学基との間の共有結合により、担体表面に固着されたタグオリゴヌクレオチドを含む担体であって、担体に特有のコードをさらに含む担体が提供される。
【0093】
前述のとおり、共有結合は、アミン、チオールまたはアクリル基に共有結合したカルボキシル基が好都合である。さらに、炭素原子を含む分子は、長さが約20〜約50の炭素原子であることが好ましい。
【0094】
従って、本発明の別の局面には、以下の構造を有する製品が含まれる:
S-mCn-[x1x2...xp]
式中:
Sは固体支持体である;
Cは炭素原子である
nは炭素原子数であって、約1〜約100である;
mはCn部分の繰り返し数であって、約1〜約10である;
および
[x1x2...xp]はヌクレオチドx1x2...xpのヌクレオチド配列であって、x1x2...xpのそれぞれが同じであってもまたは異なっていてもよく、ヌクレオチドの長さ、つまりpは5〜約200である。
【0095】
上記式で、図式「-」は、例えば、アミド結合のような共有結合を示す。
【0096】
オリゴヌクレオチド配列、すなわち、x1x2...xpは、SP6 RNAポリメラーゼプロモーターのようないずれかの周知の配列である。オリゴヌクレオチド配列には同様に、例えば、翻訳開始シグナル、リボソーム結合部位および共通の開始トリプレットを有するさらなるヌクレオチド配列が含まれてもよい。
【0097】
担体とのタグオリゴヌクレオチド配列の共有結合の成功を確実にするかまたは判定することが特に好都合である。これは、相補的な内部標識オリゴヌクレオチド配列の取り込みにより行うことができる。内部標識オリゴヌクレオチド配列は、固着されたタグオリゴヌクレオチド配列の5'末端に相補的なのが好都合である。内部標識は、その3'末端6-FAMのようないずれかの適当な標識とすることができる。5'末端は一般にリン酸化される。
【0098】
従って、本発明の別の局面により、担体表面の化学基と、nが約1〜約100であるn個の炭素原子からなる分子を介してタグオリゴヌクレオチドに結合した化学基との間の共有結合により、担体表面に固着された周知の配列のタグオリゴヌクレオチドを含む担体であって、後に述べたタグオリゴヌクレオチド上の相補的なヌクレオチド配列に、塩基対合によりアニールし、結果的にタグオリゴヌクレオチドまたはその相補的なオリゴヌクレオチドの3'末端に突出部を生じる第二のオリゴヌクレオチド配列を含み、担体に特有のコードをさらに含む担体が提供される。
【0099】
第二のオリゴヌクレオチド配列は、標識を含み、担体との第一のオリゴヌクレオチド配列の共有結合の成功または失敗を判定するのに使用されることが好ましい。
【0100】
好ましい標識は、Cy5またはAlexa 647である。
【0101】
第一のオリゴヌクレオチド配列は、その3'末端が第二のオリゴヌクレオチド配列に対して突出することが好ましい。
【0102】
前記のとおり、第二のオリゴヌクレオチドは、標識され、故に、担体との第一のオリゴヌクレオチドの共有結合の成功または失敗を目的とした好都合なアッセイにあう。当業者であれば、共有結合の度合いを判定するのに多くの変形があること、および本発明は、ある特定の手段にのみ限定されるべきではないことをすぐに理解するものと思われる。
【0103】
本発明のこの局面の本質は、担体表面の第一の化学基(例えば、カルボキシル基)と、上記に定義されるような長さmCnのスペーサー分子を介して第一のオリゴヌクレオチドに結合した第二の化学基との間の共有結合により、担体表面に固着された第一のタグオリゴヌクレオチドおよび識別可能なシグナルを発生できるレポーター分子で任意に標識された第二のタグオリゴヌクレオチドであって、第二のタグオリゴヌクレオチドは、第一のオリゴヌクレオチド上の相補的なヌクレオチド配列にアニールし、好ましい態様として、第一のタグオリゴヌクレオチドの3'突出を生じ、その際に、5'末端がリン酸化されている第二のタグオリゴヌクレオチドを有する担体である。
【0104】
タグオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドは、本明細書では、α-タグまたはα-タグオリゴヌクレオチドと呼ばれる。
【0105】
従って、ある態様として、本発明により以下が提供される:
(i) ミクロスフィア、マイクロチップまたはマイクロタイタープレートのウェル側面のような担体; および
(ii) 上記のようなmCnの炭素原子からなる分子を介してオリゴヌクレオチドに結合した化学基を有するタグオリゴヌクレオチド;
その際に、オリゴヌクレオチドの化学基は、担体表面の化学基と共有結合を形成している状態にある;
(iii) 前記の担体に特有のコード。
【0106】
本発明によりさらに、核酸分子用のコード担体を含むキットが提供される。キットは、コード核酸担体を含むのに適した区画を備えた区画化された形であることが好都合である。その他の区画が、それぞれ、本方法を実践するために必要な他の試薬を含むのに適するように含まれてもよい。その代わりとして、キットは、担体およびコード用の別の区画を含む。
【0107】
本発明により、担体の個々または群のコードを評価するためのコンピュータプログラム製品であって、以下を含む製品がさらに意図される:
(1) 入力値として受け取るコードであって、担体に関連したコード;
(2) 担体コードを比較して、参照データベースから担体の識別評価を提供するコード; および
(3) コードを記憶するコンピュータ可読媒体。
【0108】
本発明のさらに別の局面は、以下を含む、担体のコードを評価するためのコンピュータにまで及ぶ:
(1) 担体のコード識別のための値を含む、機械可読データでコード化されたデータ記憶材料を含む、機械可読データ記憶媒体;
(2) 機械可読データの処理用の命令を記憶するためのワーキングメモリ;
(3) 値を比較して、参照データベースからコードの識別の評価を提供するための機械可読データを処理するための、ワーキングメモリにおよび機械可読データ記憶媒体に連結された中央演算処理装置; および
(4) コードの識別の結果を受信するための、中央演算処理装置に連結された出力ハードウェア。
【0109】
これらの態様の一つのバージョンが図3に示される。この図は、中央演算処理装置(「CPU」)20、ワーキングメモリ22(これは例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)または「コア」メモリとすることができる)、大容量記憶メモリ24(例えば、一つまたは複数のディスクドライブまたはCD-ROMドライブ)、一つまたは複数の陰極線管(「CRT」)表示端末26、一つまたは複数のキーボード28、一つまたは複数の入力ライン30、および一つまたは複数の出力ライン40を、これらの全てが従来の双方向システムバス50により相互接続されるようにして含んだコンピュータ11を含むシステム10を示す。
【0110】
入力ライン30によりコンピュータ11に連結された、入力ハードウェア36は、さまざまな方法で実装することができる。例えば、本発明の機械可読データは、電話線または専用データ線34により接続された一つのモデムまたは複数のモデム32を使用して入力することができる。あるいはまたはさらに、入力ハードウェア36は、CDを含むことができる。または、表示端末26、キーボード28と連動させてROMドライブまたはディスクドライブ24を入力装置として使用することもできる。
【0111】
出力ライン40によりコンピュータ11に連結された、出力ハードウェア46は同様に、従来の装置により実装することができる。一例として、出力ハードウェア46は、本明細書に記載の合成ポリヌクレオチド配列または合成ポリペプチド配列を表示するためのCRT表示端末26を含むことができる。出力ハードウェア46には同様に、ハードコピーの出力を得ることができるように、プリンター42が、または後で使用する場合にシステム出力を保存するためのディスクドライブ24が含まれてもよい。
【0112】
稼働中、CPU 20が、各種の入力および出力装置36、46の使用を調整し、大容量記憶メモリ24からのデータアクセスおよびワーキングメモリ22とのアクセスのやりとりを調整し、ならびにデータ処理ステップの順序を決定する。本発明の機械可読データを処理するのに、多くのプログラムを使用することができる。典型的なプログラムは、例えば、以下の段階を使用することができる:
(1) コードの識別に基づいて担体に対する入力値を入力する段階;
(2) ヌクレオチドに対する値の比較を含む評価する段階; および
(3) 評価の結果を出力する段階。
【0113】
一般的には、または好都合には、コードは質量により識別され、故に、コンピュータ製品は質量分析計と連動することができる。
【0114】
図4は、図3のシステム10のようなシステムにより実行可能な、本発明の合成分子を設計するための、機械可読データ、または一連の命令でコード化され得る磁気データ記憶媒体100の横断面を示す。媒体100は、適当な基板101(これは従来式とすることができる)、および片側または両側に、極性または方向を磁気的に改変できる磁区(可視化されていない)を含む、適当なコーティング102(これは従来式とすることができる)を有する、従来式のフロッピーディスケットまたはハードディスクとすることができる。媒体100は同様に、ディスクドライブまたは他のデータ記憶装置24のスピンドルを受けるための開口部(示されていない)を有することができる。媒体100のコーティング102の磁区は、図3のシステム10のようなシステムにより実行するため、本明細書に記述されるような従来式の、機械可読データとできる方法でコード化するように分極されるまたは方向付けられる。
【0115】
図5は、図3のシステム10のようなシステムにより実行可能な、本発明の合成分子を設計するための、上記の機械可読データ、または一連の命令で同様にコード化され得る光学的に可読のデータ記憶媒体110の横断面を示す。媒体110は、従来式のコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)または光磁気ディスクのような書換可能媒体とすることができ、これらは、光学的に可読かつ光磁気的に書き込み可能である。媒体100は、適当な基板111(これは従来式とすることができる)、および通常、基板111の片側の適当なコーティング112(これは従来式とすることができる)を有することが好ましい。
【0116】
CD-ROMの場合、よく知られているように、コーティング112は、反射性であり、機械可読データをコード化するための複数のピット113が刻み込まれている。ピットの配列は、レーザー光線をコーティング112の表面に反射させることにより読み取られる。保護コーティング114(これは実質的に透明であることが好ましい)が、コーティング112の上に供与される。
【0117】
本発明を以下の非限定的な実施例によりさらに説明する。
【0118】
実施例1 一塩基多型の検出
Agoutiシグナル伝達タンパク質は、ヒトの色素沈着に関与している(Kanetskyら、Am. J. Hum. Genet. 70: 770〜775, 2002)。ASIP遺伝子の3'非翻訳領域中のゲノム位置8818で、多型性(A→G)が検出される。Gの対立遺伝子の保因が、黒い髪と茶色の目に関連することが見出された(Kanetskyら、2002、前掲)。
【0119】
多型性を目的に個体群をスクリーニングするため、ASIP遺伝子の3'非翻訳領域に隣接するプライマーを用いて、ゲノムDNAを増幅する。次に、別個のコードが、一個体から得たDNAを持つ各ミクロスフィアまたはミクロスフィア群に存在するようにペプチドコードで標識されたミクロスフィアに、増幅されたDNAを固定化する。それぞれ別個のペプチドコードは、質量に基づいて区別可能である。
【0120】
次に、8818位がAに相当し、他方、8818位がGに相当する競合プライマーを用いて、増幅反応を行う。適当なプライマーは、Kanetskyら、2002、前掲により開示されている。二つの競合プライマーは、異なるフルオロフォアで標識されている。
【0121】
増幅後、フローサイトメーターを用いた最初の選別により、フルオロフォアの取り込みに基づいてミクロスフィアを捨てる。次に、質量分析法を利用して、コードの質量に基づき個々の担体を識別する。
【0122】
当業者であれば、本明細書に記述される本発明は、具体的に記述されているもの以外の変形および変更の余地があることを理解するであろう。当然のことながら、本発明には、そのような全ての変形および変更が含まれる。本発明には同様に、個別的にまたは集団的に、本明細書のなかで言及されるまたは示される段階、特徴、組成物および化合物、ならびに前記の段階または特徴のうちのいずれかの二つまたはそれ以上のありとあらゆる組み合わせが含まれる。
【0123】
実施例2 酵素阻害剤のスクリーニング
酵素は、解糖、動力発生、シグナル伝達などのような多くの生体反応を制御する。多くの薬剤は、特定の酵素反応を阻害することにより機能する。スクリーニングのため、特定のDNAによりコード化されたミクロスフィアに、小化学物質からなる集団またはライブラリーの数千の有力な化学的阻害剤を結合させる。蛍光タグを結合させてある酵素に対し、このミクロスフィアの集団を反応させる。
【0124】
酵素:Fluor複合体との反応後、ミクロスフィアをソーティング・フローサイトメトリーにかける。酵素:fluor複合体を結合したビーズを蛍光により、最も好ましくは、1ウェルあたり1ミクロスフィアに選別する。次に、選別されたミクロスフィアをビーズ上のDNA配列により適合させることで、その化学物質を決定する。これは、いろいろな方法で行われる。例えば、ウラシルN-グリコシラーゼによるDNAのフットプリントは、質量分析法により決定される。あるいは、DNAをPCRによって、またはRNAポリメラーゼプロモーターがDNA複合体の一部である場合には転写によって、最初に増幅させる。得たれた混合物の切断パターンを推定する。
【0125】
実施例3 シリカ分子の二重標識
DNAで標識されたAmpaSand(商標)ビーズを以下の方法により、特定の化学物質で重標識する:
1. まず、DNAを活性化表面に、表面のチオールをエチレン攻撃することで結合させる。隣接するチオール間の硫黄:硫黄結合がこの反応に競合して起こる。次に、これらのS-S結合を還元することで、2回目の結合に向けて再活性化する(詳しくは図1を参照されたい)。
2. 第2の方法は、チオールを再活性化する代わりに、第2段階で結合させたDNAの内部修飾として持ち込まれる遊離アミンが、2回目の結合の標的として利用されるという変更を加えているが、類似である。このスキームにより、アミンに反応性の任意の化学物質をAmpaSand(商標)ビーズに共有結合させることができる(詳しくは図2を参照されたい)。
【0126】
興味深いことに、シリカ表面とのDNAの共有結合により、結合は、ビーズ自体、またはビーズ:DNAチオエーテル結合を切断することなく、適度なpHの実質的に全ての有機溶媒で行われる。
【0127】
当業者であれば、本明細書に記述される本発明は、具体的に記述されているもの以外の変形および変更の余地があることを理解するであろう。当然のことながら、本発明には、そのような全ての変形および変更が含まれる。本発明には同様に、個別的にまたは集団的に、本明細書のなかで言及されるまたは示される段階、特徴、組成物および化合物、ならびに前記の段階または特徴のうちのいずれかの二つまたはそれ以上のありとあらゆる組み合わせが含まれる。
【0128】
参考文献


【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】特定の化学物質によるビーズの重標識の略図である。1. シリカミクロスフィアを3-メルカプトプロピルトリメトキシシランでシラン処理して、ミクロスフィア上にチオールによる被覆を得る。2. チオール化されたミクロスフィアをアクリダイト(Acrydite)(登録商標)DNAと反応させる。3. ミクロスフィアの表面は、チオエーテル結合により結合したDNAとS-S結合の混合となる。4. S-S結合を還元する。5. 再活性化されたチオールを硫黄作用物(本実施例の場合、ヨードアセトアミド:FI)と反応させる。
【図2】特定の化学物質によるビーズの重標識の略図である。1. シリカビーズを3-メルカプトプロピル・トリメトキシシランでチオール化する。2. チオール化されたミクロスフィアを、5'エチレン基を有するアミノ化DNAと反応させる。3. アミンを有するDNAが共有結合する。4. アミンを対象となる化合物、本実施例の場合、活性なスクシニミジルエステル(SE)基を有する化合物(R)で攻撃する。
【図3】コンピュータ可読のデータ記憶システムの横断面を図示する。
【図4】磁気的に可読のデータ記憶システムの横断面の図示する。
【図5】光学的に可読のデータ記憶システムの横断面の図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定化分子のための担体であって、識別可能なコード分子で標識化される固体または半固体支持体を含み、該分子により、そのように標識化される担体を該担体の不均質集団中の別の担体から区別可能とする担体。
【請求項2】
固定化分子が周知の核酸分子である、請求項1記載の担体。
【請求項3】
コード分子が分子量に基づいて区別可能なペプチドである、請求項1または2記載の担体。
【請求項4】
核酸分子と化学結合を形成できる化学結合基をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の担体。
【請求項5】
化学基が、チオール、カルボキシルまたはアミン基を含む、請求項4記載の担体。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項記載の担体に結合される核酸分子、または別の方法で付着される核酸分子。
【請求項7】
固定化分子が非核酸分子であり、且つコード分子がヌクレオチド配列に基づいて区別可能な核酸である、請求項1記載の担体。
【請求項8】
固定化分子が予想されるタンパク質結合分子である、請求項6記載の担体。
【請求項9】
核酸分子が化学結合基を介して結合される、請求項7または8記載の担体。
【請求項10】
化学基が、チオール、カルボキシルまたはアミン基を含む、請求項9記載の担体。
【請求項11】
コードまたは固定化核酸分子が、担体の表面上の化学基と、炭素原子スペーサーを介して核酸コード分子に結合された構造mCnを有する化学基との間の共有結合により結合され、
構造mCnにおいて、nは炭素原子数であって、1〜約100であり、mは該Cn分子の繰り返し数であって、約1〜約10である、
請求項1〜5および7〜10のいずれか一項記載の担体。
【請求項12】
コードまたは固定化核酸コード分子が、転写可能であり、および/またはRNAポリメラーゼプロモーター配列もしくはその機能断片を含む、請求項1〜5および7〜11のいずれか一項記載の担体。
【請求項13】
RNAポリメラーゼプロモーター配列が、SP6 RNAポリメラーゼプロモーター配列またはその機能断片、相同体、類似体、誘導体である、請求項12記載の担体。
【請求項14】
固体または半固体支持体がミクロ粒子である、請求項1〜5および7〜13のいずれか一項記載の担体。
【請求項15】
集団が、結合したコード分子に基づく一つまたは複数の異なるクラスの担体を含む、請求項1〜5および7〜14のいずれか一項記載の担体の集団。
【請求項16】
検出可能に異なるコード分子を有する担体の集団を含む複数の担体を作製するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(i) 各コード分子がそれぞれの担体と関連する、異なるコード分子を有する複数の担体を調製する段階;
(ii) 固定化された核酸分子への検出可能な標識の組み込みを可能とするように、核酸分子を核酸に基づく反応にかける段階;
(iii) 検出可能におよび/もしくは定量化可能に解読でき、または検出/定量化手段により解明できる、特有のコード分子を有する担体を識別する段階;
(iv) 特有でないコード分子に類似の担体を識別する段階; ならびに
(v) 特有でないコード分子を有する担体から特有のコード分子を有する担体を選別することによって、検出可能に異なるコード分子を有する集団を含む複数の担体を提供する段階。
【請求項17】
担体が請求項1〜5および7〜14のいずれか一項記載の担体である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
核酸分子の検出可能な標識が、標識化プライマーまたはプローブのハイブリダイゼーションを介して付着され、任意でその後、該プライマーまたはプローブより増幅される、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
検出可能な標識が蛍光標識である、請求項16〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
蛍光標識により蛍光標識された担体の選別段階が、フローサイトメトリーを用いて行われる、請求項16〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
特有のコード分子を有する担体の識別が、質量分析法を用いて行われる、請求項16〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
各担体の分子が、核酸分子のヌクレオチド配列を決定するための間接的または直接的方法により識別される、請求項16記載の方法。
【請求項23】
ヌクレオチド配列が、配列またはその一部の増幅、インビトロ転写、制限酵素断片長の決定、自動または手動塩基配列決定からなる群より選択されるアッセイ法を用いて決定される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
2人またはそれ以上の被検体のヌクレオチド多型を同時に検出するための方法であって、以下の段階を含む方法:
集団中の2人またはそれ以上の被検体から潜在的な多型性遺伝子配列を増幅するまたは別の方法で単離する段階;
各被検体から得られたポリヌクレオチドを、請求項1〜5のいずれか一項記載の一意的にコード化された担体に結合させる段階;
一つまたは複数の区別的に標識されたプローブまたはプライマーを、核酸が結合した担体に競合的にハイブリダイズさせる段階であって、該プローブまたはプライマーのそれぞれが多型変異体に特異的である段階;
任意で、結合したプライマーまたはプローブよりプライミングされる増幅反応を行う段階;
結合した標識により担体の集団を選別する段階; ならびに
コード分子の分子量に基づいて、各異なる標識基に存在する特定の担体を識別する段階;
その結果、特定の被検体を特定の多型配列変異体と関連付ける段階。
【請求項25】
タンパク質の小分子リガンドを同定するための方法であって、以下の段階を含む方法:
対象となるタンパク質の推定リガンドのライブラリーを作製または得る段階;
ライブラリーの各メンバーを請求項7〜13のいずれか一項記載の区別的にコード化された担体に結合させる段階;
担体の集団を標識タンパク質と接触させる段階;
結合した標識の有無により集団を選別する段階; ならびに
核酸コードのヌクレオチド配列の解明により対象タンパク質を結合する担体を識別する段階;
その結果、ライブラリーのメンバーを特定のコードと関連付けることによってタンパク質のリガンドを同定する段階。
【請求項26】
担体がミクロスフィアを含む、請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
標識が蛍光標識である、請求項24〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
担体がフローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化細胞選別(FACS)により選別される、請求項24〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜5および6〜15のいずれか一項記載の一つまたは複数のコード担体を区画化された形態で含むキットであって、一つまたは複数のコード担体を含む一つまたは複数の区画、および任意で、該コード担体の使用のための使用説明書とともに、該コード担体の使用に必要な他の試薬を含む一つまたは複数の区画を含むキット。
【請求項30】
個々または集団のコード担体のコードを評価するためのコンピュータプログラム製品であって、以下を含む製品:
(i) 入力値として受け取るコードであって、担体に関連したコード;
(ii) 担体コードを比較して、参照データベースから担体の識別評価を提供するコード; および
(iii) コードを記憶するコンピュータ可読媒体。
【請求項31】
以下を含む、担体のコードを評価するためのコンピュータ:
(i) 担体のコード識別のための値を含む、機械可読データでコード化されたデータ記憶材料を含む、機械可読データ記憶媒体;
(ii) 機械可読データの処理用の命令を記憶するためのワーキングメモリ;
(iii) 値を比較して、参照データベースからコードの識別の評価を提供するための機械可読データを処理するための、ワーキングメモリにおよび機械可読データ記憶媒体に連結された中央演算処理装置; および
(iv) コードの識別の結果を受信するための、中央演算処理装置に連結された出力ハードウェア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出可能に異なるコード分子を有する担体の集団を含む複数の担体を作製するための方法であって、以下の段階を含む方法:
(i) 各コード分子がそれぞれの担体と関連する、異なるコード分子を有する複数の担体を調製する段階;
(ii) 固定化された核酸分子への検出可能な標識の組み込みを可能とするように、核酸分子を核酸に基づく反応にかける段階;
(iii) 検出可能におよび/もしくは定量化可能に解読でき、または検出/定量化手段により解明できる、特有のコード分子を有する担体を識別する段階;
(iv) 特有でないコード分子に類似の担体を識別する段階; ならびに
(v) 特有でないコード分子を有する担体から特有のコード分子を有する担体を選別することによって、検出可能に異なるコード分子を有する集団を含む複数の担体を提供する段階。
【請求項2】
核酸分子の検出可能な標識が、標識化プライマーまたはプローブのハイブリダイゼーションを介して付着され、任意でその後、該プライマーまたはプローブより増幅される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
検出可能な標識が蛍光標識である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
蛍光標識により蛍光標識された担体の選別段階が、フローサイトメトリーを用いて行われる、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
特有のコード分子を有する担体の識別が、質量分析法を用いて行われる、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
各担体の分子が、核酸分子のヌクレオチド配列を決定するための間接的または直接的方法により識別される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ヌクレオチド配列が、配列またはその一部の増幅、インビトロ転写、制限酵素断片長の決定、自動または手動塩基配列決定からなる群より選択されるアッセイ法を用いて決定される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項記載の方法によって製造される担体であって、標識化される担体を該担体の不均質集団中の別の担体から区別可能とする、識別可能なコード分子で標識化される固体または半固体支持体を含む担体。
【請求項9】
固定化分子が周知の核酸分子である、請求項8記載の担体。
【請求項10】
コード分子が分子量に基づいて区別可能なペプチドである、請求項8または9記載の担体。
【請求項11】
核酸分子と化学結合を形成できる化学結合基をさらに含む、請求項8〜10のいずれか一項記載の担体。
【請求項12】
化学基が、チオール、カルボキシルまたはアミン基を含む、請求項11記載の担体。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項記載の担体に結合される核酸分子、または別の方法で付着される核酸分子。
【請求項14】
固定化分子が非核酸分子であり、且つコード分子がヌクレオチド配列に基づいて区別可能な核酸である、請求項8記載の担体。
【請求項15】
固定化分子が予想されるタンパク質結合分子である、請求項13記載の担体。
【請求項16】
核酸分子が化学結合基を介して結合される、請求項14または15記載の担体。
【請求項17】
化学基が、チオール、カルボキシルまたはアミン基を含む、請求項16記載の担体。
【請求項18】
コードまたは固定化核酸分子が、担体の表面上の化学基と、炭素原子スペーサーを介して核酸コード分子に結合された構造mCnを有する化学基との間の共有結合により結合され、
構造mCnにおいて、nは炭素原子数であって、1〜約100であり、mは該Cn分子の繰り返し数であって、約1〜約10である、
請求項8〜12および14〜17のいずれか一項記載の担体。
【請求項19】
コードまたは固定化核酸コード分子が、転写可能であり、および/またはRNAポリメラーゼプロモーター配列もしくはその機能断片を含む、請求項8〜12および14〜18のいずれか一項記載の担体。
【請求項20】
RNAポリメラーゼプロモーター配列が、SP6 RNAポリメラーゼプロモーター配列またはその機能断片、相同体、類似体、誘導体である、請求項19記載の担体。
【請求項21】
固体または半固体支持体がミクロ粒子である、請求項8〜12および14〜20のいずれか一項記載の担体。
【請求項22】
集団が、結合したコード分子に基づく一つまたは複数の異なるクラスの担体を含む、請求項8〜12および14〜20のいずれか一項記載の担体の集団。
【請求項23】
2人またはそれ以上の被検体のヌクレオチド多型を同時に検出するための方法であって、以下の段階を含む方法:
集団中の2人またはそれ以上の被検体から潜在的な多型性遺伝子配列を増幅するまたは別の方法で単離する段階;
各被検体から得られたポリヌクレオチドを、請求項8〜12のいずれか一項記載の一意的にコード化された担体に結合させる段階;
一つまたは複数の区別的に標識されたプローブまたはプライマーを、核酸が結合した担体に競合的にハイブリダイズさせる段階であって、該プローブまたはプライマーのそれぞれが多型変異体に特異的である段階;
任意で、結合したプライマーまたはプローブよりプライミングされる増幅反応を行う段階;
結合した標識により担体の集団を選別する段階; ならびに
コード分子の分子量に基づいて、各異なる標識基に存在する特定の担体を識別する段階;
その結果、特定の被検体を特定の多型配列変異体と関連付ける段階。
【請求項24】
タンパク質の小分子リガンドを同定するための方法であって、以下の段階を含む方法:
対象となるタンパク質の推定リガンドのライブラリーを作製または得る段階;
ライブラリーの各メンバーを請求項14〜20のいずれか一項記載の区別的にコード化された担体に結合させる段階;
担体の集団を標識タンパク質と接触させる段階;
結合した標識の有無により集団を選別する段階; ならびに
核酸コードのヌクレオチド配列の解明により対象タンパク質を結合する担体を識別する段階;
その結果、ライブラリーのメンバーを特定のコードと関連付けることによってタンパク質のリガンドを同定する段階。
【請求項25】
担体がミクロスフィアを含む、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
標識が蛍光標識である、請求項23〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
担体がフローサイトメトリーおよび/または蛍光活性化細胞選別(FACS)により選別される、請求項23〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
請求項8〜12および13〜22のいずれか一項記載の一つまたは複数のコード担体を区画化された形態で含むキットであって、一つまたは複数のコード担体を含む一つまたは複数の区画、および任意で、該コード担体の使用のための使用説明書とともに、該コード担体の使用に必要な他の試薬を含む一つまたは複数の区画を含むキット。
【請求項29】
請求項8〜22のいずれか一項記載の個々または集団のコード担体のコードを評価するためのコンピュータプログラム製品であって、以下を含む製品:
(i) 入力値として受け取るコードであって、担体に関連したコード;
(ii) 担体コードを比較して、参照データベースから担体の識別評価を提供するコード; および
(iii) コードを記憶するコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
以下を含む、請求項8〜22のいずれか一項記載の担体のコードを評価するためのコンピュータ:
(i) 担体のコード識別のための値を含む、機械可読データでコード化されたデータ記憶材料を含む、機械可読データ記憶媒体;
(ii) 機械可読データの処理用の命令を記憶するためのワーキングメモリ;
(iii) 値を比較して、参照データベースからコードの識別の評価を提供するための機械可読データを処理するための、ワーキングメモリにおよび機械可読データ記憶媒体に連結された中央演算処理装置; および
(iv) コードの識別の結果を受信するための、中央演算処理装置に連結された出力ハードウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−518183(P2006−518183A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529592(P2004−529592)
【出願日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001077
【国際公開番号】WO2004/018500
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
フロッピー
【出願人】(505066534)ジェネラ バイオシステムズ ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】