説明

コールセンタシステム,電話着信呼分配装置及び電話着信呼分配方法,プログラム

【課題】コールセンタシステムにおいて、電話の着信呼を分配するための情報管理を交換系システムと情報系システムとで二重管理とならないようにし、情報系システムと同様に柔軟なカスタマイズが可能な電話着信呼分配装置を実現し、多様な業務分類に対応可能で、システム変更に対しても迅速に対応できるようにする。
【解決手段】交換系システム1における電話着信呼分配装置15を、SIPを利用したインターネットアーキテクチャの端末装置で実現し、この電話着信呼分配装置15において、呼の分配先を決定するためのデータベースを内部に持たないようにし、情報系システム2が管理している業務データベース16aを直接参照して決定する仕組みとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の電話からの着信呼を最適な接続先に分配し、状況によっては自動応答して案内メッセージを送出するなど、着信呼に対して最適な対応を行うコールセンタシステムと、このシステム内の電話着信呼分配装置及び電話着信呼分配方法,電話着信呼分配用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客からの通話を受け付けるコールセンタでは、顧客の電話からの着信呼に対して応対可能なオペレータ(エージェント)を検索し、選ばれたオペレータの電話機に着信呼を転送する電話着信呼分配装置が利用されていた。この電話着信呼分配装置は、該当オペレータが複数いる場合に各オペレータの稼働率が均等になるように着信呼を分配し、さらには、電話応対業務の生産性向上のために着信呼状況やオペレータの稼動状況の履歴を集計していた。
【0003】
また、顧客対応の品質および効率を向上させるため、コンピュータシステムと電話とを統合させる技術のCTI(Computer Telephony Integration)を利用したコールセンタが実現されている。CTIを利用したコールセンタシステムとは、顧客の個人情報や購買履歴,オペレータの業務情報等のコールセンタ業務に関わる情報を管理する基幹業務システムがすでに構築されていることを利用して、この基幹業務システムと電話着信呼分配装置とを連携させて、オペレータの稼働状況に応じて着信呼を分配するシステムである。このようなコールセンタシステムにより顧客の要望にすばやく対応することができる。
【0004】
しかし、従来のコールセンタシステムは、PBX(Private Branch eXchange)の内部、もしくは上位装置として電話着信呼分配装置(ACD:Automatic Call Distribution)を実現しているため、ACD内と基幹業務システム内とでオペレータ情報が二重管理となっており、PBXベンダ固有の知的所有権を持ったアプリケーションプログラミングインタフェースを使用して基幹業務システムとACDとの互いのデータを整合する処理を実行する必要があり、非効率でサービスの制約が多いシステムとなっていた。
【0005】
ここで、このようなコールセンタシステムの概要を図11に示す。図11において、901が電話着信呼分配装置(ACD),902が基幹業務システムを構成する業務アプリケーション,903がベンダ固有のアプリケーションプログラミングインタフェース,904がオペレータをそれぞれ示している。
【0006】
例えば、着信業務の種類が複数あり、これに応対できるオペレータ904がそれぞれの業務に対応して登録されている場合、コンピュータアプリケーションとして提供されている業務アプリケーション902にオペレータ904の応対業務分類を登録し、これと同時に、電話着信呼分配装置901内のデータテーブルにもオペレータ904をそれぞれ対応したグループに分けて登録する。着信業務を開始する際は、オペレータ904側で着信の準備が整った段階で業務アプリケーション902にこの旨が登録され、基幹業務システム側が、電話着信呼分配装置901に対し、そのオペレータ904が受付可能状態になったことをアプリケーションインタフェース903を介して指示すると、着信の際に、電話着信呼分配装置901は、そのオペレータ904を着信呼分配の候補として交換制御を行うことになっていた。
【0007】
また、着信呼をどこに分配するかを、電話着信呼分配装置901の内部の固定的なデータテーブルを参照するだけでは判断できない場合があり、この場合、電話着信呼分配装置901と基幹業務システム間をアプリケーションインタフェース903を介して連携し、着信呼を分配する対象を電話着信呼分配装置901側から基幹業務システム側に問い合わせし、その回答にしたがって電話着信呼分配装置901が着信呼を分配するという制御を行うためのシステム構築を行っていた。
【0008】
このようなシステムであり、ベンダ固有のアプリケーションインタフェースを用いて交換系システムと情報系システムとを連携させたシステムが特許文献1に開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2004‐297634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のような、一般にインテリジェント・ルーティングと呼ばれるシステムの構築には、電話着信呼分配装置および基幹業務システムの両方の仕組みに精通し、さらに両システムを連携するための固有のアプリケーションインタフェースに熟知している必要がある。システム構築を行うために必要なスキルが多岐にわたっており、多大な時間とコストを要し量産に不向きであった。
【0011】
よって、このようなシステム構築を行った場合、初期の構築費用が膨大となるだけでなく、業務の見直しによって基幹業務システムを変更しようとした場合、電話着信呼分配装置側への影響を考慮し、両者のインタフェースの不整合が起こらないよう配慮するなど、システムを変更する際にもさらに多大なコストを必要とする。このため、システムの柔軟な変更ができず、業務自体を硬直化させ、サービスの競争力が低下し、経営を圧迫する要因ともなっていた。
【0012】
また、このようなコールセンタシステムでは、応対業務分類の種類が増えた場合や、兼任できる業務や兼任する際の優先度を最適に制御する必要がある場合など、その内容が複雑になると、基幹業務システム側と電話着信呼分配装置側の整合をとることが難しくなる。基幹業務システム側はインターネットプロトコルを用いて構築されているので、業務の内容にあわせて柔軟に設計できるのに対し、電話着信呼分配装置側は交換機(PBX)のプログラムで実現されているため、基幹業務システムのように使い方にあわせてプログラムを変更することはできず、予め用意された有限のリソース管理の中で割り当てを行う必要があり、登録できる業務分類の種類と数に制限があるなど、電話着信呼分配装置側の機能的な制約によって基幹業務システムとの整合が取れない場合があった。
【0013】
そこで、本発明は、以上の不都合な点を改善するために、ベンダ固有の特殊なアプリケーションインタフェースを使用することなく、交換系システムと情報系システムとを統合して、顧客の電話からの着信呼を最適に分配するためのオペレータ情報の二重管理をなくし、柔軟なカスタマイズが可能な電話着信呼分配装置を実現し、多様な業務分類に対応可能で、システム変更に対しても迅速に対応できるコールセンタシステムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のコールセンタシステムは、顧客の電話からの着信呼に対してセッション処理及び分配処理を行う交換系システムと、顧客との通話に応対するオペレータを管理するためのオペレータ管理情報を含む業務データベースを備えた情報系システムとから成り、交換系システムが、内部の通信基盤を情報系システムと同一のインターネットアーキテクチャで構築し、情報系システムと連結し、情報系システムに一元管理された業務データベースを直接参照しそこから着信呼に応じたオペレータを選択し分配処理を解決することを特徴とする。
【0015】
従来型の電話交換系では、サービスはPBXベンダで管理提供され、ユーザ側の装置で独自のサービスインテリジェンスを追加することはできなかった。これに対しインターネットアーキテクチャでは、インターネットプロトコル(IP)としてエンドツーエンドの制御プロトコルが定められ、インターネット上の多様な端末(コンピュータデバイス)間でプロセスがどのように動作するかということのみを決めているので、エンドポイントの端末同士がネットワークを意識せずにサービスを実行できるようにした。したがって、インターネットアーキテクチャにおいては、ネットワークの端末側でユーザがアプリケーションやサービスを自由に追加することが可能であるという特徴がある。
【0016】
このようなインターネットアーキテクチャを採用したコールセンタシステムによれば、電話の通信を担う交換系システムと業務に関する情報を管理する情報系システムとを、交換機ベンダ固有の特殊なアプリケーションインタフェースを用いることなく統合することができ、柔軟で効率のよい着信呼処理を実行することができる。また、情報系システムと交換系システムの管理方法の違いによる機能的な制約を受けることもなくなるので、業務の見直しによってオペレータの受付体制を変更する場合に、柔軟に変更することができる。
【0017】
例えば、顧客からの電話が着信したときに、オペレータ管理を行っている情報系システム内のデータベースを直接参照するので、着信内容に応じてオペレータの部署や、オペレータ固有のスキルといった条件を設定し、呼出を行う順番を番号の若い順とするか、早くから待機している順とするかなど、参照先のデータベースのテーブル仕様に合わせて着信の転送先を設定することができる。
【0018】
また、呼出し先を特定するための情報が情報系システムの状態によって頻繁に変る場合でも、情報系システムを直接参照するため、特に複雑な仕組みを考える必要はない。例えば、着信時に発信者の電話番号が特定できる場合、その発信者に最近応対したオペレータがいたかどうか、情報系システムの応対記録に残っていれば、発信者の電話番号を基にそのオペレータを探して接続することができる。このため、従来CTI機能に利用していた「インテリジェント・ルーティング」として高度なシステム構築が必要だったこのような機能を簡単に実現することができるようになる。
【0019】
更に、上記のコールセンタシステムは、上述した交換系システムが、着信呼のセッション処理を担当する交換機サーバと、この交換機サーバの配下に内部端末として接続して着信呼の分配先を決定する分配処理を担当する電話着信呼分配装置とを備えており、電話の制御のための通信手順としてSIP(Session Initiation Protocol)を採用している。
【0020】
このようにすれば、交換機サーバをSIPサーバとし、電話着信呼分配装置をSIP端末として実装することになり、着信時に取得できる情報がSIPで規格化され、転送機能もSIPの規約に従って実行するので、転送後は電話着信呼分配装置側のリソースが開放されるメリットを受けられる。
【0021】
更に、上記のコールセンタシステムにおいて、上述した電話着信呼分配装置が、オペレータ選択のための条件を着信の種類ごとに対応付けて定義した情報を含む応答設定ファイルを有すると共に、この応答設定ファイルの内容に従って着信呼の分配処理を実行する。そして、この応答設定ファイルは任意に追加・更新可能とする。
【0022】
このようにすると、着信の度に応答設定ファイルを読み込み、その度に、その設定内容に従ってオペレータを選択する。よって、応答設定ファイルの変更を行うだけで、選択するオペレータの条件を随時変更することができる。
【0023】
さらに、上記のコールセンタシステムにおいて、上述した電話着信呼分配装置が、着信呼の分配先として交換機サーバに外線接続された電話を選出してもよい。このようにすると、外線先のオペレータ用電話機に対しても着信呼の転送先とすることができる。本発明にかかるシステムでは、電話着信呼分配装置内部でオペレータの受付体制を管理しておらず、情報系システムのデータを参照して着信呼の転送先を探す方式となっている。従って、転送先として参照された電話番号は、電話着信呼分配装置から見て内線なのか、外線なのか、電話番号の桁数の違いとしてしか認識せず、内線、外線の違いに制約を受けることなく分配対象とすることができる。
【0024】
次に、本発明の電話着信呼分配装置は、外部に構築された情報系システムに一元管理された業務データベースから着信に対応するオペレータを選択するオペレータ選択手段と、この選択されたオペレータが使用する電話へ着信呼を転送する着信呼転送手段とを備えている。
【0025】
さらに、上記の電話着信呼分配装置は、着信呼に対して呼出中を返しキューイング状態に設定するキューイング手段を備え、上述した着信呼転送手段がキューイングされた着信呼を順に転送する。また、このキューイング手段は、既にキューイングされている着信呼の数もしくは待機時間またはオペレータ管理情報が示す応答可能なオペレータの数が基準を満たさない場合に、着信呼をキューイングせずに話し中を返すようにしてもよい。
【0026】
また、着信呼の受信時から転送時までの動作パターンを着信の種類ごとに対応付けて定義した応答設定ファイルを登録する登録手段と、この応答設定ファイルを記憶する記憶手段とを有しており、この応答設定ファイルは、外部入力に基づいて情報を書き換え可能であってもよい。
【0027】
さらに、上記の電話着信呼分配装置において、上述したオペレータ選択手段が、応答設定ファイルに記録された条件を指定して業務データベースから着信呼に応じたオペレータを選択してもよい。
【0028】
また、着信呼転送手段が、選択されたオペレータ用の電話に対して別の呼を発信し受付可能を示す応答があった電話へ顧客の電話からの着信呼を転送するようにしてもよいし、顧客の電話から着信呼と共に発信された表示情報を当該着信呼に付加して選択されたオペレータ用の電話へ転送してもよい。顧客の電話からの通知番号や通知文字列を表示するための表示情報(Display Name)を転送することで、発信元の電話と転送先の電話との間で任意のユーザ情報を伝達することを可能とし、端末間で自由に付加サービスを追加できる可能性を提供することができる。
【0029】
また、オペレータ選択手段が、外線接続された電話機を着信呼の分配先として選択するようにしてもよい。着信呼転送手段が、着信呼の転送前に分配先へ当該着信呼の内容を音声で通知してもよい。このとき、使用する音声ガイダンスは、標準的に使用されるWAVファイルと言う形式で作成し、電話着信呼分配装置内の所定のディレクトリに置くことで登録、変更を容易に行うことができる。また、音声ガイダンスの有無を応答設定ファイルに記録しておけば、応答設定ファイルの変更を行うだけで、これから転送する呼の用件内容を音声で知らせる音声案内を随時変更することができる。
【0030】
さらに、上記の電話着信呼分配装置は、着信呼を制御するプロトコルとしてSIPを用いており、オペレータ選択手段が、SQLで条件を指定して情報系システム内の業務データベースからその条件に応じたオペレータを抽出させて着信呼の分配先を選択する。
【0031】
このような電話着信呼分配装置によれば、基幹業務システムと交換系システムの管理方法の違いによる機能的な制約を受けることがなくなる。業務の見直しによってオペレータの受付体制を変更する場合、基幹業務システムの業務データベースを変更し、電話着信呼分配装置からの参照方法をそれに合わせるだけでよいため、柔軟に変更することができる。
【0032】
次に、本発明の電話着信呼分配方法は、顧客からの通話にオペレータが応対するコールセンタシステムの電話着信呼分配方法であって、顧客の電話からの着信呼を受信すると、外部に構築された情報系システムにアクセスし、情報系システムに一元管理された業務データベースを直接参照し、この業務データベースから着信呼に応じたオペレータを選択し、この選択されたオペレータ用の電話に着信呼を転送することを特徴とする。
【0033】
次に、本発明の電話着信呼分用プログラムは、顧客の電話からの着信呼を受信すると外部に構築された情報系システムに直接アクセスするアクセス機能と、情報系システムに一元管理された業務データベースを直接参照しそこから着信呼に対応するオペレータを選択するオペレータ選択機能と、この選択されたオペレータが使用する電話へ着信呼を転送する着信呼転送機能とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明は以上のように構成され機能するため、これにより、コールセンタシステムにおいて、交換系システムと情報系システムとのシステム間のインターフェースロスが無くなり、柔軟で効率のよい着信呼分配が可能となる。また、交換系システムの電話交換制御にSIPを用いることで、従来交換機の内部のサービスとして実現されてきた電話着信呼分配装置が、ネットワークの端末で提供するサービスとして実現され、システム変更に対して迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明における一実施例を、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明における第1実施例のコールセンタシステムの全体の構成を示す図である。また、図2は、本第1実施例における電話着信呼分配装置15の構成を示す図である。
【0037】
本第1実施例のコールセンタシステムの基本的な構成は、電話の交換制御を行う交換系システム1と、コールセンタの業務に関する情報を管理する基幹業務システムである情報系システム2とで構成されている。
【0038】
交換系システム1は、顧客の電話からの着信呼に対してセッション処理及び分配処理を行い、情報系システム2は、顧客との通話に応対するオペレータ(エージェント)を管理するためのオペレータ管理情報を含む業務データベース16aを備えている。
【0039】
交換系システム1は、内部の通信基盤を情報系システム2と同一のインターネットアーキテクチャで構築して、情報系システム2とLAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)17を介して連結しており、情報系システム2に一元管理された業務データベース16aを直接参照し、そこから着信に応じたオペレータを選択して分配処理を解決するように構成されている。
【0040】
インターネットアーキテクチャとは、通信に先だって相手側までの通信帯域を確保する通信構造ではなく、ネットワークがパケットの送信のみに専念し,複雑な機能についてはネットワークに接続される端末が行う通信構造をいう。従来型の電話交換系では、サービスはPBXベンダで管理提供され、ユーザ側の装置で独自のサービスインテリジェンスを追加することはできなかった。これに対しインターネットアーキテクチャでは、インターネットプロトコル(IP)としてエンドツーエンドの制御プロトコルが定められ、インターネット上の多様な端末(コンピュータデバイス)間でプロセスがどのように動作するかということのみを決めているので、エンドポイントの端末同士がネットワークを意識せずにサービスを実行できるようにした。このような構造では、パケットを単にネットワークに渡せば指定した相手側の端末まで転送してくれるので、端末側でユーザが任意にサービスを追加することができる。
【0041】
本実施例において、交換系システム1は、着信呼に対するセッション処理に用いるプロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を採用したIP電話システムであり、着信呼のセッション処理を担当する交換機サーバとして標準のSIP仕様に準拠したSIPサーバ11と、着信呼の分配先を決定する分配処理を担当する電話着信呼分配装置15とを備え、電話着信呼分配装置15がSIPサーバ11の配下に内部端末として接続した構成とすることで、交換系システム1は端末主導のインターネットアーキテクチュアを構築している。
【0042】
このように、交換計システム1を情報系システム2とを同一のインターネットアーキテクチャで構築することで、交換機ベンチャ固有の特殊なアプリケーションインタフェースを用いることなく両システムを統合でき、交換系システム1と情報系システム2とのシステム間のインターフェースロスが無くなり、迅速で効率のよいシステム連携を実行する。さらに、迅速な連携が可能なので、情報を片方のシステムで一元管理することができる。
【0043】
本実施例では、交換系システム1の通信基盤が、SIPの標準仕様に従って実装されたSIPサーバとSIPクライアントとの組み合わせで構築されているので、インターネット構造と同様にユーザが端末側で通信の付加サービスを自由に追加することが可能になる。また、交換機サーバをSIPのプロキシサーバとし、電話着信呼分配装置をSIPのユーザエージェントクライアントとして実装することにより、着信時に取得できる情報がSIPで規格化され、転送機能もSIPの規約に従って実行するので、転送後は電話着信呼分配装置側のリソースが開放されるメリットを受けられる。
【0044】
本第1実施例のコールセンタシステムの具体的構成は、図1に示すように、オペレータ用の電話のアドレス情報と電話番号とを対応付けて管理し顧客電話からの着信呼を対応するオペレータ用の電話へ転送するSIPサーバ11と、オペレータが操作する内線電話機12及びPC端末14と、一般の外線電話網18と接続する公衆回線ゲートウェイ(PSTN GW:Public Switched Telephone Network Gateway)13と、顧客の電話からの着信呼に対して応対可能なオペレータを選出する電話着信呼分配装置15と、顧客情報やオペレータ管理情報や商品情報等の業務に関する情報を記憶した業務データベース16aを有する業務アプリケーションサーバ16とで構成されている。PC端末14内にソフトウェアで実装された端末ソフトウェア14aと内線電話機12とがオペレータ用の電話となっており、公衆回線ゲートウェイ13は、IPキャリア網と接続するためのIPキャリアゲートウェイも含んでいる。
【0045】
また、交換系システム1は、SIPサーバ11と、SIP端末としての内線電話機12及び公衆回線ゲートウェイ13,電話着信呼分配装置15とをLAN/WAN17を介して互いに接続した構成である。またさらに、PC端末14内にソフトウェアで実装された端末ソフトウェア14aもSIP端末として機能している。
【0046】
情報系システム2は、業務アプリケーションサーバ16と、PC端末14内にソフトウェアで実装された業務アプリケーションクライアント14bとで構成されており、オペレータの操作により業務アプリケーションクライアント14bからオペレータの勤務状況などの業務に関する情報が業務アプリケーションサーバ16へ送信され、情報を受信した業務アプリケーションサーバ16はその情報を業務データベース16aに記録する。
【0047】
交換系システム1におけるSIPサーバ11は、最低限の機能として、SIP端末に対してIDとパスワードを割り当てるユーザ認証機能と、SIP端末が発信を行う際に発信先として指定する電話番号を解釈して接続先を決める番号解決機能と、外線電話の着信時に最初の接続先を決定する一次ルーティングの機能と、SIP端末からのリクエストに応じて1つのSIPセッションを他のSIPセッションに置き換える転送機能とを有している。
【0048】
電話着信呼分配装置15は、他のSIP端末と同様にSIPサーバ11に対してSIPの内線端末としての位置付けで接続されている。このように交換系システム1をSIPを用いて構築することにより、電話着信呼分配装置15をSIP端末として実現することができ、使用するSIPサーバ11やSIP内線電話機12,ゲートウェイ13などを全てマルチベンダで調達することが可能になる。
【0049】
また、図2に示すように、電話着信呼分配装置15は、LAN17に接続して情報の送受信を行う通信制御手段15eと、SIPサーバ11から着信呼を受けると業務アプリケーションサーバ16に直接アクセスし業務データベース16aを直接参照してそこに記録されたオペレータ管理情報から着信呼の種類に合ったオペレータを選択するオペレータ選択手段15aと、この選択されたオペレータが使用するSIP端末を分配先として着信呼を転送する着信呼転送手段15dと、SIPサーバ11から着信呼を受けるとその着信呼を待機行列に入れてキューイングし呼出中を返すキューイング手段15bとを備えている。
【0050】
また更に、電話着信呼分配装置15は、業務データベース16aを参照するための情報としての、オペレータ管理情報が格納されている場所と、参照すべきデータの名前と、複数の情報の中から参照すべきデータを抽出するための条件と、この条件を満たすデータが複数ある場合に並べ替えるための条件とを着信の種類ごとに対応付けて定義した応答設定ファイル15cを登録する登録手段15Aと、応答設定ファイル15cを登録するためのメモリである記憶手段15fとを備えている。応答設定ファイル15cには、オペレータ選択手段15aが着信呼の分配先としてのオペレータを選択するための条件や、電話の着信呼に対する応答のパターンと着信呼の転送先のオペレータ用電話機に対する通知のパターンなど着信呼の受信時から転送時までの動作パターンを着信呼に付随した着番号(ダイヤルイン番号)で分類された着信の種類毎に定義して記録されている。
【0051】
記憶手段15fに記憶された応答設定ファイル15cは、登録手段15Aを介した管理者の操作によるデータ入力により自由に追加・更新が可能である。
【0052】
電話着信呼分配装置15におけるオペレータ選択手段15aは、業務アプリケーションサーバ16における業務データベース16aを直接参照し、顧客の電話からの着信呼とともに通知される着番号(ダイヤルイン番号)や発信側番号(発信者ID)の情報に対応するオペレータのうち受付可能なオペレータを選択する機能を有している。業務データベース16aには、オペレータ識別情報,オペレータの対応可能な業務分類属性やスキルレベル,オペレータの待機情報や待機時間等を対応するオペレータ用電話機の電話番号と共に記録したオペレータ管理情報としてのデータテーブルが含まれている。
【0053】
また、オペレータ選択手段15aは、応答設定ファイル15cに記録された条件に従って着信呼の分配先となるオペレータを選択する。着信呼の分配先を選択するための条件が応答設定ファイル15cに記録されているので、オペレータ選択手段15aは、応答設定ファイル15cに従って優先して選択すべき条件をSQLのSELECT文で指定して業務アプリケーションサーバ16へ送信し、業務データベース16aから条件を満たすオペレータ情報を抽出させる。SQLを用いることで業務データベース16aの内容によって利用可能な様々な条件を指定することができる。
【0054】
例えば、各オペレータの前回通話を終了した時刻が業務データベース16aに記録されていれば、その時刻の古い順に選択することで、オペレータの通話件数を均等にすることができる。また、オペレータが準備可能になった時刻が業務データベース16aに記録されていれば、その時刻の古い順と指定することで、長く待っているオペレータを順に選択することもできる。また更に、オペレータのスキルレベルが業務データベース16aに記録されていれば、そのレベルの順序で選択することを指定すれば、スキルの高いオペレータほど多くの着信呼を受け付け、より多くの成果を上げる事ができる。
【0055】
また、キューイング手段15bは、既にキューイングされている着信呼の数もしくは待機時間またはオペレータ管理情報が示す応答可能なオペレータの数が応答設定ファイル15cに記録された基準を満たさない場合に、着信呼をキューイングせずに話し中を返し過剰なキューイングを回避する。例えば、既にキューイングされている着信呼の数が5本未満であること、同時にキューイング状態にある呼のなかで最も長く待っている呼の待機時間が120秒未満であること、基幹業務システムにログインしているオペレータの人数が0人よりも多いことなどの基準を定義し応答設定ファイル15cに記録しておくと、キューイング手段15bは、その基準に従って着信呼をキューイングするか否か判断する。
【0056】
キューイング手段15bは、さらに、着信呼に対して呼出し中を返してキューイングするか、自動応答を返すか、音声ガイダンスを返して問い合わせの内容をプッシュ信号や音声信号で選択することを促すかなどを応答設定ファイル15cに記録された条件に従って判断する。音声ガイダンスを返す場合は、オペレータ選択手段15aが顧客の電話からのプッシュ信号や音声信号に応じて着信の種類を特定しオペレータを選択する。使用する音声ガイダンスは、標準的に使用されるWAVファイル形式で作成し、電話着信呼分配装置15内の所定のディレクトリに置くことで登録、変更を容易に行うことができる。また、音声ガイダンスの有無を応答設定ファイル15cに記録しておけば、応答設定ファイル15cの変更を行うだけで、これから転送する呼の用件内容を音声で知らせる音声案内を随時変更することができる。
【0057】
また、着信呼転送手段15dは、オペレータ選択手段15aによって分配先に選択されたオペレータ用の電話に対して別の呼を発信し受付可能を示す応答があった電話へ顧客からの着信呼を転送する。実際は、業務データベース16aから抽出されたオペレータ情報に示された電話番号をSIPサーバ11へ送信して着信呼の転送依頼を行う。またさらに、着信呼転送手段15dは、オペレータ用電話機へ着信呼を転送する前に、応答設定ファイル15cに記録されたルールに従って、着信の種類が示す問い合わせの内容をオペレータ用電話機へ音声で通知する。通知する音声については、顧客の電話から入力されるプッシュ信号または音声信号により指定された内容や着信呼と共に通知される着番号(ダイヤルイン)で分類される着信の種類に対応させて予め応答設定ファイルに15cに記録された音声である。
【0058】
さらに、着信呼転送手段15dは、呼の発信元である顧客電話の番号や名称等の情報と転送先であるオペレータ用電話の番号等の情報のほかに、発信元である顧客電話から着信呼と共に通知された表示情報(Display Name)を付加して、着信呼をオペレータ用の電話へ転送する。これにより、本来送信される電話着信呼分配装置15自体の‘Display Name’ではなく、顧客の電話から発信された‘Display Name’をそのまま転送することができる。
【0059】
また、LAN17を介した通信を担う通信制御手段15eには、SIPを用いて呼の送受信を担当する呼分配制御部15gと、TCP/IPやUDP/IPなどのインターネットプロトコルを用いてデータの送受信を担当するデータアクセス部15hとが設けられている。よって、キューイング手段15bが、顧客の電話からの着信呼をSIPサーバ11から呼分配制御部15gを介して受信し、着信呼転送手段15bが、着信呼を呼分配制御部15gを介してSIPサーバ11へ送信し転送依頼を行うことになる。また、オペレータ選択手段15aが、データアクセス部15hを介してSQLのSELECT文を業務アプリケーションサーバ16へ送信すると共に、業務アプリケーションサーバ16からのオペレータ情報をデータアクセス部15hを介して受信することになる。
【0060】
ここで、本実施例では、図1に示すように、SIPサーバ11が二重化された冗長構成となっているが、このような冗長化は必須ではない。
【0061】
従来のコールセンタシステムは、情報系システムにより業務アプリケーションを提供するコンピュータドメインと、交換系システムにより電話の交換機能を集中制御で提供する交換系ドメインと異なるシステムにより管理,制御されているドメイン間を、独自に規定されたベンダ固有のシステム間インタフェースにより統合することで実現されていた。インターネットアーキテクチャで構築された情報系システムに対して、従来の交換系システムは集中制御型の回線交換アーキテクチャで構築されていたので、異なるアーキテクチャのシステム間をつなぐために、システム間インタフェースの通信手順を独自に取り決める必要があった。
【0062】
本実施例では、電話の通信基盤をSIPを用いて構築することで、交換系システム1を既に情報系システム2で実現されているインターネットアーキテクチャで構成し、交換系システム1と情報系システム2とを統一されたシステムアーキテクチャで構築しており、特殊なシステム間インタフェースの取り決めを行うことなく両システムを統合しているので、高度なシステム構築を容易に行うことが可能となっている。
【0063】
また、本実施例では、コールセンタシステム全体をインターネットアーキテクチャで構成することで、従来のコールセンタシステムにおけるPBXの機能を分散し、且つ全体のリソース管理を一元化し、従来複雑であったコールセンタシステムをシンプルにして高度な機能を容易に実現可能なシステムにしている。
【0064】
例えば、従来、情報系システムのデータを参照して着信呼の分配先を決定する「インテリジェント・ルーティング」は、交換機ベンダ固有のCTI技術を利用した高度なインテグレーションが必要であったが、本実施例による電話着信呼分配装置15は、情報系システム2内の業務アプリケーションサーバ16との直接的な連携を実行しており、情報系システム2で管理されているオペレータの業務状況をリアルタイムに反映する高度なルーティング処理を容易に実現することができる。
【0065】
また、着信呼の分配先は、従来、交換系システムの内部のリソースで管理された内線に限定されていたが、本実施例の構成によれば、着信呼の分配先を情報系システム2で管理可能な外線の電話番号で指定された電話にまで拡張することが可能であり、従来システムのさまざまな制約から解放することが可能となる。
【0066】
本実施例において、顧客の電話からの着信呼が電話着信呼分配装置15を経由して適切な端末に接続されるまでの動作を以下に説明する。
【0067】
まず、外部回線から公衆回線ゲートウェイ13に着信呼があると、その着信呼がSIPの通信手順に従ってSIPサーバ11に通知される。SIPサーバ11では、着信呼としてSIPのメッセージで通知される着番号や発信者番号を基に着信先を決定するが、内線電話機12又は端末ソフトウェア14aのSIP電話機を直接呼出すのではなく、電話着信呼分配装置15に対して呼出しを行う。
【0068】
電話着信呼分配装置15では、着信呼の通知(SIPメッセージではINVITE)に対し、その着信呼を受ける場合、呼出し中を示すメッセージ(SIPメッセージではRinging)を返信することで、この着信呼をキューイング状態にする。ここで、電話着信呼分配装置15は、着信呼を受信した時点でのキューイング状況や、業務データベース16aに記録されたオペレータの受付体制情報などに応じて着信呼をキューイングするか否か判断する。例えば、着信呼を受けられるオペレータのリソースが不足していることがわかった場合、ここで着信呼を拒否するメッセージ(SIPメッセージではBusy Here)を返すことができ、その場合、顧客である発信元に対して話中のレスポンスが返り、「話中返し」として処理することもできる。
【0069】
着信呼をキューイングした状態の電話着信呼分配装置15は、業務アプリケーションサーバ16で管理している業務データベース16aを参照し、着信呼の着番号や発信者番号に対応して決められた業務分類に応じて、その業務分類に対応可能な属性を持ち、尚且つ、基幹業務システムにログインしており着信呼を受けられる状態にあるオペレータを検索する。このとき、複数のオペレータが該当する場合、応答設定ファイル15cに記録された条件に従って、待機状態となった時刻の古い順とすることや、スキルレベルの高い順とするなどの順番を指定して、該当するオペレータ用の内部端末をSIPで呼出すための電話番号を選出する。そして、着信呼中のSIPセッションとは別に、新規にSIPセッションを起動し、そこから候補先のオペレータ用電話機の電話番号に順次発信を行い、応答を待つ。もし呼出先からネガティブな応答(ビジー、または番号が見つからない)が返って来るか、または、呼出しがタイムアウトとなった場合、次の候補への呼を発信する。
【0070】
呼出先から受付け可能の応答があったら、電話着信呼分配装置15は、その相手に対して音声によるガイダンスメッセージを送信し、着信呼を転送することを知らせたうえで、元の着信呼に応答し、SIPサーバ11に対して元の着信呼を呼出先のオペレータ用電話機に転送するよう依頼を行う(SIPサーバ11のメッセージでREFER)。これにより、顧客の電話からの着信呼は、電話着信呼分配装置15によってオペレータ用の電話に受信され、顧客の電話とオペレータ用の電話との間で接続が確立する。
【0071】
ここで、オペレータが使用する電話機としてのSIP端末は、図1に示すようなオペレータのPC端末14に実装されたSIP端末ソフトウェア14aである場合と、単にオペレータPCの横に置いた単独のSIP内線電話機12である場合などがある。
【0072】
図3は、本第1実施例において顧客の電話からの着信呼を受けた電話着信呼分配装置15の動作を示すフローチャート図である。
【0073】
電話着信呼分配装置15において、顧客の電話からの着信呼が受付けられると、キューイング手段15bによって、この着信呼に対して呼出中信号が返信されて、この着信呼がキューイングした状態に設定される(図3:ステップs101)。そして、オペレータ選択手段15aによって、業務データベース16aから着信呼の種類に基づいたオペレータが選択される。
【0074】
続いて、着信呼転送手段15dによって、この選択されたオペレータ用の電話の電話番号に発信がおこなわれる(図3:ステップs102)。呼出先のオペレータ用電話機から受付け可能を示す応答が受信されると(図3:ステップs103)、このオペレータ用電話機へ着信呼を転送することを知らせる音声ガイダンスメッセージが送信され(図3:ステップs104)、受付けた着信呼を呼出先のオペレータ用電話機に転送するようSIPサーバ11へ指示される(図3:ステップs103)。
【0075】
図4は、本実施例において顧客の電話からの着信呼に対して応答し、お待たせアナウンスを発信元へ返信する場合の電話着信呼分配装置15の動作を示すフローチャート図である。
【0076】
この場合の電話着信呼分配装置15では、顧客の電話からの着信呼を受付けると、まず、キューイング手段15bによって、この着信呼に対して呼出中信号が返信されて、この着信呼がキューイングした状態に設定される(図4:ステップs201)。続いて、顧客の電話へお待たせメッセージが送信される(図4:ステップs202)。そして、この後、図3に示す動作と同様の動作が実行される(図4:ステップs203〜s206)。
【0077】
図5は、本第1実施例において顧客の電話からの着信呼に対して応答し、用件を顧客の電話機からプッシュ信号(DTMF信号)入力により選択してもらい、選択された用件に合ったオペレータ呼出しを行う場合の電話着信呼分配装置15の動作を示すフローチャート図である。
【0078】
この場合の電話着信呼分配装置15では、顧客の電話からの着信呼を受付けると、まず、キューイング手段15bによって、この着信呼に対して呼出中信号が返信されて、この着信呼がキューイングした状態に設定される(図5:ステップs301)。続いて、応答設定ファイル15cの内容に従って、発信者である顧客に対して用件内容を選択してもらうためのガイダンスメッセージが送信される(図5:ステップs302)。
【0079】
そして、顧客の電話からガイダンスメッセージに対する回答であるプッシュプル信号が入力され(図5:ステップs303)、オペレータ選択手段15aによってプッシュプル信号に応じたオペレータが選択される。そして、着信呼転送手段15dによって、オペレータ選択手段15aに選択されたオペレータ用の端末の電話番号に発信が行われ、その後、図3に示す動作と同様の動作が実行される(図5:ステップs307〜s310)。
【0080】
応答設定ファイル15cに設定されたリトライ数を超えて、ガイダンスメッセージに対する回答が無いままタイムアウトになった場合や回答として入力されたプッシュプル信号が該当する信号でない場合は、着信呼を受付できないことを示すメッセージが送信され着信呼が切断される(図5:ステップs306)。
【0081】
図6は、本実施例における応答設定ファイル15cに記録された動作設定例を示す図である。
【0082】
図6に示すように、SIPサーバ11から電話着信呼分配装置15に着信呼が通知されると、キューイング手段15bが、判定条件である着番号リスト(図6:401)を参照し、着信呼と共に通知された着番号(ダイヤルイン番号)に応じて、各着信のケースに応じたスケジュール定義(図6:402〜403)を参照し、それぞれの判定結果に応じて定義された応答ルール(図6:404〜407)に進む。
【0083】
応答ルール1(図6:404),応答ルール2(図6:405)では、着信呼をオペレータ用の電話機に接続せず、着信呼に対して自動応答メッセージを送信して切断するよう定義されている。応答ルール99(図6:407)では、呼出先であるオペレータ用電話機が応答するまで顧客の電話からの着信呼に対しては応答しない動作であることと、呼出先を選択する条件であるオペレータ選択条件と、呼出先が応答した際に送出する応答先通知メッセージを定義している。このオペレータ選択条件にしたがってオペレータ選択手段15aが受付可能なオペレータを選択することになり、定義された応答先通知メッセージを着信呼転送手段15dが着信呼を転送する前に転送先へ送信することになる。
【0084】
応答ルール3(図6:406)では、着信呼受付条件として、着信した時点で他にキューイング状態となっている呼の件数が5本未満であることと、同時にキューイング状態となっている呼のなかで最も長く待っている呼の待ち時間が120秒未満であることと、業務システムにログインしているオペレータの人数が0人よりも多いことを基準として定義している。この基準を満たしていない場合、キューイング手段15bは、顧客電話からの着信呼に対して「話中返し」を実行する。この条件を満たしている場合、呼出し中であることを返信し、2秒後に自動応答メッセージを送信し、次にメニューガイダンス4へ進むことを定義している。
【0085】
図6に示すように、メニューガイダンス4(図6:408)では、発信者に用件を選択してもらうためのガイダンスメッセージとして送信する音声ファイルと、発信者からの回答として受信したプッシュ信号(DTMF)に対して適用される呼出ルールと、該当しないプッシュ信号を入力したときも再入力を許す回数を何回までに制限するかを示すリトライ回数制限と、プッシュ信号が未入力の場合のタイムアウト時間(時間切れ待ち時間)と、タイムアウトやリトライ回数制限を超えた場合の処理とが定義されている。
【0086】
プッシュ信号「1」が入力されたときに適用される呼出ルール1(図6:409)では、オペレータを選択する条件と、呼出されたオペレータが応答するまでの不応答タイマと、その呼出ルールでの呼出しをいつまで継続するかを指定するためのオーバーフロー時間等が定義されている。呼出したオペレータが不応答タイマで設定した時間を過ぎても応答しない場合、同じルールで選択したオペレータの次の候補に対して呼出しが実行され、オペレータが応答するまで繰り返される。
【0087】
オーバーフロー時間が経過すると、このルールでの呼出しを中止し、次の指定された呼出ルール(図6:409では呼出ルール11)に切り替えて呼出が実行される。呼出ルール2(図6:410),呼出ルール3(図6:411)は、呼出ルール1とほぼ同様であるが、オーバーフローが設定されていないため、同じ条件での呼出を続ける。
【0088】
このように定義された呼出ルールに従ってオペレータ選択手段15aが受付可能なオペレータを選択することになり、着信呼転送手段15dが転送先に別の呼を送信して呼び出すことになる。
【0089】
以上の図6に示す動作設定は、応答設定ファイル15cに記録され、着信の度、または、ルールを読み替える度に、オペレータ選択手段15a及びキューイング手段15b,着信呼転送手段15dに読み込まれる。従って、応答設定ファイル15cを置き換えるか、この内容を書き換えるだけで、運用中に随時動作の変更を行うことができる。
【0090】
図7は、本実施例におけるオペレータ選択手段15aにおけるオペレータを選択する機能について説明する図である。
【0091】
図7に示すように、オペレータの業務支援,業務管理を行うための基幹業務システムである情報系システム2を導入する本実施例のコールセンタシステムでは、オペレータは、オペレータ用PC端末14の業務アプリケーションクライアント14bを介して基幹業務システムにログインし、現在どのような業務を行っているか、現在の状態がどうなっているかについて、業務アプリケーションサーバ16の業務データベース16aに登録する。
【0092】
一方で、電話着信呼分配装置15におけるオペレータ選択手段15aは、業務データベース16aを参照して着信呼の分配先の選択を行う。業務データベース16aがODBC(Open DataBase Connectivity)で参照可能なデータベースである場合、オペレータを選択するときの条件はSQLのSELECT文で指定することができる。応答設定ファイル15cに記録された条件を基に、抽出条件をオペレータの属性としてSQLのSELECT文を作成し、着信呼の種類に応じた条件を指定する。SQLのSELECT文は、条件が複数ある場合でも、AND条件、OR条件などを細かく指定することが可能で、基幹業務システムの特徴にあわせた最適な選択条件を詳細に指定することができる。
【0093】
また、分配先の候補が複数抽出されたときには、優先して分配すべき順番を同様にSQLのSELECT文で指定することができ、基幹業務システムの業務データベース16aの内容によって利用可能な様々な条件を指定することができる。例えば、各オペレータの前回通話を終了した時刻が記録されていれば、その時刻の古い順に分配することで、オペレータの通話件数を均等にすることができる。また、オペレータが準備可能になった時刻が記録されていれば、その時刻の古い順とすることで、長く待っているオペレータの順に接続することもできる。また更に、オペレータのスキルレベルが記録されていれば、その順序で接続することで、スキルの高い人ほど多くの着信呼を受け付け、より多くの成果を上げる事ができる。
【0094】
これにより、これまで交換機内部の機能として実現されていた固定的な分配ルールの適用が、情報系システム2の業務データベース16aを設計する設計者により、自由な分配ルールで実現することが出来るようになる。
【0095】
図8は、本実施例におけるキューイング手段15bが有する、着信呼を受け付けるかどうかを判定する機能について説明する図である。
【0096】
SIPサーバ11が電話着信呼分配装置15に着信呼を通知したときに、電話着信呼分配装置15のキューイング手段15bは、着信呼を受け入れて呼出中信号を送出するか、あるいは話中であることを送信して着信呼を拒否するかを判断する。この判断材料として、すでにキューイングしている呼の数、すでに着信呼している呼の中で最も長くキューイングしている呼の待ち時間、オペレータの受付体制を用いる。オペレータの受付体制を用いる場合は、業務アプリケーションサーバ16の業務データベース16aを参照してリアルタイムのオペレータ情報を得ることも可能である。
【0097】
これにより、もし着信呼が受けられないときには「話中返し」を行って、電話を転送しきれないほどキューイングしてしまうことを防止することができる。従来の電話着信呼分配装置では、装置内部の動作状況によって、ある条件の場合に上記「話中返し」を行うことができるものもあったが、外部の情報を参照して「話中返し」を行うことはできなかった。本実施例では、電話着信呼分配装置15の内部にはオペレータ管理情報を保持せず、外部の情報を直接参照する構成としているため、着信呼時に装置の外部で持っているオペレータの受付体制に関する情報を直接取得し、基幹業務システム側の状況によって適切に「話中返し」を行うことが可能となる。
【0098】
ここで、上述した電話着信呼分配装置15におけるオペレータ選択手段15a及びキューイング手段15b,着信呼転送手段15dについては、その機能内容をプログラム化してコンピュータに実行させるように構成してもよい。
【0099】
また、本実施例においては、電話着信呼分配呼装置15を複数設けてもよい。複数の電話着信呼分配呼装置15をSIP端末としてLAN17に接続し、上位のSIPサーバ11に着信呼を振り分けてもらうことで、1つの電話着信呼分配呼装置15で障害が発生した場合でも、他の電話着信呼分配呼装置15でバックアップすることが可能であり、冗長化構成をとることが出来る。
【0100】
また、着信呼量が多い場合、複数の電話着信呼分配呼装置15に着信呼を順番に振り分けることで負荷分散を行い、大規模システムに対応することができる。従来の電話着信呼分配呼装置は、それ自体が交換機として機能していたため、障害が発生すると呼出中の呼や接続中の呼を含めて全てに影響を与えるため、高い信頼性が要求された。また、二重化した場合でも、接続中の呼を切断せずにバックアップ側に切り替えるためには特別な仕組みが必要であった。これに対し、本実施例では、話着信呼分配呼装置15を端末として実装し、複数の端末で分散して動作させた場合、仮に運用中に1つの端末(電話着信呼分配呼装置15)で障害が発生しても、呼出中の呼にのみ影響があるだけで、呼出が完了し、端末に転送済みの呼に関しては影響を与えることがなく、システム障害が発生しにくいという利点がある。
【0101】
次に、本発明の第2実施例について図面を参照して説明する。
【0102】
図9は、本第2実施例の広域コールセンタシステムの構成を示す図である。
【0103】
図9に示すコールセンタシステムは、上述した第1実施例と同様に、標準のSIP仕様に準拠したSIPサーバ21と、各種SIP端末との組み合わせで構成されており、電話着信呼分配装置25をはじめとする、公衆網ゲートウェイ23,IP電話ゲートウェイ27が、SIPを用いて動作するように構成されたSIP端末である。
【0104】
また、図9に示すように、顧客の電話からの着信呼の分配対象である在宅オペレータ3は、外線の電話番号で呼出を行う先で待機し、インターネット30に接続するPC端末24により、コールセンタの業務アプリケーション機能を提供するWEBサーバ26に接続できる状態にしておく。
【0105】
例えば、自宅にインターネットに接続できる環境と外線から着信できる電話とを用意したオペレータを、図9にあるような在宅オペレータ3とすることができる。在宅オペレータ3は、インターネット30経由で業務アプリケーションサーバ26にログインし、電話を受けられる状態であれば、PC端末24におけるブラウザの画面で状態の変更を入力し、電話が入電するのを待つ。この操作により、WEBサーバアプリケーションとして構築された業務データベース26a内のオペレータ管理情報(オペレータ管理データテーブル)26bでは、そのオペレータが受付可能であることが登録される。
【0106】
このオペレータ状態管理テーブル26bには、そのオペレータの業務分類や、呼出を行う場合の電話番号が登録されており、その内容は随時変更することも出来る。コールセンタに電話が着信し、電話着信呼分配装置25に着信が通知されると、電話着信呼分配装置25は、オペレータ状態管理テーブル26bを参照し、分配可能なオペレータを選出し、そのオペレータ用電話機の電話番号を取得する。このとき選出されたオペレータが在宅オペレータ3だった場合、そこに登録された外線の電話番号に対して呼出しを行う。
【0107】
このように、本第2実施例において、オペレータは、業務アプリケーションサーバ26にインターネット経由で接続できるPC端末と、外線で呼出し可能な電話番号の電話とを持っていれば、何処にいても顧客の電話を受けることができる。これにより、分配先を広域に分散したコールセンタが実現されている。
【0108】
インターネット経由で業務アプリケーションを使用する場合、SSL(Secure Socket Layer)などの暗号化手段を持つことで十分なセキュリティを確保することができ、インターネットVPN(Virtual Private Network)等のための高額なルータは不要である。また、電話着信呼分配装置25から呼出を行う外線の電話番号は、050で始まるIP電話サービスの番号を利用し、呼出元と同一のIP電話通信事業者のサービスを使用することにより、日本全国で基本料金のみで接続することができるため、広域の在宅オペレータを接続するための通信費用が大幅に低減できるという特徴がある。
【0109】
図10は、本第2実施例において電話着信呼分配装置25が着信呼の分配先を外線とする場合の例を示す図である。
【0110】
図10では、外線の電話番号として050で始まるIP電話サービスの電話を使用している例を示している。着信した電話番号に対応する呼出方法は、上述した第1実施例と同様に、自動応答せずに呼出を行う場合や、自動応答してお待たせアナウンスを送信しながら転送先の呼び出す場合、メニューガイダンスのメッセージを流し、用件をプッシュ信号で選択させ、選択された条件に応じて分配先の条件を決定する場合など、着信呼に対する応答方法は設定によってさまざまなパターンを選択することができる。
【0111】
従来の電話着信呼分配装置では、分配先を装置内で管理されている内線電話に限定していたが、本第2実施例による電話着信呼分配装置25は、装置内で内線番号を管理しているのではなく、外部の業務データベース26aを参照して呼出先の電話番号を取得している。このため、その番号が外線接続された電話のものだった場合にも、同じように呼出し、話中の時や、一定時間以内に応答しない場合、次の候補を順番に呼出すことが出来る。
【0112】
また、同じ条件で呼出そうとして一定時間経過した場合、呼出条件を変えて呼出先を広げて応答可能なオペレータを拡大することもできる。
【0113】
ここでも、050で始まるIP電話サービスの電話番号を利用した場合、発信に使用する回線が同一の通信事業者であれば呼毎の通話料金は不要で、基本料金のみで通話回数、通話時間が多くても追加料金がかからないことから、このように外線を呼出先とするコールセンタを構築することで、より低コストでの運営が可能になることが期待できる。
【0114】
従来の電話着信呼分配装置では、着信呼分配の対象が、電話着信呼分配装置内部で管理している内線電話のみであったが、本第2実施例の場合は、電話着信呼分配装置25内部でオペレータの受付体制を管理しておらず、外部のデータを参照して着信呼の転送先を探す方式となっている。従って、転送先として参照された電話番号は、電話着信呼分配装置25から見て内線なのか、外線なのか、電話番号の桁数の違いとしてしか認識せず、内線、外線の違いに制約を受けることなく分配対象とすることができる。
【0115】
これにより、例えば、着信呼の分配先として呼出すオペレータが社外で業務を行っている場合でも、その場所の電話番号として、自宅の電話番号やサテライトオフィスの直通ダイヤルイン番号、あるいは、携帯電話の番号で呼出を行うことが出来る。分配先への音声送出機能を組み合わせることにより、呼出先が外線であった場合でも、どこからの電話がつながるのかを認識して応答することができるため、適切な応対が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明における第1実施例のコールセンタシステムの全体の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施例に開示した電話着信呼分配装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す実施例に開示した電話着信呼分配装置の動作例1を示すフローチャート図である。
【図4】図1に示す実施例に開示した電話着信呼分配装置の動作例2を示すフローチャート図である。
【図5】図1に示す実施例に開示した電話着信呼分配装置の動作例3を示すフローチャート図である。
【図6】図1に示す実施例に開示した応答設定ファイルに記録された動作内容の一例を示す説明図である。
【図7】図1に示す実施例に開示したオペレータ選択手段の機能についての説明図である。
【図8】図1に示す実施例に開示した通信制御部の機能についての説明図である。
【図9】本発明に開示した第2実施例のコールセンタシステムの全体の構成を示すブロック図である。
【図10】図9に示す実施例に開示した電話着信呼分配装置の着信呼分配動作の一例を示す説明図である。
【図11】従来技術によるコールセンタシステムの概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0117】
1 交換系システム
2 情報系システム
3 在宅オペレータ
11,21 SIPサーバ
12 内線電話機(オペレータ用電話機)
13 公衆回線ゲートウェイ
14 PC端末
14a SIP端末ソフトウェア(オペレータ用電話機)
14b 業務アプリケーションクライアント
15 ,25 電話着信呼分配装置
15a オペレータ選択手段
15b キューイング手段
15c 応答設定ファイル
15d 着信呼転送手段
15e 通信制御部
15A データ入力部
16,26 業務プリケーションサーバ
16a,26a 業務データベース
17 LAN/WAN
18 電話網,IPキャリア網
22 外線電話機
23 公衆網ゲートウェイ
24 PC
26b オペレータ状態管理テーブル
27 IP電話ゲートウェイ
28 電話網
29 IP電話網
30 インターネット網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の電話からの着信呼に対してセッション処理及び分配処理を行う交換系システムと、前記顧客との通話に応対するオペレータの業務を管理するためのオペレータ管理情報を含む業務データベースを備えた情報系システムとから成り、
前記交換系システムが、内部の通信基盤を前記情報系システムと同一のインターネットアーキテクチャで構築し、前記情報系システムと連結し、前記情報系システムに一元管理された前記業務データベースを直接参照してそこから前記着信呼に応じたオペレータを選択し前記分配処理を解決することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項2】
前記請求項1に記載のコールセンタシステムにおいて、
前記交換系システムが、前記着信呼のセッション処理を担当する交換機サーバと、前記着信呼の分配先を決定する分配処理を担当する電話着信呼分配装置とを備え、前記電話着信呼分配装置は、前記交換機サーバの配下に内部端末として接続したことを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項3】
前記請求項2に記載のコールセンタシステムにおいて、
前記交換系システムが、前記セッション処理に用いるプロトコルとしてSIPを採用し、前記交換機サーバをSIPのプロキシサーバ、内部端末としての電話着信呼分配装置をSIPのユーザエージェントクライアントで構成したことを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項4】
前記請求項2又は3に記載のコールセンタシステムにおいて、
前記電話着信呼分配装置が、前記オペレータを選択するための条件を着信の種類ごとに対応付けて定義した情報を含む応答設定ファイルを有すると共に、この応答設定ファイルに記録された条件に従って前記業務データベースを参照し前記着信呼に応じたオペレータを選択することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項5】
前記請求項4に記載のコールセンタシステムにおいて、
前記電話着信呼分配装置が、前記応答設定ファイルを任意に追加・更新することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項6】
前記請求項2乃至5のいずれか一項に記載のコールセンタシステムにおいて、
前記電話着信呼分配装置が、前記着信呼の分配先として前記交換機サーバに外線接続された電話を選出することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項7】
顧客からの通話にオペレータが応対するコールセンタシステムに装備され、前記顧客の電話からの着信呼の分配先を決定する分配処理を担当する電話着信呼分配装置であって、
前記着信呼の種類に応じてオペレータを選択するオペレータ選択手段と、
この選択されたオペレータが使用する電話へ前記着信呼を転送する着信呼転送手段とを備え、
前記オペレータ選択手段が、外部に構築された情報系システムで一元管理された業務データベースを直接参照してそこから前記着信呼に応じたオペレータを選択することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼に対して呼出中を返しキューイングするキューイング手段を備え、前記着信呼転送手段が、前記キューイングされた着信呼を順に転送することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項9】
前記請求項8に記載の電話着信呼分配装置において、
前記キューイング手段が、既にキューイングされている着信呼の数もしくは待機時間または前記オペレータ管理情報が示す応答可能なオペレータの数が基準を満たさない場合に、前記着信呼をキューイングせずに話し中を返すことを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項10】
前記請求項7乃至9のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼の受信時から転送時までの動作パターンを着信の種類ごとに対応付けて定義した応答設定ファイルを登録する登録手段と、前記応答設定ファイルを登録するための記憶手段とを備えたことを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項11】
前記請求項10に記載の電話着信呼分配装置において、
前記応答設定ファイルは、任意に追加・更新可能であることを特徴とする電話着信呼分配装置
【請求項12】
前記請求項10又は11に記載の電話着信呼分配装置において、
前記オペレータ選択手段が、前記応答設定ファイルに記録された条件を指定して前記業務データベースから前記着信呼に応じたオペレータを選択することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項13】
前記請求項7乃至12のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼転送手段が、前記選択されたオペレータ用の電話に対し別の呼を発信し受付可能を示す応答があった場合に前記顧客の電話からの着信呼を転送することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項14】
前記請求項7乃至13のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼転送手段が、前記顧客の電話から着信呼と共に発信された表示情報を当該着信呼に付加して前記選択されたオペレータ用の電話へ転送することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項15】
前記請求項7乃至14のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記オペレータ選択手段が、外線接続された電話機を前記着信呼の分配先として選択することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項16】
前記請求項7乃至15のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼転送手段が、前記着信呼の転送前に分配先へ当該着信呼の内容を音声で通知することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項17】
前記請求項7乃至16のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼を制御するプロトコルとしてSIPを用いたことを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項18】
前記請求項7乃至17のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記オペレータ選択手段が、SQLで条件を指定して前記業務データベースからその条件に応じたオペレータを抽出させて前記着信呼の分配先を選択することを特徴とする電話着信呼分配装置。
【請求項19】
顧客からの通話にオペレータが応対するコールセンタシステムの電話着信呼分配方法であって、
顧客の電話からの着信呼を受信すると、外部に構築された情報系システムにアクセスし、前記情報系システムに一元管理された業務データベースを直接参照し、
この業務データベースから前記着信呼に応じたオペレータを選択し、この選択されたオペレータ用の電話に前記着信呼を転送することを特徴とする電話着信呼分配方法。
【請求項20】
顧客の電話からの着信呼を受信すると外部に構築された情報系システムに直接アクセスするアクセス機能と、
前記情報系システムに一元管理された業務データベースを直接参照しそこから前記着信呼に対応するオペレータを選択するオペレータ選択機能と、
この選択されたオペレータが使用する電話へ前記着信呼を転送する着信呼転送機能とをコンピュータに実行させることを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項21】
前記請求項20に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記着信呼に対して呼出中を返しキューイングするキューイング機能と共に、前記着信呼転送機能を、前記キューイングされた着信呼を順に転送する機能として前記コンピュータに実行させることを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項22】
前記請求項21に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記キューイング機能を、既にキューイングされている着信呼の数もしくは待機時間または前記オペレータ管理情報が示す応答可能なオペレータの数が基準を満たさない場合に、前記着信呼をキューイングせず話中を返すようにしたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項23】
前記請求項20乃至22のいずれか一項に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記着信呼の受信時から転送時までの動作パターンを着信の種類ごとに対応付けて定義した情報を応答設定ファイルに記録する機能を前記コンピュータに実行させることを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項24】
前記請求項23に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて
前記オペレータ選択機能を、前記応答設定ファイルに記録された条件を指定して前記業務データベースから前記着信呼に応じたオペレータを選択するようにしたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項25】
前記請求項20乃至24のいずれか一項に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記着信呼転送機能を、前記選択されたオペレータ用の電話へ別の呼を発信しそれに対して受付可能を示す応答があった場合に前記顧客電話からの着信呼を転送するようにしたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項26】
前記請求項20乃至25のいずれか一項に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記オペレータ選択機能を、前記着信呼の分配先として外線接続された電話を選択するようにしたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項27】
前記請求項20乃至26のいずれか一項に記載の電話着信呼分配用プログラムにおいて、
前記オペレータ選択機能を、SQLで条件を指定して前記業務データベースからその条件に応じたオペレータを抽出させて前記着信呼の分配先を選択するようにしたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。
【請求項28】
前記請求項20乃至27のいずれか一項に記載の電話着信呼分配装置において、
前記着信呼を制御するプロトコルとしてSIPを用いたことを特徴とする電話着信呼分配用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−22546(P2008−22546A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159098(P2007−159098)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【出願人】(505428558)株式会社COCO・WA・DOCO (1)
【Fターム(参考)】