説明

ゴムローラーの製造方法及びゴムローラーの製造装置

【課題】ゴム材料の吐出量のバラツキにかかわらずに、押し出される被覆物の外径を一定に保ち、ゴムローラーの外径のバラツキを抑え、寸法精度の向上を図る。
【解決手段】芯金送り装置5によって芯金3をクロスヘッドダイ7に連続的に供給するとともに、クロスヘッドダイ7内の芯金3の外周上に押出し機6によってゴム材料4を供給し、芯金3がゴム材料4で被覆されてなる被覆物をクロスヘッドダイ7から押し出す工程を有する、ゴムローラーの製造方法において、クロスヘッドダイ7から押出された被覆物の外径を測定センサー9で測定する第1工程と、測定センサー9で測定された外径の測定値に基づいて演算装置10で演算する第2工程と、演算装置10による演算結果を芯金送り装置5にフィードバックし、芯金送り装置5による芯金の送り速度を調整することによって、被覆物の外径を調整する第3工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機やレーザービームプリンタ等に組み込まれる帯電ローラー、現像ローラー、転写ローラー、給紙ローラー等のゴムローラーの製造方法及びゴムローラーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、感光体の表面を均一に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光が照射された部分の帯電を消去することによって潜像を形成する。次いで、トナーの付着によるトナー像の形成(現像)、転写紙等の被記録材へトナーを転写することによって、プリントを行う方法が採られている。
【0003】
感光体の表面を均一帯電するための手段としては、電圧を印加した帯電部材を感光体に所定の押圧力で当切させて感光体を所定の電位に帯電させる接触帯電方式が知られている。接触帯電方式の中でも帯電ローラーは、接触帯電方式による均一帯電のための重要な点である感光体への一様な接触が、2つの回転円筒体同士によってなされる。このため、帯電ローラーは、ブラシ帯電やブレード帯電などの他の接触帯電方式よりも実現が容易であり、広く採用されている。
【0004】
帯電ローラーは、感光体との接触帯電を行うものであるため、一定のニップ幅に保つことが要求されている。そのため、帯電ローラーとして用いられるゴムローラーは、外形寸法等の形状が高精度に形成されることが望まれている。
【0005】
ところで、帯電ローラー等のゴムローラーの製造方法としては、
(1)押出し機によってゴム材料をチューブ状に押出す工程、
(2)チューブ状のゴム材料を加硫缶等で加硫する工程、
(3)ゴム材料からなるチューブに芯金を圧入する工程、
(4)芯金がゴム材料で被覆されてなる被覆物の両端部の軸受け部を突切り、ゴム材料から芯金の両端部を露出させる工程、
を経て製造する方法が知られている。
【0006】
また、他の製造方法としては、
(1)押出し機によってクロスヘッドダイにゴム材料を供給し、クロスヘッドダイによって芯金とゴム材料を同時に押出して、芯金の外周上をゴム材料で被覆する工程、
(2)クロスヘッドダイから押し出された被覆物を連続的に熱風炉等で加硫する工程、
(3)被覆物の両端部の軸受け部を突切り、芯金の両端部を露出させる工程、
を経て製造する方法が知られている。
【0007】
これらの製造方法で製造されたゴムローラーは、ゴム材料の研磨等によって最終的に所望の形状に形成され、更に複数の層構成が必要な場合には、ゴム材料に塗工やチューブ被覆等の工程を経て製造されている。
【0008】
前者の製造方法では、各工程が分断されてしまうため、連続化することが難しいという短所がある。このため、最近では、後者の製造方法のクロスヘッドダイ方式で押出し機を用いた連続工程が主流になっている。芯金をゴム材料で被覆することによって、その後の工程では、芯金を支持して搬送等を行うことができるので、連続工程にすることが容易であるという長所がある。
【0009】
一般的なクロスヘッドダイ方式の押出し機(以下、クロスヘッド押出し機とも称する)を用いたゴムローラーの製造方法では、クロスヘッドダイに連続的に芯金を供給しながら、クロスヘッドダイ内で芯金をゴム材料で被覆していく成形工程が採用されている。この成形工程では、押出し機によってクロスヘッドダイ内に円柱状にゴム材料を押出し、押し出されたゴム材料の中心部分に、芯金ガイドによって位置決めされた芯金が、芯金送り装置の芯金送りロールによって連続的、かつ間欠的に送り込まれる。これによって、芯金の外周部は、ゴム材料で一体的に被覆される。クロスヘッドダイの先端ダイスから押出された芯金とゴム材料とからなる円柱状の被覆物(成形品)は、押出し機に併設されている引取り切断機のカッターによって、1本ずつのゴムローラーの長さに切断されて分離され、後工程に搬送される。
【特許文献1】特開2004−145012号公報
【特許文献2】特開平6−58325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、クロスヘッド押出し機を使用したゴムローラーの製造方法では、クロスヘッドダイ内に押し出されるゴム材料の吐出量にバラツキが生じてしまう問題点がある。このため、芯金の送り速度とゴム材料の吐出量とのバランスが崩れた場合には、被覆物であるゴムローラーの外径が大小に変動してしまう問題がある。
【0011】
ゴムローラーの外径が大きくなった場合には、上述したように、加硫後に、所望の形状のゴム部に形成するための研磨工程を経ているので、研磨工程での削り代が大きくなり、所定の研磨時間内に十分に研磨しきれずに、外径にばらつきが生じる場合がある。加えて、芯金にゴム材料が被覆されて芯金とゴム材料が一体的に押出される際に、芯金の送り速度に対してゴム材料の吐出量が多くなっているため、芯金と芯金との端部の隙間にゴム材料が入り込む。このため、芯金を1本ずつに切断して分離する際に、加硫前のゴム材料が可塑化されているので、ゴム材料が完全に良好に切断されずに糸引き等の現象を起こし、ゴム材料が、切断された各芯金の端部やその端面に付着してしまうという問題があった。
【0012】
クロスヘッド押出しでゴム材料を押出す場合には、一般的に、上述したように、支持部材によって芯金の両端が支持された状態で搬送や加工が行われている。これは、芯金の中央部に形成されるゴム部が、ゴム弾性層として製品上機能する部位であり、芯金に形成されたゴム部の中央部を支持することによって、ゴム部に凹む等の問題が生じることを避けるためである。
【0013】
しかしながら、上述したような問題が生じたときに、支持される芯金の端部やその端面に微細なゴム材料が付着していた場合、芯金の端部を支持する支持部材とゴム材料とが干渉して、所定の支持状態を保つことができないという不都合があった。また、芯金の端部や端面に付着したゴム材料が剥がれて、ゴム材料が支持部材側に付着して残ってしまうこともある。ゴム材料が支持部材側に付着した場合には、端部にゴム材料が付着していない芯金を加工する際にも悪影響を及ぼし、多数の不良品を製造してしまうことを招く不都合があった。
【0014】
一方で、芯金の送り速度に対してゴム材料の吐出量が少なくなった場合には、ゴムローラーの外径が小さくなる問題が発生する。このため、ゴム部のうねり等の押出し形状の異常や、上述したように、加硫後に形状を形成するための研磨工程を経るため、研磨工程での削り残り等の問題が生じる。
【0015】
先行技術としては、ゴム材料の供給量を、押出し機のスクリューの回転数で制御する方法や、芯金を送る速度を制御し、クロスヘッド押出し機を用いたクラウン形状のゴムロール等の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0016】
しかしながら、ゴム材料を構成するベース材となるポリマーのロットごとの違いや、練り状態のバッチごとの違いによるゴム材料の流動性や粘度の差によって、押出されるゴム材料の供給量が変動する。このため、ロット違いのポリマーをベースとしたゴム材料を用いて、予め芯金の送り速度とスクリューの回転数を一定に設定し、ゴムローラーの外径を異なるロット間で一定に押し出し成形することは困難である。
【0017】
また、特許文献1に関して、ゴム材料の供給量をスクリューの回転数によって制御する構成では、使用するゴムコンパウンドの特性や押出し機及びスクリュー形状の仕様によって供給量が大きく影響を受ける不都合がある。また、スクリューの回転数の変更が、押出されたゴム部の外径に反映されるまでに時間差が生じるので、期待する高精度な外径を望むことは困難である。
【0018】
そこで、本発明は、ゴム材料の吐出量のバラツキにかかわらずに、被覆物の外径を一定に保つことで、外径のバラツキを抑えて高精度にゴムローラーを製造することができる、ゴムローラーの製造方法及びゴムローラーの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を達成するため、本発明に係るゴムローラーの製造方法は、芯金送り装置によって芯金をクロスヘッドダイに連続的に供給するとともに、クロスヘッドダイ内の芯金の外周上に押出し機によってゴム材料を供給し、芯金がゴム材料で被覆されてなる被覆物をクロスヘッドダイから押し出す工程を有する、ゴムローラーの製造方法において、クロスヘッドダイから押出された被覆物の外径を測定機で測定する第1工程と、測定機で測定された前記外径の測定値に基づいて演算装置で演算する第2工程と、演算装置による演算結果を芯金送り装置にフィードバックし、芯金送り装置による芯金の送り速度を調整することによって、被覆物の外径を調整する第3工程と、を有する。
【0020】
また、本発明に係るゴムローラーの製造装置は、芯金を搬送する芯金送り装置と、ゴム材料を押し出す押出し機と、芯金送り装置によって芯金が供給されるとともに、押出し機によって芯金の外周上にゴム材料が供給され、芯金がゴム材料で被覆されてなる被覆物を押し出すクロスヘッドダイと、クロスヘッドダイから押し出された被覆物の外径を測定する測定機と、測定機で測定された外径の測定値に基づいて芯金送り装置を制御し、芯金の送り速度を調整する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、押出し機によるゴム材料の吐出量のバラツキにかかわらずに、クロスヘッドダイから押し出される被覆物の外径を一定に保つことで、外径のバラツキが抑えられた高精度なゴムローラーを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
まず、本実施形態のゴムローラーの製造方法で用いるゴムローラーの製造装置について説明する。
【0024】
本実施形態のゴムローラーの製造装置は、図1(a)に示すように、芯金3を搬送する芯金送り装置5と、ゴム材料4を押し出す押出し機6とを備えている。芯金送り装置5は、芯金3を挟持して搬送する複数の送りロール5aと、図2に示すように、これら送りロール5aを回転駆動させるロールモータ5bとを有している。押出し機6は、芯金送り装置5によって芯金3が供給されるとともに、押出し機6によって芯金3の外周上にゴム材料4が供給され、芯金3がゴム材料4で被覆されてなる被覆物を押し出すクロスヘッドダイ7を有している。クロスヘッドダイ7は、芯金送り装置5から送られる芯金3をクロスヘッドダイ7の内部に案内する芯金ガイド7aと、被覆物を円柱状に押し出す先端ダイス7bとを有している。
【0025】
また、このゴムローラーの製造装置は、図1(b)に示すように、クロスヘッドダイ7から押し出された被覆物を所定の長さに切断する切断装置8と、切断された被覆物を加熱加硫する加熱装置(不図示)とを備えている。切断装置8は、被覆物を切断する一組のカッター8aと、これらカッター8aの駆動機構(不図示)と、被覆物の先端をガイドするガイドピン8bとを有している。ガイドピン8bには、被覆物の先端を支持する凹部が形成されている。また、図示しないが、ゴムローラーの製造装置は、加硫された被覆物のゴム材料4の外周部を研磨する研磨装置(不図示)を備えている。
【0026】
また、このゴムローラーの製造装置は、図2に示すように、クロスヘッドダイ7から押し出された被覆物の外径を測定する測定機としての測定センサー9を備えている。また、ゴムローラーの製造装置は、測定センサー9で測定された外径の測定値に基づいて芯金送り装置5を制御する制御手段としての演算装置10を備えている。演算装置10は、測定センサー9及び芯金送り装置5のロールモータ5bと電気的に接続されており、測定センサー9で測定された外径の測定値に基づいて演算した演算結果によって、芯金送り装置5のロールモータ5bを制御し、芯金3の送り速度を調整する。この演算装置10は、外径が測定された被覆物に続いてクロスヘッドダイ7内で被覆される次の被覆物の外径を調整するように、芯金送り装置5を制御する。
【0027】
以上のように構成されたゴムローラーの製造装置によって、クロスヘッドダイ7に芯金3を供給しながら、上述した押出し機6によってクロスヘッドダイ7にゴム材料4を供給することで、芯金3がゴム材料4で被覆されて、ゴムローラーが製造される。芯金3は、芯金送り装置5によって、クロスヘッドダイ7に連続的に供給される。ゴム材料4で被覆された芯金3は、切断装置8によって所定の長さで切り離され、被覆物の芯金3の両端部が支持された状態等で、電気炉等の加熱装置でゴム材料4が加熱されて加硫される。
【0028】
本発明において、芯金の送り方法、被覆物の外径の測定方法は限定されない。なお、芯金の送り方法としては、例えば芯金ガイドによって位置決めされた芯金を送りロールで挟み込み、送りロールを回転駆動させることによって連続的に送り込む方法や、送りロールの代わりに、芯金を載せるベルトを使用して搬送する方法等が挙げられる。被覆物の外径の測定方法としては、例えば被覆物を板状の部材で直接挟み込むことで、外径を測定する方法があるが、測定によって被覆物のゴム部に打痕傷や凹み等の問題が生じる可能性が高い。そのため、非接触で被覆物の外径を測定する方法が好ましく、例えば、クロスヘッドダイの先端ダイスから被覆物が押出されたときに、測定センサーとしてレーザー測定機を用いて被覆物の外周部にレーザー光を照射して測定する方法が望ましい。
【0029】
また、芯金の送り速度の制御方法も特に制限されない。例えば上述のように、送りロールで挟み込む方式であれば、先端ダイスから押出された被覆物(ゴムローラー)の外径の測定値に基づいて、芯金送り装置の送りロールの回転速度を制御することで、芯金の送り速度を調整する方法が挙げられる。
【0030】
本発明において、演算装置によって芯金送り装置がフィードバック制御される動作について、図3を参照して説明する。図3に示すように、被覆物の外径を測定し(ステップ21)、演算装置10は、外径に基づいて演算した演算結果によって、基準寸法に対して外径を判定する(ステップ22,24)。外径が大きいと判定したとき(ステップ22)、ステップ23に示すように、芯金の送り速度を加速することで、外径が小さくなるように調整する。また、外径が小さいと判定したとき(ステップ24)、ステップ25に示すように、芯金の送り速度を減速することで、外径が大きくなるように調整する。このように、芯金の送り速度が調整されることで、外径が測定された被覆物に続いてクロスヘッドダイ内で被覆される次の被覆物の外径が調整され、一定の外径が保たれる(ステップ26)。
【0031】
本発明において、被覆物の外径を測定する頻度は特に制限が無いが、外径を測定する頻度が押出し量の変化速度に比べて低すぎる場合には、外径のバラツキを抑え難くなる場合があるので好ましくない。逆に、被覆物の外径を測定する頻度が高すぎる場合は、基本的には問題ないが、外径の測定と芯金の送り速度との制御のバランスを取り難くなる可能性がある。外径を測定する頻度としては、1秒に1回の周期から、1時間に1回の周期程度の範囲が好ましく、1本のゴムローラーにつき1回にするのがより一層好ましい。
【0032】
本発明の製造方法において、ゴムローラーの外径を一定に保つために、研磨工程を経るのが好ましい。研磨精度には押出し後のゴムローラーの外径や硬さ等が大きく影響する。外径が大きくなった場合、研磨砥石にかかる負荷が大きくなり、研磨後の外径が所定より大きくなる可能性がある。また、外径が小さくなった場合には、削り残りが生じる可能性が高い。このため、押出し時に外径にバラツキが生じた場合には、所定の形状や外径が得られ難い。
【0033】
特に、ゴムローラーが硬く研磨時間が短い場合、研磨工程で砥石にかかる負荷が大きくなり、砥石の形状に転写されず、ゴムローラーの硬さによる影響は更に大きくなる。
【0034】
芯金としては特に制限はなく、例えば、鉄、銅及びステンレス等の金属材、カーボン分散樹脂材、金属あるいは金属酸化物分散樹脂材等が用いられる。特に、ステンレススチール、めっき処理した鉄、黄銅及び導電性プラスチック、アルミニウム、銅、鉄、又はこれらを含む合金等の良導体が好適に用いられる。
【0035】
本発明で使用されるゴム材料については、特に制限はない。ゴム材料としては、一般的な、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。ゴム材料中に配合される配合物も特に制限されない。配合物としては、例えば、炭酸カルシウム等の充填材、カーボンブラックやシリカ等の導電剤もしくは補強材、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛といった加工助剤やオイル等の可塑剤等の材料を必要に応じて配合可能である。また、架橋についても、例えば、硫黄や硫黄供与体等の架橋剤、架橋反応を促進させる架橋促進剤等を目的に応じて選択可能である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例について詳しく説明する。
【0037】
押出し機としては、シリンダーの内径が70mm、L/Dが20であるベント式押出し機を用いた。押出し機の温度は、シリンダー、クロスヘッドダイ、スクリューを共に80℃に調整した。また、スクリューの回転数は、芯金の押出し速度に合わせて、8rpmに調整した。
【0038】
ゴム材料としては、アクリロニトリルブタジエンゴムを使用した。表1に示す配合物(架橋剤及び架橋促進剤を除く)を7リットルのニーダーを用いて混練した。これに、表1に示す架橋剤及び架橋促進剤を12インチオープンロールで混練し分散させ、押出し機に投入するゴム材料を調製した。
【0039】
【表1】

【0040】
芯金としては、直径6mm、長さ250mmのものを使用した。また、芯金には、両端部から12mmまでの部分以外に、加硫接着剤(メタロックU−20/株式会社東洋化学研究所製)を予め塗布した。
【0041】
ゴム材料を押出し機内に投入し、連続的に芯金をクロスヘッド内に供給しながら、芯金をゴム材料で被覆し、クロスヘッドダイの先端ダイス近傍の位置で、押出された被覆物の外径をデジタル寸法測定器LS7500((株)キーエンス製)で測定した。ダイスとしては、直径がφ8.2mmのダイスを使用し、押出し時のゴムローラーの目標外径を8.0mmとした。芯金がゴム材料で被覆された被覆物を、図1に示すように、カッター9で切断した。切断された加工物は、160℃で、60分間、熱風炉で加硫した後、芯金の端部から12mmの位置までのゴム部を剥ぎ取り、ゴムローラーを作製した。研磨加工では、砥石GC120(テイケン(株)製)を使用し、砥石の回転数2000rpm、ローラー主軸の回転数400rpm、砥石の移動速度0.2mm/minで研磨を行った。評価用のサンプルとして1000本を作製し、評価した。
【0042】
〔測定方法〕
研磨前のゴムローラーの軸方向の中央を位置P2とし、この中央から軸方向に左右90mmの部分をそれぞれ位置P1及び位置P3とする。そして、この3点の位置におけるゴムローラーの外径をレーザー外径測定機「VG−300:(株)キーエンス社製」によって測定し、3点におけるゴムローラーの外径の平均値をゴムローラーの外径とした。
【0043】
〔評価(1)〕上記測定方法による外径の測定値から研磨前のゴムローラーの外径の標準偏差を求めた。
【0044】
〔評価(2)〕上記測定方法による外径の測定値から研磨前のゴムローラーの外径レンジを求めた。
【0045】
実施例1は、5分間に1回の周期で、押出された被覆物の外径を計測センサーで測定し、測定した外径の値をフィードバックし、被覆物が一定の外径に保たれるように芯金の送り速度を調整して押出し、被覆物の研磨前の外径を測定した。
【0046】
実施例2は、1本につき1回、押出された被覆物の外径を計測センサーで測定した以外、実施例1と同様に行った。
【0047】
実施例3は、アデカサイザーRS−700(可塑剤)の配合量を20.0質量部に変更したゴム材料を用いた以外、実施例2と同様に行った。
【0048】
比較例1は、芯金をクロスヘッドダイの芯金ガイドに連続的に通過させ、芯金の送り速度の調整をせずに、芯金の外周上に押出し機によってゴム材料を供給して被覆した後、押出された被覆物の研磨前の外径を測定した。
【0049】
比較例2は、アデカサイザーRS−700(可塑剤)の配合量を20.0質量部に変更したゴム材料を用いた以外、比較例1と同様に行った。これらの測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
なお、比較例2では、押し出されるゴム材料の吐出量が増加し、芯金と芯金の端部の隙間にゴム材料が入り込んだため、サンプルを採取できなかった。
【0052】
実施例1及び実施例2の結果に示すように、外径の測定頻度が高い方が、外径のバラツキを抑えることができた。
【0053】
実施例1及び比較例1の結果に示すように、芯金の送り速度を制御する場合と比較して、芯金の送り速度を制御しない場合では、被覆物の外径のバラツキが大きくなった。
【0054】
実施例3及び比較例2の結果に示すように、ゴム材料の押出し吐出量に関係なく、芯金の送り速度を制御することで、被覆物の外径のバラツキを抑えることができた。
【0055】
上述したように、本実施例によれば、演算装置による演算結果を芯金送り装置にフィードバックし、芯金送り装置による芯金の送り速度を調整することによって、押出し機によるゴム材料の吐出量のバラツキにかかわらずに、被覆物を一定の外径に保つことができる。したがって、ゴムローラーの外径のバラツキを抑えられ、ゴムローラーの外径を高精度に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施形態のゴムローラーの製造装置を模式的に示す断面図である。
【図2】被覆物の外径を測定する工程から芯金の送り速度を調整する工程までを説明するために示す図である。
【図3】押し出される被覆物の外径を一定に保つための制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
3 芯金
4 ゴム材料
5 芯金送り装置
5a 送りロール
6 押出し機
7 クロスヘッドダイ
9 測定センサー
10 演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金送り装置によって芯金をクロスヘッドダイに連続的に供給するとともに、前記クロスヘッドダイ内の該芯金の外周上に押出し機によってゴム材料を供給し、前記芯金が前記ゴム材料で被覆されてなる被覆物を前記クロスヘッドダイから押し出す工程を有する、ゴムローラーの製造方法において、
前記クロスヘッドダイから押出された前記被覆物の外径を測定機で測定する第1工程と、
前記測定機で測定された前記外径の測定値に基づいて演算装置で演算する第2工程と、
前記演算装置による演算結果を前記芯金送り装置にフィードバックし、前記芯金送り装置による前記芯金の送り速度を調整することによって、前記被覆物の外径を調整する第3工程と、
を有することを特徴とするゴムローラーの製造方法。
【請求項2】
前記第3工程では、外径が測定された前記被覆物に続いて前記クロスヘッドダイ内で被覆される次の前記被覆物の外径を調整する、請求項1に記載のゴムローラーの製造方法。
【請求項3】
前記被覆物の前記ゴム材料を加硫する第4工程と、
前記被覆物の前記ゴム材料の外周部を研磨する第5工程と、
を有する、請求項1又は2に記載のゴムローラーの製造方法。
【請求項4】
前記第1工程では、前記被覆物に非接触で前記外径を測定する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のゴムローラーの製造方法。
【請求項5】
芯金を搬送する芯金送り装置と、
ゴム材料を押し出す押出し機と、
前記芯金送り装置によって前記芯金が連続的に供給されるとともに、前記押出し機によって前記芯金の外周上に前記ゴム材料が供給され、前記芯金が前記ゴム材料で被覆されてなる被覆物を押し出すクロスヘッドダイと、
前記クロスヘッドダイから押し出された前記被覆物の外径を測定する測定機と、
前記測定機で測定された前記外径の測定値に基づいて前記芯金送り装置を制御し、前記芯金の送り速度を調整する制御手段と、
を備えるゴムローラーの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−66808(P2009−66808A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235351(P2007−235351)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】