説明

ゴム材料組成物およびゴム成形体

【課題】滑性塗料や多量の抗菌剤を用いなくとも、ゴム成形体の滑性,耐貼付性,抗菌性等を高め、目的とするゴム成形体の機能を十分に発揮する。
【解決手段】ゴム材料等の高分子材料を配合し押出し成形加硫によるゴム成形体に係るものであり、押出し成形加硫によるゴム成形体に用いられ、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phr(少なくとも20phr以上がタルク)と、光触媒機能を有する無機フィラーまたは抗菌剤(3phr以下)と、を配合したゴム材料組成物を用いる。前記のゴム材料組成物から成るゴム成形体の表面側には、アルカリ性無機フィラー由来凹凸面10cが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材料組成物およびゴム成形体に関するものであって、例えば滑性,耐貼付性,抗菌性等の機能が要求される部品(例えば、高湿雰囲気となる浴室,トイレ,台所等のドアで使われるシールや、自動車室内等の摺動部に使われるシールに適用される部品)に係るものである。
【背景技術】
【0002】
ゴム材料等の高分子材料が配合されたゴム材料組成物から成る加硫成形体(以下、ゴム成形体と称する)は、種々の用途に適用されており、その用途に応じた特性を満たすことができるように研究開発されている。例えば、前記のゴム成形体は、適用される対象(以下、被適用対象と称する;例えば、自動車用ウェザーストリップの場合にはドア部やトランク部等)に応じて、他の部材等(例えば、前記ドア部に用いられるウェザーストリップの場合はパネルやガラス、トランク部に用いられるウェザーストリップの場合はパネルに該当する;以下、当接対象と称する)に対して当接(圧接,摺接等)する部位(例えば、シール部材のシールリップ等;以下、当接部位と称する)がある。この当接部位において滑性(例えば、ゴム成形体が当接対象に対して摺動するように用いられる場合には、スティックスリップによる低級音が発生しないようにする特性)や耐貼付性(例えば、ゴム成形体と当接対象との貼り付きによる該ゴム成形体の機能低下(シール性等の機能低下)が起こらないようにする特性)が低い場合には、例えば高分子弾性材料から成り滑性や耐貼付性を付与するための塗料(以下、ゴム用塗料と称する)を該ゴム成形体の表面(少なくとも、諸特性を要する箇所(当接部位等)の表面)に対して塗布する手法が採られている。
【0003】
例えば、自動車用ドア(ドアパネル)に用いられシール部(例えば、スポンジゴムから成るシール部)を構成したウェザーストリップ等の場合は、そのシール部にゴム用塗料を塗布しておくことにより、ドア開閉時におけるシール部とドアパネルとの貼り付きを防止して該ドア開閉が困難にならないようにしている。また、前記のゴム成形体の表面がガラスやドアパネル等と摺動する用途の場合には、前記のゴム用塗料により該ゴム成形体表面の滑性を高めてスティックスリップによる低級音の発生を防止している。
【0004】
また、前記のようなゴム成形体は、滑性や耐貼付性の他に、カビ菌等に対する抗菌性(防カビ性等)を付与することも検討され始めている。例えば、湿気を帯び易い環境下(以下、高湿雰囲気下と称する)に曝されるゴム成形体(例えば、浴室,トイレ,台所等のドアで使われるシールや、自動車室内等の摺動部に使われるシールに適用される部品)は、カビが繁殖し易いため美観性の低下,人体に対する健康被害等が懸念され、該抗菌性に係る要求が高まっている。
【0005】
ゴム成形体において滑性,耐貼付性,抗菌性を付与する技術としては、抗菌剤(防カビ剤等)が配合されたゴム材料組成物から成るゴム成形体表面に、前記のゴム用塗料を塗布する方法が一般的に知られている。
【0006】
しかしながら、前記のようにゴム用塗料を塗布する方法では、該ゴム用塗料による層(以下、塗料層と称する)が当接対象との摩擦(例えば、局所的な摩擦)等に起因して時間経過と共に厚さが薄くなったり剥離するため、滑性,耐貼付性,抗菌性が長期間維持できない。また、該抗菌剤が他のゴム材料等に影響を及ぼす、例えばカラー材料が配合されたゴム成形体の場合には変色させてしまう可能性がある。さらに、抗菌剤の種類によって、人体に健康被害を及ぼす可能性があるため、そのような抗菌剤を多量(例えば、後述の実施例と比較して多量)に用いることは好ましくない(危険性を有する)。
【0007】
なお、単なる建材(金属,無機窯業系材料,プラスチック成形品,プラスチックフィルム,木材,紙,ガラス)用塗料として、抗菌性の有るもの(例えば、ポリオルガノシロキサン,光触媒能を含有する建材用塗料)が知られている(例えば、特許文献1等)。また、単に防カビ性を付与したゴム成形体(例えば、滑性,耐貼付性を必要としないシーリング材)として、防カビ剤が配合されたゴム材料組成物(防カビ剤(ハロゲン原子を含む防カビ剤)100に対して1〜1000のハイドロタルサイト類化合物が配合されたもの)を用いたゴム成形体(例えば、特許文献2等)が知られている。
【特許文献1】特開平11−61044号公報
【特許文献2】特開平3−131637号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上示したようなことから、ゴム成形体において、滑性塗料や多量の抗菌剤等を用いなくとも滑性,耐貼付性,抗菌性等を付与できると共に、それら滑性,耐貼付性,抗菌性等を長期間持続させ、該ゴム成形体の機能を十分に発揮させることが可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題に基づいてなされたものであり、滑性塗料や多量の抗菌剤を用いなくとも、ゴム成形体の滑性,耐貼付性,抗菌性等を高め、目的とするゴム成形体の特性を十分に発揮すると共に、それら滑性,耐貼付性,抗菌性等の機能が長期間持続するゴム材料組成物,ゴム成形体を提供することにある。
【0010】
具体的に、請求項1記載の発明は、押出し成形加硫によるゴム成形体に用いられ、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上で2種類以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phrと、光触媒機能を有する無機フィラー(以下、光触媒無機フィラーと称する)と、を配合したゴム材料組成物であって、前記のアルカリ性無機フィラーは、少なくともタルクを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、シリコーン化合物を配合したことを特徴とする請求項1記載のゴム材料組成物。
【0012】
請求項3記載の発明は、押出し成形加硫によるゴム成形体に用いられ、
少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上で2種類以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phrと、抗菌剤3phr以下と、シリコーン化合物と、を配合したゴム材料組成物であって、前記のアルカリ性無機フィラーは、少なくともタルクを含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の発明において、前記アルカリ性無機フィラーは、タルク20phr以上と、その他のアルカリ性無機フィラー20phr以上と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか一つのゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体であって、前記ゴム成形体の表面側にアルカリ性無機フィラー由来凹凸面(すなわち、アルカリ性無機フィラーの粒径,配合量等に起因する凹凸面)が形成されていることを特徴とする。
【0015】
前記のように、少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上で2種類以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phr(少なくとも20phr以上がタルク)と、光触媒無機フィラーまたは抗菌剤(3phr以下(例えば、特許文献2等と比較して少量))と、を配合したゴム材料組成物においては、該光触媒機能を有する無機フィラー,抗菌剤自体が抗菌作用を有する。また、アルカリ性無機フィラー自体が有する特性(アルカリ性)により、菌の増殖が抑制(抗菌作用が促進)される。したがって、多量の抗菌剤を用いなくとも、十分な抗菌性を得ることができる。
【0016】
前記の光触媒無機フィラーが配合されている場合には、ゴム成形体において光触媒反応が起こり得る。例えば、ゴム成形体が、特定波長の光(例えば400nm以下の紫外光)が照射され得る環境下(太陽光や照明器具の光に照射され得る環境下)に存在する場合、該特定波長の光により光触媒無機フィラー表面に正孔(h+),励起電子(e-)が生じ、光触媒反応を起こす。前記の正孔と大気中の酸素とが反応(酸素の還元)すると、抗菌作用を有する酸素ラジカルが発生する。
【0017】
前記のアルカリ性無機フィラーのうちタルク(3MgO・4SiO2・H2O)は、層状構造(3層構造;ケイ酸/水酸基を有するMg/ケイ酸)で各層が剥離し易い特性(滑性等)を有する。単に高分子材料,タルクが配合されたゴム材料組成物の場合には、混練等が困難になり得る(各層が剥離し易い特性により纏まり性等が低下し得る)ものの、その他(タルク以外)のアルカリ性無機フィラーが共存する場合には混練等が容易になる。
【0018】
一般的に、例えば酸性無機フィラー(例えば、カーボンのように酸性の官能基が付着したもの),高分子材料等から成るゴム成形体の場合には、所謂バウンドラバー(カーボンと結合したゴム分)が生成され、該バウンドラバー量に応じて滑性等が変化し得る。一方、前記のようにアルカリ性無機フィラーを用いた場合には、前記のようなバウンドラバー生成は抑制されるため、滑性等が影響することは無い。
【0019】
また、前記のゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体は、前記のゴム成形体内において局所的にエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体成分の多い部分が形成され、その部分で収縮等を起こすため、該アルカリ性無機フィラーの粒径,配合量等に起因する表面粗度のアルカリ性無機フィラー由来凹凸面が形成される。これにより、前記のゴム成形体と当接対象との接触面積は小さくなる。ゴム用滑性塗料を塗布する方法の場合には、塗料層が当接対象との摩擦等に起因して剥離等の現象が起こり得るが、アルカリ性無機フィラー由来凹凸面が形成される場合には前記のような現象は起こり難くなる。
【0020】
シリコーン化合物が配合されている場合には、ゴム成形体表面(アルカリ性無機フィラー由来凹凸面等)に前記のシリコーン化合物がブリードする。このブリード物により、該シリコーン化合物自体が有する特性(滑性,耐貼付性,撥水性等)を該ゴム成形体表面において発揮することができる。
【0021】
前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,アルカリ性無機フィラー,シリコーン化合物,光触媒無機フィラー,抗菌剤等の配合量は、それぞれの配合量は目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度とすることが好ましい。
【0022】
例えば、前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,アルカリ性無機フィラーの配合量において、本発明に示す範囲外では、ゴム材料組成物の混練加工性,押出し成形性やゴム成形体の特性(滑性,耐貼り付き性等)が低下する可能性がある。
【0023】
アルカリ性無機フィラーの配合量において、過少の場合にはゴム材料組成物の混練加工性や押出成形性が損われ、過多の場合にはゴム成形体のアルカリ性無機フィラー由来凹凸面が形成されない可能性がある。
【0024】
前記のシリコーン化合物が過剰に配合されている場合には、前記のゴム成形体を溶融接着(例えば、熱可塑性エラストマーとの溶融接着や、ゴム部材と射出成形等する際の溶融接着)することが困難になる可能性がある。また、シリコーン化合物の粘度が低過ぎると、混練加工性等が損われる可能性がある。また、シリコーン化合物の粘度が過小(例えば、100cSt程度)であると、ゴム材料組成物の混練加工性等が損われる可能性がある。
【0025】
軟化剤においては、該軟化剤が粘着性を有する場合、過剰に配合されるとゴム成形体の耐貼付性が損われる可能性がある。
【0026】
なお、発泡剤を配合する場合、該配合量が過剰であるとゴム成形体の比重が過小(例えば、一般的な自動車用ウェザーストリップ等のゴム成形体の比重と比較して過小)になる。このようにゴム成形体の比重が過小であると、該ゴム成形体内部の発泡セルが多くなり、シリコーン化合物が配合されている場合には該シリコーン化合物のブリードが阻害され、ブリード速度が遅過ぎてしまう可能性がある。
【0027】
前記の各材料の他に、例えば一般的な押出し成形加硫によるゴム成形体の技術分野で扱われている各種材料を適宜配合しても良いが、それぞれの配合量は目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度とすることが好ましい。
【0028】
例えば、加硫剤,加硫促進剤,加硫促進助剤等を用いる場合、それらの配合量が少なすぎると加硫進行が緩慢となり、該配合量が多すぎるとブルーム現象等を引き起こす可能性がある。
【発明の効果】
【0029】
請求項1,3記載の発明によれば、ゴム材料組成物の混練加工性,押出し成形性が十分であり、例えば請求項5記載の発明のようにゴム材料組成物の押出し成形加硫によって得られるゴム成形体において、十分な滑性,耐貼付性,抗菌性等の機能が持続する。これにより、目的とするゴム成形体の特性を十分に発揮できる。
【0030】
また、請求項2記載の発明によれば、例えば請求項5記載の発明のようなゴム成形体において、シリコーン化合物の配合量に応じて滑性,耐貼付性等の機能が良好となる。
【0031】
さらに、請求項4記載の発明によれば、ゴム材料組成物の混練加工性,押出し成形性が良好となり、例えば請求項5記載の発明のようなゴム成形体において、良好な滑性,耐貼付性,抗菌性等の機能がより安定して持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態におけるゴム材料組成物,ゴム成形体を図面等に基づいて詳細に説明する。
【0033】
本実施形態は、ゴム材料(例えば、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体)等の高分子材料を配合し押出し成形加硫によるゴム成形体に係るものであり、少なくとも前記の高分子材料100phrと、算術平均粒径3μm以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phrと、光触媒無機フィラーまたは抗菌剤(3phr以下)と、を配合したゴム材料組成物に関するものである。
【0034】
前記アルカリ性無機フィラーは、少なくともタルクを含む(好ましくは、タルク20phr以上と、その他のアルカリ性無機フィラー20phr以上と、を含む)ものとする。
【0035】
一般的な押出し成形加硫においては、ゴム材料組成物を押出し成形機のダイから吐出した後、その吐出物 (押出し成形物)をフリーな状態(型成形とは異なり、吐出物に対する圧力が殆どかからない状態)にて架橋反応させることにより、目的とするゴム成形体を得るものである。例えば、一般的なゴム成形体(ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体)として、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に平均粒径3μm未満のアルカリ性無機フィラーを配合した場合、または、3μm以上であっても70phrより多く配合した場合には、図1Aの構造モデル図に示すように、ゴム成形体10の表面(図中では符号10aで示す平坦面)は比較的平坦なものとなる。
【0036】
なお、図1Aに示すようなゴム成形体10においてシリコーン化合物が配合されている場合には、図1Bに示すように平坦面10aにシリコーン化合物がブリードし、そのブリード物(図中では符号10b)によって滑性,耐貼り付き性が得られるものの、例えばゴム成形体10の組み付け作業による拭き取られや被適用対象の当接対象との摺動等に起因して、該平坦面10aのブリード物10bが容易に除去される可能性がある。この場合には、シリコーン化合物のブリードが再度起こることにより滑性,耐貼付性等が得られるものの、該ブリードに至るまでに所定時間を要する。
【0037】
一方、本実施形態のように、前記エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体に平均粒径3μm以上のアルカリ性無機フィラーが40phr〜70phr配合されたゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の場合には、図1C,図1D(図1Cの部分拡大図)の構造モデル図に示すように、ゴム成形体10の表面に対して表面粗度の小さいアルカリ性無機フィラー由来凹凸面(以下、単に凹凸面と称する)10cが形成される。これは、粒径の大きなアルカリ性無機フィラーの配合量が比較的少量であるため、前記のゴム成形体10内において局所的にエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体成分の多い部分が形成され、その部分で収縮等を起こし易くなるためと考えられる。
【0038】
本実施形態のように、凹凸面10cが形成されたゴム成形体であれば、被適用対象の当接対象との接触面積は小さくなるため、良好な耐貼付性が得られる。また、アルカリ性無機フィラーのうち少なくとも一部がタルクであるため、該タルク自体が有する特性(層状構造で各層が剥離し易い特性)により、良好な滑性が得られる。さらに、アルカリ性無機フィラー自体が有する特性(アルカリ性)により、菌の増殖が抑制される。なお、本実施形態においては、従来法のような塗料層によって耐貼付性,滑性を得るものとは異なり、該耐貼付性,滑性は長期間安定して持続する。
【0039】
本実施形態において、シリコーン化合物が配合されている場合には、図1Eに示すように凹凸面10cにシリコーン化合物がブリードし、そのブリード物10bは、例えばゴム成形体の組み付け作業による拭き取られや被適用対象における当接対象との摺動等が行われた場合、図1Fに示すように該凹凸面10cの特に外周側(特に、凹凸面10aのうち凸部の外周側)のブリード物10bは除去され易い可能性があるが、該凹凸面10cの特に内部側(特に、凹凸面10cのうち凹部)のブリード物は除去され難く残存する。
【0040】
図1Fのように凹凸面10cのうちブリード物10bが除去された領域(以下、除去領域と称する)10dが存在する場合、残存したブリード物(少なくとも、一部のブリード物)が該除去領域に移動する。また、凹凸面10cのうち特に凹部においては、残存したブリード物10bにさらに経時変化によりブリード物10bストック増量され、この結果前記除去領域10dへのブリード物10bの移動が起こり易くなる。すなわち、たとえ凹凸面10cにおいて除去領域10dのようにブリード物10bが除去されて図1Fに示すような状態になっても、図1E(G)に示すような状態に戻り易い。
【0041】
図1E〜Gに示すようにブリード物10bが存在する状態の場合、そのブリード物10bによって、より良好な滑性,耐貼付性等が長期間安定して持続する。また、シリコーン化合物によって撥水性が得られるため、より良好な抗菌性が長期間安定して持続する。
【0042】
本実施形態のゴム材料組成物およびゴム成形体においては、以下に示すようなエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,アルカリ性無機フィラー,光触媒無機フィラーまたは少量の抗菌剤(防カビ剤等)等だけでなく、例えば使用目的に応じてシリコーン化合物,発泡剤,軟化剤,加硫剤,加硫促進助剤,加硫促進助剤,加工助剤等の各種添加剤が適宜配合されたものであっても良い。
【0043】
[エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体]
エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体においては、α‐オレフィンとして、例えばプロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセン等が挙げられ、好ましくはプロピレンとする。もちろん、前記のα‐オレフィン群のなかから複数のものを選択し、例えばプロピレンと1‐ブテンの如く組み合わせて使用しても良い。
【0044】
また、ポリエン共重合体が5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5‐ビニル‐2‐ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン等の環状の非共役ポリエンであるものや、1,4ヘキサジエン、7‐メチル‐1,6‐オクタジエン、4‐エチリデン‐8‐メチル‐1,7‐ノナジエン、4‐エチリデン‐1,7ウンデカジエン、4,8‐ジメチル‐1,4,8‐デカトリエン等の鎖状の非共役ポリエンであるものが挙げられる。これら各非共役ポリエンは、単独、または2種類以上組み合わせたものでも良く、その構成単位(エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体における非共役ポリエンの含有比率)は例えば1wt%〜20wt%とし、好ましくは1wt%〜15wt%、より好ましくは5wt%〜11wt%である。このようなエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体としては、例えば住友化学社製のエスプレン7456等を適用することができる。
【0045】
[アルカリ性無機フィラー]
前記のアルカリ性無機フィラーにおいては、平均粒径(算術平均粒径)3μm以上(好ましくは3μm〜10μm)のものを40phr〜70phrの配合量で用いる。また、40phr〜70phrのアルカリ性無機フィラーのうち少なくとも20phr以上は、タルクを用いる。
【0046】
タルク以外のアルカリ性無機フィラーの具体例としては、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,膨潤性マイカ,スメクタイト,チタン酸カリウムウィスカハイドロタルサイト類化合物等が挙げられる。また、アルカリ性化合物によって表面処理されたフィラー、例えばアミノシラン処理クレー,アミン処理セピオライト,アルカリ処理シリカ等においても、前記の具体例同様に好適に適用できる。
【0047】
なお、平均粒径3μm未満のアルカリ性無機フィラーを40phr〜70phr用いても、本実施形態のようにゴム成形体表面に凹凸面が形成されることは無い。また、平均粒径が3μm以上であっても、配合量が40phr未満の場合には、ゴム材料組成物の混練加工性,押出成形性が著しく低下する。例えば、タルクの配合量が20phr未満の場合には、ゴム成形体の特に滑性が低下し、抗菌性も低下する。タルク以外のアルカリ性無機フィラーの配合量が20phr未満の場合には、該混練加工性,押出成形性が低下し、該抗菌性も低下し得る。さらに、平均粒径が大き過ぎる場合(例えば、10μm超の場合)には、ゴム材料組成物中にて不均一に分散し、目的とするゴム成形体において所望の物性が得られない可能性がある。
【0048】
[光触媒無機フィラー]
前記の光触媒無機フィラーとしては、例えば、TiO2,ZnO,SrTiO3,CdS,GaP,InP,GaAs,BaTiO3,K2NbO3,Fe23,Ta25,WO3,SnO2,Bi23,NiO,Cu2O,SiC,SiO2,MoS2,InPb,RuO2,CeO2等の化合物を適用できる。また、前記の化合物に対しPt,Rh,RuO2,Nb,Cu,Sn,NiO等の金属や金属酸化物が添加されたもの(公知の化合物)においても適用することができる。好ましくは、TiO2,過酸化チタン(ペルオキソチタン酸),ZnO,SrTiO3,Fe23,WO3,SnO2,Bi23等の金属酸化物を適用する。特に、TiO2は、バンドエネルギーギャップが高く科学的に安定した汎用金属酸化物であることから、より好適である。
【0049】
前記のような光触媒無機フィラーは、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、例えば1phr〜50phrとし、好ましくは10phr〜30phrとする。なお、特にチタン系の化合物を用いた場合、該配合量が30phr超であると、例えば高温雰囲気下に曝された際にゴム成形体表面に白紛(チタン系化合物による白紛)が生じ、外観性が変化し得るものの、滑性,耐貼付性等はより良好になる。
【0050】
[抗菌剤]
前記の抗菌剤としては、例えば防カビ剤が挙げられ、一般的に市販されている無機系のものや有機系のものを適用できる。無機系抗菌剤の具体例としては、酸化ホウ素,ホウ酸,銀化合物(例えば、銀ゼオライト化合物,酸化銀,フッ化銀,塩化銀,臭化銀,硝酸銀,硫酸銀,酢酸銀,乳酸銀,塩素酸銀,ピクリン酸銀,プロテイン銀,コロイダル銀,カルボン酸の銀塩,リン酸(もしくは亜リン酸)のアルキルエステル(もしくはフェニルエステル,アルキルフェニルエステル)の銀塩等の公知もの)等が挙げられる。有機系抗菌剤の具体例としては、イミダゾール系,チアゾール系,ピリジン系,ブロム系等が挙げられ、代表的なものとしてチアゾリルベンズイミダゾール(カルゴン社製のTBZ),チアゾリルスルファミド化合物(タイメイテック社製のKB9),2−ピリジンピオール−1−オキサイド亜鉛(〜社製のZpt)が一般的に知られている。
【0051】
前記のような抗菌剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で少量用い、好ましくは3phr以下とする。なお、該配合量が3phr超の場合、ゴム材料組成物の混練加工性,押出成形性等が低下し、特にゴム成形体の耐薬品性(耐変色性),耐貼付性が低下し得る。また、人体に対する健康被害等の影響が懸念される。
【0052】
[シリコーン化合物]
前記のシリコーン化合物としては、例えばジメチルシリコーンオイル,メチルフェニルシリコーンオイル,シリコーンゲル(いわゆるガム状シリコーン)等のシリコーンオイルが挙げられ、一般的に市販されているものであれば好適に適用できる。より具体的には、例えば信越化学社製のKF96,KF50,KE76BSや、GE東芝シリコーン社製のTSE3051等が挙げられる。また、前記の各シリコーン化合物は、何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。
【0053】
さらに、前記のようなシリコーン化合物は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用いることが好ましい。より好ましくは3〜30phr、さらに好ましくは5〜20phrである。なお、前記の配合量が30phr超であると混練加工性,押出成形性等が低下し、3phr未満であると該シリコーン化合物による滑性効果が十分とならない可能性がある。
【0054】
[発泡剤]
前記の発泡剤としては、有機系発泡剤や熱膨張カプセル等を適宜適用することができる。有機系発泡剤の具体例としては、4,4‐オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジド(OBSH)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、パラトルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)、バリウムアゾカルボキシレート等が挙げられる。この有機系発泡剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度(例えば、0〜10phr)に用いることが好ましい。また、前記のような有機系発泡剤と共に、尿素系誘導体,サリチル酸,フタル酸,ステアリン酸等の発泡助剤を用いても良い。
【0055】
熱膨張カプセルの具体例としては、例えば加熱により気体を発生し得る液体(例えば、低沸点の炭化水素,塩素化炭化水素)を熱可塑性樹脂の殻壁(例えば、球状の殻壁)内に充填したもの(熱膨張性の熱可塑性樹脂粒子)であって、真比重0.1以下,粒径(メディアン径)5μm〜100μmとし、その液体が膨張開始温度(例えば、120℃〜150℃)以上の温度の加熱(例えば、加硫温度での加熱)により膨張し、目的とするゴム成形体内にて熱膨張セル(例えば30μm〜300μmの熱膨張セル)を形成する液体封入熱可塑性樹脂粒子が挙げられる。
【0056】
前記の熱膨張カプセルの膨張開始温度が目的とするゴム成形体の加硫温度よりも十分低い場合(例えば、加硫温度のピーク温度が170℃程度の場合、120℃〜150℃程度)には、該加硫工程時に熱膨張セルによる構造が形成された後、加硫されたゴム成形体が得られることから、たとえ生産工程上において生じ得る加硫温度のバラツキがあっても、該ゴム成形体の比重のバラツキが生じることは殆どない。換言すれば、安定した比重でスポンジゴムを生産することが可能となる。
【0057】
また、前記の熱膨張カプセルの殻壁を構成する熱可塑性樹脂の成分として、好ましくは(メタ)アクリルニトリル重合体や、(メタ)アクリルニトリルを多く含有する重合体が挙げられ、それら重合体に対するモノマー(いわゆる相手側のモノマー;コモノマー)として、ハロゲン化ビニル,ハロゲン化ビニリデン,スチレン系モノマー,(メタ)アクリレート系モノマー,酢酸ビニル,ブタジエン,ビニルピリジン,クロロプレン等のモノマーが挙げられる。
【0058】
なお、前記の殻壁は、未架橋であることが好ましいが、例えば一般的なジビニルベンゼン,エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋剤により架橋されたものであっても良い。また、熱膨張カプセル内に充填される液体としては、例えばn‐ペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,ブタン,イソブタン,ヘキサン,石油エーテル等の炭化水素類や、塩化メチル,ジクロロエチレン,トリクロロエタン,トリクロルエチレン等の塩素化炭化水素類が挙げられる。
【0059】
熱膨張カプセルの更なる具体例としては、大日精化工業社製のダイフォームH750Dの他、同シリーズであるH770D,H850D,M430を好適に使用することができる。また、例えば、松本油脂社製のマツモトマイクロスフェアーF80S−D,F85D,F100D,F105−D,F82−Dや、スウェーデン国・エクスパンセル社製のEXPANCEL091DU−80,092DU−120等を適用することもできる。熱膨張カプセルの配合量は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない範囲内で、所望の比重となるように用いる(例えば1.0phr〜15phr程度用いる)ことが好ましい。
【0060】
このような熱膨張カプセルをエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体等の高分子材料に添加する場合、その熱膨張カプセルの飛散の防止や分散性の向上を図るために、あらかじめ他の使用材料(例えば、高分子弾性体.熱可塑性樹脂,軟化剤,無機充填材等の何れか、または複数のもの)と混合(マスターバッチ化)してから用いても良い。例えば、オイルコンテント品,エチレンビニルアルコール(EVA),ポリエチレン(PE)等に熱膨張カプセルが含まれたものが、一般的に市販されている。
【0061】
熱膨張カプセルを予め他の使用材料と混合してから用いる場合には、該発泡剤の混合比率を10wt%〜99wt%、好ましくは10wt%〜50wt%に調整する。また、前記のような熱膨張カプセルは何れか1種類を用いても良く、複数の種類のものを組み合わせて用いても良い。
【0062】
なお、発泡剤の配合量が多くなるに連れてゴム成形体の比重は低くなるが、該比重が過小であると、シリコーン化合物が配合されている場合には該シリコーン化合物のブリード速度が低くなる傾向を有するため、該配合量は適宜調整(例えば、比重0.3以上を確保できるように調整)することが好ましい。
【0063】
[軟化剤]
前記の軟化剤としては、例えばプロセスオイル,パラフィン系オイル,潤滑油,流動パラフィン,石油アスファルト,ワセリン等の石油系軟化剤や、コールタール,コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤や、ヒマシ油,アマニ油,ナタネ油,ヤシ油等の脂肪油系軟化剤が挙げられる。これら各軟化剤のうち、好ましくは石油系軟化剤が挙げられ、より好ましくはパラフィン系オイルが挙げられる。また、前記のような軟化剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、例えば100phr以下とする。
【0064】
[加硫剤]
前記の加硫剤としては、硫黄が挙げられ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは0.5phr〜2phr程度とする。
【0065】
[加硫促進剤]
前記の加硫促進剤としては、チアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系,グアニジン系,チオウレア系,ジチオカルバミン酸系のものが挙げられ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは2phr〜8phr程度とする。
【0066】
[加硫促進助剤]
前記の加硫促進助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華),炭酸亜鉛,酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,一酸化亜鉛等が挙げられ、好ましくは酸化亜鉛,酸化マグネシウムが挙げられる。これら加硫促進助剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは5phr程度とする。
【0067】
[加工助剤]
前記の加工助剤としては、ステアリン酸,リシノール酸,パルミチン酸,ラウリン酸等の高級脂肪酸や、その高級脂肪酸のエステル類や、ステアリン酸等の高級脂肪酸の塩が挙げられ、その他のゴム成形体の技術分野で加工助剤として扱われている化合物を用いても良い。これら加工助剤は、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度の配合量で用い、好ましくは5phr程度とし、より好ましくは3phr以下とする。
【0068】
[その他の添加剤]
前記の各種添加剤の他には、脱水剤,酸化防止剤,老化防止剤,熱安定剤,光安定剤,紫外線吸収剤,中和剤,滑剤,防雲剤,アンチブロッキング剤,スリップ剤,分散剤,難燃剤,帯電防止剤,導電性付与剤,粘着付与剤,架橋剤,架橋助剤,金属不活性剤,分子量調整剤,防菌・防黴剤,蛍光増白剤,摺動性向上剤,着色剤(酸化チタン等),金属粉末(フェライト等),ガラス繊維,無機繊維(金属繊維等),炭素繊維,有機繊維(アラミド繊維等),複合繊維,ガラスバルーン,ガラスフレーク,グラファイト,カーボンナノチューブ,フラーレン,硫酸バリウム,フッ素樹脂,充填剤ポリオレフィンワックス(ポリマービーズ等),セルロースパウダー,ゴム紛,再生ゴム等が挙げられ、何れか1種類または複数の種類のものを組み合わせ、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体に応じて適宜使用して良い。
【0069】
[製法]
前記のエチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体,アルカリ性無機フィラー,光触媒無機フィラーまたは抗菌剤等や、例えば使用目的に応じてシリコーン化合物等の各種添加剤を適宜配合して混練して目的とするゴム材料組成物を得る場合、例えば接線式ミキサー,噛み合い式ミキサー,ニーダー等の各種密閉式混練機や、連続式の二軸押出混練機やオープンロール等を適宜適用できる。また、前記のゴム材料組成物を押出し成形加硫(例えば、200±40℃の押出し成形加硫)して目的とするゴム成形体を得る場合には、例えば連続熱風加硫装置(HAV),高周波加硫装置(UHF)や、その他の一般的な加硫装置を適用することができる。また、前記の各種機器を組み合わせたもの(例えば、連続熱風加硫と高周波加硫とを組み合わせ)も好適に適用できる。
【実施例】
【0070】
次に、本実施形態に基づいて種々のゴム材料組成物(後述のゴム配合物S1〜S14(実施例),P1〜P13(比較例))を作製し、それらゴム材料組成物の加工性およびゴム成形体(後述の試料GS1〜GS14(実施例),GP1〜GP13(比較例))の物性等を調べた。
【0071】
まず、高分子材料としてエチレン‐プロピレン‐5‐エチリデン‐2‐ノルボルネン(住友化学社製のエスプレン7456)を100phr用い、密閉式ミキサーにて素練した。その後、前記の素練物に対し、アルカリ性無機フィラーとして炭酸カルシウム(日東粉化社製のNN♯500,SS♯80,NITOREX23P),タルク(東進化成社製のハイフィラー♯5000PJ,ハイフィラー♯12,ハイフィラー♯7)をそれぞれ0〜50phr、酸性無機フィラーとしてクレー(エンジェルハード社製),シリカ(日本シリカ社製)をそれぞれ0〜30phr、光触媒無機フィラーとして酸化チタン(石原産業社製のST−K)を0〜40phr、抗菌剤として2種類の防カビ剤(銀ゼオライト系化合物(チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガガードF5000;以下、抗菌剤Aと称する)、ベンズイミダゾール系化合物,ハロアルキルチオール化合物,チアゾール化合物を含む混合防カビ剤(タイメイテック社製のKB9;以下、抗菌剤Bと称する))をそれぞれ0〜4phr、シリコーン化合物としてシリコーンオイル(粘度(25℃)が1000cSt,100000cStのシリコーンオイル(信越化学社製のKE76BS))を0〜10phr、軟化剤としてパラフィンオイル(出光社製のPW380)を30phr加え、5L密閉式混練機で5分間混練した。
【0072】
本実施例においては、炭酸カルシウムとして算術平均粒径が5.0μm(pH9.3(NN♯500)),3.0μm(pH9.5(SS♯80))の重質炭酸カルシウム(以下、それぞれ重質炭カル5.0μm,3.0μmと称する)および算術平均粒径が0.90μm(pH9.7(NITOREX23P))の微紛炭酸カルシウム(以下、微紛炭カル0.90μmと称する)を用い、タルクとして算術平均粒径が1.8μm(pH10.1(ハイフィラー♯5000PJ)),3.0μm(pH9.6(ハイフィラー♯12)),5.0μm(pH9.5(ハイフィラー♯7))のもの(以下、それぞれタルク1.8μm,3.0μm,5.0μmと称する)を用い、クレー,シリカとして1.5μm(pH5.2),4.0μm(pH6.0)のもの(以下、それぞれクレー1.5μm,シリカ4.0μmと称する)を用いた(それぞれ材料ロットから所望の算術平均粒径に該当するものを選定して用いた)。また、前記の各種材料の他に、加工助剤としてステアリン酸を1phr,加硫促進助剤として酸化亜鉛を3phr加えてから混練したものとする。
【0073】
なお、前記の算術平均粒径は、レーザー回析式(島津製作所社製のSALD−100)により算出された平均粒子径(「平均粒子径(μm)」=(6/比重)×比表面積×10000)とする。また、前記の重質炭酸カルシウム等の各フィラーのpH値は、JIS K5101に準拠して測定されたものであり、目的とするフィラーに水を加えて得た懸濁液を5分間煮沸させた後、室温レベルまで放冷して生じた上澄み液に係るpH値とする。
【0074】
その後、前記の密閉式混練機で得た混練物を取り出し、オープンロール機で混練しながら、発泡剤として熱膨張カプセル(大日精化工業社製のダイフォームH750D)を0〜1phr、加硫促進剤としてチアゾール系,チウラム系,スルフェンアミド系のものを合わせて5phr、加硫剤として硫黄を1phr加え(混練物をロールに巻きつけてから加え)、所定時間混合(ブレンド)することにより、後述の表1に示すように種々の組成のゴム配合物(リボン状で未加硫のゴム配合物)S1〜S14,P1〜P13をそれぞれ得た。
【0075】
【表1】

【0076】
次に、前記の各ゴム配合物S1〜S14,P1〜P13において、それぞれゴム成形体用の押出成形機を用いて押出成形(後述の図2に示す成形体が得られるような口金形状を有し押出成形機で、スクリュー回転数を調整して押出成形)した後、その押出成形物を連続熱風加硫装置にて加硫(温度200℃,10分間で加硫)することにより、図2に示すように略平板状の基部(厚さ2mm,幅25mmの基部)21に対し横断面略円状のチューブ部(肉厚2mmのチューブ)22が設けられたゴム成形体(高さ20mmのゴム成形体)の試料GS1〜GS14,GP1〜GP13(図中では符号20)をそれぞれ作製した。
【0077】
前記のように作製した各ゴム配合物S1〜S14,P1〜P13の加工性(混練加工性,押出成形性)、および各試料GS1〜GS14,GP1〜GP13の表面粗さ,滑性(摩擦係数),耐貼付性(貼り付き力),抗菌性,耐薬品性(耐変色性)を、それぞれ以下に示す方法により測定し、それら各測定結果を後述の表3に示した。なお、後述の表3の総合評価の項目において、記号「◎」,「○」,「△」,「×」は、それぞれ例えば自動車のドア部に用いられるウェザーストリップ等のシール部品(抗菌性を備えたシール部品;以下、抗菌性シール部品と称する)として良好に適用できる場合,十分適用できる場合,適用できる可能性がある場合、適用困難と思われる場合を示すものとする。
【0078】
[混練加工性]
前記の各ゴム配合物において、14インチロールを備え各ロール間の距離が5mmに設定されたオープンロール機によりそれぞれ混練し、前記の各ロールに対するゴム配合物の巻き付き性を観測した。なお、後述の表3の混練加工性の項目において、記号「◎」はゴム配合物が各ロール間へ容易に浸入し該ロールに対し良好に密着して巻き付いた場合を示し、記号「○」はゴム配合物が各ロール間へ十分浸入し該ロールに対し十分密着して巻き付いた場合を示し、記号「×」はゴム配合物が各ロールに密着せずに垂れ下がったり途中で切断された場合を示すものとする。また、記号「△」は記号「○」の場合よりもゴム配合物が各ロール間へ浸入し難いが、時間経過と共に該ロールに密着するように巻き付いた場合を示すものとする。
【0079】
[押出成形性]
直径75mmの押出機で、回転数が15rpmに設定された押出成形機により、前記の各ゴム配合物(押出成形時の温度60±5℃に調整されたゴム配合物)において1分間の押出成形を行い、図2に示した形状のゴム成形体(試料20)をそれぞれ得た。
【0080】
この押出成形を各ゴム配合物毎に100回繰り返し、その押出成形毎に押出成形機から吐出された押出成形物(未加硫物)の質量(g)をそれぞれ吐出量として秤量した。そして、各ゴム配合物毎に、吐出量のばらつき(%)を下記式により算出した。
【0081】
「吐出量のばらつき」(%)=((「最大吐出量」−「最小吐出量」)/平均吐出量)×100。
【0082】
[表面粗度]
前記の試料20を矩形平板状(5mm×100mm×2mm)に打ち抜いて試料片をそれぞれ作製し、それら試料片の表面の汚れをアルコールで拭き取った後、表面粗さ計(小坂研究所社製のサーフコーダSE30D)を用いた十点平均法(JIS−B0601に準拠した方法)により各試料片の表面粗度(十点平均粗さ(Rz))をそれぞれ測定した。なお、前記表面粗さ計の触針には、触針先端半径2μmのものを使用した。
【0083】
[滑性(摩擦係数)]
図3A(概略図)に示すように、前記の試料20を矩形平板状(5mm×100mm×2mm)に打ち抜いて試料片30を作製し、その試料片30の表面の汚れをエタノールで拭き取った後、摩擦係数測定機(新東科学製のHEIDON−14D)の支持台(試験台)31上に載置した。その後、R50球面ガラスを構成し0.98Nの荷重が加えられた錘部材32を、前記の試料片30上に載置(R50球面側を載置)し、その錘部材32を水平方向(試料片30の長手方向;図示矢印方向)に対して速度1000mm/分で摺動(試料片30に接触しながら摺動)させることにより、静摩擦係数(μs),動摩擦係数(μd)を測定した。なお、摩擦係数測定機の触針には、触針先端半径2μmのものを使用した。
【0084】
[耐貼付性]
図4A(平面図),B(側面図),C(動作図)に示すように、前記の試料20を矩形平板状(5mm×50mm×2mm)に打ち抜いて2個の試料片40を作製し、それら各試料片40の表面の汚れをエタノールで清浄(拭き取り)した後、矩形平板状(2mm×110mm×70mm)のステンレス板(SUS板)41上に対しそれぞれ60mm隔てて両面接着テープ,接着剤により固定(5mm×50mmの面を固定)した。
【0085】
さらに、前記の各試料片40を覆うように、該試料片40上に矩形平板状(ステンレス板41と同様の形状で、厚さ1.0mm〜1.5mm)の白色メラミン塗装板42を載置し、その塗装板42上に計49N(24.5N×2個)の錘部材43を載置して荷重を加えながら(塗装板42における試料片40が位置する部分に荷重を加えながら)、高温槽中(80℃雰囲気下中)にて24時間放置した。
【0086】
その後、前記の錘部材43を取り除き(測定直前に取り除き)、ステンレス板41と塗装板42との間(および各試料片40間)に対し縦断面略L字状の治具44を介在させ、その治具44の内角側を塗装板42の端部に係合させると共に前記のステンレス板41を固定した状態で、テンシロン引張り試験機によって治具44を水平方向(固定された各試料片40の長手方向;図示矢印方向)に対して速度50mm/分で引張る(すなわち、治具34を介して塗装板32を引張る)ことにより、その塗装板42と試料片40とが完全に剥離した際に生じる最大荷重(単位;N/5cm2)を貼り付き力として測定し、耐貼付性を調べた。なお、ここで使用したN/5cm2は、2個の試料片40の総接触面積に対する剥離荷重を数値化するために発明者が規定した単位である。
【0087】
[抗菌性(防カビ性)]
前記の試料20を矩形平板状(5mm×50mm×2mm)に打ち抜いて試料片をそれぞれ作製し、それら各試料片の抗菌性をMIL変法(MIL STD 810D Method 508.3変法)に基づいて調べた。このMIL変法では、まず、500mlの液状培地(SDA,PDA,M40Y)に50mlの共試験菌(62菌(JIS Z2911の5菌を含む))を加えて混合し、その混合液をシャーレ(内側に試験片を載置できる形状のシャーレ)内に入れて固化することにより固形状(平板状)培地を得た。そして、前記の固形状培地上の中央部に前記の試験片をそれぞれ載置し、温度25℃±2℃,相対湿度95%の雰囲気下にて30日間放置(培養)した後、各試験片の表面(特に、培地と接していた側の面)を観測することにより抗菌性を調べた。
【0088】
なお、後述の表3の抗菌性の項目において、数字「0」は試験片表面における菌の発育が全く観られなかった場合(抗菌性シール部品として好適なレベル)を示し、数字「1」は該菌の発育が僅かに観られた場合(抗菌性シール部品として十分なレベル)を示し、数字「2」は該菌の発育が少し観られた場合(抗菌性シール部品として適用はできるレベル)を示し、数字「3」は該菌の発育がやや多く観られた場合(抗菌性シール部品として適用可能性があるレベル)を示し、数字「4」は該菌の発育が激しく観られた場合(抗菌性シール部品として適用困難レベル)を示すものとする。
【0089】
[耐薬品性]
前記の試料20を矩形平板状(5mm×50mm×2mm)に打ち抜いて試料片をそれぞれ作製し、下記表2に示す5項目の試験を行うことにより、それぞれの耐薬品性を調べた。なお、後述の表3の耐薬品性の項目において、記号「◎」は表2の各項目の評価基準を全て満たし初期状態(耐薬品性試験前)と略同等の状態が観測された場合(高湿雰囲気下に曝される部品(以下、高湿雰囲気下部品と称する)として好適なレベル)、記号「○」は表2の各項目の評価基準を満たし記号「◎」の場合と略同等の状態が観測された場合(高湿雰囲気下部品として十分なレベル)、記号「×」は表2の各項目のうち2つ以上が評価基準を満たさなかった場合(高湿雰囲気下部品として適用困難レベル)を示すものとする。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
前記の表3に示す結果から、以下に示すことが判明した。
【0093】
<ゴム配合物P1〜P4、試料GP1〜GP4>
算術平均粒径が3μm未満のアルカリ性無機フィラー(重質炭カル0.9μm,タルク1.8μm)が配合されたゴム配合物P1,P2や、酸性無機フィラー(クレー1.5μm,シリカ4.0μm)が配合されたゴム配合物P3,P4は、それぞれ混練加工性,押出成形性が良好であった。しかしながら、該ゴム配合物P1,P2から成るゴム成形体の試料GP1,GP2は抗菌性等が良好であるものの滑性,耐貼付性が低く、該ゴム配合物P3から成るゴム成形体の試料GP3は抗菌性が低く、該ゴム配合物P4から成るゴム成形体の試料GP4は抗菌性,滑性,耐貼付性の全てが低かった。
【0094】
この結果から、ゴム配合物P1〜P4のような配合物の場合は混練加工性,押出成形性が良好であるものの、アルカリ性無機フィラーの算術平均粒径が3μm未満の場合には、ゴム成形体において凹凸面が形成されないため、当接対象との接触面積が大きくなってしまうことを読み取れる。また、アルカリ性無機フィラーの替わりに酸性無機フィラーが配合されている場合には、光触媒無機フィラーや抗菌剤等を多く配合しなければ、十分な抗菌性が得られないことを読み取れる。さらに、酸性無機フィラーが配合されている場合にはバウンドラバー量が多くなるため、滑性等が低下することを読み取れる。
【0095】
<ゴム配合物P5〜P9、試料GP5〜GP9>
アルカリ性無機フィラーの全配合量が40phr未満のゴム配合物P5〜P7や、アルカリ性無機フィラーのうち重質炭カル5.0μmあるいはタルク5.0μmの配合量が20phr未満のゴム配合物P8,P9は,それぞれ混練加工性,押出成形性の両方が共に低かった。また、該ゴム配合物P5〜P8から成るゴム成形体の試料GP5〜GP8は、抗菌性が良好であるものの、滑性や耐貼付性が低かった。
【0096】
この結果から、ゴム配合物P5〜P9のような配合物において、たとえ3μm以上のアルカリ性無機フィラーが配合されていても、該配合量(全配合量、または重質炭カル5.0μmあるいはタルク5.0μmの配合量)が過少の場合には配合物の纏まり性が低くなり、該配合物の混練加工性や押出成形性が低下すること(ロールに対する巻き付き性の低下や吐出のバラツキが発生等)を読み取れる。また、ゴム成形体において凹凸面が形成されることはなく、当接対象との接触面積が大きくなってしまうことを読み取れる。さらに、シリコーン化合物等を多く配合しなければ、滑性や耐貼付性が十分とならないことを読み取れる。
【0097】
<ゴム配合物P10〜P13試料GP10〜GP13>
アルカリ性無機フィラーの全配合量が70phr超のゴム配合物P10,P11や、抗菌剤を比較的多く配合したゴム配合物P12は,それぞれ混練加工性や押出成形性が低かったものの、アルカリ性無機フィラーの全配合量が60phrで光触媒無機フィラーや抗菌剤を含まないゴム配合物P13は、混練加工性や押出成形性が良好であった。
【0098】
前記のゴム配合物P10,P11から成るゴム成形体の試料GP10,GP11においては、抗菌性が良好であるものの滑性や耐貼付性が低かった。該ゴム配合物P12から成るゴム成形体の試料GP12は、滑性,耐貼付性の他に耐薬品性も低かった。該ゴム配合物P13から成るゴム成形体の試料GP12は、滑性,耐貼付性が良好であるものの、抗菌性は低かった。
【0099】
この結果から、ゴム配合物P10〜P13のような配合物において、たとえ3μm以上のアルカリ性無機フィラーが配合されていても、該配合量が過多の場合には配合物の纏まり性が低くなり、その配合物の混練加工性や押出成形性が低下すること(ロールに対する巻き付き性の低下や吐出のバラツキが発生等)を読み取れる。また、ゴム成形体において凹凸面が形成されないため当接対象との接触面積が大きくなってしまうことを読み取れる。さらに、抗菌剤を多く配合した場合には抗菌性が良好になるものの、耐薬品性が低くなることを読み取れる。さらにまた、光触媒無機フィラーや抗菌剤を含まない場合には、抗菌性が得られないことを読み取れる。
【0100】
<ゴム配合物S1〜S9、試料GS1〜GS9>
算術平均粒径3.0μm以上のアルカリ性無機フィラーが40〜70phr、かつ重質炭酸カルシウム(重質炭カル5.0μm,3.0μm),タルク(タルク5.0μm,3.0μm)の配合量がそれぞれ20phr以上であって、光触媒無機フィラーを配合し、シリコーン化合物および抗菌剤を含まないゴム配合物S1,シリコーン化合物は含むが抗菌剤を含まないゴム配合物S2〜S9は、それぞれ混練加工性,押出成形性が良好であった。また、該ゴム配合物S1から成る試料GS1は十分な滑性,耐貼付性,抗菌性が得られた。さらに、該ゴム配合物S2〜S9から成る試料GS2〜GS9は、より良好な滑性,耐貼付性,抗菌性が得られた。
【0101】
この結果から、ゴム配合物S1〜S9のように、アルカリ性無機フィラーの全配合量が40〜70phr、かつタルク,該タルク以外のアルカリ性無機フィラー(本実施例では重質炭酸カルシウム)の配合量がそれぞれ20phr以上で光触媒無機フィラーを配合した配合物によれば、十分な纏まり性を有し、その配合物の混練加工性や押出成形性が良好になることを読み取れる。また、該配合物から成るゴム成形体においては、凹凸面が形成され、当接対象との接触面積が小さくなることが読み取れる。さらに、ゴム配合物S1から成る資料GS1のようにシリコーン化合物,抗菌剤等が配合されていなくとも、十分な滑性,耐貼付性,抗菌性が得られることを読み取れる。
【0102】
<ゴム配合物S10〜S14、試料GS10〜GS14>
ゴム配合物S1〜S9と似た配合量で重質炭酸カルシウム(重質炭カル5.0μm,3.0μm),タルク(タルク5.0μm,3.0μm)が配合され、比較的少ない抗菌剤を含んだゴム配合物S10,S11や、光触媒無機フィラーの替わりに抗菌剤を含んだゴム配合物S12や、熱膨張カプセルを含んだS13,光触媒無機フィラーの配合量が比較的多いゴム配合物S14は、それぞれ混練加工性,押出成形性が良好であった。また、該ゴム配合物S10〜S12から成る試料GS10〜GS12は、十分な滑性が得られ、抗菌性においては良好な結果が得られた。さらに、該ゴム配合物S13,S14から成る試料GS13,GS14はより良好な滑性,耐貼付性が得られた。
【0103】
この結果から、ゴム配合物S11〜S14のように、抗菌剤,発泡剤等において、目的とするゴム材料組成物やゴム成形体の特性を損わない程度で用いた配合物によれば、十分な纏まり性を有し、その配合物の混練加工性や押出成形性が良好になることを読み取れる。また、該配合物から成るゴム成形体においては、凹凸面が形成され、当接対象との接触面積が小さくなることが読み取れる。
【0104】
なお、ゴム配合物S1〜S14のようにアルカリ性無機フィラーの全配合量が40〜70phrである場合において、タルクや該タルク以外のアルカリ性無機フィラーの配合量が20phr未満であっても過少(例えば、ゴム配合物P8,P9のように過少)でなければ、該ゴム配合物S1〜S14同様に、混練加工性,押出成形性が十分となり、該ゴム配合物から成るゴム成形体の滑性,耐貼付性,抗菌性も十分となることを確認した。
【0105】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】ゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体の構造モデルを示す説明図。
【図2】実施例で用いたゴム成形体の試料(GS1〜GS14,GP1〜GP13)の概略説明図。
【図3】実施例における滑性の測定方法を示す説明図。
【図4】実施例における耐貼付性の測定方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0107】
10…ゴム成形体
10a…平坦面
10b…ブリード物
10c…アルカリ性無機フィラー由来凹凸面
10d…除去領域
20…試料
30,40…試料片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し成形加硫によるゴム成形体に用いられ、
少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上で2種類以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phrと、光触媒機能を有する無機フィラーと、を配合したゴム材料組成物であって、
前記のアルカリ性無機フィラーは、少なくともタルクを含むことを特徴とするゴム材料組成物。
【請求項2】
シリコーン化合物を配合したことを特徴とする請求項1記載のゴム材料組成物。
【請求項3】
押出し成形加硫によるゴム成形体に用いられ、
少なくとも、エチレン‐α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体100phrと、算術平均粒径3μm以上で2種類以上のアルカリ性無機フィラー40phr〜70phrと、抗菌剤3phr以下と、シリコーン化合物と、を配合したゴム材料組成物であって、
前記のアルカリ性無機フィラーは、少なくともタルクを含むことを特徴とするゴム材料組成物。
【請求項4】
前記アルカリ性無機フィラーは、タルク20phr以上と、その他のアルカリ性無機フィラー20phr以上と、を含むことを特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載のゴム材料組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち何れか一つのゴム材料組成物を押出し成形加硫して成るゴム成形体であって、
前記ゴム成形体の表面側にアルカリ性無機フィラー由来凹凸面が形成されていることを特徴とするゴム成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−69310(P2008−69310A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250886(P2006−250886)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】