説明

ゴム精練機管理システム及びゴム精練機管理方法

【課題】多数のゴム種に共用される精練機を多数投入した場合に起こり得る稼動の偏りをなくすことを可能にする精練機の管理手段を提供する。
【解決手段】1つのバッチで精練対象とするゴム種に利用する各精練機への指令基準マスタ(稼動計画)を作成する時に管理者が入力した指令をチェックし、所定の基準を超えて号機間の精練時間にばらつきが生じる場合に(S104,S107)、システム側で利用号機のPriorityの入れ替えによって計画を変更し、精練時間を調整する操作を行うことでばらつきを抑制する(S106,S109)。利用する精練機等の精練部への生産指令は、調整後の指令基準マスタに基づいて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種の成形品(例えばタイヤ)の原料となるゴムを精練する複数の精練機を管理するゴム精練機管理システム及びゴム精練機管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タイヤの成形に用いるゴムは、多種類のタイヤごとに異なる複数の原料を精練機で練り合わせた後、各々を成形用の材料として成形機に供給する。ただ、精練機は、作動条件を複数ゴム種それぞれに適応させることにより、複数ゴム種に共通に用いられている。
複数精練機を投入して多種類のタイヤに適応するゴム種の精練を行う場合、ゴム種によって練り時間が異なるために、各精練機に各ゴム種をどのように割り振るかによって、生産効率に違いが生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来では、複数精練機それぞれへのゴム種の割り振りを操作者の経験に頼って、マニュアルで行っていた。このため、複数精練機の稼動に偏りが生じ、生産効率の低下が生じる場合や、稼動の偏りが複数精練機間で製品性能のばらつきにつながり、安定した品質を保つことが困難になる場合があった。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作者の経験のみに頼っていたために、複数精練機、特に多数のゴム種に共用される精練機を多数投入した場合に起こり得る稼動の偏りをなくすことを可能にする精練機の管理手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数ゴム種に適応する動作条件で作動が可能な複数のゴム精練機にそれぞれ生産指令を発行する生産管理部と、前記ゴム精練機の生産管理データを蓄積する生産管理データベースを有するゴム精練機管理システムであって、前記生産管理データベースは、各ゴム種に対する既定の精練時間、同一バッチの生産予定ゴム種群を各ゴム精練機に振り分ける稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種、の各データを蓄積し、前記生産管理部は、前記生産管理データベースに蓄積されたデータに基づいて、同一バッチにおけるゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきが所定範囲に収まるか否かを判定するばらつき判定手段、前記ばらつき判定手段によりばらつきが所定範囲に収まらないと判定された場合に、ばらつきを抑制するように、生産予定ゴム種の振り分けをゴム精練機間で変更する精練時間調整手段を備えたことを特徴とする。
本発明は、複数ゴム種に適応する動作条件で作動が可能な複数のゴム精練機を管理する方法であって、各ゴム種に対する既定の精練時間、同一バッチの生産予定ゴム種群を各ゴム精練機に振り分ける稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種、の各データを蓄積するデータベース作成工程と、前記データベース作成工程で蓄積されたデータに基づいて、同一バッチにおけるゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきが所定範囲に収まるか否かを判定するばらつき判定工程と、前記ばらつき判定工程でばらつきが所定範囲に収まらないと判定された場合に、ばらつきを抑制するように、生産予定ゴム種の振り分けをゴム精練機間で変更する精練時間調整工程と、前記精練時間調整工程によって調整された稼動計画をもとに生産指令を発行する工程とを有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、生産管理データベースに基づいて人為的に決められた稼動計画によってゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきを確認し、かつ生じるばらつきを生産予定ゴム種の振り分けの変更によって調整することで、複数精練機、特に多数のゴム種に共用される精練機を多数投入した場合に、操作者の経験のみに頼っていた従来法に起こり得る稼動(精練時間)の偏りをなくし、生産効率の低下を防ぎ、安定した品質を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】ゴム精練機の管理に用いるデータを示し、(A)はゴム種・精練時間の対応、(B)は同一バッチにおけるゴム精練機の稼動計画をそれぞれ例示する表である。
【図2】同一バッチにおいて計画された各ゴム精練機の稼動時間の1例(図1(B)に対応)をグラフ化し、調整が必要なばらつきの判定基準を示した図である。
【図3】ゴム種ごとのゴム精練機の利用順位を例示する表である。
【図4】ゴム精練機管理システムの構成の1例を示す図である。
【図5】ゴム精練機管理システムが行う処理フローの1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のゴム精練機管理システム及びゴム精練機管理方法に係る実施形態を説明する。
本発明は、複数ゴム種に共用できる複数台の精練機を利用する場合、特に多数のゴム種を生産対象に精練機が多数投入される場合に起こり得る精練機の稼動(精練時間)の偏りをなくすことを課題とする。この課題を解決するために、この実施形態では、同一バッチにおいて各ゴム精練機をどのゴム種の精練に利用するかを決める操作者の立てた稼動計画を実行した場合に、ゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきを、これまでの経験をへて蓄積されたゴム種に対する精練時間等の生産管理データに基づいて予め数値により確認する。また、生じたばらつきが所定値を超える場合、ゴム種の単位で利用する精練機への生産予定ゴム種の振り分けを変更することによって、ばらつきを小さくする調整を数値データに基づいて行う。
まず、ゴム精練機における上記生産管理に必要なデータ処理を実行するための手段について説明する。
【0008】
「生産管理データ」
操作者の立てた稼動計画を実行した場合にゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきを確認するためには、利用する精練機ごとの稼動時間をデータ化する必要がある。このデータは、同一バッチにおいて利用する各ゴム精練機の稼動計画に指示された生産対象のゴム種とこのゴム種の精練に要する時間(精練時間)を得、これらをもとに利用する精練機ごとの稼動時間を求め、データ化する。
したがって、この実施形態におけるゴム精練機の生産管理システムでは、各ゴム種に対する既定の精練時間、及びゴム精練機の稼動計画に従い指定された号機に対する生産予定ゴム種等を生産管理データとして蓄積するデータベースを作成する。なお、後述するゴム種ごとのゴム精練機の利用順位も生産管理データの1つとして扱う。
【0009】
図1(A)は、生産管理データとして蓄積するゴム種・精練時間対応表の1例を示すものである。この対応表は、同図に示すように、ゴム種(左欄)に対応付けて当該ゴム種の精練に要する時間(右欄)の記録よりなる。なお、精練時間は、利用するゴム精練機において経験的に得られた値である。
また、図1(B)は、生産管理データとして蓄積するゴム精練機の稼動計画表の1例を示すものである。この稼動計画表は、同図に示すように、1つのバッチで利用する精練機の号機ごとに精練するゴム種とこれに対応付けて当該ゴム種の精練に要する時間及び当該号機における精練時間の合計の記録、このほかにこのバッチにおける各号機における精練時間の総計の記録よりなる。なお、号機のデータを図示の例では簡略的に1桁の数字で示しているが、実際には利用するゴム精練機を識別できるマシンIDを用いる。
【0010】
図1(A),(B)に示す生産管理データのデータベースの作成は、ゴム精練機を管理する管理者やゴム精練機の稼動計画表の作成者が操作部(後述する図4の説明、参照)を介してデータ入力を行うことにより作成することができる。また、ゴム精練機の工程管理で稼動状態を検出している場合には、管理の一環として、稼動状態の検出によって実際に得た精練時間をゴム種・精練時間対応表に取り込むことにより、作成する方法を採用してもよい。
また、稼動計画表のデータ入力は、1つのバッチで利用する精練機の号機を指示するとともに、号機ごとに精練するゴム種を指定する操作を操作部で行えば、生産管理システム側で各号機を指定したゴム種の精練に要する時間をゴム種・精練時間対応表を参照することにより取得し、精練機ごとの精練時間の合計及びこのバッチにおける各号機における精練時間の総計を算出し、ゴム精練機の稼動計画表に記録する。
【0011】
「精練機間のばらつき判定」
管理者の立てたゴム精練機の稼動計画を実行した場合に、ゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきは、稼動計画を表す上記生産管理データ(稼動計画表)を作成したときに求めたゴム精練機ごとの精練時間の合計値の相対関係から求めることができる。
ここでは、ばらつきを小さくする調整が必要であるか否かを判定するので、1つのバッチで利用する精練機の精練時間の平均値に対する偏りを各号機の合計精練時間について求め、求めた偏りについて調整が不要であると定めた所定範囲を超えるか否かを判定結果として得る。
【0012】
このばらつき判定方法について、図2に示す稼動計画の1例を参照して説明する。同図の横軸は、このバッチにおいて利用されるゴム精練機であるマシンID2,4,5,6の各号機を示し、縦軸は、各号機の合計精練時間を示している。なお、図2に示す例は、図1(B)の稼動計画に対応する。
2,4,5,6の各号機の精練時間の総計は、33120(図1(B)、参照)であるから、このバッチで利用する精練機の精練時間の平均値は、8280であり、図2中の実線が平均値を表す。ここで、例えば平均値の±10%を許容されるばらつきの範囲とすると、同図中の平均値を表す実線の上下の破線が限界値を表す。
図2に例示する稼動計画では、4号機は、調整が不要な所定範囲に収まっているが、4号機以下は、調整を必要とする。
【0013】
「稼動(精練)時間の調整」
上記の方法で精練時間のばらつきが判定され、調整を必要とすると判定された号機については、ばらつきを抑制する精練時間の調整が図られる。
基本的には、調整が不要な所定範囲に収まらない精練時間となっている号機を対象に、+側に許容限界を超えて偏る場合には合計精練時間の短い方へ、また−側に許容限界を超えて偏る場合には合計精練時間の長い方から生産計画で予定した複数ゴム種の一部について、ゴム種の単位で振り分けを変更する方法による。
ただ、変更の対象となるゴム種及び変更先の号機を選択する際に、ばらつきを抑制するという目的で行うので、振り分けを変更することにより変化する双方の合計時間を考慮し、かつ変更するゴム種と変更先の号機の適合性等を考慮する必要がある。
【0014】
そこで、ゴム種ごとのゴム精練機の利用順位を表すPriorityデータを用いる。
Priorityデータは、図3の利用順位表にその1例を示すように、ゴム種ごとにそのゴム種との適合性等を考慮して定めたゴム精練機の利用順位を表すデータである。図3に示す利用順位表では、ゴムA1は、順位が最も高いPriority1が2号機であり、以下、1号機、3号機、4号機を下位の順位としている。
よって、図3の利用順位表と図1(B)の稼動計画表との関係は、利用順位においてPriority1に指定された号機が稼動計画に載り、利用される精練機となる。つまり、利用順位のPriority1に号機が指定されないゴム種の生産はされないし、利用順位のPriority1に指定されない号機は生産に利用されない。
【0015】
ゴム精練機管理システムは、指令基準マスタデータと呼ばれるマスタデータを作成し、このマスタデータに基づいて、各精練機に生産指令を発行する。
マスタデータは、上記した利用順位を表すPriorityデータを構成の一部に有し、Priority1に指定される号機に生産指令が発行され、指定されない号機には生産指令が発行されない。
精練時間の調整は、ゴム種の単位で号機間における振り分けを変更すること、即ち、利用順位のPriority1の号機を当該ゴム種の例えばPriority2の号機と入れ替え、生産指令の発行先の号機を変えることで実施できる。
【0016】
この方法による精練時間の調整は、以下の手順により実施することができる。なお、平均値に対する号機の精練時間が+側と−側のどちらに許容限界を超えて偏るかによって手順を異にするので、それぞれに分けて説明する。
〈+に偏る場合〉
手順1:平均値に対する号機の精練時間の偏りを求め、調整を必要とする偏りを有すると判定された号機、即ち、号機精練時間−平均値>所定許容上限値(平均値の例えば10%)となる号機を特定する。
手順2:手順1で特定された号機を利用する精練対象部材(ゴム種)のうち平均値に対する当該号機の偏りよりも短い精練時間の精練対象部材(ゴム種)、即ち号機精練時間−平均値>精練対象部材の精練時間となる部材(ゴム種)を選定する。
手順3:手順2で選定された部材(ゴム種)のPriorityデータにPriority2が存在し、このPriority2に当たる号機の合計精練時間が平均値よりも短い号機を特定する。
手順4:手順2で選定された部材(ゴム種)の指令基準マスタのPriorityデータについて、Priority1の号機とPriority2の号機とを入れ替える。
【0017】
〈−に偏る場合〉
手順1:平均値に対する号機の精練時間の偏りを求め、調整を必要とする偏りを有すると判定された号機、即ち、平均値−号機精練時間>所定許容下限値(平均値の例えば10%)となる号機を特定する。
手順2:手順1で特定された号機以外を利用する精練対象部材(ゴム種)のうち平均値に対する当該号機の偏りよりも短い精練時間の精練対象部材(ゴム種)、即ち号機精練時間−平均値>精練対象部材の精練時間となる部材(ゴム種)を選定する。
手順3:手順2で選定された部材(ゴム種)のPriorityデータにPriority2が存在し、このPriority2に当たる号機の合計精練時間が平均値よりも長い号機を特定する。
手順4:手順2で選定された部材(ゴム種)の指令基準マスタのPriorityデータについて、Priority1の号機とPriority2の号機とを入れ替える。
【0018】
「精練機管理システム」
上記した生産管理データの作成、精練機間のばらつき判定、稼動(精練)時間の調整等のゴム精練機の生産管理に必要なデータ処理を行う精練機管理システムの構成を説明する。
図4は、精練機管理システムの1構成例の概要を示す図である。
この精練機管理システムは、複数ゴム種に共用できる複数台のゴム精練機を有する精練部を管理の対象としており、図4に示す例では、精練部は、多種類のゴム種よりなる材料30を精練機13,13,・・・13に供給する原料供給部11と、原料供給部11を通して材料30の供給を受け、それぞれが同等の能力でゴムの精練を行う複数台の精練機13,13,・・・13を有する。
【0019】
生産管理部21は、精練機管理システムの各構成部を制御下において、システム全体を制御する機能を持ち、図4に示す例では、精練部の原料供給部11と各精練機、生産管理DB(データベース)23及び操作部25とデータを交換し、管理(制御)操作を行う。
生産管理DB23は、上記「生産管理データ」で述べた稼動計画表、ゴム種・精練時間対応表等を含む各種生産管理データを蓄積するデータベースである。
操作部25は、生産管理に必要なデータの入力を行うための手段及びシステムの状態を確認するための出力手段を備える。
また、生産管理部21は、後述の「生産指令発行処理」で詳述する生産指令の発行に係るデータ処理、制御操作を行う。このようなデータ処理、制御操作を行うための手段として、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、CPUの処理に必要なプログラムやデータ等を記録(記憶)しておくための記憶部を備えたコンピュータ等を備える。CPUは、処理の実行時に記憶部に記憶しておいた制御・処理プログラム等を駆動することによって、コンピュータをこの処理、制御操作の実行手段として機能させることができる。
【0020】
「生産指令発行処理」
精練機管理システム(図4)が行う生産指令の発行(指令基準マスタの作成)処理を図5に例示するフロー図を参照して説明する。
図5の処理フローは、管理者が操作部25からのデータ入力により、1つのバッチで精練対象とするゴム種に利用する精練機の稼動計画を立てる、即ち指令基準マスタを作成するときに起動される。処理の内容は、管理者が入力した計画をチェックし、所定の基準を超えて精練機間の稼動時間(精練時間)にばらつきが起きる場合に、システム側で計画を変更し、精練時間を調整する操作を行えるようにするものである。利用する精練機等の精練部への生産指令は、調整後の指令基準マスタに基づいて行われる。
【0021】
処理フローが起動されると、先ず、管理者の指令基準マスタを作成するデータ入力に従い、この指令作成の対象外となった号機のPriorityデータをPriority1以外のデータに更新することで対象外となったことを示す(ステップS101)。
次いで、管理者によるデータ入力の結果として得られる指令情報を取得する(ステップS102)。なお、取得する指令情報は、精練対象部材(ゴム種)のPriorityデータである。
この後、指令情報に示される利用号機(Priority1に指定された号機)の合計精練時間が許容値に収まるか否かを判定する手順に移行する。ただ、号機ごとに判定を行っていくことと、後述するように、判定結果によっては、精練時間の調整をするためにPriorityデータが変更され、関係する号機の精練時間が変わるので、この判定手順を繰り返し行う必要がある。
このための手順として、判定対象の号機があるか否かを確認するステップS103を行う。
【0022】
ここで、判定対象の号機があるか否かを確認した結果、判定対象の号機がある場合には(ステップS103−あり)、判定の対象となった号機の精練時間が所定の許容上限値を超えるか否かを確認する(ステップS104)。
この確認で許容上限値を超える場合(ステップS104-YES)、判定対象の号機を利用する処理対象部材(ゴム種)のうち号機の変更条件に適うものを選定するために当該部材を順次調べ、変更条件に適うものがあった場合に(ステップS105-YES)、この部材を号機の変更の対象部材として選定する。なお、変更条件に適う部材(ゴム種)があるか否かを調べる手順は、上記「稼動(精練)時間の調整」の〈+に偏る場合〉に説明した手順2及び手順3に従って行う。また、変更条件に適う部材がない場合には(ステップS105-NO)、図示しないが、管理者に操作部25を通して警告を行い、この処理フローを終了する。
【0023】
ステップS105で号機の変更の対象部材(ゴム種)が選定された場合(ステップS105-YES)、選定された部材に利用する号機を変更するために、指令基準マスタのPriorityデータについて、Priority1の号機とPriority2の号機とを入れ替える操作を行う(ステップS106)。
また、ステップS106の入れ替え操作を行うことにより変更された号機の精練時間が変わるので、この処理フローを実行するために管理している指令情報(調整後の稼動計画に相当する)における当該号機の精練時間の集計をし直し(ステップS110)、この後、判定対象の号機があるか否かを確認するステップS103に戻す。
【0024】
ステップS104で許容上限値を超えない場合には(ステップS104-NO)、判定の対象となった号機の精練時間が次の所定の許容下限値に達しないか否かを確認する(ステップS107)。
この確認で許容下限値に達しない場合(ステップS107-YES)、判定対象の号機以外を利用する処理対象部材(ゴム種)のうち号機の変更条件に適うものを選定するために当該部材を順次調べ、変更条件に適うものがあった場合に(ステップS108-YES)、この部材を号機の変更の対象部材として選定する。なお、変更条件に適う部材(ゴム種)があるか否かを調べる手順は、上記「稼動(精練)時間の調整」の〈−に偏る場合〉に説明した手順2及び手順3に従って行う。また、変更条件に適う部材がない場合には(ステップS108-NO)、図示しないが、管理者に操作部25を通して警告を行い、この処理フローを終了する。
【0025】
ステップS108で号機の変更の対象部材(ゴム種)が選定された場合(ステップS108-YES)、選定された部材に利用する号機を変更するために、指令基準マスタのPriorityデータについて、Priority1の号機とPriority2の号機とを入れ替える操作を行う(ステップS109)。
また、ステップS109の入れ替え操作を行うことにより変更された号機の精練時間が変わるので、この処理フローを実行するために管理している指令情報(調整後の稼動計画に相当する)における当該号機の精練時間の集計をし直し(ステップS110)、この後、判定対象の号機があるか否かを確認するステップS103に戻す。
【0026】
ステップS107で許容下限値に達している場合には(ステップS107-NO)、判定対象を次の号機に変更するために、判定対象の号機を切り替え(ステップS111)、判定対象の号機があるか否かを確認するステップS103に戻す。
ステップS103で判定対象の号機があるか否かを確認し、判定対象の号機がない場合には(ステップS103−なし)、このフローによる処理を終了する。
【符号の説明】
【0027】
11・・原料供給部、13,13,・・・13・・ゴム精練機、21・・生産管理部、23・・生産管理データベース、25・・操作部、30・・材料。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ゴム種に適応する動作条件で作動が可能な複数のゴム精練機にそれぞれ生産指令を発行する生産管理部と、前記ゴム精練機の生産管理データを蓄積する生産管理データベースを有するゴム精練機管理システムであって、
前記生産管理データベースは、各ゴム種に対する既定の精練時間、同一バッチの生産予定ゴム種群を各ゴム精練機に振り分ける稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種、の各データを蓄積し、
前記生産管理部は、前記生産管理データベースに蓄積されたデータに基づいて、同一バッチにおけるゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきが所定範囲に収まるか否かを判定するばらつき判定手段、前記ばらつき判定手段によりばらつきが所定範囲に収まらないと判定された場合に、ばらつきを抑制するように、生産予定ゴム種の振り分けをゴム精練機間で変更する精練時間調整手段を備えた
ことを特徴とするゴム精練機管理システム。
【請求項2】
請求項1記載のゴム精練機管理システムにおいて、
前記ばらつき判定手段は、前記生産管理データベースに蓄積されたデータに基づいて、生産予定ゴム種が振り分けられたゴム精練機が要する精練時間の平均値を求め、得られる平均値と各ゴム精練機が要する精練時間との差分を所定の閾値と比較する手段を有し、
前記精練時間調整手段は、前記ばらつき判定手段によって所定の閾値を越える精練時間を要すると判定されたゴム精練機を特定し、特定されたゴム精練機に振り分けられている生産予定ゴム種のうち前記平均値と当該ゴム精練機が要する精練時間との差分よりも短い精練時間を持つゴム種を前記振り分け変更の対象として選定する手段、振り分け変更の対象として選定されたゴム種の振り分けを、前記平均値よりもよりも短い精練時間を要するゴム精練機へ変更する手段、の各手段を有する
ことを特徴とするゴム精練機管理システム。
【請求項3】
請求項1記載のゴム精練機管理システムにおいて、
前記ばらつき判定手段は、前記生産管理データベースに蓄積されたデータに基づいて、生産予定ゴム種が振り分けられたゴム精練機が要する精練時間の平均値を求め、得られる平均値と各ゴム精練機が要する精練時間との差分を所定の閾値と比較する手段を有し、
前記精練時間調整手段は、前記ばらつき判定手段によって所定の閾値を越える精練時間を要すると判定されたゴム精練機を特定し、特定されたゴム精練機以外に振り分けられている生産予定ゴム種のうち前記平均値と当該ゴム精練機が要する精練時間との差分よりも短い精練時間を持つゴム種を前記振り分け変更の対象として選定する手段、振り分け変更の対象として選定されたゴム種の振り分けを、前記平均値よりもよりも長い精練時間を要するゴム精練機から変更する手段、の各手段を有する
ことを特徴とするゴム精練機管理システム。
【請求項4】
請求項2又は3記載のゴム精練機管理システムにおいて、
前記生産管理データベースに蓄積する、稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種のデータに、生産予定ゴム種が利用するゴム精練機に対して付した利用順位を含み、
前記ばらつき判定手段が求める前記精練時間の平均値を、第1順位として指定したゴム精練機の利用を条件に求め、
前記精練時間調整手段が変更する振り分け先を、第2順位として指定したゴム精練機の利用を条件とし、振り分け変更手続きとして利用順位を入れ替える操作を行う
ことを特徴とするゴム精練機管理システム。
【請求項5】
複数ゴム種に適応する動作条件で作動が可能な複数のゴム精練機を管理する方法であって、
各ゴム種に対する既定の精練時間、同一バッチの生産予定ゴム種群を各ゴム精練機に振り分ける稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種、の各データを蓄積するデータベース作成工程と、
前記データベース作成工程で蓄積されたデータに基づいて、同一バッチにおけるゴム精練機間の精練時間に生じるばらつきが所定範囲に収まるか否かを判定するばらつき判定工程と、
前記ばらつき判定工程でばらつきが所定範囲に収まらないと判定された場合に、ばらつきを抑制するように、生産予定ゴム種の振り分けをゴム精練機間で変更する精練時間調整工程と、
前記精練時間調整工程によって調整された稼動計画をもとに生産指令を発行する工程と
を有したことを特徴とするゴム精練機管理方法。
【請求項6】
請求項5記載のゴム精練機管理方法において、
前記ばらつき判定工程は、前記データベース作成工程で蓄積されたデータに基づいて、生産予定ゴム種が振り分けられたゴム精練機が要する精練時間の平均値を求め、得られる平均値と各ゴム精練機が要する精練時間との差分を所定の閾値と比較する工程を有し、
前記精練時間調整工程は、前記ばらつき判定工程で所定の閾値を越える精練時間を要すると判定されたゴム精練機を特定し、特定されたゴム精練機に振り分けられている生産予定ゴム種のうち前記平均値と当該ゴム精練機が要する精練時間との差分よりも短い精練時間を持つゴム種を前記振り分け変更の対象として選定する工程、振り分け変更の対象として選定されたゴム種の振り分けを、前記平均値よりもよりも短い精練時間を要するゴム精練機へ変更する工程、の各工程を有する
ことを特徴とするゴム精練機管理方法。
【請求項7】
請求項5記載のゴム精練機管理方法において、
前記ばらつき判定工程は、前記データベース作成工程で蓄積されたデータに基づいて、生産予定ゴム種が振り分けられたゴム精練機が要する精練時間の平均値を求め、得られる平均値と各ゴム精練機が要する精練時間との差分を所定の閾値と比較する工程を有し、
前記精練時間調整工程は、前記ばらつき判定工程で所定の閾値を越える精練時間を要すると判定されたゴム精練機を特定し、特定されたゴム精練機以外に振り分けられている生産予定ゴム種のうち前記平均値と当該ゴム精練機が要する精練時間との差分よりも長い精練時間を持つゴム種を前記振り分け変更の対象として選定する工程、振り分け変更の対象として選定されたゴム種の振り分けを、前記平均値よりもよりも短い精練時間を要するゴム精練機から変更する工程、の各工程を有する
ことを特徴とするゴム精練機管理方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載のゴム精練機管理方法において、
前記データベース作成工程で蓄積する、稼動計画に指定された各ゴム精練機に対する生産予定ゴム種のデータに、生産予定ゴム種が利用するゴム精練機に対して付した利用順位を含み、
前記ばらつき判定工程で求める前記精練時間の平均値を、第1順位として指定したゴム精練機の利用を条件に求め、
前記精練時間調整工程で変更する振り分け先を、第2順位として指定したゴム精練機の利用を条件とし、振り分け変更手続きとして利用順位を入れ替える操作を行う
ことを特徴とするゴム精練機管理方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−83957(P2011−83957A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238156(P2009−238156)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】