説明

ゴム組成物

【課題】良好な機械特性を有する成形品に加工可能なゴム組成物を提供する。
【解決手段】a)少なくとも1種のゴム化合物(A)と、b)少なくとも1種のラジカル開始剤(B)とを含有し、前記ゴム化合物(A)はラジカル架橋可能であり、かつ低粘度の完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンを含む、エラストマーを製造するためのゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、少なくとも1種のゴム化合物(A)と少なくとも1種のラジカル開始剤(B)とを含有し、前記ゴム化合物(A)はラジカル架橋可能であり、かつ低粘度の完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンを含む、エラストマーを製造するためのゴム組成物である。本発明は、前記ゴム組成物から製造された成形品並びにその使用及び方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ラジカル架橋可能なゴム組成物は、多様なエラストマーの製造のために使用される。この架橋された製品は、広範囲な用途に、例えばシーリング、ダイヤフラム、異形材及びコーティングに使用することができる。この場合、ゴム組成物として、頻繁にエチレン−プロピレン−ジエン−ゴム(EPDM)が使用される。
【0003】
欧州特許(EP−A1)第1,075,034号明細書の文献は、燃料電池中でのシーラントとしての、ヒドロシリル化により架橋されたポリイソブチレン又はペルフルオロポリエーテルの使用を記載している。
米国特許(US−B2)第6,743,862号明細書の文献は、有利にエチレン−プロピレン−ジエン−モノマーからなり、少なくとも2個のSiH基を有する化合物と、場合により白金触媒とを有する架橋可能なゴム組成物を開示しており、このゴム組成物のシーラントとしての使用を記載している。
欧州特許(EP−A1)第1,277,804号明細書の文献は、ヒドロシリル化により架橋可能な少なくとも1個のアルケニル基を有するビニルポリマー、ヒドロシリル基含有の成分を有する化合物、ヒドロシリル化触媒並びに分子量600g/mol以下の脂肪族不飽和化合物を有する組成物を開示している。
ドイツ国特許(DE−A1)第10,200,045,167号明細書及びドイツ国特許(DE−A1)第10,2005,045 184号明細書は、ヒドロシリル化により架橋可能な基を有するゴム組成物に関している。
欧州特許(EP−A1)第1,770,103号明細書は、ペルオキシドにより架橋した水素化したビニルポリブタジエン、及びゴム製品を製造するためのその使用を開示している。
【0004】
課題/問題:
この公知のペルオキシドにより架橋可能な低粘度ゴム組成物は、多様な欠点を有する。
一般に、架橋したエラストマーの機械的特性は最適化されないことが多い。ペルオキシドにより架橋可能な低分子量のEPDM−エラストマーは低い破断点伸びを有することが多い。引張強さ及び引裂伝播抵抗もしばしば十分でない。一般に、ラジカル架橋可能な材料に課せられる要求は、多様な、部分的に反対の特性に関して十分な値を有することであり、例えば可塑剤を使用せずに低い硬度での良好な圧縮永久歪率を有することである。
【0005】
ヒドロシリル化により架橋された公知の低粘度のゴム組成物の欠点は、ヒドロシリル化の適用の際に、多くの充填剤又は添加物を使用できないことにある、それというのも、これらは架橋反応を抑制するか又は不利な影響を与えるためである。従って、広範囲の添加物を混入可能な低粘度のゴム組成物が要求される。
【0006】
先行技術では、前記の欠点を、可塑剤のような添加物の使用により克服することが試みられている。例えば、EPDM材料の場合には、可塑剤が添加される場合、一般に50以下のショアA硬度を達成できる。可塑剤として、この場合、例えば天然油又は合成油、鉱
油、水素化又は部分的に水素化されたポリイソプレン及びこの誘導体及びイソプレンのコモノマーが使用される。
【0007】
しかしながら、可塑剤の使用は、この可塑剤が架橋の後で成形品から外側に拡散するという欠点を有する。これにより、材料特性は変化し、放出される可塑剤は意に反して環境を汚染するか又はそのほかの場合に不利な影響を及ぼす。食料品分野、飲料水分野、医学分野、エレクトロニクス及び燃料電池の分野での用途のために、このような材料は従って限定的にしか使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、前記された欠点を克服するゴム組成物及び成形品を提供することにある。簡単に製造可能で、取り扱い可能でかつ加工可能であるゴム組成物を提供する。これは、架橋によって、良好な機械特性を有する成形品に加工できる。この場合、特に安定性、例えば応力値、引張強さ及び破断点伸び及び引裂伝播強さが改善される。この材料は、さらに低いショアA硬度を有する。特に、この多様な特性を有利に有している成形品が製造可能である。
【0009】
このゴム組成物は簡単に架橋可能であり、かつ比較的敏感に反応するべきではない。架橋反応に不利な影響を与えずに、多様な添加物、例えば充填剤の添加が可能である。
【0010】
さらなる課題は、可塑剤を含まないゴム組成物を提供することである。それにより、可塑剤の使用と関連している不所望な副反応及び随伴現象が抑制される。本発明による材料は、通常の方法で、例えば液体注入成型(LIM)又はインプレースガスケット法(IPG)でも加工可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の根底をなす課題は、本願発明により得られるポリマー材料、成形品、その製造方法及びその使用により解決される。
本発明の主題は、
a)少なくとも1種のゴム化合物(A)と
b)少なくとも1種のラジカル開始剤(B)とを含有し、
前記ゴム化合物(A)はラジカル架橋可能であり、かつ低粘度の完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンを含む、エラストマーを製造するためのゴム組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「ゴム」の概念は、本発明の範囲内で、室温でゴム弾性特性を有する、架橋されていないが、架橋可能なポリマーを表す。DIN 53501(ISO 1382、JIS K6200)による化合物であることが好ましい。本発明の「ゴム組成物」は、架橋しないか又は部分的にだけ架橋する、つまり完全には架橋(加硫)しない。これは含有されるラジカル開始剤(B)により架橋可能であり、それにより成形品が得られる。ゴム組成物は液状であるか又は固体であってもよい。
【0013】
「ラジカル開始剤」(Radikalstarter)の概念は、ラジカルを形成し、それによりラジカル反応を開始することができる化合物を表す。ラジカルの形成は、特に熱又は照射の際に行われる。この開始された反応は、この場合連鎖反応である必要はない。適当なラジカル開始剤は、特にペルオキシド、ペルオキシ化合物、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド及び過酸エステルである。生じるラジカルは、ゴム組成物の架橋を引き起こす。
【0014】
「成形品」の概念は、本発明の範囲内で、一般に硬化した、架橋したエラストマーを表す。これは三次元の形状を有する。この「成形品」の概念は、この場合、所定の空間的な形態を限定するのではなく、例えば平坦なコーティングをも表す。
【0015】
本発明によるゴム組成物(A)は、ポリイソプレン(省略してIR、イソプレンゴム)を含有する。ポリイソプレンは頻繁に使用されるゴムであり、このゴムはジエンのイソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)から重合により得られる。水素化されていないポリイソプレンのポリマー鎖中にはモノマー単位あたり1つの二重結合を含有する。ポリイソプレンは、天然では、シス−1,4−ポリイソプレン(天然ゴム)として及びトランス−1,4−ポリイソプレン(ガタパーチャ)として存在する。両方の異性体は合成により製造することができる。
【0016】
本発明の場合には、このポリイソプレンは部分的に又は完全に水素化されている。これは、このポリマーが化学的な処理にさらされ、その際にC=C二重結合が完全に又は部分的に単結合に変換されたことを意味する。本発明の場合には、例えばポリイソプレン−二重結合の10〜100%、好ましくは20〜95%、特に好ましくは50〜95%が水素化されていてもよい。二重結合の少なくとも50%、好ましくは70%、特に好ましくは80%が水素化されているのが有利である。二重結合の少なくとも5%又は10%は水素化されていないのが有利である。
本発明では、ポリイソプレンの二重結合のうち、水素化されている割合は、ヨウ素価を測定することにより求めることができる。また、その割合は水素付加することにより調整することができる。
【0017】
本発明によるポリイソプレンは低粘度である。このことは、このポリマー自体が添加物、例えば溶剤なしで、38℃で流動性であることを意味する。38℃でのこの溶融粘度は、<10であることが好ましく、<10であることがより好ましく、<5×10Pa sであることが特に好ましい。本発明の他の実施態様の場合に、全体のゴム化合物(A)は低粘度である。
【0018】
架橋可能な「ゴム組成物」の概念により、このポリイソプレンがその成分として同様に架橋可能であり、かつ架橋した三次元の成形品の主成分であることは明らかである。それにより、低粘度のポリイソプレンが少量だけ、例えば可塑剤として添加されている実施態様は除外されている。
【0019】
このポリイソプレンのガラス転移温度は、−80〜−40℃であることが好ましく、−70〜−50℃であることが特に好ましい。
この水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンは、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜60,000、特に好ましくは20,000〜30,000g/molの平均分子量を有する。
なお、本発明では、ポリイソプレンの平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。また、ポリイソプレンの平均分子量は、重合方法により調整することができる。
【0020】
本発明の場合に、特に、Kuraray社の商品名LIR−290で提供されている部分的に水素化されたポリイソプレンが適している。この場合、「LIR」は、「液状イソプレンゴム(Liquid Isoprene Rubber)」を表す。これは、1,000Pa s(38℃)の溶融粘度、25,000g/molの平均分子量及び−59℃のガラス転移温度を有する。イソプレン単位の約90%は水素化されている。
【0021】
この「LIR」シリーズの化合物は、Kuraray社から可塑剤として提供されている。これは、製造元によると、ゴム、例えばEPDM用の可塑剤添加物として適している。意外にも、本発明の範囲内で、このような低粘度の完全に水素化された又は部分的に水素化されたポリマーは可塑剤として適しているだけでなく、エラストマーを製造する場合にラジカル架橋するゴム化合物として適していることが確認された。本発明の場合に、ゴム組成物に可塑剤を添加する必要はない。本発明の有利な実施態様の場合に、可塑剤は含有しない。
【0022】
本発明の場合、完全に水素化されたポリイソプレンを使用することも可能である。この架橋反応は通常では長期間行われる、それというのもこのポリマー中には反応性の二重結合が含まれていないためである。場合により、当業者は、特に反応性のラジカル開始剤を添加するか又はラジカル開始剤の量を多くし、完全な架橋を達成することができる。
【0023】
このゴム化合物(A)は少なくとも50phrの完全に水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンを有することが好ましい。本発明のゴム組成物は、ラジカル開始剤(B)0.1〜15phrを含有することが好ましい。省略記号のphrは、「parts per hundred rubber」を表し、これはゴムの全体量、つまりゴム化合物(A)の全体量100重量部に対する重量部を示す。
【0024】
ゴム化合物(A)の全体量は、特に50phrより多くの水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンを含有する。他の実施態様の場合に、水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンの含有量は65、75、90、95又は98phrよりも高い。このゴム化合物(A)は、ポリイソプレン100phrまでであってもよく、つまり完全に又はほぼ完全に水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンからなってもよい。この記載された量の割合は、先行技術によるこの化合物が可塑剤として使用される量を明らかに上回る。
【0025】
本発明による好ましい実施態様として、ゴム組成物は、
a)ゴム化合物(A)100phr、但し、この少なくとも50phrは低粘度の完全に水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンであり、
b)ラジカル開始剤(B)0.1〜15phr、
c)充填剤(C)0〜800phr、
d)ラジカル架橋する架橋促進剤(D)0〜30phr、
e)場合により他の添加物(E)
を含有する。
【0026】
本発明の実施態様の場合に、本発明によるゴム組成物の成分a)は水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンの他に、さらに少なくとも1種の他のゴム化合物を含有することが好ましい。この場合、ポリイソプレンとラジカルにより架橋することができる通常のゴム化合物を添加できる。しかしながら、低粘度の完全に又は部分的に水素化されたポリイソプレンが、前記ゴム混合物の基本成分であることが好ましい。これは、低粘度の完全に又は部分的に水素化されたポリイソプレンが量的に成分a)の大部分を有することを意味する。他のゴム化合物は、例えば2〜50phr、好ましくは2、5、10、25、35又は50phrの割合で添加することができる。
【0027】
他のゴム化合物は不飽和であっても、飽和であってもよい。このゴム混合物は、例えばエチレン/プロピレン/ジエン−ゴム(EPDM)、ポリブタジエン、水素化された又は部分的に水素化されたポリブタジエン、エチレン/イソプレン−ゴム、ポリイソブチレン、ハロゲン化されたブチルゴム、スチレン/ブタジエン−エラストマー、ポリメチルペンテン、クロロプレンゴム、ハロゲン化されたゴム、例えば塩素化された又はフッ素化され
たポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル−コポリマー、アクリラートゴム、ニトリルゴム、水素化されたニトリルゴム、水素化されていない及び/又は高粘度のポリイソプレン、又は前記化合物のコポリマー、及び天然ゴムからなるグループから選択される。2種以上のゴムからなる混合物を使用することもできる。
なお、本願発明でいう高粘度とは、10Pa s(38℃)以上をいう。
【0028】
水素化されたポリイソプレンの架橋のために適したラジカル開始剤(B)は、有機ペルオキシド又はペルオキシ化合物であることが好ましい。これは対称又は非対称に構成されていてもよい。特にペルオキシド、例えばアルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、アレニルペルオキシド及びアルカリールペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジアルキルペルオキシド、過酸エステル、ペルオキシケタール、ペルオキシケトン並びにヒドロペルオキシドが適している。適当な化合物は、ジクミルペルオキシド、ビス−(t−ブチル−ペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス−(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルオキシイソブチラート並びにt−ブチルクミルペルオキシドである。他のペルオキシドは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン(3);n−ブチル−4,4‘−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレラート、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、及び1,3−/1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン)からなるグループから選択される。
【0029】
ラジカル開始剤(B)としてアゾ化合物を使用することもできる。これは、熱で又は照射の際にラジカルに分解する。例えば、アゾ−ビス−イソブチロニトリル、2,2’−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)並びにアゾ−ビスシクロヘキサンニトリルが適している。
【0030】
このラジカル開始剤は、例えば粉末として、フレークとして、液体として又は顆粒の形態で使用することができる。この場合、ラジカル開始剤は担持物質、例えば炭酸カルシウム、シリカ、ケイ酸、カオリン又は有機ポリマーに担持されていてもよい。相応するペルオキシドは、例えばArkema社のLUPEROXの商品名で又はPergan社のPEROXANの商品名で市販されている。例えばCaCO/SiO上の2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン(商品名LUPEROX−101 XL−45、Arkema社)が有利である。
【0031】
このラジカル開始剤は、好ましくは0.1〜15、より好ましくは0.5〜10、特に好ましくは2〜8phrの量割合で添加される。この量は、ゴム組成物、ラジカル開始剤並びに架橋を促進する架橋促進剤の反応性の観点で選択される。
【0032】
本発明の有利な実施態様の場合に、充填剤(C)は、カーボンブラック、黒鉛、ケイ酸、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、ガラスビーズ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、ケイソウ土、磁性又は磁化可能な充填剤、例えばNbFeB化合物又はSrフェライト、導電性充填剤、例えば金属化充填剤、金属繊維、繊維及び有機充填剤から選択される。同様に、表面変性されたもしくは疎水化された、沈降ケイ酸及び/又は熱分解ケイ酸、表面変性された金属酸化物、表面変性された金属水酸化物、表面変性された炭酸塩、例えばチョーク又はドロマイト、表面変性されたシリカ、例えばカオリン、か焼カオリン、タルク、石英粉、珪土、層状シリカ、ガラスビーズ、繊維及び/又は有機充填剤、例えば木粉又はセルロース
が有利である。この充填剤(C)は、特にファーネスブラック、フレームブラック及び/又はチャネルブラックから選択される。一般に、この充填剤は表面変性されていてもよい。この充填剤の量は、好ましくは1〜800phr、より好ましくは10〜500phr、特に好ましくは20〜150phrである。
【0033】
疎水化されたもしくは疎水性のケイ酸は、無極性ゴム中に特に良好に混入することができ、かつわずかな粘度上昇並びに変性されていないケイ酸よりも改善された機械特性値を示す。特に、わずかな粘度上昇並びに改善された圧縮永久歪率(DVR)が達成できる。例えばDegussa社の疎水化された熱分解ケイ酸(Aerosil R8200)が適している。この加硫物は、適当な充填剤の選択により耐炎性を付与することができる。このためには、相応する水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム、並びに水含有塩、特に水を結晶水として結合する塩が適している。
【0034】
充填剤と一緒に、所定の製品特性及び/又は加硫特性の達成のために充填剤活性剤を添加することもできる。この充填剤活性剤は、組成を混合する際に添加することができる。しかしながら、充填剤をゴムに添加する前に、この充填剤を充填剤活性剤で前処理することもできる。このために、有機シラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン又は(オクタデシル)メチルジメトキシシランを使用することができる。他の充填剤活性剤は、例えば74〜10,000g/molの分子量を有する界面活性物質、例えばトリエチルアミン及びエチレングリコールである。
【0035】
本発明の有利な実施態様の場合に、このゴム組成物はさらに、ラジカル架橋、特にペルオキシドによる架橋を促進する少なくとも1種の架橋促進剤(D)を含有する。この架橋促進剤は、ラジカル開始剤の架橋効率を高める。架橋促進剤(D)として、少なくとも1個の、好ましくは2個以上のC=C−二重結合を含有する物質が使用され、これは部分的に水素化されていないポリイソプレンである。この二重結合はラジカル架橋の際に反応する。1個のC=C二重結合を有する適当な化合物は、モノ−アクリル酸エステル又はモノ−ジアクリル酸エステルである。2〜4個の反応性のC=C二重結合を有する適当な化合物は、ジアリルメラミン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタラート、トリアリルシアヌラート、トリアリルイソシアヌラート、トリアリルホスファート、N,N′−1,3−フェニレンビスマレイミド、2,4−トルエンビス(マレイミド)及びトリアリルトリメリタートである。他の適当な架橋促進剤は、多価の、好ましくは2〜4価のC〜C10−アルコール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール−1,2、ブタンジオール、ヘキサンジオール、好ましくは2〜20個の、より好ましくは2〜8個のオキシエチレン単位を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール−A、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット及びソルビットのアクリラート及びメタクリラートである。この場合、アルコールの2個以上のヒドロキシル基がエステル化されているので、ジアクリラート、トリアクリラート、テトラアクリラート、ジメタクリラート、トリメタクリラート又はテトラメタクリラートである。脂肪族ジオール及びポリオール、並びに例えばマレイン酸、フマル酸及び/又はイタコン酸からなる不飽和のポリエステルも適している。4個以上の反応性C=C二重結合を有する架橋促進剤は、特にオリゴマー側鎖又はポリマー側鎖の末端にビニル基を有するオリゴマー又はポリマー、特に1,2−ポリブタジエン−オリゴマー又は1,2−ポリブタジエン−ポリマーである。
【0036】
架橋促進剤(D)の量は、0.1〜30phrであることが好ましく、0.5〜20p
hrであることが特に好ましい。
【0037】
本発明の組成物の場合に、架橋促進剤、例えば1,2−ポリブタジエン(Nisso−PB B−3000)又はトリアリルイソシアヌラート(TAIC)の添加により、ペルオキシド架橋の際に架橋密度を増加させられることが見出された。これは、硬度の向上及び引張強さを向上させる。架橋促進剤の添加は、さらに負荷下でのゴムの残留変形の明らかな低下を生じさせる、つまり圧縮永久歪値(DVR)の低下を生じさせる。
【0038】
公知のゴム成形品の場合では、この場合、通常では同時に破断点伸びが不所望に低下する。意外にも、本発明により製造された成形品の破断点伸びは、架橋促進剤の添加の際に、特に1,2−ポリブタジエン(Nisso−PB B−3000)の添加の際に増大することができる。この有利な効果は、多様な用途分野において成形品の使用性を改善する。
【0039】
架橋促進剤(D)として、ポリマー側鎖に末端ビニル基を有するオリゴマー又はポリマー、特にブタジエン−オリゴマーが有利である。このような化合物は、例えばアニオン性リビング重合により製造することができる。この平均分子量は、500〜10,000であることが好ましく、600〜5,000であることがより好ましく、800〜4,000g/molであることが特に好ましい。このようなオリゴマーは、例えばNISSO社の商品名NISSO−PBで販売されている。特に、Bシリーズの化合物、例えばNisso−PB B−3000が適している。この1,2−ポリブタジエン化合物は、ヒドロキシ末端であるか又はカルボキシ末端であってもよい。
【0040】
架橋促進剤(D)は、例えば、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌラート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、ジアクリラート、トリアクリラート、特にトリメチルプロパントリアクリラート、ジメタクリラート及び/又はトリメタクリラート、特にトリメチロールプロパントリメタクリラート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル及び/又はブタジエン−スチレン−コポリマーから選択されるものが好ましく例示できる。
【0041】
このゴム組成物は、少なくとも1種の他の添加物(E)を含有していてもよい。この場合、ゴム加工の範囲内で通常使用される公知の添加材料を使用することができる。この添加物(E)は、例えば劣化防止剤、酸化防止剤、オゾン保護剤、防炎剤、加水分解保護剤、定着剤、離型剤もしくは部材粘着性を低下する薬剤、染料及び顔料、可塑剤及び加工助剤から選択される。
【0042】
適当な添加物(E)は例えば次のものである。
− 劣化防止剤、例えばUV吸収剤、UVスクリーン剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾ誘導体又はトリアジン誘導体、
− 酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール、ラクトン又はホスフィン、ヒンダードアミン、
− オゾン保護剤、例えばパラフィン系ワックス、
− 防炎剤、
− 加水分解保護剤、例えばカルボジイミド誘導体、
− 定着剤、例えばペルオキシド架橋を介してゴムマトリックスと結合する官能基を有するシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、官能化されたゴムで変性されたポリマー、例えばマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸無水物、
− 離型剤もしくは部材粘着性を低下させる剤、例えばワックス、脂肪酸塩又は脂肪酸アミド、ポリシロキサン、ペルオキシド架橋を介してゴムマトリックスと結合する官能基
を有するポリシロキサン、
− 染料及び顔料、
− 可塑剤、
− 加工助剤及び
− 他のゴム状でないポリマー。
【0043】
この場合、ゴム組成物の個々の成分に関して、ひとつの成分を選択するか、又はそれぞれ2、3又はそれ以上の成分からなる混合物を使用することも、当業者には自由である。特に、この添加物(E)を含有させる場合には、成形品及びゴム組成物に複数の有利な特性を付与するために、複数の添加物を使用することが通常である。所定の物質特性を達成するために複数のゴム及び/又はポリマーの混合物を使用するか又は所望の反応進行を調節するために複数のラジカル開始剤b)の混合物を使用することができる。
【0044】
本発明の主題は、本発明によるポリマー組成物の製造方法でもある。この場合、まずこれらの成分を一緒にし、混合し、場合によりミキサー又は粉砕装置中で均質化する。この加工及び/又は架橋は、高温で、例えば200℃、100℃又は50℃で行うことができる。この低粘度の基本成分は、しかしながら、25〜120℃の比較的低い温度又は室温で加工することが好ましい。この加工時間及び架橋時間は、温度、ラジカル開始剤の量及びタイプにより調節することができる。一般に、温度及びラジカル開始剤の割合が高くなれば、それだけこの時間は短くなる。
【0045】
本発明によるゴム組成物の製造のために、例えばまずゴム化合物(A)、充填剤(C)、架橋促進剤(D)及び/又は添加物(E)を混合する。引き続き、ラジカル開始剤(B)を添加する。同様に、全ての成分(A)〜(E)を同時に混合することもできる。
【0046】
本発明の主題は、本発明によるゴム組成物から製造することができる成形品でもある。この場合、ゴム組成物は成形品に加工される。加工の間又は加工の後に、ラジカル架橋が行われる。
【0047】
本発明の実施態様の場合には、本発明による成形品のショアA硬度(DIN 53505(ISO 7619−1、JIS K6253))は、<80が好ましく、より好ましくは<60であり、特に好ましくは<50である。引張強さ(DIN 53504−S2)は、>5が好ましく、>6MPaであることがより好ましい。DIN 53504−S2(ISO 37、JIS K6251)による破断点伸びは、好ましくは>150であり、より好ましくは>200であり、特に好ましくは>300%である。
ここで、ショアA硬度とは、タイプAデュロメータによる試験で得られた硬度を意味する。
【0048】
本発明によるゴム組成物は、この場合、ゴム加工及びエラストマー製造のための公知の方法により加工できる。この加工は、例えば射出成形法又は液体射出成形法((L)IM)により、プレス成形もしくは圧縮成形法(CM)により、トランスファー成形法(TM)により又はこれらの方法から誘導された方法、印刷法、例えばスクリーン印刷、ビード印刷、ディップ又はスプレーにより行う。
【0049】
本発明による成形品及びゴム組成物は多数の用途に使用可能である。燃料電池、生産技術、輸送技術、プロセス技術、食品技術及び医療技術及び食品又は医療製品の包装分野における使用が有利である。シーリングとして又はシーリング中で、例えばルーズなシーリング、例えばOリング又はノッチリング、例えば接着シーリング、軽質合金シーリング、又は含浸での使用が有利である。さらにコーティングのための使用が有利である。特に、ポンプのダイヤフラムとして又はダイヤフラム中で、燃料電池分野で、飲料水分野で、食
品分野で、暖房分野で及び衛生分野での使用が特に有利である。
【0050】
この材料は、ホース、弁、ポンプ、フィルター、加湿器、改質器及び貯蔵容器(タンク)中での接着剤として又はシーラントとして使用できる。さらに、この材料は、バイブレーションダンパのため、音響学的に有用な部材、織物及び不織布のコーティング、電磁シールド、タイヤ、ブレーキパッキン、ブレーキ部材、シャフトパッキン、ベローズ、フロアライニングのため及び/又は異形材のため、又はこのような装置及び用途の部材として使用できる。
【0051】
本発明によるゴム組成物及び成形品の特に有利な用途は、燃料電池用のシーリング、特にスタックのシーリングとしての用途である。これは、例えばルーズな、溝なし又は溝ありのシーリングの形で行う。本発明によるゴム組成物は、バイポーラープレート、ダイヤフラム、ガス拡散層に組み込まれた又はダイヤフラム電極ユニット中に組み込まれた溝なし又は溝付きのシーリングとしても好ましく使用される。本発明による材料は、特に金属製、ポリマー製又は黒鉛製の支持体に組み込まれたシーリングとして、又は織物又は不織布に組み込まれたシーリング、特に燃料電池のガス拡散層又はバイポーラープレートのシーリングとして適している。
【0052】
本発明によるゴム組成物、成形品、その製造及びその使用は、前記の本発明の根底をなす課題を解決する。優れた機械的特性を有する成形品が得られる。低い硬度と同時に、高い引張強さ、破断点伸び及び/又は引裂伝播強さを有する本発明による材料が製造される。ポリイソプレンの均質な鎖構造に基づき、この機械的特性は、比較可能なポリプロピレン/ポリエチレンコポリマーの場合よりもより良好である。この場合、ポリマー鎖中に常に複数の連続するプロピレン単位又はエチレン単位を有する配列が含まれ、それにより機械的特性、例えば圧縮永久歪率及び常温弾性が改善される。
【0053】
先行技術に基づき、材料に不利な影響を及ぼさない多数の添加物を使用できる。可塑剤の添加は必要ない。このゴム組成物は、使用されるポリイソプレンの低い粘度により容易に製造可能、混合可能及び加工可能である。希釈剤又は溶剤の添加は必要ない。本発明の好ましい実施態様の場合では、この組成物は溶剤を含有しない。
【実施例】
【0054】
本発明によるゴム組成物及び先行技術によるゴム組成物を製造し、試験成形品に加工し、多様な試験を行った。製造されたゴム組成物の成分及びphrで示す重量部は表1に示されている。このゴム(A)、ラジカル開始剤(B)、充填剤(C)及び架橋促進剤(D)をミキサー(Hausschild&Co KG社のSpeedMixer DAC 400FVZ)中で30〜60℃の温度で、成分の均質な分配が行われるまで混合した。この混合物から、190℃での加硫条件下で、例えばプレス装置中で、2mmの厚さのプレートにプレス成形した。
【0055】
このサンプルを次の試験にかけた:
硬度[ショアA]:DIN 53505(JIS K6253)
引張強さ[MPa]:DIN 53504−S2(JIS K6251)
反発弾性率:DIN 53512(JIS K6255)
モジュラス(引張値)100%[MPa]及び破断点伸び[%]:DIN 53504−S2(JIS K6251)
25%変形による圧縮永久歪率(DVR)[%](24h,空気中で120℃):DIN ISO 815、JIS K6262
【0056】
表1は各実施例で用いた材料と各試験の結果を示す。実施例1、3及び5では、先行技
術に基づくEPDMからなる材料を用いた。実施例2、4及び6のゴム組成物は、本発明に基づく処方により作製された。表1の試験結果の値は、本発明の処方により作製された成形品の機械的値は、それぞれ明らかに改善されていることを示す。
【0057】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種のゴム化合物(A)と
b)少なくとも1種のラジカル開始剤(B)とを含有し、
前記ゴム化合物(A)はラジカル架橋可能であり、かつ低粘度の完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンを含む、エラストマーを製造するためのゴム組成物。
【請求項2】
a)少なくとも50phrが低粘度の完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンであるゴム化合物(A)を100phrと、
b)ラジカル開始剤(B)0.1〜15phrと、を含有する請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記ポリイソプレンは、5,000〜100,000g/molの平均分子量を有する、請求項1又は2記載のゴム組成物。
【請求項4】
a)ゴム化合物(A)100phr、但し、この少なくとも50phrは低粘度の完全に水素化された又は部分的に水素化されたポリイソプレンであり、
b)ラジカル開始剤(B)0.1〜15phr、
c)充填剤(C)0〜800phr、及び、
d)ラジカル架橋する架橋促進剤(D)0〜30phr、
を含有する、請求項1〜3のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項5】
完全に水素化された、又は部分的に水素化されたポリイソプレンの他に、さらに、エチレン/プロピレン/ジエン−ゴム(EPDM)、ポリブタジエン、水素化された、又は部分的に水素化されたポリブタジエン、エチレン/プロピレン−ゴム、ポリイソブチレン、ハロゲン化されたブチルゴム、スチレン/ブタジエン−エラストマー、ポリメチルペンテン、クロロプレンゴム、塩素化された又はフッ素化されたポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル−コポリマー、アクリラートゴム、ニトリルゴムからなるグループから選ばれるハロゲン化されたゴム、水素化されたニトリルゴム、水素化されていない及び/又は高粘度のポリイソプレン、又は前記化合物のコポリマー、及び天然ゴムからなるグループから選択される、少なくとも1種の他のゴム化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のラジカル開始剤(B)は、ペルオキシド、ペルオキシ化合物、アルキルペルオキシド,アリールペルオキシド,アレニルペルオキシド及びアルカリールペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、ジアルキルペルオキシド、過酸エステル、ペルオキシケタール、ペルオキシケトン、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物からなるグループから選択される、請求項1〜5のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記ラジカル開始剤(B)が、ジクミルペルオキシド、ビス−(t−ブチル−ペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス−(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、t−ブチルペルベンゾアート、t−ブチルペルオキシイソブチラート、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン(3);n−ブチル−4,4’−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)バレラート、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン及び1,3−/1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)ベンゼンからなるグ
ループから選択されるペルオキシド化合物(C)を含有する、請求項1〜6のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記充填剤(C)は、カーボンブラック、黒鉛、ケイ酸、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ガラスビーズ、ケイソウ土、磁性又は磁化可能な充填剤、導電性充填剤、繊維及び有機充填剤から選択される、請求項4〜7のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記架橋促進剤(D)として、2個以上のC=C二重結合を含有する化合物を使用する、請求項4〜8のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記架橋促進剤(D)は2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌラート(TAIC)、ジアリルメラミン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタラート、トリアリルシアヌラート、トリアリルホスファート、N,N’−1,3−フェニレンビスマレイミド、2,4−トルイレンビス(マレイミド)、トリアリルトリメリタート、ブタジエン−オリゴマー又は−ポリマー、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、ブタジエン−スチレン−コポリマー、モノ−アクリラート、ジアクリラート、トリアクリラート、トリメチルプロパントリアクリラート、モノ−メタクリラート、ジメタクリラート、トリメタクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル、脂肪族ジオール及びポリオールからなる不飽和ポリエステル、マレイン酸、フマル酸及び/又はイタコン酸から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項4〜9のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項11】
さらに少なくとも1種の添加物(E)を含有し、該添加物(E)は、劣化防止剤、酸化防止剤、オゾン保護剤、防炎剤、加水分解保護剤、定着剤、離型剤もしくは部材粘着性を低下する薬剤、染料及び顔料、可塑剤及び加工助剤からなるグループから選択される、請求項4〜10のいずれか一項記載のゴム組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項記載のゴム組成物を、温度を上昇させて、ラジカル架橋する工程を含む、成形品の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により得られる成形品。
【請求項14】
シーリングもしくは含浸、コーティング、ダイヤフラム又は接着剤、特にホース、弁、ポンプ、フィルター、加湿器、改質器、貯蔵容器、バイブレーションダンパ及び音響学的に有用な部材の形(織物及び不織布のコーティングとして、電磁シールドとして、タイヤ、ブレーキパッキン、ブレーキ部材、シャフトパッキン、ベローズ、フロアライニング又は異形材として)並びに燃料電池用のシーリング、ダイヤフラム又はガス拡散層として用いるための、請求項13記載の成形品。
【請求項15】
燃料電池、食品又は衣料製品の生産技術、輸送技術、プロセス技術及び包装技術での、シーリングとして、コーティングとして及び/又は接着剤として用いるための請求項13又は14記載の成形品。

【公開番号】特開2009−242782(P2009−242782A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37955(P2009−37955)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】