説明

ゴルフクラブヘッド

【課題】プレー特性及び寛容度を向上させたゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】凹み部分(20)を備えた中空ゴルフクラブヘッド(1)は、金属製部分及びプラスチック等の軽量部分を有する。凹み部分により非常に薄い部分を有すると共に所要の構造剛性を維持したヘッドが得られる。プレー特性を向上させる重りインサートを収容する凸状膨らみ(22)が設けられる。クラブヘッド金属製部分は、数個の軽量インサートが収納されるフレームの外観を呈する。軽量インサートをクラウン(13)、スカート(14)及びソール(12)内に収納できる。クラブヘッドを同時成形により作ることができ、それにより溶接又は接着が不要であり、多くの有利な仕方で使用されるべき質量分が空けられる。クラブヘッドは、プレー特性及び寛容度を向上させるよう大型であるのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブに関し、特に、本発明は、物理的属性を向上させた大型ウッドタイプのゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
なお、本願は、現在係属中の2006年2月28日に出願された米国特許出願第11/363,098号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、1)現在係属中の2005年4月21日に出願された米国特許出願第11/110,733号の一部継続出願であると共に2)現在係属中の2005年7月13日に出願された米国特許出願第11/180,406号の一部継続出願である。これら特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
ゴルフクラブヘッドは、多種多様な形態及び種類、例えば、ウッドタイプ又はメタルタイプ(ドライバ及びフェアウェイウッドを含む)、アイアンタイプ(ウェッジタイプクラブヘッドを含む)、ユーティリティタイプ、スペシャリティタイプ及びパタータイプで売られている。これらスタイルは各々、規定された機能及び組成又は構成を有している。本発明は、主として、中空ゴルフクラブヘッド、例えばウッドタイプ及びユーティリティタイプのゴルフクラブヘッド(一般に、ウッドタイプゴルフクラブヘッドと呼ばれる)に関する。
【0004】
ウッドタイプゴルフクラブヘッドは、一般に、フロント又は打撃フェース、クラウン、ソール、及び弧状スカートを有し、この弧状スカートは、ヒール、トウ、及びバックを含む。クラウン及びスカートは、「シェル」と呼ばれる場合がある。フロントフェースは、ゴルフクラブとインターフェイスをなしてこれを打つ。「スコアライン」と呼ばれる場合のある複数個の溝がボールにスピンをかけるのを助けるため及び装飾的目的でフェースに設けられる場合がある。クラウンは、一般に、特定の見た目をゴルファーにもたらすと共に構造剛性を打撃フェースにもたらすよう構成されている。ゴルフクラブのソールは、スイングの際に地面に接触してこれと相互作用する。
【0005】
ウッドタイプゴルフクラブの設計及び製造では、クラブヘッドの構成に十分に注意を払うことが必要である。考慮しなければならない多くの要因の中には、材料の選択、材料の処理、構造剛性及び全体的な幾何学的設計がある。例示の幾何学的設計に関する検討事項としては、ロフトアングル、ライアングル、フェースアングル、水平フェース膨らみ、垂直フェースロール、フェースサイズ、ソール曲率、重心及びヘッドの全体的重量が挙げられる。クラブヘッドの内部設計は、例えばホーゼル又はシャフト取付け手段、フェース又はクラブヘッドの本体に施される周囲重みづけ、中空クラブヘッド内の充填材を設けることにより特定の特性を達成するよう特別仕立てできる。クラブヘッドは、典型的には、ステンレス鋼、アルミニウム又はチタンで形成され、鋳造され、例えば板金を圧力で形成することにより型打ちされ、鍛造され又はこれらプロセスのうちの任意の2つ又は3つ以上の組合せによって形成される。クラブヘッドは、インサート、例えばソールプレート又はクラウンプレートを備えた設計のクラブヘッドの場合にはしばしば見られるように、多数個の部品を互いに溶接し又は違ったやり方で接合して中空ヘッドを形成することにより形成される場合がある。多部品(多材質)構造は、クラブヘッド内に形成されたキャビティへの接近を容易にし、それによりヘッドへの、種々の他のコンポーネント、例えば、内部ウエイト又はクラブシャフトの取付けを可能にする。キャビティは、空のままであっても良く、或いは、例えばフォームで部分的に又は完全に満たされても良い。正しいスイング重量をもたらすと共にクラブヘッド内に存在する場合のあるデブリを集めてこれを保持するために接着剤をクラブヘッド内に注入するのが良い。加うるに、高い寸法公差に合わせて一体形クラブヘッドを製造する際の問題により、多部品構造を利用することにより、クラブヘッドを厳密な規格セットに合わせて製造することができる。
【0006】
ウッドタイプゴルフクラブを金属材料で製作することが知られている。これらクラブは元来、主として耐久性のある金属、例えばステンレス鋼、アルミニウム、ベリリウム銅等を金属本体、フェース及びホーゼルを有する一体構造の状態に鋳造することによって製造されていた。技術の進歩につれて、通常チタン材料を用いることによりクラブのフェースの性能を向上させることが望ましいことになった。
【0007】
アマチュアゴルファーのうちで高い割合の人が、常時自分のショットでより長い距離を稼ごうとしている状態に鑑みて、ゴルフ業界は、距離を念頭に置いて特別に設計されたゴルフクラブを提供することによりこれに応えようとした。ウッドタイプゴルフクラブのヘッドサイズが増大し、それにより、ゴルフクラブは、慣性モーメントが高くなり、この高い慣性モーメントにより、心外れ(オフセンタ)打ちの際の捩りに抵抗する能力が高くなった。ウッドタイプクラブヘッドが大型になるにつれて、その重心は、フェースから後方へ遠ざけられてトウ寄りに位置することになり、その結果、打つと高く且つ予想よりも一層右側に上がるようになる(右利きのゴルファーの場合)。大型クラブヘッドのロフトを減少させることによりこれを補償することができる。重心がホーゼル軸線から一段と遠ざけられているので、ヘッドが大型であると、これらゴルフクラブは、接触の際に開いたままになる場合があり、それにより「スライス」効果が誘発される(右利きのゴルファーの場合、ボールは、右側に逸れる)。ヘッドを片寄らせると共に(或いは)フックフェースアングルを取り入れると、インパクト時にフェースを「直角にする」ことによってこれを補償するのを助けることができるが、「スライス」傾向を無くす必要がある。
【0008】
平均的なゴルファーにより長い距離をもたらす近年における別の画期的技術は、大型のゴルフクラブを製作する一方で、首尾一貫して薄いシェル厚さを鋳造すると共に軽量の材料、例えばチタン、マグネシウム及び複合材を用いることにより重量を一定に又はそれどころか軽く保つことにある。また、クラブのフェースは、着実に極めて薄くなっている。というのは、フェースが薄いと、はね返り係数(COR)と呼ばれている値が最大になるからである。インパクト時におけるフェースのはね返りが大きいと、それだけ一層多くのエネルギーがボールに伝えられ、それにより結果的に得られるショット距離が長くなる。
【0009】
ゴルフクラブをボールとの接触時に開いた状態から減少させるのに役立つようにするためにウッドタイプクラブヘッドの重量分布を改良する公知の方法としては、鋳物としての本体それ自体に重り(ウエイト)を追加し又はクラブ内の或る箇所に重り要素を巧妙に追加することが挙げられる。重り要素をウッドタイプクラブヘッド中に組み込む多くの技術的努力が行われた。これら重り要素は、通常、プラスの影響をボールの飛距離に与え又は特定のゴルファーの欠点に打ち勝つ特定の場所に配置される。上述したように、ハンディキャップの大きなゴルファーの主要な問題の分野は、「スライス」傾向であり、このスライスは、ボールを右に逸らせることに加えて、大きなスピンをボールにかけるので、全体的なショット距離が一層短くなる。この傾向を減少させるため、本発明は、重り要素を直接クラブヘッド内に配置することを教示している。重り要素の配置場所は、ボールのスピンを減少させると共に「ドロー(draw)(右利きのゴルファーにとっては右から左へのボールの飛行)」がボール飛行に与えられるように設計される。このボール飛行パターンは又、距離に挑戦しているゴルファーに役立つよう設計される。というのは、スピン速度が低いボールは、一般に、スピン速度が高いボールの場合よりも最初に地面に接触した後が長い距離転がるからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プレー特性(playability )を向上させた大型ウッドタイプゴルフクラブヘッドに関する。クラブヘッドは、内容積部を構成する複数個の本体部材で形成されるのが良い。第1の本体部材は、金属材料で作られ、この第1の本体部材は、ソール部分及びフェース部分を有する。第2の本体部分が、軽量材料、例えばプラスチック、複合材又は低密度金属材料の非常に薄いシートで作られる。第2の本体部分は、クラブヘッドスカートの少なくとも一部分を構成し、この第2の本体部分は、クラブヘッドの内容積部内に延びる1つ又は2つ以上の凹み部分を有する。これら凹みは、非常に薄いパネルであるのが良い第2の本体部分に構造剛性をもたらす。
【0011】
第2の本体部材は、全体として内容積部から遠ざかって延びる1つ又は2つ以上の凸状膨らみを更に有するのが良いが、このようにするかどうかは任意である。インサート、例えば重りインサートを凸状膨らみ内に位置決めするのが良い。重りインサートの注意深い位置決めにより、設計者は、ゴルフクラブのプレー特性を向上させると共に、特定のスイングタイプに合わせてクラブを特別仕立てできる。第1の本体部材は、クラブヘッドソールの大部分を形成するのが良く、第2の本体部材は、クラブヘッドクラウンの大部分を形成するのが良い。この重りの位置決めにより、ゴルフクラブのプレー特性が一段と向上する。
【0012】
クラブヘッドは、打撃フェースから見て極めて低く且つ後ろに位置決めされた補助重りを有するのが良い。ソールプレート上の中心点は、クラブヘッドの最も下の点を定め、一実施形態では、中心点は、クラブヘッドが59゜のライアングルの状態にあるとき、クラブヘッドを重心の真下に位置する。補助重りの重心は、中心点から所定距離を置いたところに位置決めされる。好ましくは、各補助重りの重心は、中心点よりも少なくとも0.5インチ(12.7mm)後方のところに位置し、第1の重りインサートについては中心点からゴルフクラブヘッドのトウに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)、第2の重りインサートについては中心点からゴルフクラブヘッドのヒールに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)のところに位置し、且つ中心点よりも最大0.25インチ(6.35mm)上方のところに位置し、それにより、補助重りの位置は、クラブヘッドの自然な輪郭の外方に膨らむことにより、ゴルフクラブヘッドの伝統的な見た目を変える。
【0013】
補助重りをホーゼル中心線がソールプレートと交差する点を参照して配置するのが良い。次に、この距離を打撃フェースの後面からその中点のところで測定して交点を求める。好ましくは、クラブヘッドが59゜のライアングルにある状態で、補助重りが各々、交点よりも少なくとも0.5インチ(12.7mm)後方のところ、ヒールかトウかのいずれかに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)のところ、且つ交点よりも最大0.25インチ(6.35mm)上方のところに位置する。
【0014】
クラブヘッドは、幾何学的特徴と物理的特徴の本発明による組合せを含むのが良い。例えば、クラブヘッドは、大きな打撃表面積、大きなフェース長さ及び(又は)大きなフェース高さを有するのが良い。打撃フェースのサイズを増大させることにより、スイートスポットが広くなり、それによりゴルフクラブが、寛容度(forgiveness :打ち損じの少なさ)が高くなり、したがって、プレーしやすくなる。
【0015】
クラブヘッドは、フェース−リヤ方向で測定して大きな深さを有するのが良い。クラブヘッドの深さを大きくすることにより、重心が後方に移動し、これによっても、クラブヘッドがプレーしやすくなる。本発明のこの特徴は、種々の仕方で、例えばクラウン表面積で定量化できる。好ましくは、ゴルフクラブヘッドは、大きなクラウン表面積を有する。これら有利な属性を一段と促進するため、クラウンの少なくとも一部分がクラブヘッドの重心の下に位置した状態で、クラウンを打撃フェースから後方に傾斜させるのが良い。好ましくは、クラウン周囲の大部分は、クラブヘッドの重心の下(ソール側)に配置される。
【0016】
クラブヘッドを種々の方法で形成することができる。かかる方法の1つは、同時成形であり、即ち、2つの異種材料をこれら材料のうちの一方を他方に成形することにより互いに直接接合する製造方法である。例えば、クラブヘッドの金属部分は、金型の少なくとも一部を形成するのが良く、この金型は、クラブヘッドの第2の部分を軽量材料、例えばプラスチック又は複合材から形成するために用いられる。他の金型部品も又、クラブヘッドの金属部分と関連して利用できる。同時成形により、溶接又は接着剤が不要になる。クラブヘッドの設計者は、これら公知の取付け手段により占められていた質量をクラブヘッドの質量全体を増大させないで、他のより有利な仕方で自由に利用することができる。「空けられた(freed-up)」質量分のかかる有利な使用としては、クラブヘッドの全体サイズを増大させること、クラブヘッドのスイートスポットのサイズを拡大させること、クラブヘッドの重心を再位置決めすること及び(又は)大きな慣性モーメントを生じさせることが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
添付の図面を参照して本発明を説明する。なお、図中、同一の参照符号は、同一の要素を示している。
【0018】
実施例の場合以外、或いは別段の指定が無ければ、例えば材料の量、慣性モーメント、重心の位置及び明細書の以下の部分における他の量についての数値範囲、量、値及び百分率は全て、たとえ「約」という用語が値、量又は範囲に添えて明示されていなくても、あたかも「約」という用語が前に付いているかの如く読まれるべきである。したがって、逆のことが指定されていなければ、以下の説明及び特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明が得ようとする所望の特性に応じてばらつきのある近似値である。最後に、均等論の適用を特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定する試みとしてではなく、数値パラメータは各々、少なくとも、報告された有効桁数に照らし、そして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきである。
【0019】
本発明の範囲を説明する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、任意特定の実施例に記載された数値は、できるだけ正確なものとして報告されている。しかしながら、どの数値であっても、試験測定値に見られる標準偏差に必然的に起因する或る程度の誤差を本来的に含む。さらに、限界が変化する数値範囲を本明細書に記載している場合、記載した値を含むこれら値の任意の組合せを使用できることが意図されている。
【0020】
図1は、本発明のゴルフクラブヘッド1を示している。クラブヘッド1は、打撃フェース11、ソール12、クラウン13、スカート14及びホーゼル15を備えた本体10を有している。本体10は、中空の内容積部16を画定している。フォーム又は他の材料が内容積部16を部分的に又は完全に満たすのが良い。重りを内容積部16を部分的に又は完全に満たすのが良い。重りを内容積部16内に設けるのが良いが、このようにするかどうかは任意である。フェース11には、種々の設計の溝又はスコアラインを設けるのが良い。クラブヘッド1は、トウT及びヒールHを有する。
【0021】
図1のこの図示の実施形態では、クラブヘッド1は、互いに協働して内容積部16を構成する複数個の本体部材で構成されている。第1の本体部材101は、ソール部分及びフェース部分を有する。第1の本体部材101は、フェース11全体及びソール12全体を含んでいても良い。変形例として、フェース11とソール12のいずれか一方又はこれら両方は、第1の本体部材101に結合又は接着されたインサートであっても良い。クラブヘッド1は、公知の仕方でスカート14に沿って第1の本体部材101に結合又は接着された少なくとも1つの第2の本体部材102を更に有する。クラウン13は、本体部材101,102のいずれかの一体的な一部であっても良く、或いは、本体部材101,102のいずれか一方に結合又は接着されたインサートであっても良い。第2の本体部材102は、凹状部分20を有し、この凹状部分は、本体部材101,102を結合又は接着すると、内容積部16内に内方へ延びる。図2は、例示の第2の本体部材102を単独で示す図である。
【0022】
第1の本体部材101は、好ましくは、金属材料、例えばステンレス鋼、アルミニウム又はチタンで作られる。第1の本体部材101の材料は、これがゴルフボール又は地面を打つことによって生じる応力及び歪みを含むゴルフスイングの際に生じる応力又は歪みに耐えることができるように選択される。クラブヘッド1は、かかる力に繰り返し耐えることができる主要荷重支持構造体を形成するよう設計されるのが良い。クラブヘッド1の他の部分、例えばスカート14は、受ける応力及び歪みのレベルが小さく、有利にはかかる他の部分に代えて、軽量で重り効果の高い補助材料を用いるのが良い。軽量重り材料、例えば、上述の金属材料も低い密度又は同等な密度を有する低密度金属合金、プラスチック、複合材等をこれらの領域に用いることができ、それにより、有利には、クラブヘッド設計者は、「節約した」ウエイト又は質量分をクラブヘッド1の他のより有利な場所に再分布させることができる。クラブヘッド1のこれらの部分も又薄手に作るのが良く、これによりウエイトの節約が促進される。この再分布したウエイトに関する例示の使用例としては、クラブヘッド1の全体サイズを増大させること、クラブヘッドの「スイートスポット」(スイートスポットは、ゴルフボールを打った際に望ましいゴルフショットが結果的に得られるようにするフェース11の領域を意味する用語である)のサイズを拡大させること、クラブヘッド1の重心を再位置決めすること及び(又は)大きな慣性モーメント(MOI)を生じさせることが挙げられる。慣性は、もし外力が働かなければ、物体は静止状態のままであり又は一様な運動状態のままである物質の性質である。MOIは、所与の軸線回りの角加速度に対する物体の抵抗の尺度であり、物体中の質量の各要素と軸線からのこの要素の距離の二乗の積の和に等しい。かくして、軸線からの距離は増大するにつれて、MOIが増大し、それにより心外れ打ちに対するクラブの寛容度が高くなる。というのは、クラブヘッドの捩りに起因するインパクトの際のエネルギーの損失が少ないからである。質量をクラブヘッド周囲に移し又は再配置することにより、スイートスポットが拡大し、より寛容度の高いクラブが得られる。クラブヘッドサイズを増大させると共にできるだけ大きな質量をクラブヘッド1の最も外側に位置する領域、例えばヒールH、トウT又はソール12に移すことにより、スイートスポットを拡大し又は大きなMOIを生じさせる機会が最大になり、それによりゴルフクラブがより面白くなると共にその寛容度が高くなる。
【0023】
第2の本体部材102は、軽量であり、これにより、クラブヘッドの重心を下方にずらすと共にクラブヘッド1の全体的重量を増大させないでどこか有利な場所のために重量を空ける機会が得られる。第2の本体部材102の肉厚が、所望の厚さの最小範囲にある場合、補強本体層をこの第2の本体部材が変形を示す場合に重要な領域に追加するのが良い。第2の本体部材102を薄く作ることによりこれらの利点を一段と促進することができる。クラブヘッド1の構造的健全性が維持されるようにするために、これら薄いパネルは、好ましくは、凹状部分20を有するのが良い。これら凹状部分20を設けることにより、第2の本体部材102は、永久歪を受けず又は元の見かけ状態に影響を及ぼさないで、長手方向と横方向の両方における大きな応力に耐えることができ、それにより、クラブヘッド1の構造的健全性が維持される。第1の本体部材101の好ましい厚さは、0.03インチ(0.76mm)〜0.05インチ(1.27mm)であり、第2の本体部材102の好ましい厚さは、0.015インチ(0.381mm)〜0.025インチ(0.635mm)である。好ましくは、凹状部分20は、少なくとも10立方センチメートルを占める。より好ましくは、凹状部分20は、少なくとも25立方センチメートルを占める。クラブヘッド1は事実上任意のサイズのものであって良いが、好ましくは、法定のクラブヘッドである。複数個の凹状部分20をクラブヘッド1に用いるのが良い。例えば、一様なサイズ又は漸変サイズの凹状部分20をトウ、ヒール、バック等に設けるのが良い。
【0024】
図3は、本発明の第2のクラブヘッド2のフェース11に実質的に垂直に取った断面図、図4は、クラブヘッド2の底面図である。凹状部分20は、好ましくは、アドレス時にはゴルファーには見えない。凹状部分20に加えて、第2の本体部材102は、内容積部16から全体として遠ざかって延びる凸状膨らみ22を更に有する。インサート23を凸状膨らみ内に位置決めするのが良い。インサート23は、クラブヘッド2の外部からは見えず、かくして、破線を用いて図示されている。好ましい実施形態では、インサート23は、重りインサートである。膨らみ23が凸状であることにより、膨らみがクラブヘッド2に与える機械的利点を最大にするようウエイトを位置決めすることができる。図4に示すように、クラブヘッド2は、例えばクラブヘッド2のヒール側及びトウ側に複数個の凸状の膨らみ22を有するのが良い。クラブ設計者は、インサート23を所望に応じて膨らみ22内に配置することができる。インサートの質量は、互いに実質的に等しいのが良い。変形例として、インサートのうちの1つは、他のインサートよりも大きな質量を有しても良い。これは、フックスイング又はスライススイングを矯正するようクラブを設計するのに有利な場合がある。重りインサート23の好ましい質量範囲は、1グラム〜50グラムである。
【0025】
図3に示すように、第1の本体部材101は、ソール12の大部分を構成するのが良く、第2の本体部材102は、クラウン13の大部分を構成するのが良い。これは、有利には、質量のうちの大部分をクラブヘッド2の上部から除去する。この実施形態では、第1の本体部材101は、その縁に沿ってぐるりと延びる取付け周囲18を有する。第2の本体部材102は、取付け周囲18に沿って第1の本体部材101に結合又は接着されている。第1の本体部材101と第2の本体部材102は、協働して内容積部16を構成する。取付け周囲18は好ましくは、2つの取付け面18a,18bを画定する段部を有するのが良い。図示のように、第2の本体部材102は、本体部材101,102相互間の強固な結合又は接着を保証するのに役立つようこれら取付け面18a,18bの両方に結合又は接着されるのが良い。
【0026】
本体部材101,102を種々の方法で形成することができるが、好ましい方法では、クラブヘッドシェル全体(第1の本体部材101)を公知の仕方で形成し、材料を除去して第2の本体部材102を結合又は接着することができる開口部を形成する。開口部を任意所望の仕方で、例えばレーザで形成することができる。第2の本体部材102を種々の方法で、例えば、結合又は結合と関連したスナップ嵌めにより第1の本体部材101に接合することができる。凹状インサートついて複合材を用いる場合、0/90/45/−45/90/0の6枚のプライを成形することが好ましい。
【0027】
図5〜図9は、本発明の追加の特徴を示している。これらの図に示された実施形態では、クラブヘッド1は、クラウンン部分13、ソール12、ヒール部分H、トウ部分T、ヒール部分Hをトウ部分Tに連結するスカート部分14、フロントフェース11及びヒール部分Hから延びるホーゼル24を有している。クラブヘッド1は、シートを例えば溶接又は鋳造により好ましくはチタン合金から互いに接合することにより形成されたものであるのが良い。クラウン部分13を、例えば炭素繊維複合材、ポリプロピレン、ケブラー、マグネシウム又は熱可塑性樹脂のような材料から作るのが良い。ホーゼル24は、中心軸線C/Lを定めるボアを有する。
【0028】
図9に最も良く示されているように、本発明のクラブヘッド1は、最高峰且つ下方の位置にある重心Gを有する。重心Gの存在場所は、2つの補助重り、即ち、トウ側補助重り26及びヒール側補助重り28の配設によってずらされており、これら両方の重りは、部分的に、ゴルフクラブヘッドの伝統的な概観の外部に位置している。図5〜図9に示すように、2つの補助重り要素26,28の配設場所は、定められた接触箇所からのこれらの距離の関係によって定められる。クラブヘッドが59゜のライアングルφの状態にあるとき、ソール12の最も低い接触箇所は、重心Gの真下の中心点Cのところにある。
【0029】
本明細書において、補助重り26,28の配設場所を定める一方法について説明する。図8に示すように、ホーゼル24の中心線C/Lは、フロントフェース11の後面から距離Dをおいたところでソールプレート12と交差する。クラブヘッドの後縁に実質的に平行な線B−Bを延長させると(距離Dを保ちながら)、フロントフェース11の中点に垂直であってこれから後方に延びる線A−Aと交点Pが生じる。線A−Aは、クラブヘッド1の中央を通り、そしてクラブヘッドの重心Gの真下を通る。この交点Pは、線A−Aと、ホーゼル中心線C/Lとソール12の交点のところに位置する垂直平面との交点によっても定めることができる。各補助重り26,28の重心C/Gは、交点Pの後方に少なくとも1.50インチ(3.81cm)の距離Wのところに位置すると共にソールプレート12の中心Cである最も低い接触点よりも上方に最大0.25インチ(6.35mm)の距離Zのところに位置し、各補助重りは、トウ側補助重り26についてはトウT寄りに距離Y1であり、ヒール側補助重り28についてはH寄りに距離Y2である線A−Aから互いに逆方向に少なくとも0.75インチ(19.05mm)離れたところに位置する。
【0030】
本発明に関しては、補助重り26,28の配設場所を中心点Cから測定することにより求めることもできる。各補助重り26,28の重心は、中心点Cから線A−Aに沿って後方に少なくとも0.50インチ(12.7mm)の距離Xのところ、中心点Cの上方に最大0.25インチのところ、且つ、互いに逆方向に線A−Aからトウ側補助重り26についてはトウT寄りに、ヒール側補助重り28についてはヒールH寄りに最小0.75インチの距離Zのところに位置する。かくして、各補助重り26,28は、中心点Cから最小0.90インチ(22.86mm)のところに位置する。
【0031】
補助重り26,28は、クラブヘッド重量に対して特定の調節を行うよう設計された複数個の重りから選択されるのが良い。補助重り26,28を定位置に溶接し又は接着剤により取り付けるのが良い。重り26,28は、一般に重いインサート、例えば、鋼、ニッケル又はタングステンで作られるのが良い。好ましくは、クラブヘッド1の本体は、チタンで作られ、クラウン部分13は、軽量材料、例えば炭素繊維複合材、ポリプロピレン、ケブラー、熱可塑性樹脂、マグネシウム又は他の或る適当な軽量材料で作られる。クラブヘッド1の好ましい体積は、350cc〜460ccである。補助重り26,28は、好ましくは、質量が2〜35グラムであり、10〜35グラムが、より好ましい。例えばシャフト撓み箇所、シャフト重量、シャフト剛性、フェースアングル及びクラブロフトのようなパラメータを変更することにより、広範なゴルファーに対応することが可能であることは周知である。しかしながら、本発明は、低く、後方であり、しかも中心が広い重心を作ることによりクラブヘッドの質量特性(重心及び慣性モーメント)を最適化するうえで最も重要な打ち上げ上の検討事項に取り組む。本発明のクラブヘッド1は、典型的には重みづけに利用されないクラブヘッドの領域を包囲する。というのは、かかる領域は、クラブヘッドの伝統的な概観を悪く変えるからである。このクラブヘッド1の設計により、補助重り26,28の一部分は、クラブヘッドの通常の輪郭から外へ膨らむことができる。
【0032】
図10は、本発明のゴルフクラブヘッド1の底面図である。スカート14は、クラブヘッド1の後部寄りに開口部30を有している。インサート35が、公知の仕方で、例えば、取付け周囲18により開口部30内に位置決めされていて、内容積部16を協働して構成している。好ましくは、インサート35は、軽量材料、例えば複合材又はポリマー材料で作られる。軽量インサート35を用いることにより、本来的に、クラブヘッドの質量がクラブヘッド1のソール12寄りにずれる。また、これにより、全体的なクラブヘッド重量及び質量について典型的な値を維持しながら特定の慣性モーメント及び(又は)重心の配設場所を達成するよう重り部材を設けることができる。
【0033】
図11は、本発明のゴルフクラブヘッド1の底面図である。補助重り26,28に加えて、クラブヘッド1は、トウ側補助重り26とヒール側補助重り28との中間に位置したインサート27を有する。インサート27は、トウ側及びヒール側補助重り26,28と類似した重りインサートであるのが良く、この場合、インサートは、2〜35グラムの好ましい質量を有する。変形例として、或いは、重り部材であることに加えて、インサート27は、1つ又は2つ以上の標識、例えばモデル又は製造業者の表示を含んでも良い。クラブヘッド1は、ソールインサート105を更に有し、図示の実施形態では、2つのかかるソールインサート105が示されている。これらインサート105は、好ましくは、上述したような軽量材料で作られる。かかる材料は、恐らくは、ゴルフクラブの通常の使用中に例えばソール12が生じる地面との接触に耐えるのに十分頑丈である。しかしながら、ソール12の弧の形は、図示の実施形態では、インサート105が地面に接触する恐れを最小限に抑える。ソールインサート105を設けることにより、例えばトウインサート26、中間インサート27及び(又は)ヒールインサート28のところでのクラブヘッド内における有利な配置場所が得られるよう多くの質量分が空けられる。インサート105をソール12の中心寄りに配置することにより、本来的に、質量がクラブヘッド1の外側部分寄りに移され、クラブヘッドのMOIが向上する。
【0034】
図12は、図11のクラブヘッド1の12−12線矢視断面図である。ここでは、クラウン13が、金属製の第1の本体部材101に結合されたインサートであることが分かる。クラウンインサート13は、好ましくは、軽量材料で作られ、有利には、クラブヘッドの重心を下方にずらすと共にクラブヘッド1の全体的重量を増大させないで、どこか他の有利な場所のために更に質量分を空ける。クラウンインサート13、スカートインサート35、第2の本体部材インサート102及びソールインサート105を収納位置決めするための穴を設けたことにより、第1の本体部材101は、フレームの概観を取る。本発明の特定の実施形態では、インサート13,35,102,105を全て設ける必要はないことに注目されるべきである。ただし、これらを全て設けても良い。第1の本体部材101がフレーム状になっていることにより、ゴルフスイングの際に生じる応力及び歪み(ゴルフボール又は地面を打つことにより生じる応力及び歪みを含む)が減少したレベルの応力及び歪みを受けるクラブヘッド1の軽量部分に悪影響を及ぼすことがないようにする荷重支持構造が得られる。第2の本体部材102、クラウン13、スカートインサート35及びソールインサート105を含むのが良いこれらクラブヘッド部分は、有利には、上述した金属材料よりも低い密度を有し又はこれと同等な密度を有する軽量の重り効果の高い補助材料、例えば低密度金属合金、プラスチック、複合材等で作られ、それにより、有利には、クラブヘッド設計者は、「節約した」重量又は質量分をクラブヘッド1の他の有利な場所に再分布することができる。クラブヘッド1のこれら部分も又、薄く作られるのが良く、それにより重量の節約が促進される。
【0035】
第1の本体部材101は、好ましくは、各インサート(クラウン13を含む)について取付け周囲18を有する。これら取付け周囲18は、それぞれの開口部の縁に沿ってぐるりと延びている。好ましくは、各取付け周囲18は、2つの取付け面18a,18bを構成する段部を有し、これら取付け面は、それぞれのクラブヘッドコンポーネント相互間の強固な結合を一段と保証することができる。(図12の各取付け周囲18は、2つの取付け面18a,18bを構成する段部を有しているが、かかる取付け面18a,18bは、分かりやすくするために1つの場所にしか示されていない。)
【0036】
クラブヘッド1に設けられていて、インサート13,35,102,105が収納される開口部は、好ましくは、クラブヘッドシェル全体を公知の仕方で形成し、次にこれに開口部を形成することにより形成できる。開口部を形成する好ましい一方法は、レーザを用いて第1の本体部材101の金属材料を部分的に除去することである。この方法は、厳密な公差をもたらす。取付け面18a,18bを含む取付け周囲18を種々の仕方で、例えば、クラブヘッド1に開口部をレーザ切断した後に第1の本体部材101を機械加工して形成できる。
【0037】
接着剤及び取付け面18a,18bを用いる代わりに、軽量インサート13,35,102,105を同時成形によりクラブヘッド1に結合しても良い。同時成形法により、インサートを定位置に保持し、取付け面及び接着剤、溶接面等を必要としないでクラブヘッド1に結合することができる。これら伝統的な接合材料及び構造体を用いないようにすることにより、クラブヘッド1内の有利な場所に位置決めされるべき多くの質量が空けられる。クラブヘッド設計者は、取付け面及び取付け媒体(接着剤、エポキシ、溶接ビード、機械的締結部等)により費やされていた質量分を所望に応じて自由に位置決めして、例えば、クラブヘッドの全体的重量を増大させないでクラブヘッドの重心を有利に位置決めし、所望の重心配設場所を達成し、所望の慣性モーメント特性を達成し、クラブヘッドサイズを増大させ、クラブヘッドスイートスポットを拡張させること等を行うことができる。この同時成形法を種々の仕方で実施することができる。かかる一方法では、初期クラブヘッド本体を公知の仕方で形成する。初期クラブヘッド本体は、好ましくは、1つ又は2つ以上のキャビティ又は凹部を有する。これについては、例えば、図10の開口部30を参照されたい。しかる後、初期クラブヘッド本体を金型内に配置する。次に、液体材料を金型内に注入し、開口部30を充填し又は少なくともこれに接触させる。当然のことながら、金型の内部は、所望の形状を完成状態のクラブヘッドに与えるよう形作られている。初期クラブヘッド及び成形材料を金型内に必要な時間の間保持し、これらに、用いられた材料について妥当な場合所要の熱サイクルを施す。このように、軽量成形材料をクラブヘッド本体の金属製(又は他の)材料に直接取り付ける。次に、クラブヘッドをインサート35がそのままの状態で金型から取り出す。変形例として、液体成形材料に代えて、複合材又は他の軽量材料のプライを用いても良い。成形時間及び成形温度は、用いられる材料、形成されるべき部品の厚さ及び当業者には知られている他の要因に応じて様々であろう。金型は、クラブヘッドを設計者によって要望される他の部品、例えばインフレート可能な袋を有するのが良い。成形プロセスが完了した後又は成形プロセスが完全に完了する前に、所望ならば、袋をデフレートさせてクラブヘッド本体に設けられている小さな穴を介して取り出し、この穴は、後で充填し又は覆う。また、変形例として、金型を部分的に金型部品で形成しても良く、これら金型部品を例えばフェースに設けられた開口部を介して後でクラブヘッド内部から取り出し、この開口部を後でインサートにより覆う。成形材料は、開口部全体に沿ってクラブヘッドの他の(「大きいほうの」)部分に接触する必要はないことは注目されるべきである。これとは異なり、大きいほうの本体と小さいほうの本体の接触関係は、結果的に得られるゴルフクラブの機械的健全性及び構造的健全性を維持するためには、必要とされる程度の強さを必要とするに過ぎない。この制限された接触領域は、例えば、インフレート可能な袋を用いることにより達成できる。上述の本発明の特徴、例えば、重り23,26,28を同時成形ソール12にも用いることができる。
【0038】
必要な材料の量及び数を減少させることに加えて、同時成形は又、有利には、ゴルフクラブヘッドを設計者により従来用いられていない材料の使用を可能にする。例えば、軽量インサート材料として半透明なプラスチック材料を使用することができる。また、成形材料の厚さを減少させることができる。例えば、同時成形インサートの厚さは、1〜1.2mmであるのが良い。成形インサートは、例えば滑らかな内面及び異形外面又は異形内面及び滑らかな外面を提供することにより、漸変厚さを有しても良い。半透明な材料を用いる場合、インサートの厚さを変化させることにより色付け及び(又は)陰影付けを変化させることができる。
【0039】
各ソールインサート105は、好ましくは、0.5グラム〜10グラム、より好ましくは1グラム〜5グラムの質量を有する。ソールインサート305及び他のインサートは、余分な接着剤のための場所を提供するよう僅かに斜切され又は段付けされるのが良い。一実施形態では、トウ側ソールインサート26及びヒール側ソールインサート28は各々、4グラム〜7グラムの好ましい質量を有し、中間インサートソール27は、2グラム〜3グラムの好ましい質量を有する。一実施形態では、クラブヘッドコンポーネントの厚さは、壁がフェース11寄りに厚く且つクラブヘッド1の後部寄りに薄くなるようにテーパが付けられる。かかる肉厚のテーパにより、クラブヘッド1内の有利な配置のための質量分が空けられる。
【0040】
本発明の別の特徴では、フェース11は、比較的広く作られる。広いフェース11を設けることにより、例えばクラブヘッドのスイートスポットのサイズが増大すると共にクラブヘッド中心線から一層遠ざかった重り部材の有利な配置が可能になるのでクラブヘッドのプレー性及び寛容度が向上する。ゴルフ規則の管理又は統治団体は、クラブヘッドのヒールからトウまでの最大距離を5インチ(12.7cm)と考え、更に、クラブヘッドのソールからクラウンまでの最大距離を2.8インチ(7.112cm)と考えている。かくして、図13及び図14に示す好ましい実施形態では、フェースは、5インチの長さFL(即ち、フェース11の幅の最も広い部分に沿うヒール−トウ方向の測定値)を有すると共に2.8インチの高さFH(即ち、フェース11の最も高い部分に沿うソール−クラウン方向における測定値)を有する。これら寸法は規則に準拠しようとするには僅かに小さいのが良い。例えば、フェース長さFLは、4.5〜5インチ(10.16〜12.7cm)、より好ましくは4.8〜5インチ(12.19〜12.7cm)であるのが良く、フェース高さFHは、2.5〜2.8インチ(6.35〜7.112cm)、好ましくは2.65〜2.8インチ(6.731〜7.112cm)であるのが良い。フェース11の寸法は、アスペクト比としても表すことができ、このアスペクト比は、フェース長さFLとフェース高さFHの比である。フェース11に関するアスペクト比は、好ましくは、1.5〜2、より好ましくは1.7〜1.9である。フェース寸法は、フェース表面積の測定値としても表すことができる。好ましくは、フェース表面積は、40cm2以上、より好ましくは45cm2以上、更により好ましくは50cm2以上である。フェース表面積に関する好ましい範囲は、40cm2〜60cm2である。好ましい一実施形態では、フェース表面積は、約54cm2である。
【0041】
大きなフェース11(即ち、ヒール−トウ寸法(FL)において幅が広く且つソール−クラウン寸法(FH)において高い)を有することに加えて、クラブヘッド1は、フェース−リヤ寸法においても長いのが良い。長いクラブヘッド本体10を設けることにより、クラブヘッドの重心が、フェースから後方に移され、それにより、結果として得られるゴルフクラブのプレー性が一段と向上する。これは又、フェース11の遙か後ろの、一実施形態では、クラブヘッド中心線から離れた重りの有利な配置を可能にする。ゴルフ規則の管理又は統治団体は、クラブヘッドのヒールからトウまでの距離がフェースからバックまでの距離よりも長くなければならないと考えている。かくして、好ましい実施形態では、クラブヘッド深さHDは、クラブフェース幅よりも少し小さい。クラブヘッド深さHDに関する好ましい寸法は、4.5〜5インチであるのが良く、より好ましくは、4.8〜5インチである。好ましくは、クラブヘッド深さHDは、クラブヘッドフェース長さFLの±0.25インチ(6.35mm)である。
【0042】
好ましくは、クラブヘッド寸法は、次の要素、即ち、
・ヒール及びトウ(寸法FL)及び
・フェース及びバック(寸法HD)の最も外側の箇所の垂直投影像相互間の水平線で且つソール及びクラウン(寸法FH)の最も外側の箇所の水平投影像相互間の垂直線に関して測定される。
【0043】
CORは、ゴルフクラブ、特にウッドタイプゴルフクラブ、例えばクラブヘッド1の重要な特性である。CORは、2つの互いに衝突する物体、この場合、ゴルフクラブとゴルフボールとの間のエネルギーの伝達効率の尺度である。エネルギー伝達効率、即ち、CORが増大すると、初期ボール速度及びボール飛行距離が増大する。ゴルフショットの際、クラブフェース及びゴルフボールは、インパクト時に変形する。クラブフェースが、変形し、次に、ボールが回復する以上に回復することができる。衝突の力学又は物理学の究極的な目的は、ボールが持続する変形量を制限することである。というのは、ボールに生じる熱等に起因してエネルギーが完全衝突状態から失われるからである。打撃フェース11がフェース11の多くの割合にわたりできるだけ多く変形し又は撓むことができるようにすることにより、性能の高い打撃フェース11を製作することができる。クラブフェースの変形量が増大すると、クラブヘッドのCOR及びボールに及ぼされる力も増大する。本発明の広いクラブヘッド1は、好ましくは、大きなCOR、例えば0.8以上、より好ましくは0.82以上のCORを有する。好ましい特定のCOR値の1つは、0.83であり、これは、ゴルフの管理又は統治団体によって許可されている最大限度である。
【0044】
クラブフェース11の幅(ヒール−トウ)の増大及びクラブヘッド1の長さ(フロント−バック)の増大により、クラウン13は、増大した表面積を有する。このクラウン表面積は、好ましくは、100cm2以上、又は約100cm2〜150cm2であり、例示のクラウン表面積の1つは、約107cm2である。さらに、クラブヘッドの後部のところのクラウン−フェース交点からクラウン−スカート交点までのクラブヘッド1の実質的に中心のところの距離は、4インチ(10.16cm)以上である。より好ましくは、この距離は、4.25インチ(10.795cm)以上、より好ましくは4.5インチ(11.43cm)以上である。この距離は、クラブフェース11に垂直であり、例えば、クラブフェース11の重心を通る垂直平面内におけるクラウンに沿う軌跡として測定できる。
【0045】
上述したように、正しくバランスをとった大型のクラブヘッドを提供した結果として、クラブのプレー性及び寛容度が高くなる。クラブヘッド1は、好ましくは、400cm3以上の体積を有する。より好ましくは、このクラブヘッド体積は、425cm3以上である。さらにより好ましくは、クラブヘッドの体積は、450cm3以上である。ゴルフ規則の管理又は統治団体は、クラブヘッドは、10cm3の許容誤差で460cm3を超えてはならないと考えている。かくして、クラブヘッド体積は、管理又は統治団体によって課される制限を満たす必要がある。
【0046】
クラブヘッドの重心をソール12寄りに位置決めすると共にクラブヘッドMOIを増大させ、それによりクラブヘッド1の寛容度及びプレー性を向上させるようにするため、クラブヘッド1のクラウン13は、独特な設計を有するのが良い。本発明のこの特徴によれば、クラブヘッドの外周の少なくとも35%が、クラブヘッドの重心の下に配置される。本明細書で用いる「外周」という用語は、クラウン13の最も外側の領域のアーク長(弧長)として定義される。この特徴は、図15〜図17に示されている。まず最初に図15を参照すると、クラブヘッド1(クラウン13が省かれている)の背面図が示されている。クラブヘッドの重心CGを通る水平面HPが、基準目的で示されている。図15のクラブヘッドのヒール側の図を示す図16で理解されるように、クラブヘッド本体10及びクラウン13(図示せず)は、クラブヘッド1のフロント部分からリヤ部分まで下方に傾斜している。図17は、クラウン13が定位置にある状態の図15のゴルフクラブヘッドの平面図である。傾斜したクラウンプロフィールに起因して、クラウン13の大部分は、クラブヘッドの重心CGの下に位置している。クラウン13の外周は、2つのアーク長A1,A2で構成されている。図17では、太い実線で示されたA1は、クラブヘッドの重心CGの上に位置するクラウン外周の部分を示している。図17に太い破線で示されたA2は、クラブヘッドの重心CGの下に位置するクラウン外周の部分を示している。図17に示す例示の実施形態では、クラウン外周の35%が、クラブヘッドの重心CGの下に位置する。別の好ましい実施形態では、クラウン外周の40%は、クラブヘッドの重心CGの下に位置する。さらに別の好ましい実施形態では、クラウン外周の45%は、クラブヘッドの重心CGの下に位置する。別の好ましい実施形態では、クラブヘッド1のリヤ高さは、クラブヘッドのフロント高さの25%以下である。
【0047】
結果として得られるゴルフクラブの通常の使用中に生じる応力及び歪みを吸収すると共に伝達する構造的又は補剛リブ40を設けるのが良い。かかるリブ40に有利な配設場所の1つは、湾曲した凸状プロフィール(クラブヘッド1の上からみて)を有するクラウンの中央部分に沿った場所である。リブ40がゴルフクラブの使用中に生じる応力及び歪みの大部分を受け持つので、クラウン13の他の部分は、ゴルフクラブのプレー性を促進するよう設計できる。例えば、クラウン13は、凹状ディンプルD1,D2を有するのが良い。ディンプルD1,D2は、クラウンプロフィールを下に下げ、それにより、クラブヘッドの重心が下に下がる。クラブヘッドトウの方へずらされたディンプルD1に関する好ましい寸法は、深さDD1については2.9〜3.5インチ(7.366〜8.89cm)であり、3〜3.3インチ(7.62〜8.382cm)がより好ましく、幅DW1については、2.2〜2.6インチ(5.588〜6.604cm)であり、2.3〜2.5インチ(5.842〜6.35cm)がより好ましい。クラブヘッドヒールの方へずらされたディンプルD2についての好ましい寸法は、深さDD2については、2.8〜3.4インチ(7.112〜8.636cm)であり、3.1〜3.3インチ(7.874〜8.382cmが、より好ましく、幅DW2については、1.9〜2.3インチ(4.826〜5.842cm)であり、2〜2.2インチ(5.08〜5.588cm)が、より好ましい。変形例として、ディンプルD1,D2は、同一であっても良い。しかしながら、バランスが正しくとれたクラブヘッドを達成するため、ホーゼル15の存在及びクラブヘッドのパー(規準打数)エリアのような要因に照らして、ディンプルD1,D2は、上述したように異なる寸法及び形状のものであるのが良い。好ましくは、ソール12から測定した重心の高さCGHは、1インチ(2.54cm)未満である。変形例として、重心高さCGHは、0.7〜1.1インチ(1.778〜2.54cm)であり、より好ましくは、0.8〜0.9インチ(2.032〜2.286cm)である。これらの技術的思想は、図18に示されており、図18は、ゴルフクラブヘッドの正面図であり、3つの断面図を含む。断面A−Aは、クラブヘッドの中央部分を通り、断面B−Bは、クラブヘッドのトウ部分を通り、断面C−Cは、クラブヘッドのヒール部分を通っている。
【0048】
クラブヘッドの上方部分から重量を更に除くため、クラウン又はクラウンの部分を例えば上述の第2の本体部材102に関して説明した軽量材料で構成するのが良い。クラウン13全体をかかる軽量材料で作るのが良く、或いは、クラウンの所々だけ、例えばディンプルD1及び(又は)D2を軽量材料で作るのが良い。「軽量材料」という用語は、金属又は他の典型的に重い材料の薄い部分を含むことは注目されるべきである。上述したクラウン13の湾曲プロフィールは、クラウン13の構造的健全性が維持されるようにするのに役立つ。また、上述のクラブヘッドの属性は、有利なMOIをクラブヘッド1に与える。好ましくは、クラブヘッド1は、クラブヘッドの重心を通る水平軸線回りに260kg・mm2以上のMOI及びクラブヘッドの重心を通る垂直軸線回りに420kg・mm2以上のMOIを有する。より好ましくは、これらMOIの値は、それぞれ、270kg・mm2及び450kg・mm2である。より好ましくは、MOIの値は、それぞれ、280kg・mm2及び470kg・mm2である。MOIの上限は、それぞれ、350kg・mm2及び550kg・mm2であるのが良い。
【0049】
原文明細書において、本発明の説明の関連で用いられる“a”、“an”及び“the”及び類似の文字は、もし別段の指示がなく又は明らかに文脈と矛盾しなければ、単数と複数の両方を含むものと理解されるべきである。本明細書に記載した値の範囲は、もし別段の指示がなければ、個々にこの範囲に属する別々の値の各々を参照する手短な方法として役立つに過ぎず、別々の値は各々、あたかもこれが個々に本明細書において記載されていたかのように本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書において方向を表す表現、リヤ(後)、フロント(前)、下方等は、アドレス位置で地面においたときのクラブヘッドに関してのものである。これについては、例えば、図9を参照されたい。方向を表す用語は、本明細書において開示した本発明の技術的思想の理解を容易にするために記載されており、本発明を限定するのものと解釈されてはならない。
【0051】
本発明の好ましい実施形態を上述したが、これら実施形態は例示として与えられているに過ぎず、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これら実施形態の形態及び細部における種々の変更例を想到できる。例えば、2つの本体部材を上述したが、本発明は、3つ以上の本体部材を有するクラブヘッドに具体化できる。加うるに、本発明は、図示のウッドタイプクラブに加えて任意のタイプのクラブに具体化できる。かくして、本発明は上述の例示の実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲の本発明の範囲及びこれらの均等範囲によってのみ定められるべきである。さらに、本発明の或る特定の利点を本明細書において説明したが、本発明の任意の特定の実施形態に従ってかかる利点を必ずしも全て達成できるとは限らないことは理解されるべきである。かくして、例えば、当業者であれば、本発明は、本明細書において教示され又は示唆された他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書において教示された1つの利点又は利点の組合せを達成し又は最適化する仕方で具体化でき又は実施できることは認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のゴルフクラブヘッドを示す図である。
【図2】図1のゴルフクラブヘッドの本体部材を示す図である。
【図3】本発明の第2のクラブヘッドを示す図である。
【図4】図3のゴルフクラブヘッドの底面図である。
【図5】本発明のクラブヘッドの底面側斜視図である。
【図6】図5のクラブヘッドの背面図である。
【図7】図5のクラブヘッドのヒール側側面図である。
【図8】図5のクラブヘッドの概略底面図である。
【図9】図5のクラブヘッドの断面正面図である。
【図10】本発明のゴルフクラブヘッドの底面図である。
【図11】本発明のゴルフクラブヘッドの底面図である。
【図12】図11のゴルフクラブヘッドの12−12線矢視断面図である。
【図13】本発明のゴルフクラブヘッドの正面図である。
【図14】図13のゴルフクラブヘッドの平面図である。
【図15】クラウンを省いた状態の本発明のゴルフクラブヘッドの背面図である。
【図16】図15のゴルフクラブヘッドのヒール側の図である。
【図17】クラウンが定位置にある状態の図15のゴルフクラブヘッドの平面図である。
【図18】本発明のゴルフクラブヘッドの正面図であり、ゴルフクラブヘッドの3つの断面図を含む。
【符号の説明】
【0053】
1 ゴルフクラブヘッド
10 本体
11 打撃フェース
12 ソール
13 クラウン
14 スカート
15 ホーゼル
16 内容積部
20 凹み部分
22 凸状膨らみ
23 インサート
26,28 補助重り
101 第1の本体部材
102 第2の本体部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
金属材料で作られ、開口部が形成された第1の本体部分と、
前記開口部内に位置決めされた状態で、接着剤又は溶接部を用いないで同時成形により前記第1の本体部分に接合されたインサートとを有する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記インサートが軽量材料で作られている、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記軽量材料は、複合材、ポリプロピレン、ケブラー、マグネシウム、熱可塑性樹脂、プラスチック、ポリマー、及び低密度金属合金のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1の本体部分には、第2の開口部が形成され、前記ゴルフクラブヘッドは、前記第2の開口部内に収納された第2のインサートを更に有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2のインサートは、複合材、ポリプロピレン、ケブラー、マグネシウム、熱可塑性樹脂、プラスチック、ポリマー、及び低密度金属合金のうちの1つ又は2つ以上を含む軽量材料で作られている、請求項4記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ゴルフクラブヘッドは、ソールを有し、前記ソールのトウ側に位置決めされた第1の重りインサートと、前記ソールのヒール側に位置決めされた第2の重りインサートとを更に有し、前記第1及び前記第2の重りインサートは各々、2グラム〜35グラムの質量を有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ソール上の中心点は、前記ゴルフクラブヘッドの最も下の点を定め、
前記第1及び前記第2の重りインサートの各々の重心は、前記中心点よりも少なくとも0.5インチ(12.7mm)後方のところに位置し、前記第1の重りインサートについては前記中心点から前記ゴルフクラブヘッドのトウに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)、前記第2の重りインサートについては前記中心点から前記ゴルフクラブヘッドのヒールに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)のところに位置し、且つ前記中心点よりも最大0.25インチ(6.35mm)上方のところに位置している、請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ゴルフクラブヘッドは、表面積が40cm2よりも大きなフェースを有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドは、表面積が100cm2よりも大きなクラウンを有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ゴルフクラブヘッドは、打撃フェース及びソールを有し、
前記打撃フェースは、表面積が40cm2よりも大きく、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記ソールよりも約1インチ(25.4mm)以下の距離上方のところに位置する重心を有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記ゴルフクラブヘッドは、ヒール−トウ方向に測定した深さを有する打撃フェースを有すると共に前記ゴルフクラブヘッドは、フェース−リヤ方向に測定した深さを有し、
前記深さは、4.5〜5インチ(11.43〜12.70cm)であり、
前記幅は、4.5〜5インチ(11.43〜12.70cm)である、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記深さは、前記幅の±0.25インチ(6.35mm)以内である、請求項11記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記ゴルフクラブヘッドは、ソール−クラウン方向で測定して2.5〜2.8インチ(6.35〜7.11cm)の高さを有する打撃フェースを有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前記ゴルフクラブヘッドは、1.5よりも大きなアスペクト比を備えた打撃フェースを有する、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
前記ゴルフクラブヘッドは、重心、外周を備えたクラウン、及びソールを有し、前記外周の少なくとも35%は、前記重心のソール側に位置している、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
ゴルフクラブヘッドを製作する方法であって、
開口部を有する初期クラブヘッド本体を用意し、
前記初期クラブヘッド本体を金型内に位置決めし、
成形材料を前記開口部に隣接して前記金型内に挿入し、
前記成形材料を成形し、
前記ゴルフクラブヘッドを前記金型から取り出すステップことを含む、
方法。
【請求項17】
袋を前記初期クラブヘッド本体内に入れた状態で前記金型内に挿入することを更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記初期クラブヘッド本体を用意する工程が、前記開口部が前記初期クラブヘッドのスカート領域内に位置する初期クラブヘッド本体を用意することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記初期クラブヘッド本体を用意する工程が、前記開口部が前記初期クラブヘッドのクラウン領域内に位置する初期クラブヘッド本体を用意することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記挿入工程が、流体成形材料を前記金型内に挿入することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記挿入工程が、複数種類の流体材料を混合し、前記混合流体を前記金型内に挿入することを更に含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記挿入工程が、複合材料の1枚又は2枚以上のプライを前記金型内に位置決めすることを含む、請求項16記載の方法。
【請求項23】
前記初期クラブヘッド本体を用意する工程が、材料を前駆体としてのクラブヘッド本体から除去して前記初期クラブヘッド本体を形成することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
ゴルフクラブヘッドであって、打撃フェース、ソール、クラウン、ヒール、及びトウを備えた本体を有し、前記打撃フェースは、ヒール−トウ方向に測定した幅及びソール−クラウン方向に測定した高さを有し、
前記打撃フェースは、40cm2よりも大きな表面積を有し、
前記幅を前記高さで除算して定められるアスペクト比は、1.5よりも大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項25】
前記表面積は、45cm2よりも大きい、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項26】
前記表面積は、50cm2よりも大きい、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項27】
前記アスペクト比は、1.7よりも大きい、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項28】
前記クラウンの表面積は、100cm2よりも大きい、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項29】
前記クラウンの少なくとも一部分は、複合材、ポリプロピレン、ケブラー、マグネシウム、熱可塑性樹脂、プラスチック、ポリマー、及び低密度金属合金から成る群から選択された材料で作られたインサートである、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項30】
前記ソールの少なくとも一部分は、複合材、ポリプロピレン、ケブラー、マグネシウム、熱可塑性樹脂、プラスチック、ポリマー、及び低密度金属合金から成る群から選択された材料で作られたインサートである、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項31】
前記ソールのトウ側に位置決めされた第1の重りインサートと、前記ソールのヒール側に位置決めされた第2の重りインサートとを更に有し、前記第1及び前記第2の重りインサートは各々、2グラム〜35グラムの質量を有する、請求項24記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項32】
前記ソール上の中心点は、前記ゴルフクラブヘッドの最も下の点を定め、
前記第1及び前記第2の重りインサートの各々の重心は、前記中心点よりも少なくとも0.5インチ(12.7mm)後方のところに位置し、前記第1の重りインサートについては前記中心点から前記ゴルフクラブヘッドのトウに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)、前記第2の重りインサートについては前記中心点から前記ゴルフクラブヘッドのヒールに向かって少なくとも0.75インチ(19.05mm)のところに位置し、且つ前記中心点よりも最大0.25インチ(6.35mm)上方のところに位置している、請求項31記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項33】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、ソールと、クラウンとを備えた本体を有し、
前記打撃フェースは、40cm2よりも大きな表面積を有し、前記ゴルフクラブヘッドは、前記ソールよりも約1インチ(2.54cm)以下の距離上方に位置する重心を有する、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項34】
前記表面積は、45cm2よりも大きい、請求項33記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項35】
前記打撃フェースのアスペクト比は、1.5よりも大きい、請求項33記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項36】
前記ゴルフクラブヘッドは、400cm3よりも大きな体積を有する、請求項33記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項37】
前記体積は、425cm3よりも大きい、請求項36記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項38】
前記クラウンの表面積は、100cm2よりも大きい、請求項33記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項39】
実質的に前記ゴルフクラブヘッドの中心でクラウン−フェース交点から前記クラウンの後縁まで測った距離は、4インチ(10.16cm)よりも大きい、請求項33記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項40】
前記距離は、4.25インチ(10.80cm)よりも大きい、請求項39記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項41】
ゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、クラウンと、ソールと、ヒールと、トウと、リヤとを備えた本体を有し、前記打撃フェースは、ヒール−トウ方向に測定した幅を有し、前記ゴルフクラブヘッドは、フェース−リヤ方向に測定した深さを有し、
前記打撃フェースは、40cm2よりも大きな表面積を有し、
前記深さは、4.5〜5インチ(11.43〜12.70cm)である、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項42】
前記深さは、前記幅の±0.25インチ(6.35mm)以内である、請求項41記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項43】
前記深さは、4.5〜5インチ(11.43〜12.70cm)であり、
前記幅は、4.5〜5インチ(11.43〜12.70cm)である、請求項41記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項44】
前記表面積は、45cm2よりも大きい、請求項41記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項45】
前記打撃フェースは、ソール−クラウン方向で測定して2.5〜2.8インチ(6.35〜7.11cm)の高さを有する、請求項41記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項46】
前記クラウンの表面積は、100cm2よりも大きい、請求項41記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項47】
重心を備えたゴルフクラブヘッドであって、
打撃フェースと、ソールと、クラウンとを備えた本体を有し、前記クラウンは、外周を有し、
前記外周のうちの少なくとも35%は、前記重心のソール側に位置している、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項48】
前記外周の少なくとも40%は、前記重心のソール側に位置している、請求項47記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項49】
前記クラウンは、補剛リブ及び少なくとも1つの凹み領域を有する、請求項47記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項50】
前記クラウンの上から見て、前記補剛リブは、凸プロフィールを有し、前記凹み領域は、凹プロフィールを有する、請求項49記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項51】
前記クラウンは、2つの凹み領域を有し、前記凹み領域は各々、2.8〜3.5インチ(7.11〜8.89cm)の深さ及び1.9〜2.6インチ(4.83〜6.60cm)の幅を有する、請求項49記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項52】
前記凹み領域のうちの第1の凹み領域は、2.9〜3.5インチ(7.37〜8.89cm)の深さ及び2.2〜2.6インチ(5.59〜6.60cm)の幅を有し、
前記凹み領域のうちの第2の凹み領域は、2.8〜3.4インチ(7.11〜8.64cm)の深さ及び1.9〜2.3インチ(4.83〜5.84cm)の幅を有する、請求項51記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項53】
前記凹み領域は各々、同一寸法のものである、請求項51記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項54】
前記補剛リブは、前記重心のクラウン側に位置し、前記凹み領域は、前記重心のソール側に位置している、請求項49記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項55】
前記打撃フェースは、40cm2よりも大きな表面積を有する、請求項47記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項56】
前記ゴルフクラブヘッドは、フロント高さ及び前記フロント高さの25%以下のリヤ高さを有する、請求項47記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項57】
重心を備えたゴルフクラブであって、
打撃フェースを備えた本体を有し、
前記打撃フェースは、40cm2よりも大きな表面積を有し、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記重心を通る垂直軸線回りに260kg・mm2よりも大きな慣性モーメントを有する、ゴルフクラブヘッド。
【請求項58】
前記ゴルフクラブヘッドは、前記重心を通る水平軸線回りに420kg・mm2よりも大きな慣性モーメントを有する、請求項57記載のゴルフクラブヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−114080(P2008−114080A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−311561(P2007−311561)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】