ゴルフシミュレータ、ゴルフゲーム装置及びプログラム
【課題】実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができると共に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行うことが可能なゴルフシミュレータを提供する。
【解決手段】仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、ボールがショットされる前に、仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、ボールがショットされた後に、弾道におけるボールの移動速度に基づいて標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備える。
【解決手段】仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、ボールがショットされる前に、仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、ボールがショットされた後に、弾道におけるボールの移動速度に基づいて標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤによる実際のゴルフショットを表すデータを用いてゴルフプレイをシミュレートする機能を備えたゴルフシミュレータに関し、特に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行えるようにしたゴルフシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフや野球、射撃などの体験をシミュレートすることを目的としたシミュレータ(シミュレーション装置)は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、ゴルフの場合は、実際のボールとクラブを使って、スクリーンに投影されたゴルフコースに向かって打ち込んでプレイする形態のゴルフシミュレータが知られている。このようなゴルフシミュレータにおいては、例えば、ボールのショット位置とスクリーンとの間に複数のカメラを予め配置しておき、プレイヤがクラブでボールを打球する様子を複数方向から撮影し、それらの画像データを基にコンピュータ等によってボールの運動軌跡を解析し、解析した運動軌跡に基づいて、仮想空間内のゴルフコースをボールが飛んでいく様子をスクリーン上に表示させるようにしている(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
ボールの運動軌跡を解析する手法としては、例えば特許文献1には、ボール(飛翔体)の発射速度と各画像フレーム上の飛翔体の速度を算出すると共に、スクリーンへのボールの衝突と跳ね返り角度に基づいてボールの回転を算出し、ボールの3次元位置,発射速度,加速度及び回転と共に、曲がった及び/又は弧状を描くボールの現実的なシミュレーションが生成されるように、ボールの正確な軌道を推定することが開示されている。また、特許文献2には、多重撮影されたボールとクラブの外形形状の認識を行い、空気抵抗,重力,ボールスピード,飛出し角度,スピン量などを考慮したボールの弾道計算を行い、ボールの飛行位置を計算することが開示されている。
【0004】
一方、正確な軌道を画面上に表示するだけでは単純なゲーム内容となるため、例えば銃器の形状を有するゲームコントローラを用いたシューティングゲーム装置においては、ゲーム性を高めるために、画面上に表示される軌道を変化させるようにしたものがある(例えば特許文献3を参照)。特許文献3には、3次元ゲーム空間に配置される複数の標的オブジェクトに弾丸を命中させるシューティングゲーム装置において、弾丸が複数の標的オブジェクトのいずれかに命中した場合に、例えば他の標的オブジェクトに再び命中するのが困難となるように、弾丸軌道データに変更を加えることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−38000号公報
【特許文献2】特開平4−241885号公報
【特許文献3】特開2003−71135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなゴルフシミュレータにおいては、室内で実際のゴルフコースでプレイしているのと同様の状態で手軽にプレイを楽しむことが可能となる。また、プレイヤがショットしたボールの軌道を正確に算出して、仮想空間内のゴルフコースをボールが飛んでいく様子をスクリーン上に表示するようにしているので、実戦に近い練習を行うことができる。
【0007】
しかしながら、従来のゴルフシミュレータは、実際のゴルフプレイを忠実にシミュレートするようにしており、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができなかった。また、ストレートボールの練習を効果的に行い得るようにしたものは、従来のゴルフシミュレータでは実現されていなかった。例えば特許文献3の技術を適用して、ショット後のボールがストレートボールとなるように弾道に変更を加える方法も考えられるが、それでは、実際のゴルフボールの弾道と明らかに変わってしまうため、面白みに欠けてプレイヤの満足度を満たすことができず、ゴルフの練習にもならないという問題が生じる。
【0008】
本発明は上述のような問題に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができると共に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行うことが可能な、ゴルフシミュレータ及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゴルフシミュレータ、ゴルフゲーム装置及びそのプログラムに関するものであり、ゴルフシミュレータに関しては、本発明の上記目的は、仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備えることによって達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、
前記弾道における前記ボールの移動速度に対応する前記標的オブジェクトの配置パターンを格納したテーブルを備え、前記標的配置手段は、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記テーブルから抽出した前記配置パターンに則して、前記標的オブジェクトを再配置すること、
前記標的配置手段は、前記ボールがショットされる前に、前記標的オブジェクトを前記奥方向に向けて直線状に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトの垂直方向の座標位置のみを変更する再配置処理を実行すること、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0011】
また、ゴルフゲーム装置に関しては、本発明の上記目的は、プレイヤがクラブを用いてボールをショットしたことに応答して仮想空間内のゴルフコースにおいて仮想球が打ち出されるゴルフゲームのプログラムが実行されるゴルフゲーム装置であって、仮想空間内に標的となる複数の標的オブジェクトを、打ち出された前記仮想球が進行する方向に並べて配置する標的配置手段と、前記複数の標的オブジェクトを含む仮想空間内の様子を仮想視点から見たゲーム画像を生成する画像生成手段と、前記プレイヤによって前記ボールがショットされる前に、前記画像生成手段により生成された前記ゲーム画像を画面に表示する表示手段と、前記ゲーム画像が表示された前記画面に向かってプレイヤがボールをショットしたことを検出する検出手段と、前記検出手段から検出信号に基づいて、前記プレイヤがショットしたボールの移動速度を算出する手段と、を備え、前記標的配置手段は、前記ボールの前記移動速度に基づいて、前記仮想球が打ち出される前の配置から変化させた新たな複数の前記標的オブジェクトの配置を決定し、前記画像生成手段は、打ち出された前記仮想球が移動すると共に、移動した前記仮想球が前記標的オブジェクトに順次衝突するゲーム画像を生成し、前記表示手段は、前記プレイヤによって前記ボールがショットされた後に、前記仮想球と前記標的オブジェクトとが衝突するゲーム画像を表示すること、によって達成される。
【0012】
また、プログラムに関しては、本発明の上記目的は、仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータとしてコンピュータを実行させるプログラムであって、前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手順をコンピュータに実行させるプログラムを含むこと、によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的オブジェクトに対して打球を当てて何枚の標的が割れるかを競えるようにすると共に、ボールがショットされた後にボールの移動速度に基づいて標的を配置し直すようにしている。そのため、ストレートボールとなるショットをすれば、多くの標的が割れるように標的の配置を制御することが可能になり、また、打球速度が速い程、多くの標的が割れるように制御することが可能になる。そのため、プレイヤは、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができると共に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は、本発明に係るゴルフシミュレーション装置(ゴルフゲーム装置)10(以下、「ゴルフシミュレータ」と呼ぶ)の全体構成の一例を概略的に示す模式図であり、図1は外観斜視図、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は正面図である。
【0016】
先ず、図1を参照して本発明に係るゴルフシミュレータの概要を説明する。
【0017】
本発明におけるゴルフシミュレータは、ゴルファー(以下「プレイヤ」と呼ぶ)による実際のゴルフショットの検出データを用いてゴルフプレイをシミュレートする機能を備えた装置である。本実施の形態では、図1に示すように、プレイヤ1が実物のボールとクラブとを使い、眼前のスクリーン11に投影されたゴルフコースに向かってボールをショットすると、ショットされたボールの弾道をセンサ等によって検出すると共に、その検出データに基づくコースで仮想空間内を打球(仮想球)が飛んで行く様子をシミュレートし、スクリーン11上に表示するようにしている。
【0018】
プレイヤ1がゴルフをプレイする遊技室20は、本例ではネットや硬質の透明パネル若しくは板等で仕切られて直方体状に形成されており、遊技室20の床面は、衝撃を吸収するクッション材で構成されている。また、スクリーン11の両側の壁面及び扉側の壁面は、ミスショットなどによるボールの跳ね返りを防止するために、図2(A)に示すように、全面がクッション材やゴルフネット21で被覆されている。本例でのゴルフネット21は、2枚のネットを層設して形成された二重ネットで構成されている。
【0019】
その二重ネット21等により安全性が考慮された遊技室20の閉空間内には、ゴルフシミュレータの機器として上記スクリーン11の他に、図2(A)に示すように、遊技室20内のボール3のショット位置近傍に立ったプレイヤ1から見たゴルフコースなどの画像をスクリーン11に投影するための投影部(表示手段)12と、プレイヤによって操作される操作部13と、プレイヤ1によってショットされたボール3の速度や弾道等を検出するためのゴルフショット検出部(検出手段)14とが配設されている。
【0020】
遊技室20には、その他、プレイヤ1がボール3をショットした時の音などプレイ中の効果音等を出力するための音響出力部が室内の所定位置に設置されると共に、ゴルフシミュレータ全体の動作やゴルフのシミュレーション処理の実行などを制御する制御部が、スクリーン11の後方若しくは操作部13の筐体(操作ボックス)内部、或いはネットワークを介して遠隔地に設置されている。また、付加的な構成として、操作ボックスの筐体又は他の筐体に、投入口から投入されたコイン(硬貨若しくはメダル)の識別や計数処理等を行うコイン識別装置等から成るコイン処理部を設置できるようにしている。
【0021】
次に、本発明に係るゴルフシミュレータによって、仮想空間で展開されるゴルフについて説明する。
【0022】
プレイヤによる実際のゴルフショットと連動して仮想空間で展開されるゴルフは、本実施の形態では、1回のゴルフショットでプレイ結果が決定するゴルフである。具体的には、ゴルフシミュレータの制御モードが「実践モード」で実行される模擬ゴルフと、制御モードが「ゲームモード」で実行されるゴルフショットゲームとがある。模擬ゴルフとしては、ニアピン競技をシミュレートした模擬ゴルフ(以下「ニアピン球技」と呼ぶ)と、ドライビングコンテンストの競技をシミュレートした模擬ゴルフ(以下「ドラコン球技」と呼ぶ)とが用意されている。ゴルフショットゲームは、実際のゴルフに必要な要素をミニゲーム化したゲームであり、そのゴルフショットゲームとしては、実際のゴルフショットによって、空中を漂う標的(スクリーン11上の的)にボールを当てるゲームや、グリーン上に設定された標的の領域内にボールを落下させるゲームなど、複数種のゲームが用意されている。なお、仮想空間で展開されるゴルフの処理については、機能ブロック図等を用いて後述する。
【0023】
次に、ゴルフシミュレータ10の主要部の構成について説明する。
【0024】
図3は、本発明に係るゴルフシミュレータ10の構成を概略的に示すブロック図であり、同図を参照して各部の構成を説明する。図3において、ゴルフシミュレータ10は、前述のスクリーン11(標的部)、投影部12、操作部13、ゴルフショット検出部14、音響出力部15、及び制御部16を備えている。
【0025】
スクリーン11は、投影部12から投影された画像を表示するための映像表示媒体として機能すると共に、プレイヤが打込んだボールの衝突エネルギーを吸収してボールの跳ね返りを防止する衝撃緩衝媒体として機能する。本実施の形態では、スクリーン11は、幅が3,600mm程度、高さが2,700mm程度の大きさを有する矩形状のスクリーンであり、例えばスクリーン上端部が支持されて、天井枠体部から吊下げた状態で設置されている。
【0026】
投影部12は、スクリーン上に画像を投影表示する投影手段としてのプロジェクタ12a等から構成される。プロジェクタ12aは、本実施の形態ではフロント投影型のDLP(Digital Light Processing)プロジェクタであり、1280×1024ピクセルの画面解像度を有するSXGA(Super Extended Graphics Array)のプロジェクタ(画面の縦横比率=4:3)を用いている。
【0027】
操作部13は、後述する初心者モードへの切替を指示するための「ビギナーボタン」を備えている。操作ボタンが設けられている操作部13は、本例では、図2(A)及び(C)に示すように、遊技室20内の角隅に設置され、後述する「初心者モード」への切替指示などをプレイヤ1がプレイ中に適時操作できるようにしている。
【0028】
ゴルフショット検出部14は、センサユニットとして、スクリーン11に向けてプレイヤ1がクラブ2でショットしたボール3を検知し、そのボール3の弾道を計算するためのデータを検出するセンサ(以下「ゴルフショット検出センサ」と呼ぶ)14aと、その検出データを外部コンピュータに送信する制御などを行うマイクロコンピュータ14bとを備えている。
【0029】
本実施の形態においては、ゴルフショット検出センサとしては、スクリーン11は透過する一方、実物のゴルフボールやクラブは反射する電波(例えばミリ波からサブミリ波帯の電波)を利用したレーダセンサを用いている。そのレーダセンサとマイクロコンピュータとを備えたゴルフショット検出部(センサユニット)14は、図2(A)中に示すように、スクリーン11の後方に設置される。ゴルフショット検出部14では、例えば、実物のボール3のショット位置からの打出角度、初速度、実空間内を移動するボール3の三次元位置、速度、及びスピン量(自転方向及び回転速度)等を検出し、その検出データを制御部16に送信する。
【0030】
音響出力部15は、音響出力手段15aとしてのスピーカやサウンドプロセッサ等から構成され、プレイヤが実物のボールをショットした時の音やゴルフゲーム中の効果音等を出力するために使用される。
【0031】
制御部16は、コンピュータ16a及びコンピュータにより実行されるプログラム16b等から構成される制御手段16Aを備えている。詳しくは、制御手段16Aは、CPUや情報記憶媒体,基本ソフトウェア等から成るコンピュータ16a、ゴルフショットと連動させた仮想空間でのゴルフの進行制御や、シミュレーション画像の生成及び表示処理など、実際のゴルフショットの検出データに基づく情報処理(各手順)をコンピュータに実行させるためのプログラム16b、ゴルフプレイのシミュレーションやゴルフゲームの実行に係る各種のデータ、及び画像処理プロセッサ等から構成される。
【0032】
制御手段16Aでは、ゴルフショット検出部14からの検出データに基づいて、ボール3の弾道を計算により検出し、プレイヤ1のゴルフショットの結果をシミュレートする。そして、計算により得た弾道のデータに基づいて仮想空間内での打球のコースを決定して、仮想空間内を打球が飛んで行く様子やゴルフコースの地面に落下して静止するまでの様子を表す画像を生成し、投影部12に出力してスクリーン11上に投影表示する処理を実行する。
【0033】
本実施の形態では、仮想空間内で擬似的に生成された3次元ポリゴンモデルの地形データ等から成るゴルフコースにおいて、遊技室20のショット位置に対応する仮想空間内でのショット位置に打者が立ったと仮定した場合の視点位置に仮想カメラを設定し、その位置から目標物(ピンやゲームの的)を捉えたときの仮想カメラの視界画像(本例ではスクリーンの画面中央に目標物が位置する視界画像)を生成し、その画像をスクリーン11上に表示するようにしている。その際、3次元の座標系から2次元の座標系へ変換してスクリーン11上に表示する技術は、公知の技術であるため、画像処理に係る詳細な説明は省略する。
【0034】
プレイヤ1のゴルフショットを検出した際には、制御手段16Aでは、仮想カメラの制御として、例えば仮想空間内を移動する打球を追跡するように仮想カメラを移動させると共に、追跡対象のボールを中心としてそのボールの後方で円を描くように仮想カメラを移動させながら、仮想カメラから捉えた打球を含む視界の映像を撮像するなど、プレイヤ1のゴルフショット(ボールの速度や打球)に応じて仮想カメラのカメラワークを制御するようにしている。
【0035】
本実施の形態では、仮想空間で展開されるゴルフとしては、前述のように1回のゴルフショットでプレイ結果が決定する「模擬ゴルフ」と「ゴルフショットゲーム」(両者を総称して「ゴルフゲーム」と呼ぶ)を対象としている。但し、これらのゴルフゲームに限定させるものではなく、一般的なゴルフの競技、すなわち、いかに少ない打数でボールをカップに入れられるかを競うゴルフの競技を対象として、ゴルフプレイをシミュレートする形態としても良い。その場合、プレイヤ1がショットした後、例えば、仮想空間内における打球落下地点を新たなショット位置として、その位置の打者(仮想カメラ)からピンの方向を見たときのゴルフコースの画像をスクリーン11上に投影表示し、次のゴルフショットを検出してゴルフプレイをシミュレートする処理を繰り返す形態となる。なお、制御手段16Aにおける詳細な処理については、機能ブロック図とフローチャートを用いて後述する。
【0036】
次に、制御手段16Aの構成について説明する。
【0037】
図4は、本発明に係る制御手段16Aの構成を説明するための機能ブロック図である。なお、制御手段16Aが有する各手段(機能)は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成やハードウェア構成を限定するものではない。
【0038】
図4において、制御モード切替手段161は、実際のゴルフショットと連動して仮想空間で展開されるゴルフゲームの制御モードを切替る手段である。本実施の形態では、制御モードとして前述の実践モードとゲームモードとを備え、更にそれらのモードの下位モードとして、初心者モードと、通常モードとを備えている。これらのモードは、操作部13に設けられている操作手段(ビギナーボタン等の操作ボタン)の操作で切替可能となっており、制御モード切替手段161では、プレイヤによる当該モードへの切替操作がされた場合は、記憶手段に記憶されているゴルフゲームの制御モードを当該モードに変更する。
【0039】
弾道検出手段162は、実物のボールとクラブとを使ってプレイヤがショットしたボールの弾道を計算によりシミュレートして検出する手段である。本実施の形態では、弾道検出手段162は、ゴルフショット検出部14(センサユニット)からの検出データを入力し、その検出データに含まれる、実空間内を移動するボール3の3次元位置,速度,スピン量(自転方向及び回転速度)等のデータに基づいて、プレイヤ1のショット位置からショットしたボールの落下地点に到る放物線状の弾道を公知の演算式により算出する。
【0040】
仮想板設置手段163は、制御モードが初心者モードの場合に、仮想空間内におけるショット位置に立っていると仮定した打者の前方に、打球を跳ね返す仮想板(ポリゴンオブジェクト)を、その板面が手前から奥方向に沿うように設置する処理を実行する手段である。その仮想板は、初心者のミスショットを補助するためのミスショット救済用のガード板であり、例えばOB区域に打球が飛んだり、眼前の地面に打球が当たって打球が地上を転がったり、低く飛び出した打球が水切り曲芸ショットのようになったりするであろう弾道を有する打球を跳ね返して、打球のコースを目標物の方向に転換する方向転換板として仮想空間内に設置される。
【0041】
ここで、仮想板の種類と設置場所について具体例を示して説明する。
【0042】
図5は、初心者モードにおいて設置される仮想板の具体例を示しており、図5(A)は、仮想空間内における打者の眼前の地面側に配置される板オブジェクト4(床面板4a)の一例を示し、図5(B)は、仮想空間内における打者の眼前の左右両側に配置される板オブジェクト4(側面板4b)の一例を示している。そして、図6は、実践モードで実行される模擬ゴルフの通常モードにおけるゴルフコースの画像例(スクリーン11の表示画面例)を示しており、図7は、その模擬ゴルフの初心者モードにおけるゴルフコースの画像例を示している。図7に示すように、初心者モードでは、仮想空間内における打者の前方(遊技室20内のボールショット位置の前方と同方向)に、打球を跳ね返す仮想板4が、その板面が手前から奥方向に沿うように設置される。本実施の形態では、図6に示すように、スクリーン11上の画面の略中央に目標物(本例ではカップ)が位置するように、打者から見たゴルフコースの画像をコースマップの平面図と共に投影表示し、初心者モードでは、図7に示すように、更に仮想空間に配置された床面板4aと側面板4bとを3次元の座標系から2次元の座標系へ変換した画像をスクリーン11上に投影表示するようにしている。
【0043】
仮想板設置手段163では、プレイヤによる初心者モードへの切替操作に応じて、図7に示すような仮想板4を設置する処理を実行すると共に、プレイヤによる通常モードへの切替操作に応じて仮想板4を消去する処理(図6の画面に切替える処理)を実行する形態としている。
【0044】
打球コース補正手段164は、弾道検出手段162により検出されたボールの弾道検出データと仮想板4のデータ(ポリゴンオブジェクトの座標データ)に基づいて、打球が仮想板4に当たったか否かを判定すると共に、仮想板4に当たったと判定した時に、仮想板4によって跳ね返された仮想空間内での打球のコースを決定する処理を実行する手段である。本実施の形態では、仮想板4によって跳ね返された打球のコースを決定する際、その打球のコースをスクリーンの画面中央方向(目標物の方向)へ補正する処理を実行する形態としている。なお、打球コースの補正処理の詳細については図面を用いて後述する。
【0045】
標的配置手段165は、制御モードがゲームモードの場合に実行される手段である。ゲームモードにおいては、前述のように、実際のゴルフに必要な要素をミニゲーム化したゴルフショットゲームとして、実際のゴルフショットによって空中を漂う標的に打球を当てるゲームや、グリーン上に設定された標的の領域内に打球を落下させるゲームなど、複数種のゲームが用意されている。
【0046】
それらのゲームの一つとして、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的オブジェクトに対して打球を当てて何枚の標的が割れるか(打球が何枚を貫通するか)を競うゲーム(以下「ブレイクショットゲーム」と呼ぶ)があり、標的配置手段165では、そのブレイクショットゲームにおいて、プレイヤがボールをショットする前にスクリーン上に標的を初期位置に配置し、ボールがショットされた後に、検出された弾道におけるボールの移動速度等に基づいて標的を配置し直す処理を実行する。なお、標的オブジェクトの再配置処理の詳細については図面を用いて後述する。
【0047】
画像生成手段166は、投影部12に出力する画像データを生成する手段であり、画像情報(3次元仮想空間にモデル化されたポリゴンオブジェクト,仮想光源,仮想カメラなどの情報)に基づいて、3次元座標から2次元座標への座標変換処理やレンダリング処理(シェーディング,テクスチャーマッピング,レートレーシング法,ラジオシティ法などによる画像処理)を行い、ゴルフコースやゴルフショトの結果を表わす画像等のゲーム画像をスクリーン11に表示させる処理を行う。
【0048】
ここで、本発明に係るゴルフシミュレータで実行されるゴルフゲームの種類について、具体例を示して説明する。
【0049】
図8及び図9は、実践モードで実行される模擬ゴルフの画面例であり、図8はニアピン球技におけるスクリーン表示画面の一例、図8はドラコン球技におけるスクリーン表示画面の一例をそれぞれ示している。実践モードにおいては、例えば、初級,中級,上級というように、複数のコースが難易度に応じて選択可能に設定されており、プレイヤが選択できるようにしている。
【0050】
一方、図10〜図12は、ゲームモードで実行されるゴルフショットゲームの画面例であり、図10は、前述の「ブレイクショットゲーム」におけるスクリーン表示画面の一例を示している。また、図11は、ふわふわと空中を流れる風船を目掛けてショットするゲーム(以下「バルーンゲーム」と呼ぶ)におけるスクリーン表示画面の一例を示し、図12は、フィールド上の的を狙ってボールをショットするゲーム(以下「ビンゴショット」と呼ぶ)におけるスクリーン表示画面の一例を示している。
【0051】
図10に示されるブレイクショットゲームは、ドライバーショットの練習となるゲームであり、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的としての板5A(標的オブジェクト5)に対して打球を当てて何枚の標的が割れるか(打球が何枚の標的を貫通するか)を競うゲームである。このゲームは、ショット後の打球がスライスボールやフックボールになると、標的に当たり難くなるように、標的となる板5A(5A1〜5An)は、例えばストレートボールの弾道に沿って配置されている。プレイヤはドライバーを使用してスクリーン11上に空中を漂うように表示されている板5Aを目掛けてボール3を思い切りショットする。そして、プレイヤがショットしたボール3の移動速度が速いほど、沢山の板5が割れる。但し、方向が悪いと距離が出ても割れる板5の枚数は少ないことになる。言い換えると、ストレートボールを打つ練習になるゲームである。
【0052】
このブレイクショットゲームでは、標的に対して弾道をプレイヤが調整するのは非常に難しいため、前述の標的配置手段165によって、ボールの検出速度での弾道に各標的がある程度沿うように、ショット後に標的の垂直方向の配置を再配置する。すなわち、プレイヤは、ショット後の打球がストレートボールで飛距離が長い程、多くの標的が割れて爽快感を得られることとなる。
【0053】
図11に示されるバルーンショットは、アイアンショットの練習となるゲームであり、プレイヤはアイアンを使用して、ふわふわと空中を流れる風船5Bを目掛けてショットする。その際、より多く固まっている所や爆弾(特定の色の風船)を狙うと、沢山の風船5Bが割れ、また、風船5Bの色によって、風船5Bが割れた際にプレイヤが獲得するポイントが異なるようにしている。
【0054】
図12に示されるビンゴショットは、アプローチショットの練習となるゲームであり、プレイヤは、グリーン上にある図12中の3×3マスのフィールド上の的(本例では1〜9の的)5Cを狙ってボールをショットする。そして、当たった的5Cの番号を消して行き、縦、横、斜めが揃えばビンゴとなる。このビンゴショットは、1ゲームにおいて3から5球でポイントを競うゲームとしている。
【0055】
上述のゴルフゲームは、いずれも短時間(例えば3分から5分の時間範囲)の時間制で、プレイヤが好みのゲームで何球でも自由に打てる形態(いわゆる、打ちっぱなしのスタイル)としている。なお、プレイヤが好みのゲームに切替えて(或いは、図示されない進行制御手段がシナリオデータに基づいて自動的に切替えて)、同様の時間制で何球でも自由に打てる形態としてもよい。そして、初心者モードでは、前述の打球コース補正手段145による補正処理を実行する形態としている。また、プレイは1人で行っても良く、2人以上のプレイヤが交替でポイントを競うようにしても良い。
【0056】
次に、本発明に係るゴルフシミュレータの制御部の初心者モードでの打球コース補正処理と、ブレイクショットゲームでの標的再配置処理について、フローチャートを参照して説明する。なお、既に説明した処理については省略若しくは簡略化して説明する。
【0057】
先ず、初心者モードにおける打球コースの補正処理について、図13のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0058】
ゴルフシミュレータ10の制御部16(以下「制御手段」と呼ぶ)は、プレイヤによる初心者モードへの切替操作がされた場合は、ゴルフゲームの制御モード(初期値は通常モード)を初心者モードに変更すると共に、仮想空間内における打者の前方に、打球を跳ね返す仮想板4を、その板面が手前から奥方向に沿うように設置し、その画像(図7参照)をプロジェクタに出力してスクリーン上に表示する(ステップS1)。
【0059】
そして、実物のボールとクラブとを使ってプレイヤがボールをショットすると、ゴルフシミュレータ10は、そのショットをゴルフショット検出部14のセンサ14aによって検知する(ステップS2)。
【0060】
ここで、ゴルフショット検出部14の検出開始動作について説明する。
【0061】
図2(A)及び(C)に示される遊技室の扉22は鍵付き扉であり、その扉22には、鍵の旋錠/解錠を検知するセンサ(若しくは扉の開閉検知センサ)が設けられている。そして、例えば、通常は遊技室20の鍵を旋錠した状態とした形態では、扉22の解錠検知信号に応じて図2(A)中のゴルフショット検出部14のセンサ機能を作動させ、扉22の旋錠検知信号に応じてゴルフショット検出部14のセンサ機能を停止させるなど、鍵付き扉22の旋錠/解錠動作とゴルフショット検出部14のセンサ機能とを連動させるようにしている。すなわち、遊技室20内にプレイヤ1がいる間はゴルフショット検出部14のセンサを作動して常時待機状態とし、プレイヤ1のゴルフショットをいつでも検知できるようにしている。なお、アドタイズ中やメニュー選択時など、検知を行わない期間を適宜設けても良い。
【0062】
ステップS2において、ゴルフショットが検知されると、制御手段16は、ゴルフショット検出部14の検出データを入力すると共に(ステップS3)、プレイヤ1によってショットされたボール3の弾道を検出データに基づいて計算によりシミュレートする処理を実行する(ステップS4)。続いて、制御手段16は、仮想板4の座標データ及び弾道の検出データに基づいて、打球が仮想板4に当たったか否かを判定し(ステップS5、S6)、仮想板4に当たったと判定した場合は、仮想板4によって跳ね返った打球のコースをス目標方向へ補正する処理を実行する。
【0063】
ここで、打球コースの補正処理の例について図面を用いて説明する。
【0064】
図14(A)及び(B)は、打球が床面板4aに当たった場合の、当たる前の打球のコースCと当たった後(方向転換後)のコースC’との関係を示しており、図14(A)が平面図で、図14(B)が側面図である。図14(A)に示すように、打球が床面板4aに当たった場合、制御手段16は、打球のコースが目標方向になるように補正する。図14(A)の例では、水平方向の反射角度を「0°」に変更する補正を行うようにしている。すなわち、床面板4aの面に対するコースC(C1,C2)の水平方向の入射角に関係なく、方向転換後の床面板4aの面に対するコースC’(C1’,C2’)の水平方向の反射角度は「0°」に変更する。
【0065】
一方、垂直方向の反射角度は、図14(B)に示すように、方向転換後の床面板4aの面に対するコースC’(C3’,C3’)の垂直方向の反射角度が、床面板4aの傾斜角度A°(A>垂直方向の打出角度)となるように補正する。
【0066】
このような床面板4aを用いて打球を方向転換させる処理を行うことにより、眼前の地面に打球が当たったり、水切り曲芸ショットになるような低い弾道になったりした場合でも、打球が床面板4aに当たった後の打球コースが、目標方向に方向転換され、不自然さを伴うことなく、初心者のミスショットを救済することが可能となる。
【0067】
次に、側面板に当たった場合の補正処理について説明する。
【0068】
図15(A)及び(B)は、打球が側面板4bに当たった場合の、当たる前の打球のコースCと当たった後(方向転換後)のコースC’との関係を示しており、図15(A)が平面図で、図15(B)が側面図である。図15(A)に示すように、打球が側面板4bに当たった場合、制御手段16は、打球のコースが目標方向になるように補正する。図15(A)の例では、側面板4bの面に対するコースC(C4,C5)の水平方向の反射角が、入射角と異なる角度B°(B°=入射角度/β)となるように、打球のコースを補正するようにしている。
【0069】
一方、垂直方向の反射角度は、図15(B)に示すように、打球の側面板4bに対するコースC(C7)の垂直方向の角度が基準角度より小さい場合は、方向転換後のコースC’(C7’)の垂直方向の角度C°が基準角度より大きくなるように補正し、コースC(C6)の垂直方向の角度が基準角度より大きい場合は、方向転換後のコースC’(C6’)の垂直方向の角度が基準角度より小さくなるように補正する。図16は、その補正処理を行う際の補正前の角度と補正後の角度C°との関係を示しており、図16中の補正係数γはゲームの種類別に設定されている。
【0070】
また、仮想板に打球が当たって跳ね返った後の速度は、図17に示すように、補正係数δを用いて、ショットされたボールの移動速度が設定値より小さい時には、移動速度が小さいほど速度増大率が大きくなるように、仮想板4によって跳ね返された打球の速度を増大させる補正処理を行う。
【0071】
上述のように、打球が仮想板4に当たった場合は、制御手段16は、打球の入射角度を算出して(ステップS7)、仮想板4によって跳ね返った打球の打球方向を目標方向へ補正すると共に(ステップS8)、打球速度を補正し(ステップS9)、仮想板4に当った後の打球コースを決定する(ステップS10)。一方、ステップS6において、打球が仮想板4に当たらないと判定した場合は、打球コースは、ステップS4において求めたボールの弾道となる。
【0072】
そして、決定した打球コースに基づいて、ゴルフショットの結果を示す画像を生成して当該画像をスクリーン上に表示させる処理を実行し(ステップS11)、当該ショットでの処理を終了する。その後は、例えば、プレイヤによるゲーム開始ボタン等のボタンの押下(あるいは、コインの投入検知センサ、旋錠/解錠の検知センサ、若しくは扉の開閉検知センサによる検知信号の入力)をトリガーとして、その時点からゴルフゲームの経過時間を計時し、制限時間となった時点で終了処理を実行する。
【0073】
なお、前述の床面板の傾斜角度「A°」(A°=床面板に当たった場合の垂直方向の角度の補正係数)、側面板に当たった場合の水平方向の角度の補正係数「β」、側面板に当たった場合の垂直方向の角度の補正係数「γ」、及び、跳ね返された打球の速度を補正する際の補正係数「δ」は、図18に示すように、ゲームの種類別にそれぞれ設定されており、制御手段16では、当該ゲームに対応する補正係数の設定値を記憶手段から読み出して該当の演算式に係数値を設定し、打球コースの補正処理を実行するようにしている。
【0074】
次に、ブレイクショットゲームでの標的再配置処理について、図19のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0075】
制御手段16は、ブレイクショットゲームが選択された場合は、図10に例示したように、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的としての板5Aを表わす画像を投影部12に出力し、スクリーン11上に投影表示する。(ステップS21)。
【0076】
図20は、ステップS21において初期画面として表示される標的(板5A)の配置例を示す平面図である。図20に示すように、標的5Aは直線状に整列されて配置される。標的5Aの大きさは、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、段階的に大きくなるように、異なる大きさのもの(板オブジェクト)が配置される。そして、仮想空間における標的5Aの地面からの高さhは、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、段階的に高くなるように(放射線状に)、暫定的に配置される。また、標的5Aの間隔は、仮想空間における距離Wが10y(ヤード)の場合は5y、距離Wが7.5yの場合は17yというように、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、間隔が段階的に大きくなるように、配置される。
【0077】
ステップS21において標的5Aを表示した後、プレイヤがボール3をショットすると、ゴルフシミュレータ10は、そのショットをゴルフショット検出部14のセンサ14aによって検知する(ステップS22)。ゴルフショットが検知されると、制御手段16は、ゴルフショット検出部14の検出データを入力すると共に(ステップS23)、プレイヤによってショットされたボール3の弾道を検出データに基づいて計算によりシミュレートする処理を実行する(ステップS24)。
【0078】
続いて、制御手段16は、ボール3の移動速度に基づいて標的5Aを配置し直す処理を実行する。本実施の形態では、ボール3の移動速度での弾道に各標的5Aがある程度沿うように、ショット後に標的5Aの垂直方向の配置を再配置する(ステップS25)。
【0079】
ここで、ステップS25における標的5Aの再配置処理について図面を用いて説明する。
【0080】
図21は、標的5Aの再配置のパターンを示しており、標的5Aの高さの位置は、予め複数種類のパターンで設定しておき、ボール3の移動速度によって、どのパターンを使用するか決定する。図21の例では、ボール速度が30m/s以下の時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン1、ボール速度が30〜40m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン2、ボール速度が40〜50m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン3、ボール速度が50〜60m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン4、及び、ボール速度が60〜70m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン5の合計5つのパターンを予め設定した例を示している。そして、これらの5つのパターンについて、例えば、図21中の条件(ボール速度、打出角度(垂直方向の角度)、バックスピン量、サイドスピン量=「0」)で決定される弾道に、各標的5Aの中心が位置する標的5A群の座標データを格納したテーブルを記憶手段に記憶しておく。
【0081】
ステップS25では、制御手段16は、ボール3の移動速度と各パターンの速度範囲とを比較し、ボール3の移動速度に対応するパターンの標的群の座標データを記憶手段から読み出して、当該パターンで標的5A群を再配置する。例えば、ボールの検出速度が35m/sの場合は、図21中のパターン2の標的群の座標データを記憶手段から読み出して、図22に示すように、パターン2の条件での弾道に、各標的5Aの中心が位置するように各標的5Aを再配置する。
【0082】
続いて、ステップS24で検出した弾道のデータと、再配置した標的5A群の座標データとに基づいて、打球が標的5Aに当たったか否かを判定する(ステップS26)。そして、各標的5Aについてその判定処理を繰り返し、当たったと判定した標的5Aについて、標的5Aが割れる様子を表わす画像を生成して当該画像をスクリーン11上に表示すると共に、標的が割れる音を表わす効果音を出力し(ステップS27)、当該ショットでの処理を終了する。なお、打球は、標的5Aの衝突による速度低下はさせずに、標的5Aに当たった後もステップS24で検出した弾道での移動を継続させる形態としている。
【0083】
なお、上述した実施の形態においては、ゴルフを模したゴルフシミュレータを例として説明したが、ゴルフ以外のシミュレータとしても適用することが可能である。例えば、
ピンポン球や野球のボール,サッカーボール,ホッケーのパック、弾丸、矢、ダーツなどの飛翔体を用いて、標的にボールを打込む球技を模したスポーツゲーム用の装置として好適に適用することができる。
【0084】
また、本発明の実施形態について具体的な例を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係るゴルフシミュレータの全体構成を概略的に示す側面図である。
【図2】図1のゴルフシミュレータの平面図、側面図、及び正面図である。
【図3】本発明に係るゴルフシミュレータの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明に係る制御手段の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図5】初心者モードにおいて設置される仮想板の例を示す模式図である。
【図6】通常モードにおけるゴルフコースの画像例を示す図である。
【図7】初心者モードにおけるゴルフコースの画像例を示す図である。
【図8】実践モードで実行される模擬ゴルフの第1の画面例を示す図である。
【図9】実践モードで実行される模擬ゴルフの第2の画面例を示す図である。
【図10】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第1の画面例を示す図である。
【図11】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第2の画面例を示す図である。
【図12】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第3の画面例を示す図である。
【図13】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第1の図である。
【図15】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第2の図である。
【図16】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第3の図である。
【図17】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第4の図である。
【図18】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第5の図である。
【図19】本発明に係る標的の再配置処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第1の図である。
【図21】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第2の図である。
【図22】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第3の図である。
【符号の説明】
【0086】
1 プレイヤ(ゴルファー)
2 クラブ
3 ボール
4 仮想板(ミスショット救済用ガード板)
4a 床面板
4b 側面板
5 標的
5A 板
5B 風船
5C マス
10 ゴルフシミュレータ(ゴルフゲーム装置)
11 スクリーン
12 投影部
12a プロジェクタ
13 操作部
14 ゴルフショット検出部
14a ゴルフショット検出センサ
14b マイクロコンピュータ
15 音響出力部
15a 音響出力手段
16 制御部
16 制御手段16A
16a コンピュータ
16b プログラム
20 遊技室
21 ネット
22 扉
161 制御モード切替手段
162 弾道検出手段
163 仮想板設置手段
164 打球コース補正手段
165 標的配置手段
166 画像生成手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤによる実際のゴルフショットを表すデータを用いてゴルフプレイをシミュレートする機能を備えたゴルフシミュレータに関し、特に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行えるようにしたゴルフシミュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフや野球、射撃などの体験をシミュレートすることを目的としたシミュレータ(シミュレーション装置)は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、ゴルフの場合は、実際のボールとクラブを使って、スクリーンに投影されたゴルフコースに向かって打ち込んでプレイする形態のゴルフシミュレータが知られている。このようなゴルフシミュレータにおいては、例えば、ボールのショット位置とスクリーンとの間に複数のカメラを予め配置しておき、プレイヤがクラブでボールを打球する様子を複数方向から撮影し、それらの画像データを基にコンピュータ等によってボールの運動軌跡を解析し、解析した運動軌跡に基づいて、仮想空間内のゴルフコースをボールが飛んでいく様子をスクリーン上に表示させるようにしている(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
ボールの運動軌跡を解析する手法としては、例えば特許文献1には、ボール(飛翔体)の発射速度と各画像フレーム上の飛翔体の速度を算出すると共に、スクリーンへのボールの衝突と跳ね返り角度に基づいてボールの回転を算出し、ボールの3次元位置,発射速度,加速度及び回転と共に、曲がった及び/又は弧状を描くボールの現実的なシミュレーションが生成されるように、ボールの正確な軌道を推定することが開示されている。また、特許文献2には、多重撮影されたボールとクラブの外形形状の認識を行い、空気抵抗,重力,ボールスピード,飛出し角度,スピン量などを考慮したボールの弾道計算を行い、ボールの飛行位置を計算することが開示されている。
【0004】
一方、正確な軌道を画面上に表示するだけでは単純なゲーム内容となるため、例えば銃器の形状を有するゲームコントローラを用いたシューティングゲーム装置においては、ゲーム性を高めるために、画面上に表示される軌道を変化させるようにしたものがある(例えば特許文献3を参照)。特許文献3には、3次元ゲーム空間に配置される複数の標的オブジェクトに弾丸を命中させるシューティングゲーム装置において、弾丸が複数の標的オブジェクトのいずれかに命中した場合に、例えば他の標的オブジェクトに再び命中するのが困難となるように、弾丸軌道データに変更を加えることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−38000号公報
【特許文献2】特開平4−241885号公報
【特許文献3】特開2003−71135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなゴルフシミュレータにおいては、室内で実際のゴルフコースでプレイしているのと同様の状態で手軽にプレイを楽しむことが可能となる。また、プレイヤがショットしたボールの軌道を正確に算出して、仮想空間内のゴルフコースをボールが飛んでいく様子をスクリーン上に表示するようにしているので、実戦に近い練習を行うことができる。
【0007】
しかしながら、従来のゴルフシミュレータは、実際のゴルフプレイを忠実にシミュレートするようにしており、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができなかった。また、ストレートボールの練習を効果的に行い得るようにしたものは、従来のゴルフシミュレータでは実現されていなかった。例えば特許文献3の技術を適用して、ショット後のボールがストレートボールとなるように弾道に変更を加える方法も考えられるが、それでは、実際のゴルフボールの弾道と明らかに変わってしまうため、面白みに欠けてプレイヤの満足度を満たすことができず、ゴルフの練習にもならないという問題が生じる。
【0008】
本発明は上述のような問題に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができると共に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行うことが可能な、ゴルフシミュレータ及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ゴルフシミュレータ、ゴルフゲーム装置及びそのプログラムに関するものであり、ゴルフシミュレータに関しては、本発明の上記目的は、仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備えることによって達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、
前記弾道における前記ボールの移動速度に対応する前記標的オブジェクトの配置パターンを格納したテーブルを備え、前記標的配置手段は、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記テーブルから抽出した前記配置パターンに則して、前記標的オブジェクトを再配置すること、
前記標的配置手段は、前記ボールがショットされる前に、前記標的オブジェクトを前記奥方向に向けて直線状に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトの垂直方向の座標位置のみを変更する再配置処理を実行すること、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0011】
また、ゴルフゲーム装置に関しては、本発明の上記目的は、プレイヤがクラブを用いてボールをショットしたことに応答して仮想空間内のゴルフコースにおいて仮想球が打ち出されるゴルフゲームのプログラムが実行されるゴルフゲーム装置であって、仮想空間内に標的となる複数の標的オブジェクトを、打ち出された前記仮想球が進行する方向に並べて配置する標的配置手段と、前記複数の標的オブジェクトを含む仮想空間内の様子を仮想視点から見たゲーム画像を生成する画像生成手段と、前記プレイヤによって前記ボールがショットされる前に、前記画像生成手段により生成された前記ゲーム画像を画面に表示する表示手段と、前記ゲーム画像が表示された前記画面に向かってプレイヤがボールをショットしたことを検出する検出手段と、前記検出手段から検出信号に基づいて、前記プレイヤがショットしたボールの移動速度を算出する手段と、を備え、前記標的配置手段は、前記ボールの前記移動速度に基づいて、前記仮想球が打ち出される前の配置から変化させた新たな複数の前記標的オブジェクトの配置を決定し、前記画像生成手段は、打ち出された前記仮想球が移動すると共に、移動した前記仮想球が前記標的オブジェクトに順次衝突するゲーム画像を生成し、前記表示手段は、前記プレイヤによって前記ボールがショットされた後に、前記仮想球と前記標的オブジェクトとが衝突するゲーム画像を表示すること、によって達成される。
【0012】
また、プログラムに関しては、本発明の上記目的は、仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータとしてコンピュータを実行させるプログラムであって、前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手順をコンピュータに実行させるプログラムを含むこと、によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的オブジェクトに対して打球を当てて何枚の標的が割れるかを競えるようにすると共に、ボールがショットされた後にボールの移動速度に基づいて標的を配置し直すようにしている。そのため、ストレートボールとなるショットをすれば、多くの標的が割れるように標的の配置を制御することが可能になり、また、打球速度が速い程、多くの標的が割れるように制御することが可能になる。そのため、プレイヤは、実際のゴルフ以上に爽快感を得ることができると共に、ストレートボールの練習を楽しみながら効果的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は、本発明に係るゴルフシミュレーション装置(ゴルフゲーム装置)10(以下、「ゴルフシミュレータ」と呼ぶ)の全体構成の一例を概略的に示す模式図であり、図1は外観斜視図、図2(A)は平面図、図2(B)は側面図、図2(C)は正面図である。
【0016】
先ず、図1を参照して本発明に係るゴルフシミュレータの概要を説明する。
【0017】
本発明におけるゴルフシミュレータは、ゴルファー(以下「プレイヤ」と呼ぶ)による実際のゴルフショットの検出データを用いてゴルフプレイをシミュレートする機能を備えた装置である。本実施の形態では、図1に示すように、プレイヤ1が実物のボールとクラブとを使い、眼前のスクリーン11に投影されたゴルフコースに向かってボールをショットすると、ショットされたボールの弾道をセンサ等によって検出すると共に、その検出データに基づくコースで仮想空間内を打球(仮想球)が飛んで行く様子をシミュレートし、スクリーン11上に表示するようにしている。
【0018】
プレイヤ1がゴルフをプレイする遊技室20は、本例ではネットや硬質の透明パネル若しくは板等で仕切られて直方体状に形成されており、遊技室20の床面は、衝撃を吸収するクッション材で構成されている。また、スクリーン11の両側の壁面及び扉側の壁面は、ミスショットなどによるボールの跳ね返りを防止するために、図2(A)に示すように、全面がクッション材やゴルフネット21で被覆されている。本例でのゴルフネット21は、2枚のネットを層設して形成された二重ネットで構成されている。
【0019】
その二重ネット21等により安全性が考慮された遊技室20の閉空間内には、ゴルフシミュレータの機器として上記スクリーン11の他に、図2(A)に示すように、遊技室20内のボール3のショット位置近傍に立ったプレイヤ1から見たゴルフコースなどの画像をスクリーン11に投影するための投影部(表示手段)12と、プレイヤによって操作される操作部13と、プレイヤ1によってショットされたボール3の速度や弾道等を検出するためのゴルフショット検出部(検出手段)14とが配設されている。
【0020】
遊技室20には、その他、プレイヤ1がボール3をショットした時の音などプレイ中の効果音等を出力するための音響出力部が室内の所定位置に設置されると共に、ゴルフシミュレータ全体の動作やゴルフのシミュレーション処理の実行などを制御する制御部が、スクリーン11の後方若しくは操作部13の筐体(操作ボックス)内部、或いはネットワークを介して遠隔地に設置されている。また、付加的な構成として、操作ボックスの筐体又は他の筐体に、投入口から投入されたコイン(硬貨若しくはメダル)の識別や計数処理等を行うコイン識別装置等から成るコイン処理部を設置できるようにしている。
【0021】
次に、本発明に係るゴルフシミュレータによって、仮想空間で展開されるゴルフについて説明する。
【0022】
プレイヤによる実際のゴルフショットと連動して仮想空間で展開されるゴルフは、本実施の形態では、1回のゴルフショットでプレイ結果が決定するゴルフである。具体的には、ゴルフシミュレータの制御モードが「実践モード」で実行される模擬ゴルフと、制御モードが「ゲームモード」で実行されるゴルフショットゲームとがある。模擬ゴルフとしては、ニアピン競技をシミュレートした模擬ゴルフ(以下「ニアピン球技」と呼ぶ)と、ドライビングコンテンストの競技をシミュレートした模擬ゴルフ(以下「ドラコン球技」と呼ぶ)とが用意されている。ゴルフショットゲームは、実際のゴルフに必要な要素をミニゲーム化したゲームであり、そのゴルフショットゲームとしては、実際のゴルフショットによって、空中を漂う標的(スクリーン11上の的)にボールを当てるゲームや、グリーン上に設定された標的の領域内にボールを落下させるゲームなど、複数種のゲームが用意されている。なお、仮想空間で展開されるゴルフの処理については、機能ブロック図等を用いて後述する。
【0023】
次に、ゴルフシミュレータ10の主要部の構成について説明する。
【0024】
図3は、本発明に係るゴルフシミュレータ10の構成を概略的に示すブロック図であり、同図を参照して各部の構成を説明する。図3において、ゴルフシミュレータ10は、前述のスクリーン11(標的部)、投影部12、操作部13、ゴルフショット検出部14、音響出力部15、及び制御部16を備えている。
【0025】
スクリーン11は、投影部12から投影された画像を表示するための映像表示媒体として機能すると共に、プレイヤが打込んだボールの衝突エネルギーを吸収してボールの跳ね返りを防止する衝撃緩衝媒体として機能する。本実施の形態では、スクリーン11は、幅が3,600mm程度、高さが2,700mm程度の大きさを有する矩形状のスクリーンであり、例えばスクリーン上端部が支持されて、天井枠体部から吊下げた状態で設置されている。
【0026】
投影部12は、スクリーン上に画像を投影表示する投影手段としてのプロジェクタ12a等から構成される。プロジェクタ12aは、本実施の形態ではフロント投影型のDLP(Digital Light Processing)プロジェクタであり、1280×1024ピクセルの画面解像度を有するSXGA(Super Extended Graphics Array)のプロジェクタ(画面の縦横比率=4:3)を用いている。
【0027】
操作部13は、後述する初心者モードへの切替を指示するための「ビギナーボタン」を備えている。操作ボタンが設けられている操作部13は、本例では、図2(A)及び(C)に示すように、遊技室20内の角隅に設置され、後述する「初心者モード」への切替指示などをプレイヤ1がプレイ中に適時操作できるようにしている。
【0028】
ゴルフショット検出部14は、センサユニットとして、スクリーン11に向けてプレイヤ1がクラブ2でショットしたボール3を検知し、そのボール3の弾道を計算するためのデータを検出するセンサ(以下「ゴルフショット検出センサ」と呼ぶ)14aと、その検出データを外部コンピュータに送信する制御などを行うマイクロコンピュータ14bとを備えている。
【0029】
本実施の形態においては、ゴルフショット検出センサとしては、スクリーン11は透過する一方、実物のゴルフボールやクラブは反射する電波(例えばミリ波からサブミリ波帯の電波)を利用したレーダセンサを用いている。そのレーダセンサとマイクロコンピュータとを備えたゴルフショット検出部(センサユニット)14は、図2(A)中に示すように、スクリーン11の後方に設置される。ゴルフショット検出部14では、例えば、実物のボール3のショット位置からの打出角度、初速度、実空間内を移動するボール3の三次元位置、速度、及びスピン量(自転方向及び回転速度)等を検出し、その検出データを制御部16に送信する。
【0030】
音響出力部15は、音響出力手段15aとしてのスピーカやサウンドプロセッサ等から構成され、プレイヤが実物のボールをショットした時の音やゴルフゲーム中の効果音等を出力するために使用される。
【0031】
制御部16は、コンピュータ16a及びコンピュータにより実行されるプログラム16b等から構成される制御手段16Aを備えている。詳しくは、制御手段16Aは、CPUや情報記憶媒体,基本ソフトウェア等から成るコンピュータ16a、ゴルフショットと連動させた仮想空間でのゴルフの進行制御や、シミュレーション画像の生成及び表示処理など、実際のゴルフショットの検出データに基づく情報処理(各手順)をコンピュータに実行させるためのプログラム16b、ゴルフプレイのシミュレーションやゴルフゲームの実行に係る各種のデータ、及び画像処理プロセッサ等から構成される。
【0032】
制御手段16Aでは、ゴルフショット検出部14からの検出データに基づいて、ボール3の弾道を計算により検出し、プレイヤ1のゴルフショットの結果をシミュレートする。そして、計算により得た弾道のデータに基づいて仮想空間内での打球のコースを決定して、仮想空間内を打球が飛んで行く様子やゴルフコースの地面に落下して静止するまでの様子を表す画像を生成し、投影部12に出力してスクリーン11上に投影表示する処理を実行する。
【0033】
本実施の形態では、仮想空間内で擬似的に生成された3次元ポリゴンモデルの地形データ等から成るゴルフコースにおいて、遊技室20のショット位置に対応する仮想空間内でのショット位置に打者が立ったと仮定した場合の視点位置に仮想カメラを設定し、その位置から目標物(ピンやゲームの的)を捉えたときの仮想カメラの視界画像(本例ではスクリーンの画面中央に目標物が位置する視界画像)を生成し、その画像をスクリーン11上に表示するようにしている。その際、3次元の座標系から2次元の座標系へ変換してスクリーン11上に表示する技術は、公知の技術であるため、画像処理に係る詳細な説明は省略する。
【0034】
プレイヤ1のゴルフショットを検出した際には、制御手段16Aでは、仮想カメラの制御として、例えば仮想空間内を移動する打球を追跡するように仮想カメラを移動させると共に、追跡対象のボールを中心としてそのボールの後方で円を描くように仮想カメラを移動させながら、仮想カメラから捉えた打球を含む視界の映像を撮像するなど、プレイヤ1のゴルフショット(ボールの速度や打球)に応じて仮想カメラのカメラワークを制御するようにしている。
【0035】
本実施の形態では、仮想空間で展開されるゴルフとしては、前述のように1回のゴルフショットでプレイ結果が決定する「模擬ゴルフ」と「ゴルフショットゲーム」(両者を総称して「ゴルフゲーム」と呼ぶ)を対象としている。但し、これらのゴルフゲームに限定させるものではなく、一般的なゴルフの競技、すなわち、いかに少ない打数でボールをカップに入れられるかを競うゴルフの競技を対象として、ゴルフプレイをシミュレートする形態としても良い。その場合、プレイヤ1がショットした後、例えば、仮想空間内における打球落下地点を新たなショット位置として、その位置の打者(仮想カメラ)からピンの方向を見たときのゴルフコースの画像をスクリーン11上に投影表示し、次のゴルフショットを検出してゴルフプレイをシミュレートする処理を繰り返す形態となる。なお、制御手段16Aにおける詳細な処理については、機能ブロック図とフローチャートを用いて後述する。
【0036】
次に、制御手段16Aの構成について説明する。
【0037】
図4は、本発明に係る制御手段16Aの構成を説明するための機能ブロック図である。なお、制御手段16Aが有する各手段(機能)は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成やハードウェア構成を限定するものではない。
【0038】
図4において、制御モード切替手段161は、実際のゴルフショットと連動して仮想空間で展開されるゴルフゲームの制御モードを切替る手段である。本実施の形態では、制御モードとして前述の実践モードとゲームモードとを備え、更にそれらのモードの下位モードとして、初心者モードと、通常モードとを備えている。これらのモードは、操作部13に設けられている操作手段(ビギナーボタン等の操作ボタン)の操作で切替可能となっており、制御モード切替手段161では、プレイヤによる当該モードへの切替操作がされた場合は、記憶手段に記憶されているゴルフゲームの制御モードを当該モードに変更する。
【0039】
弾道検出手段162は、実物のボールとクラブとを使ってプレイヤがショットしたボールの弾道を計算によりシミュレートして検出する手段である。本実施の形態では、弾道検出手段162は、ゴルフショット検出部14(センサユニット)からの検出データを入力し、その検出データに含まれる、実空間内を移動するボール3の3次元位置,速度,スピン量(自転方向及び回転速度)等のデータに基づいて、プレイヤ1のショット位置からショットしたボールの落下地点に到る放物線状の弾道を公知の演算式により算出する。
【0040】
仮想板設置手段163は、制御モードが初心者モードの場合に、仮想空間内におけるショット位置に立っていると仮定した打者の前方に、打球を跳ね返す仮想板(ポリゴンオブジェクト)を、その板面が手前から奥方向に沿うように設置する処理を実行する手段である。その仮想板は、初心者のミスショットを補助するためのミスショット救済用のガード板であり、例えばOB区域に打球が飛んだり、眼前の地面に打球が当たって打球が地上を転がったり、低く飛び出した打球が水切り曲芸ショットのようになったりするであろう弾道を有する打球を跳ね返して、打球のコースを目標物の方向に転換する方向転換板として仮想空間内に設置される。
【0041】
ここで、仮想板の種類と設置場所について具体例を示して説明する。
【0042】
図5は、初心者モードにおいて設置される仮想板の具体例を示しており、図5(A)は、仮想空間内における打者の眼前の地面側に配置される板オブジェクト4(床面板4a)の一例を示し、図5(B)は、仮想空間内における打者の眼前の左右両側に配置される板オブジェクト4(側面板4b)の一例を示している。そして、図6は、実践モードで実行される模擬ゴルフの通常モードにおけるゴルフコースの画像例(スクリーン11の表示画面例)を示しており、図7は、その模擬ゴルフの初心者モードにおけるゴルフコースの画像例を示している。図7に示すように、初心者モードでは、仮想空間内における打者の前方(遊技室20内のボールショット位置の前方と同方向)に、打球を跳ね返す仮想板4が、その板面が手前から奥方向に沿うように設置される。本実施の形態では、図6に示すように、スクリーン11上の画面の略中央に目標物(本例ではカップ)が位置するように、打者から見たゴルフコースの画像をコースマップの平面図と共に投影表示し、初心者モードでは、図7に示すように、更に仮想空間に配置された床面板4aと側面板4bとを3次元の座標系から2次元の座標系へ変換した画像をスクリーン11上に投影表示するようにしている。
【0043】
仮想板設置手段163では、プレイヤによる初心者モードへの切替操作に応じて、図7に示すような仮想板4を設置する処理を実行すると共に、プレイヤによる通常モードへの切替操作に応じて仮想板4を消去する処理(図6の画面に切替える処理)を実行する形態としている。
【0044】
打球コース補正手段164は、弾道検出手段162により検出されたボールの弾道検出データと仮想板4のデータ(ポリゴンオブジェクトの座標データ)に基づいて、打球が仮想板4に当たったか否かを判定すると共に、仮想板4に当たったと判定した時に、仮想板4によって跳ね返された仮想空間内での打球のコースを決定する処理を実行する手段である。本実施の形態では、仮想板4によって跳ね返された打球のコースを決定する際、その打球のコースをスクリーンの画面中央方向(目標物の方向)へ補正する処理を実行する形態としている。なお、打球コースの補正処理の詳細については図面を用いて後述する。
【0045】
標的配置手段165は、制御モードがゲームモードの場合に実行される手段である。ゲームモードにおいては、前述のように、実際のゴルフに必要な要素をミニゲーム化したゴルフショットゲームとして、実際のゴルフショットによって空中を漂う標的に打球を当てるゲームや、グリーン上に設定された標的の領域内に打球を落下させるゲームなど、複数種のゲームが用意されている。
【0046】
それらのゲームの一つとして、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的オブジェクトに対して打球を当てて何枚の標的が割れるか(打球が何枚を貫通するか)を競うゲーム(以下「ブレイクショットゲーム」と呼ぶ)があり、標的配置手段165では、そのブレイクショットゲームにおいて、プレイヤがボールをショットする前にスクリーン上に標的を初期位置に配置し、ボールがショットされた後に、検出された弾道におけるボールの移動速度等に基づいて標的を配置し直す処理を実行する。なお、標的オブジェクトの再配置処理の詳細については図面を用いて後述する。
【0047】
画像生成手段166は、投影部12に出力する画像データを生成する手段であり、画像情報(3次元仮想空間にモデル化されたポリゴンオブジェクト,仮想光源,仮想カメラなどの情報)に基づいて、3次元座標から2次元座標への座標変換処理やレンダリング処理(シェーディング,テクスチャーマッピング,レートレーシング法,ラジオシティ法などによる画像処理)を行い、ゴルフコースやゴルフショトの結果を表わす画像等のゲーム画像をスクリーン11に表示させる処理を行う。
【0048】
ここで、本発明に係るゴルフシミュレータで実行されるゴルフゲームの種類について、具体例を示して説明する。
【0049】
図8及び図9は、実践モードで実行される模擬ゴルフの画面例であり、図8はニアピン球技におけるスクリーン表示画面の一例、図8はドラコン球技におけるスクリーン表示画面の一例をそれぞれ示している。実践モードにおいては、例えば、初級,中級,上級というように、複数のコースが難易度に応じて選択可能に設定されており、プレイヤが選択できるようにしている。
【0050】
一方、図10〜図12は、ゲームモードで実行されるゴルフショットゲームの画面例であり、図10は、前述の「ブレイクショットゲーム」におけるスクリーン表示画面の一例を示している。また、図11は、ふわふわと空中を流れる風船を目掛けてショットするゲーム(以下「バルーンゲーム」と呼ぶ)におけるスクリーン表示画面の一例を示し、図12は、フィールド上の的を狙ってボールをショットするゲーム(以下「ビンゴショット」と呼ぶ)におけるスクリーン表示画面の一例を示している。
【0051】
図10に示されるブレイクショットゲームは、ドライバーショットの練習となるゲームであり、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的としての板5A(標的オブジェクト5)に対して打球を当てて何枚の標的が割れるか(打球が何枚の標的を貫通するか)を競うゲームである。このゲームは、ショット後の打球がスライスボールやフックボールになると、標的に当たり難くなるように、標的となる板5A(5A1〜5An)は、例えばストレートボールの弾道に沿って配置されている。プレイヤはドライバーを使用してスクリーン11上に空中を漂うように表示されている板5Aを目掛けてボール3を思い切りショットする。そして、プレイヤがショットしたボール3の移動速度が速いほど、沢山の板5が割れる。但し、方向が悪いと距離が出ても割れる板5の枚数は少ないことになる。言い換えると、ストレートボールを打つ練習になるゲームである。
【0052】
このブレイクショットゲームでは、標的に対して弾道をプレイヤが調整するのは非常に難しいため、前述の標的配置手段165によって、ボールの検出速度での弾道に各標的がある程度沿うように、ショット後に標的の垂直方向の配置を再配置する。すなわち、プレイヤは、ショット後の打球がストレートボールで飛距離が長い程、多くの標的が割れて爽快感を得られることとなる。
【0053】
図11に示されるバルーンショットは、アイアンショットの練習となるゲームであり、プレイヤはアイアンを使用して、ふわふわと空中を流れる風船5Bを目掛けてショットする。その際、より多く固まっている所や爆弾(特定の色の風船)を狙うと、沢山の風船5Bが割れ、また、風船5Bの色によって、風船5Bが割れた際にプレイヤが獲得するポイントが異なるようにしている。
【0054】
図12に示されるビンゴショットは、アプローチショットの練習となるゲームであり、プレイヤは、グリーン上にある図12中の3×3マスのフィールド上の的(本例では1〜9の的)5Cを狙ってボールをショットする。そして、当たった的5Cの番号を消して行き、縦、横、斜めが揃えばビンゴとなる。このビンゴショットは、1ゲームにおいて3から5球でポイントを競うゲームとしている。
【0055】
上述のゴルフゲームは、いずれも短時間(例えば3分から5分の時間範囲)の時間制で、プレイヤが好みのゲームで何球でも自由に打てる形態(いわゆる、打ちっぱなしのスタイル)としている。なお、プレイヤが好みのゲームに切替えて(或いは、図示されない進行制御手段がシナリオデータに基づいて自動的に切替えて)、同様の時間制で何球でも自由に打てる形態としてもよい。そして、初心者モードでは、前述の打球コース補正手段145による補正処理を実行する形態としている。また、プレイは1人で行っても良く、2人以上のプレイヤが交替でポイントを競うようにしても良い。
【0056】
次に、本発明に係るゴルフシミュレータの制御部の初心者モードでの打球コース補正処理と、ブレイクショットゲームでの標的再配置処理について、フローチャートを参照して説明する。なお、既に説明した処理については省略若しくは簡略化して説明する。
【0057】
先ず、初心者モードにおける打球コースの補正処理について、図13のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0058】
ゴルフシミュレータ10の制御部16(以下「制御手段」と呼ぶ)は、プレイヤによる初心者モードへの切替操作がされた場合は、ゴルフゲームの制御モード(初期値は通常モード)を初心者モードに変更すると共に、仮想空間内における打者の前方に、打球を跳ね返す仮想板4を、その板面が手前から奥方向に沿うように設置し、その画像(図7参照)をプロジェクタに出力してスクリーン上に表示する(ステップS1)。
【0059】
そして、実物のボールとクラブとを使ってプレイヤがボールをショットすると、ゴルフシミュレータ10は、そのショットをゴルフショット検出部14のセンサ14aによって検知する(ステップS2)。
【0060】
ここで、ゴルフショット検出部14の検出開始動作について説明する。
【0061】
図2(A)及び(C)に示される遊技室の扉22は鍵付き扉であり、その扉22には、鍵の旋錠/解錠を検知するセンサ(若しくは扉の開閉検知センサ)が設けられている。そして、例えば、通常は遊技室20の鍵を旋錠した状態とした形態では、扉22の解錠検知信号に応じて図2(A)中のゴルフショット検出部14のセンサ機能を作動させ、扉22の旋錠検知信号に応じてゴルフショット検出部14のセンサ機能を停止させるなど、鍵付き扉22の旋錠/解錠動作とゴルフショット検出部14のセンサ機能とを連動させるようにしている。すなわち、遊技室20内にプレイヤ1がいる間はゴルフショット検出部14のセンサを作動して常時待機状態とし、プレイヤ1のゴルフショットをいつでも検知できるようにしている。なお、アドタイズ中やメニュー選択時など、検知を行わない期間を適宜設けても良い。
【0062】
ステップS2において、ゴルフショットが検知されると、制御手段16は、ゴルフショット検出部14の検出データを入力すると共に(ステップS3)、プレイヤ1によってショットされたボール3の弾道を検出データに基づいて計算によりシミュレートする処理を実行する(ステップS4)。続いて、制御手段16は、仮想板4の座標データ及び弾道の検出データに基づいて、打球が仮想板4に当たったか否かを判定し(ステップS5、S6)、仮想板4に当たったと判定した場合は、仮想板4によって跳ね返った打球のコースをス目標方向へ補正する処理を実行する。
【0063】
ここで、打球コースの補正処理の例について図面を用いて説明する。
【0064】
図14(A)及び(B)は、打球が床面板4aに当たった場合の、当たる前の打球のコースCと当たった後(方向転換後)のコースC’との関係を示しており、図14(A)が平面図で、図14(B)が側面図である。図14(A)に示すように、打球が床面板4aに当たった場合、制御手段16は、打球のコースが目標方向になるように補正する。図14(A)の例では、水平方向の反射角度を「0°」に変更する補正を行うようにしている。すなわち、床面板4aの面に対するコースC(C1,C2)の水平方向の入射角に関係なく、方向転換後の床面板4aの面に対するコースC’(C1’,C2’)の水平方向の反射角度は「0°」に変更する。
【0065】
一方、垂直方向の反射角度は、図14(B)に示すように、方向転換後の床面板4aの面に対するコースC’(C3’,C3’)の垂直方向の反射角度が、床面板4aの傾斜角度A°(A>垂直方向の打出角度)となるように補正する。
【0066】
このような床面板4aを用いて打球を方向転換させる処理を行うことにより、眼前の地面に打球が当たったり、水切り曲芸ショットになるような低い弾道になったりした場合でも、打球が床面板4aに当たった後の打球コースが、目標方向に方向転換され、不自然さを伴うことなく、初心者のミスショットを救済することが可能となる。
【0067】
次に、側面板に当たった場合の補正処理について説明する。
【0068】
図15(A)及び(B)は、打球が側面板4bに当たった場合の、当たる前の打球のコースCと当たった後(方向転換後)のコースC’との関係を示しており、図15(A)が平面図で、図15(B)が側面図である。図15(A)に示すように、打球が側面板4bに当たった場合、制御手段16は、打球のコースが目標方向になるように補正する。図15(A)の例では、側面板4bの面に対するコースC(C4,C5)の水平方向の反射角が、入射角と異なる角度B°(B°=入射角度/β)となるように、打球のコースを補正するようにしている。
【0069】
一方、垂直方向の反射角度は、図15(B)に示すように、打球の側面板4bに対するコースC(C7)の垂直方向の角度が基準角度より小さい場合は、方向転換後のコースC’(C7’)の垂直方向の角度C°が基準角度より大きくなるように補正し、コースC(C6)の垂直方向の角度が基準角度より大きい場合は、方向転換後のコースC’(C6’)の垂直方向の角度が基準角度より小さくなるように補正する。図16は、その補正処理を行う際の補正前の角度と補正後の角度C°との関係を示しており、図16中の補正係数γはゲームの種類別に設定されている。
【0070】
また、仮想板に打球が当たって跳ね返った後の速度は、図17に示すように、補正係数δを用いて、ショットされたボールの移動速度が設定値より小さい時には、移動速度が小さいほど速度増大率が大きくなるように、仮想板4によって跳ね返された打球の速度を増大させる補正処理を行う。
【0071】
上述のように、打球が仮想板4に当たった場合は、制御手段16は、打球の入射角度を算出して(ステップS7)、仮想板4によって跳ね返った打球の打球方向を目標方向へ補正すると共に(ステップS8)、打球速度を補正し(ステップS9)、仮想板4に当った後の打球コースを決定する(ステップS10)。一方、ステップS6において、打球が仮想板4に当たらないと判定した場合は、打球コースは、ステップS4において求めたボールの弾道となる。
【0072】
そして、決定した打球コースに基づいて、ゴルフショットの結果を示す画像を生成して当該画像をスクリーン上に表示させる処理を実行し(ステップS11)、当該ショットでの処理を終了する。その後は、例えば、プレイヤによるゲーム開始ボタン等のボタンの押下(あるいは、コインの投入検知センサ、旋錠/解錠の検知センサ、若しくは扉の開閉検知センサによる検知信号の入力)をトリガーとして、その時点からゴルフゲームの経過時間を計時し、制限時間となった時点で終了処理を実行する。
【0073】
なお、前述の床面板の傾斜角度「A°」(A°=床面板に当たった場合の垂直方向の角度の補正係数)、側面板に当たった場合の水平方向の角度の補正係数「β」、側面板に当たった場合の垂直方向の角度の補正係数「γ」、及び、跳ね返された打球の速度を補正する際の補正係数「δ」は、図18に示すように、ゲームの種類別にそれぞれ設定されており、制御手段16では、当該ゲームに対応する補正係数の設定値を記憶手段から読み出して該当の演算式に係数値を設定し、打球コースの補正処理を実行するようにしている。
【0074】
次に、ブレイクショットゲームでの標的再配置処理について、図19のフローチャートの流れに沿って説明する。
【0075】
制御手段16は、ブレイクショットゲームが選択された場合は、図10に例示したように、仮想空間内の手前から奥方向に向けて並べて配置される標的としての板5Aを表わす画像を投影部12に出力し、スクリーン11上に投影表示する。(ステップS21)。
【0076】
図20は、ステップS21において初期画面として表示される標的(板5A)の配置例を示す平面図である。図20に示すように、標的5Aは直線状に整列されて配置される。標的5Aの大きさは、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、段階的に大きくなるように、異なる大きさのもの(板オブジェクト)が配置される。そして、仮想空間における標的5Aの地面からの高さhは、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、段階的に高くなるように(放射線状に)、暫定的に配置される。また、標的5Aの間隔は、仮想空間における距離Wが10y(ヤード)の場合は5y、距離Wが7.5yの場合は17yというように、プレイヤのショット位置からの距離が遠いほど、間隔が段階的に大きくなるように、配置される。
【0077】
ステップS21において標的5Aを表示した後、プレイヤがボール3をショットすると、ゴルフシミュレータ10は、そのショットをゴルフショット検出部14のセンサ14aによって検知する(ステップS22)。ゴルフショットが検知されると、制御手段16は、ゴルフショット検出部14の検出データを入力すると共に(ステップS23)、プレイヤによってショットされたボール3の弾道を検出データに基づいて計算によりシミュレートする処理を実行する(ステップS24)。
【0078】
続いて、制御手段16は、ボール3の移動速度に基づいて標的5Aを配置し直す処理を実行する。本実施の形態では、ボール3の移動速度での弾道に各標的5Aがある程度沿うように、ショット後に標的5Aの垂直方向の配置を再配置する(ステップS25)。
【0079】
ここで、ステップS25における標的5Aの再配置処理について図面を用いて説明する。
【0080】
図21は、標的5Aの再配置のパターンを示しており、標的5Aの高さの位置は、予め複数種類のパターンで設定しておき、ボール3の移動速度によって、どのパターンを使用するか決定する。図21の例では、ボール速度が30m/s以下の時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン1、ボール速度が30〜40m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン2、ボール速度が40〜50m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン3、ボール速度が50〜60m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン4、及び、ボール速度が60〜70m/sの時の基準の弾道の高さに各標的を再配置するパターン5の合計5つのパターンを予め設定した例を示している。そして、これらの5つのパターンについて、例えば、図21中の条件(ボール速度、打出角度(垂直方向の角度)、バックスピン量、サイドスピン量=「0」)で決定される弾道に、各標的5Aの中心が位置する標的5A群の座標データを格納したテーブルを記憶手段に記憶しておく。
【0081】
ステップS25では、制御手段16は、ボール3の移動速度と各パターンの速度範囲とを比較し、ボール3の移動速度に対応するパターンの標的群の座標データを記憶手段から読み出して、当該パターンで標的5A群を再配置する。例えば、ボールの検出速度が35m/sの場合は、図21中のパターン2の標的群の座標データを記憶手段から読み出して、図22に示すように、パターン2の条件での弾道に、各標的5Aの中心が位置するように各標的5Aを再配置する。
【0082】
続いて、ステップS24で検出した弾道のデータと、再配置した標的5A群の座標データとに基づいて、打球が標的5Aに当たったか否かを判定する(ステップS26)。そして、各標的5Aについてその判定処理を繰り返し、当たったと判定した標的5Aについて、標的5Aが割れる様子を表わす画像を生成して当該画像をスクリーン11上に表示すると共に、標的が割れる音を表わす効果音を出力し(ステップS27)、当該ショットでの処理を終了する。なお、打球は、標的5Aの衝突による速度低下はさせずに、標的5Aに当たった後もステップS24で検出した弾道での移動を継続させる形態としている。
【0083】
なお、上述した実施の形態においては、ゴルフを模したゴルフシミュレータを例として説明したが、ゴルフ以外のシミュレータとしても適用することが可能である。例えば、
ピンポン球や野球のボール,サッカーボール,ホッケーのパック、弾丸、矢、ダーツなどの飛翔体を用いて、標的にボールを打込む球技を模したスポーツゲーム用の装置として好適に適用することができる。
【0084】
また、本発明の実施形態について具体的な例を示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明に係るゴルフシミュレータの全体構成を概略的に示す側面図である。
【図2】図1のゴルフシミュレータの平面図、側面図、及び正面図である。
【図3】本発明に係るゴルフシミュレータの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明に係る制御手段の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図5】初心者モードにおいて設置される仮想板の例を示す模式図である。
【図6】通常モードにおけるゴルフコースの画像例を示す図である。
【図7】初心者モードにおけるゴルフコースの画像例を示す図である。
【図8】実践モードで実行される模擬ゴルフの第1の画面例を示す図である。
【図9】実践モードで実行される模擬ゴルフの第2の画面例を示す図である。
【図10】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第1の画面例を示す図である。
【図11】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第2の画面例を示す図である。
【図12】ゲームモードで実行されるゴルフゲームの第3の画面例を示す図である。
【図13】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第1の図である。
【図15】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第2の図である。
【図16】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第3の図である。
【図17】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第4の図である。
【図18】本発明に係る打球コースの補正処理を説明するための第5の図である。
【図19】本発明に係る標的の再配置処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第1の図である。
【図21】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第2の図である。
【図22】本発明に係る標的の再配置処理を説明するための第3の図である。
【符号の説明】
【0086】
1 プレイヤ(ゴルファー)
2 クラブ
3 ボール
4 仮想板(ミスショット救済用ガード板)
4a 床面板
4b 側面板
5 標的
5A 板
5B 風船
5C マス
10 ゴルフシミュレータ(ゴルフゲーム装置)
11 スクリーン
12 投影部
12a プロジェクタ
13 操作部
14 ゴルフショット検出部
14a ゴルフショット検出センサ
14b マイクロコンピュータ
15 音響出力部
15a 音響出力手段
16 制御部
16 制御手段16A
16a コンピュータ
16b プログラム
20 遊技室
21 ネット
22 扉
161 制御モード切替手段
162 弾道検出手段
163 仮想板設置手段
164 打球コース補正手段
165 標的配置手段
166 画像生成手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、
前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備えたことを特徴とするゴルフシミュレータ。
【請求項2】
前記弾道における前記ボールの移動速度に対応する前記標的オブジェクトの配置パターンを格納したテーブルを備え、前記標的配置手段は、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記テーブルから抽出した前記配置パターンに則して、前記標的オブジェクトを再配置することを特徴とする請求項1に記載のゴルフシミュレータ。
【請求項3】
前記標的配置手段は、前記ボールがショットされる前に、前記標的オブジェクトを前記奥方向に向けて直線状に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトの垂直方向の座標位置のみを変更する再配置処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフシミュレータ。
【請求項4】
プレイヤがクラブを用いてボールをショットしたことに応答して仮想空間内のゴルフコースにおいて仮想球が打ち出されるゴルフゲームのプログラムが実行されるゴルフゲーム装置であって、
仮想空間内に標的となる複数の標的オブジェクトを、打ち出された前記仮想球が進行する方向に並べて配置する標的配置手段と、
前記複数の標的オブジェクトを含む仮想空間内の様子を仮想視点から見たゲーム画像を生成する画像生成手段と、
前記プレイヤによって前記ボールがショットされる前に、前記画像生成手段により生成された前記ゲーム画像を画面に表示する表示手段と、
前記ゲーム画像が表示された前記画面に向かってプレイヤがボールをショットしたことを検出する検出手段と、
前記検出手段から検出信号に基づいて、前記プレイヤがショットしたボールの移動速度を算出する手段と、
を備え、
前記標的配置手段は、
前記ボールの前記移動速度に基づいて、前記仮想球が打ち出される前の配置から変化させた新たな複数の前記標的オブジェクトの配置を決定し、
前記画像生成手段は、
打ち出された前記仮想球が移動すると共に、移動した前記仮想球が前記標的オブジェクトに順次衝突するゲーム画像を生成し、
前記表示手段は、
前記プレイヤによって前記ボールがショットされた後に、前記仮想球と前記標的オブジェクトとが衝突するゲーム画像を表示する、ゴルフゲーム装置。
【請求項5】
仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータとしてコンピュータを実行させるプログラムであって、
前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手順をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータにおいて、
前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手段を備えたことを特徴とするゴルフシミュレータ。
【請求項2】
前記弾道における前記ボールの移動速度に対応する前記標的オブジェクトの配置パターンを格納したテーブルを備え、前記標的配置手段は、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記テーブルから抽出した前記配置パターンに則して、前記標的オブジェクトを再配置することを特徴とする請求項1に記載のゴルフシミュレータ。
【請求項3】
前記標的配置手段は、前記ボールがショットされる前に、前記標的オブジェクトを前記奥方向に向けて直線状に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトの垂直方向の座標位置のみを変更する再配置処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフシミュレータ。
【請求項4】
プレイヤがクラブを用いてボールをショットしたことに応答して仮想空間内のゴルフコースにおいて仮想球が打ち出されるゴルフゲームのプログラムが実行されるゴルフゲーム装置であって、
仮想空間内に標的となる複数の標的オブジェクトを、打ち出された前記仮想球が進行する方向に並べて配置する標的配置手段と、
前記複数の標的オブジェクトを含む仮想空間内の様子を仮想視点から見たゲーム画像を生成する画像生成手段と、
前記プレイヤによって前記ボールがショットされる前に、前記画像生成手段により生成された前記ゲーム画像を画面に表示する表示手段と、
前記ゲーム画像が表示された前記画面に向かってプレイヤがボールをショットしたことを検出する検出手段と、
前記検出手段から検出信号に基づいて、前記プレイヤがショットしたボールの移動速度を算出する手段と、
を備え、
前記標的配置手段は、
前記ボールの前記移動速度に基づいて、前記仮想球が打ち出される前の配置から変化させた新たな複数の前記標的オブジェクトの配置を決定し、
前記画像生成手段は、
打ち出された前記仮想球が移動すると共に、移動した前記仮想球が前記標的オブジェクトに順次衝突するゲーム画像を生成し、
前記表示手段は、
前記プレイヤによって前記ボールがショットされた後に、前記仮想球と前記標的オブジェクトとが衝突するゲーム画像を表示する、ゴルフゲーム装置。
【請求項5】
仮想空間が投影されたスクリーンに向かってショットされたボールの弾道を検出し、前記仮想空間内を仮想球が飛んで行く様子を前記弾道に基づいてシミュレートする機能を有するゴルフシミュレータとしてコンピュータを実行させるプログラムであって、
前記ボールがショットされる前に、前記仮想空間の手前から奥方向に向けて複数の標的オブジェクトを予め定められた位置に配置し、前記ボールがショットされた後に、前記弾道における前記ボールの移動速度に基づいて前記標的オブジェクトを配置し直す標的配置手順をコンピュータに実行させるプログラム。
【図3】
【図4】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図20】
【図4】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図20】
【公開番号】特開2009−148385(P2009−148385A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328073(P2007−328073)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】
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