説明

サイモシンβ4、類似体、アイソフォーム及び他の誘導体を送達するための組成物及び方法

組成物及び方法は、接着剤と、アミノ酸配列LKKTETを含有するポリペプチド又はそれらの保存的変異型とを含む、実質的に精製された組成物を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮出願番号第60/458,399号(2003年3月31日出願)の利益を請求する。
(技術分野)
本発明は、ポリペプチド医薬品を送達するための組成物及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリペプチド医薬品は、種々の病弊の処置において特に有効な薬剤である場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポリペプチド医薬品を製造するのが非常に高価である場合があるため、ポリペプチド医薬品を送達するための改良された組成物及び方法の必要性が当該技術分野で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従って、組成物は、接着剤と、アミノ酸配列LKKTETを含むポリペプチド又はそれらの保存的変異型とを含む、実質的に精製された組成物を含む。ポリペプチドを部位に送達する方法は、上記組成物を部位に導入する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、サイモシンβ4(Tβ4)のようなアクチン重合抑制ペプチド及び他のアクチン重合抑制ペプチド又はアミノ酸配列LKKTET又はそれらの保存的変異型を含有するペプチドフラグメントを利用する組成物及び方法を提供する。NB又はKLKKTET及びLKKTETQのようなC−末端変異型が含まれる。これらのペプチド及びペプチドフラグメントは、創傷の治癒及び他の生理学的使用の促進において有用である。
【0006】
サイモシンβ4は、インビトロでの内皮細胞の移動及び分化中にアップレギュレートされるタンパク質として最初に同定された。サイモシンβ4は、43アミノ酸の、種々の組織において同定された4.9kDaのユビキタスポリペプチドである。内皮細胞の分化及び移動、T細胞分化、アクチン重合抑制及び血管新生における役割を含むいくつかの役割がこのタンパク質に起因している。
【0007】
サイモシンβ4は、種々の組織及び細胞型において見出される、高度に保存された極性5−kDaポリペプチドを有するβ−サイモシンファミリーのメンバーである。サイモシンβ4は、胸腺から元々精製され、胸腺ホルモンとみなされ、その後、複数の生物学的プロセスに関与することがわかった。主なG−アクチン重合抑制ペプチドとして、サイモシンβ4は、細胞増殖、遊走、及び分化の間にアクチンアセンブリの制御において重要な役割を果たす。多くの研究から、発癌、炎症、血管新生、及び創傷治癒の調整においてサイモシンβ4が関与していることがわかった。悪性腫瘍細胞株において、アクチンベースの細胞骨格の組織化を介してサイモシンβ4発現が腫瘍発生及び転移活性を調整することがわかった。サイモシンβ4は、管形成内皮細胞において増大していることがわかり;それらの結合を増加させ、広げ、移動させ、血管新生を促進する。サイモシンβ4はさらに、潰瘍抽出物及び創傷液中でも高濃度で見出され、抗菌因子としての機能が示唆された。創傷治癒におけるサイモシンβ4による刺激の役割は、動物モデルを用いた種々の研究において示された。局所的に添加又は腹腔内投与される場合、サイモシンβ4は、ラット全層
モデルにおいて皮膚の創傷治癒を高めた。皮膚の創傷治癒を促進する能力はさらに、db/db糖尿病マウス、ステロイド免疫抑制されたマウス及び高齢のマウスにおいても観察された。サイモシンβ4はさらに、火傷後の角膜上皮の治癒を促進し、炎症性応答を低減させる多くの角膜サイトカイン及びケモカインをダウンレギュレートすることも示された。
【0008】
血管障害における凝集カスケードの活性化は、フィブリノーゲンをフィブリンへと変換するトロンビンの生成を生じる。フィブリンは、自発的に重合して、損傷箇所を密閉する血餅を形成し、血液の流出を防ぐ。フィブリンはさらに、種々の細胞型が接着し、移動し、増殖する仮のマトリックスとしても役立ち、後に続く創傷治癒プロセス中に、フィブリンと正常組織とが交換される。因子XIIIa(血漿トランスグルタミナーゼ)は、フィブリン血餅と共有結合的に架橋しその構造を強化する。それに加えて、因子XIIIaはさらに、フィブリンに対して、フィブリンマトリックスの性質を調整し得る多くの生理学的に活性なタンパク質も架橋する。例えば、α2−抗プラスミンの共有取り込みは、フィブリン溶解現象に対するマトリックスの抵抗を高め、フィブロネクチンの組み込みは、細胞接着及び移動をサポートする能力に影響を与える場合がある。組織トランスグルタミナーゼは、フィブリンサイモシンβ4に選択的に取り込まれることが可能である。
【0009】
サイモシンβ4は、組織トランスグルタミナーゼのための特定の基質として役立ち、コラーゲン、アクチン、フィブリノーゲン及びフィブリン、上述のプロセスにおいても関与するタンパク質に対して選択的に架橋可能である。トロンビンを用いた血小板の活性化の後、サイモシンβ4が放出され、時間依存様式及びカルシウム依存様式でフィブリンに架橋する。血小板因子XIIIaは、刺激された血小板から同時に放出される。血小板から放出されたサイモシンβ4のフィブリンに対する架橋は因子XIIIaによって媒介されると考えられ、創傷治癒、血管新生及び炎症性応答の促進のために、血餅及び組織損傷に近い部位でサイモシンβ4の局所濃度を高める機構を提供する。
【0010】
フィブリノーゲンは、2個の同じサブユニットを含む化学ダイマーであり、それぞれは多くのジスルフィド結合によって共に保持される3個のポリペプチド鎖Aα、Bβ及びγで構成される。6個全ての鎖のジスルフィドで結合されたNH2−末端部分は中心E領域を形成する一方、COOH−末端部分は2個の末端D領域及び2個のαC−ドメインを形成する。フィブリノーゲンのフィブリンへの変換の際に、トロンビンで媒介されるフィブリノーゲンからのNH2−末端フィブリノペプチドA及びBの除去及びフィブリノーゲンAα及びBβ鎖からのNH2−末端フィブリノペプチドA及びBの除去はそれぞれ、活性配列(重合部位)を露出させ、近接する分子のE及びD領域間の相互作用(DD:E相互作用)を可能にし、フィブリンポリマーを形成する。このポリマーは、フィブリンα鎖及びγ鎖のCOOH−末端部分を介する因子XIIIaによって、架橋される。隣接するD領域のγ鎖の分子間架橋が迅速に起こりγ−γダイマーを形成する一方、αポリマー(αC−ドメイン)間の架橋はより遅く起こり、αポリマーの形成を生じる。それに加えて、α鎖は、フィブロネクチン、α2−抗プラスミン、及びPAI−2のようなタンパク質のフィブリンに対する架橋に役立つ。従って、これらの鎖はさらにサイモシンβ4の架橋に関与するという仮説が立てられる。
【0011】
サイモシンβ4がフィブリン(フィブリノーゲン)に組み込まれる機構を明確にするために、因子XIIIaの存在下及び非存在下で、その相互作用をフィブリノーゲン、フィブリン及びそれらの組み換えフラグメント(ドメイン)を用いて研究した。この研究によりフィブリン(フィブリノーゲン)とサイモシンβ4との実質的な非共有相互作用は存在しないと考えられるが、因子XIIIaはフィブリノーゲン及びフィブリンの両方に対してサイモシンβ4を効果的に架橋し、残基392〜610を含むそれらのαCドメインのCOOH−末端部分を主に介して架橋が起こることがわかった。
【0012】
1つの実施形態によれば、接着剤と、アミノ酸配列LKKTETを含むポリペプチド又はそれらの保存的変異型とを含む、実質的に精製された組成物を含む組成物が提供される。1つの実施形態によれば、上記接着剤は、ステントのような医療用デバイスに接着可能である。特に好ましい実施形態では、上記接着剤は、ヒトのような生存被検体の組織に接着可能である。
【0013】
好ましい実施形態では、上記接着剤は生分解性の接着剤である。本明細書中で使用される場合、生分解性の接着剤との用語は、生体吸収性又は腐食可能な接着剤を包含すると意図される。好ましい実施形態では、本発明の組成物は最初は流動体状態又は半流動体状態であり、最も好ましくは液体状態又は半液体状態である。特に好ましい実施形態では、適用後に、組織に接着しつつ、上記接着剤の粘度が上昇するか、少なくとも部分的に固化する。上記組成物は、層中の領域に、最も好ましくは噴霧又はブラシを用いて塗布されることによって導入されてもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明において利用される接着剤は、フィブリンシーラントマトリックス(フィブリングルー)である。フィブリングルーは、フィブリノーゲン及びトロンビン/カルシウムの別個の溶液の2成分系である。2つの溶液が混合される場合、得られた混合物は、血餅形成カスケードの最終段階を模倣し、フィブリン血餅を形成する。フィブリノーゲン成分は、自己由来の、単一ドナーの、又はプールされた血液から即時に調製することできる。フィブリングルーは、商品名Beriplast(登録商標)、Tissel(登録商標)、及びTissucol(登録商標)としてヨーロッパにおいて入手可能である。フィブリングルーは、種々の解剖部位において組織を修復し、封鎖し、及び結合するために広範囲の外科手段において使用されてきた。
【0015】
従って、本発明は、LKKTETポリペプチドを生存被検体の部位に送達する方法を提供する。好ましい実施形態では、この部位は表面である。本発明の方法は、本発明の組成物を部位に適用する工程を含む。好ましい実施形態では、この部位は、創傷、例えば、急性創傷又は慢性創傷である。
【0016】
好ましい実施形態では、上記接着剤は、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブリングルー、コラーゲン、上述のいずれかのフラグメント、又は上述のいずれかの混合物である。使用されてもよいコラーゲン接着剤としては、1型、2型、3型、4型及び/又は5型のコラーゲンが挙げられる。他の接着剤は、アクチン又はインテグリン接着剤を含んでもよい。
【0017】
他の実施形態では、本発明の組成物において利用される生分解性の接着剤は、ゲル(例えば、接着剤コラーゲンゲル)、ゲル/フィブリン混合物、粉末等である。
【0018】
好ましい実施形態では、上記接着剤は、LKKTETペプチドに共有結合し、最も好ましくは因子XIIIaによってLKKTETペプチドに共有結合する。特に好ましい実施形態では、上記接着剤はフィブリン又はフィブリノーゲンのフラグメントである。
【0019】
好ましい実施形態では、LKKTETポリペプチドは、アミノ酸配列KLKKTET又はLKKTETQ、サイモシンβ4(Tβ4)、Tβ4のN−末端変異型、Tβ4のC−末端変異型、Tβ4のアイソフォーム、Tβ4のスプライス変異型、酸化されたTβ4、Tβ4スルホキシド、リンパ球系Tβ4、ポリエチレングリコール付加Tβ4、又はアクチン結合ドメインを有する任意の他のアクチン重合抑制タンパク質もしくはアクチン結合タンパク質、又はアミノ酸配列LKKTETを含むかもしくはアミノ酸配列LKKTETから本質的になるペプチドフラグメント又はそれらの保存的変異型を含む。国際出願番号
第PCT/US99/17282(参考として本明細書中に組み込まれる)は、本発明にしたがって有用であり得るTβ4のアイソフォーム、ならびに本発明で利用され得るアミノ酸配列LKKTET及びそれらの保存的変異型を開示する。国際出願番号第PCT/GB99/00833(WO99/49883)(本明細書中に参考として組み込まれる)は、本発明に従って利用され得る酸化されたサイモシンβ4を開示する。本発明は主として以下でTβ4及びTβ4アイソフォームに関して記載するけれども、以下の記載は、アミノ酸配列LKKTET、LKKTETQ、LKKTET又はLKKTETQを含むか又はこれらから本質的になるペプチド及びフラグメント、それらの保存的変異型、並びに酸化されたサイモシンβ4に等しく適用可能であると意図されることが理解される。
【0020】
損傷した部位に接触させることの例としては、接着剤/Tβ4単独、又はTβ4浸透を高めるか、又は処置される領域へのTβ4ペプチドの放出を遅らせるか又はゆっくりにする少なくとも1つの薬剤と組み合わせた組成物と部位とを接触させることが挙げられる。被検体は、哺乳動物、好ましくはヒトであり得る。
【0021】
Tβ4、又はその類似体、アイソフォーム又は誘導体は、好適な有効量で投与されてもよい。例えば、Tβ4は、約0.1〜50μgの範囲内のTβ4、さらに好ましくは約1〜25μgの範囲内の投薬量で投与されてもよい。
【0022】
本発明に従う組成物は、投与1日あたり単回投与又は複数回投与で、毎日、1日ごと等、たとえば、投与1日あたり2回、3回、4回又はそれ以上の回数の適用で投与することができる。
【0023】
Tβ4アイソフォームが同定され、Tβ4の既知のアミノ酸配列に対して約70%、又は約75%、又は約80%又はそれ以上のホモロジーを有する。このようなアイソフォームとしては、例えば、Tβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14及びTβ15が挙げられる。Tβ4に類似して、Tβ10及びTβ15アイソフォーム、ならびにTβ4スプライス変異型は、アクチンを重合抑制することが知られている。Tβ4、Tβ10及びTβ15、ならびにこれらの他のアイソフォームは、アクチン重合抑制又は結合の媒介に関与すると考えられる共通のアミノ酸配列LKKTETを有している。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、Tβ4アイソフォームの活性は、部分的に、アクチンの重合化を制御する能力に起因する場合がある。β−サイモシンは、遊離のG−アクチンを重合抑制することによってF−アクチンを脱重合すると考えられる。それ故に、アクチン重合化を調整するTβ4の能力は、LKKTET配列を介してアクチンに結合又はアクチンを重合抑制する能力にすべて、又は部分的に起因する場合がある。従って、Tβ4を用いる場合と同様、アミノ酸配列LKKTETを有するTβ4アイソフォームを含む、アクチンに結合もしくはアクチンを重合抑制する他のタンパク質又はアクチン重合化を調整する他のタンパク質は、本明細書中で記載されるように、単独で又はTβ4との組み合わせて有効であると考えられる。
【0024】
従って、既知のTβ4アイソフォーム、例えば、Tβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14及びTβ15、ならびにまだ同定されていないTβ4アイソフォーム及びTβ4スプライス変異型は、本発明の方法において有用であることが特に考えられる。そのようにして、このようなTβ4アイソフォームは、被検体において実施される方法を含む、本発明の方法において有用である。それ故に、本発明はさらに、Tβ4、ならびにTβ4アイソフォームTβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14及びTβ15と、医薬的に受容可能なキャリアとを含む医薬組成物を提供する。
【0025】
それに加えて、アクチン重合抑制能力又は結合能力を有するか、あるいはアクチンを動
かし得るか又はアクチン重合化を調整し得る他のタンパク質は、適切な捕捉アッセイ、結合アッセイ、移動アッセイ又は重合化アッセイにおいて示されるか、又はアクチン結合を媒介するアミノ酸配列の存在、例えばLKKTETの存在によって同定され、例えば、本発明の方法において同様に使用することができる。このようなタンパク質としては、例えば、ゲルソリン、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、プロフィリン、コフィリン、アドセべルチン(adsevertin)、プロポミオシン(propomyosin)、フィンシリン(fincilin)、デパクチン、DnaseI、ビリン、フラグミン、セベリン、キャッピングタンパク質、β−アクチニン及びアクメンチン(acumentin)が挙げられる。被検体において実施される方法を含むこのような方法として、本発明はさらに、本明細書中に記載されるようなゲルソリン、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、プロフィリン、コフィリン、デパクチン、DnaseI、ビリン、フラグミン、セベリン、キャッピングタンパク質、β−アクチニン及びアクメンチンを含む医薬組成物を提供する。従って、本発明は、アミノ酸配列LKKTET(その一次アミノ酸配列内にあり得る)及びそれらの保存的変異型を含むポリペプチドの使用を含む。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「保存的変異型」またはそれらの文法的変化は、別の生物学的に類似の残基によってアミノ酸残基が交換されていることを示す。保存的変異型の例としては、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンのような疎水性残基を別の残基と交換すること、極性残基を別の残基と交換すること、例えば、アルギニンをリシンと置換すること、グルタミン酸をアスパラギン酸と置換すること、又はグルタミンをアスパラギンと置換すること等が挙げられる。
【0027】
Tβ4は多くの組織及び細胞型に局在化しており、従って、Tβ4の産生を刺激する薬剤は、組織及び/又は細胞からのTβ4産生に影響を与える組成物に添加されるか、又はそれらを含むことができる。このような薬剤としては、増殖因子のファミリーのメンバー、例えば、インスリン様増殖因子(IGF−1)、血小板誘導増殖因子(PDGF)、表皮増殖因子(EGF)、形質転換増殖因子β(TGF−β)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、サイモシンα1(Tα1)及び血管内皮増殖因子(VEGF)が挙げられる。さらに好ましくは、上記薬剤は、形質転換増殖因子β(TGF−β)又はTGF−βスーパーファミリーの他のメンバーである。
【0028】
さらに、治癒を助けるか又は刺激する薬剤を、Tβ4又はTβ4アイソフォームとともに組成物に添加してもよい。このような薬剤としては、血管新生薬剤、増殖因子、細胞の分化に指向する薬剤が挙げられる。例えば、限定の目的ではないが、Tβ4又はTβ4アイソフォームは、単独又は以下の薬剤の1つ以上と組み合わせて添加することができる:有効量のVEGF、KGF、FGF、PDGF、TGFβ、IGF−1、IGF−2、IL−1、プロサイモシンα及びサイモシンα11。
【0029】
炎症、損傷及び変性を治癒又は防ぐ実際の投薬量、処方物又は組成物は、被検体の大きさ及び健康状態を含む多くの因子に依存する場合がある。しかし、当業者は、使用するための適切な投薬量を決定するために、PCT/US99/17282(上出)及び本明細書中に引用される参考文献に開示されるような臨床での投薬量を決定するための方法及び技術を記載する教示を使用するとができる。
【0030】
好ましい実施形態では、ポリペプチドの濃度は、前記接着剤1モルあたり前記ポリペプチドが約0.01〜1モルの範囲内、さらに好ましくは前記接着剤1モルあたり前記ポリペプチドが約0.1〜0.5モルの範囲内、最も好ましくは前記接着剤1モルあたり前記ポリペプチドが約0.2〜0.4モルの範囲内にある。
【0031】
好適な処方物は、Tβ4又はTβ4アイソフォームを約0.001〜10重量%の範囲
内の濃度で、約0.01〜0.1重量%の範囲内の濃度で、又はさらには約0.05重量%の濃度で含んでもよい。
【0032】
本発明は、Tβ4ペプチド又はそれらの機能性フラグメントと相互作用する抗体の使用を含む。異なるエピトープ特異性を有するプールされたモノクローナル抗体、及び別個のモノクローナル抗体調製物から本質的になる抗体が提供される。モノクローナル抗体は、PCT/US99/17282(上出)に記載されるような当業者に周知の方法によってタンパク質のフラグメントを含有する抗原から製造される。本発明において使用されるような抗体との用語は、モノクローナル及びポリクローナル抗体を含むことを意味する。
【0033】
なお別の実施形態では、本発明は、Tβ4遺伝子発現を調整する有効量の薬剤を投与することによって被検体を処置する方法を提供する。用語「調整する」は、Tβ4が過剰発現される場合、Tβ4発現の阻害又は抑制を意味し、Tβ4の発現が抑えられている場合には発現の誘発を意味する。用語「有効量」は、Tβ4遺伝子発現を調整して有効な処置を生じるのに有効なTβ4薬剤の量を意味する。Tβ4又はTβ4アイソフォーム遺伝子の発現を調整する薬剤は、例えばポリヌクレオチドであってもよい。ポリヌクレオチドは、アンチセンス、三重らせん物質、又はリボザイムであってもよい。例えば、Tβ4の構造遺伝子領域又はプロモーター領域に向けられたアンチセンスを使用してもよい。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、Tβ4活性を調整する化合物を使用するための方法を提供する。Tβ4活性に影響を与える化合物(例えば、アンタゴニスト及びアゴニスト)としては、ペプチド、ペプチドミメティック、ポリペプチド、化合物、亜鉛のような鉱物、及び生物学的薬剤が挙げられる。
【0035】
いかなる特定の理論にも束縛されないが、本発明は、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(鋳型非依存性DNAポリメラーゼ)を誘発することによって、1つ以上の炎症性サイトカイン又はケモカインの濃度を下げ、内皮細胞に対する走化性因子として作用し、炎症又は損傷を治癒又は防ぐことを促進し、それによって傷害又は他の変性因子もしくは環境因子によってもたらされる組織の変性変化を治癒又は防ぐことを促進する場合がある。
【0036】
本発明をさらに以下の実施例によって説明するが、これは限定を意図するものではない。
【実施例1】
【0037】
タンパク質及び試薬
プラスミノーゲン、フィブロネクチン及びvon Willebrand因子が存在しないヒトフィブリノーゲンをEnzyme Research Laboratories(South Bend,IN)から購入した。ヒトフィブリノーゲンαC−ドメインに対応する組み換えαC−フラグメント(残基Aα221〜610)及びそのNH2及びCOOH−末端の半分に対応する切断された変異型(それぞれ残基Aα221〜391及びAα392〜610)をpET20b発現ベクターを用いてE.coliにおいて産生した。ヒトフィブリノーゲンγ鎖の残基148〜411を含む組み換えγ−モジュールを、同じ発現ベクターを用いてE.coliにおいて産生した。
【0038】
ウシトロンビン(1,000NIHu/mg)、アプロチニン(4.4TIU/mg)、抗ウサギIgG−セイヨウワサビ接合体及びフルオレセインイソチオシアネート(FITC)をSigmaから購入した。組み換え因子XIIIは、Zymogenetics,Inc.(Seattle,WA)による寄贈として提供された。合成サイモシンβ4は、Regenerx Biopharmaceuticals,Inc.(Bethe
sda,MD)による寄贈として提供された。抗−サイモシンβ4血清を、公開された方法に従って調製した。
【0039】
因子XIIIの活性化
0.15M NaClを含む25mM Tris緩衝液(TBS)、pH8.0中の因子XIIIを、トロンビン又はCaCl2のいずれかを用いて活性化し;後者はフィブリノーゲンを潜在的に活性化し得るトロンビンの存在を避けるために行われた。トロンビンで活性化されたFFXIII[FXIIIa(THr)]を、最終濃度が25NIHu/ml及び2.5 CaCl2mMになるまでウシトロンビンを添加することによって製造した。Ca2+−活性化トロンビン[FXIIIa(Ca)]を、最終濃度50mMになるまでCaCl2を添加することによって製造した。両混合物中のFXIIIの最終濃度は1.5mg/mlであった;両混合物を実験前に10分間室温でインキュベートした。
【0040】
FITCを用いたサイモシンβ4の標識化
蛍光標識されたサイモシンβ4を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)との反応によって調製した。サイモシンβ4をNAP5 Sephadex G−25カラム(Amersham Biosciences)でゲルろ過することによって0.1M
NaHCO3緩衝液、pH9.5に移した後、1.2モル過剰のFITCを添加し、暗所で37℃で2時間混合物をインキュベートした。未反応のFITCをNAP5カラムで除去した。標識化度を記載のように光学的に決定し、サイモシンβ4 1モルあたりFITC 0.9モルであることがわかった。
【0041】
固相結合アッセイ
FXIIIaの存在下又は非存在下での、サイモシンβ4とフィブリン(フィブリノーゲン)及びそのフラグメントとの相互作用を、プラスチックマイクロリットルプレートを用いてELISAによって試験した。マイクロリットルプレートのウェルを、全て0.1M NaHCO3緩衝液、pH8.3中で、フィブリノーゲン及びフィブリン10μg/mL又は組み換えフラグメント20μg/mlで−4℃で一晩コーティングした。10μg/mLフィブリノーゲン、1NIH u/mlトロンビン及び400u/mlアプロチニンを含有する混合物のウェルに添加した後、+4℃で一晩インキュベートすることによってフィブリンを製造した。次いで、Super Blocker(Pierce)を用いて37℃で1時間インキュベートすることによってウェルをブロックした。その後0.05% Tween−20を含有するTBS(TBS−Tween)で洗浄し、指示濃度のサイモシンβ4、FXIII、FXIIIa(Thr)及びFXIIIa(Ca)をウェルに添加し、37℃で2〜2.5時間インキュベートした。ウサギ抗−サイモシンβ4血清及びペルオキシダーゼ結合抗−ウサギIgGを用いた反応によって、結合した(組み込まれた)サイモシンβ4を検出した。TMB Microwell Peroxidase Substraseをウェルに添加し、組み込まれたサイモシンβ4を450nmで分光学的に測定した。
【0042】
フィブリノーゲン及びフィブリンへのサイモシンβ4の組み込み
フィブリノーゲン及びフィブリンへのFITC−標識されたサイモシンβ4及び標識されていないサイモシンβ4の組み込み反応を、2.5mM CaCl2を含む100μL
TBS中のフィブリノーゲン3mg/mL(9μM)及びサイモシンβ4又はFITC標識されたサイモシンβ4 150μg/L(30M)の混合物を含有するEppendorf管中で行った。FXIIIa(Ca)又はFXIIIa(Thr)を最終濃度が30μg/mLになるように添加することによって反応を開始させた。FXIIIa(Thr)を含有する混合物中のトロンビンの最終濃度を、視覚的に観察されるフィブリン血餅が迅速に形成するのに十分な濃度の2.5NIH u/mLにした。FITC−標識化サイモシンβ4との反応を暗所で37℃で4時間続け、沸騰水中で5分間酵素を熱失活させ
るによって停止させ、その間にフィブリノーゲン及びフィブリンが変性し、沈殿した。ペレットを遠心分離し、TBSで3回洗浄し、次いで可溶化させた。可溶化ペレット中のフィブリン(フィブリノーゲン)及びFITC−標識化サイモシンβ4の量を、それぞれモル吸収係数E280,1%=15.0及びε495=72,000M-1cm-1を用いて分光学的に決定した。SDS−PAGE及びウエスタンブロットによる分析のために標識化されていないサイモシンβ4を用いてサンプルを調製するために、反応混合物を上述のように指示時間で熱失活させ、SDS及び還元剤を含有するサンプルバッファ(Invitrogen)を添加することによって可溶化した。
【0043】
速度論的分析
異なるフィブリン(フィブリノーゲン)フラグメントへのサイモシンβ4の組み込みの速度論を分析するために、マイクロリットルプレート(上に記載されるもの、但し全てのフラグメントの濃度は20μg/mL)のウェルに固定化し、トロンビンで活性化された因子XIIIa 10μg/Lの存在下で、種々の濃度のサイモシンβ4を用いてインキュベートした。インキュベーション混合物を、最終濃度10mMになるまでヨードアセトアミドを添加することによってインキュベーション1時間の間に15分ごとに阻害し、各時点での組み込まれたサイモシンβ4をウサギ抗−サイモシンβ4血清を用いて上述のように検出した。異なる濃度のサイモシンβ4での組み込み反応の初期速度(V)を反応時間経過プロットの勾配から決定し、タンジェントα:=A450/t(分)(ここで、A450は組み込まれたサイモシンβ4の量に比例する、光学単位(o.u.)での450nmでの吸光度を表す)として表した。見かけ上のMichaelis定数KmをLineweaver− Burkプロット1/V(分/o.u.) 対 1/[S](μM-1)(ここで[S]はサイモシンβ4の濃度である)から得た。
【0044】
ウエスタンブロット分析
フィブリン(フィブリノーゲン)及びそのフラグメント内に組み込まれたサイモシンβ4の検出を以下のように行った。上述のように調製されたサンプルを電気泳動させ、上に記載したようにニトロセルロース膜(Invitrogen)に電気的に移動させた。膜をカゼインブロッカーで1時間ブロックし、サイモシンβ4をウサギ抗−サイモシンβ4血清及びペルオキシダーゼ結合抗−ウサギIgGを用いた反応によって検出した。スーパーシグナルウェストピコケミルネッセント基質を用いて製造業者によって推奨される手順によって、ペルオキシダーゼ標識されたタンパク質バンドの視覚化を行った。
【0045】
ELISAで検出されるフィブリノーゲン及びフィブリンへのサイモシンβ4の組み込み
因子XIIIaがフィブリン(フィブリノーゲン)に対するサイモシンβ4の架橋を媒介し得ることを試験するために、及びこのような架橋の機構を明らかにするために、本願発明者らは組み換え因子XIIIの存在下及び非存在下での、サイモシンβ4とフィブリノーゲン及びフィブリンとの相互作用の直接研究を行った。因子XIIIの血小板形態と対応する血漿因子XIIIとは対照的に、組み換え因子は、2つのサブユニット(a2)を含むことが注記されるべきである。
【0046】
ELISA実験において、サイモシンβ4 150μg/mL(30μm)を固定化フィブリノーゲンとともにインキュベートしたが、因子XIIIの非存在下及び非活性化因子XIII存在下では低いシグナルのみが検出され、このことは、それらとの相互作用はあったとしても非常に低いことを示唆している。非活性化因子XIIIaの非存在下又は存在下でサイモシンβ4を固定化フィブリンとともにインキュベートした場合、これはCaCl2の添加によって活性化されウェル中でフィブリノーゲンがフィブリンに変換するのを防ぎ、シグナルはかなり増加し、このことは、因子XIIIaがサイモシンβ4のフィブリノーゲンへの結合(組み込み)を媒介することを示唆する。同様の状況が固定化フ
ィブリンを用いて観察されたが、組み込みの濃度はフィブリノーゲンへの組み込みの濃度よりも高かった。両方の場合における組み込みは用量依存であった。フィブリンに対する組み込みは、因子XIIIがCa2+の代わりにトロンビンで活性化された場合、さらに増加した。このような違いは、これらの2つの因子XIIIa種の異なる特定の活性に起因し得る。これらの結果は、活性化XIIIが組織トランスグルタミナーゼと同様に、フィブリノーゲンおよびフィブリンの両方へのサイモシンβ4の組み込みを媒介することを示す。これらのことは、サイモシンβ4とフィブリノーゲン及びフィブリンの両方との顕著な非共有的相互作用は存在しないことも示唆する。
【0047】
フィブリノーゲン及びフィブリンへのサイモシンβ4の組み込みのさらなる分析
因子XIIIaで媒介されるフィブリン(フィブリノーゲン)へのサイモシンβ4の組み込みをさらに特徴決定するために、免疫ブロッティングによって、トロンビン、因子XIII、サイモシンβ4及びフィブリンの混合物を異なる時点で分析した。分析のための混合物及びサンプルを実験手順において記載されるように調製した。サンプルをニトロセルロース膜に電気的に移動させ、抗−サイモシンβ4血清を用いてプローブした。免疫ブロッティングの結果は、因子XIIIaが組織トランスグルタミナーゼと同様にフィブリンにサイモシンβ4を共有結合的に組み込ませ、組み込まれた(架橋した)サイモシンβ4の量は4時間後に飽和に達するようであることを示す。この時間を組み込み度を評価するために選択した。この目的のために、サイモシンβ4をフィブリノーゲン/サイモシンβ4混合物及びフィブリン/サイモシンβ4混合物において直接測定が可能なFITC発色基で標識化した。このような改変は、ウエスタンブロット分析によって評価された組み込みパターンに基づいて、フィブリノーゲン又はフィブリンのいずれかへの組み込みに影響を与えなかった。上記と同様の混合物であるがFITC標識化されたサイモシンβ4を含む混合物を4時間インキュベートし、その後に組み込み度を分光学的に決定されたフィブリン(フィブリノーゲン)の量及び各サンプル中の組み込まれたFITC−サイモシンβ4の量に基づいて概算した。この結果から、生理学的濃度のフィブリノーゲン(9μM)を含む選択された条件下で、因子XIIIaがかなりの量のFITC−サイモシンβ4、フィブリノーゲン及びフィブリン1モルあたりそれぞれ約0.2及び0.4モルを組み込むことがわかった。
【0048】
個々のフィブリン(フィブリノーゲン)鎖へのサイモシンβ4の組み込み
3つのフィブリン(フィブリノーゲン)鎖がサイモシンβ4との架橋に関与することを確立するために、本願発明者らは、SDS−PAGE及びウエスタンブロットによって、サイモシンβ4の存在下及び非存在下でのフィブリノーゲン及びフィブリンの因子XIIIa媒介性架橋の経時変化を分析した。フィブリン因子において、XIIIaがγ鎖のCOOH−末端部分を迅速に架橋してγ−γダイマーを生成し、α鎖の架橋によってα−αダイマー、トリマー、及びα−ポリマーを精製し;フィブリノーゲンは、同様の様式で架橋されるが速度が遅いことはよく知られている。還元条件においてSDS−PAGEによって分析される場合、フィブリノーゲン及びフィブリン、Aα、Bβ、γ及びα、β、γそれぞれの個々のポリペプチド鎖に対応するバンドは十分に分離されていた。因子XIIIaを用いたフィブリノーゲンのインキュベーションにより、γ−γダイマー及びAα−Aαダイマー及びトリマーに対応するバンドの欠失が進み;おそらくAαポリマーに対応するいくつかの物質の出現が開始時にも観察された。フィブリノーゲンをサイモシンβ4の存在下で因子XIIIaを用いてインキュベートする場合、個々の鎖及びそれらの架橋された変異型に対応するバンドの強度における実質的な違いは見られなかった。同様の結果が得られたが、フィブリンでは、α鎖及びγ鎖の架橋は予想されるようにさらに迅速に生じ、開始時の物質の量もさらに高かった。さらなるウエスタンブロット実験により、インキュベーション30分後に、かなりの量のサイモシンβ4がフィブリノーゲンAα鎖に組み込まれ、インキュベーション150分後に、いくらかのサイモシンβ4もAα−Aαダイマーに組み込まれていることがわかった。フィブリンα鎖及びそれらのα−αダイマ
ーへのサイモシンβ4の組み込みは非常に迅速に起こり、インキュベーション150分後に、サイモシンβ4の物質はα鎖のさらにより高い分子量の形態(α−ポリマー)中でも観察された。これらの結果は、フィブリノーゲンAα及びフィブリンα鎖はサイモシンβ4の共有的組み込みにおいて主要な部位を含有することを示す。同時に、γ−γダイマー及びα−αダイマーの間の移動性を有する低い強度のバンドのインキュベーション150分後の外観は、サイモシンβ4がさらにフィブリンγ鎖(γ−γダイマー)に組み込まれることを示唆する。あるいは、このバンドは、α−αダイマーのタンパク分解的に切断された的変異型に対応する場合がある。
【0049】
組み換えフィブリン(フィブリノーゲン)フラグメントへのサイモシンβ4の組み込み
αCドメイン及びγ−モジュールを形成するフィブリノーゲンAα及びγ鎖のCOOH−末端タンパク質は、フィブリン中の因子XIIIaによって架橋される反応性Gln及びLys残基を含有することが十分に確立されており、それ故に、サイモシンβ4との架橋に潜在的に関与し得る。このことを試験し、フィブリン(フィブリノーゲン)中のサイモシンβ4のための架橋部位をさらに局在化させるために、組み換えγ−モジュール(残基γ148〜411)及びαC−ドメイン(SDS−PAGE及びウエスタンブロッティングによって、Aα221〜391及びAα392〜610サブフラグメント)へのサイモシンβ4の組み込みを分析した。サイモシンβ4の存在下での因子XIIIaを用いたαC−ドメイン及びγ−モジュールのインキュベーションによって効果的な架橋が生じ、それらのより高い分子量形態、ダイマー、トリマー及びオリゴマーの概観を表す。同時に、主にそれぞれアクセプターGln及びドナーLys残基を含有するAα221〜391及びAα392〜610サブフラグメントの架橋は、ほとんど有効ではなかった。サンプルをニトロセルロース膜に電気的に移動し、抗−サイモシンβ4血清でプローブした場合、かなりの量のサイモシンβ4がαC−ドメイン、γ−モジュール及びそれらのさらに高い分子量変異型、ダイマー、トリマー及びオリゴマー中に検出された。Aα392〜610サブフラグメントモノマー及びオリゴマーへの組み込みはさらにかなりの量である一方、非常に少量のサイモシンβ4のみがAα221〜391オリゴマー中で検出された。これらの結果は、サイモシンβ4がαC−ドメイン及びγ−モジュールの両方に架橋され得、前者のAα392〜610領域の反応性Lys残基が架橋に含まれることが示唆された。
【0050】
上の観察をELISAによって確認した。サイモシンβ4が固定されたγ−モジュール又が因子XIIIaの存在下でαC−ドメイン変異型を用いてインキュベートされた場合、γ−モジュール内に効果的に組み込まれ、αC−ドメイン及びAα392〜610サブフラグメント内に効果的に組み込まれる一方、Aα221〜391への組み込みは非常に低かった。γ−モジュールの組み込みが、試験される全ての濃度でαC−ドメイン変異型の組み込みよりもほぼ2倍低いことが注記されるべきである。非活性化因子XIII存在下で又は非存在下でサイモシンβ4が同じ固定された種を用いてインキュベートされた場合、全ての場合において組み込みが非常に低かった。このことは、フィブリノーゲン及びフィブリンの場合におけるように、サイモシンβ4と組み換えフラグメントとの間の顕著な非共有性相互作用が存在しないことを示唆する。
【0051】
フィブリンのγ鎖の因子XIIIa架橋が見かけ上Michaelis挙動を示すことは以前に示された。固定化されたγ−モジュール及びαC−ドメイン変異型に対してサイモシンβ4を架橋する場合、因子XIIIaがMichaelis酵素として挙動するという推定から、このような架橋の速度論的パラメータを決定し得た。速度論的データの分析により、組み込み反応について、見かけ上のMichaelis定数(Km)の以下の値、サイモシンβ4のγ−モジュールへの組み込みについて183±29μM、及びαC−ドメイン及びそのAα392〜610サブフラグメントへの組み込みについてそれぞれ17.6±2.5μM及び8.6±3.7μMがわかった。αC−ドメイン及びそのサブ
フラグメントについての値よりもγ−モジュールについてのKm値がかなり高いことは、αC−ドメイン変異型に対するサイモシンβ4の架橋が非常に効率的であることを示す。この関係において、Aα392〜610フラグメントについてのKmは、因子XIIIaで媒介されるγ−γ架橋について以前に決定されたKm=6.2μMに匹敵する。αC−ドメイン及びAα392〜610サブフラグメントについてのKm値における2倍の差は、サイモシンβ4及びAα392〜610領域の反応性Gln残基の間の競合、すなわち、αC−対−αC及びサイモシンβ4−対−αC架橋の間の競合によって説明され得た。これと一致して、αC−ドメイン及びAα3962〜610サブフラグメントについての二重逆数プロットは、拮抗阻害の特徴的なパターンを示す。
【0052】
けれども、この結果は、因子XIIIaが、残基Aα3962〜610を含む単離されたαC−ドメインのCOOH−末端部分に対してサイモシンβ4を効果的に架橋すること、単離されたγ−モジュールへの組み込みは効果的ではないこと、およびフィブリノーゲン又はフィブリンにおいて、組み込みは主にαC−ドメインで起こることを示した。
【0053】
フィブリン(フィブリノーゲン)は、生理学的に活性なタンパク質と細胞レセプターとの間の相互作用を介して創傷治癒において重要な役割を果たす。特に、フィブリンマトリックスは炎症性応答及び内皮細胞による毛細管形成(血管新生)を刺激し、これは、それぞれ白血球インテグリンMac−1及び内皮細胞レセプターVE−カドヘリンとの相互作用を介する、創傷治癒プロセスにおいて必須の工程である。塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)と高いアフィニティーを有して相互作用し、フィブリン分解の部位での血管新生及び創傷治癒に対するそれらの貢献のこれらの強力な刺激剤の共局在化を提供する。フィブリンはさらに、インスリン様増殖因子結合タンパク質−3(IGFPB−3)でも保持可能であり、IGF−1と複合体を形成する。サイモシンβ4(強力な血管新生及び創傷治癒因子)はさらに、組織トランスグルタミナーゼによってフィブリンへと組み込むことができ、フィブリンマトリックスの創傷治癒能力を明らかにさらに高める。
【0054】
全てのトランスグルタミナーゼは同じ反応を触媒するけれども、共有結合性γ−グルタミル−ε−リシルイソペプチド結合が反応性Gln及びLys残基の間に形成され、基質に対するそれらの特異性は異なっていてもよい。例えば、因子XIIIa(血漿トランスグルタミナーゼ)がフィブリンにおいてγ鎖及びα鎖に特異的に架橋し、γ−γダイマー及びα−ポリマーをそれぞれ生じ、組織トランスグルタミナーゼは特異的でなく、またα−γ鎖架橋を生じ得る。セリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)PAI−2についてのフィブリン(フィブリノーゲン)に対する架橋パターンはさらに、組織トランスグルタミナーゼ及び因子XIIIaについて異なっていることもわかった。サイモシンβ4がテンジクネズミ肝臓組織トランスグルタミナーゼによってフィブリンに組み込まれることが最初に示され;因子XIIIaによるフィブリンへのその組み込みは、トロンビンで活性化された血小板が因子XIII及びサイモシンβ4を共に放出し、後者がフィブリンに対して架橋するという事実に基づいて仮説が立てられた。この試験において、サイモシンβ4がフィブリノーゲンおよびフィブリンの両方に対して因子XIIIaによって組み込まれることが直接的に示された。さらに、組み込み度がそれぞれ高く、フィブリノーゲン及びフィブリン1モルあたりサイモシンβ4が0.2及び0.4モルであることがわかった。血漿中のフィブリノーゲンの濃度が約9μMであるため、フィブリン分解の位置でのフィブリンの局所的濃度は、かなり高くあるべきである。サイモシンβ4が0.1nM〜1μMで血管新生前の活性を示すことを考慮すると、組み込み度は明らかに生理学的に有意であり、フィブリン血餅の創傷治癒能力を高めるのに十分であるべきである。
【0055】
因子XIIIaがフィブリン内に多くの血漿タンパク質、α2−抗プラスミン、PAI−2、フィブロネクチン、トロンボスポンジン、及びvon Willebrand因子
を組み込むことが知られている。組み込みの機構は、それらのいくつかについてのみ確立されている。例えば、フィブロネクチンは、因子XIIIaと共有結合的に架橋する前に、高いアフィニティーを有して非共有結合的にフィブリンαC−ドメインに結合し;各タンパク質中の認識部位及び反応性Gln及びLys残基は、異なる領域に位置しており、架橋部位の適切な配向を与える。それに加えて、因子XIIIaは、αC−ドメインと相互作用し、反応の特異性をさらに高める。サイモシンβ4の非共有性結合がフィブリンに対する架橋に優先するか否かを試験するために、その相互作用を非活性化因子XIIIの存在下及び非存在下で、固定化されたフィブリノーゲン及びフィブリンを用いて試験した。フィブリンに対する高い親和性を示すbFGF及びVEGFのような他の血管新生前因子とは対照的に、注目すべき非共有性相互作用は、全てのケースにおいてサイモシンβ4を用いて観察されなかった。組み込みは活性化因子XIIIaの存在下でのみ観察され、このことは、共有性架橋がフィブリン血餅におけるサイモシンβ4を保持する唯一の機構であり得ることを示唆する。
【0056】
この結果は、サイモシンβ4が因子XIIIaによって単離されたγ−モジュール及びαC−ドメイン変異型に組み込まれ得るけれども、フィブリン(フィブリノーゲン)において、αC−ドメイン、つまりそれらのAα392〜610領域に主に架橋することを明らかに示す。サイモシンβ4及びフィブリン(フィブリノーゲン)において同定された反応性Lys及びGln残基の分布の分析は、この発見について合理的な説明を提供する。サイモシンβ4は、反応性アミンドナーであるLys38、ならびに2つのアミンレセプターであるGln23及びGln36を含有し、これらは他のタンパク質との架橋反応に関与し得る。分子間γ−γ架橋に関与するγ鎖において2つの反応性残基Gln398(又はGln399)及びLys406のみが存在し、両者はγ−モジュール中に位置する。単離されたγ−モジュールが因子XIIIaで処理される場合、架橋はランダムに起こりダイマー、トリマー/オリゴマーを形成すると思われ;サイモシンβ4は全てのこれらの種に組み込まれていた。フィブリンにおいて、これらの領域は、1つの鎖のGln398/399及び別の鎖のLys406の間の架橋を容易にする逆平行様式でDD:E相互作用によって整列し、γ−γダイマーを形成する。この架橋反応の効率は、これらの残基とサイモシンβ4との架橋反応の効率よりも非常に高く、それ故に、サイモシンβ4がフィブリンγ鎖へほとんど組み込まれないか又は全く組み込まれないことが本試験において観察されたことは驚くべきことではない。
【0057】
γ鎖とは対照的に、Aα鎖は複数の反応性グルタミン及びリシン残基を含有する。以下の残基は、フィブリン又は組み換えαC−ドメイン、Gln221、237、328及び366、ならびにLys508、539、556、580及び601中のα鎖間の架橋に関与することがわかった。Aα鎖Lys303は、因子XIIIaで媒介されるセルピンα2−抗プラスミンのフィブリン(フィブリノーゲン)に対する架橋におけるアミンドナーとして作用することが示された。このLysは別のセルピン、組織トランスグルタミナーゼ及び因子XIIIaによって他のAα鎖リシン残基、148、176、183、230、413及び457を介して架橋するPAI−2に対して反応性ではない。α2−抗プラスミンの架橋領域を模倣する合成ペプチドを用いた試験により、12の反応性リシン残基、Lys418、448、508、539、556及び580を介してフィブリンα鎖に組み込まれ、これは全活性の78%を占め、Lys208、Lys219及び/又は224、Lys427、429、601及び606は反応性がほとんどないことが明らかである。フィブリン(フィブリノーゲン)Aα368〜610領域内の少なくとも10のリシン残基は、フィブロネクチンとの架橋反応にかかわる。上記分析により、フィブリン中の同定された反応性残基のほとんどがαC−ドメイン中に位置し、サイモシンβ4が優先的に架橋するαC−ドメインの392〜610領域が、少なくとも11の反応性Lys残基を含有し、これらの残基の中で半分のみがα−α架橋において利用されることがわかった。サイモシンβ4がα−α架橋に関与する反応性リシン残基について競合するけれども
、αC−ドメインに対する架橋が独立してそれらの分子間α−α架橋を有して生じ、フィブリン内に効率よく組み込まれることも示唆される。従って、αC−ドメインの反応性リシン残基はα−α架橋に役立つだけでなく、同時に、創傷治癒及び他の生理学的プロセス及び病態プロセスに関与するフィブリンマトリックスの性質を調整し得る、サイモシンβ4を含む生理学的に活性なタンパク質を収容する。
【0058】
フィブリノーゲンは、制御可能な様式で重合し、異なる細胞に容易に接着し、非免疫性で生分解性の血餅を生成する。これらは、出血の阻止のための止血剤として、ならびに組織封鎖及び創傷治癒を助けるために、多くの外科適用においてますます使用されている理想的な止血及び生体接着剤(フィブリンシーラント)になる。創傷治癒及び他の治療におけるフィブリンシーラントの使用は、生体活性薬剤を含むことによって高めることができる。例えば、細胞モデル及び動物モデルにおいて、フィブリンが抗生物質及び増殖因子の局在化送達のためのビヒクルとして役立ち得ることが示された。フィブリンに包接された抗生物質は低い溶解性に起因してゆっくりと放出されるが、フィブリンシーラント中の増殖因子の保持は、フィブリンとの高いアフィニティー相互作用を介してか、又は直接的な共有性架橋を介して達成された。サイモシンβ4が因子XIIIaを用いた架橋によってフィブリン(フィブリノーゲン)に組み込まれる能力は、サイモシンβ4のフィブリンシーラント上への固定化のために使用可能であった。この試験は、フィブリノーゲン及びフィブリンの両方へのこのような組み込みの高い効力を示し、このアプローチを支持する。
【0059】
まとめると、実験的研究は、生体活性ペプチドであるサイモシンβ4が、因子XIIIaを用いて共有的に架橋することによってフィブリンに組み込まれ得ることを確認し、このことは成分の生理学的濃度でフィブリノーゲン及びフィブリンの両方への組み込みの高い効率を示し、フィブリン(フィブリノーゲン)αC−ドメインのAα392〜610領域内の組み込み部位を局在化させることを示した。実験データは、創傷治癒の場所に対して送達するための、生理学的に顕著な量のサイモシンβ4のフィブリンシーラントへの組み込みを支持する。
【0060】
組織トランスグルタミナーゼ及び推定血漿トランスグルタミナーゼ、因子XIIIaは、フィブリン(フィブリノーゲン)に生理学的に活性なペプチドであるサイモシンβ4を共有的に組み込むことができる。この組み込みの機構を明らかにするために、サイモシンβ4とフィブリノーゲン、フィブリン、及びそれらの組み換えフラグメント、γ−モジュール(γ鎖残基148〜411)、ならびにαC−ドメイン(Aα鎖残基221〜610)及びその切断された変異型を用いて免疫ブロット及びELISAによって相互作用を試験した。それらの間の顕著な非共有性相互作用は、活性化因子XIIIの非存在下では検出されなかったが、サイモシンβ4の存在下では、フィブリン及びより低い程度でフィブリノーゲンに効果的に組み込まれた。フィブリン(フィブリノーゲン)及び因子XIIIの生理学的濃度での組み込みは、フィブリノーゲン及びフィブリンに対するサイモシンβ4のモル組み込み比がそれぞれ0.2及び0.4で有意であった。さらなる実験から、活性化因子XIIIは単離されたγ−モジュール及びαC−ドメインにサイモシンβ4を組み込むが、フィブリンにおいて、後者は主要な組み込み部位として働くことがわかった。この部位はさらに、残基392〜610を含むαC−ドメインのCOOH−末端部分に局在化していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤と、アミノ酸配列LKKTETを含むポリペプチド又はそれらの保存的変異とを含む、実質的に精製された組成物を含む組成物。
【請求項2】
前記接着剤が、生存被検体の組織に接着可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記接着剤が生分解性である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記接着剤が、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブリングルー、コラーゲン、それらのフラグメント、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記接着剤及び前記ポリペプチドが共に共有結合する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記接着剤及び前記ポリペプチドが因子XIIIaによって共有結合する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記接着剤がフィブリン又はフィブリノーゲンのフラグメントである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、アミノ酸配列KLKKTET又はLKKTETQ、サイモシンβ4(Tβ4)、Tβ4のN−末端変異型、Tβ4のC−末端変異型、Tβ4のアイソフォーム、Tβ4のスプライス変異型、酸化されたTβ4、Tβ4スルホキシド、リンパ球系Tβ4又はポリエチレングリコール付加Tβ4を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリペプチドが組み換え又は合成である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリペプチドが抗体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗体がポリクローナル又はモノクローナルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリペプチドの濃度が、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.01〜1モルの範囲内にある、請求項4に記載の組成物。
【請求項13】
前記範囲が、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.1〜0.5モルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記範囲が、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.2〜0.4モルである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物を部位に導入する工程を含む、ポリペプチドを部位に送達する方法。
【請求項16】
前記組成物が噴霧によって前記部位に適用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記部位が創傷である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記接着剤が、生存被検体の組織に接着可能である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記接着剤が生分解性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤が、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブリングルー、コラーゲン、それらのフラグメント、又はそれらの混合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記接着剤が前記ポリペプチドに共有結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接着剤が因子XIIIaによって前記ポリペプチドに共有結合する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接着剤がフィブリン又はフィブリノーゲンのフラグメントである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリペプチドが、アミノ酸配列KLKKTET又はLKKTETQ、サイモシンβ4(Tβ4)、Tβ4のN−末端変異型、Tβ4のC−末端変異型、Tβ4のアイソフォーム、Tβ4のスプライス変異型、酸化されたTβ4、Tβ4スルホキシド、リンパ球系Tβ4又はポリエチレングリコール付加Tβ4を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリペプチドが組み換え又は合成である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリペプチドが抗体である、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記抗体がポリクローナル又はモノクローナルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.1〜1モルの範囲内の濃度である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記範囲が、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.1〜0.5モルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記範囲が、前記接着剤1モルあたり、前記ポリペプチドが約0.2〜0.4モルである、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2007−525445(P2007−525445A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509446(P2006−509446)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2004/009614
【国際公開番号】WO2004/091550
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(503334769)リジェナークス・バイオファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】