説明

サッシ框

【課題】複合材から構成する場合と金属材のみから構成する場合の両方に用いることのできるサッシ框を提供する。
【解決手段】上下框40、50及び左右の縦框60、60を方形状に框組みしてなり、各框は金属框41の室内側に樹脂框42を配設可能としてなると共に、見付方向内端部でグレチャン4を介してガラス体3を固定するサッシ框であって、金属框41は室内外面にそれぞれグレチャン4を挟持する突条43、44を備え、室内面に四周に渡って気密ライン48bを設けてなる起立部48と樹脂框42の取付部47とを備え、室内側の突条44は先端部近傍に室外側に向かって突出する突片44aを有し、突片44aは先端がグレチャン4に圧接すると共に、樹脂框42の取付部47を構成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は框体内部にガラス体を納めてなるサッシ框に関し、特に金属框のみでも構成でき金属框の室内側に樹脂框を設けて複合框としても構成できるサッシ框に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物開口部に設けられる枠体内に納められるサッシ框について、室外側が金属材からなり、室内側が樹脂材からなる複合材により構成したものが知られている。このような複合材を框体に用いることにより、框体の室内側露出面を樹脂材にて覆うことができるため、断熱性を高めることができると共に、室内側から見た意匠性を向上させることができる。特に、金属による冷たい感じをなくし、デザインの統一化も容易に図ることができる。このようなサッシ框としては、例えば特許文献1、2に示すようなものがある。
【特許文献1】特開平8−218739号公報
【特許文献2】特開平10−317805号公報
【0003】
これらのサッシ框では、グレチャンを介してガラス体を内部に納めている。グレチャンは、サッシ框の内側端部において室内外の両側から挟持され、ガラス体を保持する。また、サッシの気密性を確保するために、気密材等の何らかの気密構造が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複合材から構成される従来のサッシ框は、金属材と樹脂材の両方を配設した状態でしか構成することができなかった。すなわち、樹脂材を取り外して金属材のみでサッシ框として用いることができなかった。例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたサッシ框では、グレチャンを室外側からは金属材で、室内側からは樹脂材で挟持するようにしているため、金属材のみではサッシ框としてガラス体を納めることができない。
【0005】
サッシを取付ける地域によっては、断熱性はそれほど必要とされない。この際には室内側意匠性向上のために複合材からなるサッシ框を用いる場合と、コストを抑えるために金属材のみからなるサッシ框を用いる場合とがあって、それぞれ別々に設計されたサッシ框を用いていたので、コストアップの要因となっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、複合材から構成する場合と金属材のみから構成する場合の両方に用いることのできるサッシ框を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るサッシ框は、上下框及び左右の縦框を方形状に框組みしてなり、各框は金属框の室内側に樹脂框を配設可能としてなると共に、見付方向内端部でグレチャンを介してガラス体を固定するサッシ框であって、
上記金属框は室内外面にそれぞれ上記グレチャンを挟持する突条を備え、室内面に四周に渡って気密ラインを設けてなる起立部と上記樹脂框の取付部とを備え、
室内側の上記突条は先端部近傍に室外側に向かって突出する突片を有し、該突片は先端が上記グレチャンに圧接すると共に、上記樹脂框の取付部を構成することを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシ框は、上記樹脂框は上記取付部に対して係合する係合部を備え、該係合部の端部は上記グレチャンに当接して連続状とされることを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシ框は、上記起立部は上記金属框の室内面から略垂直に立ち上がる立ち上がり片を備え、該立ち上がり片の内側部に上記樹脂框の外側取付部が形成されると共に、上記樹脂框は上記立ち上がり片の室内露出面を覆うことを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシ框は、上記上下框の起立部は上記縦框に取付けられる樹脂框に対して勝った状態とされると共に、上記縦框の起立部と連続状となるように突き合わされ框組みされることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサッシ框によれば、金属框は室内外面にそれぞれグレチャンを挟持する突条を備え、室内面に四周に渡って気密ラインを設けてなる起立部と樹脂框の取付部とを備えたことにより、金属框に室内外の突条や気密ラインが形成されているので、金属材のみでも框体を構成でき、また一方金属框には樹脂框の取付部が形成されているので、樹脂框を取付けた複合材でも框体を構成できて、両方の框体に共用することができる。また、室内側の突条は先端部近傍に室外側に向かって突出する突片を有し、突片は先端がグレチャンに圧接すると共に、樹脂框の取付部を構成することにより、金属框でグレチャンを押圧しつつ、樹脂框を容易に取付けることができる。
【0012】
また、本発明に係るサッシ框によれば、樹脂框は取付部に対して係合する係合部を備え、係合部の端部はグレチャンに当接して連続状とされることにより、金属框によるグレチャンの固定部分の室内側露出部分を樹脂框により覆うことができるので、断熱性及び美観に優れたサッシ框とすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係るサッシ框によれば、起立部は金属框の室内面から略垂直に立ち上がる立ち上がり片を備え、立ち上がり片の内側部に樹脂框の外側取付部が形成されると共に、樹脂框は立ち上がり片の室内露出面を覆うことにより、樹脂框を立ち上がり片近傍に取付けて立ち上がり片の室内露出面を覆うので、気密ラインよりも内側の金属露出部分を樹脂框により覆うことができて、断熱性及び美観に優れたサッシ框とすることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係るサッシ框によれば、上下框の起立部は縦框の樹脂框に対して勝った状態とされると共に、縦框の起立部と連続状となるように突き合わされて框組みされることにより、上下框の気密ラインと縦框の気密ラインを四周に渡って連続状とすることができるので、気密性のよいサッシ框とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に添って詳細に説明する。図1は本実施形態におけるサッシの縦断面図、図2はサッシの横断面図である。これら各図に示すように、本実施形態のサッシは、建物開口部に対して枠体1を取付け、この枠体1内に框体2を開閉自在に納めたものである。框体2は、正面から見た左右いずれかの上下部を軸として室内外方向に開閉するいわゆる縦辷り出し窓である。
【0016】
まず、サッシを構成する枠体1について説明する。枠体1は、上枠10と下枠20及び左右の縦枠30、30を方形状に枠組みしてなるものである。これらはいずれもアルミの押出型材からなり、断面中空状に形成される。上枠10の室内外中間部の上面にはフィン部11が形成されており、これが建物躯体に当接し、ねじ止めまたはビス止めにより上枠10の固定がなされる。下枠20にも同様にフィン部21が形成され、また縦枠30にもフィン部31が形成されて、それぞれ下枠20及び縦枠30を建物躯体に対して固定する。
【0017】
また、上枠10には框体2と対向する面に室内側気密材12及び室外側気密材13を長手方向略全長に渡って設けている。これら気密材12、13は後述するように框体2の気密ラインに当接し、サッシの気密性を確保する。下枠20にも同様に室内側気密材22及び室外側気密材23が設けられ、また縦枠30にも室内側気密材32及び室外側気密材33が設けられる。
【0018】
次に、枠体1内に納められる框体2について説明する。框体2は、上框40と下框50及び左右の縦框60、60を方形状に框組みしてなるものである。各框は室外側を金属材で構成し、その室内面を樹脂材にて覆っている。上框40は、金属材からなる金属上框41と樹脂材からなる樹脂上框42により構成され、下框50は、金属材からなる金属下框51と樹脂材からなる樹脂下框52により構成され、縦框60は、金属材からなる金属縦框61と樹脂材からなる樹脂縦框62により構成される。
【0019】
各框を構成する金属材は、いずれもアルミの押出型材からなり、断面中空状に形成される。また樹脂材は、合成樹脂を押出成形等により形成したもので、略平板状とされてなるものである。樹脂材である樹脂上框42と樹脂下框52及び樹脂縦框62には、それぞれ係止部が形成されており、これを金属材に係合させることで樹脂材を金属材の室内面に取付けることができる。この構造については後で詳述する。
【0020】
框体2の内部には、グレチャン4を介してガラス体3が納められている。グレチャン4は、ゴムからなり断面略コ字状に形成されるもので、ガラス体3の周縁部に四周に渡って取付けられる。グレチャンの両側面はそれぞれ框体2の見付方向内端部の室内外面にそれぞれ形成される突条により挟持固定される。
【0021】
図3には、金属上框41と樹脂上框42の断面拡大図を示す。この図に示すように、金属上框41の見付方向内端部には、室外面に室外側突条43が、室内面に室内側突条44が、それぞれ形成されている。これら室外側突条43と室内側突条44及び金属上框41本体により、見付方向内側に向かって開口した溝部45が形成される。この溝部45にグレチャン4が納められ、さらにそれを介してガラス体3が納められる。
【0022】
また、室内側突条44の先端部近傍には、室外側に向かって突出する突片44aが形成されており、突片44aの先端部がグレチャン4の側面に圧接し、グレチャン4を固定している。また、突片44aの根元部分は、樹脂上框42の下端部が係合する内側取付部47を形成している。
【0023】
金属上框41の室内面には、長手方向略全長に渡って起立部48が形成されている。起立部48は、金属上框41から略垂直に立ち上がる立ち上がり片48aと、その先端が略L字状に形成されてなる気密ライン48bとからなっている。また、立ち上がり片48aの内側部には、樹脂上框42の上端部が係合する外側取付部46が形成されている。
【0024】
起立部48の気密ライン48bは、金属上框41の室内面と平行な面からなり、上枠10の室内側気密材12と対向配置される。また、框体2を枠体1に対して閉じた状態において図1に示すように室内側気密材12に対して当接する。
【0025】
樹脂上框42は、上部に金属上框41の外側取付部46に係合する外側係止部42aを有し、下部に金属上框41の内側取付部47に係合する内側係止部42bを有している。外側係止部42aは、金属上框41の外側取付部46に係合して固定されると共に、金属上框41の起立部48を構成する立ち上がり片48aの室内側露出面を覆う立ち上がり被覆部42cを有している。図1に示すように、立ち上がり被覆部42cは、その先端が上枠10の室内側水密材12に当接するので、起立部48において金属上框41が室内側に露出しないように連続的な被覆をなしている。
【0026】
また、内側係止部42bは、金属上框41の内側取付部47に係合して固定されると共に、その端部がグレチャン4に当接することで、グレチャン4と樹脂上框42とを連続状とする。これにより、上述した起立部48における被覆と合わせて、金属上框41の室内側露出部分を全て樹脂上框42により連続的に被覆するので、断熱性及び美観に優れたサッシ框とすることができる。
【0027】
金属上框41は、室内外に突条43、44を備えてグレチャン4を挟持し、室内面に気密ライン48bを有していることから、框としての機能を全て有している。したがって、金属材のみでも框を構成することができる。一方で室内面に外側取付部46及び内側取付部47を備えていることにより、樹脂上框42を室内露出部が覆われるように取付けることができるので、複合材による框としても構成することができる。
【0028】
下框50は、図1に示すように上框40を上下反転した構造を有している。すなわち、金属下框51の見付方向内端部には室外側突条53と室内側突条54が形成され、溝部55にグレチャン4を介してガラス体3を納める。また、室内側突条54には突片54aと内側取付部57が形成され、金属下框51の室内面には起立部58と外側取付部56が形成されて気密ライン58bが下枠20の室内側気密材22に当接する。
【0029】
樹脂下框52は、下部に形成される外側係止部52aが金属下框51の外側取付部56に係止固定され、上部に形成される内側係止部52bが金属下框51の内側取付部57に係止固定される。このように、金属下框51も金属上框41と同様に框としての機能を全て備え、また樹脂下框52を取付けることもできるように構成されている。
【0030】
縦框60も上框40や下框50と同様の構造を有している。図4には金属縦框61と樹脂縦框62の拡大断面図を示している。金属縦框61の見付方向内端部には室外側突条63と室内側突条64が形成され、溝部65にグレチャン4を介してガラス体3を納める。また、室内側突条64には突片64aと内側取付部67が形成され、金属縦框61の室内面には起立部68と外側取付部66が形成されて気密ライン68bが縦枠30の室内側気密材32に当接する。
【0031】
樹脂縦框62は、外側係止部62aと内側係止部62bを有し、それぞれ金属縦框61の外側取付部66と内側取付部67に係止固定される。以上のように、金属上框41と金属下框51及び金属縦框61は、いずれも室内外の突条によりグレチャン4を挟持し、しかも四周に渡って気密ラインを形成しているから、金属材のみからでも框体2を構成することができる。その一方で室内面には樹脂材の取付部を備えているから、金属材と樹脂材を組み合わせた複合材により框体2を構成することもできる。したがって、必要に応じて金属材のみからなる場合と複合材からなる場合とを使い分けることができて、これら2種類のサッシ框に共用することができるから、部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。また、グレチャン4を上框は44、43、下框は53、54、縦框では63、64の金属製突条で狭持する構造としているため、金属材と樹脂材を組み合わせた複合材による框体2の防火仕様においてCRゴムあるいはSRゴム等の高価な材料の使用を必須とせず、安価な防火塩化ビニルの使用を可能とした。
【0032】
図5には、下框50と縦框60の連結部分の拡大斜視図を示している。この図に示すように、金属下框51の起立部58は、樹脂縦框62に対して勝った状態とされる。すなわち、樹脂縦框62の端面は、金属下框51の起立部58における立ち上がり片58aに当接する。また、金属下框51の起立部58は、金属縦框61の起立部68と連続状となるように突き合わされる。
【0033】
上框40と縦框60の連結についても、図5と同様である。すなわち、上框40の起立部48が樹脂縦框62に対して勝った状態とされると共に、縦框60の起立部68と連続状となるように突き合わされる。したがって、上下框40、50の各起立部48、58は、いずれも縦框60の起立部68と連続状とされ、これにより気密ラインが框体2の四周に渡って形成される。框体2にはこのように気密ラインが四周に渡って連続状に形成されることにより、気密性のよいサッシ框とすることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図3】金属上框と樹脂下框の拡大断面図である。
【図4】金属縦框と樹脂縦框の拡大断面図である。
【図5】下框と縦框の連結部分の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1 枠体
2 框体
3 ガラス体
4 グレチャン
10 上枠
20 下枠
30 縦枠
40 上框
41 金属上框
42 樹脂上框
43 室外側突条
44 室内側突条
44a 突片
45 溝部
46 外側取付部
47 内側取付部
48 起立部
48a 立ち上がり片
48b 気密ライン
50 下框
60 縦框

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下框及び左右の縦框を方形状に框組みしてなり、各框は金属框の室内側に樹脂框を配設可能としてなると共に、見付方向内端部でグレチャンを介してガラス体を固定するサッシ框であって、
上記金属框は室内外面にそれぞれ上記グレチャンを挟持する突条を備え、室内面に四周に渡って気密ラインを設けてなる起立部と上記樹脂框の取付部とを備え、
室内側の上記突条は先端部近傍に室外側に向かって突出する突片を有し、該突片は先端が上記グレチャンに圧接すると共に、上記樹脂框の取付部を構成することを特徴とするサッシ框。
【請求項2】
上記樹脂框は上記取付部に対して係合する係合部を備え、該係合部の端部は上記グレチャンに当接して連続状とされることを特徴とする請求項1記載のサッシ框。
【請求項3】
上記起立部は上記金属框の室内面から略垂直に立ち上がる立ち上がり片を備え、該立ち上がり片の内側部に上記樹脂框の外側取付部が形成されると共に、上記樹脂框は上記立ち上がり片の室内露出面を覆うことを特徴とする請求項1または2記載のサッシ框。
【請求項4】
上記上下框の起立部は上記縦框に取付けられる樹脂框に対して勝った状態とされると共に、上記縦框の起立部と連続状となるように突き合わされ框組みされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサッシ框。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−57378(P2006−57378A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242071(P2004−242071)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】