サンプル・バイアル用アダプタ
本発明は一般に、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルを接続するための、特に、多目的診断器具のサンプル・ポート及びサンプル経路に患者の体液サンプルを収容したサンプル・バイアルを接続するためのサンプル・バイアル・アダプタに関する。本発明のサンプル・バイアル・アダプタの実施形態は一般に、通気孔を有するチャンバと連通した一つの端部を有する短い外側通気管と、当該短い外側通気管よりも長く、当該短い外側通気管の内腔の中に軸方向に位置づけられ、かつ前記短い外側通気管の外側でかつ前記通気チャンバの外側にある内側採取管の部分に配置された毛細管出口まで延在する、内側採取管とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書において参照することによりその全体が取り込まれている、2007年3月30日に出願された米国仮出願第60/920,951号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、容器から器具への流体の移動のためのアダプタ、及びその方法に関する。より詳しくは、本発明は、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルを接続するためのサンプル・バイアル・アダプタ、特に、多目的診断器具のサンプル・ポート及びサンプル経路に、患者の体液サンプルを含むサンプル・バイアルを接続するためのサンプル・バイアル・アダプタに関する。
【背景技術】
【0003】
年間に何千万もの人々は、介護士が、患者への適切な処置を迅速に行うために必要とされる緊急の生理的診断(immediate physiological diagnostics)を行うための採血と検査を受けている。例えば、近年では、「ニア・ペイシェント(near patient)」救急救命検査の分野における成長市場の領域では、高度な腎機能検査に取り組んでいる。腎機能検査では、Na、iCa、Cl、K、HCO3、ブドウ糖、乳酸、血中尿素窒素(BUN)及びクレアチニンを含む検体のパネルを使用する。腎パネル(renal panel)は、典型的な電解質/代謝物パネルにも含まれる三つの測定値(すなわち、クレアチニン、BUN及び測定されたHCO3)を組み込んでいる。
【0004】
急性腎不全(ARF)は、腎機能の急激又は急速な低下と定義されている。BUN又はクレアチニン濃度の上昇は、通常、ARFの兆候である。ARFは一過性である場合が多く、完全に可逆性である。HCO3は腎機能に関係するため、酸塩基平衡を評価する際の臨界パラメータ(critical parameter)である。二酸化炭素(CO2)は酸塩基平衡の呼吸要素(respiratory component)であり、炭酸水素塩(HCO3)は腎要素(renal component)である。患者から血液サンプルを採取するために、血液サンプル・バイアル(例えば、バキュテイナ(登録商標)(BD)バイアル)が使用される。
【0005】
外部の研究所で検査が行われる場合の多くにおいて、輸送の前に又は研究所での受取の際に、血液サンプルはへパリン添加バイアル(heparinized vial)(例えば、バキュテイナ(登録商標)バイアル)に採取され、シリンジに等量分割されて、キャップで覆われる。手術室又は救急処置室では、サンプルはシリンジに入れて準備されるか、又は診断器具で一般的な短い試料採取プローブの長さに適合させるために、より小さいキュベットの中に注入される。短いプローブの長さは、開いたバキュテイナ(登録商標)容器からの診断器具による直接サンプル採取の妨げとなる。大抵の多目的大容量診断器具は、シリンジと接続されるように主として設計されているサンプル・ポートを有する。
【0006】
診断器具が、キャップをした気密サンプル・バイアルからサンプルを吸引する際に、サンプル採取エラーがよく発生する。診断器具によってサンプル・バイアルから多量のサンプルが引き出される際に、バイアルの中に真空を生じさせる。診断器具のサンプル・ポートからバイアルを外すと、器具のサンプル経路内の圧力が大気と平衡化し、サンプル経路内に空気が急速に入り込み、サンプルはサンプル・センサ域を通り過ぎてさらにサンプル経路の奥へと引き込まれる。サンプル採取エラーが引き起こされ、サンプルは測定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の装置及び方法に必要な等量分割ステップを回避するため、かつ、サンプル・バイアルのキャップを外して、取扱者を生体有害物質に晒す必要性を取り除いて、バイアル・キャップを通してサンプル・バイアルに即時かつ直接アクセスできるようにするために、診断器具のサンプル・ポートにキャップ付きバイアルを接続させる特定のサンプル・バイアル・アダプタが必要である。
【0008】
本明細書で説明するサンプル・バイアル・アダプタは、サンプル採取エラーを解決し、サンプル相互汚染、操作者のバイオハザード汚染、及びサンプルを診断器具に導入するために現在の装置及び方法に必要な多数のサンプルサイズを削減する。さらに、本明細書において説明する本発明のサンプル・バイアル・アダプタの一方端は、毛細管サンプル装置(capillary sample device)と整合した態様で診断器具のサンプル・ポートと接続する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分から当該第2の部分まで延在する中間部分とを含む長形体サブアセンブリを備え、バイアル内の体液を取り除く装置に関する。長形体サブアセンブリの第1の部分は、内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して前記長形体の外側まで延在する少なくとも一つの孔部とを有する第1の円筒形チャンバを含む。前記長形体サブアセンブリの前記中間部分は、前記第1の円筒形チャンバから前記長形体サブアセンブリの第2の部分まで延在する流路(チャネル)を含む。前記長形体サブアセンブリの第2の部分は、前記第1のチャンバよりも狭い第2のチャンバを含む。当該第2のチャンバは、内腔を取り囲む壁を含む。当該内腔は、前記長形体サブアセンブリの外側と流体連通している。
【0010】
前記装置のねじサブアセンブリは、ねじ付きの外面を有する第1の端部と、前記長形体サブアセンブリの前記第1のチャンバの内腔の中に位置づけられた第2の端部とを備える。
【0011】
本発明の装置は、内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える通気管をさらに含む。当該通気管は、前記ねじアセンブリの中に軸方向に位置づけられて固定される。当該通気管の当該第2の端部は、前記第1のチャンバの内腔と流体連通している。当該通気管の当該第1の端部が斜面(べベル)を含み、かつ前記ねじサブアセンブリの前記第1の端部を越えて延在する。
【0012】
前記装置は、内腔と、第1の端部と、第2の端部と、を備える採取管をさらに含む。前記採取管は、前記通気管の内腔の中に軸方向に配される。前記採取管の当該第2の端部は、前記長形体サブアセンブリの前記第2のチャンバと流体連通しており、当該採取管の当該第1の端部は、前記第1の管の前記第1の端部を越えて延在する。前記通気管と前記採取管との間に間隙が配される。当該間隙は、一定の幅を有し、かつ前記通気管の長さに沿って延在する。
【0013】
本発明の他の態様では、サンプル・バイアルから診断器具のサンプル・ポートに液体サンプルを導入するための、本明細書記載のサンプル・バイアル・アダプタを使用する方法について記載している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタの斜視図である。
【図2】図2は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタの長形体サブアセンブリの断面図である。
【図3】図3は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタのねじサブアセンブリの斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態に係る通気管と採取管とを含むサンプル・アダプタの長手方向断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの4b−4bに沿った横断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aの4c−4cに沿った、長形体サブアセンブリの第1の部分、第1のチャンバ内腔、及び通気孔の横断面図である。
【図5】図5は、本発明を例示する一実施形態に係る、1つ又は複数の通気孔と通気プラグとを含むサンプル・バイアル・アダプタの長形体サブアセンブリの斜視図である。
【図6A】図6Aは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6B】図6Bは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6C】図6Cは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6D】図6Dは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図7】図7は、本発明を例示する一実施形態に係るバイアル・ホルダを含むサンプル・バイアル・アダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面中の同様の参照文字は一般に、異なる図面において同一の部分を示すものである。図面は必ずしも一定の縮尺で記載されてはおらず、その代わり、本発明の図示に際して概して強調がなされている。
【0016】
概して、本発明の一態様は、サンプル・バイアル(例えば、患者からの体液が収容されたサンプル・バイアル)を、インストゥルメンテイション・ラボラトリーカンパニー(マサチューセッツ州レキシントン)が販売するGEM4000などの典型的に大容生産される多目的診断器具のサンプル・ポートに接続させるためのサンプル・バイアル・アダプタと、その使用方法に関する。
【0017】
本発明のサンプル・バイアル・アダプタの以下の実施形態のすべては一般に、通気孔を有するチャンバと連通する一つの端部を有する短い外側通気管と、当該短い外側通気管よりも長い内側採取管であって、前記短い外側通気管の内腔の中に軸方向に位置づけられ、かつ前記短い外側通気管の外側でかつ前記通気チャンバの外側にある内側採取管の部分に配置された毛管出口まで延在する、内側採取管とを含むという、共通の特徴を有する。
【0018】
本発明のサンプル・バイアル・アダプタは、空気が、サンプル・バイアルの中へと、通気孔を通ってサンプルインプットから離れるように逆流して、バイアルが室内大気条件と平衡化するため、従来技術装置よりも効果的である。この平衡化によって、バイアルから診断器具のサンプル・ポートへの無制限なサンプルの流れが可能となり、その結果、器具内での適正なサンプルの位置決めが可能となる。「通気する(breathing)」通気孔なしでは、サンプル吸引中に閉じたサンプル・バイアルの中に残留真空(residual vacuum)が蓄積してしまい、サンプル容器を外す際に、大気圧に対するサンプル経路の平衡化によって、サンプルがセンサ域を通り過ぎて引き込まれてしまい、サンプル検出フラグ及び報告システムエラーをもたらしてしまう。
【0019】
さらに、本発明のサンプル・バイアル・アダプタは、同心円状に配置された採取管及び通気管を利用し、この同心円状の配置によって、複合管の外側寸法を最小限に抑え、かつバイアル・キャンプの中心(ここを穿刺することが最も望ましい)を正確にターゲットとして穿通することが可能になる。上記管の同心円状の配置は、これらの剛性を高め、かつこれらの管をキャップに穿通させる際に役立つ。また、この同心円状の配置は、アダプタの製造に役立ち、かつその組立を容易にする。
【0020】
図1によると、本発明の一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタ10は、長形体サブアセンブリ12と、ねじサブアセンブリ14と、通気管16と、採取管18とを含む。
【0021】
図2によると、本発明の一実施形態では、典型的な長形体サブアセンブリ12は、第1の部分20と、第2の部分22と、第1の部分20から第2の部分22まで延在する中間部分24とを有する。長形体サブアセンブリ12の第1の部分20は、例えば円筒形チャンバである第1のチャンバ26を含む。第1のチャンバ26は、第1のチャンバ26の内腔30から長形体サブアセンブリ12の壁33を介して長形体サブアセンブリ12の表面31へと延在する孔部などの通気孔28を含む。通気孔28は、第1のチャンバ26の外からの大気を第1のチャンバ内腔30に通すことを可能にする。
【0022】
また、第1のチャンバ26は、以下に説明するねじサブアセンブリのレセプタクルとしても機能する。
【0023】
引き続き図2を参照すると、典型的な通気孔28は、第1のチャンバ壁33上のどの場所に位置づけられてもよい。本発明の特定の実施形態では、第1のチャンバ26は、複数の通気孔28(例えば二つ、三つ、四つ又はそれ以上の通気孔)を有し得る。通気孔28の形状は、例えば、いくつかの形状を挙げるとすれば、円筒形、矩形又は漏斗状などが可能である。その他の通気孔の形状も予期され、通気孔の形状は開示された形状に限定されない。
【0024】
長形体サブアセンブリ12のさらなる特徴としては、中間部分24内の長手方向に配された流路32を含む。図2に示される実施形態によると、流路32は、第1のチャンバ26から長形体サブアセンブリ12の第2の部分22まで延在する。流路32は、第1のチャンバ26の内腔30と流体連通している。流路32は、採取管18の一部を収容することも可能である。
【0025】
長形体サブアセンブリ12の追加の特徴としては、第1のチャンバ26と流体連通している流路32の端部の反対側の流路32の端部に位置づけられた、図2に示す第2のチャンバ34を含む。第2のチャンバ34は、長形体サブアセンブリ12の第2の部分22の中に位置づけられ、かつ流路32と流体連通している。
【0026】
図3は、本発明に係るねじサブアセンブリの一実施形態の斜視図である。本発明の一実施形態では、ねじサブアセンブリ14は、ねじ部材36と、第1の端部38と、第2の端部40とを含む。一実施形態において、ねじ部材36は、ねじ部材36の外面から外向きに螺旋状になっているねじ部を含む。ねじ部は第1の端部38から始まり、第2の端部40に向かって延在している(但し、第2の端部40まで続いてはいない)。ねじ部の螺旋は右回りでも左回りでもよい。ねじ部材36の第2の端部40は、ねじ部を含まず、長形体サブアセンブリ12の第1の端部20において第1のチャンバ26の中に収容されるように概して形成されている。一実施形態において、ねじ部は、例えば、後に詳述する図7に関連して説明する円筒形ホルダ(対応する連動ねじ(interlocking threads)を有する)などのレセプタクルと連結し得る。
【0027】
ねじサブアセンブリは、対応するインターロック部(interlocking piece)と連結するためのねじ部に加えて又はねじ部の代わりに、スナップ式のロック(snap-lock)、又はその他の装置などのその他の外部インターロック装置を含み得る。
【0028】
図4Aは、サンプル・バイアル・アダプタの一実施形態の長手方向断面図であり、図4B及び図4Cは横断面図である。図4A〜図4Cによると、典型的な通気管16は、ねじサブアセンブリ14の中に軸方向に配される。通気管16は、第1の端部46と、第2の端部48と、内腔42と、壁44と、長さ50とを有する。第1の端部46は一般に、通気管内腔42と連通する斜め開口部45を含み、尖った端部(すなわち、鋭角な尖状先端)で終端する。第1の端部46は、ねじサブアセンブリ14の第1の端部38の外側に固定距離だけ離れて位置づけられる。通気管16の第2の端部48は、内腔42への開口部49を含み、ねじサブアセンブリ14の第2の端部40の近くに位置づけられる。通気管16の第2の端部48の開口部49は、長形体サブアセンブリ12の第1のチャンバ26と流体連通している通気孔28の近くに位置づけられる。
【0029】
引き続き図4A〜図4Cを参照すると、採取管18は、通気管16の内腔42の中に軸方向に配される。間隙が、採取管18の外側と、通気管16の壁とを隔てている。一般的に、この間隙は通気管16の長さに沿って均一である。採取管18は、第1の端部52と、第2の端部54と、内腔56と、壁58と、長さ60とを有する。第1の端部52は一般に、内腔56と連通する斜め開口部53を含み、尖った端部(すなわち、鋭角な尖状先端)で終端する。採取管18の第1の端部52は、通気管16の第1の端部46を越えて固定距離だけ離れて、通気管16の内腔42の外に位置づけられる。採取管18の第2の端部54は、長形体サブアセンブリ12のチャネル32(図2参照)内で通気管16の第2の端部48から固定距離だけ離れて位置づけられる。第2の端部54は、内腔56と流体連通している開口部55を含み、第2のチャンバ34に隣接するとともに、第2のチャンバ34と流体連通するように位置づけられる。
【0030】
図5によると、一つ又は複数の通気孔28は、例えば有孔ポリマーから作られた、例えば多孔プラグ62などの多孔性材料を収容してもよい。多孔性材料の特徴は、通気孔28を通して空気の移動を可能にするが、流体は通さないということである。
【0031】
図6A〜図6Dを参照して、本発明の他の態様について、サンプル・バイアルからの流体サンプルを、インストゥルメンテイション・ラボラトリー・カンパニー(マサチューセッツ州レキシントン)が製造かつ販売するGEM4000診断器具などの多目的診断器具のサンプル・ポートに導入するための、本明細書において説明するサンプル・バイアル・アダプタを使用する方法について記載する。
【0032】
図6Aは、典型的なサンプル・バイアル・アダプタ10と、気密キャップ104を含むサンプル・バイアル102を示す。採取管18の尖状先端52が、バイアル102のキャップ104(例えばゴム、プラスチック又はその他のストッパ)の中に挿入される。
【0033】
図6Bは、図6Aに示すサンプル・バイアル・アダプタ10のサンプル管18がさらにキャップ104を貫通してバイアル102の中へと押し込まれる状態のサンプル・バイアル・アダプタ10を示す。
【0034】
図6Cは、図6Bに示されたサンプル・バイアル・アダプタが、通気管16の尖がった第1の端部46でキャップ104を貫通して、バイアル102の中に押し込まれた様子を示している。通気管16の第1の端部46の先端が、キャップ104とサンプル液との間に位置づけられている。
【0035】
図6Dは、多目的診断器具120の典型的な吸引器アセンブリ100と、典型的なサンプル・バイアル・アダプタ10に結合されたサンプル・バイアル102(図6Cで示された通り)とを示す。サンプル・バイアル102と組み合わされたサンプル・バイアル・アダプタ10は、多目的診断器具120の吸引器アセンブリ100のサンプル・ポート122に導入される。この方法の一実施形態では、長形体サブアセンブリ12がサンプル・ポート122に挿入される。あるいは、サンプル・ポート122が、長形体サブアセンブリ12の第2のチャンバに挿入される。サンプル液が、バイアル102から採取管の内腔を通ってサンプル・ポート122の中へと吸引される。
サンプル液の吸引と同時に、流体がバイアルから移動されるにつれて、サンプル・バイアル・アダプタ10の通気孔28を通して通気管の第2の端部の中へと空気が引き込まれ、通気管の第1の端部を通してサンプル・バイアル102の中へと流出する。通気孔を通してバイアルの中へ取り込まれた多量の空気は、吸引された多量の液体と入れ替わり、バイアルの中に望ましくない真空が蓄積しないようにする。
【0036】
図7は、採取管18の端部及び通気管16の端部46によってバイアル・キャップ104を穿孔するために、サンプル・バイアル102とバイアル・キャップ104の位置合わせを助けるためのバイアル・ホルダを示す。ホルダ75は、第1の端部77が開口しており、かつ、ねじ部材14の第1の端部38に第2の端部79で可逆的に接続されたシリンダを特徴とする。ホルダ75は、ねじ部材14の第1の端部と可逆的に接続されかつ結合する、第2の端部79にあるねじ部を特徴としてもよい。特定の実施形態では、シリンダなどのホルダ75は、通気管14及び採取管18を包囲(封入)する。
【0037】
以上、例示的実施形態を参照して本発明について説明してきたが、本説明は、制限的なものとして解釈されることを意図していない。本説明を参照するに際して、上記例示的実施形態への多様な変更及び本発明のその他の実施形態が当業者には明らかとなるであろう。
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書において参照することによりその全体が取り込まれている、2007年3月30日に出願された米国仮出願第60/920,951号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、容器から器具への流体の移動のためのアダプタ、及びその方法に関する。より詳しくは、本発明は、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルを接続するためのサンプル・バイアル・アダプタ、特に、多目的診断器具のサンプル・ポート及びサンプル経路に、患者の体液サンプルを含むサンプル・バイアルを接続するためのサンプル・バイアル・アダプタに関する。
【背景技術】
【0003】
年間に何千万もの人々は、介護士が、患者への適切な処置を迅速に行うために必要とされる緊急の生理的診断(immediate physiological diagnostics)を行うための採血と検査を受けている。例えば、近年では、「ニア・ペイシェント(near patient)」救急救命検査の分野における成長市場の領域では、高度な腎機能検査に取り組んでいる。腎機能検査では、Na、iCa、Cl、K、HCO3、ブドウ糖、乳酸、血中尿素窒素(BUN)及びクレアチニンを含む検体のパネルを使用する。腎パネル(renal panel)は、典型的な電解質/代謝物パネルにも含まれる三つの測定値(すなわち、クレアチニン、BUN及び測定されたHCO3)を組み込んでいる。
【0004】
急性腎不全(ARF)は、腎機能の急激又は急速な低下と定義されている。BUN又はクレアチニン濃度の上昇は、通常、ARFの兆候である。ARFは一過性である場合が多く、完全に可逆性である。HCO3は腎機能に関係するため、酸塩基平衡を評価する際の臨界パラメータ(critical parameter)である。二酸化炭素(CO2)は酸塩基平衡の呼吸要素(respiratory component)であり、炭酸水素塩(HCO3)は腎要素(renal component)である。患者から血液サンプルを採取するために、血液サンプル・バイアル(例えば、バキュテイナ(登録商標)(BD)バイアル)が使用される。
【0005】
外部の研究所で検査が行われる場合の多くにおいて、輸送の前に又は研究所での受取の際に、血液サンプルはへパリン添加バイアル(heparinized vial)(例えば、バキュテイナ(登録商標)バイアル)に採取され、シリンジに等量分割されて、キャップで覆われる。手術室又は救急処置室では、サンプルはシリンジに入れて準備されるか、又は診断器具で一般的な短い試料採取プローブの長さに適合させるために、より小さいキュベットの中に注入される。短いプローブの長さは、開いたバキュテイナ(登録商標)容器からの診断器具による直接サンプル採取の妨げとなる。大抵の多目的大容量診断器具は、シリンジと接続されるように主として設計されているサンプル・ポートを有する。
【0006】
診断器具が、キャップをした気密サンプル・バイアルからサンプルを吸引する際に、サンプル採取エラーがよく発生する。診断器具によってサンプル・バイアルから多量のサンプルが引き出される際に、バイアルの中に真空を生じさせる。診断器具のサンプル・ポートからバイアルを外すと、器具のサンプル経路内の圧力が大気と平衡化し、サンプル経路内に空気が急速に入り込み、サンプルはサンプル・センサ域を通り過ぎてさらにサンプル経路の奥へと引き込まれる。サンプル採取エラーが引き起こされ、サンプルは測定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の装置及び方法に必要な等量分割ステップを回避するため、かつ、サンプル・バイアルのキャップを外して、取扱者を生体有害物質に晒す必要性を取り除いて、バイアル・キャップを通してサンプル・バイアルに即時かつ直接アクセスできるようにするために、診断器具のサンプル・ポートにキャップ付きバイアルを接続させる特定のサンプル・バイアル・アダプタが必要である。
【0008】
本明細書で説明するサンプル・バイアル・アダプタは、サンプル採取エラーを解決し、サンプル相互汚染、操作者のバイオハザード汚染、及びサンプルを診断器具に導入するために現在の装置及び方法に必要な多数のサンプルサイズを削減する。さらに、本明細書において説明する本発明のサンプル・バイアル・アダプタの一方端は、毛細管サンプル装置(capillary sample device)と整合した態様で診断器具のサンプル・ポートと接続する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分から当該第2の部分まで延在する中間部分とを含む長形体サブアセンブリを備え、バイアル内の体液を取り除く装置に関する。長形体サブアセンブリの第1の部分は、内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して前記長形体の外側まで延在する少なくとも一つの孔部とを有する第1の円筒形チャンバを含む。前記長形体サブアセンブリの前記中間部分は、前記第1の円筒形チャンバから前記長形体サブアセンブリの第2の部分まで延在する流路(チャネル)を含む。前記長形体サブアセンブリの第2の部分は、前記第1のチャンバよりも狭い第2のチャンバを含む。当該第2のチャンバは、内腔を取り囲む壁を含む。当該内腔は、前記長形体サブアセンブリの外側と流体連通している。
【0010】
前記装置のねじサブアセンブリは、ねじ付きの外面を有する第1の端部と、前記長形体サブアセンブリの前記第1のチャンバの内腔の中に位置づけられた第2の端部とを備える。
【0011】
本発明の装置は、内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える通気管をさらに含む。当該通気管は、前記ねじアセンブリの中に軸方向に位置づけられて固定される。当該通気管の当該第2の端部は、前記第1のチャンバの内腔と流体連通している。当該通気管の当該第1の端部が斜面(べベル)を含み、かつ前記ねじサブアセンブリの前記第1の端部を越えて延在する。
【0012】
前記装置は、内腔と、第1の端部と、第2の端部と、を備える採取管をさらに含む。前記採取管は、前記通気管の内腔の中に軸方向に配される。前記採取管の当該第2の端部は、前記長形体サブアセンブリの前記第2のチャンバと流体連通しており、当該採取管の当該第1の端部は、前記第1の管の前記第1の端部を越えて延在する。前記通気管と前記採取管との間に間隙が配される。当該間隙は、一定の幅を有し、かつ前記通気管の長さに沿って延在する。
【0013】
本発明の他の態様では、サンプル・バイアルから診断器具のサンプル・ポートに液体サンプルを導入するための、本明細書記載のサンプル・バイアル・アダプタを使用する方法について記載している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタの斜視図である。
【図2】図2は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタの長形体サブアセンブリの断面図である。
【図3】図3は、本発明を例示する一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタのねじサブアセンブリの斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態に係る通気管と採取管とを含むサンプル・アダプタの長手方向断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの4b−4bに沿った横断面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aの4c−4cに沿った、長形体サブアセンブリの第1の部分、第1のチャンバ内腔、及び通気孔の横断面図である。
【図5】図5は、本発明を例示する一実施形態に係る、1つ又は複数の通気孔と通気プラグとを含むサンプル・バイアル・アダプタの長形体サブアセンブリの斜視図である。
【図6A】図6Aは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6B】図6Bは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6C】図6Cは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図6D】図6Dは、本発明の例示的サンプル・バイアル・アダプタを用いて、診断器具のサンプル・ポートにサンプル・バイアルからサンプルを導入する例示的方法を示す。
【図7】図7は、本発明を例示する一実施形態に係るバイアル・ホルダを含むサンプル・バイアル・アダプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面中の同様の参照文字は一般に、異なる図面において同一の部分を示すものである。図面は必ずしも一定の縮尺で記載されてはおらず、その代わり、本発明の図示に際して概して強調がなされている。
【0016】
概して、本発明の一態様は、サンプル・バイアル(例えば、患者からの体液が収容されたサンプル・バイアル)を、インストゥルメンテイション・ラボラトリーカンパニー(マサチューセッツ州レキシントン)が販売するGEM4000などの典型的に大容生産される多目的診断器具のサンプル・ポートに接続させるためのサンプル・バイアル・アダプタと、その使用方法に関する。
【0017】
本発明のサンプル・バイアル・アダプタの以下の実施形態のすべては一般に、通気孔を有するチャンバと連通する一つの端部を有する短い外側通気管と、当該短い外側通気管よりも長い内側採取管であって、前記短い外側通気管の内腔の中に軸方向に位置づけられ、かつ前記短い外側通気管の外側でかつ前記通気チャンバの外側にある内側採取管の部分に配置された毛管出口まで延在する、内側採取管とを含むという、共通の特徴を有する。
【0018】
本発明のサンプル・バイアル・アダプタは、空気が、サンプル・バイアルの中へと、通気孔を通ってサンプルインプットから離れるように逆流して、バイアルが室内大気条件と平衡化するため、従来技術装置よりも効果的である。この平衡化によって、バイアルから診断器具のサンプル・ポートへの無制限なサンプルの流れが可能となり、その結果、器具内での適正なサンプルの位置決めが可能となる。「通気する(breathing)」通気孔なしでは、サンプル吸引中に閉じたサンプル・バイアルの中に残留真空(residual vacuum)が蓄積してしまい、サンプル容器を外す際に、大気圧に対するサンプル経路の平衡化によって、サンプルがセンサ域を通り過ぎて引き込まれてしまい、サンプル検出フラグ及び報告システムエラーをもたらしてしまう。
【0019】
さらに、本発明のサンプル・バイアル・アダプタは、同心円状に配置された採取管及び通気管を利用し、この同心円状の配置によって、複合管の外側寸法を最小限に抑え、かつバイアル・キャンプの中心(ここを穿刺することが最も望ましい)を正確にターゲットとして穿通することが可能になる。上記管の同心円状の配置は、これらの剛性を高め、かつこれらの管をキャップに穿通させる際に役立つ。また、この同心円状の配置は、アダプタの製造に役立ち、かつその組立を容易にする。
【0020】
図1によると、本発明の一実施形態に係るサンプル・バイアル・アダプタ10は、長形体サブアセンブリ12と、ねじサブアセンブリ14と、通気管16と、採取管18とを含む。
【0021】
図2によると、本発明の一実施形態では、典型的な長形体サブアセンブリ12は、第1の部分20と、第2の部分22と、第1の部分20から第2の部分22まで延在する中間部分24とを有する。長形体サブアセンブリ12の第1の部分20は、例えば円筒形チャンバである第1のチャンバ26を含む。第1のチャンバ26は、第1のチャンバ26の内腔30から長形体サブアセンブリ12の壁33を介して長形体サブアセンブリ12の表面31へと延在する孔部などの通気孔28を含む。通気孔28は、第1のチャンバ26の外からの大気を第1のチャンバ内腔30に通すことを可能にする。
【0022】
また、第1のチャンバ26は、以下に説明するねじサブアセンブリのレセプタクルとしても機能する。
【0023】
引き続き図2を参照すると、典型的な通気孔28は、第1のチャンバ壁33上のどの場所に位置づけられてもよい。本発明の特定の実施形態では、第1のチャンバ26は、複数の通気孔28(例えば二つ、三つ、四つ又はそれ以上の通気孔)を有し得る。通気孔28の形状は、例えば、いくつかの形状を挙げるとすれば、円筒形、矩形又は漏斗状などが可能である。その他の通気孔の形状も予期され、通気孔の形状は開示された形状に限定されない。
【0024】
長形体サブアセンブリ12のさらなる特徴としては、中間部分24内の長手方向に配された流路32を含む。図2に示される実施形態によると、流路32は、第1のチャンバ26から長形体サブアセンブリ12の第2の部分22まで延在する。流路32は、第1のチャンバ26の内腔30と流体連通している。流路32は、採取管18の一部を収容することも可能である。
【0025】
長形体サブアセンブリ12の追加の特徴としては、第1のチャンバ26と流体連通している流路32の端部の反対側の流路32の端部に位置づけられた、図2に示す第2のチャンバ34を含む。第2のチャンバ34は、長形体サブアセンブリ12の第2の部分22の中に位置づけられ、かつ流路32と流体連通している。
【0026】
図3は、本発明に係るねじサブアセンブリの一実施形態の斜視図である。本発明の一実施形態では、ねじサブアセンブリ14は、ねじ部材36と、第1の端部38と、第2の端部40とを含む。一実施形態において、ねじ部材36は、ねじ部材36の外面から外向きに螺旋状になっているねじ部を含む。ねじ部は第1の端部38から始まり、第2の端部40に向かって延在している(但し、第2の端部40まで続いてはいない)。ねじ部の螺旋は右回りでも左回りでもよい。ねじ部材36の第2の端部40は、ねじ部を含まず、長形体サブアセンブリ12の第1の端部20において第1のチャンバ26の中に収容されるように概して形成されている。一実施形態において、ねじ部は、例えば、後に詳述する図7に関連して説明する円筒形ホルダ(対応する連動ねじ(interlocking threads)を有する)などのレセプタクルと連結し得る。
【0027】
ねじサブアセンブリは、対応するインターロック部(interlocking piece)と連結するためのねじ部に加えて又はねじ部の代わりに、スナップ式のロック(snap-lock)、又はその他の装置などのその他の外部インターロック装置を含み得る。
【0028】
図4Aは、サンプル・バイアル・アダプタの一実施形態の長手方向断面図であり、図4B及び図4Cは横断面図である。図4A〜図4Cによると、典型的な通気管16は、ねじサブアセンブリ14の中に軸方向に配される。通気管16は、第1の端部46と、第2の端部48と、内腔42と、壁44と、長さ50とを有する。第1の端部46は一般に、通気管内腔42と連通する斜め開口部45を含み、尖った端部(すなわち、鋭角な尖状先端)で終端する。第1の端部46は、ねじサブアセンブリ14の第1の端部38の外側に固定距離だけ離れて位置づけられる。通気管16の第2の端部48は、内腔42への開口部49を含み、ねじサブアセンブリ14の第2の端部40の近くに位置づけられる。通気管16の第2の端部48の開口部49は、長形体サブアセンブリ12の第1のチャンバ26と流体連通している通気孔28の近くに位置づけられる。
【0029】
引き続き図4A〜図4Cを参照すると、採取管18は、通気管16の内腔42の中に軸方向に配される。間隙が、採取管18の外側と、通気管16の壁とを隔てている。一般的に、この間隙は通気管16の長さに沿って均一である。採取管18は、第1の端部52と、第2の端部54と、内腔56と、壁58と、長さ60とを有する。第1の端部52は一般に、内腔56と連通する斜め開口部53を含み、尖った端部(すなわち、鋭角な尖状先端)で終端する。採取管18の第1の端部52は、通気管16の第1の端部46を越えて固定距離だけ離れて、通気管16の内腔42の外に位置づけられる。採取管18の第2の端部54は、長形体サブアセンブリ12のチャネル32(図2参照)内で通気管16の第2の端部48から固定距離だけ離れて位置づけられる。第2の端部54は、内腔56と流体連通している開口部55を含み、第2のチャンバ34に隣接するとともに、第2のチャンバ34と流体連通するように位置づけられる。
【0030】
図5によると、一つ又は複数の通気孔28は、例えば有孔ポリマーから作られた、例えば多孔プラグ62などの多孔性材料を収容してもよい。多孔性材料の特徴は、通気孔28を通して空気の移動を可能にするが、流体は通さないということである。
【0031】
図6A〜図6Dを参照して、本発明の他の態様について、サンプル・バイアルからの流体サンプルを、インストゥルメンテイション・ラボラトリー・カンパニー(マサチューセッツ州レキシントン)が製造かつ販売するGEM4000診断器具などの多目的診断器具のサンプル・ポートに導入するための、本明細書において説明するサンプル・バイアル・アダプタを使用する方法について記載する。
【0032】
図6Aは、典型的なサンプル・バイアル・アダプタ10と、気密キャップ104を含むサンプル・バイアル102を示す。採取管18の尖状先端52が、バイアル102のキャップ104(例えばゴム、プラスチック又はその他のストッパ)の中に挿入される。
【0033】
図6Bは、図6Aに示すサンプル・バイアル・アダプタ10のサンプル管18がさらにキャップ104を貫通してバイアル102の中へと押し込まれる状態のサンプル・バイアル・アダプタ10を示す。
【0034】
図6Cは、図6Bに示されたサンプル・バイアル・アダプタが、通気管16の尖がった第1の端部46でキャップ104を貫通して、バイアル102の中に押し込まれた様子を示している。通気管16の第1の端部46の先端が、キャップ104とサンプル液との間に位置づけられている。
【0035】
図6Dは、多目的診断器具120の典型的な吸引器アセンブリ100と、典型的なサンプル・バイアル・アダプタ10に結合されたサンプル・バイアル102(図6Cで示された通り)とを示す。サンプル・バイアル102と組み合わされたサンプル・バイアル・アダプタ10は、多目的診断器具120の吸引器アセンブリ100のサンプル・ポート122に導入される。この方法の一実施形態では、長形体サブアセンブリ12がサンプル・ポート122に挿入される。あるいは、サンプル・ポート122が、長形体サブアセンブリ12の第2のチャンバに挿入される。サンプル液が、バイアル102から採取管の内腔を通ってサンプル・ポート122の中へと吸引される。
サンプル液の吸引と同時に、流体がバイアルから移動されるにつれて、サンプル・バイアル・アダプタ10の通気孔28を通して通気管の第2の端部の中へと空気が引き込まれ、通気管の第1の端部を通してサンプル・バイアル102の中へと流出する。通気孔を通してバイアルの中へ取り込まれた多量の空気は、吸引された多量の液体と入れ替わり、バイアルの中に望ましくない真空が蓄積しないようにする。
【0036】
図7は、採取管18の端部及び通気管16の端部46によってバイアル・キャップ104を穿孔するために、サンプル・バイアル102とバイアル・キャップ104の位置合わせを助けるためのバイアル・ホルダを示す。ホルダ75は、第1の端部77が開口しており、かつ、ねじ部材14の第1の端部38に第2の端部79で可逆的に接続されたシリンダを特徴とする。ホルダ75は、ねじ部材14の第1の端部と可逆的に接続されかつ結合する、第2の端部79にあるねじ部を特徴としてもよい。特定の実施形態では、シリンダなどのホルダ75は、通気管14及び採取管18を包囲(封入)する。
【0037】
以上、例示的実施形態を参照して本発明について説明してきたが、本説明は、制限的なものとして解釈されることを意図していない。本説明を参照するに際して、上記例示的実施形態への多様な変更及び本発明のその他の実施形態が当業者には明らかとなるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアル内の体液をサンプル採取する装置であって、
内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して長形体サブアセンブリの外側まで延在する少なくとも一つの孔部と、を含む円筒形チャンバを備えるサブアセンブリと、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備え、当該第2の端部が前記円筒形チャンバの内腔と流体連通している通気管と、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える採取管と、
を備え、
前記採取館は、前記通気管の内腔とほぼ平行にかつ当該内腔の中に軸方向に配されており、当該採取管の当該第1の端部は、前記通気管の第1の端部を越えて延在する装置。
【請求項2】
前記サブアセンブリが、第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分と当該第2の部分との間に延在する中間部分とを備え、前記円筒形チャンバが、前記サブアセンブリの当該第1の部分の中に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中間部分が、前記円筒形チャンバから前記第2の部分まで延在する流路を備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の部分が、内腔を含む第2のチャンバを備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のチャンバが、前記採取管及び前記サブアセンブリの外側に流体連通している請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第1の端部と、第2の端部とを含む第2のサブアセンブリをさらに備え、当該第2の端部が前記円筒形チャンバの内腔の中に位置する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記通気管は、前記第2のサブアセンブリ内の軸方向に位置づけられている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記通気管の前記第1の端部は、斜面と、尖状先端とを備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の端部は、前記第2のサブアセンブリの外側に延在する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記通気管の外側と前記採取管との間に間隙をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記通気管及び前記採取管を包囲するシリンダをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記採取管の前記内腔は、前記流路と、前記第2のチャンバと、及び前記装置の外側とに流体連通している請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記通気管の前記内腔は、前記円筒形チャンバの前記内腔と、前記円筒形チャンバの前記内腔から前記装置の外側まで延在する前記孔部とに流体連通している請求項1に記載の装置。
【請求項14】
バイアルから体液を取り除く装置であって、
第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分から当該第2の部分まで延在する中間部分とを備える長形体サブアセンブリであって、当該第1の部分が、内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して当該長形体の外側まで延在する少なくとも一つの孔部とを含む、第1の円筒形チャンバを含み、前記中間部分が、前記第1のチャンバから前記長形体サブアセンブリの前記第2の部分まで延在する流路を含み、前記長形体サブアセンブリの前記第2の部分が、前記第1のチャンバよりも狭い第2のチャンバを含み、当該第2のチャンバが、内腔を取り囲む壁を含み、当該内腔が前記長形体サブアセンブリの外側と流体連通している、長形体サブアセンブリと、
ねじ付きの外面を含む第1の端部と、前記長形体サブアセンブリの前記第1のチャンバの内腔の中に位置づけられた第2の端部とを備える、ねじサブアセンブリと、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える通気管であって、当該通気管が、前記ねじアセンブリの中に軸方向に位置づけられて固定されており、当該通気管の当該第2の端部が、前記第1のチャンバの内腔と流体連通しており、当該通気管の当該第1の端部が斜面を含み、かつ前記ねじサブアセンブリの前記第1の端部を越えて延在する、通気管と、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える採取管であって、当該採取管は、前記通気管の内腔の中に軸方向に配されており、当該採取管の当該第2の端部は、前記長形体サブアセンブリの前記第2のチャンバと流体連通しており、当該採取管の当該第1の端部は、前記第1の管の前記第1の端部を越えて延在する、採取管と、
前記通気管と前記採取管との間に配された間隙であって、一定の幅を有し、かつ前記通気管の長さに沿って延在する、間隙と、
を備えた装置。
【請求項1】
バイアル内の体液をサンプル採取する装置であって、
内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して長形体サブアセンブリの外側まで延在する少なくとも一つの孔部と、を含む円筒形チャンバを備えるサブアセンブリと、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備え、当該第2の端部が前記円筒形チャンバの内腔と流体連通している通気管と、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える採取管と、
を備え、
前記採取館は、前記通気管の内腔とほぼ平行にかつ当該内腔の中に軸方向に配されており、当該採取管の当該第1の端部は、前記通気管の第1の端部を越えて延在する装置。
【請求項2】
前記サブアセンブリが、第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分と当該第2の部分との間に延在する中間部分とを備え、前記円筒形チャンバが、前記サブアセンブリの当該第1の部分の中に配置される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中間部分が、前記円筒形チャンバから前記第2の部分まで延在する流路を備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の部分が、内腔を含む第2のチャンバを備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のチャンバが、前記採取管及び前記サブアセンブリの外側に流体連通している請求項4に記載の装置。
【請求項6】
第1の端部と、第2の端部とを含む第2のサブアセンブリをさらに備え、当該第2の端部が前記円筒形チャンバの内腔の中に位置する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記通気管は、前記第2のサブアセンブリ内の軸方向に位置づけられている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記通気管の前記第1の端部は、斜面と、尖状先端とを備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の端部は、前記第2のサブアセンブリの外側に延在する請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記通気管の外側と前記採取管との間に間隙をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記通気管及び前記採取管を包囲するシリンダをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記採取管の前記内腔は、前記流路と、前記第2のチャンバと、及び前記装置の外側とに流体連通している請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記通気管の前記内腔は、前記円筒形チャンバの前記内腔と、前記円筒形チャンバの前記内腔から前記装置の外側まで延在する前記孔部とに流体連通している請求項1に記載の装置。
【請求項14】
バイアルから体液を取り除く装置であって、
第1の部分と、第2の部分と、当該第1の部分から当該第2の部分まで延在する中間部分とを備える長形体サブアセンブリであって、当該第1の部分が、内腔を取り囲む壁と、当該内腔から当該壁を通して当該長形体の外側まで延在する少なくとも一つの孔部とを含む、第1の円筒形チャンバを含み、前記中間部分が、前記第1のチャンバから前記長形体サブアセンブリの前記第2の部分まで延在する流路を含み、前記長形体サブアセンブリの前記第2の部分が、前記第1のチャンバよりも狭い第2のチャンバを含み、当該第2のチャンバが、内腔を取り囲む壁を含み、当該内腔が前記長形体サブアセンブリの外側と流体連通している、長形体サブアセンブリと、
ねじ付きの外面を含む第1の端部と、前記長形体サブアセンブリの前記第1のチャンバの内腔の中に位置づけられた第2の端部とを備える、ねじサブアセンブリと、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える通気管であって、当該通気管が、前記ねじアセンブリの中に軸方向に位置づけられて固定されており、当該通気管の当該第2の端部が、前記第1のチャンバの内腔と流体連通しており、当該通気管の当該第1の端部が斜面を含み、かつ前記ねじサブアセンブリの前記第1の端部を越えて延在する、通気管と、
内腔と、第1の端部と、第2の端部とを備える採取管であって、当該採取管は、前記通気管の内腔の中に軸方向に配されており、当該採取管の当該第2の端部は、前記長形体サブアセンブリの前記第2のチャンバと流体連通しており、当該採取管の当該第1の端部は、前記第1の管の前記第1の端部を越えて延在する、採取管と、
前記通気管と前記採取管との間に配された間隙であって、一定の幅を有し、かつ前記通気管の長さに沿って延在する、間隙と、
を備えた装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【公表番号】特表2010−523941(P2010−523941A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500955(P2010−500955)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003839
【国際公開番号】WO2008/121256
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(506391864)インストゥルメンテーション ラボラトリー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003839
【国際公開番号】WO2008/121256
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(506391864)インストゥルメンテーション ラボラトリー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]