説明

サーチュイン1(SIRT1)に対する天然アンチセンス転写物の抑制によるサーチュイン1関連疾患の治療

サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドおよびそれにコードされる産物の発現および/または機能を調節するオリゴヌクレオチド化合物。SIRT1天然アンチセンス転写物を抑制するように設計された1つまたは複数のオリゴヌクレオチド化合物を患者に投与するステップを含む、サーチュイン1(SIRT1)に関連する疾患を治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2008年12月4日出願米国仮出願第61/119,965号および2009年3月4日出願米国仮出願第61/157,255号および2009年11月6日出願米国仮出願第61/259,072号の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、SIRT1および関連する分子の発現および/または機能を調節するオリゴヌクレオチドを含む。
【背景技術】
【0003】
DNA-RNAおよびRNA-RNAハイブリダイゼーションは、DNA複製、転写および翻訳を含む核酸機能の多くの観点において重要である。ハイブリダイゼーションは、特定の核酸を検出する、またはその発現を変化させる種々の技術の中心でもある。例えばアンチセンスヌクレオチドは、標的RNAにハイブリダイズすることによって遺伝子発現を中断させ、それによりRNAスプライシング、転写、翻訳および複製を妨げる。アンチセンスDNAは、DNA-RNAハイブリッドがリボヌクレアーゼH(大部分の細胞型に存在する活性)による消化のための基質として働くという追加的特性を有する。アンチセンス分子は、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)での場合は細胞に送達される場合があり、RNA分子として内在性遺伝子から発現されうる。近年FDAは、アンチセンス薬VITRAVENE(商標)(サイトメガロウイルス網膜炎の治療用)をアンチセンスが治療有用性を有することを反映して承認した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮出願第61/119,965号
【特許文献2】米国仮出願第61/157,255号
【特許文献3】米国仮出願第61/259,072号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この概要は、本発明の特質および要旨を簡潔に示すための本発明の概要を表すために提供される。それは、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈するまたは限定するために使用されないとの理解と共に提出される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において本発明は、天然アンチセンス転写物の任意の領域を標的にする(1つまたは複数の)アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することによって天然アンチセンス転写物の作用を抑制し、対応するセンス遺伝子の上方制御をもたらすための方法を提供する。天然アンチセンス転写物の抑制がsiRNA、リボザイムおよび小分子によって達成されうることも本明細書において意図され、本発明の範囲内であると考えられる。
【0007】
一実施形態は、in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、配列番号2のヌクレオチド1〜1028または配列番号3のヌクレオチド1〜429、または配列番号4のヌクレオチド1〜156または配列番号5のヌクレオチド1〜593(図11)中の連続した5〜30ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの逆相補物に少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む方法を提供する。
【0008】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、SIRT1ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列、例えば配列番号2〜5に記載のポリヌクレオチドおよびその任意の変種、対立遺伝子、相同体、変異体、誘導体、断片および相補配列を標的にする。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号6〜47に記載されている。
【0009】
他の実施形態は、in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、SIRT1ポリヌクレオチドのアンチセンスの逆相補物に少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む方法を提供する。
【0010】
他の実施形態は、in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、SIRT1アンチセンスポリヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドに少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるSIRT1ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップを含む方法を提供する。
【0011】
好ましい実施形態において組成物は、センスおよび/またはアンチセンスSIRT1ポリヌクレオチドに結合する1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0012】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾されたまたは置換されたヌクレオチドを含む。
【0013】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾された結合を含む。
【0014】
さらに他の実施形態において修飾されたヌクレオチドは、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ペプチド核酸またはロックド核酸(LNA)分子を含む修飾された塩基を含む。好ましくは修飾されたヌクレオチドは、α-L-LNAを含むロックド核酸分子である。
【0015】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、皮下、筋肉内、静脈内または腹腔内で患者に投与される。
【0016】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、医薬組成物中で投与される。治療計画は、アンチセンス化合物を少なくとも1回患者に投与するステップを含むが、この治療は一定期間にわたる複数回の投与を含むように変更されうる。治療は、1つまたは複数の他の種類の治療と組み合わされうる。
【0017】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドはリポソームに封入される。
【0018】
他の態様は下に記載される。
【0019】
参照による引用
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれの刊行物、特許または特許出願が明確にかつ個々に参照により組み込まれると示されたのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
本発明の新規特性は、添付の特許請求の範囲に詳細とともに記載されている。本発明の原理が利用された例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明、および付随する図面を参照することにより、本発明の特性および利点についてのよりよい理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】SIRTアンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドのリアルタイムPCR結果を示すグラフである。結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルがsirtasに対して設計されたsiRNAの1つでの処置の48時間後に有意に増大することを示す(sirtas_5、P=0.01)。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7は、それぞれ配列番号29、30および31に対応する。
【図1B】SIRTアンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドのリアルタイムPCR結果を示すグラフである。図1Aと同じ試料におけるsirtas RNAのレベルは、sirtas_5での処置後に有意に減少したが、SIRT1 mRNAのレベルに対しても効果を有さなかったsirtas_6およびsirtas_7での処置後には変化しなかった。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7は、それぞれ配列番号29、30および31に対応する。
【図2】SIRTアンチセンスCV396200を横断するオリゴヌクレオチドについての結果を示すグラフである。リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、sirtasに対して設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち3つでの処置の48時間後に有意に増大することを示す。CUR-0292〜CUR-309は、それぞれ配列番号6〜23に対応する。
【図3A】HepG2におけるPS、LNAおよび2'O Me修飾オリゴヌクレオチドについての結果を示す。リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスに対して設計されたアンチセンスオリゴヌクレオチドPS、LNA、2'O Meおよび2'O Meミックスマー(mixmer)での処置の48時間後に有意に増大することを示す。CUR-0245、CUR-0736、CUR-0688、CUR-0740およびCUR-0664と記載された棒は、それぞれ配列番号24〜28に対応する。
【図3B】Vero76細胞におけるPS、LNAおよび2'O Me修飾オリゴヌクレオチドについての結果を示す。Vero細胞中のSIRT1 mRNAのレベルも、SIRT1アンチセンスに対するPSおよびLNA修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置の48時間後に増大した。CUR-0245、CUR-0736、CUR-0688、CUR-0740およびCUR-0664と記載された棒は、それぞれ配列番号24〜28に対応する。
【図4】サル脂肪生検のPCR結果を示すグラフである。リアルタイムPCR結果は、SIRT1アンチセンスCV396200.1に対して設計されたオリゴヌクレオチドであるCUR-963を投薬されたサルからの脂肪生検におけるSIRT1 mRNAのレベルの増大を示す。CUR-963は配列番号25に対応する。
【図5】初代サル肝臓の肝細胞のPCR結果を示すグラフである。リアルタイムPCR結果は、SIRT1アンチセンスに対するオリゴヌクレオチドであるCUR-0245での処置後のSIRT1 mRNAのレベルの増大を示す。CUR-0245と記載された棒は配列番号24に対応する。
【図6】SIRTアンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドについての結果を示すグラフである。リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1つにおいて有意に増大することを示す。CUR-1230、CUR-1231、CUR-1232およびCUR-1233と記載された棒は、配列番号32〜35に対応する。
【図7】SIRTアンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドについての結果を示すグラフである。リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドのうち2つにおいて有意に増大することを示す。CUR-1302、CUR-1304、CUR-1303およびCUR-1305と記載された棒は、配列番号36〜39に対応する。
【図8】リアルタイムPCR結果を示すグラフである。結果は、SIRTアンチセンスBE717453に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1つでの処置の48時間後のHepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルの有意な増大を示す。CUR-1264、CUR1265およびCUR-1266と記載された棒は、それぞれ配列番号40〜42に対応する。
【図9】リアルタイムPCR結果を示すグラフである。結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスAV718812に対して設計されたオリゴヌクレオチドのうち3つでの処置の48時間後に有意に増大することを示す。CUR-1294、CUR- 1297、CUR-1295、CUR-1296およびCUR-1298と記載された棒は、それぞれ配列番号43〜47に対応する。
【図10】配列番号1:ヒト(Homo sapiens)sirtuin(サイレント接合型情報制御2相同体)(silent mating type information regulation 2 homolog)1(サッカロマイセス・セレビシエ)(S. cerevisiae)(SIRT1)、mRNA(NCBI受託番号:NM_012238.3)およびSIRTのゲノム配列を示す配列番号1a(エクソンは大文字で、イントロンは小文字で示されている)を示す図である。
【図11】配列番号2:伸長された天然アンチセンス配列(CV396200-伸長)配列番号3:天然アンチセンス配列(CV428275)配列番号4:天然アンチセンス配列(BE717453)配列番号5:天然アンチセンス配列(AV718812)を示す図である。
【図12】配列番号6〜23を示す図である。*はホスホチオエート結合を示す。
【図13】配列番号24〜28を示す図である。*はホスホチオエート結合を示し、+はLNAを示し、mは2'O Meを示す。
【図14】それぞれsirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7に対応する、SIRTアンチセンスCV396200に対して設計された二本鎖テストオリゴヌクレオチドのアンチセンス配列である、配列番号29〜31を示す図である。
【図15】SIRT1アンチセンスCV396200に対して設計された配列番号32、33、34および35を示す図である。
【図16】SIRT1アンチセンスCV428275に対して設計された配列番号36、37、38および39を示す図である。
【図17】SIRT1アンチセンスBE717453に対して設計された配列番号40、41および42を示す図である。
【図18】SIRT1アンチセンスAV718812に対して設計された配列番号43、44、45、46および47を示す図である。
【図19】配列番号48〜51を示す図である。配列番号38はSIRT1天然アンチセンスCV396200のエクソン4に対応し、配列番号49、50および51はそれぞれ順方向プライマー配列、逆方向プライマー配列およびレポーター配列に対応する。
【図20】CUR962に対応する配列番号52を示す図である。*はホスホチオエート結合を示し、+はLNAを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のいくつかの態様は、以下に例示のための応用の実例を参照して記載される。多数の特定の詳細、関係性および方法が本発明の十分な理解を提供するために記載されることは理解されるべきである。しかし当業者は、本発明が1つもしくは複数の具体的な詳細を使用せずに、または他の方法を使用して実施されうることを容易に認識する。本発明は、いくつかの行為が異なる順序でおよび/または他の行為もしくは事象と同時に生じうることから、行為または事象の順序によって限定されない。さらに例示された全ての行為または事象が本発明による方法を実行するために必要とされるのではない。
【0023】
本明細書において開示される全ての遺伝子、遺伝子名および遺伝子産物は、本明細書において開示される組成物および方法を適用できる任意の種由来の相同物に対応して意味する。したがって用語は、これだけに限らないがヒトおよびマウス由来の遺伝子および遺伝子産物を含む。特定の種由来の遺伝子または遺伝子産物が開示される場合に、この開示が例示のみを目的とし明確に示すと考えられる文脈が無ければ限定として解釈されないことは理解される。したがって例えば本明細書において開示される遺伝子に関して、哺乳動物に関するいくつかの実施形態において核酸およびアミノ酸配列は、これだけに限らないが他の哺乳動物、魚類、両生類、は虫類および鳥類を含む他の動物由来の相同なおよび/またはオルソロガスな遺伝子および遺伝子産物を包含することが意図される。好ましい実施形態において遺伝子または核酸配列はヒトである。
【0024】
定義
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであり、本発明の限定となることを意図しない。本明細書において使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないと明確に示さなければ複数形を同様に含んで意味する。さらに用語「含んでいる(including)」、「含む(include)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」またはそれらの変形は、詳細な記載および/または特許請求の範囲のいずれにおいても使用され、そのような用語は用語「含む(comprising)」と同様の様式で包括的であることを意図する。
【0025】
用語「約(about)」または「およそ(approximately)」は、当業者によって決定された特定の値についての許容できる誤差範囲内を意味し、値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定系の限界に部分的に依存する。例えば「約」は、当技術分野における実施あたりで1または1より大きい標準偏差を意味できる。別法として「約」は、所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%までおよびより好ましくはさらに1%までの範囲を意味できる。別法として生物学的系またはプロセスに具体的に関して用語は、値の1桁の範囲内、好ましくは5倍以内およびより好ましくは2倍以内を意味できる。特定の値が出願書類および特許請求の範囲に記載される場合、他に明記しない限り用語「約」は特定の値についての許容できる誤差範囲内を意味すると考えられるべきである。
【0026】
本明細書において使用される用語「mRNA」は、標的遺伝子の現在周知の(1つまたは複数の)mRNA転写物および明らかにされうる任意のさらなる転写物を意味する。
【0027】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス化合物」によって、他のRNAまたはDNA(標的RNA、DNA)に結合するRNAまたはDNA分子が意味される。例えばRNAオリゴヌクレオチドの場合、それは他のRNA標的にRNA-RNA相互作用の手段によって結合し、標的RNAの活性を変化させる(Eguchiら、(1991) Ann. Rev. Biochem. 60、631〜652)。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定のポリヌクレオチドの発現および/または機能を上方制御または下方制御できる。定義は、治療、診断または他の観点から有用である任意の外来性RNAまたはDNA分子を含んで意味する。そのような分子として、例えばアンチセンスRNAまたはDNA分子、干渉RNA(RNAi)、マイクロRNA、デコイRNA分子、siRNA、酵素的RNA、治療用編集RNA(therapeutic editing RNA)ならびにアゴニストおよびアンタゴニストRNA、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(external guide sequence) (EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー(alternate splicers)、プライマー、プローブならびに標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物が挙げられる。このようにこれらの化合物は、1本鎖、2本鎖、部分的な1本鎖または環状オリゴマー化合物の形態で導入されうる。
【0028】
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」はリボ核酸(RNA)もしくはデオキシリボ核酸(DNA)またはそれらの模倣物のオリゴマーまたはポリマーを意味する。用語「オリゴヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、それらの置換型およびアルファ-アノマー型、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどを含んで天然および/または修飾された単量体または結合の直鎖状または環状オリゴマーも含む。オリゴヌクレオチドは、ワトソン-クリック型の塩基対形成、フーグスティーンまたは非フーグスティーン型の塩基対形成などのような単量体-単量体相互作用の通常の様式の方法によって標的ポリヌクレオチドに特異的に結合できる。
【0029】
オリゴヌクレオチドは、異なる領域からなる「キメラ」でありうる。本発明の文脈において「キメラ」化合物は、2つ以上の化学的領域、例えば(1つまたは複数の)DNA領域、(1つまたは複数の)RNA領域、(1つまたは複数の)PNA領域などを含有するオリゴヌクレオチドである。各化学的領域は、少なくとも1つの単量体単位、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合はヌクレオチドからなる。典型的にはこれらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の所望の特性を示すために修飾された少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドの所望の特性として、これだけに限らないが例えばヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞への取り込みの増大および/または標的核酸に対する結合親和性の増大が挙げられる。したがってオリゴヌクレオチドの異なる領域は、異なる特性を有しうる。本発明のキメラオリゴヌクレオチドは、2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/または上に記載のオリゴヌクレオチド類似体の混合構造として形成されうる。
【0030】
オリゴヌクレオチドは、「レジスタ(register)」に結合されうる領域から構成されるものでありえ、単量体が連続的に結合する場合、天然DNAにおいてと同様であるかまたはスペーサーを介して結合される。スペーサーは、領域間の共有結合「架橋」を構成することを意図し、好ましい場合において炭素原子約100個を超えない長さを有する。スペーサーは、さまざまな機能(例えば正電荷または負電荷の含有)を保持でき、特殊な核酸結合特性(干渉物質、グルーブバインダー、毒素、フルオロフォアなど)を保持でき、親油性であり、例えばアルファヘリックスを誘導するアラニン含有ペプチドのような特殊な2次構造を誘導する。
【0031】
本明細書において使用される「SIRT1」および「サーチュイン1」は、ファミリーの全構成要素、変異体、対立遺伝子、断片、種、コード配列および非コード配列、センスおよびアンチセンスポリヌクレオチド鎖などを含めている。
【0032】
本明細書において使用される「SIRT1」は、サイレンシング接合型情報レギュレーター2ホモログ(Silencing mating type information regulator 2 homolog)であり、サーチュイン脱アセチル化タンパク質ファミリー(SIRTuin deacetylase protein family)のメンバーである。SIRT1のアミノ酸配列を、Genbank受託番号NP.sub.--08509に発見することができる。SIRT1は、酵母Sir2タンパク質のヒトホモログであり、NAD依存脱アセチル化活性を示す。
【0033】
本明細書において使用される単語、サーチュイン1、SIRT1、サーチュイン、サイレント接合型情報レギュレーター2ホモログ1、hSIR2、hSIRT1、NAD依存デアセチラーゼサーチュイン1、SIR2L1、SIR2様タンパク質1は、文献で同一とみなされ、本出願において互換的に使用される。
【0034】
本明細書において使用される用語「に特異的なオリゴヌクレオチド」または「を標的にするオリゴヌクレオチド」は(i)標的遺伝子の一部分と安定な複合体を形成できる配列、または(ii)標的遺伝子のmRNA転写物の一部分と安定な2重鎖を形成できる配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。複合体および2重鎖の安定性は、理論計算および/またはin vitroアッセイによって決定されうる。ハイブリダイゼーション複合体および2重鎖の安定性を決定するための例示的方法は、下の実施例において記載される。
【0035】
本明細書において使用される用語「標的核酸」は、DNA、そのようなDNAから転写されたRNA(プレmRNAおよびmRNAを含む)ならびにそのようなRNA、コード配列、非コード配列、センスまたはアンチセンスポリヌクレオチドに由来するcDNAも包含する。オリゴマー化合物のその標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションは、核酸の通常の機能を妨げる。特異的にハイブリダイズする化合物による標的核酸の機能のこの調節は、通常「アンチセンス」と称される。妨げられるDNAの機能として、例えば複製および転写が挙げられる。妨げられるRNAの機能として、例えばタンパク質翻訳部位へのRNAの移行、RNAからのタンパク質の翻訳、1つまたは複数のmRNA種を得るためのRNAのスプライシングおよびRNAが関与しうる、またはRNAによって促進されうる触媒活性などの全ての生体機能が挙げられる。標的核酸機能でのそのような干渉の全体的効果は、コードされる産物またはオリゴヌクレオチドの発現の調節である。
【0036】
RNA干渉「RNAi」は、「標的」核酸配列に配列特異的相同性を有する2本鎖RNA(dsRNA)分子によって介在される(Caplen, N. J.ら(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:9742〜9747)。本発明の特定の実施形態において介在物質は、5〜25ヌクレオチドの「低分子干渉」RNA2重鎖(siRNA)である。siRNAは、ダイサーとして周知のRNase酵素によるdsRNAのプロセシングに由来する(Bernstein, E.ら(2001) Nature 409:363〜366)。siRNA 2重鎖産物は、RISC(RNA Induced Silencing Complex、RNA誘導サイレンシング複合体)と称される多タンパク質siRNA複合体に入る。いかなる特定の理論にも制約されることなく、次いでRISCは、siRNA 2重鎖が配列特異的方法で相互作用し、触媒的に切断を介在する標的核酸(適切にはmRNA)に導かれると考えられる(Bernstein, E.ら(2001) Nature 409:363〜366; Boutla, A.ら(2001) Curr. Biol 11 :1776〜780)。本発明により使用されうる低分子干渉RNAは、当技術分野において十分に周知であり、当業者によく知られている手順に従って合成および使用されうる。本発明の方法における使用のための低分子干渉RNAは、適切には約1〜約50の間のヌクレオチド(nt)を含む。非限定的実施形態の例において、siRNAは約5〜約40nt、約5〜約30nt、約10〜約30nt、約15〜約25ntまたは約20〜25ヌクレオチドを含みうる。
【0037】
適切なオリゴヌクレオチドの選択は、自動的に核酸配列をアラインメントし、同一または相同な領域を示すコンピュータープログラムを使用することによって促進される。そのようなプログラムは、例えばGenBankなどのデータベースを検索することによって、またはPCR産物を配列決定することによって得られた核酸配列を比較するために使用される。さまざまな種由来の核酸配列の比較は、種の間で適切な程度の同一性を示す核酸配列の選択を可能にする。配列決定されていない遺伝子の場合は、サザンブロットが標的種および他の種における遺伝子間での同一性の程度の決定を可能にするために実施される。当技術分野において十分に周知のとおり、種々の程度のストリンジェンシーでのサザンブロットを実施することによって、同一性の概算的測定値を得ることが可能である。これらの手順は、管理される対象における標的核酸配列に高い相補性を示し、他の種における対応する核酸配列に低い相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択を可能にする。当業者は、本発明における使用のための遺伝子の適切な領域を選択することにおいては相当な許容範囲があることを理解する。
【0038】
「酵素的RNA」によって酵素活性を有するRNA分子が意味される(Cech、(1988) J. American. Med. Assoc. 260、3030〜3035)。酵素的核酸(リボザイム)は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するために作用する分子の酵素的部分の近接に保持される酵素的核酸の標的結合部分を通じて生じる。したがって酵素的核酸は、最初に標的RNAを認識し、次いで塩基対形成を通じて結合し、ひとたび正しい部位に結合すると標的RNAを切断するために酵素的に作用する。
【0039】
「デコイRNA」によって、リガンドに対する天然結合ドメインを模倣するRNA分子が意味される。したがってデコイRNAは、特異的リガンドの結合に関して天然結合標的と競合する。例えば、HIVトランス活性化応答(TAR)RNAの過発現は、「デコイ」として作用することができ、HIV tatタンパク質に効率的に結合し、それによりHIV RNAにコードされるTAR配列へのその結合を妨げることが示されている(Sullengerら、(1990) Cell、63、601〜608)。これは、具体的な例を意味する。当業者は、これが一例に過ぎず、他の実施形態が当技術分野において公知の技術を使用して容易に作成されうることを理解する。
【0040】
本明細書において使用される用語「単量体」は、典型的には、大きさで数個、例えば約3〜4個の単量体単位から約数百個の単量体単位までの範囲のオリゴヌクレオチドを形成するホスホジエステル結合またはその類似結合によって連結された単量体を示す。ホスホジエステル結合の類似として、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホロセレノエート、ホスホラミデートなどが挙げられ、下により詳細に記載される。
【0041】
用語「ヌクレオチド」は、天然に存在するヌクレオチドならびに天然に存在しないヌクレオチドを含む。以前「天然に存在しない」と考えられていた種々のヌクレオチドが後に天然で見出されたことは当業者に明確であるべきである。したがって「ヌクレオチド」は、公知のプリンおよびピリミジン複素環含有分子だけでなく、複素環類似体およびその互変異性体も含む。他の種類のヌクレオチドの例示的実例は、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8-oxo-N6-メチルアデニン、7-デアザキサンチン、7-デアザグアニン、N4,N4-エタノシトシン、N6,N6-エタノ-2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、5-(C3-C6)-アルキニルシトシン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、シュードイソシトシン(pseudoisocytosine)、2-ヒドロキシ-5-メチル-4-トリアゾロピリジン(2-hydroxy-5-methyl-4-triazolopyridin)、イソシトシン、イソグアニン、イノシンおよびBennerら、米国特許第5,432,272号に記載の「天然に存在しない」ヌクレオチドを含有する分子である。用語「ヌクレオチド」は、これらの全ての例の全体ならびにその類似体および互変異性体を含むことを意図する。特に興味深いヌクレオチドは、ヒトにおける治療的および診断的応用に関連する天然に存在するヌクレオチドと考えられるアデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシルを含有するものである。ヌクレオチドは、例えばKornbergおよびBaker、DNA Replication、第2版(Freeman、San Francisco、1992)に記載の天然の2'-デオキシ糖および2'-ヒドロキシ糖ならびにそれらの類似体を含む。
【0042】
ヌクレオシドに関して「類似体」は、(例えばScheit、Nucleotide Analogs、John Wiley、New York、1980; Freier & Altmann、(1997) Nucl. Acid. Res.、25(22)、4429〜4443、Toulme, J.J.、(2001) Nature Biotechnology 19:17〜18; Manoharan M.、(1999) Biochemica et Biophysica Acta 1489:117〜139; Freier S. M.、(1997) Nucleic Acid Research、25:4429〜4443、Uhlman, E.、(2000) Drug Discovery & Development、3: 203〜213、Herdewin P.、(2000) Antisense & Nucleic Acid Drug Dev.、10:297〜310によって一般に記載された)修飾された塩基成分および/または修飾された糖部分を有する合成ヌクレオシド;2'-O, 3'-C-結合[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシド(例えばN. K Christiensen.ら、(1998) J. Am. Chem. Soc, 120: 5458〜5463; Prakash TP、Bhat B. (2007) Curr Top Med Chem. 7(7):641-9; Eun Jeong Cho, Joo-Woon Lee, Andrew D.(2009) Annual Review of Analytical Chemistry、2、241-264を参照されたい)を含む。そのような類似体は、結合特性、例えば2重鎖または3重鎖安定性、特異性などを増強するために設計された合成ヌクレオシドを含む。
【0043】
本明細書において使用される「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の実質的な相補鎖の対形成を意味する。対形成の1つの機序は、オリゴマー化合物の鎖の相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(ヌクレオチド)間でのワトソン-クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合でありうる水素結合を含む。例えばアデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通じて対形成する相補的ヌクレオチドである。ハイブリダイゼーションは、種々の環境下で生じうる。
【0044】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が標的核酸の通常の機能を妨げて機能および/または活性の調節を生じ、特異的結合が望ましい条件下(すなわちin vivoアッセイまたは治療的処置の場合での生理的条件下およびin vitroアッセイの場合でのアッセイが実施される条件下)でアンチセンス化合物の非標的核酸配列への非特異的結合を避けるために十分な程度の相補性がある場合に「特異的にハイブリダイズできる」。
【0045】
本明細書において使用される表現「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」は、本発明の化合物がその標的配列にハイブリダイズし、他の配列の最小数にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる環境下では異なっており、本発明の文脈においてオリゴマー化合物が標的配列にハイブリダイズする「ストリンジェントな条件」は、オリゴマー化合物の性質および組成物ならびにそれらが調査されるアッセイによって決定される。一般に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Na+またはK+などの無機陽イオン塩の低濃度(<0.15M)(すなわち低イオン強度)、20℃〜25℃より高くオリゴマー化合物:標的配列複合体のTmより低い温度、およびホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの変性剤または界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在を含む。例えば、ハイブリダイゼーション率はホルムアミド1%ごとに1.1%低下する。高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件の例は、0.1×塩化ナトリウム-クエン酸ナトリウム緩衝液(SSC)/0.1%(w/v)SDSで60℃、30分間である。
【0046】
本明細書において使用される「相補性」は、1つまたは2つのオリゴマー鎖上の2つのヌクレオチド間の正確な対形成のための能力を意味する。例えばアンチセンス化合物の特定の位置の核酸塩基が標的核酸の特定の位置で核酸塩基と水素結合でき、前記標的核酸がDNA、RNAまたはオリゴヌクレオチド分子である場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は相補的位置であると考えられる。オリゴマー化合物とさらなるDNA、RNAまたはオリゴヌクレオチド分子とは、各分子における十分な数の相補的位置が相互に水素結合できるヌクレオチドによって占められる場合に相互に相補的である。したがって「特異的にハイブリダイズできる」および「相補的」は、オリゴマー化合物と標的核酸との間に安定かつ特異的な結合が生じるような十分な数のヌクレオチドにわたる十分な程度の正確な対形成または相補性を示すために使用される用語である。
【0047】
オリゴマー化合物の配列は、特異的にハイブリダイズできるその標的核酸のそれに100%相補的である必要がないことは当技術分野において理解される。さらにオリゴヌクレオチドは、介在するまたは隣接するセグメントがハイブリダイゼーション事象に関与せずに(例えばループ構造、ミスマッチもしくはヘアピン構造)1つまたは複数のセグメントにわたってハイブリダイズできる。本発明のオリゴマー化合物は、少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%または少なくとも約99%の配列相補性をそれらがターゲッティングされる標的核酸配列中の標的領域に対して含む。例えば、アンチセンス化合物の20個のヌクレオチドのうちの18個が標的領域に相補的であり、したがって特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90パーセントの相補性を示す。この例において残りの非相補的ヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドと共に一群となっていても点在していても良く、相互にまたは相補的ヌクレオチドに近接している必要はない。そのように長さ18ヌクレオチドであり、標的核酸と完全に相補的な2つの領域によって隣接された4つ(4個)の非相補的ヌクレオチドを有するアンチセンス化合物は、標的核酸に全体で77.8%の相補性を有し、したがって本発明の範囲内になる。アンチセンス化合物と標的核酸の領域との相補性百分率は、当技術分野において周知のBLASTプログラム(basic local alignment search tools)およびPowerBLASTプログラムを使用して日常的に決定されうる(Altschulら、(1990) J. Mol. Biol.、215、403〜410; Zhang and Madden、(1997) Genome Res.、7、649〜656)。相同性百分率、配列同一性または相補性は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv. Appl. Math.、(1981) 2、482〜489)を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8 for Unix、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison Wis.)の初期設定を使用することによって決定されうる。
【0048】
本明細書において使用される用語「熱融点(Tm)」は、規定のイオン強度、pHおよび核酸濃度の下で、標的配列に相補的であるオリゴヌクレオチドの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度を意味する。典型的にはストリンジェントな条件は、塩濃度が少なくともNaイオン濃度(または他の塩)約0.01〜1.0M、pH7.0〜8.3であり、短いオリゴヌクレオチド(例えば10〜50ヌクレオチド)については温度が低くとも約30℃であるものである。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加でも達成されうる。
【0049】
本明細書において使用される用語「調節」は、遺伝子の発現における増大(刺激)または減少(抑制)を意味する。
【0050】
ポリヌクレオチド配列の文脈において使用される場合に用語「変種」は、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含する。この定義は、例えば「対立遺伝子」、「スプライス」、「種」または「多型」変種も含みうる。スプライス変種は、参照分子に顕著な同一性を有しうるが、一般にmRNAプロセシングの際のエクソンの選択的スプライシングによる、より多いまたは少ない数のポリヌクレオチドを有する。対応するポリペプチドは、追加的機能ドメインまたはドメインの欠損を有しうる。種の変種は、1つの種から他の種へ変化するポリヌクレオチド配列である。本発明における特定の有用性は、野生型遺伝子産物の変種である。変種は、核酸配列における少なくとも1つの変異から生じることができ、変化したmRNAまたはその構造または機能が変化していても変化していなくてもよいポリペプチドを生じうる。任意の所与の天然または組換え遺伝子は、対立形態を有さない場合も、1つ有する場合も、多数有する場合もある。変種を生じる通常の変異変化は、一般に天然の欠失、追加またはヌクレオチドの置換に帰する。これらの型の変化のそれぞれは、単独でまたは他との組み合わせで1回または複数回、所与の配列に生じうる。
【0051】
得られたポリペプチドは、一般に相互に比較して顕著なアミノ酸同一性を有する。多型変種は、所与の種の個体間での特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変種である。多型変種は、「単一ヌクレオチド多型」(SNP)またはポリヌクレオチド配列が1塩基によって変化している単一塩基変異も包含できる。SNPの存在は、例えば、易罹患性対抵抗性である病態についてのある傾向を有する特定の集団についての指標でありうる。
【0052】
誘導体ポリヌクレオチドは、化学的修飾(例えば水素のアルキル、アシルまたはアミノ基での置換)に供された核酸を含む。誘導体、例えばオリゴヌクレオチド誘導体は、修飾された糖部分または糖間結合などの天然に存在しない部分を含みうる。これらにおける例は、ホスホロチオエートおよび当技術分野において周知の他のイオウ含有種である。誘導核酸は、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光剤、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、阻害因子、磁性粒子などが挙げられる標識も含みうる。
【0053】
「誘導体」ポリペプチドまたはペプチドは、例えばグリコシル化、ペグ化、リン酸化、硫酸化、還元/アルキル化、アシル化、化学的カップリングまたは穏やかなホルマリン処理によって修飾されたものである。誘導体は、これだけに限らないが放射性同位元素、蛍光または酵素標識が挙げられる検出可能な標識を含有するために直接または間接的のいずれかで修飾もされうる。
【0054】
本明細書において使用される用語「動物」または「患者」は、例えばヒト、ヒツジ、エルク(elk)、シカ、ミュールジカ、ミンク、哺乳動物、サル、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、鳥類、ニワトリ、は虫類、魚類、昆虫およびクモ類を含んで意味する。
【0055】
「哺乳動物」は、典型的には医療の下にある温血哺乳動物(例えばヒトおよび家畜)を含む。例として、ヒトのみに加えて、ネコ、イヌ、ウマ、ウシおよびヒトが挙げられる。
【0056】
「治療」または「処置」は、(a)哺乳動物において病態が生じることを予防するステップ、具体的にはそのような哺乳動物が病態を罹患しやすいが、罹患しているとまだ診断されていない場合;(b)病態を抑制するステップ、例えばその進行を止めるステップ;および/または(c)病態を軽減するステップ、例えば病態の退行を所望の終点に至るまで生じさせるステップ、を含む哺乳動物における病態の処置を含む。治療は、疾患の症状の回復(例えば疼痛または不快感の緩和)も含み、そのような回復は、疾患に直接効果を与えるまたは与えない場合がある(例えば原因、伝染、発現など)。
【0057】
「神経変性疾患(Neurodegenerative disease)」は、例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知症、多発性硬化症、および他の神経細胞死に関わる疾患および疾病を含む、広範囲の中枢及び末端神経系の疾患および疾病を指す。
【0058】
「代謝疾患(Metabolic disease)」は、例えば、インスリン耐性、糖尿病、肥満、グルコース耐性疾患、高血コレステロール、高血糖、脂質異常症および高脂血症を含む、広範囲の内分泌の疾患および疾病を指す。
【0059】
ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド組成物および分子
「SIRT1タンパク質」は、サーチュインデアセチラーゼのsir2ファミリーのメンバーを指す。ある実施態様において、SIRT1タンパク質は、酵母Sir2(GenBank 受託番号P53685)、線虫Sir-2.1 (GenBank受託番号 NP.sub.--501912)、ヒトSIRT1 (GenBank受託番号NM.sub.--012238およびNP.sub.--036370 (or AF083106))を含む。
【0060】
SIRT1「サーチュイン」は、Pfam ファミリー"SIR2"- PF02146 (付表に添付)において、ヒットしてスコアされるアミノ酸配列として規定されるドメインであるSIR2ドメインを含む。このファミリーは、INTERPRO記載 (エントリーIPR003000)としてINTERPROデータベースに参照される。タンパク質配列における"SIR2"ドメインの存在を同定し、対象のポリペプチドまたはタンパク質が特定のプロフィールを有するか否かを決定するために、タンパク質のアミノ酸配列を、デフォルトのパラメーターを使用して、HMMのPfamデータベース(例えば、Pfamデータベースリリース9)(http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/HMM_search)に対して調査することができる。SIR2ドメインを、PfamにおいてPF02146と、INTERPROにおいてINTERPRO記載(エントリーIPR003000)として指標化する。Pfamデータベースの記載は、"The Pfam Protein Families Database" Bateman A et al. (2002) Nucleic Acids Research 30(l):276-280およびSonhammer et al. (1997) Proteins 28(3):405-420に発見することができ、HMMの詳細は、例えばGribskov et al. (1990) Meth. Enzymol. 183:146-159; Gribskov et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:4355-4358; Krogh et al. (1994) J. Mol. Biol. 235:1501-1531; およびStultz et al. (1993) Protein Sci. 2:305-314に発見することができる。
【0061】
標的:一実施形態において標的は、限定することなく、サーチュイン1(SIRT1)に関連するセンスおよび/またはアンチセンスの非コードおよび/またはコード配列を含めた、SIRT1の核酸配列を含む。
【0062】
好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、サーチュイン1(SIRT1)に関連する疾患又は疾病を、予防又は治療する。サーチュイン(SIRT)は、全ての生物に一様に分布するタンパク質修飾酵素である。SIRT1は、最も特徴が知られるSIRTファミリーメンバーである酵母ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド依存デアセチラーゼサイレント情報レギュレーター2(Sir2として知られる)の哺乳動物ホモログである。SIRT1は、脂肪細胞系列の細胞の生理を制御する。SIRT1活性のモジュレーターを使用して、例えば肥満、肥満関連疾患、または脂肪関連代謝異常のような、脂肪生理に関連する疾患及び疾病を緩和、治療、または予防することができる。
【0063】
SIRT1は、複数のモデル生物で寿命を制御し、細胞生存、分化、および代謝を含む、哺乳動物細胞における複数のプロセスに関わっている。レスベラトールのようなSIRT活性成分、またはカロリー制限に関する代謝状態のいずれかによるSIRT1誘導は、神経保護性を有し、神経変性プロセスを遅らせ、それにより寿命を延ばすであろう(Han SH, (2009) J Clin Neurol. Sep;5(3):120-5.; Michan S, et al. (2007) Biochem J. 404(1): 1-13.)。
【0064】
神経系にけるSIRT1の軸索保護の役割を支持する複数の報告が存在する。軸索分解は、アルツハイマー病(AD)および筋萎縮性側索硬化症のような末梢ニューロパシーおよび神経変性疾患の両方で観察される、主な形態的特徴である(Fischer LR, et al. (2004) Exp Neurol 185:232-240; Stokin GB, et al. (2005) Science 307:1282-1288)。軸索分解は通常、分解プロセスの早期段階に発生し、認識低下のような臨床的兆候に先行する、または顕著に関連することがしばしばある(Yamamoto H, et al. (2007) Mol Endocrinol. 21 (8): 1745-1755)。
【0065】
好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、非限定的に非コード領域を含むSIRT1のポリヌクレオチドに特異的である。SIRT1標的は、SIRT1の変種;SNPを含むSIRT1の変異体; SIRT1の非コード配列;対立遺伝子、断片などを含む。好ましくはオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA分子である。
【0066】
本発明の実施形態により標的核酸分子は、SIRT1ポリヌクレオチドだけに限定されず、SIRT1の任意のアイソフォーム、受容体、相同体、非コード領域などに及ぶ。
【0067】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、これだけに限らないが変種、対立遺伝子、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列を含むSIRT1標的の天然アンチセンス配列(コード領域および非コード領域の天然アンチセンス)を標的にする。好ましくはオリゴヌクレオチドはアンチセンスRNAまたはDNA分子である。
【0068】
他の好ましい実施形態において本発明のオリゴマー化合物は、化合物の1つまたは複数のヌクレオチド位置にさまざまな塩基が存在する変種も含む。例えば最初のヌクレオチドがアデニンである場合、この位置にチミジン、グアノシンまたはシチジンまたは他の天然もしくは非天然ヌクレオチドを含有する変種が産生されうる。これは、アンチセンス化合物の任意の位置において行われうる。次いでこれらの化合物は、標的核酸の発現を抑制するそれらの能力を測定するために本明細書において記載の方法を使用して検査される。
【0069】
いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物と標的との間の相同性、配列同一性または相補性は、約50%〜約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
【0070】
アンチセンス化合物は、化合物の標的核酸への結合が標的核酸の正常な機能を妨げて活性の消失を生じ、特異的な結合が望まれる条件下でアンチセンス化合物の非標的核酸配列への非特異的結合が回避されるために十分な程度の相補性がある場合に特異的にハイブリダイズできる。そのような条件は、すなわちin vivoアッセイおよび治療的処置の場合での生理的条件、およびin vitroアッセイの場合でのアッセイが実施される条件を含む。
【0071】
アンチセンス化合物(DNA、RNA、キメラ、置換物などにかかわらず)は、化合物の標的DNAまたはRNA分子への結合が標的DNAまたはRNAの正常な機能を妨げ有用性の消失を生じ、特異的な結合が望まれる条件下(すなわちin vivoアッセイおよび治療的処置の場合での生理的条件、およびin vitroアッセイの場合でのアッセイが実施される条件)でアンチセンス化合物の非標的配列への非特異的結合が回避されるために十分な程度の相補性がある場合に、特異的にハイブリダイズできる。
【0072】
他の好ましい実施形態において例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して同定および増やされるアンチセンス配列、配列番号6から47に記載される1つまたは複数の配列などを非限定的に含むSIRT1のターゲッティングは、SIRT1の発現または機能を調節する。一実施形態において発現または機能は、対照と比較して上方制御される。他の好ましい実施形態において発現または機能は、対照と比較して下方制御される。
【0073】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、PCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して同定および増やされるアンチセンス配列を含む配列番号6から47に記載の核酸配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾されたヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含みうる。修飾された結合またはヌクレオチド間結合の例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなどを含む。他の好ましい実施形態においてヌクレオチドは、リン誘導体を含む。本発明の修飾されたオリゴヌクレオチド中の糖部分または糖類似成分に結合できるリン誘導体(または修飾されたリン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、アルカンリン酸塩(alkanephosphate)、ホスホロチオエートなどでありうる。上に記載のリン酸類似体の調製およびそれらのヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドへの組み込みそれ自体は、周知であり、本明細書に記載される必要はない。
【0074】
アンチセンスの特異性および感受性も、治療的使用のために当業者によって利用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物およびヒトでの病態の治療において治療用成分として使用されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安全にかつ効果的にヒトに投与されており、多数の臨床検査が現在進行中である。したがってオリゴヌクレオチドが、細胞、組織および動物、特にヒトの治療のための治療計画において有用であるように構成されうる有用な治療方法でありうることが確立される。
【0075】
本発明の実施形態においてオリゴマーアンチセンス化合物、詳細にはオリゴヌクレオチドは、標的核酸分子に結合し、標的遺伝子によってコードされる分子の発現および/または機能を調節する。妨げられるDNAの機能は、例えば複製および転写を含む。妨げられるRNAの機能は、例えばタンパク質翻訳部位へのRNAの移行、RNAからのタンパク質の翻訳、1つまたは複数のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAが関与しうるまたはRNAによって促進されうる触媒活性などの全ての生体機能を含む。機能は、所望の機能に応じて上方制御または抑制されうる。
【0076】
アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブおよび標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズする他のオリゴマー化合物を含む。そのように、これらの化合物は1本鎖、2本鎖、部分的な1本鎖または環状オリゴマー化合物の形態に導入されうる。
【0077】
本発明の文脈においてアンチセンス化合物を特定の核酸分子にターゲッティングすることは、多段階プロセスでありうる。通常、このプロセスは、機能が調節される標的核酸の同定で始まる。この標的核酸は、例えばその発現が特定の障害もしくは病態に関連する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されたmRNA)または感染病原体由来の核酸分子でありうる。本発明において標的核酸は、サーチュイン1(SIRT1)をコードする。
【0078】
通常、ターゲッティングプロセスは所望の効果、例えば発現の調節が得られるようなアンチセンス相互作用が生じる標的核酸中の少なくとも1つの標的領域、セグメントまたは部位の決定も含む。本発明の文脈において用語「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能または特徴を有する標的核酸の一部分と定義される。標的核酸の領域内は、セグメントである。「セグメント」は、標的核酸内の領域のより小さな部分またはサブ部分と定義される。本発明において使用される「部位」は、標的核酸内の位置として定義される。
【0079】
好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)の天然アンチセンス配列に結合し、サーチュイン1(SIRT1)(配列番号1)の発現および/または機能を調節する。アンチセンス配列の例は、配列番号2〜5を含む。
【0080】
他の好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの1つまたは複数のセグメントに結合し、サーチュイン1(SIRT1)の発現および/または機能を調節する。セグメントは、サーチュイン1(SIRT1)センスまたはアンチセンスポリヌクレオチドの少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含む。
【0081】
他の好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)の天然アンチセンス配列に特異的であり、オリゴヌクレオチドのサーチュイン1(SIRT1)の天然アンチセンス配列への結合はサーチュイン1(SIRT1)の発現および/または機能を調節する。
【0082】
他の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド化合物は配列番号6〜47に記載の配列、例えばPCR、ハイブリダイゼーションなどを使用して同定および増やされるアンチセンス配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾されたヌクレオチド、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含みうる。修飾された結合またはヌクレオチド間結合の例は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなどを含む。他の好ましい実施形態においてヌクレオチドは、リン誘導体を含む。本発明の修飾されたオリゴヌクレオチド中の糖部分または糖類似成分に結合できるリン誘導体(または修飾されたリン酸基)は、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩、アルキルリン酸塩、アルカンリン酸塩、ホスホロチオエートなどでありうる。上に記載のリン酸類似体の調製およびそれらのヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドへの組み込みそれ自体は、周知であり、本明細書に記載される必要はない。
【0083】
当技術分野において周知であるとおり、翻訳開始コドンが典型的には5'-AUG(転写されたmRNA分子において、対応するDNA分子においては5'-ATG)であることから、翻訳開始コドンは、「AUGコドン」、「開始コドン」または「AUG開始コドン」とも称される。少数の遺伝子は、RNA配列5'-GUG、5'-UUGまたは5'-CUGを有する翻訳開始コドンを有し、5'-AUA、5'-ACGおよび5'-CUGはin vivoにおいて機能することが示されている。したがって用語「翻訳開始コドン」および「開始コドン」は、開始アミノ酸は各例において典型的にはメチオニン(真核生物において)またはホルミルメチオニン(原核生物において)であるが、多数のコドン配列を包含できる。真核生物および原核生物の遺伝子は、2つ以上の選択的開始コドンを有し、そのいずれでも特定の細胞型または組織における、または特定の条件下で翻訳開始のために優先的に利用されうる。本発明の文脈において「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、そのようなコドンの(1つまたは複数の)配列にかかわらずサーチュイン1(SIRT1)をコードする遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を開始するためにin vivoで使用される1つまたは複数のコドンを意味する。遺伝子の翻訳終止コドン(または「終止コドン」)は、3つの配列、すなわち5'-UAA、5'-UAGおよび5'-UGA(対応するDNA配列は、それぞれ5'-TAA、5'-TAGおよび5'-TGAである)のうちの1つを有しうる。
【0084】
用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち5'または3')での連続する約25から約50ヌクレオチドを包含するそのようなmRNAまたは遺伝子の一部分を意味する。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終止コドン領域」は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち5'または3')での連続する約25から約50ヌクレオチドを包含するそのようなmRNAまたは遺伝子の一部分を意味する。結果として「開始コドン領域」(または「翻訳開始コドン領域」)および「終止コドン領域」(または「翻訳終止コドン領域」)は、本発明のアンチセンス化合物で効果的にターゲッティングされうる全ての領域である。
【0085】
当技術分野において翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を意味することが周知のオープンリーディングフレーム(ORF)または「コード領域」も、効果的にターゲッティングされうる領域である。本発明の文脈においてターゲッティングされた領域は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始または終止コドンを包含する遺伝子内領域である。
【0086】
他の標的領域は、当技術分野において翻訳開始コドンから5'方向にあるmRNAの一部分を意味することが周知の5'非翻訳領域(5'UTR)を含み、したがって5'キャップ部位とmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の翻訳開始コドンとの間のヌクレオチドを含む。さらに他の標的領域は、当技術分野において翻訳終止コドンから3'方向にあるmRNAの一部分を意味すると周知の3'非翻訳領域(3'UTR)を含み、したがって翻訳終止コドンとmRNA(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)の3'末端との間のヌクレオチドを含む。mRNAの5'キャップ部位は、5'-5'トリリン酸結合を介してmRNAの最も5'側の残基に結合したN7-メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5'キャップ領域は、5'キャップ構造それ自体およびキャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと考えられる。本発明の他の標的領域は、5'キャップ領域である。
【0087】
いくつかの真核生物mRNA転写物は、直接翻訳されるが、大部分は、それが翻訳される前に転写物から切除される「イントロン」として周知の1つまたは複数の領域を含有する。残りの(したがって翻訳される)領域は「エクソン」として周知であり、連続的なmRNA配列を形成するように一緒にスプライスされる。一実施形態において標的スプライス部位、すなわちイントロン-エクソン接合部またはエクソン-イントロン接合部は、異常なスプライシングが疾患に関与するまたは特定のスプライス産物の過剰産生が疾患に関与する状況において特に有用である。再配置または欠失による異常な融合接合は、標的部位の他の実施形態である。異なる遺伝子源由来の2つ(またはそれ以上)のmRNAのスプライシングのプロセスを介して産生されたmRNA転写物は、「融合転写物」として周知である。イントロンは、例えばDNAまたはプレmRNAをターゲッティングするアンチセンス化合物を使用して効果的にターゲッティングされうる。
【0088】
他の好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのコード領域および/または非コード領域に結合し、標的分子の発現おび/または機能を調節する。
【0089】
他の好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、天然アンチセンスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0090】
他の好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、センスポリヌクレオチドに結合し、標的分子の発現および/または機能を調節する。
【0091】
選択的RNA転写物は、DNAの同じ遺伝子領域から産生されうる。これらの選択的転写物は、一般に「変種」として周知である。より詳細には「プレmRNA変種」は、同じゲノムDNAから産生される転写物であり、同じゲノムDNAから産生される他の転写物とはそれらの開始または終止位置のいずれかにおいて異なり、イントロンおよびエクソン配列の両方を含有する。
【0092】
スプライシングでの1つまたは複数のエクソンもしくはイントロン領域またはそれらの一部分の切除において、プレmRNA変種は、より小さな「mRNA変種」を産生する。結果としてmRNA変種は、プレmRNA変種にプロセシングされ、それぞれ特有なプレmRNA変種はスプライシングの結果として特有なmRNA変種を常に産生する。これらのmRNA変種は、「選択的スプライス変種」としても周知である。プレmRNA変種のスプライシングが生じない場合は、プレmRNA変種はmRNA変種と同一である。
【0093】
変種は、転写を開始するまたは終止するための選択的シグナルの使用を通じても産生されうる。プレmRNAおよびmRNAは、1つより多い開始コドンまたは終止コドンを有しうる。選択的開始コドン(alternative start codon)を使用するプレmRNAまたはmRNA由来の変種は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的開始変種(alternative start variant)」として周知である。選択的終止コドン(alternative stop codon)を使用するこれらの転写物は、プレmRNAまたはmRNAの「選択的終止変種(alternative stop variant)」として周知である。選択的終止変種の特定の1種類は、機械的な転写による「ポリA終止シグナル」のうちの1つの代替選択から生じる、多数の転写物が産生される「ポリA変種」であり、それにより特有なポリA部位で終結する転写物が産生される。本発明の文脈において、本明細書に記載される種類の変種も標的核酸の実施形態である。
【0094】
アンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、活性アンチセンス化合物がターゲッティングされる標的領域の少なくとも5ヌクレオチド長部分として定義される。
【0095】
特定の例示的標的セグメントの詳細な配列が本明細書に記載されているが、当業者はこれらが本発明の範囲内の具体的実施形態を例示および記載するために利用できることを理解する。追加的標的セグメントは、本開示を考慮して当業者によって容易に同定されうる。
【0096】
例示的な好ましい標的セグメント内から選択された少なくとも5つ(5個)の連続的ヌクレオチド範囲を含む長さ5〜100ヌクレオチドの標的セグメントは、同様にターゲッティングに適すると考えられる。
【0097】
標的セグメントは、例示的な好ましい標的セグメントの1つの5'-末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列を含みうる(残りのヌクレオチドは、標的セグメントの5'-末端のすぐ上流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含有するまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。同様に好ましい標的セグメントは、例示的な好ましい標的セグメントの1つの3'-末端由来の少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むDNAまたはRNA配列によって表される(残りのヌクレオチドは、標的セグメントの3'-末端のすぐ下流から始まり、DNAまたはRNAが約5〜約100ヌクレオチドを含有するまで続く同じDNAまたはRNAの連続的範囲である)。本明細書において例示される標的セグメントを用いる当業者は、過度の実験を行うことなくさらなる好ましい標的セグメントを同定できる。
【0098】
ひとたび1つまたは複数の標的領域、セグメントまたは部位が同定されると、所望の効果を得るために標的に十分に相補的である、すなわち十分にハイブリダイズし、かつ十分な特異性を有するアンチセンス化合物が選択される。
【0099】
本発明の実施形態においてオリゴヌクレオチドは、特定の標的のアンチセンス鎖に結合する。オリゴヌクレオチドは、長さ少なくとも5ヌクレオチドであり、各オリゴヌクレオチドが重複する配列をターゲッティングするように合成されて良く、オリゴヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドの長さ全体に及ぶように合成される。標的はコード領域および非コード領域も含む。
【0100】
一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって特定の核酸をターゲッティングすることは好ましい。特定の核酸に対するアンチセンス化合物のターゲッティングは、多段階プロセスである。通常、このプロセスは、その機能が調節される核酸配列の同定で始まる。これは、例えばその発現が特定の障害もしくは病態に関連する細胞遺伝子(もしくは遺伝子から転写されるmRNA)または例えば非翻訳RNA(ncRNA)などの非翻訳ポリヌクレオチドでありうる。
【0101】
RNAは、(1)タンパク質に翻訳されるメッセンジャーRNA(mRNA)、および(2)非タンパク質コードRNA(ncRNA)に分類されうる。ncRNAはマイクロRNA、アンチセンス転写物および高密度の終止コドンを含有しており、いかなる広範な「オープンリーディングフレーム」も欠いている他の転写単位(TU)を含む。多くのncRNAは、タンパク質コード遺伝子座の3'非翻訳領域(3'UTR)中の開始部位から始まると考えられる。ncRNAは、しばしばまれであり、FANTOMコンソーシアムによって配列決定されているncRNAの少なくとも半分はポリアデニル化されていないと考えられている。明らかな理由により大部分の研究者は、プロセシングされ、細胞質に排出されるポリアデニル化されたmRNAに注目している。近年、一連のポリアデニル化されていない核内RNAが非常に多い場合があり、そのような転写物の多くがいわゆる遺伝子間領域から生じることが示された(Cheng, J.ら、(2005) Science 308 (5725)、1149〜1154; Kapranov, P.ら、(2005). Genome Res 15 (7)、987〜997)。ncRNAが遺伝子発現を制御し得る機構は、標的転写物との塩基対形成によるものである。塩基対形成によって機能するRNAは、(1)作用するRNAと同じ遺伝子座だが反対の鎖上にコードされ、したがってそれらの標的に対して完全な相補性を示すシスコードの(cis-encoded)RNA、および(2)作用するRNAとは異なる染色体上の位置にコードされ、一般にそれらの標的と完全な塩基対形成可能性を示さないトランスコードの(trans-encoded)RNAに分類されうる。
【0102】
理論に束縛されることなく、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスポリヌクレオチドの変動は、対応するセンスメッセンジャーRNAの発現を変化させうる。しかしこの制御は、不調和性(アンチセンスノックダウンがセンスメッセンジャーRNAの増加を生じる)または調和性(アンチセンスノックダウンが付随するセンスメッセンジャーRNAの減少を生じる)のいずれであっても良い。これらの場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖の重複したまたは重複していない部分にターゲッティングされて良く、そのノックダウンまたは隔離を生じる。コードおよび非コードアンチセンスは、同一の手段でターゲッティングでき、どちらの分類も対応するセンス転写物を、調和性または不調和性の手段のいずれかで、制御できる。標的に対する使用のための新規オリゴヌクレオチドを同定することに使用される戦略は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるアンチセンスRNA転写物のノックダウンまたは所望の標的を調節するための任意の他の手段に基づきうる。
【0103】
戦略1:不調和性調節の場合、アンチセンス転写のノックダウンが、通常の(センス)遺伝子の発現を上昇させる。後者の遺伝子が周知のまたは推定上の薬物標的をコードする場合は、そのアンチセンス対応物のノックダウンは受容体アゴニストまたは酵素刺激物質の作用をおそらく模倣できる。
【0104】
戦略2;調和性調節の場合、アンチセンスおよびセンス転写物の両方を同時にノックダウンすることができ、従って通常の(センス)遺伝子発現の相乗的低減を達成する。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドがノックダウンを達成するために使用される場合、この戦略は、センス転写物にターゲッティングされた1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドと対応するアンチセンス転写物に対する他のアンチセンスオリゴヌクレオチドとに、または重複しているセンスおよびアンチセンス転写物を同時にターゲッティングする単一のエネルギー的に対称なアンチセンスオリゴヌクレオチドに適用するために使用されうる。
【0105】
本発明によりアンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、および標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズし、その機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。そのようにそれらはDNA、RNA、DNA様、RNA様、もしくはそれらの混合物でありうる、またはこれらの1つまたは複数の模倣物でありうる。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であって良く、内部もしくは末端バルジ、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含有できる。アンチセンス化合物は、日常的には直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるかまたはそうでなければ調製されうる。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖、または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含みうる。2本鎖は、遊離の3'もしくは5'末端を残すように内部で結合されうるか、または連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合されうる。ヘアピン構造は、5'または3'末端のいずれかにオーバーハングを含有でき、1本鎖形質の伸長を生じる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含有できる。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含みうる。代替として2本鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して連結されうる。1本だけの鎖から形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取りうる。したがってdsRNAは、完全にまたは部分的に2本鎖でありうる。遺伝子発現の特異的な調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成されうるが、いくつかの実施形態において遺伝子の発現または機能は、上方制御される。2本鎖、または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取る1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2
重鎖形成領域)は、ワトソン-クリック様に塩基対形成する相補的RNA鎖である。
【0106】
ひとたび系に導入されると本発明の化合物は、標的核酸の切断もしくは他の修飾に影響する1つもしくは複数の酵素もしくは構造タンパク質の作用を誘発できる、または占有に基づく機構を介して作用できる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2'-デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2'-ヒドロキシ糖または2'-修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載されうる。核酸ヘリックスは、1つより多い種類の構造を、最も通例ではA-形態およびB-形態をとりうる。一般にB-形態様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であり、A-形態様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態においてアンチセンス化合物は、A-およびB-形態領域の両方を含有できる。
【0107】
好ましい他の実施形態において所望のオリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、アンチセンスRNA、アンチセンスDNA、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチド;修飾された結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチド;干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過的RNA(stRNA);または低分子ヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);低分子活性化RNA(saRNA)またはこれらの組合せのうちの少なくとも1を含む。
【0108】
dsRNAは、遺伝子発現、「低分子RNA誘導遺伝子活性化」またはRNAaと称されている機構も活性化できる。遺伝子プロモーターをターゲッティングするdsRNAは、関連する遺伝子の強力な転写活性化を誘導する。RNAaは、合成dsRNAを使用してヒト細胞において実証され、「低分子活性化RNA」(saRNA)と称された。RNAaが他の生体においても保存されているのかどうかは現在のところ不明である。
【0109】
低分子干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)などの低分子2本鎖RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)として周知の進化的に保存された機構の引き金であることが見出されている。RNAiは、クロマチンの再構築を介して一定に遺伝子発現抑制を導きそれにより転写を抑制し、相補的mRNAを分解し、またはタンパク質翻訳を遮断する。しかし、下の実施例の節において詳細に記載される例においては、オリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドおよびそれにコードされる産物の発現および/または機能を増加させることが示されている。dsRNAは低分子活性化RNA(saRNA)としても作用できる。理論に束縛されることなく、遺伝子プロモーター中の配列をターゲッティングすることによって、saRNAはdsRNA誘発転写活性化(RNAa)と称される現象において標的遺伝子発現を誘導する。
【0110】
さらなる実施形態において、本明細書において同定する「好ましい標的セグメント」は、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの発現を調節する追加的化合物の選別において使用されうる。「調節物質」は、サーチュイン1(SIRT1)をコードする核酸分子の発現を減少または増加させ、好ましい標的セグメントに相補的である少なくとも5個のヌクレオチド部分を含む化合物である。選別方法は、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドをコードする核酸分子の好ましい標的セグメントを1つまたは複数の候補調節物質に接触させるステップ、およびサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチド、例えば配列番号6〜47をコードする核酸分子の発現を減少または増加させる1つまたは複数の候補修飾物質を選択するステップを含む。1つまたは複数の候補調節物質が、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドをコードする核酸分子の発現を調節できる(例えば減少させるまたは増加させる)ことが一度示されれば、次いで調節物質は、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能のさらなる調査研究において、または本発明による研究、診断もしくは治療剤としての使用のために使用されうる。
【0111】
天然アンチセンス配列のターゲッティングは、好ましくは標的遺伝子、例えば、SIRT1遺伝子(受託番号:NM_ 012238.3; UCSCゲノムデータベース)の機能を調節する。好ましい実施形態において標的は、サーチュイン1のアンチセンスポリヌクレオチドである。好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのセンスおよび/または天然アンチセンス配列(例えば受託番号:NM_ 012238.3、配列番号1、図10)、変種、対立遺伝子、アイソフォーム、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。好ましくはオリゴヌクレオチドは、アンチセンス分子であり、標的はアンチセンスおよび/またはセンスSIRT1ポリヌクレオチドのコード領域および非コード領域を含む。
【0112】
本発明の好ましい標的セグメントは、本発明のそれぞれの相補的アンチセンス化合物と安定化された2本鎖(2重鎖)オリゴヌクレオチドを形成するように組み合わされうる。
【0113】
そのような2本鎖オリゴヌクレオチド成分は、当技術分野において標的発現を調節し、アンチセンス機構を介して翻訳およびRNAプロセシングを制御すると示されている。さらに2本鎖成分は化学修飾に供されうる(Fireら、(1998) Nature、391、806〜811; TimmonsおよびFire、(1998) Nature、395、854; Timmonsら、(2001) Gene、263、103〜112; Tabaraら、(1998) Science、282、430〜431; Montgomeryら、(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95、15502〜15507; Tuschlら、(1999) Genes Dev.、13、3191〜3197; Elbashirら、(2001) Nature、411、494〜498; Elbashirら、(2001) Genes Dev.、15、188〜200)。例えばその様な2本鎖成分は、2重鎖アンチセンス鎖の標的への古典的ハイブリダイゼーションによって標的を抑制することが示されており、それにより標的の酵素的分解の引き金を引く(Tijstermanら、(2002) Science、295、694〜697)。
【0114】
好ましい実施形態においてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチド(例えば受託番号:NM_ 012238.3)、変種、対立遺伝子、アイソフォーム、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。好ましくはオリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0115】
本発明の実施形態により標的核酸分子は、サーチュイン1(SIRT1)だけに限定されず、任意のアイソフォーム、受容体、相同体およびサーチュイン1(SIRT1)様分子に及ぶ。
【0116】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列、例えば配列番号2〜5に記載のポリヌクレオチドおよび任意の変種、対立遺伝子、相同体、変異体、誘導体、断片およびそれらの相補配列をターゲッティングする。アンチセンスオリゴヌクレオチドの例は、配列番号6〜47として記載されている。
【0117】
一実施形態においてオリゴヌクレオチドは、これだけに限らないがサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドに関連する非コードセンスおよび/またはアンチセンス配列が挙げられるサーチュイン1(SIRT1)アンチセンスの核酸配列に相補的であるかまたは結合し、サーチュイン1(SIRT1)分子の発現および/または機能を調節する。
【0118】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、配列番号2〜5に記載のSIRT1天然アンチセンスの核酸配列に相補的であるかまたは結合し、SIRT1分子の発現および/または機能を調節する。
【0119】
好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、配列番号6〜47の少なくとも5個の連続する核酸塩基の配列を含み、サーチュイン1(SIRT1)の発現および/または機能を調節する。
【0120】
ポリヌクレオチド標的は、そのファミリーメンバーを含めたSIRT1、SIRT1の変種;SNPを含むSIRT1の変異体; SIRT1の非コード配列; SIRT1の対立遺伝子;種の変種、断片などを含む。好ましくはオリゴヌクレオチドはアンチセンス分子である。
【0121】
他の好ましい実施形態において、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドをターゲッティングするオリゴヌクレオチドは、アンチセンスRNA、干渉RNA(RNAi)、低分子干渉RNA(siRNA);マイクロ干渉RNA(miRNA);低分子一過的RNA(stRNA);または低分子ヘアピンRNA(shRNA);低分子RNA誘導遺伝子活性化(RNAa);または低分子活性化RNA(saRNA)を含む。
【0122】
他の好ましい実施形態において、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチド、例えば配列番号6〜47のターゲッティングは、これらの標的の発現または機能を調節する。一実施形態において発現または機能は対照と比較して上方制御される。他の好ましい実施形態において発現または機能は対照と比較して下方制御される。
【0123】
他の好ましい実施形態においてアンチセンス化合物は、配列番号6〜47に記載の配列を含む。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾された核酸塩基、より短いまたはより長い断片、修飾された結合などを含みうる。
【0124】
他の好ましい実施形態において配列番号6〜47は、1つまたは複数のLNAヌクレオチドを含む。
【0125】
所望の標的核酸の調節は、当技術分野において周知のいくつかの方法において実施されうる。例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAなど。酵素的核酸分子(例えばリボザイム)は、ヌクレオチド塩基配列に特異的なやり方で他の別々の核酸分子を繰り返し切断する能力を含む種々の反応の1つまたは複数を触媒できる核酸分子である。そのような酵素的核酸分子は、例えば実質的にいかなるRNA転写物をターゲッティングするのにも使用されうる(Zaugら、324、Nature 429 1986; Cech、260 JAMA 3030、1988;およびJefferiesら、17 Nucleic Acids Research 1371、1989)。
【0126】
それらの配列特異性により、トランス切断酵素的核酸分子は、ヒト疾患に対する治療剤としての有望さを示す(UsmanおよびMcSwiggen、(1995) Ann. Rep. Med. Chem. 30、285〜294; ChristoffersenおよびMarr、1995 J. Med. Chem. 38、2023〜2037)。酵素的核酸分子は、細胞性RNA背景中で特定のRNA標的を切断するために設計されうる。そのような切断事象はmRNAを非機能性にし、かつそのRNAからのタンパク質発現を抑止する。このやり方で、病態に関連するタンパク質の合成は選択的に抑制されうる。
【0127】
一般にRNA切断活性を有する酵素的核酸は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するために作用する分子の酵素的部分に近接に保持される酵素的核酸の標的結合部分を通じて生じる。したがって酵素的核酸分子は、最初に標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を通じて結合し、ひとたび正確な部位に結合すると標的RNAを切断するために酵素的に作用する。そのような標的RNAの戦略的切断は、コードされているタンパク質の合成を方向付けるその能力を破壊する。酵素的核酸がそのRNA標的に結合および切断した後、それはRNAから解離し、別の標的を探して繰り返し新たな標的に結合し、切断できる。
【0128】
In vitro選択(進化的)戦略(Orgel、1979、Proc. R. Soc. London、B 205、435)などのいくつかの手法が、ホスホジエステル結合およびアミド結合の切断および連結などの種々の反応を触媒できる新規核酸触媒を発展させるために使用されている(Joyce、(1989) Gene、82、83〜87; Beaudryら、(1992) Science 257、635〜641; Joyce、(1992) Scientific American 267、90〜97; Breakerら、(1994) TIBTECH 12、268; Bartelら、(1993) Science 261 :1411〜1418; Szostak、(1993) TIBS 17、89〜93; Kumarら、(1995) FASEB J.、9、1183; Breaker、(1996) Curr. Op. Biotech.、7、442)。
【0129】
触媒活性のために最適なリボザイムの開発は、遺伝子発現制御の目的のためにRNA切断リボザイムを使用するいかなる戦略にも顕著に貢献する。例えばハンマーヘッド型リボザイムは、飽和(10mM)濃度のMg2+補助因子の存在下で触媒速度(kcat)約1分-1で機能する。人工的「RNAリガーゼ」リボザイムは、対応する自己修飾反応を約100分-1の速度で触媒することが示されている。加えてDNAから作られた基質結合腕を有するある種の修飾されたハンマーヘッド型リボザイムは、100分-1に近い多重回転数(multiple turn-over rate)でRNA切断を触媒することが周知である。最後にハンマーヘッドの触媒コア中の特定の残基の特定のヌクレオチド類似体での置換は、触媒速度に10倍程度の改善を示す修飾されたリボザイムをもたらす。これらの発見は、リボザイムが、ほとんどの天然の自己切断リボザイムによってin vitroで示されるものより顕著に大きな触媒速度での化学的形質転換を促進できることを示す。それにより、ある種の自己切断リボザイムの構造は、最大の触媒活性をもたらすように最適化されうる、またはRNAホスホジエステル切断について顕著に早い速度を示す完全に新規のRNAモチーフが作製されうることが可能である。
【0130】
「ハンマーヘッド」モデルにあてはまるRNA触媒によるRNA基質の分子間切断は、1987年に最初に示された(Uhlenbeck, O. C. (1987) Nature、328: 596〜600)。RNA触媒は、回収され、複数のRNA分子と反応し、それが真に触媒作用的であることを示した。
【0131】
「ハンマーヘッド」モチーフに基づいて設計された触媒RNAは、標的配列に必要な塩基対形成を維持するために触媒RNA中に適切な塩基変更を作製することによって特定の標的配列を切断するために使用されている(HaseloffおよびGerlach、(1988) Nature、334、585; WalbotおよびBruening、(1988) Nature、334、196; Uhlenbeck, O. C. (1987) Nature、328: 596〜600; Koizumi, M.ら(1988) FEBS Lett.、228: 228〜230)。これは、特定の標的配列を切断するための触媒RNAの使用を可能にし、「ハンマーヘッド」モデルによって設計された触媒RNAがin vivoで特定の基質RNAを切断できる可能性があることを示している(HaseloffおよびGerlach、(1988) Nature、334、585; WalbotおよびBruening、(1988) Nature、334、196; Uhlenbeck, O. C. (1987) Nature、328: 596〜600を参照されたい)。
【0132】
RNA干渉(RNAi)は、哺乳動物および哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節するための強力な手段になっている。この手法は、発現プラスミドまたはウイルスおよび、siRNAにプロセシングされる低分子ヘアピンRNAのコード配列を使用するRNAそれ自体としてまたはDNAとしてのいずれかでの低分子干渉RNA(siRNA)の送達を必要とする。この系は、プレ-siRNAのそれらが活性である細胞質への効率的な輸送を可能にし、遺伝子発現のために制御された組織特異的なプロモーターの使用を可能にする。
【0133】
好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドまたはアンチセンス化合物は、リボ核酸(RNA)および/もしくはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーもしくはポリマーまたはそれらの模倣物、キメラ、類似体もしくは相同体を含む。この用語は、天然に存在するヌクレオチド、糖およびヌクレオチド間(骨格)共有結合ならびに同様に機能する天然に存在しない部分を含むオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾されたまたは置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば細胞への増強された取り込み、標的核酸に対する増強された親和性およびヌクレアーゼの存在下での増大した安定性などの望ましい特性からしばしば天然形態よりも望ましい。
【0134】
本発明により、オリゴヌクレオチドまたは「アンチセンス化合物」は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばRNA、DNA、それらの模倣物、キメラ、類似体または相同体)、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、siRNA化合物、siRNA化合物などの1本鎖または2本鎖RNA干渉(RNAi)化合物、saRNA、aRNAおよび標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズしその機能を調節する他のオリゴマー化合物を含む。そのようにそれらは、DNA、RNA、DNA様、RNA様もしくはそれらの混合物でありうるか、またはこれらの1つまたは複数の模倣物でありえる。これらの化合物は、1本鎖、2本鎖、環状またはヘアピンオリゴマー化合物であることができ、内部もしくは末端バルジ、ミスマッチまたはループなどの構造要素を含みうる。アンチセンス化合物は、日常的には直鎖状に調製されるが、環状および/または分枝状に結合されるかまたはそうでなければ調製されうる。アンチセンス化合物は、例えば全体的もしくは部分的な2本鎖化合物を形成するようにハイブリダイズした2本の鎖、または全体的もしくは部分的な2本鎖化合物のハイブリダイゼーションおよび形成を可能にするために十分な自己相補性を有する1本鎖などの構築物を含みうる。2本の鎖は、遊離の3'もしくは5'末端を残すように内部で結合されうるか、または連続的ヘアピン構造もしくはループを形成するように結合されうる。ヘアピン構造は、1本鎖形質の伸長を生じさせるために5'または3'末端のいずれかにオーバーハングを含有できる。場合により2本鎖化合物は、両末端にオーバーハングを含みうる。さらなる修飾は、末端のうちの1つ、選択されたヌクレオチド位置、糖位置またはヌクレオチド間結合のうちの1つに結合した複合基を含みうる。代替として2本の鎖は、非核酸成分またはリンカー基を介して結合できる。1本鎖だけから形成される場合dsRNAは、2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態を取りうる。したがってdsRNAは、完全にまたは部分的に2本鎖でありうる。遺伝子発現の特異的な調節は、遺伝子導入細胞系におけるdsRNAヘアピンの安定な発現によって達成されうる(Hammondら、(1991) Nat. Rev. Genet.、2、110〜119; Matzkeら、(2001) Curr. Opin. Genet. Dev.、11、221〜227; Sharp、(2001) Genes Dev.、15、485〜490)。2本鎖、または2重鎖を形成するためにそれ自体の上に折りたたまれる自己相補性ヘアピン型分子の形態をとる1本鎖から形成される場合、2本鎖(または1本鎖の2重鎖形成領域)は、ワトソン-クリック様に塩基対形成する自己相補的RNA鎖である。
【0135】
ひとたび系に導入されると本発明の化合物は、標的核酸の切断もしくは他の修飾をもたらす1つもしくは複数の酵素もしくは構造タンパク質の作用を誘発できる、または占有に基づく機構を介して作用できる。一般に核酸(オリゴヌクレオチドを含む)は、「DNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2'-デオキシ糖を有し、一般にU塩基よりもT塩基を有する)または「RNA様」(すなわち一般に1つまたは複数の2'-ヒドロキシ糖または2'-修飾糖を有し、一般にT塩基よりもU塩基を有する)と記載されうる。核酸ヘリックスは、1つより多い構造を、最も通例ではA-形態およびB-形態をとりうる。一般にB-形態様構造を有するオリゴヌクレオチドは「DNA様」であると、A-形態様構造を有するものは「RNA様」であると考えられる。いくつかの(キメラ)実施形態においてアンチセンス化合物は、A-およびB-形態領域の両方を含有できる。
【0136】
本発明によるアンチセンス化合物は、長さ約5〜約80ヌクレオチド(すなわち約5〜約80個連結したヌクレオシド)由来のアンチセンス部分を含みうる。これは、アンチセンス化合物のアンチセンス鎖または一部分の長さを意味する。言い換えると、本発明の1本鎖アンチセンス化合物は、5〜約80ヌクレオチドを含み、本発明の2本鎖アンチセンス化合物(例えばdsRNAなど)は、長さ5〜約80ヌクレオチドのセンスおよびアンチセンス鎖または一部分を含む。当業者は、これが長さ5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を内包することを理解する。
【0137】
一実施形態において本発明のアンチセンス化合物は、長さ10〜50ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者は、これが長さ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するオリゴヌクレオチドを具体化することを理解する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは長さ15ヌクレオチドである。
【0138】
一実施形態において本発明のアンチセンスまたはオリゴヌクレオチド化合物は、長さ12または13〜30ヌクレオチドのアンチセンス部分を有する。当業者は、これが長さ12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30ヌクレオチドまたはこれらの範囲内の任意の長さのアンチセンス部分を有するアンチセンス化合物を具体化することを理解する。
【0139】
好ましい実施態様において、サーチュイン1(SIRT1)の1個以上のポリヌクレオチドのいずれかを標的とする少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの投与により、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチド、そのコードされる生成物の異常な発現または機能に関する疾患、あるいは他の関連疾患を予防又は治療する。アンチセンスオリゴヌクレオチドで治療することができる疾患の例は、癌(例えば、乳癌、結腸直腸癌、CCL、CML、前立腺癌)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、ALS、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症およびポリグルタミン凝集によって引き起こされる障害);骨格筋疾患(例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィー、骨格筋萎縮、ベッカー型筋ジストロフィーまたは筋緊張性ジストロフィー);代謝疾患(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満、耐糖能障害、高血中コレステロール、高血糖、脂質異常症および高脂血症);成人発症型糖尿病、糖尿病性腎症、神経障害(例えば、感覚性ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、運動神経障害、網膜症);骨疾患(例えば、骨粗鬆症)、血液疾患(例えば、白血病);肝疾患(例えば、アルコール乱用または肝炎による);肥満;骨吸収、加齢黄斑変性症、エイズ関連認知症、ALS、ベル麻痺、アテローム性動脈硬化症、心疾患(例えば、不整脈、慢性うっ血性心不全、虚血性脳卒中、冠動脈疾患および心筋症)、慢性変性疾患(例えば、心筋疾患)、慢性腎不全、2型糖尿病、潰瘍、白内障、老視、糸球体腎炎、ギラン・バレー症候群、出血性卒中、関節リウマチ、炎症性腸疾患、SLE、クローン病、変形性関節症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、皮膚老化および尿失禁を含み、他の例が、神経細胞死に関連する疾患および障害、老化または好ましくない細胞消失を特徴とする他の状態を含む。他の例は、神経細胞死、加齢または望ましくない細胞欠損により特徴づけられる他の状態に関連する疾患又は疾病を含む。
他の好ましい実施形態において本発明のオリゴマー化合物は、化合物中の1つまたは複数のヌクレオチド位置に異なる塩基が存在する変種も含む。例えば、最初のヌクレオチドがアデノシンである場合、この位置にチミジン、グアノシンまたはシチジンを含有する変種が産生されうる。これは、アンチセンスまたはdsRNA化合物の任意の位置においてなされうる。次いでこれらの化合物は、標的核酸の発現を抑制するそれらの能力を測定するために本明細書に記載の方法を使用して検査される。
【0140】
いくつかの実施形態において、アンチセンス化合物と標的との間の相同性、配列同一性または相補性は、約40%〜約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%〜約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%〜約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%〜約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
【0141】
他の好ましい実施形態において、例えば配列番号6〜47に記載の核酸分子などのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の置換または修飾を含む。一実施形態においてヌクレオチドはロックド核酸(LNA)で置換される。
【0142】
他の好ましい実施形態においてオリゴヌクレオチドは、SIRT1に関連するコードおよび/または非コード配列ならびに配列番号1〜5として記載の配列の、核酸分子センスおよび/またはアンチセンスの1つまたは複数の領域をターゲッティングする。オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜5の重複領域にもターゲッティングされる。
【0143】
本発明の特定の好ましいオリゴヌクレオチドは、キメラオリゴヌクレオチドである。本発明の文脈において「キメラオリゴヌクレオチド」または「キメラ」は、それぞれ少なくとも1つのヌクレオチドからなる2つ以上の化学的に異なる領域を含有するオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の有益な特性(例えばヌクレアーゼ耐性の増大、細胞への取り込みの増大、標的に対する結合親和性の増大など)を付与する修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つの領域、およびRNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる酵素のための基質である領域を典型的には含有する。例示の方法により、RNase Hは、RNA:DNA 2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがってRNase Hの活性化は、RNA標的の切断を生じ、それにより遺伝子発現のアンチセンス調節の効率を非常に増強する。結果としてキメラオリゴヌクレオチドが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドと比較して低分子オリゴヌクレオチドで同程度の結果がしばしば得られる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動および必要に応じて当技術分野において周知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって日常的に検出できる。好ましい一実施形態においてキメラオリゴヌクレオチドは、標的結合親和性を増大させる少なくとも1つの領域、およびRNase Hの基質として作用する領域を通常含む。オリゴヌクレオチドのその標的(この場合、rasをコードする核酸)に対する親和性は、オリゴヌクレオチド/標的対のTm(オリゴヌクレオチドと標的とが解離する温度であり、解離は分光光度的に検出される)を測定することによって日常的に決定される。Tmが高ければ高いほど、標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性は大きい。
【0144】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾されたオリゴヌクレオチド、上に記載のオリゴヌクレオシドおよび/またはオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造として形成されうる。そのような化合物は、当技術分野においてハイブリッドまたはギャップマーとも称されている。そのようなハイブリッド構造の調製を説明する代表的な米国特許は、これだけに限らないが、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,013,830号、第5,149,797号、第5, 220,007号、第5,256,775号、第5,366,878号、第5,403,711号、第5,491,133号、第5,565,350号、第5,623,065号、第5,652,355号、第5,652,356号および第5,700,922号を含む。
【0145】
他の好ましい実施形態において、修飾されたオリゴヌクレオチドの領域は、糖の2'位置で修飾された少なくとも1つのヌクレオチド、最も好ましくは2'-O-アルキル、2'-O-アルキル-O-アルキル、または2'-フルオロ修飾ヌクレオチドを含む。他の好ましい実施形態においてRNA修飾は、ピリミジン、脱塩基残基またはRNAの3'末端の反転塩基(inverted base)のリボース上の2'-フルオロ、2'-アミノおよび2'O-メチル修飾を含む。そのような修飾は、日常的にオリゴヌクレオチドに組み込まれ、これらのオリゴヌクレオチドは、所与の標的に対して2'-デオキシオリゴヌクレオチドよりもより高いTm(すなわちより高い標的結合親和性)を有することが示されている。そのような増大した親和性の効果は、遺伝子発現のRNAiオリゴヌクレオチド抑制を非常に増強する。RNAse Hは、RNA:DNA 2重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼであり、したがってこの酵素の活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによりRNAi抑制の効率を非常に増強できる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって日常的に実証されうる。他の好ましい実施形態において、キメラオリゴヌクレオチドもヌクレアーゼ耐性を増強するために修飾される。細胞は、核酸を分解できる種々のエキソ-およびエンド-ヌクレアーゼを含有する。多数のヌクレオチドおよびヌクレオシド修飾が、それが組み込まれるオリゴヌクレオチドを天然のオリゴヌクレオチドよりもヌクレアーゼ消化に対してより耐性にすることが示されている。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを細胞抽出物または単離されたヌクレアーゼ溶液とインキュベートし、一定時間後に残っている未変化オリゴヌクレオチドの量を、通常は電気泳動によって、測定することにより日常的に測定される。ヌクレアーゼ耐性を増強するために修飾されているオリゴヌクレオチドは、未修飾オリゴヌクレオチドよりも長時間未変化で残存する。種々のオリゴヌクレオチド修飾がヌクレアーゼ耐性を増強するまたは付与するために実証されている。現在のところ少なくとも1つのホスホロチオエート修飾を含有するオリゴヌクレオチドはより好ましい。いくつかの場合に標的結合親和性を増強するオリゴヌクレオチド修飾も、単独で、ヌクレアーゼ耐性を増強できる。いくつかの望ましい修
飾は、De Mesmaekerら、(1995) Acc. Chem. Res.、28:366〜374に見出すことができる。
【0146】
本発明のために想定されるいくつかの好ましいオリゴヌクレオチドの具体的な例は、修飾された骨格、例えばホスホロチオエート、リン酸トリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖部分間結合または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環糖間結合を含むものを含む。最も好ましいのは、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格、詳細にはCH2 --NH--O--CH2、CH、--N(CH3)--O--CH2 [メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知]、CH2 --O--N (CH3)--CH2、CH2 --N (CH3)--N (CH3)--CH2およびO--N (CH3)-- CH2 --CH2骨格、式中天然のホスホジエステル骨格はO-P--O-- CHと表される)を有するものである。De Mesmaekerら、(1995) Ace. Chem. Res.、28:366〜374)によって開示されたアミド骨格も好ましい。同様に好ましいのは、モルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである(SummertonおよびWeller、米国特許第5,034,506号)。他の好ましい実施形態において、ペプチド核酸(PNA)骨格、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格などは、ポリアミド骨格で置換され、ヌクレオチドは直接または間接的にポリアミド骨格のアザ窒素原子に結合される(Nielsenら、(1991) Science、254、1497)。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の置換された糖部分も含みうる。好ましいオリゴヌクレオチドは、以下の: OH、SH、SCH3、F、OCN、OCH3 OCH3、OCH3 O(CH2)n CH3、O(CH2)n NH2またはO(CH2)n CH3 (式中nは1から約10である); C1〜C10低級アルキル、アルコキシアルコキシ、置換された低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル; Cl; Br; CN; CF3; OCF3; O--、S--、またはN-アルキル; O--、S--、またはN-アルケニル; SOCH3; SO2; CH3; ONO2; NO2; N3; NH2;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換されたシリル; RNA切断基;レポーター基;干渉物質;オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基;またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2'位置に含む。好ましい修飾は、2'-メトキシエトキシ[2'-O-CH2 CH2 OCH3、2'-O-(2-メトキシエチル)としても周知] (Martinら、(1995) Helv. Chim. Acta、78、486)を含む。他の好ましい修飾は2'-メトキシ(2'-O--CH3)、2'-プロポキシ(2'-OCH2 CH2CH3)および2'-フルオロ(2'-F)を含む。同様に修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3'末端ヌクレオチドの糖の3'位および5'末端ヌクレオチドの5'位でも作製されうる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル基の代わりにシクロブチルなどの糖類似体も有しうる。
【0147】
オリゴヌクレオチドは、追加的または代替的に核酸塩基(当技術分野において単に「塩基」としばしば称される)修飾または置換も含みうる。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾されたヌクレオチドは、天然の核酸においてまれに、または一過的にだけ見出されるヌクレオチド、例えばヒポキサンチン、6-メチルアデニン、5-Meピリミジン、詳細には5-メチルシトシン(5-メチル-2'-デオキシシトシンとも称され、5-Me-Cとも当技術分野においてしばしば称される)、5-ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMCおよびゲントビオシルHMCならびに合成ヌクレオチド、例えば2-アミノアデニン、2-(メチルアミノ)アデニン、2-(イミダゾリルアルキル)アデニン、2-(アミノアルキルアミノ)アデニンまたは他のヘテロ置換アルキルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、5-ブロモウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシル、8-アザグアニン、7-デアザグアニン、N6(6-アミノヘキシル)アデニンおよび2,6-ジアミノプリンを含む。Kornberg, A、DNA Replication、W. H. Freeman & Co.、San Francisco、1980、75〜77頁; Gebeyehu, G.ら、(1987) Nucl. Acids Res.、15:4513)。当技術分野において周知の「ユニバーサル」塩基、例えばイノシン、も含まれうる。5-Me-C置換は、核酸2重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi, Y. S.、Crooke, S. T. and Lebleu, B.(編)、Antisense Research and Applications、CRC Press、Boca Raton、1993、276〜278頁)、現在好ましい塩基置換である。
【0148】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性または細胞への取り込みを増強する1つまたは複数の成分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的結合を含む。そのような成分として、これだけに限らないがコレステロール成分、コレステリル成分(Letsingerら、(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、86、6553)、コール酸(Manoharanら、(1994) Bioorg. Med. Chem. Let.、4、1053)、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharanら、(1992) Ann. NY. Acad. Sci.、660、306; Manoharanら、(1993) Bioorg. Med. Chem. Let.、3、2765)、チオコレステロール(Oberhauserら、(1992) Nucl. Acids Res.、20、533)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoarasら、EMBO J、1991、10、111; Kabanovら、(1990) FEBS Lett.、259、327; Svinarchukら、(1993) Biochimie、75、49)、リン脂質、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム 1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharanら、(1995) Tetrahedron Lett.、36, 3651; Sheaら、(1990) Nucl. Acids Res.、18、3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、(1995) Nucleosides & Nucleotides、14、969)、あるいはアダマンタン酢酸(Manoharanら、(1995) Tetrahedron Lett.、36、3651)などの脂質成分を含む。親油性成分を含むオリゴヌクレオチドおよびそのようなオリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野、例えば米国特許第5,138,045号、第5,218,105号および第5,459,255号において周知である。
【0149】
所与のオリゴヌクレオチドにおけるすべての位置が一律に修飾される必要はなく、実際に前述の修飾のうちの1つより多くが単一のオリゴヌクレオチド中に、またはオリゴヌクレオチド中の単一のヌクレオチド中にさえも組み込まれうる。本発明は、本明細書前記に定義するキメラオリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドも含む。
【0150】
他の実施形態において本発明の核酸分子は、これだけに限らないが脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質またはポリ炭化水素化合物が挙げられる他の成分と複合される。当業者は、これらの分子が、糖、塩基またはリン酸基のいくつかの位置に核酸分子を含む1つまたは複数の任意のヌクレオチドに連結されうることを理解する。
【0151】
本発明により使用されるオリゴヌクレオチドは、好都合におよび日常的に固相合成の十分に周知な技術を通じて作製される。そのような合成のための装置は、Applied Biosystemsを含むいくつかの販売者によって販売されている。そのような合成のための任意の他の手段も使用されうる;オリゴヌクレオチドの実際の合成は、十分に当業者の能力の範囲内である。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するために類似技術を使用することも十分に周知である。類似技術ならびに商業的に入手可能な修飾されたアミダイトおよび多孔質ガラス(CPG)製品(ビオチン、フルオレセイン、アクリジンもしくはソラレン修飾アミダイトなど)および/または蛍光標識、ビオチン化もしくは、コレステロール修飾オリゴヌクレオチドなどの他の修飾オリゴヌクレオチドを合成するためのCPG(Glen Research、Sterling VAから入手可能)の使用も十分に周知である。
【0152】
本発明により、強度、特異性および作用期間の増強のためならびにオリゴヌクレオチドの投与経路を拡げるためのLNA単量体の使用などの修飾の使用は、MOE、ANA、FANA、PSなど現在の化学を含む(参照:UhlmanによるRecent advances in the medical chemistry of antisense oligonucleotide (2000) Current Opinions in Drug Discovery & Development 3巻 2号)。これは現在のオリゴヌクレオチド中のいくつかの単量体のLNA単量体による置換によって達成され得る。LNA修飾オリゴヌクレオチドは、親化合物に類似する大きさを有する場合があり、またはより大きくて良く、または好ましくは小さくて良い。そのようなLNA修飾オリゴヌクレオチドが約70%より少ない、より好ましくは約60%より少ない、最も好ましくは約50%より少ないLNA単量体を含有することは好ましく、それらの大きさは約5から25ヌクレオチドの間であることは好ましく、より好ましくは約12から20ヌクレオチドの間である。
【0153】
好ましい修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、これだけに限らないがホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、(3'アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む)メチルホスホネートおよび他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、(3'アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含む)ホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステルおよび通常の3'-5'結合を有するボラノホスフェート、これらの2'-5'結合類似体、ならびに逆転した方向性を有する(ヌクレオチド単位の隣接する対が3'-5'から5'-3'にまたは2'-5'から5'-2'に連結している)ものを含む。種々の塩、塩混合物および遊離酸の形態も含まれる。
【0154】
上のリン含有結合の調製を説明する代表的な米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;および5,625,050を含む。
【0155】
好ましい修飾オリゴヌクレオチド骨格はリン原子を含まず、単鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1つもしくは複数の単鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオチド間結合によって形成された骨格を有する。これらは、モルホリノ結合(ヌクレオチドの糖部分から部分的に形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホネートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに他のN、O、SおよびCH2が混合した構成成分部分を有するものを含む。
【0156】
上のオリゴヌクレオチドの調製を説明する代表的な米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;および5,677,439を含む。
【0157】
他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣物において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオチド間結合(すなわち骨格)の両方は新たな基で置換される。塩基単位は、適切な核酸ターゲッティング合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。そのようなオリゴマー化合物の1つ、優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されているオリゴヌクレオチド模倣物は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、詳細にはアミノエチルグリシン骨格で置換される。ヌクレオチドは、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合される。PNA化合物の調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないがそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,539,082号、米国特許第5,714,331号および米国特許第5,719,262号を含む。PNA化合物のさらなる説明は、Nielsenら(1991) Science 254、1497〜1500において見出される。
【0158】
本発明の他の好ましい実施形態において、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシド、特に、-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N (CH3)-O-CH2- (メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として周知)、-CH2-O-N (CH3)-CH2、CH2N(CH3)-N(CH3) CH2-および-O-N(CH3)-CH2-CH2- (式中天然のホスホジエステル骨格は上に参照の米国特許第5,489,677号の-O-P-O-CH2-として表される)、ならびに上に参照の米国特許第5,602,240号のアミド骨格が好ましい。同様に好ましいのは、上に参照の米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0159】
修飾されたオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の置換された糖部分を含みうる。好ましいオリゴヌクレオチドは、以下の: OH; F; O-、S-、もしくはN-アルキル; O-、S-、もしくはN-アルケニル; O-、S-もしくはN-アルキニル;またはOアルキル-O-アルキル(式中アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、CからCOアルキルに、またはC2からCOアルケニルおよびアルキニルに、置換されるまたは置換されない場合がある)のうちの1つを2'位置に含む。特に好ましいのは、O (CH2)n OmCH3、O(CH2)n、OCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2およびO(CH2nON(CH2)nCH3)2であり、式中nおよびmは1から約10であって良い。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、以下: CからCO、(低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルもしくはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善する基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善する基および同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを2'位置に含む。好ましい修飾は、2'-メトキシエトキシ(2'-O-CH2CH2OCH3、2'-O-(2-メトキシエチル)または2'-MOEとしても周知) (Martinら、(1995) Helv. Chim. Acta、78、486〜504)すなわちアルコキシアルコキシ基を含む。さらなる好ましい修飾は、2'-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CH2)2ON(CH3)2基、本明細書以下の実施例において記載のとおり2'-DMAOEとしても周知,ならびに2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野において2'-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2'-DMAEOEとしても周知)すなわち、2'-O-CH2-O-CH2-N (CH2)2を含む。
【0160】
他の好ましい修飾は、2'-メトキシ(2'-O CH3)、2'-アミノプロポキシ(2'-O CH2CH2CH2NH2)および2'-フルオロ(2'-F)を含む。同様の修飾は、オリゴヌクレオチドの他の位置、詳細には3'末端ヌクレオチドの糖の3'位置または2'-5'連結オリゴヌクレオチドおよび5'末端ヌクレオチドの5'位置にも作製されうる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル成分などの糖類似体も有しうる。そのような修飾糖構造の調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;および5,700,920を含む。
【0161】
オリゴヌクレオチドは、核酸塩基(当技術分野において単に「塩基」としばしば称される)修飾または置換も含みうる。本明細書において使用される「未修飾」または「天然」ヌクレオチドは、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を含む。修飾ヌクレオチドは、5-メチルシトシン(5-Me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ特に5-臭化、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニンならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなどの他の合成および天然ヌクレオチドを含む。
【0162】
さらに、ヌクレオチドは、米国特許第3,687,808号に開示のもの、「The Concise Encyclopedia of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、Kroschwitz、J.I.(編)、John Wiley & Sons、1990に開示のもの、Englischら、「Angewandle Chemie、International Edition」、1991、30、613頁に開示のもの、Sanghvi, Y. S.、15章、「Antisense Research and Applications」、289〜302頁、Crooke, S.T.およびLebleu, B. ea.、CRC Press、1993によって開示されたものを含む。特定のこれらのヌクレオチドは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるために特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンならびに、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含むN-2、N-6およびO-6置換プリンを含む。5-メチルシトシン置換物は、0.6〜1.2℃の核酸2重鎖安定性における増大を示しており(Sanghvi, Y.S.、Crooke, S.T.およびLebleu, B.編、「Antisense Research and Applications」、CRC Press、Boca Raton、1993、276〜278頁)、現在のところ好ましい置換であり、2'-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされるとより好ましい。
【0163】
上に記載の修飾ヌクレオチドおよび他の修飾ヌクレオチドの調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許3,687,808、ならびに4,845,205;5,130,302;5,134,066;5,175,273;5,367,066;5,432,272;5,457,187;5,459,255;5,484,908;5,502,177;5,525,711;5,552,540;5,587,469;5,596,091;5,614,617;5,750,692,および5,681,941を含む。
【0164】
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、活性、細胞性分布またはオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みを増強する1つまたは複数の成分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的連結を含む。
【0165】
そのような成分は、これだけに限らないが、コレステロール成分、(Letsingerら、(1989) Proc. Natl. Acad. Sci USA、86、6553〜6556)、コール酸(Manoharanら、(1994) Bioorg. Med. Chem. Let.、4、1053〜1060)、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharanら、(1992) Ann. NY. Acad. Sci.、660、306〜309; Manoharanら、(1993) Bioorg. Med. Chem. Let.、3、2765〜2770)、チオコレステロール(Oberhauser ら、(1992) Nucl. Acids Res.、20、533〜538)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Kabanovら、(1990) FEBS Lett.、259、327〜330; Svinarchukら、(1993) Biochimie、75、49〜54)、リン脂質、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharanら、(1995) Tetrahedron Lett.、36, 3651〜3654; Sheaら、(1990) Nucl. Acids Res.、18、3777〜3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、(1995) Nucleosides & Nucleotides、14、969〜973)、あるいはアダマンタン酢酸(Manoharanら、(1995) Tetrahedron Lett.、36、3651〜3654)、パルミチル成分(Mishraら、(1995) Biochim. Biophys. Acta、1264、229〜237)またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-tオキシコレステロール成分(Crookeら、(1996) J. Pharmacol. Exp. Ther.、277、923〜937)などの脂質成分を含む。
【0166】
そのようなオリゴヌクレオチド複合体の調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる米国特許4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717、5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241、5,391,723;5,416,203、5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928および5,688,941を含む。
【0167】
創薬:本発明の化合物は、創薬および標的検証の分野にも応用されうる。本発明は、本明細書において同定する化合物および好ましい標的セグメントの、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドと病態、表現型または状態との間に存在する関係性を解明するための創薬努力における使用を包含する。これらの方法は、試料、組織、細胞または生体を本発明の化合物と接触させるステップ、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの核酸またはタンパク質レベルおよび/または関連する表現型もしくは化学的な評価項目を処置後のある時期に測定するステップ、ならびに場合により測定値を未処置試料または本発明のさらなる化合物で処置した試料と比較するステップを含む、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの検出または調節を含む。これらの方法は、標的検証のプロセスのために未知の遺伝子の機能を決定するために、または特定の疾患、状態もしくは表現型の治療もしくは予防のための標的としての特定の遺伝子産物の妥当性を決定するために他の実験と並行でまたは組み合わせて実施されうる。
【0168】
遺伝子発現の上方制御または抑制の評価
外来性核酸の宿主細胞または生体への輸送は、細胞中または生体中の核酸を直接検出するステップによって評価されうる。そのような検出は、当技術分野において周知のいくつかの方法によって達成されうる。例えば、外来性核酸の存在は、サザンブロットまたは核酸に関連するヌクレオチド配列を特異的に増幅するプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって検出されうる。外来性核酸の発現も遺伝子発現分析を含む従来法を使用して測定されうる。例えば外来性核酸から産生されるmRNAはノーザンブロットおよび逆転写PCR(RT-PCR)を使用して検出および定量されうる。
【0169】
外来性核酸からのRNAの発現も、酵素活性またはレポータータンパク質活性を測定することによって検出されうる。例えば、アンチセンス調節活性は、外来性核酸がエフェクターRNAを産生していることの指標としての標的核酸発現における減少または増加として間接的に測定されうる。配列保存に基づいてプライマーは設計可能であり、標的遺伝子のコード領域を増幅するために使用されうる。任意の翻訳または非コード領域が使用されうるが、最初に各遺伝子から最も高く発現されるコード領域がモデル制御遺伝子を構築するために使用されうる。各制御遺伝子は、各コード領域をレポーターコード領域とそのポリ(A)シグナルとの間に挿入することによって組み立てられる。これらのプラスミドは、レポーター遺伝子を遺伝子の上流部分に、および潜在的RNAi標的を3'非コード領域に有するmRNAを産生する。個々のアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果は、レポーター遺伝子の調節によって評価される。本発明の方法において有用なレポーター遺伝子は、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ(LacZ)、ベータグルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチル基転移酵素(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ノパリン合成酵素(NOS)、オクトピン合成酵素(OCS)、およびそれらの誘導体を含む。アンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキサート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシンおよびテトラサイクリンに耐性を付与する多重選択マーカー(Multiple selectable markers)は、利用可能である。レポーター遺伝子の調節を測定するための方法は、当技術分野において十分に周知であり、これだけに限らないが蛍光定量的方法(例えば蛍光分光法、蛍光励起細胞分取(FACS)、蛍光顕微鏡)、抗生物質耐性測定(antibiotic resistance determination)を含む。
【0170】
キット、研究用試薬、診断および治療
本発明の化合物は、診断、治療および予防のためにならびに研究用試薬およびキットの構成要素として利用されうる。さらに、精緻な特異性を有して遺伝子発現を抑制できるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当業者によって特定の遺伝子の機能を解明するため、または生物学的経路の種々のメンバー間の機能を区別するためにしばしば使用される。
【0171】
キットおよび診断ならびに種々の生物学的系における使用のために、本発明の化合物は、単独でまたは他の化合物もしくは治療薬との組合せのいずれでも、細胞中および組織中で発現される遺伝子の部分的または全体的な相補体の発現様式を解明するための差次的および/またはコンビナトリアルな分析での手段として有用である。
【0172】
本明細書において使用される用語「生物学的系」または「系」は、サーチュイン1(SIRT1)遺伝子の産物を発現するまたは発現できるようにされる任意の生体、細胞、細胞培養物または組織として定義される。これらは、これだけに限らないがヒト、遺伝子導入動物、細胞、細胞培養物、組織、異種移植片、移植物およびそれらの組合せを含む。
【0173】
非限定的一例として、1つまたは複数のアンチセンス化合物で処置した細胞中または組織中の発現様式は、アンチセンス化合物で処置していない対照細胞または組織と比較され、生じた様式は、それらが例えば検査される遺伝子の疾患関連性、シグナル経路、細胞内局在性、発現レベル、大きさ、構造または機能に関連することから、遺伝子発現の差次的レベルについて分析される。これらの分析は、刺激されたまたは刺激されていない細胞で、発現様式に影響する他の化合物の存在下または非存在下で実施されうる。
【0174】
当技術分野において周知の遺伝子発現分析方法の例は、DNAアレイまたはマイクロアレイ(BrazmaおよびVilo、(2000) FEBS Lett.、480、17〜24; Celisら、(2000) FEBS Lett.、480、2〜16)、SAGE (遺伝子発現の連続的分析)(Maddenら、(2000) Drug Discov. Today、5、415〜425)、READS (消化cDNAの制限酵素増幅) (PrasharおよびWeissman、(1999) Methods Enzymol、303、258〜72)、TOGA (総遺伝子発現分析) (Sutcliffeら、(2000) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、97、1976〜81)、タンパク質アレイおよびプロテオミクス(Celisら、(2000) FEBS Lett.、480、2〜16; Jungblutら、Electrophoresis、1999、20,、2100〜10)、発現された配列タグ(EST)配列決定(Celisら、FEBS Lett.、2000、480、2〜16; Larssonら、J. Biotechnol、2000、80、143〜57)、サブトラクティブRNAフィンガープリンティング(SuRF) (Fuchsら、(2000) Anal. Biochem.、286、91〜98; Larsonら、(2000) Cytometry、41、203〜208)、サブトラクティブクローニング、ディファレンシャルディスプレイ(DD) (JurecicおよびBelmont、(2000) Curr. Opin. Microbiol.、3、316〜21)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(Carulliら、(1998) J. Cell Biochem. Suppl、31、286〜96)、FISH (蛍光in situハイブリダイゼーション)技術(GoingおよびGusterson、(1999) Eur. J. Cancer、35、1895〜904)および質量分析法(To、Comb. (2000) Chem. High Throughput Screen、3、235〜41)を含む。
【0175】
本発明の化合物は、これらの化合物がサーチュイン1(SIRT1)をコードする核酸にハイブリダイズすることから、研究および診断のために有用である。例えば、本明細書において開示のとおりの効率および条件下で効果的なサーチュイン1(SIRT1)調節因子としてハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、遺伝子増幅または検出に好都合な条件下でそれぞれ効果的なプライマーまたはプローブである。これらのプライマーまたはプローブは、サーチュイン1(SIRT1)をコードする核酸分子の特異的検出を必要とする方法において、およびサーチュイン1(SIRT1)のさらなる研究における検出または使用のための前記核酸分子の増幅において有用である。サーチュイン1(SIRT1)をコードする核酸と、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、詳細にはプライマーおよびプローブとのハイブリダイゼーションは当技術分野において周知の手段によって検出されうる。そのような手段は、オリゴヌクレオチドへの酵素の複合、オリゴヌクレオチドの放射標識、または任意の他の適切な検出手段を含みうる。試料中のサーチュイン1(SIRT1)のレベルを検出するためにそのような検出手段を使用するキットも調製されうる。
【0176】
アンチセンスの特異性および感度は、治療用使用のために当業者によって利用される。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物の病態の治療における治療用成分として使用されている。アンチセンスオリゴヌクレオチド薬は、ヒトに安全かつ効果的に投与されており、多数の臨床試験が現在進行中である。したがって、アンチセンス化合物が細胞、組織および動物、特にヒトの治療用のための治療計画において有用であるように構成されうる有用な治療様式でありうることは確立されている。
【0177】
治療用に、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの発現を調節することによって治療されうる疾患または障害を有すると疑われる動物(好ましくはヒト)は、本発明によるアンチセンス化合物を投与することによって治療される。例えば、非限定的一実施形態において方法は、治療を必要とする動物に治療有効量のサーチュイン1(SIRT1)調節物質を投与するステップを含む。本発明のサーチュイン1(SIRT1)調節物質は、サーチュイン1(SIRT1)タンパク質の活性を効果的に調節するか、またはサーチュイン1(SIRT1)タンパク質の発現を調節する。一実施形態において動物におけるサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現は、対照と比較して約10%抑制される。好ましくは動物におけるサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現は、約30%抑制される。より好ましくは動物におけるサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現は、50%またはそれを超えて抑制される。したがってオリゴマー化合物は、サーチュイン1(SIRT1)mRNAの発現を対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0178】
一実施形態においてサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現および/または動物においては、対照と比較して少なくとも約10%増加する。好ましくは動物におけるサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現は、約30%増加する。より好ましくは動物におけるサーチュイン1(SIRT1)の活性または発現は、約50%またはそれを超えて増加する。したがってオリゴマー化合物は、サーチュイン1(SIRT1)mRNAの発現を対照と比較して少なくとも10%、少なくとも50%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%調節する。
【0179】
例えばサーチュイン1(SIRT1)の発現の低下は、動物の血清、血液、脂肪組織、肝臓または任意の他の体液、組織または器官において測定されうる。好ましくは、分析される前記体液、組織または器官中に含まれる細胞は、サーチュイン1(SIRT1)ペプチドをコードする核酸分子および/またはサーチュイン1(SIRT1)タンパク質それ自体を含有する。
【0180】
本発明の化合物は、有効量の化合物を適切な薬学的に許容される希釈剤または担体に加えることによって医薬組成物中で利用されうる。本発明の化合物および方法の使用は、予防的にも有用である。
【0181】
複合体
本発明のオリゴヌクレオチドの他の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞への取り込みを増強する1つまたは複数の成分または複合体のオリゴヌクレオチドへの化学的連結を含む。これらの成分または複合体は、1級または2級ヒドロキシル基などの官能基に共有結合した複合基を含みうる。本発明の複合基は、干渉物質、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を増強する基、およびオリゴマーの薬物動態特性を増強する基を含む。典型的な複合基は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素を含む。本発明の文脈において薬力学特性を増強する基は、取り込みを改善し、分解への耐性を増強し、および/または標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。本発明の文脈において薬物動態特性を増強する基は、本発明の化合物の取り込み、分布、代謝または排出を改善する基を含む。代表的複合基は、参照により本明細書に組み込まれる1992年10月23日出願の国際特許出願PCT/US92/09196および米国特許第6,287,860号において開示されている。複合体成分は、これだけに限らないがコレステロール成分、コール酸、チオエーテル、例えばヘキシル-S-トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えばジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、あるいはアダマンタン酢酸、パルミチル成分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール成分などの脂質成分を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、活性原薬、例えばアスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアセピン、インドメチシン、バルビツール酸、
セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌剤または抗生物質とも複合体化されうる。
【0182】
そのようなオリゴヌクレオチド複合体の調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないが、米国特許4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717、5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241、5,391,723;5,416,203、5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928および5,688,941を含む。
【0183】
製剤
本発明の化合物は、取り込み、分布および/または吸収の補助ために、例えばリポソーム、受容体-標的分子、経口、直腸、局所または他の製剤として、他の分子、分子構造または化合物と、混合物と混合、封入、複合体化または他の方法で付随されうる。そのような取り込み、分布および/または吸収を補助する製剤の調製を説明する代表的米国特許は、これだけに限らないが、それぞれが本明細書に参照として組み込まれる米国特許5,108,921;5,354,844;5,416,016;5,459,127;5,521,291;5,543,165;5,547,932;5,583,020;5,591,721;4,426,330;4,534,899;5,013,556;5,108,921;5,213,804;5,227,170;5,264,221;5,356,633;5,395,619;5,416,016;5,417,978;5,462,854;5,469,854;5,512,295;5,527,528;5,534,259;5,543,152;5,556,948;5,580,575;および5,595,756を含む。
【0184】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的発現および/または機能を調節するためにベクターと関連して投与される必要はないが、本発明の実施形態は、プロモーター、ハイブリッドプロモーター遺伝子配列を含み、強い恒常的プロモーター活性または所望の場合に誘導されうるプロモーター活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの発現のための発現ベクター構築物に関する。
【0185】
一実施形態において発明実施は、上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも1つを適切な核酸送達系と共に投与するステップを含む。一実施形態においてシステムは、ポリヌクレオチドに機能的に連結された非ウイルス性ベクターを含む。そのような非ウイルス性ベクターの例は、オリゴヌクレオチド単独(例えば、配列番号6〜47の任意の1つもしくは複数)または適切なタンパク質、多糖類または脂質製剤との組合せを含む。
【0186】
追加的に適切な核酸送達系は、ウイルスベクターを含み、典型的にはアデノウイルス、アデノウイルス関連ウイルス(AAV)、ヘルパー依存性アデノウイルス、レトロウイルスまたはセンダイウイルス(HVJ)-リポソーム複合物の少なくとも1つ由来の配列を含む。好ましくはウイルスベクターは、ポリヌクレオチドに機能的に連結された強力な真核生物プロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含む。
【0187】
追加的な好ましいベクターは、ウイルスベクター、融合タンパク質および化学的複合体を含む。レトロウイルスベクターは、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVベースのウイルスを含む。1つの好ましいHIVベースのウイルスベクターは、gagおよびpol遺伝子がHIVゲノム由来であり、env遺伝子が他のウイルス由来である少なくとも2つのベクターを含む。DNAウイルス性ベクターは好ましい。これらのベクターは、オルソポックスベクターまたはトリポックスベクターなどのポックスベクター、単純ヘルペスIウイルス(HSV)ベクターなどのヘルペスウイルスベクター[Geller, A.I.ら、(1995) J. Neurochem、64: 487; Lim, Fら、in DNA Cloning: Mammalian Systems、D. Glover(編)(Oxford Univ. Press、Oxford England) (1995); Geller, A.I.ら、(1993) Proc Natl. Acad. Sci: U.S.A.:90 7603; Geller, A.I.ら、(1990) Proc Natl. Acad. Sci USA: 87:1149]、アデノウイルスベクター[LeGal LaSalleら、Science、259:988 (1993); Davidsonら、(1993 )Nat. Genet. 3: 219; Yangら、(1995) J. Virol. 69: 2004]およびアデノ関連ウイルスベクター[Kaplitt, M.G.ら、(1994) Nat. Genet. 8:148]を含む。
【0188】
本発明のアンチセンス化合物は、任意の薬学的に許容される塩、エステルもしくはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物への投与において生物学的に活性な代謝産物またはその残渣を(直接または間接的に)提供できる任意の他の化合物を包含する。
【0189】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の生理学的かつ薬学的に許容される塩:すなわち親化合物の所望の生物学的活性を保持しており、望ましくない毒物学的な効果を与えない塩を意味する。オリゴヌクレオチドについて、薬学的に許容される塩の好ましい例およびそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0190】
本発明は、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および製剤も含む。本発明の医薬組成物は、局所または全身処置のいずれが望ましいかおよび治療される場所に応じて多数の方法で投与されうる。投与は、局所(点眼および膣および直腸を含む粘膜送達を含む)、肺、例えば噴霧吸入器によってを含む粉末剤またはエアロゾルの吸入または吹送法によって;気管内、鼻腔内、上皮性および経皮性)、経口または非経口でありうる。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内注射もしくは注入;または頭蓋内、例えば髄腔内もしくは脳室内投与を含む。少なくとも1つの2'-O-メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると考えられている。局所投与のための医薬組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴薬、坐薬、噴霧剤、液薬および粉末剤を含みうる。従来の薬学的担体、液剤、粉末剤または油性基剤、増粘剤などは必要であるかまたは望ましい場合がある。コートされたコンドーム、手袋なども有用である場合がある。
【0191】
好都合には単位投与形態で存在できる本発明の医薬製剤は、製薬業界において十分に周知の従来技術により調製されうる。そのような技術は、活性成分を(1つまたは複数の)薬学的担体または(1つまたは複数の)賦形剤と関連させるステップを含む。一般に製剤は、活性成分を均一かつ本質的に液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と関連させるステップ、次いで必要な場合は産物を成形するステップによって調製される。
【0192】
本発明の組成物は、これだけに限らないが錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、ソフトゲル、坐薬および浣腸などの任意の多数の可能な投与形態に製剤されうる。本発明の組成物は、水性懸濁剤、非水性または混合媒体としても製剤されうる。水性懸濁剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランが挙げられる懸濁剤の粘度を増大させる物質をさらに含有できる。懸濁剤は、安定剤も含みうる。
【0193】
本発明の医薬組成物は、これだけに限らないが液剤、乳剤、フォーム剤およびリポソーム含有製剤を含む。本発明の医薬組成物および製剤は、1つまたは複数の浸透促進剤、担体、賦形剤または他の活性もしくは不活性成分を含みうる。
【0194】
典型的には乳剤は、1つの液剤が他に通常直径0.1μmを超える液滴の形態で分散された不均一系である。乳剤は、分散相に加えて追加的構成成分を含有でき、活性剤は水相中、油相中またはそれ自体としての分離相中に溶液として存在できる。マイクロエマルジョンは、本発明の実施形態として含まれる。乳剤およびそれらの使用は、当技術分野において十分に周知であり、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0195】
本発明の製剤は、リポソーム製剤を含む。本発明において使用される用語「リポソーム」は、球状の1つまたは複数の二重層中に配置された両親媒性脂質から成る小胞を意味する。リポソームは、親油性物質および送達される組成物を含有する水性の内部から形成された膜を有する単層膜または多重膜ビヒクルである。カチオン性リポソームは、負に荷電したDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成すると考えられる正に荷電したリポソームである。pH感受性または負に荷電したリポソームは、複合体化するよりもDNAを捕捉すると考えられる。カチオン性および非カチオン性の両方のリポソームは、DNAを細胞に送達するために使用されている。
【0196】
リポソームは、「立体的に安定化された」リポソームも含み、用語は本明細書における使用で1つまたは複数の特殊化された脂質(specialized lipids)を含むリポソームを意味する。リポソームに組み込まれた場合、これらの特殊化された脂質は、そのような特殊化された脂質を欠いているリポソームと比較して増強された循環寿命を有するリポソームを生じる。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームのビヒクル形成脂質部分の一部が1つまたは複数の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)成分などの1つまたは複数の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。リポソームおよびそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0197】
本発明の医薬製剤および組成物は、界面活性剤もさらに含みうる。薬剤製品、製剤および乳剤における界面活性剤の使用は、当技術分野において十分に周知である。界面活性剤およびのそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0198】
一実施形態において本発明は、核酸、具体的にはオリゴヌクレオチドの効率的な送達をもたらすために種々の浸透促進剤を使用する。非親油性薬剤の細胞膜を超える拡散の補助に加えて、浸透促進剤は親油性薬剤の浸透性も促進する。浸透促進剤は、5つの広い部類、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤および非キレート非界面活性剤のうちの1つに属する物として分類されうる。浸透促進剤およびそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0199】
当業者は、製剤がそれらの目的とする使用、すなわち投与経路により日常的に設計されることを理解している。
【0200】
局所投与のための好ましい製剤は、本発明のオリゴヌクレオチドが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤などの局所送達剤と混合されているものを含む。好ましい脂質およびリポソームは中性(例えばジオレオイル-ホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)陰性(例えばジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えばジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。
【0201】
局所または他の投与のために、本発明のオリゴヌクレオチドはリポソーム中に包含されうるか、またはそれら、詳細にはカチオン性リポソームと複合体を形成できる。別法としてオリゴヌクレオチドは、脂質中に、詳細にはカチオン性脂質に複合体化されうる。好ましい脂肪酸およびエステル、薬学的に許容されるそれらの塩ならびにそれらの使用は、米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0202】
経口投与用の組成物および製剤は、粉剤もしくは顆粒剤、微粒子剤、ナノ粒子剤、水溶液中もしくは非水溶液中の懸濁剤もしくは液剤、カプセル、ゲルカプセル、サシェ(sachet)、錠剤またはミニ錠剤を含む。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤または結合剤は、望ましい場合がある。好ましい経口製剤は、本発明のオリゴヌクレオチドが1つまたは複数の浸透促進界面活性剤およびキレート剤と共に投与されるものである。好ましい界面活性剤は、脂肪酸および/もしくはエステルまたはそれらの塩、胆汁酸および/またはそれらの塩を含む。好ましい胆汁酸/塩および脂肪酸ならびにそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。同様に好ましいのは、浸透促進剤の組合せ、例えば胆汁酸/塩との組合せでの脂肪酸/塩である。特に好ましい組合せは、ラウリン酸ナトリウム塩、カプリン酸およびUDCAである。さらなる浸透促進剤は、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、噴霧乾燥された粒子を含む顆粒形態またはマイクロまたはナノ粒子を形成するように複合化されて経口送達されうる。オリゴヌクレオチド複合剤およびそれらの使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,287,860号にさらに記載されている。
【0203】
非経口、髄腔内または脳室内投与のための組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤(これだけに限らないが浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体または賦形剤など)も含有できる滅菌水性溶液を含みうる。
【0204】
本発明の特定の実施形態は、1つまたは複数のオリゴマー化合物および非アンチセンス機構により作用する1つまたは複数の他の化学療法剤を含有する医薬組成物を提供する。そのような化学療法剤の例は、これだけに限らないが、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビスクロロエチル-ニトロソウレア、ブスルファン、ミトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプレゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバシン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロ-ホスホラミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベステロール(DES)などの癌化学療法剤を含む。本発明の化合物と共に使用する場合、そのような化学療法剤は、個々に(例えば、5-FUとオリゴヌクレオチド)、連続して(例えば、一定期間の5-FUとオリゴヌクレオチドに続いてMTXとオリゴヌクレオチド)、または1つまたは複数の他のそのような化学療法剤と組み合わせて(例えば、5-FU、MTXとオリゴヌクレオチドまたは5-FU、放射線療法とオリゴヌクレオチド)使用されうる。これだけに限らないが非ステロイド性抗炎症剤および副腎皮質ステロイドが挙げられる抗炎症剤ならびに、これだけに限らないがリビビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルが挙げられる抗ウイルス剤も本発明の組成物に組合せられうる。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス剤との組合せも本発明の範囲内である。2つ以上組み合わされた化合物
は、一緒にまたは連続的に使用されうる。
【0205】
他の関連する実施形態において本発明の組成物は、第1の核酸にターゲッティングされる1つまたは複数のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第2の核酸標的にターゲッティングされる1つまたは複数の追加的アンチセンス化合物を含有できる。例えば、第1の標的は、サーチュイン1(SIRT1)の特定のアンチセンス配列であることができ、第2の標的は他のヌクレオチド配列由来の領域でありうる。別法として本発明の組成物は、同じサーチュイン1(SIRT1)核酸標的の異なる領域にターゲッティングされる2つ以上のアンチセンス化合物を含有できる。アンチセンス化合物の多数の例は、本明細書において例示され、他は当技術分野において周知の適切な化合物中から選択されうる。2つ以上組み合わされた化合物は、一緒にまたは連続的に使用されうる。
【0206】
投薬
治療用組成物の処方およびそれらの続く投与(投薬)は、当業者の技能の範囲内であると考えられる。投薬は、数日間から数カ月間続くまたは治療が効果的になるもしくは病態の減退が達成されるまでの治療過程において、治療される病態の重症度および応答性に依存する。最適な投薬計画は、患者身体での薬剤蓄積の測定から算出されうる。当業者は、最適投与量、投薬方法および繰り返し率(repetition rate)を容易に決定できる。最適な投与量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的効力に応じて変動する場合があり、一般にin vitroおよびin vivo動物モデルにおいて効果的であると見出されたEC50に基づいて概算されうる。一般に投与量は、体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、1日に、1週間に、1カ月にもしくは1年に1回もしくは複数回またはさらに2〜20年ごとに1回である場合がある。当業者は、測定された滞留時間および体液または組織における薬剤の濃度に基づいて投薬についての繰り返し率を容易に概算できる。治療の成功に続いて、病態の再発を予防するために患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、ここでオリゴヌクレオチドは維持投与において体重1kgあたり0.01μg〜100g、1日1回または複数回から20年ごとに1回の範囲で投与される。
【0207】
本発明の種々の実施形態は上に記載されているが、それが例示の方法によってのみ表されており、限定でないことは理解されるべきである。開示された実施形態への多数の変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書における開示により作製されうる。したがって本発明の広さおよび範囲は、上に記載の実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0208】
本明細書において記述する全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。本出願において引用する全ての刊行物および特許書類は、それぞれ個々の刊行物または特許書類が個々に記載された場合と同じ程度に全ての目的について参照により本明細書に組み込まれる。この書類における種々の参考文献の引用によって、出願人らはいずれの特定の参考文献をも出願人らの発明の「先行技術」であることを承認しない。発明の組成物および方法の実施形態は、以下の実施例において例示される。
【0209】
(実施例)
以下の非限定的実施例は、本発明の選択された実施形態を例示するために利用できる。示される構成要素の割合における変動および構成要素における代替は当業者に明らかであり、本発明の実施形態の範囲内であることは理解される。
【0210】
(実施例1)
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンス鎖および/またはセンス鎖核酸分子に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
上に示すとおり用語「に特異的なオリゴヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド標的」は、(i)標的遺伝子の一部分と安定な複合体を形成できる配列、または(ii)標的遺伝子のmRNA転写物の一部分と安定な2重鎖を形成できる配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。
【0211】
適切なオリゴヌクレオチドの選択は、核酸配列を自動的に配列比較し、同一または相同な領域を示すコンピュータープログラムを使用することによって促進される。そのようなプログラムは、例えばGenbankなどのデータベースを検索することによって、またはPCR産物を配列決定することによって得られた核酸配列を比較するために使用される。さまざまな種由来の核酸配列の比較は、種の間で適切な程度の同一性を示す核酸配列の選択を可能にする。配列決定されていない遺伝子の場合は、標的種と他の種とでの遺伝子間の同一性の程度の決定を可能にするためにサザンブロットが実施される。さまざまな程度のストリンジェンシーでサザンブロットを実行することによって、当技術分野において周知であるとおり、同一性の近似測定値を得ることが可能である。これらの手順は、制御される対象での標的核酸配列への高い程度の相補性、および他の種での対応する核酸配列への低い程度の相補性を示すオリゴヌクレオチドの選択を可能にする。当業者は、本発明における使用のために遺伝子の適切な領域を選択することには相当な許容範囲が存在することを理解する。
【0212】
アンチセンス化合物は、標的核酸への化合物の結合が標的核酸の通常の機能を干渉し、機能および/または活性の調節を生じる場合かつ特異的結合が望まれる条件下(すなわちin vivoアッセイまたは治療的処置の場合での生理的条件下およびin vitroアッセイの場合でのアッセイが実施される条件下)で、非標的核酸配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するために十分な程度の相補性がある場合に「特異的にハイブリダイズできる」。
【0213】
本明細書において記載するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性は、当技術分野において周知の1つまたは複数のin vitroアッセイによって決定されうる。例えば本明細書において記載するオリゴヌクレオチドの特性は、標的天然アンチセンスと潜在的薬剤分子との間の結合強度を融解曲線アッセイを使用して測定することによって得られる。
【0214】
標的天然アンチセンスと潜在的薬剤分子(「分子」)との間の結合強度は、分子間相互作用の強度を測定する任意の確立された方法、例えば融解曲線アッセイを使用して概算することができる。
【0215】
融解曲線アッセイは、天然アンチセンス/「分子」複合体に関して2本鎖立体構造から1本鎖立体構造への急速な移行が生じる温度を決定する。この温度は、2分子間の相互作用強度の信頼できる測定値として広く認められている。
【0216】
融解曲線アッセイは、実際の天然アンチセンスRNA分子のcDNA複製物または「分子」の結合部位に対応する合成DNAもしくはRNAヌクレオチドを使用して実施されうる。このアッセイを実行するために必要な全ての試薬を含むマルチプルキットは、利用可能である(例えば、Applied Biosystems Inc. MeltDoctor kit)。これらのキットは、2本鎖DNA(dsDNA)結合色素(ABI HRM dyes、SYBR Green、SYTOなど)の1つを含有する適切な緩衝液を含む。dsDNA色素の特性は、それらは遊離形態ではほとんど蛍光を発光しないが、dsDNAに結合した場合は高度に蛍光性であるものである。
【0217】
アッセイを実施するために、cDNAまたは対応するオリゴヌクレオチドを「分子」と詳細な製造者の手順書によって定められた濃度で混合する。混合物をすでに形成された全てのdsDNA複合体を解離させるため95℃に加熱し、次いでDNA分子をアニールさせるために室温またはキット製造者によって定められた他の低い温度まで徐冷する。新たに形成された複合体を、次いで反応によって産生される蛍光量についてのデータを連続に収集しながら同時にゆっくりと95℃まで加熱する。蛍光強度は、反応物中に存在するdsDNAの量に反比例する。データは、キットに適合するリアルタイムPCR装置(例えば、ABIのStepOne Plus Real Time PCR SystemまたはLightTyper instrument、Roche Diagnostics、Lewes、UK)を使用して収集できる。
【0218】
融解ピークは、適切なソフトウエア(例えば、LightTyper (Roche)またはSDS Dissociation Curve、ABI)を使用して温度に関する蛍光の負の微分係数(-d(蛍光)/dT) y軸)を温度(x軸)に対してプロットすることによって作図する。データをdsDNA複合体から単鎖分子への急速な移行の温度を同定するために分析する。この温度をTmと称し、2分子間の相互作用の強度に正比例する。典型的にはTmは40℃を超える。
【0219】
(実施例2)
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの調節
材料と方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドでのHepG2細胞の処置
ATCC (cat# HB-8065)由来のHepG2細胞を増殖培地(MEM/EBSS (Hyclone cat #SH30024またはMediatech cat # MT-10-010-CV) +10% FBS (Mediatech cat# MT35-011-CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30-002-CI))中、37℃、5% CO2で増殖させた。実験前日に、細胞を1mlあたり0.5×105個の密度で6ウエルプレートに再播種し、37℃、5% CO2でインキュベートした。実験当日に6ウエルプレートの培地を1.5 ml/ウエルの新鮮増殖培地に交換した。全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドを濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOpti-MEM培地(Gibco cat#31985-070) 400μlおよびLipofectamine 2000 (Invitrogen cat# 11668019) 4μlと室温で20分間インキュベートし、HepG2細胞を含む6ウエルプレートの各ウエルに添加した。オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を偽形質移入対照用に使用した。37℃、5% CO2での3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の72時間後、上述のとおり細胞を再投与した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、RNAを細胞からPromegaからのSV Total RNA Isolation System (cat # Z3105)またはQiagenからのRNeasy Total RNA Isolation kit (cat# 74181)を製造者の手順書に従って使用して抽出した。RNA 600ngをThermo ScientificからのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者の手順書に記載のとおり使用して実施した逆転写反応に加えた。この逆転写反応からのcDNAをABI Taqman gene Expression Mix (cat#4369510)およびABIによって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニターするために使用した。以下のPCRサイクルを使用した: 50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine (Applied Biosystems Biosystems Taqman Gene Expression Assay: Hs00202021_m1 by Applied Biosystems Inc., Foster City CA)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後の遺伝子発現における倍数変化を処置試料と偽形質移入試料との間での18S-標準化dCt値の差に基づいて算出した。
【0220】
結果:
リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対するいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置の48時間後に有意に増大したことを示す(図2、3A)。
【0221】
リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1つにおいて有意に増大したことを示す。CUR-1230、CUR-1231、CUR-1232およびCUR-1230と記載された棒は、配列番号32〜35に対応する(図6)。
【0222】
リアルタイムPCR結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV428275に対して設計されたオリゴヌクレオチドのうち2つにおいて有意に増大したことを示す。CUR-1302、CUR-1304、CUR-1303およびCUR-1305と記載された棒は、配列番号36〜39に対応する(図7)。
【0223】
結果は、SIRTアンチセンスBE717453に対して設計されたオリゴヌクレオチドの1つでの処置の48時間後のHepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルの有意な増大を示す。CUR-1264、CUR1265およびCUR-1266と記載された棒は、それぞれ配列番号40〜42に対応する(図8)。
【0224】
結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスAV718812に対して設計されたオリゴヌクレオチドのうち3つでの処置の48時間後に有意に増大したことを示す。CUR-1294、CUR-1297、CUR-1295、CUR-1296およびCUR-1298と記載された棒は、それぞれ配列番号43〜47に対応する(図9)。
【0225】
アンチセンスオリゴヌクレオチドVero76細胞の処置
ATCC (cat# CRL-1587)由来のVero76細胞を増殖培地(MEM/EBSS (Hyclone cat #SH30024またはMediatech cat # MT-10-010-CV) +10% FBS (Mediatech cat# MT35-011-CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat# MT30-002-CI))中、37℃、5% CO2で増殖させた。実験前日に、細胞を1mlあたり1.5×105個の密度で6ウエルプレートに再播種し、37℃、5% CO2でインキュベートした。実験当日に6ウエルプレートの培地を新鮮増殖培地に交換した。全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドを水で濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOpti-MEM培地(Gibco cat#31985-070) 400μlおよびLipofectamine 2000 (Invitrogen cat# 11668019) 4μlと室温で20分間インキュベートし、Vero76細胞を含む6ウエルプレートの各ウエルに添加した。オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を偽形質移入対照用に使用した。37℃、5% CO2での3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、RNAを細胞からPromegaからのSV Total RNA Isolation System (cat # Z3105)またはQiagenからのRNeasy Total RNA Isolation kit (cat# 74181)を製造者の手順書に従って使用して抽出した。RNA 600ngをThermo ScientificからのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者の手順書に記載のとおり使用して実施した逆転写反応に加えた。この逆転写反応からのcDNAをABI Taqman Gene Expression Mix (cat#4369510)およびABI (Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay: Hs00202021_m1、Applied Biosystems Inc.、Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニターするために使用した。以下のPCRサイクルを使用した:50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine (Applied Biosystems)を使用。以下のPCRサイクルを使用した: 50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、Mx4000 thermal cycler (Stratagene)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後の遺伝子発現における倍数変化を処置試料と偽形質移入試料との間での18S-標準化dCt値の差に基づいて算出した。
【0226】
結果:
リアルタイムPCR結果は、Vero細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、SIRT1アンチセンスCV396200へのアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置の48時間後に有意に増加していることを示す(図3B)。
【0227】
(実施例3)
SIRT1遺伝子発現の調節
材料および方法
ネイキッドアンチセンスオリゴヌクレオチドでのHepG2細胞の処置
ATCCからのHepG2細胞(cat#HB-8065)を増殖培地(MEM/EBSS(Hyclone cat#SH30024またはMediatech cat#MT-10-010-CV)+10%FBS(Mediatech cat#MT35-011-CV)+ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech cat#MT30-002-CI))中、37℃、5%CO2で増殖させた。実験前日に、細胞を1mlあたり0.5×105個の密度で6ウエルプレートに再播種し、37℃、5%CO2でインキュベートした。実験当日に6ウエルプレートの培地を1.5ml/ウエルの新鮮増殖培地に交換した。全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドを濃度20μMまで水で希釈した。この溶液2μlをOpti-MEM培地(Gibco cat#31985-070) 400μlおよびLipofectamine 2000(Invitrogen cat#11668019) 4μlと室温で20分間インキュベートし、HepG2細胞を含む6ウエルプレートの各ウエルに添加した。オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を偽形質移入対照用に使用した。37℃、5%CO2での3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮増殖培地に変更した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の72時間後に、上記のとおり細胞に再度投薬した。2回目のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投薬の48時間後に培地を除去し、RNAを細胞からPromegaからのSV Total RNA Isolation System(cat#Z3105)またはQiagenからのRNeasy Total RNA Isolation kit(cat#74181)を製造者の手順書に従って使用して抽出した。RNA 600ngをThermo ScientificからのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者の手順書に記載のとおり使用して実施した逆転写反応に加えた。この逆転写反応からのcDNAをABI Taqman Gene Expression Mix (cat#4369510)およびABI (Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay: Hs00202021_m1、Applied Biosystems Inc.、Foster City CAによる)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニターするために使用した。以下のPCRサイクルを使用した: 50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、StepOne Plus Real Time PCR Machine (Applied Biosystems)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後の遺伝子発現における倍数変化を処置試料と偽形質移入試料との間での18S-標準化dCt値の差に基づいて算出した。
【0228】
SIRT1天然アンチセンスCV396200のエクソン4:AACTGGAGCTGGGGTGTCTGTTTCA(配列番号48)について特注設計されたTaqmanアッセイ用のプライマーおよびプローブ
順方向プライマー配列CCATCAGACGACATCCCTTAACAAA(配列番号49)
逆方向プライマー配列ACATTATATCATAGCTCCTAAAGGAGATGCA(配列番号50)
レポーター配列CAGAGTTTCAATTCCC(配列番号51)
結果:
結果は、HepG2細胞中のSIRT1 mRNAのレベルが、sirtasに対して設計されたsiRNAの1つ(sirtas_5、P=0.01)での処置の48時間後に有意に増大することを示す。同じ試料におけるsirtas RNAのレベルは、sirtas_5での処置後に有意に減少したが、SIRT1 mRNAのレベルに対しても効果を有さなかった(図1B)sirtas_6およびsirtas_7での処置後には変化しなかった。sirtas_5、sirtas_6およびsirtas_7はそれぞれ配列番号29、30および31に対応する。
【0229】
初代サル肝細胞の処置
初代サル肝細胞をRxGen Inc.による培養物に導入し、6ウエルプレートに播種した。それらを以下のとおりオリゴヌクレオチドで処置した。6ウエルプレート中の培地を5% FBS、50 U/mlペニシリンおよび50 ug/mlストレプトマイシン、4 ug/mlインスリン、1 uMデキサメタゾン、10 ug/mlフンジン(InVivogen、San Diego CA)を補充したWilliam's Medium E (Sigma cat#W4128)からなる新鮮増殖培地に交換した。全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドを濃度20μMに希釈した。この溶液2μlをOpti-MEM培地(Gibco cat#31985-070) 400μlおよびLipofectamine 2000 (Invitrogen cat# 11668019) 4μlと室温で20分間インキュベートし、細胞を含む6ウエルプレートの各ウエルに添加した。オリゴヌクレオチド溶液の代わりに水2μlを含む同様の混合物を偽形質移入対照用に使用した。37℃、5% CO2での3〜18時間のインキュベーション後、培地を新鮮増殖培地に交換した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの添加の48時間後、培地を除去し、RNAを細胞からPromegaからのSV Total RNA Isolation System (cat # Z3105)またはQiagenからのRNeasy Total RNA Isolation kit(cat# 74181)を製造者の手順書に従って使用して抽出した。RNA 600ngをThermo ScientificからのVerso cDNAキット(cat#AB1453B)を製造者の手順書に記載のとおり使用して実施した逆転写反応に加えた。この逆転写反応からのcDNAをABI Taqman Gene Expression Mix (cat#4369510)およびABI (Applied Biosystems Taqman Gene Expression Assay: Hs00978340_m1、Applied Biosystems Inc.、Foster City CA)によって設計されたプライマー/プローブを使用するリアルタイムPCRによって遺伝子発現をモニターするために使用した。以下のPCRサイクルを使用した: 50℃で2分間、95℃で10分間、(95℃で15秒間、60℃で1分間)を40サイクル、Mx4000 thermal cycler (Stratagene)を使用。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置後の遺伝子発現における倍数変化を処置試料と偽形質移入試料との間での18S-標準化dCt値の差に基づいて算出した。
【0230】
結果:
結果を図5に示す。リアルタイムPCR結果は、SIRT1アンチセンスに対するオリゴヌクレオチドでの処置後のSIRT1 mRNAのレベルの増大を示す。
【0231】
(実施例4)
アフリカミドリザルにおけるCUR 963の作用の効果および持続時間の研究
本研究の目的は、SIRT1遺伝子を制御する不調和性非コードアンチセンス配列のアンチセンスノックダウンの効果を非ヒト霊長類モデルでの静脈投与に続いて評価および比較することであった。SIRT1制御配列を抑制するために設計したアンチセンスオリゴヌクレオチド被験物質をCUR 963と記す。
CUR 963: +G*+T*C*T*G*A*T*G*G*+A*+G*+A (配列番号25)
CUR-962 (対照): +G*+C*T*A*G*T*C*T*G*+T*+T*+G (配列番号52)
【0232】
制御検査ガイドライン
この研究は、承認された毒物学的原理に従い、調和国際会議(International Conference of Harmonization)(ICH)の3者間で調和されたガイドライン(Harmonized Tripartite Guidelines)(医薬品の臨床試験のための非臨床試験の実施時期についてICH M3(m)、2000年9月)および治療薬の検査に関して一般に認められた手順に従って設計した。
【0233】
被験物質および対照条件
被験物質同一性および調製
被験物質CUR-963は、化学的に安定化されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。静脈内送達のためのビヒクルはリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0234】
ビヒクル特徴付け
PBSビヒクル、組成物、バッチ番号、有効期限および保存条件(温度および明/暗)については供給者から得た。
【0235】
被験物質保存および取り扱い
被験物質およびビヒクルはスポンサーおよび製造者によって提供された標準とされる保存条件に従って保存した。
【0236】
被験物質製剤の分析
被験物質製剤の試料は濃度、安定性および検査物質製剤の均一性の分析のために凍結保存する。
【0237】
検査系原理
霊長類は、規制当局に潜在的危険性の指標として許容され、詳細な背景データが入手可能である適切な非げっし類種である。具体的にはアフリカミドリザルは、ヒトの多数の生理学的状態および病態に関して高く臨床的に関連するモデルである。
【0238】
静脈経路投与は、可能なヒト治療用経路に相当する。被験物質の投与量は、アフリカミドリザルであらかじめ実施された類似化合物の投与量決定試験の結果に基づいた。
【0239】
アフリカミドリザルは、検査物質の標的配列が霊長類において100%相同で種を超えて保存されていることから、最適な霊長類として選択された。加えて検査物質は、合成オリゴヌクレオチドである。結果として霊長類での投薬は、他のいかなる種よりもヒトにおいて観察されるであろう取り込みがより反映されやすいこれらの化合物の有効性の優れた評価を可能にする。
【0240】
動物

ミドリザル(Chlorocebus sabaeus)、非ヒト霊長類
品種
アフリカミドリザルSt. Kitts原産
【0241】
供給元
RxGen、Lower Bourryeau、St. Kitts、West Indies
【0242】
推定年齢
実験動物は成体であった。
【0243】
推定体重
サル体重およそ3〜4kg。実際の範囲は、変動する場合があるがデータに記載される。
【0244】
性別
実験動物は成体メスであった。
【0245】
動物数
動物10匹を研究への登録に適する動物8匹の同定を保証するために選別した。
【0246】
検査数
メス:8匹
【0247】
検査数の正当性
この研究は、アフリカミドリザルにおける被験物質の治療効果を評価する主な目的とこの種でのこの種類のオリゴヌクレオチドの全身投与の先行研究とが両立する、可能な限り少ない数の動物を使用して設計した。
【0248】
動物規格
体重範囲3〜4kgのアフリカミドリザル成体10匹を研究に使用した。サルは、島に生息する野生集団から人道的に捕獲した薬剤未投与の成体動物である。捕獲されたサルは、可能性があるいなかる腸内寄生虫負担をも排除するために駆虫薬で処置し、研究登録のための選別に先行する最短4週間、検疫で観察した。捕獲したサルの年齢は大きさおよび歯状形によって、研究から高齢の動物を排除して推定した。研究登録に先行して、自発運動および敏捷さの評価を含む臨床検査を各サルに実施した。血液試料を採取し、Antech Diagnostics (Memphis、TN)に包括的臨床化学ならびに全血球計算および脂質プロファイルのために送った(詳細は9.2節および319567928を参照されたい)。St. Kittsコロニーのサルについて確立された正常値と比較して異常な検査値であると決定されたサルは、研究から排除した。この判定基準を満たす8匹のサルを同定するために、必要に応じて追加的動物の選別を伴って10匹のサルを選別した。研究開始前に、選択されたサルを1週間個別収容に慣らすために個別のケージに移す。実験に適するとみなされた動物だけを研究に登録する。研究開始時の実際の(または推定の)年齢および体重範囲は、生データおよび最終報告に詳述する。
【0249】
動物の健康および福祉
最高水準の動物福祉に従い、the St. Kitts Department of Agricultureおよび米国保健社会福祉省によって定められたガイドラインを遵守した。全ての研究は、これらの要件および実験動物の管理および収容に関して適用される全ての行動基準に従って実施される。動物の管理および使用についてのNIHガイドラインに含まれるとおりの獣医医療、手術および検査に関する全ての適用される基準。St. Kitts施設は、指針に定められたとおり手順書を検査し、施設を監査する動物実験委員会を有している。財団は、指針#A4384-01 (Axion Research Foundation/St. Kitts Biomedical Foundation)に定められたとおり実験動物福祉部門に申請された保証を承認している。特別な非ヒト霊長類獣医学的な管理問題およびこの研究に特化される調査によって生じるバイオハザード問題はない。
【0250】
収容および環境
治療に関連するいかなる臨床症状の検出も可能にするために、動物は手術の前および手術後に屠殺されるまで個々に収容した。個々のケージが位置している霊長類ビルは、間接照明で全体が照らされており、北緯17°で、U.S. D.H.H.Sガイドラインにおいて推奨されるとおりおよそ12時間:12時間の明-暗周期であった。RxGen霊長類ビルを外部と十分に換気した。1年を通じてSt. Kittsで典型的である一定の標的温度23〜35℃に維持するために追加的な気流を天井扇によって確実にした。温度および相対湿度(これも管理されない)の24時間での両極値を毎日測定した。研究中、ケージを定期的に清掃した。
【0251】
餌および水
各動物に1日当たりおよそ90グラムの標準的サル用固形飼料餌(TekLad, Madison, WI)を与えた。餌の詳細な栄養組成を記録した。水は、微生物学的な純度について定期的に分析した。保存餌および給水の中の混入物の許容されるレベルについての基準は、それぞれ餌製造者および定期的な施設水評価によって確立された分析仕様内であった。水は、ヒト用の消費に許容されるとする証明のために必要な全ての基準に合致した。
【0252】
実験設計
動物識別および無作為化
割り付けを体重および血漿コレステロールプロファイルに基づく層別無作為化の手段によって行った。群への割り付けの前後に、各動物を腹部への刺青によって識別した。刺青は、日常的健康診査の過程でコロニーの全動物に識別の手段として行われる。ケージ図を収容された個体を識別するために作成し、個々のサルをそれらそれぞれのケージに付けた標識タグによってさらに識別した。
【0253】
群の大きさ、投与量および識別番号
各群サル4匹からなる2処置群に動物を割り当てた。特定の動物識別番号を施設番号付けシステムに従って各サルに付けた。このシステムは、文字に続く3桁の数字、例えばY032によって各サルを一意的に識別する。
【0254】
投与の経路および頻度
動物に、1、3および5日目に1日1回、約10分間かけて手動輸液によって静脈内に送達して投薬した。点滴速度は、24mL/kg/時間である。動物は、投薬手順前および投薬手順中にケタミンおよびキシラジンによって鎮静させた。静脈カテーテル(Terumo mini vein infusion set、20ゲージ針、または同様の適切な輸液セット)を伏在血管に挿入した。各サルにおける投薬は、午前8時から10時の間、動物が起きた直後で摂食の前に実施した。血漿コレステロールおよび下の血液化学節に記載の他の脂質レベルを評価するための血液試料を各輸液の直前に採取した。コレステロール測定値への摂食の影響を最小化するために血液採取は両方の試料採取間隔で摂食に先行した。
【0255】
臨床所見
処置への応答の全ての明らかな兆候を各投薬日に記録した。追加的に動物を少なくとも1週間に1回、外見および一般的状態などの身体的特性について検査した。
【0256】
体重
体重を治療中および治療後期に1週間ごとに記録した。
【0257】
摂餌量
個々の摂餌量は定量しなかった。しかし摂食様式をモニターし、大きな変化は記録した。
【0258】
死亡率と罹患率
死亡率と罹患率を記録する。早期屠殺に関するいかなる決定も可能であれば試験責任者とスポンサーのモニタリング科学者との協議の後に行われる。早期に死んでいるまたは殺されることがわかった動物は、病理組織診断のための肝臓、腎臓、心臓および脾臓肺組織の採取を伴う検死の対象になる。早期屠殺事象においては、血液試料を(可能であれば)採取し、パラメーターを測定する。通常の勤務時間後に死んでいることがわかった動物は、一晩冷凍され、次の勤務時間の開始時に検死を行う。動物の状態が早期屠殺を必要とする場合は、ペントバルビタールナトリウムの静脈内過剰投与によって安楽死させる。全ての調査は、動物の使用に関する原則によって管理される。RxGenは、穏やかと特定されたこの研究での手順が遵守しなければならない過酷さのレベルを指示する、霊長類施設に関する米国社会保健福祉省基準に従うことが法律によって定められている。
【0259】
臨床検査研究
脂肪生検
皮下脂肪生検を、研究日26日目にY775を除く全ての研究用サルについて、臍の下方の1cm正中切開による組織抽出物によって実施した。生検をRNAlater(Qiagen)2mlを含有する表示付きクライオチューブに直ちに浸漬し、4℃で、一晩インキュベートし、その後RNAlaterを吸引し、試料チューブを液体窒素中で急速凍結した。液体窒素中に移した後、総RNAを標的遺伝子のリアルタイムPCRのために単離した。
【0260】
結果:
リアルタイムPCR結果は、in vitroでSIRT1の発現に効果を有さなかったオリゴヌクレオチド(ApoA1アンチセンスDA327409に対して設計された、データは示さず)であるCUR-962(配列番号52)を投薬されたサルと比較した、SIRT1アンチセンスCV396200.1に対して設計されたオリゴヌクレオチドであるCUR-963を投薬されたサルからの脂肪生検におけるSIRT1 mRNAのレベルの増大を示す。mRNAのレベルはリアルタイムPCRによって決定した(図4)。
【0261】
本発明は、1つまたは複数の実施に関して例示および記載されているが、本明細書および付属図の解釈および理解により当業者は同等の変更および修正に至るであろう。加えて、本発明の特定の特性がいくつかの実施のうちの1つにだけ関連して開示されている場合があるがそのような特性は他の実施の1つまたは複数の他の特性と、任意の所与のまたは特定の応用のために所望されかつ有利でありうるように組み合わされうる。
【0262】
開示の要約は、技術開示の性質を読者に速やかに確認させる。それは、以下の特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないとの理解と共に提出される。
【図10−1】

【図10−2】

【図10−3】

【図10−4】

【図10−5】

【図10−6】

【図10−7】

【図10−8】

【図10−9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
配列番号2のヌクレオチド1〜1028または配列番号3のヌクレオチド1〜429、または配列番号4のヌクレオチド1〜156または配列番号5のヌクレオチド1〜593(図11)中の連続した5〜30ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの逆相補物に少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップ
を含む方法。
【請求項2】
in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスの逆相補物に少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップ
を含む方法。
【請求項3】
in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに少なくとも50%の配列同一性を有する長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップ
を含む方法。
【請求項4】
in vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節する方法であって、
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの天然アンチセンスの領域を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させ;それによりin vivoまたはin vitroで患者の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの機能および/または発現を調節するステップ
を含む方法。
【請求項5】
サーチュイン1(SIRT1)の発現および/または機能が対照と比較してin vivoまたはin vitroで増大する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列を標的にする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのコードおよび/または非コード核酸配列を含む核酸配列を標的にする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
アンチセンスオリゴヌクレオチドがサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのオーバーラップおよび/または非オーバーラップ配列を標的にする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオシド間結合、修飾されたヌクレオチドおよび/またはそれらの組合せを含む1つまたは複数の修飾を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
修飾された糖部分が2'-O-メトキシエチル修飾糖部分、2'-メトキシ修飾糖部分、2'-O-アルキル修飾糖部分または二環性糖部分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエート、2'-O-メトキシエチル(MOE)、2'フルオロ、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバミン酸、炭酸、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよび/またはそれらの組合せを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、ペプチド核酸、ロックド核酸(LNA)分子、アラビノ-核酸(FANA)、ペプチド核酸(PNA)、それらの類似体または誘導体を含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを場合により有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが配列番号6〜47に記載の少なくとも1つのオリゴヌクレオチド配列を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
in vivoまたはin vitroで哺乳動物の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)遺伝子の発現および/または機能を調節する方法であって、
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンス核酸分子の少なくとも約5個の連続する核酸の相補配列に少なくとも50%の配列同一性を有する、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスポリヌクレオチドに特異的な長さ5〜30ヌクレオチドの低分子干渉RNA(siRNA)オリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させるステップ;ならびにin vivoまたはin vitroで哺乳動物の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)遺伝子の発現および/または機能を調節するステップ
を含む方法。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドが、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンス核酸分子の少なくとも約5個の連続する核酸の相補配列に少なくとも80%の配列同一性を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
in vivoまたはin vitroで哺乳動物の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)遺伝子の発現および/または機能を調節する方法であって、
配列番号1〜5に記載の少なくとも1つの核酸配列に少なくとも50%の配列同一性を有する、サーチュイン1(SIRT1)分子をコードするポリヌクレオチドのセンスおよび/または天然アンチセンス鎖の非コードおよび/またはコード配列に特異的な長さ5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドに、前記細胞または組織を接触させるステップ;およびin vivoまたはin vitroで哺乳動物の細胞または組織におけるサーチュイン1(SIRT1)遺伝子の発現および/または機能を調節するステップ
を含む方法。
【請求項17】
少なくとも1つの修飾を含む合成修飾オリゴヌクレオチドであって、修飾がアルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバミン酸、炭酸、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルまたはそれらの組合せのうちの少なくとも1つのヌクレオチド間結合を含み、サーチュイン1(SIRT1)分子にハイブリダイズし、かつ正常対照と比較してin vivoまたはin vitroでサーチュイン1(SIRT1)分子の発現および/または機能を調節するアンチセンス化合物であるオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
修飾が、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合と、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、ホスホラミデート、カルバミン酸、炭酸、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよび/またはそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド間結合との組合せを含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
ホスホロチオエートヌクレオチド間結合の骨格を含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
ペプチド核酸、ロックド核酸(LNA)分子、類似体、誘導体および/またはそれらの組合せを含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオチドを場合により含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
2'-O-メトキシエチル修飾糖部分、2'-メトキシ修飾糖部分、2'-O-アルキル修飾糖部分または二環性糖部分を含む修飾された糖部分を含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
長さ少なくとも5〜30ヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンス鎖および/またはセンス鎖にハイブリダイズし、サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンスのコードおよび/または非コード核酸配列の少なくとも約5個の連続する核酸の相補配列に少なくとも約20%の配列同一性を有する、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドのアンチセンスおよび/またはセンスのコードおよび/または非コード核酸配列の少なくとも約5個の連続する核酸の相補配列に少なくとも約80%配列同一である、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
少なくとも1つのサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、かつ正常対照と比較してin vivoまたはin vitroで少なくとも1つのサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの発現および/または機能を調節する、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
配列番号6〜47に記載の配列を含む、請求項17に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
アンチセンス配列、相補配列、対立遺伝子、相同体、アイソフォーム、変種、誘導体、変異体またはそれらの断片を含むサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドに特異的な1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含む組成物。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドが配列番号6〜47に記載のヌクレオチド配列のいずれか1つと比較して少なくとも約40%のヌクレオチド配列同一性を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
オリゴヌクレオチドが配列番号1〜47に記載のヌクレオチド配列を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
配列番号6〜47に記載のオリゴヌクレオチドが1つまたは複数の修飾されたまたは置換されたヌクレオチドを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
修飾されたヌクレオチドがホスホロチオエート、メチルホスホネート、ペプチド核酸、ロックド核酸(LNA)分子を含む修飾された塩基を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドおよび/またはそれにコードされる産物に関連する疾患を予防または治療する方法であって、
サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの天然アンチセンス配列に結合し、かつ前記サーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドの発現を調節する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療有効量を患者に投与し;それによりサーチュイン1(SIRT1)ポリヌクレオチドおよび/またはそれにコードされる産物に関連する疾患を予防するまたは治療するステップ
を含む方法。
【請求項33】
Sirtuin 1(SIRT1)ポリヌクレオチドに関連する疾患が、癌(例えば、乳癌、結腸直腸癌、CCL、CML、前立腺癌)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー、ハンチントン、パーキンソン、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症およびポリグルタミン凝集によって引き起こされる障害);骨格筋疾患(例えば、デュシェンヌ筋ジストロフィー、骨格筋萎縮、ベッカー型筋ジストロフィーまたは筋緊張性ジストロフィー);代謝疾患(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満、耐糖能障害、高血中コレステロール、高血糖、脂質異常症および高脂血症);成人発症型糖尿病、糖尿病性腎症、神経障害(例えば、感覚性ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、運動神経障害、網膜症);骨疾患(例えば、骨粗鬆症)、血液疾患(例えば、白血病);肝疾患(例えば、アルコール乱用または肝炎による);肥満;骨吸収、加齢黄斑変性症、エイズ関連認知症、ALS、ベル麻痺、アテローム性動脈硬化症、心疾患(例えば、不整脈、慢性うっ血性心不全、虚血性脳卒中、冠動脈疾患および心筋症)、慢性変性疾患(例えば、心筋疾患)、慢性腎不全、2型糖尿病、潰瘍、白内障、老視、糸球体腎炎、ギラン・バレー症候群、出血性卒中、関節リウマチ、炎症性腸疾患、SLE、クローン病、変形性関節症、骨粗鬆症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、皮膚老化および尿失禁を含み、他の例が、神経細胞死に関連する疾患および障害、老化または好ましくない細胞消失を特徴とする他の状態を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
in vivo投与のためにオリゴヌクレオチドを同定および選択する方法であって、病態に関連する標的ポリヌクレオチドを選択するステップ;同定されたポリヌクレオチドに相補的であるまたはアンチセンス方向である少なくとも5個の連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを同定するステップ;ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的ポリヌクレオチドとの間の結合の熱的融点を測定するステップ;ならびにin vivo投与のためのオリゴヌクレオチドを同定および選択するステップを含む方法。

【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−510815(P2012−510815A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539660(P2011−539660)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/066445
【国際公開番号】WO2010/065662
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511085219)オーピーケーオー・クルナ・エルエルシー (22)
【Fターム(参考)】