説明

サーボ制御装置、情報再生装置、情報再生記録装置、サーボ制御方法、サーボ制御プログラムおよびサーボ制御プログラムを記録した情報記録媒体

【課題】多くの情報層を有する光記録媒体において、各情報層の種類が異なる場合でも、安定的にかつ迅速に所望の層に到達してサーボ制御をかけることのできるサーボ制御装置、情報再生装置、サーボ制御方法、サーボ制御プログラムおよびサーボ制御プログラムを記録した情報記録媒体を提供することにある。
【解決手段】本実施形態に記載のサーボ制御装置は記判別手段によって判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、光放出手段から放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、制御手段は、回転手段によって情報記録媒体の回転数を移動先の情報層に記録された情報を再生する場合の情報記録媒体の回転数に制御するととも に、移動手段を用いて移動先の情報層の位置に集光位置を移動させる構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光ディスク情報再生記録装置のサーボ制御分野に関する。
【背景技術】
【0002】
円盤状の光ディスクと呼ばれる情報記録媒体、及び、かかる情報記録媒体に対して記録・再生可能な光ディスク装置は、非接触、大容量であり、かつ、高速アクセスが可能であり、更には持ち運びができ、かつ低コストなメディアであることを特徴に、各種の情報の記録再生装置として、例えば、ディジタルオーディオ信号やデジタル映像信号のための記録・再生装置を始めとして、更には、コンピュータの外部記憶装置としても広く利用されている。
【0003】
一方、かかる装置に用いられる光情報記録媒体である光ディスクについても、その記録の大容量化が著しく、従来の1層だけ(単層)の構造のディスクに加えて、更に、その回転軸方向に複数の情報記録層を形成してなる(多層)光ディスクも種々提案され、あるいは、実用化されている。かかる多層の光ディスクの一例として、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)−DL(Dual layer)と呼ばれる読み出し専用のDVD2層の光ディスクでは、その複数の層であるレイヤ(layer)0とレイヤ(layer)1の両方の情報記録層の全てに予めアドレスが記録されているため、これを再生する光ディスク装置側では、これら複数の層間において、ディスクの半径方向の如何なる位置において他の層に移動(フォーカスジャンプ)しても、その層でのアドレスを確認することが出来る。
【0004】
そのため、従来、光ディスク装置では、これら複数の記録層間でのフォーカスジャンプを含む制御を行なう場合、通常、現在のアドレス位置にてフォーカスジャンプを行なった後、目的のアドレス位置にサーチする動作を行っていた。
【0005】
また、以下の特許文献1によれば、複数の層構造の信号記録面に対してデータの記録又は再生を行なうディスクドライブ装置において、異なる信号記録面(層)間でアクセスを行なう場合、内周へサーチするのであれば光ディスクの回転数を加速し、外周へサーチするのであれば光ディスクの回転数を減速している。
【特許文献1】特開平10−143873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、これに対して、異なる種類の光ディスクを多層化した多層ディスクの場合には、内周へサーチする場合に、必ずしも光ディスクの回転数を加速するわけではなく、減速させるべき場合もある。この場合には、一旦加速した光ディスクの回転数を減速させなければならず、サーチ時間がより多くかかってしまうことになる。
【0007】
また、異なる種類の光ディスクを多層化した多層ディスクの場合において、外周へサーチする場合に、必ずしも光ディスクの回転数を減速するわけではなく、加速すべき場合もある。この場合には、一旦減速した光ディスクの回転数を加速させなければならず、サーチ時間がより多くかかってしまうことになる。
【0008】
そこで、本願は、上記の不都合に鑑みてなされたもので、その課題の一例は、多くの情報層を有する光記録媒体において、各情報層の物理フォーマットが異なる場合でも、迅速に所望の層に到達してサーボ制御することのできるサーボ制御装置、光ディスク再生装置、サーボ制御方法、サーボ制御プログラムおよびサーボ制御プログラムを記録した情報記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載のサーボ制御装置は、再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御装置において、前記情報記録媒体を回転させる回転手段と、前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出手段と、前記光放出手段から放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光手段と、
前記情報層から反射され、前記受光手段によって受光された光から電気信号を生成する電気信号生成手段と、前記電気信号生成手段によって生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別手段と、一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出手段から放出された光の集光位置を移動させる移動手段と、前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成手段によって生成された電気信号に基づいて演算する演算手段と、前記移動手段を使用して前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算手段によって演算し、前記演算手段による演算結果に基づいて前記回転手段によって前記情報記録媒体を回転させる制御手段とを備え、前記判別手段によって判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出手段から放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御手段は、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記移動手段を用いて前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に記載のサーボ制御方法は、再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御方法において、前記情報記録媒体を回転させる回転工程と、前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出工程と、前記光放出工程において放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光工程と、前記情報層から反射され、前記受光工程において受光された光から電気信号を生成する電気信号生成工程と、前記電気信号生成工程において生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別工程と、一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出工程において放出された光の集光位置を移動させる移動工程と、前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成工程において生成された電気信号に基づいて演算する演算工程と、前記移動工程において前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算工程において演算し、前記演算工程における演算結果に基づいて前記回転工程において前記情報記録媒体を回転させる制御工程とを備え、前記判別工程において判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出工程において放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御工程において、前記回転工程において前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記移動工程において前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に記載のサーボ制御プログラムは、再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御装置に含まれるコンピュータを、前記情報記録媒体を回転させる回転手段、前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出手段、前記光放出手段から放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光手段、前記情報層から反射され、前記受光手段によって受光された光から電気信号を生成する電気信号生成手段、前記電気信号生成手段によって生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別手段、一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出手段から放出された光の集光位置を移動させる移動手段、前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成手段によって生成された電気信号に基づいて演算する演算手段、前記移動手段を使用して前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算手段によって演算し、前記演算手段による演算結果に基づいて前記回転手段によって前記情報記録媒体を回転させる制御手段として機能させ、前記判別手段によって判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出手段から放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御手段を、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するように機能するとともに、前記移動手段を用いて前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させるように機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本願に最適な実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0013】
なお、以下の実施形態は、DVD等の光ディスクにおける情報を書き込む情報層または情報を読み出す情報層が、一枚の光ディスクに複数存在する場合において、異なる情報層間でピックアップを移動してサーボ制御かける動作について説明したものである。
【0014】
なお、一枚の光ディスクに複数存在する情報層は異なる種類の情報層または同じ種類の情報層である。
(I)全体構成及び動作
始めに、実施形態に係る光ディスクのサーボ制御装置を含む光ディスクの情報再生装置の全体構成について、図1を用いて説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る光ディスク情報記録再生装置の概要構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、ピックアップ2から照射されたレーザビームLBが光ディスク1の情報層において反射され、反射されたレーザビームLBは光ディスク1の情報層における情報に応じて変化しており、その変化がピックアップ2において電気信号Siに変換される。変換された電気信号Siを基に、マイクロコンピュータ部8においてサーボ情報などを解析する。また、光ディスクの種類によっては、変換された電気信号Siに光ディスク1に記録されている情報層の層数および情報層のサーボ情報が含まれていることがあるのでそれらの情報をマイクロコンピュータ部8において解析する。情報層の層数およびフォーカスサーボ情報の解析結果を基にピックアップ2(またはピックアップ2内部の対物レンズ)を所望の位置に移動させるのである。
【0017】
次に、実施形態に係わる光ディスク情報記録再生装置Sの詳細動作について図1を用いて説明する。
【0018】
この光ディスク情報記録再生装置Sは、光ディスク1の情報層にレーザビームLBを照射し、光ディスク1において反射された当該レーザビームLBを電気信号Siに変換する光放出手段、受光手段、電気信号生成手段、および移動手段としてのピックアップ2と、入力された電気信号Siを増幅して増幅信号Saを出力する増幅部5と、入力された増幅信号Saを信号処理することによってデジタル映像/音声信号Sdaとサーボ情報等の情報を含む信号Spmを出力し、入力された制御信号Smpを信号処理することによってドライバ信号SdpおよびSdmを出力する信号処理部6と、入力されたデジタル映像/音声信号Sdaと制御信号Scdに基づいてデジタル映像/音声信号Sdaをデジタルアナログ変換してアナログ映像/音声信号Soを出力するデジタルアナログ変換部7(以下DAC部と称する。)と、信号Spmに基づいて演算を行い、DAC部7を制御する制御信号Scdおよびピックアップ2並びにモータ部3を制御する制御信号Smpを出力する、判別手段、演算手段、制御手段、再生手段、および記録情報生成手段としてのマイクロコンピュータ部8と、入力されたモータドライバ信号Sdmおよびピックアップドライバ信号Sdpを増幅してモータ制御信号Smおよびピックアップ制御信号Spを出力するドライバ部4と、入力されたモータ制御信号Smに基づいて光ディスク1を回転させる回転手段としてのモータ部3と、光ディスク1に記録されている情報を読み出すべき位置を外部からも入力することが可能になる入力部9とから構成される。
【0019】
なお、DAC部7から出力された出力信号Soは、図示しない電力増幅器等を介して液晶表示装置等の表示装置またはスピーカ等の拡声器によって、ユーザが視聴する。
【0020】
次に各構成部について具体的に説明する。
【0021】
電気信号Siには、光ディスク1の情報層に記録された情報およびレーザビームLBの集光位置に関するサーボ情報が含まれている。
【0022】
例えば、電気信号Siには、ピックアップ2が光ディスク1の情報層の情報を読み出すために適切な位置にあるか否かを判断するための情報(フォーカスエラー信号情報およびトラッキングエラー信号情報等のエラー信号情報)、および情報層に記録された情報をピックアップ2が読み出す為の線速度情報等のサーボ情報が含まれている。
【0023】
増幅部5には、光ディスク1に記録された情報およびサーボ情報を示す電気信号Siが入力される。電気信号Siは微弱な信号であるが、増幅部5内において、増幅されることにより、後段の信号処理部6において取り扱いが容易な増幅信号Saとして出力される。
【0024】
信号処理部6には、増幅信号Saおよび制御信号Smpが入力される。信号処理部6は、増幅信号Saに含まれる各種情報を演算処理し、デジタル映像/音声信号Sdaおよびサーボ情報等の情報を含む処理信号Spmを出力する。
【0025】
例えば、信号処理部6は、符号化されて光ディスク1に記録された情報をあらわす増幅信号Saに対して復号化処理を行うことにより、デジタル映像/音声信号Sdaを生成し、出力する。また、制御信号Smpに基づき、増幅信号Saに含まれるサーボ信号を適切な増幅率に設定するとともにサーボ回路の開閉動作を行なう。
【0026】
また、信号処理部6は、入力された制御信号Smpから、モータ部3をあらかじめ定められた回転数で回転させるためのモータドライバ信号Sdmおよびピックアップ2(またはピックアップ2内部の対物レンズ)を移動させるための信号であるピックアップドライバ信号Sdpを生成しドライバ部4へ出力する。
【0027】
ドライバ部4は、入力されたモータドライバ信号Sdmをモータ部3を駆動するために必要な電圧まで増幅してからモータ制御信号Smを出力する。また、ドライバ部4は、入力されたピックアップドライバ信号Sdpをピックアップ2(またはピックアップ内部の対物レンズ)を駆動させるために必要な電流まで増幅してからピックアップ制御信号Spを出力する。
【0028】
モータ部3は、入力されたモータ制御信号Smに基づいて、光ディスク1を回転させる。
【0029】
DAC部7には、デジタル映像/音声信号Sdaおよび制御信号Scdが入力される。DAC部7はデジタル映像/音声信号Sdaをデジタル信号からアナログ信号に変換してアナログ映像/音声信号Soを生成し、制御信号Scdに基づいて、当該アナログ映像/音声信号Soを出力する。
【0030】
例えば、制御信号ScdはDAC部7から出力されるべきアナログ映像/音声信号Soの出力を停止または開始制御を行う信号である。
【0031】
マイクロコンピュータ部8には、処理信号Spmが入力される。
【0032】
処理信号Spmには、前述したように、デジタル映像/音声信号Sdaおよびサーボ情報等の情報が含まれる。
【0033】
サーボ情報には、光ディスク1の情報層の反射率を測定するための光ディスク1の反射光強度をあらわす情報、ピックアップ2が移動されたことによるフォーカスサーチの状態をあらわすフォーカスエラー信号情報、トラックサーチの状態をあらわすトラッククロス信号情報並びにトラッキングエラー信号情報、情報層に記録されている情報層の数、情報層の種類並びに線速度をあらわす情報、または、情報層毎の反射率をあらわす光ディスク反射率情報などが含まれている。
【0034】
反射光強度をあらわす情報は、例えば、反射光強度に応じた電気信号レベルなどがある。マイクロコンピュータ部8は、反射光強度をあらわす情報に応じて、ピックアップ2、増幅部5、信号処理部6およびドライバ部4によって構成されるフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の電気信号の増幅率を決定する。この増幅率は、情報層毎に反射光強度の大きさが異なれば、情報層毎に決定される。このようにマイクロコンピュータ部8は、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路における電気信号の増幅率をレーザビームLBが焦点を結ぶ情報層の光の反射率によって変化させている。増幅率が適切に設定されたフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路は安定的に動作することができる。
【0035】
フォーカスエラー信号は、ピックアップ2から放出された光ビームLBの焦点位置と光ディスク1の情報層と直交する方向との位置関係をあらわす情報である。例えば、フォーカスエラー信号をいわゆるプッシュプル法で表した場合には、フォーカスエラー信号が零に近づくほど、光ビームLBの焦点位置と光ディスク1の情報層との位置が近づいていることをあらわす(光学系および電気系のオフセットを除いた場合)。
【0036】
トラッククロス信号は、フォーカスサーボ回路を閉じた状態において、ピックアップ2を光ディスク1の半径方向に移動した場合に、光ディスク1に設けられたランドトラックおよびグルーブトラック等のトラック情報に基づいて変化する信号である。トラッククロス信号の零クロス回数をカウントすることにより、ピックアップ2が半径方向に移動した距離がマイクロコンピュータ部8によって演算される。
【0037】
トラックエラー信号は、ピックアップ2から放出された光ビームLBの焦点位置と光ディスク1の情報層と平行する半径方向との位置関係をあらわす情報である。例えば、トラックエラー信号をいわゆるDVDにおけるDPP(Differential Push Pull)法またはCD(Compact Disc)における3ビーム法で表した場合には、トラックエラー信号が零に近づくほど、光ビームLBの焦点位置と光ディスク1の情報層との位置が近づいていることをあらわす(光学系および電気系のオフセットを除いた場合)。
【0038】
情報層に記録されている情報層の数は予め各層に記録されている情報を少なくとも一回は読み取ることで認識される。また、線速度をあらわす情報は、各物理メディアの種別毎にあらかじめ定められている。マイクロコンピュータ部8は、光ディスク1の情報層から情報層に記録されている情報を読み出す場合および情報層に情報を記録する場合には、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を検知しつつ、ピックアップ2またはピックアップ2内部の対物レンズを移動させる信号であるピックアップドライバ信号を制御するためのピックアップ2駆動制御情報、および、適切なタイミングにおいてフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路を閉じることを示す情報であるサーボ開閉情報を出力する。
【0039】
また、本実施形態においては、ある情報層から、他の情報層へフォーカスの焦点位置を移動させる場合には、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路を開くことを示す情報をサーボ開閉情報として出力する。すなわち、レーザビームLBの焦点をある情報層から他の情報層に移動する場合には、一旦フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路を開いてから、ピックアップを移動させる。その後に、他の情報層にレーザビームLBの焦点を合わせるためにフォーカスサーボ回路を閉じた後にトラックサーボ回路を閉じる動作をする。
【0040】
一方、マイクロコンピュータ部8から出力される制御信号Smpには、フォーカスサーチを行なうために、ピックアップ2(あるいはピックアップ2内部の対物レンズ)を駆動させる為のフォーカス方向駆動制御情報、ピックアップ2(あるいはピックアップ2内部の対物レンズ)を光ディスク1の半径方向へ駆動させる為の半径方向駆動制御情報、所望の情報層へフォーカスを合わせるために、信号処理部6に含まれるフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の信号の増幅率を決定するための増幅率決定情報、前記フォーカスサーボ回路を開くことおよび閉じることを示すフォーカスサーボ開閉情報、およびトラックサーボ回路を開くことおよび閉じることを示すトラックサーボ開閉情報などが含まれている。
【0041】
例えば、フォーカス方向駆動制御情報は、光ディスク1の情報層のフォーカス方向(光ディスク1の情報層に対して直交する方向)の位置を認識するために用いられる情報である。フォーカス方向駆動制御情報に基づいて、ピックアップドライバ信号Sdpを生成することにより、ピックアップ2のレーザビームLBによる焦点位置を光ディスク1の情報層に対して近づけることおよび離すことを行なう。すると、ピックアップ2から得られる電気信号Siに含まれるフォーカスサーボ信号に、いわゆるS字特性があらわれるので、フォーカスサーチ動作を行なうことができる。
【0042】
また、トラック方向駆動制御情報は、光ディスク1の情報層の半径方向(光ディスク1の情報層に平行であって、光ディスク1の半径方向)の位置を認識するために用いられる情報である。半径方向駆動制御情報に基づいて、ピックアップドライバ信号Sdpを生成することにより、ピックアップ2のレーザビームLBによる焦点位置を光ディスク1の情報層を光ディスク1の半径方向に移動する。この場合に、ピックアップ2から得られる電気信号Siに含まれるトラックエラー信号およびトラッククロス信号の一周期が光ディスク1に形成されたトラックピッチに相当する。したがって、トラッククロス信号等の周期数をカウントすることにより、ピックアップ2が、光ディスク1の半径方向に何トラック移動したかをマイクロコンピュータ部8で認識することができる。
【0043】
また、増幅率決定情報は、ピックアップ2、増幅部5、信号処理部6およびドライバ部4によって構成されるフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路における電気信号の大きさを決める情報である。光ディスク1の情報層の反射率によって、ピックアップ2から出力される電気信号Siの大きさが異なる。そこで、電気信号Siに含まれる情報層の反射率をあらわす情報層の反射光強度に基づいて、マイクロコンピュータ部8で、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の増幅率を決定する。
【0044】
マイクロコンピュータ部8において決定された増幅率に対応する制御信号Smpに含まれる増幅率決定情報を使用して、信号処理部6においてフォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の増幅率を決定する。例えば、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路に含まれる増幅器の抵抗値をアナログスイッチ回路を用いて変更することにより、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の増幅率をそれぞれ変化させて決定することができる。したがって、反射率の異なる情報層毎に、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路の増幅率が異なるように設定される。
【0045】
前記フォーカスサーボ開閉情報は、ピックアップ2、増幅部5、信号処理部6およびドライバ部4によって構成されるフォーカスサーボ回路を開いた状態にするか、或は、情報層に光ビームLBを用いて情報を書き込む動作および情報層から情報を読み取る動作をする場合にフォーカスサーボ回路を閉じた状態にするかを決定するための情報である。
【0046】
フォーカスサーボ回路を開く情報の場合には、信号処理部6は、フォーカスサーボ回路を開くために、例えばファーカスサーボ回路に含まれるアナログスイッチ回路をオープン状態に設定する。また、フォーカスサーボ回路を閉じる情報の場合には、信号処理部6は、フォーカスサーボ回路を閉じるために、例えばフォーカスサーボ回路に含まれるアナログスイッチ回路をクローズ状態に設定する。
【0047】
トラックサーボ開閉情報は、ピックアップ2、増幅部5、信号処理部6およびドライバ部4によって構成されるトラックサーボ回路を開いた状態にするか、或は、情報層に光ビームLBを用いて情報を書き込む動作および情報層から情報を読み取る動作をする場合にトラックサーボ回路を閉じた状態にするかを決定するための情報である。
【0048】
トラックサーボ開閉情報がトラックサーボ回路を開く情報の場合には、信号処理部6は、トラックサーボ回路を開くために、例えばトラックサーボ回路に含まれるアナログスイッチ回路をオープン状態に設定する。また、トラックサーボ開閉情報がトラックサーボ回路を閉じる情報の場合には、信号処理部6は、トラックサーボ回路を閉じるために、例えばトラックサーボ回路に含まれるアナログスイッチ回路をクローズ状態に設定する。
【0049】
また、マイクロコンピュータ部8が光ディスク1に情報を書き込む場合には、マイクロコンピュータ部8は、信号処理部6、増幅部5およびピックアップ2を駆動して、レーザビームLBを用いて、光ディスク1に情報を書き込む。
(II)本願の実施形態
次に、図2および図3を用いて、本実施形態について説明する。本実施形態は、光ディスク1に情報層が2層ある場合における、サーチ制御動作を説明した実施形態である。
【0050】
図2は、2層光ディスク1、ピックアップ2およびレーザビームLBの焦点S0の位置関係をあらわす図である。図3は、2層光ディスクにおけるサーチ制御動作をあらわすフローチャートである。
【0051】
以下サーチ制御動作を図2に基づいて説明する。
【0052】
図2にあらわされている光ディスク1は、光ディスク1の中心位置付近を省略した光ディスク1の断面を示す概略断面図である。
【0053】
光ディスク1は情報層L0および情報層L1の2つの情報層を有する。情報層L0は、CDの物理フォーマットに基づいて形成されている。一方、情報層L1は、DVDの物理フォーマットに基づいて形成されている。
【0054】
ピックアップ2内に設けられている半導体レーザ(図示せず)から放出されたレーザビームLBが、ピックアップ2内に設けられている対物レンズ(図示せず)により集光され、位置S0において焦点が合う(フォーカスされる)。
【0055】
位置S0は、情報層L0に記録されている情報を読み取るために、ピックアップ2がフォーカスする情報層L0における焦点である。
【0056】
情報層L1における位置S1に記録されている情報を読み取るためには、ピックアップ2を移動させて、位置S1に焦点が合うようにする必要がある。
【0057】
この場合にピックアップ2の焦点は、経路K11を経由して位置SK1に移動した後に、経路K12を経由して位置S1に移動する場合がある。
【0058】
また、ピックアップ2の焦点は、経路K21を経由して位置SK2に移動した後に、経路K22を経由して位置S1に移動する場合がある。
【0059】
位置S1は、位置S0よりも光ディスク1において外周側に位置する。したがって、情報層L0と情報層L1とが同じ光ディスクの物理フォーマットであって、角速度が一定によるサーボ制御ではない場合(例えば、線速度一定の場合)には、位置S1における光ディスク1の回転数は、位置S0における光ディスク1の回転数よりも遅くなる。
【0060】
しかし、本実施形態における情報層L0がCDの物理フォーマットの場合には、ピックアップ2と光ディスク1との相対速度である線速度は1.2m/秒から1.4m/秒であるので、内周(光ディスク1の中心から半径位置25mm)の情報をピックアップ2によって読み取る場合には、光ディスクの回転数は459rpm(revolutions per minute)〜535rpmとなる。
【0061】
一方、情報層L1がDVDの物理フォーマットの場合には、線速度が約3.49m/秒であるために、外周(光ディスク1の中心から半径位置58mm)の情報をピックアップ2によって読み取る場合には、光ディスク1の回転数は約575rpm(revolutions per minute)となる。
【0062】
したがって、位置S0における光ディスク1の回転数よりも、外周側にある位置S1における光ディスク1の回転数が大きくなる。
【0063】
線速度L(m/秒)、光ディスク1の中心からの半径方向の位置r(mm)、および光ディスク1の回転数M(rpm)との関係は式(1)であらわされる。
【0064】
[数1]
L/(2×π×(r/1000))×60=M ――― 式(1)
本実施形態において、ピックアップ2の焦点位置が位置S0にある場合に、情報層L1の位置S1における情報を読み取ろうとした場合に、光ディスク情報記録再生装置Sは以下のように動作する。
【0065】
マイクロコンピュータ部8に、情報層L0における位置S0の情報を読み取った後に、情報層L1における位置S1の情報を読み取る命令を受け取る。
【0066】
この命令は、情報層L0の位置S0における情報に記録されている場合およびマイクロコンピュータ部8が入力部9から受信する場合がある。入力部9は光ディスク情報記録再生装置Sのスイッチ類である場合または外部の情報機器である場合がある。
【0067】
そして、マイクロコンピュータ部8は、情報層L1における位置S1に記録された情報を読み取るために必要な位置S1の光ディスク1の回転数を演算する。
【0068】
位置S1の半径方向の位置は、光ディスク1の情報層L1の物理フォーマット種類および位置S1のアドレス情報に基づいてマイクロコンピュータ部8が演算をおこなうことによって算出される。
【0069】
光ディスク1の情報層L1の物理フォーマット種類は、マイクロコンピュータ部8が、光ディスク1の制御領域に記録されている情報からピックアップ2を用いて予め認識している。または、入力部9から光ディスク1の情報層L1の物理フォーマット種類を示す情報が入力されて、マイクロコンピュータ部8が認識する。
【0070】
また、位置S1のアドレス情報は、情報層L1における位置S1に記録されている情報または外部からマイクロコンピュータ部8が受信した命令から、マイクロコンピュータ部8が認識する。
【0071】
例えば、位置S1が半径位置58mmで、情報層L1がDVDの物理フォーマットの場合には、線速度が約3.49m/秒であるために、式(1)より、位置S1における光ディスク1の回転数は、約575rpmとなる。マイクロコンピュータ部8がこの回転数575rpmを式(1)に基づいて演算する。
【0072】
そして、マイクロコンピュータ部8は、フォーカスサーボ回路およびトラックサーボ回路を開く(オープン状態)ように制御信号Smpを信号処理部6に出力する。
【0073】
そして、マイクロコンピュータ部8は、モータ部3の回転数を約575rpmとすることを示す情報である制御信号Smpを信号処理部6に出力する。制御信号Smpが入力された信号処理部6は、モータ部3の回転数を約575rpmとなるようにモータドライバ信号Sdmをドライバ部4に出力する。ドライバ部4は、モータ部3の回転数を約575rpmとなるようにモータ制御信号Sdmをモータ部3に出力する。モータ部3は、光ディスク1の回転数を約575rpmとする。
【0074】
なお、光ディスク1の回転数を約575rpmへ変更する前の、位置S0にピックアップ2の焦点がある場合の光ディスク1の回転数は、位置S0が半径位置25mmである場合には、495rpmから535rpm程度である。
【0075】
そして、光ディスク1の回転数が約575rpmへと変更されているときに、マイクロコンピュータ部8は、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置が、位置SK1を経由する経路K11および経路K12を通って位置S1に到達するように、信号処理部6を介して、ドライバ部4にピックアップドライバ信号Sdpを出力する。
【0076】
経路K11において、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置はフォーカスサーチ動作をおこなった後に情報層L0から情報層L1にフォーカスジャンプを行なう。この場合、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置が、位置S0の近辺において、マイクロコンピュータ部8はピックアップ2内にある半導体レーザから放出されるレーザビームLBの波長を変更するように制御する。
【0077】
具体的には、CDフォーマットである情報層L0において半導体レーザから放出される波長は約780nmであるが、DVDフォーマットである情報層L1において半導体レーザから放出される波長は約650nmである。この半導体レーザの波長変更は、フォーカスジャンプを行なう前の位置S0において、ピックアップ2がマイクロコンピュータ部8の制御に基づき行なうのである。
【0078】
また、マイクロコンピュータ部8は、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置が、位置SK2を経由する経路K21および経路K22を通って位置S1に到達するように、信号処理部6を介して、ドライバ部4にピックアップドライバ信号Sdpを出力する。
【0079】
経路K22において、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置はフォーカスサーチ動作をおこなった後に情報層L0から情報層L1にフォーカスジャンプを行なう。この場合、ピックアップ2から出射される光ビームLBの焦点位置が、位置SK2の近辺において、マイクロコンピュータ部8はピックアップ2内にある半導体レーザから放出されるレーザビームLBの波長を変更するように制御する。
【0080】
具体的には、情報層L0において半導体レーザから放出される波長は約780nmであるが、情報層L1において半導体レーザから放出される波長は約650nmである。この半導体レーザの波長変更は、フォーカスジャンプを行なう前の位置SK2において、ピックアップ2がマイクロコンピュータ部8の制御に基づき行なう。
【0081】
より詳細に以下に説明する。
【0082】
情報層L0はCDの物理フォーマットであるから、情報層L0に記録されている情報を読み取るためのレーザビームの波長は約780nmである。
【0083】
一方、情報層L1はDVDの物理フォーマットであるから、情報層L1に記録されている情報を読み取るためのレーザビームLBの波長は約650nmである。
【0084】
したがって、マイクロコンピュータ部8はピックアップ2から放出されるレーザビームLBの波長を約780nmから約650nmへ変更するように、信号処理部6を介して、ドライバ部4にピックアップドライバ信号Sdpを出力する。
【0085】
ピックアップ2から放出されるレーザビームLBの波長が約650nmに変わった後に、マイクロコントローラ部8は、フォーカスサーボ回路を閉じるように、信号処理部6へ制御信号Smpを出力する。
【0086】
すると、信号処理部6は、情報層L1に対してフォーカスサーチ動作を行なった後に、フォーカスサーボ回路を閉じる。
【0087】
次にマイクロコンピュータ部8は、位置S1に正確にピックアップ2から放出されるレーザビームLBの焦点を移動させるために、トラックサーボ回路を閉じるように、信号処理部6へ制御信号Smpを出力する。
【0088】
トラックサーボ回路が閉じると、レーザビームLBの焦点は光ディスク1の情報層におけるあるランドトラックの中心部またはグルーブトラックの中心部をトレースするようになる。
【0089】
すると、情報層L1に記録されている情報が、レーザビームLBの反射光としてピックアップ2に入射され、増幅部5および信号処理部6を介して、マイクロコンピュータ部8に入力される。
【0090】
マイクロコンピュータ部8は、情報層L1から反射されるレーザビームLBの反射光に基づいて、情報層L1の情報を解析する。情報層L1の情報には、トラック番号(トラックアドレス)が含まれる。マイクロコンピュータ部8はトラックアドレスを認識することによって位置S1とレーザビームLBの焦点とが何トラックずれているかを認識することができる(トラック誤差の認識)。
【0091】
ピックアップ2内にある対物レンズの移動によって、トラック誤差が発生しているトラックの数だけレーザビームLBの焦点が移動できるのであれば、マイクロコンピュータ部8は、信号処理部6およびドライバ部4を介して、対物レンズを光ディスク1の半径方向にトラック誤差分、トラックジャンプするように制御信号Smpを出力する(密サーチ)。
【0092】
対物レンズがトラックジャンプを行なった後に再び、マイクロコンピュータ部8は、情報層L1から反射されるレーザビームLBの反射光に基づいて、情報層L1に含まれるトラックアドレスを解析する。
【0093】
解析の結果、レーザビームLBの焦点が位置S1に合っていれば、マイクロコンピュータ部8は、位置S1における情報層L1に記録されている情報を、ピックアップ2、増幅部5および信号処理部6を介して、解析する。
【0094】
上述した実施形態においては、サーチ目標位置である位置S1における回転数にモータ部3が回転数を合わせているときに、ピックアップ2を移動させ、ピックアップ2内にあるレーザ半導体の周波数を切り替えたが、本実施形態はこれに限られるわけではない。
【0095】
例えば、サーチ目標位置S1における情報層L1の物理フォーマットに対応する波長のレーザビームLBに切り替えてから、サーチ目標位置である位置S1における回転数にモータ部3が回転数を合わせる動作を行なうこともできる。
【0096】
また、レーザビームLBの焦点は経路K11を介して、位置SK1に移動する場合には、マイクロコンピュータ部8は、トラックサーボ回路を開いた状態で、ピックアップ2を位置SK1からサーチ目標位置S1近辺まで移動させる。そして、マイクロコンピュータ部8は、トラッキングサーボ回路を閉じる。そして、マイクロコンピュータ部8は、上述した密サーチを行なって、サーチ目標位置S1へレーザビームLBの焦点を移動させる。
【0097】
次に図3の本実施形態のフローチャートを用いて、本実施形態の動作について説明する。
【0098】
各ステップについて動作を説明する。
【0099】
ステップS1において、マイクロコンピュータ部8は、レーザビームLBの焦点が位置する光ディスク1の情報層から、他の情報層へのジャンプ要求を受け取ったか否かを判断する。
【0100】
マイクロコンピュータ部8がジャンプ要求を受け取っていない場合には、ステップS1を繰り返す。マイクロコンピュータ部8がジャンプ要求を受け取っている場合には、ステップS2に進む。
【0101】
ステップS2において、マイクロコンピュータ部8が、ジャンプ要求があった情報層のメディアの種類(物理フォーマット)が分かっているか否かを判断する。
【0102】
マイクロコンピュータ部8が、ジャンプ要求があった情報層のメディアの種類が分かっていない場合には、ステップS17へ進む。マイクロコンピュータ部8が、ジャンプ要求があった情報層のメディアの種類が分かっている場合には、ステップS3へ進む。
【0103】
ステップS3において、ジャンプ要求のあったジャンプ先の情報層の回転速度(回転数)と、レーザビームLBの焦点が位置する光ディスク1の情報層との回転速度とが異なるか否かを判断する。
【0104】
回転速度が同じであると、マイクロコンピュータ部8が判断した場合にはステップS4に進む。回転速度が異なると、マイクロコンピュータ部8が判断した場合にはステップS17に進む。
【0105】
ステップS4において、サーチ目標位置の光ディスク1の回転中心位置からの半径方向への距離を、マイクロコンピュータ部8が演算する。次にステップS5に進む。
【0106】
ステップS5において、ステップS2において取得したサーチ目標情報層のメディアの種類と、ステップS4において取得したサーチ目標位置の半径距離とから、サーチ目標位置での光ディスク1の回転数を、マイクロコンピュータ部8が演算する。次にステップS6に進む。
【0107】
ステップS6において、マイクロコンピュータ部8は、ステップS5において演算した回転数で光ディスク1を回転するように、モータ部3を制御する。次にステップS7に進み、演算した回転数への変更とともに以降の処理を行なう。
【0108】
ステップS7において、マイクロコンピュータ部7はあらかじめ定められているサーチ方式がサーチ方式1であるかサーチ方式2であるかを判断する。サーチ方式はあらかじめマイクロコンピュータ部8のメモリ(図示せず)に記憶されている。サーチ方式が2である場合には、ステップS14に進む。サーチ方式が21である場合にはステップS8に進む。
【0109】
ステップS8において、マイクロコンピュータ部8はレーザビームLBの焦点位置をサーチ目標位置がある半径位置まで移動させる。次に、ステップS9に進む。
【0110】
ステップS9において、マイクロコンピュータ部8はサーチ目標位置にある情報層に対応するレーザ波長を有するレーザ半導体を駆動して、ピックアップ2から放出されるレーザビームLBの波長を変更する。次に、ステップS10に進む。
【0111】
ステップS10において、マイクロコンピュータ部8は、サーチ目標位置にある情報層に対してフォーカスサーチ動作を行なって、フォーカスサーボ回路を閉じる。次にステップS11に進む。
【0112】
ステップS11において、マイクロコンピュータ部8は、トラックサーボ回路を閉じる。次にステップS12に進む。
【0113】
ステップS12において、マイクロコンピュータ部8は、レーザビームLBの焦点が位置するサーチ目標の情報層に記録されているトラックアドレス等を含むID(Identification)情報を、ピックアップ2、増幅部5および信号処理部6を介して、読み取り、解析する。次にステップS13に進む。
【0114】
ステップS13において、マイクロコンピュータ部8は、レーザビームLBの焦点が位置するサーチ目標の情報層に記録されているトラックアドレスとサーチ目標位置のトラックアドレスが異なる場合には蜜サーチを行なって、レーザビームLBの焦点をサーチ目標位置へ移動させる。
【0115】
次にサーチ方式2について説明する。
【0116】
サーチ方式2はステップS14からステップS16において説明する。
【0117】
ステップS14において、マイクロコンピュータ部8はサーチ目標位置にある情報層に対応するレーザ波長を有するレーザ半導体を駆動して、ピックアップ2から放出されるレーザビームLBの波長を変更する。次に、ステップS15に進む。
【0118】
ステップS15において、マイクロコンピュータ部8は、サーチ目標位置にある情報層に対してフォーカスサーチ動作を行なって、フォーカスサーボ回路を閉じる。次にステップS16に進む。
【0119】
ステップS16において、マイクロコンピュータ部8はレーザビームLBの焦点位置をサーチ目標位置がある半径位置まで移動させ、ステップS11に進む。
【0120】
ステップS17は、従来からおこなわれているサーチを行なう。すなわち、サーチ目標位置が内周にある場合は、光ディスク1の回転数を上げ、サーチ目標位置が外周にある場合は、光ディスク1の回転数を下げるサーチ動作である。
【0121】
なお、本実施形態においては、記録再生層を2層としているが、本発明はこれに限られるわけではなく、記録再生層が3層以上の場合においても適用することができる。
【0122】
また、記録再生層は、DVD−ROM(Read Only Memory)、DVD−R(recordable)、DVD−RW(Rewritable)、DVD+RW、DVD−RAM(Random Access memory)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD―DA(Digital Audio)、BD(Blu-ray Disc)、HD DVD(High-Definition DVD)等に限られるわけではなく任意の光ディスク媒体を使用することができる。
【0123】
また、図3のフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスクに予め記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して予め記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該汎用のマイクロコンピュータ等を実施形態に係わるCPUとして機能させることも可能である。
【0124】
以上述べてきたように、本実施形態に記載のサーボ制御装置の構成によれば、種類の異なる情報層が一枚の光ディスクに複数存在している場合においても、情報層毎の光ディスクの回転数をあらかじめ認識することができれば、あらかじめ目標とする情報層の位置における回転数に光ディスクを回転させるとともに、目的とする情報層の位置にピックアップの焦点位置を移動させることができる。
【0125】
そして、目的とする情報層において、迅速に正常なサーボ制御をかけることができるので、目的とする情報層に記録されている情報を読み出すまでの時間を短くすることができる。
【0126】
すなわち、従来のように光ディスクの回転数制御をあらかじめピックアップの移動方向に対して決めておいて、目標とする情報層の位置へピックアップの焦点位置を移動させた後に、サーボ制御をかけて目的とする情報層に記録されている情報を読み取る場合に比べて、サーチ時間の短縮を図ることができるようになる。
【0127】
例えば、情報層間で照射されるべき光の波長が異なる場合には、従来技術においては、目的とする情報層の位置にピックアップの焦点位置を移動させた後に、サーボ制御がかからない為に、あらためてその目的とする情報層に関するサーボ情報が記録されている部分に移動して、サーボ情報を読み出すことがあり、正常なサーボ制御を行なうまでに時間がかかっていた。
【0128】
また、内周の情報層から外周の異なる情報層へ、ピックアップの焦点位置を移動させる場合には、従来は、光ディスクの回転数を減少させて、外周の異なる情報層においてサーボ制御をかけることを行なっていた。
【0129】
しかし、この場合に、外周の異なる情報層に記録されている情報を読み出す為に、光ディスクの回転数を上昇させなければならない場合には、従来のサーボ制御装置は正常なサーボ制御をかけることができずに一旦失敗するために、再び正常なサーボ制御を行なうまでに時間がかかっていた。また、ピックアップが移動するために一旦光ディスクの回転数を減少させた後に、再び回転数を上昇させなければならないので、目標の回転数に達するまでに時間がかかっていた。
【0130】
さらに、外周の情報層から内周の異なる情報層へ、ピックアップの焦点位置を移動させる場合には、従来は、光ディスクの回転数を上昇させて、内周の異なる情報層においてサーボ制御をかけることを行なっていた。
【0131】
しかし、この場合に、内周の異なる情報層に記録されている情報を読み出す為に、光ディスクの回転数を減少させなければならない場合には、従来のサーボ制御装置は正常なサーボ制御をかけることができずに一旦失敗するために、再び正常なサーボ制御を行なうまでに時間がかかっていた。また、ピックアップが移動するために一旦光ディスクの回転数を上昇させた後に、再び回転数を減少させなければならないので、目標の回転数に達するまでに時間がかかっていた。
【0132】
また、本実施形態に記載のサーボ制御装置の構成によれば、種類の異なる情報層が一枚の光ディスクに複数存在している場合においても、情報層毎の光ディスクの回転数をあらかじめ認識することができれば、あらかじめ目標とする情報層の位置における回転数に光ディスクを回転させるとともに、目的とする情報層にフォーカスジャンプすることができる。
【0133】
そして、目的とする情報層における目的位置まで、ピックアップの焦点位置を移動し迅速に正常なサーボ制御をかけることができるので、目的とする情報層に記録されている情報を読み出すまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】実施形態に係る光ディスク再生装置の概要構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係わるピックアップの焦点位置と光ディスクの情報層との位置関係をあらわす図である。
【図3】実施形態の2層光ディスクにおけるサーチ制御の動作をあらわすフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1 … 光ディスク
2 … ピックアップ
3 … モータ部
4 … ドライバ部
5 … 増幅部
6 … 信号処理部
7 … デジタルアナログ変換部
8 … マイクロコンピュータ部
LB … レーザビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御装置において、前記情報記録媒体を回転させる回転手段と、
前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出手段と、
前記光放出手段から放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光手段と、
前記情報層から反射され、前記受光手段によって受光された光から電気信号を生成する電気信号生成手段と、
前記電気信号生成手段によって生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別手段と、
一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出手段から放出された光の集光位置を移動させる移動手段と、
前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成手段によって生成された電気信号に基づいて演算する演算手段と、
前記移動手段を使用して前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算手段によって演算し、前記演算手段による演算結果に基づいて前記回転手段によって前記情報記録媒体を回転させる制御手段とを備え、
前記判別手段によって判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出手段から放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御手段は、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記移動手段を用いて前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させることを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフォーカス制御装置において、
前記制御手段は、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記情報層と平行な方向に前記移転先の近傍まで前記集光位置を移動させた後に、前記移動先の前記情報層に前記移動手段を用いて前記光放出手段から放出された光の前記集光位置を移動させさせることを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフォーカス制御装置において、
前記制御手段は、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記移動先の前記情報層に前記移動手段を用いて前記光放出手段から放出された光の前記集光位置を移動させた後に、前記情報層と平行な方向に前記移転先の近傍まで前記集光位置を移動させることを特徴とするサーボ制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサーボ制御装置と、
前記電気信号生成手段によって生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層に記録された音声情報または映像情報を再生する再生手段と、
を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報再生装置と、
前記情報層に記録されるべき記録情報を生成する記録情報生成手段とを備え、
前記電気信号生成手段は、前記情報層から反射され、前記受光手段によって受光された光から電気信号を生成するとともに、前記記録情報生成手段において生成された前記記録情報に基づいて、前記光放出手段を駆動することを特徴とする情報再生記録装置。
【請求項6】
再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御方法において、前記情報記録媒体を回転させる回転工程と、
前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出工程と、
前記光放出工程において放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光工程と、
前記情報層から反射され、前記受光工程において受光された光から電気信号を生成する電気信号生成工程と、
前記電気信号生成工程において生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別工程と、
一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出工程において放出された光の集光位置を移動させる移動工程と、
前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成工程において生成された電気信号に基づいて演算する演算工程と、
前記移動工程において前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算工程において演算し、前記演算工程における演算結果に基づいて前記回転工程において前記情報記録媒体を回転させる制御工程とを備え、
前記判別工程において判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出工程において放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御工程において、前記回転工程において前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するとともに、前記移動工程において前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させることを特徴とするサーボ制御方法。
【請求項7】
再生されるべき情報が形成された複数の情報層を持つ情報記録媒体から前記情報を再生するためのサーボ制御装置に含まれるコンピュータを、
前記情報記録媒体を回転させる回転手段、
前記情報記録媒体に入射される光を放出する光放出手段、
前記光放出手段から放出された光を前記情報層に集光するとともに、前記情報層から反射された光を受光する受光手段、
前記情報層から反射され、前記受光手段によって受光された光から電気信号を生成する電気信号生成手段、
前記電気信号生成手段によって生成された前記電気信号に基づいて、前記情報層の種類を判別する判別手段、
一の前記情報層から他の前記情報層に前記光放出手段から放出された光の集光位置を移動させる移動手段、
前記情報層において前記情報層に記録された情報を再生する場合における前記情報記録媒体の回転数を、前記電気信号生成手段によって生成された電気信号に基づいて演算する演算手段、
前記移動手段を使用して前記集光位置を移動させる場合には、移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数を前記演算手段によって演算し、前記演算手段による演算結果に基づいて前記回転手段によって前記情報記録媒体を回転させる制御手段として機能させ、
前記判別手段によって判別された一の情報記録媒体における複数の前記情報層の種類が異なる場合において、前記光放出手段から放出された光の集光位置が種類の異なる前記情報層間を移動する場合には、前記制御手段を、前記回転手段によって前記情報記録媒体の回転数を移動先の前記情報層に記録された情報を再生する場合の前記情報記録媒体の回転数に制御するように機能するとともに、前記移動手段を用いて前記移動先の前記情報層の位置に前記集光位置を移動させるように機能させることを特徴とするサーボ制御プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のサーボ制御プログラムがコンピュータに読み取り可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−64478(P2009−64478A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1848(P2006−1848)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】