説明

シアニン色素

【課題】生体標識用の安定なシアニン色素の提供。
【解決手段】下式Iの化合物。


(式中、ZがO、S、またはNR35;R35がHまたはアルキル;R〜Rが、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオン;R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCat;RおよびRが、H、アルキルであるか、選択的に(a)基と結合して環を形成し;mおよびnが0〜5の整数;XおよびYがO、S、Se、またはCR1920;RおよびR13が、アルキル、(CH25または(CH18;R〜R12およびR14〜R17が、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22;)の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2000年9月19日に提出された、米国特許仮出願第60/233,511号(本明細書に参照として組み入れられる)の出願日の利益を主張する。
【0002】
政府援助研究または開発
国立衛生研究所から授与されたHG01182の政府援助を使用して本発明を実施した。
【背景技術】
【0003】
背景
シアニン色素は、DNA配列決定などの種々の用途のための生体分子の標識に広く使用されている。例えば、シアニン色素を使用したDNA配列の同定法の例として、米国特許第5,571,388号(特許文献1)(本明細書に参照として組み入れられる)を参照のこと。他にも理由があるが、これらの多くの色素が近赤外線領域(NIR)(600〜1000nm)のスペクトルで操作されるので、科学者らは生物学的適用にシアニン色素の使用を好む。これにより、これらのシアニン色素の生体分子の自己蛍光からの干渉に対する感受性が低下する。
【0004】
シアニン色素の他の利点には、以下が含まれる:1)シアニンは強く吸着して蛍光を発すること、2)多くのシアニン色素は蛍光顕微鏡下で急速に漂白されないこと、3)簡単且つ有効なカップリング試薬であるシアニン色素誘導体を作製することができること、4)多数の構造および合成手順が使用可能であり、且つこの色素クラスは用途が広いこと、および5)シアニン色素は比較的小さく(典型的な分子量は約1,000ダルトンである)ので、標識生体分子のその結合部位に到達し、その機能を発揮する能力を低下させ得る方法で明確な立体障害を引き起こさないこと。
【0005】
これらの利点にもかかわらず、多数の既知のシアニン色素は、多数の欠点を有する。いくつかの既知のシアニン色素は、バイオアッセイで一般的に認められる所定の試薬の存在下で安定ではない。このような試薬には、水酸化アンモニウム、ジチオスレイトール(DTT)、第一級および第二級アミン、および過硫酸アンモニウム(APS)が含まれる。さらに、いくつかの既知のシアニン色素は、DNA配列決定および遺伝子型同定などの生物学的適用に必要な熱安定性および光安定性を欠く。
【0006】
これらの理由により、特に生体標識用の安定なシアニン色素が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,571,388号
【発明の概要】
【0008】
概要
本発明の方法、化合物、色素、および色素標識生体分子は、上記分技術分野の少なくともいくつかの問題を解決する。
【0009】
本発明の1つの局面では、式(I):
【化17】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、R〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、RおよびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化18】

と結合して環を形成し、mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、RおよびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、R〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する)の化合物が得られる。
【0010】
本発明の別の局面では、式(V):
【化19】

(式中、Catが陽イオンであり、XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、RおよびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、R11およびR12が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、R16およびR17が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する)の化合物が得られる。
【0011】
本発明の別の局面では、式(I)の色素を使用した生体分子の標識法は、式(I)の色素を生体分子と反応させる工程を含む。得られた色素標識生体分子は、本発明のさらに別の局面である。
【0012】
本発明の別の局面では、式(V)の色素を使用した生体分子の標識法は、式(V)の色素を生体分子と反応させる工程を含む。得られた色素標識生体分子は、本発明のさらに別の局面である。
【0013】
本発明のさらに別の局面では、生体分子標識用キットは、式(I)の色素および緩衝液を含む。同様に、本発明の別の局面では、生体分子標識用キットは、式(V)の色素および緩衝液を含む。
【0014】
本発明は、上記および他の特徴を提供し、本発明の利点は、以下の実施例と併せて以下の現在好ましい態様の詳細な説明からさらに明らかとなる。詳細な説明および実施例は、本発明の例示のみを意図し、本発明の範囲を限定せず、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
定義
「アルキル」は、置換および非置換直鎖アルキル基、置換および非置換分岐アルキル基、および置換および非置換シクロアルキル基を含む飽和脂肪族基である。「アルキル」という用語には、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、およびアルキルオキシアルキルエーテル種が含まれる。好ましい態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格に50個またはそれ以下、より好ましくは30個またはそれ以下、最も好ましくは10個またはそれ以下の炭素原子を有する。好ましいシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子、より好ましくは3〜6個の炭素原子を有する。「低級アルキル」は、その骨格中に1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。アルキル環状基は、環あたり3個と12個との間の原子、好ましくは骨格中に1個と9個の間の原子を含む、単環式または多環式の基であり得る。アルキル骨格上の好ましい置換基には、置換または非置換アルキルラジカル、ハロ、カルボキシル、アミノ、およびスルファナト基が含まれる。
【0016】
「アルケニル」および「アルキニル」は、長さが類似しており、且つ上記のアルキルラジカルに置換可能であるが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む、不飽和脂肪族置換基である。
【0017】
「アミノ」は、RおよびR’が同一でも異なっていてもよく、いずれかがHまたはアルキルである、−NRR’基である。好ましくは、RおよびR’の少なくとも1つがHである。選択的に、さらなる置換基を添加して、第四級アンモニウムイオンを作製することができる。
【0018】
本明細書中で使用される、「芳香環」には、酸素、硫黄、セレン、および窒素からなる群から選択される0〜4つのヘテロ原子を含み得る5〜12員環の芳香族単環式または融合多環式部分が含まれる。アリール基の例には、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ナフタレン、ベンザチアゾリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ベンズインドール、キノリンなどが含まれる。アリール基を、1つまたはそれ以上の位置で、ハロ、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、ハロアルキル、シアノ、スルホナト、アミノスルホニル、アリール、スルホニル、アミノカルボニル、カルボニル、アシルアミノ、アルキルスルホニル、アミノ、および置換または非置換置換基と置換することができる。
【0019】
「生体分子」は、生物系で使用される天然または合成分子である。好ましい生体分子には、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAが含まれる。
【0020】
「シアニン色素」は、一般に、不飽和架橋によって結合した2つの置換または非置換窒素含有複素環を有する化合物をいう。
【0021】
「結合基」は、生体分子の相補的官能基(好ましくは、カルボキシ、ヒドロキシ、チオール、またはアミノ官能基)と反応することができ、このような反応により生体分子に色素が連結する「結合」が形成される部分である。ハウグランド(R.Haugland)、「蛍光プローブおよび研究試薬ハンドブック(Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals)」、モレキュラープローブ(Molecular probes,Inc.)、1992を参照のこと。この開示では、R18は連結反応が起こる前の結合基であり、R30は色素と生体分子との間に得られた連結を示す。好ましい結合基には、ホスホラミダイト基、NHSエステル、カルボン酸、チオシアナート、およびイソチオシアナートが含まれる。
【0022】
「スルホナト」は、選択的に陽イオンに結合したSOである。
【0023】
「スルホ−フェノキシ色素」は、シアニン色素の不飽和架橋が、好ましくはベンゼン環の第4位でスルホナト基に置換されたベンゼン環へのエーテル結合に置換されたシアニン色素である。
【0024】
全ての他の頭文字および略語は、有機化学分野に関連する雑誌で公開された対応する意味を有する。
【0025】
好ましいシアニン色素
好ましいシアニン色素は、式(I):
【化20】

の化合物である。
【0026】
好ましくは、Zは、少なくとも1つの電子対を有するヘテロ原子である。特に好ましい態様では、ZはO、S、またはNR35であり、R35はHまたはアルキルである。R35がアルキルである場合、R35は低級アルキルであることが好ましい。好ましくは、Zは、Zに結合したベンゼン環とZに結合した式
【化21】

のポリエン鎖との間の直接的結合中に1つの原子のみが存在するような構造である。ベンゼン環とポリエン鎖との間の結合上の側鎖に接近可能である。側鎖を有するこれらの態様では、低級アルキル側鎖が好ましい。
【0027】
〜Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catは陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatである。RがSOCatであることが好ましい。CatはHまたはNaなどのアルカリ金属イオンことが特に好ましい。
【0028】
およびRは、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化22】

と結合して環を形成する。RおよびRが原子と結合して環を形成することが好ましい。環は4〜10個の原子、より好ましくは5〜6個の原子を有することが好ましい。1つの好ましい態様では、RおよびRを含む環は好ましくはスルホナトラジカルで置換されることが好ましい。
【0029】
整数mおよびnは、それぞれ独立して0〜5の整数である。好ましくは、mとnとの合計は2である。より好ましくは、mとnとの合計は1である。最も好ましくは、mとnとの合計は0である。mとnとの合計が増加するにつれて、色素の波長は高くなる。一般に、ポリエン鎖中の各二重結合の付加により、約40〜120nmの波長が増加し得る。トリメチンからペンタメチンまたはペンタメチンからヘプタメチンによる吸収の変化について、典型的には、約100nmの深色団のシフト(赤方偏移)が存在する。例えば、mとnが共に0である場合、好ましい色素の波長は、約770nmである。mとnが共に1である場合、好ましいし色素の波長は約950nmである。最も好ましい色素は、NIRスペクトル(600〜1000nm)で操作する。
【0030】
XおよびYは、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20は、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成する。XおよびYはO、S、およびSeなどのヘテロ原子であることが好ましい。XまたはYがCR1920である場合、R19およびR20は共に低級アルキル、より好ましくはR19およびR20は共にメチルであることが好ましい。
【0031】
およびR13は、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rは1〜50の整数であり、R25は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基である。好ましい態様では、RおよびR13の一方が(CH18であり、他方が(CH25である。言い換えれば、RおよびR13の一方が生体分子と反応して生体分子と結合し、他方が反応しないことが好ましい。R18基が共有結合して生体分子を標識することができなければならない。特に好ましいR18基には、メルカプト、カルボキシル、アミノ、ハロアルキル、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、およびマレイミジルが含まれる。特に好ましいR25基にはヒロドキシ、チオアセチル、およびスルホナトが含まれる。
【0032】
〜R12およびR14〜R17は、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21は結合またはアルキレンであり、R22はアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する。1つの好ましい態様では、R11およびR16の一方または両方がスルホナトである。別の好ましい態様では、R11およびR12が原子と結合して芳香環を形成し、環が少なくとも1つの位置でスルホナト基に置換されている。別の好ましい態様では、R16およびR17が原子と結合して芳香環を形成し、環が少なくとも1つの位置でスルホナト基、ハロ基、アルキル置換基、またはアミノ置換基に置換されている。
【0033】
別の好ましいシアニン色素は、式(V):
【化23】

の化合物である。
【0034】
Catは陽イオンである。好ましくは、CatはHまたは金属イオンである。より好ましくは、Catはアルカリ金属イオン、最も好ましくはNaである。XおよびYは、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCである。
【0035】
およびR13は、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rは1〜50の整数であり、R25は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基である。好ましい態様では、RおよびR13の一方が(CH18であり、他方が(CH25である。言い換えれば、RおよびR13の一方が生体分子と反応して生体分子と結合し、他方が反応しないことが好ましい。R18基が共有結合して生体分子を標識することができなければならない。特に好ましいR18基には、メルカプト、カルボキシル、アミノ、ハロアルキル、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、およびマレイミジルが含まれる。特に好ましいR25基には、ヒドロキシル、チオアセチル、およびスルホナトが含まれる。
【0036】
11およびR12は、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する。好ましい態様では、R11はスルホナトである。別の好ましい態様では、R11およびR12は原子と結合して芳香環を形成し、環は少なくとも1つの位置でスルホナト基に置換される。
【0037】
16およびR17は、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する。好ましい態様では、R16はスルホナトである。別の好ましい態様では、R16およびR17は原子と結合して芳香環を形成し、環は少なくとも1つの位置でスルホナト基に置換される。
【0038】
好ましいシアニン色素を、東芝(Toshiba)、フィリップス(Phillips)、ブルースカイリサーチ(Blue Sky Research)、およびNECなどの企業から購入可能な市販の装置によって有効に励起させることができる。
【0039】
好ましいシアニン色素は、十分な水溶性を有し、一旦可溶性生体分子に結合すると生体分子はその溶解性を保持する。好ましい色素はまた、良好な有機溶媒溶解性を有し、所望の生体分子標識への合成アプローチにおいて多大な汎用性を示す。
【0040】
好ましいシアニン色素は、水酸化アンモニウムおよびDTTの存在下で化学的安定性が増加する。好ましいシアニン色素は、フェノキシシアニン色素よりも光安定性および熱安定性が改良されている。
【0041】
好ましいシアニン色素の調製
好ましいシアニン色素を、当技術分野で既知の方法を使用して調製する。一般に、シアニン色素を、ハーマー(Hamer,F.M.)、「シアニン色素および関連化合物(Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ワイスバーガー(Weissberger,M.A)編、ウィリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、N.Y.、1964に開示の手順に従って調製する。さらに、米国特許第4,337,063号、同第4,404,289号、および同第4,405,711号(本明細書に参照として組み入れられる)には、N−ヒドロキシスクシンイミド活性エステル基を有するシアニン色素の合成が記載されている。米国特許第4,981,977号(本明細書に参照として組み入れられる)には、カルボン酸基を有するシアニン色素の合成が記載されている。米国特許第5,268,486号(本明細書に参照として組み入れられる)には、アリールスルホナートシアニン色素の作製法が開示されている。米国特許第6,027,709号(本明細書に参照として組み入れられる)には、ホスホラミダイト基を有するシアニン色素の作製法が開示されている。米国特許第6,048,982号(本明細書に参照として組み入れられる)には、イソチオシアナート、イソシアナート、ホスホラミダイト、モノクロロトリアジン、ジクロロトリアジン、モノまたはジハロゲン置換ピリジン、モノハロゲン置換ジアジンまたはジハロゲン置換ジアジン、アジリジン、ハロゲン化スルホニル、酸ハロゲン化物、ヒドロキシスクシニミドエステル、ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、イミドエステル、グリオキサル、およびアルデヒドからなる群から選択される反応基を有するシアニン色素の作製法が開示されている。
【0042】
1つの一般的な合成経路は、当技術分野で既知の手順(そのいくつかを本明細書の実施例に詳述する)による置換または非置換インドールスルホナート第四級塩の調製を含む。特に好ましいインドール第四級塩には、中でも本明細書中に例示されているインドールスルホナート第四級塩、およびベンズインドールアルコール第四級塩が含まれる。
【0043】
その後、合成塩の対を、当技術分野で既知の技術および反応条件(そのいくつかを本明細書の実施例に詳述する)を使用して、N[(3−(アニリノメチレン)−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル)メチレン]アニリン一塩酸などの市販の(ALDRICH)シッフ塩基と反応させる。次いで、生成物をヒドロベンゼンスルホン酸と反応させて、本発明に係る色素を得る。色素を、例えば、当技術分野で既知の技術および反応条件を使用した色素の市販のホスホラミダイト(2−シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイトなど)との反応(そのいくつかを本明細書の実施例に詳述する)によってさらに修飾して本発明に係る他の色素を得ることができる。
【0044】
生体分子の標識
本発明のシアニン色素を、上記で定義された生体分子に結合させることができる。結合基により、シアニン色素を、例えば、ホスホラミダイトの化学的性質の利用により生体分子に結合させることができ、最終的には色素と生体分子との間にリン酸結合を形成する。このような標識法の例として、多数の好ましい結合基、結合法、および容易に標識することができる生体分子を開示する米国特許第6,027,709号を参照のこと。一般に、DNA合成機でのDNA分子を標識するためのシアニン色素のホスホラミダイトを調製することが好ましい。標準的なホスホラミダイトの化学的性質による保護された支持体結合オリゴヌクレオチドの5’末端に色素を結合させることが好ましい。200nmoleスケールでの合成により、50〜60nmoleの色素標識オリゴヌクレオチドの典型的な粗生成物が生成される。
【0045】
種々の型の生体分子への色素の多数の結合法は当技術分野で既知である。オリゴヌクレオチド標識法の総説については、ハウグランド(R.Haugland)、「生体ポリマーの励起状態(Excited States of Biopolymers)」、ステイナー(Steiner)編、Plenum Press、1983、「蛍光プローブ設計および合成:技術ガイド(Fluorogenic Probe Design and Synthesis: A Technical Guide)」、PEアプライドバイオシステムズ(PE Applied Biosystems)、1996、およびハーマン(G.T.Herman)、Bioconjugate Techniques、Academic Press、1996を参照のこと。
【0046】
緩衝液の有機溶媒溶液中、室温の塩基pH条件下で抗体標識を行うことが好ましい。標識抗体を、セファデックス(SEPHADEX)G−50カラムなどの装置を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって精製して非結合色素を除去することもまた好ましい。
【0047】
生体分子の標識法の好ましい態様では、任意の好ましいシアニン色素のRまたはR13基のR18基は、生体分子上のチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはアミノ基と反応して、色素と生体分子との間に連結(R30)を形成する。典型的には、この反応はpH8〜9基の水性緩衝液とDMFなどの有機溶媒との混合物中で行う。1つの好ましい態様では、米国特許第6,027,709号で開示されるホスホラミダイトの化学的性質を使用した固相合成が好ましい。
【0048】
本発明にしたがってキットを使用して生体分子を標識することができる。キットの好ましい態様では、このキットは、式(I)または(V)の色素および緩衝液を含む。好ましくは、このキットは、1M KHPO(pH7.0)などのカップリング緩衝液を含む。好ましくは、この緩衝液は適切に蛍光バックグラウンドが低い。
【0049】
選択的に、このキットは精製サブキットを含むことができる。1つの好ましい色素を用いた生体分子の標識後、この標識生体分子を、任意の反応副産物および正常な加水分解に起因する任意の遊離加水分解生成物から分離することができる。13個またはそれ以下のアミノ酸を含む生体分子については、調製用薄層クロマトグラフィー(TLC)により不純物を除去することができる。パンベラ(PANVERA)は、色素標識ペプチドまたはタンパク質を精製するように特に設計されたTLCペプチド精製キットを提供している。
【0050】
巨大ペプチドまたはタンパク質などのより大きな生体分子については、SEPHADEX G−15またはG−25樹脂により望ましくない誘導体を除去することができる。PANVERAは、遊離色素から色素標識ペプチドおよびタンパク質を分離するように設計されたタンパク質ゲル濾過キットを提供している。脱塩後に残存する色素標識生体分子を、さらに精製を行うことなくうまく使用することができる場合がある。いくつかの場合、HPLCまたは従来のクロマトグラフィーを使用して異なる染色生成物の活性を解明および評価することが必要であり得る。
【0051】
一旦標識されると、1つの好ましい色素標識生体分子は、式(XV):
【化24】

である。
【0052】
全ての置換基は、上記で定義されている。Bは、生体分子であり、R30は(CHLであり、rは1〜50の整数であり、Lは結合基である。好ましくは、Bは、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAである。DNA配列決定における使用のための好ましい標識ターミネーターのリストについては、米国特許第5,332,666号(本明細書に参照として組み入れられる)を参照のこと。
【0053】
好ましくは、rは1〜5の範囲である。好ましくは、Lはホスホラミジチルまたは他の結合基(そのいくつかは米国特許第6,027,709号に例示されている)である。1つの好ましい態様では、Lは二リン酸エステルアミダイトである。
【0054】
別の好ましい色素標識生体分子は、式(XX):
【化25】

である。
【0055】
全ての置換基は、上記で定義されている。Bは、生体分子であり、R30は(CHLであり、rは1〜50の整数であり、Lは結合基である。好ましくは、rは1〜5の範囲である。1つの好ましい態様では、結合が形成された場合、Lはリン酸ジエステルである。類似の好ましい態様の例は、米国特許第6,027,709号に開示されている。
【0056】
DNA配列決定
本発明の色素標識生体分子を、DNA配列決定などの生物学的用途に使用することができる。オリゴヌクレオチドなどの標識生体分子を、例えばDNA配列決定のサンガー法におけるプライマー、遺伝子型同定用のテールプライマー、またはハイブリダイズ用プローブとして使用することができる。DNA配列決定のための一定の既知の技術および反応条件を、本明細書の実施例に詳述する。
【0057】
既知のDNA配列決定法には、マキサム(Maxam)ら、「酵素学の方法(Meth.in Enzym.)、65、499、1980に記載のマキサム-ギルバート(Maxam−Gilbert)の化学分解法およびサンガー(Sanger)、P.N.A.S.USA74、5463、1977に記載のサンガーのジデオキシチェーンターミネーション法が含まれる。各方法では、ゲル電気泳動によって分析される32Pで標識されたDNA断片が作製される。放射性標識したリンは一般にこれらの方法ではもはや使用されておらず、色素が使用されている。
【0058】
DNA配列決定は、総説にもまとめられている。例えば、ミッデンドルフ(Middendorf,L.R.)、ハンフェリー(Humphrey,P.G.)、ナラヤナン(Narayanan,N.)およびローマー(Roemer,R.C.)、「配列決定技術(Sequencing Technology)」、Biotechnology、レーム(Rehm,H.−J)およびリード(Reed,G.)編、Wiley−VCH Publishers、Germany−(章−投稿済);バレル(B.Barrell)、The FASEB Journal、5、40、1991;およびトレイナー(G.L.Trainor)、Anal.Chem.、62、418、1990、およびその参考文献を参照のこと。最も広く使用されているDNA配列決定化学は、いくつかの異なる配列決定ストラテジーを採用した上述のサンガーの酵素によるチェーンターミネーション法である。配列決定反応を、好熱性Taq DNAポリメラーゼ(M.A.Innes、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、9436、1988)または特異的に修飾したT7 DNAポリメラーゼ(「SEQUENASE」)(S.Tabor and C.C.Richardson、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、4767、1987)などの異なるDNAポリメラーゼを使用するか、ポリマー支持体の使用と組み合わせた中で行う。例えば、スタール(S.Stahl)ら、Nucleic Acids Res.、16、3025、1988;ウーレン(M.Uhlen)、国際公開公報第89/09282号;コカッザ(Cocuzza)ら、国際公開公報第91/11533号;およびジョーンズ(Jones)ら、国際公開公報第92/03575号(本明細書に参照として組み入れられる)を参照のこと。
【実施例】
【0059】
以下の節は、特定の化合物の実験データ同様、本発明によって作製された種々化合物の好ましい合成法を示す。この節はまた、本発明によって作製された化合物を使用する実施例を提供する。実施例は、例示を意図しており、制限を意図しない。
【0060】
実施例1:シアニン色素中間体の合成
【化26】

工程A:インドールスルホナート第四級塩の合成
160g(1000mmol)の1,1,2−トリメチル−1H−インドール(ALDRICH)と340.4g(256ml、2500mmol)のブタンスルトン混合溶液を、窒素下で400mlのジクロロベンゼンを含む1LのRBフラスコにて125℃に加熱した。16時間後、反応を停止させ、室温に冷却した。反応混合物を結晶化した固体を濾過し、その後、エーテル(150ml)で洗浄した。このようにして得られた固体を、最小体積のメタノール(300ml)に溶解し、アセトン(1600ml)の添加によって沈殿させた。固体を濾過し、アセトン(150ml×2)で洗浄した。これを真空乾燥させて、261.3g(88.5%)の第四級塩を得た。これは、次の工程での使用に十分に純粋であった。
【0061】
工程B:ベンズインドールアルコール第四級塩の合成
米国特許第6,027,709号の手順にしたがって、第四級塩を調製した。この場合、92.0gの1,1,2−トリメチル−1H−ベンズインドール(ACROS)を使用し、113.0g(収率60%)の純粋なベンズインドールアルコール第四級塩を得た。
【0062】
工程C:IRD 800−クロロ色素の合成
ベンズインドールアルコール第四級塩(39g、100mmol)、インドールスルホナート第四級塩(20.5g、100mmol)を含むエタノール混合溶液(400ml)を、窒素下で10〜15分間撹拌して均一な溶液を得た。この溶液にシッフ塩基(35.9g、100mol;ALDRICH)を添加し、100mlのエタノールを添加した。暗赤色溶液を、60℃に加熱した。この温度で、酢酸ナトリウム(21.32g;130mmol)を添加し、12.80gの酢酸カリウム(130mmol)を添加した。温度を上昇させて激しく還流し(110〜115℃)、この還流を35〜40分維持した。反応を停止させ、室温に冷却した。油性生成物が形成された場合、反応混合物を氷浴(1L)に注ぎ、底に沈殿させた。水をデカントし、水洗浄物が透明になるまでこの手順を繰り返した。油性生成物を、エーテル(150ml×3)および酢酸エチル(150ml×3)で粉砕した。部分的に固化した生成物をメタノール(350ml)中に溶解し、その後ロータリーエバポレーターによる蒸発によってメタノールを除去した。固体色素を、真空乾燥させた。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、35〜75mm、溶媒勾配:10%メタノールのアセトニトリル溶液から30%メタノールのアセトニトリル溶液)によってさらに精製して純粋なクロロ色素(29.0g、収率40%)を得た。
【0063】
実施例2:シアニン色素の合成
【化27】

スルホ−フェノキシ色素の合成
40mlの無水DMFに2.95g(12.70mmol)の4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸を溶解した。1.08g(60%、26.8mmol)の水素化ナトリウムの添加後、混合物を室温の窒素下で10分間撹拌した。25mlの無水DMFに溶解したIRD−800−クロロ色素(7.41g、10mmol)を反応混合物に添加し、さらに45〜50分間撹拌した。この期間の最後に788nmの吸収極大は13nmの浅色シフトを示し(801nmでのクロロ色素吸収)、従って、スルホフェノキシ色素が形成された。反応混合物にドライアイスを添加し、真空下でDMFを除去した。粗色素を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶媒勾配:10%メタノールのアセトニトリル溶液から30%メタノールのアセトニトリル溶液)によって精製して4gの純粋な色素(収率45%)を得た。
【0064】
実施例3:スルホ−フェノキシホスホラミダイトシアニン色素の合成
【化28】

スルホ−フェノキシ色素の合成
20mlの無水塩化メチレンに1.4g(1.59mmol)の上記スルホ−フェニル色素を溶解し、溶液を窒素下で撹拌しながら氷アセトン浴で冷却した。0℃での0.6g(1.01ml、3.18mmol)の2−シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイトおよび0.045g(1.3ml、0.64mmol)の1−Hテトラゾール溶液(0.5M)の添加後、溶液を室温で2〜2.5時間撹拌した。1%トリエチルアミンを含む塩化メチレンを反応混合物に添加し、次いで、反応混合物を5%重炭酸ナトリウム(50ml×2)および水(50ml×2)での洗浄に供した。硫酸ナトリウム無水物での乾燥後、溶液を濾過し、濾過物を5mlに濃縮した。濃縮溶液を、窒素下で撹拌しながら0℃のヘキサン(50ml)に添加した。ヘキサンのデカンテーション後に得られた粘性残渣を、エーテル(50ml)で粉砕し、固体粉末を得た。これを真空乾燥させて、スルホ−フェノキシホスホラミダイト(1.0g、収率58%)の緑色粉末を得た。
【0065】
実施例4:中間体シアニン色素の合成
【化29】

工程A:5−フルオロインドールの合成
フルオロフェニルヒドラジンヒドロクロリド(5.0g、30.75mmol、ALDRICH)、3−メチル−2−ブタノン(3.7g、43mmol、ALDRICH)、および酢酸(30ml)を、窒素下で30分間撹拌し、透明な溶液を得た。次いで、混合物を、130℃で還流する。255nmでの紫外可視極吸収極大の出現および282nmピークの消失により、インドールの形成が確認された。40分後、反応を停止させ、混合物を砕いた氷に注いだ(100g)。残渣を酢酸エチル(100ml×2)に抽出し、水(100ml×2)で洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、酢酸エチルを除去し、残渣を乾燥させて、4.15gのインドール(収率76%)を得た。
【0066】
工程B:5−フルオロインドールカルボキシレート塩の合成
5−フルオロインドール(3.0g、16.9mmol)、6−ブロモヘキサン酸(5.38g、27.6mmol、ALDRICH)のブチロニトリル混合物(90ml)を、140〜145℃の窒素下で還流した。35〜40時間後、第四級化が完了した。反応混合物を室温に冷却し、エーテルで粉砕し、最終的に真空乾燥させて、固体(6.0g、収率95%)を得た。
【0067】
工程C:ベンズインドールスルホナート第四級塩の合成
概説の手順にしたがって、この塩を実施例1の工程Aに記載のインドールスルホナート第四級塩の合成で調製した。
【0068】
工程D:クロロ色素の合成
工程Cの生成物を実施例1の工程Cに概説の手順を使用して、クロロ色素に変換した。この場合、0.4g(1mmol)の5−フルオロインドールカルボキシレート塩および0.35g(1mmol)のベンズインドールスルホナトを使用して、0.27g(収率35%)のクロロ色素を得た。
【0069】
実施例5:シアニン色素の合成
【化30】

非対称スルホ−フェニル色素の合成
実施例4のクロロ色素を、実施例2に概説の手順を使用してスルホ−フェニル色素に変換した。0.7g(0.91mmol)のクロロ色素を使用して、0.4g(収率48%)の純粋なスルホ−フェニル色素を得た。
【0070】
実施例6:NHSエステルシアニン色素の合成
【化31】

エステル色素の合成
5−フルオロインドールおよび中心にスルホ−フェニル基を含むカルボキシアルキル色素(0.27g、0.3mmol)を、DMF(3.0ml)および無水ピリジン(0.3ml)の混合物に溶解した。ジスクシニミジルカーボネート(DSC、ALDRICH、0.115g、0.44mmol)を添加し、混合物を、60℃の窒素下で2時間撹拌した。エーテル(15ml)での混合物の希釈後、上清をデカントし、生成物を無水DMF(2ml)に再溶解した。撹拌しながらエーテル(15ml)を滴下して、固体沈殿を得た。これを濾過し、真空乾燥させて、0.25gの反応性色素を得た(収率84%)。活性エステルの形成を、HPLCで確認した。
【0071】
実施例7:シアニン色素の合成
【化32】

工程A:1−(4−スルホナトブチル)−2,3,3−トリメチルインドリニンの合成
1,2,3−トリメチルインドーレニン(15.9g、100mmol)および1,4−ブタンスルトン(27.2g、200mmol)の混合物を、250mlの1,2−ジクロロベンゼン中で140℃まで16時間加熱した。溶媒のデカントによって分離された得られた粘着性残渣を、最小量のメタノールに溶解し、アセトンで沈殿した。桃色沈殿を濾過し、真空乾燥させた。収率:85%。
【0072】
工程B:1−(6−カルボキシペンチル)−2,3,3−トリメチルインドーレニン第四級塩
1,2,3−トリメチルインドーレニン(8g、50mmol)および6−ブロモヘキサン酸(19g、100mmol)の混合物を、250mlのブチロニトリル中で36時間加熱還流した。ロトバップ(rotovap)による溶媒除去後に得られた粘着性残渣を、最小量のクロロホルム中に溶解し、エーテルで沈殿した。沈殿物をエーテルで粉砕し、遊離の以下の乾燥粉末を得た。収率:70%。
【0073】
工程C:クロロ色素の合成
N−[(3−アニリノエチレン)−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル]−メチレン]アニリン一塩酸(1.30g、5mmol)および酢酸ナトリウム(1.1g、13mmol)と5mmolの工程Aおよび工程B由来の各第四級塩の混合物を、30mlの無水エタノール中で1時間還流した。ロトバップによってエタノールを除去するために、反応混合物を冷却した。残渣をC18逆相シリカゲルカラムでクロマトグラフ分析を行って(メタノール−水、3:2)、30%の所望のクロロ色素を得た。
【0074】
工程D:スルホ−フェノキシ色素の合成
4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩溶液を以下のように調製した。窒素下で0℃に冷却した60%水素化ナトリウム(120mg、3mmolの100%NaH)の10ml無水DMF懸濁液に、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸二水和物(2mmol、ALDRICH)のDMF溶液(10ml)を添加した。10分後、反応成分を、20分間室温まで加温した。次いで、成分を室温で激しく撹拌しながら30mlのDMF中で1mmolのクロロ色素を含むフラスコに移した。反応を紫外可視吸収スペクトルによってモニターし、782nmから769nmの浅色シフトを示した。30分後、ドライアイスを使用して反応を停止させた。DMFを、ロトバップで蒸発させた。エーテルでの沈殿により乾燥粉末として粗生成物が得られ、これを40%メタノール水溶液を使用するゲルカラムによる逆相C18シリカによってさらに精製した。収率75%。純粋な生成物を、プロトンNMRによって特徴付けた。
【0075】
工程E:スルホ−フェノキシ色素のNHSエステルの合成
2.6mgのスルホ−フェノキシ色素(0.0031mmol)を、1.5ml微量遠心分離チューブ中の250μlの無水DMFに溶解し、これに4.5mgのN−ヒドロキシスクシニミド(0.039mmol、ALDRICH)および10mgのDCC(0.05mmol、ALDRICH)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、反応の進行をHPLCでモニターした。過剰な試薬をエーテルによる沈殿によって除去し、粗色素−NHSEを沈殿の遠心分離によって回収し、HPLC RPC18プレップカラム(INTERTSIL、ODS 3.5μ、250×4.6mm)によってさらに精製した。緩衝液AB 90〜10%から緩衝液10%B(A=4%アセトニトリルの0.1M TEEAcおよびB=80%アセトニトリルの0.1M TEEAc溶液)の溶媒勾配で溶出した。画分をまとめてプールし、溶媒を吸引乾燥によって除去して2mgの純粋なエステルを得た。NHSエステルの存在をHPLCで確認した。
【0076】
実施例8:NHSエステルシアニン色素の合成
【化33】

NHSエステル色素の合成
実施例7のカルボキシルアルキル色素(2.6mg、0.0031mmol)を無水DMF(250μl)に溶解した。この溶液に、N−ヒドロキシスクシンイミド(ALDRICH、4.5mg、0.039mmol)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、ALDRICH、10mg、0.05mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応をHPLCでモニターし、NHSエステルをRPカラム(INERTSIL、ODS 3.5μ、250×4.6mm)への通過および10%b(a=0.1M酢酸トリエチルアンモニウムに溶解した4%アセトニトリル;b=0.1M酢酸トリエチルアンモニウムに溶解した80%アセトニトリル)〜100%aの範囲の溶媒勾配での溶出で精製した。真空下で溶媒を除去して2mgの純粋なNHSエステルを得た。反応性NHSエステル基の存在を、HPLCで確認した。
【0077】
実施例9:色素標識アシクロ−UTPの合成
【化34】

実施例8の色素を、アシクロターミネーターATP、GTP、CTP、およびUTPにうまく結合した。エヌイーエヌライフサイエンスプロダクツ(NEN LIFE SCIENCE PRODUCTS,INC)、Boston、MAからこれらの非標識ターミネーターを入手した。色素標識ターミネーターを、HPLCで95%を超える純度に精製した。これらの濃度を、水性リン酸緩衝液中で得られた紫外可視吸収スペクトルで同定した。DNA配列決定に標識類似体を使用し、高品質配列ラダーを色素が取り込まれた類似体を使用して得た。色素標識−アシクロ−UTPを、上記のように示す。
【0078】
実施例10:DNAの標識
実施例2のスルホ−フェノキシ色素のホスホラミダイトを使用して、DNA合成機で調製したDNA分子を標識した。色素を、ホスホラミダイト脱保護化学によって保護した支持体結合オリゴヌクレオチドの5’に結合させた。200nmolスケールでの合成では、フェノキシ色素標識オリゴヌクレオチドの典型的な粗収率は、65〜95nmolである。100〜125nmolのスルホ−フェノキシ色素標識オリゴヌクレオチドが得られる。
【0079】
実施例11:NHOHおよびジチオスレイトール(DTT)中でのスルホ−フェノキシ色素の安定性
実施例2のスルホ−フェノキシ色素およびフェノキシ色素対照物(それぞれ200nmol)を、400μlの濃縮水酸化アンモニウムで処理し、室温で1時間インキュベートした。400μlの濃縮水酸化アンモニウムの別のロットを添加し、さらに0.5時間撹拌した。これらは、色素標識プライマーの脱保護で使用した条件である。TLCによって15分間隔で反応を追跡した。フェノキシ色素の場合、15分後に青色夾雑物の形成が認められた。時間経過とともにこの夾雑物の強度は増加した。1.5時間後、色素のほとんど半分が分解され、青色色素が得られた。青色スポットを単離し、吸収および発光測定した。青色夾雑物の吸収極大は655nmであり、発光極大は747nmであった。同一の条件下で、TLCまたは吸収によってスポットすることができるスルホ−フェノキシ色素はいかなる青色スポットも形成しなかった。
【0080】
DTTの効果を研究するために、200nmolの色素を400μlのDTTのアセトニトリルで処理し、室温で撹拌した。一晩(16時間)の撹拌後、TLCにより新規のスポットの形成を示した。これらを単離して、吸収に供した。3つのスポットは各々、786nm、738nm、および392nmで吸収した。737nmでの吸収は、787nmで吸収するフェノキシ色素の分解による新規の色素の形成を示す。7〜8時間後のみに識別可能な不純物のスポットを得た。同一の条件下で、スルホ−フェノキシ色素は、738nmで吸収するいかなるスポットも得られない。
【0081】
両色素(フェノキシおよびスルホ−フェノキシ)は、吸収極大および減衰係数などの性質の大きな変化は認められなかった。しかし、スルホ−フェノキシ色素は828nmで発光し、788nmの吸収極大からより良好に分離された。したがって、フェノキシ色素よりもスルホ−フェノキシ色素を用いてより高いストークシフト(40nm)が得られ、ストークシフト値が25nmに対応する。このデータより、スルホ−フェノキシ色素が対応物フェノキシ色素より高い安定性が示される。
【0082】
範囲
本実施例を含む上記の詳細な説明が、制限よりもむしろ例示に関することが意図され、すべての等価物を含む特許請求の範囲が本発明の範囲を定義することを意図すると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、
〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、
およびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化2】

と結合して環を形成し、
mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する)の化合物。
【請求項2】
ZがOまたはSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がSOCatである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
CatがHである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Catが金属イオンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Catがアルカリ金属イオンである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびR
【化3】

と結合して環を形成する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
およびRを含む環がスルホナトと置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
およびRを含む環が4〜10員環である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
およびRを含む環が5または6員環である、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
およびRを含む環がヘテロ原子を含む、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
環が少なくとも1つの位置でアルキル基、アミノ基、またはスルホナト基に置換されている、請求項8に記載の化合物。
【請求項14】
mおよびnが共に0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
m+nの合計が3未満である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
XおよびYの少なくとも1つがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
XおよびYの少なくとも1つがSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
XおよびYの少なくとも1つがSeである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
XおよびYの少なくとも1つがCR1920である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
XおよびYの両方がCR1920である、請求項19に記載の化合物。
【請求項22】
19およびR20の少なくとも1つが低級アルキルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項23】
19およびR20の両方がメチルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
18が、メルカプト、カルボキシル、アミノ、ハロアルキル、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、およびマレイミジルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
およびR13のうちの1つが(CH25であり、R25がチオアセチルまたはスルホナトである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
18がメルカプト、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、またはイソチオシアナトである、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
rが1〜5の整数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
18が、アミノ、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、またはマレイミジルである、請求項24に記載の化合物。
【請求項29】
18がイソチオシアナトである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
およびR13の両方が(CH18である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
〜R12がそれぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
〜R12のうちの1つがスルホナトである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
〜R12のうちの1つが、アルキル、ハロ、アミノ、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキルであり、R22がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
14〜R47がそれぞれHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
14〜R17のうちの1つがスルホナトである、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
14〜R17のうちの少なくとも1つが、アルキル、ハロ、アミノ、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキルであり、R22がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
式(V):
【化4】

(式中、Catが陽イオンであり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
11およびR12が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
16およびR17が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する)
の化合物。
【請求項38】
CatがHまたは金属イオンである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
XおよびYのうち少なくとも1つが(CHCである、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
XおよびYのうち少なくとも1つがOである、請求項37に記載の化合物。
【請求項41】
XおよびYのうち少なくとも1つがSである、請求項37に記載の化合物。
【請求項42】
XおよびYのうち少なくとも1つがSeである、請求項37に記載の化合物。
【請求項43】
18がメルカプト、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、またはイソチオシアナトである、請求項37に記載の化合物。
【請求項44】
rが1〜5の整数である、請求項37に記載の化合物。
【請求項45】
18が、アミノ、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、またはマレイミジルである、請求項37に記載の化合物。
【請求項46】
およびR13が(CH18である、請求項37に記載の化合物。
【請求項47】
式(I):
【化5】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、
〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、
およびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化6】

と結合して環を形成し、
mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する)
の色素を生体分子と反応させる工程を含む、式(I)の色素を使用した、生体分子の標識法。
【請求項48】
生体分子が、少なくとも1つのヒドロキシル、カルボキシル、チオ、またはアミノを有し、式(I)の色素のRまたはR13が生体分子上の1つまたはそれ以上のヒドロキシル部位、カルボキシル部位、チオ部位、またはアミノ部位で生体分子と結合している、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
またはR13のうちの1つのみが生体分子に結合している、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
およびR13の両方が生体分子に結合している、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
生体分子が天然または合成生体分子である、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
生体分子が、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項47に記載の方法によって生成された、色素標識生体分子。
【請求項54】
式(XV):
【化7】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、
〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、
およびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化8】

と結合して環を形成し、
mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成し、
Bが生体分子であり、
30が(CHLであり、rが1〜50の整数であり、Lが結合基である)
の色素標識生体分子。
【請求項55】
18が、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシル、アミノ、ハロアルキル、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、およびマレイミジルからなる群から選択される、請求項54に記載の色素標識生体分子。
【請求項56】
Bが、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAからなる群から選択される、請求項54に記載の色素標識生体分子。
【請求項57】
式(V):
【化9】

(式中、Catが陽イオンであり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
11およびR12が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
16およびR17が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する)
の色素を生体分子と反応させる工程を含む、式(V)の色素を使用した、生体分子の標識法。
【請求項58】
生体分子が、少なくとも1つのヒドロキシル、カルボキシル、チオ、またはアミノを有し、式(I)のRまたはR13が生体分子上の1つまたはそれ以上のヒドロキシル部位、カルボキシル部位、チオ部位、またはアミノ部位で生体分子と結合している、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
またはR13のうちの1つのみが生体分子に結合している、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
およびR13の両方が生体分子に結合している、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
生体分子が天然または合成生体分子である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
生体分子が、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項57に記載の方法によって生成された、色素標識生体分子。
【請求項64】
式(XX):
【化10】

(式中、Catが陽イオンであり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
11およびR12がH、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
16およびR17がH、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
Bが生体分子であり、
30が(CHLであり、rが1〜20の整数であり、Lが結合基である)
の色素標識生体分子。
【請求項65】
18が、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシル、アミノ、ハロアルキル、ホスホラミジル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、スルホN−ヒドロキシスクシニミジルエステル、イソチオシアナト、ヨードアセトアミジル、およびマレイミジルからなる群から選択される、請求項64に記載の色素標識生体分子。
【請求項66】
Bが、タンパク質、ペプチド、酵素基質、ホルモン、抗体、抗原、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、炭水化物、少糖類、多糖類、核酸、デオキシ核酸、DNA断片、RNA断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸、およびPNAからなる群から選択される、請求項64に記載の色素標識生体分子。
【請求項67】
a)式(I):
【化11】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、
〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、
およびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化12】

と結合して環を形成し、
mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する)
の色素、および
b)緩衝液を含む、生体分子標識キット。
【請求項68】
精製キットをさらに含む、請求項67に記載のキット。
【請求項69】
精製キットが、遊離の加水分解色素および消光中に形成された結合物から色素標識生体分子を分離する方法を提供する、請求項68に記載のキット。
【請求項70】
a)式(V):
【化13】

(式中、Catが陽イオンであり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
11およびR12が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
16およびR17が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する)
の色素、および
b)緩衝液を含む、生体分子標識キット。
【請求項71】
精製キットをさらに含む、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
式(I):
【化14】

(式中、ZがO、S、またはNR35であり、R35がHまたはアルキルであり、
〜Rが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、カルボキシル、アミノ、またはSOCatであり、Catが陽イオンであり、R〜Rのうちの少なくとも1つがSOCatであり、
およびRが、それぞれ、H、アルキルであるか、選択的に
【化15】

と結合して環を形成し、
mおよびnが、それぞれ独立して0〜5の整数であり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、またはCR1920であり、R19およびR20が、それぞれ独立して、アルキルであるか、選択的に炭素原子と結合して環を形成し、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜50の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
〜R12およびR14〜R17が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロ、アミノ、スルホナト、R21COOH、R21OR22、R21SR22、またはR21COOR22であり、R21が結合またはアルキレンであり、R22がアルキルであるか、選択的にR11およびR12が原子と結合して芳香環を形成するか、選択的にR16およびR17が原子と結合して芳香環を形成する)の化合物であって、
化合物が生体分子を標識するための蛍光色素であり、色素が、熱安定性、光安定性、および水安定性が増加している、化合物。
【請求項73】
式(V):
【化16】

(式中、Catが陽イオンであり、
XおよびYが、それぞれ独立して、O、S、Se、または(CHCであり、
およびR13が、それぞれ独立して、アルキル、(CH25または(CH18であり、RおよびR13のうちの少なくとも1つが(CH18であり、rが1〜20の整数であり、R25が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と直接反応しない官能基であり、R18が、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、またはチオール基と反応することができる官能基であり、
11およびR12が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成し、
16およびR17が、H、スルホナトのいずれかであるか、原子と結合して芳香環を形成する)の化合物であって、
生体分子を標識するための蛍光色素であり、色素が、熱安定性、光安定性、および水安定性が増加している、化合物。

【公開番号】特開2012−21161(P2012−21161A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192233(P2011−192233)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2002−529216(P2002−529216)の分割
【原出願日】平成13年9月18日(2001.9.18)
【出願人】(508247040)リ−コール インコーポレーティッド (5)
【Fターム(参考)】