説明

シェーデイング補正処理付随処理機能補正技術を備えた画像処理装置

【課題】シェーデイング補正処理において、付随する処理である、加算平均処理とスムージング処理において発生するムラを削減することが超高精度画像計測に求められる補正機能である。
【解決手段】当発明では、均一光源を参照してそのムラ成分を抽出することが命題であるシェーデイング補正に付随する処理により発生するムラを同じ均一光源の参照面を利用して補正値を抽出する手法として、シェーデイングの補正値を乗じた取り込み信号で発生するムラのレベルの最大値と最小値のおののの画素に対する偏差率を抽出し、その偏差率とシェーッデイング補正の補正値に乗じて作成した合成補正値を、実際の計測時にカメラの出力信号との演算を行いレンズの球面収差による輝度補正に適用するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に適用されるレンズの収差による明るさの歪み(以後、シェーデイングと称する。)補正用光源を用い補正処理を行う際に適用する処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手法としては、カメラで均一光源を参照してその信号がレンズにより不正値を出力することになるために、その偏差を率として処理を行っている。
【特許文献1】特願2006−243533
【特許文献2】特願2007−165901
【特許文献3】特願2007−66403
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シェーデイング特性に対する補正(以後、シェーデイング補正と称する。)を行う際には、均一光源を参照し、カメラからの出力信号が均一となる予定との相違の偏差を比率に換算し、その逆数を乗することで対象とする均一光源との対比ができるデータとなる。これは、おのおのの画素の1bitの信号レベルの比率であり理論上は正しいものとして扱われているが、実際には、光源の揺らぎや変動といった状態が発生したり、あるいは、拡散光源の常識として、信号レベルにも細かい凹凸として出力されるために、これを補正するためにスムージングという技術を用いているがこれによるムラの発生を補正する手法がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この状況を抽出するために、シェーデイング補正を実施した条件でのムラデータを抽出するために均一光源を参照してシェーデイング補正値を作成し、再度、均一光源を参照して先に抽出したシェーデイング補正値の逆数を係数として適用することでシェーデイング補正により発生するムラ画像が抽出できる。このムラ画像の、おのおのの画素データの相関比を補正値として適用することで補正をするもの。
【発明の効果】
【0005】
当発明により、シェーデイング補正により発生するムラを削除することができたために輝度ムラに関する高精度画像計測が可能となった。このために、従来は、空間フィルターが最大の高精度画像計測とされてきたものだが、2値化処理や微分処理といった旧来の手法で安価で、さらに、充分に超高精度画像計測が可能となったために高速画像処理が産業の加工現場での適用が可能となった。このことは、現場での調整等の対応も可能となることからコスト的要因に対する寄与もすることになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
当発明の、計測方式の説明を実施例を図示して説明する。
【実施例1】
【0007】
当発明を、画像計測に適用する際にカメラレンズによるムラ発生に対する補正処理を実施例として説明する。
【0008】
図1は、均一光源とカメラよりの信号の対比を示すものであり、1−1は、均一光源のレベルを示す線であり理論的な条件として直線で表示している、また、ここでは2次元全体を示すことが不可能であるために代表的な対角線に発生するデータをグラフ表示するものである。一方、1−2は、カメラよりの信号を示す線であり同様に対角線上に発生するデータをグラフ表示としたものでありレンズの特性により中央が高いレベルで樽端を示す線となっている。1−3はグラフを示すおのおのの軸を示す線である。図2ではそれらに適用する部品群の位置関係を示すものであり、2−1は均一光源を側方より見た図であり、2−2は均一光の参照面を側方より見た部分である。2−3は、レンズであり2−4のカメラに取り付けられていることを示す。2−5は、相対位置を示す中央を示す線を描いたものである。
【0009】
実際のシェーデイング補正処理においては、レンズの特性上、カメラからの出力信号は図1の1−1のように画面一杯となる唯一の樽型歪みが存在することが理想的であり、できるだけその樽型の歪みの差が少ないものほと良いとされるものでありレンズの特性上重要な条件である。図3のような画面中に比較的大きな複数の凹凸を持つ条件ではレンズの特性を補正する目的に合致しないことから唯一の樽型の曲率をもつ光源を対象とすることとして、複数の原光源を用いずに適応する必然性がある。但し、複数の原光源であっても、完全、または、完全に近い条件となる構造をもつ原光源であれば対応が理想的となる。このためには、冷陰極管の適用か、あるいは、放電管を原光源として使用する必然性が現状の構造となっている。この原光源は、変動や不定位な変移を発生する可能性が高いものであることからその対応として、加算平均処理で対応することになる、さらに、光束を均一化するために拡散手段を用いている光源の特性から、図4の4−1のように微少な凹凸が発生するものである。この変動に対しては、複数の画像枚数の画像信号を同一画素番地同士を加算し、さらに、平均化して扱うことになるが、多数の画像を参考に説明に用いることは煩雑になるために表記した図5と図6の2枚の画像を代表として説明する。図5の実践で表示される信号と図6の1点鎖線で表示される信号の加算平均された信号は図7で点線で表示されている。当然、ランダムに発生する凹凸における信号も平均値として処理されることになる。また、図4で示すような拡散基調の補正には、図8で図示するカーネルに記しているように、1つの四角形が画素を表示するものであり、おのおのの画素にはaからiまでの記号が付されている。このカーネルサイズは代表例として3x3画素で示すが、さらに大きいサイズのカーネルでも同様の対処となる。演算としては、a+b+c+d+e+f+g+h+iを9で割ることになるが場合によっては、eに重し付けをして特徴的な凹凸を緩和する場合もある。
【0010】
0009では、概念としての処理方式を説明したが、この項では処理を図示する。
図9は、加算平均で発生するムラを示すが、代表として、2つの固定的状況で変動する光量レベルが存在する場合で説明する。9−1の実線で示すものは第1回目の画像信号であり、9−2の1点鎖線は第2回目の画像信号である。この2回のみの合成信号は点線で示す9−3である。9−4は、第1回目に相当する信号が繰り返し変動をすることを示す。9−5は、第2回目の信号が繰り返し変動をすることを示す。何れの繰り返しも同期をしていない場合では特に9−6と9−7の部分が平均値とは違う状況となる。このような変動の非同期条件や、あるいは、原光源の特性で特異レベル領域の移動や変動が大きい場合ではそれ以外の部分との境界部分にムラが発生することになる。
【0011】
一方、スムージング処理を施す場合を説明すると、図10の微細な凹凸をもつ信号の3画素のデータの平均値を採取することを示し、図11では、次の画素から3画素の凹凸の平均値を採取することを示す。また、図12では、さらに次の画素から3画素の平均値を採取することをしめしており、図13はその3種類の様子を示すものである。13−1は図10で採取したものであり、13−2は図11で採取したものを示し、13−3は図12で採取したものを示す。これは、平均化するリスクを示すものであり、0010の項で示す変動や変位の原点は、冷陰極管や放電管では特定部位に輝度変動が繰り返される傾向があることもその一因として発生するものであるが、その変動に伴いこの平均値の変動の特異点が加味されてムラとして定常化する可能性があることを示すものである。ここで
説明するスムージングと称する処理方式はこれをうち消すものであるが、この状況には、図9のように、加算平均による処理で発生する特徴的変化部分が最後までデータとして拘わりをもつことなる。スムージング処理においては、図14のように、14−1の変化部の特徴が最後まで残ることになる。これらの残留ムラ値を補正するための手法が必要となる超高精度画像処理においては、このムラ補正を必要とするものである。
【0012】
処理の方式は、シェーデイング補正の係数を抽出した均一光源をそのまま参照して、再度、カメラで均一光源を取り込むことで参考画像のような画像を検出することができる。この画像の断面は図14で示しており、14−1は変動幅であり、14−2は最小レベルを示し14−3は最大レベルを示す。14−2を14−3で割るとその偏差率が1以下の数値として算出できる。この際に、最小値を基本とする場合には、最小値は1以上の数字となる。このような手法を全画素に対して行い補正値とするが、この数値の逆数を係数としてシェーデイング補正で適用する係数に乗ずるものであり、その値が合成係数として実際の計測に適用されるものである。
【実施例2】
【0013】
当発明を、2値化処理、あるいは、微分処理に適用して画像計測を行う際を実施例として説明する。
【0014】
一般的に、2値化処理や微分処理の光源の対応として完全均一光源の適用された例は聞かない。このために、2値化処理や微分処理の計測結果には閾値に関して公差範囲を広くとる必要がある。この状況を均一として算出する方法がある。処理の方式としてはシェーデイング補正と同様の処理であるが、参照をする光源は、実際の画像処理を行う状況を適用するもので、画素の最大値、あるいは、最小値を対象とする各画素の比例値を補正係数とし、その逆数が係数とするものである。しかしながら、レンズの収差によるシェーデイング補正を施さなければレンズによる歪み成分の誤差が発生することになる。また同時に、当発明による処理を行うことも超高精度画像計測には必要でもある。その説明として、ここで抽出されたデータは、A/D変換素子による量子化で1−lsb±1/2−lsbの誤差を許容されているために、その抽出された値に対し最低でも2−lsbの誤差範囲を許容するものとなる。つまり、2−lsbのムラが判明していることは4−lsbであることも想定できるものである。図15はその説明であるが、14−1と14−2の1/2という単位はデジタルには有り得ないことから最大で1−lsbづつ変動の可能性があることになり、その和は4−lsbとなる。光源変動や処理偏差等を加味すると10−lsbの可能性も視野に入れる必要があるためにこの2−lsbのムラを削減することは超高精度画像計測に重要な意味をもつことになる。さらに、デジタル処理を行う全てのセンシングにおいて同様のムラが発生している可能性もあるために固定的に誤差を生むムラは削除する意義があるものと考える。図16は、実際の処理に適用される抽出画像である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
従来では、均一光源を参照してレンズの補正を行う際の指針がなかったものだが、超高精度画像計測にはこのムラによる精度保全も考慮に入れる必然性が発生することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光源の光量レベルと、カメラからの出力信号の相違を示すグラフ。
【図2】均一光源と、カメラ、および、レンズとの位置の相関を示す側面図。
【図3】複数の、比較的相関幅が広く点在する均一に近いレベルを示す図。
【図4】拡散光源に発生する、信号幅が微少でありその振幅が非常に大きくなり、さらに、常に変化をしていることを示す図。
【図5】冷陰極管等の、変動や変位を示すための基本となる固定の樽型信号図。
【図6】冷陰極管等の、変動や変位があり変化を来した樽型信号の代表例を示す信号図。
【図7】図5と図6で示す、レベル線を合成した状況を示す図。
【図8】シェーデイング補正に付随する、スムージング処理を行う際の代表例として示す3x3のカーネルを示す図。
【図9】シェーデイング補正に付随する、加算平均を行う状況を示すレベル線の状況の固定状況を示すグラフ。
【図10】拡散光源により発生する、信号の凹凸を代表例として3x3画素を代表する3画素をスムージング処理を行う枠を示す。
【図11】拡散光源により発生する、信号の凹凸を代表例として3x3画素を代表する3画素をスムージング処理を行う枠を示す。
【図12】拡散光源により発生する、信号の凹凸を代表例として3x3画素を代表する3画素をスムージング処理を行う枠を示す。
【図13】拡散光源により発生する、図10・図11、および、図12の信号の凹凸をスムージングで平均化した状況を水平線で示す図。
【図14】シェーデイング補正に付随する処理により発生するムラを示すレベルの断面グラフ。
【図15】A/D変換に伴う、公差が与える変化量を示す図。
【図16】実際の処理に対応する画像。
【符号の説明】
【0017】
1−1 均一光源の信号状態を示す線。
1−2 カメラ出力信号を示す線。
1−3 信号の表示を行うグラフを示す。
2−1 均一光源の側面図。
2−2 均一光源の、参照面の側面を示す。
2−3 カメラに取り付けられたレンズを示す。
2−4 カメラ
2−5 均一光源とカメラ、および、レンズの相関を示す線。

4−1 拡散光源で発生する、微少幅で大きい振幅の凹凸が発生を示す。
9−1 樽型歪みの、固有波形の1つを代表するものを示す線。
9−2 代表例としての、別の、樽型歪みの固有波形を示す。
9−3 9−1と9−2の、1セットのみの場合の平均化による平均化された線を示す。
9−4 9−1を基本とする、固有波形のレベルが増減することを示す矢印線。
9−5 9−2を基本とする、固有波形のレベルが増減することを示す矢印線。
9−6 9−1と、9−2の固有波形の線が交わる付近を示す。
9−7 9−1と、9−2の固有波形の線が交わる付近を示す。
10−1 拡散光源の、微少幅で大きい振幅の凹凸の信号のうちの3本の波形を対象とすることを示す枠の図。
11−1 拡散光源の、微少幅で大きい振幅の凹凸の信号のうちの3本の波形を対象とすることを示す枠の図。
12−1 拡散光源の、微少幅で大きい振幅の凹凸の信号のうちの3本の波形を対象とすることを示す枠の図。
13−1 10−1で示す枠内の3本の波形とそれらのスムージングによる平均化された水平レベル線を1つの図で示すもの。
13−2 11−1で示す枠内の3本の波形とそれらのスムージングによる平均化された水平レベル線を1つの図で示すもの。
13−3 12−1で示す枠内の3本の波形とそれらのスムージングによる平均化された水平レベル線を1つの図で示すもの。
14−1 シェーデイング補正の、付随処理で発生するムラ成分の変化レベル幅を示す偏差量を示す。
14−2 シェーデイング補正の、付随処理で発生するレベルの最低レベル値を示す。
14−3 シェーデイング補正の、付随処理で発生するレベルの最高レベル値を示す。
15−1 A/D変換に伴う公差である、1/2lsbのレベル幅を示す。
15−2 A/D変換に伴う公差である、1/2lsbのレベル幅を示す。




提出書類は、本件開発時に抽出した画像であり、書類名図面の図14、および、図15に対するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理等に使用する、カメラに適用するレンズにより発生する光学的歪みであるシェーデイング特性の補正で適用される技術として、光量がランダムに変化をする状況に対する補正技術として加算平均処理があり、また、拡散光源で発生する微少な明るさのレベル(以後、輝度と称する。)の凸凹を改善するためにスムージング処理技術を用いるが、それらにより発生する基本図形が輪状の不整データ、あるいは、点状の不正データを除去することを目的とする手法で、シェーデイング補正に適用する均一光源を参照しながら加算平均処理とスムージング処理を施して輝度のムラを補正するための補正値を抽出する。その後、同じ条件のまま均一光源を参照し、先に作成したシェーデイング補正値を適用して補正適用画面を作成する。これにより作成された画像の画素の最大値に対するおのおのの画素ごとの比例値を算出するが、画素の最大値の代わりに最小値を用いてもよい。この数値を補正値としてシェーデイング補正の補正値に乗じて合成補正値とし、その逆数を係数として実際の計測のためのカメラからの画素ごとのデータと演算を行いながら補正して真の画像データとして用いるための機能を有するシェーデイング補正処理付随処理機能補正技術を備えた画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−89287(P2009−89287A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259348(P2007−259348)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(396014544)
【Fターム(参考)】