説明

シェービング用組成物

【課題】使用に際して水を必要とせず、手軽にどこでも簡便に使用できて、剃刀の肌へのフィット感を向上させることにより深剃りを実現しつつ、剃り斑のない仕上がりと使用感触に優れたシェービング用組成物を提供すること。
【解決手段】下記の(1)及び(2)を含有する、シェービング用組成物を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
(1)下記一般式(I)
【化1】


[式中、結合数nは、0を含む正の数である。また、Rは、水素原子又は脂肪酸残基であり、エステル化度、すなわち、脂肪酸残基であるRの数/全体のRの数が、1分子平均で0.60以上である。]、にて示されるポリグリセリン脂肪酸エステル
(2)揮発性イソパラフィン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング用組成物、すなわち、剃毛に先立ち、剃毛箇所に塗布して、剃刀の運びをスムーズにして、剃毛に際しての使用者の切り傷、剃毛後の剃刀負けや炎症等の惹起を抑制することを目的とする皮膚外用組成物(頭皮頭髪を含む)に関する発明である。より具体的には、本発明は、使用前に水・湯で濡らしたり蒸らしたりする必要がなく、使用後には水で洗い流す必要のない、拭き取りで簡便な使用法のシェービング用組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
体毛、例えば、髭、眉毛、脇毛等の硬毛や、顔、手、脚等の生毛を、美容上の理由等から、剃刀を使って処理することは、古来行われている行為である。その一方、剃毛に際しての使用者の切り傷、剃毛後の剃刀負けや炎症等の肌トラブルも、古来の悩みである。
【0003】
現在、市販されているシェービング(脱毛又は除毛を意味する)手段は、典型的には、(1)「剃刀使用の洗い流しタイプ」、すなわち、手動の剃刀の使用を前提として、シェービングクリーム、シェービングフォーム、後発泡シェービングジェル等を、シェービングによる肌トラブル緩和のために用いるタイプ、(2)「電気剃刀使用タイプ」、すなわち、電気剃刀の使用を前提として、収斂剤入りプレシェービングローション、粉末入りプレシェービングローション等を肌トラブル緩和のために用いるタイプ、(3)「脱毛剤」、すなわち、剃刀の使用をせずに、脱毛ワックス、脱毛粘着シート等により、物理的に脱毛を行うタイプ、(4)「除毛剤」、すなわち、剃刀の使用をせずに、チオグリコール酸配合のクリームやエアゾールにより、化学的に脱毛を行うタイプ、等が挙げられる。
【0004】
上記(1)は、切り傷のリスクはあるが、肌への負荷は小さいという特徴があり、(2)は、剃刀負けのリスクはあるが、肌への負荷が小さいという特徴があり、(3)は、毛根から体毛を除去できるが炎症のリスクが認められるという特徴があり、(4)は、きれいに除毛はできるが、肌への負荷が大きいという特徴が認められる。
【特許文献1】特開2000−281544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術は、「剃刀用プレシェービング組成物」に関するものであり、当該組成物は、使用に際して水を必要としないので、手軽にどこでも簡便に使用できるが、剃刀の肌へのフィット感に欠けていたため、深剃りをすることが難しいという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明が解決すべきは、使用に際して水を必要とせず、手軽にどこでも簡便に使用できて、剃刀の肌へのフィット感を向上させることにより深剃りを実現しつつ、剃り斑のない仕上がりと使用感触に優れたシェービング用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、この課題の解決に向けて鋭意検討を重ねた結果、角層柔軟効果に優れた特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと揮発性イソパラフィンとを組み合わせて配合したシェービング用組成物に所望の効果が認められることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の(1)及び(2)を含有する、シェービング用組成物(以下、本発明組成物ともいう)を提供する発明である。
(1)下記一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、結合数nは、0を含む正の数である。また、Rは、水素原子又は脂肪酸残基であり、エステル化度、すなわち、脂肪酸残基であるRの数/全体のRの数が、1分子平均で0.60以上である。]、にて示されるポリグリセリン脂肪酸エステル
(2)揮発性イソパラフィン
【0011】
上述したように、本発明において、「シェービング」とは、脱毛又は除毛を意味し、「シェービング用組成物」とは、身体の剃毛部分、例えば、髭、眉毛、脇毛等の硬毛や、顔、手、脚等の生毛等が認められる身体部分に剃毛直前に塗布し、当該部分を剃毛に適した状態とするための組成物のことを意味する。本発明組成物は、化粧品、医薬部外品に適用され、まれに医薬品としても用いられる。
【0012】
本発明組成物は、皮膚の角質層を柔軟化させて、剃刀の肌へのフィット感を向上させて深剃りを実現しつつ、剃り斑のないつるつる・すべすべの仕上がりとべたつきが残らない使用を与えることが可能であるという特徴を有する。そのため、毛剃り前の皮膚への水分の浸潤措置、例えば、水やお湯による濡らし、洗浄料の塗布後の水洗浄、蒸しタオルによる蒸らし等、を行わずに、本発明組成物を肌に塗布して毛剃りを行っても不都合がなく、さらに、毛剃り後のふき取りを、水を用いないで行っても、本発明組成物の残存は実質的に認められない。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、剃刀の肌へのフィット感を向上させて深剃りを実現しつつ、剃り斑のないつるつる・すべすべの仕上がりとべたつきが残らない使用を与えることが可能なシェービング用組成物が提供される。また、毛剃り前に角質の軟化のために皮膚への水分の浸潤措置を行わなくても、スムーズな毛剃りが可能である。また、毛剃り後に、水を用いなくても、本発明組成物はスムーズに除去される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明組成物に配合される、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、上記式(I)にて示される、エステル化度が高い、すなわち、脂肪酸残基であるRの数/全体のRの数が、1分子平均で0.60以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルである。Rがとり得る脂肪酸残基としては、直鎖飽和脂肪酸、直鎖不飽和脂肪酸、分岐不飽和脂肪酸、又は、分岐不飽和脂肪酸の残基であることが可能であるが、当該ポリグリセリン脂肪酸エステル(I)は、37℃にて液状であるポリグリセリン脂肪酸エステルである。よって、このエステル化度に関する条件を満たすように、エステル化度やRがとる脂肪酸残基の種類が選択される。
【0015】
脂肪酸残基としては、例えば、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、イソステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、エルカ酸、ヤシ脂肪酸、パーム核油脂肪酸、ヌカ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、マカデミアナッツ油脂肪酸等の残基を挙げることができる。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステル(I)の分子中において、Rがとり得る脂肪酸残基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、上記のエステル化度は、好適には、0.75以上である。また、結合数nは、好適には2以上、さらに好適には4以上である。
【0016】
本発明組成物に配合するポリグリセリン脂肪酸エステル(I)は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、配合量は、好適には、組成物に対して0.1〜20.0質量%が好適であり、1.0〜10.0質量%がさらに好適である。
【0017】
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(I)と共に、本発明組成物中に配合される揮発性イソパラフィンの炭素原子数は、8〜16であることが好適であり、特に好適には12〜16である。さらに具体的には、イソヘキサデカン、又は、イソドデカンが、本発明組成物に配合した場合の匂い品質が良好で、かつ、べたつきを生じにくく、極めて好適である。
【0018】
本発明組成物に配合する揮発性イソパラフィンは、1種又は2種以上が用いられる。また、配合量は、好適には、組成物に対して1.0〜30.0質量%が好適であり、1.0〜10.0質量%がさらに好適である。
【0019】
さらに、本発明組成物には、当該組成物を肌上に塗布後の剃刀の滑りを向上させるために、1種又は2種以上の粉末成分を配合することができる。当該粉末成分の素材としては特に限定されず、例えば、コーンスターチ等の公知の粉末成分を配合することができる。また、粉末粒子の形状は、特に限定されないが、概ね球状であることが、肌上における剃刀の滑りを向上させるためには好適である。また、粉末粒子の平均粒径は、概ね0.01〜500μmであり、好適には0.1〜50μmである。当該粉末成分の本発明組成物における配合量は、概ね組成物に対して0.1〜20.0質量%であり、好適には1.0〜10.0質量%である。
【0020】
本発明組成物の剤型は任意であり、可溶化系、乳化系、粉末分散系、油−水の2層系、油−水−粉末の3層系など、いずれでも構わない。本発明組成物が乳化系である場合には、乳化形式として油中水型または水中油型のいずれでもとり得るが、本発明の効果を失わないように調製することが望ましい。
【0021】
本発明組成物には、所望の剤型に応じた基剤成分を、必要に応じて配合することができる。
【0022】
例えば、本発明組成物に配合し得る水溶性多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングルコール、1,3−ブチレングルコール、1,4−ブチレングルコール、テトラメチレングルコール、2,3−ブチレングルコール、ペンタメチレングルコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール等の4価のアルコール、キシリトール等の5価のアルコール、ソルビトール、マンニトール等の6価のアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ一ルモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等の2価のアルコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等の2価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアステート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の2価アルコールエーテルエステル、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール、グリソリッド、テトラハイドロフルフリルアルコール、POEテトラハイドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POPPOEブチルエーテル、トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POPグリセリンエーテル、POPグリセリンエーテルリン酸、POPPOEペンタンエリスリトールエーテルが挙げられ、これらのうちから1種または2種以上が任意に選択され用いることができる。
【0023】
本発明組成物に配合し得る、ポリグリセリン脂肪酸エステル(1)と揮発性イソパラフィン以外の油分としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイペリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、脂肪酸油、アルコール類、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油など、一般的に用いられる油分が挙げられる。
【0024】
また、本発明組成物には、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、ビタミン、ホルモンなどの薬剤、香料など通常の化粧品に配合される他の成分を配合することも可能である。
【実施例】
【0025】
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、これにより、本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。なお、以下に質量%とあるのは、全てシェービング用組成物全体に対する質量%を意味する。まずは、後述する実施例及び比較例の評価方法について説明する。
【0026】
[角質柔軟効果試験]
皮膚モデルとして、ミニブタの皮膚(Yucatan Micropig Skin Set:Charles River 社)を用い、加熱−トリプシン処理により採取した角質層を、2×30mmの切片とした。これを連続的動的粘弾性測定装置(東洋精機、資生堂共社製、具体的には、「J.Soc.Cosumet.Chem.,35,171-181」第172頁記載の装置)にセットし、当該角質層の弾性率を3分毎に経時で3回測定し、その平均を試験液塗布前の弾性率の測定値とした。次いで、試験液2μlを角質上に塗布し3〜4mm幅に広げ、同様にして経時で15分間測定し、試験液塗布前の弾性率に対する比により、角質柔軟効果の評価を行なった。
【0027】
<評価基準>
◎:弾性率比が0.2未満
○:弾性率比が0.2〜0.4未満
△:弾性率比が0.4〜0.6未満
×:弾性率比が0.6以上
【0028】
[深剃り効果試験、仕上り評価試験及び使用感触試験]
ふくらはぎの脛毛が1cm以上ある健常人男性25人のふくらはぎ部位に、25cm(5cm×5cm)の正方形のシェービング・エリアを設定し、
・水やお湯で濡らす
・洗浄料を塗布して水で洗浄する
・蒸しタオルで蒸らす
等の、剃毛エリアにおける皮膚への水分の浸潤措置は一切行なわず、当該エリアに直接シェービング用組成物を2分間塗布し、その後2枚刃の汎用型安全カミソリで脛毛を剃ってティッシュで、水を用いることなく拭き取り、深剃り効果、仕上り及び使用感触について下記の基準に従って評価し、判定を行なった。
【0029】
<判定基準>
深剃り効果
◎:25名中20名以上が、深剃りの良さを認めた
○:25名中15〜19名が、深剃りの良さを認めた
△:25名中10〜14名が、深剃りの良さを認めた
×:25名中9名以下が深剃りの良さを認めた
仕上がり(剃り斑のない仕上がりの良さ)
◎:25名中20名以上が、剃り斑のない仕上がりの良さを認めた
○:25名中15〜19名が、剃り斑のない仕上がりの良さを認めた
△:25名中10〜14名が、剃り斑のない仕上がりの良さを認めた
×:25名中9名以下が、剃り斑のない仕上がりの良さを認めた
使用感触(べたつき感のなさ)
◎:25名中20名以上が、使用後のべたつき感のなさを認めた
○:25名中15〜19名が、使用後のべたつき感のなさを認めた
△:25名中10〜14名が、使用後のべたつき感のなさを認めた
×:25名中9名以下が、使用後のべたつき感のなさを認めた
【0030】
次に、実施例及び比較例で用いたポリグリセリン脂肪酸エステルの組成及び商品名を記述する。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(A)
組成:デカイソステアリン酸デカグリセリル(エステル化度 0.83)
商品名:日光ケミカルズ社製 NIKKOL Decaglyn 10-IS
ポリグリセリン脂肪酸エステル(B)
組成:ペンタオレイン酸デカグリセリル(エステル化度 0.42)
商品名:日光ケミカルズ社製 NIKKOL Decaglyn 5-OV
ポリグリセリン脂肪酸エステル(C)
組成:ペンタオレイン酸テトラグリセリル(エステル化度 0.83)
商品名:日光ケミカルズ社製 NIKKOL Tetraglyn 5-O
ポリグリセリン脂肪酸エステル(D)
組成:ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(エステル化度 0.63)
商品名:日光ケミカルズ社製 NIKKOL Hexaglyn 5-O
【0031】
また、実施例及び比較例で用いた揮発性イソパラフィンについても、組成及び商品名を記述する。
揮発性イソパラフィン(A)
組成:イソヘキサデカン
商品名:PRESPERSE社製 PERMETHYL 101A
揮発性イソパラフィン(B)
組成:イソドデカン
商品名:PRESPERSE社製 PERMETHYL99A
【0032】
表1〜3(表内の数字のみの欄は、配合量を示す質量%である)に、実施例1〜9及び比較例1〜6の処方とその評価結果を示す。これらの結果から、本発明組成物が、角質柔軟効果に優れ、剃刀のフィット感が上がることで深剃り効果が高く、剃り斑のない、つるつる・すべすべの仕上がりと、べたつきが残らず、使用感触に優れていることが分かる。なお、比較例3〜5は、角質柔軟効果が認められなかったので、実使用試験は行わなかった。
【0033】
<製造方法>
実施例1〜9及び比較例1〜2においては、(15)に、(13)(1)(2)を溶解させ、(5)に(3)を湿潤させたものを添加して水相を完全に溶解させる。更に、(4)及び、(12)を(6)に溶解させたものを水相に添加後、(14)を添加して中和し、(7)(8)(9)(10)を混合した油相を徐々に添加して常温で乳化を行なう。最後に(11)を徐々に添加しながらホモミキサーで乳化粒子を均一にして目的のシェービング用組成物を得た。
【0034】
比較例4は、(4)(5)を単純に撹拌混合して得た。比較例6は、精製水(15)に(13)(1)(2)を溶解させ、(5)に(3)を湿潤させたものを添加して水相を完全に溶解させる。更に、保湿剤(4)及び、(12)を(6)に溶解させたものを水相に添加後、(14)を添加して中和し、(7)(8)(16)を混合した油相を徐々に添加して常温で乳化を行なう。最後に(11)を徐々に添加しながらホモミキサーで乳化粒子を均一にして、目的のシェービング用組成物を得た。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
以下に示す実施例10〜11についても、角質柔軟効果に優れ、剃刀のフィット感が上がることで深剃り効果が高く、剃り斑のないつるつる・すべすべの仕上がりとべたつきが残らない使用感触に優れたシェービング用組成物であった。
【0039】
[実施例10]シェービング用組成物
配合成分 配合量(質量%)
(1)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー
(Noveon社製Carbopol 1342) 0.1
(2)ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス−7
(Seppic社製SEPIGEL 305) 3.0
(3)グリセリン 10.0
(4)ジブチレングリコール 4.0
(5)エタノール 8.0
(6)マカデミアナッツ油 5.0
(7)揮発性イソパラフィン(A) 0.7
(8)揮発性イソパラフィン(B) 0.3
(9)ポリグリセリン脂肪酸エステル(C) 0.1
(10)酸化チタン 0.5
(11)フェノキシエタノール 適量
(12)メタリン酸Na 適量
(13)苛性カリ 適量
(14)精製水 残余
【0040】
精製水(14)に(12)(1)(2)(3)(4)の順にそれぞれを溶解させ、(11)を(5)に撹拌混合させたものをその水相に添加後、(13)を加えて中和し、(6)(7)(8)(9)を混合した油相を徐々に添加しながら常温で乳化を行なう。最後に、(10)を徐々に添加しながらホモミキサーで乳化粒子を均一にしてシェービング用組成物を得た。
【0041】
[実施例11]
配合成分 配合量(質量%
(1)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー
(Noveon社製Carbopol 1342) 0.2
(2)ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス−7
〔Seppic社製SEPIGEL305) 3.0
(3)グリセリン 10.0
(4)ジブチレングリコール 4.0
(5)エタノール 8.0
(6)マカデミアナッツ油 5.0
(7)揮発性イソパラフィン(A) 20.0
(8)揮発性イソパラフィン(B) 10.0
(9)ポリグリセリン脂肪酸エステル(D) 10.0
(10)ポリアクリル酸アルキル・流動パラフィン複合末 5.0
(11)フェノキシエタノール 適量
(12)メタリン酸Na 適量
(13)苛性カリ 適量
(14)精製水 残余
【0042】
精製水(14)に(12)(1)(2)(3)(4)の順にそれぞれを溶解させ、(11)を(5)に撹拌混合させたものをその水相に添加後、(13)を加えて中和し、(6)(7)(8)(9)を混合した油相を徐々に添加しながら常温で乳化を行なう。最後に、(10)を徐々に添加しながらホモミキサーで乳化粒子を均一にしてシェービング用組成物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)及び(2)を含有する、シェービング用組成物。
(1)下記一般式(I)
【化1】

[式中、結合数nは、0を含む正の数である。また、Rは、水素原子又は脂肪酸残基であり、エステル化度、すなわち、脂肪酸残基であるRの数/全体のRの数が、1分子平均で0.60以上である。]、にて示されるポリグリセリン脂肪酸エステル
(2)揮発性イソパラフィン
【請求項2】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(I)が、37℃で液状のポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1に記載のシェービング用組成物。
【請求項3】
ポリグリセリン脂肪酸エステル(I)の配合量が、組成物全体の0.1〜20.0質量%の範囲である、請求項1又は2に記載のシェービング用組成物。
【請求項4】
揮発性イソパラフィンの炭素原子数が8〜16である、請求項1〜3のいずれかに記載のシェービング用組成物。
【請求項5】
揮発性イソパラフィンの配合量が、組成物全体の1.0〜30.0質量%の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載のシェービング用組成物。
【請求項6】
粉末成分を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のシェービング用組成物。
【請求項7】
剃毛箇所における皮膚への水分の浸潤措置を行わずに、前記シェービング用組成物を塗布して、剃刀にて当該箇所の剃毛を行う、請求項1〜6のいずれかに記載のシェービング用組成物を用いる美容方法。
【請求項8】
前記シェービング用組成物の塗布後に、剃刀にて剃毛箇所の剃毛を行った後の、シェービング用組成物の除去を、水を用いない拭き取り行為のみにて行う、請求項1〜6のいずれかに記載のシェービング用組成物を用いる美容方法。

【公開番号】特開2009−73741(P2009−73741A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242557(P2007−242557)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】