説明

シグナリングチャネルを用いたワイヤレス通信ネットワークでのプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の通話要求をセットアップする方法

【課題】ワイヤレス通信ネットワークにおけるプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にする装置および方法を提供する。
【解決手段】移動体デバイスは、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する。無線信号送信ポイントにおいて、PTTメッセージを含むデータパケットをデータ通信ネットワークから受け取り、データパケットをチェックし、データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する。さらに、無線信号送信ポイントは、データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージでない場合に、専用アクセスチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年6月21日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/581,968号、および2005年5月31日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第60/686,147号の利益を主張している。これらの文書の内容は、参照によりここに明確に組み込まれている。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、ワイヤレス電気通信システムにおけるデータ伝送に関し、さらに詳細に述べると、ワイヤレス電気通信システム内で伝送されるデータタイプの識別に関する。
【関連技術の説明】
【0003】
ワイヤレス電気通信システムにおいて、プッシュ・ツー・トーク(PTT)能力は、サービスセクタによって一般化している。PTTがサポートできるのは、コード分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、時間分割多元接続(TDMA)、およびグローバルシステムフォーモバイル通信(GSM)のような、標準規格の商用ワイヤレスインフラストラクチャを通じて動作する“ディスパッチ”音声サービスである。ディスパッチモデルでは、エンドポイント(エンドユーザデバイス)間の通信は、仮想グループ内で発生し、一人の“話者”の音声が、一人以上の“受話者”にブロードキャストされる。このタイプの通信の単一の例は、ディスパッチ通話、すなわち簡単に言うと、PTT通話と呼ばれることが一般的である。PTT通話は、通話の特徴を規定するグループのインスタンシエーションである。基本的に、メンバリストおよびグループ名またはグループ識別のような関係する情報によって、グループが規定される。ワイヤレスマルチキャストチャネルがないときは、通話を管理するPTTサーバと各エンドポイントとの間の別のポイントツーポイント接続の組み合わせによって、各グループは形成される。各エンドポイントはクライアントとしても知られている。
【0004】
図1は、PTT通信をサポートする先行技術のアーキテクチャ100を図示している。アーキテクチャは、電気通信事業者のCDMAのインフラストラクチャおよびパケットデータネットワークとともに、単一のPTTサーバ領域の配備を含む。PTTサーバの各領域は、キャリアのパケットデータネットワークの特定の部分に対して配備される。領域内のPTTサーバは、キャリアのネットワークにおいて、1つ以上のパケットデータサービスノード(PDSN)間のトラフィックをルーティングしてもよい。PTT機能をサポートする通信デバイス102は、基地局104と通信する。基地局104は高速ネットワーク106と通信し、通信デバイス102から受け取られたPTT通信は、基地局104とネットワーク106とを通ってパケットデータサービスノード(PDSN)に送られる。PDSNは、高速ネットワーク106およびPTTサーバのネットワーク108と通信し、PTTネットワーク110に接続されている。PDSNは、PTTネットワーク110においてPTT通信をPTTサーバ112に転送する。
【0005】
PTTサーバ112は、PTTグループのメンバ間のPTT通信を取り扱う。PTTサーバ112はPTT通信を一人のメンバから受け取り、そのPTT通信をPTTグループのすべてのメンバに転送する。PTT通信は、一般的に、ネットワーク110からデータパケットとして受け取られる。PTTサーバ112によって送出されるPTT通信もデータパケットフォーマットである。受信移動スイッチングセンタ(MSC)および接続された基地局(BS)が専用チャネルを確立して、受信移動体クライアント(PTTメンバ)にPTT通信を送信する。
【0006】
図2は、PTT通話セットアップの先行技術のメッセージフロー200を図示している。PTTユーザ(発信者)がPTT通信を実行する準備ができたとき、ユーザ(発信者)が自分の移動体デバイス102上のPTT起動ボタンを押すと、PTT要求が実行される。移動体デバイス102によって受け取られたPTT要求に応答して、移動体デバイスは通話要求をPTTサーバ112に送る。このPTTサーバ112は、PTTディスパッチャとしても知られている。PTTサーバ112は、通話要求を受け取り、通話要求を処理する。通話要求処理は、PTTユーザを識別することと、PTTユーザが属しているPTTグループを識別することと、このPTTグループのメンバを識別することと、PTTグループの各メンバに送る通話通知メッセージを準備することとを含む。
【0007】
PTTサーバ112が通話通知メッセージを送った後、各通話通知メッセージはMSCによって受け取られ、MSCによってBSに転送される。BSは、通話通知メッセージをブロードキャストする。ターゲット受信機である移動体クライアントが利用可能である場合、移動体クライアントは、通話受入メッセージをPTTサーバ112に返信する。通話受入メッセージを少なくとも1つの移動体クライアントから受け取った後、PTTサーバ112は、発信移動体クライアントに発言許可メッセージを返信する。発信者のPTT通信グループ中に一人より多いターゲットユーザがいてもよく、少なくとも一人のターゲット移動クライントが利用可能である場合に、PTTサーバ112は発信者に対して発言を許可する。
【0008】
先に記述したPTT通信セットアッププロセスは時間に影響を受け易く、図2で示している初期PTT待ち時間は、ネットワークトラフィックによって影響を受ける。長い待ち時間は、PTT通信のユーザに直接影響を及ぼす。したがって、高速なPTTセットアップを可能にするシステムおよび方法が望まれ、そのようなシステムおよび方法に本発明は主に向けられている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の装置および方法によって、PTT通信ユーザからのPTT関連入力に対する高速な応答が可能になる。1つの実施形態において、移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク通信の高速セットアップを可能にする方法を提供する。移動体デバイスは、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する。方法は、無線信号送信ポイントにおいて、PTTメッセージを含むデータパケットをデータ通信ネットワークから受け取ることと、データパケットをチェックすることと、データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信することとを含む。
【0010】
別の実施形態において、移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク通信の高速セットアップを可能にする方法を提供する。移動体デバイスは、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する。方法は、移動体デバイスにおいて、PTT通信要求を受け取ることと、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを無線送信ポイントに送信することと、無線送信ポイントはPTTサーバと通信していることとを含む。
【0011】
さらに、別の実施形態において、移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)の高速セットアップを可能にする装置を提供する。装置は、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通して移動体デバイスと通信する。装置は、PTTメッセージをデータネットワークから受け取るネットワークインターフフェイスユニットと、PTTメッセージを記憶する記憶ユニットと、PTTメッセージを解析する制御装置ユニットと、無線信号を通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する無線インターフェイスユニットとを備える。記憶ユニット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、無線インターフェイスユニットはシグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する。
【0012】
さらに別の実施形態において、移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間プッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にする装置を提供する。装置は、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通して移動体デバイスと通信している。装置は、ユーザによるPTTメッセージを受け取るユーザインターフェイスと、ユーザから受け取ったPTTメッセージを記憶する記憶ユニット、記憶ユニット中に記憶されたPTTメッセージを解析する制御装置ユニットと、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージをワイヤレス通信ネットワークに送信する送信機ユニットとを備える。
【0013】
したがって、ワイヤレス通信デバイスがPTT通話セットアップ関連メッセージを優先的に与えることができるので、本装置および本方法は効果的である。PTT通話セットアップ関連メッセージを送信するためにシグナリングチャネルを使用することによって、PTT通話の待ち時間を減少させることができる。
【0014】
本発明の効果および特徴は、図面の簡単な説明、発明の詳細な説明および特許請求の範囲に記載されている以後のものをレビューした後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、ワイヤレス通信ネットワークの先行技術アーキテクチャである。
【図2】図2は、PTT通話をセットアップする先行技術メッセージフローである。
【図3】図3は、本発明の1つの実施形態にしたがった基地局のアーキテクチャである。
【図4】図4は、ワイヤレスデバイスの例示的な実施形態のアーキテクチャである。
【図5】図5は、例示的なワイヤレスデバイスプロセスのフローチャートである。
【図6】図6は、PTTサーバプロセスの例示的な実施形態のフローチャートである。
【図7】図7は、PTT関連メッセージを処理する基地局プロセスのフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0016】
この説明では、“通信デバイス”、“ワイヤレスデバイス”、“ワイヤレス通信デバイス”、“PTT通信デバイス”、“ハンドヘルドデバイス”、“移動体デバイス”および“ハンドセット”というこれらの言葉を同義的に用いる。ここで用いるような“アプリケーション”という言葉には、実行可能および実行不可能なソフトウェアファイル、生データ、集積データ、パッチおよび他のコードセグメントを含めていることを意図している。“例示的な”という言葉は、開示された構成要素または実施形態が例のみであることを意味しており、この言葉は、ユーザの何らかのパフォーマンスを示していない。さらに、同じ番号はいくつかの図面を通して同じ構成要素を参照し、説明において特定しない限り、冠詞“a”および“the”は複数形の参照を含む。
【0017】
システムおよび方法によって、ワイヤレスデバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップが可能になる。一般的に、ワイヤレスデバイスがPTT通信を基地局(BS)に送信する準備ができたときに、ワイヤデバイスは、シグナリングチャネルを通して、専用チャネルの確立を行うBSにチャネル要求を送る。BSがリバースアクセスチャネルを確立すると、ワイヤレスデバイスはリバースアクセスチャネルを通してPTT通信をBSに送信する。同様に、BSがPTT通信をワイヤレスデバイスに送信する準備ができたとき、BSはシグナリングチャネルを通してページングメッセージをワイヤレスデバイスにブロードキャストする。ワイヤレスデバイスがページングメッセージを認識した後、BSはワイヤレスデバイスに対してフォワードアクセスチャネルを確立し、フォワードアクセスチャネルを通してPTT通信をワイヤレスデバイスに送信する。専用アクセスチャネルへの接続を待つ代わりに、シグナリングチャネルを通してセットアップ関連PTTメッセージを送信することによって、PTT通信のセットアッププロセスをスピードアップすることができる。
【0018】
図3は、シグナリングチャネルを通してPTTセットアップ関連メッセージを送信できる、BSサーバの簡略化されたアーキテクチャ300である。BSサーバ302は、データパケットをデータネットワークから受け取るネットワークインターフェイスユニット304、PTTメッセージを記憶するバッファ308、PTTメッセージを無線信号のフォーマットでワイヤレスデバイスに送信する無線インターフェイスユニット306、および制御装置ユニット310を備える。データネットワークから受け取ったデータパケットは、PTTメッセージ、特に、PTTセットアップメッセージを含んでいてもよい。PTTメッセージが受け取られたとき、PTTメッセージはバッファ308に記憶される。制御装置ユニット310は、バッファ308中のPTTメッセージを解析する。PTTメッセージが、通話通知メッセージまたは発言許可メッセージのようなセットアップ関連PTTメッセージである場合に、PTTメッセージをシグナリングメッセージに埋め込み、シグナリングチャネルを通して、そのメッセージをワイヤレスデバイスに送信するように、制御装置が無線インターフェイスユニット306に指示する。セットアップ関連PTTメッセージは、セットアップ関連PTTメッセージのパケットヘッダによって識別される。
【0019】
図4は、ワイヤレスデバイスを簡略化したアーキテクチャ400である。ワイヤレスデバイスは、ユーザと通信するユーザインターフェイスユニット408、情報を記憶する記憶ユニット404、情報を受け取り、その情報をワイヤレス通信ネットワークに送信するトランシーバユニット410、および制御装置402を備える。ユーザインターフェイスユニットは、(示していない)ディスプレイユニット、スピーカユニット、マイクロフォン、およびPTT起動ボタンを含む。ユーザがPTT通信を実行する準備ができたときに、ユーザがPTT起動ボタンを押すと、制御装置402がPTT通話要求を発生させる。PTT通話要求はシグナリングメッセージに埋め込まれ、シグナリングチャネルを通してトランシーバユニットによってワイヤレス通信ネットワーク中のBSに送信される。
【0020】
ユーザからの何らかのアクションに関係なく、ワイヤレスデバイスは、PTTセットアップ要求メッセージもBSに送信してもよい。ワイヤレスデバイスが電源投入されたときに、ワイヤレスデバイスはPTT通話通知メッセージをBSから受け取ってもよい。PTT通話通知メッセージに応答して、制御装置ユニット402はPTT通話受入メッセージを発生させ、トランシーバユニット410はPTT通話受入メッセージをシグナリングメッセージに埋め込み、シグナリングチャネルを通してそのメッセージをBSに返信する。
【0021】
図5は、ワイヤレスデバイスにおけるPTTプロセスの1つの実施形態のフローチャート500である。ワイヤレスデバイスは、ワイヤレス通信ネットワークを通しての、ユーザまたはPTTサーバのいずれからの要求を継続的に監視する。ステップ502において、PTT関連入力がワイヤレスデバイスによって受け取られたとき、そのPTT関連入力がPTT起動要求であるか否かを、PTTプロセスがチェックする。ワイヤレスデバイス上のPTT機能のユーザによる起動に応答して、PTT起動要求がワイヤレスデバイスのPTTプロセスによって受け取られる。PTT入力がPTT起動要求である場合、ステップ504において、ワイヤレスデバイスは通話要求を発生させ、ステップ506において、ワイヤレス通信ネットワークを通して通話要求をPTTサーバに送る。通話要求はPTT通話セットアップ関連メッセージであり、通話要求は、シグナリングチャネルを通してシグナリングメッセージ中で基地局に送信される。すなわち、通話要求メッセージは、シグナリングメッセージに埋め込まれる。専用リバースチャネルを要求する代わりに、ワイヤレスデバイスは、シグナリングチャネルを通して基地局に対し、通話要求メッセージまたは通話受入メッセージのような時間に影響を受け易いPTT通話セットアップ関連メッセージを送信する。
【0022】
ステップ508において、PTT入力が基地局からの通話通知である場合、ステップ510において、ワイヤレスデバイスは通話受入メッセージを発生させて、ステップ512において、シグナリングチャネルを通して通話受入メッセージを基地局に返信する。専用リバースチャネルを通して通話受入メッセージを送る代わりに、シグナリングチャネルを通して通話受入メッセージを基地局に返信し、基地局が通話受入メッセージをPTTサーバに転送することによって、PTTサーバは、PTT通話発信ワイヤレスデバイスに対してより早く発言を許可できる。ステップ514において、PTTプロセスは、他のPTT関連入力も処理する。
【0023】
図6は、PTTサーバのフローチャート600である。PTTサーバは、PTT関連メッセージをすべてのPTTサービス利用者から受け取る。ステップ602において、PTTサーバがPTTメッセージをユーザから受け取ったとき、ステップ604において、PTTサーバは、PTTメッセージがPTT通話要求であるか否かをチェックする。PTTメッセージが通話要求である場合、ステップ606において、ユーザが属しているPTTグループのPTTメンバをPTTサーバが識別する。PTTメンバを識別した後、ステップ608において、PTTサーバが、通話通知メッセージを各PTTメンバに対して発生させる。特に、ステップ610において、PTT通話通知メッセージが基地局により異なって取り扱われるように、PTTサーバがPTT通話通知メッセージのヘッダをマークする。PTT通話通知メッセージが特定のヘッダによって発生された後に、ステップ612において、PTTサーバがPTT通話通知メッセージを基地局に送ると、基地局はPTT通話通知メッセージをPTTメンバに送る。
【0024】
受け取られたPTTメッセージがPTT通話セットアップメッセージでない場合に、ステップ614において、PTTサーバがチェックするのは、PTTメッセージがワイヤレスデバイスからの通話受入メッセージであるか否かである。PTTメッセージが通話受入メッセージである場合、ステップ618において、PTTサーバは、PTT通話を要求したユーザを識別し、ステップ620において、発言許可メッセージが要求ユーザに送られているか否かをチェックする。ユーザがPTT機能を使用して、一人より多いPTTメンバと通信すると、結果的に、1つより多い通話受入メッセージがPTTサーバによって受け取られる。PTTサーバが何らかの発言許可メッセージを要求ユーザに送信していない場合、すなわち、受け取られた通話受入メッセージが第1の通話受入メッセージである場合に、PTTサーバは、ステップ622において、発言許可メッセージを発生させ、特に、ステップ624において、発言許可メッセージのヘッダをマークして、通話セットアップ関連メッセージとして発言許可メッセージのヘッダを表示する。特に、ステップ626において、マークされた発言許可メッセージはデータパケットとして基地局に送られ、次に、要求ワイヤレスデバイスに送信される。発言許可メッセージが既に要求ワイヤレスデバイスに送られている場合、PTTサーバは、別の発言許可メッセージを同じ要求ワイヤレスデバイスに送らない。ステップ616において、PTTサーバは他のPTT関連メッセージも取り扱う。
【0025】
特定のヘッダを持つデータパケットは、基地局により異なって取り扱われる。図7は、入ってくるデータパケットを取り扱う基地局のプロセス700を図示している。ステップ702において、基地局がデータパケットを受け取ったとき、ステップ704において、基地局がデータパケットのヘッダをチェックする。シグナリングチャネルを通してパケットヘッダをターゲットのワイヤレスデバイスに送るように、パケットヘッダがマークされている場合、ステップ706において、基地局は、シグナリングチャネルを通してデータパケットの情報を送信する。パケットのヘッダが特にマークされていない場合、ステップ708において、基地局が専用チャネルを確立し、ステップ710において、専用チャネルを通してデータパケットをターゲットのワイヤレスデバイスに送る。
【0026】
以下は、本発明を例示する使用シナリオである。ユーザの同僚を含むPTTグループのメンバとPTT機能を介して建設現場で通信することをユーザが望んだときに、ユーザは自分のワイヤレスデバイスのPTTボタンを押す。ワイヤレスデバイスは、PTTボタンの起動を検出し、通話要求メッセージを発生させ、通話要求メッセージをPTTサーバに送る。通話要求メッセージは、通話セットアップメッセージであり、ワイヤレスデバイスは、シグナリングチャネルを通して、シグナリングメッセージとして通話セットアップメッセージを基地局に送信する。シグナリングチャネルを通して通話要求メッセージを送信することによって、通話要求メッセージはPTTサーバによってすぐに受け取られる。基地局はシグナリングメッセージを受け取り、それをPTTサーバに転送する。
【0027】
PTTサーバは通話要求メッセージを受け取り、ユーザが属しているPTTグループと要求ユーザとを識別する。PTTサーバは、このPTTのグループのメンバを識別してPTT通話通知メッセージを各メンバに対して発生させる。特に、PTT通話通知メッセージは、マークされたヘッダを持つデータパケットとして基地局に送られる。基地局は、このPTT通話通知メッセージを受け取り、このPTT通話メッセージが特定のデータパケットであることを認識する。ターゲットのPTTメンバのワイヤレスデバイスに対して、基地局が専用チャネルを確立する代わりに、PTT通話通知メッセージをシグナリングメッセージに埋め込み、シグナリングチャネルを通してそのメッセージをターゲットのワイヤレスデバイスに送信する。
【0028】
ターゲットのワイヤレスデバイスが利用可能である場合、ターゲットのワイヤレスデバイスは、通話受入メッセージによりPTT通話通知メッセージに応答する。ターゲットのワイヤレスデバイスは、シグナリングチャネルを通して通話受入メッセージを基地局に返信する。基地局はデータパケット中の通話受入メッセージをPTTサーバに転送する。第1の通話受入メッセージを受け取った後、PTTサーバは、要求ワイヤレスデバイスに対して発言を許可し、発言許可メッセージを要求ワイヤレスデバイスに送る。発言許可メッセージは、特定のヘッダを持つデータパケットとして送られ、要求ワイヤレスデバイスに向けられる。
【0029】
要求ワイヤレスデバイスを受け持つ基地局によって、発言許可メッセージが受け取られると、基地局は、データパケットのヘッダをチェックする。発言許可メッセージが特定のマークされたデータパケットであることを認識したときに、基地局は、発言許可メッセージをシグナリングメッセージに埋め込み、シグナリングチャネルを通して要求ワイヤレスデバイスにメッセージを送信する。要求ワイヤレスデバイスが発言許可メッセージを受け取ったとき、ユーザが他のPTTメンバに送りたい何らかのメッセージを受け取る準備ができていることを、要求ワイヤレスデバイスがユーザに知らせる。
【0030】
専用チャネルがセットアップされるのを要求して待つ代わりに、シグナリングチャネルを通して通話要求メッセージ、通話受入メッセージ、および他の通話セットアップ関連メッセージを送信することによって、PTTシステムによってユーザからのPTT関連要求に対して高速な応答が可能になり、したがって、PTT機能の使用がユーザにとって、より快適になる。
【0031】
ワイヤレスサービスプロバイダのコンピュータデバイスまたはワイヤレス通信デバイスで実行可能な方法を考慮すると、方法は、コンピュータ読取可能な媒体に存在しているプログラムによって行われる。プログラムは、コンピュータプラットフォームを持つサーバまたは他のコンピュータデバイスに対して方法のステップを行うように指示する。コンピュータ読取可能な媒体はサーバのメモリであってもよく、または接続可能なデータベース中に存在していてもよい。さらに、磁気ディスクまたはテープ、光ディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、あるいは技術的に知られている他の記憶媒体のような、ワイヤレス通信デバイスコンピュータプラットフォーム上にロード可能な二次記憶媒体中に、コンピュータ読取可能な媒体は存在することができる。
【0032】
図5ないし図7の内容において、方法は、例えば、ワイヤレス通信デバイスまたはサーバのようなワイヤレスネットワークの一部分を動作させることによって実現されて、機械読取可能な命令のシーケンスを実行してもよい。ステップをシーケンスで図示しているが、方法は、異なったシーケンスで実現されてもよく、またはイベント駆動プロセスとして実現されてもよい。命令は、さまざまなタイプの信号担持またはデータ記憶の一次、二次または三次の媒体に存在してもよい。媒体は、例えば、ワイヤレスネットワークのコンポーネントによりアクセス可能な(示されていない)RAM、または、そのコンポーネント内に存在する(示されていない)RAMを含んでいてもよい。RAM、ディスケット(登録商標)、または他の第二次記憶メディア中に含まれているか否かにより、DASD記憶装置(例えば、従来の“ハードドライブ”またはRAIDアレイ)、磁気テープ、電子リードオンリーメモリ(例えば、ROM、EPROMまたはEEPROM)、フラッシュメモリカード、光記憶デバイス(例えば、CD−ROM、WORM、DVD、デジタル光テープ)、ペーパー“パンチ”カードまたはデジタルおよびアナログ送信媒体を含む他の適切なデータ記憶媒体のような、さまざまな機械読取可能なデータ記憶媒体上に命令を記憶させてもよい。
【0033】
これらの好ましい実施形態に関連して、本発明を詳しく示し、説明しているが、添付した特許請求の範囲に示している本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態におけるさまざまな変更および細部にわたる変更ができることを、当業者は理解すべきである。例えば、上記の説明は、オーディオPTT通信に基づいており、ビデオ、データ等のような他のタイプの媒体をサポートするように、装置、システムおよび方法を容易に修正できることを理解すべきである。さらに、本発明の構成要素は単数形で記述され、特許請求の範囲に記載されているが、単数形に対する限定が明示的に示されない限り、複数形を意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、移動体デバイスは、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する方法において、
無線信号送信ポイントにおいて、PTTメッセージを含むデータパケットをデータ通信ネットワークから受け取るステップと、
データパケットをチェックするステップと、
データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信するステップとを含む方法。
【請求項2】
データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージでない場合に、専用アクセスチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信するステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
PTTメッセージは、PTT通話通知メッセージである請求項1記載の方法。
【請求項4】
PTTメッセージは、PTT発言許可メッセージである請求項1記載の方法。
【請求項5】
PTTメッセージをシグナリングメッセージに埋め込むステップをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、移動体デバイスは、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する方法において、
移動体デバイスにおいて、PTT通信要求を受け取るステップと、
シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを無線送信ポイントに送信し、無線送信ポイントはPTTサーバと通信しているステップとを含む方法。
【請求項7】
PTT通信要求は、ユーザからのPTT起動要求である請求項6記載の方法。
【請求項8】
PTTメッセージは、PTT通話要求メッセージである請求項6記載の方法。
【請求項9】
PTT通信要求は、無線送信ポイントからのPTT通話通知メッセージである請求項6記載の方法。
【請求項10】
PTTメッセージは、PTT通話受入メッセージである請求項6記載の方法。
【請求項11】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通して移動体デバイスと通信する装置において、
PTTメッセージをデータネットワークから受け取るネットワークインターフェイスユニットと、
PTTメッセージを記憶する記憶ユニットと、
PTTメッセージを解析する制御装置ユニットと、
無線信号を通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する無線インターフェイスユニットとを具備し、
記憶ユニット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する装置。
【請求項12】
記憶ユニット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージでない場合に、専用アクセスチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する請求項11記載の装置。
【請求項13】
PTTメッセージは、PTT通話通知メッセージである請求項11記載の装置。
【請求項14】
PTTメッセージは、PTT発言許可メッセージである請求項11記載の装置。
【請求項15】
PTTメッセージがシグナリングメッセージに埋め込まれる請求項11記載の装置。
【請求項16】
プッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する装置において、
ユーザによるPTTメッセージを受け取るユーザインターフェイスと、
ユーザから受け取ったPTTメッセージを記憶する記憶ユニットと、
記憶ユニット中に記憶されたPTTメッセージを解析する制御装置ユニットと、
シグナリングチャネルを通してPTTメッセージをワイヤレス通信ネットワークに送信する送信機ユニットとを具備する装置。
【請求項17】
PTTメッセージは、ユーザからのPTT起動要求である請求項16記載の装置。
【請求項18】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通して移動体デバイスと通信する装置において、
PTTメッセージをデータネットワークから受け取る手段と、
PTTメッセージを記憶する手段と、
PTTメッセージを解析する手段と、
無線信号を通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する手段とを具備し、
記憶ユニット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する装置。
【請求項19】
記憶ユニット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージでない場合に、専用アクセスチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信する請求項18記載の装置。
【請求項20】
PTTメッセージは、PTT通話通知メッセージである請求項18記載の装置。
【請求項21】
PTTメッセージは、PTT発言許可メッセージである請求項18記載の装置。
【請求項22】
PTTメッセージがシグナリングメッセージに埋め込まれる請求項18記載の装置。
【請求項23】
プッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にし、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信する装置において、
ユーザによるPTTメッセージを受け取る手段と、
ユーザから受け取ったPTTメッセージを記憶する手段と、
記憶ユニット中に記憶されたPTTメッセージを解析する手段と、
シグナリングチャネルを通してPTTメッセージをワイヤレス通信ネットワークに送信する手段とを具備する装置。
【請求項24】
PTTメッセージは、ユーザからのPTT起動要求である請求項23記載の装置。
【請求項25】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にするコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ読取可能な媒体において、
移動体デバイスは、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信し、コンピュータプログラムはコンピュータ命令を含み、コンピュータプログラムは、ワイヤレス通信デバイスによって実行されるときに、
無線信号送信ポイントにおいて、PTTメッセージを含むデータパケットをデータ通信ネットワークから受け取るステップと、
データパケットをチェックするステップと、
データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージである場合に、シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信するステップとを行うコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項26】
データパケット中のPTTメッセージがセットアップ関連メッセージでない場合に、専用アクセスチャネルを通してPTTメッセージを移動体デバイスに送信するステップをさらに行う請求項25記載のコンピュータプログラム。
【請求項27】
PTTメッセージは、PTT通話通知メッセージである請求項25記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
PTTメッセージは、PTT発言許可メッセージである請求項25記載のコンピュータプログラム。
【請求項29】
PTTメッセージをシグナリングメッセージに埋め込むステップをさらに行う請求項25記載のコンピュータプログラム。
【請求項30】
移動体デバイスとワイヤレス通信ネットワークとの間のプッシュ・ツー・トーク(PTT)通信の高速セットアップを可能にするコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ読取可能な媒体において、
移動体デバイスは、少なくとも、シグナリングチャネルおよびデータチャネルを通してワイヤレス通信ネットワークと通信し、コンピュータプログラムはコンピュータ命令を含み、コンピュータプログラムは、ワイヤレス通信デバイスによって実行されるときに、
移動体デバイスにおいて、PTT通信要求を受け取るステップと、
シグナリングチャネルを通してPTTメッセージを無線送信ポイントに送信し、無線送信ポイントはPTTサーバと通信しているステップとを行うコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項31】
PTT通信要求は、ユーザからのPTT起動要求である請求項30記載のコンピュータプログラム。
【請求項32】
PTTメッセージは、PTT通話要求メッセージである請求項30記載のコンピュータプログラム。
【請求項33】
PTT通信要求は、無線送信ポイントからのPTT通話通知メッセージである請求項30記載のコンピュータプログラム。
【請求項34】
PTTメッセージは、PTT通話受入メッセージである請求項30記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−66906(P2011−66906A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−232585(P2010−232585)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2007−518247(P2007−518247)の分割
【原出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】