説明

システム移行方法

【課題】 通信サービスの提供を極力停止させることなく、既存の通信サービス提供設備の処理能力を考慮しつつ各通信サービス提供設備を有効利用するように、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行することができるシステム移行方法を提供する。
【解決手段】 東系設備140を番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更し、東系設備140の通信サービス処理を地域単位の通信サービス処理から番号単位の通信サービス処理に切り換える。次に、西系設備150を番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更し、予め設定した番号割り当てに基づいて、西系設備150の通信サービス処理を地域単位の通信サービス処理から両設備140、150における番号単位の通信サービス処理に切り換え、東系設備140の通信サービス処理を、東系設備単独における通信サービス処理から両設備における番号単位の通信サービス処理に切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の移動体通信端末の通信に使用される複数のデータベースを備える通信システムや、各種サービスの利用者や製造物等の各種管理対象を管理する管理システムの移行方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機等の移動体通信端末から通信網側のWebサーバにアクセスして各種Webページを閲覧できるWEBサービス等の通信サービスが知られている。この通信サービスを提供するための通信システムは、多数の移動体通信端末からアクセスがあったときの処理を分散させたり、複数の地域ごとに異なる内容の通信サービスを提供したりするために、サーバやデータベースなどの通信サービス提供設備を複数の地域(例えば東日本地域及び西日本地域)ごとに備えていた。この通信システムでは、通信網にアクセスしてきた移動体通信端末の電話番号の一部(例えば、090−CDEF−GHIJのCDEFの部分)で、その移動体通信端末が加入契約された地域が判断され、移動体通信端末からのアクセス処理が、その地域を受け持つ通信サービス提供設備に振り分けられて処理される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の通信システムでは、特定の地域について加入者が大きく増加すると、その特定の地域を受け持つ通信サービス提供設備の負荷のみが偏って増加するため、負荷分散の効果が薄れてくる。また、最新では、全国的に統一した共通の通信サービスを各移動体通信端末に提供するようになってきているため、上記通信サービス提供設備を地域ごとに備える必要性がなくなってきている。更に、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)の手続を行って他の通信事業者で加入手続したときの電話番号をそのまま使用する場合、その電話番号から、移動体通信端末が加入契約された地域を判断することが難しい場合がある。そこで、上記従来の地域単位の通信システムを番号単位の通信システムに移行することが考えられる。この番号単位の通信システムでは、電話番号の特定桁の番号が異なる移動体通信端末に対する通信サービスを、複数系統の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理するため、加入者が増加したとしても各通信サービス提供設備の負荷が均一に増加していくため、負荷分散の点で有利である。このような番号単位の通信システムへの移行にあたっては、通信サービスの提供を極力停止させないことや既存の通信サービス提供設備を有効利用することが望ましい。
なお、このようなシステム移行時の問題は、携帯電話機等の移動体通信端末の通信に使用される複数のデータベースを備える通信システムを移行する場合だけではなく、各種管理対象を管理する管理システムを移行する場合にも、同様に生じ得るものである。この管理システムの管理対象としては、電気、ガス、水道等の供給サービスやケーブルテレビの提供サービスなどの各種サービスの利用者の情報や、工場で製造される物品や倉庫などに収容されている物品等が挙げられる。
【0004】
本発明の目的は、通信サービスの提供を極力停止させることなく、既存の通信サービス提供設備の処理能力を考慮しつつ各通信サービス提供設備を有効利用するように、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行することができるシステム移行方法を提供することである。
本発明の他の目的は、管理業務を極力停止させることなく、既存の管理業務設備の処理能力を考慮しつつ各管理業務設備を有効利用するように、管理対象の地域単位の管理システムから管理対象の識別情報の番号単位の管理システムへ移行することができるシステム移行方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るシステム移行方法は、共通の通信サービスを提供可能な複数組の通信サービス提供設備を用いる通信システムを、加入契約された地域が互いに異なる移動体通信端末に対する通信サービスを前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する地域単位の通信サービス処理を実行する通信システムから、電話番号の特定桁の番号が異なる移動体通信端末に対する通信サービスを前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する番号単位の通信サービス処理を実行する通信システムに移行するシステム移行方法であって、前記複数組の通信サービス提供設備のいずれか一つの先行移行対象の通信サービス提供設備を、前記番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する第1のステップと、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記地域単位の通信サービス処理から、前記番号単位の通信サービス処理に切り換える第2のステップと、前記複数組の通信サービス提供設備のうち前記先行移行対象の通信サービス提供設備以外の後続移行対象の通信サービス提供設備を、前記番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する第3のステップと、予め設定した各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当てに基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記後続移行対象の通信サービス提供設備における前記地域単位の通信サービス処理から、前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続処理対象の通信サービス提供設備における前記番号単位の通信サービス処理に切り換えるとともに、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持つ移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記先行移行対象の通信サービス提供設備単独における通信サービス処理から、前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続処理対象の通信サービス提供設備における前記番号単位の通信サービス処理に切り換える第4のステップと、を含む。
【0006】
このシステム移行方法では、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行する際に、通信サービス提供の停止の可能性がある通信サービス提供設備の変更を、複数組の通信サービス提供設備について同時に行わずに、先行移行対象の通信サービス提供設備と後続移行対象の通信サービス提供設備に分けて順次行うことにより、通信サービスの提供を極力停止させないようにしている。また、番号単位の通信サービス処理を実行する移行後の通信システムにおける、複数組の通信サービス提供設備に対する特定桁の番号の割り当ては、各通信サービス提供設備の処理能力を考慮して予め設定しておくことができる。しかも、その移行後の通信システムでは、既存の各通信サービス提供設備を利用することができる。従って、既存の通信サービス提供設備の処理能力を考慮しつつ各通信サービス提供設備を有効利用することができる。
【0007】
前記システム移行方法において、前記移行前の各通信サービス提供設備は、移動体通信端末が加入契約された地域ごとに、移動体通信端末に対する通信サービスの提供に使用される地域単位のデータベースを備え、前記第1のステップとして、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、前記第2のステップとして、前記先行移行対象の通信サービス提供設備の地域単位のデータベースのデータを、当該先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースに振り分けて移動するステップと、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含み、前記第3のステップとして、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、前記第4のステップとして、前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けられた複数の番号単位のデータベースのうち該先行移行対象の通信サービス提供設備に割り当てられていない番号に対する番号単位のデータベースのデータを、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けた当該番号に対する番号単位のデータベースに移動するステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の地域単位のデータベースのデータを、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースと前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースとに振り分けて移動するステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末のうち該先行移行対象の通信サービス提供設備に割り当てられていない番号を前記特定桁に含む電話番号の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースから、前記後続対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含んでもよい。
【0008】
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続移行対象の通信サービス提供設備がそれぞれ複数の地域を受け持っていた場合には、各通信サービス提供設備が受け持っていた各地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理について、前記第2のステップと前記第4のステップとを繰り返してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記後続移行対象の通信サービス提供設備を複数組備えている場合には、当該複数組の後続移行対象の通信サービス提供設備それぞれについて、前記第3のステップと前記第4のステップとを繰り返してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の通信サービス提供設備の処理能力が、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の処理能力よりも大きくてもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の通信サービス提供設備の処理能力と、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の処理能力との比に基づいて設定してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量が、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量よりも大きくてもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量と、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量との比に基づいて、設定してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、少なくとも前記先行移行対象の通信サービス提供設備と前記移行対象の通信サービス提供設備との間のデータ移動に先立って行われてもよい。
また、前記システム移行方法において、前記通信システムは、移動体通信端末に対してWEBサービスを提供する通信システムであり、前記データベースは、各移動体通信端末による使用履歴を保存するテーブルを有するものであってもよい。
【0009】
本発明に係る他のシステム移行方法は、共通の管理業務に使用可能な複数組の管理業務設備を用いる管理システムを、管理対象に対応する地域が互いに異なる該管理対象に関する管理業務を前記複数組の管理業務設備にそれぞれ振り分けて処理する地域単位の管理業務処理を実行する管理システムから、前記管理対象を一意に識別するための識別情報の特定桁の番号が異なる該管理対象に関する管理業務を前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する番号単位の管理業務処理を実行する管理システムに移行するシステム移行方法であって、前記複数組の管理業務設備のいずれか一つの先行移行対象の管理業務設備を、前記番号単位の管理業務処理を実行可能に変更する第1のステップと、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理を、前記地域単位の管理業務処理から、前記番号単位の管理業務処理に切り換える第2のステップと、前記複数組の管理業務設備のうち前記先行移行対象の管理業務設備以外の後続移行対象の管理業務設備を、前記番号単位の管理業務処理を実行可能に変更する第3のステップと、予め設定した各管理業務設備に対する前記特定桁の番号の割り当てに基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理を、前記後続移行対象の管理業務設備における前記地域単位の管理業務処理から、前記先行移行対象の管理業務設備及び前記後続処理対象の管理業務設備における前記番号単位の管理業務処理に切り換えるとともに、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持つ管理対象に関する管理業務処理を、前記先行移行対象の管理業務設備単独における管理業務処理から、前記先行移行対象の管理業務設備及び前記後続処理対象の管理業務設備における前記番号単位の管理業務処理に切り換える第4のステップと、を含む。
【0010】
このシステム移行方法では、地域単位の管理システムから識別情報の特定桁の番号単位の通信システムへ移行する際に、管理業務の停止の可能性がある管理業務設備の変更を、複数組の管理業務設備について同時に行わずに、先行移行対象の管理業務設備と後続移行対象の管理業務設備に分けて順次行うことにより、管理業務を極力停止させないようにしている。また、上記番号単位の管理業務処理を実行する移行後の管理システムにおける、複数組の管理業務設備に対する特定桁の番号の割り当ては、各管理業務設備の処理能力を考慮して予め設定しておくことができる。しかも、その移行後の管理システムでは、既存の各管理業務設備を利用することができる。従って、既存の管理業務設備の処理能力を考慮しつつ各管理業務設備を有効利用することができる。
【0011】
前記システム移行方法において、前記移行前の各管理業務設備は、管理対象に対応する地域ごとに、管理対象に関する管理業務に使用される地域単位のデータベースを備え、前記第1のステップとして、前記先行移行対象の管理業務設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、前記第2のステップとして、前記先行移行対象の管理業務設備の地域単位のデータベースのデータを、当該先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースに振り分けて移動するステップと、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含み、前記第3のステップとして、前記後続移行対象の管理業務設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、前記第4のステップとして、前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の管理業務設備に設けられた複数の番号単位のデータベースのうち該先行移行対象の管理業務設備に割り当てられていない番号に対する番号単位のデータベースのデータを、前記後続移行対象の管理業務設備に設けた当該番号に対する番号単位のデータベースに移動するステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備の地域単位のデータベースのデータを、前記先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースと前記後続移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースとに振り分けて移動するステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象のうち該先行移行対象の管理業務設備に割り当てられていない番号を前記特定桁に含む識別情報に対応する管理対象に関する管理業務で使用するデータベースを、前記先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースから、前記後続移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含んでもよい。
【0012】
また、前記システム移行方法において、前記管理対象は、各地域で製造、在庫管理又は使用される物品であり、前記識別情報は、各物品に一意に付けられる識別情報であってもよい。
また、前記システム移行方法において、前記管理対象は、各地域で提供されるサービスの利用者の情報であり、前記識別情報は、各利用者に一意に付けられる識別情報であってもよい。
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の管理業務設備及び前記後続移行対象の管理業務設備がそれぞれ複数の地域を受け持っていた場合には、各管理業務設備が受け持っていた各地域の管理対象に対する管理業務処理について、前記第2のステップと前記第4のステップとを繰り返してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記後続移行対象の管理業務設備を複数組備えている場合には、当該複数組の後続移行対象の管理業務設備それぞれについて、前記第3のステップと前記第4のステップとを繰り返してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の管理業務設備の処理能力が、前記後続移行対象の管理業務設備の処理能力よりも大きくてもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各管理業務設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の管理業務設備の処理能力と、前記後続移行対象の管理業務設備の処理能力との比に基づいて設定してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記先行移行対象の管理業務設備に設けるデータベースのデータ容量が、前記後続移行対象の管理業務設備に設けるデータベースのデータ容量よりも大きくてもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各管理業務設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の管理業務設備に設けるデータベースのデータ容量と、前記後続移行対象の管理業務設備に設けるデータベースのデータ容量との比に基づいて、設定してもよい。
また、前記システム移行方法において、前記各管理業務設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、少なくとも前記先行移行対象の管理業務設備と前記移行対象の管理業務設備との間のデータ移動に先立って行われてもよい。
【0013】
なお、本発明における前記「識別情報」は数字だけで構成していいし、数字と他のアルファベット等の符号とを組み合わせて構成してもよい。また、その識別情報の特定桁の番号は、数字であってもいいし、他のアルファベット(A〜Z)等の符号であってもよい。また、前記「識別情報」は、基数を10とした10進数法で表現した数字(0〜9)で構成してもいいし、他の値を基数とした進数法で表現した数字で構成してもよい。前記「識別情報」は、例えば、16進数法で表現した数字(0〜9、A〜F)であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、通信サービスの提供を極力停止させることなく、既存の通信サービス提供設備の処理能力を考慮しつつ各通信サービス提供設備を有効利用するように、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行することができるという効果がある。
本発明の他の態様によれば、管理業務を極力停止させることなく、既存の管理業務設備の処理能力を考慮しつつ各管理業務設備を有効利用するように、地域単位の管理システムから管理対象の識別情報の番号単位の管理システムへ移行することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る通信システム移行方法で移行する前の通信システムの一例を示す概略構成図である。移行前の通信システム10は、移動体通信端末としての携帯電話機20にWeb通信サービスを提供する通信システムであり、通信ネットワークとしての携帯電話通信網30に接続されたWebゲートウェイ110、ファイヤウォール120、Webアクセス制御装置としての振り分けサーバ130、共通のWeb通信サービスを提供可能な2組の通信サービス提供設備140,150等を備えている。2組の通信サービス提供設備140,150のうち、一方の東系の通信サービス提供設備140は、日本国内の東側の地域である北海道地域、東北地域、北陸地域、東京地域及び東海地域の5地域の携帯電話機20を受け持つ。もう一方の西系の通信サービス提供設備150は、日本国内の西側の地域である関西地域、中国地域、四国地域及び九州地域の4地域の携帯電話機20を受け持つ。振り分けサーバ130は、Webサービスを利用する携帯電話機20からのアクセスを、その携帯電話機20が加入している地域に応じて、東系の通信サービス提供設備(以下、「東系設備」という。)140又は西系の通信サービス提供設備(以下、「西系設備」という。)150に振り分ける。
【0016】
図2(a)及び(b)はそれぞれ、移行前の東系設備140及び西系設備150の概略構成の一例を示すブロック図である。東系設備140及び西系設備150はいずれも、複数組のWebサーバ141−1〜3,151−1〜3及びAP(アプリケーション)サーバ142−1〜3,152−1〜3と、DB(データベース)サーバ143,153と、複数の地域単位のデータベースとを備えている。東系設備140の地域単位のデータベースは、北海道地域の加入者用のデータベース144D、東北地域の加入者用のデータベース144H、北陸地域の加入者用のデータベース144R、東京(関東)地域の加入者用のデータベース144T、及び東海地域の加入者用のデータベース144Cで構成されている。また、西系設備150の地域単位のデータベースは、関西地域の加入者用のデータベース154K、中国地域の加入者用のデータベース154N、四国地域の加入者用のデータベース154S、及び九州地域の加入者用のデータベース154Qで構成されている。各データベースは、各加入者(顧客)に関する情報が格納された顧客テーブルと、各加入者(顧客)による過去1ヶ月分の各種変更受付状況の表示に必要な情報が格納されたステータステーブルとを有している。
【0017】
図3は、共通のWeb通信サービスを提供可能な複数組の通信サービス提供設備140,150を用いる通信システムを、地域単位の通信サービス処理を実行する通信システムから、番号単位の通信サービス処理を実行する通信システムに移行する通信システム移行方法の手順の一例を示すフローチャートである。上記地域単位の通信サービス処理は、加入契約された地域が互いに異なる携帯電話機20に対する通信サービスを複数組の通信サービス提供設備(東系設備140,西系設備150)にそれぞれ振り分ける処理である。また、上記番号単位の通信サービス処理は、端末識別情報としての電話番号(MSN)の特定桁の番号が異なる携帯電話機20に対する通信サービスを複数組の通信サービス提供設備140,150にそれぞれ振り分ける処理である。なお、本実施形態では、上記電話番号の特定桁が下1桁である場合について示すが、上記特定桁は電話番号の他の桁であってもよい。
【0018】
本実施形態の通信システム移行方法において、まず、前述の2組の通信サービス提供設備(東系設備140,西系設備150)のうち、処理能力がより大きい先行移行対象の東系設備140を、番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する。例えば、先行移行対象の東系設備140に、電話番号の下1桁の番号(0〜9)それぞれに対する10個の番号単位のデータベースを作成する(図3のS1及び図4参照)。ここで、上記設備の処理能力は、各設備における保存可能なデータ容量やデータ処理速度などによって判断される。
【0019】
次に、東系設備140が受け持っていた一部の地域の携帯電話機に対する通信サービス処理を、地域単位の通信サービス処理から、番号単位の通信サービス処理に切り換える。例えば、東系設備140が受け持っていた5地域のうち東海地域以外の東4地域(北海道、東北、北陸、東京の4地域)について、地域単位のデータベースのデータを、東系設備140に新規に設けた0〜9の番号単位のデータベースに振り分けて移動する(図3のS2及び図4参照)。このデータ移動の後、東系設備140が受け持っていた東4地域の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースは、地域単位のデータベースから番号単位のデータベースに切り換えられる。なお、上記データ移動の後、東4地域(北海道、東北、北陸、東京の4地域)の地域単位のデータベースは削除してもよい。
【0020】
次に、前述の2組の通信サービス提供設備(東系設備140,西系設備150)のうち、東系設備140以外の後続移行対象の西系設備150を、番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する。例えば、後続移行対象の西系設備150に、電話番号の下1桁の番号(0〜9)それぞれに対する10個の番号単位のデータベースを作成する(図3のS3及び図5参照)。
【0021】
次に、各通信サービス提供設備140,150に対する特定桁の番号の分担(割り当て)の設定が、東系設備140が全ての番号0〜9について単独で分担する設定から、東系設備140及び西系設備150それぞれが分担する設定に変更される。この変更後の特定桁の番号の分担(割り当て)の設定に基づいて、西系設備150が受け持っていた地域の携帯電話機に対する通信サービス処理を、地域単位の通信サービス処理から、東系設備140及び西系設備における番号単位の通信サービス処理に切り換える(図3のS4及び図5参照)。上記特定桁の番号の分担(割り当て)の設定は、東系設備140及び西系設備150における各処理能力(例えば、両設備間の処理可能なデータ容量やデータ処理速度の比率)や、受け持ち対象の携帯電話機の数などに基づいて、変更される。例えば、上記特定桁の番号の分担(割り当て)の設定は、下1桁が0乃至2のいずれかの電話番号の携帯電話機については西系設備150が受け持ち、下1桁が3乃至9のいずれかの電話番号の携帯電話機については東系設備140が受け持つように変更される。そして、この分担(割り当て)設定に基づいて、東系設備140に設けられた10個の番号単位のデータベースのうち、東系設備140に割り当てられていない番号(0〜2)に対する番号単位のデータベースのデータを、西系設備150に設けた当該番号(0〜2)に対する番号単位のデータベースに移動する(図3のS4及び図5参照)。
【0022】
更に、上記変更後の分担(割り当て)設定に基づいて、東系設備140が受け持っていた東4地域(北海道、東北、北陸、東京の4地域)の携帯電話機のうち、東系設備140に割り当てられていない番号(0〜2)を下1桁に含む電話番号の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、東系設備140に設けた0〜2の番号単位のデータベースから、西系設備150に設けた0〜2の番号単位のデータベースに切り換える(図3のS4及び図5参照)。
【0023】
次に、西系設備150が受け持っていた一部の地域の携帯電話機に対する通信サービス処理を、地域単位の通信サービス処理から、番号単位の通信サービス処理に切り換える。例えば、西系設備150が受け持っていた4地域のうち関西地域について、地域単位のデータベースのデータを、西系設備150における0〜2の番号単位のデータベースと、東系設備140における3〜9の番号単位のデータベースとに振り分けて移動する(図3のS5及び図5参照)。このデータ移動の後、西系設備150が受け持っていた関西地域の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースは、地域単位のデータベースから番号単位のデータベースに切り換えられる。なお、上記データ移動の後、関西地域の地域単位のデータベースは削除してもよい。
【0024】
次に、東系設備140が受け持っていた残りの地域の携帯電話機に対する通信サービス処理を、地域単位の通信サービス処理から、番号単位の通信サービス処理に切り換える。例えば、東系設備140が受け持っていた残りの東海地域について、地域単位のデータベースのデータを、西系設備150の0〜2の番号単位のデータベースと、東系設備140の3〜9の番号単位のデータベースとに振り分けて移動する(図3のS6及び図6参照)。このデータ移動の後、東系設備140が受け持っていた東海地域の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースは、地域単位のデータベースから番号単位のデータベースに切り換えられる。なお、上記データ移動の後、東海地域の地域単位のデータベースは削除してもよい。また、上記東系設備140におけるデータ移動に先立って、東系設備140及び西系設備150における各処理能力(例えば、両設備間の処理可能なデータの比率)や、受け持ち対象の携帯電話機の数などに基づいて、各設備間における上記特定桁の番号の分担(割り当て)の設定を再度変更してもよい。
【0025】
次に、西系設備150の残りのデータベースのデータ移動に先立って、東系設備140及び西系設備150における各処理能力(例えば、両設備間の処理可能なデータ容量やデータ処理速度の比率)や、受け持ち対象の携帯電話機の数などに基づいて、各設備間における上記特定桁の番号の分担(割り当て)の設定が再度変更される(図3のS7及び図7参照)。例えば、この特定桁の番号の分担(割り当て)の設定は、下1桁が0乃至3のいずれかの電話番号の携帯電話機については西系設備150が受け持ち、下1桁が4乃至9のいずれかの電話番号の携帯電話機については東系設備140が受け持つように変更される。そして、この分担(割り当て)設定に基づいて、東系設備140に割り当てていた7個の番号単位のデータベースのうち、東系設備140に割り当てられなくなった番号(3)に対する番号単位のデータベースのデータを、西系設備150に設けた当該番号(3)に対する番号単位のデータベースに移動する(図3のS7及び図7参照)。
【0026】
更に、上記変更後の分担(割り当て)設定に基づいて、東系設備140が受け持つ北海道、東北、北陸、東京、東海の5地域の携帯電話機のうち、東系設備140に割り当てられなくなった番号(3)を下1桁に含む電話番号の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、東系設備140に設けた番号単位のデータベースから、西系設備150に設けた番号単位のデータベースに切り換える(図3のS7及び図7参照)。
【0027】
次に、西系設備150が受け持っていた残りの地域の携帯電話機に対する通信サービス処理を、地域単位の通信サービス処理から、番号単位の通信サービス処理に切り換える。例えば、西系設備150が受け持っていた4地域のうち残りの西3地域(中国、四国、九州の3地域)について、地域単位のデータベースのデータを、西系設備150における0〜3の番号単位のデータベースと、東系設備140における4〜9の番号単位のデータベースとに振り分けて移動する(図3のS8及び図7参照)。このデータ移動の後、西系設備150が受け持っていた西3地域(中国、四国、九州の3地域)の携帯電話機に対する通信サービス処理で使用するデータベースは、地域単位のデータベースから番号単位のデータベースに切り換えられる。なお、上記データ移動の後、西3地域(中国、四国、九州の3地域)の地域単位のデータベースは削除してもよい。
【0028】
以上の手順で通信システム移行方法を実行することにより、東系設備140及び西系設備150それぞれにおいて地域単位のデータベース144D,144H,144R,144T,144C,154K,154N,154S,154Qを用いる図2(a)及び(b)に示す地域単位の通信システムから、東系設備140及び西系設備150で分担した番号単位のデータベース144(4)〜(9),154(0)〜(3)を用いる図8(a)及び(b)に示す番号単位の通信システムに移行することができる。移行後の通信システムにおいて、振り分けサーバ130は、Webサービスを利用する携帯電話機20からのアクセスを、その携帯電話機20の電話番号の下1桁(例えば、「090−CDEF−GHIJ」の「J」の部分)に基づいて、東系設備140又は西系設備150に振り分ける。
【0029】
以上、本実施形態によれば、Web通信サービスを提供する通信システムを、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行する際に、通信サービス提供の停止の可能性がある通信サービス提供設備の変更を、東系設備140及び西系設備150について同時に行わずに、東系設備140と西系設備150に分けて順次行うことにより、通信サービスの提供を極力停止させないようにしている。また、番号単位の通信サービス処理を実行する移行後の通信システムにおける、東系設備140及び西系設備150に対する特定桁の番号の割り当ては、各設備の処理能力等を考慮して予め設定しておくことができる。しかも、その移行後の通信システムでは、既存の東系設備140及び西系設備150を利用することができる。従って、既存の東系設備140及び西系設備150の処理能力を考慮しつつ各設備を有効利用することができる。従って、Web通信サービスの提供を極力停止させることなく、既存の通信サービス提供設備(東系設備140及び西系設備150)の処理能力を考慮しつつ各通信サービス提供設備を有効利用するように、地域単位の通信システムから番号単位の通信システムへ移行することができる。
【0030】
なお、本発明の実施形態の説明においては、既存の通信サービス提供設備の処理能力を考慮した移行方法について例示した。この例は、東京地域を含む東側地域の加入者が、中国、四国、九州地域を含む西側地域の加入者量と比較して極端に大きな場合に採用することで、特に望ましい効果を得ることができる。
【0031】
また、上記実施形態におけるシステム移行前の通信システムでは、アクセスしてきた携帯電話機の電話番号(ABC−CDEF−GHIJ)の事業者識別コードに対応する「CDEF」の部分を参照し、その「CDEF」と加入地域との対応関係を示すテーブルから当該携帯電話機の加入手続がなされた地域を判別し、その加入者の情報を収容して当該携帯電話機に対する通信サービス処理を受け持っている収容先(通信サービス提供設備)のデータベースを特定していた。これに対し、本実施形態に係るシステム移行方法によって移行された移行後の通信システムでは、上記電話番号の「CDEF」の部分から加入地域を判別する処理を行う必要がなく、電話番号の例えば下一桁の番号により、当該携帯電話機に対する通信サービス処理を受け持つ収容先(通信サービス提供設備)を特定することができるようになる。したがって、携帯電話機の加入者がいずれの事業者の通信サービスに加入しているかにかかわらず、当該携帯電話機に対する通信サービス処理を受け持つ収容先(通信サービス提供設備)を特定することができる。よって、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)サービスを享受してポートインした加入者についても、各収容先の通信サービス提供設備の負荷に偏りなく、各携帯電話機に対する通信サービス処理を各収容先(通信サービス提供設備)に振り分けて収容することができるようになる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、開示した実施形態に種々の変更を加えることができる。例えば、本発明は、携帯電話機以外の他の移動体通信端末に対して通信サービスを提供する通信システムについても同様に適用できる。
【0033】
また、本発明に係るシステム移行方法で移行されるシステムにおいて所定の識別情報が付与されて管理される管理対象の物品は、通信システムで管理されて通信サービスが提供される移動体通信端末に限られない。この管理対象の物品は、例えば各地域の工場等で製造、在庫管理又は使用される各種物品であってもよい。
【0034】
また、上記識別情報は、物品を一意に特定する番号等の識別情報でなくてもよく、例えば、各地域で水道、電気、ガス、ケーブルテレビなどの各種サービス提供を受ける利用者を一意に識別する識別情報であってもよい。すなわち、本発明に係るシステム移行方法は、上記実施形態における通信システムの移行方法に限られることなく、例えば、物品の在庫管理や、個人情報管理、入出金管理といった管理システムに適用することができる。そして、これらの管理システムを、対応する地域が互いに異なる管理対象に関する管理業務を複数組の管理業務設備にそれぞれ振り分けて処理する地域単位の管理業務処理を実行する管理システムから、識別情報の特定桁の番号が異なる管理対象に関する管理業務を複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する番号単位の管理業務処理を実行する管理システムに移行する場合に、同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システム移行方法で移行する前の通信システムの一例を示す概略構成図。
【図2】(a)は、(b)はそれぞれ、移行前の東系設備及び西系設備の概略構成の一例を示すブロック図。
【図3】地域単位の通信サービス処理を実行する通信システムから番号単位の通信サービス処理を実行する通信システムに移行する通信システム移行方法の手順の一例を示すフローチャート。
【図4】東系設備における東4地域(北海道、東北、北陸、東京)に関する移行手順の一例を示す説明図。
【図5】西系設備における関西地域に関する移行手順の一例を示す説明図。
【図6】東系設備における東海地域に関する移行手順の一例を示す説明図。
【図7】西系設備における西3地域(中国、四国、九州)に関する移行手順の一例を示す説明図。
【図8】(a)は、(b)はそれぞれ、移行後の東系設備及び西系設備の概略構成の一例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0036】
10 通信システム
20 携帯電話機
30 携帯電話通信網
140 東系の通信サービス提供設備(東系設備)
150 西の通信サービス提供設備(西設備)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の通信サービスを提供可能な複数組の通信サービス提供設備を用いる通信システムを、加入契約された地域が互いに異なる移動体通信端末に対する通信サービスを前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する地域単位の通信サービス処理を実行する通信システムから、電話番号の特定桁の番号が異なる移動体通信端末に対する通信サービスを前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する番号単位の通信サービス処理を実行する通信システムに移行するシステム移行方法であって、
前記複数組の通信サービス提供設備のいずれか一つの先行移行対象の通信サービス提供設備を、前記番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する第1のステップと、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記地域単位の通信サービス処理から、前記番号単位の通信サービス処理に切り換える第2のステップと、
前記複数組の通信サービス提供設備のうち前記先行移行対象の通信サービス提供設備以外の後続移行対象の通信サービス提供設備を、前記番号単位の通信サービス処理を実行可能に変更する第3のステップと、
予め設定した各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当てに基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記後続移行対象の通信サービス提供設備における前記地域単位の通信サービス処理から、前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続処理対象の通信サービス提供設備における前記番号単位の通信サービス処理に切り換えるとともに、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持つ移動体通信端末に対する通信サービス処理を、前記先行移行対象の通信サービス提供設備単独における通信サービス処理から、前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続処理対象の通信サービス提供設備における前記番号単位の通信サービス処理に切り換える第4のステップと、
を含むことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項2】
請求項1のシステム移行方法において、
前記移行前の各通信サービス提供設備は、移動体通信端末が加入契約された地域ごとに、移動体通信端末に対する通信サービスの提供に使用される地域単位のデータベースを備え、
前記第1のステップとして、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、
前記第2のステップとして、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備の地域単位のデータベースのデータを、当該先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースに振り分けて移動するステップと、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含み、
前記第3のステップとして、
前記後続移行対象の通信サービス提供設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、
前記第4のステップとして、
前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けられた複数の番号単位のデータベースのうち該先行移行対象の通信サービス提供設備に割り当てられていない番号に対する番号単位のデータベースのデータを、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けた当該番号に対する番号単位のデータベースに移動するステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の地域単位のデータベースのデータを、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースと前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースとに振り分けて移動するステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の通信サービス提供設備が受け持っていた地域の移動体通信端末のうち該先行移行対象の通信サービス提供設備に割り当てられていない番号を前記特定桁に含む電話番号の移動体通信端末に対する通信サービス処理で使用するデータベースを、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースから、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けた番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含むことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項3】
請求項1又は2のシステム移行方法において、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備及び前記後続移行対象の通信サービス提供設備がそれぞれ複数の地域を受け持っていた場合には、
各通信サービス提供設備が受け持っていた各地域の移動体通信端末に対する通信サービス処理について、前記第2のステップと前記第4のステップとを繰り返すことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかのシステム移行方法において、
前記後続移行対象の通信サービス提供設備を複数組備えている場合には、
当該複数組の後続移行対象の通信サービス提供設備それぞれについて、前記第3のステップと前記第4のステップとを繰り返すことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかのシステム移行方法において、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備の処理能力が、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の処理能力よりも大きいことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかのシステム移行方法において、
前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の通信サービス提供設備の処理能力と、前記後続移行対象の通信サービス提供設備の処理能力との比に基づいて、設定されることを特徴とするシステム移行方法。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれかのシステム移行方法において、
前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量が、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量よりも大きいことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項8】
請求項2乃至4のいずれかのシステム移行方法において、
前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、前記先行移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量と、前記後続移行対象の通信サービス提供設備に設けるデータベースのデータ容量との比に基づいて、設定されることを特徴とするシステム移行方法。
【請求項9】
請求項2乃至4のいずれかのシステム移行方法において、
前記各通信サービス提供設備に対する前記特定桁の番号の割り当ては、少なくとも前記先行移行対象の通信サービス提供設備と前記移行対象の通信サービス提供設備との間のデータ移動に先立って行われることを特徴とするシステム移行方法。
【請求項10】
共通の管理業務に使用可能な複数組の管理業務設備を用いる管理システムを、管理対象に対応する地域が互いに異なる該管理対象に関する管理業務を前記複数組の管理業務設備にそれぞれ振り分けて処理する地域単位の管理業務処理を実行する管理システムから、前記管理対象を一意に識別するための識別情報の特定桁の番号が異なる該管理対象に関する管理業務を前記複数組の通信サービス提供設備にそれぞれ振り分けて処理する番号単位の管理業務処理を実行する管理システムに移行するシステム移行方法であって、
前記複数組の管理業務設備のいずれか一つの先行移行対象の管理業務設備を、前記番号単位の管理業務処理を実行可能に変更する第1のステップと、
前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理を、前記地域単位の管理業務処理から、前記番号単位の管理業務処理に切り換える第2のステップと、
前記複数組の管理業務設備のうち前記先行移行対象の管理業務設備以外の後続移行対象の管理業務設備を、前記番号単位の管理業務処理を実行可能に変更する第3のステップと、
予め設定した各管理業務設備に対する前記特定桁の番号の割り当てに基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理を、前記後続移行対象の管理業務設備における前記地域単位の管理業務処理から、前記先行移行対象の管理業務設備及び前記後続処理対象の管理業務設備における前記番号単位の管理業務処理に切り換えるとともに、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持つ管理対象に関する管理業務処理を、前記先行移行対象の管理業務設備単独における管理業務処理から、前記先行移行対象の管理業務設備及び前記後続処理対象の管理業務設備における前記番号単位の管理業務処理に切り換える第4のステップと、
を含むことを特徴とするシステム移行方法。
【請求項11】
請求項10のシステム移行方法において、
前記移行前の各管理業務設備は、管理対象に対応する地域ごとに、管理対象に関する管理業務に使用される地域単位のデータベースを備え、
前記第1のステップとして、
前記先行移行対象の管理業務設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、
前記第2のステップとして、
前記先行移行対象の管理業務設備の地域単位のデータベースのデータを、当該先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースに振り分けて移動するステップと、
前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含み、
前記第3のステップとして、
前記後続移行対象の管理業務設備に、前記特定桁の各番号について番号単位のデータベースを新規に設けるステップを含み、
前記第4のステップとして、
前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の管理業務設備に設けられた複数の番号単位のデータベースのうち該先行移行対象の管理業務設備に割り当てられていない番号に対する番号単位のデータベースのデータを、前記後続移行対象の管理業務設備に設けた当該番号に対する番号単位のデータベースに移動するステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備の地域単位のデータベースのデータを、前記先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースと前記後続移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースとに振り分けて移動するステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記後続移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象に関する管理業務処理で使用するデータベースを、前記地域単位のデータベースから前記番号単位のデータベースに切り換えるステップと、
前記割り当て設定に基づいて、前記先行移行対象の管理業務設備が受け持っていた地域の管理対象のうち該先行移行対象の管理業務設備に割り当てられていない番号を前記特定桁に含む識別情報に対応する管理対象に関する管理業務で使用するデータベースを、前記先行移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースから、前記後続移行対象の管理業務設備に設けた番号単位のデータベースに切り換えるステップと、を含むことを特徴とするシステム移行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−167333(P2008−167333A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356716(P2006−356716)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】