説明

シャッタ装置

【課題】シャッタカーテンの閉状態時において、所望の通風性を確保することができるシャッタ装置を提供する。
【解決手段】建物10の外壁部11には窓開口12が設けられ、窓開口12には上下に開閉するガラス戸15,16が設けられている。ガラス戸15,16の屋外側にはシャッタ装置20が設けられ、シャッタ装置20は複数のスラット23からなる昇降式のシャッタカーテン22を備えている。シャッタカーテン22の下端部には開戸量検出センサ43が設けられている。開戸量検出センサ43は、シャッタカーテン22の下降時に上側ガラス戸15の上縁部及び窓枠14の上辺部に設けられた各マーカ42を検知するセンサである。コントローラ30は、同センサ43の検知結果に基づいて上側ガラス戸15が開戸されることにより開口された開口領域Aの開口幅を算出し、シャッタカーテン22の閉状態時にその算出した開口幅に対応するスラット23を開放させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建物では主に防犯用としてシャッタ装置が窓等の開口部の屋外側に設けられている。シャッタ装置は、上記開口部を開閉するためのシャッタカーテンを備えている。シャッタカーテンは、複数のスラットが一連状に連接されることにより構成されており、このシャッタカーテンを閉めておくことにより就寝時や留守中の防犯に活用することができる。
【0003】
この種のシャッタ装置として、各スラットを開閉させる機能を備えたものが実用化されている。かかるシャッタ装置では、シャッタカーテンを閉じることにより防犯性を確保しながら、スラットを開けることにより通風や採光性を得ることもできる。また、近年では、シャッタカーテンの閉状態において、全てのスラットのうち一部のスラットだけを開閉させることができるシャッタ装置が提案されている。例えば特許文献1では、シャッタカーテンの閉状態時に各スラットのうち上部の複数枚のスラットを開くことで、不審者等によりスラット開口部を通じて屋内を覗かれるのを極力回避しつつ通風性を確保する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−132149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、シャッタカーテンの閉状態時に開かれるスラットの数が予め定まっているため、屋内へ取り込む風の量(通風量)を調整するのが難しい。また、窓を開閉させて開口部の開口面積を調整することで通風量を調整することも可能ではあるが、この場合においても結局のところ所定のスラットを開くことでそれら各スラット間に形成されるスラット開口部の開口面積により通風量が制限されてしまう。つまり、上記特許文献1の技術では、所望の風量で通風を行うことが困難であると考えられる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シャッタカーテンの閉状態時において、所望の通風性を確保することができるシャッタ装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明のシャッタ装置は、建物開口部を開閉する窓戸の屋外側に設置されるシャッタ装置であって、複数のスラットが連結されてなるとともに、これら各スラットが開閉可能とされているシャッタカーテンと、前記窓戸が開戸された状態で、前記建物開口部の開戸領域を検出する検出手段と、前記シャッタカーテンが閉じられている状態で、前記検出手段により検出した開戸領域に対応する部分の前記スラットを開放させるシャッタ制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、シャッタカーテンが閉じられている状態で、検出手段により検出された建物開口部の開戸領域に対応する部分のスラットが開放される。そのため、シャッタカーテンの閉状態時において、所望の通風性を確保することができる。
【0009】
第2の発明のシャッタ装置は、第1の発明において、前記窓戸の開閉方向と前記各スラットが並ぶ方向とが同じであり、前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域の大きさに合う数分だけ前記スラットを開放させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、窓戸の開閉方向と各スラットが並ぶ方向とが同じである場合において、開戸領域の大きさに合う数分だけスラットが開放される。これにより、開戸領域に対応する部分についてはスラットが開放されるため、シャッタカーテンの閉状態時において所望の通風性を確保できるとともに、開戸領域に対応する部分以外についてはスラットが開放されないため一定のプライバシを確保できる。
【0011】
第3の発明のシャッタ装置は、第1又は第2の発明において、前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域が、あらかじめ定めたスラット開放の許可部分に相当するかどうかを判定し、前記許可部分でのみ前記スラットを開放させることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、建物開口部の開戸領域のうち、あらかじめ定めたスラット開放の許可部分でのみスラットが開放されるため、窓戸を開け過ぎる等して開戸領域が必要以上に大きくなってしまった場合でも、所定のスラットについては開放されるのを防止できる。よって、一定の防犯性を確保することができる。
【0013】
第4の発明のシャッタ装置は、第3の発明において、前記各スラットは上下方向に並べて設けられており、前記シャッタ制御手段は、前記建物開口部における所定高さ以上の部分を前記許可部分とし、当該許可部分でのみスラット開放を許可することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、建物開口部における所定高さ以上の部分でのみスラットが開放されるため、例えば窓戸の開け過ぎ等により開戸領域が人の背丈よりも低い部分まで広がった場合でも、人の背丈よりも低い部分についてはスラットが開放されるのを防止できる。これにより、屋外側からスラット開放部を通じて屋内を見通されるのを極力防止できるため、より一層防犯性を高めることができる。
【0015】
第5の発明のシャッタ装置は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記各スラットはスラット角度が調整可能であり、前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出された開戸領域の大きさに応じて、前記スラット角度を制御することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、建物開口部の開戸領域の大きさに応じて、スラット角度を調整することができる。つまり、建物開口部の開戸領域の大きさに応じて、スラット角度を調整することでスラット間の開度調整をすることができる。したがって、例えば、建物開口部の開戸領域が大きい場合には、スラット間の開度を小さくしたり、建物開口部の開戸領域が小さい場合には、スラット間の開度を大きくしたりすることができる。そのため、建物開口部の開戸領域の大小にかかわらず、通風面積を一定にすることができ、ひいては通風量を一定にすることができる。これにより、窓戸の開戸状況にかかわらず通風量を一定にすることができる。
【0017】
第6の発明のシャッタ装置は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記各スラットはスラット傾斜の向きが調整可能であり、前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域の位置に応じて前記スラット傾斜の向きを制御することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、建物開口部の開戸領域の位置に応じて、各スラットの傾斜の向きが調整される。したがって、例えば、窓戸が上下に開閉移動されるもので、かつ、シャッタ装置が昇降開閉式である構成において、建物開口部の上部が開戸された場合と、建物開口部の下部が開戸された場合とで、スラット傾斜の向きを変更できる。具体的には、建物開口部のうち、屋外側に立つ人の視点高さよりも上部が開口された場合には、スラットの向きを屋外側から屋内側に向かって下方傾斜するように調整し、また屋外側に立つ人の視点高さよりも下部が開口された場合には、スラットの向きを屋外側から屋内側に向かって上方傾斜するように調整することができる。これにより、建物開口部のいずれの部位が開口された場合でも、屋外側からの視線を遮ることができるため、プライバシの確保ができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】シャッタ装置周辺を示す側面図。
【図2】電気的構成の一部を含むシャッタ装置の正面図。
【図3】スラット制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を具体化する一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、住宅等の建物に設けられた窓部の屋外側に設置される電動式のブラインドシャッタ装置(以下、シャッタ装置と省略する)に具体化されている。図1は、シャッタ装置周辺を示す側面図である。
【0021】
図1に示すように、建物10の外壁部11には、建物開口部としての窓開口12が形成されている。窓開口12には、その内周に沿って窓枠14が配設されており、窓枠14には、上下一対の窓戸としてのガラス戸15,16が引き違い式に取り付けられている。上側ガラス戸15及び下側ガラス戸16はそれぞれ上下に開閉可能とされており、それら各ガラス戸15,16が開閉されることで窓開口12が開放及び閉鎖されるようになっている。また、各ガラス戸15,16は、それぞれ枠体としての窓サッシ15a,16aにガラス板が嵌め込まれることで構成されている。
【0022】
ガラス戸15,16の屋外側には、シャッタ装置20が設けられている。シャッタ装置20は、ガラス戸15,16の上方に取り付けられた横長箱状のシャッタボックス21、このシャッタボックス21内に巻回された状態で収納されるスラット開閉式のシャッタカーテン22などで構成されている。シャッタ装置20は、昇降開閉式のものであり、シャッタカーテン22がシャッタボックス21から引き出される(降下する)ことにより窓開口12が閉鎖され、シャッタカーテン22がシャッタボックス21内に巻き取られる(上昇する)ことにより窓開口12が開放されるようになっている。したがって、本実施形態では、ガラス戸15,16の開閉方向と、シャッタカーテン22の開閉方向(換言すればスラットの並ぶ方向)とが同じ方向となっている。
【0023】
次に、シャッタ装置20の構成について、図2を参照しながらもう少し詳しく説明する。なお、図2は電気的構成の一部を含むシャッタ装置20の正面図である。
【0024】
図2に示すように、シャッタカーテン22は、複数のスラット23を有するスラット開閉式のシャッタカーテンであり、これら各スラット23が上下に連結されて構成されている。各スラット23は、それぞれ横長板状に形成されており、上下に並ぶように配置されている。それらスラット23は、上下に隣接するスラットとそれぞれの一部が互いに係合されており、一体的に上昇したり下降したりする構成となっている。なお、スラット23同士の結合連結の構成については周知であるため、ここでは図示による説明を省略する。
【0025】
多数のスラット23のうち最上部となるスラットは、シャッタボックス21内に設置された巻取りドラム31と連結されており、巻取りドラム31が回転することでシャッタカーテン22の巻き取りや引き出しが行われる。巻取りドラム31は、同じくシャッタボックス21に収容されたドラム駆動部32と連結されている。ドラム駆動部32は電動モータ等を含んで構成されており、このドラム駆動部32の駆動によって巻取りドラム31が正逆いずれかの方向に回転すると、シャッタカーテン22が巻き取り又は引き出される。
【0026】
その巻き取り又は引き出しが行われる場合には、シャッタカーテン22の左右両端部に設けられたガイドレール26によってその巻き取り又は引き出し動作が案内される。ガイドレール26は、窓開口12の左右両側に取り付けられている。
【0027】
各スラット23は、水平方向に延びる軸線を中心として回転する構成となっており、当該軸線を中心に回転することで開状態及び閉状態に移行する。閉状態ではスラット23が鉛直方向に起立した状態となっており、開状態では閉状態に対してスラット23が傾いた状態となっている(図1参照)。そのため、スラット23が開状態にある場合には、上下に隣接するスラット間に横長形状の隙間24が形成される。この隙間24はスラット23の長手方向に沿って延びており、シャッタカーテン22により窓開口12が閉鎖されている状態でも、その隙間24を通じて自然換気や採光を行える。
【0028】
ガイドレール26には、スラット23を開閉させる開閉ガイド機構33が設けられている。開閉ガイド機構33は、スラット23ごとに係合リンク部34を有しており、各係合リンク部34はそれぞれ各々のスラット23の一部に対し係合及び係合解除することが可能となっている。各係合リンク部34によるスラット23との係合及びその解除は、例えばスラット23ごとに設けられた電動モータ等の駆動部を駆動させることで実現される。
【0029】
係合リンク部34は、スラット23と係合した状態で動作することでそのスラット23を開閉する。開閉ガイド機構33は、電動モータ等を含んで構成されているスラット駆動部35を有しており、このスラット駆動部35が駆動することで係合リンク部34が動作し、係合リンク部34と係合されているスラット23が開閉される。このようにして各スラット23は、スラット駆動部35の駆動に伴って個別に開閉される構成となっている。なお、上下に隣り合う2つのスラット23(以下、スラット集合体という)が一体で開閉される構成とし、各スラット集合体がスラット駆動部35の駆動に伴って個別に開閉されるようにしてもよい。
【0030】
次に、シャッタ装置20の電気的構成について説明する。
【0031】
図2に示すように、建物10には、シャッタ制御手段としてのシャッタコントローラ30が設けられている。シャッタコントローラ30は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、例えば外壁部11の屋内側面に設けられている。シャッタコントローラ30は、ユーザにより操作される操作部を有しており、操作部にはシャッタカーテン22の昇降を行うための昇降ボタンや各スラット23の開閉を行うための開閉ボタン等が設けられている。
【0032】
シャッタコントローラ30の出力側には、ドラム駆動部32及びスラット駆動部35が接続されている。シャッタコントローラ30は、操作部に対して操作が行われると、その操作内容に応じてドラム駆動部32やスラット駆動部35に対し駆動信号を出力する。これにより、シャッタカーテン22の昇降やスラット23の開閉が行われる。
【0033】
ところで、本実施形態では、シャッタカーテン22が閉じられている状態で、各スラット23のうち、上側ガラス戸15が開戸されることで開口された窓開口12の開口領域A(開戸領域に相当)に対応するスラット23を開放制御することとしている。本シャッタ装置20は、その点に特徴を有しており、以下その詳細を説明する。
【0034】
図1及び図2に示すように、窓枠14及び上側ガラス戸15にはそれぞれマーカ42が設けられている。各マーカ42はそれぞれ反射板により構成されている。各マーカ42のうち窓枠14に設けられた上側マーカ42aが窓枠14の上縁部にその反射面を屋外側に向けた状態で設けられており、上側ガラス戸15に設けられた下側マーカ42bが窓サッシ15aの上辺部にその反射面を屋外側に向けた状態で設けられている。これら各マーカ42は上下に並んで配置されており、上側ガラス戸15が開閉されると、その開閉に伴い下側マーカ42bが上下に移動し、上側マーカ42aと下側マーカ42bとの離間距離が変化するようになっている。本実施形態では、この離間距離をもって、開口領域Aの開口幅とみなすこととしている。
【0035】
シャッタカーテン22の下端部には、検出手段としての開戸量検出センサ43が設けられている。開戸量検出センサ43は、例えば反射センサ等の光学センサにより構成されており、LED(発光ダイオード)からなる発光部と、フォトトランジスタからなる受光部とを備えている。開戸量検出センサ43は、シャッタカーテン22の下端部において各マーカ42と上下に並ぶように設けられている。開戸量検出センサ43は、シャッタカーテン22の下降時に、発光部より屋内側(ガラス戸15,16側)に向けて投光するとともに、その投光した光がマーカ42により反射された場合にその反射光を受光部により受光する。本開戸量検出センサ43は、その反射光を受光したことをもって、マーカ42を検知する構成となっている。開戸量検出センサ43は、シャッタコントローラ30の入力側に接続されており、マーカ42を検知した場合にはその検知結果をシャッタコントローラ30に出力する。そして、シャッタコントローラ30は、その検知結果に基づいて、両マーカ42a,42bの離間距離を、つまり開口領域Aの開口幅を算出する。
【0036】
シャッタコントローラ30は、記憶部30aを備えている。記憶部30aには、シャッタカーテン22の閉鎖状態において、各スラット23のうちいずれのスラット23を開放させるのかについての情報が記憶されている。本実施形態では、シャッタカーテン22の閉鎖状態では、各スラット23のうち、窓開口12の開口領域Aに対応する部分のスラット23が開放される。つまり、本実施形態では、開口領域Aの開口幅の大きさに合う枚数分のスラット23が開放されるようになっており、そのため、記憶部30aには、開放されるスラット23の枚数が開口領域Aの開口幅と対応付けて記憶されている。
【0037】
次に、シャッタコントローラ30によって実行される制御処理について図3に基づいて説明する。なお、本処理は、シャッタコントローラ30の操作部に設けられた開始スイッチが操作されたことをトリガとして開始される。
【0038】
まずステップS11において、ドラム駆動部32に駆動信号を出力し、シャッタカーテン22を上昇させる。ここでは、シャッタカーテン22が巻取りドラム31に巻き取られるまでシャッタカーテン22を上昇させる。これにより、開戸量検出センサ43が、上側マーカ42よりも上方に位置する。
【0039】
ステップS12では、ドラム駆動部32に駆動信号を出力し、シャッタカーテン22の下降を開始させる。続くステップS13では、開戸量検出センサ43からの検知結果に基づいて、上側マーカ42aを検知したか否かを判定する。上側マーカ42aを検知していない場合には、検知するまで本判定を繰り返す。上側マーカ42aを検知した場合には、ステップS14に進み、タイマによる計時を開始する。
【0040】
ステップS15では、開戸量検出センサ43からの検知結果に基づいて、下側マーカ42bを検知したか否かを判定する。下側マーカ42bを検知していない場合には、検知するまで本判定を繰り返す。下側マーカ42bを検知した場合には、ステップS16に進む。
【0041】
ステップS16では、タイマによる計時を開始してからの経過時間を取得する。つまり、ここでは開戸量検出センサ43が、上側マーカ42aを検知してから下側マーカ42bを検知するまでに要した時間を取得する。なお、経過時間を取得した後、タイマによる計時を終了する。
【0042】
ステップS17では、ステップS16において取得したタイマ経過時間に基づいて、上側ガラス戸15が開戸されることにより開口された窓開口12における開口領域Aの開口幅を算出する。ここでは、予め定められたシャッタカーテン22の下降速度に上記タイマ経過時間を掛けることにより、上側マーカ42aと下側マーカ42bとの離間距離を、つまりは開口領域Aの開口幅を算出する。
【0043】
ステップS18では、ステップS17において算出した開口領域Aの開口幅が予め設定された基準幅よりも大きいか否かを判定する。ここで、基準幅は、上側ガラス戸15が全開された場合における開口領域Aの開口幅よりも小さい幅に設定されており、本実施形態ではその下端位置が人の背丈(例えば大人の平均身長)とほぼ同じ高さ位置となるように設定されている。上記算出した開口幅が基準幅以下である場合には、ステップS19に進む。なお、窓開口12における基準幅に対応する部分が「許可部分」に相当する。
【0044】
ステップS19では、シャッタカーテン22が所定の(下降)位置まで下降したか否かを判定する。シャッタカーテン22が所定の位置まで下降していない場合には、下降するまで本判定を繰り返す。シャッタカーテン22が所定の位置まで下降した場合、つまりシャッタカーテン22が閉じられた場合には、ステップS20に進む。
【0045】
ステップS20では、ステップS17において算出した開口幅に基づいて、開放させるスラット枚数を記憶部30aより読み出す。具体的には、当該算出された開口幅に対応するスラット枚数を記憶部30aより読み出す。
【0046】
ステップS21では、スラット駆動部35に駆動信号を出力し、ステップS20において読み出した枚数のスラット23を開放させる。これにより、窓開口12の開口領域Aの大きさに合った枚数分のスラット23が開放される、つまり、開口領域Aに対応する部分のスラット23が開かれる。その後、本処理を終了する。
【0047】
上述のステップS18において、ステップS17で算出した開口幅が基準幅よりも大きい場合には、ステップ22に進む。ステップS22では、スラット駆動部35に駆動信号を出力し、各スラット23のうち基準幅に対応するスラット23を開放させる。詳細には、記憶部30aには基準幅に対応するスラット枚数が予め記憶されており、そのスラット枚数を記憶部30aより読み出してスラット23を開放させる。つまり、ここでは、窓開口12の開口領域Aのうち基準幅に対応するスラット23のみが開放される。その後、本処理を終了する。
【0048】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0049】
開戸量検出センサ43の検知結果に基づいて窓開口12における開口領域Aの開口幅を算出し、シャッタカーテン22が閉じられている状態時でその算出した開口幅に対応する部分のスラット23を開放させるようにした。具体的には、開口領域Aの開口幅の大きさに合う枚数分だけスラット23を開放させるようにした。これにより、シャッタカーテン22の閉状態時において、所望の通風性を確保することができる。また、開口領域Aに対応する部分以外についてはスラット23が開放されないため一定のプライバシを確保することもできる。
【0050】
上記算出した開口領域Aの開口幅が基準幅よりも大きい場合には、開口領域Aのうち基準幅に対応する部分のスラット23についてのみ開放させることとした。これにより、上側ガラス戸15を開け過ぎる等して開口領域Aが必要以上に大きくなってしまった場合でも、開口領域Aのうち基準幅に対応していない部分についてはスラット23が開放されるのを回避できるため、一定の防犯性を確保することができる。
【0051】
また、具体的には基準幅の下端位置が人の背丈(例えば大人の平均身長)とほぼ同じ高さ位置に設定されているため、人の背丈よりも低い部分についてはスラット23が開放されるのを防止することができる。したがって、例えば下側ガラス戸16が開戸された場合でも、開戸されることにより開口された部分についてはスラット23が開放されるのを防止できる。これにより、開口領域Aを通じて屋外側から屋内が見通されるのを極力回避することができるため、より一層防犯性を高めることができる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0053】
(1)上記実施形態では、上下方向に開閉するガラス戸15,16に対して昇降式のシャッタ装置20を設ける構成としたが、これを変更してもよい。例えば、上下に開閉するガラス戸15,16に代えて、横方向に開閉するガラス戸を用いてもよいし、昇降式のシャッタ装置20に代えて、横引き式のシャッタ装置を用いてもよい。また、横方向に開閉するガラス戸に対して横引き式のシャッタ装置を設ける構成としてもよい。
【0054】
(2)窓開口12の開口領域Aの位置に応じて、つまり上側ガラス戸15が開戸された場合と下側ガラス戸16が開戸された場合とで、各スラット23の傾斜向きを調整するようにしてもよい。具体的には、上側ガラス戸15が開戸された場合には、開口領域Aに対応する部分のスラット23の向きを屋外側から屋内側に向かって下方傾斜するように調整し、一方下側ガラス戸16が開戸された場合には、開口領域Aに対応する部分のスラット23の向きを屋外側から屋内側に向かって上方傾斜するようにするとよい。これにより、例えば屋外側に立つ人の視点高さが両ガラス戸15,16の境界部付近にある場合において、両ガラス戸15,16のいずれが開戸された場合でも、屋外側からの視線を遮ることができるためプライバシの確保ができる。
【0055】
(3)基準幅を1日の時間帯に応じて可変としてもよい。例えば、現在の時間帯を判定する判定手段を設け、判定手段により判定された時間帯に基づいて基準幅を設定することが考えられる。この場合、例えば、屋外側から屋内を覗かれることが比較的少ない昼間の時間帯には基準幅を大きく設定したり、屋外側から屋内を覗かれやすい夜間の時間帯には基準幅を小さく設定したりすることができる。これにより、時間帯に応じて適切な防犯性確保ができる。また、基準幅をユーザ設定に応じて可変としてもよい。この場合、例えばユーザ(居住者等)の外出時には基準幅を小さくしたり、ユーザの在宅時には基準幅を大きくしたりする等、ユーザの都合に合わせて基準幅を設定できる。
【0056】
(4)上記実施形態では、1つの窓開口12を対象として一のシャッタ装置20による開閉を実施したが、複数の窓開口を対象として一のシャッタ装置20による開閉を実施してもよい。例えば、建物10の外壁部11に窓開口が上下に複数設けられ、これら各窓開口にそれぞれ横方向に開閉するガラス戸が配設されている場合に、これら各窓開口を一のシャッタ装置20により開閉してもよい。この場合、ガラス戸が開戸されることで開口される開口領域の開口幅(上下幅)は窓開口の開口幅(上下幅)に相当するため、ガラス戸の開戸状況にかかわらず一定となる。そのため、各窓開口ごとにそれぞれ対応するスラットを予め記憶手段に記憶させておき、ガラス戸が開戸された場合には、そのガラス戸を備える窓開口に対応するスラットを記憶手段より読み出して、その読み出したスラット23を開放させるようにするのがよい。これにより、スラット23を開放させるに際して開口領域の開口幅を検出する必要がなくなるため、例えばシャッタカーテン22を一旦上昇させその後下降させる等の動作(図3のステップS11,S12)を不要とすることができる。よって、スラット23を迅速に開くことが可能となる。
【0057】
(5)上記実施形態では、開戸量検出センサ43によるマーカ42の検知結果に基づいて、開口領域Aの開口幅を算出する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、上記マーカ42を設けずに、開戸量検出センサ43により上側ガラス戸15を検知する構成とし、その検知結果に基づいて開口領域Aの開口幅を算出してもよい。具体的には、開戸量検出センサ43は、発光部より投光した光が上側ガラス戸15により反射され、その反射された光を受光部により受光した場合に上側ガラス戸15を検知する構成とする。この場合、上側ガラス戸15が開戸されることにより開口された開口領域Aについては開戸量検出センサ43により検知されないため、シャッタカーテン22の下降時において同センサ43により検知されなかった時間(以下、未検知時間という)をタイマ等を用いて取得すれば、その取得した未検知時間に基づいて開口領域Aの開口幅を算出できる。
【0058】
また、開口領域Aの開口幅を取得するに際して、必ずしも開戸量検出センサ43を用いる必要はなく、距離センサ等その他のセンサを用いてもよい。例えば、距離センサを用いる場合は、上側ガラス戸15の窓サッシ15aの上辺部に距離センサを設け、当該センサにより上側ガラス戸15の上端部から窓開口12の上端部までの離間距離を検出することが考えられる。この場合、当該検出された離間距離が開口領域Aの開口幅に相当する。
【0059】
(6)上記実施形態では、開戸量検出センサ43をシャッタカーテン22に対して一つだけ設ける構成としたが、開戸量検出センサ43をシャッタカーテン22に対して複数設ける構成としてもよい。その一例として、シャッタカーテン22の各スラット23にそれぞれ開戸量検出センサ43を設けることが考えられる。この場合、シャッタカーテン22を閉じた状態で、各開戸量検出センサ43からの検知結果に基づいて、詳細にはいずれの開戸量検出センサ43により下側マーカ42bが検知されたかに基づいて、下側マーカ42が各スラット23のうちいずれのスラット23に対応する高さ位置に存在するのかを検出できる。つまり、上側ガラス戸15の上端部が各スラット23のうちいずれのスラット23に対応する高さ位置にあるのかを検出できる。したがって、下側マーカ42を検知した開戸量検出センサ43が設けられているスラット23よりも上方に位置する各スラット23を開放させることで、各スラット23のうち窓開口12の開口領域Aに対応するスラット23を開くことができる。
【0060】
(7)各スラット23のスラット角度を調整可能とし、開口領域Aの開口幅に応じてスラット角度を調整するようにしてもよい。つまり、開口領域Aの開口幅に応じてスラット角度を調整することで、スラット23間に形成される隙間24の大きさ(スラット23間の開度)を調整するようにしてもよい。そうすれば、開口領域Aの開口幅が大きい場合にはスラット23間の開度を小さくし、開口領域Aの開口幅が小さい場合にはスラット23間の開度を大きくすることができるため、開口領域Aの開口幅の大小にかかわらず通風面積を一定にすることができ、ひいては通風量を一定にすることができる。これにより、上側ガラス戸15の開戸状況にかかわらず、通風量を一定にすることができる。
【0061】
(8)上記実施形態では、シャッタカーテン22の下端部に開戸量検出センサ43を設ける構成としたが、開戸量検出センサ43は必ずしもこの位置に設ける必要はなく、シャッタカーテン22の高さ方向における中間位置等その他の位置に設けてもよい。
【0062】
(9)上記実施形態では、シャッタカーテン22の下降時に開戸量検出センサ43によりマーカ42を検知する構成としたが、シャッタカーテン22の上昇時にマーカ42を検知する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…建物、11…外壁部、12…建物開口部としての窓開口、15…窓戸としての上側ガラス戸、16…窓戸としての下側ガラス戸、20…シャッタ装置、22…シャッタカーテン、23…スラット、30…シャッタ制御手段としてのシャッタコントローラ、42…マーカ、43…検出手段としての開戸量検出センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を開閉する窓戸の屋外側に設置されるシャッタ装置であって、
複数のスラットが連結されてなるとともに、これら各スラットが開閉可能とされているシャッタカーテンと、
前記窓戸が開戸された状態で、前記建物開口部の開戸領域を検出する検出手段と、
前記シャッタカーテンが閉じられている状態で、前記検出手段により検出した開戸領域に対応する部分の前記スラットを開放させるシャッタ制御手段と
を備えることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】
前記窓戸の開閉方向と前記各スラットが並ぶ方向とが同じであり、
前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域の大きさに合う数分だけ前記スラットを開放させることを特徴とする請求項1に記載のシャッタ装置。
【請求項3】
前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域が、あらかじめ定めたスラット開放の許可部分に相当するかどうかを判定し、前記許可部分でのみ前記スラットを開放させることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタ装置。
【請求項4】
前記各スラットは上下方向に並べて設けられており、
前記シャッタ制御手段は、前記建物開口部における所定高さ以上の部分を前記許可部分とし、当該許可部分でのみスラット開放を許可することを特徴とする請求項3に記載のシャッタ装置。
【請求項5】
前記各スラットはスラット角度が調整可能であり、
前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出された開戸領域の大きさに応じて、前記スラット角度を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシャッタ装置。
【請求項6】
前記各スラットはスラット傾斜の向きが調整可能であり、
前記シャッタ制御手段は、前記検出手段により検出した開戸領域の位置に応じて前記スラット傾斜の向きを制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシャッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−281061(P2010−281061A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133690(P2009−133690)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】