ショートサンプルとロングサンプルとを検出するためのシステムおよび方法
本発明は、サンプル、試験片、またはアッセイの臨床的分析においてショートサンプルおよびロングサンプルの不意の使用を防止するための方法とシステムを提供する。このシステムは、サンプルの1つまたは複数の測定可能な特性の1つまたは複数の値を決定するための臨床分析器を含むことができる。これらの値を、データモジュールの中に記憶された基準データと共に使用して、試験されたサンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を生成する。サンプルのショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとしての確率および/または状態は、ユーザに出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にサンプルまたは試験片を分析するためのシステムと方法とに関する。具体的には本発明は、サンプル、試験片、またはアッセイ流体の分析におけるショートサンプルおよびロングサンプルの故意ではない使用を検出するためのシステムと方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療および獣医の専門家によってしばしは実施される1つの重要な生理学的試験は、生物学的サンプルまたは試験片における分析物の検出と量化である。試験することができる生物学的サンプルまたは試験片には、血液、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水などの様々な生物学的流体が含まれる。勿論、その他の流体も同様に、組織培養基、食品および工業化学品、および環境的サンプルを含めて、分析物の存在と濃度とを試験することができる。
【0003】
血液、血漿、およびその他の生物学的流体のこの様な試験では、一般的にサンプルまたは試験片を臨床分析器の中に挿入することが必要である。生物学的サンプルまたは試験片は一般的に、試験の前に希釈剤との混合などの様々な中間ステップによって処理される。この様な臨床分析器はしばしば、単一のサンプルまたは試験片から様々な異なる分析物を量的に分析することができる。
【0004】
この様な1つの臨床分析器は、様々な光学的試験または分析評価において流体を分析用の所定の容積に区分する回転体を利用する。これらの分析器は、例えば分光測光法試験によって、血液などの生物学的流体の容積を測定し、細胞成分を除去し、流体を分析用の適切な希釈剤と混合するために設計されている。一般的に、回転体は個別の各キュベットの中に複数のサンプルまたは試験片の離散容積を提供し、キュベットの中でサンプルまたは試験片が光学的に分析される。この様な遠心回転体は、参照によって本明細書に組み込まれているKopf-Sill他に譲渡された米国特許第6,235,531号に開示されている。
【0005】
臨床分析器は一般的にサンプルまたは試験片を非常に正確に希釈するが、人間の誤りも機械の誤りも両方共発生する可能性があり、したがって間違った示度が提供される。特に臨床化学の測定では、「ショートサンプル」と呼ばれる現象が非常に有害な誤りの源泉である。「ショートサンプル」は検出が非常に困難であるが、病気の診断または回復に観察において破壊的な結果を有する可能性がある。例えば、ある情況下では、希釈は公称希釈よりもはるかに大きく、結果的に測定値は比例的に小さくなる。これは「ショートサンプル」と呼ばれる。この原因は通常、測定を実施する測定計器によって期待されるサンプルまたは試験片の正確な量を適用するための装置または操作者の失敗である。こうして、分析データは不正確に低い数を含むことになる。同様に、低い希釈は結果としてサンプルまたは試験片の高い濃度となり、この結果、不正確に高い数を提供する。
【0006】
現在、この様なショートサンプルまたはロングサンプルの存在を検出する信頼性のある簡単な方法はない。利用可能な唯一のツールは生理学に基づくものであり、そのわけは、いくつかの分析物のために身体が比較的狭いウィンドウ内で濃度を制御するからである。この生理学ウィンドウ下の測定値が可能なショートサンプルの指標として使用される。この様な現在の方法の一例は、試験値が標準範囲の上または下にあることを認識する、結果を分析するユーザの主観的意見である。次いでユーザは反復試験を注文することもできる。しかし、この方法が極めて不正確で極度に主観的であることは明白である。したがって、ショートサンプルとロングサンプルの存在を検出するための改善された方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一般にサンプルまたは試験片を分析するためのシステムと方法とに関する。具体的には本発明は、生物学的流体などの、しかしこれらに限定はされないが、サンプル、試験片、またはアッセイ流体の分析におけるショートサンプルおよびロングサンプルの偶発的使用を検出するためのシステムと方法とに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
サンプルまたは試験片という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。「ショートサンプル」とは、サンプルの濃度または容積が小さ過ぎて誤差を生じる様な、分析器において使用されるサンプルまたは希釈されたサンプルであり、「ロングサンプル」とは、サンプルの濃度または容積が大き過ぎて誤差を生じる様な、分析器において使用されるサンプルまたは希釈されたサンプルである。
【0009】
本発明の一実施形態では、システムは、サンプルデータをサンプルの1つまたは複数の特性について決定する場合にショートサンプルが使用されたかどうかを検出する様になっている。このシステムはデータモジュールと評価モジュールとを含む。システムは又、随意に分析器モジュールと出力モジュールを含む。様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部分および要素を有する臨床分析器などの、しかしこれに限定されない分析器モジュールは、サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能な特性の値などの、しかしこれに限らないサンプルデータを生成する。例証的に、1つまたは複数の測定可能な特性は、血液、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水、免疫学的アッセイ、またはその他の測定可能な特性物質などの、サンプルの1つまたは複数の分析物の濃度を含む。さらに、1つまたは複数の特性物質を飲料水や廃水などのあらゆる成分にすることもできる。しかしながら、サンプルデータを、事前に生成したか記録したデータなどの他の源泉から受け入れてもよい。
【0010】
データモジュールは、1つまたは複数の標本母集団におけるサンプルの1つまたは複数の特性値を表すデータなどの、基準サンプルデータの1つまたは複数の分布を表す基準データを記憶する。データモジュールまたは評価モジュールのいずれかは関係データを含むことができ、関係データは、パラメータデータおよびサンプルデータを利用してサンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能サンプルである確率を確認するために、評価モジュールに必要な情報を含む。このデータを、データモジュールに記憶された、またはさもなければデータモジュールにアクセス可能なコンピュータ読取り可能媒体上の1つまたは複数のデータフィールドに記憶することができる。
【0011】
評価モジュールは、任意に分析器モジュールからサンプルデータを受け入れる様になっている。評価モジュールは又、値がサンプルデータに含まれている特定の測定可能な特性を識別して、パラメータデータおよび関係データを含めて適切な基準データをデータモジュールから得る、識別モジュールも含む。次に、評価モジュールはサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して、分析されたデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を決定する。
【0012】
本発明の一態様による例示的方法には、サンプルの1つまたは複数の測定可能特性を決定するために臨床分析器などの、しかしこれに限定されない分析器モジュールにおいて使用されるサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを識別するための方法が含まれる。この方法は分布展開を作り出すことを含み、分布展開は、1つまたは複数の測定可能特性の標本母集団から得られた統計的に有意な測定特性データセットを使用して、1つまたは複数の測定可能特性の各々について発生頻度を定義する。
【0013】
分布展開を使用して、本発明は、最大測定特性データ発生頻度に対応する分布最大値を選択すること、およびこの分布最大値を、分布最大値に等しいかまたはより大きなデータを生成する試験サンプルがショートサンプルであった確率がゼロパーセントである点として定義することを含む。
【0014】
この分布展開を使用して、発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい点に対応する分布最小値を選択する。次に分布最小値を、分布最小値に等しいかまたはより小さなデータを生成する試験サンプルがショートサンプルであった確率が100パーセントである点として定義する。一旦これが達成されると、分布最大値および分布最小値によって画された分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを定義する。例証的に、1つまたは複数のパラメータは、分布最小値と分布最大値との間の分布展開を近似する曲線当てはめ式と関連する。次に、1つまたは複数のパラメータと、分析器モジュールによって決定された少なくとも1つのサンプルデータとを使用して、分析器によって生成したサンプルデータがショートサンプルから結果的に得られた確率を決定する。
【0015】
ロングサンプルまたは容認可能サンプルがサンプルの1つまたは複数の測定可能特性の決定に使用されたことを確認する場合、以下にさらに詳細に記載する同様な方法を使用することができる。
【0016】
本発明のこれらおよびその他の特徴は、下記の説明および添付の特許請求の範囲からさらに完全に明らかになるか、または後述の本発明の実施によって学ぶこともできよう。
【0017】
本発明の上記のおよびその他の利点と特徴を把握するために、上に概説した本発明のさらに具体的な説明を、添付の図面に図示された本発明の特定の実施形態を参照して以下に提供する。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを図示するものであり、したがって本発明の範囲を限定すると考えてはならないことを理解して、添付の図面を使用して本発明を追加の特異性と詳細によって記述説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、一般に、血液、血漿、血清、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水、その他の生物学的流体、または分析試験を行おうとするその他の物質などの、しかしこれらに限らないサンプルまたは試験片の分析試験における誤りを検出するためのシステムおよび方法に関する。具体的には、本発明は、分析試験において使用されるサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを検出することに関する。
【0019】
本明細書で使用される様に、「ショートサンプル」という用語は、標準希釈サンプルにおいて生じるよりも大きな程度に希釈されて、結果的にサンプルの測定可能特性の値が標準サンプルのそれよりも比例的に小さくなるというサンプルを表示する。これは、サンプルの不適切な容積、または試薬もしくは希釈剤の過剰供給に由来することもある。同様に本明細書で使用される様に、「ロングサンプル」という用語は、標準希釈サンプルにおいて生じるよりも小さな程度に希釈されて、結果的に全容積が標準容積よりも小さく、結果として得られるサンプルの測定可能特性の値が標準サンプルのそれよりも比例的に大きくなるというサンプルを表示する。これは、サンプルの過剰供給、または試薬もしくは希釈剤の不適切な容積に由来することもある。「容認可能サンプル」という用語は、本明細書では、ショートサンプルでもロングサンプルでもない、すなわち公称容積を有する公称サンプルに実質的に類似したサンプルを示すために使用されている。
【0020】
分析物は、グルコース、ナトリウム、抗原、抗体、またはサンプル、試験片、またはアッセイによって分析しようとする他の任意物質などの、分析の対象である物質である。本発明と両立できる分析試験は、グルコース濃度、ナトリウム濃度、抗原濃度、抗体濃度、またはサンプル、試験片、またはアッセイによって分析しようとする他の任意物質などの、サンプルにおける様々な分析物に関する情報を決定することができる。分析試験はさらに、サンプル自体の性質に関する値、例えば浸透度、アルカリ度、酸性度などの、サンプルに関する様々なその他の情報を決定することもできる。集合的に、分析物、および分析物および/またはサンプルの性質は「測定可能特性」と呼ばれる。
【0021】
「サンプルデータ」という用語は、サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性のいずれかの情報または値などの、サンプル、試験片、またはアッセイの分析試験から収集されたデータを指す。例えば、サンプルデータの排他的リスト、故に任意の測定可能特性は、トータルビリルビン(tbil)、直接ビリルビン(dbil)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ast)、クレアチンキナーゼ(ck)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alt)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ggt)、アルカリホスフォターゼ(alp)、アミラーゼ(amy)、二酸化炭素(CO2)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)、浸透度(osmo)、血液尿素窒素(bun)、クレアチニン(cre)、グルコース(glu)、全蛋白(tp)、アルブミン(alb)、カルシウム(Ca)、ホスファターゼ(phos)、トリグリセリド(trig)、コレステロール(chol)、尿酸(ua)、マグネシウム(Mg)、乳酸脱水素酵素、血清グルタミン酸-オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(sgot)、血清グルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(sgpt)、アルカリ度、酸性度、浸透度、全蛋白/アルブミン(tp/alb)、血液尿素窒素/クレアチニン(bun/cre)、およびテトラヨードチロン(T4)、HDL、全コレステロール、CK-MBなどの細胞形質マーカ、およびトロポミン-Iおよびトロポミン-Tなどの、しかしこれに限らない構造蛋白を含む。さらに、「サンプルデータ」は、免疫学的検定法、ゲノム検定法、または水処理などの、しかしこれに限らない流体処理検定によって収集したデータを含むことができる。このリストは網羅的なものではなく、本発明の方法を使用して実施することができる分析評価の単なる例示であることを意図するものである。
【0022】
上記サンプルデータの1つまたは複数、したがってサンプル、試験片、またはアッセイの測定可能特性のいずれか1つに関する値を個別にまたは分類して収集し、特定の目的のためにサンプル、試験片、またはアッセイのさらに包括的な分析を提供することができる。3つの例示的な分類は、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む基礎代謝パネル、および、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、および塩素を量化する簡単な電解質試験を含むことができるが、これに限られることはない。
【0023】
本明細書で使用される様な「パラメータデータ」という用語は、サンプル、試験片、またはアッセイの少なくとも1つの測定可能特性に関する分布を示すデータ、またはサンプル、試験片、またはアッセイについて試験された標本母集団におけるサンプルデータに関する分布の少なくとも一部分に当てはめられた曲線を部分的に定義する値に関する。例えば、パラメータデータは、平均、標準偏差、およびテストサンプルまたは試験片の標本母集団における少なくとも1つの測定可能特性の分布について当てはめられた特定の曲線に関するその他の定数を含むことができる。
【0024】
同様に、本明細書で使用される様な「関係データ(Relationship data)」という用語は、パラメータデータと、サンプルをショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとして識別する場合に助けとなるサンプルデータとの間の、関係を定義するデータに関する。例証的に、関係データは、分布のすべてまたは一部分を近似するために使用される曲線当てはめの形式を定義する1つまたは複数の等式などの、適当なデータを含むことができる。集合的に、パラメータデータと関係データは「基準データ」と呼ばれる。
【0025】
本発明の実施形態は、サンプルデータが不意にショートサンプルまたはロングサンプルであって特定のサンプルから生成したために、そのサンプルデータが正しくないかどうかを示す確率を急速且つ確実に提供するシステムと方法とを提供する。
【0026】
I.システム
次に図面を参照すると、同様な構造には同様な参照指示がなされているが、図面は本発明の一実施形態の例証的システム、方法、およびモジュールを示す。本発明は、分析されたサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを識別するための方法、モジュール、およびシステムに及ぶ。本発明の実施形態は、後で詳述する様に様々なコンピュータハードウェアを含む専用コンピュータまたは汎用コンピュータを含んでもよい。
【0027】
本発明の範囲内の実施形態は、コンピュータ実行可能命令を伝えるか有するためのコンピュータ読取可能媒体、またはこの上に記憶されたデータ構造も含む。この様なコンピュータ読取可能媒体を、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセス可能などの様な市販の媒体にすることもできる。例としては、しかしこれに限られないが、この様なコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、またはコンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を伝達または記憶するために使用することができ、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセスできるその他のどの様な媒体も含むことができる。情報があるネットワークまたは別の通信接続(有線、無線、または有線もしくは無線の組合せ)を通じてコンピュータに転送または提供されると、コンピュータは適正にこの接続をコンピュータ読取可能媒体と見る。したがって、この様な接続はどれも適正にコンピュータ読取可能媒体と呼ばれる。上記の組合せもコンピュータ読取可能媒体の範囲内に含むべきである。コンピュータ実行可能命令には、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理装置にある一定の機能または機能群を実施させる命令およびデータが含まれる。
【0028】
図1と次の論述は、本発明の例示的実施形態を実現することができる適切な計算環境の簡単な概説を行おうとするものである。必要ではないが、本発明を、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令が任意にネットワーク環境において1つまたは複数のコンピュータによって実行される一般情況において、以下に説明する。一般にプログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含み、これらは特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ形式を実行する。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書に開示された方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例を表す。この様なコンピュータ実行可能命令または関連するデータ構造は、この様なステップにおいて説明される機能を実行するための対応する作用の例を表す。
【0029】
本発明が単一の汎用または専用コンピュータ装置によって実施できることは、当業者には理解されよう。代替案として、本発明を、ネットワーク計算環境において、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム式ユーザ電子装置、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、多くの形式のコンピュータシステム構成によって実施することもできる。本発明を、通信ネットワークを通じて(有線リンク、無線リンク、または優先リンクまたは無線リンクの組合せによって)連係されたローカルまたは遠隔処理装置によってタスクが実施される分散計算環境において実施してもよい。分散計算環境では、プログラムモジュールをローカルまたは遠隔メモリ記憶装置の中に置いてもよい。
【0030】
図1は、任意の分析器モジュール102と、データモジュール104と、評価モジュール106と、任意の出力モジュール108とを含む例証的なシステム100を図示する。システム100を囲む点線は、システム100の各モジュールを接続する矢線によって表されている様に、システム100が1つまたは複数のネットワークで接続された異なるユニットを含むことができることも企図されるが、システム100が任意に単一ユニットの一部であることを示す。これらのネットワークは、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネット、またはモジュールから他のモジュールへのデータ伝達を可能にするその他の通信リンクを含むが、これらに限られるものではない。
【0031】
分析器モジュール102は、データモジュール104と連絡している評価モジュール106によって使用されるサンプルデータを生成して、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルの結果であるかどうかを決定する様になっている。こうして、システム100は、サンプルデータを正確であるかまたは不正確であるとして、これによって信頼性があるかまたは信頼性がないとして識別できる機構を提供する。
【0032】
この例証的実施形態に示す様に、システム100は分析器モジュール102を含む。分析器モジュール102は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータを決定または生成する様になっている。例証的に、分析器モジュール102は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性の値を生成する。分析器モジュール102は、電気化学的分析器などの、しかしこれに限らない、上述の機能の性能を容易にする様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部分を含む。選択された分析器がサンプルデータを決定することができる限り、分析器モジュール102の機能を実施するために、様々な形式の分析器が現在入手可能であるか、または将来開発してもよい。
【0033】
例証的に、電気光学的分析器などの、しかしこれに限らない分析器モジュール102は、従来の実験用遠心機を利用することができる。分析器モジュール102によって表される様に、従来の実験用遠心機の中に含まれるソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールと構成部分の動作の下で、遠心機はこれに取り付けられた遠心回転子を回転させる。この遠心回転子は、チャンバと、通路と、通気口とを、回転子は遠心機のソフトウェアおよび/またはハードウェアの指図の下で回転するときに生物サンプル(例えば全血液)などの試験サンプルから細胞質サンプルを分離し易くする所望の幾何学的パターンまたは関係で含む。さらに、チャンバ、通路、および通気口は、試験サンプル(例えば血漿)の正確な量を測定し、試験サンプルを適切な希釈剤と混合し、希釈された試験サンプルを分析用キュベットに給送する助けになる。本発明の回転子において使用するために適当な様々な専用のチャンバおよびチャネルは、Burdに譲渡された米国特許第5,061,381号、Brayninに譲渡された米国特許第5,122,284号、Burdに譲渡された米国特許第5,186,844号、およびBrayninに譲渡された米国特許第5,242,606号に開示されており、これらは本明細書に参照によって明白に組み込まれている。
【0034】
ある外形構成において、キュベットに給送される試験サンプル又な流体は試薬と反応する。使用される試薬はよく知られており、本特許や科学文献では十分に説明されており、例えばBuhl他に譲渡された米国特許第5,413,732号、Buhl他に譲渡された米国特許第5,998,031号、Buhl他に譲渡された米国特許第5,776,563号、およびBuhl他に譲渡された米国特許第5,624,597号に記載の試薬であるが、これらに限られるものではなく、これらの特許は参照によって本明細書に明白に組み込まれている。
【0035】
試験キュレットにおける試験サンプルと試薬との間の反応は、結果として、試験サンプル、試験片、またはアッセイの特定の測定可能な特性の存在および/または量に関連することもあるいくつかの検知可能または測定可能な変化となる。例えば、試験キュレットへのサンプルの追加は、結果的にサンプル、試験片、またはアッセイの色彩、蛍光性、発光性、またはその他の検知可能な変化となる。
【0036】
反応の過程にわたって、または反応に続いて、試験キュレットを分析して、サンプル、試験片、またはアッセイ内の1つまたは複数の分析物などの1つまたは複数の測定可能な特性、または本明細書に記載されているものおよび本明細書に含まれる教示に照らして当業者には知られているその他のものなどの、しかしこれらに限定されないサンプル、試験片、またはアッセイの特定の性質を検知する。
【0037】
ある実施形態では回転子は透明であり、したがってサンプル、試験片またはアッセイ、これらの細胞質成分、および/または試薬を、様々な内部チャンバ、通路、および/またはキュベットの中で観察することができる。随意に、回転子が半透明または不透明すなわち透明ではないときには、キュベットの内容を観察できる様に回転子内に形成された1つまたは複数の適当な光経路を有することが望ましい。いずれにしても、サンプル、試験片、またはアッセイを、分光測光法、蛍光測定法、化学ルミネセンスの使用、光散乱法の使用、またはその他の測定計器と技術の使用、およびサンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性を表すサンプルデータを生じさせるために当業者には周知の適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアによって分析する。ある場合には、免疫学的検定およびその他の特定の結合検定を、細胞のない流体の収集チャンバの中で、または収集チャンバに収集されたキュベットの中で実施してもよい。
【0038】
図2を参照すると、評価モジュール106とデータモジュール104のさらに詳細な表現が示されている。図示する様に、データモジュール104は、パラメータデータ記憶機構124と関係データ記憶機構126とを含む。パラメータデータ記憶域124と関係データ記憶域126とを含むデータモジュール104を参照するが、当業者は、データモジュール104が1つまたは複数の他のデータ記憶域に記憶されたパラメータデータおよび関係データにアクセスしてもよく、これらの記憶域はシステム100からローカルまたは遠隔であるが、データモジュール104によってアクセス可能であることを理解することができる。例えば、データモジュール104、パラメータデータ記憶機構124、関係データ記憶機構126、または他のデータ記憶機構は、階層、関係、平坦、またはその他のデータベース構造を有するが、関係するデータベース管理システム(図示せず)を含む。さらに、データモジュール104、パラメータデータ記憶機構124、関係データ記憶機構126、または他のデータ記憶機構は、モジュラーまたは固定メモリ、揮発性または不揮発性メモリ、磁気記憶媒体、CDRW、光記憶媒体、または本明細書に記載の情報およびデータを記憶するためのその他の大容量記憶機構を利用することができる。
【0039】
図3に示す様に、パラメータデータ記憶機構124は、試験サンプル、試験片、またはアッセイにおいて識別することができる様々な分析物、性質、または特性、すなわちCharacteristicA-CharacteristicNのリストとして基準データを記憶することができる。各CharacteristicA-CharacteristicNは、特定の測定可能特性のための分布曲線当てはめとして、分布のすべてまたは一部分を定義する1つまたは複数のパラメータを含む。図示する様に、基準データのこの様なパラメータは、サンプル、試験片、またはアッセイの特性または性質に関する平均、標準偏差、定数K0、K1、K2、またはその他の数学的等式を含むことができるが、これらに限られるものではない。各パラメータは、関係する値、ValueCMean、ValueCSDT、ValueCK0、ValueCK1、ValueCK2など、または本明細書に含まれる教示に照らして当業者には周知のその他の値を含む。これらのパラメータと値を、1つまたは複数のフィールドに記憶することができ、フィールド、パラメータ、および値の特定の組織はデータ構造である。さらに、パラメータデータ記憶機構124は1つまたは複数の関係データパラメータを含み、これらのパラメータは、サンプルが試験しようとする測定可能な特性に基づくショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能なサンプルであるという確率を生じさせるために使用されるために、関係データ記憶機構126に記憶された特定の関係データを定義する。例えば、関係データパラメータはValueCDataを含む。代替案として、関係データパラメータを、サンプル、試験片、またはアッセイの特定の特性または性質のための1つまたは複数の値が与えられる確率を返す1つまたは複数の方程式にすることができる。
【0040】
その上、パラメータデータ記憶機構124は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能なサンプルであるかどうかを限定する限界値を定義する決定レベルパラメータをさらに含む。例えば、決定レベルパラメータの値、ValueCLVLは、限界値パーセンテージになることができ、このパーセント以下ではこのサンプルはショートサンプルまたはロングサンプルと考えられる。この値を、システム100の操作者またはユーザによって変更可能にすることができ、システム100の中にハードコードすることができる。例えば、限界値を、サンプルがショートサンプルまたはロングサンプルである確率の値の母集団を示すショートサンプルまたはロングサンプルの累積分布から得ることができる。例えば、12の化学サンプルの一般パネルに関する例示的な累積ショートサンプル分布を表1に示す。
【表1】
【0041】
表1から理解できる様に、この例では42.5%より大きな確率値は観察されなかった。しかし、42.5%より大きいかまたは小さい確率値はその他のサンプルについて観察されることもある。27.5%の限界値が選択された場合には、サンプルの約3.76%、すなわちサンプルの100%-96.24%=3.76%が、これらのサンプルが正規または容認可能なサンプルであっても、ショートサンプルとして検知されることになる。対照的に、42.5%の限界値レベルが選択された場合には、誤ショートサンプルは検知されないはずであるが、真のショートサンプルの一部が検知されない可能性がある。
【0042】
ある1つの特定のサンプルに関して1組のショートサンプル確率に関するある特定の累積分布を参照するが、累積分布を様々な異なるサンプルのためにロングサンプルまたはショートサンプルについて計算できることを、当業者は理解することができる。さらに、各累積分布は、ユーザによって選択されてシステムの中にハードコードされることが可能な1つまたは複数の限界値レベルを提供することができる。
【0043】
上述の様に、データモジュール104は関係データ記憶機構126を含む。この関係データ記憶機構126は図4に示す様に、関係データ、RelationshipA-RelationshipNを含み、このデータは、特定の特性、各CharacteristicA-CharacteristicNがサンプル、試験片、またはアッセイにおいて測定される確率を発生するために使用することができる1つまたは複数の方程式を表すものである。1つまたは複数のCharacteristicA-CharacteristicNが同じ関係データ、RelationshipA-RelationshipNを使用できることは理解できるが、代わりに各特性、CharacteristicA-CharacteristicNが異なる関係データRelationshipA-RelationshipNを使用できることが理解される。1つまたは複数の方程式である最終関係データ、RelationshipA-RelationshipNを参照するが、さらに一般には、関係データ、RelationshipA-RelationshipNは、サンプル、試験片、またはアッセイをショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する場合の助けとなるパラメータデータとサンプルデータとの間の関係を定義する任意の1つまたは複数のパラメータにすることができる。
【0044】
図2に戻ると、評価モジュール106はデータモジュール104と連絡している。評価モジュール106は、処理モジュール122と連絡している識別モジュール120を含む。識別モジュール120は、分析器モジュール102からサンプルデータを受け取り、サンプルデータによって識別された特定の測定可能な特性と任意にその特性の値を決定する様になっている。例えば、図5を参照すると、識別モジュール120は、特定の測定可能な特性および関連値、すなわちそれぞれCharacteristicASample-CharacteristicASampleおよびValueASample-ValueNSampleのリスティングを含むサンプルデータ128を受け入れる。CharacteristicASample-CharacteristicASampleおよびValueASample-ValueNSampleのリスティングを参照するが、当業者は、本明細書に含まれる教示に照らして、このようなデータを様々な異なるフォーマットで評価モジュール106に給送できることを理解できる。
【0045】
サンプルデータを受け入れることにより、識別モジュール120は、各特定のCharacteristicASample-CharacteristicNSampleを識別し、データモジュール104から関係パラメータデータを得ることができる。さらに具体的には、識別モジュール120は、パラメータデータ124を、すなわち特定の識別されたCharacteristicASample-CharacteristicNSampleのための1つまたは複数のCharacteristicA-CharacteristicAに関連するパラメータを、データモジュール104から直接、またはサンプルデータに含まれるデータモジュール104と連絡しているある別のデータモジュールから検索することができる。その上、識別モジュール120は、サンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを処理モジュール122に給送する前に、関係データ記憶機構126から関連する関係データを検索することができる。
【0046】
処理モジュール122は、サンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して、分析器102によって分析された試験サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を表すデータを生成する。これは、処理モジュール122が関係データとパラメータデータを組み合わせて確率方程式から導き出された確率を発生するときに達成されることができ、確率方程式は、試験サンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータに含まれる測定可能特性の特定の1つまたは複数を使用する。処理モジュール122はさらに、試験サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能な特性に関連する確率を組み合わせて、1つまたは複数の測定可能な特性の任意の組合せが結果的に試験サンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとして識別されることになるかどうかを決定することができる。
【0047】
評価モジュール106は、分析の結果を出力モジュール108に伝える。出力モジュール108は結果を管理者などのシステム100のユーザに提示し、随意にこれを次のアクセスまたは送達のために記憶する。結果の提示は、サンプルがショート、ロング、または容認可能であるという音声通知、視覚的通知、これらの組合せなどの、様々な様式で達成することができる。例証的に、出力モジュール108は、特定のショートサンプル確率を表示するために較正された「go/no-go」標識を含むことができる。この様な標識は、緑、黄、または赤などのカラーコーディング、原文メッセージ、または「20%確率」などの数字表示を使用して必要な情報を表示することができる。したがって、go/no-go標識は、管理者が予めシステムに入力しておいたデータに基づいて、ショートまたはロングサンプル確率に関して、管理者に情報を急速に中継することができる。
【0048】
別の構成では、出力モジュール108は、ビデオモニタ、CRT装置、またはフラットスクリーン装置などの、しかしこれらに限らないビデオ表示装置を使用して、結果を提示することができる。代わりに、出力モジュール108は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを指示する1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。例えば、出力モジュール108は、3つの異なる色彩LEDを含むことができ、1つのLEDが、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを表す。別の構成では、各LEDが同じ色彩である。さらに別の構成では、一連のLEDが備えられて、十分な数のLEDが照明されて、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかの発生確率値を図示する。さらに別の構成では、出力モジュール108は、1つまたは複数の液晶表示装置を含むか、またはこれらと通信し、これらの液晶表示装置は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかの発生確率値を表示する。
【0049】
上記の他に、出力モジュール108は結果のハードコピーを作ることができ、つまりこれは結果が、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを単に述べているかという結果であり、または(i)確率の図形表示、(ii)確率に関連する計算の詳細、(iii)ショートまたはロングザンプルがフラグ付けされるサンプルの希釈または濃縮のレベル、これらの組合せ、またはサンプルのショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとしての試験およびフラグ付けに関するその他の情報の、1つまたは複数を提供する。
【0050】
一般に、出力モジュール108は、確率結果を表示するための手段の機能を実施することができる1つの構造である。上記例の各々はこの様な手段の一例証的構造である。さらに、当業者は本明細書に含まれる教示に照らして様々なその他の構成を識別することができる。
【0051】
上述のシステムは本発明の一実施形態として例示的に説明したものであり、本発明の範囲に矛盾しないその他の実施形態も、当業者によってこの開示の中に包含されるものと理解されよう。例えば、本発明のシステムは分析器モジュールを除外して、コンピュータ読取可能媒体または管理者入力データなどの個別のデータソースから入力サンプルデータを受け入れてもよい。この様式で、本発明のシステムを使用して、事前にまたは他の群によって収集されたデータなどの、様々なサンプルデータセットについてショートまたはロングサンプルの存在を検知することができる。
【0052】
II.方法
本発明による例証的方法が図6〜9に図示されており、これらは、臨床分析器などの、ただしこれに限定されない分析器モジュールにおけるサンプルデータを決定する場合にショート、ロング、または容認可能サンプルが使用されたことを識別するための複数のステップを含む。
【0053】
図6を参照して、ここに例示的な方法を説明する。この方法は、ブロック202で示す様に先ずサンプルデータを提供することを含む。次にブロック204によって示す様に、サンプルデータに関するパラメータデータと関係データを提供する。最後に、サンプルの状態、すなわちショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能サンプルを、ブロック206によって示す様に、サンプルデータとパラメータデータとを使用して識別する。使用される本発明の特定の実施形態に応じて、サンプルデータ提供するステップと基準データを提供するステップを反転することもできる。ブロック202、204、206によって示す様なこれらのステップの各々を、図7〜9をそれぞれ参照して以下にさらに説明する。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、図7におけるブロック210によって表されるように、新しいサンプルデータかまたは記憶されたサンプルデータが得られるべきかを決定する。判断ブロック210が否定である場合には、ブロック212によって表されるように、記憶されたサンプルデータが得られる。記憶されたサンプルデータは、ユーザ入力やネットワーク化されたソースなどの、しかしこれに限られない様々なソース、または分析器モジュール、評価モジュール、および/またはデータモジュールに関連する記憶媒体から得ることができる。判断ブロック210が肯定である場合に生成する新しいデータが使用される場合には、ブロック214によって表されるように先ずサンプルが得られる。次にブロック216によって表されるようにサンプルは分析器モジュールによって分析され、サンプルデータが生成する。次にブロック218によって表されるように分析器モジュールから出力される。サンプルデータは、記憶されたソースから得られたかまたは新たに生成したかいずれにしても、評価モジュールに直接連絡され、および/または随意に将来のアクセスおよび分析のために記憶される。
【0055】
次に図8を参照すると、基準データを生成するための一方法が図示されている。最初に、判断ブロック230によって表されるように、分析および処理中に新しい基準データを使用すべきか記憶された基準データを使用すべきかが判断される。判断ブロックが否定の場合には、ブロック232によって表されるように、記憶された基準データがデータモジュール104から得られる。
【0056】
判断ブロックが肯定の場合には、この方法はブロック234によって表されるように、サンプルデータに含まれる1つまたは複数の測定可能な特性の代表的母集団から統計的に有意な標準データを提供することを含む。この標準データセットは、統計的に有意な数のデータ点を計算して目標母集団の表す分布を生成することによって得ることができる。この標準データセットは、ブロック236によって表されるように、随意に図形表示として表される分布展開を作り出すために使用される。分布展開は、1つまたは複数の測定可能な特性の各々について様々な測定値のための発生頻度を定義する。
【0057】
各分布展開は、ブロック238によって表されるように、分布最大値(「Amax」)を決定するために使用され、この分布最大値は、サンプルデータの中に含まれる各特定の測定可能特性の最大発生頻度、すなわち各特定の測定可能特性についての1つのAmaxに対応する。ショートサンプル検知の場合には、このAmaxは、この分布最大値と同じかより大きな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがショートサンプルである、という確率がゼロパーセント(0%)である点として定義される。ロングサンプル検知の場合には、このAmaxは、この分布最大値と同じかより小さな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがロングサンプルである、という確率がゼロパーセント(0%)である点として定義される。
【0058】
同様に、分布最小値は、やはりブロック238によって表されるように、分布展開を使用して選択され、発生頻度がゼロに近いかまたは等しい点に対応する。ショートサンプル検知については、分布最小値は、この分布最大値と同じかより小さな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがショートサンプルである、という確率が百パーセント(100%)である点として定義される。ロングサンプル検知については、分布最小値は、この分布最小値と同じかより大きな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがロングサンプルである、という確率が百パーセント(100%)である点として定義される。その上、ショートサンプル検知については、Aminは、Amaxより小さな特定の測定可能な特性の値に対応し、ロングサンプル検知では、AminはAmaxより大きな値に対応する。
【0059】
AmaxおよびAminの識別に続いて、ブロック240によって表されるように、AmaxおよびAminによって境界付けられた分布展開の部分を識別する1つまたは複数のパラメータが定義される。例えば、関連する1つまたは複数のパラメータを伴う曲線当てはめ方程式が生成され、この方程式はAmaxとAminとの間の分布展開に当てはめを行う。曲線当てはめ方程式はガウスの方程式またはその他の分布方程式の形をとってもよく、曲線当てはめ画必要とするような平均、標準偏差、またはその他の定数などの、しかしこれらに限られない少なくとも1つまたは複数のパラメータを含む。分布展開への曲線当てはめの経路を定義するパラメータは、パラメータデータまたはパラメータデータ記憶機構124に記憶された基準データである。ガウス分布式を参照するが、その他の曲線当てはめ方程式も使用することができ、これらは当業者には周知である。例えば、限定するものではないが、他の曲線当てはめ方程式には、指数式、対数式、多項式、ローレンツ式、ラプラス式、ポアソン式、または本明細書に含まれる教示に照らして当業者には周知のその他の曲線当てはめ式がある。
【0060】
AmaxとAminの間の生成された曲線当てはめ方程式は、AmaxとAminの間における全ての値についてサンプルがショートサンプルである確率を定義する。ちょうどAmaxにおいては、サンプルがショートサンプルである確率は0%であり、Aminにおいては、サンプルがショートサンプルである確率は100%であり、AmaxとAminの間における曲線の方程式は正規化されて、単一特性の分布曲線当てはめから単一特性についての100%(Amax)と0%(Amin)との間のショートサンプル確率を返す。
【0061】
ブロック242によって表されるように、1つまたは複数のパラメータの各セットについて、パラメータデータとサンプルデータとの間の関係を示す関係データが定義される。関係データは、パラメータデータとサンプルデータを使用して、1つの特定のサンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルから決定された確率を決定することができる1つまたは複数の確率方程式を含むことができる。確率方程式を定義する記憶されたデータは関係データと呼ばれ、データモジュールまたはシステムに関連するある別のデータ記憶機構に記憶される。
【0062】
次に図9を参照すると、ショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルの確率を決定するための方法は、評価モジュールの識別モジュールを使用して、ブロック260によって表されるようにサンプルデータを、ブロック262によって表されるように基準データを識別する。処理モジュールは、ブロック264によって表されるように、サンプルデータと基準データとを処理し、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである確率を決定し、この確率は百分率に換算される数値として計算される。最後にこの確率は、上述のように、およびブロック266によって表されるように出力または記憶される。
【0063】
その上、本発明の実施形態は、計算された確率をユーザ定義の限界確率と比較すること、および結果をユーザに出力することを随意に容易にする。
【0064】
本発明による別の一方法は、様々な分析物のショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである個別の確率を使用して、分析物A、B、・・・Nの任意の組合せを有するサンプルのショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである確率を決定することを含む。こうして、複数の測定可能特性の値が決定された場合に、ショートサンプルの確率が、式1に示す様に、考慮される測定可能特性の数によって正規化される各測定可能特性のショートサンプルである確率のNANDまたは「not and」として定義されることが好ましい。
【0065】
p(Short Sample)=[N-{p(A)+p(B)+...+p(X)}]/N (式1)
式1では、Nは測定可能な特性の数である。勿論、その他の式も、1つまたは複数の測定されたサンプル、試験片、またはアッセイの特性に基づいてショートサンプルまたはロングサンプルの尤度を投影するために使用することができる。
【0066】
同様に、複数の測定可能な特性が決定された場合には、ロングサンプルの確率が、式2に示す様に、考慮される測定可能特性の数によって正規化される各測定可能特性のロングサンプルである確率のNAND、すなわち「not and」として定義されることが好ましい。式においてNは測定可能な特性の数である。
【0067】
p(Long Sample)=[N-{p(A)+p(B)+...+p(X)}]/N (式2)
本発明の実施形態は、測定可能な特性の特定の組合せについて統計的に有意な数のサンプルを分析して、前記サンプルの測定可能な特性の前記組合せの確率分布を計算するための方法も提供する。確率の分布をプロットまたは作表することができ、次に、サンプルをフラグ付けするための百分順位に基づくしきい限界を確立することができる。例えば、95の百分順位またはそれ以上のショートサンプル確率を有する試験サンプルを使用して、サンプルがショートサンプルである可能性があるというフラグ付けをすることができる。
【0068】
測定可能な特性の特定の組合せが一旦確立されると、ショートサンプルまたはロングサンプルの計算された確率と選択された限界との比較を、分析において不十分なまたは異常な量のサンプルが使用されたという警告として使用することができる。一実施形態では、20%またはそれ以上の限界レベルが使用される。これは一実施形態のための場合であるが、確率を約18%〜約24%、約30%〜約35%、または約48%〜約55%として識別できることが理解できる。
【0069】
したがって、サンプルをフラグ付けするための限界値は、個別のサンプルデータと、様々な分析物からの複数のサンプルデータに関するその他の確率関数の両方に基づくことができる。
【0070】
ユーザの好みと確率の大きさとに応じて、ユーザは一般的に試験を繰り返して、測定された値が真であって「ショートサンプル」の生成物ではないことを確認する。勿論、上記の方法は、均等の方法およびステップが本発明によって企図されるので、本発明を限定しようとするものではない。
【0071】
本発明の一態様は、分析試験において生物サンプルの意図的な希釈を検知するために、上記の方法を使用することを含む。例えば、上記のショートサンプル検知方法を使用して、通常は薬物試験として実施されるような尿分析が希釈された尿によって実施されたことを識別することができる。こうして、敏感な分析の妥当性を確認することができる。したがって、サンプル、試験片、またはアッセイを、本発明の実施形態はサンプルまたは試験片が効果的であるときを決定するという知識によって、乱用薬物に関連する1つまたは複数の抗体のために取り扱うことができる。同様に、本発明の実施形態を飲料水、排水、またはその他の流体における1つまたは複数の汚染物の試験に使用するとき、本発明の実施形態はサンプル、試験片、またはアッセイ確認の検証過程を容易にする。
【0072】
本発明を説明するために下記の実施例を挙げるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。同様に、本明細書に挙げる方程式は例証的なもので、その他の方程式の使用可能性を限定するものではない。
【0073】
III.実施例
表2を参照すると、人間の母集団についての実施例1〜26に列挙された様々なサンプル流体データの頻度分布が得られ、プロットされている。各分布のための点Amaxは上記の方法によって得られた。実施例1〜26の各々について、分布最小値と最大値が、最小値は0に等しく最大値はAmaxに等しいとして定義された。下記の方程式3に示された式のガウス曲線は、定義された範囲のデータに対してすぐれた当てはめを提供することがわかった。式3では、A´は仮説の濃度であり、%はその決定のために使用される母集団ヒストグラムによって決定されるように、その範囲に濃度を有する母集団のパーセンテージであり、σAはガウス曲線の標準偏差である。平均と定数K0も又この曲線に基づいて計算された。
【数1】
【表2】
【0074】
したがって、濃度AがAmaxより大きいときは、ショートサンプルの確率は次のように定義される。
【0075】
p(A)=0 (式4)
Amaxより小さな濃度については、ショートサンプルの確率は次の式によって決定される。
【数2】
【0076】
上記を説明するために、図10は、実施例1におけるデータを作り出すために使用されるように、全ビリルビン濃度(tbil)の頻度分布を図示する。「ショート曲線当てはめ」として記された線は、A<Amaxについての頻度分布にセットされたガウス曲線当てはめを図示する。明らかに理解できるように、ガウス曲線はA<Amaxについては非常によく当てはまるが、A>Amaxでは当てはめは悪い。
【0077】
実施例27〜52
対照的に、ロングサンプルの検出については、Amaxの右側の部分は、Amaxより低い濃度を有するサンプルがロングサンプルの検出の点から見て限られた区別を示す値を有するので、問題の的とされる区域である。これらの濃度については、上に定義したようなガウス分布または下記の式6で定義されるような指数分布のいずれかをデータに当てはめた。
【数3】
【0078】
平均、標準偏差、および定数k0は曲線のために決定され、次の実施例27〜52に示されている。
【表3】
【0079】
ロングサンプルの確率を決定するために、分析物Aのあらゆる所与の濃度についてのロングサンプルの確率p(A)を次のように定義する。
【0080】
A<Amaxについては、
p(A)=0 (式7)
A>Amaxについては、
【数4】
【0081】
ショートサンプル分析のための曲線当てはめを説明する他に、図10は、実施例1および27におけるデータを作り出すために使用されるように、全ビリルビン濃度(tbil)の頻度分布を図示する。「ロング曲線当てはめ」として記された線は、A>Amaxについての頻度分布にセットされたガウス曲線当てはめを図示する。明らかに理解できるように、ガウス曲線はA>Amaxについては非常によく当てはまるが、A<Amaxではフィッティングが悪い。
【0082】
実施例53〜54
図11(実施例53)は、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、クレアチンキナーゼ、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む、分析物と流体データのMetLyte8収集のために集めたサンプルデータセットの理論的ショートサンプル確率を図示する。正確にサイジングされ希釈されたサンプルのために、サンプル分析物またはサンプル流体特性値データセットが得られる。次にサンプルデータセットは、仮説的に多数回順次増加するパーセントサンプル損失、すなわち10%、20%などとなり、より低いデータ結果を得る。パーセントサンプル損失におけるショートサンプルの確率は各データについて計算され、次にこれらは式5を通じて組み合わされ、この式5は、45%までのパーセントサンプル損失についてショートサンプルが発生する確率を計算する。
【0083】
図12(実施例54)は、ショートサンプルの高い確率限界がどのように計算されるかを説明する。統計的に有意な数の実際のサンプルを、分析物と流体データの基礎代謝パネル収集のために分析し、各々についてショートサンプルの確率を計算した。各確率の頻度を、ショートサンプル確率値の母集団の累積分布と共に図12にプロットする。次に限界値をこのグラフから選択して、ショートサンプルの高いリスクの警告フラグとして使用することができる。例えば、累積分布について最高5%の中にあるサンプルはショートサンプルである可能性が高いと決定してもよい。したがって、95%以上の累積分布は約24%のショートサンプルの確率にほぼ等しいので、24%より大きなショートサンプルの確率を発生する分析試験はどれでもショートサンプルとしてフラグ付けすることができる。
【0084】
実施例55〜56
ロングサンプルの確率を、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、クレアチンキナーゼ、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンという、分析物と流体データの基礎代謝パネル組合せのために決定することができる。サンプルデータセットが得られ、これは仮説的に多数回順次増加するパーセントロングサンプル量、すなわち102.5%、105%などとなり、より高いデータ結果を得る。次にこのデータを表3の値と共に式6にはめ込み、個別ロングサンプルデータの各々についてロングサンプル確率を決定する。次にこれらのロングサンプル確率を式1によって計算し、結果を図13に示す様にプロットする(実施例55)。
【0085】
図14(実施例56)は、ロングサンプルの高確率限界をどのように計算できるかを図示する。統計的に有意な多数の実際のサンプルを、分析物および流体データの基礎代謝パネル収集のために分析し、ロングサンプルの確率を各々について計算した。各確率の頻度を、累積頻度と共に図14にプロットした。次に限界値をこのグラフから選択して、ロングサンプルの高いリスクの警告フラグとして使用することができる。例えば、累積分布について最高5%の中にあるサンプルはロングサンプルである可能性が高いと決定してもよい。したがって、95%以上の累積分布は約56%のロングサンプルの確率にほぼ等しいので、56%より大きなロングサンプルの確率を発生する単一分析試験はどれでもフラグ付けすることができる。
【0086】
本発明を、本発明の精神または本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形で実施してもよい。説明された実施形態は、すべての点で単に例証的なもので、限定的なものではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の趣旨と等価の範囲内に入るすべての変化も、本発明の範囲内に入れるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による例示的システムを示す図である。
【図2】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムの一部分をさらに詳細に示す図である。
【図3】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用される例示的データ構造を示す図である。
【図4】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用される別の例示的データ構造を示す図である。
【図5】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用されるさらに別の例示的データ構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による例示的方法を示す図である。
【図7】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図8】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図9】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図10】分析物濃度分布と、分析物濃度分布の上範囲と下範囲に当てはめた曲線を示すグラフである。
【図11】理論的に拡大されたサンプルサイズに基づくショートサンプルの確率を示すグラフである。
【図12】複数のサンプルに関するショートサンプルの確率の頻度と累積頻度とを示すグラフである。
【図13】理論的に拡大されたサンプルサイズに基づくロングサンプルの確率を示すグラフである。
【図14】複数のサンプルに関するロングサンプルの確率の頻度と累積頻度とを示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にサンプルまたは試験片を分析するためのシステムと方法とに関する。具体的には本発明は、サンプル、試験片、またはアッセイ流体の分析におけるショートサンプルおよびロングサンプルの故意ではない使用を検出するためのシステムと方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療および獣医の専門家によってしばしは実施される1つの重要な生理学的試験は、生物学的サンプルまたは試験片における分析物の検出と量化である。試験することができる生物学的サンプルまたは試験片には、血液、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水などの様々な生物学的流体が含まれる。勿論、その他の流体も同様に、組織培養基、食品および工業化学品、および環境的サンプルを含めて、分析物の存在と濃度とを試験することができる。
【0003】
血液、血漿、およびその他の生物学的流体のこの様な試験では、一般的にサンプルまたは試験片を臨床分析器の中に挿入することが必要である。生物学的サンプルまたは試験片は一般的に、試験の前に希釈剤との混合などの様々な中間ステップによって処理される。この様な臨床分析器はしばしば、単一のサンプルまたは試験片から様々な異なる分析物を量的に分析することができる。
【0004】
この様な1つの臨床分析器は、様々な光学的試験または分析評価において流体を分析用の所定の容積に区分する回転体を利用する。これらの分析器は、例えば分光測光法試験によって、血液などの生物学的流体の容積を測定し、細胞成分を除去し、流体を分析用の適切な希釈剤と混合するために設計されている。一般的に、回転体は個別の各キュベットの中に複数のサンプルまたは試験片の離散容積を提供し、キュベットの中でサンプルまたは試験片が光学的に分析される。この様な遠心回転体は、参照によって本明細書に組み込まれているKopf-Sill他に譲渡された米国特許第6,235,531号に開示されている。
【0005】
臨床分析器は一般的にサンプルまたは試験片を非常に正確に希釈するが、人間の誤りも機械の誤りも両方共発生する可能性があり、したがって間違った示度が提供される。特に臨床化学の測定では、「ショートサンプル」と呼ばれる現象が非常に有害な誤りの源泉である。「ショートサンプル」は検出が非常に困難であるが、病気の診断または回復に観察において破壊的な結果を有する可能性がある。例えば、ある情況下では、希釈は公称希釈よりもはるかに大きく、結果的に測定値は比例的に小さくなる。これは「ショートサンプル」と呼ばれる。この原因は通常、測定を実施する測定計器によって期待されるサンプルまたは試験片の正確な量を適用するための装置または操作者の失敗である。こうして、分析データは不正確に低い数を含むことになる。同様に、低い希釈は結果としてサンプルまたは試験片の高い濃度となり、この結果、不正確に高い数を提供する。
【0006】
現在、この様なショートサンプルまたはロングサンプルの存在を検出する信頼性のある簡単な方法はない。利用可能な唯一のツールは生理学に基づくものであり、そのわけは、いくつかの分析物のために身体が比較的狭いウィンドウ内で濃度を制御するからである。この生理学ウィンドウ下の測定値が可能なショートサンプルの指標として使用される。この様な現在の方法の一例は、試験値が標準範囲の上または下にあることを認識する、結果を分析するユーザの主観的意見である。次いでユーザは反復試験を注文することもできる。しかし、この方法が極めて不正確で極度に主観的であることは明白である。したがって、ショートサンプルとロングサンプルの存在を検出するための改善された方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一般にサンプルまたは試験片を分析するためのシステムと方法とに関する。具体的には本発明は、生物学的流体などの、しかしこれらに限定はされないが、サンプル、試験片、またはアッセイ流体の分析におけるショートサンプルおよびロングサンプルの偶発的使用を検出するためのシステムと方法とに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
サンプルまたは試験片という用語は、本明細書では互換的に使用することができる。「ショートサンプル」とは、サンプルの濃度または容積が小さ過ぎて誤差を生じる様な、分析器において使用されるサンプルまたは希釈されたサンプルであり、「ロングサンプル」とは、サンプルの濃度または容積が大き過ぎて誤差を生じる様な、分析器において使用されるサンプルまたは希釈されたサンプルである。
【0009】
本発明の一実施形態では、システムは、サンプルデータをサンプルの1つまたは複数の特性について決定する場合にショートサンプルが使用されたかどうかを検出する様になっている。このシステムはデータモジュールと評価モジュールとを含む。システムは又、随意に分析器モジュールと出力モジュールを含む。様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部分および要素を有する臨床分析器などの、しかしこれに限定されない分析器モジュールは、サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能な特性の値などの、しかしこれに限らないサンプルデータを生成する。例証的に、1つまたは複数の測定可能な特性は、血液、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水、免疫学的アッセイ、またはその他の測定可能な特性物質などの、サンプルの1つまたは複数の分析物の濃度を含む。さらに、1つまたは複数の特性物質を飲料水や廃水などのあらゆる成分にすることもできる。しかしながら、サンプルデータを、事前に生成したか記録したデータなどの他の源泉から受け入れてもよい。
【0010】
データモジュールは、1つまたは複数の標本母集団におけるサンプルの1つまたは複数の特性値を表すデータなどの、基準サンプルデータの1つまたは複数の分布を表す基準データを記憶する。データモジュールまたは評価モジュールのいずれかは関係データを含むことができ、関係データは、パラメータデータおよびサンプルデータを利用してサンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能サンプルである確率を確認するために、評価モジュールに必要な情報を含む。このデータを、データモジュールに記憶された、またはさもなければデータモジュールにアクセス可能なコンピュータ読取り可能媒体上の1つまたは複数のデータフィールドに記憶することができる。
【0011】
評価モジュールは、任意に分析器モジュールからサンプルデータを受け入れる様になっている。評価モジュールは又、値がサンプルデータに含まれている特定の測定可能な特性を識別して、パラメータデータおよび関係データを含めて適切な基準データをデータモジュールから得る、識別モジュールも含む。次に、評価モジュールはサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して、分析されたデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を決定する。
【0012】
本発明の一態様による例示的方法には、サンプルの1つまたは複数の測定可能特性を決定するために臨床分析器などの、しかしこれに限定されない分析器モジュールにおいて使用されるサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを識別するための方法が含まれる。この方法は分布展開を作り出すことを含み、分布展開は、1つまたは複数の測定可能特性の標本母集団から得られた統計的に有意な測定特性データセットを使用して、1つまたは複数の測定可能特性の各々について発生頻度を定義する。
【0013】
分布展開を使用して、本発明は、最大測定特性データ発生頻度に対応する分布最大値を選択すること、およびこの分布最大値を、分布最大値に等しいかまたはより大きなデータを生成する試験サンプルがショートサンプルであった確率がゼロパーセントである点として定義することを含む。
【0014】
この分布展開を使用して、発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい点に対応する分布最小値を選択する。次に分布最小値を、分布最小値に等しいかまたはより小さなデータを生成する試験サンプルがショートサンプルであった確率が100パーセントである点として定義する。一旦これが達成されると、分布最大値および分布最小値によって画された分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを定義する。例証的に、1つまたは複数のパラメータは、分布最小値と分布最大値との間の分布展開を近似する曲線当てはめ式と関連する。次に、1つまたは複数のパラメータと、分析器モジュールによって決定された少なくとも1つのサンプルデータとを使用して、分析器によって生成したサンプルデータがショートサンプルから結果的に得られた確率を決定する。
【0015】
ロングサンプルまたは容認可能サンプルがサンプルの1つまたは複数の測定可能特性の決定に使用されたことを確認する場合、以下にさらに詳細に記載する同様な方法を使用することができる。
【0016】
本発明のこれらおよびその他の特徴は、下記の説明および添付の特許請求の範囲からさらに完全に明らかになるか、または後述の本発明の実施によって学ぶこともできよう。
【0017】
本発明の上記のおよびその他の利点と特徴を把握するために、上に概説した本発明のさらに具体的な説明を、添付の図面に図示された本発明の特定の実施形態を参照して以下に提供する。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを図示するものであり、したがって本発明の範囲を限定すると考えてはならないことを理解して、添付の図面を使用して本発明を追加の特異性と詳細によって記述説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、一般に、血液、血漿、血清、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ流体、大脳流体、脊髄流体、羊水、その他の生物学的流体、または分析試験を行おうとするその他の物質などの、しかしこれらに限らないサンプルまたは試験片の分析試験における誤りを検出するためのシステムおよび方法に関する。具体的には、本発明は、分析試験において使用されるサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを検出することに関する。
【0019】
本明細書で使用される様に、「ショートサンプル」という用語は、標準希釈サンプルにおいて生じるよりも大きな程度に希釈されて、結果的にサンプルの測定可能特性の値が標準サンプルのそれよりも比例的に小さくなるというサンプルを表示する。これは、サンプルの不適切な容積、または試薬もしくは希釈剤の過剰供給に由来することもある。同様に本明細書で使用される様に、「ロングサンプル」という用語は、標準希釈サンプルにおいて生じるよりも小さな程度に希釈されて、結果的に全容積が標準容積よりも小さく、結果として得られるサンプルの測定可能特性の値が標準サンプルのそれよりも比例的に大きくなるというサンプルを表示する。これは、サンプルの過剰供給、または試薬もしくは希釈剤の不適切な容積に由来することもある。「容認可能サンプル」という用語は、本明細書では、ショートサンプルでもロングサンプルでもない、すなわち公称容積を有する公称サンプルに実質的に類似したサンプルを示すために使用されている。
【0020】
分析物は、グルコース、ナトリウム、抗原、抗体、またはサンプル、試験片、またはアッセイによって分析しようとする他の任意物質などの、分析の対象である物質である。本発明と両立できる分析試験は、グルコース濃度、ナトリウム濃度、抗原濃度、抗体濃度、またはサンプル、試験片、またはアッセイによって分析しようとする他の任意物質などの、サンプルにおける様々な分析物に関する情報を決定することができる。分析試験はさらに、サンプル自体の性質に関する値、例えば浸透度、アルカリ度、酸性度などの、サンプルに関する様々なその他の情報を決定することもできる。集合的に、分析物、および分析物および/またはサンプルの性質は「測定可能特性」と呼ばれる。
【0021】
「サンプルデータ」という用語は、サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性のいずれかの情報または値などの、サンプル、試験片、またはアッセイの分析試験から収集されたデータを指す。例えば、サンプルデータの排他的リスト、故に任意の測定可能特性は、トータルビリルビン(tbil)、直接ビリルビン(dbil)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ast)、クレアチンキナーゼ(ck)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(alt)、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(ggt)、アルカリホスフォターゼ(alp)、アミラーゼ(amy)、二酸化炭素(CO2)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、塩素(Cl)、浸透度(osmo)、血液尿素窒素(bun)、クレアチニン(cre)、グルコース(glu)、全蛋白(tp)、アルブミン(alb)、カルシウム(Ca)、ホスファターゼ(phos)、トリグリセリド(trig)、コレステロール(chol)、尿酸(ua)、マグネシウム(Mg)、乳酸脱水素酵素、血清グルタミン酸-オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(sgot)、血清グルタミン酸-ピルビン酸トランスアミナーゼ(sgpt)、アルカリ度、酸性度、浸透度、全蛋白/アルブミン(tp/alb)、血液尿素窒素/クレアチニン(bun/cre)、およびテトラヨードチロン(T4)、HDL、全コレステロール、CK-MBなどの細胞形質マーカ、およびトロポミン-Iおよびトロポミン-Tなどの、しかしこれに限らない構造蛋白を含む。さらに、「サンプルデータ」は、免疫学的検定法、ゲノム検定法、または水処理などの、しかしこれに限らない流体処理検定によって収集したデータを含むことができる。このリストは網羅的なものではなく、本発明の方法を使用して実施することができる分析評価の単なる例示であることを意図するものである。
【0022】
上記サンプルデータの1つまたは複数、したがってサンプル、試験片、またはアッセイの測定可能特性のいずれか1つに関する値を個別にまたは分類して収集し、特定の目的のためにサンプル、試験片、またはアッセイのさらに包括的な分析を提供することができる。3つの例示的な分類は、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む基礎代謝パネル、および、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、および塩素を量化する簡単な電解質試験を含むことができるが、これに限られることはない。
【0023】
本明細書で使用される様な「パラメータデータ」という用語は、サンプル、試験片、またはアッセイの少なくとも1つの測定可能特性に関する分布を示すデータ、またはサンプル、試験片、またはアッセイについて試験された標本母集団におけるサンプルデータに関する分布の少なくとも一部分に当てはめられた曲線を部分的に定義する値に関する。例えば、パラメータデータは、平均、標準偏差、およびテストサンプルまたは試験片の標本母集団における少なくとも1つの測定可能特性の分布について当てはめられた特定の曲線に関するその他の定数を含むことができる。
【0024】
同様に、本明細書で使用される様な「関係データ(Relationship data)」という用語は、パラメータデータと、サンプルをショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとして識別する場合に助けとなるサンプルデータとの間の、関係を定義するデータに関する。例証的に、関係データは、分布のすべてまたは一部分を近似するために使用される曲線当てはめの形式を定義する1つまたは複数の等式などの、適当なデータを含むことができる。集合的に、パラメータデータと関係データは「基準データ」と呼ばれる。
【0025】
本発明の実施形態は、サンプルデータが不意にショートサンプルまたはロングサンプルであって特定のサンプルから生成したために、そのサンプルデータが正しくないかどうかを示す確率を急速且つ確実に提供するシステムと方法とを提供する。
【0026】
I.システム
次に図面を参照すると、同様な構造には同様な参照指示がなされているが、図面は本発明の一実施形態の例証的システム、方法、およびモジュールを示す。本発明は、分析されたサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを識別するための方法、モジュール、およびシステムに及ぶ。本発明の実施形態は、後で詳述する様に様々なコンピュータハードウェアを含む専用コンピュータまたは汎用コンピュータを含んでもよい。
【0027】
本発明の範囲内の実施形態は、コンピュータ実行可能命令を伝えるか有するためのコンピュータ読取可能媒体、またはこの上に記憶されたデータ構造も含む。この様なコンピュータ読取可能媒体を、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセス可能などの様な市販の媒体にすることもできる。例としては、しかしこれに限られないが、この様なコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、またはコンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を伝達または記憶するために使用することができ、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセスできるその他のどの様な媒体も含むことができる。情報があるネットワークまたは別の通信接続(有線、無線、または有線もしくは無線の組合せ)を通じてコンピュータに転送または提供されると、コンピュータは適正にこの接続をコンピュータ読取可能媒体と見る。したがって、この様な接続はどれも適正にコンピュータ読取可能媒体と呼ばれる。上記の組合せもコンピュータ読取可能媒体の範囲内に含むべきである。コンピュータ実行可能命令には、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理装置にある一定の機能または機能群を実施させる命令およびデータが含まれる。
【0028】
図1と次の論述は、本発明の例示的実施形態を実現することができる適切な計算環境の簡単な概説を行おうとするものである。必要ではないが、本発明を、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令が任意にネットワーク環境において1つまたは複数のコンピュータによって実行される一般情況において、以下に説明する。一般にプログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造などを含み、これらは特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データ形式を実行する。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書に開示された方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例を表す。この様なコンピュータ実行可能命令または関連するデータ構造は、この様なステップにおいて説明される機能を実行するための対応する作用の例を表す。
【0029】
本発明が単一の汎用または専用コンピュータ装置によって実施できることは、当業者には理解されよう。代替案として、本発明を、ネットワーク計算環境において、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム式ユーザ電子装置、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、多くの形式のコンピュータシステム構成によって実施することもできる。本発明を、通信ネットワークを通じて(有線リンク、無線リンク、または優先リンクまたは無線リンクの組合せによって)連係されたローカルまたは遠隔処理装置によってタスクが実施される分散計算環境において実施してもよい。分散計算環境では、プログラムモジュールをローカルまたは遠隔メモリ記憶装置の中に置いてもよい。
【0030】
図1は、任意の分析器モジュール102と、データモジュール104と、評価モジュール106と、任意の出力モジュール108とを含む例証的なシステム100を図示する。システム100を囲む点線は、システム100の各モジュールを接続する矢線によって表されている様に、システム100が1つまたは複数のネットワークで接続された異なるユニットを含むことができることも企図されるが、システム100が任意に単一ユニットの一部であることを示す。これらのネットワークは、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネット、またはモジュールから他のモジュールへのデータ伝達を可能にするその他の通信リンクを含むが、これらに限られるものではない。
【0031】
分析器モジュール102は、データモジュール104と連絡している評価モジュール106によって使用されるサンプルデータを生成して、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルの結果であるかどうかを決定する様になっている。こうして、システム100は、サンプルデータを正確であるかまたは不正確であるとして、これによって信頼性があるかまたは信頼性がないとして識別できる機構を提供する。
【0032】
この例証的実施形態に示す様に、システム100は分析器モジュール102を含む。分析器モジュール102は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータを決定または生成する様になっている。例証的に、分析器モジュール102は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性の値を生成する。分析器モジュール102は、電気化学的分析器などの、しかしこれに限らない、上述の機能の性能を容易にする様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部分を含む。選択された分析器がサンプルデータを決定することができる限り、分析器モジュール102の機能を実施するために、様々な形式の分析器が現在入手可能であるか、または将来開発してもよい。
【0033】
例証的に、電気光学的分析器などの、しかしこれに限らない分析器モジュール102は、従来の実験用遠心機を利用することができる。分析器モジュール102によって表される様に、従来の実験用遠心機の中に含まれるソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールと構成部分の動作の下で、遠心機はこれに取り付けられた遠心回転子を回転させる。この遠心回転子は、チャンバと、通路と、通気口とを、回転子は遠心機のソフトウェアおよび/またはハードウェアの指図の下で回転するときに生物サンプル(例えば全血液)などの試験サンプルから細胞質サンプルを分離し易くする所望の幾何学的パターンまたは関係で含む。さらに、チャンバ、通路、および通気口は、試験サンプル(例えば血漿)の正確な量を測定し、試験サンプルを適切な希釈剤と混合し、希釈された試験サンプルを分析用キュベットに給送する助けになる。本発明の回転子において使用するために適当な様々な専用のチャンバおよびチャネルは、Burdに譲渡された米国特許第5,061,381号、Brayninに譲渡された米国特許第5,122,284号、Burdに譲渡された米国特許第5,186,844号、およびBrayninに譲渡された米国特許第5,242,606号に開示されており、これらは本明細書に参照によって明白に組み込まれている。
【0034】
ある外形構成において、キュベットに給送される試験サンプル又な流体は試薬と反応する。使用される試薬はよく知られており、本特許や科学文献では十分に説明されており、例えばBuhl他に譲渡された米国特許第5,413,732号、Buhl他に譲渡された米国特許第5,998,031号、Buhl他に譲渡された米国特許第5,776,563号、およびBuhl他に譲渡された米国特許第5,624,597号に記載の試薬であるが、これらに限られるものではなく、これらの特許は参照によって本明細書に明白に組み込まれている。
【0035】
試験キュレットにおける試験サンプルと試薬との間の反応は、結果として、試験サンプル、試験片、またはアッセイの特定の測定可能な特性の存在および/または量に関連することもあるいくつかの検知可能または測定可能な変化となる。例えば、試験キュレットへのサンプルの追加は、結果的にサンプル、試験片、またはアッセイの色彩、蛍光性、発光性、またはその他の検知可能な変化となる。
【0036】
反応の過程にわたって、または反応に続いて、試験キュレットを分析して、サンプル、試験片、またはアッセイ内の1つまたは複数の分析物などの1つまたは複数の測定可能な特性、または本明細書に記載されているものおよび本明細書に含まれる教示に照らして当業者には知られているその他のものなどの、しかしこれらに限定されないサンプル、試験片、またはアッセイの特定の性質を検知する。
【0037】
ある実施形態では回転子は透明であり、したがってサンプル、試験片またはアッセイ、これらの細胞質成分、および/または試薬を、様々な内部チャンバ、通路、および/またはキュベットの中で観察することができる。随意に、回転子が半透明または不透明すなわち透明ではないときには、キュベットの内容を観察できる様に回転子内に形成された1つまたは複数の適当な光経路を有することが望ましい。いずれにしても、サンプル、試験片、またはアッセイを、分光測光法、蛍光測定法、化学ルミネセンスの使用、光散乱法の使用、またはその他の測定計器と技術の使用、およびサンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能特性を表すサンプルデータを生じさせるために当業者には周知の適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアによって分析する。ある場合には、免疫学的検定およびその他の特定の結合検定を、細胞のない流体の収集チャンバの中で、または収集チャンバに収集されたキュベットの中で実施してもよい。
【0038】
図2を参照すると、評価モジュール106とデータモジュール104のさらに詳細な表現が示されている。図示する様に、データモジュール104は、パラメータデータ記憶機構124と関係データ記憶機構126とを含む。パラメータデータ記憶域124と関係データ記憶域126とを含むデータモジュール104を参照するが、当業者は、データモジュール104が1つまたは複数の他のデータ記憶域に記憶されたパラメータデータおよび関係データにアクセスしてもよく、これらの記憶域はシステム100からローカルまたは遠隔であるが、データモジュール104によってアクセス可能であることを理解することができる。例えば、データモジュール104、パラメータデータ記憶機構124、関係データ記憶機構126、または他のデータ記憶機構は、階層、関係、平坦、またはその他のデータベース構造を有するが、関係するデータベース管理システム(図示せず)を含む。さらに、データモジュール104、パラメータデータ記憶機構124、関係データ記憶機構126、または他のデータ記憶機構は、モジュラーまたは固定メモリ、揮発性または不揮発性メモリ、磁気記憶媒体、CDRW、光記憶媒体、または本明細書に記載の情報およびデータを記憶するためのその他の大容量記憶機構を利用することができる。
【0039】
図3に示す様に、パラメータデータ記憶機構124は、試験サンプル、試験片、またはアッセイにおいて識別することができる様々な分析物、性質、または特性、すなわちCharacteristicA-CharacteristicNのリストとして基準データを記憶することができる。各CharacteristicA-CharacteristicNは、特定の測定可能特性のための分布曲線当てはめとして、分布のすべてまたは一部分を定義する1つまたは複数のパラメータを含む。図示する様に、基準データのこの様なパラメータは、サンプル、試験片、またはアッセイの特性または性質に関する平均、標準偏差、定数K0、K1、K2、またはその他の数学的等式を含むことができるが、これらに限られるものではない。各パラメータは、関係する値、ValueCMean、ValueCSDT、ValueCK0、ValueCK1、ValueCK2など、または本明細書に含まれる教示に照らして当業者には周知のその他の値を含む。これらのパラメータと値を、1つまたは複数のフィールドに記憶することができ、フィールド、パラメータ、および値の特定の組織はデータ構造である。さらに、パラメータデータ記憶機構124は1つまたは複数の関係データパラメータを含み、これらのパラメータは、サンプルが試験しようとする測定可能な特性に基づくショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能なサンプルであるという確率を生じさせるために使用されるために、関係データ記憶機構126に記憶された特定の関係データを定義する。例えば、関係データパラメータはValueCDataを含む。代替案として、関係データパラメータを、サンプル、試験片、またはアッセイの特定の特性または性質のための1つまたは複数の値が与えられる確率を返す1つまたは複数の方程式にすることができる。
【0040】
その上、パラメータデータ記憶機構124は、試験されたサンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能なサンプルであるかどうかを限定する限界値を定義する決定レベルパラメータをさらに含む。例えば、決定レベルパラメータの値、ValueCLVLは、限界値パーセンテージになることができ、このパーセント以下ではこのサンプルはショートサンプルまたはロングサンプルと考えられる。この値を、システム100の操作者またはユーザによって変更可能にすることができ、システム100の中にハードコードすることができる。例えば、限界値を、サンプルがショートサンプルまたはロングサンプルである確率の値の母集団を示すショートサンプルまたはロングサンプルの累積分布から得ることができる。例えば、12の化学サンプルの一般パネルに関する例示的な累積ショートサンプル分布を表1に示す。
【表1】
【0041】
表1から理解できる様に、この例では42.5%より大きな確率値は観察されなかった。しかし、42.5%より大きいかまたは小さい確率値はその他のサンプルについて観察されることもある。27.5%の限界値が選択された場合には、サンプルの約3.76%、すなわちサンプルの100%-96.24%=3.76%が、これらのサンプルが正規または容認可能なサンプルであっても、ショートサンプルとして検知されることになる。対照的に、42.5%の限界値レベルが選択された場合には、誤ショートサンプルは検知されないはずであるが、真のショートサンプルの一部が検知されない可能性がある。
【0042】
ある1つの特定のサンプルに関して1組のショートサンプル確率に関するある特定の累積分布を参照するが、累積分布を様々な異なるサンプルのためにロングサンプルまたはショートサンプルについて計算できることを、当業者は理解することができる。さらに、各累積分布は、ユーザによって選択されてシステムの中にハードコードされることが可能な1つまたは複数の限界値レベルを提供することができる。
【0043】
上述の様に、データモジュール104は関係データ記憶機構126を含む。この関係データ記憶機構126は図4に示す様に、関係データ、RelationshipA-RelationshipNを含み、このデータは、特定の特性、各CharacteristicA-CharacteristicNがサンプル、試験片、またはアッセイにおいて測定される確率を発生するために使用することができる1つまたは複数の方程式を表すものである。1つまたは複数のCharacteristicA-CharacteristicNが同じ関係データ、RelationshipA-RelationshipNを使用できることは理解できるが、代わりに各特性、CharacteristicA-CharacteristicNが異なる関係データRelationshipA-RelationshipNを使用できることが理解される。1つまたは複数の方程式である最終関係データ、RelationshipA-RelationshipNを参照するが、さらに一般には、関係データ、RelationshipA-RelationshipNは、サンプル、試験片、またはアッセイをショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する場合の助けとなるパラメータデータとサンプルデータとの間の関係を定義する任意の1つまたは複数のパラメータにすることができる。
【0044】
図2に戻ると、評価モジュール106はデータモジュール104と連絡している。評価モジュール106は、処理モジュール122と連絡している識別モジュール120を含む。識別モジュール120は、分析器モジュール102からサンプルデータを受け取り、サンプルデータによって識別された特定の測定可能な特性と任意にその特性の値を決定する様になっている。例えば、図5を参照すると、識別モジュール120は、特定の測定可能な特性および関連値、すなわちそれぞれCharacteristicASample-CharacteristicASampleおよびValueASample-ValueNSampleのリスティングを含むサンプルデータ128を受け入れる。CharacteristicASample-CharacteristicASampleおよびValueASample-ValueNSampleのリスティングを参照するが、当業者は、本明細書に含まれる教示に照らして、このようなデータを様々な異なるフォーマットで評価モジュール106に給送できることを理解できる。
【0045】
サンプルデータを受け入れることにより、識別モジュール120は、各特定のCharacteristicASample-CharacteristicNSampleを識別し、データモジュール104から関係パラメータデータを得ることができる。さらに具体的には、識別モジュール120は、パラメータデータ124を、すなわち特定の識別されたCharacteristicASample-CharacteristicNSampleのための1つまたは複数のCharacteristicA-CharacteristicAに関連するパラメータを、データモジュール104から直接、またはサンプルデータに含まれるデータモジュール104と連絡しているある別のデータモジュールから検索することができる。その上、識別モジュール120は、サンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを処理モジュール122に給送する前に、関係データ記憶機構126から関連する関係データを検索することができる。
【0046】
処理モジュール122は、サンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して、分析器102によって分析された試験サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を表すデータを生成する。これは、処理モジュール122が関係データとパラメータデータを組み合わせて確率方程式から導き出された確率を発生するときに達成されることができ、確率方程式は、試験サンプル、試験片、またはアッセイのサンプルデータに含まれる測定可能特性の特定の1つまたは複数を使用する。処理モジュール122はさらに、試験サンプル、試験片、またはアッセイの1つまたは複数の測定可能な特性に関連する確率を組み合わせて、1つまたは複数の測定可能な特性の任意の組合せが結果的に試験サンプル、試験片、またはアッセイがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとして識別されることになるかどうかを決定することができる。
【0047】
評価モジュール106は、分析の結果を出力モジュール108に伝える。出力モジュール108は結果を管理者などのシステム100のユーザに提示し、随意にこれを次のアクセスまたは送達のために記憶する。結果の提示は、サンプルがショート、ロング、または容認可能であるという音声通知、視覚的通知、これらの組合せなどの、様々な様式で達成することができる。例証的に、出力モジュール108は、特定のショートサンプル確率を表示するために較正された「go/no-go」標識を含むことができる。この様な標識は、緑、黄、または赤などのカラーコーディング、原文メッセージ、または「20%確率」などの数字表示を使用して必要な情報を表示することができる。したがって、go/no-go標識は、管理者が予めシステムに入力しておいたデータに基づいて、ショートまたはロングサンプル確率に関して、管理者に情報を急速に中継することができる。
【0048】
別の構成では、出力モジュール108は、ビデオモニタ、CRT装置、またはフラットスクリーン装置などの、しかしこれらに限らないビデオ表示装置を使用して、結果を提示することができる。代わりに、出力モジュール108は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを指示する1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を含むことができる。例えば、出力モジュール108は、3つの異なる色彩LEDを含むことができ、1つのLEDが、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを表す。別の構成では、各LEDが同じ色彩である。さらに別の構成では、一連のLEDが備えられて、十分な数のLEDが照明されて、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかの発生確率値を図示する。さらに別の構成では、出力モジュール108は、1つまたは複数の液晶表示装置を含むか、またはこれらと通信し、これらの液晶表示装置は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかの発生確率値を表示する。
【0049】
上記の他に、出力モジュール108は結果のハードコピーを作ることができ、つまりこれは結果が、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルであるかどうかを単に述べているかという結果であり、または(i)確率の図形表示、(ii)確率に関連する計算の詳細、(iii)ショートまたはロングザンプルがフラグ付けされるサンプルの希釈または濃縮のレベル、これらの組合せ、またはサンプルのショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルとしての試験およびフラグ付けに関するその他の情報の、1つまたは複数を提供する。
【0050】
一般に、出力モジュール108は、確率結果を表示するための手段の機能を実施することができる1つの構造である。上記例の各々はこの様な手段の一例証的構造である。さらに、当業者は本明細書に含まれる教示に照らして様々なその他の構成を識別することができる。
【0051】
上述のシステムは本発明の一実施形態として例示的に説明したものであり、本発明の範囲に矛盾しないその他の実施形態も、当業者によってこの開示の中に包含されるものと理解されよう。例えば、本発明のシステムは分析器モジュールを除外して、コンピュータ読取可能媒体または管理者入力データなどの個別のデータソースから入力サンプルデータを受け入れてもよい。この様式で、本発明のシステムを使用して、事前にまたは他の群によって収集されたデータなどの、様々なサンプルデータセットについてショートまたはロングサンプルの存在を検知することができる。
【0052】
II.方法
本発明による例証的方法が図6〜9に図示されており、これらは、臨床分析器などの、ただしこれに限定されない分析器モジュールにおけるサンプルデータを決定する場合にショート、ロング、または容認可能サンプルが使用されたことを識別するための複数のステップを含む。
【0053】
図6を参照して、ここに例示的な方法を説明する。この方法は、ブロック202で示す様に先ずサンプルデータを提供することを含む。次にブロック204によって示す様に、サンプルデータに関するパラメータデータと関係データを提供する。最後に、サンプルの状態、すなわちショートサンプル、ロングサンプル、および/または容認可能サンプルを、ブロック206によって示す様に、サンプルデータとパラメータデータとを使用して識別する。使用される本発明の特定の実施形態に応じて、サンプルデータ提供するステップと基準データを提供するステップを反転することもできる。ブロック202、204、206によって示す様なこれらのステップの各々を、図7〜9をそれぞれ参照して以下にさらに説明する。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、図7におけるブロック210によって表されるように、新しいサンプルデータかまたは記憶されたサンプルデータが得られるべきかを決定する。判断ブロック210が否定である場合には、ブロック212によって表されるように、記憶されたサンプルデータが得られる。記憶されたサンプルデータは、ユーザ入力やネットワーク化されたソースなどの、しかしこれに限られない様々なソース、または分析器モジュール、評価モジュール、および/またはデータモジュールに関連する記憶媒体から得ることができる。判断ブロック210が肯定である場合に生成する新しいデータが使用される場合には、ブロック214によって表されるように先ずサンプルが得られる。次にブロック216によって表されるようにサンプルは分析器モジュールによって分析され、サンプルデータが生成する。次にブロック218によって表されるように分析器モジュールから出力される。サンプルデータは、記憶されたソースから得られたかまたは新たに生成したかいずれにしても、評価モジュールに直接連絡され、および/または随意に将来のアクセスおよび分析のために記憶される。
【0055】
次に図8を参照すると、基準データを生成するための一方法が図示されている。最初に、判断ブロック230によって表されるように、分析および処理中に新しい基準データを使用すべきか記憶された基準データを使用すべきかが判断される。判断ブロックが否定の場合には、ブロック232によって表されるように、記憶された基準データがデータモジュール104から得られる。
【0056】
判断ブロックが肯定の場合には、この方法はブロック234によって表されるように、サンプルデータに含まれる1つまたは複数の測定可能な特性の代表的母集団から統計的に有意な標準データを提供することを含む。この標準データセットは、統計的に有意な数のデータ点を計算して目標母集団の表す分布を生成することによって得ることができる。この標準データセットは、ブロック236によって表されるように、随意に図形表示として表される分布展開を作り出すために使用される。分布展開は、1つまたは複数の測定可能な特性の各々について様々な測定値のための発生頻度を定義する。
【0057】
各分布展開は、ブロック238によって表されるように、分布最大値(「Amax」)を決定するために使用され、この分布最大値は、サンプルデータの中に含まれる各特定の測定可能特性の最大発生頻度、すなわち各特定の測定可能特性についての1つのAmaxに対応する。ショートサンプル検知の場合には、このAmaxは、この分布最大値と同じかより大きな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがショートサンプルである、という確率がゼロパーセント(0%)である点として定義される。ロングサンプル検知の場合には、このAmaxは、この分布最大値と同じかより小さな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがロングサンプルである、という確率がゼロパーセント(0%)である点として定義される。
【0058】
同様に、分布最小値は、やはりブロック238によって表されるように、分布展開を使用して選択され、発生頻度がゼロに近いかまたは等しい点に対応する。ショートサンプル検知については、分布最小値は、この分布最大値と同じかより小さな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがショートサンプルである、という確率が百パーセント(100%)である点として定義される。ロングサンプル検知については、分布最小値は、この分布最小値と同じかより大きな特定の測定可能特性の特定値を生成する試験サンプルがロングサンプルである、という確率が百パーセント(100%)である点として定義される。その上、ショートサンプル検知については、Aminは、Amaxより小さな特定の測定可能な特性の値に対応し、ロングサンプル検知では、AminはAmaxより大きな値に対応する。
【0059】
AmaxおよびAminの識別に続いて、ブロック240によって表されるように、AmaxおよびAminによって境界付けられた分布展開の部分を識別する1つまたは複数のパラメータが定義される。例えば、関連する1つまたは複数のパラメータを伴う曲線当てはめ方程式が生成され、この方程式はAmaxとAminとの間の分布展開に当てはめを行う。曲線当てはめ方程式はガウスの方程式またはその他の分布方程式の形をとってもよく、曲線当てはめ画必要とするような平均、標準偏差、またはその他の定数などの、しかしこれらに限られない少なくとも1つまたは複数のパラメータを含む。分布展開への曲線当てはめの経路を定義するパラメータは、パラメータデータまたはパラメータデータ記憶機構124に記憶された基準データである。ガウス分布式を参照するが、その他の曲線当てはめ方程式も使用することができ、これらは当業者には周知である。例えば、限定するものではないが、他の曲線当てはめ方程式には、指数式、対数式、多項式、ローレンツ式、ラプラス式、ポアソン式、または本明細書に含まれる教示に照らして当業者には周知のその他の曲線当てはめ式がある。
【0060】
AmaxとAminの間の生成された曲線当てはめ方程式は、AmaxとAminの間における全ての値についてサンプルがショートサンプルである確率を定義する。ちょうどAmaxにおいては、サンプルがショートサンプルである確率は0%であり、Aminにおいては、サンプルがショートサンプルである確率は100%であり、AmaxとAminの間における曲線の方程式は正規化されて、単一特性の分布曲線当てはめから単一特性についての100%(Amax)と0%(Amin)との間のショートサンプル確率を返す。
【0061】
ブロック242によって表されるように、1つまたは複数のパラメータの各セットについて、パラメータデータとサンプルデータとの間の関係を示す関係データが定義される。関係データは、パラメータデータとサンプルデータを使用して、1つの特定のサンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルから決定された確率を決定することができる1つまたは複数の確率方程式を含むことができる。確率方程式を定義する記憶されたデータは関係データと呼ばれ、データモジュールまたはシステムに関連するある別のデータ記憶機構に記憶される。
【0062】
次に図9を参照すると、ショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルの確率を決定するための方法は、評価モジュールの識別モジュールを使用して、ブロック260によって表されるようにサンプルデータを、ブロック262によって表されるように基準データを識別する。処理モジュールは、ブロック264によって表されるように、サンプルデータと基準データとを処理し、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである確率を決定し、この確率は百分率に換算される数値として計算される。最後にこの確率は、上述のように、およびブロック266によって表されるように出力または記憶される。
【0063】
その上、本発明の実施形態は、計算された確率をユーザ定義の限界確率と比較すること、および結果をユーザに出力することを随意に容易にする。
【0064】
本発明による別の一方法は、様々な分析物のショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである個別の確率を使用して、分析物A、B、・・・Nの任意の組合せを有するサンプルのショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能なサンプルである確率を決定することを含む。こうして、複数の測定可能特性の値が決定された場合に、ショートサンプルの確率が、式1に示す様に、考慮される測定可能特性の数によって正規化される各測定可能特性のショートサンプルである確率のNANDまたは「not and」として定義されることが好ましい。
【0065】
p(Short Sample)=[N-{p(A)+p(B)+...+p(X)}]/N (式1)
式1では、Nは測定可能な特性の数である。勿論、その他の式も、1つまたは複数の測定されたサンプル、試験片、またはアッセイの特性に基づいてショートサンプルまたはロングサンプルの尤度を投影するために使用することができる。
【0066】
同様に、複数の測定可能な特性が決定された場合には、ロングサンプルの確率が、式2に示す様に、考慮される測定可能特性の数によって正規化される各測定可能特性のロングサンプルである確率のNAND、すなわち「not and」として定義されることが好ましい。式においてNは測定可能な特性の数である。
【0067】
p(Long Sample)=[N-{p(A)+p(B)+...+p(X)}]/N (式2)
本発明の実施形態は、測定可能な特性の特定の組合せについて統計的に有意な数のサンプルを分析して、前記サンプルの測定可能な特性の前記組合せの確率分布を計算するための方法も提供する。確率の分布をプロットまたは作表することができ、次に、サンプルをフラグ付けするための百分順位に基づくしきい限界を確立することができる。例えば、95の百分順位またはそれ以上のショートサンプル確率を有する試験サンプルを使用して、サンプルがショートサンプルである可能性があるというフラグ付けをすることができる。
【0068】
測定可能な特性の特定の組合せが一旦確立されると、ショートサンプルまたはロングサンプルの計算された確率と選択された限界との比較を、分析において不十分なまたは異常な量のサンプルが使用されたという警告として使用することができる。一実施形態では、20%またはそれ以上の限界レベルが使用される。これは一実施形態のための場合であるが、確率を約18%〜約24%、約30%〜約35%、または約48%〜約55%として識別できることが理解できる。
【0069】
したがって、サンプルをフラグ付けするための限界値は、個別のサンプルデータと、様々な分析物からの複数のサンプルデータに関するその他の確率関数の両方に基づくことができる。
【0070】
ユーザの好みと確率の大きさとに応じて、ユーザは一般的に試験を繰り返して、測定された値が真であって「ショートサンプル」の生成物ではないことを確認する。勿論、上記の方法は、均等の方法およびステップが本発明によって企図されるので、本発明を限定しようとするものではない。
【0071】
本発明の一態様は、分析試験において生物サンプルの意図的な希釈を検知するために、上記の方法を使用することを含む。例えば、上記のショートサンプル検知方法を使用して、通常は薬物試験として実施されるような尿分析が希釈された尿によって実施されたことを識別することができる。こうして、敏感な分析の妥当性を確認することができる。したがって、サンプル、試験片、またはアッセイを、本発明の実施形態はサンプルまたは試験片が効果的であるときを決定するという知識によって、乱用薬物に関連する1つまたは複数の抗体のために取り扱うことができる。同様に、本発明の実施形態を飲料水、排水、またはその他の流体における1つまたは複数の汚染物の試験に使用するとき、本発明の実施形態はサンプル、試験片、またはアッセイ確認の検証過程を容易にする。
【0072】
本発明を説明するために下記の実施例を挙げるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。同様に、本明細書に挙げる方程式は例証的なもので、その他の方程式の使用可能性を限定するものではない。
【0073】
III.実施例
表2を参照すると、人間の母集団についての実施例1〜26に列挙された様々なサンプル流体データの頻度分布が得られ、プロットされている。各分布のための点Amaxは上記の方法によって得られた。実施例1〜26の各々について、分布最小値と最大値が、最小値は0に等しく最大値はAmaxに等しいとして定義された。下記の方程式3に示された式のガウス曲線は、定義された範囲のデータに対してすぐれた当てはめを提供することがわかった。式3では、A´は仮説の濃度であり、%はその決定のために使用される母集団ヒストグラムによって決定されるように、その範囲に濃度を有する母集団のパーセンテージであり、σAはガウス曲線の標準偏差である。平均と定数K0も又この曲線に基づいて計算された。
【数1】
【表2】
【0074】
したがって、濃度AがAmaxより大きいときは、ショートサンプルの確率は次のように定義される。
【0075】
p(A)=0 (式4)
Amaxより小さな濃度については、ショートサンプルの確率は次の式によって決定される。
【数2】
【0076】
上記を説明するために、図10は、実施例1におけるデータを作り出すために使用されるように、全ビリルビン濃度(tbil)の頻度分布を図示する。「ショート曲線当てはめ」として記された線は、A<Amaxについての頻度分布にセットされたガウス曲線当てはめを図示する。明らかに理解できるように、ガウス曲線はA<Amaxについては非常によく当てはまるが、A>Amaxでは当てはめは悪い。
【0077】
実施例27〜52
対照的に、ロングサンプルの検出については、Amaxの右側の部分は、Amaxより低い濃度を有するサンプルがロングサンプルの検出の点から見て限られた区別を示す値を有するので、問題の的とされる区域である。これらの濃度については、上に定義したようなガウス分布または下記の式6で定義されるような指数分布のいずれかをデータに当てはめた。
【数3】
【0078】
平均、標準偏差、および定数k0は曲線のために決定され、次の実施例27〜52に示されている。
【表3】
【0079】
ロングサンプルの確率を決定するために、分析物Aのあらゆる所与の濃度についてのロングサンプルの確率p(A)を次のように定義する。
【0080】
A<Amaxについては、
p(A)=0 (式7)
A>Amaxについては、
【数4】
【0081】
ショートサンプル分析のための曲線当てはめを説明する他に、図10は、実施例1および27におけるデータを作り出すために使用されるように、全ビリルビン濃度(tbil)の頻度分布を図示する。「ロング曲線当てはめ」として記された線は、A>Amaxについての頻度分布にセットされたガウス曲線当てはめを図示する。明らかに理解できるように、ガウス曲線はA>Amaxについては非常によく当てはまるが、A<Amaxではフィッティングが悪い。
【0082】
実施例53〜54
図11(実施例53)は、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、クレアチンキナーゼ、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む、分析物と流体データのMetLyte8収集のために集めたサンプルデータセットの理論的ショートサンプル確率を図示する。正確にサイジングされ希釈されたサンプルのために、サンプル分析物またはサンプル流体特性値データセットが得られる。次にサンプルデータセットは、仮説的に多数回順次増加するパーセントサンプル損失、すなわち10%、20%などとなり、より低いデータ結果を得る。パーセントサンプル損失におけるショートサンプルの確率は各データについて計算され、次にこれらは式5を通じて組み合わされ、この式5は、45%までのパーセントサンプル損失についてショートサンプルが発生する確率を計算する。
【0083】
図12(実施例54)は、ショートサンプルの高い確率限界がどのように計算されるかを説明する。統計的に有意な数の実際のサンプルを、分析物と流体データの基礎代謝パネル収集のために分析し、各々についてショートサンプルの確率を計算した。各確率の頻度を、ショートサンプル確率値の母集団の累積分布と共に図12にプロットする。次に限界値をこのグラフから選択して、ショートサンプルの高いリスクの警告フラグとして使用することができる。例えば、累積分布について最高5%の中にあるサンプルはショートサンプルである可能性が高いと決定してもよい。したがって、95%以上の累積分布は約24%のショートサンプルの確率にほぼ等しいので、24%より大きなショートサンプルの確率を発生する分析試験はどれでもショートサンプルとしてフラグ付けすることができる。
【0084】
実施例55〜56
ロングサンプルの確率を、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、クレアチンキナーゼ、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、浸透度、および血液尿素窒素/クレアチニンという、分析物と流体データの基礎代謝パネル組合せのために決定することができる。サンプルデータセットが得られ、これは仮説的に多数回順次増加するパーセントロングサンプル量、すなわち102.5%、105%などとなり、より高いデータ結果を得る。次にこのデータを表3の値と共に式6にはめ込み、個別ロングサンプルデータの各々についてロングサンプル確率を決定する。次にこれらのロングサンプル確率を式1によって計算し、結果を図13に示す様にプロットする(実施例55)。
【0085】
図14(実施例56)は、ロングサンプルの高確率限界をどのように計算できるかを図示する。統計的に有意な多数の実際のサンプルを、分析物および流体データの基礎代謝パネル収集のために分析し、ロングサンプルの確率を各々について計算した。各確率の頻度を、累積頻度と共に図14にプロットした。次に限界値をこのグラフから選択して、ロングサンプルの高いリスクの警告フラグとして使用することができる。例えば、累積分布について最高5%の中にあるサンプルはロングサンプルである可能性が高いと決定してもよい。したがって、95%以上の累積分布は約56%のロングサンプルの確率にほぼ等しいので、56%より大きなロングサンプルの確率を発生する単一分析試験はどれでもフラグ付けすることができる。
【0086】
本発明を、本発明の精神または本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形で実施してもよい。説明された実施形態は、すべての点で単に例証的なもので、限定的なものではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の趣旨と等価の範囲内に入るすべての変化も、本発明の範囲内に入れるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による例示的システムを示す図である。
【図2】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムの一部分をさらに詳細に示す図である。
【図3】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用される例示的データ構造を示す図である。
【図4】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用される別の例示的データ構造を示す図である。
【図5】図1に示す本発明の一実施形態による例示的システムにおいて使用されるさらに別の例示的データ構造を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による例示的方法を示す図である。
【図7】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図8】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図9】図6に図示した本発明の一実施形態による例示的方法のさらに別の態様を示す図である。
【図10】分析物濃度分布と、分析物濃度分布の上範囲と下範囲に当てはめた曲線を示すグラフである。
【図11】理論的に拡大されたサンプルサイズに基づくショートサンプルの確率を示すグラフである。
【図12】複数のサンプルに関するショートサンプルの確率の頻度と累積頻度とを示すグラフである。
【図13】理論的に拡大されたサンプルサイズに基づくロングサンプルの確率を示すグラフである。
【図14】複数のサンプルに関するロングサンプルの確率の頻度と累積頻度とを示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に関連するサンプルデータを分析するためのシステムであって、
前記試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の分布を表示するパラメータデータと、パラメータデータと試験片をショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を表示する関係データとを記憶する様になっているデータモジュールと、
前記データモジュールに通じており、前記パラメータデータと、前記関係データと、前記サンプルデータとを使用して、試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つである確率を決定することができる評価モジュールと
を含むシステム。
【請求項2】
前記パラメータデータが、試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の代表的な母集団の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータを表示する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記評価モジュールがさらに、
サンプルデータ、パラメータデータ、および前記サンプルデータに関連する関係データを受け入れる様になっている識別モジュールと、
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つである確率を、前記のサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して決定するための処理モジュールと
を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記評価モジュールがさらに、1つまたは複数の決定レベルパラメータを表すデータを含み、各決定レベルパラメータは限界確率レベルを定義し、前記限界確率レベルより下では試験片はショートサンプルまたはロングサンプルのいずれかとして識別される請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つであるかどうかに関して、ユーザに通知するための出力モジュールをさらに含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプルデータが、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記サンプルデータが、浸透度、アルカリ度、および酸性度成る群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプルデータが水の中に見られる少なくとも1つの汚染物を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプルデータが乱用薬物に関連する少なくとも1つの抗体を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルデータが分析器モジュールによって決定される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記分析器モジュールがサンプル中における1つまたは複数の分析物の濃度を決定する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記分析器モジュールが光学的分析器を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記分析器モジュールが電気化学的分析器を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記サンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つに由来する確率を決定する請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
試験片に関連するサンプルデータを分析するためのシステムであって、
前記試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の分布を表示するパラメータデータと、パラメータデータと前記試験片をショートサンプルとして識別するために使用されるサンプルデータとの間の関係を表示する関係データとを記憶する様になっているデータモジュールと、
前記データモジュールに通じており、前記パラメータデータと、前記関係データと、前記サンプルデータとを使用して、試験片がショートサンプルである確率を決定することができる評価モジュールと
を含むシステム。
【請求項16】
前記パラメータデータが、試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の代表的な母集団の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータを表示する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記評価モジュールが、
サンプルデータ、パラメータデータ、および前記サンプルデータに関連する関係データを受け入れる様になっている識別モジュールと、
試験片がショートサンプルである確率を、前記のサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して決定するようになっている処理モジュールと
をさらに含む請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記評価モジュールがさらに決定レベルパラメータを表すデータを含み、決定レベルパラメータは限界確率レベルを定義し、前記限界確率レベルより下では試験片はショートサンプルとして識別される請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つであるかどうかに関して、ユーザに通知するための出力モジュールをさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が免疫学的検定結果である請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性がゲノム検定結果である請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が水の任意の測定可能な特性である請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルに由来するかどうかを識別するための方法であって、
試験片の分析によって決定されたサンプルデータを識別するステップであって、前記サンプルデータは前記試験片の1つまたは複数の測定可能特性の値を定義するステップと、
基準データを識別するステップであって、基準データが
前記サンプルデータによって識別された1つまたは複数の測定可能な特性の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータと、
少なくとも1つのパラメータデータと試験片をショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を定義する関係データと
を含むステップと、
ショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つがサンプルデータの決定に使用された確率を決定するステップと
を含む方法。
【請求項25】
決定された確率をユーザが定義した容認可能な確率と比較して、結果をユーザに出力する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記試験片が2つ以上の測定可能な特性のためのショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであるという総合確率を決定するステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記試験片が測定可能な特性の各々のショートサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ショートサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試験片が測定可能な特性の各々のロングサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ロングサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するステップと、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を求めるステップと、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すステップと、
累積確率頻度に対応する限界確率値を選択するステップであって、前記限界確率値は前記試験片がショートサンプルである高い確率を表すステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
基準データを識別するステップがデータモジュールの中に記憶された基準データにアクセスすることを含む請求項26に記載の方法。
【請求項31】
基準データを識別するステップが、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、試験片がショートサンプルであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
基準データを識別するステップが、
分布最大値と分布最小値とを含む、サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのロングサンプル確率を有するために前記分布最大値と前記分布最大値に関連する測定された特性値より小さな特性のすべての値と、100パーセントのロングサンプル確率を有するために前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性を有する分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、試験片がロングサンプルであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記分布最大値が最大測定可能特性値発生頻度に対応する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
サンプルの代表的な母集団から得られた統計的に有意なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記の1つまたは複数のサンプル流体データが、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が免疫学的検定結果である請求項24に記載のシステム。
【請求項41】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性がゲノム検定結果である請求項24に記載のシステム。
【請求項42】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が水の任意の測定可能な特性である請求項24に記載のシステム。
【請求項43】
試験サンプルから得られたサンプルデータがショートサンプルに由来するかどうかを識別するための方法であって、
試験サンプルに関連するサンプルデータを識別するステップであって、前記サンプルデータは前記試験サンプルの1つまたは複数の測定可能特性の値を定義するステップと、
サンプルデータに関連する基準データを識別するステップであって、基準データが
前記サンプルデータによって識別された1つまたは複数の測定可能な特性の標準分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータと、
少なくとも1つのパラメータとサンプルをショートサンプルとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を定義する関係データと
を含むステップと、
前記関係データと、前記少なくとも1つのパラメータと、前記サンプルデータとを使用して、前記試験サンプルがショートサンプルである確率を決定するステップと
を含む方法。
【請求項44】
前記試験サンプルが2つ以上の測定可能な特性のためのショートサンプルであるという総合確率を決定するステップをさらに含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記サンプルが測定可能な特性の各々のショートサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ショートサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するステップと、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を得るステップと、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すステップと、
累積確率頻度に対応する限界確率値を選択するステップであって、前記限界確率値は前記サンプルがショートサンプルである高い確率を表すステップと
をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
基準データを識別するステップが、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項47に記載の方法。
【請求項50】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項47に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つのプロセッサを含み、サンプルデータがショートサンプルから決定された確率を決定して表示するために構成されたシステムにおいて、サンプルデータがショートサンプルから決定された確率を決定するための方法を実施するためのコンピュータプログラム製品であって、
前記方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を保持するコンピュータ読取可能媒体を含み、
コンピュータ実行可能命令は、実行する場合に、
少なくとも1つのサンプル特性を表すサンプルデータを識別するステップと、
前記少なくとも1つのサンプル特性に関連する基準データを識別するステップであって、前記基準データは、
前記サンプルデータによって定義されたサンプル特性の標準分布を定義する少なくとも1つのパラメータと、
前記少なくとも1つのパラメータと前記サンプルデータとの間の関係を定義して、結果的に前記サンプルがショートサンプルである確率を決定する関係データと
を含むステップと、
前記サンプルデータ、前記少なくとも1つのパラメータ、および前記関係データを使用して、前記サンプルデータがショートサンプルに由来する確率を決定するステップと
を実施するコンピュータプログラム製品。
【請求項52】
前記コンピュータ読取可能媒体が、前記の決定された確率をユーザが定義した容認可能な確率値と比較して結果をユーザに対して出力するためのコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項53】
前記コンピュータ読取可能媒体が、前記サンプルが測定可能な特性の1つまたは複数のためのショートサンプルである総合確率を決定するためのコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項54】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
前記サンプルが測定可能な特性の各々についてショートサンプルである確率を決定するため、および
ショートサンプルが前記2つ以上の測定可能な特性の各々について使用された確率を計算するための
コンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項55】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
前記サンプルが測定可能な特性の各々についてロングサンプルである確率を決定するため、および
ロングサンプルが前記2つ以上の測定可能な特性の各々について使用された確率を計算するための
コンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項56】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するため、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を得るため、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すため、および
累積確率頻度に対応する、前記サンプルがショートサンプルである高い確率を表す限界確率値を選択するため
のコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項57】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すため、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義するため、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別するため、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであった確率を決定するために使用されるため
のコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項58】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項59】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項60】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すためのステップをさらに含む請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項61】
媒体の上に記憶されて、且つサンプルの分析試験においてショートデータの存在を決定するためのデータ構造を表す複数のデータフィールドを有するコンピュータ読取可能媒体であって、
前記サンプルから決定されたサンプルデータを含む第1データフィールドであって、前記サンプルデータが少なくとも1つの測定可能な特性を定義する第1データフィールドと、
前記サンプルに関する基準データを含む第2データフィールドであって、
前記サンプルデータによって定義された前記少なくとも1つの測定可能な特性の少なくとも1つの標準分布を定義する少なくとも1つのパラメータと、
前記少なくとも1つのパラメータと前記サンプルデータとの間の関係を定義し、この結果、前記サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を決定する関係データと
を含む第2データフィールドと、
サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を表す、前記サンプルデータおよび基準データから導き出された第3データフィールドと
を含むコンピュータ読取可能媒体。
【請求項1】
試験片に関連するサンプルデータを分析するためのシステムであって、
前記試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の分布を表示するパラメータデータと、パラメータデータと試験片をショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を表示する関係データとを記憶する様になっているデータモジュールと、
前記データモジュールに通じており、前記パラメータデータと、前記関係データと、前記サンプルデータとを使用して、試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つである確率を決定することができる評価モジュールと
を含むシステム。
【請求項2】
前記パラメータデータが、試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の代表的な母集団の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータを表示する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記評価モジュールがさらに、
サンプルデータ、パラメータデータ、および前記サンプルデータに関連する関係データを受け入れる様になっている識別モジュールと、
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つである確率を、前記のサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して決定するための処理モジュールと
を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記評価モジュールがさらに、1つまたは複数の決定レベルパラメータを表すデータを含み、各決定レベルパラメータは限界確率レベルを定義し、前記限界確率レベルより下では試験片はショートサンプルまたはロングサンプルのいずれかとして識別される請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つであるかどうかに関して、ユーザに通知するための出力モジュールをさらに含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプルデータが、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記サンプルデータが、浸透度、アルカリ度、および酸性度成る群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプルデータが水の中に見られる少なくとも1つの汚染物を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプルデータが乱用薬物に関連する少なくとも1つの抗体を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルデータが分析器モジュールによって決定される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記分析器モジュールがサンプル中における1つまたは複数の分析物の濃度を決定する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記分析器モジュールが光学的分析器を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記分析器モジュールが電気化学的分析器を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記サンプルデータがショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つに由来する確率を決定する請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
試験片に関連するサンプルデータを分析するためのシステムであって、
前記試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の分布を表示するパラメータデータと、パラメータデータと前記試験片をショートサンプルとして識別するために使用されるサンプルデータとの間の関係を表示する関係データとを記憶する様になっているデータモジュールと、
前記データモジュールに通じており、前記パラメータデータと、前記関係データと、前記サンプルデータとを使用して、試験片がショートサンプルである確率を決定することができる評価モジュールと
を含むシステム。
【請求項16】
前記パラメータデータが、試験片の少なくとも1つの測定可能な特性の代表的な母集団の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータを表示する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記評価モジュールが、
サンプルデータ、パラメータデータ、および前記サンプルデータに関連する関係データを受け入れる様になっている識別モジュールと、
試験片がショートサンプルである確率を、前記のサンプルデータ、パラメータデータ、および関係データを使用して決定するようになっている処理モジュールと
をさらに含む請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記評価モジュールがさらに決定レベルパラメータを表すデータを含み、決定レベルパラメータは限界確率レベルを定義し、前記限界確率レベルより下では試験片はショートサンプルとして識別される請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つであるかどうかに関して、ユーザに通知するための出力モジュールをさらに含む請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が免疫学的検定結果である請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性がゲノム検定結果である請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が水の任意の測定可能な特性である請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
試験片がショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルに由来するかどうかを識別するための方法であって、
試験片の分析によって決定されたサンプルデータを識別するステップであって、前記サンプルデータは前記試験片の1つまたは複数の測定可能特性の値を定義するステップと、
基準データを識別するステップであって、基準データが
前記サンプルデータによって識別された1つまたは複数の測定可能な特性の分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータと、
少なくとも1つのパラメータデータと試験片をショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を定義する関係データと
を含むステップと、
ショートサンプル、ロングサンプル、容認可能サンプルの少なくとも1つがサンプルデータの決定に使用された確率を決定するステップと
を含む方法。
【請求項25】
決定された確率をユーザが定義した容認可能な確率と比較して、結果をユーザに出力する請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記試験片が2つ以上の測定可能な特性のためのショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであるという総合確率を決定するステップをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記試験片が測定可能な特性の各々のショートサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ショートサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記試験片が測定可能な特性の各々のロングサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ロングサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するステップと、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を求めるステップと、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すステップと、
累積確率頻度に対応する限界確率値を選択するステップであって、前記限界確率値は前記試験片がショートサンプルである高い確率を表すステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項30】
基準データを識別するステップがデータモジュールの中に記憶された基準データにアクセスすることを含む請求項26に記載の方法。
【請求項31】
基準データを識別するステップが、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、試験片がショートサンプルであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項32に記載の方法。
【請求項35】
基準データを識別するステップが、
分布最大値と分布最小値とを含む、サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのロングサンプル確率を有するために前記分布最大値と前記分布最大値に関連する測定された特性値より小さな特性のすべての値と、100パーセントのロングサンプル確率を有するために前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性を有する分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、試験片がロングサンプルであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記分布最大値が最大測定可能特性値発生頻度に対応する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
サンプルの代表的な母集団から得られた統計的に有意なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記の1つまたは複数のサンプル流体データが、アルブミン、アルカリホスフォターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アミラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、全ビリルビン、血液尿素窒素、カルシウム、コレステロール、クレアチニン、グルコース、全蛋白、全蛋白/アルブミン、および血液尿素窒素/クレアチニンを含む一般化学、血液尿素窒素、クレアチニン、グルコース、二酸化炭素、ナトリウム、カリウム、塩素、および浸透度から成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が免疫学的検定結果である請求項24に記載のシステム。
【請求項41】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性がゲノム検定結果である請求項24に記載のシステム。
【請求項42】
前記の少なくとも1つの測定可能な特性が水の任意の測定可能な特性である請求項24に記載のシステム。
【請求項43】
試験サンプルから得られたサンプルデータがショートサンプルに由来するかどうかを識別するための方法であって、
試験サンプルに関連するサンプルデータを識別するステップであって、前記サンプルデータは前記試験サンプルの1つまたは複数の測定可能特性の値を定義するステップと、
サンプルデータに関連する基準データを識別するステップであって、基準データが
前記サンプルデータによって識別された1つまたは複数の測定可能な特性の標準分布の一部分を定義する少なくとも1つのパラメータと、
少なくとも1つのパラメータとサンプルをショートサンプルとして識別する助力となるサンプルデータとの間の関係を定義する関係データと
を含むステップと、
前記関係データと、前記少なくとも1つのパラメータと、前記サンプルデータとを使用して、前記試験サンプルがショートサンプルである確率を決定するステップと
を含む方法。
【請求項44】
前記試験サンプルが2つ以上の測定可能な特性のためのショートサンプルであるという総合確率を決定するステップをさらに含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記サンプルが測定可能な特性の各々のショートサンプルであった確率を決定するステップと、
前記ショートサンプルが2つ以上の測定可能な特性の各々のための使用された確率を計算するステップと
をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するステップと、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を得るステップと、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すステップと、
累積確率頻度に対応する限界確率値を選択するステップであって、前記限界確率値は前記サンプルがショートサンプルである高い確率を表すステップと
をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
基準データを識別するステップが、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すこと、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義すること、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別すること、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであった確率を決定するために使用されること
を含む請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項47に記載の方法。
【請求項50】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すステップをさらに含む請求項47に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つのプロセッサを含み、サンプルデータがショートサンプルから決定された確率を決定して表示するために構成されたシステムにおいて、サンプルデータがショートサンプルから決定された確率を決定するための方法を実施するためのコンピュータプログラム製品であって、
前記方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を保持するコンピュータ読取可能媒体を含み、
コンピュータ実行可能命令は、実行する場合に、
少なくとも1つのサンプル特性を表すサンプルデータを識別するステップと、
前記少なくとも1つのサンプル特性に関連する基準データを識別するステップであって、前記基準データは、
前記サンプルデータによって定義されたサンプル特性の標準分布を定義する少なくとも1つのパラメータと、
前記少なくとも1つのパラメータと前記サンプルデータとの間の関係を定義して、結果的に前記サンプルがショートサンプルである確率を決定する関係データと
を含むステップと、
前記サンプルデータ、前記少なくとも1つのパラメータ、および前記関係データを使用して、前記サンプルデータがショートサンプルに由来する確率を決定するステップと
を実施するコンピュータプログラム製品。
【請求項52】
前記コンピュータ読取可能媒体が、前記の決定された確率をユーザが定義した容認可能な確率値と比較して結果をユーザに対して出力するためのコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項53】
前記コンピュータ読取可能媒体が、前記サンプルが測定可能な特性の1つまたは複数のためのショートサンプルである総合確率を決定するためのコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項54】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
前記サンプルが測定可能な特性の各々についてショートサンプルである確率を決定するため、および
ショートサンプルが前記2つ以上の測定可能な特性の各々について使用された確率を計算するための
コンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項55】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
前記サンプルが測定可能な特性の各々についてロングサンプルである確率を決定するため、および
ロングサンプルが前記2つ以上の測定可能な特性の各々について使用された確率を計算するための
コンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項56】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
複数の代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を決定するため、
各代表的サンプルにおける各測定可能特性についてショートサンプルの確率を計算して、各代表的サンプルについてショートサンプルの確率を得るため、
前記複数の代表的サンプルについてショートサンプルの確率の分布展開を作り出すため、および
累積確率頻度に対応する、前記サンプルがショートサンプルである高い確率を表す限界確率値を選択するため
のコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項53に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項57】
前記コンピュータ読取可能媒体が、
サンプルデータによって定義される測定された特性の発生頻度を定義する、分布最高値と分布最小値とを含む分布展開を作り出すため、
ゼロパーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最大値と、前記分布最大値に関連する測定された特性値より大きな測定された特性値のすべての値と、100パーセントのショートサンプル確率を有するために前記分布最小値とを定義するため、
前記分布最大値と前記分布最小値とによって境界付けられた分布展開を定義する1つまたは複数のパラメータを識別するため、および
前記1つまたは複数のパラメータとサンプルデータとの間の関係を定義する関係データを定義し、前記関係は、サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、および容認可能サンプルの少なくとも1つであった確率を決定するために使用されるため
のコンピュータ実行可能命令をさらに保持する請求項51に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項58】
前記分布最小値が、サンプルデータ値発生頻度がゼロに近いかゼロに等しい、分布展開上の一点に対応する請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項59】
前記分布最大値が最大測定特性値発生頻度に対応する請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項60】
サンプルの代表的母集団から得られた統計的に有利なデータセットを使用して、分布展開を作り出すためのステップをさらに含む請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項61】
媒体の上に記憶されて、且つサンプルの分析試験においてショートデータの存在を決定するためのデータ構造を表す複数のデータフィールドを有するコンピュータ読取可能媒体であって、
前記サンプルから決定されたサンプルデータを含む第1データフィールドであって、前記サンプルデータが少なくとも1つの測定可能な特性を定義する第1データフィールドと、
前記サンプルに関する基準データを含む第2データフィールドであって、
前記サンプルデータによって定義された前記少なくとも1つの測定可能な特性の少なくとも1つの標準分布を定義する少なくとも1つのパラメータと、
前記少なくとも1つのパラメータと前記サンプルデータとの間の関係を定義し、この結果、前記サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を決定する関係データと
を含む第2データフィールドと、
サンプルがショートサンプル、ロングサンプル、または容認可能サンプルである確率を表す、前記サンプルデータおよび基準データから導き出された第3データフィールドと
を含むコンピュータ読取可能媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2006−503296(P2006−503296A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545458(P2004−545458)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/032979
【国際公開番号】WO2004/036180
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505141462)アバクシス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/032979
【国際公開番号】WO2004/036180
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505141462)アバクシス,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】
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