説明

シリコン化合物と塩基性染料を含有する染毛料

【課題】染色性が向上し、かつ皮膚着色が抑制されている染毛料を提供すること。
【解決手段】特定の構造のブロック共重合体からなるシリコン化合物と、フェニル基を有する特定の構造のるシリコン化合物と、塩基性染料とを含有する染毛料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン化合物と塩基性染料を含有する染毛料に関する。より詳細には、本発明は、染色性が向上し、かつ皮膚着色が抑制されている染毛料に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン化合物は、頭髪用化粧料において、触感、洗い上がりのツヤ、なめらかさを向上させる毛髪コンディショニング剤として有用である。例えば、特許文献1では、特異なオルガノポリシロキサン共重合体を用いることによって、毛髪のコンディショニングが向上することが記載されている。しかし、オルガノポリシロキサン共重合体の効果としては、毛髪のコンディショニングの向上のみが示され、更なる効果については見出されていない。
【0003】
特許文献2では、塩基性染料、非イオン性染料および中性染料を用いることにより、皮膚汚染を抑えつつ、毛髪の触感を改善することが記載されている。しかし、毛髪の染毛性を向上させると、皮膚汚染が悪化し、十分ではなかった。
【0004】
特許文献3、4及び5では、それぞれのシリコン化合物が毛髪の触感改善、及び光沢付与の効果を示すことが記載されているが、それ以上の効果は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−231607号公報
【特許文献2】特開2004−26690号公報
【特許文献3】WO2004/058198号公報
【特許文献4】特開昭63−183517号公報
【特許文献5】特開昭63−243018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
直接染料を用いて染毛性を向上させると、皮膚汚染が悪化することは、染毛料において従来からの改善すべき点であった。本発明は、染色性が向上し、かつ皮膚着色が抑制されている染毛料を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、塩基性染料と、特定構造を有するシリコン化合物とを組み合わせて使用することによって、染色性が向上しているとともに皮膚着色が抑制させている染毛料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、
(a)下記式(A)で表されるシリコン化合物;
(b)下記式(B)で表されるシリコン化合物;及び
(c)塩基性染料:
を含有する染毛料が提供される。
式(A): R2-A1-R2
(式中、A1
式A-1:−(Si(R12O)aSi(R12
式A-2:−Y1
式A-3:−O(CH2CH2O)n
式A-4:−O(CH2CH2CH2O)n
[式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、アルキレン基を表す。aは、1〜1350の整数を示す。式A-3におけるnと式A-4におけるnは互いに独立して、それぞれ0〜220の整数を示し、但し、式A-3におけるnと式A-4におけるnの両方が0であることはない]
で示されるモノマー単位A-1〜4のうち、少なくとも式A-1と、式A-3及び/又は式A-4とから構成されるブロック共重合体を示し、両末端がR2に結合している。
2は、互いに独立して互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を示す。)
式(B):
【化1】

(式中、R3は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基またはフェニル基(但し、R3が全てメチル基である場合、及びR3が全てフェニル基である場合を除く)を示し、R4は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基または水酸基を表す。また、mは1000〜20000の整数である。)
【0009】
好ましくは、式(A)で表されるシリコン化合物は、下記式(A−1)で表されるシリコン化合物である。
式(A−1)
【化2】

〔式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アルキレン基を表す。R2は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2(Y1Aはアルキレン基を示し、Y2は、水素原子、又は置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。b1A及びb2Aはそれぞれ独立に、0〜220の整数を示す(但しb1A及びb2Aの両方が0であることはない)で表される基であり、
aは、1〜1350の整数を示し、
b1およびb2は、それぞれ独立に0〜220の整数を示し(但しb1およびb2の両方が0であることはない)、
cは、0〜50の整数である。但しcが0であるとき、R1またはR2で表される基の少なくとも1つの基は−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2で表される基である。
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は134〜10000であり、
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックは、式(A−1)で表されるシリコン化合物の0.7〜97.5質量%を構成し、
式:−(C 24O)b1(C 36O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10000であり、
式(A−1)で表されるシリコン化合物の平均分子量は650〜100000である。〕
【0010】
好ましくは、式(A)で表されるシリコン化合物の含有量は、染毛料の質量に対して1〜10質量%である。
好ましくは、式(B)で表されるシリコン化合物の含有量は、染毛料の質量に対して1〜10質量%である。
【0011】
好ましくは、式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の合計の含有量は、染毛料の質量に対して3〜15質量%である。
好ましくは、式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の合計の含有量は、染毛料の質量に対して9〜15質量%である。
【0012】
好ましくは、塩基性染料は、ベーシック・ブルー(塩基性青)、ベーシック・バイオレット(塩基性紫)、ベーシック・ブラウン(塩基性茶)、ベーシック・レッド(塩基性赤)、ベーシック・イエロー(塩基性黄)、又はベーシック・グリーン(塩基性緑)に属する塩基性染料である。
好ましくは、塩基性染料は、塩基性青99(8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド)である。
【0013】
本発明によればさらに、上記した本発明の染毛料を毛髪に付与することを含む、毛髪の染毛方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の染毛料は、染色性が向上し、かつ皮膚着色が抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の染毛剤は、
(a)式(A)で表されるシリコン化合物;
(b)式(B)で表されるシリコン化合物;及び
(c)塩基性染料:
を含有することを特徴とする。本発明の染毛料においては、式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の両方を配合することにより、染色性の向上と皮膚着色の抑制という2つの効果を同時に達成することができる。なお、本明細書で言うシリコン化合物とは、シリコーン化合物と同義である。
【0016】
本発明で用いる第一のシリコン化合物は、下記式(A)で表されるシリコン化合物である。
式(A): R2-A1-R2
(式中、A1
式A-1:−(Si(R12O)aSi(R12
式A-2:−Y1
式A-3:−O(CH2CH2O)n
式A-4:−O(CH2CH2CH2O)n
[式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、アルキレン基を表す。aは、1〜1350の整数を示す。式A-3におけるnと式A-4におけるnは互いに独立して、それぞれ0〜220の整数を示し、但し、式A-3におけるnと式A-4におけるnの両方が0であることはない]
で示されるモノマー単位A-1〜4のうち、少なくとも式A-1と、式A-3及び/又は式A-4とから構成されるブロック共重合体を示し、両末端がR2に結合している。
2は、互いに独立して互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を示す。)
【0017】
式A-1〜A-4に関し、式(A)で表されるシリコン化合物には、式A-1〜A-4で示されるモノマー単位がそれぞれ複数含まれるが、複数個のモノマー単位はそれぞれ独立して同一でも異なっていてもよい。即ち、式(A)で表されるシリコン化合物には、複数個の異なる構造の式A-1で示されるモノマー単位、複数個の異なる構造の式A-2で示されるモノマー単位、複数個の異なる構造の式A-3で示されるモノマー単位、又は複数個の異なる構造の式A-4で示されるモノマー単位が、含まれていてもよい。
【0018】
また、A1は、モノマー単位A-1〜4のうち、少なくとも式A-1と、式A-3及び/又は式A-4とから構成されるブロック共重合体を示す。即ち、式A-1〜A-4のうち、必須であるのは、(i)式A-1で示されるモノマー単位と、(ii)式A-3及び/又は式A-4で示されるモノマー単位であり、式A-2で示されるモノマー単位は必ずしも存在しなくてもよい。好ましくは、A1は、式A-1、式A-2、式A-3及び式A-4の4種のモノマー単位から構成される。
【0019】
式(A)で表されるシリコン化合物は、好ましくは、下記式(A−1)で表されるシリコン化合物である。
式(A−1)
【化3】

〔式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アルキレン基を表す。R2は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2(Y1Aはアルキレン基を示し、Y2は、水素原子、又は置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。b1A及びb2Aはそれぞれ独立に、0〜220の整数を示す(但しb1A及びb2Aの両方が0であることはない)で表される基であり、
aは、1〜1350の整数を示し、
b1およびb2は、それぞれ独立に0〜220の整数を示し(但しb1およびb2の両方が0であることはない)、
cは、0〜50の整数である。但しcが0であるとき、R1またはR2で表される基の少なくとも1つの基は−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2で表される基である。
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は134〜10000であり、
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックは、式(A−1)で表されるシリコン化合物の0.7〜97.5質量%を構成し、
式:−(C 24O)b1(C 36O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10000であり、
式(A−1)で表されるシリコン化合物の平均分子量は650〜100000である。〕
【0020】
上記した式(A)で表されるシリコン化合物(好ましくは、下記式(A−1)で表されるシリコン化合物)は、ポリオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックブロック共重合体であり、国際公開WO2004/058198号公報に記載されている化合物を使用することができる。式(A)で表されるシリコン化合物(好ましくは、下記式(A−1)で表されるシリコン化合物)の具体例としては、商品名FZ-2222,FZ-2233,FZ-2231、FZ-2250(東レダウコーニング)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明で用いる第二のシリコン化合物は、下記式(B)で表されるフェニル変性シリコン化合物である。
式(B):
【化4】

(式中、R3は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基またはフェニル基(但し、R3が全てメチル基である場合、及びR3が全てフェニル基である場合を除く)を示し、R4は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基または水酸基を表す。また、mは1000〜20000の整数である。)
【0022】
式(B)で表されるシリコン化合物は、特開昭63−183517号公報及び特開昭63−243018号公報に記載のものを使用することができる。式(B)で表されるシリコン化合物の具体例としては、商品名SH556,PH-1555(東レダウコーニング)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
式(A)で表されるシリコン化合物の含有量は、染毛料の質量に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。
【0024】
式(B)で表されるシリコン化合物の含有量は、染毛料の質量に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。
【0025】
式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の合計の含有量は、染毛料の質量に対して3〜15質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましく、7〜15質量%であることがさらに好ましく、9〜15質量%であることが特に好ましい。
【0026】
本発明の染毛料には、上記した式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物以外の、その他のシリコン化合物がさらに含まれていてもよい。その他のシリコン化合物としては、ジメチコン、高重合ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコン、環状シリコン等が挙げられる。シリコン化合物は、ポリマー、モノマーに寄らない。また、分子中にカチオン部位を有することで、毛髪への残存量を向上した潤滑剤も存在し、特に限定されない。上記したようなその他のシリコン化合物を配合する場合、その配合量は、本発明の毛髪料中に0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。その他のシリコン化合物の具体例としては、以下のシリコンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
<直鎖状ジメチルシリコン>
以下の構造で表されるシリコン化合物(nは5以上の整数を示す)。で、具体的にはSH200 Cシリーズ、SH200Fluidシリーズ等(東レダウシリコーン社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化5】

【0029】
<環状シリコン>
以下の構造で表されるシリコン化合物(nは1以上20以下の整数)で、具体的にはSH245 Fluid, DC345 Fluid, DC246 Fluid等(東レダウシリコーン社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化6】

【0031】
<アミノ変性シリコン>
以下のモノマー単位を分子中に含有するシリコン化合物で、具体的には、SM8904,BY22-079、SILSTYLE104等(東レダウシリコーン社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
【化7】

【0033】
本発明で用いる塩基性染料は、染毛料に配合できるものであれば特に限定されない。本発明で用いる塩基性染料としては、例えば、ベーシック・ブルー(塩基性青)、ベーシック・バイオレット(塩基性紫)、ベーシック・ブラウン(塩基性茶)、ベーシック・レッド(塩基性赤)、ベーシック・イエロー(塩基性黄)、ベーシック・グリーン(塩基性緑)に属する塩基性染料を使用することができる。塩基性染料の具体例としては、例えば、9−(ジメチルアミノ)−ベンゾ[a]フェノキサジ−7−イウム−クロライド(CI51175;ベーシック・ブルーNo.6)、ジ[4−(ジエチルアミノ)フェニル][4−(エチルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI42595;ベーシック・ブルーNo.7)、3,7−ジ(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウム−クロライド(CI52015;ベーシック・ブルーNo.9)、ジ[4−(ジメチルアミノ)フェニル][4−(フェニルアミノ)ナフチル]カルベニウム−クロライド(CI44045;ベーシック・ブルーNo.26)、2−[(4−(エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ)フェニル)アゾ]−6−メトキシ−3−メチル−ベンゾチアゾリウム−硫酸メチル(CI11154;ベーシック・ブルーNo.41)、8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)、ビス[4−(ジメチルアミノ)−フェニル][4−(メチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42535;ベーシック・バイオレットNo.1)、トリス(4−アミノ−3−メチルフェニル)−カルベニウム−クロライド(CI42520;ベーシック・バイオレットNo.2)、トリス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]カルベニウム−クロライド(CI42555;ベーシック・バイオレットNo.3)、2−[3,6−(ジエチルアミノ)ジベンゾピラニウム−9−イル]−安息香酸−クロライド(CI45170;ベーシック・バイオレットNo.10)、ジ(4−アミノフェニル)(4−アミノ−3−メチルフェニル)カルベニウム−クロライド(CI42510;ベーシック・バイオレットNo.14)、1,3−ビス[(2、4−ジアミノ−5−メチルフェニル)アゾ]−3−メチルベンゼン(CI21010;ベーシック・ブラウンNo.4)、1−[(4−アミノフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12250;ベーシック・ブラウンNo.16)、1−[(4−アミノ−3−ニトロフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−2−ナフトール−クロライド(CI12251;ベーシック・ブラウンNo.17)、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−5−フェニル−フェナジニウム−クロライド(CI50240;ベーシック・レッドNo.2)、1,4−ジメチル−5−[(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ]−1,2,4−トリアゾリウム−クロライド(CI11055;ベーシック・レッドNo.22)、2−ヒドロキシ−1−[(2−メトキシフェニル)アゾ]−7−(トリメチルアンモニオ)−ナフタリン−クロライド(CI12245;ベーシック・レッドNo.76)、2−[2((2,4−ジメトキシフェニル)アミノ)エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドール−1−イウム−クロライド(CI48055;ベーシック・イエローNo.11)、3−メチル−1−フェニル−4−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アゾ]−ピラゾール−5−オン−クロライド(CI12719;ベーシック・イエローNo.57)、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]フェニルカルベニウム−硫酸水素塩(1:1)(CI42040;ベーシック・グリーンNo.1)等が挙げられる。
【0034】
塩基性染料の含有量は、染毛料の質量に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましい。
【0035】
本発明の染毛料には、上記した塩基性染料の他に、永久染毛、半永久染毛、一時染毛に分類される、酸化染料、キレート染料、酸性染料、非イオン性染および中性染料とカーボンブラックなどを適宜混合してもかまわない。また、ニトロ染料(HC染料)、パラフェニレンジアミン系化合物などを適宜混合しても構わない。
【0036】
本発明の染毛料には、上記に加えて各種の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、基材、界面活性剤、油脂類、溶剤、増粘剤、有機酸、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、湿潤剤、香料、金属臭のマスキング剤、商品の着色剤、商品の紫外線吸収剤などが挙げられる。また、添加剤としては、本発明の目的を損なわない範囲で通常の化粧品等に用いられる成分、例えば、エモリエント剤、トリートメント剤、保湿剤、柔軟剤、潤滑剤、保湿剤、育毛剤、養毛剤、発毛剤、フケ防止剤、抗白髪剤、アンチエイジング剤、活性酸素除去剤、抗酸化剤、コラーゲン合成促進剤、ビタミン剤、香料、色素剤、制汗剤、冷感剤、温感剤などを挙げることができる。また、抗菌剤、抗微生物剤、抗生剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、皮膚疾患治療薬、抗真菌薬、鎮痒剤、発汗剤、止汗剤、血管収縮剤、血管拡張剤、ビタミン剤、シリコーン、ミネラル、加水分解タンパク、アミノ酸類、又は皮膚軟化剤などを適宜配合することもできる。これらの添加剤の使用量は、本発明の効果を奏する範囲内で適宜設定することができる。
【0037】
基剤としては、高級アルコール類、炭化水素、脂肪酸エステル、植物油、脂肪酸などを挙げることができる。
【0038】
界面活性剤としては、毛髪に与える感触を更に向上するため、カチオン界面活性剤を含有させるのが好ましい。カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ、特に塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、更なる柔軟性、なめらか感、安定性等の向上の点から、本発明の化粧料の0.01〜20.0質量%、特に0.1〜10.0質量%が好ましい。
【0039】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸及びその誘導体、亜硫酸ナトリウム等を挙げることができる。
pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、アンモニア、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、リン酸アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等を用いることができる。
【0040】
湿潤剤としては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アミノ酸、植物油等を挙げることができる。
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
【0041】
溶剤としては、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、1,3ブチレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオ−ル、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル等を挙げることができる。
【0042】
本発明の染毛料のpHは、好ましくはpH5〜10であり、より好ましくはpH5〜8であり、より好ましくは5〜7であり、さらに好ましくは6〜7である。
【0043】
本発明の染毛料の剤型は特に限定されないが、具体的には、洗い流すタイプのシャンプー、トリートメント、コンディショナー、ヘアマニキュアなどに塩基性染料を含有するもの、洗い流さないタイプのヘアオイル、リタッチ、ヘアマスカラ、ムース、ヘアワックス、整髪用ジェルなどが挙げられる。
【0044】
本発明の染毛料を毛髪に付与することによって毛髪の染毛を行うことができる。
本発明の染毛剤の塗布量としては、長さ20センチ程度の頭髪に、本発明の染毛料を20g〜100g程度塗布することが好ましく、40g〜80g程度塗布することがさらに好ましい。
【0045】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
<油相Aの調製>
下記の各成分を混合して、油相Aを調製した。
セタノール 1.5g
ステアリルアルコール 3.5g
ステアリン酸グリセリル 0.5g
トリステアリン酸PEG-20 1g
ステアリン酸ポリグリセリド 2g
カチナールDC-80(東邦化学社製) 2.5g
カチナールBHC-60BE(東邦化学社製) 3.7g
【0047】
<使用したシリコン>
本発明の式(A)で表されるシリコン化合物として、FZ-2233(東レダウコーニング社製)を使用し、本発明の式(B)で表されるシリコン化合物として、SH556(東レダウコーニング社製)を使用した。また、その他のシリコンとして、以下の化合物を使用した。
DC246 Fluid(東レダウシリコーン社製;環状シリコン)
SILSTYLE104等(東レダウシリコーン社製;アミノ変性シリコン)
SH200 C、Fluid200 10CS(東レダウシリコーン社製;直鎖状ジメチルシリコン)
SH200 C、Fluid200 1000CS(東レダウシリコーン社製;直鎖状ジメチルシリコン)
【0048】
<染毛料の調製>
以下の方法により表1に示す組成の染毛料を調製した。
上記の油相Aと、水相(グリセリン及び水)を80℃に加温する。80℃に達したところで、水相に油相を混合し2500rpm4分間でホモジナイズする。シリコンは、ホモジナイズ前に油相Aに混合し、塩基性青99については、ホモジナイズ前に水相に添加した。水の添加量は、全量が100gとなるように調整した。
【0049】
<皮膚着色の判定>
シャンプー洗浄後、上腕内側の1cm2に0.5gの染毛料(表1に示すもの)を塗布し、5分間放置した。その後、ハンドソープと温水で2分間洗浄し着色度を判定した。結果を表1に示す。
×:明らかに境界が分る。
△:染まっているのが分る。
○:ぼんやり染まっている。
◎:よく見ると染まっているのが分かる。
【0050】
<染毛性の判定>
ヤギ毛をシャンプーで洗浄し、水気を切ったヤギ毛1gに対して、染毛料2g(表1に示すもの)を塗布し、5分間放置した。その後、温水で濯ぎ、色彩色差計CR-400(コニカミノルタ製)で染毛度(ΔE)で判定した。
ΔEは表色差ΔL*a*b*より以下の計算式で産出され、
ΔE=〔(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2〕1/2
一般的に、同じ染料を用いる場合、ΔEが上昇すると染毛性が良化する(よく染まる)、ΔEが減少すると染毛性は悪化する(染まらない)、こととなる。
結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示す結果から、式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の両方を配合することにより、皮膚着色を悪化させずに染毛性を向上できることが実証された。また、式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の配合量を増量することにより、皮膚着色をさらに抑制できることが実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(A)で表されるシリコン化合物;
(b)下記式(B)で表されるシリコン化合物;及び
(c)塩基性染料:
を含有する染毛料。
式(A): R2-A1-R2
(式中、A1
式A-1:−(Si(R12O)aSi(R12
式A-2:−Y1
式A-3:−O(CH2CH2O)n
式A-4:−O(CH2CH2CH2O)n
[式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、アルキレン基を表す。aは、1〜1350の整数を示す。式A-3におけるnと式A-4におけるnは互いに独立して、それぞれ0〜220の整数を示し、但し、式A-3におけるnと式A-4におけるnの両方が0であることはない]
で示されるモノマー単位A-1〜4のうち、少なくとも式A-1と、式A-3及び/又は式A-4とから構成されるブロック共重合体を示し、両末端がR2に結合している。
2は、互いに独立して互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、又はアルコキシ基を示す。)
式(B):
【化1】

(式中、R3は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基またはフェニル基(但し、R3が全てメチル基である場合、及びR3が全てフェニル基である場合を除く)を示し、R4は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、メチル基または水酸基を表す。また、mは1000〜20000の整数である。)
【請求項2】
式(A)で表されるシリコン化合物が、下記式(A−1)で表されるシリコン化合物である、請求項1に記載の染毛料。
式(A−1)
【化2】

〔式中、R1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、飽和脂肪族1価の炭化水素基、水酸基、又はアルコキシ基を表し、Y1は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アルキレン基を表す。R2は、互いに独立してそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、置換または無置換の1価の炭化水素基、アルコキシ基、あるいは式:−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2(Y1Aはアルキレン基を示し、Y2は、水素原子、又は置換もしくは無置換の1価の炭化水素基を示す。b1A及びb2Aはそれぞれ独立に、0〜220の整数を示す(但しb1A及びb2Aの両方が0であることはない)で表される基であり、
aは、1〜1350の整数を示し、
b1およびb2は、それぞれ独立に0〜220の整数を示し(但しb1およびb2の両方が0であることはない)、
cは、0〜50の整数である。但しcが0であるとき、R1またはR2で表される基の少なくとも1つの基は−Y1A−O−(C24O)b1A(C36O)b2A−Y2で表される基である。
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックの平均分子量は134〜10000であり、
式:−(Si(R12O)aSi(R12−で表されるポリオルガノシロキサンブロックは、式(A−1)で表されるシリコン化合物の0.7〜97.5質量%を構成し、
式:−(C 24O)b1(C 36O)b2−で表されるポリオキシアルキレンブロックの平均分子量は130〜10000であり、
式(A−1)で表されるシリコン化合物の平均分子量は650〜100000である。〕
【請求項3】
式(A)で表されるシリコン化合物の含有量が、染毛料の質量に対して1〜10質量%である、請求項1又は2に記載の染毛料。
【請求項4】
式(B)で表されるシリコン化合物の含有量が、染毛料の質量に対して1〜10質量%である、請求項1から3の何れか1項に記載の染毛料。
【請求項5】
式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の合計の含有量が、染毛料の質量に対して3〜15質量%である、請求項1から4の何れか1項に記載の染毛料。
【請求項6】
式(A)で表されるシリコン化合物と式(B)で表されるシリコン化合物の合計の含有量が、染毛料の質量に対して9〜15質量%である、請求項1から5の何れか1項に記載の染毛料。
【請求項7】
塩基性染料が、ベーシック・ブルー(塩基性青)、ベーシック・バイオレット(塩基性紫)、ベーシック・ブラウン(塩基性茶)、ベーシック・レッド(塩基性赤)、ベーシック・イエロー(塩基性黄)、又はベーシック・グリーン(塩基性緑)に属する塩基性染料である、請求項1から6の何れか1項に記載の染毛料。
【請求項8】
塩基性染料が、塩基性青99(8−アミノ−2−ブロム−5−ヒドロキシ−4−イミノ−6−[(3−(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]−1(4H)−ナフタリノン−クロライド)である、請求項1から7の何れか1項に記載の染毛料。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の染毛料を毛髪に付与することを含む、毛髪の染毛方法。

【公開番号】特開2011−178718(P2011−178718A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44469(P2010−44469)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】