説明

シリコン技術に基づくラメラー格子干渉計

ラメラー格子干渉計が記載されており、ここではミラー9により光ビームがコリメートされ、かつ格子上に集束され、同時にミラー9は該格子により反射された光を収集する機能も有する。この場合、白色光源1の光ビームは最初に第1のレンズ2によりコリメートされ、その後、試料キュベット3を透過する。この透過した光ビームは、その後、別のレンズ2によりファイバ17内に集束され、かつ結合される。このファイバ17への光はその後ミラー9へ導かれ、このミラー9により格子11上に反射されるが、格子11は微小電子機械素子MEMS7により実現されるラメラー格子干渉計の一部を形成し、MEMS7はファイバ17と同様にMEMS保持具6の上に固定される。この格子11から反射される光は同一のミラー9上に反射され、この同じミラー9により保持具6に固定された第2の多モード・ファイバ18内に集束され、かつ結合される。この第2の多モード・ファイバ18によって導かれた光はその後検出素子4内に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラメラー格子干渉計、特に微小電子機械素子、すなわちMEMS技術で実現される素子形状のラメラー格子干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電子機械システム(MEMS)は機械要素、センサ、アクチュエータ、および電子回路を、微細加工技術により、共通のシリコン基板上へ集積することを意味している。電子回路は集積回路(IC)のプロセスシーケンス(たとえば、CMOS、バイポラー、またはBICMOSプロセス)を用いて製造されるが、微小機械部品はそれと等価な「微細加工」プロセス、すなわちシリコンウエハの一部をエッチングにより取り去るか、機械ならびに電子機械素子を形成させるため、新規の構造層を追加するプロセスを使用して製造される。
【0003】
フーリエ変換(FT)分光法は微弱で分散光源のスペクトルを測定するための良く知られた技法である。この分光法は顕著な処理能力と多重化した利点、すなわち他の方法よりも高い信号対雑音比性能を提供する。しかし通常使用されるFT分光計は高精度のミラー走査機構を必要とし、結果として寸法が大きくなりコストが高くなる。低価格で小型の分光計は、測色や工業プロセス制御などの用途のための小型で携帯可能なセンサ・ソリューションを実現可能にする重要な構成部品である。
【0004】
分光計応用としてのMEMS技術はマイケルソン干渉計という意味において既に使用されているが、機器の小型化および光学部品の可能なかぎりの小型化という観点から、この種のMEMS分光計には欠点がある。空間的に変調されたFT分光計(たとえば傾斜ミラーとフォトダイオード・アレイを有するマイケルソン干渉計)は小型化に通じ、可動部分を持たない。しかし、静止型のFT分光計は十分な分解能を持たず、スループットの利点から全く利益を生み出さない。
【非特許文献1】O. Manzardo「微小寸法フーリエ分光計」(博士論文(University of Neuchatel,Neuchatel, Switzerland, 2002))
【非特許文献2】S. D. Collins、R. L. Smith、C.Gonzales、K. P. Stewart、J. G. Hagopian、J. M. Sirota、「フーリエ変換光学微小システム」、(Opt. Lett. 24,844 (1999))
【非特許文献3】O. Manzardo、エイチ・ピー・ヘルチィグ(H. P. Herzig)、C. R. Marxer、N. F. de Rooij、「シリコン技術に基づく小型時間走査フーリエ変換分光計」(Opt. Lett. 24, 1705−1707 (1999))
【非特許文献4】H. L. Kung、A. Bhatnagar、D. A. B. Miller、「タルボット(Talbot)の自己イメージの周期性の測定に基づく変換分光計」、(Opt. Lett. 26,1645(2001))
【非特許文献5】H. L. Kung、S. R. Bhalotra、J. D. Mansell、D. A. B. Miller、J.S.Harris、「集積化MEMSミラーと薄膜光検出器に基づく定在波変換分光計」、(IEEE J. Selec. Top. Quant. Electr. 8,98 (2002))
【非特許文献6】J. Strong、G. A. Vanasse、「ラメラー回折格子遠赤外干渉計」、(J. Opt. Soc. Am. 50, 113−118 (1960)
【非特許文献7】J. E. Chamberlain、「干渉分光法の原理」、(J. Wiley & Sons, New York, 1979)
【非特許文献8】W. Noell、P.A. Clerc、L. Dellmann、B. Guldimann、H. P. Herzig、O. Manzardo、C. R. Marxer、K. J. Weible、R.Dandliker、N. F. de Rooij、「SOIベースの光学MEMSの用途」、(IEEE J. Selec. Top. Quant. Electr. 8,148 (2002))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は高い信頼度で小型化の促進を可能にする改良された分光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は光ビームをコリメートする第1の手段と、格子上に光ビームを集束させる第2の手段とを備えたラメラー格子干渉計を提供する。この著しく単純であるが極めて効果的な光路の構造を微小電子機械ラメラー格子干渉計とともに使用することによって、利用可能なスペクトル分解能が非常に精密であると同時に、堅牢で信頼性の高い超小型部品が得られる。このようなラメラー格子干渉計によって測定された信号のデータ処理は標準的なフーリエ変換技法に基づいている。
【0007】
第1の好適な実施形態によれば、光ビームは格子上に実質的に直線形状で集束される。
既に指摘したように、好ましくは、干渉計は単一のシリコン基板を用いたMEMS技術に基づいている。優先的には、干渉計は等間隔に配列された反射要素の直線的な列を備え、列の半数は静止しており、残りの半数は列の方向へ実質的に垂直な方向に移動可能である。このように操作の基本原理は以前にStrongとVanasseによりアメリカ光学会誌(the Journal of the Optical Society of America)第50(2)巻、113ページに記載された内容に類似している。
【0008】
格子の周期は好ましくは2〜1000μmの範囲、より好ましくは10〜200μmの範囲、最も好ましくは50〜120μmの範囲の範囲にあり、この範囲では、最初に、可視領域および紫外領域までの、かなり高い周波数の分析が可能となる。
【0009】
本発明の好ましい、特に小型の実施形態によれば、単一のミラーが光ビームをコリメートするためと、格子上に光ビームを集束させるために使用される。優先的には、同一のミラーがラメラー格子干渉計上に光を結合させるためと、その後のスペクトル検出用にラメラー格子干渉計からの反射光を収集するためとに用いられる。好ましくは多モード・ファイバの形式である光源は格子の列の実質的に真下または真上に位置し、この列に対してできるだけ中心に位置する。格子から反射され、ミラーによって収集された光は、次に多モード・ファイバ内に結合されるが、この多モード・ファイバは、好ましくは格子の列の実質的に真下または真上に位置し、かつ好ましくは、この列に対してできるだけ中心に位置する。
【0010】
他の望ましい実施形態によれば、ミラーは前記格子から一定の距離dの位置に置かれており、このミラーはz=(1/2)y/Rで定義される球面収差を避けるために、サジタル平面内でおよそf=dの焦点距離、およそR=2dの曲率半径、または放物面の湾曲を有している。dの可能な値は3〜100mmの範囲、好ましくは10〜30mmの範囲である。
【0011】
優先的には、ミラーは格子から距離dに置かれており、このミラーはZ=(1/2)×y2/Rで定義される球面収差を避けるために、サジタル平面内でおよそR=2dの曲率半径Rを有しているか、あるいは放物面の湾曲を有している。
【0012】
当然、格子に直交する方向におけるビームの寸法は格子の高さに適合されなければならない。もしミラーが格子からの距離dの位置に置かれていれば、接平面内においてミラーは優先的におよそR=dの曲率半径Rを有する。
【0013】
別の実施形態は光を集束するためにミラーではなくレンズを使用する。この実施形態では少なくとも2つのレンズが設けられ、これらの少なくとも2つのレンズのうち第1レンズは光ビームをコリメートするために用いられ、これらの2つのレンズのうち第2レンズは光ビームの集束に用いられる。この場合、第2レンズは優先的には円柱レンズである。
【0014】
上記に既に指摘したように、干渉計はMEMS技術に基づいており、高度に小型化されている。同様に、干渉計は等間隔に配列された反射要素の直線的な列を優先的に包含しており、反射要素は接平面において10〜500μmの範囲、好ましくは50〜150μmの範囲の高さを持つ。
【0015】
他の実施形態の通り、もし格子の移動可能な反射要素がフォークの形状で提供されており、フォークが静電力に基づいて駆動され、ここで前記フォークが好ましくは10−4〜10−6kgの範囲の質量を有するのであれば、非常に小型な設計が可能である。静電力という手段による駆動はMEMS素子の部分を形成する追加的で連結したフォークで優先的に実現され、ここで、これら連結したフォークは、連結したフォーク間にもたらされる電位差により駆動する。
【0016】
別の実施形態で、特に好ましい実施形態によれば、もしフォークが実質的にその共振周波数で振動するように駆動されれば、極めて高いスペクトル感度とスペクトル分解能が実現できる。この目的のために、フォークは機械的な復元力に対抗して移動自在となるように吊り下げられるが、これはMEMSブロックの設計および構造に基づいて適合されている。ここでの主たる関心事項である分光範囲と一般的な寸法に関する最適条件に関して、フォークは0.1〜1000N/mの範囲の力定数で自在に吊り下げられている。典型的にはフォークの共振周波数が100〜400Hz、好ましくは150〜250Hzの範囲になるように、MEMSブロックは機械加工される。変位(固有の調整)の強調された安定性と高い信号対雑音比を可能にする信号平均化により、高い周波数の共振モードの動作は高感度と高分解能を可能にする。
【0017】
赤外と紫外の間かつ赤外と紫外を含む望ましいスペクトル範囲に関して必要な分解能を実現するための光路長差として、フォークの典型的な縦方向の変位は10〜1000μmの範囲、より好ましくは50〜300μmの範囲、好ましくは100〜200μmの範囲である。したがって、理想的には、たとえば共振周波数が200Hzの範囲内の変位になるようにフォークを共振駆動させる。
【0018】
特に上述した共振モードで動作させる際に、スペクトルの較正を可能とするための基準を有することが重要である。この目的のために、他の好適な実施形態によれば、較正用に第2の格子が設けられ、好ましくは第2の格子が第1の格子と機械的に結合しており、基準光源で照射される。この第2の基準光源は、たとえばHe/Neレーザでもよい。この場合、優先的に第1と第2の格子の移動可能な部分は微小機械素子の一体化要素として提供されており、第1の格子は第2の格子に関して反対側の面を向いており、(2つの)フォークに似た要素は格子の間で対称的に移動可能な一体化要素の静電変位として提供される。
【0019】
さらに正確に言えば別の実施形態は、解析するためにプローブから集められた光がコリメートされ、かつ集束される少なくとも1つの第1の多モード・ファイバが備えられており、その後に前記光を格子上にコリメートし、集束させるため、かつ格子から反射された光をコリメートし、集束させるための単一のミラーが備えられており、格子から反射された光であって、コリメートされ、集束された光を検出器へ導くために結合される第2の多モード・ファイバが備えられており、ミラーに面する端部において、優先的には第1と第2の多モード・ファイバは実質上互いに平行に配列されており、かつ好ましくは格子の列の真下あるいは真上で互いに接しており、前記格子に関して中心をなしていることで特徴付けられている。
【0020】
さらに本発明は分光計、特に小規模で可搬型の分光計において、上に詳しく述べられた干渉計の使用に関する。
上記に加え、本発明は上述した干渉計、すなわち光がコリメートされ、かつ集束される干渉計で波長を分析する方法に関する。
本発明のさらなる目的と詳細は別途の独立請求項および従属請求項に要約されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
MEMS技術を用いて実現したラメラー格子干渉計について説明する。これは時間走査型フーリエ変換分光計として用いられる。移動はシリコン微細加工技術、特に、シリコン−オン−インシュレータ技術によって作製された静電櫛歯駆動アクチュエータにより行われる。初めて広いスペクトル範囲を持つ白色光源のスペクトルを分解能1.6nmで、また次の測定では400nmの波長で0.5nm、800nmの波長でそれぞれ5.5nmと1.7nmの分解能で測定した。波長の精度は0.5nmより良く、検査された波長領域はそれぞれ380nm〜1100nm、300nm〜2600nmに拡大した。光路長差は最大で145μm、または2番目の場合では500μmである。装置の寸法は、5mm×5mm、または2番目の場合では7mm×5mmである。
【0022】
分光測定法は産業や研究所において広く用いられている。方法は多種多様であり、多くの分野で使用されている。特にフーリエ変換分光法は弱い光源を高分解能で測定する有力な手段である。現在では、幅広い測定範囲を持つフーリエ分光計が市販されている。しかし、高分解能の製品は高い機械的な精密さを必要とし、結果的に大型で高価になる。今日では新しい用途、注目に値する多様な学問分野や企業において拡大する機会のために、低分解能の超小型分光計が魅力的になっている。装置を小型化できれば、機器やセンサの取り扱いが容易、高速、安価に行えるようになる。測色、品質管理とプロセス管理、ガス検出ならびに化学物質の分析を含む様々な用途が存在する。
【0023】
環境監視、食品と飲料産業、画像、遠隔通信、生命科学ならびに医学的な診断のような分野の多様性において、小型分光計は利便性を発揮している。寸法や製造コストのような他の特定の側面が小型で可搬型のセンサ・ソリューションの実現を促進する大きな刺激となっている。小型分光計の大半は格子の分散効果を使用している。これまでフーリエ分光計の利点を応用した小型機器の開発例がほとんど無かったが、その理由は製造に高い精度を必要とするためである。シリコン微細加工を用いたMEMS(微小電子機械システム)技術のおかげで、フーリエ分光計は新たな時代に入ることができる。
【0024】
前記の論文において、SOI(シリコン−オン−インシュレータ)技術に基づいたフーリエ分光計を提示した。この装置は走査ミラーを有するマイケルソン干渉計であった。この特別な構成において、制約事項はビーム・スプリッタを一体化する必要性である。事実、専用微小光学素子を微小機構システムに統合することは製造上および取り扱い上の課題となる。さらに、MEMS技術4,5を利用する異なる分光技術において、広い波長領域を相応の分解能で測定することが課題である。本明細書において、ラメラー格子干渉計に基づくMEMSベースのフーリエ分光計について報告する。この考え方はビーム・スプリッタの統合を回避できる利点を与える。本装置は市販品の小型格子分光計に匹敵する分解能で、白色光のスペクトルを記録できる。製造技術と駆動概念は、参考資料にあげたマイケルソン干渉計と同様である
【0025】
ラメラー格子干渉計は深さ可変のバイナリー格子であり、0次回折パターンで作動する。この形式の機器は1960年にStrongにより発明された。ラメラー格子干渉計はフーリエ分光計として使用されているが、マイケルソン干渉計がビーム・スプリッタで光波の振幅を分割するのに対し、ラメラー格子干渉計は波面を分割する。格子面において、ビームの半分が前面(静止ミラー)で反射され、半分が後面(可動ミラー)で反射されるように、波面が分割される。前記2種類のミラー間の距離dは波の2つの部分(図1参照)の光路差(OPD)δを定める。通常、この形式の分光計は100μmを超す波長で使用され、それより短い波長では、機械工場において許容誤差が非常に厳しくなる。シリコンの微細加工は短波長のためのこれら制約を克服するための理想的な技術である。
回折パターンの強度Iは次式で与えられる

ここで、K=π・a/(2λ)・sinαであり、nは照射周期の数、aは格子周期、αは回折角である。位相シフトφ=2πδ/λはOPDδで与えられ、図1における距離AB、BC、およびCDの合計であり、OPDδは次式で与えられる。

【0026】
式(1)で与えられる回折パターンの強度Iには3つの寄与がある。Iは格子周期の矩形形状から生じるsinc関数であり、Iは格子の周期性(周期の数n、格子周期a)による櫛歯関数であり、Iは格子深さdによる位相シフトを決定する。φ=M2πとφ=π+M2π(Mは整数)に相当する位相シフトに関する上記の寄与は図2に示されている。α=0(0次回折パターン)のとき、式(1)は強度IがOPDδ=2dのときのコサイン関数と同様に変調されることを示す。変調周期は波長λに依存する。したがって、フーリエ変換分光の基本方程式は、

で与えられ、ここでσ=1/λはラメラー格子干渉計に適用される波数である。マイケルソン干渉計の場合と同様に、強度Iとδとの関係はインターフェログラムとして知られ、パワー・スペクトルB(σ)はこの記録された強度I(δ)のフーリエ変換である。
【0027】
ラメラー格子干渉計の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。一連のミラーの移動は静電櫛歯駆動アクチュエータにより行われる。設計思想と駆動原理は参考文献に説明されており、操作ダイアグラムは参考文献に示されている。このアクチュエータはSOIウェハを深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)により製造される。製造プロセスは参考文献に記載されている。ミラーの高さは75μm、格子の被照射周期の数nは12、格子周期は90μmまたは100μm、素子の外形寸法は5mm×5mmあるいは5mm×5mmである。ミラー表面の品質は製造技術によって保証されている。表面粗さは実効値で36nmと測定された。
【0028】
広い波長域を優れた分解能と正確さで分析できる本分光計の性能を立証するために、低圧キセノンアーク灯のスペクトルを測定した。測定はコア径50μmの多モード・ファイバの出力光をコリメートし、円柱レンズを用いて格子上に光ビームを集束させることにより行われた。コリメーションレンズの焦点距離は10mm、円柱レンズの焦点距離は20mmである。ビームの入射角は0であり、OPDδの関数の0次変調はフォトダイオード検出器にて測定された。記録されたインターフェログラムを図4に示す。インターフェログラムの周辺部の品質と対称性は部分的にコリメートされたビームから発生する干渉計の分散効果が存在しないことを示している。インターフェログラムの中心はOPD=0に対応する。今回の実験におけるOPDの最大値は145μmであるが、これは500μmまで上昇する可能性があり、前記2つの数字は理論分解能70cm−1をもたらすが、20cm−1も可能であり、633nmの波長においてそれぞれ理論分解能が2.8nmと1nmに相当する。OPDの値を最大にするため、櫛歯間に65Vの電圧を印加した。ミラー位置と印加電圧との関係を較正するため、ヘリウム−ネオン・レーザを使用した。
【0029】
OPDの値は参考文献に記載された位相補正に従って補正された。インターフェログラムの記録はミラーを段階的に移動させ、各段階で100個の測定値を収集することにより行われた(自動化された測定)。段階の数は3000回であり、全測定に5分を要した。インターフェログラムのフーリエ変換により算出されたパワー・スペクトルが図5に示されている。ラメラー格子干渉計から再生されたスペクトルはスペクトル分解能0.5nmを有するモノクロメータ(Jobin Yvon HR 460)を用いて行われたスペクトル測定と比較される。キセノン光源の複雑なスペクトル構造が一致していることを見ることができる。放射ピークの位置精度は0.5nmより良好である。λ=400nmにおける測定された分解能は1.6nmあるいは0.5nm、λ=800nmにおいて5.5nmあるいは1.7nmである。波長領域は380nm〜1100nmあるいは300nm〜2600nmである。最初のケースでは、素子はコーティングされていないことに注意すべきである。したがって、1050nmを超す波長領域では、スペクトルの寄与はほとんど無い。事実、この波長を超えるとシリコンは透明になり、したがって入射光(フレネル反射)の30%がミラーで反射されるにすぎない。必要とされる用途に応じて、本装置は第2の場合のように、たとえばアルミニウムあるいは金でコーティングされ得る。
【0030】
MEMSに基づくラメラー格子干渉計が実現された。MEMSチップの寸法は5mm×5mmまたは2番目のケースで7mm×5mmである。広い波長範囲のスペクトルを測定する素子の能力が示された。最初に、キセノン光源の測定されたスペクトルから、素子は可視光と近赤外で多様な用途に完璧に適していることが示された。格子に基づいた装置と比較して、本装置はビーム・スプリッタの使用なしにフーリエ分光分析の利点を利用できる。その上、CCDラインの代わりに1素子の検出が使用される。
【0031】
図6は本発明の別の実施形態を示しており、ここでは光ビームがミラー9によって格子の上にコリメートされ、集束され、同時にミラー9が格子から反射された光を集めるための役割を果たす。
【0032】
この場合において、白色光源1の光ビームは最初に第1のレンズ2によりコリメートされ、続いて試料キュベットを通過するが、試料はたとえばミルクのような懸濁液、具体的には母乳のような懸濁液でよい。透過した光ビームは続いて別のレンズ2により集束され、ファイバ17内へ結合される。
【0033】
このファイバ17の光は続いてミラー9へ導かれ、このミラー9から格子11上へ反射される。この格子11は微小電子機械素子MEMS7の手段により実現されるラメラー格子干渉計の一部を形成しており、MEMS7はファイバ17のようにMEMS保持具6の上に搭載される。
【0034】
この格子11から反射された光は同じミラー9上へ反射され、この同一ミラー9により第2の多モード・ファイバ18中に集束され、結合される。このファイバ18もまた保持具6に固定されている。この第2の多モード・ファイバ18により導かれた光は、その後検出素子4内へ導かれる。
【0035】
通常この検出装置にはアナログデジタル変換器(ADC)が設けられており、所望の分解能にとって十分なサンプリング・レートでデータをサンプリングする。これらのデータは、その後、コンピュータで支援されたフーリエ変換(たとえばFFT)により処理され、スペクトルを生成する。
【0036】
スペクトルデータの較正用基準を持つために基準光源8が設けられており、これはたとえばヘリウム−ネオン・レーザであり得る。この基準光源8からの光もまた、多モード・ファイバによってMEMS7へと導かれる。MEMSブロック7はミラー6に面した側の反対側に、基準光用の第2の格子24を備えている。この多モード・ファイバからの光はこの第2の格子24の上へ導かれ(図11参照)、反射光は別の多モード・ファイバ内に結合され、参照検出器5へと導かれる。
【0037】
参照検出器5により収集されたスペクトルデータは、検出器4に関して上に述べた方法に類似した方法で処理されるが、検出器4からのデータとの直接的な積算あるいは結合も可能である。試料光用の第1の格子11と基準光用の第2の格子24は一体化された機械ユニットとして実現できるため(下記参照)、この基準は大変効率的かつ安定的に使用される。
【0038】
図7はミラー9方向へ眺めた詳細ではあるが単純化された(基準光ビームがない状態)図を示している。ミラー9は非常に独特の反射面を有していることを認識することができるが、下記に詳しく述べる。
【0039】
反射面は非対称であり、それ故さらなる議論のために座標系が定義されるべきであり、この座標系では、y軸は格子前面の主たる線の方向に実質的に平行である。楕円型ミラー表面の長い主軸はこのy軸と平行な位置にあり、MEMSからミラーへの光ビームの平均進行方向(z軸方向)とy軸で定義される平面はサジタル光学平面とも呼ばれる。
【0040】
y軸に直角な軸としてx軸があるが、x軸はミラー表面の短い主軸方向に平行である。MEMSからミラーへの光ビームの平均進行方向とx軸で定義される平面は通常接平面と呼ばれる。
【0041】
フーリエ変換分光計において、マイケルソン干渉計の原理や類似の光学構成(トワイマン−グリーン(Twyman−Green)干渉計のような)が使用されることが極めて多い。ラメラー格子干渉計は通常100μmを越える波長で使用されるが、これはそれらの領域で効果的なビーム・スプリッタが無いからである。さらに、これらの波長未満ではラメラー格子干渉計は使用されないが、これは通常の/既知の機械加工技術を用いる大半の機械工場にとって、ラメラー格子干渉計の製造仕様が高すぎるからである。
【0042】
格子を形成するミラーの製造はMEMS技術、正確にはSOI技術で行われる。全体のMEMS素子およびアクチュエータもSOIウェハの深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)により製造される(参照文献8参照)。ミラーの前面は、たとえば、AgまたはAuの蒸着によりコーティングすることができる。
【0043】
SOIに基づく櫛歯駆動アクチュエータ(以下も参照のこと)の使用は波長5μm未満のラメラー格子干渉計の使用を可能にする。
【0044】
簡潔な表現で、図8にMEMS要素を示す。実際のMEMS要素7は保持具6上に固定される。MEMS7は実際の格子11からなっており、これは光を反射し、最終的にその光をそのスペクトル成分に間接的に分離させるために用いられる。
【0045】
格子11は、交互に配列された小さな静止ミラー(参照番号12,基礎部に固定されるか基礎部の一部である)と可動ミラー(参照番号13)との列からなる。可動要素13は格子11のミラー側と反対側にフォーク14を形成するように結合される。
【0046】
このフォーク14は光の主な伝搬方向に平行な方向、すなわちZ軸に沿ってフォーク14を移動可能にするサスペンション15上に吊り下げられる。この目的達成のために、フォークは中心軸素子20を備え、該要素は図8に示すように、平衡状態にあるz位置からの復元力を作り出すバネ要素19の手段で静止した基部に接続される。バネ要素の領域19における材料の強度と品質は、以下でより詳細に論じるように、共振モードに必要とされる復元力を導くように選択される。
【0047】
それに加えて、MEMSは格子11のフォーク14を駆動するための手段を備える。駆動は静止部分との静電的な相互作用により引き起こされ、この目的のために、静止した櫛状部とそれに連動した可動櫛状部とを備える駆動櫛歯アクチェータ16が設けられ、この可動櫛状部は全体のフォーク素子14に接続しているかその一部分を形成する。
全体のユニットの駆動は、2つの櫛状素子(詳細は以下を参照)の間に交流の静電ポテンシャルを設けることにより引き起こされるため、容量性の駆動が用いられる。
【0048】
格子領域中の光路を図9の透視図に示す。多モード・ファイバ17は、MEMS保持具6の底面内の対応する凹部、またはスロット、または穴の中に保持される。この入力ファイバにより放出された光はミラー9に向かい、反射され、同時にコリメートされ、格子11上に集束される。
【0049】
格子の要素の静止部分に対する可動部分の位置に依存して関連付けられる干渉により、格子11によって反射された光は同一のミラー9へ向かって再び反射されるが、該ミラーは、MEMS保持具6の底面の凹部/スロット/穴の中にもはめこまれた第2のファイバ18の上に、この反射された光を反射し、コリメートし、集束するように設計されている。
【0050】
この第2の多モード・ファイバ18は、好ましくは第1のファイバ17に平行に位置しており、第1のファイバにも、より隣接してもよい。図9に示すように、2つのファイバ17および18は、好ましくは格子11のY軸方向における延長部に対して対称に位置している。
【0051】
図10はフォーク14の異なる位置の詳細部と同時に、MEMS要素7の他の実施形態を示す。この場合、サスペンション15は素子の格子側に対して反対側に設けられる。全てのフォーク14はこのサスペンション15上に吊り下げられ、基本的に素子の底面からわずかな間隔で自在に揺動し、この間隔は典型的には1〜3μmの範囲である(??乞ご助言??)。
【0052】
実際の格子とサスペンションとの間には、この場合、2つの非対称構造の櫛歯駆動アクチェータ16aおよび16bが設けられている。この2つのアクチェータ16aおよび16bは見かけ上それらが自己補償的になるように設計されている、すなわち、Z軸に沿った動作が開始されると、これら2つの櫛歯駆動アクチェータの1つが収縮し、同時に他のアクチュエータでは、2つの櫛歯駆動アクチェータは遠ざかる。
【0053】
この状況は、図10b)とc)に具体的に見ることができる。図10a)に平衡位置、すなわちフォークに作用する力がなく、フォークの前面13が格子の静止要素12と実質的に一列になったときの状況を示し、図10b)にフォークがほぼ最大限に収縮した状況を示す。この場合、バネ要素19が圧縮され、その結果、ミラー9の方向に復元力が生じることが分かる。同時に、この第1の櫛歯アクチェータ16aはその伸張位置にあり、一方、第2の櫛歯アクチェータ16bはその収縮位置にある。
【0054】
他方、図10c)はフォーク14の前面13が格子11の静止要素12の間へ突き出るような、フォークが実質的に最大限伸張した位置にあるときの状況を示している。この状況では、第1の櫛歯アクチェエータ16aは完全に収縮し、一方、第2の櫛歯アクチェエータ16bはその伸張位置にある。
この2つのアクチェータ16a及び16bの反対の動きによって、フォーク14の駆動における非線形性等が最小化され得る。
【0055】
MEMS要素7のさらに別の実施形態が図11に正面図で示されている。この場合、図6に図式的に示される基準光ビームが試料光ビーム用の面と反対側の面から同一のMEMS要素7へ導かれることが可能である。
【0056】
この具体的な場合では、ミラー9から反射された光ビームに用いられる第1の格子11がMEMS素子の一方の側に存在する。他方の側に第2の格子24が設けられており、該格子は基準光ビームのために使用される。2つの格子11および24の各フォークは一体ユニットとして与えられ、15a〜15dの4箇所で吊り下げられる。これらの懸垂点のそれぞれには、バネ状の素子19a〜19dが設けられている。
中心には、2つの非対称構造の櫛歯アクチェータ16aおよび16bが設けられている。
【0057】
図11には、このような装置の可能な寸法も示されている。y方向において、全素子またはそれを支持する支持具はa=7500μmの全幅を有し、格子はc=3200μmの幅を有してもおり、z方向において、4850μmの範囲内の深さが可能である。x方向において、格子は約75μmの範囲内の高さを有し、格子は50〜200μm、この具体的な場合では100μmの格子周期であり、400nmまでの波長を分離可能にする。
【0058】
一般に、120μmの範囲内での平衡位置からのフォークの変位は可能である。これによって約240μmの光路差OPDがもたらされる。しかし、1mmまでのOPDは可能である。
【0059】
この実施形態へのキーはミラー9の実際の設計であり、これは装置全体の小型化の増進を可能にする。
光学部品は、2つの主要な機能性を実現しなければならない。
・平面波頭の形成(格子11の方向)
・MEMS形状へのエネルギー分布の適応
他方、ラメラー・フーリエ分光計の原理により、以下のような制約が出現する。
・回折次数の分離可能性
・全体のMOEMSの動作領域にわたる最小の損失
【0060】
一般に、ビーム整形は最先端の技術に応じて、いくつかの光学要素(ミラーまたはレンズ)で行われる。この記述は、この場合のように低価格で凹凸が大きい構造が望まれる場合、特にあてはまる。一般に、個々の光学要素は平面状あるいは球面状の面で形成される(製造が簡単であるため)。これらの光学部品は順次配置され、球面収差および色収差のような一般的な光学収差を補償するように選択される。高価格にする余裕がある場合、非球面状の形状(非球面形状と呼ぶ)が光学素子として使用される。
【0061】
しかし、このような部品の製造は簡単ではない。なお、この光学要素は通常、形状の種類を制限するような軸対称(伝搬方向に平行な軸)である。
小型の光学要素(2〜5mm)を考えたとき、いくつかの軸対称を持つ非球面形状は複雑になる。この特別の場合、放物線形状要素が結合した球面を必要とする(以下参照)。
提案された手法の特別な利点を以下に列記する。
・ビーム整形は単一の光学要素まで削減される。
・この構成は以下の項目を削減する。
a)組立許容公差
b)寸法
c)原価
・このミラーは光学収差(球面収差および色収差の両方)を低減させる。
【0062】
図12は大局的な概念を示す。MEMSと光源は重畳されている。ミラー9は、光が検出用ファイバ18に再結合できるように向いている。
【0063】
MEMS7の格子11の形状は3.2mm×75μmの寸法を有する長方形である。光源(ファイバ17の出力)のエネルギーは格子11の表面上へ完全に送られるべきである。すなわち、この光学系は非点収差にならなければならない。サジタル平面(y−z平面)で光線はコリメートされなければならない。接平面(x−z平面)内で、M=1での像形成が実現されなければならない。すなわち、ミラー9の焦点距離は以下であるべきである。
=d
=d/2
ここで、dは光源(格子およびファイバ17、18)とミラー9との間の距離である。
光源(17および18)の開口数(NA)に依存して、長さdすなわちfはX軸方向に3.2mmのビーム寸法を得るために、選択されなければならない。
〜3.2/(2NA)
【0064】
回折次数の分離可能性:信号のコントラストを最大化するために、0次数の回折ピークが分離されなければならない。光源の寸法aおよびミラーの周期性Λに関連して、焦点距離fは重畳を避けるために十分大きく選択されなければならない。
所与の波長λにおいて、以下が求められる。
<=aΛ/λ
次の数値と使うと(最悪の状況λ=400nmにおいて、a=50μm、Λ=100μm)、以下の関係式が成り立つ。
>=250a=12.5mm
【0065】
損失:ミラーの半数が動く事実により、これらのミラーの位置は、意図した鏡像面(照明の場合)または物体面(ファイバ・カップリングの場合)と対応しないであろう。これは可動ミラーからファイバまで反射された光の量が位置によって変わることを意味する。この結果は、信号のコントラストの低下につながる。
ミラーの位置に関して2つの異なる側面が関与する。
・照明変動
・ファイバ結合効率
【0066】
照明変動は2つの表面12と13の位置の変動に伴う照明領域の変動に基づいている。この場合、効果は一方向のみに働く(非点収差系)。
【0067】
ファイバ結合効率。MEMS要素の表面12および13から反射された光は検出ファイバ18上に結像される。理想的な物体面は固定ミラーの位置に配置される。可動ミラーの場合に物体面は変化し、それぞれの鏡像面も変化する。その結果ファイバ上の像は鮮明さを失い、これは損失を意味する。
【0068】
ミラー・デザイン
サジタル平面
近軸近似:最初に点光源を有する近軸の軸上光学系を導入する。ビームをコリメートするために、ミラーの焦点距離の条件は下記の通りである。
f=d
ここで、dは光源17とミラー9との間の距離である。焦点距離は曲率半径に対して次式により求められる。
f=R/2
半径に対して次式が得られる。
R=2d
【0069】
球面収差補正:球面収差を避けるために(軸上光学系に唯一存在する収差)、ミラーの曲率は半径ではあり得ない。フェルマの原理を使うと、完璧な曲線は次式で定義される放物線である。
z=αy
【0070】
この曲線の近軸近似が直前の段落に述べられた半径を与えることを知った上で、(リバース・エンジニアリング)を行うことにより、近軸曲線から放物線曲線に戻ることができる。この半径の関数表現は次式である。
z=R−sqrt(R−y
1次のテイラー展開をすると、次式が得られ、
z≒1/(2R)y
次いで、αは次式で得られる。
α=1/(2R)=1/(4f)
【0071】
接平面
この接平面内で、光源はMEMSの格子表面上に再集束されなければならない。光源17をMEMS格子の直下に位置決めすることにより、物体−ミラー間の距離とミラー−MEMS間の距離とは等しくなる。これは倍率M=1を与える。これはそれ自身に点光源を結像させる完全なミラー曲線がR=dの半径を有することにつながる。この曲線から収差は全く生じない。
【0072】
現在の状況では、以下のパラメータを選択可能である。
・f=15mm:ミラーの焦点距離
・a=0.05mm:光源寸法および検出寸法
・h=0.075mm:MEMSの高さ
・D=6mm:開口絞りの直径
【0073】
前述のように収差は全く生じないであろう。回折限界が実現される。光学系の開口のみが点広がり関数を制限する。軸上面(x=0,y=0)の場合の曲線は基準回折限界曲線上に完璧に重なる。
【0074】
MEMSと光源の光軸は一致する。発光ファイバ17と受光ファイバ18は互いに近接して搭載される。この場合、系はもはや軸上にはないであろう。光軸に対して光源からの座標はx=0.1、y=0.2となるように選択される。収差は生じる。曲線はもはや回折限界曲線に重ならない。これらの影響は「焦点ぼかし」によって部分的に改善され、これは光源−ミラー間の距離を変えることを意味する。この方法により回折が発生しない状況を実現できる。
【0075】
ミラー9について上記の計算された形状を用いると、図13に示すような光路が得られる。図13 a)に底面図が示されており、本図においてファイバ17によって放出された光を格子の幅全体にコリメートし、反射された光を検出ファイバ18の上に再集束させるために、ミラー9の形状のy方向は放物線状であるように選択されなければならないことが分かる。
【0076】
図13 b)に示された接平面において、ミラー9の形状が真に放射形状であれば、ファイバ17からの光を格子上に集束させ、また逆行させるのに十分である。
この点において、一方向(x軸)において真に放射状の形状を有し、他方、直交する方向(y軸)において放物線状の曲率を有するミラー9を実際にどのようにして製造するのかという疑問が生じる。
【0077】
今日では、一般に材料は旋削、研削、および/または研磨によって形成される。これらの方法の全ては光学品質の要素を製造するのに適していないし、1つ以上の固有の(光軸に沿った)軸対称を有する要素を製造可能にもしない。
【0078】
ここでのアイデアはダイアモンド工具で平削り加工を用いるものである。この技法は上記で論じたミラー形状のような様々な形状を製造可能にするため、注目される。その上、表面の品質は市販の光学素子と同等である。従って、ラメラー格子干渉計専用のミラーを製造するために、速くて安価な方法が使用できる。
【0079】
このようなミラーを製造するためのこのような可能性を図14に表示する。x方向で放射状曲面に相当する端部を有する特殊なダイモンド平削り工具26が考案されている。本工具26はy方向に沿って図14 b)の1から3の各段階に表示された軌跡に沿って順次導かれ、ここで工具26の下降とそれに続く上昇運動はサジタル曲面に必要なy−z平面で放物線状の曲率に追随する。
【0080】
通常フーリエ変換分光計では、測定は(a)ステップバイステップ・モードまたは(b)連続高速走査モードで行われる。モード(a)では、測定はより正確であるが、長い記録時間が必要である。モード(b)では、測定時間はより短く、ミラーは連続的に走査される。一般に、モード(a)は高解像度の測定に用いられ、モード(b)はやや解像度は低いが高速の測定に用いられる。走査モード(b)の連続性は共振モードを意味しない。その理由は最先端の技術によって駆動されるミラーは関心のある共振周波数(100Hz以上)を得るには大きすぎる質量を持つためである。関心のある共振周波数は走査範囲の拡大(共振特性による)、早い測定時間、余裕を持って乗り越えられる振動(100Hzで移動する100gのミラーは系全体に有害な揺動/振動を引き起こす)を意味する。
【0081】
フーリエ変換分光計において、上述の議論の他に、下記の理由により共振は必要とされない。
(1)100Hzより速い速度は利点ではない
(2)検出器はこのような高い周波数に相当する光変調を記録するほど十分速くない
【0082】
論点(2)は2μmを超す波長の場合にあてはまる。実際、高速走査ミラー(100Hz以上)によって生成された光変調は1から5MHz(帯域通過)程度の高周波になり得る。2μmを超す波長の場合、良好な感度と良好な帯域通過を共に実現する検出器を有するのは極めて難しい(信号対雑音比が低下)。したがって、一般的にフーリエ変換分光計は2μmを超す波長でのみ操作される。
【0083】
モード(a)で操作されるSOIに基づく櫛形駆動素子において、横方向の機械的な不安定性のために長い移動距離は容易に実現できない(すなわち、静電的な櫛は互いに絡み合う傾向があるためである)。
【0084】
上記を考慮して関心のある共振周波数を実現するために、本発明の追加的なアイデアは走査ミラー13/14の小さな質量を有効利用することにある。小さな質量はこの製造技術のために実現される(シリコン微細技術は超小型部品の構築を可能にする)。共振効果に固有な安定性から利点を得るためと、短い測定時間を達成するために、共振周波数が100Hzを超えるような方法で走査ミラーが設計される。その上、装置が共振しているため、最大走査距離は同じ印加電圧で大幅に増加した。
この点において、駆動のための印加電圧と実現可能な分解能に関する以下の相関が着目される。HeNeレーザのスペクトルを考慮されたい。
【0085】
図15 a)(ステップバイステップ・モード)は光路差が10μmであり、印加電圧が10Vである。
図15 b)(共振モード、200Hz)は光路差が100μmであり、印加電圧はまた10Vである。
【0086】
ステップバイステップ・モードと共振モードとの間で同じ印加電圧にした場合で分解能が10倍増加したことが分かる。実際、走査ミラーで達成可能な光路差の最大値(OPDmax)の増加により、分解能は改善される。
分解能:δλ=λ/OPDmax
【0087】
さらに、共振状態で実現される最大走査距離を増加させるために、装置は真空中で駆動される可能性がある。この方法の特徴は、寸法が数十μmまで小型化されたとき無視できない空気との摩擦から生じる減衰効果を低下させることである。
【0088】
SOIに基づく櫛歯駆動を考えたとき、共振状態での駆動は容易に実現される。さらに、極めて小型の構造物を特に関心のある周波数で動かすことは自然な方法に対応する。事実、特定の電子回路はこのような櫛歯駆動アクチェータを効率的に作動させる(下記参照)。可動構造物の重量が小さいために、構造物の移動によって全体的な振動は生じない。
【0089】
波長が2μm未満の場合、標準的な光ダイオード検出器が使用可能である。該検出器は(5MHzまでの)高周波数変調の記録を可能にするために必要な帯域通過特性を有する。このことは回折格子を基本とした分光法の代わりにフーリエ変換分光法の使用を可能にする。
長い距離の走査は共振を高めることよって実現できる。この状況は長い距離の走査での静電的な櫛歯間の絡み合いの問題を克服可能にする。
共振モードによってもたらされる移動の安定性は永続的なレーザ較正を回避可能にする。この共振モードは移動の精度を向上させ、ミラー位置の予備較正が可能になる。
この場合、フォーク14の質量は10−4〜10−6kgの範囲内で選択し、力定数は0.1〜1000N/mの範囲内で選択する。
【0090】
対応する共振周波数は容易に計算され、本実施形態における典型的な値は200Hz前後である。これは1/200秒毎にスペクトルが記録され、信号対雑音比を極めて効率的に高めるために、信号の平均化が実施可能である。
【0091】
櫛歯駆動アクチェータにおける静電容量測定は、
(a)静電容量測定のためのみに用いられ、駆動用には用いられない追加のアクチェータ
または
(b)静電的に駆動されないアクチェータ(たとえば、加速度計)
を用いて行うことができる。
【0092】
MEMSベースのアクチェータを共振させるために特有な回路が開発されている。ステップバイステップ駆動は高電圧で作動する複雑で安定な回路を必要とする。
ここで提案された共振駆動用の回路に関する新規なアイデアは、アクチェータを共振させる回路と共に静電容量を測定する能力を用いることである。
特別な利点は以下の通りである。
・回路の単純さ
・低電圧が用いられ、その結果、USBプラグで供給される5V出力が利用可能
・予備較正で考慮されない発生し得る移動歪を補償するために、ミラーの位置が正確に監視される
【0093】
基本的な目的は、図16 a)に示す電圧制御発振器30を調整することによって櫛歯駆動アクチェータを共振させることである。フィードバック(30の制御用に用いられる)は励起信号と櫛歯駆動アクチェータ要素の変位との間における位相を監視することにより得られ、該変位は櫛歯駆動アクチェータ素子31で与えられる(下記参照)。共振周波数では、この位相のずれは−π/2である。この点は動作点として用いられる。位相は位相弁別器を用いて測定される(図17における参照番号37を参照)。
【0094】
共振周波数でMEMS7を駆動させると、MEMSは最大振幅で振動する。これによって最高の分解能が得られる。図16 b)は光学系の基本的な信号の流れを示す。光学系の主要部分はVOC(電圧制御発振器)で、これはMEMSを共振周波数で励起する矩形信号を発生し、この部分は駆動部と見なされる。
【0095】
200kHzの発振器がMEMSの位置測定に必要である。位相比較器1は微分器によって生成される位相シフトを用いて位置を測定し、位置に比例する信号を出力する。この位相シフトは移動するMEMSの位置により与えられる静電容量の関数である。
【0096】
両方の信号は単一のMEMSを駆動させるために加算されなければならない。これは加算器で行われる。矩形波が正弦波に加算される以前に、静電容量測定の擾乱を避けるために、矩形波はローパス・フィルタでろ過されなければならない。これにより250Hzを超す全ての周波数が除去される。得られる信号は、200kHzの正弦波が重畳された217Hzのろ過矩形波である。この信号はMEMS、より具体的には、MEMS7中のフォーク14と付属部品を励起する。
【0097】
このMEMSは200kHzの発振器と比較される信号を発生するする微分器の一部分である。これら2つの信号間の位相差出力(位相比較器1)はMEMSのフォークの現在位置を与える。この電圧信号はVCOと同じ周波数で振動する。
【0098】
共振系の伝達関数はπ/2の位相シフトを持つ。MEMSのフォーク14が共振周波数で確実に揺動するためには、位相比較器1によって得られた信号と駆動信号との間の位相シフトはπ/2でなければならない。追加の位相比較器2がこの位相シフトを測定し、MEMSをその共振周波数に保つようにVCOの振動数を調節する。
【0099】
200kHz発振器
このブロックは、200kHzの振動数に固定された正弦波を発生する。
fc=217Hzの電圧制御発振器(VCO)
中心周波数fcはMEMSのフォークの共振周波数にほぼ近い217Hzに設定されるべきである。正確な周波数は位相比較器2から出力されるフィードバック信号によって調整される。VCO信号は正弦波、三角波、矩形波のいずれかである。高周波成分を除去するために、正弦波を発生するPLLが見つかる場合を除いて、VCOの出力にローパス・フィルタが付加されなければならない。
【0100】
ローパス・フィルタ(LP)
微分器からの出力信号にピークを持たせないために、VCOから出力される矩形波をろ過しなければならない。このフィルタのカットオフ周波数は微分器から出てくる信号のピークができるだけ小さくなるような方法で選択される。この信号は次のブロックで乗算され、必要な振幅にまで調整されるため、減衰は通常問題にならない。シミュレーションに基づけば、このフィルタは少なくとも2次のローパスである。
【0101】
乗算器および加算器
このブロックにおいて、LPから出力される駆動信号と正弦波が異なる係数を乗算され、加算される。この乗算により、正弦波が微分器を飽和させないような方法で、2つの信号の振幅が調整可能である。微分器の伝達関数は位相シフトが0に相当する周波数を持つ信号を増幅するため、普通は正弦波が小さく、矩形波が大きい。
【0102】
MEMSから微分器
加算器ブロックから出力される信号はMEMSのフォークを直接駆動する。MEMSフォークの慣性モーメントは一種の機械的なローパス特性を示すため、小さな振幅で高周波の正弦波はフォークの動きに全く影響しない。この矩形波は217Hz前後でMEMSを駆動する。
MEMSの静電容量は微分器を構成するための構成要素として用いられる。振幅の最大値は抵抗器とコンデンサとの組合せによって設定される。
【0103】
このコンデンサはMEMSにより決まるため、この伝達関数を調整する唯一の方法は抵抗値である。200kHzでの位相シフトはゼロである。MEMSの移動により静電容量が変化すると、伝達関数が変化し、それ故、200kHzでの位相シフトも変化する。これにより静電容量と200kHzでの位相シフトとの比例関係が得られる。静電容量が移動量に比例するため、これは位相シフトと移動量との間の比例関係へ導く。
この位相シフトは位相比較器1で測定される。
【0104】
この微分器に関する第2の関心事項はより低い周波数の減衰である。これは方形波をほぼ除去する。それ故、この微分器から受信される信号は位相シフトを持つ正弦波であり、この位相シフトはMEMSの位置に応じて変わる。電気的な制約により、この正弦波は、後のハイパスにより除去され得る直流オフセットを有する可能性がある。
【0105】
ハイパス(HP)
このハイパスは直流オフセットをろ過して除去するために必要である。信号に大きな位相シフトを付加しないため、3dBの周波数は十分低く設定されるべきである。
【0106】
位相比較器1
ここで、任意に選択された正弦波はブロック内で発生される正弦波と比較可能である。結果は駆動信号の周波数で振動する信号になるべきである。システムが正確に較正されると、MEMSが中央部分を通過するときに信号がゼロになる。
【0107】
位相比較器2
位相比較器1から出力される信号と駆動用の矩形波を比較することにより、VCOにフィードバックされ得る新たな信号が発生される。90°の位相シフトはMEMSが共振状態で振動しているという信号である。
【0108】
可能な実現
200kHz発振器
正弦波の発生はXR8038(EXAR社、米国)で行われる。この部品は必要な周波数で発振するために、追加的な外付け部品を介して構成される。
【0109】
=217Hzの電圧制御発振器(VCO)
矩形波用として、XR2212が使用可能である(EXAR社、米国)。この部品はVCOと位相検出器を含む。
【0110】
ローパス・フィルタ(LP)
フィルタ構成に関して種々の可能性を考慮する時、最初の疑問は微分器から発生するピークを可能な限り除去するために、どの程度の次数が必要であるかという点である。以下に述べるように、ハイパス・フィルタの後で純粋な信号を得るために、このフィルタのfは200Hzに設定される。
【0111】
乗算器および加算器
両信号を1つにするために、2つの信号に適切な係数を乗算し、これにより両者は適切な大きさを持つことになる。この操作は加算器で電気的に実施できる。この構成において、加算器がこれらの信号に乗算処理し、それらを一つに加算する。この構成において、加算器は180°の位相シフトの加算も行う。
【0112】
MEMSから微分器
仮想接地による負の直流オフセットが微分器に加えられ、この直流オフセットはMEMSの必要性に合わせるために−16Vに固定されなければならない。この微分器は反転微分器であるので、信号に180°の位相シフトが加えられる。
【0113】
ハイパス(HP)
このHPは微分器で供給された直流オフセットを除去するために必要である。このHPとして受動的な1次のHPが適している。信号のピークを効果的に除去し、より良好な信号を得るために、上で述べたような2次の能動ローパス・フィルタが選択される。このようにすれば、信号のピークが全てろ過されて除去される。
【0114】
位相比較器1
XR−8038とHPの出力によって発生された高周波の正弦波に注目すると、位相シフトの存在に気付く。これらの2つの信号は位相比較器で比較される。この位相比較器で発生された信号はMEMSが移動する振動数で振動する。
【0115】
他の重要事項は櫛歯駆動アクチェータのミラー位置を見失わないことである。この位置は櫛歯駆動アクチェータの静電容量を監視することによって得られ、実際に静電容量とミラー位置は密接に関連している(また必要ならば較正が可能である、上記参照)。
【0116】
静電容量測定の原理は微分器36の使用に基づく。微分器回路において、この静電容量は測定される櫛歯駆動アクチェータの35の静電容量に対応する。電圧発振器34は櫛歯駆動アクチェータを介して小さな信号を挿入する。この電圧発振器34は回路の最大利得の周波数に近い周波数を持ち、回路では電気的な共振が発生しており、事実その周波数では、位相が静電容量の変動に最も敏感である。櫛歯駆動アクチェータの駆動に影響を及ぼさないために、実際には櫛歯駆動アクチェータの機械的な共振周波数より遥かに高い周波数で、電気的な共振周波数が選択される。その結果、35からの入力信号と36の出力信号との間の位相は静電容量の変化に従い変化する。位相測定部37はこれらの変化を測定可能な信号38に変換する。
【符号の説明】
【0117】
1 白色光源
2 コリメーション光学素子
3 試料キュベット
4 検出器
5 参照検出器
6 MEMS保持具
7 MEMS
8 基準光源
9 ミラー
10 MEMS―ミラー間光路
11 格子
12 11のうちの静止反射素子
13 11のうちの可動反射素子
14 フォーク
15 14のサスペンション
16 駆動用櫛歯
17 ファイバ入口
18 ファイバ出口
19 バネ要素
20 中心軸要素
21 17からミラーへの光ビーム
22 ミラーから格子への光ビーム
23 ミラーから18への光ビーム
24 反対側の基準用格子
25 未加工ミラー・ブロック
26 加工工具
27 26の端部
28 ミラーの放物線y形状
29 削り屑
30 電圧制御発振器
31 櫛歯駆動アクチュエータ素子
32 位置測定
33 位相検出
34 発振器
35 櫛歯駆動アクチュエータ
36 微分器
37 位相検出
38 出力
【図面の簡単な説明】
【0118】
添付図面において、本発明の好適な実施形態を示す。
【図1】ラメラー格子干渉計のおよそ図。入射波面はバイナリー格子の前面および後面で分割される。前面で反射されるビームと後面で反射されるビームとの間の光路差(OPD)δは太線で示され、式(2)で与えられる。格子の回折角αと深さdとの関数であるOPDδは距離AB、BC、およびCDの和である。
【図2】ラメラー格子の回折パターン強度I(式1を参照)。強度Iは、明細書中で説明した3つの要素I、I、Iの積である。実線はφ=M2πの位相シフトに対応し、破線はφ=π+M2π(Mは整数)の位相シフトに対応する。
【図3】ラメラー格子干渉計。固定ミラー(明るい部分)と可動ミラー(暗い部分)を識別できる。可動ミラーは静電櫛歯駆動アクチュエータにより駆動される。変位は線形である。製造技術と駆動原理は参考資料1,3,8に記載されている。
【図4】低圧キセノンアーク・ランプの記録されたインターフェログラムとOPDゼロを示す拡大図。
【図5】上は図4に示すインターフェログラムから算出したパワー・スペクトル。 下はスペクトル分解能0.5nmのモノクロメータで測定した同じランプのスペクトル。
【図6】ミラーを使用した他の実施形態のおよそ的な斜視図。
【図7】図6の装置を別角度から見た斜視図。
【図8】MEMSのおよそを簡潔に表す図。
【図9】格子での照射条件のおよそ斜視図。
【図10】異なる状態、すなわちa)平衡状態、b)完全に引っ込んだ状態のフォーク、c)完全に伸びた状態のフォーク、におけるMEMSのおよその透視図。
【図11】2つの対抗する格子を有するMEMSの上面図。
【図12】MEMS要素に関するミラーの位置のおよそ的な表現で、a)正面図、b)側面図。
【図13】図12に関する配置における光の通路のおよそ的な表現で、a)底面図、b)側面図。
【図14】ミラーの可能な製造プロセスのおよそ的な表現で、a)透視図的な表現、b)x方向から見た個々の段階。
【図15】He/Neレーザに関して示された印加駆動電圧についての可能な分解能で、a)ステップバイステップ式、b)共振モード。
【図16】格子の駆動回路で、a)模式的な基本線図、b)詳細な線図。
【図17】格子の位置を得るための回路のおよそ図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームをコリメートする第1の手段と格子上に光ビームを集束させる第2の手段とを備えるラメラー格子干渉計。
【請求項2】
光ビームが格子上に実質的に直線形状で集束される請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
干渉計が単一のシリコン基板を用いるMEMS技術に基づいており、等間隔配列された反射要素の直線的な列を備え、前記反射要素の半分は静止しており、半分は前記列の方向に実質的に垂直な方向に移動可能である前記請求項のいずれかに記載の干渉計。
【請求項4】
格子の周期が2〜1000μmの範囲、好ましくは10〜200μmの範囲、最も好ましくは50〜120μmの範囲にある請求項3に記載の干渉計。
【請求項5】
光ビームを格子上に集束させるために、単一のミラーが光ビームをコリメートするために使用される前記各請求項のうちの一項に記載の干渉計。
【請求項6】
ラメラー格子干渉計上に光を結合させるためと、その後スペクトル検出用としてラメラー格子干渉計からの反射光を収集するために、同一のミラーが使用される請求項5に記載の干渉計。
【請求項7】
好ましくは多モード・ファイバの形の光源が格子の列の実質的に真下あるいは真上に置かれ、好ましくは前記の列に関して可能な限り中心をなし、かつ格子から反射され、ミラーによって集められた光が多モード・ファイバに結合され、好ましくは前記の光が格子の列の実質的に真下あるいは真上に位置し、好ましくは前記の列に関して可能な限り中心をなす請求項6に記載された干渉計。
【請求項8】
ミラーが格子から距離dの位置に置かれており、Z=(1/2)×y2/Rで定義される球面収差を避けるために、サジタル面においてミラーがおよそf=dの焦点距離で、およそR=2dの曲率半径を有しているか、あるいは放物面の湾曲を有している請求項6あるいは7に記載された干渉計。
【請求項9】
ミラーが格子から距離dの位置に置かれており、Z=(1/2)×y2/Rで定義される球面収差を避けるために、サジタル面においてミラーがおよそR=2dの曲率半径を有しているか、あるいは放物面の湾曲を有している請求項6から8のうちの一項に記載の干渉計。
【請求項10】
前記ミラーが格子から距離dの位置に置かれており、かつ接平面内でミラーがおよそR=dの曲率半径を有する請求項8に記載の干渉計。
【請求項11】
少なくとも2つのレンズが用いられ、これらの少なくとも2つのレンズのうちの第1のレンズは光ビームをコリメートするために用いられ、これらの2つのレンズのうちの第2のレンズは前記光ビームを集束するために用いられる請求項1から請求項4のうちの一項に記載の干渉計。
【請求項12】
前記第2のレンズは円柱レンズである請求項11に記載の干渉計。
【請求項13】
干渉計が接平面内において10〜500μmの範囲、好ましくは50〜150μmの範囲の高さを有する等間隔に配列された反射要素の直線的な列を備える前記請求項のいずれかに記載の干渉計。
【請求項14】
格子の移動可能な反射要素がフォークの形状で設けられており、静電力によって駆動され、かつ好ましくは10−4〜10−6kgの範囲の質量を有する前記請求項のいずれかに記載の干渉計。
【請求項15】
フォークが実質的にその共振周波数で振動するように駆動される請求項14に記載の干渉計。
【請求項16】
フォークが0.1〜1000N/mの範囲の力定数で自在に吊り下げられている請求項15に記載の干渉計。
【請求項17】
共振周波数が100〜400Hzの範囲、好ましくは150〜250Hzの範囲にある請求項15または請求項16に記載の干渉計。
【請求項18】
フォークの縦変位が10〜1000μmの範囲、好ましくは50〜300μmの範囲、最も好ましくは100〜200μmの範囲にある請求項15から請求項17のうちの一項に記載の干渉計。
【請求項19】
好ましくは第1の格子に機械的に結合した第2の格子が較正用に設けられ、前記第2の格子は基準光源で照射される前記請求項のいずれかに記載の干渉計。
【請求項20】
第1と第2の格子の可動部分が微細機械部品の一体型要素として設けられており、第1の格子が前記部品の第2の格子の反対側に面しており、かつ移動可能な一体型要素の静電的な変異のために、格子間にフォーク状の要素が対称的に設けられている請求項19に記載の干渉計。
【請求項21】
分析のためにプローブから収集された光がコリメートされ集束される少なくとも1つの第1の多モード・ファイバが設けられており、その後に前記光を格子上にコリメートし、集束させるため、かつ格子から反射された光をコリメートし集束するための単一のミラーが設けられており、格子から反射された光であって、コリメートされ、集束された光を検出器に導くために結合される第2の多モード・ファイバが設けられており、ミラーに面する両端部において、優先的には第1および第2の多モード・ファイバが実質的には互いに平行に配置されており、かつ好ましくは格子の列の真下あるいは真上で互いに接しており、かつ前記格子に対して中心に配置されている前記請求項のいずれかに記載の干渉計。
【請求項22】
前記請求項のいずれかに記載の干渉計の分光計における使用。
【請求項23】
光がコリメートされた後に集束される前記請求項のいずれかに記載の干渉計で波長を分析する方法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−503732(P2008−503732A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516937(P2007−516937)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000347
【国際公開番号】WO2006/000120
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(504296275)カラク アーゲー (9)
【Fターム(参考)】