説明

シリコーンエラストマーのエマルション及びシリコーン有機エラストマーゲル

分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンと、分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物との反応由来の、シリコーンエラストマーを含む、ゲルまたはゲルペーストの水性エマルションが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年9月25日出願のUS60/974,873の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンと、分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物との反応由来の、シリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマーを含む、ゲルまたはゲルペーストの水性エマルションに関する。
【0003】
シリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマーを含むゲル及びゲルペーストは、近年、PCT/US07/006833、PCT/US07/006894、及びPCT/US07/006936に記載されており、これらは、本願と同一の出願人に譲渡されている。本願は、シリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマーを含むゲル及びゲルペーストの水性エマルション組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US60/974,873
【特許文献2】PCT/US07/006833
【特許文献3】PCT/US07/006894
【特許文献4】PCT/US07/006936
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(i) (A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマー、
(D)任意のキャリア・フルイド、
を含む、ゲルまたはゲルペースト、及び
(ii)乳化剤
を含む、水性エマルション組成物に関する。
このエマルションは、(E)任意のパーソナルもしくはヘルスケア活性成分を更に含んでよい。
【0006】
本発明は、更に、
(I)(i)(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマー、
(D)任意のキャリア・フルイド、
(E)任意のパーソナルもしくはヘルスケア活性成分、
を含む、ゲルまたはゲルペースト、及び
(ii)乳化剤、
を混合する工程、
(II)工程Iの混合物と、漸増量の水とを混合して水連続性エマルションを形成する工程、
(III)任意に、水連続性エマルションを剪断する工程、
を含む、水性エマルションの調製方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、(i)シリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマーを含むゲルまたはゲルペースト、及び(ii)乳化剤を含む、水性エマルション組成物に関する。この水性エマルションは、任意に、(E)パーソナルもしくはヘルスケア活性成分を含んでよい。
【0008】
(i)成分として有用な、シリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマーを含むゲル及びゲルペーストは、そのシリコーンエラストマーゲルまたはゲルペーストの教示を参照するために、本願に援用することとする、PCT/US07/006833、PCT/US07/006894、及びPCT/US07/006936に記載のものから選択してよい。
【0009】
(i)成分として有用なゲル及びゲルペーストは、
(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーを含む。
このシリコーンエラストマーは、
(D)任意のキャリア・フルイド、
中に分散させてよく、これは、使用される場合には、ゲルまたはゲルペースト組成物を更に構成するものである。水性エマルションは、任意に、
(E)パーソナルもしくはヘルスケア活性成分、
を含む。
【0010】
(A)少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン:
本発明の成分(A)は、その分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン樹脂である。本発明の成分(A)として好適なオルガノ水素シロキサンは、その分子中に少なくとも2個のシクロシロキサン環を有し、各シロキサン環上に少なくとも一つのケイ素結合水素(SiH)単位をもつ、あらゆるオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサンは、当該分野において周知であり、あらゆる数のシロキシ単位(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)(式中、Rは、個別にあらゆる有機基である)を含むものとして、しばしば表示される。オルガノポリシロキサンのシロキシ単位式中のRがメチルである場合は、それぞれのシロキシ単位は、しばしば、M、D、T、またはQシロキシ単位と呼称される。シクロシロキサン環は、少なくとも三つ(シロキサン環を形成するために要する最少数)のシロキシ単位を含み、且つ、各シロキサン環上の環状シロキシ単位の少なくとも一つがSiH単位を一つ含むこと、すなわち、(R2HSiO0.5)、(RHSiO)、または(HSiO1.5)シロキシ単位の少なくとも一つが環中に存在することを条件として、環状構造を形成する、シロキシ単位(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)のあらゆる組み合わせであってよい。これらのシロキシ単位は、Rがメチルである場合は、MH、DH、及びTHシロキシ単位とそれぞれ表すことができる。
【0011】
(A)オルガノ水素シロキサンのシクロシロキサン環は、二価の有機もしくはシロキサン基、またはこれらの組み合わせによって互いに結合している。二価の結合基は、Yと表示してよく、シクロシロキサンは、Gと表示してよい。本発明のオルガノ水素シロキサンは、一般式G-[Y-G]aで表わされ、式中、Gは、上述の通りシクロシロキサンであり、Yは、二価の有機の、シロキサン、ポリオキシアルキレン基、あるいはこれらの組み合わせで、下付き文字aは、ゼロより大きい。
【0012】
Yが、二価の有機基である場合には、これは、脂肪族または芳香族構造としての、1乃至30の炭素を含む二価の炭化水素であってよく、分枝状または非分枝状であってよい。 あるいはまた、Yは、2乃至20の炭素を含む、あるいは、4乃至12の炭素を含む、アルキレン基であってよい。
Yが、二価の有機基である場合には、これは、有機ポリマー、例えば、ポリオキシアルキレン基から選択してもよい。
【0013】
Yが、シロキサン基である場合には、これは、R1と表示される、少なくとも二つの二価の炭化水素基を含む、あらゆるオルガノポリシロキサンから選択してよい。然るに、シロキサン結合基は、標準式R1RmSiO(4m)/2(式中、Rは、有機基であり、R1は、二価の炭化水素基であり、また、mは、0乃至3である)によって表わされる少なくとも二つのシロキサン単位を含む、あらゆるオルガノポリシロキサンであってよい。
R1は、オルガノポリシロキサン分子中のあらゆるモノ、ジ、もしくはトリ-シロキシ単位、例えば、(R1R2SiO0.5)、(R1RSiO)、または(R1SiO1.5)上に、並びに、R1置換基を含まない別のシロキシ単位、例えば、(R3SiO0.5)、(R2SiO)、(RSiO1.5)、または(SiO2)シロキシ単位(式中、Rは、オルガノポリシロキサン中に少なくとも二つのR1が存在することを条件として、個別にあらゆる有機基である)との組み合わせとして、存在してよい。代表的なR1基には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、へキシレン、及び同様の相同基が含まれる。あるいはまた、R1はエチレンである。
【0014】
シロキサン結合基として好適な、こうしたシロキサンベースの構造の、代表的且つ非限定的な例には、
(R2R1SiO0.5)(R2SiO)x(R2R1SiO0.5)
(R3SiO0.5)(R2SiO)x(R1RSiO)y(R3SiO0.5)
(R3SiO0.5)(R2SiO)x(R1RSiO)y(RSiO1.5)z(R3SiO0.5)
が含まれ、式中、x≧0、y≧2、及びz≧0である。
【0015】
少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン(成分A)は、a)シロキサン環上に少なくとも二つのSiH単位を有するオルガノ水素シクロシロキサンと、(B)分子中に少なくとも二つの脂肪族不飽和基を有する化合物もしくは化合物の混合物とのヒドロシリル化反応によって調製してよい。
シロキサン環上に少なくとも二つのSiH単位を有するオルガノ水素シクロシロキサン(a)は、シクロシロキサン環上に少なくとも二つのSiH単位があることを条件として、あらゆる数のシロキシ単位(以上に定義のもの)を含んでよい。例えば、環状シロキサンは、M、MH、D、DH、またはTHシロキシ単位のあらゆる数を含んでも良い。成分(A)を調製するために有用な、こうしたオルガノ水素シクロシロキサンの代表的且つ非限定的な例は、標準式DHaDbを有し、式中、a≧1であり、b≧0であり、a+b≧3である。あるいはまた、オルガノ水素シクロシロキサンは、式[(CH3)HSiO]gを有するものから選択してよく、式中、gは、3乃至8であり、例えば、DH4、DH5、DH6、またはこれらの混合物である。
【0016】
分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する好適な化合物は、成分(B)として以下に記載される。
【0017】
オルガノ水素シロキサンと不飽和化合物に関するヒドロシリル化反応は、周知である。当業者には既知の、あらゆる好適なヒドロシリル化触媒を使用してよく、あるいはまた、成分(C)として以下に記載されるものから選択しても良い。(i)シロキサン環上に少なくとも二つのSiH 単位を有するオルガノ水素シロキサンと(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物もしくは化合物の混合物とから、成分(A)を調製するために、既知のヒドロシリル化技術及び反応のいずれを使用してもよい。しかしながら、この反応は、分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンをもたらすように行われる。
【0018】
然るに、本発明の成分Aは、分子一つ当たりに少なくとも二つのケイ素結合水素、分子一つ当たりに少なくとも四つのケイ素結合水素、あるいは、分子一つ当たりに少なくとも六つのケイ素結合水素を含む。これは、a)シロキサン環上に少なくとも二つのSiH単位を有するオルガノ水素シロキサンのモル過剰と、分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物とを、ヒドロシリル化反応に使用することにより達成することができる。モル過剰とは、SiH単位の不飽和基に対するモル比として表わすことができ、こうした比は、2/1乃至8/1、あるいは、2/1乃至6/1、あるいは、3/1乃至4/1の範囲であってよい。
【0019】
あるいはまた、成分(A)として有用なオルガノ水素シロキサンは、その適切なオルガノ水素シロキサンの教示について本発明に援用することとする、WO03/093349に教示される、あらゆるオルガノ水素シロキサンから選択してよい。
【0020】
本発明において、成分(A)として有用なオルガノ水素シロキサンは、典型的には、5乃至50,000mPa・s、あるいは10乃至10,000mPa・s、あるいは25乃至2,000mPasの粘度を有する。
【0021】
阻害剤または安定剤として既知の添加剤を、成分(A)に添加しても良い。WO03/093369に記載のものなどの阻害剤は、貯蔵中に、またはシリコーンエラストマーゲルを調製するために成分(B)を添加する前に、成分(A)を安定化する目的で添加してよい。阻害剤は、白金ベースのヒドロシリル化反応の阻害効果を有することが知られる、あらゆる化合物から選択してよい。特に好ましい阻害剤は、ビタミンAパルミテート、もしくはVAPである。VAPが使用される場合には、これは、典型的には、成分(A)100部当たりに0.05乃至2.0部の量で添加される。
【0022】
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物もしくはこうした化合物の混合物
成分(B)は、分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物もしくはこうした化合物の混合物である。この化合物は、あらゆるジエン、ジイン、またはエンイン化合物であってよい。ジエン、ジイン、またはエンイン化合物は、分子内に少なくとも2個の、互いに幾分離れた脂肪族不飽和基が存在する化合物(高分子状化合物を含む)である。典型的には、不飽和基は、化合物の末端に、または高分子状化合物であればペンダント鎖に存在する。末端またペンダント鎖に不飽和基を含有する化合物は、式R2-Y-R2(ここで、R2は、2乃至12の炭素原子を含有する、一価の不飽和脂肪族炭化水素基であり、Yは、二価の有機もしくはシロキサン基またはそれらの組合せである)で表すことができる。典型的には、R2はCH2=CH‐、CH2=CHCH2‐、CH2=C(CH3)CH2‐またはCH≡C‐、及び同様な置換不飽和基、例えば、H2C=C(CH3)‐、及びHC≡C(CH3)‐である。
【0023】
成分(B)として、式R−Y−Rを有する化合物は、Yの選択によって、「有機」、「炭化水素」、「有機ポリマー」、「ポリエーテル」または「シロキサン」、またはそれらの組合せであると見なしてよい。Yは二価の炭化水素、シロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレン、ポリイソアルキレン、炭化水素‐シリコーン共重合体、またはそれらの混合物でもよい。
【0024】
一つの実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される有機化合物から選ばれ、式R−Y−R(ここで、Rは2個から12個の炭素原子を有する一価不飽和脂肪族基であり、Yは二価の炭化水素である)を有する。二価の炭化水素Yは、1個から30個の炭素を、脂肪族または芳香族構造のいずれかとして含有し、且つ分岐状または非分岐状でもよい。成分(B)は、1個から30個の炭素を含有するα、ω‐不飽和アルケンもしくはアルキン、またはそれらの混合物から選ぶことができる。成分(B)は、以下に限定されないが、1,4‐ペンタジエン、1,5‐ヘキサジエン;1,6‐へプタジエン;1,7‐オクタジエン、1,8‐ノナジエン、1,9‐デカジエン、1,11‐ドデカジエン、1,13‐テトラデカジエン、及び1,19‐エイコサジエン、1,3‐ブタジイン、1,5‐ヘキサジイン(ジプロパルギル)、及び1‐ヘキセン‐5‐インによって例示することができる。
【0025】
他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中では(B)と表示される、R−Y−R化合物(ここで、Yはシロキサンである)から選ばれる。Yシロキサン基は、Rとして示される、少なくとも2個の脂肪族不飽和を有する有機基と結合して、R−Y−R構造を形成する、任意のオルガノポリシロキサンから選ぶことができる。このように、成分(B)は、平均式RSiO(4−m)/2(ここで、Rは有機基であり、Rは上記に定義された一価不飽和脂肪族基であり、mはゼロから3である)で表される、シロキサン単位を少なくとも2個を含む任意のオルガノポリシロキサン及びそれらの混合物でもよい。
【0026】
基は、オルガノポリシロキサン分子中の、いかなるモノ、ジ、またはトリ−シロキシ単位、例えば;(RSiO0.5)、(RRSiO)、または(RSiO1.5)上に存在しても;R置換基を含まない他のシロキシ単位、例えば(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)または(SiO)シロキシ単位との組み合わせとして存在しても良く(ここで、Rは独立して任意の有機基、あるいは1個から30個の炭素を含有する炭化水素、あるいは1個から30個の炭素を含有するアルキル基、あるいはメチルである);ただし、このオルガノポリシロキサン中には、少なくとも2個のR置換基が存在する。
【0027】
成分(B)として好適な、R−Y−R構造に基づく、こうしたシロキサンの代表的な非限定的例としては、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(ここで、w≧0、x≧0、y≧2、及びzは≧0であり、Rは有機基であり、ならびにRは一価不飽和脂肪族炭化水素基である)
が挙げられる。
【0028】
は、ビニル官能性ポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)、例えば平均式:
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]Si(Me)CH=CH
MeSiO[(Me)SiO][CH=CH(Me)SiO]SiMe
(ここで、Meはメチルであり、
x≧0、あるいはxは0から200であり、あるいはxは10から100であり、
y≧2、あるいはyは2から200であり、あるいはyは10から100である)
を有するものから選ぶことができる。ビニル官能性ポリジメチルシロキサンは、公知であり、多くが市販されている。
【0029】
他の実施態様では、成分(B)は、R‐Y‐R(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、Yは式(C2nO)(ここで、nは2から4までであり、bは2より大きく、あるいはbは2から100までであってよく、あるいはbは2から50までであってよい)を有し、本明細書中で(B)と表示されるポリエーテル化合物から選ばれる。
ポリオキシアルキレン基は、典型的には、オキシエチレン単位(CO)、オキシプロピレン単位(CO)、オキシテトラメチレンもしくはその異性体オキシブチレン単位(CO)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。R‐Y‐R化合物は、式R‐O[(CO)c(CO)d(CO)e]‐R(ここで、c、d、及びeはそれぞれ独立して1から100まででよく、ただしc+d+eの合計は2より大きく、あるいはc+d+eの合計は2から100までであり、あるいはc+d+eの合計は2から50までである)を有するポリオキシアルキレン基から選ぶことができる。
【0030】
あるいは、ポリオキシアルキレン基は、オキシプロピレン単位(CO)のみを含む。ポリオキシプロピレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては;
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
(ここで、gは上記に定義されている通りである)
が挙げられる。
ポリオキシブチレン含有R‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては、
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
が挙げられる。
成分(B)はまた、種々のポリエーテルの混合物、すなわちB成分の混合物でもよい。
【0031】
他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される、R‐Y‐R化合物(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、YはC2からC6のアルキレン単位またはそれらの異性体から選択されるポリアルキレン基である)から選ばれる。一つの例は、イソブチレン単位を含有するポリマーである、ポリアルキレン基である。ポリイソブチレン基の分子量は変わり得るが、典型的には100から10,000g/モルまでである。ポリイソブチレン基を含有するR‐Y‐R化合物の代表的な非限定的例としては、BASFよりOPPONOL BVの商品名で市販されている化合物、例えば、平均分子量5000g/モルを有するジアリル末端ポリイソブチレンである、OPPONOL BV 5Kなどが挙げられる。
【0032】
さらに他の実施態様では、成分(B)は、本明細書中で(B)と表示される、R‐Y‐R化合物(ここで、Rは上記に定義されている通りであり、Yは炭化水素‐シリコーンコポリマー基である)から選ばれる。炭化水素‐シリコーンコポリマー基は、式
‐[R(RSiO)
(ここで、R及びRは上記に定義されている通りであり;
u及びvは独立して、≧1であり、あるいはuは1から20までであり、あるいはvは2から500、または2から200までであり、
qは≧1であり、あるいはqは2から500までであり、あるいはqは2から100までである)
を有することができる。
炭化水素‐シリコーンコポリマー基を有するR‐Y‐R化合物は、α‐ω不飽和炭化水素、例えばBとして上記されているものとオルガノ水素シロキサンとの間でヒドロシリル化反応により製造することができる。そのような反応の代表的な非限定的例は、以下に示される。
【化1】

【0033】
成分(B)はまた、任意のジエン、ジインまたはエンイン化合物、例えばB、B、B、B及びBの混合物でもよい。
【0034】
本組成物を製造するために用いられる成分(A)及び成分(B)の量は、個々の成分及び脂肪族不飽和に対する所望のSiHの割合に依存している。本発明の組成物を製造するために有用な成分(B)由来の脂肪族不飽和に対する、成分(A)中のSiHの比は、10:1から1:10、あるいは5:1から1:5、あるいは4:1から1:4でもよい。
【0035】
成分(A)及び(B)が、本組成物での脂肪族不飽和基及びSiH含有基を含有するただ一つの物質でないならば、上記比は、これらの成分のみならず、組成物中に存在するこうした基の合計量に関連する。
【0036】
(C)ヒドロシリル化触媒:
成分(C)は、ヒドロシリル化反応に典型的に使用される任意の触媒を含む。白金族元素含有触媒を用いるのが好ましい。白金族とは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金ならびにそれらの錯体を意味する。本発明の組成物の製造に有用な白金族元素含有触媒は、ウィリングの米国特許第3,419,593号及びブラウン他の米国特許第5,175,325号により記載されている通りに製造される白金錯体であり、各特許はそのような錯体及びその製造法を示すため参考としてここに組み込まれる。有用な白金族元素含有触媒の他の例は、リー他の米国特許第3,989,668号;チャン他の米国特許第5,036,117号;アッシュビーの米国特許第3,159,601号;Lamoreaux他の米国特許第3,220,972号;チョーク他の米国特許第3,296,291号;Modicの米国特許第3,516,946号;カールシュテットの米国特許第3,814,730号;及びシャンドラ他の米国特許第3,928,629号に見出すことができ、それらすべてが、有用な白金族元素含有触媒及びその製造法を示すための参考としてここに組み込まれる。白金含有触媒は、白金金属、例えばシリカゲルまたは粉末炭などのキャリア上に堆積された白金金属、または白金族元素の化合物もしくは錯体でもよい。好ましい白金含有触媒としては、クロロ白金酸(ヘキサ水和物状態または無水状態のいずれか)、クロロ白金酸を脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、例えば、ジビニルテトラメチルジシロキサンとの反応を含む方法により得られる白金含有触媒、米国特許出願番号10/017229(2001年12月7日出願)に記載されたアルケン‐白金‐シリル錯体、例えば(COD)Pt(SiMeCl(ここで、CODは1,5‐シクロオクタジエンであり、Meはメチルである)などが挙げられる。そのアルケン‐白金‐シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtClを0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiClと混合することにより製造することができる。
【0037】
触媒の適正な量は、用いられる特定の触媒によって異なる。白金触媒は、組成物中の固形分(非溶剤成分のすべて)の合計重量パーセントに基づいて、少なくとも2部(百万部当たり)(ppm)、好ましくは4から200ppmの白金をもたらすために十分な量で存在しなければならない。同じ基準で、白金が、4から150ppmの白金を与えるに十分な量で存在するのが特に好ましい。触媒は、単一種としてまたは2種以上の種の混合物として添加してもよい。
【0038】
(D)キャリア・フルイド:
シリコーンエラストマーは、任意のキャリア・フルイド(D)中に含まれてもよい。必須ではないが、典型的には、キャリア・フルイドは、上述したヒドロシリル化反応を行うために用いられる溶剤と同じでもよい。適するキャリア・フルイドとしては、シリコーン(直鎖状及び環状の両方の)、有機オイル、有機溶剤及びそれらの混合物が挙げられる。溶剤の特定の例は、米国特許第6,200,581号に見い出すことができる。その特許は、この目的のために、参考としてここに組み込まれる。
【0039】
典型的には、キャリア・フルイドは、25℃で1から1,000mm/秒の範囲の粘度を有する、低粘度シリコーンまたは揮発性メチルシロキサンもしくは揮発性メチルシロキサンもしくは揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルへプタシロキサン、へプタメチル‐3‐[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ヘキサメチル‐3,3‐ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサン、ペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサンのほかに、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンである。
【0040】
有機溶剤は、以下に限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル及び芳香族ハロゲン化物によって例示され得る。炭化水素としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11−C13)、Isopar H(C11−C12)ハロゲン化ポリデセンが挙げられる。エーテル及びエステルとして、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンチルグリコールヘプタノアート、グリコールジステアラート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールn‐ブチルエーテル、エチル3‐エトキシプロピオナート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ネオペンタン酸トリデシル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ジイソブチルアジパート、ジイソプロピルアジパート、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、及びオクチルパルミタートが挙げられる。前記キャリア・フルイドとして、独立した化合物としてまたは成分として相応しい、他の有機キャリア・フルイドには、脂肪、油、脂肪酸、脂肪アルコールがある。
【0041】
キャリア・フルイドの量は、(A)、(B)及び(D)を含む組成物(ここで、(A)、(B)及び(D)の合計が100質量%である)中に0から98質量%、あるいは0.5から80質量%、あるいは5から70質量%のキャリア・フルイドが存在するような量である。
【0042】
(E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分:
成分(E)は、任意のパーソナルまたはヘルスケア活性成分から選ばれる活性成分である。本明細書で使われる「パーソナルケア活性成分」とは、パーソナルケア処方での添加剤として当技術分野で知られている化合物または化合物の混合物を意味する。その添加剤は、典型的には、髪または皮膚を手当てする目的で加えられ、化粧上及び/または美容上のメリットを与える。「ヘルスケア活性成分」とは、医薬用または医学用メリットを与えることが当技術分野で知られている、化合物または化合物の混合物を意味する。このように、「ヘルスケア活性成分」は、一般的に使用されており、かつ米国保健社会福祉省食品医薬局(連邦規制基準タイトル21(21巻)、第1章Parts200−299及びParts300−499に含まれる)により定義される、活性成分または活性薬物成分と認められる物質である。
【0043】
本発明のプロセスでの使用に有用な活性成分としては、ビタミン及びその誘導体(「プロビタミン」を含む)が挙げられる。ここで有用なビタミンとしては、以下に限定されないが、ビタミンA、レチノール、レチノールのC‐C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びそれらの混合物が挙げられる。レチノールとしては、トランス‐レチノール、1,3‐シス‐レチノール、11‐シス‐レチノール、9‐シス‐レチノール、及び3,4‐ジデヒドロレチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB、ビタミンB、プロビタミンB、パンテノール、ビタミンB、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びパントテン酸が挙げられる。他の適するビタミン及び、ここで含まれると見なされるビタミンのINCI名称として、アスコルビルジパルミタート、アスコルビルメチルシラノールペクチン、アスコルビルパルミタート、アスコルビルステアラート、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムがある。
【0044】
注目すべきは、レチノールが、ビタミンAの化粧品工業会(CTFA、米国ワシントンDC地区)が指定する化粧品原料の国際命名法(INCI)の名称であることである。本発明に含まれると見なされる、他の好適なビタミン及びINCI名称には、レチニルアセタート、レチニルパルミタート、レチニルプロピオナート、α‐トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセタート、トコフェリルリノレアート、トコフェリルニコチナート、及びトコフェリルスクシナートが含まれる。
【0045】
本発明における使用に適する市販品の例の一部は、ビタミンAアセタート及びビタミンC(いずれもFluka Chemie AG.(スイス国ブックス)の商品);COVI−OX T−50、ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)のビタミンE製品;COVI−X T−70、ヘンケルコーポレーション(米国イリノイ州ラ・グランジ)の他のビタミンE製品;及びビタミンEアセタート、Rocheビタミン&ファインケミカル(米国ニュージャージー州ナトリー)の製品である。
【0046】
成分(E)は、また日焼け防止剤でもよい。日焼け防止剤は、太陽光への暴露の弊害から皮膚を保護することが当技術分野で公知の、任意の日焼け防止剤から選ぶことができる。日焼け防止化合物は、典型的には、紫外線(UV)光を吸収する有機化合物、無機化合物またはそれらの混合物から選ばれる。このように、日焼け防止剤として使用可能な、代表的な非制限的例としては;
アミノ安息香酸、シノキサート、ジエタノールアミンメトキシシンナマート、ジガロイルトリオレアート、ジオキシベンゾン、エチル4‐[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、グリセリルアミノベンゾアート、ホモサラート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニラート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オキシベンゾン、パジマートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、赤ペトロラタム、スリソベンゾン、二酸化チタン、及びトロラミンサリチラート、アセトアミノサロール、アラントインPABA(Allatoin PABA)、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1−12、3‐ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルフォンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチラート、ボルネロン、ブメトリオゾール(Bumetrizole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカ タルク、シノキサート、DEA‐メトキシシンナマート、ジベンゾオキサゾール ナフタレン(Dibenzoxazol Naphthalene)、ジ‐t‐ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレアート、ジイソプロピルメチルシンナマート、ジメチルPABAエチルセテアリールジモニウムトシラート、
ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミントリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミントリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナマート、エチルメトキシシンナマート、エチルPABA、エチルウロカナート、エトクリレン(Etrocrylene)フェルラ酸、グリセリルオクタノアートジメトキシシンナマート、グリセリルPABA、グリコールサリチラート、ホモサラート、イソアミルp‐メトキシシンナマート、イソプロピルベンジルサリチラート、イソプロピルジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メンチルアントラニラート、メンチルサリチラート、メチルベンジリデンカンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、オクチルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オクチルトリアゾン、PABA (p‐アミノ安息香酸)、PEG−25 PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチル・ベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、赤ペトロラタム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸TEA、TEA‐サリチラート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、及びVA/クロトナート/メタクリロキシベンゾフェノン‐1コポリマーが挙げられる。
【0047】
日焼け防止剤は、単一または一種を超える組合せでもよい。あるいは、日焼け防止剤はシンナマートベース有機化合物であるか、あるいは日焼け防止剤はオクチルメトキシシンナマート、例えばUvinul(登録商標)MC80、パラ‐メトキシケイ皮酸と2‐エチルヘキサノールとのエステルである。
【0048】
シリコーンゲル組成物中に存在する成分(E)の量は、変化し得るが、典型的には次の範囲であってよい;シリコーンゲル組成物中の成分(A)、(B)、(C)及び(D)の合計重量である、組成物中のシリコーンエラストマーゲルの重量に基づいて、
0.05から50質量%、あるいは1から25質量%、あるいは1から10質量%。
【0049】
活性成分である成分(E)は、シリコーンエラストマーの製造中(前配合法)またはシリコーンエラストマーゲルの形成後(後配合法)のいずれかにて、シリコーンゲルまたはゲルペースト組成物に加えることができる。あるいは、成分(E)は、ゲルまたはゲルペーストの水性エマルジョンに、後から配合することができる。
【0050】
シリコーンエラストマー:
本発明のシリコーンエラストマーは、成分(A)、(B)、及び(C)のヒドロシリル化反応生成物として得られる。用語「ヒドロシリル化」とは、触媒(例えば、成分(C)など)の存在下での、ケイ素結合水素含有有機ケイ素化合物(例えば成分(A)など)の脂肪族不飽和含有化合物への付加反応を意味する。ヒドロシリル化反応は、当技術分野では公知であり、あらゆる公知の方法または技術を、(A)、(B)、及び(C)のヒドロシリル化反応を生じさせて、本発明のシリコーンエラストマーを調製するために使用することができる。
【0051】
ヒドロシリル化反応は、溶剤下で行うのがよく、溶剤は、その後、公知の技術にて取り除くことができる。あるいは、ヒドロシリル化は、溶剤中(ここで、その溶剤は任意の成分(D)として記述されるキャリア・フルイドと同じである)で行うことができる。
【0052】
あるいはまた、シリコーンエラストマーは、
(I)(a)シロキサン環上に少なくとも二つのSiH単位を有するオルガノ水素シクロシロキサンと、
(B)分子中に少なくとも二つの脂肪族不飽和基を有する化合物もしくは化合物の混合物と、
(C)ヒドロシリル化触媒、
とを、少なくとも10質量%の(B)が有機化合物であることを条件として反応させて、(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンを形成する工程(ここで、成分(a)のSiH単位の、成分(B)の脂肪族不飽和基に対するモル比が、2/1乃至8/1、あるいは、2/1乃至6/1、あるいは、3/1乃至4/1の範囲である)、及び、更に、
(II)(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンと、付加的な量の、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物と、
(C)ヒドロシリル化触媒
とを、反応させて、シリコーンエラストマーを形成する工程、
を含む方法によって調製してよい。
【0053】
成分(A)、(B)、(C)は、上述と同様である。また、この反応は、上述と同様の条件下で行ってよい。上述の工程(II)では、成分(A)のSiH単位の、成分(B)の不飽和基に対するモル比は、10/1乃至1/10、あるいは、5/1乃至1/5、あるいは、4/1乃至1/4の範囲である。
【0054】
シリコーンエラストマーを含むゲル化組成物:
前記シリコーンエラストマーは、キャリア・フルイド(成分(D)として上述した)に加えてゲル化組成物を形成することも、あるいはこれを最初に別反応にて製造し、その後キャリア・フルイドに加えてゲルを得ることもできる。本発明のゲル化組成物は、その硬度または堅さによって特性化され得る。ゲルを特性化する有用な試験は、米国ゼラチン製造業者協会により推奨されているものであり、例えば「テクスチュア・アナザイザー」(モデルTA.XT2、Stable Micro Systems Inc.(英国イングランド・Godalming)を使用するものなどである。ゲルサンプルは、5.0kgの荷重セルと探針を有するテクスチュア・アナライザーで圧縮試験に置かれる。探針は、ゲル表面に0.5mm/分の速度で近づき、ゲル中5.0mmの距離まで圧迫し続けた後、後退する前に1秒間保持される。テクスチュア・アナライザーは、圧縮試験の間に探針が受ける抵抗力を検出する。荷重セルごとに示される力が、時間の関数として描かれる。
【0055】
本発明の目的において、シリコーンエラストマー、ゲル及びエラストマーブレンド(SEB)の硬度は、圧縮試験での「テクスチュア・アナライザー」の探針により検出される抵抗力として定義される。二つのデータが、硬度を特性化することに使用してよい: 力1;最大圧縮点(すなわち、ゲル表面下5.0mmの圧縮点)での力、及びエリアF−T;最大圧縮点で保持された1秒間の面積−力の積分。典型的に合計5回の試験の平均が各ゲルについて行われた。
【0056】
力1として得られた値は、重量グラムの値を101.97で除することによりニュートン(N)に変換される(すなわち、1ニュートンはこの装置に用いられた探針のサイズに基づいて101.97重量グラムに等しい)。テクスチュア・アナライザー測定により報告される二番目の特性は、重量グラム・秒でエリアF−T1:2である。これは力対試験時間曲線の面積積分である。それがエラストマー及びゲルに関連している、圧縮力に対する抵抗を維持する能力を示すので、この特性は、ゲルネットワークの指標となる。値は重量グラム・秒で報告され、重量グラム・秒単位での値を101.97で除することによりSI単位のニュートン・秒に変換される。
【0057】
本発明のシリコーンゲルは、少なくとも200ニュートン/m、あるいは400ニュートン/m、あるいは600ニュートン/mの圧縮硬度を有する。
【0058】
シリコーンエラストマー含有ゲルペースト組成物:
本発明のゲル化組成物は、
I)上記の通り、シリコーンエラストマーゲルを剪断する工程、
II)せん断されたシリコーンエラストマーゲルを、付加的な量の
(D)上記したキャリア・フルイド及び、任意に
(E)パーソナルまたはヘルスケア活性成分と
混合する工程により、活性成分を含有するゲルペーストまたはゲルブレンド組成物の製造に用いることができる。
【0059】
本発明のシリコーンエラストマーゲル組成物は、キャリア・フルイド中に分散された、不連続の架橋シリコーンエラストマーゲル粒子と見なしてよい。それ故に、シリコーンエラストマー組成物は、低分子量シリコーンフルイドの効果的なレオロジー増粘剤でもある。それ自体は、有用なゲルブレンド組成物、例えば「ペースト」組成物を製造するために用いることができる。
【0060】
そのようなシリコーンエラストマーブレンドを製造するためには、既知の初期エラストマー含量(IEC)を有する上記シリコーンエラストマーゲルが、小粒径を得るためにせん断され、最終エラストマー含量(FEC)にさらに希釈される。本明細書で用いられる、「せん断」とは、任意のせん断混合法を意味し、たとえばホモジナイジング、ソノレーティング、またはせん断混合として当技術分野で知られている、他のあらゆる混合法によりもたらされる。シリコーンエラストマーゲル組成物のせん断混合は、縮小された粒径を有する組成物をもたらす。その結果生じた、縮小された粒径を有する組成物は、その後、(D)キャリア・フルイドと混合される。キャリア・フルイドは、上記した任意のキャリア・フルイドでよく、典型的には、揮発性メチルシロキサン、例えば、D5などである。(D)キャリア・フルイドと縮小された粒径を有するシリコーンエラストマー組成物との混合技術は重要でなく、典型的には、簡単な攪拌または混合を含む。得られた組成物は、100,000cP(mPa・s)を超える粘度を有するペーストと見なしてよい。
【0061】
本発明のエマルションは、(ii)乳化剤を含む。本明細書中では、「乳化剤」とは、エマルションの形成を可能にするあらゆる化合物を意味する。エマルションは、水中油型エマルション、油中水型エマルション、多相もしくは三相エマルションであってよい。然るに、乳化剤は、エマルションを安定化することのできる、あらゆるイオン性、非イオン性、双性イオン性の界面活性剤から選択してよい。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、、両性界面活性剤、または界面活性剤の混合物であってよい。
【0062】
好適なアニオン性界面活性剤の代表例には、高級脂肪酸のアルカリ金属石鹸、あすキルアリールスルホネート、例えば、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、長鎖脂肪アルコールスルフェート、オレフィンスルフェート、及びオレフィンスルホネート、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エステル、スルホン化エトキシル化アルコール、スルホスクシネート、アルカンスルホネート、リン酸エステル、アルキルイセチオネート、アルキルタウレート、及びアルキルサルコシネートが含まれる。好ましいアニオン性界面活性剤の一例は、Bio-Soft N-300の名称で市販されている。これは、Stephan Company(Northfield, Illinois)によって市販の、トリエタノールアミン直鎖状アルキレートスルホネート組成物である。.
【0063】
好適なカチオン性界面活性剤の代表例には、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、スルホニウム塩、及びホスホニウム塩が含まれる。好適な非イオン性界面活性剤の代表例には、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールもしくは脂肪酸、例えば、C12-16アルコールとの縮合物、エチレンオキシドとアミンもしくはアミドとの縮合物、エチレンとプロピレンオキシドとの縮合生成物、グリセロール、スクロース、ソルビトールのエステル、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フルオロ界面活性剤、及び脂肪アミンオキシドが含まれる。好適な両性界面活性剤の代表例には、イミダゾリン化合物、アルキルアミノ酸塩、及びベタインが含まれる。
【0064】
好適な市販の非イオン性界面活性剤の代表例には、BRIJの商品名でUniqema(Wilmington, Delaware)より市販のポリオキシエチレン脂肪アルコール(ICI Surfactants)が含まれる。別の例には、BRIJ 35 Liquid(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとして既知のエトキシル化アルコール)、及びBRIJ 30(ポリオキシエチレン(4) ラウリルエーテルとして既知の別のエトキシル化アルコール)がある。更に別の非イオン性界面活性剤には、TERGITOL(登録商標)の商標の下にDow Chemical Company(Midland, Michigan)により市販の、エトキシル化アルコールが含まれる。別の例は、TERGITOL(登録商標)TMN-6(エトキシル化トリメチルノナノールとして既知のエトキシル化アルコール)及び、様々なエトキシル化アルコール、すなわち、TERGITOL(登録商標)L5-S-5、TERGITOL(登録商標)15-S-12、TERGITOL(登録商標)15-S-15、及びTERGITOL(登録商標)15-S-40の商標の下に市販の、C12-C14第二級アルコールエトキシレートである。非イオン性界面活性剤を含む混合物が使用される場合には、一方の非イオン性界面活性剤は、低い親水性-親油性バランス(HLB)を有し、他方の非イオン性界面活性剤は、高いHLBを有して、二つの非イオン性界面活性剤が、11乃至15の混合HLBを、あるいは、12.5乃至14.5の混合HLBを有するようでなければならない。
【0065】
乳化剤は、油中水型またはシリコーン中水型の乳化剤、例えば、シリコーンポリエーテル乳化剤を形成するように選択してよい。シリコーンポリエーテル(SPE)は、一般的に、ポリエーテルもしくはポリオキシアルキレン基を含むシリコーンを意味し、これは、多くの異なる構造形態をとりうる。こうした典型的な形態は、もっとも一般的には、SiH官能性オルガノシロキサンとアリルオキシ官能性ポリエーテルとの、Pt触媒の存在下でのヒドロシリル化により誘導される、熊手型もしくはABA型のSPEである。
【0066】
少なくとも一つのポリジオルガノシロキサンブロックと少なくとも一つのポリオキシアルキレンブロックとを含むポリジオルガノシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーのその教示について参照するために本発明に援用することとする、US4,122,029に開示されるシリコーンポリエーテルを、(ii)成分として選択してもよい。
【0067】
例示のための非限定的な、乳化剤として有用なシリコーンポリエーテルは、[Me3SiO][Me2SiO]396[MeR’SiO]4[OSiMe3](式中、Meは-CH3であり、R'は-(CH2)3(EO)18(PO)18OH)である。
【0068】
更に、本発明において有用なシリコーンポリエーテルは、[Me3SiO][Me2SiO]10-1000[MeR’SiO]0-100[MeR’’SiO]1-100[OSiMe3](式中、Meは-CH3であり、R'は-(CH2)3(EO)18(PO)18OHであり、R’’は1-40の炭素原子を含むアルキル基である)である。
【0069】
極性及び無極性液体エマルションについてのオルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレン乳化剤についてのその教示(ここでは、オルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレンポリマー分子は、意図的にこれに加えた架橋剤によって、非加水分解性結合により架橋され、且つ内部加水分解性結合をもたない)を参照するために、本発明に援用することとするUS4,853,474に開示されるシリコーンポリエーテルを、(ii)成分として選択しても良い。
【0070】
成分(ii)として有用なエラストマー性シリコーンポリエーテルについての教示を参照するために、本発明にその全体を援用することとするUS5811487に開示されるもの等のシリコーンポリエーテルエラストマーを、(ii)成分として選択しても良い。
【0071】
乳化剤は、様々な乳化剤、例えば、上述のあらゆるものの組み合わせまたは混合物であってよい。乳化剤は、補助的な界面活性剤の添加を更に含んでもよい。更にまた、乳化剤または乳化剤混合物は、無水で使用してよく、あるいは、乳化剤は、疎水性溶媒、例えば、揮発性シリコーン中に溶解させて良い。
【0072】
成分(ii)として好適な、例示的且つ非限定的な市販の製品には、DC5225C、DC3225C、DC5200、DC9011、DC9040、DC9050、DC8822A(Dow Corning Corp., Midland, MI 48686)が含まれる。
【0073】
別の添加剤、例えば、フィラー、起泡制御剤、凍結防止剤、及び殺生物剤等を、エマルション中に更に導入しても良い。
【0074】
本発明のエマルションは、あらゆる既知の技術により、あるいは、下記の、
(I)(i)(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマー、
(D)任意のキャリア・フルイド、
(E)任意のパーソナルもしくはヘルスケア活性成分、
を含む、ゲルまたはゲルペースト、及び
(ii)乳化剤、
を混合する工程、
(II)工程Iの混合物と、漸増量の水とを混合して水連続性エマルションを形成する工程、
(III)任意に、水連続性エマルションを剪断する工程、
を含む方法により製造してよい。
【0075】
上記方法の工程Iにおける成分は、前述のものと同様である。工程(I)における混合は、高粘度物質の混合を達成することが当業者に知られた、あらゆる方法によって達成することができる。混合は、バッチ毎に、準連続的な、または連続的な方法として行ってよい。混合は、例えば、チェンジカン(change-can)ミキサー、ダブルプラネタリーミキサー、コニカルスクリューミキサー、リボンブレンダー、ダブルアームもしくはシグマブレードミキサーを含む、中程度/低剪断のバッチ混合装置;Charles Ross & Sons (NY)、Hockmeyer Equipment Corp. (NJ)により製造されるものを含む、高剪断及び高速度のディスパーサーを備えたバッチ装置;Banbury型(CW Brabender Instruments Inc., NJ)及びHenschel型(Henschel mixers America, TX)を含む高剪断作用をもつバッチ装置を使用して行ってよい。連続ミキサー/コンパウンダーの例示には、シングルスクリュー、ツインスクリュー、及び多数のスクリューの押出機、共回転押出機、例えば、Krupp Werner & Pfleiderer Corp (Ramsey, NJ)により、及びLeistritz (NJ)により製造されるものなど;ツインスクリュー逆回転押出機、二段階押出機、ツインローター連続ミキサー、動的もしくは静的ミキサー、あるいはこれらの装置の組み合わせが含まれる。
【0076】
工程Iの混合が行われる温度及び圧力は重要な意味を持たないが、一般的には、常温及び常圧で行われる。典型的には、混合物の温度は、こうした高粘度物質の剪断に伴う機械エネルギーのため、混合処理の間に上昇する。
【0077】
前記方法の工程IIは、漸増量の水を工程Iの混合物に添加して水連続性エマルションを形成する工程を含む。典型的には、工程Iの混合物100部あたり5乃至45部の水を添加して、5μm未満の平均粒径を有し、且つ、水で希釈した際に安定な低固形物エマルションを生じるために十分な安定性を有する、エラストマー性ポリマーゲルもしくはゲルペーストの、水連続性エマルションを形成させる。
【0078】
添加される水の量は、プレミックス100部あたり5乃至45部で変動しうる。水は、エラストマー性ポリマーゲルもしくはゲルペーストの水連続性エマルションが形成するような割合で、プレミックスに添加される。こうした水の量が、シリコーンエラストマー及び乳化剤を含むゲルもしくはゲルペーストの選択によって変動しうる一方で、一般的に、水の量は、工程Iの混合物100重量部あたり5乃至45部、あるいは、工程Iの混合物100重量部あたり5乃至30部、あるいは、工程Iの混合物100重量部あたり5乃至20部である。
【0079】
典型的には、水の、プレミックスへの漸増量での添加は、各漸増量が8質量%未満のプレミックスを含んでおり、各漸増量の水は、その前の漸増量の水に続けて、その前の漸増量の水が分散した後に添加されることによってもたらされ、ここでは、十分な漸増量の水が添加されて、シリコーンエラストマーを含むゲルまたはゲルペーストの水連続性エマルションが形成する。
【0080】
混合工程(II)は、高粘度物質の混合をもたらすことが当業者に既知である、あらゆる方法で達成可能である。混合は、バッチ方法、準連続的または連続的な方法として行ってよい。工程(I)について記載されるいずれの混合方法も、工程(II)の混合後に使用できる。
【0081】
いかなる理論にも束縛を意図しない一方で、本願発明者は、工程(II)が、工程(I)で形成した油相連続エマルションの、水連続性エマルションへの転化を起こすと考える。
【0082】
任意に、工程(II)で形成した水連続性エマルションを、工程(III)によりさらに剪断して、粒径を縮小し、且つ/または長期貯蔵安定性を改善することができる。剪断は、上述のあらゆる混合技術によって行っても良い。
【0083】
これらの実施例は、本発明を当業者に例証することを意図しているのであり、本請求項に記載される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。すべての測定及び実験は、特記のない限り、23℃にて行われた。
【実施例】
【0084】
材料の説明:
次の材料がこれら実施例で使用された。
オルガノ水素シロキサン:
MeH CYCLICS = 式[(CH3)HSiO]x(ここで、xの平均値は4.4である)を有するメチル水素シクロシロキサン(MeHサイクリック)
不飽和基を含有するシロキサンポリマー:
ビニルシロキサン#1 = 一般式(CH=CH)(CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH((CHCH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が100であり、25℃で170mm/秒の粘度を有する)のジメチルヘキセニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
ビニルシロキサン#2 = 一般式(CH=CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH(CH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が130であり、25℃で325mm/秒の粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
ビニルシロキサン#3 = 一般式(CH=CH)(CHSiO[(CH)SiO]dpSi(CH(CH=CH)(ここで、平均重合度(dp)が8であり、25℃で4mm/秒の粘度を有する)のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン
α,ω‐不飽和ポリプロピレンオキシド:
PO20 − ポリセリンDUS‐80=20のプロピレンオキシド(PO)単位を有するα,ω‐ビスアリルポリプロピレンオキシド、日油株式会社製(日本)
MPO20 − ポリセリンDMUS‐80=20のプロピレンオキシド(PO)単位を有するα、ω‐ビスメタリルポリプロピレンオキシド、日油株式会社製(日本)
PO50 − ユニセーフPKA‐5018=50のプロピレンオキシド(PO)単位を有するα,ω‐ジアリルポリプロピレンオキシド、日油株式会社製(日本)
ビスアリルPBO − 一般式アリル-(BO)n-PO-(BO)n-アリル単位において約20のBO単位を含み、約1600g/molの分子量を有する、α,ω‐ジアリルポリ(ブチレンオキシド)、日油株式会社製(日本)
ビスアリルPTMG − 一般式アリル-(TMO)n-アリル単位において合計約19のTMO単位を含み、約1500g/molの分子量を有する、α,ω‐ジアリルポリ(テトラメチレングリコール)、日油株式会社製(日本)
ヒドロシリル化触媒:
PT CATALYST = SLY−OFF4000(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)0.52質量%の白金を含有し供給のまま用いられる白金触媒
キャリア・フルイド:
D5 FLUID OR 245 FLUID = デカメチルシクロペンタシロキサンまたはD5サイクリックス、DC245(ダウコーニングコーポレーション、米国ミシガン州ミッドランド)供給のまま用いられる
IDNP = CERAPHYL SLKの商品名でISP(International Specialty Product Co)から入手されるネオペンタン酸イソデシル
IDD = Permethyl 99Aの商品名でPresperseから入手されるイソドデカン
安定剤 = ビタミンAパルミテート(VAP)及びブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)
【0085】
(実施例1(参照例):少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサンの調製)
これらのオルガノ水素シロキサンを、MeH CYCLICS、ビニルシロキサン#1(MhexD100Mhexとも表示される)、及び対応するキャリア・フルイドを、反応フラスコに仕込み、均一に混合することによって製造した。その後、Sly-Off 4000 Pt触媒溶液(約0.52%のPt含有)を使用して、約3-5ppmのPtで触媒した。混合物を約50℃に加熱して、発熱ヒドロシリル化反応を引き起こし、更にこの反応を50乃至70℃で約3時間に亘って維持した。反応混合物が40℃未満に冷却されたところで、約0.5%のVAP/BHT(ビタミンAパルミテート及びブチル化ヒドロキシトルエン)安定剤を導入した。これらの組成物の処方及び得られた特性を、以下の表にまとめる。
【表1】

【0086】
(実施例2(参照例):成分(B)としての炭化水素/シリコーンコポリマー及びこれに基づく成分(B)の調製)
表2の組成に従い、末端にジアリル官能基を有するシリコーン炭化水素(α,ω-ジヘキセニル炭化水素オリゴマー)を、1,5-ヘキサンジエンとテトラメチルシロキサン(TMDS)とを反応させることにより調製した。この表に例示される通り、実施例#2A及び#2Bは、D5 Fluid中に製造される。IDDフルイド中に製造すること以外は、実施例#2A1及び#2B1も同様に製造される。
【表2】

【0087】
(実施例3(参照例):シリコーンエラストマーゲルの調製)
代表的なシリコーンエラストマーゲルを、以下の表3にまとめた処方に、ヒドロシリル化反応を利用して調製した。成分(A)及び(B)の合計が、ゲルネットワークを構成し、これは、本明細書中で、ゲル中の出発エラストマー含量(IEC)と呼称される。成分Dである化粧品フルイドのタイプ及び量は、以下に示される。
【表3】

エラストマーゲルは、これらの工程:1)触媒以外の全成分をガラス容器(もしくは反応器)に仕込み、均一になるように攪拌する工程;2)混合物に触媒を仕込み、触媒した混合物を、攪拌しつつ70℃の水浴中において混合物をゲル化させる工程;及び反応混合物を、70℃に合計4時間維持する工程;によって調製される。
テクスチャー分析器(TA)を使用して、エラストマーゲルの物性を特徴付けした。試験方法の詳細な説明は、前記IDで見出されるか、または発明者より入手される。測定されるゲル硬度は、ゲル圧縮応力強度の尺度であり、式を使用して算出され、TAで得られる力1の値は、まず、101.97で除算してグラムの力からニュートン単位に変換し、その後、TAプローブの1.267×10-4m2エリアで除算すると、結果は、ニュートン/ m2として得られる。別の用語「ゲルの粘度」がさらに導入され、これは、力時間1-2の値を101.97で除算し、その後1.267×10-4m2で除算すると、結果は、ニュートン・秒/ m2またはポワズ(dyne・s/cm2)として得られる。ゲル硬度及びこれらシリコーンポリエーテルゲルの粘度は、添付の表に見出される。
【0088】
(実施例4(参照例):シリコーンポリエーテルエラストマーゲルの調製)
シリコーンポリエーテルエラストマーの場合、ジアリルもしくはジメタリル官能性ポリエーテルを使用して、選択された割合(%)の有機含量を持つエラストマーゲルを生成させる。有機ポリエーテル含量は、SiHもしくはオルガノ水素シクロシロキサン及びポリエーテル成分の選択により変動しうる。以下の表には、D5 fluid中に製造された三つのシリコーンポリエーテルゲルが示される。
【表4】

【0089】
(実施例5(参照例):シリコーン有機エラストマーゲルの調製)
代表的なシリコーン有機エラストマーゲルを、ヘキセニル末端SiHシロキサンから調製して、選択された割合(%)の有機含量を持つエラストマーゲルネットワークを生成させる。シリコーン有機エラストマーゲル調製の詳細は、PCT/US07/U06936に見出される。
【表5】

【0090】
(実施例6(参照例):シリコーンエラストマーペーストの調製)
シリコーンエラストマーペーストを、以下の工程:1)前述の実施例で得られたシリコーンゲルを、機械的剪断または粉砕に処して、ゲルを、有限粒径に縮小させる工程;2)付加的な化粧品フルイドで所望のエラストマー含量(FEC)に希釈する工程;3)任意のビニル官能性クエンチャー、ビニルシロキサン#3を導入し、この混合物を2時間に亘って70℃として、この混合物中のあらゆる残留SiHを有効に除去する工程;に従って製造した。FEC(質量%)は、エラストマーブレンド中の成分(A)と成分(B)との合計であり、ここでは、成分(A)、(B)、及び(C)の合計が100部になる。
D5 Fluid中の二つのシリコーンエラストマーブレンドは、上記の方法に従って製造した。いずれのエラストマーブレンドも、D5 Fluid中で10以下のエラストマーゲル含量を有し、一方は、10%のエラストマー含量を有するエラストマーゲルから、他方は、17%のエラストマー含量を有するエラストマーゲルからである。これらエラストマーブレンドの組成及び特性は、以下の表に見出される。
【表6】

【0091】
(実施例7(参照例):シリコーンポリエーテルエラストマーペーストの調製)
化粧品フルイド中のシリコーンポリエーテルエラストマーブレンドは、本発明にしたがってシリコーンポリエーテルゲルから調製することができる。シリコーンポリエーテルエラストマーブレンドを製造するために、まず、上記の操作に従って、既知の出発エラストマー含量(IEC)のシリコーンポリエーテルゲルを調製する。その後、このシリコーンポリエーテルゲルを、機械剪断またはまたは粉砕に処して小粒径とし、次いで化粧品フルイドで所望のエラストマー含量(FEC)に希釈する。最終エラストマーブレンドは、化粧品フルイド中で膨潤及び懸濁した有限サイズのSPEゲル粒子の無水分散物である。SPEエラストマーブレンドは、透明であり、且つペースト様の堅さを有する。
シリコーンポリエーテルエラストマーブレンドは、以下の工程:1)前述の実施例で得られたポリエーテルゲルを、機械的剪断または粉砕に処して、ゲルを、有限粒径に縮小させる工程;2)付加的な化粧品フルイドで所望のエラストマー含量(FEC)に希釈する工程;3)任意のビニル官能性クエンチャー、ビニルシロキサン#3を導入し、この混合物を2時間に亘って70℃として、この混合物中のあらゆる残留SiHを有効に除去する工程;によって製造される。FEC(質量%)は、エラストマーブレンド中の、架橋した不揮発性成分の合計である。
【表7】

【0092】
(実施例8(参照例):シリコーン有機エラストマーブレンドの調製)
化粧品フルイド中のシリコーン有機エラストマーブレンドを、本発明にしたがって、シリコーン有機ゲルから調製することができる。シリコーン有機エラストマーブレンドを製造するために、まず、上記の操作に従って、既知の出発エラストマー含量(IEC)のシリコーン有機ゲルを調製する。その後、このシリコーンポリエーテルゲルを、機械剪断またはまたは粉砕に処して小粒径とし、次いで化粧品フルイドで所望のエラストマー含量(FEC)に希釈する。最終エラストマーブレンドは、化粧品フルイド中で膨潤及び懸濁した有限サイズのSi-有機ゲル粒子の無水分散物である。Si-有機エラストマーブレンドは、透明であり、且つペースト様の堅さを有する。
【表8】

【0093】
(実施例9:シリコーンエラストマーブレンドの非イオン性エマルションの調製)
シリコーンエラストマーブレンドの水連続性エマルションを以下の工程に従って調製した。
1. SEBに最適な界面活性剤を導入し、高剪断下で混合して均一にする。一つより多い界面活性剤が使用される場合は、まず、低いHLB値の界面活性剤(この場合はBrij 30)を導入し、高剪断装置、例えば、Hauschild Mixerを使用して均一に混合する。より高いHLB値の界面活性剤(この場合はRenex 30)を導入する場合は、出発SEBが典型的にはペースト様の堅さを有することから、高剪断ミキサー、例えば、Hauschild Mixerが好ましい。
2. 脱塩水を、上記SEB/界面活性剤混合物に導入する。水を一回に少量ずつ加え、次いで、この混合物が水連続性混合物に転化するまで、高剪断混合する。転化を起こすために必要とされる水の量は、典型的には、転化水と呼称される。所望の固形物濃度(質量%)が得られるまで、付加的な水が、転化混合物に加えられる。
3. 調製されたままのエマルションに、更なる高剪断処理を施して、エマルションのサイズを縮小させるかまたは、エマルションの堅さを改善する。Microfluidics製のMicrofluidizerを使用して、これらのエマルションを処理する。Microfluidizer処理の前後の特性が、以下に示される。
【表9】

【0094】
(実施例10:シリコーンエラストマーブレンドの非イオン性エマルションの調製)
シリコーンポリエーテル及びシリコーン有機エラストマーブレンドの水連続性エマルションを、上述の操作に従って調製した。以下の表に例示されるのは、これらのエマルション及びその特性の例である。
【表10】

【0095】
(実施例11:シリコーンエラストマーブレンドのカチオン性エマルションの調製)
シリコーンエラストマーブレンド、シリコーンポリエーテルエラストマーブレンド、及びシリコーン有機エラストマーブレンドの水連続性カチオン性エマルションを以下の工程に従って調製した。
1. SEBに最適な界面活性剤を導入し、高剪断下で混合して均一にする。一つより多い界面活性剤が使用される場合は、まず、低いHLB値の界面活性剤(この場合はBrij 30)を導入し、高剪断装置、例えば、Hauschild Mixerを使用して均一に混合する。より高いHLB値の界面活性剤またはイオン性界面活性剤(この場合はArquad 16-29)を導入する場合は、出発SEBが典型的にはペースト様の堅さを有することから、高剪断ミキサー、例えば、Hauschild Mixerが典型的である。
2. 脱塩水を、上記SEB/界面活性剤混合物に導入する。水を一回に少量ずつ加え、次いで、この混合物が水連続性混合物に転化するまで、高剪断混合する。転化を起こすために必要とされる水の量は、典型的には、転化水と呼称される。所望の固形物濃度(質量%)が得られるまで、付加的な水が、転化混合物に加えられる。
3. 調製されたままのエマルションに、更なる高剪断処理を施して、エマルションのサイズを縮小させるかまたは、エマルションの堅さを改善する。Microfluidics製のMicrofluidizerを使用して、これらのエマルションを処理する。Microfluidizer処理の前後の特性が、以下に示される。
【表11】

【0096】
(実施例12:シリコーンエラストマーブレンドのアニオン性エマルションの調製)
シリコーンエラストマーブレンド、シリコーンポリエーテルエラストマーブレンド、及びシリコーン有機エラストマーブレンドの水連続性カチオン性エマルションを以下の工程に従って調製した。
1.SEBに最適な界面活性剤を導入し、高剪断下で混合して均一にする。出発SEBが典型的にはペースト様の堅さを有することから、高剪断ミキサー、例えば、Hauschild Mixerが典型的である。
2.脱塩水を、上記SEB/界面活性剤混合物に導入する。水を一回に少量ずつ加え、次いで、この混合物が水連続性混合物に転化するまで、高剪断混合する。転化を起こすために必要とされる水の量は、典型的には、転化水と呼称される。所望の固形物濃度(質量%)が得られるまで、付加的な水が、転化混合物に加えられる。
3.調製されたままのエマルションに、更なる高剪断処理を施して、エマルションのサイズを縮小させるかまたは、エマルションの堅さを改善する。Microfluidics製のMicrofluidizerを使用して、これらのエマルションを処理する。Microfluidizer処理の前後の特性が、以下に示される。
【表12】

【0097】
(実施例13:OMCサンスクリーンを配合したシリコーンポリエーテルエラストマーブレンドの調製)
パーソナルケア及びヘルスケア活性剤、特に、疎水性活性剤を、シリコーンまたはシリコーン有機エラストマーブレンド中に導入してよい。活性剤含有エラストマーブレンドを、本発明に従って、水連続性エマルションにさらに乳化する。
以下の表に例示されるのは、SiH中間体ポリマーと、ジアリルポリ(オキシブチレン)、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリエーテルとの、245 FluidまたはIDD中でのヒドロシリル化反応のゲルから誘導されるエラストマーブレンド中に、OMCを導入することによって誘導された、エラストマーブレンドを含む2-エチルヘキシルメトキシシンナメート(OMC)サンスクリーンの例である。エラストマーブレンドは、約20質量%のOMC及び約10質量%のECを含む。
約30-32%の有機含量の、四つのエラストマーポリエーテルエラストマーゲルは、二つの異なるキャリア・フルイド中で、実施例1の100dpのSiHシロキサンと反応させるために二つの疎水性ポリエーテルを使用して調製される。
【表13】

OMCを、これらシリコーンポリエーテルゲルに導入して、約20%のOMC含量及び9.5-10%のFECを備えたシリコーン有機エラストマーを得る。これらのエラストマーブレンドの組成を、以下に示す。
【表14】

【0098】
(実施例14:シリコーンポリエーテルエラストマーブレンドを配合した、OMCサンスクリーンのエマルションの調製)
以下のSOEBは、この一連の実施例のために製造される。
【表15】

シリコーンエラストマーブレンドの水連続性エマルションを以下の工程に従って調製した。
1.SEBに最適な界面活性剤を導入し、高剪断下で混合して均一にする。出発SEBが典型的にはペースト様の堅さを有することから、高剪断ミキサー、例えば、Hauschild Mixerが好ましい。二つの界面活性剤が使用される場合は、通常はまず、より低いHLB値の界面活性剤を導入し、次いで、より高いHLB値の界面活性剤を、剪断下で前記混合物中に分散させる。
2.脱塩水を、上記SEB/界面活性剤混合物に導入する。水を一回に少量ずつ加え、次いで、この混合物が水連続性混合物に転化するまで、高剪断混合する。転化を起こすために必要とされる水の量は、典型的には、転化水と呼称される。所望の固形物濃度(質量%)が得られるまで、付加的な水が、転化混合物に加えられる。
3.調製されたままのエマルションに、更なる高剪断処理を施して、エマルションのサイズを縮小させるかまたは、エマルションの堅さを改善する。Microfluidics製のMicrofluidizerを使用して、これらのエマルションを処理する。Microfluidizer処理の前後の特性が、以下に示される。
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) (A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマー、
(D)任意のキャリア・フルイド、
を含む、ゲルまたはゲルペースト、及び
(ii)乳化剤
を含む、水性エマルション組成物。
【請求項2】
(E)任意のパーソナルもしくはヘルスケア活性成分を更に含む、請求項1のエマルション。
【請求項3】
エマルションが、(i)ゲル及び連続水性相を含む、内部油性相を有する、油/水エマルションである、請求項1または2のエマルション。
【請求項4】
5乃至90質量%の内部油性相、
0.5乃至20質量%の乳化剤、及び
合計で100質量%とするために十分な水、
を含む、請求項3のエマルション。
【請求項5】
(I)(i)(A)分子中に少なくとも2個のSiH含有シクロシロキサン環を有するオルガノ水素シロキサン、
(B)分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和基を有する化合物、及び
(C)ヒドロシリル化触媒、
の反応由来のシリコーンエラストマーまたはシリコーン有機エラストマー、
(D)任意のキャリア・フルイド、
(E)任意のパーソナルもしくはヘルスケア活性成分、
を含む、ゲルまたはゲルペースト、及び
(ii)乳化剤、
を混合する工程、
(II)工程Iの混合物と、漸増量の水とを混合して水連続性エマルションを形成する工程、
(III)任意に、水連続性エマルションを剪断する工程、
を含む、水性エマルションの調製方法。
【請求項6】
請求項5の方法により調製される、水性エマルション。
【請求項7】
パーソナルケア及びヘルスケア応用における、請求項1、2、及び5のエマルションの使用。

【公表番号】特表2010−540720(P2010−540720A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527045(P2010−527045)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/076953
【国際公開番号】WO2009/042509
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】