説明

シリンダヘッドガスケット

【課題】より高いシール性を確保することのできるシリンダヘッドガスケットを提供する。
【解決手段】このシリンダヘッドガスケットは、ボア孔21、およびボア孔21の周囲に形成されたウォータジャケット孔22、およびボルト孔23を備えたシールプレート10と、該シールプレート10のボア孔21の周に沿って配置されたシムプレート41とを備える。そして特に、シムプレート41のウォータジャケット孔22に対向する端辺と同ウォータジャケット孔22との間隔を0もしくは0に近いm1とし、シムプレート41のボルト孔23に対向する端辺と同ボルト孔23との間隔をm2とするとき、それら間隔m1およびm2を「m1<<m2」なる関係に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に挟まれて用いられるシリンダヘッドガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間には、その接合面における気密性を確保するために、ガスケットが挟まれている。そして従来、このようなシリンダヘッドガスケットとしては、例えば特許文献1に記載のガスケットが知られている。このシリンダヘッドガスケットでは、図7に示すように、ボア孔1の周囲に形成される板厚の厚いボア孔周縁板2の幅を、ボルト孔3の近傍で狭くしている。これにより、ガスケット内での面圧のアンバランスが調整されて面圧分布の均一化が図られるため、シリンダヘッドガスケットとしてのシール性が向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−32937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クローズドデッキ構造のシリンダブロックに対応して用いられるシリンダヘッドガスケットには、ボア孔やボルト孔に加えて、ウォータジャケット用の孔がボア孔の周囲に形成されており、このウォータジャケット孔を介して冷却水が流通している。そのため、気体が発生するボア孔の周囲とともに、ウォータジャケット孔の周囲についても冷却水のシール性の確保が重要となる。そこで例えば、ウォータジャケット孔の近傍に、ガスケットを形成する金属板の一部を盛り上げ加工したビード部を形成することにより面圧を高くしてシール性を高めることも考えられる。しかしながら、近年のエンジンの小型化の要請もあって、特にウォータジャケット孔とボア孔との間のスペースは限られており、ウォータジャケット孔の近傍にビード部を形成することも困難である。
【0005】
また、アルコール燃料の使用が可能なフレックス燃料車(FFV:フレキシブル・フューエル・ビークル)用のエンジンにおいては、アルコール燃料使用時に燃焼成分として酸が発生する。そして、この酸がガスケットとシリンダブロックの間やガスケットとシリンダヘッドの間に侵入するようなことがあると、腐食によって気密性が低下しやすくなる。特に、シリンダブロックが鋳鉄からなる場合には、こうした腐食も起こりやすいため、このような問題も無視できなくなる。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より高いシール性を確保することのできるシリンダヘッドガスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、シリンダボアの位置に合わせて形成されたボア孔、およびウォータジャケットに対応して前記ボア孔の周囲に形成されたウォータジャケット孔、およびボルトが通されるボルト孔を備えたシールプレートと、該シールプレートの前記ボア孔の周に沿って配置されたシムプレートとを有するシリンダヘッドガスケットであって、前記シムプレートの前記ウォータジャケット孔に対向する端辺と同ウォータジャケット孔との間隔を0もしくは0に近いm1とし、前記シムプレートの前記ボルト孔に対向する端辺と同ボルト孔との間隔をm2とするとき、それら間隔m1およびm2が「m1<<m2」なる関係に設定されてなることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、シムプレートとウォータジャケット孔との間隔は狭まる傾向に、逆にシムプレートとボルト孔との間隔は広まる傾向に、それら各孔とシムプレートとの間隔が設定されることになる。すなわち、シムプレートのボア孔の周からの幅でいえば、ボア孔とウォータジャケット孔との間ではその幅が拡大される傾向に、逆にボア孔とボルト孔との間ではその幅が縮小される傾向に、シムプレートの幅が設定されることになる。これにより、ビードを形成せずとも、ボア孔とウォータジャケット孔の間において、ボア孔の付近とともにウォータジャケット孔の付近の面圧を高めることができるようになる。また同時に、ボルトの締め付け荷重によってボルト孔の周囲で面圧が高くなってボア孔とボルト孔との間で面圧が不均等となることを抑えることができるようになる。したがって、ボア孔、ウォータジャケット孔、ボルト孔の周辺の面圧を一様として、全体としてのシール性を高く確保することが可能となる。すなわち、ボア孔の周囲のシール性の向上と、ウォータジャケット孔の周囲のシール性の向上との両立が可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシリンダヘッドガスケットにおいて、前記シールプレートは、シリンダヘッドと接する上面プレートと、シリンダブロックと接する下面プレートと、該上面プレートと下面プレートとの間に位置するインナープレートとの三層からなり、前記シムプレートは、前記インナープレートの前記上面プレート側に固定されていることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、シールプレートが三層構造となることにより、単層からなるシールプレートに比べて変形許容量が増えるため、シリンダヘッドガスケットとしての追従性を高めることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシリンダヘッドガスケットにおいて、前記インナープレートは、前記シムプレートと接する部分以外の部分が樹脂またはゴムによりコーティングされており、前記シムプレートは溶接によって前記インナープレートに固定されていることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、コーティングによって他の部材との密着性を高めつつ、溶接という強固な固定方法でシムプレートをインナープレートに固定することが可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載のシリンダヘッドガスケットにおいて、前記上面プレートおよび前記下面プレートには、前記ボア孔の周囲に、外側に突出するビード部が設けられていることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、シリンダヘッドおよびシリンダブロックとの組み付け時にガスケットが外側に反るようになるため、燃焼成分がガスケットとシリンダヘッド、ガスケットとシリンダブロックの間へ侵入することを抑えることができるようになる。すなわち、ボア孔の周囲におけるシール性をより高めることが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダヘッドガスケットにおいて、当該シリンダヘッドガスケットは、フレックス燃料車用のエンジンに用いられるものであることを要旨とする。
【0015】
前述のように、フレックス燃料車では、アルコール燃料使用時に燃焼成分として酸が発生する。したがって、上記構成によれば、酸の侵入によりシリンダヘッドやシリンダブロックが腐食することを適切に抑制することができるようになる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載のシリンダヘッドガスケットにおいて、前記エンジンには、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドと、鋳鉄からなるシリンダブロックが用いられることを要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、シリンダブロックが特に酸によって腐食されやすい鋳鉄からなる場合であっても、酸の侵入により該シリンダブロックが腐食することを適切に抑制することができるようになる。
【0018】
また、特に請求項2にかかる発明との組み合わせにおいては、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドの弾性を利用して、ガスケットの追従性を高く維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明にかかるシリンダヘッドガスケットの一実施の形態について、その構成の一部を拡大して示す平面図。
【図2】図1のA−A線における断面構造を示す断面図。
【図3】図1のB−B線における断面構造を示す断面図。
【図4】同実施の形態にかかるシリンダヘッドガスケットについて、インナープレートおよびシムプレートの構成の一部を拡大して示す平面図。
【図5】図4のC−C線における断面構造を示す断面図。
【図6】同実施の形態にかかるシリンダヘッドガスケットについて、ビード部の作用を模式的に示す模式図。
【図7】従来のシリンダヘッドガスケットについて、その構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態)
以下、この発明にかかるシリンダヘッドガスケットの一実施の形態について、図1〜図6を参照して説明する。なお、この実施の形態のシリンダヘッドガスケットは、フレックス燃料車用の直列4気筒型のエンジンであって、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドおよび鋳鉄からなるクローズドデッキ構造のシリンダブロックを有するエンジンに用いられるガスケットを想定している。
【0021】
図1に示すように、この実施の形態にかかるシリンダヘッドガスケットを構成するシールプレート10には、シリンダブロックのシリンダボアの位置に合わせて形成されたボア孔21が設けられている。さらに、ボア孔21の周囲には、同じくシリンダブロックのウォータジャケットの位置に対応して形成されたウォータジャケット孔22、組み付け時にボルトを通して締結するための孔であるボルト孔23が形成されている。
【0022】
このシールプレート10は、図2に示すように、シリンダヘッドと接する上面プレート11と、シリンダブロックと接する下面プレート12と、その間に位置するインナープレート13との三層から構成される。
【0023】
このうち、上面プレート11と下面プレート12には、それぞれの上面と下面の両方に、ゴムまたは樹脂等によってコーティングされたコーティング層11a,12aが設けられており、これにより、他の部材との密着性、シール性が高められている。また、これら上面プレート11と下面プレート12には、図1に示すように、ボア孔21の外側に、その周にそってフルビード31が形成されている。このフルビード31は、図2に示すように、外側に突出する態様で、すなわち上面プレート11についてはシリンダヘッド側に凸部が形成されるように、また下面プレート12についてはシリンダブロック側に凸部が形成されるように、それぞれのプレートを形成する金属板が盛り上げ加工されて形成されている。
【0024】
さらに、これら上面プレート11と下面プレート12には、図1に示すように、ウォータジャケット孔22の外側に、ハーフビード32が形成されている。このハーフビード32は、図3に示すように、フルビード31と同様、外側に突出する態様で形成されている。ただし、フルビード31が山形に形成されていることに対し、ハーフビード32は外側への傾斜面のみからなっている。
【0025】
そして、この実施の形態では、インナープレート13の上面プレート11側に、シールプレート10にかかる面圧を調整するためのシムプレート41が固定されている。このシムプレート41について、図4、図5を参照して詳しく説明する。
【0026】
図4に示すように、シムプレート41は、ボア孔21の周に沿って配置されている。そして、このシムプレート41は、ウォータジャケット孔22に対向する端辺と同ウォータジャケット孔との間隔m1が「0」もしくは「0」に近い値となるように、そのボア孔21の周からの幅が拡大されている。換言すれば、シムプレート41の端辺とウォータジャケット孔22との間隔は狭まる傾向をもってその寸法が設定されている。一方、ボルト孔23に対向する端辺と同ボルト孔23との間隔m2が、上記間隔m1に対して十分に大きくなるように、シムプレート41のボア孔21の周からの幅が縮小されている。これも換言すれば、シムプレート41の端辺とボルト孔23との間隔は広まる傾向を持ってその寸法が設定されている。
【0027】
また、図5に示すように、インナープレート13には、上述の上面プレート11、下面プレート12と同様に、その上面と下面にコーティング層13aが設けられている。ただし、シムプレート41が配置される部分については、このコーティング層13aが除去されている。したがって、インナープレート13とシムプレート41を溶接によって固定することが可能となる。ちなみに、この実施の形態では、図4に示す溶接線51に沿って、すなわちボア孔21の外側でその周に沿うように、インナープレート13にシムプレート41が溶接されている。なお、この溶接線51は、上述の上面プレート11と下面プレート12におけるフルビード31と対応する位置に設定されている。また、図5からも明らかなように、シムプレート41の厚さは、除去したコーティング層13aの厚さを考慮したうえで、コーティング層13aよりも厚くなるように設定している。その際、シムプレート41の上面プレート11側表面にコーティング層を設けた合計の厚さとしてもよい。
【0028】
続いて、この実施の形態にかかるシリンダヘッドガスケットの作用について説明する。
シムプレート41のボア孔21の周からの幅が、ウォータジャケット孔22までにおいては拡大されていることにより、ボア孔21とウォータジャケット孔22の間において、ボア孔21の付近とともに、ウォータジャケット孔22の付近の面圧が高められることとなる。また同時に、シムプレート41のボア孔21の周からの幅が、ボルト孔23の周囲までにおいては縮小されていることにより、ボルトの締結時に、ボルトの締め付け荷重によってボルト孔23の周囲で面圧が高くなり、相対的にボア孔21の付近の面圧が低下することが抑えられる。
【0029】
このように、シムプレート41の幅が、ウォータジャケット孔22の付近では拡大され、ボルト孔23の付近では縮小されていることにより、ボア孔21、ウォータジャケット孔22、ボルト孔23の周辺の面圧が一様となり、全体としてのシール性が高く確保されるようになる。すなわち、ボア孔21の周囲とともに、ウォータジャケット孔22の周囲についても、シール性が高められるようになる。なお、シムプレート41のボルト孔23に対向する端辺と同ボルト孔23との間隔m2については、ボルトの締め付け力等を考慮したうえで、ボア孔21とボルト孔23の周辺の面圧が均等となる値に設定することが望ましい。
【0030】
また、シムプレート41はインナープレート13の上面プレート11側、すなわちシリンダヘッド側に固定されている。上述のように、シリンダヘッドはアルミニウム合金からなるため、鋳鉄からなるシリンダブロックに比べて弾性が高い。したがって、シリンダヘッド側にシムプレート41を設けたことで、シムプレート41の厚さによる段差が存在しても、シリンダヘッドの弾性によりシリンダヘッドとガスケットとの追従性が高く維持されるようになる。
【0031】
また、上面プレート11および下面プレート12に形成されるフルビード31は外側に突出するように形成されている。したがって、図6に矢印で示すように、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間に組み付けた際、上面プレート11のフルビード31にはシリンダヘッドから下方向の力、下面プレート12のフルビード31にはシリンダブロックから上方向の力が働く。その結果、図6に示すように、上面プレート11の端部はシリンダヘッド側に、下面プレート12の端部はシリンダブロック側に反ることとなり、ボア孔21から、アルコール燃料の燃焼成分である酸がガスケットとシリンダヘッド、ガスケットとシリンダブロックの間へ侵入することが抑えられるようになる。また同時に、上面プレート11と下面プレート12との間は、フルビード31の裾野に力が作用し、シール性が増すことで、上面プレート11と下面プレート12との間への燃焼ガスの侵入を抑制することができる。
【0032】
以上説明したように、この実施の形態にかかるシリンダヘッドガスケットによれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)シムプレート41のウォータジャケット孔22に対向する端辺と同ウォータジャケット孔22との間隔m1を「0」もしくは「0」に近い値とし、シムプレート41のボルト孔23に対向する端辺と同ボルト孔23との間隔m2を、「m1<<m2」なる関係に設定した。すなわち、シムプレート41のボア孔21の周からの幅を、ウォータジャケット孔22付近まで拡大するとともに、ボルト孔23の周囲では縮小した。これにより、ビードを形成せずとも、ボア孔21とウォータジャケット孔22の間において、ボア孔21の付近とともにウォータジャケット孔22の付近の面圧を高めることができるようになる。また同時に、ボルトの締め付け荷重によってボルト孔23の周囲で面圧が高くなってボア孔21とボルト孔23との間で面圧が不均等となることを抑えることができるようになる。したがって、ボア孔21、ウォータジャケット孔22、ボルト孔23の周辺の面圧を一様として、全体としてのシール性を高く確保することが可能となる。すなわち、ボア孔21の周囲のシール性の向上と、ウォータジャケット孔22の周囲、特にボア孔21側のシール性の向上を両立させることができるようになる。
【0033】
(2)シールプレート10を、シリンダヘッドと接する上面プレート11と、シリンダブロックと接する下面プレート12と、該上面プレート11と下面プレート12との間に位置するインナープレート13との三層からなるようにした。また、シムプレート41を、インナープレート13の上面プレート11側に固定するようにした。したがって、シールプレート10が三層構造となることにより、単層からなるシールプレートに比べて変形許容量が増えるため、シリンダヘッドガスケットとしての追従性を高めることが可能となる。また、シムプレート41を、インナープレート13の上面プレート11側に固定することにより、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドの弾性を利用して、ガスケットの追従性を高く維持することができるようになる。
【0034】
(3)インナープレート13のシムプレート41と接する部分以外の部分を樹脂またはゴムによりコーティングし、シムプレート41を溶接によってインナープレート13に固定した。したがって、コーティングによって他の部材(上面プレート11、下面プレート12)との密着性を高めつつ、溶接という強固な固定方法でシムプレート41を固定することが可能となる。
【0035】
(4)上面プレート11および下面プレート12のボア孔21の周囲に、外側に突出するフルビード31を設けた。これにより、シリンダヘッドおよびシリンダブロックとの組み付け時にガスケットが外側に反るようになるため、燃焼成分がガスケットとシリンダヘッド、ガスケットとシリンダブロックの間へ侵入することを抑えることができるようになる。すなわち、ボア孔21の周囲におけるシール性をより高めることが可能となる。
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態は、以下のような形態にて実施することもできる。
【0036】
・上記実施の形態では、シールプレート10を三層構造としたが、シールプレートを一層や二層とし、シムプレートを設けるようにしてもよい。
・上記実施の形態では、フレックス燃料車用のエンジンを対象としたが、ガスケットのシール性の向上という点では、これに限らず、例えばガソリン車等、燃焼成分として酸が発生しない場合であっても、この発明は適用可能である。
【0037】
・上記実施の形態では、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドと鋳鉄からなるシリンダブロックを対象としたが、シリンダヘッドのおよびシリンダブロックの材料はこれに限られない。ガスケットのシール性の向上という点では、例えばシリンダブロックがアルミニウム合金からなる場合であっても、この発明は適用可能である。
【0038】
・上記実施の形態では、直列4気筒型のエンジンを対象としたが、他のタイプのエンジンを対象としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…シールプレート、11…上面プレート、12…下面プレート、13…インナープレート、11a,12a,13a…コーティング層、21…ボア孔、22…ウォータジャケット孔、23…ボルト孔、31…フルビード、32…ハーフビード、41…シムプレート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダボアの位置に合わせて形成されたボア孔、およびウォータジャケットに対応して前記ボア孔の周囲に形成されたウォータジャケット孔、およびボルトが通されるボルト孔を備えたシールプレートと、該シールプレートの前記ボア孔の周に沿って配置されたシムプレートとを有するシリンダヘッドガスケットであって、
前記シムプレートの前記ウォータジャケット孔に対向する端辺と同ウォータジャケット孔との間隔を0もしくは0に近いm1とし、前記シムプレートの前記ボルト孔に対向する端辺と同ボルト孔との間隔をm2とするとき、それら間隔m1およびm2が
m1<<m2
なる関係に設定されてなる
ことを特徴とするシリンダヘッドガスケット。
【請求項2】
前記シールプレートは、シリンダヘッドと接する上面プレートと、シリンダブロックと接する下面プレートと、該上面プレートと下面プレートとの間に位置するインナープレートとの三層からなり、前記シムプレートは、前記インナープレートの前記上面プレート側に固定されている
請求項1に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項3】
前記インナープレートは、前記シムプレートと接する部分以外の部分が樹脂またはゴムによりコーティングされており、前記シムプレートは溶接によって前記インナープレートに固定されている
請求項2に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項4】
前記上面プレートおよび前記下面プレートには、前記ボア孔の周囲に、外側に突出するビード部が設けられている
請求項2または3に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項5】
当該シリンダヘッドガスケットは、フレックス燃料車用のエンジンに用いられるものである
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリンダヘッドガスケット。
【請求項6】
前記エンジンには、アルミニウム合金からなるシリンダヘッドと、鋳鉄からなるシリンダブロックが用いられる
請求項5に記載のシリンダヘッドガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237388(P2012−237388A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107168(P2011−107168)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000228383)日本ガスケット株式会社 (43)
【Fターム(参考)】