説明

シロキサンの重合および乳化のための連続法

高粘度シリコーンポリマーを含む水中シリコーン型エマルジョンを製造する方法および装置を提供する。種々の態様において、ポリオルガノシロキサンを高粘度シリコーンポリマーに重合し、次いで、連続方法で乳化させる。この場合において、本方法を、単一の装置を用いて実行する。ある態様では、提供する装置は、ポリオルガノシロキサンを高粘度シリコーンポリマーに重合し、次いでこのポリマーを乳化させる押出機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、水中シリコーン型エマルジョンを製造するための連続法、この方法により製造されたエマルジョン、および連続法において水中シリコーン型エマルジョン形成させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高粘度シリコーンの水中シリコーン型エマルジョンは、ある種の用途では非乳化シリコーンよりも取扱いが容易である。すなわち、そのようにシリコーンを乳化させると、水溶性成分または他のエマルジョンとの混合が可能になる。シリコーンエマルジョンは、当技術分野では周知であり、コーティング、家庭、医療、化粧、およびパーソナルケアの用途において、とりわけ、より高い耐久性、保護性、耐水性、およびバリア性を提供するために広く用いられている。
【0003】
水中シリコーン型エマルジョンは、典型的には、機械的乳化、転相による機械的乳化、または乳化重合によって製造される。低粘度シリコーンのエマルジョンは、典型的には、機械的乳化によって製造される。高粘度シリコーンエマルジョンも、機械的乳化によって製造することができる。例えば、界面活性剤を、シリコーンガムと混合し、水を加えて油中水型エマルジョンを形成させ、高せん断を適用して水中シリコーン型エマルジョンへの転相を引き起こす方法が知られている。しかし、シリコーンが高度に疎水性であるため、シリコーン成分の粘度が高くなるにつれて機械混合が困難になり、高粘度の成分の機械混合が不均一な混合を生じる場合があるため、機械的方法は、高粘度シリコーンのエマルジョンの製造には適切ではないと一般に理解されてきた。したがって、高粘度シリコーンの水中シリコーン型エマルジョンの製造は、実用的には、エマルジョン重合法に限られていた。
【0004】
従来の乳化重合方法では、シロキサンは重合される前に乳化される。その方法は、典型的には、以下の三段階:(i)ミセル粒子およびシロキサン(一般に、ポリオルガノシロキサン)の液滴が形成される段階、(ii)前記シロキサンが前記ミセル粒子に拡散し、そこで重合が開始される段階、ならびに(iii)所望の分子量に達するまであるいはシロキサンが消費されるまでのポリマーが成長する段階で行われる。重合反応は、シリコーン/水界面で生じる。ここで、重合速度は小さい粒子ほど速くなる、なぜなら液滴表面積の液滴体積に対する比がより高くなり、これにより、より速い移送機構およびより高い反応速度を可能にする。このような従来方法の不利な点としては、これらだけに限定されないが、内相に関する粘度範囲の制限(例えば、高粘度ポリマーは特に問題を有する)、長いバッチ時間(したがって、生産コストが増加する)、シリコーン濃度の制限および望ましくない濃度の副生成物(例えば、シクロシロキサン)の形成が挙げられる。
【0005】
これらのおよび他の不利な点を克服するためにさまざまな試みが行われてきた。例えば、シロキサン、重合を開始させるための触媒、界面活性剤、および水を、一連の混合器、押出機、またはそれらの組み合わせに送り込むことを含む方法であって、シロキサンの重合が、乳化中または乳化後に行われる方法が記述されている。しかし、このような方法は、シリコーンの粘度および分子量を制御しようと試みているが、その制御は最適ではない。加えて、このような製法は一般に連続的ではないため、装置の種々の構成要素に依存することに起因して非能率的である。
【0006】
水中シリコーン型エマルジョンを製造する連続法および準連続法が試みられた。そこでは、シロキサンが、溶剤および/または他の不活性流動体の存在下で重合され、次いで、界面活性剤、水が添加され、エマルジョン形成のためにせん断される。しかし、この方法に必要とされる溶剤はシリコーンポリマー内に保持され、したがって、エマルジョンの内相(すなわちシリコーンポリマー)内に組み込まれる。
【0007】
シリコーンエマルジョン中の、溶剤、未反応シロキサン、触媒残渣、環状の重合副生成物、および他の不純物の存在を低減することが、当技術分野における目下の課題である。このような不純物を低減する必要性は、とりわけ、不純物の存在が下流の用途(例えば、医療、化粧、およびパーソナルケアの用途)に不適合である場合に、高くなる。そこでは、不純物の存在がエマルジョンの安定性を低下させ、あるいは、規制上の要件によってその存在の除去または低減が求められる。特に、シリコーンエマルジョン中のシクロシロキサン、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンなどの存在を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,715,334号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、高粘度シリコーンの水中シリコーン型エマルジョンを製造するための連続法について、当技術分野で依然として必要性がある。これによって、シリコーンポリマーの粒径、粘度、シリコーン濃度(すなわち、%固形分)、および分子量が最適に制御され、溶剤および他の不純物(特にシクロシロキサン)が極小限に抑えられ、かつ、効率性が単一装置の使用によって達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当技術分野でのこれらまたその他のニーズが、本発明の実施態様によって提供される、装置、水中シリコーン型エマルジョン、および、この水中シリコーン型エマルジョンを製造する連続法によって満足される。さまざまな実施態様によって、押出機内で水中シリコーン型エマルジョンを製造するための連続法であって、(i)1種または複数種のポリオルガノシロキサンを重合することによって高粘度シリコーンポリマーを形成させる工程;(ii)任意の、前記ポリマーを中和またはストリッピングする工程;(iii)前記ポリマーを冷却する工程;(iv)任意の、1種または複数種の乳化剤を前記ポリマーと混合する工程;(v)任意の、水を前記ポリマーに加える工程;(vi)せん断を加えて水中シリコーン型エマルジョンを形成させる工程;(vii)任意の、前記エマルジョンを希釈する工程を含み、すべての工程を押出機内で行う方法を提供する。また、本方法によって製造した水中シリコーン型エマルジョンを提供する。一部の態様によれば、水中シリコーン型エマルジョンは、オクタメチルテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンのうちの少なくとも一つを低い濃度で有する。他の実施態様では、連続法で水中シリコーン型エマルジョンを形成するための押出機を提示する。
【0011】
本発明のこれらのまたさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明によって明らかになろう。
【0012】
本発明およびその多くの実施態様は、以下の詳細な記述を参照し、添付の図面と関連させて考察することによってより良く理解されることによって、容易により完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本明細書で記述する方法に用いる押出機の実施態様を示す。
【図2】図2は、本明細書で記述する方法に用いる押出機の実施態様を示す。
【図3】図3は、本明細書で記述する方法に用いる押出機のさらなる実施態様であって、ストリッピング・ゾーン5Bが中和ゾーン5Cの前にある実施態様を示す。
【図4】図4は、本明細書で記述する方法に用いる押出機のさらなる実施態様であって、ストリッピング・ゾーン5Bが中和ゾーン5Cの後にある実施態様を示す。
【図5】図5は、得られるエマルジョンのいくつかの物理的特性(シリコーンポリマー粘度、エマルジョン粒径、低分子量不純物の含量)が、加工処理条件によってどのような影響を受け得るかの例を示す。ドデシルベンゼンスルホン酸界面活性剤‐触媒を用いる直鎖状ポリジメチルシロキサンポリマーの縮合反応では、シリコーンポリマーの分子量は、スクリューのRPMおよびスクリュー設計の両方の影響を受け、これらの両方は反応ゾーンにおける平均滞留時間に影響を及ぼす。
【図6】図6は、エマルジョンの結果的な物理特性(シリコーンポリマー粘度、エマルジョン粒径、低分子量不純物の含量)が、加工処理条件によってどのような影響を受け得るかの例を示す。ドデシルベンゼンスルホン酸界面活性剤‐触媒を用いる直鎖状ポリジメチルシロキサンポリマーの縮合反応では、得られるポリマーの分子量は、反応が起こる温度によって影響を受け得る。
【図7】図7は、エマルジョン特性が、本方法に導入された原料物質の比によってどのような影響を受けるかを示す。図5−6で言及した反応条件下と同じ反応条件下では、光散乱法によって測定したエマルジョンの平均粒径が、乳化ゾーンで押出機に導入する水の量を変化させることによってコントロールされている。
【図8】図8は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンと水素末端ポリジメチルシロキサンとの付加反応に関して、鎖延長剤の割合が、最終のシリコーンポリマーの粘度に及ぼす影響を示す。ここでは、水素末端ポリマーが鎖延長剤として機能している;および
【図9】図9は、直鎖状の縮合反応に関して、得られるポリマーの高い分子量、および低分子量シクロシロキサン不純物の低い濃度などの望ましい特性が、低スクリュー速度で最適化され得るが、これらの同じ加工処理条件が、平均エマルジョン粒径に(より小さい粒径が望まれると仮定すると)望ましくない影響を与える可能性もあることを示す。これは、加工処理条件が、シリコーンポリマー特性(分子量、不純物濃度)およびエマルジョン特性(粒径)の両方に対して、単一プロセスユニットにおいて最適化される、本明細書で記述する方法および装置の固有の性質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の特徴および利点を、具体的な実施態様を時々参照しながら以下に記述する。しかし、本発明は、さまざまな態様で実施することができ、本明細書に説明した実施態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施態様は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分伝えるように、提供する。
【0015】
別段定義しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的用語は、本発明が関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書の記述において用いる専門用語は具体的な、実施態様を記述するために用いるものであり、限定することを意図するものではない。
【0016】
明細書および添付の特許請求の範囲で用いられている単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形をも含むことを意図する。
【0017】
炭化水素基に関して明細書および添付の特許請求の範囲で用いる用語「置換」は、炭化水素基の1個または複数個の水素原子が別の置換基で置き換えられていることを意味する。そのような置換基の例として、以下に限定されないが、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など);ハロゲン化有機基(例えば、クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチル、およびノナフルオロヘキシルなど);酸素原子;酸素含有基(例えば、(メタ)アクリルおよびカルボキシなど);窒素原子;窒素原子含有基(例えば、アミン、アミノ官能基、アミド官能基、およびシアノ官能基など);イオウ原子;ならびにイオウ原子含有基(例えば、メルカプト基など)が挙げられる。
【0018】
明細書および添付の特許請求の範囲で用いる用語「粒径」は、3−SIDD表示、300RFレンズ、2,40mmのビーム長、および10〜20%のオブスキュレーション(obscuration)を有するMalvern Mastersizer Sを用いて、製造者の推奨方法に従って測定した平均粒径を意味することを意図する。
【0019】
明細書および添付の特許請求の範囲で用いる用語「粘度」は、#52スピンドルを有するブルックフィールドDV−IIIレオメーターを用いて、製造者の推奨する試験方法に従って、常温で測定した粘度を意味することを意図する。
【0020】
明細書および添付の特許請求の範囲で用いる用語「高粘度シリコーンポリマー」は、25℃で少なくとも10,000mm/sの粘度を有するシリコーンポリマーを意味することを意図する。
【0021】
別段表示しない限り、明細書および添付の特許請求の範囲で用いる、成分の量、分子量等の特性、反応条件その他を表す数字のすべては、用語「約」により修飾されるものと理解されるべきである。従って、別段表示しない限り、明細書および添付の特許請求の範囲で説明する数値的特性は、本発明の実施態様で求め得られる所望特性次第で変動させ得る概算値である。本発明の広い範囲を説明する数値的範囲およびパラメーターが概算値であるにもかかわらず、具体例で説明する数値はできるだけ正確に報告する。しかし、任意の数値は、本質的にそれぞれの測定で見られる誤差から必然的に生じる一定の誤差を含んでいる。
【0022】
実施態様によって、高粘度シリコーンポリマーおよび狭い粒径範囲(例えば、比D(v,0.9)/D(v,0.5)が3未満)を有する水中シリコーン型エマルジョンを製造するための連続法を提供する。ここで、出発物質は直鎖状、実質的直鎖状、および/または環状のポリオルガノシロキサンであり、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、および/または他の不純物の低濃度が達成可能である。一部の側面では、連続法でポリオルガノシロキサンから高粘度シリコーンの水中シリコーン型エマルジョンを製造するための装置を提供する。他の側面では、装置は、単軸押出機および多軸押出機から選ばれる。
【0023】
従来法とは対照的に、本方法の実施態様の実施は、最初にシリコーンポリマーを形成させる工程と、次に乳化させて所望の水中シリコーン型エマルジョンを形成させる工程とを含む。シリコーンポリマーは、ポリオルガノシロキサン出発物質(一般に、直鎖状、実質的直鎖状、および/または環状のポリオルガノシロキサン)の系内での(in situ)重合によって形成される。重合は急激であり、溶剤(触媒、任意の末端封鎖剤、および/または当技術分野で知られている任意のその他の添加剤のキャリアとして必要とされるもの以外の溶剤)を必要としない。したがって、最終製品において、溶剤およびその他の不純物の低濃度(例えば、0.3重量%未満)が達成可能である。さらに、本方法によって、エマルジョンに組み込まれる望ましくないシクロシロキサン、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンなどの低濃度(例えば、約0〜0.3重量%)がもたらされる。いくつかの側面では、本方法により、温度、圧力、および反応速度を多才に制御することが可能になる。それにより、乳化条件とともに反応速度論の最適化が可能になる。さらに、本方法は、市販されている装置において生産速度がより高い(例えば、実証された175倍を超えて高い)、より大きな装置に容易に拡張可能である。本方法の鋭敏かつ柔軟な特質は、その化学に固有の自由度と組み合わせられて、シリコーンポリマー粘度、乳化剤の型、および粒径における広範囲の可能性を実現可能にする。
【0024】
本明細書において記述する連続法は、ある側面では、以下の工程:
(i)押出機内で1種または複数種のシロキサンを重合することによってシリコーンポリマーを形成させる工程
〔ここで、重合は、(A)反応性ヒドロキシ基を有するポリオルガノシロキサンの縮合重合;(B)シクロシロキサンの開環重合;(C)不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと水素末端ポリオルガノシロキサンとの付加重合;および(D)これらの組み合わせから選択し;
重合を、溶剤(触媒、任意の末端封鎖剤および当技術分野で知られている任意のその他の添加剤にキャリアとして用いる溶剤以外の溶剤)の不存在下で行う〕;
(ii)シリコーンポリマーを中和および/またはストリッピングする任意の工程;
(iii)中和されたシリコーンポリマーを冷却する工程;
(iv)1種または複数種の乳化剤を混合する任意の工程;
(v)水を加える任意の工程;
(vi)せん断を加えてエマルジョンを形成させる工程;ならびに
(vii)前記エマルジョンを希釈し、かつ/あるいは前記エマルジョンにその他の添加剤を添加する、任意の工程
を含み、すべての工程(i)〜(vii)を、同じ押出機を用いて行う。
【0025】
本方法の一つの工程は、押出機の反応ゾーンにおける、1種または複数種のシロキサンの重合を含む。ある側面では、この重合反応は、(A)反応性ヒドロキシ基を有する直鎖状または実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンの縮合重合;(B)シクロシロキサンの開環重合;(C)不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと水素末端ポリオルガノシロキサンとの混合物の付加重合;および(D)これらの組み合わせから選ぶことができる。
【0026】
ポリオルガノシロキサンの縮合重合
任意の適切な縮合重合反応経路(例えば、酸、塩基、またはその他の触媒の存在下、水などの低分子量副生成物の除去をしながら、ヒドロキシ官能基を有するシロキサンを重合させる経路)を利用することができる。特定の側面では、本方法は、出発物質として、反応性ヒドロキシル基を有する直鎖状または実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンを利用する。そのようなポリオルガノシロキサンは、一般に、式(1)によって特徴付けることができる:
(1) RO[R3SiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子、1から8個の炭素原子を含有するアルキルまたは置換アルキル基、1から8個の炭素原子を含有するアリールまたは置換アリール基から選ばれ、xは、少なくとも2の値を有する整数である)。特定の側面では、xは、3−80の範囲の値を有する整数である。他の側面では、xは、3−49の範囲の値を有する整数である。さらなる側面では、xは、50−80の範囲の値を有する整数である。Rの例として、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec‐ブチル、イソブチル、およびtert‐ブチルが挙げられる。良好な結果が、ポリジメチルシロキサンで得られた。
【0027】
前記ポリマー鎖中の種々の基の存在と同時に、ポリマーは適度の分岐を含んでいてもよく、なお本明細書で用いる用語「直鎖状」または「実質的に直鎖状」であるとみなすことができる。特定の側面では、分岐度は10%未満である。他の側面では、分岐度は2%未満である。
【0028】
本発明の方法の縮合重合工程に用いる直鎖状または実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサン出発物質は、特定の側面では、25℃で約40mm/s〜約100mm/sの粘度を有していてよい。良好な結果は、25℃で約53mm/s〜約88mm/sの粘度を有する直鎖状または実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンで得られた。
【0029】
本方法の実施態様の実施は、押出機の反応ゾーン(図1中5Aで示す)へのポリオルガノシロキサンの導入を含む。そこでは、縮合重合反応が、溶剤(触媒、任意の末端封鎖剤、および当技術分野で知られているその他の添加剤にキャリアとして用いる任意の溶剤以外の溶剤)の不存在下で進む。いくつかの側面では、触媒を、押出機内でポリオルガノシロキサンに添加し、混合する。他の側面では、触媒は、混合物を押出機に(例えば、押出機に備え付けた静的ミキサーを介して)導入する直前に、ポリオルガノシロキサンに添加し、混合する。どちらの場合にも、重合は、主として押出機の反応ゾーンで起こる。いくつかの側面では、押出機の反応ゾーンは、外部滞留ループ(External residence loop)を含み、シロキサン/ポリマー混合物が(駆動部がいずれの末端に設置されるかに関わらず)下流のストリッピング・中和ゾーンに入る前に、追加的に反応する時間をもたらす効果を有する。
【0030】
基本的には、当技術分野で知られている任意の適切な縮合触媒を、本方法に利用することができる。ある側面では、プロトン酸、ルイス酸および塩基、有機酸および塩基、ならびに無機酸および塩基を用いる。例えば、BF、FeCl、AlCl、ZnCl、およびZnBrを用いることができる。あるいは、有機酸、例えば、一般式:RSOHを有するもの〔式中、Rは、6から18個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、ヘキシルまたはドデシル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、またはアルカリール基(例えば、ドデシルベンゼン基)を用いることができる。ある側面では、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)が、用いる触媒である。反応押出し法に適するその他の縮合特異的な触媒としては、以下に限定されないが、n‐ヘキシルアミン、テトラメチルグアニジン、ルビジウムまたはセシウムのカルボン酸塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、または水酸化ストロンチウム、および、一般式:[X(PX=N)PX(式中、Xはハロゲン原子を示し、zは1から6までの整数である)を有するホスホニトリルハロゲン化物イオンをベースとする触媒が挙げられる。ある側面では、[PCl=N−PCl=N−PClPClが、用いる触媒である。
【0031】
当業者であれば、縮合重合が副生成物としての水の生成を含むことを理解している。本発明の特定の側面では、縮合中に形成された水を除去することが必須であっても必須ではなくてもよい。一部の側面では、水の除去は必須であり、縮合重合工程中、あるいは縮合重合工程後であって、任意の中和工程の前に行う。水を除去する方法は、当技術分野で知られている。
【0032】
シクロシロキサンの開環重合
任意の適切な開環重合反応経路を利用することができる。特定の側面では、本発明の方法は、出発物質としてシクロシロキサンを利用する。シクロシロキサンは、式(2):
(2) [R2SiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子、または場合により置換されていてもよく、1から8個の炭素原子を含有する、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、もしくはアラルキル基から選ばれ、xは、3〜12の範囲の値を有する整数である)
により特徴付けられるポリオルガノシロキサンである。例えば、アルキル基は、メチル、エチル、n‐プロピル、トリフルオロプロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、iso‐ブチル、およびtert‐ブチルであってよい。アルケニル基は、例えばビニル、アリル、プロペニル、およびブテニルであってよい。例えば、アリールおよびアラルキル基は、フェニル、トリル、およびベンゾールであってよい。特定の側面では、Rは、水素原子、メチル、エチル、フェニル、ビニル、およびトリフルオロプロピルから選ばれ、xは、3から6までの整数である。例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、およびシクロペンタメチルヒドロシロキサンが、本方法に適する環状シロキサンである。
【0033】
本方法のシクロシロキサン出発物質は、特定の側面では25℃で約1mm/s〜約5mm/sの粘度を有する。良好な結果は、25℃で約2mm/s〜約3mm/sの粘度を有するシクロシロキサンで得られた。
【0034】
本方法の実施態様の実施は、シクロシロキサンを、押出機の反応ゾーンに導入する工程を含む、ここで重合反応は、溶剤(触媒、任意の末端封鎖剤、および当技術分野で知られているその他の添加剤にキャリアとして用いる任意の溶剤以外の溶剤)の不存在下で進む。特定の側面では、触媒を、シクロシロキサンに、押出機内で添加し、混合する。他の側面では、触媒を、シクロシロキサンに、混合物を押出機に導入する直前に、(例えば、押出機に備え付けられた静的ミキサーを介して)添加し、混合する。どちらの場合でも、重合は、主として押出機の反応ゾーンで起こる。特定の側面では、押出機の反応ゾーンは、外部滞留ループを含み、シロキサン/ポリマー混合物が、下流のストリッピング・中和ゾーンに入る前に、追加的に反応する時間をもたらす効果を有する。
【0035】
基本的には、任意の適切な開環重合触媒を、本方法に用いることができる。例えば、触媒は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化セシウムなど);アルカリ金属アルコキシド、またはアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体;ならびに、アルカリ金属シラノラート(silanolate)(例えば、カリウムシラノラート、セシウムシラノラート、ナトリウムシラノラート、およびリチウムシラノラートなど)、またはカリウムトリメチルシラノラートから選ぶことができる。利用し得るその他の触媒としては、ホスホニトリルハロゲン化物、ホスファゼン酸、およびホスファゼン塩基が挙げられる。特定の側面では、ポリジメチルアミノホスファゼニウムヒドロキシドを、反応押出成形法に用いる。
【0036】
ポリオルガノシロキサンの付加重合
本方法の重合工程は、不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと水素末端ポリオルガノシロキサンとの混合物の付加重合であってよい。特定の側面では、付加重合経路は、Si‐H結合が、適切な触媒の存在下で、不飽和結合(例として、アルケニルまたはアルキニル基)の両端に付加する、ヒドロシリル化反応である。反応混合物中のポリオルガノシロキサンの少なくとも1種は、付加型反応に供され得る1個または複数の不飽和脂肪族基を含有し、その他のポリオルガノシロキサンの少なくとも1種は、付加型反応に供され得る1個または複数のSi‐H基を含有する。特定の側面では、ポリオルガノシロキサンは、直鎖状、実質的に直鎖状、または分岐状であり、式(3):
(3) RO[RSiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子、1から8個の炭素原子を含有するアルキルまたは置換アルキル基、1から8個の炭素原子を含有するアルケニルまたは置換アルケニル基、1から8個の炭素原子を含有するアルキニルまたは置換アルキニル基、および1から8個の炭素原子を含有するアリールまたは置換アリール基から選ばれ、xは、少なくとも2の値を有する整数である)
により特徴付けられる。いくつかの側面では、xは、3〜1300の範囲の値の整数である。他の側面では、xは3〜650の範囲の値の整数である。さらなる側面では、xは、651〜1300の範囲の値の整数である。Rの例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec‐ブチル、イソ‐ブチル、tert‐ブチル、ビニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニル、およびブチニルが挙げられる。特定の側面では、少なくとも1個のR、R、R、またはRは、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、または置換アルキニル基である。他の側面では、少なくとも1個のR、R、R、またはRは、水素原子である。
【0037】
前記ポリマー鎖中の種々の基の存在と同時に、ポリマーは、適度の分岐を含んでいてよく、なお(本明細書で用いる用語で)「直鎖状」または「実質的直鎖状」であるとみなすことができる。特定の側面では、分岐度は10%未満である。他の側面では、分岐度は2%未満である。
【0038】
本方法の付加重合工程に用いるポリオルガノシロキサン出発物質は、特定の側面では、25℃で約8mm/s〜約55,000mm/sの粘度を有していてよい。良好な結果は、25℃で約8mm/s〜約12mm/sの粘度を有するポリオルガノシロキサンおよび25℃で約25,000mm/s〜約52,000mm/sの粘度を有するポリオルガノシロキサンで得られた。
【0039】
本方法の実施態様の実施は、ポリオルガノシロキサンを、押出機の反応ゾーンに導入する工程を含む。ここで、重合反応は、溶剤(触媒、任意の末端封鎖剤、および当技術分野で知られているその他の添加剤にキャリアとして用いる任意の溶剤以外の溶剤)の不存在下で進む。いくつかの側面では、触媒を、ポリオルガノシロキサンに、押出機内で添加し、混合する。他の側面では、触媒を、ポリオルガノシロキサンに、混合物を押出機に導入する直前に、(例えば、押出機に備え付けられた静的ミキサーを介して)添加し、混合する。どちらの場合にも、重合は、主として押出機の反応ゾーンで起こる。いくつかの側面では、押出機の反応ゾーンは、外部滞留ループを含み、シロキサン/ポリマー混合物が、下流のストリッピング・中和ゾーンに入る前に追加的に反応する時間をもたらす効果を有する。
【0040】
任意の適切な付加重合触媒を、本発明の方法に用いることができる。例えば、触媒を、Si‐H末端シロキサンモノマーのケイ素結合水素原子と、その他のシロキサンモノマー上の不飽和炭化水素基との反応を促進する、任意の金属含有触媒から選ぶことができる。そのような金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、または白金で例示される。適切な触媒の例としては、以下に限定されないが、クロロ白金酸;アルコール変性クロロ白金酸;クロロ白金酸のオレフィン錯体;クロロ白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体;炭素担体に吸着した微細白金粒子;例えばPt(Al)などの金属酸化物に担持された白金;白金黒;白金アセチルアセトナート;白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン);PtCl、PtCl、Pt(CN)で例示されるハロゲン化白金;ハロゲン化白金とエチレン、プロピレン、およびオルガノビニルシロキサンで例示される不飽和化合物との錯体;スチレンヘキサメチル二白金;白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体;クロロ白金酸と不飽和脂肪族基含有有機ケイ素化合物との反応生成物;塩化白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの中和された錯体;ルテニウム触媒〔例えば、RhCl(BuS)など〕;ならびに、ルテニウムカルボニル化合物(例えば、ルテニウム1,1,1‐トリフルオロアセチルアセトナート、ルテニウムアセチルアセトナート、トリルテニウムドデカカルボニル、またはルテニウム1,3‐ケトエノレートなど)が挙げられる。
【0041】
適切な白金触媒は、米国特許第2,823,218号(通例、「スパイヤー触媒」と呼ばれる)および米国特許第3,923,705号に記載されている。白金触媒は、カールシュテットの米国特許第3,715,334号および第3,814,730号に記載されている「カールシュテット触媒」であってよい。カールシュテット触媒は、典型的にトルエンなどの溶剤中約1重量パーセントの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。あるいは、白金触媒は、米国特許第3,419,593号に記載されている、クロロ白金酸と末端脂肪族不飽和を有する有機ケイ素化合物との反応生成物であってよい。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、米国特許第5,175,325号に記載されている、塩化白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの中和された錯体である。
【0042】
他の適切なヒドロシリル化触媒としては、以下に限定されないが、ロジウム触媒〔例えば、[Rh(OCCH、Rh(OCCH、Rh(C15、Rh(C、Rh(C)(CO)、Rh(CO)[PhP](C)、RhX[(RS]、(RP)Rh(CO)X、(RP)Rh(CO)H、Rh、HRhオレフィンCl、Rh(O(CO)R3−n(OH)(式中、Xは、水素、塩素、臭素、またはヨウ素であり、Yは、アルキル基、例えばメチルもしくはエチルなど、CO、C14、またはC12であり、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基であり、かつ、Rは、アルキル基、アリール基、または酸素置換基であり、aは0または1であり、bは1または2であり、cは1〜4の整数であり、dは2、3、または4であり、nは0または1である)など〕が挙げられる。任意の適切なイリジウム触媒、例えばIr(OOCCH、Ir(C、[Ir(Z)(En)、または[Ir(Z)(Dien)](式中、Zは、塩素、臭素、ヨウ素、またはアルコキシであり、Enはオレフィンであり、かつ、Dienは、シクロオクタジエンである)など〕を用いることができる。さらなる、適切なヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許第3,159,601号;同第3,220,972号;同第3,296,291号;同第3,516,946号;同第3,989,668号;同第4,784,879号;同第5,036,117号;および同第5,175,325号、ならびにヨーロッパ特許第0347895B号に記載されている。
【0043】
反応の組み合わせ
本方法の重合工程は、反応性ヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンの縮合重合;シクロシロキサンの開環重合;および、不飽和脂肪族基を有するポリオルガノシロキサンと水素末端ポリオルガノシロキサンとの混合物の付加重合から選ばれる重合反応の組合せであってもよい。
【0044】
重合反応の組み合わせを利用する本方法の実施態様の実施は、上述したシロキサン出発物質の混合物を混合する工程、上述した触媒を混合する工程、上述したとおりに出発物質を装置に導入する方法を実施する工程を含む。
【0045】
縮合反応、開環反応、付加重合反応、またはこれらの組み合わせのいずれを本方法の最初の工程に選択するかにかかわらず、結果として、高粘度シリコーンポリマーが押出機の反応ゾーンで形成される。特定の側面では、形成されるシリコーンポリマーは、25℃で約10,000mm/s〜約200,000,000mm/sの粘度を有する。例えば、良好な結果は、直鎖状または実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンの縮合重合によって得られ、この場合において、形成されるシリコーンポリマーは、25℃で約80,000mm/s〜約10,000,000mm/sの粘度を有する。さらに、良好な結果はポリオルガノシロキサンの付加重合により得られ、この場合において、形成されるシリコーンポリマーは、25℃で約1,200,000mm/s〜約170,000,000mm/sの粘度を有する。
【0046】
選択する重合反応(すなわち、縮合、開環、付加、またはこれらの組み合わせ)の特質に加えて、用いる触媒の量は、とりわけシロキサン出発物質および所望するシリコーンポリマー次第である。典型的には、存在する触媒の量は、約2ppm〜約208ppm(シロキサン量に基づく重量ppm)であり、以下に限定されないが、約2〜12ppm、約12〜24ppm、約24〜36ppm、約36〜48ppm、約48〜60ppm、約60〜72ppm、約72〜84ppm、約84〜96ppm、約96〜108ppm、約108〜120ppm、約120〜136ppm、約136〜148ppm、約148〜160ppm、約160〜172ppm、約172〜184ppm、約184〜196ppm、および約196〜208ppmが含まれる。いくつかの側面では、触媒は、約3ppm〜約53ppmの量、以下に限定されないが、約3〜13ppm、約13〜23ppm、約23〜33ppm、約33〜43ppm、および約43〜53ppmが含まれる量で存在する。さらなる側面では、触媒は溶剤中に約1〜50重量%の量で存在する。
【0047】
所望される場合には、当技術分野で知られている任意の適切な末端封鎖剤(例えば、水、ポリメチルシロキサン、またはポリマーの末端基と反応可能な基を1個有するシラン)を、反応ゾーンに添加して、ポリマー中に適切な末端基を導入し、かつ重合反応を停止させることもできる。これによって、得られるシリコーンポリマーの平均分子量を制限する。末端封鎖剤は、シリコーンポリマーの所望の分子量範囲をもたらすように計算した量で存在させる。特定の側面では、末端封鎖剤を、押出機内で、シロキサンに添加し、混合する。いくつかの側面では、末端封鎖剤を、押出機に混合物を導入する直前にシロキサンに添加し、混合する。
【0048】
加えて、所望される場合には、シリコーンポリマー製造において使用することが知られている任意の従来の添加剤を反応ゾーンに添加することもできる。添加剤は、シリコーンポリマーの所望特性を得るために計算した量で存在させる。いくつかの側面では、添加剤を、押出機内で、シロキサンに添加し、混合する。他の側面では、添加剤を、押出機に混合物を導入する直前に、シロキサンに添加し、混合する。
【0049】
押出機の反応ゾーンは、シロキサン/ポリマー混合物の反応温度を、反応ゾーンの圧力およびシロキサン/ポリマー混合物の押出量/滞留時間と共に、制御することができる。選択した触媒、所望する反応生成物およびその特性、ならびに任意の末端封鎖剤およびその他の任意の添加剤は、温度、圧力、および滞留時間をどのように選択するかに影響を与え得る。いくつかの側面では、反応ゾーン(またはその一部)は約0℃から約200℃の温度、以下に限定されないが、約0℃〜10℃、約10℃〜20℃、約20℃〜30℃、約30℃〜40℃、約40℃〜50℃、約50℃〜60℃、約60℃〜70℃、約70℃〜80℃、約80℃〜90℃、約90℃〜100℃、約100℃〜110℃、約110℃〜120℃、約120℃〜130℃、約130℃〜140℃、約140℃〜150℃、約150℃〜160℃、約160℃〜170℃、約170℃〜180℃、約180℃〜190℃、約190℃〜200℃の温度に維持することができる。他の側面では、反応ゾーンは約15℃〜135℃の温度、以下に限定されないが、15℃〜30℃、約30℃〜45℃、約45℃〜60℃、約60℃〜75℃、約75℃〜90℃、約90℃〜105℃、約105℃から120℃、および約120℃〜135℃など、に維持される。さらなる側面では、反応ゾーンは約120℃〜180℃の温度、以下に限定されないが120℃〜130℃、約130℃〜140℃、約140℃〜150℃、約150℃〜160℃、約160℃〜170℃、および約170℃〜180℃の温度に維持することができる。
【0050】
いくつかの側面では、反応ゾーン(またはその一部)は約3000Pa〜約102,000Paの圧力、以下に限定されないが、約3000〜6000Pa、約6000〜12,000Pa、約12,000〜18,000Pa、約18,000〜24,000Pa、約24,000〜30,000Pa、約30,000〜36,000Pa、約36,000〜42,000Pa、約42,000〜48,000Pa、約48,000〜54,000Pa、約54,000〜60,000Pa、約60,000〜66,000Pa、約66,000〜72,000Pa、約72,000〜78,000Pa、約78,000〜84,000Pa、約84,000〜90,000Pa、約90,000〜96,000Pa、および約96,000〜102,000Paの圧力に維持することができる。他の側面では、圧力は、約3400Pa〜約35,400Paの圧力、以下に限定されないが、約3400〜5400Pa、約5400〜7400Pa、約7400〜9400Pa、約9400〜11,400Pa、約11,400〜13,400Pa、約13,400〜15,400Pa、約15,400〜17,400Pa、約17,400〜19,400Pa、約19,400〜21,400Pa、約21,400〜23,400Pa、約23,400〜25,400Pa、約25,400〜27,400Pa、約27,400〜29,400Pa、約29,400〜31,400Pa、約31,400〜33,400Pa、および約33,400〜35,400Paの圧力である。
【0051】
実施態様によれば、反応ゾーン内の滞留時間(任意の外部滞留ループ内の滞留時間を含む)は、約3秒〜約32分であってよく、以下に限定されないが、約3〜15秒、約15〜30秒、約30〜45秒、約45〜60秒、約60〜75秒、約75〜90秒、約90〜105秒、約105〜120秒、約2〜5分、約5〜8分、約8〜11分、約11〜14分、約14〜17分、約17〜20分、約20〜23分、約23〜26分、約26〜29分、約29〜32分、およびこれらの一部が含まれる。
【0052】
十分な反応時間後、形成されたシリコーンポリマーは、押出機の下流のストリッピング・中和ゾーンに入る。一部の側面では、中和は、ストリッピングの前に行う。他の側面では、中和は、ストリッピングの後に行う。さらなる実施態様では、ストリッピングのみを行う。別の実施態様では、ストリッピングおよび中和のいずれも行わない。
【0053】
中和剤を用いる場合、選択した触媒に適切な任意の中和剤を用いることができる。酸性タイプの縮合触媒に適切な中和剤としては、以下に限定されないが、アミン塩基、例えば、モノ、ジ、およびトリ‐アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミンおよびトリエタノールアミン)が挙げられる。一部の側面では、トリヘキシルアミンが、適切な中和剤である。ホスファゼンをベースとする縮合触媒に適切な中和剤としては、以下に限定されないが、ホスファゼンの抑制剤および不活性化剤(例えば、トリイソノニルアミン、n‐ブチルリチウム、リチウムシロキサノレート、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、および酸化マグネシウムなど)が挙げられる。開環重合触媒に適した中和剤としては、以下に限定されないが、酸(例えば、酢酸など)、シリルホスファート、ポリアクリル酸、塩素置換シラン、またはシリルホスホナートが挙げられる。一部の側面では、トリメチルシリルビニルホスホン酸エステルが、開環重合触媒に適切な中和剤である。いくつかの側面では、中和剤は、溶剤中に約1〜50重量%の量で存在する。
【0054】
触媒残渣、未反応シロキサン、および他の生成物(例えば、シクロシロキサン、溶剤、および水)は、ポリマー生成物中に残存していてもよく、ストリッピング・中和ゾーンでストリッピングにより除去、あるいは押出機を出た後で他の手段によって除去することもできる。ストリッピングは、一般に、ストリッピング・中和ゾーン(またはその一部)を約20℃から約250℃の温度、以下に限定されないが、約20℃〜30℃、約30℃〜40℃、約40℃〜50℃、約50℃〜60℃、約60℃〜70℃、約70℃〜80℃、約80℃〜90℃、約90℃〜100℃、約100℃〜110℃、約110℃〜120℃、約120℃〜130℃、約130℃〜140℃、約140℃〜150℃、約150℃〜160℃、約160℃〜170℃、約170℃〜180℃、約180℃〜190℃、約190℃〜200℃、約200℃〜210℃、約210℃〜220℃、約220℃〜230℃、約230℃〜240℃、および約240℃〜250℃を含む温度に加熱することによって実施することができる。特定の側面では、ストリッピングは、約130℃から約180℃まで、以下に限定されないが、約130℃〜135℃、約135℃〜140℃、約140℃〜145℃、約145℃〜150℃、約150℃〜155℃、約155℃〜160℃、約160℃〜165℃、約165℃〜170℃、約170℃〜175℃、および約175℃〜180℃を含む温度で実施することができる。一部の側面では、ストリッピングは、約3000〜53,000Paの減圧下、以下に限定されないが、約3000〜5000Pa、約5000〜7000Pa、約7000〜9000Pa、約9000〜11,000Pa、約11,000〜13,000Pa、約13,000〜15,000Pa、約15,000〜17,000Pa、約17,000〜19,000Pa、約19,000〜21,000Pa、約21,000〜23,000Pa、約23,000〜25,000Pa、約25,000〜27,000Pa、約27,000〜29,000Pa、約29,000〜31,000Pa、約33,000〜35,000Pa、約35,000〜37,000Pa、約37,000〜39,000Pa、約39,000〜41,000Pa、約43,000〜45,000Pa、約45,000〜47,000Pa、約47,000〜49,000Pa、約49,000〜51,000Pa、および約51,000〜53,000Paを含む減圧下で実施することができる。ストリッピング中に除去した物質は、濃縮し、回収することができる。
【0055】
十分にストリッピングおよび/または中和された後、シリコーンポリマーは、押出機の冷却ゾーンに入り、そこでポリマーが冷却される。一部の側面では、冷却ゾーン(またはその一部)を、約0℃〜約60℃の温度、以下に限定されないが、約0℃〜10℃、約10℃〜20℃、約20℃〜30℃、約30℃〜40℃、約40℃〜50℃、および約50℃から60℃を含む温度に維持することができる。
【0056】
任意選択で、冷却後、1種または複数種の追加のポリマーを、冷却されたシリコーンポリマーと混合してもよい。そのような追加のポリマーは、シリコーンポリマーまたは非シリコーンポリマーから選ぶことができる。特定の側面では、ヒドロキシ官能性ポリシロキサン、トリメチル官能性ポリシロキサン、ビニル官能性ポリシロキサン、水素官能性ポリシロキサン、およびアミノ官能性ポリシロキサンから選ばれるポリシロキサンを、冷却されたシリコーンポリマーと混合することができる。
【0057】
十分な冷却工程(および、追加ポリマーとの任意の混合工程)の後、得られたシリコーンポリマーは、押出機の乳化ゾーンに入り、そこでせん断がスクリューの回転によって加えられ、乳化剤および/または水が場合により添加される。一部の側面では、スクリューは約100〜1500回転/分(RPM)の速度、以下に限定されないが、約100〜300RPM、約300〜500RPM、約500〜700RPM、約700〜900RPM、約900〜1100RPM、約1100〜1300RPM、および約1300〜1500RPMを含む速度で回転させることができる。特定の側面では、スクリューは、約400RPM〜約800RPMの速度、以下に限定されないが、約400〜450RPM、約450〜500RPM、約500〜550RPM、約550〜600RPM、約600〜650RPM、約650〜700RPM、約700〜750RPM、および約750〜800RPMを含む速度で回転する。さらなる側面では、重合反応から生成した水が、せん断が加えられて乳化・転相が引き起こされるために十分であり、したがって、乳化剤も水も添加する必要がない。他の側面では、1種または複数種の乳化剤および場合により追加の水を、エマルジョンの形成に必要とされる。
【0058】
本明細書で用いる「乳化剤」は、エマルジョンの形成を可能にする任意の化合物または物質をさす。エマルジョンは、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、多相または三重エマルジョンであってよい。乳化剤は、エマルジョンを安定化することができる任意の界面活性化合物またはポリマーから選ぶことができる。典型的には、そのような界面活性化合物またはポリマーは、分散粒子の癒合を防ぐことにより、エマルジョンを安定化する。本方法において乳化剤として有用な界面活性化合物は、界面活性剤または複数の界面活性剤の組み合わせであってよい。基本的には、用いる界面活性剤は、シリコーンの乳化に知られている任意の界面活性剤であってよく、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、および/または両性であってよい。しかし、界面活性剤の選択は、とりわけ選択したシロキサン、用いる触媒、重合中に形成されるシリコーンポリマー、および所望のエマルジョン特性に次第である。異なる型の界面活性剤および/または同じ型の異なる界面活性剤の混合物を用いることができる。界面活性剤は、未希釈の形態で乳化ゾーンに添加することができ、あるいは、水と混合し、次いで乳化ゾーンに添加することができる。1種を超える界面活性剤を用いる場合には、界面活性剤は、事前に混合して同時に乳化ゾーンに添加することができ、あるいは連続的に乳化ゾーンに添加することができる。
【0059】
陽イオン性界面活性剤の例としては、以下に限定されないが、第四級アンモニウムヒドロキシド(例えば、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシド、およびココトリメチルアンモニウムヒドロキシドなど)ならびにこれらの物質の相当する塩、脂肪族アミンおよび脂肪酸アミドならびにこれらの誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ならびに、ベンゾイミダゾリンおよびポリ(エトキシル化/プロポキシル化)アミンの第四級アンモニウム塩基が挙げられる。
【0060】
陰イオン性界面活性剤の例としては、以下に限定されないが、アルキルスルファート(例えば、ラウリルスルファートなど)、ポリマー(例えば、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーなど)、アルキルベンゼンスルホン酸および塩(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸、およびミリスチルベンゼンスルホン酸など);モノアルキルポリオキシエチレンエーテルの硫酸エステル;アルキルナフチルスルホン酸;アルカリ金属スルホスクシナート、脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル(例えば、ヤシ油酸のスルホン化モノグリセリドなど)、スルホン化1価アルコールのエステル塩、アミノスルホン酸のアミド、脂肪酸ニトリルのスルホン化生成物、スルホン化芳香族炭化水素、ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒドとの縮合生成物、オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸アルカリ金属塩、エステルスルファート、アルカリールスルホナートが挙げられる。陰イオン性界面活性剤には、高級脂肪酸のアルカリ金属石鹸、アルキルアリールスルホナート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど)、長鎖脂肪アルコールスルファート、オレフィンスルファート、およびオレフィンスルホナート、硫酸化モノグリセリド、硫酸化エステル、スルホン化エトキシル化アルコール、スルホサクシナート、アルカンスルホナート、ホスファートエステル、アルキルイセチオナート、アルキルタウラート、およびアルキルサルコシナートが含まれる。
【0061】
非イオン性界面活性剤の例としては、以下に限定されないが、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールまたは脂肪酸(例えば、C12〜16アルコールなどの)との縮合物、エチレンオキシドとアミンまたはアミドとの縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの縮合物、グリセロールエステル、スクロース、ソルビトール、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フッ素系界面活性剤、脂肪族アミンオキシド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリエチレングリコール長鎖アルキルエーテルなど)、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシラートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマーおよびアルキルポリサッカリド、ポリマー界面活性剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)など)、ならびにポリビニルメチルエーテルが挙げられる。特定の側面では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールまたは複数のポリオキシエチレン脂肪アルコールの混合物である。他の側面では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪アルコールまたは複数のポリオキシエチレン脂肪アルコールの混合物の水性分散物である。
【0062】
両性界面活性剤の例としては、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルファート、ココベタイン、ココアミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N‐ココ‐3‐アミノ酪酸、およびイミダゾリニウムカルボキシル化合物が挙げられる。
【0063】
界面活性剤は、水性、非水性、および/または希釈もしくは非希釈の形態であってよい。したがって、選択した界面活性剤、その水性/非水性の性質、その希釈/非希釈形態、およびエマルジョンの所望の特性によって、エマルジョンを形成させるために、追加の水を添加するか否かが決定されるであろう。特定の側面では、界面活性剤だけの添加で乳化に十分である。他の側面では、界面活性剤および水の両方を添加することが必要である。さらなる側面では、選択した触媒(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸)が界面活性剤特性を有し、乳化に関与し得る。同様に、いくつかの側面では、選択した界面活性剤(例えば、ベンゼンスルホン酸および第四級アンモニウム塩)が、重合のための触媒作用を有し得る。
【0064】
押出機の乳化ゾーンに添加する界面活性剤の量は、一般に、約0.1%〜約20.1%(シロキサンモノマーに基づく重量%)であってよく、以下に限定されないが、約0.1%〜1.1%、約1.1%〜2.1%、約2.1%〜3.1%、約3.1%〜4.1%、約4.1%〜5.1%、約5.1%〜6.1%、約6.1%〜7.1%、約7.1%〜8.1%、約8.1%〜9.1%、約9.1%〜10.1%、約10.1%〜11.1%、約11.1%〜12.1%、約12.1%〜13.1%、約13.1%〜14.1%、約14.1%〜15.1%、約15.1%〜16.1%、約16.1%〜17.1%、約17.1%〜18.1%、約18.1%〜19.1%、約19.1%〜20.1%の量が含まれる。
【0065】
(乳化および/または転相の目的で)存在させる水の量は、界面活性剤組成物中に存在する水を含めて、一般に、約0.5%〜約30.5%(シロキサンモノマーに基づく重量%)であってよく、以下に限定されないが、約0.5%〜1.5%、約1.5%〜2.5%、約2.5%〜3.5%、約3.5%〜4.5%、約4.5%〜5.5%、約5.5%〜6.5%、約6.5%〜7.5%、約7.5%〜8.5%、約8.5%〜9.5%、約9.5%〜10.5%、約10.5%〜11.5%、約11.5%〜12.5%、約12.5%〜13.5%、約13.5%〜14.5%、約14.5%〜15.5%、約15.5%〜16.5%、約16.5%〜17.5%、約17.5%〜18.5%、約18.5%〜19.5%、約19.5%〜20.5%、約20.5%〜21.5%、約21.5%〜22.5%、約22.5%〜23.5%、約23.5%〜24.5%、約24.5%〜25.5%、約25.5%〜26.5%、約26.5%〜27.5%、約27.5%〜28.5%、約28.5%〜29.5%、約29.5%〜30.5%の量が含まれる。
【0066】
別の実施態様では、乳化剤は、ポリマー、または当技術分野で「増粘剤」として認められているポリマー物質であってよい。そのようなポリマー乳化剤としては、以下に限定されないが、ポリビニルアルコール、セルロースポリマー、またはキサンタンガムが挙げられる。ポリビニルアルコールには、加水分解されたポリビニルアルコール、例えば80〜95%加水分解されたポリビニルアルコールが含まれる。適切な増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グア−ガム、ヒドロキシプロピルグア−ガム、エトキシル化アルコール(例えば、ラウレス‐4またはポリエチレングリコール400など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロースによって例示されるもの)、デンプンおよびデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロースおよびデンプンアミロースにより例示されるもの)、ローカストビーンガム、電解質(塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムにより例示されるもの)、ならびにサッカリド(例えば、フラクトースおよびグルコースなど)およびサッカリド誘導体(例えば、PEG‐120メチルフルコースジオラートなど)、またはこれらの2種以上の混合物によって例示される。典型的には、増粘剤は、セルロース誘導体、サッカリド誘導体、および電解質を含む群から選ばれ、あるいは、上述した増粘剤の2種以上の組み合わせ(セルロース誘導体と任意の電界質、およびデンプン誘導体と任意の電解質の組み合わせにより例示されるもの)から選ばれる。
【0067】
押出機の乳化ゾーンで、せん断を適用して、油および水の分散体のシリコーン連続相を転相させて、分散相にする。こうして、重合中に形成された水またはシリコーン油相に段階的方法で添加された水のいずれかである限られた量の水が、転相を受けて連続相になり、水中シリコーン型エマルジョンが形成される。水および/または乳化剤の量は、最終的なエマルジョンの粒径に影響を与える。特定の側面では、形成されるエマルジョンは、約0.1μm〜約25μm[D(v,0.5)]の平均粒径を有し得る。例えば、約0.2μm〜約0.6μm[D(v,0.5)]、約0.32μm〜約0.55μm[D(v,0.5)]、約0.35μm〜約0.85μm[D(v,0.5)]、および約0.3μm〜約20μm[D(v,0.5)]の平均粒径を有するエマルジョンが得られた。
【0068】
エマルジョンは、典型的には30〜60%の固形分を有するところ、本明細書に記述した方法は、広い範囲の%固形分を有するエマルジョンを可能にする。例えば、本方法は最高で95%までの固形分を有するエマルジョンを可能にする。パーセント固形分は、全配合物中の非揮発性成分の重量パーセントに基づく計算値である。計算は、既知量の物質をオーブンに入れ、揮発物を追い出すために一定時間加熱し、その後物質を再秤量し、重量差を計算することによって確認することができる。
【0069】
こうして、特定の側面では、本方法により製造されるエマルジョンは、広い範囲のシリコーンポリマー粘度および分子量、粒径、ならびにパーセント固形分を有する。さらなる側面では、エマルジョンは低濃度の:溶剤、未反応シロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、および/または他の不純物を有する。
【0070】
所望のエマルジョンが形成され、所望の粒径に達した後、場合により、好ましい固形分含有量を得るために、次の希釈工程で追加の水を押出機の希釈ゾーンに加えることができる。当技術分野で知られている他の添加剤をこの段階で添加することもできる。例えば、防腐剤、増粘剤、および/または安定剤などの添加剤を加えることができる。
【0071】
水中シリコーン型エマルジョンを製造する方法に加えて、この方法を実施するために適切な装置も提供する。この装置により、高粘度シリコーンの水中シリコーン型エマルジョンが、ポリオルガノシロキサンから連続法で形成される。実施態様によれば、この装置は、単軸押出機および多軸押出機から選ばれる。一部の側面では、物質は、前方ピッチエレメント、逆ピッチエレメント、およびこれらの組み合せから選ばれるエレメントを有する1本または複数本のスクリューによって、押出機内を移動する。特定の側面では、物質は、主として(すなわち、長さ50%を超える)前方ピッチエレメントを有する1本または複数本のスクリューによって押出機内を移動し、他の側面では、物質は、主として(すなわち、長さの50%を超える)逆ピッチエレメントを有する1本または複数本のスクリューによって押出機内を移動する。さらなる側面では、物質は、順方向(すなわち、押出機の駆動端から遠ざかる方向)に押出機内を移動し、あるいは、逆方向(すなわち、押出機の駆動端に進む方向)に押出機内を移動する。
【0072】
図1および図2は、本明細書に記述した本方法に有用な押出機を示す。二軸押出機5には、ポリオルガノシロキサン出発物質1、触媒2、および任意の添加剤3(例えば、末端封鎖剤またはシリコーンポリマーの製造に用いられる他の従来の添加剤)のそれぞれを、任意の静的ミキサー4を通過させ、次いで重合反応が制御された温度および圧力下で起こる押出機反応ゾーン5Aに連続的に供給するための供給ラインが接続される。追加的な反応時間が望まれる場合には、外部滞留ループ5A2を利用することができる。この外部滞留ループは、所望の滞留時間を作り出すために十分な容積の外部長さのパイプを介して押出機から流動体を迂回させ、押出機の下流箇所に戻すようなスクリュー設計を利用することによって作製される。この外部滞留ループを温度制御するかまたはこれに断熱体を取り付けることもできる。実施態様によれば、反応ゾーン5Aは、押出機全長の約5%から約80%を占める。
【0073】
重合反応で製造されたシリコーンポリマーは、反応ゾーン5Aから押出機下流のストリッピング・中和ゾーン5B,Cに移動する。ストリッピング・中和ゾーンでは、任意のストリッピング工程が、ポリマーが加熱および/または減圧下に置かれることによって行われ得、これによって、反応副生成物6(例えば、揮発性シロキサン、未反応シクロシロキサン、または水)が、シリコーンポリマーから除去される。除去された物質は、濃縮され、集められる。任意の中和剤7を、反応機構を停止させるために、連続的に押出機に供給することができる。中和剤を添加する場合には、任意のストリッピング工程の前および後のいずれかに添加することができる。実施態様によれば、ストリッピング・中和ゾーン5B、Cは、押出機全長の約5%から約75%を占める。
【0074】
ストリップおよび/または中和されたシリコーンポリマーは、ストリッピング・中和ゾーン5B、Cから押出機下流の冷却ゾーン5Dに移動する。この冷却ゾーンでは、ポリマーは、押出機下流の乳化ゾーン5Eに移動する前に冷却され、1種または複数種の乳化剤8および/または水9が、場合により押出機に連続的に供給され、かつ、回転スクリュー(図示せず)によって加えられるせん断によって乳化が行われる。実施態様によれば、冷却ゾーン5Dは、押出機全長の約5%から約25%を占め、乳化ゾーン5Eは、押出機全長の約5%から約50%を占める。
【0075】
所望のエマルジョンが形成された直後に、場合により、乳化ゾーン5Eから押出機下流の希釈ゾーン5Fに移動する。この希釈ゾーンでは、追加の水10および/またはその他の添加剤11が、場合により、押出機に供給される。最後に、乳化されたシリコーンポリマーが、押出機からライン12を通し取り出される。実施態様によれば、任意の希釈ゾーン5Fは、押出機全長の約5%から約25%を占める。
【0076】
さらなる側面によれば、駆動部13は、運転中物質が駆動部13から押しやられるか、あるいは物質が駆動部13に向かうように、押出機のいずれかの末端に設置することができる。
【0077】
図3も、本方法に有用な押出機を示す。二軸押出機5には、出発物質1(ポリオルガノシロキサン)、触媒2、および任意の添加剤3(例えば、末端封鎖剤またはシリコーンポリマー製造に用いられる従来の他の添加剤)それぞれを、場合により静的ミキサー4を通過させ、次いで重合反応が制御された温度および圧力下で行われる押出機反応ゾーン5Aに連続的に供給する供給ラインが接続されている。
【0078】
重合反応によって製造されたシリコーンポリマーは、反応ゾーン5Aから押出機下流のストリッピングゾーン5Bに移動する。このストリッピングゾーンでは、ストリッピング工程が、ポリマーが加熱および/または減圧下に置かれることにより行われ得る。これによって。反応副生成物6(例えば、揮発性シロキサン、未反応シクロシロキサン、または水)が、シリコーンポリマーから除去される。除去された物質を、濃縮し、集めることができる。実施態様によれば、ストリッピング・ゾーン5Bは、押出機全長の約5%から約50%を占める。
【0079】
ストリップされたシリコーンポリマーは、ストリッピング・ゾーン5Bから押出機下流の中和ゾーン5Cに移動する。この中和ゾーンでは、中和剤7が反応機構を停止させるために押出機に連続的に供給される。実施態様によれば、中和ゾーン5Cは、押出機全長の約5%から約25%を占める。
【0080】
中和されたシリコーンポリマーは、中和ゾーン5Cから押出機下流の冷却ゾーン5Dに移動する。この冷却ゾーンでは、ポリマーが、押出機下流の乳化ゾーン5Eに移動する前に冷却され、1種または複数種の乳化剤8および/または水9が、場合により押出機に連続的に供給され、回転スクリュー(図示せず)により加えられるせん断によって乳化が行われる。
【0081】
所望のエマルジョンが形成された直後に、場合により、乳化ゾーン5Eから押出機下流の希釈ゾーン5Fに移動する。この希釈ゾーンでは、追加の水10および/または他の添加剤11が、場合により押出機に供給される。最後に、乳化されたシリコーンポリマーが、押出機からライン12を通して取り出される。物質は、スクリューによって駆動部13に向かって押出機内を移動する。
【0082】
図4は、本方法に有用な別の押出機を示す。二軸押出機5には、出発物質1(ポリオルガノシロキサン)、触媒2、および任意の添加剤3(例えば、末端封鎖剤またはシリコーンポリマー製造に用いられる従来の他の添加剤)それぞれを、任意の静的ミキサー4を通過させ、次いで、重合反応が制御された温度および圧力下で行われる押出機反応ゾーン5Aに連続的に供給する供給ラインが接続される。
【0083】
重合反応によって製造されたシリコーンポリマーは、反応ゾーン5Aから押出機下流の
中和ゾーン5Cに移動する。この中和ゾーンでは、中和剤7が反応機構を停止させるために押出機に連続的に供給される。
【0084】
中和されたポリマーは、中和ゾーン5Cから押出機下流のストリッピング・ゾーン5Bに移動する。このストリッピング・ゾーンでは、ポリマーが加熱および/または減圧下に置かれることによってストリッピングが行われ得、これにより反応副生成物6(例えば、揮発性シロキサン、未反応シクロシロキサン、または水)が、シリコーンポリマーから除去される。除去された物質は濃縮し、集めることができる。
【0085】
ストリップされたシリコーンポリマーは、ストリッピング・ゾーン5Bから押出機下流の冷却ゾーン5Dに移動する。この冷却ゾーンでは、ポリマーは、押出機下流の乳化ゾーン5Eに移動する前に冷却され、1種または複数種の乳化剤8および/または水9が、場合により押出機に連続的に供給され、回転スクリュー(図示せず)により加えられるせん断によって乳化が行われる。
【0086】
所望のエマルジョンが形成された直後に、場合により、乳化ゾーン5Eから押出機下流の希釈ゾーン5Fに移動する。この希釈ゾーンでは、追加の水10および/または他の添加剤11が、場合により押出機に供給される。最後に、乳化されたシリコーンポリマーは、押出機からライン12を通して取り出される。物質は、スクリューによって、駆動部13の反対方向へ押出機内を移動する。
【0087】
押出機の設計が、単一装置での重合、中和、ストリッピング、および乳化を可能にする。当業者は、この装置によって、重合および乳化両方のためのスクリュー速度、重合および乳化両方のための押出量、温度管理、ポリオルガノシロキサン出発物質の管理、高粘度シリコーンポリマーの管理に関する制約が克服されることを理解するであろう。
【実施例】
【0088】
例証のために提示され、かつ限定を意図するものではないと当業者が認識する、以下の実施例を参照することによって、実施態様がより良く理解されるであろう。
【0089】
[実施例1]:縮合重合
エマルジョンを、ヒドロキシ末端ジメチルシロキサン(HO‐[Si(Me)O]‐H;ヒドロキシ末端化されたCAS登録番号70131−67−8;粘度約55−90cSt)を335g/分の速度で、および、アルキルベンゼンスルホン酸を29g/分の速度で、静的ミキサーに供給し、次いで、20℃未満の温度に保持された押出機に供給することによって製造した。用いた押出機は、25mm同方向噛合型Krupp Werner Pfleiderer二軸押出機であり、これは、種々の市販の、分配・分散混合および熱伝導用の1.55比スクリューエレメントを使用している。押出機には、必要とされる場合には、追加の反応時間を可能にするための外部滞留ループを取り付ける。十分な反応時間後、20g/分のトリエタノールアミン(99%)を押出機に供給した。反応から発生した水がポリマーを乳化するに十分であり、D(v,0.5)=0.5μm、D(v,0.9)=0.6μmのエマルジョンが調製された。内相をGPCで分析したところ、Mz=250,000を示した。
【0090】
[実施例2]:縮合重合
エマルジョンを、ヒドロキシ末端ジメチルシロキサン(HO‐[Si(Me)O]‐H;ヒドロキシ末端化されたCAS登録番号70131−67−8;粘度約55−90cSt)を182g/分の速度で、および、塩化ホスホニトリル((PCl3=N‐PCl2=N‐PCl3)+、(PCl6)−)触媒(ジクロロメタン中50:1に希釈されたもの)を2.25ml/分の速度で、押出機に供給することによって製造した。混合物は、押出機内で、130℃の温度に加熱した。押出機には、28.5インチHgの真空源に接続されたベントポートを取り付けた。次いで、3.00ml/分の中和剤(ジクロロメタン中50:1に希釈したトリヘキシルアミン)を、反応を停止させるために押出機に供給した。30℃に冷却した後、2種の水溶性非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル〕を、毎分5.3グラムおよび3.4グラムの速度で加え、シロキサンポリマーを乳化させ、D(v,0.5)=1.5μm、D(v,0.9)=2.8μmの93%固形分のエマルジョンを調製した。内相を、GPCで分析したところ、Mz=274,000および1,031,000mm/sの粘度を示した。オクタメチルシクロテトラシロキサン含量は、得られたエマルジョン中0.27重量%と測定された。デカメチルシクロペンタシロキサン含量は、エマルジョン中0.24重量%と測定された。
【0091】
[実施例3]:縮合重合
エマルジョンを、ヒドロキシ末端ジメチルシロキサン(HO‐[Si(Me)O]‐H;ヒドロキシ末端化されたCAS登録番号70131−67−8;粘度約55−90cSt)を188g/分の速度で、および、塩化ホスホニトリル触媒(ジクロロメタン中50:1に希釈されたもの)を2.25ml/分の速度で、押出機に供給することによって製造した。混合物は、押出機内で、130℃の温度に加熱した。押出機には、28.5インチHgの真空源に接続されたベントポートを取り付けた。次いで、3.00ml/分の中和剤(ドデシルメチルシクロヘキサシロキサン中50:1に希釈したトリヘキシルアミン)を、反応を停止させるために押出機に供給した。65℃に冷却した後、追加のアミノ官能性ポリシロキサン〔ジメチルメチル(アミノエチルアミノイソブチル)シロキサン〕を20g/分の速度で添加し、ポリマーに混合し、続いて2種の水性陽イオン性界面活性剤〔ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(例えば、Arquad16−19)およびアルキルポリエチレングリコールエーテル(例えば、Lutensol XP79)〕および水を、それぞれ4.6g/分、3.2g/分、および8.4g/分の速度で加え、シロキサンポリマーを乳化させ、D(v,0.5)=2.3μm、D(v,0.9)=3.9μmの約93%固形分のエマルジョンを調製した。内相をGPCで分析したところ、Mz=270,000を示した。オクタメチルシクロテトラシロキサン含量は、得られたエマルジョン中0.28重量%と測定された。デカメチルシクロペンタシロキサン含量は、エマルジョン中0.23重量%と測定された。
【0092】
[実施例4]:開環重合
エマルジョンを、250g/分の速度のオクタメチルシクロテトラシロキサンを、0.1g/分の速度のトリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン(50CcStの粘度)および0.1g/分の速度のポリジメチルアミノホスファゼニウムヒドロキシド触媒と共に、100℃の温度で押出機の反応ゾーンに入るストリームに供給することによって製造した。トリメチルシリルビニルホスホン酸中和剤を、中和ゾーンに0.1g/分で供給した。反応の残余物および低揮発性不純物を、ストリッピング・ゾーンでストリッピングさせた。非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル)および水を混合し、乳化ゾーンに導入した(界面活性剤は20g/分、水は8.3g/分の速度で導入した)。得られたエマルジョンの粒径は、D(v,0.5)=0.8μm、D(v,0.9)=1.1μmであった。内相のSiポリマーガムは、0.95mm(38ミル)の可塑性と測定された。可塑性は、ASTM D926基準に準拠して平行板Scott Tester, Inc. C544445装置およびサンプル4.2gを用いて測定した。
【0093】
[実施例5]:付加重合
エマルジョンを、ビニル末端ジメチルシロキサン(CH=CH‐[Si(Me)O]‐CH=CH;ジメチルビニルシロキシ末端CAS登録番号68083−19−2;約45,000〜65,000cStの粘度)を350g/分で;水素末端ジメチルシロキサン(水素末端CAS登録番号70900−21−9、0.15%〜0.21%のSiHを有するもの)を8.4g/分の速度で;および、上記用いるビニル末端ジメチルシロキサンと同じビニル末端ジメチルシロキサン中のカールシュテット白金触媒(CAS登録番号68478−92−2)の分散液(分散液は約0.52重量%の白金元素濃度を有する)およそ80ppmを、100℃の温度に保持された押出機に供給することによって製造した。十分な反応時間後、2種の非イオン性界面活性剤〔ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル〕を13g/分および23.3g/分の速度で供給し、水を8.5g/分の速度で押出機に供給し、ポリマーを乳化させて、D(v,0.5)=0.55um、D(v,0.9)=0.96umのエマルジョンを調製した。
【0094】
内相を分析したところ、134,000,000mm/gの粘度を有した。水素末端ジメチルシロキサンを、ビニル末端ジメチルシロキサンの1.9〜2.4%の範囲で変動させて、得られるポリマー粘度を、1,856,000〜175,000,000mm/gの範囲に亘って変動させることができる。水は、押出機に供給される合計で2.5〜5.0%の範囲に亘って変動させて、エマルジョンの平均粒径を、0.4〜1.4μmの範囲に亘って変化させることができる(界面活性剤濃度は一定に保つ)。
【0095】
本発明が、本明細書に記述した具体的実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、本発明のすべての側面を網羅すると理解されるべきである。種々の変形および等価の方法の他に、本発明を適用することができる多数の装置および道具が当業者には容易に明らかになるであろう。当業者は、明細書に記述されたものに限定するものとみなされるべきではない本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行い得ることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0096】
1 出発物質
2 触媒
3 添加剤
4 静的ミキサー
5 二軸押出機
5A1 反応ゾーン
5A2 外部滞留ループ
5B ストリッピング・ゾーン
5C 中和ゾーン
5D 冷却ゾーン
5E 乳化ゾーン
5F 希釈ゾーン
6 反応副生成物
7 中和剤
8 乳化剤
9 水
10 水
11 添加剤
12 ライン
13 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機で水中シリコーン型エマルジョンを製造する連続法であって、
(i)1種または複数種のポリオルガノシロキサンを押出機内で重合させることによって、高粘度シリコーンポリマーを形成させる工程
(ここで、重合は、(a)縮合重合することができる少なくとも1個のヒドロキシ基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンの縮合重合;(b)少なくとも1種のシクロシロキサンの開環重合;(c)少なくとも1個の不飽和脂肪族基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンおよび少なくとも1種の水素末端ポリオルガノシロキサンの混合物の付加重合;および(d)これらの組み合わせから選択され;
1種または複数種の触媒、1種または複数種の任意の末端封鎖剤、および1種または複数種の任意のその他の添加剤を、前記ポリオルガノシロキサンと混合し;
重合を、前記触媒、前記任意の末端封鎖剤、および前記任意の添加剤のためのキャリアとして用いられる溶剤以外の溶剤の不存在下で行う);
(ii)前記高粘度シリコーンポリマーを、押出機内で中和またはストリッピングする、任意の工程
(ここで、ストリッピングは、中和剤を添加する前に、添加した後に、あるいは添加することなく行うことができる);
(iii)前記高粘度シリコーンポリマーを、押出機内で冷却する工程;
(iv)1種または複数種の乳化剤を、押出機内で、前記高粘度シリコーンポリマーと混合する、任意の工程
(ここで、前記乳化剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水性界面活性剤、および非水性界面活性剤から選ばれる);
(v)水を、押出機内で、前記高粘度シリコーンポリマーに添加する、任意の工程;
(vi)押出機内でせん断を加えて水中シリコーン型エマルジョンを形成させる工程
(ここで、前記エマルジョンは、高粘度シリコーンポリマーを含み、前記エマルジョンは、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンの少なくとも1つを低濃度で含む);ならびに
(vii)前記エマルジョンを押出機内で希釈する、任意の工程
を含み、
前記押出機が、単軸押出機および多軸押出機から選ばれる、連続法。
【請求項2】
前記高粘度シリコーンポリマーを、25℃で約40mm/s〜約100mm/sの粘度を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンの縮合重合によって形成させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオルガノシロキサンが、直鎖状のポリオルガノシロキサンまたは実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンから選ばれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオルガノシロキサンが、式(1):
(1) RO[RSiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子;1から8個の炭素原子を有するアルキルまたは置換アルキル基;および1から8個の炭素原子を有するアリールまたは置換アリール基から選ばれ;かつ、
xは、2〜80の値の整数である)
で特徴づけられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記各Rが、独立に、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec‐ブチル、iso‐ブチル、およびtert‐ブチルから選ばれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオルガノシロキサンがポリジメチルシロキサンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記高粘度シリコーンポリマーが、25℃で約1mm/s〜約5mm/sの粘度を有する少なくとも1種のシクロシロキサンの開環重合によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シクロシロキサンが、式(2):
(2) [RSiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子、または、1から8個の炭素原子を有し、任意に置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、またはアラルキルから選ばれ、かつ、xは、3〜12の値の整数である);
で特徴づけられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記Rが、独立に、水素原子、メチル、エチル、n‐プロピル、トリフルオロプロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、iso‐ブチル、tert‐ブチル、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、フェニル、トリル、およびベンゾイルから選ばれる、請求項8の方法。
【請求項10】
前記シクロシロキサンが、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、およびシクロペンタメチルヒドロシロキサンから選ばれる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記高粘度シリコーンポリマーを、25℃で約8mm/s〜約55,000mm/sの粘度を有するポリオルガノシロキサンの付加重合によって形成させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリオルガノシロキサンが、直鎖状のポリオルガノシロキサンおよび実質的に直鎖状のポリオルガノシロキサンから選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリオルガノシロキサンが、式(3):
(3) RO[RSiO]
(式中、各Rは、独立に、水素原子;1から8個の炭素原子を有するアルキルまたは置換アルキル基;1から8個の炭素原子を有するアルケニルまたは置換アルケニル基;1から8個の炭素原子を有するアルキニルまたは置換アルキニル基;および、1から8個の炭素原子を有するアリールまたは置換アリール基から選ばれ;かつ、
xは、2〜1300の値の整数である)
で特徴づけられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記Rの少なくとも1個が、独立に、置換または非置換のビニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニル、およびブチニルから選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が、塩化ホスホニトリル、ポリジメチルアミノホスファゼニウムヒドロキシド、および白金触媒から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記中和剤が、トリエタノールアミン、トリヘキシルアミン、およびトリメチルシリルビニルホスホン酸から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約10,000mm/s〜約200,000,000mm/sの粘度を有するシリコーンポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約80,000mm/s〜約10,000,000mm/sの粘度を有するシリコーンポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約1,200,000mm/s〜約175,000,000mm/sの粘度を有するシリコーンポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約0.1マイクロメータ〜約25マイクロメータの平均粒径[D(v,0.5)]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約0重量%〜約0.3重量%のオクタメチルシクロテトラシロキサン含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記水中シリコーン型エマルジョンが、約0重量%〜約0.3重量%のデカメチルシクロペンタシロキサン含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
連続法で水中シリコーン型エマルジョンを形成させるための押出機であって、
(A)第一および第二末端部;(B)駆動部;(C)駆動部へ動作可能に接続された一個または複数の回転スクリュー;(D)シリコーンポリマーを1種または複数種のシロキサンの重合によって形成させる反応ゾーン;(E)任意の、前記シリコーンポリマーを中和する中和ゾーン;(F)任意の、前記シリコーンポリマーをストリッピングさせるストリッピング・ゾーン;(G)前記シリコーンポリマーを冷却する冷却ゾーン;(H)少なくとも1つの回転スクリューによってせん断を加えてエマルジョンを形成させる乳化ゾーン;および(I)任意の、前記エマルジョンを希釈する希釈ゾーンを含む、押出機。
【請求項24】
前記反応ゾーン、任意の中和ゾーン、任意のストリッピング・ゾーン、冷却ゾーン、乳化ゾーン、および任意の希釈ゾーンが、第一末端部から第二末端部へ連続して順序付けられ、前記駆動部が、第一末端部または第二末端部のいずれかにある、請求項23に記載の押出機。
【請求項25】
前記反応ゾーン、任意のストリッピング・ゾーン、任意の中和ゾーン、冷却ゾーン、乳化ゾーン、および任意の希釈ゾーンが、第一末端部から第二末端部へ連続して順序付けられ、前記駆動部が、第一末端部または第二末端部のいずれかにある、請求項23に記載の押出機。
【請求項26】
前記1つまたは複数のスクリューが、前方ピッチ・エレメント、逆ピッチ・エレメント、またはこれらの組み合わせから選ばれるエレメントを有する、請求項23に記載の押出機。
【請求項27】
前記1つまたは複数のスクリューが、50%を超える長さの前方ピッチ・エレメントを有する、請求項26に記載の押出機。
【請求項28】
前記1つまたは複数のスクリューが、50%を超える長さの逆ピッチ・エレメントを有する、請求項26に記載の押出機。
【請求項29】
前記シリコーンポリマーが、1種または複数種のポリオルガノシロキサンを重合させる工程であって、
(i)重合が(a)縮合重合することができる少なくとも1個のヒドロキシ基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンの縮合重合;(b)少なくとも1種のシクロシロキサンの開環重合;(c)少なくとも1個の不飽和脂肪族基を有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサンおよび少なくとも1種の水素末端ポリオルガノシロキサンの混合物の付加重合;および(d)これらの組み合わせから選ばれ;
(ii)前記シロキサンと、(a)1種または複数種の触媒;(b)1種または複数種の任意の末端封鎖剤;および(c)1種または複数種の任意のその他の添加剤とを混合し、重合を、前記触媒、任意の末端封鎖剤、および任意の添加剤のためのキャリアとして用いられる溶剤以外の溶剤の不存在下で行わせる
工程を含む方法によって、反応ゾーンで形成される、請求項23に記載の押出機。
【請求項30】
前記シリコーンポリマーが、トリエタノールアミン、トリヘキシルアミン、およびトリメチルシリルビニルホスホン酸から選ばれる中和剤の添加によって中和ゾーンで中和される、請求項23に記載の押出機。
【請求項31】
前記シリコーンポリマーが、高められた温度、減圧、またはこれらの組み合わせに曝されることによってストリッピング・ゾーンでストリッピングされる、請求項23に記載の押出機。
【請求項32】
1種または複数種の任意の乳化剤;任意の水;およびこれらの任意の組み合わせが、乳化ゾーンで前記シリコーンポリマーと混合される、請求項23に記載の押出機。
【請求項33】
前記エマルジョンが、水の添加によって希釈ゾーンで希釈される、請求項23に記載の押出機。
【請求項34】
前記押出機が二軸押出機である、請求項23に記載の押出機。
【請求項35】
形成される前記水中シリコーン型エマルジョンが、約10,000mm/s〜約200,000,000mm/sの粘度の内相を有する、請求項23に記載の押出機。
【請求項36】
形成される前記水中シリコーン型エマルジョンが、約0.1マイクロメータ〜約25マイクロメータの平均粒径[D(v,0.5)]を有する、請求項23に記載の押出機。
【請求項37】
形成される水中シリコーン型エマルジョンが、約0重量%〜約0.3重量%のオクタメチルシクロテトラシロキサン含量を有する、請求項23に記載の押出機。
【請求項38】
形成された水中シリコーン型エマルジョンが、約0重量%〜約0.3重量%のデカメチルシクロペンタシロキサン含量を有する、請求項23に記載の押出機。
【請求項39】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造された、水中シリコーン型エマルジョン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−526893(P2012−526893A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510814(P2012−510814)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031140
【国際公開番号】WO2010/132166
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】