説明

シロキシ−イミン官能化ゴム重合体の製造方法およびタイヤ用ゴム組成物中でのその使用

【課題】 充填材強化ゴム組成物に有用な、良好な強化特性と充填材分散効果を示すシロキシ−イミン官能化ゴム重合体を提供する。
【解決手段】 このシロキシ−イミン官能化ゴム重合体を製造する方法は、
炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として用いることによって共役ジエン単量体を重合して重合体を形成し;そして上記重合体の活性な末端を一般式:


(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルおよびアリールより成る群から選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)で表される官能化された停止剤と反応させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はシロキシ−イミン官能化ゴム重合体の製造方法およびタイヤ用ゴム組成物中でのその使用に向けられている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タイヤは良好なウェットスキッド抵抗、低い転がり抵抗、引裂強さおよび良好な耐摩耗特性の組み合わせを有することが時には望ましい。タイヤトレッドの耐摩耗特性は、トラクションおよび/または転がり抵抗を犠牲にすることなく改善することは難しいことが多い。1つの面において、このような性質はタイヤトレッドゴム組成物およびそのゴム組成物中で利用されるエラストマー(ゴム)の動的粘弾性に依存する。
【0003】
転がり抵抗を低下させ、そしてタイヤのトレッド耐摩耗特性を改善するために、高い反発弾性の物理的性質(低ヒステリシス)を有するゴムまたはゴム重合体がタイヤトレッドゴム組成物に使用されることが多かった。しかし、タイヤトレッドのウェットスキッド抵抗を増大させるために、より大きなエネルギー損失を被ることになる相対的により低い反発弾性の物理的性質(より高いヒステリシス)を有するエラストマー(ゴム重合体)がこのようなトレッドゴム組成物に時々使用されてきた。タイヤトレッドゴム組成物に対してこのような相対的に矛盾する粘弾性を達成するために、普通はいろいろなタイプの合成および天然ゴムのブレンド(混合物)がタイヤトレッドにおいて利用される。
【0004】
合成ゴム(エラストマー)は比較的低いレベルのヒステリシス(これは相対的により高い反発弾性値によって示される)を示すことが望ましいことが多い。このことは、通常、タイヤトレッドゴム組成物中で使用されるエラストマーの場合に特に重要である。実際問題として、エラストマーは、普通、例えば沈降シリカおよびゴム強化用カーボンブラックのようなゴム強化用充填材、硫黄加硫促進剤、ゴム老化防止剤、その他の望ましいゴム用化学薬品とブレンドされ、次に適切な型の中で加圧下、昇温の下で引き続き加硫、即ち硬化される。このような硬化ゴム組成物の物理的性質は、カーボンブラックまたはシリカのようなゴム強化用充填材がエラストマー全体に均質に分散される程度に依存する。強化用充填材の分散の均質度は、少なくとも一部は、そのカーボンブラックまたはシリカのゴム重合体についての親和性の程度に関連がある。
【0005】
非晶質シリカ強化材は、時々、より低い転がり抵抗(例えば、より良好な車両燃費)を助長し、そしてタイヤトレッドゴム組成物により良好なトラクション(例えば、スキッドおよびブレーキング抵抗)を増進するために時に使用されたゴム強化用カーボンブラックと組み合わせて使用されてきた。しかし、このような充填材としてのシリカ強化材の使用は、ゴム強化用カーボンブラックと比較して、タイヤトレッドゴム組成物の耐摩耗性の低下(例えば、トレッド摩耗の増加)をもたらすことが多い。
【0006】
従って、タイヤトレッドのトラクション(けん引力)を増進することのみならず、低下したトレッド摩耗(例えば、ゴム組成物の増大した耐磨耗性)、低下したタイヤ転がり抵抗(例えば、ゴム組成物の増大した反発弾性値)を助長しようという試みのバランスをとるするために、カーボンブラックまたはシリカを強化用充填材として別々に使用することに代えて非晶質シリカ(例えば沈降シリカ)とゴム強化用カーボンブラックとの組み合わせが使用できるだろうと考えられる。
【0007】
1つの面においては、強化用充填材としての各種のこのようなシリカおよびカーボンブラックの相互作用を促進してこのような強化用充填材のゴム組成物内における良好な分散性とそれによるゴム組成物の適切な耐摩耗性(例えば、適切な耐磨耗性)を増進する、末端が修飾または官能化されたエラストマーが使用できるだろう。
【0008】
従って、以上に鑑みて、ゴム組成物で使用するための、例えばタイヤで使用するための官能化されたゴム重合体(エラストマー)および同重合体の製造方法が必要とされると考えられる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、良好な強化特性と充填材分散効果を示すシロキシ−イミン官能化ゴム重合体、このシロキシ−イミン官能化重合体を製造する方法、および湿潤性能の悪化なしに良好な破壊特性、耐摩耗性および低発熱性を有するシロキシ−イミン官能化重合体含有のゴム組成物を包含する。このような効果は、シロキシ−イミン官能化重合体とゴム強化用シリカとの相互作用に影響を及ぼすことによって成し遂げられる。
【発明の実施するための形態】
【0010】
1つの態様において、シロキシ−イミンで官能化されたゴム重合体を製造する方法は、共役ジエン単量体を炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として用いて重合させ、続いてその結果得られた重合体の活性な末端をシロキシ基とアルジミノ基を有する官能化された停止剤と反応させることによって官能化ゴム重合体を製造することを含む。官能化された停止剤は一般式:
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルまたはアリールから選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
に従う構造を有する。一例では、少なくとも1つのR基はエチル基である。
【0013】
もう1つの態様において、ゴム組成物は10〜130重量部のゴム強化用充填材および100重量部のゴム重合体(エラストマー)を含み、この場合そのゴム重合体の少なくとも30重量%はシロキシ−イミン官能化ゴム重合体である。このような官能化ゴム重合体は共役ジエン単量体を重合させることによって製造され、ここでその重合反応は炭化水素溶媒中で行われ、そして開始剤としての有機リチウム化合物によって成し遂げられる。次に、上記反応の結果得られた重合体の活性な末端が一般式:
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルまたはアリールから選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される、シロキシ基およびアルジミノ基を有する官能化された停止剤化合物と反応せしめられ、そして上記充填材はシリカ、カーボンブラック、またはシリカとカーボンブラックとの組み合わせから選ばれる。1例において、少なくとも1つのRはエチル基である。
【0016】
他の態様において、タイヤは、10〜130重量部のゴム強化用充填材、および100重量部のゴム重合体(エラストマー)であって、そのゴム重合体の少なくとも25〜100重量%がシロキシ−イミン官能化ゴム重合体であるそのようなゴム重合体を有するゴム組成物を含む部材(例えば、タイヤトレッド)を有する。このような官能化ゴム重合体は、前記のとおり、共役ジエン単量体を重合させることによって製造され、ここでその重合反応は炭化水素溶媒中で行われ、そして開始剤としての有機リチウム化合物によって成し遂げられる。次に、上記反応の結果得られた重合体の化学的に活性な末端が一般式:
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルまたはアリールから選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される、シロキシ基およびアルジミノ基を有する官能化された停止剤化合物と反応せしめられ、そして上記充填材は非晶質シリカ(例えば沈降シリカ)、ゴム強化用カーボンブラック、またはそのようなシリカとカーボンブラックとの組み合わせから選ばれる。
発明の詳細な説明
有機リチウム化合物を開始剤として炭化水素溶媒中で用いることによって共役ジエン単量体を重合または共重合させ、その後得られた重合体の活性な末端を一般式:
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルまたはアリールから選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される、シロキシ基およびアルジミノ基を有する官能化された停止剤と反応させることによって得られるシロキシ−イミン官能化ゴム重合体が提供され、そして上記充填材はシリカ、カーボンブラック、またはシリカとカーボンブラックとの組み合わせから選ばれる。1例において、Rはフェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルまたはヘテロアリールから選ばれる。もう1つの例において、Rはフェニルである。1つの例において、少なくとも1つのR基はエチル基である。
【0021】
指摘したように、官能化された停止剤はシロキシ基とアルジミノ基を含む。アルジミノ基はいろいろな酸性官能基と水素結合することができ、そしてイミン炭素の所で求核付加を受けやすい。シロキシ基はシリカ表面上のシラノール基と縮合反応を受けることができ、そして珪素の所で求核置換を受けやすい。
【0022】
本発明の重要な面の1つは、本発明では、ケトン類から誘導されるケトイミン(ケチミン)系シロキシ−イミン停止剤を使用することとは著しく違って、アルデヒド類から誘導されるアルジミン系シロキシ−イミン停止剤の使用であると考えられる。
【0023】
このことは、本発明では、特に式(1)のRがアリール、置換アリールまたはヘテロ環から選ばれる基を表すという意味で、特にRがフェニル基を表す場合に、特に少なくとも1つのRがエチル基であることと組み合わされるときに、ケトンから誘導されるシロキシ−イミン停止剤由来の官能基を持つ官能性エラストマーよりもシリカに対して有意に大きい反応性を有するので、結果として得られる官能性エラストマーは重要であると考えられる。
【0024】
重合した共役ジエンの活性な末端が、例えば、シロキシ基とアルジミノ基との組み合わせを持つ式(1)の官能化された停止剤と反応せしめられるとき、アルコキシシリル基による求核置換の生成物およびアルジミノ基に対する付加反応の生成物、またはそれら両生成物のような生成物の混合物を得ることができる。それ故、結果として得られる重合体の活性な末端と官能化された停止剤のアルジミノ末端との間の反応である場合に、第二級アミンが生成せしめられる。結果として得られるこのような官能化重合体が充填材と配合されると、その第二級アミン官能基は充填材表面上の酸性官能基との相互作用を促進し、それによって充填材の望ましい分散、強化効果が与えられると推測される。さらに、第二アミンはシラノール基と水素結合を形成することができ、このことが珪素の望ましい分散を引き起こすと推測される。
【0025】
官能化された停止剤は、また、結果として得られる重合体鎖の末端に導入されるとき、非晶質シリカ(例えば沈降シリカ)の表面上のヒドロキシル基(例えばシラノール基)と縮合反応を行うアルコキシシリル基を含む。この縮合反応とアミノ基による上記水素結合の力との相乗作用が高度に望ましい強化効果をもたらすことができるのである。
【0026】
エラストマーのための、アルコキシ基とアルジミノ基との組み合わせを含んでいる官能化された停止剤の例を挙げると、例えばN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンおよびN−ナフチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンがある。他の例はこの技術分野の当業者であれば予想できるだろう。
【0027】
使用される官能化された停止剤の量は、例えば、重合の開始剤として使用される有機アルカリ金属化合物1モル当たり約0.25〜5.0モルであることができる。他の例では、官能化された停止剤の量は、例えば、有機アルカリ金属化合物1モル当たり約0.5〜1.5モルであることができる。0.25モル未満の量は、アルコキシ基がカップリング反応において使い果たされるので望ましくない。しかし、5モルを超える量は、本発明では、この範囲において停止剤の過剰分は付加価値とはほとんどならないので望ましいとは考えられない。
【0028】
共役ジエン単量体の例に、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンおよび1,3−ヘキサジエンがある。共役ジエン単量体は単独重合体であってもよいし、或いは共重合体であってもよい。共重合は、例えば他の共役ジエン単量体またはビニル芳香族単量体とのものであることができる。共役ジエン単量体との共重合で使用するためのビニル芳香族炭化水素単量体の例に、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレンおよび2,4,6−トリメチルスチレンがある。
【0029】
官能化されたビニル芳香族単量体もまた、三元共重合体を形成するために共役ジエン単量体およびビニル芳香族炭化水素単量体との共重合で使用することができる。官能化ビニル芳香族単量体の例を挙げると、参照することによって全体が本明細書に含められる米国特許第6,627,721号明細書に開示されるような1−[(4−エテニルフェニル)メチル]−ピロリジンおよび1−[(4−エテニルフェニル)エチル]−ピロリジンがある。
【0030】
共役ジエン単量体およびビニル芳香族炭化水素単量体を用いて共重合体を行うとき、それら単量体は、1例では、それぞれ1,3−ブタジエンおよびスチレンである。実際上の観点から、これらの単量体は容易に入手でき、しかもリビング性を含めて望ましいアニオン重合の性質を有している。
【0031】
重合反応で用いるための開始剤の例に有機リチウム化合物がある。1例において、そのリチウム化合物は2〜20個の炭素原子を有する。特定の例を挙げると、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、第二ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、およびジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物がある。使用される開始剤の量は単量体100g基準で約0.1〜20ミリモルである。
【0032】
重合プロセスは有機リチウム開始剤を破壊しない溶媒、例えば炭化水素溶媒中で行われる。適した溶媒は脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素または脂環式炭化水素から選ぶことができる。1例において、上記炭化水素は3〜8個の炭素原子を有する。炭化水素の例に、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、混合ヘキサン類、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンがある。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、或いは組み合わせて使用してもよい。実際上の観点から、混合ヘキサン類、シクロヘキサンおよびペンタンが容易に入手でき、しかも望ましいアニオン重合の溶媒性を有する。
【0033】
溶媒中の単量体濃度は、例えば約5〜50重量%であることができる。他の例においては、濃度は、例えば約10〜30重量%であることができる。共役ジエン単量体とビニル芳香族炭化水素単量体との間で共重合を行うとき、反応器の中へ装填される単量体混合物中のビニル芳香族炭化水素単量体の含有量は、例えば約3〜50重量%であることができる。他の例においては、その含有量は約5〜45重量%である。
【0034】
共役ジエン単量体のアニオン重合を行うときに改質剤が用い得る。本発明において用語「改質剤」は、共役ジエン重合体の微細構造、および共役ジエン単量体とビニル芳香族炭化水素単量体から構成される共重合体中における単量体単位の組成分布を調節する機能を有する化合物を意味するために用いられる。例えば、ブタジエン重合体のブタジエン部分の、またはブタジエン−スチレン共重合体のブタジエン部分中の1,2−結合の割合の増加、或いはイソプレン重合体の3,4−結合の部分の増加が調節できる。さらに、例えばブタジエン−スチレン共重合体中のブタジエン単位またはスチレン単位のランダム化が調節できる。改質剤は特に限定はされない。改質剤の例を挙げると、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビス(テトラヒドロフリルプロパン)のようなエーテル、並びにトリメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンおよび1,2−ジピペリジノエタンのような第三級アミンがある。さらなる例に、カリウム−t−アミレートおよびカリウム−t−ブトキシドのようなカリウム塩、並びにナトリウム−t−アミレートのようなナトリウム塩がある。改質剤の使用されるべき量は、有機リチウム化合物1モル当たり0.01〜10モル当量の範囲内である。
【0035】
官能化された停止剤と重合または共重合した単量体との間の反応は、ジエン重合に広く使われている温度を用いて行うことができる。このような温度は、例えば30〜110℃の範囲であることができる。重合反応はその反応によって生ぜしめられる圧力の下で行うことができる。単量体類を実質的に液相に保持しておくのに足る圧力の下で上記反応を行うことが普通は望ましい。即ち、重合反応の圧力は重合されるべき物質、使用されるべき希釈剤および重合温度に依存し、そして望まれるならばより高い圧力を使用することができる。このような圧力は、例えば反応器を重合反応に不活性なガスで加圧することによるような適切な方法で得ることができる。
【0036】
一般に、開始剤、溶媒、単量体等のような重合プロセスで必要とされる材料の全てから水、酸素、二酸化炭素および他の触媒毒を除去することが望ましい。
【0037】
アルコキシ基およびアルジミノ基の組み合わせを含んでいる官能化された停止剤を一連の重合系に加えるタイミングと方法は特に限定はされないけれども、一般的にはそのような停止剤は重合が完了するかまたは完了に近い状態になったときに加えられる。言い換えると、重合は、普通、少なくとも約85パーセントの高い転化率が達成されるまで行われる。例えば、アルコキシ基およびアルジミノ基の組み合わせを含んでいる官能化された停止剤は、普通、約85パーセントを超える単量体転化率(エラストマーへの転化率)が実現された後にだけ加えられる。
【0038】
得られるシロキシ−イミン官能化ゴム重合体または共重合体は、1つの例では、例えば10℃/分の加熱速度を使用するDSC(示差走査測熱法)によって測定して−95〜−10℃のガラス転移点(Tg)を有することができる。
【0039】
未硬化シロキシ−イミン官能化ゴム重合体のムーニー粘度(ML1+4/100℃)は、例えば約10〜約150の範囲にあることができる。他の例では、ムーニー粘度は、例えば約15〜約70の範囲にあることができる。
【0040】
シロキシ−イミン官能化ゴム重合体は、タイヤ工業で使用するためのゴム組成物を提供するために常用のゴム重合体と一緒に使用することができる。常用のゴム重合体の例に天然ゴムおよびジエン系合成ゴムがある。ジエン系合成ゴムの例を挙げると、乳化重合スチレン/ブタジエン共重合体、溶液重合スチレン/ブタジエン共重合体、1,4−シス−ポリブタジエン、1,2−ビニル−ポリブタジエン、1,4−シス−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体、イソプレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、ブチルゴム、エチレン/プロピレン共重合体およびそれらのブレンドがある。錫テトラクロリドのような多官能性改質剤またはジビニルベンゼンのような多官能性単量体の使用によって形成される分枝構造を有するゴム成分も使用することができる。
【0041】
約50〜約75重量パーセントが好ましいが、少なくとも約25〜100重量%のシロキシ−イミン官能化ゴム重合体を含むゴム組成物は、さらに、ゴム強化用カーボンブラック若しくはゴム強化用シリカ、またはそれら両者を強化用充填材として含むことができる。クレーおよび/または有機充填材、例えばデンプンもゴム強化用充填材として使用することができる。
【0042】
本発明で使用するためのシリカは合成非晶質ゴム強化用シリカである。例を挙げると、湿式法シリカ(沈降シリカ)、乾式法シリカ(煙霧シリカ)、珪酸カルシウムおよび珪酸アルミニウムがある。1つの例では、シリカは沈降シリカである。
【0043】
種々のゴム強化用カーボンブラックの例が、例えばVanderbilt Rubber Handbook、第13版(1990年)、第416〜418頁に見いだすことができる。
【0044】
ゴム組成物で使用されるゴム強化用充填材の量は、例えば約10〜約130phrの範囲内(例えば、約20〜約110phrの範囲内)にあることができる。
【0045】
合成非晶質シリカ(例えば、沈降シリカ)がゴム組成物中で充填材として用いられるとき、シリカが組み込まれるときに強化性をさらに増強させるためにシリカカップリング剤を使用することができる。このようなシリカカップリング剤は、シリカ充填材上のヒドロキシル基(例えばシラノール基)と反応性の部分および共役ジエン誘導エラストマーと相互作用性の他の異なる部分を有する。代表的な例を挙げると、有機アルコキシメルカプトシラン類、およびポリスルフィド橋中に平均約2〜4個の連結硫黄原子を有するビス(3−トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドがある。シリカカップリング剤の例は、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチル−チオカルバモイルテトラスルフィドおよびジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドを包含する。
【0046】
シロキシ−イミン官能化ゴム重合体は、シリカについて高い親和性を有する官能基、即ちN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを有する。従って、高価であるシリカカップリング剤のゴム組成物中含有量が通常の含有量よりも低いときでも、この官能化ゴム重合体の使用はそのゴム組成物が在来ゴム組成物の物理的性質と競争できる物理的性質を示すのを可能にする。シリカ強化材の量はシリカカップリング剤の種類に多少は依存して変わることができるけれども、シリカカップリング剤の量は、例えばシリカの量に基づいて約1〜約20重量パーセントの範囲にあることができる。1つの例では、シリカカップリング剤の量は、例えばシリカの量に基づいて約5〜約15重量パーセントの範囲にあることができる。
【0047】
加硫剤の例に硫黄および硫黄含有化合物がある。使用されるべき加硫剤の量は、例えば0.1〜10.0phrであることができる。例えば、その量は1.0〜5.0phrの間であることができる。
【0048】
プロセスオイルの例を挙げると、例えばパラフィン系油、ナフテン系油および芳香族系油がある。プロセスオイルの使用されるべき量は、例えば0〜100phrの間であることができる。
【0049】
加硫促進剤は、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、および例えばN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのスルフェンアミドのようなチアゾール系促進剤、並びに例えばジフェニルグアニジンのようなグアニジン系促進剤を包含することができる。加硫促進剤の使用されるべき量は、例えば0.1〜5.0phrであることができる。さらに典型的な量は、例えば0.2〜3.0phrの間であることができる。
【0050】
本発明のゴム組成物は、また、典型的には、ゴム工業で通常使用される、例えば酸化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、ワックスおよび老化防止剤である添加剤を含んでいることができる。
【0051】
本発明のゴム組成物は、構成成分をロールミル、密閉式ミキサー等のような混練装置を用いて混練することによって得ることができる。このゴム組成物は造形後に加硫される。このゴム組成物は、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォールおよびビードのようないろいろなタイヤ部材において、また例えばゴムクッション、ベルトおよびホースのような他の工業用途において使用することができる。1例では、このゴム組成物はタイヤトレッド用のゴム組成物として適している。
【0052】
上記で述べたように、本発明のシロキシ−イミン官能化ゴム重合体は、非晶質シリカおよび/またはゴム強化用カーボンブラックを包含する充填材を有するゴム組成物において良好な強化特性を示す。
【0053】
本発明をさらに例証するために、次の特定の実施例が与えられる。それらの実施例は本発明の範囲を限定するものではないことを理解するべきである。実施例において、phrは重量でゴム100部当たりの部数を意味し、また%値は外に明記されなければ重量による。
【実施例】
【0054】
重合体の製造
実施例1
対照用非官能性重合体の製造:
重合は、1ガロンのバッチ反応器中で中度の攪拌および不活性窒素雰囲気の下で行われた。反応器には変速攪拌機および加熱/冷却ジャケットが備え付けられており、反応器温度をフォックスボロ社分散制御システムによって制御する。重合体装填前に、反応器は乾燥ヘキサンで満たされ、そして掃去剤量を最小限に抑えるためにn−BuLiで失活させた。反応温度は60℃に設定された。およそ1500グラムの14.5重量%プレミックス(ヘキサン中25/75重量/重量スチレン/ブタジエン)が、それをまず窒素雰囲気下で分子篩とシリカゲルの床を通過させた後に上記反応器の中に加えられた。N−ブチル−リチウム開始剤およびN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)改質剤が普通のシリンジ技術によって導入された。転化データは、質量分析で、または残留単量体のガスクロマトグラフィー(GC)分析によって求められた。GC試験のために、反応混合物のアリコートが重合の過程中にディップレッグ(浸漬脚部)によって採取され、そしてエタノール/デカンの60/40(重量/重量)溶液中に集められた。重合は、完全転化に達した後に、リビング重合体のセメントをイソプロパノール/BHT酸化防止剤溶液で処理することによって停止された。重合体はドラム乾燥することによって回収された。目標重合体のムーニー粘度は40で、そのガラス転移温度はおよそ−25℃であった。
【0055】
実施例2
官能性重合体の製造:
官能化された重合体は実施例1に記載されるようにして製造されたが、ただしイソプロパノール/BHT停止剤は、重合を開始するために使用されるブチル−リチウムの量に対して1モル当量で用いられる、以下の実施例3においてさらに議論される適切な官能化された停止剤で置き換えられた。官能性停止前の基礎ムーニー粘度は全ての官能性重合体についておよそ40で、そのTgは−25℃であった。
【0056】
実施例3
N−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンの予想外の性能向上を示す代表的な例:
4種のタイプの重合体が、実施例1(対照)および実施例2(官能化重合体)に記載されるようにして製造された。官能化された停止剤が以下に示される:
【0057】
【化5】

【0058】
重合体は次のように配合された:重合体が製造されて、次のとおり65phrのシリカ、70phrの実験用または対照重合体、および30phrのポリブタジエン、並びに他の添加剤を含んでいるコンパウンドにされ、最後に予想外の性能について試験された。
【0059】
【数1】

【0060】
コンパウンドは300ccのブラベンダーミキサー中で、2つの非硬化発現段階(non-productive stage)(NP1およびNP2)と1つの硬化発現段階(productive stage)(PR)より成る3つの段階で混合された。ローター速度は、各コンパウンドについて一定低下温度を維持するように調整された。転がり抵抗(RR)の性能指標は30〜40℃、5%歪みおよび10Hzにおけるtanδ並びに室温反発弾性であり、トレッド摩耗性の実験室指標はDin磨耗であり、そして処理性能および充填材/重合体相互作用の実験室指標は100℃、15%歪みおよび0.83Hzにおける未硬化G’であった。結果は表1に示される。
【0061】
【表1】

【0062】
低および高ムーニー粘度の対照用非官能性重合体に関する実施例3aは、ムーニー粘度だけを増大させることがtan δを低下させることに僅かな効果しかないということを示している。実施例3bおよび3cは、ベンジリデンまたはシロキシプロピル官能化停止剤のみにより停止させることは有意な性能向上をもたらさないということを示している。実施例3dは、しかし、予想外に大きいtanδの低下、Din摩耗の減少および重合体−シリカ相互作用の増加が二官能性の官能化された停止剤であるN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン停止剤を用いるときに達成されるだけであることを示している。
【0063】
実施例4
表2は、改善されたコンパウンド性能に対して目立っている特色はN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン(N-Bn TEOS)停止剤の組み込みであって、分子量の相違ではないことを明らかにしている。
【0064】
【表2】

【0065】
実施例5
アルデヒド誘導イミン類(アルジミン類)で停止された重合体がコンパウンド性能にケトン誘導イミン類(ケチミン類)で停止されたものを超える有意の改善をもたらすという予想外の結果を示す代表的な例。
【0066】
3種のタイプの重合体、即ち1種の対照用非官能性重合体と2種の官能性重合体が下記に示される2つの異なる部類のイミン停止剤を用いて実施例1〜2に記載されるようにして製造された。a)として識別される第一の官能性停止剤はアルジミンであり、そしてb)として識別される第二の官能性停止剤はケチミンの例である。b)で識別されるケチミンを含めていろいろなケチミン類の例が、Morita等に付与された米国特許第6,369,197号明細書に開示されている。
【0067】
【化6】

【0068】
表3のコンパウンド結果は、ケチミン−シロキシ停止重合体の改善はなるほど対照の非官能性重合体を超えるが、しかしアルジミン−シロキシ停止重合体は予想外にもケチミンよりもはるかに優れていることを示している。重合体は前記のように配合された。結果は表3に示される。
【0069】
【表3】

【0070】
実施例6
この実施例は、アルジミン類で官能化された重合体とケチミン類で官能化されたものとの間の予想外で、しかも有意な反応性の相違をさらに証明するのに役立つ。
【0071】
ケチミン−シロキシ官能性重合体に対比してのアルジミン−シロキシ官能性重合体の加水分解および縮合に対する重合体反応性における予想外の劇的変化の代表的例は以下のとおりである。
【0072】
3種のタイプの重合体、即ち1種の対照用非官能化重合体と2種の官能化重合体が2つの異なる部類のイミン停止剤;N−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン(アルジミン)およびN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン(ケチミン)を用いて実施例1〜2に記載されるようにして製造された。
【0073】
この実施例において、その製造された重合体はヘキサンにおよそ15重量%固形分で溶解され、そしてまずそのゼロ時間分子量について試験された。次に、各重合体/ヘキサン溶液は蒸気が出ている熱水の中へpH7.6で注入され、そして20分間、60分間および120分間暴露された。次に、沈殿した重合体小片が分子量について再試験された。表4は、アルジミン官能化重合体は、熱水に対する暴露時間の経過に対する重合体分子量の急速増加によって測定されるシロキシ縮合に対する反応性が予想外かつ有意に大きいことを示している。
【0074】
【表4】

【0075】
この実施例は、アルジミン誘導官能化重合体のシリカ配合における性能の観察された改善を説明するモデルとして役立てることができる。シロキシ基がシリカトレッドコンパウンド性能をそのシリカ充填材表面との縮合によって高めることは知られている。アルジミン−シロキシ基は、この縮合反応を高めるケチミン−シロキシ基よりもさらに反応性である。
【0076】
以上、本発明をその1つまたは2つ以上の態様の記述によって例証し、かつそれら態様を詳細に説明したが、それらは添付特許請求の範囲をそのような細部に制限し、或いはそのような細部に何らかの点で限定する意図のものではない。追加の利点および修正はこの技術分野の当業者には容易に明らかになるだろう。それ故、本発明は、そのより広い面において、示されかつ説明された特定の細部、代表的な方法および例示実施例に限定されない。従って、本発明は、発明性のある一般的な着想の範囲から逸脱しない限りは、そのような細部から離れることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキシ−イミン官能化ゴム重合体を製造する方法であって、
炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として用いることによって共役ジエン単量体を重合して重合体を形成し;そして
上記重合体の活性な末端を一般式:
【化1】

(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルおよびアリールより成る群から選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される官能化された停止剤と反応させる
工程を含む上記の方法。
【請求項2】
共役ジエン単量体を重合して重合体を形成する工程が、共役ジエン単量体とモノビニル芳香族単量体とを共重合させて共重合体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
共役ジエン単量体およびモノビニル芳香族炭化水素単量体がそれぞれ1,3−ブタジエンおよびスチレンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
共役ジエン単量体を重合して重合体を形成する工程が、共役ジエン単量体とモノビニル芳香族炭化水素単量体と官能化されたビニル芳香族単量体とを共重合させて三元共重合体を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Rがフェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチルおよびヘテロアリールより成る群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
官能化された停止剤がN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンまたはN−ナフチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
がエチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法によって得られたシロキシ−イミン官能化ゴム重合体。
【請求項9】
N−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを含むシロキシ−イミン官能化ゴム重合体。
【請求項10】
一般式:
【化2】


(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルおよびアリールより成る群から選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基を表し;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
を含む官能化された停止剤を含んでいるシロキシ−イミン官能化ゴム重合体。
【請求項11】
25〜100重量%のシロキシ−イミン官能化ゴム重合体を含むゴム重合体を100重量部、および
ゴム強化用充填材を10〜130重量部
含むゴム組成物であって、
該シロキシ−イミン官能化ゴム重合体が、
炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤として用いることによって共役ジエン単量体を重合して重合体を形成し;
上記重合体の活性な末端を一般式:
【化3】

(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルおよびアリールより成る群から選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基であり;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される官能化された停止剤と反応させる
工程を含む方法によって製造される
上記のゴム組成物。
【請求項12】
ゴム強化用充填材が非晶質シリカ、ゴム強化用カーボンブラック、シリカとカーボンブラックとの組み合わせおよびクレーより成る群から選ばれる、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項13】
シリカ充填材が沈降シリカである、請求項12に記載のゴム組成物。
【請求項14】
共役ジエン単量体を重合して重合体を形成する工程が、共役ジエン単量体とモノビニル芳香族化合物とを共重合させて共重合体を形成することを含む、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項15】
共重合ジエン単量体およびモノビニル芳香族炭化水素単量体がそれぞれ1,3−ブタジエンおよびスチレンである、請求項14に記載のゴム組成物。
【請求項16】
Rがフェニル、置換フェニル、ナフチル、置換ナフチル、ヘテロ環およびヘテロアリールより成る群から選ばれる、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項17】
官能化された停止剤がN−ベンジリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンおよびN−ナフチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンである、請求項11に記載のゴム組成物。
【請求項18】
請求項11に記載のゴム組成物を含む部材を有するタイヤ。
【請求項19】
25〜100重量%のシロキシ−イミン官能化ゴム重合体を含むゴム重合体を100重量部、および
ゴム強化用充填材を10〜130重量部
含むゴム組成物であって、
該シロキシ−イミン官能化ゴム重合体が一般式:
【化4】

(式中、Rは6〜18個の炭素原子を有するアリール若しくは置換アリール、または3〜18個の炭素原子を有するヘテロ環若しくはヘテロアリールより成る基を表し;RおよびRは、各々独立に、アルキル、シクロアルキル、アリルおよびアリールより成る群から選ばれる1〜18個の炭素原子を有する基であり;Xは1〜20の整数であり;そしてYは1〜3の整数である。)
で表される官能化された停止剤を含む
上記のゴム組成物。
【請求項20】
請求項19に記載のゴム組成物を含む部材を有するタイヤ。

【公開番号】特開2009−191270(P2009−191270A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31564(P2009−31564)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(590002976)ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー (256)
【氏名又は名称原語表記】THE GOODYEAR TIRE & RUBBER COMPANY
【住所又は居所原語表記】1144 East Market Street,Akron,Ohio 44316−0001,U.S.A.
【Fターム(参考)】