説明

シーソー操作型スイッチ装置

【課題】電子機器の本体やリモコンにおいて大きさや方向等の相対する信号の入力に使用され、通常状態において操作釦とケース部分との間に隙間のないシーソー操作型スイッチ装置を提供する。
【解決手段】ケース4の上部と枠体5の間に、操作面7が露出し外周の突出部6A,6Bが隠されて、長方形の操作釦6が傾倒可能に支持され、その両端部近傍の下面に保持されて規制溝により傾かないように規制された回動軸9A,9Bに設けた押圧部10A,10Bで、下方の基板2上の2つの押圧スイッチ3A,3Bを押圧動作させるとともに、通常状態において、2つの押圧スイッチ3A,3Bの自己復帰力により押し上げられた操作釦6の外周の突出部6A,6Bが枠体5の内枠部5Bに押し付けられている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の本体やリモコンに使用されて、大きさや方向などの相対する信号を入力するためのシーソー操作型スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子機器において、出力や機能の大小や高低、アップダウンなどの相対的な方向への切替え信号を入力するために、機器本体やリモコンにシーソー操作型スイッチ装置を使用することが多い。
【0003】
このようなシーソー操作型スイッチ装置の操作釦は、特許文献1や特許文献2にもあるように、通常、操作面の中間部下方に通された円形ピンまたは中間部下方に設けられた円形のダボ部を、スイッチケースの対向する壁面に設けられた支持孔により回動可能に支持する構成である。
【0004】
そして、このようなシーソー操作型の操作釦は、上面の両端部近傍の操作部を下方へ押し込んで操作するものであるために、操作釦の周囲とスイッチケースとの間に一定の隙間を設けておく必要があり、この隙間はスイッチを操作しない通常状態において存在するとともに、一方の操作部を下方へ押圧操作する際に他方の操作部の近傍でより広くなるものである。
【特許文献1】実公平2−986号公報
【特許文献2】特開平5−41141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなシーソー操作型スイッチ装置の操作釦とスイッチケースとの間の隙間は、この部分からスイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性があるとともに外観上も好ましいものでない。
【0006】
また、このようなシーソー操作型スイッチ装置と同じ目的で、リモコンなどの表面を覆っている樹脂シートの下部に内蔵した2つの押圧スイッチを使用する方式もあるが、このような方式は塵埃に対しては有利であるが、高級感が乏しいとともに、相対する2つのスイッチを同時に押してしまうことがある。
【0007】
本発明はこのような従来のシーソー操作型スイッチ装置の課題を解決するためになされたものであり、通常状態において操作釦とケース部分との間に隙間がなく、スイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性が少なくて、外観上の見栄えも良く、更に、動作が安定しているとともに、基板上の2つの押圧スイッチを同時に動作させることのないシーソー操作型スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のシーソー操作型スイッチ装置は、長手方向の対向する両端部近傍の上面に、それぞれ自動復帰型の押圧スイッチが装着された長方形の基板と、基板の上方に基板と略平行で傾倒可能に配設された、長方形平板状の操作面を有する操作釦と、操作面の長手方向と直交する回動軸と、回動軸の中間部に、押圧スイッチのプッシュ体に当接して設けられた押圧部および回動軸の軸線に垂直な方向に突出した平板部とを備え、操作釦の下面で押圧スイッチの上方に保持された2つのスイッチ駆動体と、基板と操作釦の間に配設された下面開放の箱型形状で、長方形の天井面を貫通して設けられ、スイッチ駆動体の平板部に係合して回動軸が傾かないようにする規制溝、および天井面上の長手方向中点位置に、基板の両端部近傍の押圧スイッチを同時に動作させないようにする当接部を備えるケースと、ケースの上部に固定され、操作面が上方に露出して外周が隠れるように操作釦を覆うとともに、操作釦の上方への位置決めをする枠体とからなり、基板の2つの押圧スイッチの自己復帰力によりスイッチ駆動体の押圧部を介して操作釦が押し上げられ、その外周が枠体の位置決め部に当接しているものである。
【0009】
このような構成とすることにより、通常状態において、操作釦が押圧スイッチの自己復帰力によって枠体に押し付けられているので、操作釦とケース部の間に隙間がなくてスイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性が少ないとともに、外観上の見栄えも良く、更に、回動軸によって常に押圧スイッチを垂直に押すことができるので動作が安定していることに加えて、基板上の2つの押圧スイッチを同時に動作させることのないシーソー操作型スイッチ装置を実現することができる。
【0010】
また、本発明のシーソー操作型スイッチ装置は、長手方向の対向する両端部近傍の上面に、それぞれ自動復帰型の押圧スイッチが装着された長方形の基板と、基板の上方に基板と略平行で傾倒可能に配設された、長方形平板状の操作面を有する操作釦と、操作面の長手方向と直交する回動軸と、回動軸の中間部に、押圧スイッチのプッシュ体に対峙して設けられた押圧部および回動軸の軸線に垂直な方向に突出した平板部とを備え、操作釦の下面で押圧スイッチの上方に保持された2つのスイッチ駆動体と、基板と操作釦の間に配設された下面開放の箱型形状で、長方形の天井面を貫通して設けられ、スイッチ駆動体の平板部に係合して回動軸が傾かないようにする規制溝および、天井面上の長手方向中点位置に、基板の両端部近傍の押圧スイッチを同時に動作させないようにする当接部を備えるケースと、ケースに固定されて、2つのスイッチ駆動体の回動軸をそれぞれ上方へ付勢するアームを備えたばね体と、ケースの上部に固定され、操作面が上方に露出して外周が隠れるように操作釦を覆うとともに、操作釦の上方への位置決めをする枠体とからなり、ばね体のアームの弾性力によりスイッチ駆動体の回動軸を介して操作釦が押し上げられ、その外周が枠体の位置決め部に当接しているようにしてもよい。
【0011】
このような構成とすることにより、上記の構成によるものと同様の効果に加えて、操作釦がばね体のアームの弾性力によって枠体に押し付けられているので、操作釦を押し上げる力が大きくて安定しており、誤って操作面に触れた場合などの誤操作が少なくなるとともに、基板に装着する押圧スイッチを自己復帰力の大きいものとする必要がないことは勿論、動作ストロークの短いものでもよく、各種の特性の押圧スイッチを使用することができて、巾広い用途に対応し易いシーソー操作型スイッチ装置とすることができる。
【0012】
また、上記構成において、基板上の2つの押圧スイッチの中間位置に照光用のLEDを装着し、ケースの天井面に導光用の開口部を設けるとともに、操作釦の操作面の一部に透光表示部を設けるようにしてもよい。
【0013】
このような構成とすることにより、両端部近傍にそれぞれ押圧スイッチを装着した基板上の空きスペースである中央部にLEDを装着して、操作する内容を操作釦の操作面に照光表示することができるので、非常に使い勝手の良いシーソー操作型スイッチ装置とすることができる。
【0014】
また、上記構成において、ケースの天井面の開口部から基板面に向けてLEDを囲う反射・集光用の導光路を一体に設けるようにしてもよい。
【0015】
このような構成とすることにより、LEDの発光を効率良く操作釦へ導いて、表示部を明るく明確なものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のシーソー操作型スイッチ装置は、通常状態において、操作釦が上方に押し上げられて枠体に押し付けられているので、操作釦とケース部との間に隙間がないので、スイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性が少ないとともに、外観上の見栄えも良く、更に、動作が安定していることに加えて、基板上の2つの押圧スイッチを同時に動作させることのないシーソー操作型スイッチ装置を実現できるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置1の外観斜視図、図2は図1のE−E線における断面図、図3は図2のF−F線における断面図(ただし、押圧スイッチおよび回動軸は断面にしていない。)、図4は図2のG−G線における断面図、図5は図2のH−H線における断面図である。
【0019】
図2において、長方形の樹脂製の基板2上には、その長手方向の対向する両端部近傍の上面には、それぞれ自動復帰型の同じ仕様の押圧スイッチ3A,3Bが装着されている。
【0020】
基板2の上部には、下面開放の箱型形状で天井面が長方形のケース4が載せられて、その外周部4A下端に設けたダボ4Bを、基板2の四隅に設けた孔2Aに通して熱カシメをすることにより固定されており、更にその上には、中央が開口部5Aとなった樹脂製の枠体5が固定されている。
【0021】
この基板2は、ダボ4Bの代わりにビスなどでケース4に固定してもよい。
【0022】
そして、操作釦6は、長方形平板状の操作面7を有する樹脂製で、操作面7が枠体5の開口部5Aから上方に露出するとともに、図2、図3および図4に示すように、操作面7の外周全域から長手方向への突出部6A,6Bおよびこれと直交する方向への突出部6Cが枠体5の内枠部5Bの下側へ入り込むことによって、この操作釦6はケース4の上面との間で一定範囲の傾倒可能に支持されている。
【0023】
これにより操作釦6は基板2と略平行に保持されているとともに、枠体5と操作釦6との間は、上方から見て隙間がない状態になっている。
【0024】
なお、図1および図4に示すように、枠体5は、その下面に設けられた二組の対向する弾性脚部5C先端の爪をケース4の外周部4Aの凹部4Cの内に填め込むことによって、ケース4の上面に固定されている。
【0025】
また、基板2上の2つの押圧スイッチ3A,3Bそれぞれの上方には、操作釦6の下面の二組の支持部8A,8Bによって、スイッチ駆動体9の回動軸9A,9Bが操作面7の長手方向と直交する方向に回動可能に保持されている。
【0026】
図6の本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置のスイッチ駆動体9の斜視図に示すように、回動軸9A,9Bそれぞれの中間部に押圧部10A,10Bが設けられているとともに、押圧部10A,10B上部の両側に回動軸9A,9Bの軸線に垂直な方向に平板部11A,11Bが突出しているものである。
【0027】
そして、スイッチ駆動体9の押圧部10A,10Bは、図2に示すように、基板2上の押圧スイッチ3A,3Bそれぞれのプッシュ体3C,3Dの先端に当接して上方に押されており、これにより操作釦6の外周の突出部6A,6Bおよび突出部6Cが枠体5の内枠部5Bの下面に当接して、通常状態における位置を保っているとともに、操作釦6と枠体5、すなわちケース4部分との間の隙間がないようになっている。
【0028】
この通常状態における位置を安定した状態に保つためには、押圧スイッチ3A,3Bは弾性復帰力が大きいもの、すなわち動作力が大きいものであることが好ましい。
【0029】
また、スイッチ駆動体9の平板部11A,11Bは、図5に示すように、ケース4の天井面を貫通して設けられた規制溝12A,12Bに微小な隙間をあけて上下動可能に係合して、回動軸9A,9Bの回動軸線が傾かないように規制している。
【0030】
そして、ケース4の天井面上の長手方向の中点位置に設けられている一対の山形の突起13は、図2に示す、その頂部と操作釦6の下面とのギャップ(a)が押圧スイッチ3A,3Bの動作ストロークの1/2〜1倍の範囲内に設けられており、後述のように、操作釦6全体の下方への移動量を規制する当接部としての役目をするものである。
【0031】
本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置1は以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0032】
例えば、図1および図2に太い矢印で示すように、シーソー操作型スイッチ装置1の操作面7の右側の端部近くの△印が表示されている部分を下方に押すと、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置の操作時における図1のE−E線における断面図である図7に示すように、操作釦6は反対側である左側の突出部6Aの先端を中心として僅かに回動して、押されている右側が下方に動き、突出部6Bは枠体5の内枠部5Bから離れる。
【0033】
これにより、操作釦6の右側下面の回動軸9Bの押圧部10Bが、当接しているプッシュ体3Dを押して押圧スイッチ3Bを動作させてON状態とし、その信号を配線部(図示せず)を介してスイッチを使用している機器の回路に伝達する。
【0034】
この時、回動軸9Bは平板部11Bが規制溝12Bに係合しているので傾かないとともに、回動軸9Bが支持部8Bの支持孔を中心として僅かに回動するので、押圧部10Bはプッシュ体3Dを垂直に押すことができる。
【0035】
また、操作釦6の回動軸9A、すなわち押圧部10Aは殆ど動かず、押圧スイッチ3Aは動作しない。
【0036】
そして、この状態から操作面7に加えていた押し力を除くと、押圧スイッチ3Bの弾性復帰力によってプッシュ体3Dが押圧部10Bおよび回動軸9Bを介して操作釦6を押し上げて元の図2の状態に戻り、押圧スイッチ3BもOFF状態に戻る。
【0037】
同様にして、操作面7の左側の端部近くの△印が表示されている部分を下方に押すと、今度は反対側の押圧スイッチ3Aを動作させることができる。
【0038】
なお、このように操作釦6の操作面7を押してシーソー操作型スイッチ装置1を操作する場合に、誤って操作面7の中央付近を押した場合には操作釦6全体が下方へ動くが、前述のケース4の天井面上の長手方向中点位置に設けられた一対の突起13と操作釦6の下面とのギャップ(a)の寸法が押圧スイッチ3A,3Bの動作ストロークの1/2〜1倍で動作ストロークよりも小さいので、2つの押圧スイッチ3A,3Bがともに動作するよりも前に、操作釦6の下面がこの突起13の頂部に当たってしまう。
【0039】
従って、2つの押圧スイッチ3A,3Bが同時にON状態になることはなく、操作釦が傾いた方向の押圧スイッチのみがON状態となる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置1は、通常状態において、操作釦6が押圧スイッチ3A,3Bの自己復帰力によって枠体5に押し付けられているので、操作釦6と枠体5およびケース4部分との間に隙間がなくてスイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性が少ないとともに、外観上の見栄えも良く、更に、回動軸9A,9Bによって常に押圧スイッチ3A,3Bを垂直に押すことができるので動作が安定していることに加えて、基板2上の2つの押圧スイッチ3A,3Bを同時に動作させることのないものである。
【0041】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置21の断面図であり、第1の実施の形態における図2の場合と同様に、図1のE−E線に相当する位置における断面図である。
【0042】
そして、図9は図8のI−I線における断面図である。
【0043】
同図に示すように、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置21は、第1の実施の形態において説明したものに対し、回動軸9A,9Bを介して操作釦6を枠体5に押し付けるばね体23がケース22の天井面に取り付けられている点が異なるものであり、その他の部分の構成は第1の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置1とほぼ同じである。
【0044】
すなわち、長手方向の両端部近傍にそれぞれ押圧スイッチ3A,3Bが装着された長方形の基板2の上部に、下面開放の箱型形状で天井面が長方形のケース22が固定され、更に、その上部に固定された枠体5の内枠部5Bとケース22の天井面の間に操作釦6が上下動可能に支持されて、操作面7が上方に露出していることは第1の実施の形態の場合と同じである。
【0045】
しかし、操作釦6の下面の二組の支持部8A,8Bによって2つの回動軸9A,9Bが回動可能に保持されているが、押圧部10A,10Bは押圧スイッチ24A,24Bのプッシュ体24C,24Dの先端に対して、図8に示すように、僅かなギャップ(b)を空けて対峙している。
【0046】
そして、回動軸9A,9Bは、ケース22の天井の下面に取り付けられた弾性金属薄板製のばね体23の二組のアーム23A,23Bの弾性力によってそれぞれ押し上げられており、これによって、操作釦6の外周の突出部6A,6Bおよび突出部6Cが枠体5の内枠部5Bの下面に当接して、通常状態における位置を保っているとともに、操作釦6と枠体5およびケース4部分との間に隙間がなくなっている。
【0047】
このばね体23は、図10の本実施の形態のばね体の斜視図に示すように、りん青銅板やステンレス鋼板等の弾性金属薄板を打ち抜き・曲げ加工して形成されたものであり、2つの取付け脚23Cをケース22の天井面の取付孔22Aに通して取り付ける際に、上方に曲げ加工された二組のアーム23A,23Bを略平面状態まで押し撓めて上方への付勢力を持たせた状態で、それぞれの先端部が回動軸9A,9B用の貫通孔22C,22Dの下面に突出して取り付けられる。
【0048】
そして、図8および図9に示すように、このシーソー操作型スイッチ装置21の組み立て時に、操作釦6の支持部8A,8Bに保持された回動軸9A,9Bをそれぞれ上方からケース22の天井面の貫通孔22C,22D内に挿入することによって、各回動軸9A,9Bはばね体23の二組のアーム23A,23Bの先端部を少し押し下げた状態で固定される。
【0049】
このようにして、通常状態において、ばね体23の二組のアーム23A,23Bの弾性力によって、回動軸9A,9Bおよび支持部8A,8Bを介して、操作釦6は押し上げられている。
【0050】
そして、ばね体23のアーム23A,23Bが回動軸9A,9Bを押し上げる弾性力は、ばね体23の材質や材厚あるいはアーム23A,23Bの巾や曲げ加工の高さによって、変更することが容易である。
【0051】
次に、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置21の動作について説明する。
【0052】
第1の実施の形態の場合と同様に、操作面7の右側の端部近くを下方に押すと、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置の操作時における断面図である図11に示すように、操作釦6は左側の突出部6Aの先端を中心として僅かに回動して突出部6Bは枠体5の内枠部5Bから離れ、操作釦6の下面右側の回動軸9Bがばね体23のアーム23Bを弾性変形させながら下方に動く。
【0053】
これにより、操作釦6右側下面の回動軸9Bの押圧部10Bは、まず押圧スイッチ24Bのプッシュ体24Dの先端との僅かなギャップ(b)分だけ動いてプッシュ体24Dに当接すると、これを押して押圧スイッチ24Bを動作させてON状態とし、その信号を配線部を介してスイッチを使用している機器の回路に伝達する。
【0054】
そして、この状態から操作面7に加えていた押し力を除くと、ばね体23のアーム23Bの弾性復帰力によって押圧部10Bおよび回動軸9Bを介して操作釦6が押し上げられて元の図8の状態に戻り、押圧スイッチ24BもOFF状態に戻ることは、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0055】
この時、回動軸9Bが規制溝12Bに係合していて傾かないとともに、支持部8Bの支持孔を中心として僅かに回動して、押圧部10Bがプッシュ体24Dを垂直に押すことができること、およびケース22の天井面上の長手方向中点位置に設けられた一対の突起25によって、2つの押圧スイッチ24A,24Bが同時にON状態にならないことも、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0056】
なお、本実施の形態の場合、ケース22の天井面上に設けられた一対の突起25と操作釦6の下面との間のギャップ寸法は、第1の実施の形態の場合の(a)の寸法よりも、押圧部10A,10Bと押圧スイッチ24A,24Bのプッシュ体24C,24Dの先端との間のギャップ(b)の分だけ大きく設定されている。
【0057】
以上のように、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置21は、通常状態において、操作釦6がばね体23のアーム23A,23Bの弾性力によって枠体5に押し付けられているので、操作釦6を押し上げる力が大きくて安定したものにすることができて、誤って操作面7に触れた場合などの誤操作が少ないとともに、基板2に装着する押圧スイッチ24A,24Bを自己復帰力の大きいものとする必要がないことは勿論、動作ストロークの短いものでもよく、各種の特性の押圧スイッチを使用することができるので、巾広い用途に対応し易いシーソー操作型スイッチ装置である。
【0058】
(第3の実施の形態)
図12は、本発明の第3の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置31の断面図であり、第1の実施の形態における図2の場合と同様に、図1のE−E線に相当する位置における断面図である。
【0059】
そして、図13は図12のJ−J線における断面図である。
【0060】
同図に示すように、本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置31は、第1の実施の形態において説明したシーソー操作型スイッチ装置1に対して、基板32上の2つの押圧スイッチ3A,3Bの中間位置に照光用のLED33を装着し、ケース34の天井面中央に導光用の開口部35を設けるとともに、操作釦36の操作面37の中央に透光表示部38を設けたものである。
【0061】
このような構成にすると、両端部近傍にそれぞれ押圧スイッチ3A,3Bを装着した基板32上の空きスペースである中央部にLED33を装着して、操作する内容などを操作釦36の操作面37に照光表示することができるので、非常に使い勝手の良いシーソー操作型スイッチ装置とすることができる。
【0062】
なお、操作釦36の操作面37に設ける透光表示部38は、透明樹脂で形成した操作釦36の本体部の上面全体に塗装を施した後、表示したい文字や記号などの部分に対してレーザーエッチングなどの加工法により塗装膜を除いて、透明樹脂の部分を露出させるなどの方法によって形成できる。
【0063】
そして、図14は、本実施の形態による他の実施例であるシーソー操作型スイッチ装置41の断面図であり、第1の実施の形態における図2の場合と同様に、図1のE−E線に相当する位置における断面図である。
【0064】
同図に示すように、本実施例のシーソー操作型スイッチ装置41は、上記のシーソー操作型スイッチ装置31に対して、ケース42を白色の樹脂で形成するとともに、天井面の開口部43から基板32の表面に向けてLED33を囲うように、椀状の反射・集光用の導光路44を一体に設けたものである。
【0065】
このような構成にすると、LED33の発光を白色の導光路44で反射・集光して効率良く操作釦36の透光表示部38へ導き、明るく明確な表示部を有するシーソー操作型スイッチ装置とすることができる。
【0066】
なお、上述の本実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置31およびシーソー操作型スイッチ装置41は、第1の実施の形態において説明したシーソー操作型スイッチ装置1に対して、基板2上の2つの押圧スイッチ3A,3Bの中間に照光用のLED33を装着し、ケースの天井面に導光部を設けるとともに、操作釦36の操作面37の中央に透光表示部38を設けるとしたが、これは第2の実施の形態において説明したシーソー操作型スイッチ装置21に対しても同様に適用することができるものである。
【0067】
また、以上の第1〜第3の実施の形態において、各シーソー操作型スイッチ装置が独立したスイッチ装置であるように説明したが、各種電子機器の本体やリモコンなどにおいて、このようなシーソー操作型スイッチ装置が不可欠である場合には、本発明のシーソー操作型スイッチ装置のケース部分を電子機器やリモコンのキャビネットや外装ケースと一体に形成してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のシーソー操作型スイッチ装置は、通常状態において操作釦とスイッチケース部分との間に隙間がなく、スイッチ内部へ塵埃が侵入する可能性が少なくて、外観上の見栄えも良く、更に、動作が安定しているとともに、基板上の2つの押圧スイッチを同時に動作させることがない。
【0069】
従って、各種電子機器の本体やリモコンに使用されて、大きさや方向などの相対する信号を入力する手段などの用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置の外観斜視図
【図2】図1のE−E線における断面図
【図3】図2のF−F線における断面図
【図4】図2のG−G線における断面図
【図5】図2のH−H線における断面図
【図6】本発明の第1の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置のスイッチ駆動体の斜視図
【図7】同シーソー操作型スイッチ装置の操作時における図1のE−E線における断面図
【図8】本発明の第2の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置の断面図
【図9】図8のI−I線における断面図
【図10】本発明の第2の実施の形態によるばね体の斜視図
【図11】同シーソー操作型スイッチ装置の操作時におけるシーソー操作型スイッチ装置の断面図
【図12】本発明の第3の実施の形態によるシーソー操作型スイッチ装置の断面図
【図13】図12のJ−J線における断面図
【図14】本発明の第3の実施の形態による他の実施例であるシーソー操作型スイッチ装置の断面図
【符号の説明】
【0071】
1,21,31,41 シーソー操作型スイッチ装置
2,32 基板
2A 孔
3A,3B,24A,24B 押圧スイッチ
3C,3D,24C,24D プッシュ体
4,22,34,42 ケース
4A 外周部
4B ダボ
4C 凹部
5 枠体
5A,35,43 開口部
5B 内枠部
5C 弾性脚部
6,36 操作釦
6A,6B,6C 突出部
7,37 操作面
8A,8B 支持部
9 スイッチ駆動体
9A,9B 回動軸
10A,10B 押圧部
11A,11B 平板部
12A,12B 規制溝
13,25 突起
22A 取付孔
22C,22D 貫通孔
23 ばね体
23A,23B アーム
23C 取付け脚
33 LED
38 透光表示部
44 導光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の対向する両端部近傍の上面に、それぞれ自動復帰型の押圧スイッチが装着された長方形の基板と、
前記基板の上方に前記基板と略平行で傾倒可能に配設された、長方形平板状の操作面を有する操作釦と、
前記操作面の長手方向と直交する回動軸と、前記回動軸の中間部に、前記押圧スイッチのプッシュ体に当接して設けられた押圧部および前記回動軸の軸線に垂直な方向に突出した平板部とを備え、前記操作釦の下面で前記押圧スイッチの上方に保持された2つのスイッチ駆動体と、
前記基板と操作釦の間に配設された下面開放の箱型形状で、長方形の天井面を貫通して設けられ、前記スイッチ駆動体の前記平板部に係合して前記回動軸が傾かないようにする規制溝、および前記天井面上の長手方向中点位置に、前記基板の両端部近傍の押圧スイッチを同時に動作させないようにする当接部を備えるケースと、
前記ケースの上部に固定され、前記操作面が上方に露出して外周が隠れるように前記操作釦を覆うとともに、前記操作釦の上方への位置決めをする枠体とからなり、
前記基板の2つの押圧スイッチの自己復帰力により前記スイッチ駆動体の押圧部を介して前記操作釦が押し上げられ、その外周が前記枠体の位置決め部に当接していることを特徴とするシーソー操作型スイッチ装置。
【請求項2】
長手方向の対向する両端部近傍の上面に、それぞれ自動復帰型の押圧スイッチが装着された長方形の基板と、
前記基板の上方に前記基板と略平行で傾倒可能に配設された、長方形平板状の操作面を有する操作釦と、
前記操作面の長手方向と直交する回動軸と、前記回動軸の中間部に、前記押圧スイッチのプッシュ体に対峙して設けられた押圧部および前記回動軸の軸線に垂直な方向に突出した平板部とを備え、前記操作釦の下面で前記押圧スイッチの上方に保持された2つのスイッチ駆動体と、
前記基板と操作釦の間に配設された下面開放の箱型形状で、長方形の天井面を貫通して設けられ、前記スイッチ駆動体の前記平板部に係合して前記回動軸が傾かないようにする規制溝および、前記天井面上の長手方向中点位置に、前記基板の両端部近傍の押圧スイッチを同時に動作させないようにする当接部を備えるケースと、
前記ケースに固定されて、前記2つのスイッチ駆動体の回動軸をそれぞれ上方へ付勢するアームを備えたばね体と、
前記ケースの上部に固定され、前記操作面が上方に露出して外周が隠れるように前記操作釦を覆うとともに、前記操作釦の上方への位置決めをする枠体とからなり、
前記ばね体のアームの弾性力により前記スイッチ駆動体の回動軸を介して前記操作釦が押し上げられ、その外周が前記枠体の位置決め部に当接していることを特徴とするシーソー操作型スイッチ装置。
【請求項3】
前記基板上の2つの押圧スイッチの中間位置に照光用のLEDを装着し、前記ケースの天井面に導光用の開口部を設けるとともに、前記操作釦の操作面の一部に透光表示部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のシーソー操作型スイッチ装置。
【請求項4】
前記ケースの天井面の開口部から基板面に向けて前記LEDを囲う反射・集光用の導光路を一体に設けたことを特徴とする請求項3に記載のシーソー操作型スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−293673(P2008−293673A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135138(P2007−135138)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】